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特開2024-62849エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を含む構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062849
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を含む構造物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20240501BHJP
   C08G 59/06 20060101ALI20240501BHJP
   C08G 59/44 20060101ALI20240501BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240501BHJP
   C08L 75/12 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C08L63/00 A
C08G59/06
C08G59/44
C08K3/013
C08L75/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170961
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武治
(72)【発明者】
【氏名】村井 赳文
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4J002CD02W
4J002CD05W
4J002CK01X
4J002CK02X
4J002DE086
4J002DE236
4J002DJ016
4J002ET007
4J002FD016
4J002FD14X
4J002FD157
4J002GJ01
4J002HA02
4J002HA08
4J036AA02
4J036AD08
4J036AG05
4J036AG06
4J036CD09
4J036DC27
4J036DC31
4J036FA03
4J036FA05
4J036FB10
4J036HA12
4J036JA06
(57)【要約】
【課題】 樹脂組成物を160℃から200℃に加熱して硬化させたとしても、樹脂組成物が発泡することなく硬化して、性質の低下を生ずることなく、適度の接着強度と柔軟性を有する硬化物を与える、樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含み、(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含み、(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミド及び(C2)ヒドラジド化合物を含む、エポキシ樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物であって、
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含み、
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミド及び(C2)ヒドラジド化合物を含む、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ樹脂組成物の硬化物は、200MPa以上1500MPa以下の弾性率を有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂は、ダイマー酸エステル系エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を、1/6以上1/2以下の質量比((A1)/(A2))で含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
(A)エポキシ樹脂は、(A)エポキシ樹脂を100質量%として、10質量%以上45質量%以下の芳香環含有量を有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
(B)ブロックウレタンは、フェノール系ブロックウレタン及びオキシム系ブロックウレタンから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を、1/4以上2/1以下の質量比((C1)/(C2))で含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
(C)硬化剤は、(C3)変性ポリアミン化合物を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
更に、(D)充填材を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
(A)エポキシ樹脂を、15質量%以上50質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、1質量%以上30質量%以下含み、
(C)硬化剤を、1質量%以上30質量%以下含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
構造物を製造するための、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物。
【請求項13】
自動車、船舶、航空機から選択される少なくとも1種の構造物を含む、請求項12に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエポキシ樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物であって、適度の剛性を有し、発泡することなく硬化して硬化物を与え、その硬化物が適度の強度と適度の柔軟性をバランスよく有する、エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂系接着剤は、自動車、船舶、航空、土木、建築等の広範な分野において、金属部材等の結合剤(又は接着剤、「構造用接着剤」ともいう)として、使用されている。そのような接着剤は、基材(特に、金属基材)との密着性に優れることが必要である。更に、柔軟性に優れるとともに、接着強度に優れることも求められる。これらの性能のバランスに優れることが重要である。
【0003】
エポキシ樹脂系接着剤は、その硬化物が、一般的に高強度であることを特徴とするが、その硬化物は、脆く、柔軟性に乏しい傾向にある。その一方、ウレタン樹脂系接着剤は、その硬化物が、柔軟性を有し得るが、強度が低い傾向にある。
【0004】
特許文献1は、(A)ウレタン変性エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)潜在性硬化剤を含有してなる硬化性樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を、特定の重量%で含み、(A)成分が、特定のウレタン変性エポキシ樹脂である、硬化性樹脂組成物を開示する(特許請求の範囲参照)。特許文献1は、その硬化性樹脂組成物が、基材との密着性に優れ、その硬化物が、低温から高温までの広い温度範囲において柔軟性を有することを報告する([0006]~[0007]参照)。
【0005】
特許文献2は、少なくとも1種のエポキシ樹脂と、特定のブロックウレタン樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、特定の重量%でブロックウレタン樹脂を含む、エポキシ樹脂組成物を開示する(特許請求の範囲参照)。特許文献2は、そのエポキシ樹脂組成物は、高温においても優れた強度及び耐久性を有することを開示する([0005]~[0007]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5258290号公報
【特許文献2】特開2019-218496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1及び2は、各々の樹脂組成物の硬化物について、弾性率及び伸びを何ら教示していない。それらの硬化物の弾性率及び伸びは、不十分と考えられる。
【0008】
本発明者は、エポキシ樹脂、ブロックウレタン及び硬化剤を含む樹脂組成物について、その硬化物の接着強度と柔軟性の両方を適切に調整することを検討した。その際に、樹脂組成物を硬化させるために、160℃から200℃に加熱すると、樹脂組成物が発泡して、性質の低下を生ずるということを見出した。
【0009】
本発明は、樹脂組成物を160℃から200℃に加熱して硬化させたとしても、樹脂組成物が発泡することなく硬化して、性質の低下を生ずることなく、適度の接着強度と柔軟性を有する硬化物を与える、樹脂組成物を提供することを目的とする。
更に、そのような樹脂組成物は、好ましくは、耐水性及び耐熱性を有することも目的とする。
特許文献1及び2は、その樹脂組成物が、160℃から200℃に加熱すると発泡するか否かについて開示していない。更に、特許文献1及び2は、その樹脂組成物の耐水性及び耐熱性についても、開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂は、二塩基酸エステル系エポキシ樹脂という特定のエポキシ樹脂を含み、(C)硬化剤は、ジシアンジアミド及びヒドラジド化合物という特定の組み合わせを含むエポキシ樹脂組成物は、160℃から200℃に加熱して硬化させたとしても、発泡することなく硬化して、適度の接着強度と柔軟性を有する硬化物を与えることを見出した。
更に、そのようなエポキシ樹脂組成物は、接着剤用途、特に、構造用接着剤用途に好適であることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本明細書は、下記の形態を含む。
1.
(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物であって、
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含み、
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミド及び(C2)ヒドラジド化合物を含む、エポキシ樹脂組成物。
2.
エポキシ樹脂組成物の硬化物は、200MPa以上1500MPa以下の弾性率を有する、上記1に記載のエポキシ樹脂組成物。
3.
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂は、ダイマー酸エステル系エポキシ樹脂を含む、上記1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
4.
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を、1/6以上1/2以下の質量比((A1)/(A2))で含む、上記1~3のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
5.
(A)エポキシ樹脂は、(A)エポキシ樹脂を100質量%として、10質量%以上45質量%以下の芳香環含有量を有する、上記1~4のいずれかに一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
6.
(B)ブロックウレタンは、フェノール系ブロックウレタン及びオキシム系ブロックウレタンから選択される少なくとも1種を含む、上記1~5のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
7.
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を、1/4以上2/1以下の質量比((C1)/(C2))で含む、上記1~6のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
8.
(C)硬化剤は、(C3)変性ポリアミン化合物を含む、上記1~7のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
9.
更に、(D)充填材を含む、上記1~8のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
10.
(A)エポキシ樹脂を、15質量%以上50質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、1質量%以上30質量%以下含み、
(C)硬化剤を、1質量%以上30質量%以下含む、上記1~9のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
11.
構造物を製造するための、上記1~10のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
12.
上記1~11のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物。
13.
自動車、船舶、航空機から選択される少なくとも1種の構造物を含む、上記12に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物を160℃から200℃に加熱して硬化させたとしても、樹脂組成物が発泡することなく硬化して、性質の低下を生ずることなく、適度の接着強度と柔軟性を有する硬化物を与えることができる。
更に、そのような樹脂組成物は、好ましくは、耐水性及び耐熱性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含み、
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含み、
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミド及び(C2)ヒドラジド化合物を含む。
エポキシ樹脂組成物の硬化物は、200MPa以上1500MPa以下の弾性率を有することが好ましい。
【0014】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含む。
本明細書において「エポキシ樹脂」とは、分子中に2以上のエポキシ基を含む化合物であって、一般にエポキシ樹脂と呼ばれる化合物をいい、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはなく、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等であってよい。
【0015】
(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含む。
(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂であり、特に、変性されておらず、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールA、ビスフェノールADのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジグリシジルエーテルなどを例示することができる。
【0016】
(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂は、エポキシ等量150~800g/eqであることが好ましく、エポキシ等量160~500g/eqであることがより好ましく、エポキシ等量165~250g/eqであることが更に好ましく、エポキシ等量170~200g/eqであることが更により好ましい。(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂は、エポキシ等量150~800g/eqである場合、作業性により優れるという有利な効果を奏し得る。
(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂として、市販品を使用することができる。それらの市販品として、例えば、三菱ケミカル(株)製の「jER(登録商標)828」及び「jER(登録商標)807」等を例示することができる。
【0017】
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂とは、二塩基酸(例えば、長鎖の二塩基酸であるダイマー酸、フタル酸、水添フタル酸など)のエステルに基づくエポキシ樹脂をいい、二塩基酸エステルそのものがエポキシ樹脂に該当する化合物、及びそれらによって変性されたエポキシ樹脂を含む。(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂は、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂として、例えば、ダイマー酸をグリシジル化して得られるダイマー酸ジグリシジルエステル、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールADのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジグリシジルエーテルなどを二塩基酸(例えば、ダイマー酸など)のエステルで変性した二塩基酸グリシジルエステル変性エポキシ樹脂などを例示することができる。
【0018】
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂は、ダイマー酸エステル系エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂として、市販品を使用することができる。それらの市販品として、例えば、三菱ケミカル(株)製の「jER(登録商標)871」(ダイマー酸グリシジルエステル)及び「jER(登録商標)872」(ダイマー酸エステル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等を例示することができる。
【0019】
(A)エポキシ樹脂は、その他のエポキシ樹脂((A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を除く)を含むことができる。そのような他のエポキシ樹脂として、例えば、ナフタレン型、ノルボルネン骨格を有するエポキシ樹脂やポリオキシアルキレン骨格を有するエポキシ樹脂、エラストマーで変性されたエポキシ樹脂(ウレタン変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂)、ゴム変性エポキシ樹脂(ブタジエンやニトリルやスチレンやイソプレンなどを含むホモポリマーもしくはコポリマー)等を提示することができる。
エポキシ樹脂は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(A)エポキシ樹脂を、15質量部以上含むことが好ましく、18質量部以上含むことがより好ましく、20質量部以上含むことが更に好ましく、25質量部以上含むことが更により好ましい。本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、(A)エポキシ樹脂を、15質量部以上含む場合、硬化性や接着性により優れる。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(A)エポキシ樹脂を、50質量部以下含むことが好ましく、45質量部以下含むことがより好ましく、42質量部以上含むことが更に好ましく、40質量部以下含むことが更により好ましい。本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(A)エポキシ樹脂を、50質量部以下含む場合、経済性と種々の性質をよりバランスよく両立させることができる。
【0021】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物では、(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を、1/6~1/2の質量比((A1)/(A2))で含むことが好ましく、18/100~45/100の質量比で含むことがより好ましく、20/100~42/100の質量比で含むことが更に好ましく、25/100~40/100の質量比で含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物では、(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を、1/6~1/2の質量比((A1)/(A2))で含む場合、より適切な貯蔵弾性率と接着性を確保することができる。
【0022】
(A)エポキシ樹脂は、(A)エポキシ樹脂を100質量%として、10質量%以上45質量%以下の芳香環含有量を有することが好ましく、12質量%以上40質量%以下の芳香環含有量を有することがより好ましく、15質量%以上38質量%以下の芳香環含有量を有することが更に好ましく、18質量%以上35質量%以下の芳香環含有量を有することが更により好ましい。(A)エポキシ樹脂は、10質量%以上45質量%以下の芳香環含有量を有する場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、より適切な貯蔵弾性率を有することができる。
【0023】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、ブロックウレタンを含むことができる。
本明細書において、ブロックウレタンとは、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーが、ブロック化剤でブロックされたブロックウレタンをいい、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
【0024】
ブロック剤として、例えば、フェノール、酸アミド、ラクタム、低級1価アルコール、セロソルブ、アミン、カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)等のオキシム類等のブロック剤を例示することができる。
ブロック剤は、ウレタンプレポリマーのイソシアナート基と結合し、常温では安定であるが、ある温度以上に加熱されると、イソシアネート基から解離可能な、活性水素を含む化合物をいい、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り特に制限されることはない。本発明の実施形態において、より強靭な物性(より大きな剥離強度)を得ることができるので、フェノール類、オキシム類等が、ブロック剤として好ましい。更に、より発泡を抑制できるので、フェノール類がブロック剤としてより好ましい。
【0025】
ポリイソシアネート化合物とは、イソシアネート基を2個以上有する化合物であり、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等を例示できる。
ポリイソシアネート化合物として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI))、MDI(例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI))、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのイソシアネートのビューレット体、イソシアヌレート体、エチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのアダクト体等を例示できる。
ポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
ポリヒドロキシ化合物は、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物であり、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物を得られる限り、その分子量及び骨格等は特に限定されず、比較的低分子の多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等を例示できる。
【0027】
多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3-または1,4-)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールとしては、上記多価アルコール類から導かれるものを使用しても良いし、以下に示す芳香族ジオール類、アミン類から導かれるものを使用しても良い。
【0029】
芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m-ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4-ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4’-ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4’-ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0030】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0032】
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0033】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物;ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ε-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0034】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0035】
これらのポリヒドロキシ化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0036】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(B)ブロックウレタンを、1質量部以上含むことが好ましく、3質量部以上含むことがより好ましく、5質量部以上含むことが更に好ましく、8質量部以上含むことが更により好ましい。本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(B)ブロックウレタンを、1質量部以上含む場合、より適度の剥離強度を得ることができる。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(B)ブロックウレタンを、30質量部以下含むことが好ましく、25質量部以下含むことがより好ましく、20質量部以上含むことが更に好ましく、16質量部以下含むことが更により好ましい。本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、(B)ブロックウレタンを、30質量部以下含む場合、接着性、作業性により優れる。
【0037】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤(C)を含み、硬化剤(C)は、2種以上の硬化剤の組み合わせを含むことができる。
本明細書において「硬化剤」とは、エポキシ樹脂の硬化剤であって、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。更に、硬化剤(C)は、常温では硬化作用を有さないが、ある温度(例えば、165℃に、好ましくは150℃に)に加熱すると、硬化剤として機能する化合物であることが好ましい。
【0038】
硬化剤(C)として、具体的には、例えば、ジシアンジアミド;
アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン、エイコサン二酸ジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4’-エチリデンビスフェノールジグリコール酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物;
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;イミダゾール、2-n-ヘプタデシルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;
メラミン;
2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリツ(1’))-エチル-o-トリアジン等のトリアジン化合物;
ベンゾグアナミン;
N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素等のN,N-ジアルキル尿素、
N,N’-ジアルキル尿素化合物等のジアルキル尿素化合物;
N,N’-ジアルキルチオ尿素化合物;
ジアミノジフェニルメタン、ジアミノビフェニル、ジアミノフェニール、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ドデカンジアミン、デカンジアミン、オクタンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ヒドラジド系ポリアミン等のポリアミン;
シアノグアニジン等のグアニジン誘導体が挙げられる。
【0039】
硬化剤(C)として市販品を使用することができる。例えば、エアプロダクツ社製のCG-NA(商品名)、ADEKA社製のEH-4030s(商品名)、大塚化学社製のADH(アジピン酸ジヒドラジド、商品名)、ADEKA社製のEH3731s(商品名)、AlzChem社製のDyhard UR200(ウレア化合物、商品名)、大塚化学社製のDDH(ドデカン二酸ジヒドラジド、商品名)、日本ファインケム社製のN-12(ドデカン二酸ジヒドラジド、商品名)、東京化成社製のイソフタル酸ジヒドラジド(商品名)、ADEKA社製のアンカミン2014FG(変性ポリアミン化合物、商品名)等を例示することができる。
【0040】
(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を含むことが好ましい。硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を含む場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化性と発泡性により優れる。
【0041】
硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を、1/4以上2/1以下の質量比((C1)/(C2))で含むことが好ましく、2/7以上3/2以下の質量比((C1)/(C2))で含むことがより好ましく、1/3以上1/1以下の質量比((C1)/(C2))で含むことが更に好ましい。硬化剤は、(C1)ジシアンジアミドと(C2)ヒドラジド化合物を、1/4以上2/1以下の質量比((C1)/(C2))で含む場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化性と発泡性により優れる。
【0042】
本発明の実施形態において、(C2)ヒドラジド化合物は、脂肪族ジヒドラジド化合物を含むことが好ましく、脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジドを含むことがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジドは、炭素数2~20の脂肪族アルキレン構造を含むことが好ましく、炭素数2~15の脂肪族アルキレン構造を含むことがより好ましく、炭素数 4~10の脂肪族アルキレン構造を含むことが更に好ましい。
(C2)ヒドラジド化合物が、脂肪族ジヒドラジド化合物を含む場合、より低温接着性に優れる。
【0043】
(C)硬化剤は、(C3)変性ポリアミン化合物を含んでもよい。(C)硬化剤は、(C3)変性ポリアミン化合物を含む場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、低温硬化性により優れる。
【0044】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、1~30質量部の硬化剤(C)を含んでよく、2~20質量部の硬化剤(C)を含むことが好ましく、3~15質量部の硬化剤(C)を含むことがより好ましく、4~12質量部の硬化剤(C)を含むことがより好ましい。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部の硬化性組成物あたり、1~30質量部の硬化剤(C)を含む場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化性と硬化物性により優れる。
【0045】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、充填材(D)を更に含むことができる。
本明細書において、充填材とは、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物を増量するとともに、エポキシ樹脂組成物組成物から形成される膜にある程度の強さを与えることができる化合物であり、場合により粘度調整又は軽量化に寄与することができ、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
【0046】
充填材として、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム等)、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩及び硫酸塩、マイカ(雲母)、グラファイト、タルク(滑石)、クレー、硝子フレーク(硝子ビーズ)、ヒル石、カオリナイト、ワラストナイト(針状カルシウムメタシリケート)、シリカ、珪藻土、石膏、セメント、転炉スラグ、シラス、ゼオライト、セルロース粉、粉末ゴム、ゾノライト、チタン酸カリウム、ベントナイト、窒化アルミ、窒化珪素、亜鉛華、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、その他にも炭酸カルシウムウィスカ(針状炭酸カルシウム)、セラミック短繊維またはそのウィスカ、ロックウール短繊維、ガラスファイバー短繊維、チタン酸カリウム短繊維、ケイ酸カルシウム短繊維、アルミニウムシリケート、カーボンファイバー短繊維、アラミドファイバー短繊維、セピオライト等の鉱物繊維、各種ホイスカー等の繊維状充填材、ガラスバルーン、シリカバルーン、樹脂バルーン、炭素無機中空球等の中空状充填材、塩化ビニリデン、アクリルニトリル等の有機合成樹脂からなるプラスチックバルーン等の有機中空状充填材や、アルミニウムフィラー等のメタリックフィラー等を例示できる。
【0047】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部のエポキシ樹脂組成物あたり、例えば、5~60質量部の充填材(D)を含むことが好ましく、15~55質量部の充填材(D)を含むことがより好ましく、20~50質量部の充填材(D)を含むことが更に好ましく、25~45質量部の充填材(D)を含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、100質量部の硬化性組成物あたり、5~60質量部の充填材(D)を含む場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、たれ性や経済性により優れる。
【0048】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、その他の成分を適宜含むことができる。その他の成分として、例えば、可塑剤、希釈剤、界面活性剤、その他の添加剤等を例示することができる。
【0049】
本発明の実施形態において、可塑剤とは、塑性を増大させて軟らかくすることができ、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を得られる限り特に制限されることはない。
可塑剤として、例えば、アルキルベンジルフタレート;フタル酸ジメチルシクロヘキシル;フタル酸ポリエステル;安息香酸エステル;ジアルキルフタレート;ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレート;トリメリット酸トリエステル等を例示できる。
【0050】
本発明の実施形態において、希釈剤とは、本発明の実施形態の硬化性組成物に流動性を与えることができ、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
希釈剤として、例えば、パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、アロマ系溶剤等の炭化水素系溶剤等を例示することができる。
【0051】
本発明の実施形態において、その他の添加剤として、例えば、吸湿剤(酸化カルシウム、モレキュラーシーブス等)、揺変性賦与剤(有機ベントナイト、フュームドシリカ、ステアリン酸アルミニウム、金属石けん類、ヒマシ油誘導体等)、安定剤[2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等]、硬化促進剤(ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、オクチル酸ビスナス等)、シラン又はチタン等のカップリング剤、発泡剤等を例示することができる。その他の添加剤は、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、特に制限されることなく、適宜使用することができる。
【0052】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂を、15質量以上50質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、1質量%以上30質量%以下含み、
(C)硬化剤を、1質量%以上30質量%以下含むことが好ましく、
(A)エポキシ樹脂を、18質量以上45質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、3質量%以上25質量%以下含み、
(C)硬化剤を、2質量%以上20質量%以下含むことがより好ましく、
(A)エポキシ樹脂を、20質量以上42質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、5質量%以上20質量%以下含み、
(C)硬化剤を、3質量%以上15質量%以下含むことが更に好ましく、
(A)エポキシ樹脂を、25質量以上40質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、8質量%以上16質量%以下含み、
(C)硬化剤を、4質量%以上12質量%以下含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂を、15質量以上50質量%以下含み、
(B)ブロックウレタンを、1質量%以上30質量%以下含み、
(C)硬化剤を、1質量%以上30質量%以下含む場合、より適切な弾性率と接着強度と硬化性を与えることができる。
【0053】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上述の成分を適宜加熱し、混合することによって製造することができる。
上述の成分を混合する装置及び方法は、本発明が目的とするエポキシ樹脂組成物を製造することができる限り特に制限されることはない。
そのような混合装置として、具体的には、例えば、二軸ミキサー、プラネタリミキサー、シグマミキサー、ニーダー、アトライター、グレンミル、ロール、ディゾルバー等を使用することができる。
混合は、二軸ミキサー、プラネタリミキサー又はシグマミキサーを用いることがより好ましい。二軸ミキサー、プラネタリミキサー又はシグマミキサーを用いると、高粘度材料をより効率的に分散することができる。
更に、混合は、混合することが可能な入れ物を使用して行うことができ、例えば、タンク、容器等の中で行うことができる。
【0054】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、アンダーベーク又はオーバーベークの2種類の条件で硬化させた硬化物について、接着剤内部発泡性(発泡の有無)、せん断強度(せん断接着強さ)1、剥離強度(剥離接着強さ)、ダンベル引張り物性(破断強度及び破断伸び)、動的粘弾性(貯蔵弾性率)、せん断強度2(耐水)、剥離強度2(耐水)、せん断強度3(耐熱)、剥離強度3(耐熱)、せん断強度4(厚膜)、剥離強度4(厚膜)に優れることが好ましい。詳細な評価方法は、実施例に記載した。
【0055】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、200MPa以上1500MPa以下の弾性率(貯蔵弾性率)を有することが好ましく、220MPa以上1200MPa以下の弾性率を有することがより好ましく、250MPa以上900MPa以下の弾性率を有することが更に好ましく、300MPa以上700MPa以下の弾性率を有することが更により好ましい。
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、200MPa以上1500MPa以下の弾性率(貯蔵弾性率)を有する場合、本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、接着剤厚みが厚くても高い強度を保持できるという有利な効果を奏する。
【0056】
本実施形態のエポキシ樹脂成物は、公知の塗布方法、例えば、ビード塗布、スリット塗布、スプレー塗布、スワール塗布、ショット塗布等の塗布方法を用いて、必要な場所に任意の厚さ及び塗布形態において塗布することができ、例えば、熱風循環乾燥炉等を使用して所定温度に加熱することで硬化することができる。
【0057】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、自動車、船舶、航空、土木、建築等の広範な分野において、金属部材等の結合剤(又は接着剤、「構造用接着剤」ともいう)として、使用することができる。
金属部材等が結合されて得られる部材を、構造物ともいい、本発明の実施形態において、構造物を製造するための、エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明の実施形態において、エポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物を提供することができる。
構造物として、例えば、自動車分野の構造部位であるピラー、クロスメンバー、サイドメンバー、サイドシル、ルーフレール、サスペンションメンバー、各種リンフォース、フード、ドア、リヤゲートなどの接合部をはじめとし、船舶分野、航空分野、土木分野、建築分野等の構造部位への適用を例示することができる。
本発明の実施形態において、自動車、船舶、航空機から選択される少なくとも1種の構造物を含む、エポキシ樹脂組成物の硬化物を含む構造物を提供することができる。
【実施例0058】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0059】
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)エポキシ樹脂
(a1-1)未変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)社製のjER828(商品名))
(a2-1)ダイマー酸エステル系エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)社製のjER871(商品名))
(a2-2)ダイマー酸エステル系エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)社製のiER872(商品名))
【0060】
(B)ブロックウレタン樹脂
(b1-1)フェノール系ブロックウレタン樹脂
グリセリンベースポリエーテルポリオール(AGC社製のEXCENOL5030(商品名)、水酸基価33mgKOH/g)と、脂環式イソシアネート(IPDI)を、NCO/OH(モル比)=2.1の比で反応させて反応物(プレポリマー)を得、そのプレポリマーとp-tert-ブチルフェノール(東京化成工業製)を反応させて得られた反応物である。
(b1-2)フェノール系ブロックウレタン樹脂
ポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル社製のPTMG3000(商品名)、水酸基価37mgKOH/g)と、脂環式イソシアネート(HDI)を、NCO/OH(モル比)=2.1の比で反応させて反応物(プレポリマー)を得、そのプレポリマーと、p-tert-ブチルフェノール(東京化成工業製)を反応させて得られた反応物である。
(b1-3)フェノール系ブロックウレタン樹脂
グリセリンベースポリエーテルポリオール(AGC社製のEXCENOL5030(商品名)、水酸基価33mgKOH/g)と、脂環式イソシアネート(IPDI)を、NCO/OH(モル比)=2.1の比で反応させて反応物(プレポリマー)を得、そのプレポリマーとビスフェノールA(東京化成工業製)を反応させて得られた反応物である。
(b1-4)フェノール系ブロックウレタン樹脂
ポリウレタン(AGC社製のEXCENOL3030(商品名)、水酸基価56mgKOH/g)と、脂環式イソシアネート(HDI)を、NCO/OH(モル比)=2.1の比で反応させて反応物(プレポリマー)を得、そのプレポリマーと4-ノニルフェノール(東京化成工業製)を反応させて得られた反応物である。
(b2-1)オキシム系ブロックウレタン樹脂
ポリウレタン(AGC社製のEXCENOL3030(商品名)、水酸基価56mgKOH/g)と、脂環式イソシアネート(HDI)を、NCO/OH(モル比)=2.1の比で反応させて反応物(プレポリマー)を得、そのプレポリマーと2-ブタノンオキシム(東京化成工業製)を反応させて得られた反応物である。
【0061】
(C)硬化剤
(c1)ジシアンジアミド(東京化成工業社製)
(c2-1)ヒドラジド系化合物、アジピン酸ジヒドラジド、大塚化学社製のADH(商品名)
(c2-2)ヒドラジド系化合物、ドデカン二酸ジヒドラジド、日本ファインケム社製のN-12(商品名)
(c2-3)ヒドラジド系化合物、イソフタル酸ジヒドラジド、東京化成工業社製
(c3)ウレア化合物、AlzChem社のDyhard UR200(商品名)
(c4)変性ポリアミン化合物、ADEKA社製のアンカミン2014FG(商品名)
【0062】
(D)充填材
(d1)炭酸カルシウム、備北粉化工業社製のホワイトンB(商品名)
(d2)酸化カルシウム、井上石灰工業社製のQC-X(商品名)
(d3)シリカ、Cabot Specialty Chemicals Inc製の商品名「Cabo-Sil TS-720(商品名)
【0063】
これらの成分を表1及び2に示す割合(質量部)で配合し、加熱、撹拌して、実施例1~12及び比較例1~3のエポキシ樹脂組成物を製造した。
上述のエポキシ樹脂組成物の各々について、アンダーベーク又はオーバーベークの2種類の条件で硬化させて、接着剤内部発泡性(発泡の有無)、せん断強度(せん断接着強さ)1、剥離強度(剥離接着強さ)1、ダンベル引張り物性(破断強度及び破断伸び)、動的粘弾性を、下記の方法で測定し、評価した。上述の全ての性質について、硬化後室温23℃で24時間放置後に、初期性能を評価した。せん断強度について、耐水性及び耐熱性を評価するために、試験体を、40℃の水に7日間浸漬後(耐水性)又は80℃7日間の条件で保管後(耐熱性)、更に室温23℃で24時間放置した後にも、評価した(せん断強度2及び3)。
更に、せん断強度および剥離強度について、接着剤の厚み依存性も評価した(せん断強度4及び剥離強度4)。結果を表1及び2に示す。
【0064】
接着剤内部発泡性
各例のエポキシ樹脂組成物を160℃15分間(アンダーベーク条件:UB)または200℃60分間(オーバーベーク条件:OB)加熱硬化した後に、室温23℃24時間放置することで試験体を得た(2mm厚)。カッターで切り出した断面を目視で確認し、気泡の発生有無を確認した。評価基準は、下記の通りである。
○:発泡が観察されない。
△:わずかに発泡が認められるが、実用上問題ない。
×:発泡が認められ、実用上問題となる。
【0065】
せん断強度1
JIS K 6850:1999に準拠し、引張りせん断強度を測定した(試験速度50mm/分)。なお、測定に用いる試験体は下記のように作製した。幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの冷間圧延鋼板(SPCC-SD鋼板)をアセトン等の有機溶剤で脱脂した。その後、各例のエポキシ樹脂組成物を塗布し、幅25mm×長さ12.5mm×厚み200μmとなるようにSPCC-SD鋼板同士を貼り合わせた。160℃15分間(アンダーベーク条件)または200℃60分間(オーバーベーク条件)で、加熱硬化後に、室温23℃で24時間放置することで試験体を得た。各例について、各々3個の試験体を準備して、引張せん断強度を測定して、平均値をせん断強度として記載した。
評価基準は下記の通りである。
アンダーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
オーバーベーク条件では、せん断強度の保持率(%)で評価した。せん断強度の保持率は下記式で示される。
せん断強度の保持率=(オーバーベーク条件のせん断強度/アンダーベーク条件のせん断強度)×100(%)
○:80%以上
×:80%未満
【0066】
剥離強度1
JIS K 6854:1999に準拠し、剥離強度(はく離接着強さ)を測定した。鋼板として、幅25mm×長さ200mm×厚さ0.8mmのサイズの冷間圧延鋼板(SPCC-SD)を使用した。鋼板をアセトン等の有機溶剤で脱脂した。鋼板の長さ150mmの部分にのみエポキシ樹脂組成物を塗布し、残りの長さ50mmの部分を約90°変形させてL字状鋼板を作成した(予め変形させてからエポキシ樹脂組成物を塗布してもよい)。エポキシ樹脂組成物を塗布していない同様のL字状鋼板をもう一枚用意した。2枚の鋼板を、接着剤を間に挟んで厚み200μmとなるよう圧着した。クリップ等で2枚の板を固定した。続いて、160℃15分間(アンダーベーク条件)または200℃60分間(オーバーベーク条件)加熱硬化後に、室温23℃で24時間放置することで、試験片を得た。その試験片をT型試験片として試験に用いた。T型試験片のエポキシ樹脂組成物非塗布部分(50mmの部分)を引張試験機チャックでつかみ固定した(チャック間距離は25mm前後が望ましい)。引張り速度は約200mm/分とし、接着部分の残りが約10mmになるまで測定した。横軸;変位(mm)、縦軸;荷重(N)のグラフを作成し、変位約50mm~200mm間の平均値を測定値として記載した(単位はN/25mm)。
アンダーベーク条件では、剥離強度の平均値(N/25mm)で評価した。
○:70N/25mm以上
×:70N/25mm未満
オーバーベーク条件では、剥離強度の保持率(%)で、評価した。
剥離強度の保持率=(オーバーベーク条件の剥離強度/アンダーベーク条件の剥離強度)×100(%)
○:80%以上
×:80%未満
【0067】
ダンベル引張り物性
各々のエポキシ樹脂組成物を160℃15分間(アンダーベーク条件)加熱硬化させた後、JIS K7161の2号形ダンベル状(厚さ2mm、幅10mm)に成形し、室温20℃で24時間保管して、試験体を得た。引張試験機を用い、標線間20mmおよび引張速度50mm/分の条件で、破断時の強度(破断強度)(MPa)、破断時伸び率(破断伸び)(%)を測定した。
破断強度の評価基準は下記の通りである。
○:4.5MPa以上
△:4MPa以上4.5MPa未満
×:4MPa未満
破断伸びの評価基準は下記の通りである。
○:20%以上
△:10%以上20%未満
×:10%未満
【0068】
貯蔵弾性率E’
各例のエポキシ樹脂組成物を160℃15分間(アンダーベーク条件)または200℃60分間(オーバーベーク条件)加熱硬化した後に、室温23℃24時間放置することで試験体を得た(2mm×40mm×1mm厚)。試験は動的粘弾性計測装置(DMA)を使用し、測定温度:20℃、周波数:40Hzの周波数で貯蔵弾性率E’の値を測定した。
◎:300MPa以上700MPa以下
○◎:250MPa以上300MPa未満又は700MPaを超え900MPa以下
○:220MPa以上250MPa未満又は900MPaを超え1200MPa以下
△:200MPa以上220MPa未満又は1200MPaを超え1500MPa以下
×:200Mpa未満又は1500MPaを超える
【0069】
せん断強度2(耐水)
室温23℃で24時間放置して試験体を得たことの代わりに、40℃で7日間水に浸漬後、室温(23℃)で24時間保管して試験体を得たことを除いて、せん断強度1に記載した方法と同様の方法を使用して、試験体を得て、せん断強度2(耐水)を評価した。
評価基準は下記の通りである。
アンダーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
オーバーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
【0070】
せん断強度3(耐熱)
室温23℃で24時間放置して試験体を得たことの代わりに、80℃で4日間保管後、室温(23℃)で24時間保管して試験体を得たことを除いて、せん断強度1に記載した方法と同様の方法を使用して、試験体を得て、せん断強度3(耐熱)を評価した。
評価基準は下記の通りである。
アンダーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
オーバーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
【0071】
せん断強度4(増厚)
エポキシ樹脂組成物を塗布し、幅25mm×長さ12.5mm×厚み200μmとなるように貼り合わせたことの代わりに、エポキシ樹脂組成物を塗布し、幅25mm×長さ12.5mm×厚み1500μmとなるように貼り合わせたことを除いて、せん断強度1に記載した方法と同様の方法を使用して、試験体を得て、せん断強度4(増厚)を評価した。
評価基準は下記の通りである。
アンダーベーク条件では、せん断強度の平均値(MPa)で評価した。
○:7MPa以上
×:7MPa未満
オーバーベーク条件では、せん断強度の保持率(%)で評価した。せん断強度の保持率は下記式で示される。
せん断強度の保持率=(オーバーベーク条件のせん断強度/アンダーベーク条件のせん断強度)×100(%)
○:75%以上
△:70%以上75%未満
×:70%未満
【0072】
剥離強度4(増厚)
厚み200μmとなるよう圧着したことの代わりに、厚み1500μmとなるよう圧着したを除いて、剥離強度1に記載した方法と同様の方法を使用して、試験片を得て、せん断強度4(増厚)を評価した。
評価基準は下記の通りである。
アンダーベーク条件では、剥離強度の平均値(N/25mm)で評価した。
○:55N/25mm以上
×:55N/25mm未満
オーバーベーク条件では、剥離強度の保持率(%)で、評価した。
剥離強度の保持率=(オーバーベーク条件の剥離強度/アンダーベーク条件の剥離強度)×100(%)
○:70%以上
△:65%以上かつ70%未満
×:65%未満
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
実施例1~12のエポキシ樹脂組成物は、いずれも、(A)エポキシ樹脂、(B)ブロックウレタン及び(C)硬化剤を含み、(A)エポキシ樹脂は、(A1)未変性ビスフェノール型エポキシ樹脂及び(A2)二塩基酸エステル系エポキシ樹脂を含み、(C)硬化剤は、(C1)ジシアンジアミド及び(C2)ヒドラジド化合物を含む。実施例1~12のエポキシ樹脂組成物は、接着剤内部発泡性、せん断強度(せん断接着強さ)、剥離強度(剥離接着強さ)、ダンベル引張り物性(破断強度及び破断伸び)、動的粘弾性などについて、適切な性能を示した。
【0076】
比較例1~3のエポキシ樹脂組成物は、(B)ブロックウレタン、(A2)二塩基酸変性エポキシ樹脂、及び(C2)ヒドラジド化合物から選択される少なくとも1種を含まない。比較例1~3のエポキシ樹脂組成物は、接着剤内部発泡性、せん断強度(せん断接着強さ)、剥離強度(剥離接着強さ)、ダンベル引張り物性(破断強度及び破断伸び)、動的粘弾性の少なくとも1つに不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の実施形態のエポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物を160℃から200℃に加熱して硬化させたとしても、樹脂組成物が発泡することなく硬化して、性質の低下を生ずることなく、適度の接着強度と柔軟性を有する硬化物を与えることができる。
更に、そのような樹脂組成物は、好ましくは、耐水性及び耐熱性を有することができる。