IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社奥村組の特許一覧

<>
  • 特開-スクリューコンベアの先端開口部構造 図1
  • 特開-スクリューコンベアの先端開口部構造 図2
  • 特開-スクリューコンベアの先端開口部構造 図3
  • 特開-スクリューコンベアの先端開口部構造 図4
  • 特開-スクリューコンベアの先端開口部構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062855
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】スクリューコンベアの先端開口部構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/12 20060101AFI20240501BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E21D9/12 J
E21D9/06 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170976
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 竜生
(72)【発明者】
【氏名】今北 公宏
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC02
2D054AD02
2D054BA03
2D054DA04
2D054DA39
(57)【要約】
【課題】泥土圧式のシールド掘進機において、掘削土砂に含まれている鉄筋を、スムーズに排出できるスクリューコンベアの先端開口部構造を提供する。
【解決手段】隔壁35の背面側に掘削土砂の封入空間20を形成する封入枠体15と、封入枠体15の側面部15bに形成された擦動スリット16を介して、隔壁35に沿った方向に進退スライド可能な状態で、封入空間20に挿入される一対のゲート板11a,11bと、進退駆動装置13とを含んで構成される。進退駆動装置13は、ゲート板11a,11bを、スクリューコンベア36の先端開口36aの前方において、先端部12a,12bが互いに重なる位置まで前進させ、これらの間に鉄筋50を挟み込むことにより切断させて、切断した鉄筋50を、掘削土砂と共にスクリューコンベア36の内部に取り込めるようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッタチャンバに充填された泥土によって切羽部を安定させつつ、回転カッタにより地盤を掘削する泥土圧式のシールド掘進機において、掘削土砂に鉄筋が含まれている場合に、含まれている鉄筋を掘削土砂と共にスクリューコンベアを介して排出できるようにする、スクリューコンベアの先端開口部構造であって、
カッタチャンバを区画する隔壁の下部に形成された掘削土砂の取出し開口部の、前記隔壁の掘進方向後方側の面の周縁部分に密着して固定されることで、前記隔壁の背面側に掘削土砂の封入空間を形成すると共に、前記スクリューコンベアの先端開口を、形成した封入空間に臨ませた状態で取り付けられる封入枠体と、
該封入枠体の対向する一対の側面部に各々形成された擦動スリットを介して、前記隔壁に沿った方向に進退スライド可能な状態で、前記封入空間に側方から擦動しつつ挿入される一対のゲート板と、
前記隔壁の背面側において前記封入枠体を挟んだ両側に取り付けられて、前記一対のゲート板を各々進退駆動させる、複数の進退駆動装置とを含んで構成されており、
前記一対のゲート板は、前記スクリューコンベアの先端開口よりも掘進方向前方側において、先端部が互いに重なる位置まで、前記進退駆動装置によって、前記擦動スリットの部分で擦動しつつ、前記隔壁に沿って側方から前進できるようになっており、
前記カッタチャンバの内部で混合撹拌中の掘削土砂に含まれている鉄筋を、掘削土砂が充填された前記封入空間において、前記スクリューコンベアの先端開口の手前で、前記一対のゲート板の先端部の間に挟み込むことにより切断した後に、掘削土砂と共に前記スクリューコンベアの内部に取り込むことができるようになっているスクリューコンベアの先端開口部構造。
【請求項2】
前記一対のゲート板の少なくとも一方の先端部の形状が、両側部分から中間部に向けて凹状に傾斜する部分である、凹形状部分を含んだものとなっている請求項1記載のスクリューコンベアの先端開口部構造。
【請求項3】
前記一対のゲート板の先端部に、超硬チップが埋め込まれている請求項1又は2記載のスクリューコンベアの先端開口部構造。
【請求項4】
前記一対のゲート板を各々進退駆動させる前記進退駆動装置が、油圧ジャッキによるものとなっている請求項1又は2記載のスクリューコンベアの先端開口部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューコンベアの先端開口部構造に関し、特に、泥土圧式のシールド掘進機において、掘削土砂に含まれている鉄筋を、掘削土砂と共にスクリューコンベアを介して排出できるようにするスクリューコンベアの先端開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機として、泥土圧式のシールド掘進機は、切羽部の地盤を回転カッタで切削することによりカッタチャンバに取り込まれた土砂に、薬液として好ましくは作泥剤等の塑性流動化剤を含む液材を、回転カッタを介して供給して混合することによって、塑性流動化した泥土をカッタチャンバの内部で生成し、生成された泥土がカッタチャンバに充填されることで生じた泥土圧によって、切羽部を安定させつつ、切羽部の地盤を掘削してゆくようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような泥土圧式のシールド掘進機では、駆動装置により回転駆動される回転カッタによって地盤が切削される際に、回転カッタに設けられた供給部から、塑性流動化剤を含む液材が切羽面の地盤に向けて供給されることで、掘削された土砂は、カッタチャンバ内でこのような液材と共に混合撹拌されることになる。塑性流動化剤を含む液材と共に混合撹拌されて塑性流動化した泥土は、切羽部の地盤の掘削に伴って、カッタチャンバを区画する隔壁に先端が開口しているスクリューコンベアを介して、カッタチャンバに充填された泥土による泥土圧が生じている状態を保持しつつ、シールド掘進機の後方に排出されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-234494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、泥土圧式のシールド掘進機が、例えば埋立て地盤において、例えば10メートルから数10メートル程度の深さで地中を掘進してゆく際に、掘削された土砂の中に、鉄筋が混入して含まれている場合がある。混入している鉄筋を、掘削された土砂とともにカッタチャンバからスクリューコンベアを介してそのまま排出しようとすると、鉄筋が先端の開口に引っ掛かってスクリューコンベアの内部に取り込むことが困難になったり、取り込まれた鉄筋がスクリューと絡み合うことで、掘削された土砂を後方に搬送することが難しくなったりすることが考えられる。このようなことから、掘削された土砂の中に、鉄筋が混入して含まれている場合に、含まれている鉄筋を、先端の開口に引っ掛ったり、スクリューと絡み合ったりさせることなく、スムーズに排出できるようにする技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、泥土圧式のシールド掘進機において、掘削された土砂の中に、鉄筋が混入して含まれている場合でも、含まれている鉄筋を、スムーズに排出することのできるスクリューコンベアの先端開口部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カッタチャンバに充填された泥土によって切羽部を安定させつつ、回転カッタにより地盤を掘削する泥土圧式のシールド掘進機において、掘削土砂に鉄筋が含まれている場合に、含まれている鉄筋を掘削土砂と共にスクリューコンベアを介して排出できるようにする、スクリューコンベアの先端開口部構造であって、カッタチャンバを区画する隔壁の下部に形成された掘削土砂の取出し開口部の、前記隔壁の掘進方向後方側の面の周縁部分に密着して固定されることで、前記隔壁の背面側に掘削土砂の封入空間を形成すると共に、前記スクリューコンベアの先端開口を、形成した封入空間に臨ませた状態で取り付けられる封入枠体と、該封入枠体の対向する一対の側面部に各々形成された擦動スリットを介して、前記隔壁に沿った方向に進退スライド可能な状態で、前記封入空間に側方から擦動しつつ挿入される一対のゲート板と、前記隔壁の背面側において前記封入枠体を挟んだ両側に取り付けられて、前記一対のゲート板を各々進退駆動させる、複数の進退駆動装置とを含んで構成されており、前記一対のゲート板は、前記スクリューコンベアの先端開口よりも掘進方向前方側において、先端部が互いに重なる位置まで、前記進退駆動装置によって、前記擦動スリットの部分で擦動しつつ、前記隔壁に沿って側方から前進できるようになっており、前記カッタチャンバの内部で混合撹拌中の掘削土砂に含まれている鉄筋を、掘削土砂が充填された前記封入空間において、前記スクリューコンベアの先端開口の手前で、前記一対のゲート板の先端部の間に挟み込むことにより切断した後に、掘削土砂と共に前記スクリューコンベアの内部に取り込むことができるようになっているスクリューコンベアの先端開口部構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
そして、本発明のスクリューコンベアの先端開口部構造は、前記一対のゲート板の少なくとも一方の先端部の形状が、両側部分から中間部に向けて凹状に傾斜する部分である、凹形状部分を含んだものとなっていることが好ましい。
【0009】
また、本発明のスクリューコンベアの先端開口部構造は、前記一対のゲート板の先端部に、超硬チップが埋め込まれていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明のスクリューコンベアの先端開口部構造は、前記一対のゲート板を各々進退駆動させる前記進退駆動装置が、油圧ジャッキによるものとなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスクリューコンベアの先端開口部構造によれば、泥土圧式のシールド掘進機において、掘削された土砂の中に鉄筋が含まれている場合でも、含まれている鉄筋を、掘削された土砂とともにスクリューコンベアを介してスムーズに排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るスクリューコンベアの先端開口部構造を採用した、泥土圧式のシールド掘進機の略示縦断面図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係るスクリューコンベアの先端開口部構造を説明する、図1のA-Aに沿った要部横断面図である。
図3図2のB-Bに沿った略示断面図である。
図4図3のC部拡大図である。
図5】(a)~(c)は、一対のゲート板の先端部の間に鉄筋を挟み込んで切断する状況を説明する略示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい一実施形態に係るスクリューコンベアの先端開口部構造10(図2図3参照)は、例えば図1に示す泥土圧式のシールド掘進機30において、隔壁35によって区画された先端部分のカッタチャンバ31の内部で混合撹拌されている、掘削された土砂(掘削土砂)の中に、鉄筋が含まれている場合でも、含まれている鉄筋を、スクリューコンベア36の先端開口36aに引っ掛ったり、スクリュー36bと絡み合ったりさせることなく、掘削土砂と共にスムーズに排出できるようにするための、スクリューコンベア36の先端の開口部分の構造として採用されたものである。
【0014】
泥土圧式のシールド掘進機30は、切羽部33の地盤を回転カッタ32により切削することでカッタチャンバ31に取り込まれた掘削土砂に、好ましくは作泥剤等の塑性流動化剤を含む液材を、薬液として混合すると共に、撹拌することによって、塑性流動化した泥土を生成し、生成された泥土をカッタチャンバ31に充填することにより生じた泥土圧によって、切羽部33を安定させながら、切羽部33の地盤を掘削してゆくものである。また塑性流動化した掘削土砂による泥土は、切羽部33の地盤を掘削しつつシールド掘進機30が前進するのに伴って、一端部が隔壁35に先端開口36aとして開口している、スクリューコンベア36を介して、シールド掘進機30の後方に排出されることになる。
【0015】
一方、泥土圧式のシールド掘進機30が、例えば埋立て地盤において10メートルから数10メートル程度の深さで地中を掘進してゆく際に、掘削土砂の中に、鉄筋が含まれている場合ある。含まれている鉄筋を、掘削土砂とともにカッタチャンバ31からスクリューコンベア36を介してそのまま排出しようとすると、鉄筋が先端開口36aに引っ掛かってスクリューコンベア36の内部に取り込むことが困難になったり、取り込まれた鉄筋がスクリュー36bと絡み合うことで、掘削土砂を後方に搬送することが難しくなったりすることが考えられる。
【0016】
本実施形態のスクリューコンベアの先端開口部構造10は、このように掘削土砂の中に鉄筋が含まれている場合に、含まれている鉄筋を適宜切断可能として、鉄筋がスクリューコンベア36の先端開口36aに引っ掛かったり、スクリューコンベア36の内部でスクリュー36bと絡み合ったりするのを回避して、掘削土砂を鉄筋とともにスムーズに排出できるようにするものである。
【0017】
すなわち、本実施形態のスクリューコンベアの先端開口部構造10は、例えば図1に示すような、カッタチャンバ31に充填された泥土によって切羽部33を安定させつつ、回転カッタ32により地盤を掘削する泥土圧式のシールド掘進機30において、掘削土砂に鉄筋が含まれている場合に、含まれている鉄筋を掘削土砂と共にスクリューコンベア36を介して排出できるようにするための構造であって、図2及び図3にも示すように、カッタチャンバ31を区画する隔壁35の下部に形成された掘削土砂の取出し開口部35aの、隔壁35の掘進方向X後方側の面の周縁部分に密着して固定されることで、隔壁35の背面側に掘削土砂の封入空間20を形成すると共に、スクリューコンベア36の先端開口36aを、形成した封入空間20に臨ませた状態で取り付けられる封入枠体15と、この封入枠体15の対向する一対の側面部15bに各々形成された擦動スリット16を介して、隔壁35に沿った方向に進退スライド可能な状態で、封入空間20に側方から擦動しつつ挿入される一対のゲート板11a,11bと、隔壁35の背面側において封入枠体15を挟んだ両側に取り付けられて、一対のゲート板11a,11bを各々進退駆動させる、複数の進退駆動装置13とを含んで構成されている。一対のゲート板11a,11bは、スクリューコンベア36の先端開口36aよりも掘進方向X前方側において、先端部12a,12bが互いに重なる位置まで、進退駆動装置13によって、擦動スリット16の部分で擦動しつつ、隔壁35に沿って側方から前進できるようになっている(図3参照)。カッタチャンバ31の内部で混合撹拌中の掘削土砂に含まれている鉄筋50(図5(b)参照)を、掘削土砂が充填された封入空間20において、スクリューコンベア36の先端開口36aの手前で、一対のゲート板11a,11bの先端部12a,12bの間に挟み込むことにより切断した後に、掘削土砂と共にスクリューコンベア36の内部に取り込むことができるようになっている。
【0018】
また、本実施形態では、一対のゲート板11a,11bの少なくとも一方として、一方(図5(a)における右側)のゲート板11bの先端部12bの形状が、好ましくは両側部分(図5(a)における上下の両側部分)から、中間部に向けて凹状に傾斜する部分である、凹形状部分12cを含んだものとなっている。
【0019】
本実施形態では、泥土圧式のシールド掘進機30は、図1に示すように、好ましくは中折れ式の掘進機となっており、上述のように、公知の泥土圧式シールド掘進機と同様の構造を備えている。すなわち、シールド掘進機30は、回転カッタ32、隔壁35、カッタチャンバ31、カッタ駆動装置34の他、前胴部外郭体38、後胴部外郭体37、シールドジャッキ39、中折れジャッキ40、ロータリージョイント44、エレクタ装置41等を備えており、後胴部外郭体37の内部でエレクタ装置41によってセグメント42をリング状に組み付けて、一次覆工体43を順次形成すると共に、形成したセグメント42による一次覆工体43から反力を得ながら、シールドジャッキ39を伸長させることにより、回転カッタ32によって切羽部33の地盤を切削しつつ、掘進方向Xに前進できるようになっている。
【0020】
そして、本実施形態のスクリューコンベアの先端開口部構造10は、図2及び図3に示すように、掘削土砂の取出し開口部35aの周縁部分に密着して固定されることで、隔壁35の背面側に突出させて掘削土砂の封入空間20を形成すると共に、スクリューコンベア36の先端開口36aを封入空間20に臨ませて取り付けられる封入枠体15と、封入枠体15の対向する一対の側面部15bに各々形成された擦動スリット16を介して、封入空間20に挿入される一対のゲート板11a,11bと、一対のゲート板11a,11bを各々進退駆動させる、複数の進退駆動装置13とを含んで構成されている。
【0021】
スクリューコンベアの先端開口部構造10を構成する封入枠体15は、本実施形態では、例えば各種の鋼材を組み付けて形成されたものとなっており、隔壁35の下端部分に開口して形成された、例えば略等脚台形状の正面形状を有する、掘削土砂の取出し開口部35aに対して、掘進方向Xの後方側の面である背面側から、重ねるようにして配置されると共に、取出し開口部35aの周縁部分に密着させた状態で、溶接等を介して隔壁35に一体として取り付けることができるようになっている。これによって、隔壁35の背面側に突出させて、掘削土砂の封入空間20を、カッタチャンバ31の一部としてこれと連続させた状態で形成することが可能になる。
【0022】
また封入枠体15は、取出し開口部35aと同様の、これよりも一回り大きな略等脚台形状の正面形状を有しており、取出し開口部35aの底辺部の周縁部分に密着させて配置される底部枠部15aと、取出し開口部35aの一対の側辺部の周縁部分に密着させて配置される一対の側部枠部15bと、取出し開口部35aの上辺部の周縁部分に密着させて配置される上部枠部15cと、これらの枠部15a,15b,15cによって囲まれる空間領域を、掘進方向Xの後方側から覆うようにして接合された、背面プレート部15dとによって形成されている。背面プレート部15dには、スクリューコンベア36の筒状外郭体36cの先端部分の外径と同様の内径を有する、円形の開口が形成されている。この円形の開口に、スクリューコンベア36の先端部分を嵌め込むようにして、筒状外郭体36cの先端部分の外周部を、背面プレート部15dに例えば溶着することにより接合する。これによって、筒状外郭体36cの先端部分を封入空間20に僅かに突出させると共に、先端開口36aを封入空間20に臨ませた状態で(図3参照)、スクリューコンベア36の先端部分を、封入枠体15を介して隔壁35の下端部分に固定できるようになっている。
【0023】
さらに、本実施形態では、封入枠体15における対向する一対の側面部となる、左右一対の側部枠部15bには、各々、封入枠体15による封入空間20に向けて、左右両側から一対のゲート板11a,11bを、擦動させながら側方に進退スライドさせることが可能な、擦動スリット16が設けられている。擦動スリット16は、ゲート板11a,11bの厚さと同様か或いはこれによりも大きなスリット幅を有する、縦長のスリット状の開口となっている。また擦動スリット16は、ゲート板11a,11bの先端部12a,12bが重ねて配置されるように(図4参照)、左右一対の側部枠部15bにおいて、掘進方向Xの前後にずれた状態で形成されている(図3参照)。また擦動スリット16は、好ましくは内側に公知のシール機構を備えていることによって、泥土圧を生じた状態でカッタチャンバ31に充填されていると共に、封入空間20に封入されている、塑性流動化した掘削土砂による泥土を、当該擦動スリット16を介して封入空間20から漏出させることなく、ゲート板11a,11bを、擦動させつつ先端開口36aの前方で進退スライドさせることができるようになっている。
【0024】
スクリューコンベアの先端開口部構造10を構成する一対のゲート板11a,11bは、本実施形態では、図5(a)~(c)にも示すように、好ましくは略矩形状の正面形状を備える例えば30mm程度の厚さの金属製のプレート部材となっており、スクリューコンベア36の筒状外郭体36cの先端部分の外径よりも、僅かに大きな縦幅を有している。ゲート板11a,11bは、進退方向の後方側の側辺部分に、ジャッキ連結部14を備えており、このジャッキ連結部14に、後述する好ましくは油圧ジャッキによる進退駆動装置13のピストン部13aの先端が、連結されるようになっている。これによって、一対のゲート板11a,11bは、好ましくは封入枠体15の上部枠部15c及びこれの延長上に張り出して設けられたガイドレール部15e(図2参照)の下面側や、封入枠体15の底部枠部15aの上面側に形成された案内溝(図示せず)に案内されて、スクリューコンベア36の先端開口36aよりも掘進方向X前方側において、先端部が互いに重なる位置まで(図4参照)、進退駆動装置13の駆動によって、擦動スリット16の部分で擦動しつつ、安定した状態で、先端開口36aを覆うように側方から隔壁35に沿って前進できるようになっている。
【0025】
また、本実施形態では、上述のように、一対のゲート板11a,11bの少なくとも一方として、一方のゲート板11bの先端部12bの形状が、好ましくは上下の両側部分から、中間部に向けて凹状に傾斜する部分である、凹形状部分12cを含んだものとなっている。少なくとも一方のゲート板11bの先端部12bの形状が、凹形状部分12cを含んだものとなっていることにより、例えば円形の断面形状を有する鉄筋を、一対のゲート板11a,11bの先端部12a,12bの間に捉え易くして、よりスムーズに、スクリューコンベア36の先端開口36aの手前で鉄筋を切断することが可能になる。凹形状部分12cは、他方のゲート板11aの先端部12aに設けることもでき、一方のゲート板11bと他方のゲート板11aの双方に設けることもできる。
【0026】
さらに、本実施形態では、一対のゲート板11a,11bの先端部12a,12bに、超硬チップ12dが埋め込まれている。これによって、一対のゲート板11a,11bの先端部12a,12bの間に挟み込んだ鉄筋50を、油圧ジャッキ13による駆動によって、より効果的に切断することが可能になる。
【0027】
スクリューコンベアの先端開口部構造10を構成する進退駆動装置13は、本実施形態では、図2及び図3に示すように、公知の油圧ジャッキによるものとなっている。油圧ジャッキ13は、ピストン部13aとシリンダ部13bとを有しており、ピストン部13aの先端を、一対のゲート板11a,11bのジャッキ連結部14に連結すると共に、シリンダ部13bの先端部分が、例えばボルト接合により隔壁35に固定されることによって、隔壁35から支持反力を得つつ、ゲート板11a,11bを、隔壁35に沿って進退スライドさせることができるようになっている。本実施形態では、各々のゲート板11a,11bに対して、2台の油圧ジャッキ13が配置されており、これによってより安定した状態で、ゲート板11a,11bを進退スライドさせると共に、先端部12a,12bの間に鉄筋50を挟み込んで、切断できるようになっている。
【0028】
本実施形態では、上述の構成のスクリューコンベアの先端開口部構造10を備える泥土圧式のシールド掘進機30による、地中での掘進が進んで、例えば鉄筋が残置されていると予想される区間の地盤に近づいたら、シールド掘進機30の掘進速度を一旦落として、例えば排土をチェックすることで鉄筋の存在を確認できるようにする。鉄筋の存在を確認したら、封入枠体15による封入空間20において、掘削土砂に含まれている鉄筋が、先端開口36aからスクリューコンベア36に取り込まれるのに先立って、油圧ジャッキ13を駆動することで、図5(a)~(c)に示すように、一対のゲート板11a,11bを側方からスライド移動させ、先端部12a,12bの間に鉄筋50を挟み込んで、挟み込んだ鉄筋50を切断する。これによって、掘削土砂に含まれている鉄筋50を、先端開口36aに引っ掛ったり、スクリュー36bと絡み合ったりさせることなく、掘削土砂と共にスムーズに排出することが可能になる。
【0029】
したがって、本実施形態のスクリューコンベアの先端開口部構造10によれば、泥土圧式のシールド掘進機30において、掘削された土砂の中に鉄筋50が含まれている場合でも、含まれている鉄筋50を、掘削された土砂とともにスクリューコンベア36を介してスムーズに排出させることが可能になる。
【0030】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、一対のゲート板の少なくとも一方の先端部の形状が、凹形状部分を含んだものとなっている必要は必ずしも無く、一対のゲート板の先端部の双方が、例えば直線状の形状を備えていても良い。
【0031】
10 スクリューコンベアの先端開口部構造
11a,11b ゲート板
12a,12b ゲート板の先端部
12c 凹形状部分
13 油圧ジャッキ(進退駆動装置)
13a ピストン部
13b シリンダ部
14 ジャッキ連結部
15 封入枠体
15a 底部枠部
15b 側部枠部(側面部)
15c 上部枠部
15d 背面プレート部
15e ガイドレール部
16 擦動スリット
20 封入空間
30 泥土圧式のシールド掘進機
31 カッタチャンバ
32 回転カッタ
33 切羽部
34 カッタ駆動装置
35 隔壁
35a 取出し開口部
36 スクリューコンベア
36a 先端開口
36b スクリュー
36c 筒状外郭体
50 鉄筋
X 掘進方向
図1
図2
図3
図4
図5