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特開2024-62868熱転写システム、熱転写装置、終了処理装置、及び情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062868
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】熱転写システム、熱転写装置、終了処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 35/38 20060101AFI20240501BHJP
   B41J 17/38 20060101ALI20240501BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B41J35/38 A
B41J17/38 A
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170996
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】望月 弘毅
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065DA11
2C065DA19
2C065DA22
2C068AA06
2C068AA15
2C068PP03
(57)【要約】
【課題】熱転写に関する通常処理の後に終了処理を行う場合に、適正に終了処理が行われたことを確認できる及び/又は適正な終了処理の実施を促すことができる熱転写システムの提供。
【解決手段】熱転写システム10は、熱転写装置10Aと、終了処理装置100とを備える。熱転写装置10Aにおける制御部40は、装着されたインクリボン13の識別情報を取得し、保持する識別情報保持部403と、熱転写装置10Aから取り外されたインクリボン13の識別情報を外部である終了処理装置100から取得する再取得部405と、再取得部405で識別情報が取得された際、再取得部405で取得された識別情報に対応するインクリボン13への終了処理が完了したと判定し、インクリボン13の終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部406と、を含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置と、を備える熱転写システムであって、
前記熱転写装置は、
前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、
前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、
装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持部を含む制御部と、を有し、
前記終了処理装置は、
前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部を有し、
前記制御部は、
前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得部と、
前記再取得部で前記識別情報が取得された際、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの前記終了処理が完了したと判定し、前記終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部と、をさらに含む、熱転写システム。
【請求項2】
前記熱転写装置は、表示部をさらに含み、
前記表示部は、前記識別情報保持部に保持されている一つ又は複数の前記識別情報を表示し、
前記報知処理部は、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記表示部上の前記識別情報の情報を消去するか、又は前記表示部上の前記識別情報の表示態様を変更する処理を行うことにより、前記終了処理の完了を報知する、請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項3】
前記終了処理装置は、前記終了処理が完了した前記インクリボンの識別情報を、前記熱転写装置に送る情報送信部をさらに含み、
前記再取得部は、前記情報送信部から送信される前記識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の熱転写システム。
【請求項4】
前記再取得部は、前記終了処理装置から取り外された前記インクリボンから前記識別情報を取得する、請求項1又は2に記載の熱転写システム。
【請求項5】
前記終了処理装置は、装着された前記インクリボンへの前記終了処理が完了するまで、前記インクリボンの取り外しを規制する規制部をさらに含む、請求項4に記載の熱転写システム。
【請求項6】
前記終了処理装置は、装着された前記インクリボンにおける前記第1パターンを転写済みの部分であって、前記第2パターンを転写されていない部分に対して、前記第3パターンの転写が所定の長さ以上行われた際に、前記終了処理が完了したと判定する、請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項7】
インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置であって、
前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、
前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記熱転写装置に装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持部と、
前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得部と、
前記再取得部で前記識別情報が取得された際、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの特定の処理が完了したと判定し、前記特定の処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部と、を含む、熱転写装置。
【請求項8】
前記特定の処理は、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着する終了処理装置が、前記インクリボンに対して行う終了処理である、請求項7に記載の熱転写装置。
【請求項9】
前記終了処理は、前記終了処理装置における終了処理用熱転写部が、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、行われる処理である、請求項8に記載の熱転写装置。
【請求項10】
インク層と支持層とを有するインクリボンを用いて被転写体に第1パターンの転写を行う熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置であって、
前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なるパターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部と、
前記終了処理が完了した前記インクリボンの識別情報を、前記熱転写装置に送る情報送信部と、を備える、終了処理装置。
【請求項11】
インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置と、を備える熱転写システムにおける情報処理方法であって、
前記熱転写装置は、
前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、
前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、を有し、
前記終了処理装置は、
前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部を有し、
前記熱転写装置に装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持工程と、
前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得工程と、
前記再取得工程で前記識別情報が取得された際、前記再取得工程で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの前記終了処理が完了したと判定し、前記終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理工程と、を備える、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システム、当該システムを構成する熱転写装置及び終了処理装置に関する。また、本開示は、熱転写システムにおける情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクリボンを用いて、カードなどの被転写体に文字などの像を印字する転写システムが、広く普及している。インクリボンは、帯状に延びるリボン(支持層)と、リボン上に形成され、染料等を含んだインク層と、を有している。インクリボンを用いた印字においては、印字されるべき所望の像に対応したパターンで、インクが被転写体に転写される。
【0003】
この場合、インク転写済のインクリボンには、被転写体への転写によりインクが抜けた部分が、印字された像に対応したパターンで存在している。このため、インク転写済のインクリボンから、印字された像を特定することが可能である。従って、インクリボンを用いて、被転写体にID情報などの秘匿すべき情報を印字する場合、インク転写済のインクリボンの取り扱いに注意が必要となる。
【0004】
このような問題に対応するため、インクリボンのインク層のインクを被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写装置と、インク転写済のインクリボンを巻き取る巻取部と、巻取部の近傍に設けられ、インク転写済のインクリボンを支持層側から加熱する第2転写装置とを設けた熱転写システムが提案されている。この熱転写システムによれば、第2転写装置により加熱されるインクリボンのインク層のインクを、第1転写装置における第1パターンと異なる第2パターンで、当該インクリボンの内側に位置するインクリボンの支持層に転写することができ、これによって、インク転写済のインクリボンから、第1転写装置における第1パターンが特定されるのを防ぐことができる。この場合、第1転写装置における転写後に、第2転写装置を用いてインク転写済のインクリボンに対して第2パターンを引き続いて転写して、インクリボンから第1パターンが特定されることをより確実に防ぐ技術(終了処理)も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-76617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、第1転写装置における転写後に第2転写装置を用いて、インク転写済のインクリボンに対して第2パターンを引き続いて転写する技術が開発されている。
【0007】
このような終了処理中においては、熱転写システムからインクリボンを取り外すことができず、インクリボンを交換できない。そのため、第1パターンを転写した製品の製造が中断され、生産性が低下する虞がある。
【0008】
上記の点を考慮し、第1転写装置における転写後に、熱転写システムからインクリボンを取り外して、インクリボンに対する終了処理を別の装置で行ってもよい。しかしながら、このような手順で終了処理を行う場合、終了処理が失念されるなどにより、適正に終了処理が行われないままインクリボンが廃棄される虞がある。したがって、適正に終了処理が行われたことを確認できるようにする又は適正な終了処理の実施を促すことができるようにするための工夫が望まれる。
【0009】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、適正に終了処理が行われたことを確認できる及び/又は適正な終了処理の実施を促すことができる熱転写システム、熱転写装置、終了処理装置、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置と、を備える熱転写システムであって、前記熱転写装置は、前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持部を含む制御部と、を有し、前記終了処理装置は、前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部を有し、前記制御部は、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得部と、前記再取得部で前記識別情報が取得された際、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの前記終了処理が完了したと判定し、前記終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部と、をさらに含む、熱転写システムである。
【0011】
本開示は、前記熱転写装置は、表示部をさらに含み、前記表示部は、前記識別情報保持部に保持されている一つ又は複数の前記識別情報を表示し、前記報知処理部は、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記表示部上の前記識別情報の情報を消去するか、又は前記表示部上の前記識別情報の表示態様を変更する処理を行うことにより、前記終了処理の完了を報知する、熱転写システムである。
【0012】
本開示は、前記終了処理装置は、前記終了処理が完了した前記インクリボンの識別情報を、前記熱転写装置に送る情報送信部をさらに含み、前記再取得部は、前記情報送信部から送信される前記識別情報を取得する、熱転写システムである。
【0013】
本開示は、前記再取得部は、前記終了処理装置から取り外された前記インクリボンから前記識別情報を取得する、熱転写システムである。
【0014】
本開示は、前記終了処理装置は、装着された前記インクリボンへの前記終了処理が完了するまで、前記インクリボンの取り外しを規制する規制部をさらに含む、熱転写システムである。
【0015】
本開示は、前記終了処理装置は、装着された前記インクリボンにおける前記第1パターンを転写済みの部分であって、前記第2パターンを転写されていない部分に対して、前記第3パターンの転写が所定の長さ以上行われた際に、前記終了処理が完了したと判定する、熱転写システムである。
【0016】
本開示は、インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置であって、前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記熱転写装置に装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持部と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得部と、前記再取得部で前記識別情報が取得された際、前記再取得部で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの特定の処理が完了したと判定し、前記特定の処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部と、を含む、熱転写装置である。
【0017】
本開示は、前記特定の処理は、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着する終了処理装置が、前記インクリボンに対して行う終了処理である、熱転写装置である。
【0018】
本開示は、前記終了処理は、前記終了処理装置における終了処理用熱転写部が、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、行われる処理である、熱転写装置である。
【0019】
本開示は、インク層と支持層とを有するインクリボンを用いて被転写体に第1パターンの転写を行う熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置であって、前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なるパターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部と、前記終了処理が完了した前記インクリボンの識別情報を、前記熱転写装置に送る情報送信部と、を備える、終了処理装置である。
【0020】
本開示は、インク層と支持層とを有するインクリボンを装着し、被転写体に対して熱転写を行う熱転写装置と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンを装着し、前記インクリボンに対して終了処理を行う終了処理装置と、を備える熱転写システムにおける情報処理方法であって、前記熱転写装置は、前記熱転写装置に装着された前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配置され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体により、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1転写部と、前記第1転写部の下流側に配置され、インク転写済の前記インクリボンを巻き取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、インク転写済の前記インクリボンを前記支持層側から加熱する第2加熱体により、前記第1パターンと異なる第2パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写する第2転写部と、を有し、前記終了処理装置は、前記熱転写装置から取り外された後、前記終了処理装置に装着された前記インクリボンを前記支持層側から加熱する終了処理用加熱体により、前記第1パターンと異なる第3パターンで前記インク層のインキを内側の前記インクリボンに転写することで、前記終了処理を行う終了処理用転写部を有し、前記熱転写装置に装着された前記インクリボンの識別情報を取得し、保持する識別情報保持工程と、前記熱転写装置から取り外された前記インクリボンの識別情報を外部から取得する再取得工程と、前記再取得工程で前記識別情報が取得された際、前記再取得工程で取得された前記識別情報に対応する前記インクリボンへの前記終了処理が完了したと判定し、前記終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理工程と、を備える、情報処理方法である。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、適正に終了処理が行われたことを確認できる及び/又は適正な終了処理の実施を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施の形態における熱転写システムを示す図。
図2A図2Aは、本発明の実施の形態において、インク転写済のインクリボンを示す図。
図2B図2Bは、本発明の実施の形態において、インクリボンのインクが第1パターンで転写された被転写体を示す図。
図3図3は、図2Aに示すインク転写済のインクリボンのIII-III線に沿った断面図。
図4図4は、図1の熱転写システムにおける熱転写装置の巻取装置を拡大して示す図。
図5図5は、図4に示す巻取装置の第2転写部の第2加熱体を上方から見た場合を示す図。
図6図6は、図5に示す第2加熱体およびインクリボンのVI-VI線に沿った断面図。
図7A図7Aは、本発明の実施の形態において、外側インクリボンのインク層のインクが、内側インクリボンの支持層に第2パターンで転写される様子を示す図。
図7B図7Bは、本発明の実施の形態において、外側インクリボンのインク層のインクが、内側インクリボンの支持層に第2パターンで転写される様子を示す図。
図8A図8Aは、図7Aおよび図7Bに示す転写が実施された後の外側インクリボンのインク層を示す図。
図8B図8Bは、図7Aおよび図7Bに示す転写が実施された後の内側インクリボンの支持層を示す図。
図9図9は、熱転写中に巻取部に巻かれるインクリボンの外径が増加する状態を示す図。
図10図10は、熱転写装置及び終了処理装置における制御部のブロック図。
図11図11は、熱転写システムの動作を説明するフローチャート。
図12A図12Aは、熱転写装置の巻取部とインクリボンの巻取軸を示す斜視図。
図12B図12Bは、終了処理装置の巻取部とンクリボンの巻取軸を示す斜視図。
図13A図13Aは、インクリボンロック機構を示す側面図。
図13B図13Bは、インクリボンロック機構を示す斜視図。
図14図14は、表示部に表示される識別情報および表示部で消去される識別情報を示す図。
図15図15は、終了処理が完了していないインクリボンの情報を通知するための表示部における表示態様の例を示す図。
図16図16は、終了処理が完了していないインクリボンの情報を通知するための表示部における表示態様の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<熱転写システムの構成>
以下、図面を参照して本開示による熱転写システムについて図1乃至図14を参照しつつ説明する。
【0024】
まず図1により熱転写システムの全体構造について述べる。本実施の形態に係る熱転写システム10は、熱転写装置10Aと、終了処理装置100とを備える。熱転写装置10Aは、インクリボン13を装着し、被転写体14に対して熱転写を行う装置である。終了処理装置100は、熱転写装置10Aから取り外されたインクリボン13を装着し、インクリボン13に対して特定の処理としての終了処理を行う装置である。終了処理についての詳細は後述する。
【0025】
なお、図1においては、説明の便宜上、熱転写装置10A及び終了処理装置100に同じインクリボン13が装着されているが、実際は、熱転写装置10Aからインクリボン13が取り外された後、終了処理装置100にインクリボン13が装着される。
【0026】
(熱転写装置)
図1に示すように、支持層11とインク層12とを有するインクリボン13を用いて被転写体14に所望パターンでインク12aを転写する熱転写装置10Aは、矢印R1で示す方向にインクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置された第1転写部17と、第1転写部17の下流側に配置され、矢印R2で示す方向にインク転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、インク転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する第2転写部22と、を備えている。図1に示すように、インクリボン13は、複数のガイドロール15に沿って搬送される。ここで、図1に示す巻取部21と第2転写部22とにより、巻取装置20が構成されている。
【0027】
図1に示すように、第1転写部17は、被転写体14を支持するプラテンロール19と、インクリボン13および被転写体14を挟んでプラテンロール19と対向するよう設けられた第1加熱体18(例えば印字ヘッド)と、を有している。図1に示すように、第1加熱体18は、インクリボン13の支持層11側に、言い換えると支持層11と対面するように設けられている。この第1加熱体18により、インクリボン13のインク層12のインク12aがID情報に対応する所定のパターン(第1パターン)で加熱され、これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが被転写体14に対して第1パターンで転写される。
【0028】
また、送出部16と、第1転写部17と、巻取部21と、第2転写部22は、全体としてケース1内に収納されている。ケース1の上面1aのうち第2転写部22の近傍に、第2転写部22をケース1内へ出し入れする開口2が設けられ、この開口2はケース1の上面1aにヒンジ4を介して連結されたシャッタ3により開閉自在に覆われている。ケース1は、被転写体14の供給部や搬送部などを備えたIDカード作成プリンタの筐体に組み込まれている。
【0029】
図2Aは、インク12aが被転写体14に第1パターンで転写された後のインクリボン13をインク層12側から見た場合を示す図であり、図2Bは、インクリボン13のインク12aが第1パターンで転写された被転写体14を示す図である。図3は、図2Aに示すインク転写済のインクリボン13のIII-III線に沿った断面図である。図2Aおよび図3に示すように、インク転写済のインクリボン13において、インク層12は、被転写体14に転写されずに残留しているインク12aと、被転写体14に印字されたID情報に対応するインク抜け部分12bとからなる。この場合、図2Aに示すように、インク転写済のインクリボン13におけるインク抜け部分12bのパターンは、上述の第1加熱体18における第1パターンに対応している。このため、インク抜け部分12bのパターンに基づいて、被転写体14に印字されたID情報を特定することが可能となっている。
【0030】
次に図4を参照して、熱転写装置10Aの巻取装置20について詳細に説明する。上述のとおり、巻取装置20は、インク転写済のインクリボン13を巻き取るロール状の巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、インク転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する第2転写部(巻取装置用転写装置)22と、を有している。このうち第2転写部22は、ブロック状の発熱体からなる第2加熱体23と、第2加熱体23を矢印D1方向に上下移動可能に支持する支持機構45と、を含んでいる。
【0031】
図4に示すように、本実施の形態の巻取部21は、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも外側に位置するようインクリボン13を巻き取る。なお図4に示すように、本実施の形態において、巻取部21に巻き取られているインクリボン13のうち最外周に位置するインクリボン13が外側インクリボン13Aと称され、外側インクリボン13Aよりも内側で巻取部21に巻き取られ、外側インクリボン13Aに隣接しているインクリボン13が内側インクリボン13Bと称される。
【0032】
また、図1および図12Aに示すように、巻取部21は駆動モータを内蔵する駆動部21Aを有し、駆動部21Aは、インクリボン13の送り出し側の先端と結合する巻取軸13fと結合する。これにより、駆動部21Aの回転駆動により巻取軸13fが回転し、詳しくは巻取軸13f上にインクリボン13が順次巻き取られていく。
【0033】
本実施の形態では、巻取軸13fに検出体13dが取り付けられ、巻取軸13fに取り付けられた検出体13dは検出体センサ21cにより光学的に読み取られ、検出体センサ21cで読み取られた信号は後述する制御部40に送られる。検出体13dは、一例として、インクリボン13の識別情報を表示する。表示する識別情報は、バーコードでもよいし、数字及び/又は記号の羅列でもよい。検出体センサ21cは、検出体13dを光学的に読み取ることで、インクリボン13の識別情報を特定し、特定した識別情報を制御部40に送る。制御部40は、検出体センサ21cからインクリボン13の識別情報を取得し、保持するようになっている。
【0034】
なお、検出体13dは、図1を参照し、例えばインクリボン13の送り出し側の先端とは反対の結合する繰り出し軸13sに設けられてもよい。また、インクリボン13はカセットに保持された状態で、熱転写装置10Aに装着されてもよい。この場合、カセットに検出体13dが設けられてもよい。また、検出体13dは、識別情報を格納するRFIDタグや、IDタグなどでもよい。この場合は、検出体センサ21cは、非接触で検出体13dから識別情報を読み出す構成となる。
【0035】
次に図5および図6を参照して、第2転写部22の第2加熱体23について詳細に説明する。図5は、インクリボン13および第2加熱体23を上方から見た図であり、図6は、図5に示す第2加熱体23およびインクリボン13を示す側断面図である。なお、巻取部21にインクリボン13が巻き取られる際、巻き取られたインクリボン13は、実際には巻取部21のロール面に沿って湾曲するが、図6においては、便宜上、湾曲状態を無視してインクリボン13が描かれている。また図6においては、外側インクリボン13Aが第2加熱体23により押圧されて外側インクリボン13Aのインク層12の一部のインク12aが内側インクリボン13Bの支持層11に押し付けられる様子を説明するため、便宜上、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとの間に若干の隙間が描かれている。しかしながら、これに限られることはなく、外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとが全面にわたって隙間無く接していてもよい。
【0036】
図5および図6に示すように、第2加熱体23は、制御部40によって印字制御され、その下端に形成された突起部23aを含んでいる。このため、図6に示すように、第2加熱体23が制御部40により印字制御されて、外側インクリボン13Aが第2加熱体23の突起部23aによって外側(支持層11側)から加熱および押圧されると、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、第2パターンで、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。なお、第2加熱体23の温度は、外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが全域にわたって溶融され、これによって外側インクリボン13Aと内側インクリボン13Bとが接着されるという現象が生じない程度に、低く設定されている。
【0037】
ここで、制御部40により印字制御される第2加熱体23の突起部23aにより形成された第2パターンは、第1加熱体18における第1パターンとは異なるよう設定されている。このため、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部を内側インクリボン13Bの支持層11上に転写することにより、外側インクリボン13Aのインク層12における、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12bのパターンを破壊することができる。このことにより、後に詳細に説明するように、インク抜け部分12bのパターンに基づいて被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。
【0038】
なお、巻取部21においては、巻き取りが進むにつれて、巻取部21により巻き取られているインクリボン13により構成されるロール体の外径が増加していく。このようなロール体の外径の増加に対応するため、第2加熱体23は、ロール体の半径方向(図4において矢印D1で示す方向)において移動可能となるよう支持機構45により支持されている。また、このような支持機構45によって第2加熱体23を支持することにより、巻取り駆動が停止されている場合や、第2加熱体23による加熱が不要な場合に、第2加熱体23を矢印D1方向に移動させて、巻取部21に巻き取られているインクリボン13との接触を任意に中止することが可能となる。
【0039】
上述のように、巻取部21に巻き付けられた外側インクリボン13Aは、第2転写部22の第2加熱体23により加熱され、内側インクリボン13Bにインキが転写されるが、巻取部21に巻き付けられたインクリボン13の外径が増加するにつれて、第2加熱体23は上方へ支持機構45により移動する(図9参照)。
【0040】
この場合、第2加熱体23により常時、外側インクリボン13Aが加熱されるわけではなく、第2加熱体23は支持機構45により外側インクリボン13Aから上方へ一旦離れた後、再度降下して外側インクリボン13Aに当接し、このようにして、第2加熱体23は徐々に上方へ向かって支持機構45により移動してもよい。第2加熱体23はインクリボン13を巻取部21で巻き取る際、例えばインクリボン13の10巻毎に、あるいは被転写体14が20枚印字される毎に、外側インクリボン13Aから上方へ離れた後、再度降下して外側インクリボン13Aに当接してもよい。
【0041】
また上記構成部材のうち、送出部16、第1加熱体18、巻取部21、駆動部21A、第2加熱体23、支持機構45はいずれも制御部40により駆動制御される。また、制御部40は、上記各部の駆動制御のほか、各種情報を保持及び取得したり、LCD等の表示部41の表示を制御したりする。制御部40の機能の詳細については後述する。
【0042】
また図1に示すように、第1転写部17の上流側近傍には、インクリボン13の終端側の位置を検出する光センサ30が設けられている。インクリボン13の先端側および終端側には、インクのないリーダーフィルムが設けられているがインクのないリーダーフィルムは熱転写に寄与しない部分である。上記の光センサ30は、インクリボン13の終端側において、インクのないリーダーフィルムの端部、すなわちインクリボン13のうちインクのある部分とインクのない部分との境界を検出するものである。
【0043】
なお、第1転写部17の上流側近傍に設けた光センサ30に加えて、更に送出部16の下流側近傍に、リーダーフィルムの端部を検出する追加光センサ31を設けてもよい。
【0044】
(終了処理装置)
次に、終了処理装置100について説明する。本実施の形態においては、熱転写装置10Aの第1転写部17が第1パターンの転写を行う通常処理の後、インクリボン13が熱転写装置10Aから取り外されて、終了処理装置100に装着される。そして、終了処理装置100において、以下のような終了処理が行なわれる。
【0045】
すなわち、通常処理による熱転写を終了させるために第1転写部17と第2転写部22を同時に停止した場合、インクリボン13のうち第1転写部17から第2転写部22までの間の部分13aには第1パターンのみが残り、この部分13aには第2パターンが転写されることはなく、インクリボン13の部分13aから第1パターンを容易に視認することができてしまう。なお、言い換えると、部分13aは、第1パターンを転写済みの部分であって、第2パターンを転写されていない部分である。
【0046】
そこで、本実施の形態においては、通常処理による熱転写を終了させる際、第1転写部17及び第2転写部22を停止して、被転写体14及びインクリボン13へのインク12aの転写を停止する。そして、熱転写装置10Aから取り外されたインクリボン13を終了処理装置100に装着し、終了処理装置100において、上述した第1パターンのみが残り、第2パターンが転写されていない部分13aに対して、第2転写部22と同様の転写を行う。終了処理装置100は、装着したインクリボン13における熱転写装置10Aにおいて第1転写部17から第2転写部22までの間にあった部分13aの長さ以上、インクリボン13を巻き取りつつ、この間、後述する終了処理用転写部122を作動させ、内側のインクリボン13にパターンを転写する。このことによりインクリボン13に第1パターンのみが残ることはない。
【0047】
終了処理装置100は、矢印R11で示す方向に装着したインクリボン13を送り出す送出部116と、送出部116から送り出されたインクリボン13を矢印R12で示す方向に巻き取る巻取部121と、巻取部121の近傍に設けられ、インクリボン13を支持層11側から加熱する終了処理用加熱体123を含む終了処理用転写部122と、を備える。終了処理用転写部122は、ブロック状の発熱体からなる終了処理用加熱体123と、終了処理用加熱体123を矢印D11方向に上下移動可能に支持する支持機構145と、を含む。
【0048】
終了処理用転写部122の構成及び機能は、第2転写部22と同様であり、すなわち、図4を援用し、終了処理用加熱体123は、終了処理装置100を構成する終了処理用制御部140により印字制御されて、外側インクリボン13Aが終了処理用加熱体123の突起部123aによって外側(支持層11側)から加熱および押圧される。これにより、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、第3パターンで、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。
【0049】
そして、終了処理用制御部140により印字制御される終了処理用加熱体123の突起部123aにより形成された第3パターンは、第1加熱体18における第1パターンとは異なるよう設定されている。このため、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部を内側インクリボン13Bの支持層11上に転写することにより、外側インクリボン13Aのインク層12における、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12bのパターンを破壊することができる。このことにより、第2転写部22による転写を行った場合と同様に、インク抜け部分12bのパターンに基づいて被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。なお、上述の第3パターンは、第2パターンと同じでもよいし、異なるものでもよい。
【0050】
また、図1および図12Bに示すように、終了処理装置100における巻取部121も駆動モータを内蔵する駆動部121Aを有し、駆動部121Aは、インクリボン13の送り出し側の先端と結合する巻取軸13fと結合する。これにより、駆動部121Aの回転駆動により巻取軸13fが回転し、巻取軸13f上にインクリボン13が順次巻き取られられていく。そして、巻取軸13fに取り付けられた検出体13dは検出体センサ121cにより光学的に読み取られ、検出体センサ121cで読み取られた信号は後述する終了処理用制御部140に送られる。終了処理用制御部140は、検出体センサ121cからインクリボン13の識別情報を取得し、保持するようになっている。
【0051】
また、本実施の形態における終了処理装置100は、装着されたインクリボン13への終了処理が完了するまで、インクリボン13の取り外しを規制する規制部150をさらに含む。規制部150は、本実施の形態ではインクリボン13を終了処理装置100内で保持するカセット51に設けられたインクリボン13のロック機構と協働して、終了処理装置100からのインクリボン13の取り外しを規制する。
【0052】
詳しくは、本実施の形態では、図13Aおよび図13Bに示すようにインクリボン13が収納されるカセット51にインクリボン13の取り出しを防止するインクリボンのロック機構(インクリボンロック機構ともいう)60Aを設けている。
【0053】
図13Aおよび図13Bに示すように、カセット51の壁面には、壁面を切り欠くことにより形成された一対の受け部52,53が設けられている。そして受け部53内に、本実施の形態ではインクリボン13に結合された巻取軸13fが装着され、繰り出し軸13sは受け部52内に装着される。
【0054】
詳しくは、各受け部52,53は外方へ向かって拡がる開口52a,53aを介して外方に連通する。そして、巻取軸13fは開口53aを介して受け部53内に装着される。また繰り出し軸13sは開口52aを介して受け部52内に装着される
【0055】
なお、受け部52および開口52aの周縁には弾性樹脂52bが取り付けられ、受け部53および開口53aの周縁にも弾性樹脂53bが取り付けられている。このため巻取軸13fを押し込むだけで、弾性樹脂53bが圧縮されて、巻取軸13fを外方から開口53aを介して受け部53内に装着することができ、逆に巻取軸13fを押し出すことにより、弾性樹脂53bが圧縮されて、巻取軸13fを受け部53から開口53aを介して外方へ取り出すことができる。同様に繰り出し軸13sを押し込むだけで、弾性樹脂52bが圧縮されて、繰り出し軸13sを外方から開口52aを介して受け部52内に装着することができ、逆に繰り出し軸13sを押し出すことにより、弾性樹脂52bが圧縮されて、繰り出し軸13sを受け部52から開口52aを介して外方へ取り出すことができる。
【0056】
ところでカセット51の壁面には、開口53aに対応する位置にロック板60が揺動軸61を介して揺動自在に取り付けられている。そしてロック板60を揺動軸61を介して揺動させてカセット51の壁面に平行に配置することによりロック板60により開口53aを覆う(閉じる)ことができる。このようにロック板60により開口53aを覆うことにより、受け部53内の巻取軸13fが外方へ排出されることを防止することができる。
【0057】
次にロック板60を揺動軸61を介して揺動させ、ロック板60をカセット51の壁面に対して垂直方向に向ける。このことにより開口53aをロック板60から開放することができるので、受け部53内の巻取軸13fを外方へ容易に取り出すことができる。
【0058】
本実施の形態において、ロック板60は揺動軸61に連結された駆動部(図示せず)により揺動する。ここで、終了処理用制御部140は、終了処理が開始された際に、ロック板60を揺動させて開口53aを覆う(閉とする)。このとき、図13Bに示すように、規制部150は、終了処理用制御部140により制御され、ロック板60の開き側への揺動を規制するように位置する。これにより、規制部150は、インクリボン13への終了処理が完了するまで、インクリボン13の取り外しを規制する。規制部150は、ロック板60の開き側への揺動を規制する第1位置と、第1位置から退避した第2位置との間を矢印Xに示すように移動する。終了処理が完了した際、規制部150は、第2位置へ移動し、ロック板60の開き側への揺動が許容される。
【0059】
終了処理用制御部140は、また上記構成部材のうち、送出部116、巻取部121、駆動部121A、終了処理用加熱体123、支持機構145、規制部150を駆動制御する。また、終了処理用制御部140は、上記各部の駆動制御のほか、各種情報を保持したり、情報を熱転写装置10Aする処理を行ったりする。以下、熱転写装置10Aにおける制御部40及び終了処理装置100における終了処理用制御部140の詳細について説明する。
【0060】
(制御部及び終了処理用制御部の構成)
図10は、制御部40の機能構成及び終了処理用制御部140の機能構成の両方を示すブロック図である。
【0061】
図10に示すように、制御部40は、駆動制御部401と、センサ情報取得部402と、識別情報保持部403と、表示制御部404と、再取得部405と、報知処理部406と、を含む。
【0062】
駆動制御部401は、送出部16、第1加熱体18、巻取部21、駆動部21A、第2加熱体23、及び支持機構45の駆動を制御する。駆動制御部401による各部の制御により、熱転写装置10Aの第1転写部17が第1パターンの転写を行う通常処理が行われる。通常処理中においては、第2加熱体23によりインクリボン13への第2パターンの転写も行われる。
【0063】
本実施の形態では、駆動制御部401が、通常処理中に巻取部21によって回転させられる巻取軸13fの総回転量をカウントする。そして、駆動制御部401は、一例として、カウントした総回転量が所定値に達したところで、インクリボン13の残量が少なくなったと判断して通常処理の完了を判定する。駆動制御部401は、通常処理の完了を判定した際、各部の駆動を停止し、通常処理の完了した旨の情報を表示制御部404に提供する。
【0064】
あるいは、通常処理の完了の判定として、第1転写部17が第1パターンを転写した被転写体14の枚数をカウントし、カウント値が所定値に達した場合に、インクリボン13の残量が少なくなったと判断して通常処理の完了を判定してもよい。あるいは送出部16の下流側近傍に設けられた追加光センサ31によりインクリボン13のリーダフィルムの端部、すなわちインクリボン13のうちインクのある部分とインクのない部分との境界を検出してもよい。この追加光センサ31からの信号に基づいて制御部40はインクリボン13の残量が少なくなったと判断して通常処理の完了を判定してもよい。
【0065】
センサ情報取得部402は、検出体センサ21cに電気的に接続し、検出体センサ21cが検出するインクリボン13の識別情報を取得する。そして、センサ情報取得部402は、取得した識別情報を識別情報保持部403に提供する。また、センサ情報取得部402は、光センサ30、追加光センサ31などの各種検出情報も取得する。
【0066】
識別情報保持部403は、上述のようにセンサ情報取得部402からインクリボン13の識別情報を取得し、保持しておく。識別情報保持部403は、現在装着されているインクリボン13の識別情報及びこれ以前に装着されていた他のインクリボンの識別情報を保持できる。そして、本実施の形態における識別情報保持部403は、保持している識別情報を表示制御部404に提供する。識別情報保持部403は、識別情報をセンサ情報取得部402から提供されて際に表示制御部404に更新された識別情報を表示制御部404に提供してもよい。あるいは、識別情報保持部403は、保持している識別情報を定期的に表示制御部404に提供してもよい。
【0067】
表示制御部404は、上述のように識別情報保持部403から提供された識別情報を、表示部41上に表示する処理を行う。本実施の形態では、上述したように、熱転写装置10Aによる通常処理の後、インクリボン13が熱転写装置10Aから取り外されて、終了処理装置100に装着される。そして、終了処理装置100において終了処理が行なわれる。
【0068】
表示部41における識別情報の表示は、熱転写装置10Aから取り外された又はこれから取り外されるインクリボンの識別情報をユーザに示すことにより、終了処理が完了していないインクリボンの情報をユーザに知らしめるために行われる。一方で、本実施の形態では、終了処理が完了したインクリボンの情報は、終了処理装置100から熱転写装置10Aに送られる。この際、本実施の形態では、終了処理装置100から送られた情報に対応する表示部41上の識別情報が消去される。これにより、ユーザは、特定のインクリボンの終了処理が完了したことを把握できる。
【0069】
再取得部405は、終了処理装置100から終了処理が完了したインクリボンの情報を取得する部分であり、具体的にはインクリボンの識別情報を取得する。詳しくは、図1の熱転写装置10Aから取り外されたインクリボン13が終了処理装置100で終了処理が完了した場合には、再取得部405は、終了処理装置100からインクリボン13の識別情報を取得する。そして、再取得部405は、取得した識別情報を報知処理部406に提供する。本実施の形態では再取得部405が無線通信部により構成されるが、有線の通信装置で構成されてもよい。
【0070】
そして、報知処理部406は、再取得部405で識別情報が取得され、これを提供された際、再取得部405で取得された識別情報に対応するインクリボンへの終了処理が完了したと判定し、終了処理の完了を報知するための処理を行う。本実施の形態では、報知処理部406が、上述したように表示部41において表示されている識別情報のうちの、終了処理装置100から送られた識別情報に対応する識別情報を消去するための処理を行う。
【0071】
詳しくは、報知処理部406は、識別情報保持部403に保持されている識別情報において、再取得部405で取得された識別情報に一致するものがあるか否かを判定し、一致するものが存在した場合に、当該識別情報に対応するインクリボンの終了処理が完了したと判定する。そして、本実施の形態では終了処理の完了を判定した後、報知処理部406は、表示制御部404に終了処理の完了を判定されたインクリボンの識別情報の表示部41上の表示を消去するよう指示する。これにより、表示制御部404は、表示部41に表示されている識別情報のうちの、終了処理の完了を判定されたインクリボンの識別情報の表示を消去する。
【0072】
また、終了処理の完了を判定した後、報知処理部406は、識別情報保持部403に終了処理の完了を判定されたインクリボンの識別情報の消去を指示する。これにより、その後、表示部41に同じ識別情報が表示されることがなくなる。なお、識別情報保持部403は、報知処理部406から指定された識別情報を、表示制御部404に提供される識別情報とは別にして保持しておき、表示制御部404に同じ識別情報が再度提供されることを防止してもよい。
【0073】
上述のように本実施の形態では熱転写装置10Aの表示部41に表示されていたインクリボンの識別情報を、当該インクリボンの終了処理の完了に応じて消去することにより、ユーザに特定のインクリボンの終了処理の完了を報知する態様が採用される。この際、例えば一定時間の間、表示部41に表示されていたインクリボンの識別情報を点滅させた後、当該識別情報を消去してもよい。この場合、ユーザは、終了処理の完了を把握し易くなり、また終了処理が完了したインクリボンを終了処理装置100から取り外す作業に移り易くなる。ただし、報知態様は特に限られず、上記点滅表示を解除されるまで継続する態様が採用されてもよい。すなわち、終了処理完了前と後で識別情報の表示態様を変更してもよい。また、例えば表示部41に表示されているインクリボンの識別情報に隣り合うように、終了処理が完了した旨を示すマークや文字を表示部41に表示してもよい。
【0074】
一方で、終了処理用制御部140は、駆動制御部141と、センサ情報取得部142と、情報送信部143と、取り外し制御部144と、を含む。
【0075】
駆動制御部141は、送出部116、巻取部121、駆動部121A、終了処理用加熱体123、支持機構145を駆動制御する。駆動制御部141による各部の制御により、終了処理が行われる。
【0076】
本実施の形態では、駆動制御部141が、終了処理中に巻取部121によって回転させられる巻取軸13fの総回転量をカウントする。そして、駆動制御部141は、一例として、カウントした総回転量が所定値に達したところで、所定の長さ以上の第3パターンの転写がなされたと判断して終了処理の完了を判定する。所定の長さは、インクリボン13における、第1パターンを転写済みの部分であって、第2パターンを転写されていない部分(13a)の長さ以上の長さに設定される。
【0077】
駆動制御部141は、終了処理の完了を判定した際、情報送信部143及び取り外し制御部144に終了処理が完了した旨の情報を提供する。なお、図示しない光センサによりインクリボン13のリーダフィルムの端部、すなわちインクリボン13のうちインクのある部分とインクのない部分との境界を検出し、この検出に基づいて、終了処理の完了の判定がなされてもよい。
【0078】
また、センサ情報取得部142は、検出体センサ121cに電気的に接続し、検出体センサ121cが検出するインクリボン13の識別情報を取得する。そして、センサ情報取得部142は、取得した識別情報を情報送信部143に提供する。
【0079】
情報送信部143は、上述したように駆動制御部141からインクリボンへの終了処理が完了した旨の情報を提供されるとともに、センサ情報取得部142からインクリボンの識別情報を提供される。そして、情報送信部143は、駆動制御部141からインクリボンへの終了処理が完了した旨の情報を提供された際に、センサ情報取得部142から提供された識別情報を熱転写装置10Aに送る。すなわち、情報送信部143は、終了処理が完了したインクリボンの識別情報を、熱転写装置10Aに送る。熱転写装置10Aは、この際、再取得部405で識別情報を受信する。その後、熱転写装置10A側では、ユーザに終了処理の完了の旨を報知するための処理が行われることになる。
【0080】
また、取り外し制御部144は、上述の規制部150を制御する。すなわち、取り外し制御部144は、駆動制御部141からインクリボンへの終了処理が完了した旨の情報を提供された際に、規制部150がインクリボンの取り外しを規制する状態を解除する。具体的に本実施の形態では、図13Bを参照し、規制部150がロック板60の開き側への揺動を規制する第1位置から第1位置から退避した第2位置に移動するように、取り外し制御部144が規制部150を制御する。
【0081】
<通常処理作用>
次に、このような構成からなる本実施の形態の通常処理作用について説明する。ここでは、熱転写装置10Aの第1転写部17により被転写体14にID情報が印字され、その後、インク転写済の外側インクリボン13Aのインク層12のインク12aが、第2転写部22により第2パターンで内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される通常処理作用について説明する。
【0082】
まずICカード等の被転写体14を準備し、次に、被転写体14を第1転写部17に向けて搬送する。一方、図1に示すように、インクリボン13を、送出部16から第1転写部17に向けて送り出す。
【0083】
被転写体14が第1転写部17の第1加熱体18とプラテンロール19との間に到達すると、第1加熱体18がインクリボン13を、ID情報に対応する第1パターンで加熱しながら被転写体14に対して押し付ける。これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが第1パターンで被転写体14上に転写される(第1転写工程)。このことにより、被転写体14上にID情報が印字されるとともに、インクリボン13のインク層12に、ID情報に対応したインク抜け部分12bが形成される。
【0084】
第1転写部17を経た後のインク転写済のインクリボン13は、巻取装置20の巻取部21により巻き取られる。そして、巻取部21によってインク転写済のインクリボン13が巻き取られている状態において、第2転写部22により、外側インクリボン13Aが第2パターンで加熱される(第2転写工程)。以下、図7A乃至図8Bを参照して、外側インクリボン13Aが第2転写部22により第2パターンで加熱される作用について詳細に説明する。
【0085】
はじめに、図7Aに示すように、第2転写部22の第2加熱体23が制御部40により印字制御される。これによって、外側インクリボン13Aが第2加熱体23の突起部23aによって外側から加熱され、このため、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部が、内側インクリボン13Bの支持層11上に対して、加熱されながら押し付けられる。これによって、図7Bにおいて符号12cにより示すように、外側インクリボン13Aのインク層12に残留しているインク12aの一部12cが、内側インクリボン13Bの支持層11上に転写される。
【0086】
図8Aは、第2転写部22による転写が行われた後の外側インクリボン13Aをインク層12側から見た場合を示す図であり、図8Bは、第2転写部22による転写が行われた後の内側インクリボン13Bを支持層11側から見た場合を示す図である。
【0087】
図8Aに示すように、外側インクリボン13Aのインク層12には、第1転写部17におけるID情報の印字パターンに基づく第1パターンを有するインク抜け部分12b(1)と、第2転写部22における第2加熱体23の突起部23aにより形成される第2パターン26を有するインク抜け部分12b(2)と、が形成されている。図8Aに示すように、外側インクリボン13Aのインク層12には、第1パターンと第2パターン26とが混在しており、このため、ID情報に対応する第1パターンからなるインク抜け部分12b(1)のパターンが、認識不可能な程度に破壊されている。このことにより、インク抜け部分12bのパターンに基づいて被転写体14に印字されたID情報が特定されるのを防ぐことができる。
【0088】
図8Bに示すように、内側インクリボン13Bの支持層11上には、第2転写部22によって、外側インクリボン13Aから第2パターン26でインク12cが転写されている。また図8Bに示すように、このインク12cには、部分的に、外側インクリボン13Aのインク層12の第1パターンからなるインク抜け部分12bに基づくパターンを有するインク抜け部分12dが形成されている。しかしながら、当該インク抜け部分12dは、図8Bに示すように、第2パターン26と重複する領域において視認されるのみであり、従って、インク抜け部分12dのパターンに基づいて、被転写体14に印字されたID情報が特定されることはない。
【0089】
以上のような通常処理が完了すると、終了処理のために熱転写装置10Aに装着されているインクリボン13が取り外されて、終了処理装置100に装着される。
【0090】
<終了処理作用>
次に、終了処理について説明する。すなわち、終了処理では、終了処理装置100に装着されたインクリボン13における上述した第1パターンのみが残り、第2パターンが転写されていない部分13aに対して、第2転写部22との同様の転写を行う。詳しくは、終了処理装置100は、装着したインクリボン13における熱転写装置10Aにおいて第1転写部17から第2転写部22までのあった部分13aの長さ以上、インクリボン13を巻き取りつつ、この間、終了処理用転写部122を作動させ、内側のインクリボン13に第3パターンを転写する。このことによりインクリボン13に第1パターンのみが残ることはない。
【0091】
<動作>
以下、熱転写システム10の全体的な動作の一例の流れを図11を参照しつつ説明する。図11は、通常処理、終了処理、及び終了処理の通知までの熱転写システム10の動作を説明するフローチャートである。図11における左側のフローが熱転写装置10Aの動作を示し、図11における右側のフローが終了処理装置100の動作を示している。
【0092】
熱転写装置10Aの動作は、インクリボン13の装着と通常処理の開始の指示で開始する。この際、まず、ステップS101で、装着されたインクリボン13の識別情報が読み取られ、保持される。この処理は、識別情報保持部403によって行われる。
【0093】
次に、ステップS102において、ステップS101で読み取られた識別情報が表示部41上に表示される。この処理は、表示制御部404によって行われる。その後、ステップS103において、通常処理が開始される。この際、駆動制御部401が、熱転写装置10Aの各部を駆動制御する。
【0094】
通常処理が開始されると、通常処理の各部の制御に並行し、ステップS104で終了処理装置100から、終了処理が完了したインクリボン13の識別情報が取得されたか否かが監視される。そして、ステップS104で識別情報が取得された場合、ステップS105において、表示部41に表示されている識別情報のうちの、ステップS104で取得された識別情報に対応するものの表示が消去される。
【0095】
ステップS105の後は、ステップS106において、通常処理が完了したか否かが判定される。上述のステップS104で識別情報の取得が確認されない場合には、ステップS105を飛ばして、ステップS106の判定処理に移行する。そして、ステップS106で通常処理が完了したと判定されない場合には、ステップS104に戻り、識別情報の取得の監視と、通常処理の終了の判定が繰り返される。一方で、ステップS106で通常処理の完了が判定された場合には、待機状態(START)に戻る。そして、新たなインクリボンが装着された際に、ステップS101から処理が開始される。
【0096】
一方で、終了処理装置100の動作も、インクリボン13の装着と通常処理の開始の指示で開始する。この際、まず、ステップS201で、装着されたインクリボン13の識別情報が読み取られ、保持される。この処理は、センサ情報取得部142によって行われる。
【0097】
次に、ステップS202において、終了処理が開始される。この際、駆動制御部141が、終了処理装置100の各部を駆動制御する。その後、ステップS203で終了処理が完了したか否かの判定が行われる。そして、終了処理が完了したと判定されると、ステップS204において、ステップS201で読み取られた識別情報が、熱転写装置10Aに送られる。その後、ステップS205で、規制部150によるインクリボン13の取り外しの規制が解除され、待機状態(START)に戻る。そして、新たなインクリボンが装着された際に、ステップS201から処理が開始される。
【0098】
図14は、上述のステップS204で終了処理装置100から熱転写装置10Aに識別情報が送られ、その後、熱転写装置10Aが、ステップS104及びS105において、終了処理装置100から取得した識別情報に対応するインクリボンの終了処理が完了した旨を報知する処理を説明する図である。
【0099】
図14(A)は、ステップS105の処理を行う前の表示部41の表示画面を示し、図14(B)は、ステップS105の処理の後の表示部41の表示画面を示している。図14(A)では、一例として4つの識別情報が表示されている。ここで、表示されている識別情報に対応するインクリボンは、終了処理が完了していない。そして、終了処理が完了したインクリボンの識別情報が終了処理装置100から熱転写装置10Aに送られると、図14(B)に示すように、当該識別情報に対応する表示部41の上の識別情報(図中の「Z1875qemm」)が消去される。これにより、ユーザは、消去された識別情報に対応するインクリボンの終了処理が完了したことを把握できる。一方で、終了処理が完了していないインクリボンの識別情報は継続的に表示部41に表示されるため、これらに関しては、終了処理が完了していないことを把握でき、確実に終了処理を完了させるように注意を向けることができる。
【0100】
以上のように本実施の形態によれば、熱転写装置10Aにおける制御部40が、熱転写装置10Aに装着されたインクリボン13の識別情報を取得し、保持する識別情報保持部403と、熱転写装置10Aから取り外されたインクリボン13の識別情報を外部である終了処理装置100から取得する再取得部405と、再取得部405で識別情報が取得された際、再取得部405で取得された識別情報に対応するインクリボン13への終了処理が完了したと判定し、インクリボン13の終了処理の完了を報知するための処理を行う報知処理部406と、を含む。
【0101】
このような本実施の形態によれば、報知処理部406によりユーザに終了処理が完了したインクリボンの情報が報知され、ユーザは、これを把握できる。これにより、本実施の形態によれば、適正に終了処理が行われたことを確認できる及び/又は適正な終了処理の実施を促すことができる。すなわち、ユーザは、終了処理が完了したインクリボンの情報を熱転写装置10A上で報知されることにより、適正に終了処理が行われたことを確認できる。また、ユーザは、終了処理が完了したインクリボンの情報は報知されないことにより、当該インクリボンに注意を向けることができる。これにより、ユーザに対して適正な終了処理の実施を促すことができる。
【0102】
詳しくは本実施の形態では、表示部41が識別情報保持部403に保持されている一つ又は複数の識別情報を表示する。そして、報知処理部406は、再取得部405で識別情報が取得された際、再取得部405で取得された識別情報に対応する表示部41上の識別情報の情報を消去する。この場合、ユーザは、画面上の識別情報の消去により、識別情報に対応するインクリボンへの終了したことを把握できる。一方で、特に画面上に識別情報が残っていることで、終了処理が完了してないインクリボンの存在を容易に把握することが可能となる。
【0103】
また本実施の形態では、終了処理装置100が、終了処理が完了したインクリボン13の識別情報を、熱転写装置10Aに送る情報送信部143を含む。そして、熱転写装置10Aの再取得部405は、終了処理装置100における情報送信部143から送信される識別情報を取得する。この場合、ユーザが自ら操作を行うことなく、報知処理部406が自動的にインクリボン13の終了処理の完了を報知するための処理を行う。これにより、ユーザに煩わしさを生じさせることなく、適正に終了処理が行われたことを確認できる及び/又は適正な終了処理の実施を促すことができる。
【0104】
上述したように本実施の形態における表示部41は、識別情報保持部403に保持されている一つ又は複数の識別情報を、終了処理が完了していないインクリボンの識別情報として表示する。ここで、表示部41は、図15(A)に示すように、「終了処理が完了していないリボンがあります」などの終了処理が完了していないインクリボンが存在する旨を示すテキスト情報151を表示するとともに、テキスト情報151に付帯する展開ボタン152を表示するように表示制御部404によって制御されてもよい。そして、ユーザにより展開ボタン152が操作された場合に、図15(B)に示すように、識別情報保持部403に保持されている一つ又は複数の識別情報(「Z1875qemm」など)が、表示部41に表示されるように表示制御部404が制御を行ってもよい。この場合、テキスト情報151及び展開ボタン152は、常時表示されてもよいし、起動時や、通常の運転中に間隔を空けて定期的に表示されてもよい。テキスト情報151及び展開ボタン152が、起動時や、定期的に表示される場合には、表示部41の表示スペースにおいて、テキスト情報151、展開ボタン152及び識別情報が邪魔にならず、使い勝手が良くなる。
【0105】
また、上述したように本実施の形態では、表示部41で表示されたインクリボンの識別情報が、終了処理装置100からの識別情報の送信に応じて、順次消去されるが、表示部41で表示されたインクリボンの識別情報をユーザの操作によって消去できる態様がさらに採用されてもよい。この場合、例えば図16に示すように、表示部41において識別情報とともに、識別情報に対応する解除ボタン161が表示されるように表示制御部404が制御を行い、ユーザにより解除ボタン161が操作された場合に、解除ボタン161に対応する識別情報が、終了処理が完了したものとして扱われように処理されてもよい。終了処理が完了したものとして扱われように処理されるとは、表示部41からの消去でもよいし、終了の旨を示すマークや文字の表示でもよい。このような構成が採用される場合には、例えば終了処理装置100が故障し、終了処理が完了せずに終了処理装置100から識別情報が熱転写装置10Aに送信されないような場合に、表示部41に識別情報が表示され続けて、煩わしくなるような状況を抑制でき、使い勝手が良くなる。
【0106】
また、終了処理装置100は、装着されたインクリボンへの終了処理が完了するまで、インクリボン13の取り外しを規制する規制部150をさらに含む。これにより、終了処理が適正に完了しないまま廃棄されるインクリボンの発生が抑制され得る。
【0107】
なお、本実施の形態では、終了処理装置100から熱転写装置10Aに、終了処理が完了したインクリボンの識別情報が送られる。これに代えて、終了処理装置100が識別情報を熱転写装置10Aに送らない態様とし、終了処理装置100から取り外されたインクリボンの識別情報を、熱転写装置10Aの再取得部405が取得することにより、報知処理部406が報知のための処理を行う態様が採用されてもよい。この場合、再取得部405は、例えばハンディタイプの読み取り装置で構成されてもよい。この場合、再取得部405でインクリボンの識別情報を読み取った後、読み取った識別情報に対応する識別情報が熱転写装置10Aに保持されていれば、当該識別情報に対応するインクリボンの終了処理が完了したものと熱転写装置10A上で判定できる。この態様が採用される場合には、終了処理装置100から取り外されるインクリボンへの終了処理が確実に完了していることが保証されることが望ましい。そのため、規制部150によるインクリボン13の取り外しの規制が行われることが望ましい。
【0108】
なお、制御部40及び終了処理用制御部140は、例えばCPU、RAM、ROM等を備えるコンピュータで構成され得る。この場合、制御部40及び終了処理用制御部140における各種機能部は、格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより実現されてもよい。また、上述の実施の形態では、熱転写装置10Aと終了処理装置100とが物理的に分離した構成を想定しているが、熱転写装置10Aと終了処理装置100は一体化されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…ケース
1a…上面
2…開口
3…シャッタ
4…ヒンジ
10…熱転写システム
10A…熱転写装置
11…支持層
12…インク層
12a…インク
13…インクリボン
13a…部分
13A…外側インクリボン
13B…内側インクリボン
13f…巻取軸
13s…繰り出し軸
13d…検出体
14…被転写体
15…ガイドロール
16…送出部
17…第1転写部
18…第1加熱体
19…プラテンロール
20…巻取装置
21…巻取部
21A…駆動部
21c…検出体センサ
22…第2転写部
23…第2加熱体
23a…突起部
30…光センサ
31…追加光センサ
40…制御部
41…表示部
401…駆動制御部
402…センサ情報取得部
403…識別情報保持部
404…表示制御部
405…再取得部
406…報知処理部
45…支持機構
51…カセット
52,53…受け部
52a,53a…開口
52b,53b…弾性樹脂
60A…ロック機構
60…ロック板
61…揺動軸
100…終了処理装置
116…送出部
121…巻取部
121A…駆動部
121c…検出体センサ
122…終了処理用転写部
123…終了処理用加熱体
123a…突起部
140…終了処理用制御部
141…駆動制御部
142…センサ情報取得部
143…情報送信部
144…取り外し制御部
150…規制部
151…テキスト情報
152…展開ボタン
161…解除ボタン
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16