(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062874
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】積層チップおよび積層チップの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240501BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H01L23/12 501P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171014
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 慎二
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆之
(72)【発明者】
【氏名】中條 徳男
(72)【発明者】
【氏名】作井 康司
(72)【発明者】
【氏名】福田 匡志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積層チップを提供する。
【解決手段】積層シップ10は、第1半導体チップ100及び該チップに貼り合わされた第2半導体チップ200を備える。第1半導体チップは、第1支持基板110及び第1支持基板上に、第1回路122を形成する第1領域121と第2回路125を形成する第2領域124を含む第1回路層120を有する。第2半導体チップは、第1半導体チップの第1回路層側に貼り合わされる第2支持基板210、第2支持基板における第1半導体チップとは反対側の面上に、第1回路層の第1領域の位置に対応する第3領域221と第1回路層の第2領域の位置に対応し、第2回路が形成されている第4領域224を含む第2回路層220、第3領域を貫通し、且つ、第2支持基板の内部まで延在する第1穴部241に埋め込まれている第1埋込部240及び第1埋込部と第2支持基板を貫通し、第1回路と導通する第1貫通ビア250を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体チップと、
前記第1半導体チップに貼り合わされた第2半導体チップと
を備え、
前記第1半導体チップは、
第1支持基板と、
前記第1支持基板上に形成されており、第1回路が形成されている第1領域、および、第2回路が形成されている第2領域を含む第1回路層と
を有し、
前記第2半導体チップは、
前記第1半導体チップの前記第1回路層側に貼り合わされる第2支持基板と、
前記第2支持基板における前記第1半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応する第3領域、および、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第4領域を含む第2回路層と、
前記第2回路層の前記第3領域を貫通し且つ前記第2支持基板の内部まで延在する第1穴部に埋め込まれている第1埋込部と、
前記第1埋込部および前記第2支持基板を貫通し、前記第1回路層の前記第1回路に導通している第1貫通ビアと
を有する、
積層チップ。
【請求項2】
前記第1穴部は前記第2支持基板を貫通していない請求項1に記載の積層チップ。
【請求項3】
積層方向における前記第1埋込部の断面の輪郭は丸い請求項1に記載の積層チップ。
【請求項4】
前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップが前記第3領域に前記第1回路を有しないことを除き、同一の構造を有する、
請求項1に記載の積層チップ。
【請求項5】
前記第1回路層の前記第2回路および前記第2回路層の前記第2回路はメモリ回路であり、
前記第1回路層の前記第1回路は、インターフェース回路またはデコード回路であり、前記第1回路層の前記第2回路および前記第2回路層の前記第2回路と前記積層チップの外部との間で、信号を入出力する、または信号を中継する、
請求項1に記載の積層チップ。
【請求項6】
前記第1半導体チップは、前記第1回路層の前記第2回路を前記第1回路に導通させる第1配線を含む第1再配線層を有し、
前記第2半導体チップは、前記第2回路層の前記第2回路を前記第1貫通ビアに導通させる第2配線を含む第2再配線層を有する、
請求項1に記載の積層チップ。
【請求項7】
前記第1貫通ビアは、前記第1再配線層に形成されている電極パッド上にランディングしている、
請求項6に記載の積層チップ。
【請求項8】
前記第2回路層は、前記第3領域および前記第4領域以外の追加領域を更に含み、
前記第2半導体チップは、前記第2回路層の前記追加領域および前記第2支持基板を貫通し、前記第1再配線層に形成されている電極パッドを介して前記第1回路層の前記第1回路に導通している1または複数の追加貫通ビアを更に有する、
請求項6に記載の積層チップ。
【請求項9】
前記第2半導体チップに貼り合わされた第3半導体チップを更に備え、
前記第3半導体チップは、
前記第2半導体チップの前記第2回路層側に貼り合わされる第3支持基板と、
前記第3支持基板における前記第2半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応する第5領域、および、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第6領域を含む第3回路層と、
前記第3回路層の前記第5領域を貫通し且つ前記第3支持基板の内部まで延在する第2穴部に埋め込まれている第2埋込部と、
前記第2埋込部および前記第3支持基板を貫通している第2貫通ビアと
を有し、
前記第2半導体チップは、前記第2貫通ビアの位置に対応する位置において前記第2回路層および前記第2支持基板を貫通し、前記第2貫通ビアおよび前記第1回路層の前記第1回路に導通している第3貫通ビアを更に有する、
請求項1に記載の積層チップ。
【請求項10】
前記第1回路層は、前記第1回路が形成されている第7領域を更に含み、
前記第2回路層は、前記第1回路層の前記第7領域の位置に対応し且つ前記第1回路が形成されている第8領域を更に含み、
前記第2半導体チップに貼り合わされた第3半導体チップを更に備え、
前記第3半導体チップは、
前記第2半導体チップの前記第2回路層側に貼り合わされる第3支持基板と、
前記第3支持基板における前記第2半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応し、前記第1回路が形成されている第9領域、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第10領域、および、前記第1回路層の前記第7領域の位置に対応する第11領域を含む第3回路層と、
前記第3回路層の前記第11領域を貫通し且つ前記第3支持基板の内部まで延在する第3穴部に埋め込まれている第3埋込部と、
前記第3埋込部および前記第3支持基板を貫通し、前記第2回路層の前記第1回路に導通している第4貫通ビアと
を有する、
請求項1に記載の積層チップ。
【請求項11】
積層チップの製造方法であって、
支持基板と、
前記支持基板上に形成されており、第1回路が形成されている第1領域、および、第2回路が形成されている第2領域を含む回路層と
を有する第1半導体チップおよび第2半導体チップを用意することと、
前記第2半導体チップにおいて、前記回路層の前記第1回路を除去して、前記回路層の前記第1領域を貫通し且つ前記支持基板の内部まで延在する穴部を形成することと、
前記第2半導体チップにおいて、前記穴部に埋め込まれる埋込部を形成することと、
前記第1半導体チップの前記回路層側に前記第2半導体チップの前記支持基板を貼り合わせることと、
前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部および前記支持基板を貫通する貫通ビアを形成し、前記貫通ビアを介して、前記第2半導体チップにおける前記第2回路を、前記第2半導体チップにおける除去された前記第1回路の位置に対応する、前記第1半導体チップにおける前記第1回路に導通させることと
を備える製造方法。
【請求項12】
保持部によって前記第2半導体チップにおける前記回路層側を保持した状態で、前記第2半導体チップにおける前記支持基板を薄化することを更に備え、
前記貼り合わせることは、前記保持部によって前記第2半導体チップにおける前記回路層側を保持した状態で、前記第1半導体チップの前記回路層側に前記第2半導体チップの前記支持基板を貼り合わせることを含む、
請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部における、前記貫通ビアが形成される位置から、前記第2回路まで延びる溝を形成することを更に備え、
前記導通させることは、前記貫通ビアと共に、前記溝に埋め込まれる追加配線を形成し、前記追加配線を介して、前記第2半導体チップにおける前記第2回路を前記貫通ビアに導通させることを含む、
請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
積層チップの製造方法であって、
それぞれが予め定められた位置に少なくとも2種類の回路が形成されている、第1半導体チップおよび第2半導体チップを用意することと、
前記第2半導体チップにおいて、穴部を形成することによって前記少なくとも2種類の回路の一方を除去し、前記穴部に埋め込まれる埋込部を形成することと、
前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップを貼り合わせることと、
前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部を貫通する貫通ビアを形成し、前記貫通ビアを介して、前記第2半導体チップにおける残りの回路を、前記第1半導体チップにおける前記少なくとも2種類の回路のうち、前記第2半導体チップにおける除去された回路の位置に対応する回路に導通させることと
を備える製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層チップおよび積層チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「積層素子は、外部インターフェース素子とその上に積層された複数の内部素子を積層した構造…内部素子は、…同一の素子であっても異なる種類の半導体素子であっても良い。」(段落0016)と記載されている。特許文献2には、「貫通電極14が垂直方向にしか形成することができず、同一の半導体素子を積層した場合にチップ選択信号(CE)の端子が縦一列に重なり」(段落0003)と記載されている。特許文献3には、「半導体チップ110と半導体チップ210とは絶縁層である樹脂層160を介して接合されており、半導体チップ110の電極パッド150と半導体チップ210の電極パッド250とはビアホール210yに充填された金属層380を介して電気的に接続されている。」(段落0016)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2014-86498号公報
[特許文献2] 特開2007-250561号公報
[特許文献3] WO2012/120659
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、積層チップを提供する。積層チップは、第1半導体チップと、前記第1半導体チップに貼り合わされた第2半導体チップとを備え、前記第1半導体チップは、第1支持基板と、前記第1支持基板上に形成されており、第1回路が形成されている第1領域、および、第2回路が形成されている第2領域を含む第1回路層とを有し、前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップの前記第1回路層側に貼り合わされる第2支持基板と、前記第2支持基板における前記第1半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応する第3領域、および、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第4領域を含む第2回路層と、前記第2回路層の前記第3領域を貫通し且つ前記第2支持基板の内部まで延在する第1穴部に埋め込まれている第1埋込部と、前記第1埋込部および前記第2支持基板を貫通し、前記第1回路層の前記第1回路に導通している第1貫通ビアとを有する。
【0004】
上記の積層チップにおいて、前記第1穴部は前記第2支持基板を貫通していなくてもよい。
【0005】
上記の何れかの積層チップにおいて、積層方向における前記第1埋込部の断面の輪郭は丸くてもよい。
【0006】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップが前記第3領域に前記第1回路を有しないことを除き、同一の構造を有してもよい。
【0007】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1回路層の前記第2回路および前記第2回路層の前記第2回路はメモリ回路であってもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1回路層の前記第1回路は、インターフェース回路またはデコード回路であってもよく、前記第1回路層の前記第2回路および前記第2回路層の前記第2回路と前記積層チップの外部との間で、信号を入出力してもよく、または信号を中継してもよい。
【0008】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1半導体チップは、前記第1回路層の前記第2回路を前記第1回路に導通させる第1配線を含む第1再配線層を有してもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第2半導体チップは、前記第2回路層の前記第2回路を前記第1貫通ビアに導通させる第2配線を含む第2再配線層を有してもよい。
【0009】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1貫通ビアは、前記第1再配線層に形成されている電極パッド上にランディングしていてもよい。
【0010】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第2回路層は、前記第3領域および前記第4領域以外の追加領域を更に含んでもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第2半導体チップは、前記第2回路層の前記追加領域および前記第2支持基板を貫通し、前記第1再配線層に形成されている電極パッドを介して前記第1回路層の前記第1回路に導通している1または複数の追加貫通ビアを更に有してもよい。
【0011】
上記の何れかの積層チップは、前記第2半導体チップに貼り合わされた第3半導体チップを更に備えてもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第3半導体チップは、前記第2半導体チップの前記第2回路層側に貼り合わされる第3支持基板と、前記第3支持基板における前記第2半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応する第5領域、および、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第6領域を含む第3回路層と、前記第3回路層の前記第5領域を貫通し且つ前記第3支持基板の内部まで延在する第2穴部に埋め込まれている第2埋込部と、前記第2埋込部および前記第3支持基板を貫通している第2貫通ビアとを有してもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第2半導体チップは、前記第2貫通ビアの位置に対応する位置において前記第2回路層および前記第2支持基板を貫通し、前記第2貫通ビアおよび前記第1回路層の前記第1回路に導通している第3貫通ビアを更に有してもよい。
【0012】
上記の何れかの積層チップにおいて、前記第1回路層は、前記第1回路が形成されている第7領域を更に含んでもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第2回路層は、前記第1回路層の前記第7領域の位置に対応し且つ前記第1回路が形成されている第8領域を更に含んでもよい。上記の何れかの積層チップは、前記第2半導体チップに貼り合わされた第3半導体チップを更に備えてもよい。上記の何れかの積層チップにおいて、前記第3半導体チップは、前記第2半導体チップの前記第2回路層側に貼り合わされる第3支持基板と、前記第3支持基板における前記第2半導体チップとは反対側の面上に形成されており、前記第1回路層の前記第1領域の位置に対応し、前記第1回路が形成されている第9領域、前記第1回路層の前記第2領域の位置に対応し、前記第2回路が形成されている第10領域、および、前記第1回路層の前記第7領域の位置に対応する第11領域を含む第3回路層と、前記第3回路層の前記第11領域を貫通し且つ前記第3支持基板の内部まで延在する第3穴部に埋め込まれている第3埋込部と、前記第3埋込部および前記第3支持基板を貫通し、前記第2回路層の前記第1回路に導通している第4貫通ビアとを有してもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、積層チップの製造方法を提供する。製造方法は、支持基板と、前記支持基板上に形成されており、第1回路が形成されている第1領域、および、第2回路が形成されている第2領域を含む回路層とを有する第1半導体チップおよび第2半導体チップを用意することと、前記第2半導体チップにおいて、前記回路層の前記第1回路を除去して、前記回路層の前記第1領域を貫通し且つ前記支持基板の内部まで延在する穴部を形成することと、前記第2半導体チップにおいて、前記穴部に埋め込まれる埋込部を形成することと、前記第1半導体チップの前記回路層側に前記第2半導体チップの前記支持基板を貼り合わせることと、前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部および前記支持基板を貫通する貫通ビアを形成し、前記貫通ビアを介して、前記第2半導体チップにおける前記第2回路を、前記第2半導体チップにおける除去された前記第1回路の位置に対応する、前記第1半導体チップにおける前記第1回路に導通させることとを備える。
【0014】
上記の製造方法は、保持部によって前記第2半導体チップにおける前記回路層側を保持した状態で、前記第2半導体チップにおける前記支持基板を薄化することを更に備えてもよい。上記の製造方法において、前記貼り合わせることは、前記保持部によって前記第2半導体チップにおける前記回路層側を保持した状態で、前記第1半導体チップの前記回路層側に前記第2半導体チップの前記支持基板を貼り合わせることを含んでもよい。
【0015】
上記の何れかの製造方法は、前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部における、前記貫通ビアが形成される位置から、前記第2回路まで延びる溝を形成することを更に備えてもよい。上記の何れかの製造方法において、前記導通させることは、前記貫通ビアと共に、前記溝に埋め込まれる追加配線を形成し、前記追加配線を介して、前記第2半導体チップにおける前記第2回路を前記貫通ビアに導通させることを含んでもよい。
【0016】
本発明の第3の態様においては、積層チップの製造方法を提供する。製造方法は、それぞれが予め定められた位置に少なくとも2種類の回路が形成されている、第1半導体チップおよび第2半導体チップを用意することと、前記第2半導体チップにおいて、穴部を形成することによって前記少なくとも2種類の回路の一方を除去し、前記穴部に埋め込まれる埋込部を形成することと、前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップを貼り合わせることと、前記第2半導体チップにおいて、前記埋込部を貫通する貫通ビアを形成し、前記貫通ビアを介して、前記第2半導体チップにおける残りの回路を、前記第1半導体チップにおける前記少なくとも2種類の回路のうち、前記第2半導体チップにおける除去された回路の位置に対応する回路に導通させることとを備える。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による積層チップ10の模式的な構成図である。
【
図2】第1実施形態による積層チップ10の模式的な断面図である。
【
図3】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図4】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図5】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図6】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図7】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図8】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図9】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図10】第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【
図11】第2実施形態による積層チップ20の模式的な断面図である。
【
図12】第3実施形態による積層チップ30の模式的な断面図である。
【
図13】第4実施形態による積層チップ40の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、第1実施形態による積層チップ10の模式的な構成図である。
図1では、複数の回路間を模式的な信号線で結び、信号線における信号の流れを矢印で示す。
図1ではまた、破壊除去された回路を破線で示し、破壊除去されたことで信号が流れなくなった信号線を一点鎖線で示す。
図1ではまた、複数の領域を破線の枠で示し、以降の図においても同様とする。
【0021】
積層チップ10は、第1半導体チップ100および第2半導体チップ200を備える。積層チップ10は、例えば積層型のダイナミックメモリであり、第1半導体チップ100に第2半導体チップ200が貼り合わされている。
【0022】
第1実施形態では、第1半導体チップ100はマスターメモリダイであり、第2半導体チップ200はスレーブメモリダイである。マスターメモリダイである第1半導体チップ100は、積層チップ10の外部との間で信号を入出力し、積層チップ10全体を制御する。スレーブメモリダイである第2半導体チップ200は、積層チップ10の外部と接続されず、積層された第1半導体チップ100との間で、TSV(Through Silicon Via、シリコン貫通電極)を介して信号を入出力する。第2半導体チップ200は、第1半導体チップ100によって制御される。
【0023】
第1半導体チップ100は、第1回路122が形成されている第1領域121、および、第2回路125が形成されている第2領域124を有する。第1回路122は制御回路であり、第2回路125はメモリ回路である。
図1に示す構成例では、第1領域121に、第1回路122A、第1回路122Bおよび第1回路122Cが形成されており、第2領域124に、第2回路125およびデータパス126が形成されている。
【0024】
一例として、第1回路122Aはインターフェース回路であり、第1回路122Bはデコード回路であり、第1回路122Cはコンフィグレーションレジスタ回路である。インターフェース回路である第1回路122Aは、積層チップ10の外部からクロック(CK)信号やコマンドアドレス(C/A)信号を入力してもよく、積層チップ10の外部との間でストローブ(DQS)信号やデータを入出力してもよい。第1回路122Aは、これらの信号を、第1回路122B、第1回路122Cおよびデータパス126に入力する。第1回路122Aは、データパス126を介して、第2回路125から信号を読み出す。
【0025】
デコード回路である第1回路122Bは、第1回路122Aから入力される信号をデコードして第2回路125に記憶させる。コンフィグレーションレジスタ回路である第1回路122Cは、第1回路122Aおよび第1回路122Bに対する設定を記憶しており、第1回路122Aおよび第1回路122Bから設定を読み出される。
【0026】
第2回路125は、第1回路122Bから入力された信号を記憶する。データパス126は、例えば加算器や乗算器などの、予め定められた演算処理を行う回路を含んでもよい。データパス126は、例えば第1回路122Aから入力される命令に従って、第2回路125から読み出した信号に予め定められた演算を行い、第1回路122Aに出力してもよい。
【0027】
スレーブメモリダイである第2半導体チップ200は、例えば第1半導体チップ100と同じ製造ラインで製造された、同じ回路構成を有する半導体チップから形成されている。すなわち、第2半導体チップ200の前身である半導体チップは、第1半導体チップ100と同様に、第1回路222が形成されている第3領域221、および、第2回路225が形成されている第4領域224を有する。第1回路222は制御回路であり、第2回路225はメモリ回路である。
図1に示す構成例では、第3領域221に、第1回路222A、第1回路222Bおよび第1回路222Cが形成されており、第4領域224に、第2回路225およびデータパス226が形成されている。
【0028】
第2半導体チップ200は、第1半導体チップ100によって制御されるため、マスターメモリダイに特有の制御回路である第1回路222が不要である。そのため、積層チップ10は、第2半導体チップ200の前身である半導体チップにおける1つまたは複数の第1回路222の少なくとも何れかを破壊除去し、破壊除去後の領域を、第1半導体チップ100と第2半導体チップ200との間で信号を入出力させるTSV用の領域として活用する。
【0029】
具体的には、第2半導体チップ200は、一例として、前身の半導体チップにおけるインターフェース回路である第1回路222Aとデコード回路である第1回路222Bとが破壊除去されて形成された第1穴部241に埋め込まれている第1埋込部240と、第1埋込部240に形成された1つまたは複数の第1貫通ビア250とを有する。換言すると、第2半導体チップ200は、第1回路222のうちの第1回路222Aおよび第1回路222Bに代えて、第1埋込部240および第1貫通ビア250を有する。なお、第1貫通ビア250は、上述のTSVに相当する。
【0030】
第2半導体チップ200の第2回路225およびデータパス226は、第1貫通ビア250を介して、第1半導体チップ100の第1回路122から信号を入力される。具体的には、第2回路225は、第1半導体チップ100の第1回路122Bから入力された信号を記憶する。データパス226は、データパス126と同様の構成を備えてもよく、例えば第1半導体チップ100の第1回路122Aから入力される命令に従って、第2回路225から読み出した信号に予め定められた演算を行い、第1半導体チップ100の第1回路122Aに出力してもよい。
【0031】
このような構成を備える積層チップ10において、第1半導体チップ100の第1回路122は、第1半導体チップ100の第2回路125および第2半導体チップ200の第2回路225と積層チップ10の外部との間で、信号を入出力する、または信号を中継する。第1半導体チップ100の第1回路122は、第2回路125および第2回路225から信号をパラレルに読み出し、シリアル変換して外部へと出力してもよい。
【0032】
なお、
図1に示す構成例では、第2半導体チップ200は、前身の半導体チップにおける第1回路222Aおよび第1回路222Bを破壊除去してTSV領域とするものとして説明したが、前身の半導体チップにおける第1回路222A、第1回路222Bおよび第1回路222Cのうちの何れか1つまたは複数を破壊除去してTSV領域としてもよく、これらに代えてまたは加えて、他の種類の1つまたは複数の第1回路222を破壊除去してTSV領域としてもよい。第1半導体チップ100および第2半導体チップ200は、第2半導体チップ200が第3領域221に第1回路222を有しないことを除き、同一の構造を有してもよい。
【0033】
図2は、第1実施形態による積層チップ10の模式的な断面図である。
図2に示すように、積層チップ10は、第1半導体チップ100上に第2半導体チップ200が積層された構造を有する。
【0034】
第1半導体チップ100は、第1支持基板110と、第1回路層120と、第1再配線層130とを有する。第1支持基板110は、例えば、シリコン基板であって、200μm程度の厚みを有する。
【0035】
第1回路層120は、第1支持基板110上に形成されている。第1回路層120は、上述した、第1回路122が形成されている第1領域121、および、第2回路125が形成されている第2領域124を含む。第1回路層120は更に、銅等の導電材料で形成された第1ビア123および第2ビア127を含む。第1回路層120は、第1回路122や第1ビア123などの金属要素を除き、第1支持基板110上にシリコンなどの絶縁材料が堆積されることによって形成されており、5~50μm程度の厚みを有する。なお、第1回路層120は、接着剤層を介して第1支持基板110に貼り合わされたものであってもよい。
【0036】
第1回路122および第2回路125は、それぞれ第1支持基板110上に形成されている。第1回路122は、例えば第1支持基板110の表面付近に形成されたPMOSおよびNMOSと、PMOSおよびNMOSの間における第1支持基板110の表面に形成されたゲート電極とを含んでもよい。
図2に示す例のように、第1回路122の一部は、第1支持基板110に含まれていてもよい。
【0037】
第1ビア123は、第1回路122上に形成されており、第1回路122を第1再配線層130に導通させる。第2ビア127は、第2回路125上に形成されており、第2回路125を第1再配線層130に導通させる。
【0038】
第1再配線層130は、第1回路層120上に形成されている。第1再配線層130は、銅等の導電材料で形成された、電極パッド131、電極パッド133および配線135を含む。第1再配線層130は、電極パッド131などの金属要素を除き、第1回路層120上にシリコンなどの絶縁材料が堆積されることによって形成されている。
【0039】
電極パッド131は、第1回路層120の第1ビア123上に形成されており、第1ビア123を介して第1回路122に導通している。電極パッド133は、第1回路層120の第2ビア127上に形成されており、第2ビア127を介して第2回路125に導通している。配線135は、電極パッド131および電極パッド133に接続され、第1回路層120の第2回路125を第1回路122に導通させる。
【0040】
第2半導体チップ200は、第2支持基板210と、第2回路層220と、第2再配線層230と、上述の第1埋込部240および第1貫通ビア250とを有する。第2支持基板210は、第1半導体チップ100の第1回路層120側に貼り合わされている。第2支持基板210は、第1支持基板110と同様に、例えばシリコン基板である。第2支持基板210は、第1半導体チップ100に貼り合わされる前に薄化されることによって、第1支持基板110よりも薄くされていてもよく、例えば5μm程度の厚みを有してもよい。
【0041】
第2回路層220は、第2支持基板210における第1半導体チップ100とは反対側の面上に形成されている。第2回路層220は、上述した、第3領域221、および、第2回路225が形成されている第4領域224を含む。第2回路層220は更に、銅等の導電材料で形成された第2ビア227を含む。第2回路層220は、第2回路225や第2ビア227などの金属要素を除き、第2支持基板210上にシリコンなどの絶縁材料が堆積されることによって形成されており、5~50μm程度の厚みを有する。なお、第2回路層220は、接着剤層を介して第2支持基板210に貼り合わされたものであってもよい。
【0042】
図1および
図2からも理解されるように、第2半導体チップ200は、第1半導体チップ100上に積層されており、且つ、第2半導体チップ200が第3領域221に第1回路222を有しないことを除いて、第1半導体チップ100と同一の構造を有してもよい。従って、第2半導体チップ200における第2回路層220の第3領域221は、第1半導体チップ100における第1回路層120の第1領域121の位置に対応しており、第2半導体チップ200における第2回路層220の第4領域224は、第1半導体チップ100における第1回路層120の第2領域124の位置に対応している。
【0043】
第2回路225は、第2支持基板210上に形成されている。第2ビア227は、第2回路225上に形成されており、第2回路225を第2再配線層230に導通させる。
【0044】
第2再配線層230は、第2回路層220上に形成されている。第2再配線層230は、銅等の導電材料で形成された、電極パッド231、電極パッド233および配線235を含む。第2再配線層230は、電極パッド231などの金属要素を除き、第2回路層220上にシリコンなどの絶縁材料が堆積されることによって形成されている。
【0045】
電極パッド231は、第1貫通ビア250上に形成されており、第1貫通ビア250等を介して第1半導体チップ100の第1回路122に導通している。電極パッド233は、第2回路層220の第2ビア227上に形成されており、第2ビア227を介して第2回路225に導通している。配線235は、電極パッド231および電極パッド233に接続され、第2回路層220の第2回路225を第1貫通ビア250に導通させる。
【0046】
第1埋込部240は、第2回路層220の第3領域221を貫通し且つ第2支持基板210の内部まで延在している第1穴部241に埋め込まれている部分であって、例えば酸化シリコン等の絶縁材料で形成されている。
図2に示すように、第1穴部241は、第2支持基板210を貫通しておらず、よって、第1埋込部240を形成する絶縁材料を第1穴部241に埋め込む際に、絶縁材料は第2支持基板210から漏出しない。第1埋込部240は、積層方向における断面の輪郭が丸くてもよく、例えば100μm程度の直径を有してもよい。第1埋込部240はまた、積層方向に10μm程度の深さを有してもよい。
【0047】
第1貫通ビア250は、第1埋込部240および第2支持基板210を貫通している。第1貫通ビア250は、第1再配線層130に形成されている電極パッド131上にランディングしている。すなわち、第1貫通ビア250は、第1回路層120の第1回路122に導通している。
【0048】
第1貫通ビア250は、第1埋込部240と同様に、積層方向における断面の輪郭が丸くてもよい。第1貫通ビア250の当該断面の直径は、10μm程度であってもよい。第1貫通ビア250の積層方向における高さは、10~100μm程度であってもよい。第1貫通ビア250の当該高さは、上述したように第2支持基板210を第1支持基板110よりも薄くすることによって10μm程度まで低くすることができ、これにより、第1貫通ビア250の寄生容量や寄生抵抗の影響による積層チップ10の性能劣化を軽減することができる。なお、第1貫通ビア250は、第1ビア123、第2ビア127、第2ビア227などの各半導体チップ内部のビアよりも、積層方向における断面積や高さが大きくてもよい。
【0049】
なお、
図2においては、
図1の積層チップ10の模式的な構成図における一部の構成のみを模式的に示し、他の構成の図示を省略している。例えば、第1半導体チップ100の第1回路122のうちの第1回路122Aは、第1ビア123および電極パッド131を介して積層チップ10の外部の装置との間で信号を入出力する必要があり、外部の装置は、例えば積層チップ10と共に他の回路基板上に実装される。この場合、第1半導体チップ100の第1支持基板110が当該回路基板上に実装されるため、電極パッド131を含む第1再配線層130は、第1回路層120および第1支持基板110を貫通する他のTSVと、第1支持基板110の下面に露出する当該TSVの端部に形成される他の電極パッドとを介して、外部の装置に導通されてもよい。
【0050】
図3から
図10は、第1実施形態による積層チップ10の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。積層チップ10の製造方法の説明では、上述した、第2半導体チップ200の前身である半導体チップのことも、単に第2半導体チップ200と称する。
【0051】
積層チップ10の製造方法は、
図3に示すように、それぞれが予め定められた位置に少なくとも2種類の回路が形成されている、第1半導体チップ100および第2半導体チップ200を用意することを備える。より具体的には、積層チップ10の製造方法は、第1支持基板110と、第1支持基板110上に形成されており、第1回路122が形成されている第1領域121および第2回路125が形成されている第2領域124を含む第1回路層120を有する第1半導体チップ100を用意することを備える。積層チップ10の製造方法はまた、第2支持基板210と、第2支持基板210上に形成されており、第1回路222が形成されている第3領域221および第2回路225が形成されている第4領域224を含む第2回路層220を有する第2半導体チップ200を用意することを備える。
【0052】
積層チップ10の製造方法は、
図4から
図6に示すように、第2半導体チップ200において、第1穴部241を形成することによって、上述の少なくとも2種類の回路の一方を除去し、第1穴部241に埋め込まれる第1埋込部240を形成することを備える。より具体的には、積層チップ10の製造方法は、第2半導体チップ200において、第2回路層220の第1回路222を除去して、第2回路層220の第3領域221を貫通し且つ第2支持基板210の内部まで延在する第1穴部241を形成することと、第1穴部241に埋め込まれる第1埋込部240を形成することとを備える。
【0053】
第2回路層220の第1回路222は、
図4に示す例のように、第1研磨機60によって機械研磨されることで破壊除去されてもよい。第1研磨機60の刃先は、第1穴部241と相補的な形状を有し、
図4中に矢印で示すように、回転しながら第2半導体チップ200の第2再配線層230側に押圧され、予め定められた深さまで第2半導体チップ200を切削する。上述したように、第1回路222の一部は、第2支持基板210の表面付近に形成され得る。そのため、当該深さは、第2回路層220の第1回路222を完全に破壊除去し、且つ、第2支持基板210を貫通しないようにするのに、必要十分な深さであってもよい。当該深さは、第1埋込部240の積層方向の深さと同様、例えば10μm程度である。なお、第2回路層220の第1回路222は、機械研磨に代えて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、エッチング、ミリングなどによって破壊除去されてもよく、イオンによる逆スパッタリングによって破壊除去されてもよい。
【0054】
図6に示す第1埋込部240は、
図5に示す第1穴部241の内部にガスを噴射して酸化シリコンなどの絶縁膜を堆積させ、CMPで平坦化することによって形成されてもよい。第1穴部241の内部に絶縁膜を形成する前に、第1穴部241の内部に残っているシリコンなどの残渣をエッチングして除去してもよい。
【0055】
積層チップ10の製造方法は、
図7に示すように、真空チャック等の手段を有する保持部70によって、第2半導体チップ200における第2回路層220側、すなわち第2再配線層230を保持した状態で、第2半導体チップ200における第2支持基板210を下面側から第2研磨機80によって薄化することを備えてもよい。第2支持基板210は、薄化される前は700μm程度の厚みを有してもよい。第2支持基板210の厚みは、薄化されることによって5μm程度となってもよい。なお、第2研磨機80は、例えば
図7中に矢印で示すように、刃先を第2支持基板210の下面側に押し当てた状態で回転しながら、第2支持基板210の下面に沿って移動する。
【0056】
積層チップ10の製造方法は、
図8に示すように、第1半導体チップ100および第2半導体チップ200を貼り合わせることを備える。より具体的には、積層チップ10の製造方法は、第1半導体チップ100の第1回路層120側、すなわち第1再配線層130に、第2半導体チップ200の第2支持基板210を貼り合わせることを備える。第2半導体チップ200は、
図7に示す保持部70によって、第2回路層220側、すなわち第2再配線層230を保持された状態で、第1半導体チップ100に貼り合わされてもよい。
【0057】
積層チップ10の製造方法は、
図9に示すように、第2半導体チップ200において、第1埋込部240および第2支持基板210を貫通し且つ第1半導体チップ100の第1再配線層130における電極パッド131上まで到達するスルーホール242を形成することを備えてもよい。積層チップ10の製造方法はまた、
図9に示すように、第2半導体チップ200において、第1埋込部240における、第1貫通ビア250が形成される位置から、第2回路225の直上、すなわち電極パッド233まで延びる溝243を形成することを備えてもよい。換言すると、積層チップ10の製造方法は、スルーホール242の第2再配線層230側の端部から電極パッド233まで第2再配線層230上を延伸する溝243を形成することを備えてもよい。スルーホール242および溝243は、例えばマスクパターンを用いたエッチングによって形成されてもよい。
【0058】
積層チップ10の製造方法は、
図10に示すように、第1埋込部240を貫通する第1貫通ビア250を形成し、第1貫通ビア250を介して、第2半導体チップ200における残りの回路を、第1半導体チップ100における上述の少なくとも2種類の回路のうちの少なくとも一方の回路に導通させることを備える。当該少なくとも一方の回路は、第2半導体チップ200における除去された回路の位置に対応する回路である。
【0059】
より具体的には、積層チップ10の製造方法は、第2半導体チップ200において、第1埋込部240および第2支持基板210を貫通する第1貫通ビア250を形成し、第1貫通ビア250を介して、第2半導体チップ200における第2回路225を、第1半導体チップ100における第1回路122に導通させることを備える。第1回路122は、第2半導体チップ200における除去された第1回路222の位置に対応する回路である。
【0060】
第1貫通ビア250は、例えばスパッタリングによりスルーホール242内壁をシードメッキしてから、銅等の電解メッキでスルーホール242内部を充填することによって形成されてもよい。第1貫通ビア250の第2再配線層230側の端部は、
図10に示すように、第2再配線層230の表面に付着し得る電解メッキの余剰分を、第2再配線層230の表面と共に、第3研磨機90によるCMPで除去することによって、平坦化されてもよい。第1貫通ビア250は、第1半導体チップ100の第1再配線層130における電極パッド131上まで到達するスルーホール242内部に形成されることで、電極パッド131上にランディングする。なお、第3研磨機90は、例えば
図10中に矢印で示すように、刃先を第2再配線層230の表面に押し当てた状態で回転しながら、第2再配線層230の表面に沿って移動する。
【0061】
上述した、第2回路225を第1回路122に導通させることは、第1貫通ビア250と共に、溝243に埋め込まれる追加の配線235を形成し、追加の配線235を介して、第2半導体チップ200における第2回路225を第1貫通ビア250に導通させることを含んでもよい。追加の配線235および第1貫通ビア250は、ダマシン法によって一緒に形成されてもよい。
【0062】
以上で説明した第1実施形態による積層チップ10によれば、第1半導体チップ100と、第1半導体チップ100に貼り合わされた第2半導体チップ200とを備え、第2半導体チップ200における使用されない回路、例えば第1半導体チップ100に特有の回路と対応する回路が破壊除去された領域に、第1貫通ビア250が形成されている。このように、第2半導体チップ200における不要な回路領域を、TSV用の領域として活用することができる。
【0063】
図11は、第2実施形態による積層チップ20の模式的な断面図である。積層チップ20は、第1実施形態による積層チップ10と異なる点として、第1半導体チップ102の第1回路層120が第1領域121および第2領域124以外の追加領域128を含み、同様に、第2半導体チップ202の第2回路層220が第3領域221および第4領域224以外の追加領域228を含む。積層チップ20における他の構成は、第1実施形態による積層チップ10と同様であるため、積層チップ10の各構成と同様の参照番号を付し、重複する説明を省略する。なお、以降の他の実施形態においても同様に省略する。
【0064】
第1半導体チップ102の第1再配線層130には、第1回路層120における追加領域128に対応する位置に、電極パッド131が形成されている。第2半導体チップ202は、第2回路層220の追加領域228および第2支持基板210を貫通し、第1半導体チップ100の第1再配線層130に形成されている当該電極パッド131を介して、第1回路層120の第1回路122に導通している追加貫通ビア260を有する。第2半導体チップ202は、このような追加貫通ビア260を1つまたは複数有してもよい。第2半導体チップ202の第2再配線層230には、1つまたは複数の追加貫通ビア260のそれぞれの端部に接続された電極パッド231が形成されており、各電極パッド231は配線235および第2ビア227を介して第2回路225に導通している。従って、積層チップ20は、第2半導体チップ202の第2回路225を、第1貫通ビア250だけでなく、1つまたは複数の追加貫通ビア260を介して、第1半導体チップ102の第1回路122に導通させている。
【0065】
このような構成を備える第2実施形態による積層チップ20によれば、第1実施形態による積層チップ10と同様の効果を奏する。第2実施形態による積層チップ20によればまた、第1半導体チップ102の第1回路122が、第2半導体チップ202の第2回路125から信号を読み出す際の並列性を高めることができ、データバスの幅を広げることができる。
【0066】
図12は、第3実施形態による積層チップ30の模式的な断面図である。積層チップ30は、第1実施形態による積層チップ10と異なる点として、第2半導体チップ203に貼り合わされた第3半導体チップ300を更に備え、第2半導体チップ203は、第3半導体チップ304の第2回路325を第1半導体チップ100の第1回路122に導通させるための第3貫通ビア255を更に有する。
【0067】
第3半導体チップ300は、第2半導体チップ203と同様に、スレーブメモリダイである。第3半導体チップ300は、第1実施形態による積層チップ10の第2半導体チップ200と対応する構成を備えるため、以下では、重複する詳細な説明を省略する。
【0068】
第3半導体チップ300は、第3支持基板310と、第3回路層320と、第3再配線層330と、第2埋込部340と、第2貫通ビア350とを有する。第3支持基板310は、第2半導体チップ203の第2回路層220側に貼り合わされる。第3回路層320は、第3支持基板310における第2半導体チップ203とは反対側の面上に形成されている。第3回路層320は、第1半導体チップ100における第1回路層120の第1領域121の位置に対応する第5領域321、および、第1回路層120の第2領域124の位置に対応し、第2回路325が形成されている第6領域324を含む。
【0069】
第3再配線層330は、電極パッド331、電極パッド333および配線335を含む。電極パッド333は、第3回路層320の第6領域324において、第2ビア327を介して第2回路325に接続されている。配線335は、第2ビア327、電極パッド331および電極パッド333を介して、第3回路層320の第2回路325を第2貫通ビア350に導通させる。
【0070】
第2埋込部340は、第3回路層320の第5領域321を貫通し且つ第3支持基板310の内部まで延在する第2穴部341に埋め込まれている。第2貫通ビア350は、第2埋込部340および第3支持基板310を貫通している。第2貫通ビア350は、第2半導体チップ203における第2再配線層230の電極パッド231上にランディングしている。
【0071】
第2半導体チップ203の第3貫通ビア255は、第1貫通ビア250と同様に、第2回路層220および第2支持基板210を貫通し、第1半導体チップ100の第1回路層120の第1回路122に導通している。第3貫通ビア255は、第1半導体チップ100における第1再配線層130の電極パッド131上にランディングしている。第3貫通ビア255は、第3半導体チップ300の第2貫通ビア350の位置に対応する位置に形成されており、第2貫通ビア350にも導通している。
【0072】
このような構成を備える第3実施形態による積層チップ30によれば、第1実施形態による積層チップ10と同様の効果を奏する。なお、第3実施形態による積層チップ30のように、マスターメモリダイに対して2層以上のスレーブメモリダイを積層する場合には、マスターメモリダイから各スレーブメモリダイに対して別個のTSVを延伸させて形成する。ただし、マスターメモリダイから各スレーブメモリダイに対して延伸させるTSVが、各スレーブメモリダイのデータバスに接続される場合には、TSVを2層以上のスレーブメモリダイで共通としてもよい。
【0073】
図13は、第4実施形態による積層チップ40の模式的な断面図である。積層チップ40は、第1実施形態による積層チップ10と異なる点として、第2半導体チップ204に貼り合わされた第3半導体チップ304を更に備え、第1半導体チップ104には2つの第1回路122が形成されており、第2半導体チップ204にも1つの第1回路222が形成されている。第4実施形態による積層チップ40においては、第1半導体チップ104、第2半導体チップ204および第3半導体チップ304の全てが、マスターメモリダイであり、積層チップ40の外部との間で信号を入出力する。ただし、最下層である第1半導体チップ104を除いて、第2半導体チップ204および第3半導体チップ304のそれぞれに元々形成されていた2つの第1回路222、362の一方は、破壊除去され、TSV用に利用されている。
【0074】
第1半導体チップ104の第1回路層120は、第1領域121および第2領域124以外に、第1回路122が形成されている第7領域129を含む。第7領域129における第1回路122は、第1領域121における第1回路122と同様に構成されており、重複する説明は省略する。
【0075】
第2半導体チップ204の第2回路層220は、第3領域221および第4領域224以外に、第1回路層120の第7領域129の位置に対応し且つ第1回路222が形成されている第8領域229を含む。第8領域229における第1回路222は、第2回路層220の第1ビア223を介して第2再配線層230の電極パッド231および配線235に接続され、これにより、第4領域224の第2回路225に導通している。
【0076】
第3半導体チップ304は、第3支持基板310と、第3回路層360と、第3再配線層370と、第3埋込部380と、第4貫通ビア390とを有する。第3半導体チップ304は、第1実施形態による積層チップ10の第2半導体チップ200と同様の構成を少なくとも部分的に備えるため、以下では、重複する詳細な説明を省略する。
【0077】
第3支持基板310は、第2半導体チップ204の第2回路層220側に貼り合わされる。第3回路層360は、第9領域361、第10領域364および第11領域369を含む。第9領域361は、第1半導体チップ104における第1回路層120の第1領域121の位置に対応し、第1回路362が形成されている。第10領域364は、第1半導体チップ104における第1回路層120の第2領域124の位置に対応し、第2回路365が形成されている。第11領域369は、第1半導体チップ104における第1回路層120の第7領域129の位置に対応する。
【0078】
第3再配線層370は、電極パッド371、電極パッド373および配線375を含む。電極パッド373は、第3回路層360の第10領域364において、第2ビア367を介して第2回路365に接続されている。電極パッド373はまた、第3回路層360の第9領域361において、第1ビア363を介して第1回路362に接続されている。電極パッド371は、第3回路層360の第11領域369において、第4貫通ビア390に接続されている。配線375は、電極パッド371および電極パッド373を介して、第3回路層320の第2回路365を第4貫通ビア390および第1回路362のそれぞれに導通させる。
【0079】
第3埋込部380は、第3回路層320の第11領域369を貫通し且つ第3支持基板310の内部まで延在する第3穴部381に埋め込まれている。第4貫通ビア390は、第3埋込部380および第3支持基板310を貫通し、第2半導体チップ204の第2回路層220の第1回路222に導通している。第4貫通ビア390は、第2半導体チップ204における第2再配線層230の電極パッド231上にランディングしている。
【0080】
このような構成を備える第4実施形態による積層チップ40によれば、第1実施形態による積層チップ10と同様の効果を奏する。第4実施形態による積層チップ40は、例えば、第2半導体チップ204および第3半導体チップ304の第1回路222、362を第1半導体チップ104の2つの第1回路122と共に使用して、積層チップ40全体で一組み合わせのマスターメモリダイとして機能させることで、単体の半導体チップと比べてバス幅を増やす場合に利用されてもよい。この場合に、積層チップ40は、第2半導体チップ204および第3半導体チップ304のそれぞれに元々形成されていた2つの第1回路222、362のうち、使用しない第1回路222、362を破壊除去して、TSV用に利用している。
【0081】
以上で説明した複数の実施形態のうち、第1実施形態から第3実施形態の積層チップでは、最下層にマスターメモリダイを積層させる構成として説明した。これに代えて、積層チップでは、最上層にマスターメモリダイを積層させてもよい。この場合の積層チップでは、マスターメモリダイの下に少なくとも2つのスレーブメモリダイを備え、マスターメモリダイの直下のスレーブメモリダイを上述の第2半導体チップとし、当該スレーブメモリダイの直下のスレーブメモリダイを上述の第1半導体チップと見做してもよい。最上層のマスターメモリダイには、マスターメモリダイの制御回路である第1回路と、少なくとも直下のスレーブメモリダイのメモリ回路である第2回路とを導通させるためのTSVを形成する。
【0082】
以上で説明した複数の実施形態において、積層チップは、積層型のダイナミックメモリとして説明したが、これに限られず、例えばMPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programable Gate Array)などであってもよい。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
10 積層チップ
100 第1半導体チップ
110 第1支持基板
120 第1回路層
121 第1領域
122、122A、122B、122C 第1回路
123 第1ビア
124 第2領域
125 第2回路
126 データパス
127 第2ビア
130 第1再配線層
131、133 電極パッド
135 配線
200 第2半導体チップ
210 第2支持基板
220 第2回路層
221 第3領域
222A、222B、222C 第1回路
223 第1ビア
224 第4領域
225 第2回路
226 データパス
227 第2ビア
230 第2再配線層
231、233 電極パッド
235 配線
240 第1埋込部
241 第1穴部
242 スルーホール
243 溝
250 第1貫通ビア
60 第1研磨機
70 保持部
80 第2研磨機
90 第3研磨機
20 積層チップ
102第1半導体チップ
128 追加領域
202 第2半導体チップ
228 追加領域
260 追加貫通ビア
30 積層チップ
203 第2半導体チップ
255 第3貫通ビア
300 第3半導体チップ
310 第3支持基板
320 第3回路層
321 第5領域
324 第6領域
325 第2回路
327 第2ビア
330 第3再配線層
331、333 電極パッド
335 配線
340 第2埋込部
341 第2穴部
350 第2貫通ビア
40 積層チップ
104 第1半導体チップ
129 第7領域
204 第2半導体チップ
229 第8領域
304 第3半導体チップ
360 第3回路層
361 第9領域
362 第1回路
363 第1ビア
364 第10領域
365 第2回路
367 第2ビア
369 第11領域
370 第3再配線層
371、373 電極パッド
375 配線
380 第3埋込部
381 第3穴部
390 第4貫通ビア