(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062899
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、排泄予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240501BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240501BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171041
(22)【出願日】2022-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】302021226
【氏名又は名称】株式会社永和システムマネジメント
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】羽根田 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹内 清一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達人
(72)【発明者】
【氏名】四谷 淳子
(72)【発明者】
【氏名】青木 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】武仲 紘輝
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、第一取得処理と、登録処理と、予測処理と
を実行する。第一取得処理は、排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する。排泄欲求は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である。登録処理は、第一取得処理で生体情報が取得された場合、生体情報に対応する値を管理値として登録する。予測処理は、対象者の排泄欲求を予測する。登録処理は、登録済みの管理値に生体情報に対応する値を累積する。予測処理は、管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、対象者の排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、管理値がレベル基準値を超えていない場合、対象者の排泄欲求は第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置。
【請求項2】
第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行し、
前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得工程と、
前記第一取得工程で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、
前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測工程は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄支援方法。
【請求項8】
第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得工程を含み、
前記登録工程は、前記第一取得工程で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項7に記載の排泄支援方法。
【請求項9】
前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、
前記登録工程は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項8に記載の排泄支援方法。
【請求項10】
前記予測工程は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、
前記第一予測工程は、
前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測工程は、
前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の排泄支援方法。
【請求項11】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の排泄支援方法。
【請求項12】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項10に記載の排泄支援方法。
【請求項13】
プロセッサに、
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラム。
【請求項14】
前記プロセッサに、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行させ、
前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項13から請求項15の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項13から請求項15の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の排泄欲求の予測に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エコシステムを開示する。エコシステムは、排尿を検出及び予測する。エコシステムは、ウェアラブルデバイス、排尿検出センサ、ハブ、ネットワークで制御可能な装置、コンピューティングデバイス及びアプリケーションサーバを含む。エコシステムでは、前述のデバイスは直接的に接続又はネットワークに接続される。ウェアラブルデバイスは、使用者からの生物測定的データを収集する。生物測定的データは、個人に関するデータ及び使用者の環境に関連するデータを含む。生物測定的データの例は、心拍数、運動、周囲温度、体温、血液の酸素化、皮膚伝導度、血圧、心電図データ、脳波データ、筋電図データ、呼吸数、睡眠の質、睡眠の深さ、安静又は心拍変動データを含む。生物測定的データは、次の点に関する使用者の入力を含むことができる。前述の点は、排尿事象、排尿の衝動、排尿事象の欠如又は排尿の衝動の欠如を示す。使用者は、入力時、ウェアラブルデバイスのボタンを押す。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて予想排尿時間を予測するための処理を実行する。データ、予想排尿時間及び使用者モデルは、次の個人を示す使用者識別子に関連付けられる。生物測定的データはこの個人から収集され、この個人には予想排尿時間が適用される。生物測定的データは、ウェアラブルデバイスによって収集され、アプリケーションサーバに連続的又は定期的にアップロードされる。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて排尿事象がいつ発生すると予想されるかを判定することができる。アプリケーションサーバは、予想排尿時間を判定すると、予想排尿時間をウェアラブルデバイス及び/又は介護者のコンピューティングデバイスに送信することができる。更新又は警報は、ウェアラブルデバイスの刺激を喚起する。刺激は、切迫した排尿事象を使用者に警告することができる。更新又は警報は、次の機能をネットワーク制御可能な装置に実行させることができる。前述の機能は、ネットワーク制御可能な電球を所望の色又は強度に作動及び/又は変更させ、又はネットワーク制御可能な音源に聴覚刺激を提供する。更新又は警報によってコンピューティングデバイスが刺激を喚起し、切迫した排尿事象を介護者又は使用者に警告することができる。ウェアラブルデバイスは、現在の生物測定的データを継続してモニタリングし、現在の生物測定的データに従って予想排尿時間を動的に更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢化が進展し、日常生活を送る上で人の支援を必要とする対象者が増加している。発明者は、対象者の排泄に関する処置は、対象者の日常生活を支援する者の負担になっていることを知っている。例えば、発明者は、介護現場において、要介護者又は要支援者の排泄物の処置は介護者の負担になっていることを知っている。そこで、発明者は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減するため、対象者の排泄欲求を予測する技術について検討した。排泄欲求は、排泄物を排泄したいという感覚を意味する。
【0005】
本発明は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置である。
【0007】
この情報処理装置によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0008】
情報処理装置は、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行し、前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0010】
情報処理装置は、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0012】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0014】
情報処理装置は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、ようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得工程と、前記第一取得工程で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録工程と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測工程は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄支援方法である。
【0017】
この排泄支援方法によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0018】
排泄支援方法は、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得工程を含み、前記登録工程は、前記第一取得工程で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0020】
排泄支援方法は、前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、前記登録工程は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0022】
前記予測工程は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、前記第一予測工程は、前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測工程は、前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測工程を選択し、第二対象者に対しては第二予測工程を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測工程によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測工程によって予測することが可能となる。
【0024】
排泄支援方法は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、ようにしてもよい。
【0025】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は低下する。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0026】
本発明の更に他の側面は、プロセッサに、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラムである。
【0027】
このプログラムによれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0028】
プログラムは、前記プロセッサに、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行させ、前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0029】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0030】
プログラムは、前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0031】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0032】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0033】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0034】
前記プロセッサに、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、ようにしてもよい。
【0035】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】排泄支援システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】報知画面の概略構成の一例を示す画像図である。上段は、報知画面の初期状態を示す。下段は、報知画面の予測状態を示す。上段及び下段の報知画面は、対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」用の3人分の対象者領域を含む。
【
図3】予測モデルの設定方法の概略の一例を説明する説明図である。
【
図5】排泄支援処理の第一部分のフローチャートである。
【
図6】排泄支援処理の第二部分のフローチャートである。
【
図7】心拍数データベースの概略構成の一例を示す図である。ユーザIDが「AAA」、「BBB」及び「CCC」である3人分の心拍数データベースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。
【0039】
<排泄支援システム10>
排泄支援システム10の概略構成について
図1,2を参照して説明する。排泄支援システム10は、計測装置20と、情報処理装置30と、報知装置40とを含む(
図1参照)。排泄支援システム10で情報処理装置30は、計測装置20及び報知装置40とそれぞれデータ通信する。例えば、計測装置20及び情報処理装置30と情報処理装置30及び報知装置40とは通信ネットワーク60を介して互いに接続される。通信ネットワーク60は、特定の通信方式の通信ネットワークに限定されず、公知である各種の通信ネットワークを含む。従って、通信ネットワーク60を介したデータ通信は、有線通信及び無線通信の何れであってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。この他、通信ネットワーク60は、インターネットであってもよく、LAN(Local Area Network)であってもよく、2台の装置をローカルに接続する通信方式であってもよく、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせであってもよい。2台の装置をローカルに接続する通信方式の例としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fi Directが挙げられる。
【0040】
計測装置20は、計測処理(後述する
図4参照)を実行する。計測装置20は、計測処理の実行に伴い計測方法を実施し、対象者の生体情報を計測する。計測処理及び計測方法については後述する。対象者の例としては、日常生活を送る上で人の支援を必要とする者が挙げられる。「支援」は、自分以外の者の日常生活を助けることを意味する。例えば、「支援」は、介護現場における介護及び介助を含み、医療現場における看護を含み、及び家庭及び教育現場における乳児及び幼児の世話を含む。実施形態では、対象者を支援する者を「支援者」という。生体情報の例としては、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形が挙げられる。計測装置20は、生体情報の計測を所定の一定間隔で繰り返す。
【0041】
計測装置20は、生体情報を計測した場合、この生体情報を情報処理装置30に送信する。排泄支援システム10が複数の対象者を予測の対象とするとする。この場合、排泄支援システム10は、ユーザIDを採用する。ユーザIDは、対象者固有の識別子であり、対象者を識別する。排泄支援システム10が所定の施設で利用され、施設内で対象者のいる場所が特定されているとする。この場合、ユーザIDは、対象者のいる場所固有の識別子であってもよい。所定の施設の例としては、介護施設及び病院が例示される。実施形態では、排泄支援システム10はユーザIDを採用する。これに伴い、排泄支援システム10は、複数の対象者を予測の対象とすることができる。
【0042】
計測装置20は、送信対象の生体情報と共にユーザIDを情報処理装置30に送信する。即ち、生体情報は、ユーザIDに関連付けられた状態で計測装置20から情報処理装置30に送信される。計測装置20は、生体情報の計測を1秒間隔で繰り返して計測してもよく、及び生体情報及びユーザIDを1秒間隔で送信してもよい。計測間隔及び送信間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0043】
情報処理装置30は、排泄支援処理(後述する
図5参照)を実行する。情報処理装置30は、排泄支援処理の実行に伴い排泄支援方法を実施し、対象者の排泄欲求を予測する。排泄欲求は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚を意味する。排泄物を排泄したいという感覚は、排泄物が小便である場合には「尿意」を意味し、排泄物が大便である場合には「便意」を意味する。情報処理装置30は、排泄支援処理(排泄支援方法)に計測装置20からの生体情報を用いる。従って、排泄支援処理(排泄支援方法)によって予測される排泄欲求は、生体情報に関連付けられたユーザIDによって識別される対象者を対象とする。
【0044】
情報処理装置30は、予測された排泄欲求に対応する欲求状態を報知装置40に送信する。欲求状態は、排泄欲求の程度を示す。その際、情報処理装置30は、送信対象の欲求状態と共に次のユーザIDを情報処理装置30に送信する。このユーザIDは、排泄支援処理(排泄支援方法)で送信対象の欲求状態の排泄欲求を予測する際に用いられる生体情報に関連付けられる。即ち、欲求状態は、ユーザIDに関連付けられた状態で情報処理装置30から報知装置40に送信される。
【0045】
報知装置40は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する(
図2下段参照)。排泄支援システム10が複数の対象者を予測の対象とする場合、報知装置40は、欲求状態と共に対象者情報を報知してもよい。対象者情報は、欲求状態に関連付けられたユーザIDに対応する。報知装置40は、報知処理(後述する
図8参照)を実行し、排泄情報を受け付ける。排泄情報は、対象者が排泄物を排泄したことを示す。排泄情報は、対象者のユーザIDに関連付けられる。報知装置40は、排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0046】
実施形態では、生体情報を心拍数とし、予測対象の排泄欲求を尿意とし、排泄物を小便とする。この場合、排泄支援方法は、対象者の尿意を予測する。人は、膀胱内に一定量以上蓄尿されると膀胱内圧が高まることで、この刺激が副交感神経伝わり、尿意を感じる。人の心拍数は尿意に応じて変化する。膀胱内の蓄尿量は、経時的に増加する。これに伴い、尿意も経時的に強くなる。欲求状態の例としては、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。但し、実施形態では、欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」の2個とする。欲求状態として設定する態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。排泄情報は、対象者が排尿したことを示す。報知装置40による欲求状態の報知は、「表示」によって行われることとする。対象者として「AAA」、「BBB」及び「CCC」の3人を例示する(
図2参照)。対象者「AAA」のユーザIDを「AAA」とし、対象者「BBB」のユーザIDを「BBB」とし、対象者「CCC」のユーザIDを「CCC」とする(後述する
図7参照)。
【0047】
<計測装置20>
計測装置20は、プロセッサ21と、ストレージ22と、メモリ23と、計測器24と、操作器25と、通信器26とを備える(
図1参照)。プロセッサ21は、演算処理を実行する。ストレージ22は、プロセッサ21が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ22の例としては、フラッシュメモリ及びROMが挙げられる。プログラムの例としては、計測処理(
図4参照)用のプログラムが挙げられる。計測処理用のプログラムには、計測装置20を使用する対象者のユーザIDが登録される。ストレージ22は、計測装置20の本体に外部接続されていてもよい。この場合、計測装置20は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ22を計測装置20の本体(制御装置)に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介してストレージ22にアクセスする。
【0048】
メモリ23は、プロセッサ21がストレージ22に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ23は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ21は、ストレージ22に記憶された計測処理用のプログラムをメモリ23を用いて実行する。これに伴い、計測装置20は計測方法を実施する。
【0049】
計測器24は、生体情報を計測する。プロセッサ21は、計測器24から生体情報を取得する。実施形態では、計測器24は、心拍計であり、生体情報としての心拍数を計測する。通信器26は、計測装置20を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。
【0050】
操作器25は、計測装置20に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器25は、計測処理の開始指示を受け付ける。操作器25の例としては、ハードウェアキー及びタッチパネルが挙げられる。ハードウェアキーの例としては、操作ボタンが挙げられる。実施形態では、計測装置20で操作器25と共にタッチパネルとなる表示器の説明及び図示は省略する。操作器25の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0051】
通信器26は、計測器24で計測された心拍数を情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器26は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して計測装置20を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器26の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器26の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0052】
計測装置20は、計測方法の実施時、計測器24で心拍数を計測し、通信器26から心拍数を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。計測装置20の例としては、ウェアラブルデバイスが挙げられる。計測装置20としてのウェアラブルデバイスの例としては、スマートウォッチが挙げられる。
【0053】
計測装置20は、制御装置及び計測器24を別体で含み、制御装置及び計測器24をデータ通信可能に接続させた態様としてもよい。制御装置は、プロセッサ21、ストレージ22、メモリ23及び通信器26に加え、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、計測器24を制御装置に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介して生体情報を取得する。制御装置の例としては、コンピュータが挙げられる。制御装置としては、ラズベリーパイ(登録商標)と称される小型のコンピュータを採用してもよい。制御装置を含む計測装置20で採用可能な計測器24の例としては、マット型センサが挙げられる。計測器24としてのマット型センサは、布団又はマットレスの下に設置され、その上で横になる対象者の心拍数を計測する。
【0054】
心拍計測及び通信の両機能を備える計測装置は、既に実用化され、公知である。計測装置20は、上述した要素の他、公知の計測装置が備える要素を備えていてもよい。但し、計測装置20は、計測処理用のプログラムがストレージ22に記憶されている点で公知の計測装置と相違する。
【0055】
<情報処理装置30>
情報処理装置30は、プロセッサ31と、ストレージ32と、メモリ33と、通信器34と、タイマ35とを備える(
図1参照)。プロセッサ31は、演算処理を実行する。ストレージ32は、プロセッサ31が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ32の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ32としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ32はROMを含んでもよい。ストレージ32は、情報処理装置30の本体内にプロセッサ31及びメモリ33と共に設けられ、更に、情報処理装置30の本体に外部接続されていてもよい。この場合、情報処理装置30は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ32を情報処理装置30の本体に接続する。プロセッサ31は、接続インターフェースを介してストレージ32にアクセスする。
【0056】
ストレージ32は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、排泄支援処理(
図5,6参照)用のプログラムが挙げられる。排泄支援処理用のプログラムは、選択処理(
図5のS202参照)用のプログラムを含む。データの例としては、複数の予測モデル及び複数の心拍数データベースが挙げられる。排泄支援処理(排泄支援方法)では、排泄欲求の予測は複数の予測モデルにそれぞれ設定されたレベル基準値に応じて行われる。レベル基準値は、連続する2回の排泄の間隔に応じて適宜決定される。実施形態では、排泄物を小便とするから、連続する2回の排泄の間隔は連続する2回の小便の排泄(排尿)の間隔となる。複数の予測モデルは、排泄支援処理用のプログラムに登録される。排泄支援処理用のプログラムによるプロセスは、複数の予測モデルにアクセスする。心拍数データベースは、ユーザIDに関連付けて時間及び心拍数を登録する(
図7参照)。
【0057】
排泄支援処理用のプログラム及び複数の予測モデルは、ストレージ32に事前にインストールされる。心拍数データベースは、排泄支援処理の実行時に作成される。
【0058】
実施形態では、複数の予測モデルとして2個の予測モデルを例示する。2個の予測モデルを区別する場合、「第一予測モデル」及び「第二予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、単に「予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルの相違は、レベル基準値の相違である。予測モデル数は、3個以上としてもよい。予測モデル数は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、発明者は5個の予測モデルによる排泄支援システムを検討する。予測モデルの設定手法については後述する。
【0059】
実施形態では、第一予測モデル用のレベル基準値として「第一レベル基準値」を定義し、第二予測モデル用のレベル基準値として「第二レベル基準値」を定義する。第一レベル基準値及び第二レベル基準値は、管理値の比較対象とされる。管理値については後述する。第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値を超えている場合(
図5のS214:Yes参照)、欲求状態は「尿意あり」であると予測する。管理値が第一レベル基準値を超えていない場合(
図5のS214:No参照)、欲求状態は「尿意なし」であると予測する。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測する。管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、欲求状態は「尿意なし」であると予測する。
【0060】
但し、第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測してもよい。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測してもよい。
【0061】
排泄支援処理(排泄支援方法)における「超えている」及び「超えていない」について説明する(
図5のS210,S214参照)。この説明では、「比較値」及び「基準値」を例として用いる。比較値は変化量に対応し及び基準値は累積基準値に対応し(
図5のS208~S212参照)、又は比較値は管理値に対応し及び基準値はレベル基準値に対応する(
図5のS212,S214参照)。変化量及び累積基準値については後述する。尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定し、基準値を「マイナス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より小さい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より大きい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定し、基準値を「プラス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より大きい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より小さい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。実施形態では、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。但し、尿意が強くなる場合の変化量「プラス」に設定してもよい。
【0062】
メモリ33は、プロセッサ31がストレージ32に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ33は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ31は、ストレージ32に記憶された排泄支援処理用のプログラムをメモリ33を用いて実行する。これに伴い、情報処理装置30は排泄支援方法を実施する。
【0063】
通信器34は、情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して計測装置20及び報知装置40と通信する。通信器34は、計測器24から送信される心拍数及びユーザIDを受信する。通信器34は、報知装置40から送信される排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34を介して、心拍数及びユーザIDと、排泄情報及びユーザIDとを取得する。通信器34は、欲求状態及びユーザIDを報知装置40に送信する。実施形態では、通信器34は、有線通信の通信方式に対応し、有線通信を介して情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器34の通信方式は、無線通信であってもよい。通信器34の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0064】
タイマ35は、時間経過を計測する。この他、タイマ35は、現在時刻を計測してもよい。タイマ35は、ハードウェアによる構成であってもよく、又はソフトウェアによる構成であってもよい。
【0065】
情報処理装置30の例としては、サーバ装置が挙げられる。情報処理装置30は、上述した要素の他、公知のサーバ装置が備える要素を備えていてもよい。但し、情報処理装置30は、排泄支援処理用のプログラム及び複数の予測モデルがストレージ32に記憶されている点で公知のサーバ装置と相違する。
【0066】
<報知装置40>
報知装置40は、プロセッサ41と、ストレージ42と、メモリ43と、報知器44と、操作器45と、通信器46とを備える(
図1参照)。プロセッサ41は、演算処理を実行する。ストレージ42は、プロセッサ41が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ42の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ32としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ32はROMを含んでもよい。ストレージ42は、報知装置40の本体(制御装置)内にプロセッサ31及びメモリ33と共に設けられ、更に、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。
【0067】
ストレージ42は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、報知処理用(
図8参照)のプログラムが挙げられる。データの例としては、報知画面データが挙げられる。報知画面データは、報知画面50(
図2参照)を表す。報知画面データは、レイアウトデータを含む。レイアウトデータは、報知画面50のレイアウトを定義する。報知画面データは、報知処理用のプログラムに登録される。
【0068】
報知画面50は、対象者毎に区分けされた対象者領域51を含む。対象者領域51は、第一領域52と、第二領域53と、排泄ボタン54とを含む。第一領域52は、対象者情報を表示する。対象者情報は、ユーザIDに対応する。ユーザIDは、予め報知処理用のプログラムに登録される。報知画面50は、登録されたユーザIDと同数の対象者領域51を含む。第二領域53は、欲求状態を表示する。対象者領域51では、対象者情報及び欲求状態が関連付けて表示される。即ち、対象者領域51は、対象者の排泄欲求を示す。支援者は、対象者領域51に表示された対象者情報及び欲求状態を確認することができる。支援者は、対象者情報が示す対象者の欲求状態を理解し、この対象者に対する支援の必要又は不要を判断する。排泄ボタン54には、排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、排泄ボタン54が設けられた対象者領域51の第一領域52に表示された対象者情報に対応する。排泄情報及びユーザIDは関連付けられる。
【0069】
ストレージ42は、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。この場合、報知装置40は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ42を報知装置40の本体に接続する。プロセッサ41は、接続インターフェースを介してストレージ42にアクセスする。
【0070】
メモリ43は、プロセッサ41がストレージ42に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ43は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ41は、ストレージ42に記憶された報知処理用のプログラムをメモリ43を用いて実行する。これに伴い、報知装置40は排泄通知方法を実施する。
【0071】
報知器44は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する。実施形態では、報知器44は、ディスプレイであり、排泄欲求の欲求状態を報知するために報知画面50を表示する(
図2参照)。報知画面50は、対象者毎に区分けされた対象者領域51を含む。対象者領域51は、第一領域52と、第二領域53と、排泄ボタン54とを含む。報知画面50のこのようなレイアウトは、上述した通り、レイアウトデータによって定義される。
【0072】
第一領域52は、対象者情報を表示する。対象者情報は、ユーザIDに対応する。第二領域53は、欲求状態を表示する。対象者領域51では、対象者情報及び欲求状態が関連付けて表示される。即ち、対象者領域51は、対象者の排泄欲求を示す。支援者は、対象者領域51に表示された対象者情報及び欲求状態を確認することができる。支援者は、対象者情報が示す対象者の欲求状態を理解し、この対象者に対する支援の必要又は不要を判断する。
【0073】
操作器45は、報知装置40に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器45は、報知画面50の排泄ボタン54に対する押下を受け付ける。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含んでもよく、又は報知器44と一体で設けられてタッチパネルを形成してもよい。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含み、更に、報知器44と共にタッチパネルを形成してもよい。操作器45の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。操作器45で排泄ボタン54に対する操作が受け付けられた場合、プロセッサ41は排泄情報及び次のユーザIDを取得する。このユーザIDは、押下が受け付けられた排泄ボタン54と共に表示された対象者情報に対応する。
【0074】
通信器46は、報知装置40を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。通信器46は、情報処理装置30から送信される欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46を介して欲求状態及び次のユーザIDを取得する。通信器46は、プロセッサ41による排泄情報及びユーザIDの取得に応じて、排泄情報及び次のユーザIDを情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器46は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して報知装置40を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器46の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器46の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0075】
報知装置40は、排泄通知方法の実施時、報知画面50を報知器44に表示し、通信器46から排泄情報を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。報知装置40の例としては、制御装置と報知器44としてのディスプレイとの組み合わせが挙げられる。報知装置40では、制御装置及びディスプレイは別体であってもよく又は一体であってもよい。別体型の制御装置及びディスプレイの例としては、ディスプレイ別体型のコンピュータ(デスクトップコンピュータ)が挙げられる。一体型の制御装置及びディスプレイの例としては、コンピュータ(ラップトップコンピュータ)、タブレット端末及びスマートフォンが挙げられる。制御装置は、プロセッサ41、ストレージ42、メモリ43及び通信器46に加え、接続インターフェースを備える。操作器45は、制御装置に設けられていてもよく、又はディスプレイに設けられていてもよい。接続インターフェースは、ディスプレイを制御装置に接続する。プロセッサ21は、表示指令を接続インターフェースを介してディスプレイに出力する。
【0076】
情報の報知及び指示の受け付けの両機能を備える報知装置は、既に実用化され、公知である。報知装置40は、上述した要素の他、公知の報知装置が備える要素を備えていてもよい。但し、報知装置40は、報知処理用のプログラムがストレージ42に記憶されている点で公知の報知装置と相違する。
【0077】
<予測モデルの設定方法>
発明者が実施した予測モデルの設定方法の概略について
図3を参照して説明する。発明者は、複数の予測モデルの設定に際し、複数の被験者を対象とした実験を行い、この実験結果を用いて複数の予測モデルを設定した。複数の被験者は、何れも基礎疾患のない高齢者とした。実験では、所定期間継続して、被験者の心拍データを採取し及び被験者の排泄欲求(欲求状態)の変化を電子的に記録した。排泄欲求の記録は心拍データの採取と同じタイミングで実施され、排泄欲求の記録は心拍データの採取期間に実施した。
【0078】
排泄欲求の記録の方法は、概ね次の通りとした。この方法では、記録装置を用いた。被験者は、尿意を感じた場合に記録装置に第一指示を入力する。第一指示は、「尿意あり」に関連付けられる。記録装置は、第一指示の入力を受け付けた場合に第一タイムスタンプを記録する。第一タイムスタンプは、第一指示の入力時刻を示す。被験者は、トイレに向かった場合又は小便を排泄した場合に第二指示を入力する。第二指示は、「排泄(排尿)」に関連付けられる。記録装置は、第二指示の入力を受け付けた場合に第二タイムスタンプを記録する。第二タイムスタンプは、第二指示の入力時刻を示す。被験者は、感じていた尿意が感じられなくなった場合に第三指示を入力する。第三指示は、「尿意なし」に関連付けられる。記録装置は、第三指示の入力を受け付けた場合に第三タイムスタンプを記録する。
【0079】
第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプは、被験者の排泄欲求を特定する。例えば、被験者は、次の第一期間及び第二期間には尿意を感じていない。第一期間は、記録開始後から第一タイムスタンプまでである。第二期間は、第三タイムスタンプから第一タイムスタンプまでである。被験者は、次の第三期間及び第四期間には尿意を感じている。第三期間は、第一タイムスタンプから第二タイムスタンプまでである。第四期間は、第一タイムスタンプから第三タイムスタンプまでである。
【0080】
実験によって数百パターンの心拍データが心拍データの採取元である被験者の排泄欲求に関連付けて収集される。更に、心拍データには、第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプから上述したように特定される第一期間、第二期間、第三期間又は第四期間を関連付けることができる。例えば、今回の実験は、第一状態及び第二状態である場合における被験者の心拍数、及び第一状態から第二状態へと変化する場合における被験者の心拍数変化を収集する。第一状態では、被験者は尿意を感じていない。第二状態では、被験者は尿意を感じている。
【0081】
実験によって収集された心拍データ及び排泄欲求の記録の複数の組み合わせは、コンピュータによって処理され、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットが生成される。コンピュータの例としては、情報処理装置30が挙げられる。但し、コンピュータは、ハードウェア的には情報処理装置30とは異なっていてもよい。処理の例としては、データクレンジングが挙げられる。この処理によって、心拍データによって示される心拍波形が平常時の心拍波形及び排泄前の心拍波形に編集される。平常時は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じていない状態に対応する。排泄前は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じている状態に対応する。
【0082】
コンピュータは、平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された予測モデルに対応するテストデータを用いてこの予測モデルの精度を検証し、この予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて複数の予測モデルを構築する。複数の予測モデルには、それぞれ異なるレベル基準値が設定される。
【0083】
コンピュータが構築する予測モデルが第一予測モデルであり、第一予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間未満の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間未満である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第一予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第一予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第一予測モデルの精度を検証し、この第一予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第一予測モデルを構築する。第一予測モデルには、第一レベル基準値が設定される。
【0084】
コンピュータが構築する予測モデルが第二予測モデルであり、第二予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間以上の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間以上である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第二予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第二予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第二予測モデルの精度を検証し、この第二予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第二予測モデルを構築する。第二予測モデルには、第二レベル基準値が設定される。
【0085】
<計測処理>
計測処理について
図4を参照して説明する。計測処理は、計測装置20で実行される。計測装置20では、操作器25で計測処理の開始指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の開始指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の開始指示を取得する。続けて、プロセッサ21は、計測処理の開始指示の取得に応じてストレージ22の計測処理のプログラムを起動し、計測処理を開始する。これに伴い、計測装置20は計測方法を開始する。プロセッサ21は、開始指令を計測器24に出力する。計測器24は、対象者の生体情報としての心拍数の計測を開始する。計測器24は、対象者の心拍数の計測を継続し、計測された心拍数を繰り返して出力する。
【0086】
プロセッサ21は、計測器24から出力された心拍数を取得する(S100)。続けて、プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDを送信させる(S102)。プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDの送信指令を通信器26に出力する。心拍数及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器26は、送信指令に従い心拍数及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0087】
その後、プロセッサ21は、計測処理の終了指示を取得したかを判断する(S104)。計測装置20では、操作器25で計測処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の終了指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の終了指示を取得する。プロセッサ21は、終了指示を取得していない場合(S104:No)、処理をS100に戻す。その後、プロセッサ21は、S100以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ21は、終了指示を取得した場合(S104:Yes)、計測処理を終了する。これに伴い、計測器24は心拍数の計測を終了する。
【0088】
<排泄支援処理>
排泄支援処理について
図5,6及び
図7を参照して説明する。排泄支援処理は、情報処理装置30で実行される。情報処理装置30では、排泄支援処理は次のように開始されてもよい。即ち、プロセッサ31は、情報処理装置30の起動後、自動的に排泄支援処理のプログラムを起動し、排泄支援処理を開始する。これに伴い、情報処理装置30は排泄支援方法を開始する。但し、このような排泄支援処理の開始手順は例示である。排泄支援処理の開始手順は、諸条件を考慮して適宜決定される。プロセッサ31は、排泄支援処理用のプログラムによるプロセスを予測の対象である対象者と同じ数だけ実行する。排泄支援処理用のプログラムによるプロセスを単に「プロセス」という。1個のプロセスは、1人の対象者に対応する。複数のプロセスは、ユーザIDによって識別される。
【0089】
プロセッサ31は、心拍数及びユーザIDの取得を開始する(S200)。心拍数及びユーザIDは、繰り返して実行される
図4のS102で計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。排泄支援システム10が複数の計測装置20を備えるとする。この場合、心拍数及びユーザIDは、複数の計測装置20で繰り返して実行される
図4のS102で各計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。プロセッサ31は、通信器34で受信された心拍数及びユーザIDを通信器46から取得する。
【0090】
プロセッサ31は、心拍数データベースに、S200で取得された心拍数及びユーザIDを関連付けて登録し、更に時間を登録する(
図7参照)。換言すれば、プロセッサ31は、ユーザIDに関連付けられた心拍数データベースに心拍数及び時間を登録する。「時間」は、心拍数及びユーザIDが取得された時間を示す。複数の対象者を予測の対象とする場合、心拍数データベースはユーザID毎に管理してもよい(
図7参照)。心拍数と共にS200で取得されたユーザIDに関連付けた心拍数データベース作成されていないとする。この場合、プロセッサ31は、新たな心拍数データベースにこのユーザIDを設定し、更に、時間及び心拍数を登録する。心拍数データベースは、ユーザID毎に分割させた形式(
図7参照)であってもよく、又は1個の心拍数データベースに複数のユーザIDを登録させた形式(不図示)であってもよい。心拍数データベースの形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0091】
次に、プロセッサ31は、選択処理を実行する(S202)。選択処理では、S200のユーザIDに対応する対象者に合った予測モデルが複数の予測モデルから選択される。即ち、プロセッサ31は、選択処理によって第一予測モデル又は第二予測モデルを選択する。選択処理は、一定数以上の心拍数及び対象者の年代をデータとして、cox比例ハザードモデルによる統計解析を実行する。S202で選択処理は、これの開始時から過去20分間に取得された心拍数をデータとする。計測装置20での心拍数及びユーザIDの送信(
図4のS102参照)が1秒間隔で実行されるとする。この場合、20分間で取得される心拍数は、1200個である。但し、予測モデルの選択に用いる心拍数の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。S202でプロセッサ31は、cox比例ハザードモデルによる解析結果から推測される対象者の排泄の間隔に合った予測モデルを選択する。プロセッサ31は、選択された予測モデルをメモリ43に記憶する。予測モデルは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。一定数以上の心拍数が心拍数データに登録されていない場合、プロセッサ31は、予測モデルを選択することなく選択処理を終了する。
【0092】
続けて、プロセッサ31は、予測モデルを選択したかを判断する(S204)。予測モデルが選択されていない場合、(S204:No)、プロセッサ31は、処理をS202に戻し、再度、選択処理を実行する。プロセッサ31は、20分間分の心拍数が心拍数データベースに登録されていないために選択処理を終了していた場合、S204の判断を否定する。
【0093】
プロセッサ31は、予測モデルを選択した場合(S204:Yes)、未取得の変化量があるかを判断する(S206)。変化量は、心拍数データベースに登録された2個の心拍数の差である。対象とする心拍数データベースは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。変化量は、取得の時間が一定時間異なる2個の心拍数から算出される。この場合、後に取得された心拍数は、先に取得された心拍数の時間から一定時間経過後に取得される。心拍数の算出について、
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。実施形態では、説明の便宜上、1秒間隔で連続して取得された2個の心拍数から変化量を算出することとする。この場合、取得される変化量は「80(No.1)-79(No.2)=1」、「79(No.2)-80(No.3)=-1」、「80(No.3)-81(No.4)=-1」、・・・「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」である。変化量の算出のための2個の心拍数が取得された時間の間隔としての「1秒」は例示である。この間隔は、1秒とは異なる時間としてもよい。例えば、この間隔は、1秒より長くしてもよい。この間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0094】
プロセッサ31は、未取得の変化量がない場合(S206:No)、処理をS214に移行する。プロセッサ31は、未取得の変化量がある場合(S206:Yes)、変化量を取得する(S208)。
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。「No.X,X-1」の2個のレコードを対象とした変化量が未取得であるとする。この場合、プロセッサ31は、変化量として「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」を取得する。
【0095】
実施形態では、上述した通り、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。従って、S208でプロセッサ31は、先に取得された心拍数から後に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定したとする。この場合、S208でプロセッサ31は、後に取得された心拍数から先に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。
【0096】
続けて、プロセッサ31は、S208で取得された変化量と累積基準値とを比較し、変化量が累積基準値を超えているかを判断する(S210)。累積基準値は、予め設定され、排泄支援処理用のプログラムに登録される。実施形態のように、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する場合、累積基準値はマイナス値に設定される。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定する場合、累積基準値はプラス値に設定される。心拍数は、各種の事象を原因として変化する。発明者は、各種の実験を通して得られた結果から排泄欲求が時間の経過に伴い強くなっていく過程で心拍数の変化量を考察し、累積基準値を設定した。上述した実験は、この検討の一例である。累積基準値は、複数の予測モデルにおいて共通とする。但し、累積基準値は、複数の予測モデルの一部又は全部で異なる値に設定してもよい。これにより、累積基準値を予測モデル毎に適宜最適化することができる。プロセッサ31は、S202の選択処理で選択された予測モデルに対して設定された累積基準値に応じてS210を判断する。
【0097】
プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えていない場合(S210:No)、処理をS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えている場合(S210:Yes)、S208で取得された変化量を管理値に累積する(S212)。管理値は、変化量の累積である。排泄支援処理(排泄支援方法)は、変化量の累積を管理値として管理する。プロセッサ31は、排泄支援処理の実行時、管理値をプロセス毎に管理する。管理値の初期値は、所定の値に設定される。管理値の初期値の例としては、「0」が挙げられる。S212を実行した後、プロセッサ31は処理をS206に戻す。
【0098】
S214でプロセッサ31は、管理値とレベル基準値とを比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第一予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第二予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。実施形態では、「管理値がレベル基準値を超えている」は、「管理値が第一レベル基準値を超えている」又は「管理値が第二レベル基準値を超えている」を含む。「管理値がレベル基準値を超えていない」は、「管理値が第一レベル基準値を超えていない」又は「管理値が第二レベル基準値を超えていない」を意味する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えている場合(S214:Yes)、処理を
図6のS216に移行する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えていない場合(S214:No)、処理を
図6のS218に移行する。
【0099】
S216でプロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0100】
S218でプロセッサ31は、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0101】
S220でプロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。排泄情報及びユーザIDは、後述する
図8のS308で報知装置40から送信される。情報処理装置30は、通信器34で排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34で受信された排泄情報及びユーザIDを通信器34から取得する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDをメモリ33に記憶する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S220:No)、処理を
図5のS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。
【0102】
プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S220:Yes)、管理値を初期化する(S222)。初期化される管理値は、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けて管理される。S222を実行した後、処理を
図5のS202に戻す。その後、プロセッサ31は、S202以降の処理を繰り返して実行する。但し、プロセッサ31は、再度実行されるS202以降の処理を排泄情報を取得(
図6のS220:Yes参照)した後に通信器34からユーザIDと共に取得した心拍数及びこの心拍数から取得される変化量を用いて実行する。
【0103】
<報知処理>
報知処理について
図8を参照して説明する。報知処理は、報知装置40で実行される。プロセッサ41は、報知処理の開始指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の開始指示を取得する。プロセッサ21は、ストレージ22の報知処理のプログラムを起動し、報知処理を開始する。これに伴い、報知装置40は報知方法を開始する。
【0104】
プロセッサ41は、報知処理を開始後、報知器44に報知画面50を表示させる(S300)。プロセッサ41は、ストレージ42の報知画面データから報知画面50を生成し、この報知画面50の表示指令を報知器44に出力する。報知器44は、報知画面50を表示する(
図2上段参照)。
【0105】
続けて、プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得したかを判断する(S302)。欲求状態及びユーザIDは、
図6のS216又はS218で情報処理装置30から送信される。報知装置40は、通信器46で欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46で受信された欲求状態及びユーザIDを通信器46から取得する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDをメモリ43に記憶する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得していない場合(S302:No)、処理をS306に移行する。
【0106】
プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得した場合(S302:Yes)、表示中の報知画面50を更新させる(S304参照)。更新後の報知画面50は、新たに取得された欲求状態を次の対象者領域51の第二領域53に含む。この対象者領域51は、今回取得されたユーザIDと同じユーザIDに対応する対象者情報を第一領域52に含む。即ち、更新後の報知画面50は、今回取得された欲求状態と今回取得されたユーザIDに対応する対象者情報とを関連付けて表示する。プロセッサ41は、更新指令を報知器44に出力する。更新指令は、表示中の報知画面50を前述した更新後の報知画面50へと更新させる。報知器44は、更新後の報知画面50を表示する(
図2下段参照)。S304を実行後、プロセッサ41は処理をS306に移行する。
【0107】
今回取得された欲求状態が今回取得されたユーザID対応する対象者情報に関連付けて第二領域53に表示中の欲求状態と同じであるとする。この場合、プロセッサ41は、S304を省略してもよい。つまり、前述の場合、プロセッサ41は、S304を実行することなく、処理をS306に移行してもよい。
【0108】
S306でプロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。プロセッサ41は、排泄ボタン54に対する操作が操作器45で受け付けられた場合、操作された排泄ボタン54に設定された排泄情報及びユーザIDを取得する。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S306:No)、処理をS310に移行する。
【0109】
プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S306:Yes)、排泄情報及びユーザIDを送信させる(S308)。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDの送信指令を通信器46に出力する。排泄情報及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器46は、送信指令に従い排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0110】
その後、プロセッサ41は、報知処理の終了指示を取得したかを判断する(S310)。報知装置40では、操作器45で報知処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ41は、報知処理の終了指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の終了指示を取得する。プロセッサ41は、終了指示を取得していない場合(S310:No)、処理をS302に戻す。その後、プロセッサ41は、S302以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ41は、終了指示を取得した場合(S310:Yes)、報知処理を終了する。これに伴い、報知装置40は対象者の排泄欲求の欲求状態の報知を終了する。即ち、報知装置40は、報知画面50の表示を終了する。
【0111】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0112】
(1)情報処理装置30では、プロセッサ31が排泄支援処理(
図5,6参照)を実行する(
図5,6参照)。これに伴い、情報処理装置30は、排泄支援方法を実施する。情報処理装置30及び排泄支援方法によれば、対象者の排泄欲求が管理値によって欲求状態「尿意あり」及び「尿意なし」の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される心拍数の変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる。
【0113】
(2)排泄支援処理は、
図5のS208~S212を含む。この構成によれば、時間経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0114】
(3)排泄支援処理は、S202及びS214を含む。この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」を想定する(
図2,7参照)。この場合、3人の対象者のうちの一部である第一対象者に第一予測モデルを選択し、3人の対象者のうちの他の一部である第二対象者に第二予測モデルを選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測モデルによるS214によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測モデルによるS214によって予測することが可能となる。
【0115】
(4)排泄支援処理は、
図6のS220及びS222を含む。この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0116】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0117】
(1)排泄支援システム10では、計測装置20及び報知装置40は別体の装置とした(
図1参照)。計測装置20及び報知装置40は、プロセッサ、ストレージ、メモリ、計測器、報知器、操作器及び通信器を含む装置又はシステムであってもよい。
【0118】
(2)情報処理装置30は、予測モデルとして、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを設定する。情報処理装置30は、予測モデルを次の情報に応じて細分化してもよい。この情報の例としては、対象者の性別及び対象者の体格が挙げられる。対象者の体格は、対象者の身長及び体重の一方又は両方を含む。例えば、情報処理装置は、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを、70歳代用、80歳代用及び90歳代以上用としてそれぞれ設定してもよい。この場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて細分化のための情報を記憶する。例えば、対象者の年代に応じて予測モデルを細分化する場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて対象者の年齢又は年代を記憶する。選択処理(
図5のS202参照)は、連続する2回の排泄の間隔及びその他の情報に応じて予測モデルを選択する。
【0119】
(3)排泄支援処理(
図5,6参照)でプロセッサ31は、
図5のS210を変化量が累積基準値を超えているかによって判断する。
図5のS210の判断条件は、変化量が累積基準値を超えているか又は変化量が累積基準値に等しいかとしてもよい。つまり、プロセッサ31は、変化量が累積基準値に等しい場合、
図5のS210の判断を肯定する(
図5のS210:Yes参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、
図5のS212を実行する。これに対して、プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えておらず且つ変化量が累積基準値に等しくない場合、
図5のS210の判断を否定する(
図5のS210:No参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、処理を
図5のS214に移行する。
【0120】
(4)排泄支援処理でプロセッサ31は、
図5のS212で変化量を管理値に累積する。管理値は、変化量の累積でなくてもよい。管理値は、生体情報の累積としてもよい。例えば、プロセッサ31は、次の心拍数を管理値に累積してもよい。この心拍数は、S210の判断が肯定(
図5のS210:Yes参照)される変化量を算出するための2個の心拍数のうちの一方である。例えば、プロセッサ31は、先に取得された心拍数を管理値に累積してもよく、又は後に取得された心拍数を管理値に累積してもよい。予測モデルでは、管理値に応じたレベル基準値が適宜設定される。
【0121】
(5)排泄欲求の欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」とした(
図2下段参照)。但し、排泄欲求の欲求状態の例としては、上述した通り、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。そこで、排泄欲求の欲求状態として「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」を採用した場合について説明する。第一予測モデルは、レベル基準値として第一レベル基準値及び第三レベル基準値を定義する。第一予測モデルでは、第一レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第三レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。第二予測モデルは、レベル基準値として、第二レベル基準値及び第四レベル基準値を定義する。第二予測モデルでは、第二レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第四レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。プロセッサ31は、排泄支援処理の
図5のS214~
図6のS218を次のように実行される。
【0122】
選択処理(
図5のS202参照)で第一予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、S206の判断が否定された場合(S206:No参照)、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えていない場合、管理値が第三レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第三レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0123】
選択処理で第二予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、S206の判断が否定された場合(S206:No参照)、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、管理値が第四レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第四レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0124】
プロセッサ31は、欲求状態及びユーザIDの送信をS216又はS218と同様に実行する。その後、プロセッサ31は処理を
図6のS220に移行する。排泄欲求の欲求状態は、更に細分化してもよい。予測モデルでは、細分化された排泄欲求の欲求状態に対応させてレベル基準値が適宜設定される。プロセッサ31は、設定されたレベル基準値を用いて上記同様の管理値とレベル基準値を比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。その後、プロセッサ31は、上記同様、欲求状態及びユーザIDを送信させる。
【0125】
(6)排泄支援処理でプロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻す。プロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻してもよい。この場合、その後に実行されるS206以降の処理でプロセッサ31は、実行済みの選択処理で選択された予測モデル(
図5のS202,S204:Yes参照)を適用してもよい。
【0126】
(7)排泄支援システム10は、排泄情報を報知装置40で受け付ける。排泄情報は、計測装置20で受け付けるようにしてもよい。この場合、計測装置20では、操作器25に対する特定の操作に対して排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、計測装置20を使用する対象者を示す。計測装置20でプロセッサ21は、
図8のS302~S308に相当する処理を実行する。この場合、計測処理は、
図4のS102及びS104の間に
図8のS306及びS308に相当する処理を含んでもよい。プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられていない場合、
図8のS302に相当する判断を否定し(
図8のS306:No参照)、処理をS104に移行する。これに対して、プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられた場合、
図8のS302に相当する判断を肯定し(
図8のS302:Yes参照)、S304を実行し、その後、処理をS104に移行する。
【0127】
(8)報知装置40は、報知器44を含み、報知画面50を報知器44に表示する(
図2下段参照)。報知画面50は、対象者領域51を含み、欲求状態及び対象者情報が関連付けて第一領域52及び第二領域53にそれぞれ表示する。報知画面は、報知画面50とは異なる態様であってもよい。報知画面の態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0128】
欲求状態は、文字情報とは異なり、支援者が対象者の排泄欲求を視覚的に認識可能な形式としてもよい。視覚的に認識可能な形式の例としては、色分けによる区別及び図形を用いた区別が挙げられる。図形の例としては、グラフが挙げられる。欲求状態は、文字情報及び視覚的に認識可能な形式の組み合わせであってもよい。
【0129】
この他、報知装置40による欲求状態の報知は、音による方式であってもよく、又は光による方式であってもよい。この他、報知画面、音及び光のうちの2個以上の組み合わせであってもよい。
【0130】
(9)実施形態では、生体情報として心拍数を例示した。発明者は、これまでの検討の結果、対象者の排泄欲求を心拍数とは異なる生体情報によって予測することが可能であると考える。即ち、発明者は、心拍数の他の生体情報として示した、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形の何れかによっても対象者の排泄欲求を予測すること可能であると考える。更に、発明者は、前述の生体情報によって対象者の便意を予測することができると考える。即ち、発明者は、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形から特定される情報の変化量を累積させた管理値は、対象者の尿意及び便意といった排泄欲求の程度と関係を有すると考える。対象者の排泄欲求の程度は、複数種の生体情報の組み合わせによって予測してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 排泄支援システム、 20 計測装置、 21 プロセッサ
22 ストレージ、 23 メモリ、 24 計測器、 25 操作器
26 通信器、 30 情報処理装置、 31 プロセッサ、 32 ストレージ
33 メモリ、 34 通信器、 35 タイマ、 40 報知装置
41 プロセッサ、 42 ストレージ、 43 メモリ、 44 報知器
45 操作器、 46 通信器、 50 報知画面、 51 対象者領域
52 第一領域、 53 第二領域、 54 排泄ボタン、 60 通信ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の排泄欲求の予測に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エコシステムを開示する。エコシステムは、排尿を検出及び予測する。エコシステムは、ウェアラブルデバイス、排尿検出センサ、ハブ、ネットワークで制御可能な装置、コンピューティングデバイス及びアプリケーションサーバを含む。エコシステムでは、前述のデバイスは直接的に接続又はネットワークに接続される。ウェアラブルデバイスは、使用者からの生物測定的データを収集する。生物測定的データは、個人に関するデータ及び使用者の環境に関連するデータを含む。生物測定的データの例は、心拍数、運動、周囲温度、体温、血液の酸素化、皮膚伝導度、血圧、心電図データ、脳波データ、筋電図データ、呼吸数、睡眠の質、睡眠の深さ、安静又は心拍変動データを含む。生物測定的データは、次の点に関する使用者の入力を含むことができる。前述の点は、排尿事象、排尿の衝動、排尿事象の欠如又は排尿の衝動の欠如を示す。使用者は、入力時、ウェアラブルデバイスのボタンを押す。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて予想排尿時間を予測するための処理を実行する。データ、予想排尿時間及び使用者モデルは、次の個人を示す使用者識別子に関連付けられる。生物測定的データはこの個人から収集され、この個人には予想排尿時間が適用される。生物測定的データは、ウェアラブルデバイスによって収集され、アプリケーションサーバに連続的又は定期的にアップロードされる。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて排尿事象がいつ発生すると予想されるかを判定することができる。アプリケーションサーバは、予想排尿時間を判定すると、予想排尿時間をウェアラブルデバイス及び/又は介護者のコンピューティングデバイスに送信することができる。更新又は警報は、ウェアラブルデバイスの刺激を喚起する。刺激は、切迫した排尿事象を使用者に警告することができる。更新又は警報は、次の機能をネットワーク制御可能な装置に実行させることができる。前述の機能は、ネットワーク制御可能な電球を所望の色又は強度に作動及び/又は変更させ、又はネットワーク制御可能な音源に聴覚刺激を提供する。更新又は警報によってコンピューティングデバイスが刺激を喚起し、切迫した排尿事象を介護者又は使用者に警告することができる。ウェアラブルデバイスは、現在の生物測定的データを継続してモニタリングし、現在の生物測定的データに従って予想排尿時間を動的に更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢化が進展し、日常生活を送る上で人の支援を必要とする対象者が増加している。発明者は、対象者の排泄に関する処置は、対象者の日常生活を支援する者の負担になっていることを知っている。例えば、発明者は、介護現場において、要介護者又は要支援者の排泄物の処置は介護者の負担になっていることを知っている。そこで、発明者は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減するため、対象者の排泄欲求を予測する技術について検討した。排泄欲求は、排泄物を排泄したいという感覚を意味する。
【0005】
本発明は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置である。
【0007】
この情報処理装置によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0008】
情報処理装置は、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行し、前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0010】
情報処理装置は、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0012】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0014】
情報処理装置は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、ようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得工程と、前記第一取得工程で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録工程と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測工程は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄予測方法である。
【0017】
この排泄予測方法によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0018】
排泄予測方法は、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得工程を含み、前記登録工程は、前記第一取得工程で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0020】
排泄予測方法は、前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、前記登録工程は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0022】
前記予測工程は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、前記第一予測工程は、前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測工程は、前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測工程を選択し、第二対象者に対しては第二予測工程を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測工程によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測工程によって予測することが可能となる。
【0024】
排泄予測方法は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、ようにしてもよい。
【0025】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0026】
本発明の更に他の側面は、プロセッサに、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラムである。
【0027】
このプログラムによれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される生体情報に対応する値を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される生体情報に対応する値の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。
【0028】
プログラムは、前記プロセッサに、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行させ、前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、ようにしてもよい。
【0029】
この構成によれば、第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0030】
プログラムは、前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0031】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0032】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0033】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0034】
前記プロセッサに、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、ようにしてもよい。
【0035】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】排泄
予測システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】報知画面の概略構成の一例を示す画像図である。上段は、報知画面の初期状態を示す。下段は、報知画面の予測状態を示す。上段及び下段の報知画面は、対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」用の3人分の対象者領域を含む。
【
図3】予測モデルの設定方法の概略の一例を説明する説明図である。
【
図5】排泄
予測処理の第一部分のフローチャートである。
【
図6】排泄
予測処理の第二部分のフローチャートである。
【
図7】心拍数データベースの概略構成の一例を示す図である。ユーザIDが「AAA」、「BBB」及び「CCC」である3人分の心拍数データベースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。
【0039】
<排泄
予測システム10>
排泄
予測システム10の概略構成について
図1,2を参照して説明する。排泄
予測システム10は、計測装置20と、情報処理装置30と、報知装置40とを含む(
図1参照)。排泄
予測システム10で情報処理装置30は、計測装置20及び報知装置40とそれぞれデータ通信する。例えば、計測装置20及び情報処理装置3
0は通信ネットワーク60を介して互いに接続され
、情報処理装置30及び報知装置40は通信ネットワーク60を介して互いに接続される。通信ネットワーク60は、特定の通信方式の通信ネットワークに限定されず、公知である各種の通信ネットワークを含む。従って、通信ネットワーク60を介したデータ通信は、有線通信及び無線通信の何れであってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。この他、通信ネットワーク60は、インターネットであってもよく、LAN(Local Area Network)であってもよく、2台の装置をローカルに接続する通信方式であってもよく、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせであってもよい。2台の装置をローカルに接続する通信方式の例としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fi Directが挙げられる。
【0040】
計測装置20は、計測処理(後述する
図4参照)を実行する。計測装置20は、計測処理の実行に伴い計測方法を実施し、対象者の生体情報を計測する。計測処理及び計測方法については後述する。対象者の例としては、日常生活を送る上で人の支援を必要とする者が挙げられる。「支援」は、自分以外の者の日常生活を助けることを意味する。例えば、「支援」は、介護現場における介護及び介助を含み、医療現場における看護を含み、及び家庭及び教育現場における乳児及び幼児の世話を含む。実施形態では、対象者を支援する者を「支援者」という。生体情報の例としては、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形が挙げられる。計測装置20は、生体情報の計測を所定の一定間隔で繰り返す。
【0041】
計測装置20は、生体情報を計測した場合、この生体情報を情報処理装置30に送信する。排泄予測システム10が複数の対象者を予測の対象とするとする。この場合、排泄予測システム10は、ユーザIDを採用する。ユーザIDは、対象者固有の識別子であり、対象者を識別する。排泄予測システム10が所定の施設で利用され、施設内で対象者のいる場所が特定されているとする。この場合、ユーザIDは、対象者のいる場所固有の識別子であってもよい。所定の施設の例としては、介護施設及び病院が例示される。実施形態では、排泄予測システム10はユーザIDを採用する。これに伴い、排泄予測システム10は、複数の対象者を予測の対象とすることができる。
【0042】
計測装置20は、送信対象の生体情報と共にユーザIDを情報処理装置30に送信する。即ち、生体情報は、ユーザIDに関連付けられた状態で計測装置20から情報処理装置30に送信される。計測装置20は、生体情報の計測を1秒間隔で繰り返して計測してもよく、及び生体情報及びユーザIDを1秒間隔で送信してもよい。計測間隔及び送信間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0043】
情報処理装置30は、排泄
予測処理(後述する
図5参照)を実行する。情報処理装置30は、排泄
予測処理の実行に伴い排泄
予測方法を実施し、対象者の排泄欲求を予測する。排泄欲求は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚を意味する。排泄物を排泄したいという感覚は、排泄物が小便である場合には「尿意」を意味し、排泄物が大便である場合には「便意」を意味する。情報処理装置30は、排泄
予測処理
及び排泄
予測方
法に計測装置20からの生体情報を用いる。従って、排泄
予測処理
及び排泄
予測方
法によって予測される排泄欲求は、生体情報に関連付けられたユーザIDによって識別される対象者を対象とする。
【0044】
情報処理装置30は、予測された排泄欲求に対応する欲求状態を報知装置40に送信する。欲求状態は、排泄欲求の程度を示す。その際、情報処理装置30は、送信対象の欲求状態と共に次のユーザIDを報知装置40に送信する。このユーザIDは、排泄予測処理及び排泄予測方法で送信対象の欲求状態の排泄欲求を予測する際に用いられる生体情報に関連付けられる。即ち、欲求状態は、ユーザIDに関連付けられた状態で情報処理装置30から報知装置40に送信される。
【0045】
報知装置40は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する(
図2下段参照)。排泄
予測システム10が複数の対象者を予測の対象とする場合、報知装置40は、欲求状態と共に対象者情報を報知してもよい。対象者情報は、欲求状態に関連付けられたユーザIDに対応する。報知装置40は、報知処理(後述する
図8参照)を実行し、排泄情報を受け付ける。排泄情報は、対象者が排泄物を排泄したことを示す。排泄情報は、対象者のユーザIDに関連付けられる。報知装置40は、排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0046】
実施形態では、生体情報を心拍数とし、予測対象の排泄欲求を尿意とし、排泄物を小便とする。この場合、排泄
予測処理及び排泄予測方法は、対象者の尿意を予測する。人は、膀胱内に一定量以上蓄尿されると膀胱内圧が高まることで、この刺激が副交感神経
に伝わり、尿意を感じる。人の心拍数は尿意に応じて変化する。膀胱内の蓄尿量は、経時的に増加する。これに伴い、尿意も経時的に強くなる。欲求状態の例としては、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。但し、実施形態では、欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」の2個とする。欲求状態として設定する態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。排泄情報は、対象者が排尿したことを示す。報知装置40による欲求状態の報知は、「表示」によって行われることとする。対象者として「AAA」、「BBB」及び「CCC」の3人を例示する(
図2参照)。対象者「AAA」のユーザIDを「AAA」とし、対象者「BBB」のユーザIDを「BBB」とし、対象者「CCC」のユーザIDを「CCC」とする(後述する
図7参照)。
【0047】
<計測装置20>
計測装置20は、プロセッサ21と、ストレージ22と、メモリ23と、計測器24と、操作器25と、通信器26とを備える(
図1参照)。プロセッサ21は、演算処理を実行する。ストレージ22は、プロセッサ21が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ22の例としては、フラッシュメモリ及びROMが挙げられる。
ストレージ22は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、計測処理(
図4参照)用のプログラムが挙げられる。
データの例としては、ユーザIDが挙げられる。ユーザIDは、計測処理用のプログラム
に登録される。ストレージ22は、計測装置20の本体
(制御装置)に外部接続されていてもよい。この場合、計測装置20は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ22を計測装置20の本
体に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介してストレージ22にアクセスする。
【0048】
メモリ23は、プロセッサ21がストレージ22に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ23は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ21は、ストレージ22に記憶された計測処理用のプログラムをメモリ23を用いて実行する。これに伴い、計測装置20は計測方法を実施する。
【0049】
計測器24は、生体情報を計測する。プロセッサ21は、計測器24から生体情報を取得する。実施形態では、計測器24は、心拍計であり、生体情報としての心拍数を計測する。通信器26は、計測装置20を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。
【0050】
操作器25は、計測装置20に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器25は、計測処理の開始指示を受け付ける。操作器25の例としては、ハードウェアキー及びタッチパネルが挙げられる。ハードウェアキーの例としては、操作ボタンが挙げられる。実施形態では、計測装置20で操作器25と共にタッチパネルとなる表示器の説明及び図示は省略する。操作器25の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0051】
通信器26は、計測器24で計測された心拍数を情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器26は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して計測装置20を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器26の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器26の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0052】
計測装置20は、計測処理の実行に伴う計測方法の実施時、計測器24で心拍数を計測し、通信器26から心拍数を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。計測装置20の例としては、ウェアラブルデバイスが挙げられる。計測装置20としてのウェアラブルデバイスの例としては、スマートウォッチが挙げられる。
【0053】
計測装置20は、制御装置及び計測器24を別体で含み、制御装置及び計測器24をデータ通信可能に接続させた態様としてもよい。制御装置は、プロセッサ21、ストレージ22、メモリ23及び通信器26に加え、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、計測器24を制御装置に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介して生体情報を取得する。制御装置の例としては、コンピュータが挙げられる。制御装置としては、ラズベリーパイ(登録商標)と称される小型のコンピュータを採用してもよい。制御装置を含む計測装置20で採用可能な計測器24の例としては、マット型センサが挙げられる。計測器24としてのマット型センサは、布団又はマットレスの下に設置され、その上で横になる対象者の心拍数を計測する。
【0054】
心拍計測及び通信の両機能を備える計測装置は、既に実用化され、公知である。計測装置20は、上述した要素の他、公知の計測装置が備える要素を備えていてもよい。但し、計測装置20は、計測処理用のプログラムがストレージ22に記憶されている点で公知の計測装置と相違する。
【0055】
<情報処理装置30>
情報処理装置30は、プロセッサ31と、ストレージ32と、メモリ33と、通信器34と、タイマ35とを備える(
図1参照)。プロセッサ31は、演算処理を実行する。ストレージ32は、プロセッサ31が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ32の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ32としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ32はROMを含んでもよい。ストレージ32は、情報処理装置30の本体内にプロセッサ31及びメモリ33と共に設けられ、更に、情報処理装置30の本体に外部接続されていてもよい。この場合、情報処理装置30は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ32を情報処理装置30の本体に接続する。プロセッサ31は、接続インターフェースを介してストレージ32にアクセスする。
【0056】
ストレージ32は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、排泄
予測処理(
図5,6参照)用のプログラムが挙げられる。排泄
予測処理用のプログラムは、選択処理(
図5のS202参照)用のプログラムを含む。データの例としては、複数の予測モデル及び複数の心拍数データベースが挙げられる。排泄
予測処理
及び排泄
予測方
法では、排泄欲求の予測は複数の予測モデルにそれぞれ設定されたレベル基準値に応じて行われる。レベル基準値は、連続する2回の排泄の間隔に応じて適宜決定される。実施形態では、排泄物を小便とするから、連続する2回の排泄の間隔は連続する2回の小便の排泄(排尿)の間隔となる。複数の予測モデルは、排泄
予測処理用のプログラムに登録される。排泄
予測処理用のプログラムによるプロセスは、複数の予測モデルにアクセスする。心拍数データベースは、ユーザIDに関連付けて時間及び心拍数を登録する(
図7参照)。
【0057】
排泄予測処理用のプログラム及び複数の予測モデルは、ストレージ32に事前にインストールされる。心拍数データベースは、排泄予測処理の実行時に作成される。
【0058】
実施形態では、複数の予測モデルとして2個の予測モデルを例示する。2個の予測モデルを区別する場合、「第一予測モデル」及び「第二予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、単に「予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルの相違は、レベル基準値の相違である。予測モデル数は、3個以上としてもよい。予測モデル数は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、発明者は5個の予測モデルによる排泄予測システムを検討する。予測モデルの設定手法については後述する。
【0059】
実施形態では、第一予測モデル用のレベル基準値として「第一レベル基準値」を定義し、第二予測モデル用のレベル基準値として「第二レベル基準値」を定義する。第一レベル基準値及び第二レベル基準値は、管理値の比較対象とされる。管理値については後述する。第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値を超えている場合(
図5のS214:Yes参照)、欲求状態は「尿意あり」であると予測
される。管理値が第一レベル基準値を超えていない場合(
図5のS214:No参照)、欲求状態は「尿意なし」であると予測
される。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測
される。管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、欲求状態は「尿意なし」であると予測
される。
【0060】
但し、第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測されてもよい。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測されてもよい。
【0061】
排泄
予測処理
及び排泄
予測方
法における「超えている」及び「超えていない」について説明する(
図5のS210,S214参照)。この説明では、「比較値」及び「基準値」を例として用いる。比較値は変化量に対応し及び基準値は累積基準値に対応し(
図5のS208~S212参照)、又は比較値は管理値に対応し及び基準値はレベル基準値に対応する(
図5のS212,S214参照)。変化量及び累積基準値については後述する。尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定し、基準値を「マイナス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より小さい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より大きい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定し、基準値を「プラス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より大きい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より小さい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。実施形態では、
排泄予測処理及び排泄予測方法は、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。但し、
排泄予測処理及び排泄予測方法は、尿意が強くなる場合の変化量
を「プラス」に設定してもよい。
【0062】
メモリ33は、プロセッサ31がストレージ32に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ33は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ31は、ストレージ32に記憶された排泄予測処理用のプログラムをメモリ33を用いて実行する。これに伴い、情報処理装置30は排泄予測方法を実施する。
【0063】
通信器34は、情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して計測装置20及び報知装置40と通信する。通信器34は、計測装置20から送信される心拍数及びユーザIDを受信する。通信器34は、報知装置40から送信される排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34を介して、心拍数及びユーザIDと、排泄情報及びユーザIDとを取得する。通信器34は、欲求状態及びユーザIDを報知装置40に送信する。実施形態では、通信器34は、有線通信の通信方式に対応し、有線通信を介して情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器34の通信方式は、無線通信であってもよい。通信器34の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0064】
タイマ35は、時間の経過を計測する。この他、タイマ35は、現在時刻を計測してもよい。タイマ35は、ハードウェアによる構成であってもよく、又はソフトウェアによる構成であってもよい。
【0065】
情報処理装置30の例としては、サーバ装置が挙げられる。情報処理装置30は、上述した要素の他、公知のサーバ装置が備える要素を備えていてもよい。但し、情報処理装置30は、排泄予測処理用のプログラム及び複数の予測モデルがストレージ32に記憶されている点で公知のサーバ装置と相違する。
【0066】
<報知装置40>
報知装置40は、プロセッサ41と、ストレージ42と、メモリ43と、報知器44と、操作器45と、通信器46とを備える(
図1参照)。プロセッサ41は、演算処理を実行する。ストレージ42は、プロセッサ41が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ42の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ
42としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ
42はROMを含んでもよい。ストレージ42は、報知装置40の本体(制御装置)内にプロセッサ
41及びメモリ
43と共に設けられ、更に、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。
【0067】
ストレージ42は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、報知処理用(
図8参照)のプログラムが挙げられる。データの例としては、報知画面データ
及びユーザIDが挙げられる。報知画面データは、報知画面50(
図2参照)を表す。報知画面データは、レイアウトデータを含む。レイアウトデータは、報知画面50のレイアウトを定義する。報知画面データ
及びユーザIDは、報知処理用のプログラムに登録される。
【0068】
ストレージ42は、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。この場合、報知装置40は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ42を報知装置40の本体に接続する。プロセッサ41は、接続インターフェースを介してストレージ42にアクセスする。
【0069】
メモリ43は、プロセッサ41がストレージ42に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ43は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ41は、ストレージ42に記憶された報知処理用のプログラムをメモリ43を用いて実行する。これに伴い、報知装置40は報知方法を実施する。
【0070】
報知器44は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する。実施形態では、報知器44は、ディスプレイであり、排泄欲求の欲求状態を報知するために報知画面50を表示する(
図2参照)。報知画面50は、対象者毎に区分けされた対象者領域51を含む。
報知画面50は、報知処理用のプログラムに登録されたユーザIDと同数の対象者領域51を含む。対象者領域51は、第一領域52と、第二領域53と、排泄ボタン54とを含む。報知画面50のこのようなレイアウトは、上述した通り、レイアウトデータによって定義される。
【0071】
第一領域52は、対象者情報を表示する。対象者情報は、ユーザIDに対応する。第二領域53は、欲求状態を表示する。対象者領域51では、対象者情報及び欲求状態が関連付けて表示される。即ち、対象者領域51は、対象者の排泄欲求を示す。支援者は、対象者領域51に表示された対象者情報及び欲求状態を確認することができる。支援者は、対象者情報が示す対象者の欲求状態を理解し、この対象者に対する支援の必要又は不要を判断する。排泄ボタン54には、排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、排泄ボタン54が設けられた対象者領域51の第一領域52に表示された対象者情報に対応する。排泄情報及びユーザIDは関連付けられる。
【0072】
操作器45は、報知装置40に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器45は、報知画面50の排泄ボタン54に対する押下を受け付ける。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含んでもよく、又は報知器44と一体で設けられてタッチパネルを形成してもよい。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含み、更に、報知器44と共にタッチパネルを形成してもよい。操作器45の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。操作器45で排泄ボタン54に対する操作が受け付けられた場合、プロセッサ41は排泄情報及び次のユーザIDを取得する。このユーザIDは、押下が受け付けられた排泄ボタン54と共に表示された対象者情報に対応する。
【0073】
通信器46は、報知装置40を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。通信器46は、情報処理装置30から送信される欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46を介して欲求状態及びユーザIDを取得する。通信器46は、プロセッサ41による排泄情報及びユーザIDの取得に応じて、排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器46は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して報知装置40を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器46の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器46の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0074】
報知装置40は、報知処理の実行時(報知方法の実施時)、報知画面50を報知器44に表示し、通信器46から排泄情報を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。報知装置40の例としては、制御装置と報知器44としてのディスプレイとの組み合わせが挙げられる。報知装置40では、制御装置及びディスプレイは別体であってもよく又は一体であってもよい。別体型の制御装置及びディスプレイの例としては、ディスプレイ別体型のコンピュータ(デスクトップコンピュータ)が挙げられる。一体型の制御装置及びディスプレイの例としては、ディスプレイ一体型のコンピュータ(ラップトップコンピュータ)、タブレット端末及びスマートフォンが挙げられる。制御装置は、プロセッサ41、ストレージ42、メモリ43及び通信器46に加え、接続インターフェースを備える。操作器45は、制御装置に設けられていてもよく、又はディスプレイに設けられていてもよい。接続インターフェースは、ディスプレイを制御装置に接続する。プロセッサ41は、表示指令を接続インターフェースを介してディスプレイに出力する。
【0075】
情報の報知及び指示の受け付けの両機能を備える報知装置は、既に実用化され、公知である。報知装置40は、上述した要素の他、公知の報知装置が備える要素を備えていてもよい。但し、報知装置40は、報知処理用のプログラムがストレージ42に記憶されている点で公知の報知装置と相違する。
【0076】
<予測モデルの設定方法>
発明者が実施した予測モデルの設定方法の概略について
図3を参照して説明する。発明者は、複数の予測モデルの設定に際し、複数の被験者を対象とした実験を行い、この実験結果を用いて複数の予測モデルを設定した。複数の被験者は、何れも基礎疾患のない高齢者とした。実験では、所定期間継続して、被験者の心拍データを採取し及び被験者の排泄欲求(欲求状態)の変化を電子的に記録した。排泄欲求の記録は心拍データの採取と同じタイミングで実施され
、心拍データの採取期間に
排泄欲求を記録した。
【0077】
排泄欲求の記録の方法は、概ね次の通りとした。この方法では、記録装置を用いた。被験者は、尿意を感じた場合に記録装置に第一指示を入力する。第一指示は、「尿意あり」に関連付けられる。記録装置は、第一指示の入力を受け付けた場合に第一タイムスタンプを記録する。第一タイムスタンプは、第一指示の入力時刻を示す。被験者は、トイレに向かった場合又は小便を排泄した場合に第二指示を入力する。第二指示は、「排泄(排尿)」に関連付けられる。記録装置は、第二指示の入力を受け付けた場合に第二タイムスタンプを記録する。第二タイムスタンプは、第二指示の入力時刻を示す。被験者は、感じていた尿意が感じられなくなった場合に第三指示を入力する。第三指示は、「尿意なし」に関連付けられる。記録装置は、第三指示の入力を受け付けた場合に第三タイムスタンプを記録する。第三タイムスタンプは、第三指示の入力時刻を示す。
【0078】
第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプは、被験者の排泄欲求を特定する。例えば、被験者は、次の第一期間及び第二期間には尿意を感じていない。第一期間は、記録開始後から第一タイムスタンプまでである。第二期間は、第三タイムスタンプから第一タイムスタンプまでである。被験者は、次の第三期間及び第四期間には尿意を感じている。第三期間は、第一タイムスタンプから第二タイムスタンプまでである。第四期間は、第一タイムスタンプから第三タイムスタンプまでである。
【0079】
実験によって数百パターンの心拍データが心拍データの採取元である被験者の排泄欲求に関連付けて収集される。更に、心拍データには、第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプから上述したように特定される第一期間、第二期間、第三期間又は第四期間を関連付けることができる。例えば、今回の実験は、第一状態である場合における被験者の心拍数、第二状態である場合における被験者の心拍数及び第一状態から第二状態へと変化する場合における被験者の心拍数変化を収集する。第一状態では、被験者は尿意を感じていない。第二状態では、被験者は尿意を感じている。
【0080】
実験によって収集された心拍データ及び排泄欲求の記録の複数の組み合わせは、コンピュータによって処理され、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットが生成される。コンピュータの例としては、情報処理装置30が挙げられる。但し、コンピュータは、ハードウェア的には情報処理装置30とは異なっていてもよい。処理の例としては、データクレンジングが挙げられる。この処理によって、心拍データによって示される心拍波形が平常時の心拍波形及び排泄前の心拍波形に編集される。平常時は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じていない状態に対応する。排泄前は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じている状態に対応する。
【0081】
コンピュータは、平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された予測モデルに対応するテストデータを用いてこの予測モデルの精度を検証し、この予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて複数の予測モデルを構築する。複数の予測モデルには、それぞれ異なるレベル基準値が設定される。
【0082】
コンピュータが構築する予測モデルが第一予測モデルであり、第一予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間未満の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間未満である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第一予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第一予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第一予測モデルの精度を検証し、この第一予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第一予測モデルを構築する。第一予測モデルには、第一レベル基準値が設定される。
【0083】
コンピュータが構築する予測モデルが第二予測モデルであり、第二予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間以上の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間以上である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第二予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第二予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第二予測モデルの精度を検証し、この第二予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第二予測モデルを構築する。第二予測モデルには、第二レベル基準値が設定される。
【0084】
<計測処理>
計測処理について
図4を参照して説明する。計測処理は、計測装置20で実行される。計測装置20では、操作器25で計測処理の開始指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の開始指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の開始指示を取得する。続けて、プロセッサ21は、計測処理の開始指示の取得に応じてストレージ22
に記憶された計測処理
用のプログラムを起動し、計測処理を開始する。これに伴い、計測装置20は計測方法を開始する。プロセッサ21は、開始指令を計測器24に出力する。計測器24は、対象者の生体情報としての心拍数の計測を開始する。計測器24は、対象者の心拍数の計測を継続し、計測された心拍数を繰り返して出力する。
【0085】
プロセッサ21は、計測器24から出力された心拍数を取得する(S100)。続けて、プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDを送信させる(S102)。プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDの送信指令を通信器26に出力する。心拍数及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器26は、送信指令に従い心拍数及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0086】
その後、プロセッサ21は、計測処理の終了指示を取得したかを判断する(S104)。計測装置20では、操作器25で計測処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の終了指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の終了指示を取得する。プロセッサ21は、終了指示を取得していない場合(S104:No)、処理をS100に戻す。その後、プロセッサ21は、S100以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ21は、終了指示を取得した場合(S104:Yes)、計測処理を終了する。これに伴い、計測器24は心拍数の計測を終了する。
【0087】
<排泄
予測処理>
排泄
予測処理について
図5,6及び
図7を参照して説明する。排泄
予測処理は、情報処理装置30で実行される。情報処理装置30では、排泄
予測処理は次のように開始されてもよい。即ち、プロセッサ31は、情報処理装置30の起動後、
ストレージ32に記憶された排泄
予測処理
用のプログラムを
自動的に起動し、排泄
予測処理を開始する。これに伴い、情報処理装置30は排泄
予測方法を開始する。但し、このような排泄
予測処理の開始手順は例示である。排泄
予測処理の開始手順は、諸条件を考慮して適宜決定される。プロセッサ31は、排泄
予測処理用のプログラムによるプロセスを予測の対象である対象者と同じ数だけ実行する。排泄
予測処理用のプログラムによるプロセスを単に「プロセス」という。1個のプロセスは、1人の対象者に対応する。複数のプロセスは、ユーザIDによって識別される。
【0088】
プロセッサ31は、心拍数及びユーザIDの取得を開始する(S200)。心拍数及びユーザIDは、繰り返して実行される
図4のS102で計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。排泄
予測システム10が複数の計測装置20を備えるとする。この場合、心拍数及びユーザIDは、複数の計測装置20で繰り返して実行される
図4のS102で各計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。プロセッサ31は、通信器34で受信された心拍数及びユーザIDを通信器
34から取得する。
【0089】
プロセッサ31は、心拍数データベースに、S200で取得された心拍数及びユーザIDを関連付けて登録し、更に時間を登録する(
図7参照)。換言すれば、プロセッサ31は、ユーザIDに関連付けられた心拍数データベースに心拍数及び時間を登録する。「時間」は、心拍数及びユーザIDが取得された時間を示す。複数の対象者を予測の対象とする場合、心拍数データベースはユーザID毎に管理してもよい(
図7参照)。心拍数と共にS200で取得されたユーザIDに関連付け
られた心拍数データベース
が作成されていないとする。この場合、プロセッサ31は、新たな心拍数データベースにこのユーザIDを設定し、更に、時間及び心拍数を登録する。心拍数データベースは、ユーザID毎に分割させた形式(
図7参照)であってもよく、又は1個の心拍数データベースに複数のユーザIDを登録させた形式(不図示)であってもよい。心拍数データベースの形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0090】
次に、プロセッサ31は、選択処理を実行する(S202)。選択処理では、
実行中のプロセスが対象とする対象者に合った予測モデルが複数の予測モデルから選択される。
実施形態では、実行中のプロセスが対象とするユーザIDは、そのプロセスにおけるS200のユーザIDに対応する。即ち、プロセッサ31は、選択処理によって第一予測モデル又は第二予測モデルを選択する。選択処理は、一定数以上の心拍数及び対象者の年代をデータとして、cox比例ハザードモデルによる統計解析を実行する。S202で選択処理は、これの開始時から過去20分間に取得された心拍数をデータとする。計測装置20での心拍数及びユーザIDの送信(
図4のS102参照)が1秒間隔で実行されるとする。この場合、20分間で取得される心拍数は、1200個である。但し、予測モデルの選択に用いる心拍数の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。S202でプロセッサ31は、cox比例ハザードモデルによる解析結果から推測される対象者の排泄の間隔に合った予測モデルを選択する。プロセッサ31は、選択された予測モデルをメモリ43に記憶する。予測モデルは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。
プロセッサ31は、一定数以上の心拍数が心拍数データ
ベースに登録されていない場合
、予測モデルを選択することなく選択処理を終了する。
【0091】
続けて、プロセッサ31は、予測モデルを選択したかを判断する(S204)。プロセッサ31は、予測モデルが選択されていない場合(S204:No)、処理をS202に戻し、再度、選択処理を実行する。プロセッサ31は、20分間分の心拍数が心拍数データベースに登録されていないために選択処理を終了していた場合、S204の判断を否定する。
【0092】
プロセッサ31は、予測モデルを選択した場合(S204:Yes)、未取得の変化量があるかを判断する(S206)。変化量は、心拍数データベースに登録された2個の心拍数の差である。対象とする心拍数データベースは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。変化量は、取得の時間が一定時間異なる2個の心拍数から算出される。この場合、後に取得された心拍数は、先に取得された心拍数の時間から一定時間経過後に取得される。心拍数の算出について、
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。実施形態では、説明の便宜上、1秒間隔で連続して取得された2個の心拍数から変化量を算出することとする。この場合、取得される変化量は「80(No.1)-79(No.2)=1」、「79(No.2)-80(No.3)=-1」、「80(No.3)-81(No.4)=-1」、・・・「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」である。変化量の算出のための2個の心拍数が取得された時間の間隔としての「1秒」は例示である。この間隔は、1秒とは異なる時間としてもよい。例えば、この間隔は、1秒より長くしてもよい。この間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0093】
プロセッサ31は、未取得の変化量がない場合(S206:No)、処理をS214に移行する。プロセッサ31は、未取得の変化量がある場合(S206:Yes)、変化量を取得する(S208)。
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。「No.X,X-1」の2個のレコードを対象とした変化量が未取得であるとする。この場合、プロセッサ31は、変化量として「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」を取得する。
【0094】
実施形態では、上述した通り、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。従って、S208でプロセッサ31は、先に取得された心拍数から後に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定したとする。この場合、S208でプロセッサ31は、後に取得された心拍数から先に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。
【0095】
続けて、プロセッサ31は、S208で取得された変化量と累積基準値とを比較し、変化量が累積基準値を超えているかを判断する(S210)。累積基準値は、予め設定され、排泄予測処理用のプログラムに登録される。実施形態のように、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する場合、累積基準値はマイナス値に設定される。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定する場合、累積基準値はプラス値に設定される。心拍数は、各種の事象を原因として変化する。発明者は、各種の実験を通して得られた結果から排泄欲求が時間の経過に伴い強くなっていく過程で心拍数の変化量を考察し、累積基準値を設定した。上述した実験は、この検討の一例である。累積基準値は、複数の予測モデルにおいて共通とする。但し、累積基準値は、複数の予測モデルの一部又は全部で異なる値に設定してもよい。これにより、累積基準値を予測モデル毎に適宜最適化することができる。プロセッサ31は、S202の選択処理で選択された予測モデルに対して設定された累積基準値に応じてS210を判断する。
【0096】
プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えていない場合(S210:No)、処理をS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えている場合(S210:Yes)、S208で取得された変化量を管理値に累積する(S212)。管理値は、変化量の累積である。排泄予測処理及び排泄予測方法は、変化量の累積を管理値として管理する。プロセッサ31は、排泄予測処理の実行時、管理値をプロセス毎に管理する。管理値の初期値は、所定の値に設定される。管理値の初期値の例としては、「0」が挙げられる。プロセッサ31は、S212を実行した後、処理をS206に戻す。
【0097】
S214でプロセッサ31は、管理値とレベル基準値とを比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第一予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第二予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。実施形態では、「管理値がレベル基準値を超えている」は、「管理値が第一レベル基準値を超えている」又は「管理値が第二レベル基準値を超えている」を
意味する。「管理値がレベル基準値を超えていない」は、「管理値が第一レベル基準値を超えていない」又は「管理値が第二レベル基準値を超えていない」を意味する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えている場合(S214:Yes)、処理を
図6のS216に移行する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えていない場合(S214:No)、処理を
図6のS218に移行する。
【0098】
S216でプロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0099】
S218でプロセッサ31は、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意なし」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0100】
S220でプロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。排泄情報及びユーザIDは、後述する
図8のS308で報知装置40から送信される。情報処理装置30は、通信器34で排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34で受信された排泄情報及びユーザIDを通信器34から取得する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDをメモリ33に記憶する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S220:No)、処理を
図5のS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。
【0101】
プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S220:Yes)、管理値を初期化する(S222)。初期化される管理値は、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けて管理される。
プロセッサ31は、S222を実行した後、処理を
図5のS202に戻す。その後、プロセッサ31は、S202以降の処理を繰り返して実行する。但し、プロセッサ31は、再度実行されるS202以降の処理を排泄情報を取得(
図6のS220:Yes参照)した後に通信器34からユーザIDと共に取得した心拍数及びこの心拍数から取得される変化量を用いて実行する。
【0102】
<報知処理>
報知処理について
図8を参照して説明する。報知処理は、報知装置40で実行される。プロセッサ41は、報知処理の開始指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の開始指示を取得する。プロセッサ
41は、ストレージ
42に記憶された報知処理
用のプログラムを起動し、報知処理を開始する。これに伴い、報知装置40は報知方法を開始する。
【0103】
プロセッサ41は、報知処理を開始後、報知器44に報知画面50を表示させる(S300)。プロセッサ41は、ストレージ42
に記憶された報知画面データから報知画面50を生成し、この報知画面50の表示指令を報知器44に出力する。報知器44は、報知画面50を表示する(
図2上段参照)。
【0104】
続けて、プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得したかを判断する(S302)。欲求状態及びユーザIDは、
図6のS216又はS218で情報処理装置30から送信される。報知装置40は、通信器46で欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46で受信された欲求状態及びユーザIDを通信器46から取得する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDをメモリ43に記憶する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得していない場合(S302:No)、処理をS306に移行する。
【0105】
プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得した場合(S302:Yes)、表示中の報知画面50を更新させる(S304参照)。更新後の報知画面50は、新たに取得された欲求状態を次の対象者領域51の第二領域53に含む。この対象者領域51は、今回取得されたユーザIDと同じユーザIDに対応する対象者情報を第一領域52に含む。即ち、更新後の報知画面50は、今回取得された欲求状態と今回取得されたユーザIDに対応する対象者情報とを関連付けて表示する。プロセッサ41は、更新指令を報知器44に出力する。更新指令は、表示中の報知画面50を前述した更新後の報知画面50へと更新させる。報知器44は、更新後の報知画面50を表示する(
図2下段参照)。
プロセッサ41は、S304を実行
した後
、処理をS306に移行する。
【0106】
今回取得された欲求状態が今回取得されたユーザIDに対応する対象者情報に関連付けて第二領域53に表示中の欲求状態と同じであるとする。この場合、プロセッサ41は、S304を省略してもよい。つまり、前述の場合、プロセッサ41は、S304を実行することなく、処理をS306に移行してもよい。
【0107】
S306でプロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。プロセッサ41は、排泄ボタン54に対する操作が操作器45で受け付けられた場合、操作された排泄ボタン54に設定された排泄情報及びユーザIDを取得する。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S306:No)、処理をS310に移行する。
【0108】
プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S306:Yes)、排泄情報及びユーザIDを送信させる(S308)。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDの送信指令を通信器46に出力する。排泄情報及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器46は、送信指令に従い排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0109】
その後、プロセッサ41は、報知処理の終了指示を取得したかを判断する(S310)。報知装置40では、操作器45で報知処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ41は、報知処理の終了指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の終了指示を取得する。プロセッサ41は、終了指示を取得していない場合(S310:No)、処理をS302に戻す。その後、プロセッサ41は、S302以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ41は、終了指示を取得した場合(S310:Yes)、報知処理を終了する。これに伴い、報知装置40は対象者の排泄欲求の欲求状態の報知を終了する。即ち、報知装置40は、報知画面50の表示を終了する。
【0110】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0111】
(1)情報処理装置30では、プロセッサ31が排泄
予測処
理を実行する(
図5,6参照)。これに伴い、情報処理装置30は、排泄
予測方法を実施する。情報処理装置30及び排泄
予測方法によれば、対象者の排泄欲求が管理値によって欲求状態「尿意あり」及び「尿意なし」の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される心拍数の変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。対象者の日常生活を支援する者
(支援者)の負担を軽減することができる。
【0112】
(2)排泄
予測処理は
、S208~S212を含む
(図5参照)。この構成によれば、時間
の経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0113】
(3)排泄
予測処理は、S202及びS214を含む
(図5参照)。この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」を想定する(
図2,7参照)。この場合、3人の対象者のうちの一部である第一対象者に
対しては第一予測モデルを選択し、3人の対象者のうちの他の一部である第二対象者に
対しては第二予測モデルを選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測モデルによるS214によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測モデルによるS214によって予測することが可能となる。
【0114】
(4)排泄
予測処理は
、S220及びS222を含む
(図6参照)。この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0115】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0116】
(1)排泄
予測システム10では、計測装置20及び報知装置40は別体の装置とした(
図1参照)。計測装置20及び報知装置40は、プロセッサ、ストレージ、メモリ、計測器、報知器、操作器及び通信器を含む装置又はシステムであってもよい。
【0117】
(2)情報処理装置30は、予測モデルとして、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを設定する。情報処理装置30は、予測モデルを次の情報に応じて細分化してもよい。この情報の例としては、対象者の性別及び対象者の体格が挙げられる。対象者の体格は、対象者の身長及び体重の一方又は両方を含む。例えば、情報処理装置
30は、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを、70歳代用、80歳代用及び90歳代以上用としてそれぞれ設定してもよい。この場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて細分化のための情報を記憶する。例えば、対象者の年代に応じて予測モデルを細分化する場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて対象者の年齢又は年代を記憶する。選択処理(
図5のS202参照)は、連続する2回の排泄の間隔及びその他の情報に応じて予測モデルを選択する。
【0118】
(3)排泄
予測処理(
図5,6参照)でプロセッサ31は、
図5のS210を変化量が累積基準値を超えているかによって判断する。
図5のS210の判断条件は、変化量が累積基準値を超えているか又は変化量が累積基準値に等しいかとしてもよい。つまり、プロセッサ31は、変化量が累積基準値に等しい場合、
図5のS210の判断を肯定する(
図5のS210:Yes参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、
図5のS212を実行する。これに対して、プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えておらず且つ変化量が累積基準値に等しくない場合、
図5のS210の判断を否定する(
図5のS210:No参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、処理を
図5のS
206に戻す。
【0119】
(4)排泄
予測処理でプロセッサ31は、
図5のS212で変化量を管理値に累積する。管理値は、変化量の累積でなくてもよい。管理値は、生体情報の累積としてもよい。例えば、プロセッサ31は、次の心拍数を管理値に累積してもよい。この心拍数は、
図5のS210の判断が肯定(
図5のS210:Yes参照)される変化量を算出するための2個の心拍数のうちの一方である。例えば、プロセッサ31は、先に取得された心拍数を管理値に累積してもよく、又は後に取得された心拍数を管理値に累積してもよい。予測モデルでは、管理値に応じたレベル基準値が適宜設定される。
【0120】
(5)排泄欲求の欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」とした(
図2下段参照)。但し、排泄欲求の欲求状態の例としては、上述した通り、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。そこで、排泄欲求の欲求状態として「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」を採用した場合について説明する。第一予測モデルは、レベル基準値として第一レベル基準値及び第三レベル基準値を定義する。第一予測モデルでは、第一レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第三レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。第二予測モデルは、レベル基準値として、第二レベル基準値及び第四レベル基準値を定義する。第二予測モデルでは、第二レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第四レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。プロセッサ31は、排泄
予測処理の
図5のS214~
図6のS218を次のように実行
する。
【0121】
選択処理(
図5のS202参照)で第一予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、
図5のS206の判断が否定された場合(
図5のS206:No参照)、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えていない場合、管理値が第三レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第三レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0122】
選択処理
(図5のS202参照)で第二予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、
図5のS206の判断が否定された場合(
図5のS206:No参照)、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、管理値が第四レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第四レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0123】
プロセッサ31は、欲求状態及びユーザIDの送信を
図6のS216又はS218と同様に実行する。その後、プロセッサ31は処理を
図6のS220に移行する。排泄欲求の欲求状態は、更に細分化してもよい。予測モデルでは、細分化された排泄欲求の欲求状態に対応させてレベル基準値が適宜設定される。プロセッサ31は、設定されたレベル基準値を用いて上記同様の管理値とレベル基準値を比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。その後、プロセッサ31は、上記同様、欲求状態及びユーザIDを送信させる。
【0124】
(6)排泄
予測処理でプロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻す。プロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻してもよい。この場合、その後に実行される
図5のS206以降の処理でプロセッサ31は、実行済みの選択処理で選択された予測モデル(
図5のS202,S204:Yes参照)を適用してもよい。
【0125】
(7)排泄
予測システム10は、排泄情報を報知装置40で受け付ける。排泄情報は、計測装置20で受け付けるようにしてもよい。この場合、計測装置20では、操作器25に対する特定の操作に対して排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、計測装置20を使用する対象者を示す。計測装置20でプロセッサ21は、
図8のS
306及びS308に相当する処理を実行する。この場合、計測処理は、
図4のS102及びS104の間に
図8のS306及びS308に相当する処理を含んでもよい。プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられていない場合、
図8のS
306に相当する判断を否定し(
図8のS306:No参照)、処理を
図4のS104に移行する。これに対して、プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられた場合、
図8のS
306に相当する判断を肯定し(
図8のS
306:Yes参照)、
図8のS
308に相当する処理を実行し、その後、処理を
図4のS104に移行する。
【0126】
(8)報知装置40は、報知器44を含み、報知画面50を報知器44に表示する(
図2下段参照)。報知画面50は、対象者領域51を含み、
対象者情報及び欲求状
態を関連付けて第一領域52及び第二領域53にそれぞれ表示する。報知画面は、報知画面50とは異なる態様であってもよい。報知画面の態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0127】
欲求状態は、文字情報とは異なり、支援者が対象者の排泄欲求を視覚的に認識可能な形式としてもよい。視覚的に認識可能な形式の例としては、色分けによる区別及び図形を用いた区別が挙げられる。図形の例としては、グラフが挙げられる。欲求状態は、文字情報及び視覚的に認識可能な形式の組み合わせであってもよい。
【0128】
この他、報知装置40による欲求状態の報知は、音による方式であってもよく、又は光による方式であってもよい。更に、報知装置40による欲求状態の報知は、報知画面、音及び光のうちの2個以上の組み合わせであってもよい。
【0129】
(9)実施形態では、生体情報として心拍数を例示した。発明者は、これまでの検討の結果、対象者の排泄欲求を心拍数とは異なる生体情報によって予測することが可能であると考える。即ち、発明者は、心拍数の他の生体情報として例示した、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形の何れかによっても対象者の排泄欲求を予測することが可能であると考える。更に、発明者は、前述の生体情報によって対象者の便意を予測することができると考える。即ち、発明者は、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形の何れかから特定される情報の変化量を累積させた管理値は、対象者の尿意及び便意といった排泄欲求の程度と関係を有すると考える。対象者の排泄欲求の程度は、複数種の生体情報の組み合わせによって予測してもよい。
【符号の説明】
【0130】
10 排泄予測システム、 20 計測装置、 21 プロセッサ
22 ストレージ、 23 メモリ、 24 計測器、 25 操作器
26 通信器、 30 情報処理装置、 31 プロセッサ、 32 ストレージ
33 メモリ、 34 通信器、 35 タイマ、 40 報知装置
41 プロセッサ、 42 ストレージ、 43 メモリ、 44 報知器
45 操作器、 46 通信器、 50 報知画面、 51 対象者領域
52 第一領域、 53 第二領域、 54 排泄ボタン、 60 通信ネットワーク
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置。
【請求項2】
第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行し、
前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得工程と、
前記第一取得工程で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、
前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測工程は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄予測方法。
【請求項8】
第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得工程を含み、
前記登録工程は、前記第一取得工程で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項7に記載の排泄予測方法。
【請求項9】
前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、
前記登録工程は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項8に記載の排泄予測方法。
【請求項10】
前記予測工程は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、
前記第一予測工程は、
前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測工程は、
前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の排泄予測方法。
【請求項11】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の排泄予測方法。
【請求項12】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項10に記載の排泄予測方法。
【請求項13】
プロセッサに、
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の生体情報を繰り返して取得する第一取得処理と、
前記第一取得処理で前記生体情報が取得された場合、前記生体情報に対応する値を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記生体情報に対応する値を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラム。
【請求項14】
前記プロセッサに、第一タイミングで取得された前記生体情報としての第一生体情報と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記生体情報としての第二生体情報と、の変化量を前記生体情報に対応する値として取得する第二取得処理を実行させ、
前記登録処理は、前記第一取得処理で前記生体情報が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記登録済みの管理値に前記生体情報に対応する値としての前記変化量を累積する、請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項13から請求項15の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項13から請求項15の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項16に記載のプログラム。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の排泄欲求の予測に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エコシステムを開示する。エコシステムは、排尿を検出及び予測する。エコシステムは、ウェアラブルデバイス、排尿検出センサ、ハブ、ネットワークで制御可能な装置、コンピューティングデバイス及びアプリケーションサーバを含む。エコシステムでは、前述のデバイスは直接的に接続又はネットワークに接続される。ウェアラブルデバイスは、使用者からの生物測定的データを収集する。生物測定的データは、個人に関するデータ及び使用者の環境に関連するデータを含む。生物測定的データの例は、心拍数、運動、周囲温度、体温、血液の酸素化、皮膚伝導度、血圧、心電図データ、脳波データ、筋電図データ、呼吸数、睡眠の質、睡眠の深さ、安静又は心拍変動データを含む。生物測定的データは、次の点に関する使用者の入力を含むことができる。前述の点は、排尿事象、排尿の衝動、排尿事象の欠如又は排尿の衝動の欠如を示す。使用者は、入力時、ウェアラブルデバイスのボタンを押す。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて予想排尿時間を予測するための処理を実行する。データ、予想排尿時間及び使用者モデルは、次の個人を示す使用者識別子に関連付けられる。生物測定的データはこの個人から収集され、この個人には予想排尿時間が適用される。生物測定的データは、ウェアラブルデバイスによって収集され、アプリケーションサーバに連続的又は定期的にアップロードされる。アプリケーションサーバは、使用者モデルに基づいて排尿事象がいつ発生すると予想されるかを判定することができる。アプリケーションサーバは、予想排尿時間を判定すると、予想排尿時間をウェアラブルデバイス及び/又は介護者のコンピューティングデバイスに送信することができる。更新又は警報は、ウェアラブルデバイスの刺激を喚起する。刺激は、切迫した排尿事象を使用者に警告することができる。更新又は警報は、次の機能をネットワーク制御可能な装置に実行させることができる。前述の機能は、ネットワーク制御可能な電球を所望の色又は強度に作動及び/又は変更させ、又はネットワーク制御可能な音源に聴覚刺激を提供する。更新又は警報によってコンピューティングデバイスが刺激を喚起し、切迫した排尿事象を介護者又は使用者に警告することができる。ウェアラブルデバイスは、現在の生物測定的データを継続してモニタリングし、現在の生物測定的データに従って予想排尿時間を動的に更新することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢化が進展し、日常生活を送る上で人の支援を必要とする対象者が増加している。発明者は、対象者の排泄に関する処置は、対象者の日常生活を支援する者の負担になっていることを知っている。例えば、発明者は、介護現場において、要介護者又は要支援者の排泄物の処置は介護者の負担になっていることを知っている。そこで、発明者は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減するため、対象者の排泄欲求を予測する技術について検討した。排泄欲求は、排泄物を排泄したいという感覚を意味する。
【0005】
本発明は、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得処理と、第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置である。
【0007】
この情報処理装置によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される心拍数に対応する値としての心拍数の変化量を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う心拍数の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0008】
情報処理装置は、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0010】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0012】
情報処理装置は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、ようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0014】
本発明の他の側面は、ソフトウェアの制御によって実行される情報処理方法としての排泄予測方法であって、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得工程と、第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得工程と、前記第一取得工程で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録工程と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、前記予測工程は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄予測方法である。
【0015】
この排泄予測方法によれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される心拍数に対応する値としての心拍数の変化量を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う心拍数の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0016】
排泄予測方法は、前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、前記登録工程は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0018】
前記予測工程は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、前記第一予測工程は、前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測工程は、前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測工程を選択し、第二対象者に対しては第二予測工程を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測工程によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測工程によって予測することが可能となる。
【0020】
排泄予測方法は、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、ようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0022】
本発明の更に他の側面は、プロセッサに、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得処理と、第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得処理と、前記第一取得処理で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録処理と、前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、前記予測処理は、前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラムである。
【0023】
このプログラムによれば、対象者の排泄欲求が繰り返し取得される心拍数に対応する値としての心拍数の変化量を累積させた管理値によって第一状態及び第二状態の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。第一タイミング及び第二タイミングの間の時間の経過に伴う心拍数の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。
【0024】
プログラムは、前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、前記登録処理は、前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、ようにしてもよい。
【0025】
この構成によれば、累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0026】
前記予測処理は、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、前記第一予測処理は、前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、前記第二予測処理は、前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、ようにしてもよい。
【0027】
この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。2人の対象者を想定した場合、第一対象者に対しては第一予測処理を選択し、第二対象者に対しては第二予測処理を選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測処理によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測処理によって予測することが可能となる。
【0028】
前記プロセッサに、前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、ようにしてもよい。
【0029】
この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、対象者の日常生活を支援する者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】排泄予測システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】報知画面の概略構成の一例を示す画像図である。上段は、報知画面の初期状態を示す。下段は、報知画面の予測状態を示す。上段及び下段の報知画面は、対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」用の3人分の対象者領域を含む。
【
図3】予測モデルの設定方法の概略の一例を説明する説明図である。
【
図5】排泄予測処理の第一部分のフローチャートである。
【
図6】排泄予測処理の第二部分のフローチャートである。
【
図7】心拍数データベースの概略構成の一例を示す図である。ユーザIDが「AAA」、「BBB」及び「CCC」である3人分の心拍数データベースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。
【0033】
<排泄予測システム10>
排泄予測システム10の概略構成について
図1,2を参照して説明する。排泄予測システム10は、計測装置20と、情報処理装置30と、報知装置40とを含む(
図1参照)。排泄予測システム10で情報処理装置30は、計測装置20及び報知装置40とそれぞれデータ通信する。例えば、計測装置20及び情報処理装置30は通信ネットワーク60を介して互いに接続され、情報処理装置30及び報知装置40は通信ネットワーク60を介して互いに接続される。通信ネットワーク60は、特定の通信方式の通信ネットワークに限定されず、公知である各種の通信ネットワークを含む。従って、通信ネットワーク60を介したデータ通信は、有線通信及び無線通信の何れであってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。この他、通信ネットワーク60は、インターネットであってもよく、LAN(Local Area Network)であってもよく、2台の装置をローカルに接続する通信方式であってもよく、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせであってもよい。2台の装置をローカルに接続する通信方式の例としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)及びWi-Fi Directが挙げられる。
【0034】
計測装置20は、計測処理(後述する
図4参照)を実行する。計測装置20は、計測処理の実行に伴い計測方法を実施し、対象者の生体情報を計測する。計測処理及び計測方法については後述する。対象者の例としては、日常生活を送る上で人の支援を必要とする者が挙げられる。「支援」は、自分以外の者の日常生活を助けることを意味する。例えば、「支援」は、介護現場における介護及び介助を含み、医療現場における看護を含み、及び家庭及び教育現場における乳児及び幼児の世話を含む。実施形態では、対象者を支援する者を「支援者」という。生体情報の例としては、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形が挙げられる。計測装置20は、生体情報の計測を所定の一定間隔で繰り返す。
【0035】
計測装置20は、生体情報を計測した場合、この生体情報を情報処理装置30に送信する。排泄予測システム10が複数の対象者を予測の対象とするとする。この場合、排泄予測システム10は、ユーザIDを採用する。ユーザIDは、対象者固有の識別子であり、対象者を識別する。排泄予測システム10が所定の施設で利用され、施設内で対象者のいる場所が特定されているとする。この場合、ユーザIDは、対象者のいる場所固有の識別子であってもよい。所定の施設の例としては、介護施設及び病院が例示される。実施形態では、排泄予測システム10はユーザIDを採用する。これに伴い、排泄予測システム10は、複数の対象者を予測の対象とすることができる。
【0036】
計測装置20は、送信対象の生体情報と共にユーザIDを情報処理装置30に送信する。即ち、生体情報は、ユーザIDに関連付けられた状態で計測装置20から情報処理装置30に送信される。計測装置20は、生体情報の計測を1秒間隔で繰り返して計測してもよく、及び生体情報及びユーザIDを1秒間隔で送信してもよい。計測間隔及び送信間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0037】
情報処理装置30は、排泄予測処理(後述する
図5参照)を実行する。情報処理装置30は、排泄予測処理の実行に伴い排泄予測方法を実施し、対象者の排泄欲求を予測する。排泄欲求は、小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚を意味する。排泄物を排泄したいという感覚は、排泄物が小便である場合には「尿意」を意味し、排泄物が大便である場合には「便意」を意味する。情報処理装置30は、排泄予測処理及び排泄予測方法に計測装置20からの生体情報を用いる。従って、排泄予測処理及び排泄予測方法によって予測される排泄欲求は、生体情報に関連付けられたユーザIDによって識別される対象者を対象とする。
【0038】
情報処理装置30は、予測された排泄欲求に対応する欲求状態を報知装置40に送信する。欲求状態は、排泄欲求の程度を示す。その際、情報処理装置30は、送信対象の欲求状態と共に次のユーザIDを報知装置40に送信する。このユーザIDは、排泄予測処理及び排泄予測方法で送信対象の欲求状態の排泄欲求を予測する際に用いられる生体情報に関連付けられる。即ち、欲求状態は、ユーザIDに関連付けられた状態で情報処理装置30から報知装置40に送信される。
【0039】
報知装置40は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する(
図2下段参照)。排泄予測システム10が複数の対象者を予測の対象とする場合、報知装置40は、欲求状態と共に対象者情報を報知してもよい。対象者情報は、欲求状態に関連付けられたユーザIDに対応する。報知装置40は、報知処理(後述する
図8参照)を実行し、排泄情報を受け付ける。排泄情報は、対象者が排泄物を排泄したことを示す。排泄情報は、対象者のユーザIDに関連付けられる。報知装置40は、排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0040】
実施形態では、生体情報を心拍数とし、予測対象の排泄欲求を尿意とし、排泄物を小便とする。この場合、排泄予測処理及び排泄予測方法は、対象者の尿意を予測する。人は、膀胱内に一定量以上蓄尿されると膀胱内圧が高まることで、この刺激が副交感神経に伝わり、尿意を感じる。人の心拍数は尿意に応じて変化する。膀胱内の蓄尿量は、経時的に増加する。これに伴い、尿意も経時的に強くなる。欲求状態の例としては、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。但し、実施形態では、欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」の2個とする。欲求状態として設定する態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。排泄情報は、対象者が排尿したことを示す。報知装置40による欲求状態の報知は、「表示」によって行われることとする。対象者として「AAA」、「BBB」及び「CCC」の3人を例示する(
図2参照)。対象者「AAA」のユーザIDを「AAA」とし、対象者「BBB」のユーザIDを「BBB」とし、対象者「CCC」のユーザIDを「CCC」とする(後述する
図7参照)。
【0041】
<計測装置20>
計測装置20は、プロセッサ21と、ストレージ22と、メモリ23と、計測器24と、操作器25と、通信器26とを備える(
図1参照)。プロセッサ21は、演算処理を実行する。ストレージ22は、プロセッサ21が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ22の例としては、フラッシュメモリ及びROMが挙げられる。ストレージ22は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、計測処理(
図4参照)用のプログラムが挙げられる。データの例としては、ユーザIDが挙げられる。ユーザIDは、計測処理用のプログラムに登録される。ストレージ22は、計測装置20の本体(制御装置)に外部接続されていてもよい。この場合、計測装置20は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ22を計測装置20の本体に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介してストレージ22にアクセスする。
【0042】
メモリ23は、プロセッサ21がストレージ22に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ23は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ21は、ストレージ22に記憶された計測処理用のプログラムをメモリ23を用いて実行する。これに伴い、計測装置20は計測方法を実施する。
【0043】
計測器24は、生体情報を計測する。プロセッサ21は、計測器24から生体情報を取得する。実施形態では、計測器24は、心拍計であり、生体情報としての心拍数を計測する。通信器26は、計測装置20を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。
【0044】
操作器25は、計測装置20に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器25は、計測処理の開始指示を受け付ける。操作器25の例としては、ハードウェアキー及びタッチパネルが挙げられる。ハードウェアキーの例としては、操作ボタンが挙げられる。実施形態では、計測装置20で操作器25と共にタッチパネルとなる表示器の説明及び図示は省略する。操作器25の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0045】
通信器26は、計測器24で計測された心拍数を情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器26は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して計測装置20を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器26の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器26の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0046】
計測装置20は、計測処理の実行に伴う計測方法の実施時、計測器24で心拍数を計測し、通信器26から心拍数を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。計測装置20の例としては、ウェアラブルデバイスが挙げられる。計測装置20としてのウェアラブルデバイスの例としては、スマートウォッチが挙げられる。
【0047】
計測装置20は、制御装置及び計測器24を別体で含み、制御装置及び計測器24をデータ通信可能に接続させた態様としてもよい。制御装置は、プロセッサ21、ストレージ22、メモリ23及び通信器26に加え、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、計測器24を制御装置に接続する。プロセッサ21は、接続インターフェースを介して生体情報を取得する。制御装置の例としては、コンピュータが挙げられる。制御装置としては、ラズベリーパイ(登録商標)と称される小型のコンピュータを採用してもよい。制御装置を含む計測装置20で採用可能な計測器24の例としては、マット型センサが挙げられる。計測器24としてのマット型センサは、布団又はマットレスの下に設置され、その上で横になる対象者の心拍数を計測する。
【0048】
心拍計測及び通信の両機能を備える計測装置は、既に実用化され、公知である。計測装置20は、上述した要素の他、公知の計測装置が備える要素を備えていてもよい。但し、計測装置20は、計測処理用のプログラムがストレージ22に記憶されている点で公知の計測装置と相違する。
【0049】
<情報処理装置30>
情報処理装置30は、プロセッサ31と、ストレージ32と、メモリ33と、通信器34と、タイマ35とを備える(
図1参照)。プロセッサ31は、演算処理を実行する。ストレージ32は、プロセッサ31が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ32の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ32としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ32はROMを含んでもよい。ストレージ32は、情報処理装置30の本体内にプロセッサ31及びメモリ33と共に設けられ、更に、情報処理装置30の本体に外部接続されていてもよい。この場合、情報処理装置30は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ32を情報処理装置30の本体に接続する。プロセッサ31は、接続インターフェースを介してストレージ32にアクセスする。
【0050】
ストレージ32は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、排泄予測処理(
図5,6参照)用のプログラムが挙げられる。排泄予測処理用のプログラムは、選択処理(
図5のS202参照)用のプログラムを含む。データの例としては、複数の予測モデル及び複数の心拍数データベースが挙げられる。排泄予測処理及び排泄予測方法では、排泄欲求の予測は複数の予測モデルにそれぞれ設定されたレベル基準値に応じて行われる。レベル基準値は、連続する2回の排泄の間隔に応じて適宜決定される。実施形態では、排泄物を小便とするから、連続する2回の排泄の間隔は連続する2回の小便の排泄(排尿)の間隔となる。複数の予測モデルは、排泄予測処理用のプログラムに登録される。排泄予測処理用のプログラムによるプロセスは、複数の予測モデルにアクセスする。心拍数データベースは、ユーザIDに関連付けて時間及び心拍数を登録する(
図7参照)。
【0051】
排泄予測処理用のプログラム及び複数の予測モデルは、ストレージ32に事前にインストールされる。心拍数データベースは、排泄予測処理の実行時に作成される。
【0052】
実施形態では、複数の予測モデルとして2個の予測モデルを例示する。2個の予測モデルを区別する場合、「第一予測モデル」及び「第二予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、単に「予測モデル」という。第一予測モデル及び第二予測モデルの相違は、レベル基準値の相違である。予測モデル数は、3個以上としてもよい。予測モデル数は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、発明者は5個の予測モデルによる排泄予測システムを検討する。予測モデルの設定手法については後述する。
【0053】
実施形態では、第一予測モデル用のレベル基準値として「第一レベル基準値」を定義し、第二予測モデル用のレベル基準値として「第二レベル基準値」を定義する。第一レベル基準値及び第二レベル基準値は、管理値の比較対象とされる。管理値については後述する。第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値を超えている場合(
図5のS214:Yes参照)、欲求状態は「尿意あり」であると予測される。管理値が第一レベル基準値を超えていない場合(
図5のS214:No参照)、欲求状態は「尿意なし」であると予測される。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測される。管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、欲求状態は「尿意なし」であると予測される。
【0054】
但し、第一予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測されてもよい。第二予測モデルを用いた排泄欲求の予測では、管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「尿意あり」であると予測されてもよい。
【0055】
排泄予測処理及び排泄予測方法における「超えている」及び「超えていない」について説明する(
図5のS210,S214参照)。この説明では、「比較値」及び「基準値」を例として用いる。比較値は変化量に対応し及び基準値は累積基準値に対応し(
図5のS208~S212参照)、又は比較値は管理値に対応し及び基準値はレベル基準値に対応する(
図5のS212,S214参照)。変化量及び累積基準値については後述する。尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定し、基準値を「マイナス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より小さい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より大きい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定し、基準値を「プラス値」に設定したとする。この場合、「比較値が基準値を超えている」は「比較値が基準値より大きい」ことを含み、「比較値が基準値を超えていない」は「比較値が基準値より小さい」及び「比較値が基準値に等しい」を含む。実施形態では、排泄予測処理及び排泄予測方法は、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。但し、排泄予測処理及び排泄予測方法は、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定してもよい。
【0056】
メモリ33は、プロセッサ31がストレージ32に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ33は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ31は、ストレージ32に記憶された排泄予測処理用のプログラムをメモリ33を用いて実行する。これに伴い、情報処理装置30は排泄予測方法を実施する。
【0057】
通信器34は、情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して計測装置20及び報知装置40と通信する。通信器34は、計測装置20から送信される心拍数及びユーザIDを受信する。通信器34は、報知装置40から送信される排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34を介して、心拍数及びユーザIDと、排泄情報及びユーザIDとを取得する。通信器34は、欲求状態及びユーザIDを報知装置40に送信する。実施形態では、通信器34は、有線通信の通信方式に対応し、有線通信を介して情報処理装置30を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器34の通信方式は、無線通信であってもよい。通信器34の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0058】
タイマ35は、時間の経過を計測する。この他、タイマ35は、現在時刻を計測してもよい。タイマ35は、ハードウェアによる構成であってもよく、又はソフトウェアによる構成であってもよい。
【0059】
情報処理装置30の例としては、サーバ装置が挙げられる。情報処理装置30は、上述した要素の他、公知のサーバ装置が備える要素を備えていてもよい。但し、情報処理装置30は、排泄予測処理用のプログラム及び複数の予測モデルがストレージ32に記憶されている点で公知のサーバ装置と相違する。
【0060】
<報知装置40>
報知装置40は、プロセッサ41と、ストレージ42と、メモリ43と、報知器44と、操作器45と、通信器46とを備える(
図1参照)。プロセッサ41は、演算処理を実行する。ストレージ42は、プロセッサ41が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ42の例としては、フラッシュメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)が挙げられる。ストレージ42としてフラッシュメモリを用いた記憶媒体が採用される場合、このような記憶媒体の例としては、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。この他、ストレージ42はROMを含んでもよい。ストレージ42は、報知装置40の本体(制御装置)内にプロセッサ41及びメモリ43と共に設けられ、更に、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。
【0061】
ストレージ42は、プログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、報知処理用(
図8参照)のプログラムが挙げられる。データの例としては、報知画面データ及びユーザIDが挙げられる。報知画面データは、報知画面50(
図2参照)を表す。報知画面データは、レイアウトデータを含む。レイアウトデータは、報知画面50のレイアウトを定義する。報知画面データ及びユーザIDは、報知処理用のプログラムに登録される。
【0062】
ストレージ42は、報知装置40の本体に外部接続されていてもよい。この場合、報知装置40は、接続インターフェースを備える。接続インターフェースは、ストレージ42を報知装置40の本体に接続する。プロセッサ41は、接続インターフェースを介してストレージ42にアクセスする。
【0063】
メモリ43は、プロセッサ41がストレージ42に記憶されたプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ43は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータを所定の記憶領域に記憶する。例えば、プロセッサ41は、ストレージ42に記憶された報知処理用のプログラムをメモリ43を用いて実行する。これに伴い、報知装置40は報知方法を実施する。
【0064】
報知器44は、対象者の排泄欲求の欲求状態を報知する。実施形態では、報知器44は、ディスプレイであり、排泄欲求の欲求状態を報知するために報知画面50を表示する(
図2参照)。報知画面50は、対象者毎に区分けされた対象者領域51を含む。報知画面50は、報知処理用のプログラムに登録されたユーザIDと同数の対象者領域51を含む。対象者領域51は、第一領域52と、第二領域53と、排泄ボタン54とを含む。報知画面50のこのようなレイアウトは、上述した通り、レイアウトデータによって定義される。
【0065】
第一領域52は、対象者情報を表示する。対象者情報は、ユーザIDに対応する。第二領域53は、欲求状態を表示する。対象者領域51では、対象者情報及び欲求状態が関連付けて表示される。即ち、対象者領域51は、対象者の排泄欲求を示す。支援者は、対象者領域51に表示された対象者情報及び欲求状態を確認することができる。支援者は、対象者情報が示す対象者の欲求状態を理解し、この対象者に対する支援の必要又は不要を判断する。排泄ボタン54には、排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、排泄ボタン54が設けられた対象者領域51の第一領域52に表示された対象者情報に対応する。排泄情報及びユーザIDは関連付けられる。
【0066】
操作器45は、報知装置40に対する各種指示の入力を受け付ける。例えば、操作器45は、報知画面50の排泄ボタン54に対する押下を受け付ける。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含んでもよく、又は報知器44と一体で設けられてタッチパネルを形成してもよい。操作器45は、マウス及びキーボードのようなハードウェアを含み、更に、報知器44と共にタッチパネルを形成してもよい。操作器45の形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。操作器45で排泄ボタン54に対する操作が受け付けられた場合、プロセッサ41は排泄情報及び次のユーザIDを取得する。このユーザIDは、押下が受け付けられた排泄ボタン54と共に表示された対象者情報に対応する。
【0067】
通信器46は、報知装置40を通信ネットワーク60に接続し、通信ネットワーク60を介して情報処理装置30と通信する。通信器46は、情報処理装置30から送信される欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46を介して欲求状態及びユーザIDを取得する。通信器46は、プロセッサ41による排泄情報及びユーザIDの取得に応じて、排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。実施形態では、通信器46は、無線通信の通信方式に対応し、無線通信を介して報知装置40を通信ネットワーク60に接続する。但し、通信器46の通信方式は、有線通信であってもよい。通信器46の通信方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0068】
報知装置40は、報知処理の実行時(報知方法の実施時)、報知画面50を報知器44に表示し、通信器46から排泄情報を通信ネットワーク60を介して情報処理装置30に送信する。報知装置40の例としては、制御装置と報知器44としてのディスプレイとの組み合わせが挙げられる。報知装置40では、制御装置及びディスプレイは別体であってもよく又は一体であってもよい。別体型の制御装置及びディスプレイの例としては、ディスプレイ別体型のコンピュータ(デスクトップコンピュータ)が挙げられる。一体型の制御装置及びディスプレイの例としては、ディスプレイ一体型のコンピュータ(ラップトップコンピュータ)、タブレット端末及びスマートフォンが挙げられる。制御装置は、プロセッサ41、ストレージ42、メモリ43及び通信器46に加え、接続インターフェースを備える。操作器45は、制御装置に設けられていてもよく、又はディスプレイに設けられていてもよい。接続インターフェースは、ディスプレイを制御装置に接続する。プロセッサ41は、表示指令を接続インターフェースを介してディスプレイに出力する。
【0069】
情報の報知及び指示の受け付けの両機能を備える報知装置は、既に実用化され、公知である。報知装置40は、上述した要素の他、公知の報知装置が備える要素を備えていてもよい。但し、報知装置40は、報知処理用のプログラムがストレージ42に記憶されている点で公知の報知装置と相違する。
【0070】
<予測モデルの設定方法>
発明者が実施した予測モデルの設定方法の概略について
図3を参照して説明する。発明者は、複数の予測モデルの設定に際し、複数の被験者を対象とした実験を行い、この実験結果を用いて複数の予測モデルを設定した。複数の被験者は、何れも基礎疾患のない高齢者とした。実験では、所定期間継続して、被験者の心拍データを採取し及び被験者の排泄欲求(欲求状態)の変化を電子的に記録した。排泄欲求の記録は心拍データの採取と同じタイミングで実施され、心拍データの採取期間に排泄欲求を記録した。
【0071】
排泄欲求の記録の方法は、概ね次の通りとした。この方法では、記録装置を用いた。被験者は、尿意を感じた場合に記録装置に第一指示を入力する。第一指示は、「尿意あり」に関連付けられる。記録装置は、第一指示の入力を受け付けた場合に第一タイムスタンプを記録する。第一タイムスタンプは、第一指示の入力時刻を示す。被験者は、トイレに向かった場合又は小便を排泄した場合に第二指示を入力する。第二指示は、「排泄(排尿)」に関連付けられる。記録装置は、第二指示の入力を受け付けた場合に第二タイムスタンプを記録する。第二タイムスタンプは、第二指示の入力時刻を示す。被験者は、感じていた尿意が感じられなくなった場合に第三指示を入力する。第三指示は、「尿意なし」に関連付けられる。記録装置は、第三指示の入力を受け付けた場合に第三タイムスタンプを記録する。第三タイムスタンプは、第三指示の入力時刻を示す。
【0072】
第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプは、被験者の排泄欲求を特定する。例えば、被験者は、次の第一期間及び第二期間には尿意を感じていない。第一期間は、記録開始後から第一タイムスタンプまでである。第二期間は、第三タイムスタンプから第一タイムスタンプまでである。被験者は、次の第三期間及び第四期間には尿意を感じている。第三期間は、第一タイムスタンプから第二タイムスタンプまでである。第四期間は、第一タイムスタンプから第三タイムスタンプまでである。
【0073】
実験によって数百パターンの心拍データが心拍データの採取元である被験者の排泄欲求に関連付けて収集される。更に、心拍データには、第一タイムスタンプ、第二タイムスタンプ及び第三タイムスタンプから上述したように特定される第一期間、第二期間、第三期間又は第四期間を関連付けることができる。例えば、今回の実験は、第一状態である場合における被験者の心拍数、第二状態である場合における被験者の心拍数及び第一状態から第二状態へと変化する場合における被験者の心拍数変化を収集する。第一状態では、被験者は尿意を感じていない。第二状態では、被験者は尿意を感じている。
【0074】
実験によって収集された心拍データ及び排泄欲求の記録の複数の組み合わせは、コンピュータによって処理され、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットが生成される。コンピュータの例としては、情報処理装置30が挙げられる。但し、コンピュータは、ハードウェア的には情報処理装置30とは異なっていてもよい。処理の例としては、データクレンジングが挙げられる。この処理によって、心拍データによって示される心拍波形が平常時の心拍波形及び排泄前の心拍波形に編集される。平常時は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じていない状態に対応する。排泄前は、被験者が排泄欲求としての尿意を感じている状態に対応する。
【0075】
コンピュータは、平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された予測モデルに対応するテストデータを用いてこの予測モデルの精度を検証し、この予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて複数の予測モデルを構築する。複数の予測モデルには、それぞれ異なるレベル基準値が設定される。
【0076】
コンピュータが構築する予測モデルが第一予測モデルであり、第一予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間未満の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間未満である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第一予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第一予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第一予測モデルの精度を検証し、この第一予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第一予測モデルを構築する。第一予測モデルには、第一レベル基準値が設定される。
【0077】
コンピュータが構築する予測モデルが第二予測モデルであり、第二予測モデルを連続する2回の排泄の間隔が任意のN時間以上の対象者用として設定するとする。この場合、コンピュータは、連続する2回の排泄の間隔がN時間以上である被験者の心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを抽出するようにしてもよい。続けて、コンピュータは、抽出された心拍データ及び排泄欲求の記録の組み合わせを処理し、平常時の教師データセット及び排泄前(排尿前)の教師データセットを生成する。次に、コンピュータは、生成された平常時の教師データセット及び排泄前の教師データセットを用いた機械学習を繰り返し、第二予測モデルを仮構築する。更に、コンピュータは、仮構築された第二予測モデルに対応するテストデータを用いてこの第二予測モデルの精度を検証し、この第二予測モデルを検証結果に従いチューニングする。コンピュータは、このような手法にて第二予測モデルを構築する。第二予測モデルには、第二レベル基準値が設定される。
【0078】
<計測処理>
計測処理について
図4を参照して説明する。計測処理は、計測装置20で実行される。計測装置20では、操作器25で計測処理の開始指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の開始指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の開始指示を取得する。続けて、プロセッサ21は、計測処理の開始指示の取得に応じてストレージ22に記憶された計測処理用のプログラムを起動し、計測処理を開始する。これに伴い、計測装置20は計測方法を開始する。プロセッサ21は、開始指令を計測器24に出力する。計測器24は、対象者の生体情報としての心拍数の計測を開始する。計測器24は、対象者の心拍数の計測を継続し、計測された心拍数を繰り返して出力する。
【0079】
プロセッサ21は、計測器24から出力された心拍数を取得する(S100)。続けて、プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDを送信させる(S102)。プロセッサ21は、心拍数及びユーザIDの送信指令を通信器26に出力する。心拍数及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器26は、送信指令に従い心拍数及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0080】
その後、プロセッサ21は、計測処理の終了指示を取得したかを判断する(S104)。計測装置20では、操作器25で計測処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ21は、計測処理の終了指示が操作器25で受け付けられた場合、計測処理の終了指示を取得する。プロセッサ21は、終了指示を取得していない場合(S104:No)、処理をS100に戻す。その後、プロセッサ21は、S100以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ21は、終了指示を取得した場合(S104:Yes)、計測処理を終了する。これに伴い、計測器24は心拍数の計測を終了する。
【0081】
<排泄予測処理>
排泄予測処理について
図5,6及び
図7を参照して説明する。排泄予測処理は、情報処理装置30で実行される。情報処理装置30では、排泄予測処理は次のように開始されてもよい。即ち、プロセッサ31は、情報処理装置30の起動後、ストレージ32に記憶された排泄予測処理用のプログラムを自動的に起動し、排泄予測処理を開始する。これに伴い、情報処理装置30は排泄予測方法を開始する。但し、このような排泄予測処理の開始手順は例示である。排泄予測処理の開始手順は、諸条件を考慮して適宜決定される。プロセッサ31は、排泄予測処理用のプログラムによるプロセスを予測の対象である対象者と同じ数だけ実行する。排泄予測処理用のプログラムによるプロセスを単に「プロセス」という。1個のプロセスは、1人の対象者に対応する。複数のプロセスは、ユーザIDによって識別される。
【0082】
プロセッサ31は、心拍数及びユーザIDの取得を開始する(S200)。心拍数及びユーザIDは、繰り返して実行される
図4のS102で計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。排泄予測システム10が複数の計測装置20を備えるとする。この場合、心拍数及びユーザIDは、複数の計測装置20で繰り返して実行される
図4のS102で各計測装置20から送信され、その都度通信器34で受信される。プロセッサ31は、通信器34で受信された心拍数及びユーザIDを通信器34から取得する。
【0083】
プロセッサ31は、心拍数データベースに、S200で取得された心拍数及びユーザIDを関連付けて登録し、更に時間を登録する(
図7参照)。換言すれば、プロセッサ31は、ユーザIDに関連付けられた心拍数データベースに心拍数及び時間を登録する。「時間」は、心拍数及びユーザIDが取得された時間を示す。複数の対象者を予測の対象とする場合、心拍数データベースはユーザID毎に管理してもよい(
図7参照)。心拍数と共にS200で取得されたユーザIDに関連付けられた心拍数データベースが作成されていないとする。この場合、プロセッサ31は、新たな心拍数データベースにこのユーザIDを設定し、更に、時間及び心拍数を登録する。心拍数データベースは、ユーザID毎に分割させた形式(
図7参照)であってもよく、又は1個の心拍数データベースに複数のユーザIDを登録させた形式(不図示)であってもよい。心拍数データベースの形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0084】
次に、プロセッサ31は、選択処理を実行する(S202)。選択処理では、実行中のプロセスが対象とする対象者に合った予測モデルが複数の予測モデルから選択される。実施形態では、実行中のプロセスが対象とするユーザIDは、そのプロセスにおけるS200のユーザIDに対応する。即ち、プロセッサ31は、選択処理によって第一予測モデル又は第二予測モデルを選択する。選択処理は、一定数以上の心拍数及び対象者の年代をデータとして、cox比例ハザードモデルによる統計解析を実行する。S202で選択処理は、これの開始時から過去20分間に取得された心拍数をデータとする。計測装置20での心拍数及びユーザIDの送信(
図4のS102参照)が1秒間隔で実行されるとする。この場合、20分間で取得される心拍数は、1200個である。但し、予測モデルの選択に用いる心拍数の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。S202でプロセッサ31は、cox比例ハザードモデルによる解析結果から推測される対象者の排泄の間隔に合った予測モデルを選択する。プロセッサ31は、選択された予測モデルをメモリ43に記憶する。予測モデルは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。プロセッサ31は、一定数以上の心拍数が心拍数データベースに登録されていない場合、予測モデルを選択することなく選択処理を終了する。
【0085】
続けて、プロセッサ31は、予測モデルを選択したかを判断する(S204)。プロセッサ31は、予測モデルが選択されていない場合(S204:No)、処理をS202に戻し、再度、選択処理を実行する。プロセッサ31は、20分間分の心拍数が心拍数データベースに登録されていないために選択処理を終了していた場合、S204の判断を否定する。
【0086】
プロセッサ31は、予測モデルを選択した場合(S204:Yes)、未取得の変化量があるかを判断する(S206)。変化量は、心拍数データベースに登録された2個の心拍数の差である。対象とする心拍数データベースは、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けられる。変化量は、取得の時間が一定時間異なる2個の心拍数から算出される。この場合、後に取得された心拍数は、先に取得された心拍数の時間から一定時間経過後に取得される。心拍数の算出について、
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。実施形態では、説明の便宜上、1秒間隔で連続して取得された2個の心拍数から変化量を算出することとする。この場合、取得される変化量は「80(No.1)-79(No.2)=1」、「79(No.2)-80(No.3)=-1」、「80(No.3)-81(No.4)=-1」、・・・「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」である。変化量の算出のための2個の心拍数が取得された時間の間隔としての「1秒」は例示である。この間隔は、1秒とは異なる時間としてもよい。例えば、この間隔は、1秒より長くしてもよい。この間隔は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0087】
プロセッサ31は、未取得の変化量がない場合(S206:No)、処理をS214に移行する。プロセッサ31は、未取得の変化量がある場合(S206:Yes)、変化量を取得する(S208)。
図7で「ユーザID:AAA」に関連付けられた心拍数データベースを例とする。「No.X,X-1」の2個のレコードを対象とした変化量が未取得であるとする。この場合、プロセッサ31は、変化量として「85(No.X-1)-86(No.X)=-1」を取得する。
【0088】
実施形態では、上述した通り、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する。従って、S208でプロセッサ31は、先に取得された心拍数から後に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定したとする。この場合、S208でプロセッサ31は、後に取得された心拍数から先に取得された心拍数を差し引いて変化量を算出する。
【0089】
続けて、プロセッサ31は、S208で取得された変化量と累積基準値とを比較し、変化量が累積基準値を超えているかを判断する(S210)。累積基準値は、予め設定され、排泄予測処理用のプログラムに登録される。実施形態のように、尿意が強くなる場合の変化量を「マイナス」に設定する場合、累積基準値はマイナス値に設定される。実施形態とは異なり、尿意が強くなる場合の変化量を「プラス」に設定する場合、累積基準値はプラス値に設定される。心拍数は、各種の事象を原因として変化する。発明者は、各種の実験を通して得られた結果から排泄欲求が時間の経過に伴い強くなっていく過程で心拍数の変化量を考察し、累積基準値を設定した。上述した実験は、この検討の一例である。累積基準値は、複数の予測モデルにおいて共通とする。但し、累積基準値は、複数の予測モデルの一部又は全部で異なる値に設定してもよい。これにより、累積基準値を予測モデル毎に適宜最適化することができる。プロセッサ31は、S202の選択処理で選択された予測モデルに対して設定された累積基準値に応じてS210を判断する。
【0090】
プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えていない場合(S210:No)、処理をS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えている場合(S210:Yes)、S208で取得された変化量を管理値に累積する(S212)。管理値は、変化量の累積である。排泄予測処理及び排泄予測方法は、変化量の累積を管理値として管理する。プロセッサ31は、排泄予測処理の実行時、管理値をプロセス毎に管理する。管理値の初期値は、所定の値に設定される。管理値の初期値の例としては、「0」が挙げられる。プロセッサ31は、S212を実行した後、処理をS206に戻す。
【0091】
S214でプロセッサ31は、管理値とレベル基準値とを比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第一予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。S202の選択処理で第二予測モデルが選択されているとする。この場合、プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。実施形態では、「管理値がレベル基準値を超えている」は、「管理値が第一レベル基準値を超えている」又は「管理値が第二レベル基準値を超えている」を意味する。「管理値がレベル基準値を超えていない」は、「管理値が第一レベル基準値を超えていない」又は「管理値が第二レベル基準値を超えていない」を意味する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えている場合(S214:Yes)、処理を
図6のS216に移行する。プロセッサ31は、管理値がレベル基準値を超えていない場合(S214:No)、処理を
図6のS218に移行する。
【0092】
S216でプロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意あり」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意あり」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0093】
S218でプロセッサ31は、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。ユーザIDは、実行中のプロセスが対象とする。プロセッサ31は、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDの送信指令を通信器34に出力する。欲求状態「尿意なし」及びユーザIDの送信先は、報知装置40とされる。通信器34は、送信指令に従い欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを報知装置40に送信する。その後、プロセッサ31は処理をS220に移行する。
【0094】
S220でプロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。排泄情報及びユーザIDは、後述する
図8のS308で報知装置40から送信される。情報処理装置30は、通信器34で排泄情報及びユーザIDを受信する。プロセッサ31は、通信器34で受信された排泄情報及びユーザIDを通信器34から取得する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDをメモリ33に記憶する。プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S220:No)、処理を
図5のS206に戻す。その後、プロセッサ31は、S206以降の処理を繰り返して実行する。
【0095】
プロセッサ31は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S220:Yes)、管理値を初期化する(S222)。初期化される管理値は、実行中のプロセスが対象とするユーザIDに関連付けて管理される。プロセッサ31は、S222を実行した後、処理を
図5のS202に戻す。その後、プロセッサ31は、S202以降の処理を繰り返して実行する。但し、プロセッサ31は、再度実行されるS202以降の処理を排泄情報を取得(
図6のS220:Yes参照)した後に通信器34からユーザIDと共に取得した心拍数及びこの心拍数から取得される変化量を用いて実行する。
【0096】
<報知処理>
報知処理について
図8を参照して説明する。報知処理は、報知装置40で実行される。プロセッサ41は、報知処理の開始指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の開始指示を取得する。プロセッサ41は、ストレージ42に記憶された報知処理用のプログラムを起動し、報知処理を開始する。これに伴い、報知装置40は報知方法を開始する。
【0097】
プロセッサ41は、報知処理を開始後、報知器44に報知画面50を表示させる(S300)。プロセッサ41は、ストレージ42に記憶された報知画面データから報知画面50を生成し、この報知画面50の表示指令を報知器44に出力する。報知器44は、報知画面50を表示する(
図2上段参照)。
【0098】
続けて、プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得したかを判断する(S302)。欲求状態及びユーザIDは、
図6のS216又はS218で情報処理装置30から送信される。報知装置40は、通信器46で欲求状態及びユーザIDを受信する。プロセッサ41は、通信器46で受信された欲求状態及びユーザIDを通信器46から取得する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDをメモリ43に記憶する。プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得していない場合(S302:No)、処理をS306に移行する。
【0099】
プロセッサ41は、欲求状態及びユーザIDを取得した場合(S302:Yes)、表示中の報知画面50を更新させる(S304参照)。更新後の報知画面50は、新たに取得された欲求状態を次の対象者領域51の第二領域53に含む。この対象者領域51は、今回取得されたユーザIDと同じユーザIDに対応する対象者情報を第一領域52に含む。即ち、更新後の報知画面50は、今回取得された欲求状態と今回取得されたユーザIDに対応する対象者情報とを関連付けて表示する。プロセッサ41は、更新指令を報知器44に出力する。更新指令は、表示中の報知画面50を前述した更新後の報知画面50へと更新させる。報知器44は、更新後の報知画面50を表示する(
図2下段参照)。プロセッサ41は、S304を実行した後、処理をS306に移行する。
【0100】
今回取得された欲求状態が今回取得されたユーザIDに対応する対象者情報に関連付けて第二領域53に表示中の欲求状態と同じであるとする。この場合、プロセッサ41は、S304を省略してもよい。つまり、前述の場合、プロセッサ41は、S304を実行することなく、処理をS306に移行してもよい。
【0101】
S306でプロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得したかを判断する。プロセッサ41は、排泄ボタン54に対する操作が操作器45で受け付けられた場合、操作された排泄ボタン54に設定された排泄情報及びユーザIDを取得する。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得していない場合(S306:No)、処理をS310に移行する。
【0102】
プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDを取得した場合(S306:Yes)、排泄情報及びユーザIDを送信させる(S308)。プロセッサ41は、排泄情報及びユーザIDの送信指令を通信器46に出力する。排泄情報及びユーザIDの送信先は、情報処理装置30とされる。通信器46は、送信指令に従い排泄情報及びユーザIDを情報処理装置30に送信する。
【0103】
その後、プロセッサ41は、報知処理の終了指示を取得したかを判断する(S310)。報知装置40では、操作器45で報知処理の終了指示が受け付けられる。プロセッサ41は、報知処理の終了指示が操作器45で受け付けられた場合、報知処理の終了指示を取得する。プロセッサ41は、終了指示を取得していない場合(S310:No)、処理をS302に戻す。その後、プロセッサ41は、S302以降の処理を繰り返して実行する。プロセッサ41は、終了指示を取得した場合(S310:Yes)、報知処理を終了する。これに伴い、報知装置40は対象者の排泄欲求の欲求状態の報知を終了する。即ち、報知装置40は、報知画面50の表示を終了する。
【0104】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0105】
(1)情報処理装置30では、プロセッサ31が排泄予測処理を実行する(
図5,6参照)。これに伴い、情報処理装置30は、排泄予測方法を実施する。情報処理装置30及び排泄予測方法によれば、対象者の排泄欲求が管理値によって欲求状態「尿意あり」及び「尿意なし」の何れであるかを予測することができる。人の排泄欲求は時間の経過に伴い徐々に強くなる。管理値を繰り返し取得される心拍数の変化量の累積とすることで、管理値の増加を時間の経過に伴う排泄欲求の増加に対応させることができる。対象者の日常生活を支援する者(支援者)の負担を軽減することができる。
【0106】
(2)排泄予測処理は、S208~S212を含む(
図5参照)。この構成によれば、時間の経過に伴う生体情報の変化量を排泄欲求の変化に対応させることができる。累積基準値を閾値として管理値に変化量を累積し又は累積しないようにすることができる。
【0107】
(3)排泄予測処理は、S202及びS214を含む(
図5参照)。この構成によれば、対象者に合った排泄欲求の予測を行うことができる。発明者は、排泄欲求は対象者毎に異なることを知っている。対象者「AAA」、「BBB」及び「CCC」を想定する(
図2,7参照)。この場合、3人の対象者のうちの一部である第一対象者に対しては第一予測モデルを選択し、3人の対象者のうちの他の一部である第二対象者に対しては第二予測モデルを選択することができる。第一対象者の排泄欲求を第一予測モデルによるS214によって予測することが可能となり、第二対象者の排泄欲求を第二予測モデルによるS214によって予測することが可能となる。
【0108】
(4)排泄予測処理は、S220及びS222を含む(
図6参照)。この構成によれば、対象者の排泄物の排泄に伴い管理値を初期値へと初期化することができる。排泄物を排泄することで対象者の排泄欲求はなくなり又は弱くなる。管理値を初期値とすることで、管理値を対象者の排泄欲求に合わせることができる。
【0109】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0110】
(1)排泄予測システム10では、計測装置20及び報知装置40は別体の装置とした(
図1参照)。計測装置20及び報知装置40は、プロセッサ、ストレージ、メモリ、計測器、報知器、操作器及び通信器を含む装置又はシステムであってもよい。
【0111】
(2)情報処理装置30は、予測モデルとして、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを設定する。情報処理装置30は、予測モデルを次の情報に応じて細分化してもよい。この情報の例としては、対象者の性別及び対象者の体格が挙げられる。対象者の体格は、対象者の身長及び体重の一方又は両方を含む。例えば、情報処理装置30は、連続する2回の排泄の間隔の相違に合わせた第一予測モデル及び第二予測モデルを、70歳代用、80歳代用及び90歳代以上用としてそれぞれ設定してもよい。この場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて細分化のための情報を記憶する。例えば、対象者の年代に応じて予測モデルを細分化する場合、情報処理装置30は、ユーザIDに関連付けて対象者の年齢又は年代を記憶する。選択処理(
図5のS202参照)は、連続する2回の排泄の間隔及びその他の情報に応じて予測モデルを選択する。
【0112】
(3)排泄予測処理(
図5,6参照)でプロセッサ31は、
図5のS210を変化量が累積基準値を超えているかによって判断する。
図5のS210の判断条件は、変化量が累積基準値を超えているか又は変化量が累積基準値に等しいかとしてもよい。つまり、プロセッサ31は、変化量が累積基準値に等しい場合、
図5のS210の判断を肯定する(
図5のS210:Yes参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、
図5のS212を実行する。これに対して、プロセッサ31は、変化量が累積基準値を超えておらず且つ変化量が累積基準値に等しくない場合、
図5のS210の判断を否定する(
図5のS210:No参照)。その後、プロセッサ31は、上記同様、処理を
図5のS206に戻す。
【0113】
(4)排泄予測処理でプロセッサ31は、
図5のS212で変化量を管理値に累積する。管理値は、変化量の累積でなくてもよい。管理値は、生体情報の累積としてもよい。例えば、プロセッサ31は、次の心拍数を管理値に累積してもよい。この心拍数は、
図5のS210の判断が肯定(
図5のS210:Yes参照)される変化量を算出するための2個の心拍数のうちの一方である。例えば、プロセッサ31は、先に取得された心拍数を管理値に累積してもよく、又は後に取得された心拍数を管理値に累積してもよい。予測モデルでは、管理値に応じたレベル基準値が適宜設定される。
【0114】
(5)排泄欲求の欲求状態を「尿意あり」及び「尿意なし」とした(
図2下段参照)。但し、排泄欲求の欲求状態の例としては、上述した通り、「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」が挙げられる。そこで、排泄欲求の欲求状態として「強い尿意」、「弱い尿意」及び「尿意なし」を採用した場合について説明する。第一予測モデルは、レベル基準値として第一レベル基準値及び第三レベル基準値を定義する。第一予測モデルでは、第一レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第三レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。第二予測モデルは、レベル基準値として、第二レベル基準値及び第四レベル基準値を定義する。第二予測モデルでは、第二レベル基準値は「強い尿意」及び「弱い尿意」を区別する閾値とし、第四レベル基準値は「弱い尿意」及び「尿意なし」を区別する閾値とする。プロセッサ31は、排泄予測処理の
図5のS214~
図6のS218を次のように実行する。
【0115】
選択処理(
図5のS202参照)で第一予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、
図5のS206の判断が否定された場合(
図5のS206:No参照)、管理値が第一レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第一レベル基準値を超えていない場合、管理値が第三レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第三レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第一レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第三レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0116】
選択処理(
図5のS202参照)で第二予測モデルが選択されているとする。プロセッサ31は、
図5のS206の判断が否定された場合(
図5のS206:No参照)、管理値が第二レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えている場合、欲求状態「強い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第二レベル基準値を超えていない場合、管理値が第四レベル基準値を超えているかを判断する。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えている場合、欲求状態「弱い尿意」及びユーザIDを送信させる。プロセッサ31は、管理値が第四レベル基準値を超えていない場合、欲求状態「尿意なし」及びユーザIDを送信させる。管理値が第二レベル基準値である場合、欲求状態は「強い尿意」であると予測してもよい。管理値が第四レベル基準値である場合、欲求状態は「弱い尿意」であると予測してもよい。
【0117】
プロセッサ31は、欲求状態及びユーザIDの送信を
図6のS216又はS218と同様に実行する。その後、プロセッサ31は処理を
図6のS220に移行する。排泄欲求の欲求状態は、更に細分化してもよい。予測モデルでは、細分化された排泄欲求の欲求状態に対応させてレベル基準値が適宜設定される。プロセッサ31は、設定されたレベル基準値を用いて上記同様の管理値とレベル基準値を比較し、管理値がレベル基準値を超えているかを判断する。その後、プロセッサ31は、上記同様、欲求状態及びユーザIDを送信させる。
【0118】
(6)排泄予測処理でプロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻す。プロセッサ31は、
図6のS222を実行した後、処理を
図5のS206に戻してもよい。この場合、その後に実行される
図5のS206以降の処理でプロセッサ31は、実行済みの選択処理で選択された予測モデル(
図5のS202,S204:Yes参照)を適用してもよい。
【0119】
(7)排泄予測システム10は、排泄情報を報知装置40で受け付ける。排泄情報は、計測装置20で受け付けるようにしてもよい。この場合、計測装置20では、操作器25に対する特定の操作に対して排泄情報及び次のユーザIDが設定される。このユーザIDは、計測装置20を使用する対象者を示す。計測装置20でプロセッサ21は、
図8のS306及びS308に相当する処理を実行する。この場合、計測処理は、
図4のS102及びS104の間に
図8のS306及びS308に相当する処理を含んでもよい。プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられていない場合、
図8のS306に相当する判断を否定し(
図8のS306:No参照)、処理を
図4のS104に移行する。これに対して、プロセッサ21は、前述した特定の操作が操作器25で受け付けられた場合、
図8のS306に相当する判断を肯定し(
図8のS306:Yes参照)、
図8のS308に相当する処理を実行し、その後、処理を
図4のS104に移行する。
【0120】
(8)報知装置40は、報知器44を含み、報知画面50を報知器44に表示する(
図2下段参照)。報知画面50は、対象者領域51を含み、対象者情報及び欲求状態を関連付けて第一領域52及び第二領域53にそれぞれ表示する。報知画面は、報知画面50とは異なる態様であってもよい。報知画面の態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0121】
欲求状態は、文字情報とは異なり、支援者が対象者の排泄欲求を視覚的に認識可能な形式としてもよい。視覚的に認識可能な形式の例としては、色分けによる区別及び図形を用いた区別が挙げられる。図形の例としては、グラフが挙げられる。欲求状態は、文字情報及び視覚的に認識可能な形式の組み合わせであってもよい。
【0122】
この他、報知装置40による欲求状態の報知は、音による方式であってもよく、又は光による方式であってもよい。更に、報知装置40による欲求状態の報知は、報知画面、音及び光のうちの2個以上の組み合わせであってもよい。
【0123】
(9)実施形態では、生体情報として心拍数を例示した。発明者は、これまでの検討の結果、対象者の排泄欲求を心拍数とは異なる生体情報によって予測することが可能であると考える。即ち、発明者は、心拍数の他の生体情報として例示した、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形の何れかによっても対象者の排泄欲求を予測することが可能であると考える。更に、発明者は、前述の生体情報によって対象者の便意を予測することができると考える。即ち、発明者は、心拍数、脈拍数、体温、血圧、血中酸素濃度及び心電図波形の何れかから特定される情報の変化量を累積させた管理値は、対象者の尿意及び便意といった排泄欲求の程度と関係を有すると考える。対象者の排泄欲求の程度は、複数種の生体情報の組み合わせによって予測してもよい。
【符号の説明】
【0124】
10 排泄予測システム、 20 計測装置、 21 プロセッサ
22 ストレージ、 23 メモリ、 24 計測器、 25 操作器
26 通信器、 30 情報処理装置、 31 プロセッサ、 32 ストレージ
33 メモリ、 34 通信器、 35 タイマ、 40 報知装置
41 プロセッサ、 42 ストレージ、 43 メモリ、 44 報知器
45 操作器、 46 通信器、 50 報知画面、 51 対象者領域
52 第一領域、 53 第二領域、 54 排泄ボタン、 60 通信ネットワーク
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得処理と、
第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行し、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行し、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ソフトウェアの制御によって実行される情報処理方法としての排泄予測方法であって、
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得工程と、
第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得工程と、
前記第一取得工程で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測工程と、を含み、
前記登録工程は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、
前記予測工程は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、排泄予測方法。
【請求項7】
前記第二取得工程で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較工程を含み、
前記登録工程は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項6に記載の排泄予測方法。
【請求項8】
前記予測工程は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測工程と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測工程及び前記第二予測工程の何れで予測するかを選択する選択工程と、を含み、
前記第一予測工程は、
前記選択工程で前記第一予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測工程は、
前記選択工程で前記第二予測工程が選択された場合に実施され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項6又は請求項7に記載の排泄予測方法。
【請求項9】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項6又は請求項7に記載の排泄予測方法。
【請求項10】
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得工程と、
前記第三取得工程で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化工程と、を含む、請求項8に記載の排泄予測方法。
【請求項11】
プロセッサに、
小便及び大便の一方又は両方を含む排泄物を排泄したいという感覚である排泄欲求の予測対象である対象者の心拍数を繰り返して取得する第一取得処理と、
第一タイミングで取得された前記心拍数としての第一心拍数と、前記第一タイミングと異なる第二タイミングで取得された前記心拍数としての第二心拍数と、の変化量を取得する第二取得処理と、
前記第一取得処理で前記心拍数が取得され且つ前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量を管理値として登録する登録処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を予測する予測処理と、を実行させ、
前記登録処理は、登録済みの前記管理値に前記変化量を累積し、
前記予測処理は、
前記管理値が予め定めたレベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態より弱い第二欲求状態であると予測する、プログラム。
【請求項12】
前記プロセッサに、前記第二取得処理で前記変化量が取得された場合、前記変化量と、予め定めた累積基準値と、を比較する比較処理を実行させ、
前記登録処理は、
前記変化量が前記累積基準値を超えている場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積し、
前記変化量が前記累積基準値を超えていない場合、前記登録済みの管理値に前記変化量を累積しない、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記予測処理は、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第一レベル基準値に従い予測する第一予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記レベル基準値としての第二レベル基準値に従い予測する第二予測処理と、
前記対象者の前記排泄欲求を前記第一予測処理及び前記第二予測処理の何れで予測するかを選択する選択処理と、を含み、
前記第一予測処理は、
前記選択処理で前記第一予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第一レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測し、
前記第二予測処理は、
前記選択処理で前記第二予測処理が選択された場合に実行され、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えている場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第一欲求状態であると予測し、
前記管理値が前記第二レベル基準値を超えていない場合、前記対象者の前記排泄欲求は前記第二欲求状態であると予測する、請求項11又は請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項11又は請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記プロセッサに、
前記対象者が前記排泄物を排泄したことを示す排泄情報を取得する第三取得処理と、
前記第三取得処理で前記排泄情報が取得された場合、前記登録済みの管理値を予め定めた初期値へと初期化する初期化処理と、を実行させる、請求項13に記載のプログラム。