(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062904
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ノズル、及び液供給システム
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20240501BHJP
F04C 2/107 20060101ALI20240501BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
F04C2/107
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189278
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022171032
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭
【テーマコード(参考)】
3H041
4F033
4F042
【Fターム(参考)】
3H041BB06
3H041DD13
3H041DD18
4F033BA03
4F033DA04
4F033EA01
4F033GA04
4F033GA11
4F033LA13
4F033NA01
4F042AB00
4F042BA03
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB19
(57)【要約】
【課題】液吐出口を繋ぐ分岐流路を介して液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制可能なノズル、及び液供給システムの実現を目的とした。
【解決手段】ノズル10は、液供給口20と、複数の液吐出口30と、液供給口20と複数の液吐出口30とを通液できるように接続し、分岐箇所42において複数の分岐流路44に分岐された流路40と、分岐箇所42から複数の液吐出口30までつながる複数の分岐流路同士の連通を制限するバルブ部材50,150,250,350を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液供給口と、
複数の液吐出口と、
前記液供給口と複数の前記液吐出口とを通液できるように接続し、分岐箇所において複数の分岐流路に分岐された流路と、
前記分岐箇所から複数の前記液吐出口までつながる複数の前記分岐流路同士の連通を制限するバルブ部材を備えることを特徴とする、ノズル。
【請求項2】
前記バルブ部材が、前記流路の前記分岐箇所に設けられていること、を特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記分岐箇所に単独の前記バルブ部材が設けられ、
前記バルブ部材ごとに、当該バルブ部材が配された前記分岐箇所につながる全ての分岐流路同士の連通を制限可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
前記バルブ部材は、開閉動作が可能であり、前記液吐出口から液を吐出する際に開状態とされ、前記液吐出口からの液の吐出を停止する際に閉状態とされることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項5】
前記バルブ部材は、所定の液圧がかかることを条件として、前記分岐箇所から前記液吐出口に向かう液の流れを許容するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項6】
前記流路は、前記液供給口から始まり前記液吐出口に至る区間において、複数の段階に亘って分岐され、各段階に分岐箇所を備えるものであり、
前記バルブ部材は、前記分岐箇所のうち、最も前記液吐出口に近い段階における分岐箇所に設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項7】
前記流路は、前記液供給口から導入された流体がn個の前記液吐出口から均等に吐出されるように分岐された前記分岐流路を備えたものであり、
前記n個の液吐出口のそれぞれに対応するようにn個の中継部が設けられており、
各分岐流路が、
前記液供給口と前記n個の中継部とを繋ぐn系統の供給・中継部間流路と、
前記n個の中継部と当該中継部に対応する液吐出口とを繋ぐn系統の中継・液吐出口間流路とを有し、
前記液供給口の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に前記中継部が配置され、
前記n系統の中継・液吐出口間流路の長さがそれぞれ同一のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項8】
前記中継部が、前記仮想円の円周を略n等分する位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記各中継・液吐出口間流路が、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部とを備え、前記水平部と前記下降部との間に屈曲部を有する流路であり、
各中継・液吐出口間流路に係る前記水平部の長さの総和が同一であり、
各中継・液吐出口間流路に係る前記下降部の長さの総和が同一であり、
各中継・液吐出口間流路における前記屈曲部の数が同一であることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項10】
前記各中継・液吐出口間流路は、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることを特徴とする請求項9に記載のノズル。
【請求項11】
前記各中継・液吐出口間流路に、流路径が縮小された縮径部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項12】
各分岐流路の流路径が、前記分岐流路によらず同等であることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項13】
前記各分岐流路を構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項14】
液供給口の断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)であることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のノズルを備え、
前記液供給口に対して供給する液を圧送する圧送装置を備えていることを特徴とする、液供給システム。
【請求項16】
前記バルブ部材を開閉制御する制御装置を備えていることを特徴とする、請求項15に記載の液供給システム。
【請求項17】
前記圧送装置が、一軸偏心ねじポンプであることを特徴とする、請求項15に記載の液供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル、及び液供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に係る分岐流路構成体のように、液供給口から供給された液を内部に設けられた分岐流路において分岐し、複数の液吐出口から吐出できるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1のように、多数の液吐出口から液を吐出できるように分岐流路を設ける場合において、高さ方向に異なる位置に設けられた液吐出口同士が分岐流路を介して繋がった構造となる場合がある。このような構造の場合、液の粘性等の条件によっては、いわゆるサイフォン現象により、高低差のある液吐出口を繋ぐ分岐流路を介して液が流れ、液だれが生じる可能性がある。そのため、このような液だれが生じにくいノズルや、これを備えた液供給システムの提供が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、液吐出口を繋ぐ分岐流路を介して液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制可能なノズル、及び液供給システムの実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のノズルは、液供給口と、複数の液吐出口と、前記液供給口と複数の前記液吐出口とを通液できるように接続し、分岐箇所において複数の分岐流路に分岐された流路と、前記分岐箇所から複数の前記液吐出口までつながる複数の前記分岐流路同士の連通を制限するバルブ部材を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明のノズルは、上記(1)のような構成とすることにより、バルブ部材によって分岐箇所を介してつながった分岐流路同士の連通を制限した状態とすることができる。これにより、本発明のノズルは、いわゆるサイフォン現象によって、分岐流路を介してつながった一方の液吐出口から他方の液吐出口に向けて液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制できる。
【0008】
(2)本発明のノズルは、前記バルブ部材が、前記流路の前記分岐箇所に設けられていることを特徴とするものであると良い。
【0009】
本発明のノズルは、上記(2)のような構成とすることにより、分岐箇所に設けられたバルブ部材によって、分岐箇所を介して複数の分岐流路同士が連通するのを確実に制限できる。
【0010】
(3)本発明のノズルは、前記分岐箇所に単独の前記バルブ部材が設けられ、前記バルブ部材ごとに、当該バルブ部材が配された前記分岐箇所につながる全ての分岐流路同士の連通を制限可能であることを特徴とするものであると良い。
【0011】
本発明のノズルは、上記(3)のような構成とすることにより、例えば分岐流路ごとにバルブ部材を設ける場合に比べて、バルブ部材の数を抑制したり、制御対象となるバルブ部材の数が少ない分だけバルブ部材の動作制御を簡素化したりすることができる。
【0012】
(4)本発明のノズルは、前記バルブ部材の開閉動作が可能であり、前記液吐出口から液を吐出する際に開状態とされ、前記液吐出口からの液の吐出を停止する際に閉状態とされることを特徴とするものであると良い。
【0013】
本発明のノズルは、上記(4)のような構成とすることにより、液の吐出を行うときに、バルブ部材を開状態とすることにより、液をスムーズに各液吐出口から吐出させることができる。また、本発明のノズルは、上記(4)の構成を採用することにより、液の吐出を停止する際にバルブ部材を閉状態とすることにより、いわゆるサイフォン現象による液だれが発生するのを抑制できる。
【0014】
(5)本発明のノズルは、前記バルブ部材が、所定の液圧がかかることを条件として、前記分岐箇所から前記液吐出口に向かう液の流れを許容するものであることを特徴とするものであると良い。
【0015】
本発明のノズルは、上記(5)のような構成とすることにより、液の吐出に際してバルブ部材に作用する液圧を利用して、バルブ部材を開状態として分岐箇所から液吐出口に向けて液を供給可能なものとすることができる。これにより、本発明のノズルは、バルブ部材を作動させるための動力源等を設ける必要がなく、その分だけ構成をシンプルなものとすることができる。
【0016】
(6)本発明のノズルは、前記流路が、前記液供給口から始まり前記液吐出口に至る区間において、複数の段階に亘って分岐され、各段階に分岐箇所を備えるものであり、前記バルブ部材は、前記分岐箇所のうち、最も前記液吐出口に近い段階における分岐箇所に設けられるものであると良い。
【0017】
本発明のノズルは、上記(6)のような構成とすることにより、いずれの液吐出口においても、いわゆるサイフォン現象による液だれが生じるのを抑制できる。すなわち、例えば、分岐箇所のうち、最も液吐出口に近い段階における分岐箇所ではなく、これよりも上流側の分岐箇所にバルブ部材を設けた場合においては、バルブ部材を設けた分岐箇所よりも下流側の分岐箇所においては、分岐流路を介して複数の液吐出口が連通した状態になる。そのため、このような構成とした場合には、分岐流路を介して分岐箇所において連通した複数の液吐出口同士の間で、液の流れが発生する可能性がある。しかしながら、本発明のノズルは、上記(6)のような構成とすることにより、いずれの液吐出口においても、サイフォン現象による液だれが生じるのを抑制できる。
【0018】
(7)本発明のノズルは、前記流路が、前記液供給口から導入された流体がn個の前記液吐出口から均等に吐出されるように分岐された前記分岐流路を備えたものであり、前記n個の液吐出口のそれぞれに対応するようにn個の中継部が設けられており、各分岐流路が、前記液供給口と前記n個の中継部とを繋ぐn系統の供給・中継部間流路と、前記n個の中継部と当該中継部に対応する液吐出口とを繋ぐn系統の中継・液吐出口間流路とを有し、前記液供給口の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に前記中継部が配置され、前記n系統の中継・液吐出口間流路の長さがそれぞれ同一のものであると良い。
【0019】
本発明のノズルでは、液供給口の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に中継部が設けられている。さらに、液供給口と各中継部とを繋ぐようにn系統の供給・中継部間流路が設けられていることから、供給・中継部間流路の長さが各系統毎に均一である。そのため、液供給口から中継部に至るまでの区間において、流体が各分岐流路に略均一の圧力及び流量で流れることになる。また、本発明のノズルでは、n個の中継部からn個の液吐出口まで至るn系統の中継・液吐出口間流路の長さがそれぞれ均一とされているため、各中継・液吐出口間流路を流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量の均一化を図ることが可能である。従って、本発明のノズルによれば、液供給口に導入された流体を吐出量や吐出圧を略一定としつつ、所望の分岐数に分岐することが可能となる。
【0020】
また、本発明のノズルでは、各中継・液吐出口間流路の長さが均一であればよく、その配置に特別な制限が加わらない。そのため、本発明のノズルによれば、所望の位置に各分岐流路の液吐出口を配置することが可能となり、流路設計上の自由度が極めて高くなる。
【0021】
(8)本発明のノズルは、前記中継部が、前記仮想円の円周を略n等分する位置に配置されているものであると良い。
【0022】
本発明のノズルは、上記(8)のような構成とすることにより、各供給・中継部間流路を流れる流体の流量や圧力をより一層確実に均一化することが可能となる。従って、本発明のノズルは、上記(8)のような構成とすることにより、各液吐出口における流体の流量や吐出圧をより一層均一化することが可能となる。
【0023】
(9)本発明のノズルは、前記各中継・液吐出口間流路が、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部とを備え、前記水平部と前記下降部との間に屈曲部を有する流路であり、各中継・液吐出口間流路に係る前記水平部の長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路に係る前記下降部の長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路における前記屈曲部の数が同一であるものであると良い。
【0024】
本発明のノズルは、上記(9)のような構成とすることにより、各中継・液吐出口間流路を流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布を均一化することが可能となる。従って、各中継・液吐出口間流路を前述したような屈曲流路構成部を有する流路とすることにより、各液吐出口における流体の流量や吐出圧の均一化をさらに図ることが可能となる。
【0025】
(10)本発明のノズルにおいて、前記各中継・液吐出口間流路は、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることを特徴とするものであると良い。
【0026】
本発明のノズルは、上記(10)のような構成とすることにより、屈曲部に対して流体の流れ方向下流側に位置する水平部の向きを、これよりも上流側に位置する水平部とは異なる方向に向けることが可能となり、その分だけ各液吐出口のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0027】
(11)本発明のノズルは、前記各中継・液吐出口間流路に、流路径が縮小された縮径部が設けられているものであると良い。
【0028】
本発明のノズルは、上記(11)のような構成とすることにより、縮径部の流路径を分岐流路の系統によらず略均一にすることにより、各分岐流路における吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。
【0029】
(12)本発明のノズルは、各分岐流路の流路径が、前記分岐流路によらず同等であるものであると良い。
【0030】
本発明のノズルは、上記(12)のような構成とすることにより、各分岐流路に繋がる液吐出口における吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。
【0031】
(13)本発明のノズルは、前記各分岐流路を構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されるものであると良い。
【0032】
本発明のノズルは、上記(13)のような構成とすることにより、上述した条件に合致する分岐流路を容易かつ確実に形成することが可能となる。また、かかる構成とした場合は、ノズルの組み立てや分解、清掃等が容易であり、ノズルの設置やメンテナンスが実施しやすくなる。
【0033】
(14)本発明のノズルは、液供給口の断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)であるものであると良い。
【0034】
本発明のノズルは、上記(14)のような構成とすることにより、液供給口からn系統分形成された供給・中継部間流路のそれぞれに流入する流体の流量や圧力を均一化することが可能となる。
【0035】
(15)本発明の液供給システムは、上述した本発明のノズルを備え、前記液供給口に対して供給する液を圧送する圧送装置を備えていることを特徴とするものである。
【0036】
本発明の液供給システムは、上述した本発明のノズルを備えたものである。そのため、本発明の液供給システムは、いわゆるサイフォン現象によって、分岐流路を介してつながった一方の液吐出口から他方の液吐出口に向けて液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制できる。
【0037】
(16)本発明の液供給システムは、前記バルブ部材を開閉制御する制御装置を備えていることを特徴とするものであると良い。
【0038】
本発明の液供給システムは、上記(16)のような構成とすることにより、環境条件等の外部要因に左右されることなく、バルブ部材の開閉制御により、液だれの抑制等を考慮して適切にバルブ部材を動作させることができる。
【0039】
(17)本発明の液供給システムは、前記圧送装置が、一軸偏心ねじポンプであることを特徴とするものであると良い。
【0040】
本発明の液供給システムは、上記(17)のように、一軸偏心ねじポンプを備えたものであるため、ノズルに対する液の供給量を精度良く調整できる。本発明の液供給システムは、さらに上述した本発明のノズルを備えたものであるため、予期せぬ液だれの防止により、液吐出口から吐出される液の吐出量を精度良く調整できる。従って、本発明の液供給システムによれば、液の供給量及び吐出量を精度良く調整できる。
【0041】
また、上述したように圧送装置として一軸偏心ねじポンプを採用した場合には、液を供給するときとは逆方向にロータを回動させることにより、液を上流側に引き戻す運転(サックバック運転)を行える。そのため、本発明の液供給システムは、上記(17)のような構成とすることにより、本発明のノズルを用いることによる液だれ防止効果に加えて、サックバック運転を行うことによる液だれ防止効果も奏することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、上述した課題を解決可能なノズル、及び液供給システムの提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施形態に係るノズル及び液供給システムについて、バルブ部材が閉状態である状態においてノズルの一部を破断して図示した説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るノズル及び液供給システムについて、バルブ部材が開状態である状態においてノズルの一部を破断して図示した説明図である。
【
図3】(a)は
図1に示したノズルを構成する第一のブロック体を示す平面図、(b)は第二のブロック体を示す平面図である。
【
図4】(a)は変形例に係るバルブ部材を備えたノズルの一部を破断して図示した説明図、(b)は(a)のノズルにおいてバルブ部材が開状態であるときのバルブ部材及びブロック体を示す説明図、(c)は(a)のノズルにおいてバルブ部材が閉状態であるときのバルブ部材及びブロック体を示す説明図である。
【
図5】(a)は変形例に係るバルブ部材が開状態であるときのノズルの一部を破断して図示した説明図、(b)は当該バルブ部材が閉状態であるときのノズルの一部を破断して図示した説明図である。
【
図6】(a)は変形例に係るバルブ部材が閉状態であるときのノズルの一部を破断して図示した説明図、(b)は当該バルブ部材が開状態であるときのノズルの一部を破断して図示した説明図である。
【
図7】第二実施形態に係る液供給システムを示す説明図である。
【
図8】(a)は本発明の一実施形態に係る分岐流路構成体を示す平面図、(b)はこの側面図である。
【
図9】
図8に示す分岐流路構成体に形成される分岐流路の構成を示す斜視図である。
【
図10】分岐流路の構成を説明するための斜視図である。
【
図11】分岐流路の流路設計における中継部及び供給・中間部間経路の設計方法を説明する説明図である。
【
図12】分岐流路の流路設計における中継部及び吐出部を結ぶ中継・吐出部間流路の水平部の設計方法を説明する説明図である。
【
図13】(a),(b)はそれぞれ分岐流路を構成する管路の変形例を示す説明図である。
【
図14】(a),(b)はそれぞれ導入部の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係るノズル10、及び液供給システム100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0045】
図1及び
図2に示すように、液供給システム100は、ノズル10、圧送装置110、制御装置120を備えている。液供給システム100は、圧送装置110によって供給された液をノズル10に供給することにより、ノズル10から液の供給対象に向けて吐出させることができる。
【0046】
ノズル10は、液供給口20と、液吐出口30と、流路40と、バルブ部材50とを備えている。ノズル10は、圧送装置110によって供給された液をノズル10の液供給口20に供給することにより、複数の液吐出口30に向けて液を分岐させて吐出することができる。
【0047】
液供給口20は、ノズル10に供給された液を導入するための開口である。液供給口20は、圧送装置110に対して直接的あるいは他のバルブ等を介して間接的に接続される。
【0048】
液吐出口30は、ノズル10から液を吐出するための開口である。液吐出口30は、一つの液供給口20に対して複数設けられている。流路40は、液供給口20と複数の液吐出口30とを通液できるように接続するものである。
【0049】
流路40は、液供給口20に始まり液吐出口に至る区間(流路40の途中)に設けられた分岐箇所42において複数の分岐流路44に分岐されている。流路40は、途中に分岐箇所42を複数備えている。本実施形態では、流路40は、液供給口20から液吐出口30に至る途中において、2段階に亘って分岐されている。流路40は、各段階に分岐箇所42を備えている。流路40は、分岐箇所42において複数の分岐流路44に分岐されている。
【0050】
本実施形態では、液供給口20を上流とし、液吐出口30を下流としたときに、流路40は、上流側から下流側にn段階(本実施形態ではn=2)に分岐されている。本実施形態では、流路40は、上流側から1段階目の分岐箇所42(第一分岐箇所42a)において2つの分岐流路44(第一分岐流路44a)に分岐されている。また、第一分岐流路44aよりも下流側の分岐箇所42、すなわち上流側から2段階目の分岐箇所42(第二分岐箇所42b)において、4つの分岐流路44(第二分岐流路44b)に分岐されている。さらに、本実施形態では、2つの第一分岐流路44aは、それぞれの流路抵抗が同等(略均一)になるように構成されている。また、4つの第二分岐流路44bについても、それぞれ流路抵抗が同等(略均一)になるように構成されている。これにより、流路40を構成する合計8つの分岐流路44のそれぞれにおける流路抵抗は同等(略均一)となっている。
【0051】
バルブ部材50は、流路40における液の流れを制限する状態(閉状態)と、液の流れを許容する状態(開状態)とに切り替える開閉動作が可能なものとされている。バルブ部材50は、液供給口20に始まり液吐出口に至る流路40の区間(途中)に設けられた分岐箇所42から複数の液吐出口30までつながる複数の分岐流路44同士の連通を制限するものである。
【0052】
バルブ部材50は、流路40の分岐箇所42に設けられている。バルブ部材50は、当該バルブ部材50が配された分岐箇所42につながる全ての分岐流路44同士の連通を制限することができる。バルブ部材50は、液吐出口30から液を吐出する際に開状態とされ、液吐出口30からの液の吐出を停止する際に閉状態とされる。ノズル10は、分岐箇所42ごとに単独のバルブ部材50を設けることが可能であるが、本実施形態では分岐箇所42のうち、最も液吐出口30に近い段階における分岐箇所42にバルブ部材50を設けたものとされている。具体的には、ノズル10において、バルブ部材50は、上述した第二分岐箇所42bに設けられている。本実施形態のノズル10は、第二分岐箇所42bを2つ備えているため、バルブ部材50についても2つ設けられている。なお、液の吐出条件や液だれの発生状況等を考慮し、制御装置120によって2つのバルブ部材50を個別に制御可能としてもよい。
【0053】
バルブ部材50は、上述した機能を発揮できるものであれば様々な形態のものを採用できる。本実施形態では、
図3に示すように、ノズル10の本体部分を構成するブロック体12,14に、流路40を構成する溝や凹部が形成されており、ブロック体14において流路40の分岐箇所42(第二分岐箇所42b)をなす部分に形成された円形の凹部に対して、複数(本実施形態では4つ)の分岐流路44をなす溝が放射状に繋がるように形成されている。
図1及び
図2に示すように、バルブ部材50は、第二分岐箇所42bをなす円形の凹部に嵌め込まれる円柱状の部材を弁体52として備え、弁体52を上下方向にスライドさせることにより、第二分岐箇所42bと複数の分岐流路44が連通した状態(
図2参照)と、非連通の状態(
図1参照)とに切り替え可能なものとされている。
【0054】
圧送装置110は、上述したノズル10の液供給口20に対して供給する液を圧送するものである。圧送装置110は、従来公知のポンプとすると良く、一軸偏心ねじポンプ等のポンプとすると良い。
【0055】
制御装置120は、ノズル10が備えるバルブ部材50の開閉制御を行うものである。
【0056】
上述したノズル10及び液供給システム100は、複数の液吐出口30から液体を吐出する際に、バルブ部材50を開状態とする。これにより、ノズル10に設けられた流路40が液供給口20から液吐出口30まで連通した状態になる。そのため、この状態において圧送装置110により液をノズル10に供給すると、流路40を流れる液が複数の分岐流路44に分岐され、複数の液吐出口30から吐出される。
【0057】
また、ノズル10及び液供給システム100は、複数の液吐出口30における液体の吐出を停止する際に、バルブ部材50を閉状態とする。これにより、ノズル10に設けられた流路40が、液供給口20から液吐出口30の途中に設けられた分岐箇所42(本実施形態では第二分岐箇所42b)において非連通となる。また、分岐箇所42(第二分岐箇所42b)に繋がった複数の分岐流路44同士も非連通となる。そのため、液吐出口30の開口端に高低差がある分岐流路44が存在していたとしても、分岐流路44を介して高い位置にある液吐出口30から低い位置にある液吐出口30に液が移動し、低い位置に設けられた液吐出口30において液だれが生じるのを抑制できる。
【0058】
上述したノズル10や液供給システム100は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成を変更あるいは省略したり、他の構成を追加したりすることができる。
【0059】
例えば、上述したバルブ部材50は、第二分岐箇所42bをなす円形の凹部に嵌め込まれる円柱状の部材である弁体52を上下方向にスライドさせることにより、第二分岐箇所42bと複数の分岐流路44が連通した状態と、非連通の状態とに切り替え可能なものであるが、本発明はこれに限定されない。ノズル10は、例えば、弁体52に代えて、
図4に示すような弁体152を備えたバルブ部材150を、バルブ部材50に代えて備えた構成としても良い。
図4(b)、(c)に断面視して示すように、弁体152は、断面視で十字状に形成された連通孔152aを有し、弁体152の回転角度を調整することにより、複数(本実施形態では4つ)の分岐流路44が連通した状態(
図4(b)参照)と、非連通の状態(
図4(c)参照)とに切り替え可能なものである。
【0060】
また、ノズル10は、バルブ部材50に代えて
図5に示したバルブ部材250を備えたものでも良い。バルブ部材250は、第一分岐流路44aよりも上方から第二分岐流路44bに到達するように形成された連通孔254に差し込まれてスライド可能な弁体252を備えたものである。弁体252は、第一分岐流路44a側に位置する第一弁体構成部252aと、第二分岐流路44b側に位置する第二弁体構成部252bとを、連通孔254の開口領域の大きさよりも十分小さな連結部252cで連結したものである。連結部252cは、第一分岐流路44aの上端から第二分岐流路44bの下端までの長さと同等とされている。そのため、
図5(a)に示すように、第二弁体構成部252bの上端が第二分岐流路44bの下端と同レベルの高さとなるように弁体252の位置が調整されると、第二分岐流路44bが開状態となる。一方、
図5(b)のように弁体252を引きあげた状態とすると、第二弁体構成部252bによって第二分岐流路44b同士の連通が制限された状態(閉状態)になる。ノズル10は、バルブ部材50に代えてこのようなバルブ部材250を設けることによっても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できる。
【0061】
ノズル10は、バルブ部材50に代えて
図6に示したバルブ部材350を備えたものでも良い。バルブ部材350は、第二分岐箇所42bをなす部分に配される弁体352と、これを流路40(分岐流路44)の外部から第二分岐箇所42bに向けて突出するように付勢する付勢部材354とを有する。
図6(a)に示すように、弁体352に液圧が作用していない状態においては、弁体352が付勢部材354によって付勢されて第二分岐箇所42bに存在し、第二分岐流路44b同士の連通が制限された状態(閉状態)となる。一方、
図6(b)に示すように、第一分岐流路44a側から付勢部材354の付勢力に反して弁体352に対して液圧がかかることを条件として、弁体352が第二分岐箇所42bから退出し、第二分岐箇所42bから液吐出口に向かう液の流れが許容される。ノズル10は、バルブ部材50に代えてこのようなバルブ部材350を設けることによっても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できる。
【0062】
≪第二実施形態≫
上述したように、圧送装置110は、一軸偏心ねじポンプ等のポンプによって構成することができる。具体的には、圧送装置110は、例えば
図7に示した一軸偏心ねじポンプ500のようなものとすることができる。また、上述したノズル10は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、例えば
図8に示したノズル610のように、
図9に示したような分岐流路Bnを備えたものとすることが可能である。以下、本発明の第二実施形態として、ノズル10に代えてノズル610を備えるとともに、一軸偏心ねじポンプ500を備えた液供給システム600(
図7参照)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、上述したノズル10や液供給システム100と共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0063】
≪一軸偏心ねじポンプ500について≫
図7に示すように、一軸偏心ねじポンプ500は、いわゆる回転容積型のポンプであり、ケーシング520の内部にステータ510や、ロータ530、動力伝達機構540などが収容された構成とされている。
図7に示すように、ステータ510は、一軸偏心ねじポンプ500に組み込まれる部材であり、断面形状が長円であって2条の雌ねじ形状の孔を有する筒体である。ステータ510は、ゴムなどによって形成されている。ステータ510を構成するゴムの種類は、一軸偏心ねじポンプ500において移送する被搬送物の種類や性状などにあわせて適宜選択可能である。
【0064】
ケーシング520は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側に取り付けられた円板形のエンドスタッド520aに第1開口522aが設けられている。また、ケーシング520の外周部分には、第2開口522bが設けられている。第2開口522bは、ケーシング520の長手方向中間部分に位置する中間部520dにおいてケーシング520の内部空間に連通している。第1,2開口522a,522bは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ500の吐出口および吸込口として機能する。上述したステータ510は、ケーシング520において第1開口522aに隣接する位置に設けられたステータ取付部522c内に収容され、固定されている。ステータ510は、フランジ部510aをケーシング520の端部においてエンドスタッド520aによって挟み込み、エンドスタッド520aとケーシング520の本体部分とに亘ってステーボルト524を取り付けて締め付けることにより固定されている。
【0065】
ロータ530は、金属製の軸体であり、1条の雄ねじ形状とされている。ロータ530は、上述したステータ510に挿通され、ステータ510の内部において自由に偏心回転可能とされている。ロータ530は、上述したステータ510の貫通孔516に挿通され、ロータ530の外周面とステータ510の内周面とが両者の接線にわたって当接した状態とされている。また、この状態において、貫通孔516を形成しているステータ510の内周面と、ロータ530の外周面との間には、流体搬送路532が形成されている。
【0066】
流体搬送路532は、ステータ510やロータ530の長手方向に向けて螺旋状に延びており、ロータ530をステータ510の貫通孔516内において回転させると、ステータ510内を回転しながらステータ510の長手方向に進む。そのため、ロータ530を回転させると、ステータ510の一端側から流体搬送路532内に流体(液)を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路532内に閉じこめた状態でステータ510の他端側に向けて移送し、ステータ510の他端側において吐出させることが可能である。
【0067】
動力伝達機構540は、ケーシング520の外部に設けられたモータなどの動力源(図示せず)から上述したロータ530に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構540は、前述した動力源から伝達された回転動力をロータ530に伝達し、ロータ530を偏心回転させることが可能とされている。一軸偏心ねじポンプ500は、前述した動力源を作動させロータ530を回転させることにより、流体搬送路532を介して流体を搬送することが可能である。
【0068】
≪ノズル610について≫
ノズル610は、上述したような構成の一軸偏心ねじポンプ500の吐出口として機能する第1開口522aに対して配管接続されている。
図8に示すように、ノズル610は、金属製の流路構成プレートP1~P4を、上下方向に重ね合わせ、上下方向に各プレートP1~P4間を貫通するように挿通されたボルトによって一体化したものである。ノズル610は、導入部Sと、n個(nは2以上の自然数。以下同様。)の液吐出口Fnに加え、導入部Sとn個の液吐出口Fnのそれぞれとを繋ぐn系統の分岐流路Bnとを備えた流路640を有するものであり、導入部S(液供給口620)から流路640に導入された流体をn系統の分岐流路Bnに略均等に分岐させ、n個の液吐出口Fnのそれぞれから吐出させることが可能なものである。
【0069】
流路構成プレートP1~P4には、上述した導入部Sやn個の液吐出口Fnに加え、これらを繋ぐn系統の分岐流路Bnを構成する溝が形成されている。以下、導入部Sやn個の液吐出口Fn、n系統の分岐流路Bnの構成についてさらに詳細に説明する。
【0070】
図8や
図9に示すように、導入部Sは、ノズル610において最も上方に配される流路構成プレートP1に設けられた断面形状略円形の部分である。流路構成プレートP1は円盤状で金属製のプレートであり、導入部Sはこの流路構成プレートP1の略中央に設けられている。また、液吐出口Fnは、ノズル610において最も下方に配される流路構成プレートP4に設けられている。液吐出口Fnの配置や個数(n個)は任意のものとすることができるが、本実施形態では
図9に示すように、7個の液吐出口Fn(n=1~7)が直線L上に並ぶように形成されている。
【0071】
分岐流路Bnは、流路構成プレートP1~P4に形成された溝によって構成されるものである。分岐流路Bnは、n個設けられている液吐出口Fn(n=1~7)のそれぞれに対応してn系統分だけ形成されている。すなわち、第1~第nの分岐流路Bnが形成される。本実施形態では、液吐出口Fnが7個設けられているため、第1の分岐流路B1~第7の分岐流路B7からなる7系統の分岐流路Bnが形成されている。
【0072】
図10に示すように、分岐流路Bn(n=1~7)は、液吐出口Fn(n=1~7)に対応して設けられた各中継部Rn(n=1~7)と導入部Sとを繋ぐ供給・中継部間流路SRn(n=1~7)と、各中継部Rn(n=1~7)と各液吐出口Fn(n=1~7)とを繋ぐ中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)とに大別される。各供給・中継部間流路SRn(n=1~7)と、各中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)とはそれぞれ連通しており、一連の流路を形成している。
【0073】
図11に示すように、中継部Rn(n=1~7)は、上述した導入部Sと同心の仮想円C1上に配置されている。また、中継部Rn(n=1~7)は、仮想円C1の円周をn分割(本実施形態では7分割)する位置に配置されている。中継部Rn(n=1~7)は、仮想円C1の円周をn分割するように配置されていれば良いが、各分岐流路Bn(n=1~7)に流体を略均等に供給することを考慮すれば、仮想円C1の円周を略n等分する位置に配置することが好ましい。かかる観点から、本実施形態では、中継部Rn(n=1~7)が仮想円C1の円周を略n等分(本実施形態では7等分)する位置に配置されている。そのため、各供給・中継部間流路SRn(n=1~7)は、導入部Sを中心として放射状に形成されている。
【0074】
図10に示すように、中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)は、それぞれ下降部Dnp(n=1~7,p=1~3)と、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)とを有し、これらを連通させることにより形成された屈曲流路である。具体的には、各中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)は、下降部Dn1→水平部Ln1→下降部Dn2→水平部Ln2→下降部Dn3の順で連通し、液吐出口Fn(n=1~7)に繋がるように形成された流路である。
【0075】
本実施形態では、各下降部Dnp及び各水平部Lnqの長さが各系統毎に略同一であり、内径も略同一とされている。そのため、中継・液吐出口間流路RFnの全長及び開口径は、系統によらず略同一であり、内部を流体が通過することにより発生する圧損についても略均一となる。
【0076】
≪分岐流路Bnの設計方法について≫
続いて、上述した分岐流路Bn(n=1~7)の設計方法について説明する。分岐流路Bnにおいて、下降部Dn1,Dn2,Dn3(n=1~7)は、それぞれ流路構成プレートP2,P3,P4を上下方向に貫通するように形成された、同一開口径の貫通孔によって形成される。そのため、下降部Dn1,Dn2,Dn3(n=1~7)の長さや開口径は、分岐流路Bn(n=1~7)の系統によらず均一である。したがって、分岐流路Bを設計する場合は、水平方向に延びる部分、具体的には供給・中継部間流路SRn(n=1~7)や、中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)を構成する水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)の配置が問題となる。以下、供給・中継部間流路SRn(n=1~7)や、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)の設計方法を中心に説明する。
【0077】
供給・中継部間流路SRn(n=1~7)や、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)は、導入部Sや、中継部Rn、液吐出口Fn(n=1~7)の水平方向の位置関係は、これらを仮想の水平面H上に投影した地点を基準にして定められる。具体的には、導入部Sや中継部Rn、液吐出口Fn(n=1~7)の軸心位置を通る鉛直線と水平面Hとの交点が、それぞれ導入基準点s、中継基準点rn、吐出基準点fnとして定められる(
図10参照)。
【0078】
供給・中継部間流路SRn(n=1~7)は、導入部Sと中継部Rnとを結ぶ流路であるため、中継部Rn(n=1~7)を定める必要がある。
図11に示すように、中継部Rn(n=1~7)は、導入部Sに対応して水平面H上に設定された導入基準点sを中心として半径r1の仮想円C1が規定され、仮想円C1の円周を略n等分する位置に中継部Rn(n=1~7)に対応する中継基準点rnが設定される。本実施形態では、分岐流路Bnを7系統形成する必要があるため、仮想円C1の円周上に、360/7[度]毎に中継基準点rn(n=1~7)が設定される。
【0079】
ここで、水平部Ln1(n=1~7)は、流路構成プレートP2,P3の間に形成され、上述した中継部Rn(n=1~7)の直下の位置を基準として水平方向に延びる流路である。また、水平部Ln2(n=1~7)は、流路構成プレートP3,P4の間に形成され、上述した液吐出口Fn(n=1~7)の直上の位置を基準として水平方向に延びる流路である。さらに、水平部Ln1(n=1~7)の流路長は各系統毎に均一である必要があり、水平部Ln2(n=1~7)の流路長も各系統毎に均一である必要がある。
【0080】
そこで、水平部Ln1,Ln2の設計に際しては、先ず、
図12に示すように、液吐出口Fn(n=1~7)に対応するように水平面H上に設定された中継基準点rn(n=1~7)を中心とする半径r2の仮想円C2n(n=1~7)、及び吐出基準点fn(n=1~7)を中心とし仮想円C2n(n=1~7)と交差する半径r3の仮想円C3n(n=1~7)が水平面H上に設定される。これにより形成された仮想円C2n(n=1~7)と仮想円C3n(n=1~7)との交点が、屈曲基準点xn(n=1~7)として定められる。
【0081】
第1の分岐流路B1の設計方法を例に挙げて具体的に説明すると、水平部L11,L12の設計に際して、
図12に示すように液吐出口F1に相当する位置に吐出基準点f1が設定される。また、第1の分岐流路B1において想定される中継基準点r1を中心として半径r2の仮想円C21、及び吐出基準点f1を中心とする半径r3の仮想円C31が設定される。仮想円C21,C31の交点X1と中継基準点r1とを結ぶ位置に水平部L11が設定され、交点X1と吐出基準点f1とを結ぶ位置に水平部L12が設定される。これと同様にして、第2~第7の分岐流路B2~B7の水平部Ln1,Ln2(n=1~7)が設定される。
【0082】
上述したようにして中継基準点rn、屈曲基準点xn、及び吐出基準点fnが定められると、
図10に示すように、これらを通る鉛直線Vrn,Vxn,Vfnが設定される。また、流路構成プレートP1,P2間を通る水平面J1、流路構成プレートP2,P3間を通る水平面J2、流路構成プレートP3,P4間を通る水平面J3が想定される。鉛直線Vrnと水平面J1との交点が供給・中継部間流路SRn(n=1~7)と下降部Dn1との境界部となる。また、鉛直線Vxnと水平面J2との交点が水平部Ln1と下降部Dn2との境界部となり、鉛直線Vxnと水平面J3との交点が下降部Dn2と水平部Ln2との境界部となる。さらに、鉛直線Vfnと水平面J3との交点が水平部Ln2と下降部Dn3との境界部となる。このようにして供給・中継部流路Srnと、中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)とを設計することにより、流路長が同一であり導入部Sから各液吐出口Fnに繋がる一連の分岐流路Bn(n=1~7)を形成することができる。
【0083】
上述したノズル610においては、導入部Sが、ノズル10における液供給口20としての機能を果たすととともに、ノズル10における分岐箇所42としての機能をも果たす。ここで、上述したノズル10においては、バルブ部材50,150,250,350を流路40の分岐箇所42に設けることにより、分岐箇所42から複数の液吐出口30までつながる複数の分岐流路同士の連通を制限するものとされている。本実施形態のノズル610においても、バルブ部材50,150,250,350と同様に、分岐箇所をなす導入部Sから複数の液吐出口Fn(n=1~7)までつながる複数の分岐流路Bn(n=1~7)同士の連通を制限するバルブ部材650を設けた構成とすることにより、上記実施形態で例示したノズル10と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
また、ノズル610は、バルブ部材650を設けるのに代えて、あるいはバルブ部材650を設けるのに加えて、分岐流路Bn(n=1~7)のそれぞれにおいて、分岐箇所642をなす導入部Sよりも液の流れ方向下流側にバルブ部材650を設けることも可能である。導入部Sよりも液の流れ方向下流側にバルブ部材650を設ける場合には、分岐流路Bn(n=1~7)のそれぞれにおける流路抵抗の均一化を図るべく、分岐流路Bn(n=1~7)のそれぞれにおいて同等の位置にバルブ部材650を設けると良い。
【0085】
具体的には、本実施形態のノズル610においては、供給・中継部間流路SRn(n=1~7)と中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)との境界に位置する各中継部Rn(n=1~7)において分岐流路Bが屈曲している。また、ノズル610においては中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)を構成する水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)と、下降部Dnp(n=1~7,p=1~3)と、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)との境界部においても屈曲している。このように、ノズル610は、各分岐流路Bが屈曲流路を構成している。そのため、供給・中継部間流路SRn(n=1~7)にバルブ部材650を設ける場合には、全ての分岐流路Bn(n=1~7)において、供給・中継部間流路SRn(n=1~7)にバルブ部材650を設けると良い。また、中継・液吐出口間流路RFn(n=1~7)にバルブ部材650を設ける場合には、全ての分岐流路Bn(n=1~7)において、同等の位置に同等の流路抵抗を有するバルブ部材650を設けると良い。
【0086】
さらに詳細には、下降部Dnp(n=1~7,p=1~3)にバルブ部材650を設ける場合には、pの値が同一の水平部Lnqに同等の流路抵抗を有するバルブ部材650を設けると良い。同様に、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)にバルブ部材650を設ける場合には、qの値が同一の水平部Lnqにバルブ部材650を設けると良い。また、中継部Rn(n=1~7)にバルブ部材650を設ける場合には、全ての中継部Rnに同等の流路抵抗を有するバルブ部材650を設けると良い。同様に、下降部Dnp(n=1~7,p=1~3)と、水平部Lnq(n=1~7,q=1~2)との境界部にバルブ部材650を設ける場合には、pの値が同一の水平部Lnqと、qの値が同一の水平部Lnqとの境界をなす屈曲部分に、同等の流路抵抗を有するバルブ部材650を設けると良い。
【0087】
また、本実施形態では、導入部Sに始まり液吐出口Fnに至る流路640の区間のうち、始点となる導入部Sに分岐箇所642を設けた例を示したが、分岐箇所642は、液供給口20に始まり液吐出口Fnに至る区間のいずれの箇所に設けられても良い。
【0088】
本実施形態のノズル610は、下降部Dnpの長さの総和、及び水平部Lnqの長さの総和が分岐流路Bnの系統によらず同一とされている。また、ノズル610は、各分岐流路Bnを構成する各部位、具体的には供給・中継部間流路SRn、中継・液吐出口間流路RFnを構成する管路の大きさや断面形状が略同一とされている。さらに、各分岐流路Bnにおいて水平部Lnqと下降部Dnpとの境界に形成される屈曲部分の総数が同一である。そのため、各中継・液吐出口間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布が分岐流路Bnの系統によらず略均一であり、各液吐出口Fnにおける流体の吐出量や吐出圧を均一化することができる。
【0089】
本実施形態で示した分岐流路Bnは、水平部Lnqと下降部Dnpとが、境界部分において大きく湾曲することなく屈曲した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本実施形態のノズル610は、溝を形成した流路構成プレートP1~P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnを構成したものであるため、水平部Lnqと下降部Dnpとの境界部分を大きく湾曲させることなく連続させることが可能であったが、例えば銅管の配管を屈曲させて各分岐流路Bnを形成する場合は、本実施形態で示したものよりも水平部Lnqと下降部Dnpとの境界部分において大きく湾曲させざるを得ない。そのため、分岐流路Bnは、
図13(a)に示すように本実施形態において示したものよりも大きな曲率で前記境界部分が湾曲したものであってもよい。
【0090】
なお、上述したように境界部分を大きく湾曲させた場合についても、分岐流路Bnは系統によらず全体として略同一の流路長を有し、系統によらず下降部Dnpの長さの総和が同一であり、水平部Lnqの長さの総和が同一であり、さらに屈曲部分の数が同一となるように流路設計される必要がある。これらの条件を満足する限りにおいて、本実施形態において例示したものと同様に、各液吐出口Fnにおける流体の吐出圧や吐出量を略均一化することが可能である。
【0091】
ノズル610においては、前記各中継・液吐出口間流路RFnが屈曲部を備えており、屈曲部を境として下流側の水平部Lnqの向きを、屈曲部よりも上流側(上方側)の水平部Lnqとは異なる方向に向けることが可能である。また、中継・液吐出口間流路RFnは、それぞれ上下方向に複数箇所において屈曲部を備えた構成とされている。そのため、ノズル610は、各液吐出口Fnのレイアウトにあわせて各中継・液吐出口間流路RFnを水平方向に任意の位置まで到達させることが可能であり、流路構成上の自由度が高い。
【0092】
本実施形態において示したノズル610は、各分岐流路Bnを構成する流路の開口径が部位によらず均一のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、全系統の中継・液吐出口間流路RFnに、
図13(b)に示すように流路の開口径が縮小された部位(縮径部660)を設けた構成とすることも可能である。また逆に、各分岐流路Bnに、流路径が他の部位よりも拡大した部位(拡径部)を設けることも可能である。さらに、各分岐流路Bnを構成する部位の一つとして流路の断面形状が他の部位とは異なる部位を設けることも可能である。なお、前述した縮径部660などの流路径や断面形状が他と異なる部位を設ける場合は、各分岐流路Bnにおいて流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量等の均一化を図るべく、各分岐流路Bnにおいて同様の位置に縮径部660などの部位を設けることが望ましい。また、各分岐流路Bnに設ける縮径部660などの部位の流路径や流路断面積は、分岐流路Bnの系統によらず略均一であることが望ましい。このようにすることにより、縮径部660を設けた場合であっても、各分岐流路Bnにおける圧損や流体の流量のバランスをより一層均一化することが可能となり、各液吐出口Fnにおける流体の吐出量や吐出圧のばらつきが発生するのを防止することができる。
【0093】
ノズル610は、溝が形成された流路構成プレートP1~P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnが形成されるものであるため、上述した設計方法により設計された分岐流路Bnを容易かつ的確に形成することが可能である。なお、本実施形態では、流路構成プレートP1~P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnを構成する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属管や樹脂管などを適宜屈曲等させることにより、上述した分岐流路Bnを形成することとしてもよい。また、ノズル610を複数種類の共通部品によって構成されるものとしておき、前記共通部品を適宜組み合わせることにより所望の配置や形状の分岐流路Bnを形成可能なものであってもよい。さらに、ノズル610は、供給・中継部間流路SRnを構成する部分と、中継・液吐出口間流路RFnを構成する部分とを別々のパーツとして構成し、これらを連結することにより各分岐流路Bnを構成可能なものであってもよい。また、例えば下降部Dnpを構成するパーツと水平部Lnqを構成するパーツとを別々に準備し、これらを適宜接続することにより中継・液吐出口間流路RFnを構成可能なものとしてもよい。
【0094】
本実施形態で示したノズル610は、各流路構成プレートP1~P4の境界に想定される水平面J1~J3に相当する位置において各分岐流路Bnを屈曲させたものであるため、同一の高さにおいて各分岐流路Bnが屈曲したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各分岐流路Bnの全長が同一になるという条件を満足する限り、各分岐流路Bnが異なる高さにおいて屈曲したものであってもよい。各分岐流路Bnが異なる高さにおいて屈曲した構成とした場合は、分岐流路Bn同士の干渉を容易に回避することが可能となり、より一層各分岐流路Bnや各液吐出口Fnのレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0095】
本実施形態では、導入部Sに繋がる各分岐流路Bnが途中で分岐することなく、一連の流路を構成するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各分岐流路Bnがそれぞれ途中においてさらに多系統に分岐するように形成されてもよい。なお、各分岐流路Bnを途中で分岐させる場合は、各分岐流路Bn毎に分岐数を同一にすることが望ましい。また、各分岐流路Bnを途中で分岐させる場合についても、上述した流路設計法に準じて流路設計することにより、流体が流れることにより発生する圧損や流量を均一化し、各液吐出口Fnにおける流体の吐出圧や吐出量を均一化することが可能となる。
【0096】
本実施形態のノズル610では、導入部Sの断面形状が円形であり、周方向に略等間隔に各分岐流路Bnが接続されているため、一軸偏心ねじポンプ500から導入部Sに導入された流体を各分岐流路Bnに対して略均一に供給することができる。なお、導入部Sは、断面形状が円形のものに限定される訳ではなく、断面形状が多角形のものであっても良いが、各分岐流路Bnに対して略均一に流体を供給するとの観点からすると断面形状が略正n角形、あるいは、略正n×a角形(aは自然数)であることが好ましい。具体的には、例えば液吐出口Fnが3つ設けられており、分岐流路Bnが3系統形成される場合は、
図14(a)に示すように導入部Sの断面形状を正三角形としたり、
図14(b)に示すように正六角形(n=3,a=2,n×a=6)としたりすることが可能である。このように導入部Sの形状を調整することにより、一軸偏心ねじポンプ500側から導入部Sに導入された流体を各分岐流路Bnに略均一に供給することが可能となる。
【0097】
本実施形態では、供給・中継部間流路SRnが水平方向に延びる部分のみを有するものであったが、本発明はこれに限定されるものであってもよく、中継・液吐出口間流路RFnの下降部Dnpのように上下方向(鉛直方向)に延びる部分を有するものであってもよい。かかる構成とした場合についても、上述した分岐流路Bnの設計方法において説明したのと同様に、仮想円C1の円周をn分割する位置に設けられた中継部Rnと導入部Sとを繋ぐよう、各供給・中継部間流路SRnが流路設計されることにより、導入部Sから各分岐流路Bnに対して流体を略均一に供給することが可能となる。
【0098】
上述した各実施形態のノズル10,610及び液供給システム100,600は、以下の(a)~(q)のような特徴的構成を備えている。これにより、ノズル10,610及び液供給システム100,600は、従来技術では達し得ない特有の効果を奏することができる。
【0099】
(a)上述したノズル10,610は、液供給口20,620と、複数の液吐出口30,Fnと、液供給口20と複数の液吐出口30,Fnとを通液できるように接続し、分岐箇所42,642において複数の分岐流路44,Bnに分岐された流路40,640と、分岐箇所42,642から複数の液吐出口30までつながる複数の分岐流路同士の連通を制限するバルブ部材50,150,250,350,650を備えている。
【0100】
上述したノズル10,610は、上記(a)のような構成とすることにより、バルブ部材50,150,250,350,650によって分岐箇所42,642を介してつながった分岐流路44,Bn同士の連通を制限した状態とすることができる。これにより、ノズル10,610は、いわゆるサイフォン現象によって、分岐流路44,Bnを介してつながった一方の液吐出口30,Fnから他方の液吐出口30,Fnに向けて液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制できる。
【0101】
(b)上述したノズル10,610は、バルブ部材50,150,250,350,650が、流路40,640の分岐箇所42,642に設けられたものである。
【0102】
上述したノズル10,610は、上記(b)のような構成とすることにより、分岐箇所42,642に設けられたバルブ部材50,150,250,350,650によって、分岐箇所42,642を介して複数の分岐流路44,Bn同士が連通するのを確実に制限できる
【0103】
(c)上述したノズル10,610は、分岐箇所42,642に単独のバルブ部材50,150,250,350,650が設けられ、バルブ部材50,150,250,350,650ごとに、当該バルブ部材50,150,250,350,650が配された分岐箇所42,642につながる全ての分岐流路44,Bn同士の連通を制限可能なものである。
【0104】
上述したノズルは、上記(c)のような構成とすることにより、例えば分岐流路44,Bnごとにバルブ部材50,150,250,350,650を設ける場合に比べて、バルブ部材50,150,250,350,650の数を抑制したり、制御対象となるバルブ部材50,150,250,350,650の数が少ない分だけバルブ部材50,150,250,350,650の動作制御を簡素化したりすることができる。
【0105】
(d)上述したノズル10,610は、バルブ部材50,150,250,350,650の開閉動作が可能であり、液吐出口30,Fnから液を吐出する際に開状態とされ、液吐出口30,Fnからの液の吐出を停止する際に閉状態とされるものである。
【0106】
上述したノズル10,610は、上記(d)のような構成とすることにより、液の吐出を行うときに、バルブ部材50,150,250,350,650を開状態とすることにより、液をスムーズに各液吐出口30,Fnから吐出させることができる。また、上述したノズル10,610は、上記(d)の構成を採用することにより、液の吐出を停止する際にバルブ部材50,150,250,350,650を閉状態とすることにより、いわゆるサイフォン現象による液だれが発生するのを抑制できる。
【0107】
(e)上述したノズル10は、バルブ部材350が所定の液圧がかかることを条件として、分岐箇所42から液吐出口30に向かう液の流れを許容するものである。
【0108】
上述したノズル10は、上記(e)のような構成とすることにより、液の吐出に際してバルブ部材350に作用する液圧を利用して、バルブ部材350を開状態として分岐箇所42から液吐出口30に向けて液を供給可能なものとすることができる。これにより、ノズル10は、バルブ部材350を作動させるための動力源等を設ける必要がなく、その分だけ構成をシンプルなものとすることができる。
【0109】
(f)上述したノズル10は、流路40が、液供給口20から始まり液吐出口30に至る区間において、複数の段階に亘って分岐され、各段階に分岐箇所42を備えるものであり、バルブ部材50,150,250,350は、分岐箇所42のうち、最も液吐出口30に近い段階における分岐箇所42に設けられるものである。
【0110】
上述したノズル10は、上記(f)のような構成とすることにより、いずれの液吐出口30においても、いわゆるサイフォン現象が生じることにより液だれが生じるのを抑制できる。すなわち、例えば、分岐箇所42のうち、最も液吐出口に近い段階における分岐箇所42ではなく、これよりも上流側の分岐箇所42にバルブ部材50,150,250,350を設けた場合においては、バルブ部材50,150,250,350を設けた分岐箇所よりも下流側の分岐箇所においては、分岐流路44を介して複数の液吐出口30が連通した状態になる。そのため、このような構成とした場合には、分岐流路44を介して分岐箇所42において連通した複数の液吐出口30同士の間で、液の流れが発生する可能性がある。しかしながら、ノズル10は、上記(f)のような構成とすることにより、いずれの液吐出口30においてもサイフォン現象が生じることにより液だれが生じるのを抑制できる。
【0111】
(g)上記第二実施形態において例示したノズル610は、流路640が、液供給口620から導入された流体がn個の液吐出口Fnから均等に吐出されるように分岐された分岐流路Bを備えたものであり、n個の液吐出口Fnのそれぞれに対応するようにn個の中継部Rnが設けられており、各分岐流路Bが、液供給口620とn個の中継部Rnとを繋ぐn系統の供給・中継部間流路SRnと、n個の中継部Rnと当該中継部Rnに対応する液吐出口Fnとを繋ぐn系統の中継・液吐出口間流路RFnとを有し、液供給口620の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に中継部Rnが配置され、n系統の中継・液吐出口間流路RFnの長さがそれぞれ同一のものである。
【0112】
上述したノズル610では、液供給口620の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に中継部Rnが設けられている。さらに、液供給口620と各中継部Rnとを繋ぐようにn系統の供給・中継部間流路SRnが設けられていることから、供給・中継部間流路SRnの長さが各系統毎に均一である。そのため、液供給口620から中継部Rnに至るまでの区間において、流体が各分岐流路Bに略均一の圧力及び流量で流れることになる。また、上述したノズル610では、n個の中継部Rnからn個の液吐出口Fnまで至るn系統の中継・液吐出口間流路RFnの長さがそれぞれ均一とされているため、各中継・液吐出口間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量の均一化を図ることが可能である。従って、上述したノズル610によれば、液供給口620に導入された流体を吐出量や吐出圧を略一定としつつ、所望の分岐数に分岐することが可能となる。
【0113】
また、上述したノズル610では、各中継・液吐出口間流路RFnの長さが均一であればよく、その配置に特別な制限が加わらない。そのため、上述したノズル610によれば、所望の位置に各分岐流路Bの液吐出口Fnを配置することが可能となり、流路設計上の自由度が極めて高くなる。
【0114】
(h)上述したノズル610は、中継部Rnが、仮想円の円周を略n等分する位置に配置されているものである。
【0115】
上述したノズル610は、上記(h)のような構成とすることにより、各供給・中継部間流路SRnを流れる流体の流量や圧力をより一層確実に均一化することが可能となる。従って、上述したノズル610は、上記(h)のような構成とすることにより、各液吐出口Fnにおける流体の流量や吐出圧をより一層均一化することが可能となる。
【0116】
(i)上述したノズル610は、各中継・液吐出口間流路RFnが、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部Lnqとを備え、水平部Lnqと下降部との間に屈曲部を有する流路640であり、各中継・液吐出口間流路RFnに係る水平部Lnqの長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路RFnに係る下降部の長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路RFnにおける屈曲部の数が同一であるものである。
【0117】
上述したノズル610は、上記(i)のような構成とすることにより、各中継・液吐出口間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布を均一化することが可能となる。従って、各中継・液吐出口間流路RFnを前述したような屈曲流路構成部を有する流路640とすることにより、各液吐出口Fnにおける流体の流量や吐出圧の均一化をさらに図ることが可能となる。
【0118】
(j)上述したノズル610において、各中継・液吐出口間流路RFnは、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることを特徴とするものである。
【0119】
上述したノズル610は、上記(j)のような構成とすることにより、屈曲部に対して流体の流れ方向下流側に位置する水平部Lnqの向きを、これよりも上流側に位置する水平部Lnqとは異なる方向に向けることが可能となり、その分だけ各液吐出口Fnのレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0120】
(k)上述したノズル610は、各中継・液吐出口間流路RFnに、流路径が縮小された縮径部660が設けられているものである。
【0121】
上述したノズル610は、上記(k)のような構成とすることにより、縮径部660の流路径を分岐流路Bの系統によらず略均一にすることにより、各分岐流路Bにおける吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。
【0122】
(l)上述したノズル610は、各分岐流路Bの流路径が、分岐流路Bによらず同等であるものである。
【0123】
上述したノズル610は、上記(l)のような構成とすることにより、各分岐流路Bに繋がる液吐出口Fnにおける吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。
【0124】
(m)上述したノズル610は、各分岐流路Bを構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されるものである。
【0125】
上述したノズル610は、上記(m)のような構成とすることにより、上述した条件に合致する分岐流路Bを容易かつ確実に形成することが可能となる。また、かかる構成とした場合は、ノズル610の組み立てや分解、清掃等が容易であり、ノズル610の設置やメンテナンスが実施しやすくなる。
【0126】
(n)上述したノズル610は、液供給口620の断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)であるものである。
【0127】
上述したノズル610は、上記(n)のような構成とすることにより、液供給口620からn系統分形成された供給・中継部間流路SRnのそれぞれに流入する流体の流量や圧力を均一化することが可能となる。
【0128】
(o)上述した液供給システム600は、上述したノズル610を備え、液供給口620に対して供給する液を圧送する圧送装置(一軸偏心ねじポンプ500)を備えていることを特徴とするものである。また、上述した液供給システム100は、上述したノズル10を備え、液供給口20に対して供給する液を圧送する圧送装置110として一軸偏心ねじポンプ500を採用したものとすることができる。
【0129】
上述した液供給システム100,600は、上記(o)のような構成とすることにより、いわゆるサイフォン現象によって、分岐流路44,Bnを介してつながった一方の液吐出口30,Fnから他方の液吐出口30,Fnに向けて液が流れることにより、液だれが生じるのを抑制できる。
【0130】
(p)上述した液供給システム100,600は、バルブ部材50,150,250,650を開閉制御する制御装置120を備えたものである。
【0131】
上述した液供給システム100,600は、上記(p)のような構成とすることにより、環境条件等の外部要因に左右されることなく、バルブ部材50,150,250,650の開閉制御により、液だれの抑制等を考慮して適切にバルブ部材50,150,250,650を動作させることができる。
【0132】
(q)上述した液供給システム600は、圧送装置が一軸偏心ねじポンプ500であることを特徴とするものである。また、上述した液供給システム100についても、圧送装置110が、一軸偏心ねじポンプ500であると良い。
【0133】
液供給システム100,600は、上記(q)のように、一軸偏心ねじポンプ500を備えたものとすることにより、ノズル10,610に対する液の供給量を精度良く調整できる。液供給システム100,600は、さらにノズル10,610を備えたものであるため、予期せぬ液だれの発生を抑制することにより、液吐出口30,Fnから吐出される液の吐出量を精度良く調整できる。従って、液供給システム100,600は、一軸偏心ねじポンプ500を備えたものとすることにより、液の供給量及び吐出量を精度良く調整できる。
【0134】
また、液供給システム100,600は、上述したように一軸偏心ねじポンプ500を備えたものとすることにより、液を供給するときとは逆方向にロータを回動させることにより、液を上流側に引き戻す運転(サックバック運転)を行える。そのため、液供給システム100,600は、上記(q)のような構成とすることにより、ノズル10,610を用いることによる液だれ防止効果に加えて、サックバック運転を行うことによる液だれ防止効果も奏することができる。
【0135】
本実施形態において例示したノズル10及び液供給システム100は、上述した(a)~(q)に係る特徴的構成を備えたものであるが、本発明はこれに限定されず、上述した(a)~(q)のいずれかを省略した構成としたり、(a)~(q)に係る構成に加えて、あるいは(a)~(q)に係る構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、(a)~(q)を構成する一部の構成を他の構成に置換したり、省略したりしても良い。また、ノズル10及び液供給システム100は、上述した(a)~(q)に係る構成以外のものについても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更、省略等しても良い。
【0136】
例えば、上記実施形態に係るノズル10は、2つの分岐箇所42を備え、各分岐箇所42において流路40が4つの分岐流路44に分岐されることにより、全体として流路40が8つの分岐流路44に分岐されるものとして例示したが、分岐箇所42の数や、各分岐箇所42における流路40の分岐数、全体としての流路40の分岐数等は適宜変更可能である。具体的には、本発明に係るノズルは、上述したノズル610のように、分岐箇所642が一つだけ設けられたもの等とすることが可能である。
【0137】
また、上述した第一実施形態のノズル10は、液供給口20に始まり、複数の液吐出口30に至る流路40の区間の中間位置に分岐箇所42を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば上記第二実施形態で例示したのと同様に、流路40の始点となる液供給口20が設けられる位置において分岐箇所42が設けられたものとすることができる。これとは逆に、第二実施形態のノズル610は、液供給口620に始まり、複数の液吐出口Fnに至る流路640の区間において最上流(始点)となる導入部Sに分岐箇所642を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば上記第一実施形態で示したのと同様に、導入部Sから液吐出口Fnに至る流路640の中間位置に分岐箇所642を設けた構成とすることができる。
【0138】
また、上記実施形態に係るノズル10,610は、上記(b)のように、分岐箇所42にバルブ部材50,150,250,350,650を設けることにより複数(ノズル10では4つ、ノズル610では7つ)の分岐流路44,Bnの連通状態を1つのバルブ部材50,150,250,350,650によって変更できるものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル10,610は、上述したバルブ部材50,150,250,350,650を設ける代わりに、分岐流路44,Bnごとに個別に開閉可能なバルブ部材を設け、液吐出口30,Fnとバルブ部材とが一対一対応するように設けた構成等としても良い。
【0139】
上述したノズル10,610は、上記(c)のように、分岐箇所42,642に単独のバルブ部材50,150,250,350,650を設けることにより、分岐箇所42,642につながる全ての分岐流路44,Bn同士の連通を制限可能なものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル10,610は、分岐箇所42,642に複数のバルブ部材を設け、これらのバルブ部材によって分岐流路44,Bn同士の連通を制限可能なものとすると良い。
【0140】
上述したノズル10,610において用いられるバルブ部材は、上記(d)のように、開閉動作が可能であり、液吐出口30,Fnから液を吐出する際に開状態とされ、液吐出口30,Fnからの液の吐出を停止する際に閉状態とされるものであれば、いかなるものを用いても良い。具体的には、ノズル10,610において用いられるバルブ部材は、上述したバルブ部材50,150,250,650のように、直接的な制御により開閉動作が可能なものを採用したり、上述したバルブ部材350のように、作用する液圧等によって間接的な制御により開閉動作が可能なものを採用したりすると良い。
【0141】
上述したバルブ部材350は、上記(e)のように、所定の液圧がかかることを条件として、分岐箇所42から液吐出口30に向かう液の流れを許容するものの一例を示したものであるが、本発明は上記実施形態において例示したものに限定されるものではなく、適宜構成を変更することが可能である。
【0142】
上述したノズル10は、上記(f)のように、液供給口20から液吐出口30に至る途中において流路40が複数の段階に亘って分岐され、各段階に分岐箇所42を備えたものにおいて、最も液吐出口30に近い分岐箇所42にバルブ部材50,150,250,350を設ける例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル10は、上述したように、分岐流路44ごとに個別に開閉可能なバルブ部材を設け、液吐出口30とバルブ部材とが一対一対応するように設けた構成等としても良い。
【0143】
上述したノズル610は、上記(g)のように液供給口620の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に中継部Rnが配置され、n系統の中継・液吐出口間流路RFnの長さがそれぞれ同一のものである例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のノズルは、ノズル610のように各液吐出口Fnに対して液を均等に供給するものでなくても良く、そのような場合には、必ずしも上記(g)のような構成とする必要はない。
【0144】
上述したノズル610は、上記(h)のように、中継部Rnが仮想円の円周を略n等分する位置に配置されたものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記(h)のような構成としなくても、各液吐出口Fnにおける流体の流量や吐出圧を均一化できる場合や、流体の流量や吐出圧を均一化する必要がない場合等においては、上記(h)のような構成としなくても良い。
【0145】
上述したノズル610は、上記(i)のように、流路640について、各中継・液吐出口間流路RFnに係る水平部Lnqの長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路RFnに係る下降部の長さの総和が同一であり、各中継・液吐出口間流路RFnにおける屈曲部の数が同一であるものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のノズルは、各中継・液吐出口間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布を均一化する必要がない場合や、このような効果を発現する他の構成を設けた場合等においては、ノズル610のように上記(i)のような構成を備えた構成とする必要がない。
【0146】
ノズル610は、必ずしも上記(j)のように、各中継・液吐出口間流路RFnに屈曲部が上下方向に複数形成されたものとする必要はなく、屈曲部が上下方向に一つだけ設けられたものや、屈曲部を備えていないものとすることも可能である。
【0147】
また、ノズル610は、上記(k)のように、各中継・液吐出口間流路RFnに、流路径が縮小された縮径部660が設けられたものとすることが可能であるが、縮径部660を備えていないものであっても良い。
【0148】
上述したノズル610は、上記(l)のように、各分岐流路Bの流路径が、分岐流路Bによらず同等であるものであるが、本発明はこれに限定されない。ノズル610は、各分岐流路Bに繋がる液吐出口Fnにおける吐出量や吐出圧を略均一化する必要がない場合や、他の構成により吐出量や吐出厚の均一化が図れる場合等においては、各分岐流路Bの流路径が不均一であっても良い。
【0149】
上述したノズル610は、上記(m)のように、各分岐流路Bを構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されたものであるが、本発明はこれに限定されない。ノズル610は、上述したように、金属管や樹脂管などを適宜屈曲等させることにより、上述した分岐流路Bnを形成したもの等としてもよい。
【0150】
上記実施形態では、上記(n)のように、ノズル610の液供給口620について、断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)のものとする例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、供給・中継部間流路SRnのそれぞれに流入する流体の流量や圧力を均一化する必要がない場合や、ノズル610以外の構成により供給・中継部間流路SRnのそれぞれに流入する流体の流量や圧力を均一化できる場合には、液供給口620の断面形状を楕円形や星形等、適宜の形状とすることができる。
【0151】
上述した液供給システム100,600は、上記(o)のように、液供給口620に対して供給する液を圧送する圧送装置110(一軸偏心ねじポンプ500)を備えたものに限定されず、圧送装置110や一軸偏心ねじポンプ500のような液を圧送するための装置を備えていないものとすることも可能である。
【0152】
上記実施形態では、液供給システム100,600として、上記(p)のように、バルブ部材50,150,250,650を開閉制御する制御装置120を備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述したバルブ部材350を備えた液供給システム100のように、開閉制御を行う必要のないバルブ部材を設けた構成とした場合には、制御装置120を省略することが可能である。また、上述した制御装置120は、バルブ部材50,150,250,650の開閉制御を行うものとして例示したが、例えば液供給システム100,600の全体についての制御を行うための制御装置の一部の構成や機能として、制御装置120と同等のものを備えたものとしても良い。
【0153】
上記実施形態においては、上記(q)のように圧送装置を一軸偏心ねじポンプ500とした液供給システム600を例示したり、圧送装置110として一軸偏心ねじポンプを採用可能であることを例示したが、本発明の液供給システムは、圧送装置を一軸偏心ねじポンプによって構成したものに限定されない。具体的には、液供給システム100,600は、一軸偏心ねじポンプやギアポンプ、ベーンポンプなどに代表される回転ポンプや、ピストンピンプやブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復ポンプ等の容積式ポンプを圧送装置として備えたものとすることができる。また、液供給システム100,600は、非容積式であるターボ型のポンプを圧送装置として備えたものとすることができる。具体的には、渦巻きポンプやディフューザポンプ等の遠心ポンプ、渦巻斜流ポンプ、ディフューザ式斜流ポンプ等の斜流ポンプ、あるいは軸流ポンプ等からなるターボ型のポンプを圧送装置として備えたものとすることができる。
【0154】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明のノズル、及び液供給システムは、液供給口から供給された液を分岐して複数の液吐出口から吐出するノズル、及びこれを備えた液供給システム全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0156】
10 :ノズル
20 :液供給口
30 :液吐出口
40 :流路
42 :分岐箇所
44 :分岐流路
50 :バルブ部材
100 :液供給システム
110 :圧送装置
120 :制御装置
150 :バルブ部材
250 :バルブ部材
350 :バルブ部材
500 :一軸偏心ねじポンプ
600 :液供給システム
610 :ノズル
620 :液供給口
640 :流路
642 :分岐箇所
650 :バルブ部材
660 :縮径部
B :分岐流路
Fn :液吐出口
Lnq :水平部
RFn :液吐出口間流路
Rn :中継部
SRn :中継部間流路