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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062911
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】バイアス回路及び電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/22 20060101AFI20240501BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240501BHJP
   H03F 3/213 20060101ALI20240501BHJP
   H03F 3/30 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H03F1/22
H03F3/45
H03F3/213
H03F3/30
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023816
(22)【出願日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】202211312882.6
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521492252
【氏名又は名称】上海物騏微電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai WUQI Microelectronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building No.1&2, No.333 Haiyangyi Road, Lin-gang New Area, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 201306 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】古強
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA17
5J500AA41
5J500AA58
5J500AC21
5J500AC36
5J500AC53
5J500AC54
5J500AF09
5J500AF10
5J500AF12
5J500AF15
5J500AF17
5J500AF19
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH26
5J500AH29
5J500AH37
5J500AK01
5J500AK05
5J500AK47
5J500AM13
5J500AM17
5J500AM21
5J500AT01
5J500AT03
5J500DM05
5J500DN02
5J500DN22
5J500DP01
5J500WU09
(57)【要約】
【課題】正確な広帯域ゲート直流バイアスの実現及び、電力増幅器の出力端子のコモンモード直流電圧の正確制御を保証すること。
【解決手段】本発明は、バイアス回路及び電力増幅器を提供し、第一入力端子は増幅回路の出力端子コモンモード電圧に接続され、第二入力端子は基準電圧に接続され、出力端子は第一差動増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートに接続され、出力端子コモンモード電圧と基準電圧の差分に基づいて対応する主増幅トランジスタのゲート電圧を調整することによって、出力端子コモンモード電圧の値を前記基準電圧の値に等しくさせるフィードバックモジュールと、第一差動増幅モジュールに対応するバイアス電圧を供給する第一バイアスモジュールと、第二差動増幅モジュールの各トランジスタに対応するバイアス電圧を供給する第二バイアスモジュールとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的にスタックされる第一差動増幅モジュールと第二差動増幅モジュールからなる増幅回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路であって、
フィードバックモジュール、第一バイアスモジュール及び第二バイアスモジュールを少なくとも含み、
前記フィードバックモジュールの第一入力端子は前記増幅回路の出力端子コモンモード電圧に接続され、第二入力端子は基準電圧に接続され、出力端子は前記第一差動増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートに接続され、前記出力端子コモンモード電圧と前記基準電圧の差分に基づいて対応する主増幅トランジスタのゲート電圧を調整することによって、前記出力端子コモンモード電圧の値を前記基準電圧の値に等しくさせ、
前記第一バイアスモジュールは前記第一差動増幅モジュールにおける主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタに対応するバイアス電圧を供給し、
前記第二バイアスモジュールは前記第二差動増幅モジュールにおける各トランジスタに対応するバイアス電圧を供給し、
前記第一差動増幅モジュールにおける各トランジスタはNMOSトランジスタであり、前記第二差動増幅モジュールにおける各トランジスタはPMOSトランジスタであるか、又は、前記第一差動増幅モジュールにおける各トランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第二差動増幅モジュールにおける各トランジスタはNMOSトランジスタであることを特徴とするバイアス回路。
【請求項2】
前記フィードバックモジュールは演算増幅器、第一抵抗及び第二抵抗を含み、前記演算増幅器の非反転入力端子は前記出力端子コモンモード電圧に接続され、反転入力端子は前記基準電圧に接続され、出力端子は前記第一抵抗及び前記第二抵抗をそれぞれ介して前記第一差動増幅モジュールにおける対応する主増幅トランジスタのゲートに接続されることを特徴とする請求項1に記載のバイアス回路。
【請求項3】
前記演算増幅器は演算増幅ユニット及び周波数補償ユニットを含み、
前記演算増幅ユニットは前記出力端子コモンモード電圧と前記基準電圧の差分を増幅し、
前記周波数補償ユニットは前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、周波数補償に用いられることを特徴とする請求項2に記載のバイアス回路。
【請求項4】
前記演算増幅ユニットは第一電流源、第一PMOSトランジスタ、第二PMOSトランジスタ、第一NMOSトランジスタ、第二NMOSトランジスタ、第三抵抗及び第四抵抗を含み、
前記第一PMOSトランジスタと前記第二PMOSトランジスタは差動入力対トランジスタを構成し、ソースは前記第一電流源に接続され、前記第一PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの非反転入力端子に接続され、前記第二PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの反転入力端子に接続され、
前記第一NMOSトランジスタのドレインは前記第一PMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第一NMOSトランジスタのゲートは前記第三抵抗を経由して前記第一NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第一NMOSトランジスタのソースは接地され、
前記第二NMOSトランジスタのドレインは前記第二PMOSトランジスタのドレイン及び前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、前記第二NMOSトランジスタのゲートは前記第四抵抗を経由して前記第一NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第二NMOSトランジスタのソースは接地されることを特徴とする請求項3に記載のバイアス回路。
【請求項5】
前記演算増幅ユニットは第二電流源、第三PMOSトランジスタ、第四PMOSトランジスタ、第五PMOSトランジスタ、第六PMOSトランジスタ、第三NMOSトランジスタ、第四NMOSトランジスタ、第五NMOSトランジスタ、第六NMOSトランジスタ、第五抵抗及び第六抵抗を含み、
前記第三PMOSトランジスタと前記第四PMOSトランジスタは差動入力対トランジスタを構成し、前記第三PMOSトランジスタと前記第四PMOSトランジスタのソースは前記第二電流源に接続され、前記第三PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの非反転入力端子に接続され、前記第四PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの反転入力端子に接続され、
前記第五PMOSトランジスタのソースは前記第三PMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第五PMOSトランジスタのドレインは前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第六PMOSトランジスタのソースは前記第四PMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第五PMOSトランジスタのドレインは前記第四NMOSトランジスタのドレイン及び前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、前記第五PMOSトランジスタと前記第六PMOSトランジスタのゲートは第一バイアス電圧に接続され、
前記第三NMOSトランジスタのソースは前記第五NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第四NMOSトランジスタのソースは前記第六NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第三NMOSトランジスタと前記第四NMOSトランジスタのゲートは第二バイアス電圧に接続され、
前記第五NMOSトランジスタのゲートは前記第五抵抗を経由して前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第六NMOSトランジスタのゲートは前記第六抵抗を経由して前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第五NMOSトランジスタと前記第六NMOSトランジスタのソースは接地されることを特徴とする請求項3に記載のバイアス回路。
【請求項6】
前記周波数補償ユニットは第七抵抗及び第一コンデンサを含み、前記第七抵抗の第一端子は前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、第二端子は前記第一コンデンサを経由して接地されることを特徴とする請求項3に記載のバイアス回路。
【請求項7】
前記第七抵抗は可変抵抗であることを特徴とする請求項6に記載のバイアス回路。
【請求項8】
前記周波数補償ユニットは、第八抵抗、第二コンデンサ及び第三コンデンサを更に含み、前記第二コンデンサの第一端子は前記第七抵抗の第二端子に接続され、第二端子は前記第八抵抗を経由して接地され、前記第三コンデンサは前記第八抵抗の両端に並列接続されることを特徴とする請求項6に記載のバイアス回路。
【請求項9】
前記第一バイアスモジュールは、電源電圧とグランドとの間に直列接続される第三電流源及び第一トランジスタスタック構造を含み、前記第三電流源は前記第一トランジスタスタック構造における最終段トランジスタのドレインに接続され、前記第一トランジスタスタック構造はKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、第一段トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートは対応するバイアス電圧を出力し、Kは前記第一差動増幅モジュールにおいて片側にスタックされるトランジスタの数であり、前記第一トランジスタスタック構造と前記第一差動増幅モジュールにおける各トランジスタの種類は同じであることを特徴とする請求項1に記載のバイアス回路。
【請求項10】
前記第二バイアスモジュールは、第四電流源、第二トランジスタスタック構造及び第四コンデンサを含み、前記第四電流源と前記第二トランジスタスタック構造は電源電圧とグランドの間に直列接続され、前記第四電流源は前記第二トランジスタスタック構造における最終段トランジスタのドレインに接続され、前記第二トランジスタスタック構造はKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、対応するバイアス電圧を出力し、前記第四コンデンサは前記第二トランジスタスタック構造における第一段トランジスタのゲートとソースとの間に接続され、Kは前記第二差動増幅モジュールにおいて片側にスタックされるトランジスタの数であり、前記第二トランジスタスタック構造と前記第二差動増幅モジュールにおける各トランジスタの種類は同じであることを特徴とする請求項1に記載のバイアス回路。
【請求項11】
各バイアス電圧はそれぞれ1つの抵抗を介して前記増幅回路における対応するトランジスタのゲートに接続されることを特徴とする請求項9又は10に記載のバイアス回路。
【請求項12】
Kは2以上の自然数に設定されることを特徴とする請求項9又は10に記載のバイアス回路。
【請求項13】
電力増幅器であって、
増幅回路及び請求項1ないし10のいずれか1項に記載のバイアス回路を少なくとも含み、
前記バイアス回路は、前記増幅回路にバイアス電圧を供給し、前記増幅回路の出力端子コモンモード電圧を制御し、
前記増幅回路は前記バイアス回路の出力信号に基づいて入力信号を増幅し、前記増幅回路は相補的にスタックされる第一差動増幅モジュール及び第二差動増幅モジュールを含み、前記第一差動増幅モジュール及び前記第二差動増幅モジュールはいずれも2つのカスコード構造を含み、各カスコード構造はKつのトランジスタをスタックすることによって構成されることを特徴とする電力増幅器。
【請求項14】
前記増幅回路において主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートはそれぞれ1つのゲートコンデンサに接続され、PMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は電源電圧に接続され、NMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は接地されることを特徴とする請求項13に記載の電力増幅器。
【請求項15】
前記増幅回路において各主増幅トランジスタのゲートは更に、1つの入力コンデンサをそれぞれ介して前記増幅回路の対応する入力端子に接続されることを特徴とする請求項13に記載の電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路設計分野に関し、特に、バイアス回路及び電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なCMOSプロセスにおいて高効率、高電力、高直線性である高周波電力増幅器を集積することは目下の技術的課題となっている。高い有効出力電力を得るためには高い電源電圧を用いなければならず(例えば、1ワット前後の出力電力には3~3.5ボルトの電源電圧が必要である)、一般的なCMOSトランジスタは通常このような高い電圧を受けることができないが、いくつかのMOSトランジスタをスタックすることによって高電圧を共同で分担することができる。しかし、スタックされるトランジスタが増加するに伴って、トランジスタゲートの直流バイアスが電力増幅器の性能に及ぼす影響が大きくなり、ひいては重大な作用が引き起こされるようになる。例えば、直流バイアス回路の低い帯域幅は電力増幅器の記憶効果の原因となり、それによって増幅器の直線性が制限されてしまう。このほか、相補的にスタックされるNMOSトランジスタとPMOSトランジスタからなる電力増幅器は高電力効率、高直線性という性能を実現することができるが、ゲートの直流バイアスへの要求が高まり、要求を満たす帯域幅以外は、電力増幅器の出力端子コモンモード直流電圧を正確にコントロールすることが更に必要となる。
【0003】
このため、スタックMOSトランジスタ構造である電力増幅器のゲートバイアス回路をどのように設計して、寄生振動が発生しないこと、電力増幅器の性能に影響しないことを保証するかは、当業者にとって早急に解決を要する課題の一つとなっている。
【0004】
注意すべきは、以上の技術背景に対する紹介は、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明しやすくするためのものであり、当業者が理解しやすくなるように叙述したものにすぎない。これらの解決手段が本願の背景技術の部分において説明されたことのみによって、上述の技術的解決手段が当業者にとって公知のものであると考えることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、従来技術においてスタックMOSトランジスタ構造である電力増幅器のゲートバイアスの設計が不適切であることによって帯域幅が低くなる、コモンモード直流電圧の誤差が大きくなる等の課題を解決するためのバイアス回路及び電力増幅器を提供することにある。
【0006】
上述の目的及びその他関連する目的を実現するために、本発明はバイアス回路を提供し、増幅回路にバイアス電圧を供給する。前置増幅回路は相補的にスタックされる第一差動増幅モジュールと第二差動増幅モジュールからなり、前記バイアス回路はフィードバックモジュール、第一バイアスモジュール及び第二バイアスモジュールを少なくとも含む。
【0007】
前記フィードバックモジュールの第一入力端子は前記増幅回路の出力端子コモンモード電圧に接続され、第二入力端子は基準電圧に接続され、出力端子は前記第一差動増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートに接続される。前記出力端子コモンモード電圧と前記基準電圧の差分に基づいて対応する主増幅トランジスタのゲート電圧を調整することによって、前記出力端子コモンモード電圧の値を前記基準電圧の値に等しくさせる。
【0008】
前記第一バイアスモジュールは前記第一差動増幅モジュールにおける主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。
【0009】
前記第二バイアスモジュールは前記第二差動増幅モジュールの各トランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。
【0010】
前記第一差動増幅モジュールの各トランジスタはNMOSトランジスタであり、前記第二差動増幅モジュールの各トランジスタはPMOSトランジスタである。又は、前記第一差動増幅モジュールの各トランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第二差動増幅モジュールの各トランジスタはNMOSトランジスタである。
【0011】
選択可能に、前記フィードバックモジュールは演算増幅器、第一抵抗及び第二抵抗を含む。前記演算増幅器の非反転入力端子は前記出力端子コモンモード電圧に接続され、反転入力端子は前記基準電圧に接続され、出力端子は前記第一抵抗及び前記第二抵抗をそれぞれ介して前記第一差動増幅モジュールの対応する主増幅トランジスタのゲートに接続される。
【0012】
選択可能に、前記演算増幅器は演算増幅ユニット及び周波数補償ユニットを含む。
【0013】
前記演算増幅ユニットは前記コモンモード電圧と前記基準電圧の差分を増幅する。
【0014】
前記周波数補償ユニットは前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、周波数補償に用いられる。
【0015】
より選択的に、前記演算増幅ユニットは第一電流源、第一PMOSトランジスタ、第二PMOSトランジスタ、第一NMOSトランジスタ、第二NMOSトランジスタ、第三抵抗及び第四抵抗を含む。
【0016】
前記第一PMOSトランジスタと前記第二PMOSトランジスタは差動入力対トランジスタを構成し、ソースは前記第一電流源に接続される。前記第一PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの非反転入力端子に接続され、前記第二PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの反転入力端子に接続される。
【0017】
前記第一NMOSトランジスタのドレインは前記第一PMOSトランジスタのドレインに接続され、ゲートは前記第三抵抗を経由して前記第一NMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地される。
【0018】
前記第二NMOSトランジスタのドレインは前記第二PMOSトランジスタのドレイン及び前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、ゲートは前記第四抵抗を経由して前記第一NMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地される。
【0019】
より選択的に、前記演算増幅ユニットは第二電流源、第三PMOSトランジスタ、第四PMOSトランジスタ、第五PMOSトランジスタ、第六PMOSトランジスタ、第三NMOSトランジスタ、第四NMOSトランジスタ、第五NMOSトランジスタ、第六NMOSトランジスタ、第五抵抗及び第六抵抗を含む。
【0020】
前記第三PMOSトランジスタと前記第四PMOSトランジスタは差動入力対トランジスタを構成し、ソースは前記第二電流源に接続される。前記第三PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの非反転入力端子に接続され、前記第四PMOSトランジスタのゲートは前記演算増幅ユニットの反転入力端子に接続される。
【0021】
前記第五PMOSトランジスタのソースは前記第三PMOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインは前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続される。前記第六PMOSトランジスタのソースは前記第四PMOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインは前記第四NMOSトランジスタのドレイン及び前記演算増幅ユニットの出力端子に接続される。前記第五PMOSトランジスタと前記第六PMOSトランジスタのゲートは第一バイアス電圧に接続される。
【0022】
前記第三NMOSトランジスタのソースは前記第五NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第四NMOSトランジスタのソースは前記第六NMOSトランジスタのドレイン及び前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、前記第三NMOSトランジスタと前記第四NMOSトランジスタのゲートは第二バイアス電圧に接続される。
【0023】
前記第五NMOSトランジスタのゲートは前記第五抵抗を経由して前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第六NMOSトランジスタのゲートは前記第六抵抗を経由して前記第三NMOSトランジスタのドレインに接続され、前記第五NMOSトランジスタと前記第六NMOSトランジスタのソースは接地される。
【0024】
より選択的に、前記周波数補償ユニットは第七抵抗及び第一コンデンサを含み、前記第七抵抗の第一端子は前記演算増幅ユニットの出力端子に接続され、第二端子は前記第一コンデンサを経由して接地される。
【0025】
より選択的に、前記第七抵抗は可変抵抗である。
【0026】
より選択的に、前記周波数補償ユニットは第八抵抗、第二コンデンサ及び第三コンデンサを更に含み、前記第二コンデンサの第一端子は前記第七抵抗の第二端子に接続され、第二端子は前記第八抵抗を経由して接地され、前記第三コンデンサは前記第八抵抗の両端に並列接続される。
【0027】
選択可能に、前記第一バイアスモジュールは電源電圧とグランドとの間に直列接続される第三電流源及び第一トランジスタスタック構造を含み、前記第三電流源は前記第一トランジスタスタック構造の最終段トランジスタのドレインに接続される。前記第一トランジスタスタック構造はKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、第一段トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートは対応するバイアス電圧を出力する。Kは前記第一差動増幅モジュールにおいて片側にスタックされるトランジスタの数であり、前記第一トランジスタスタック構造と前記第一差動増幅モジュールの各トランジスタの種類は同じである。
【0028】
選択可能に、前記第二バイアスモジュールは第四電流源、第二トランジスタスタック構造及び第四コンデンサを含み、前記第四電流源と前記第二トランジスタスタック構造は電源電圧とグランドの間に直列接続され、前記第四電流源は前記第二トランジスタスタック構造の最終段トランジスタのドレインに接続される。前記第二トランジスタスタック構造はKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、対応するバイアス電圧を出力する。前記第四コンデンサは前記第二トランジスタスタック構造の第一段トランジスタのゲートとソースとの間に接続される。Kは前記第二差動増幅モジュールにおいて片側にスタックされるトランジスタの数であり、前記第二トランジスタスタック構造と前記第二差動増幅モジュールの各トランジスタの種類は同じである。
【0029】
より選択的に、各バイアス電圧はそれぞれ1つの抵抗を介して前記増幅回路の対応するトランジスタのゲートに接続される。
【0030】
より選択的に、Kは2以上の自然数に設定される。
【0031】
上述の目的及びその他関連する目的を実現するために、本発明は電力増幅器を更に提供し、前記電力増幅器は増幅回路及び上述のバイアス回路を少なくとも含む。
【0032】
前記バイアス回路は前記増幅回路にバイアス電圧を供給し、前記増幅回路の出力端子コモンモード電圧を制御する。
【0033】
前記増幅回路は前記バイアス回路の出力信号に基づいて入力信号を増幅する。前記増幅回路は相補的にスタックされる第一差動増幅モジュール及び第二差動増幅モジュールを含み、前記第一差動増幅モジュール及び前記第二差動増幅モジュールはいずれも2つのカスコード構造を含み、各カスコード構造はKつのトランジスタをスタックすることによって構成される。
【0034】
選択可能に、前記増幅回路において主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートはそれぞれ1つのゲートコンデンサに接続される。PMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は電源電圧に接続され、NMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は接地される。
【0035】
より選択的に、前記増幅回路において各主増幅トランジスタのゲートは更に、1つの入力コンデンサをそれぞれ介して前記増幅回路の対応する入力端子に接続される。
【発明の効果】
【0036】
上述したように、本発明におけるバイアス回路及び電力増幅器は、以下の有益な効果を有する。
【0037】
(1)本発明におけるバイアス回路及び電力増幅器は、増幅回路の出力コモンモード電圧に対して直接サンプリング、直接フィードバックする方法を用いることで出力コモンモード電圧の正確なコントロールを実現する。出力コモンモード電圧の正確性は相補スタック式のNMOSとPMOSからなる高周波電力増幅器においてとりわけ重要である。
【0038】
(2)本発明におけるバイアス回路及び電力増幅器は、抵抗、コンデンサを組み合わせた新型の回路を用いることで出力コモンモード電圧の直接フィードバックループに対して周波数補償が行われ、それによって、使用できる最大のフィードバックループ帯域幅を取得することができる。
【0039】
(3)本発明におけるバイアス回路及び電力増幅器は、複数段に縦続接続されるミラー電流源がMOSトランジスタのゲート電圧に直流バイアスを直接印加することによって、フィードバックループの数を減らすことができるだけでなく、バイアス回路の帯域幅及びバイアスの精度を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は2つのトランジスタがスタックされる増幅器及び対応するゲートバイアス回路の構造模式図である。
図2図2は本発明におけるバイアス回路及び増幅回路の構造模式図である。
図3図3は本発明における演算増幅器の構造模式図である。
図4図4は本発明における演算増幅器の別の構造の模式図である。
図5図5は本発明におけるバイアス回路の周波数応答曲線を示す図である。
図6図6は本発明におけるバイアス回路及び増幅回路の別の構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、特定の具体的な実施形態を通じて本発明の実施手段を説明するが、当業者であれば本明細書で開示された内容によって本発明の他の利点と効果を容易に理解することができる。また、本発明は、その他の異なる具体的実施手段による実施又は応用も可能である。本明細書における各詳細については、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更を行ってもよい。
【0042】
図1図6を参照されたい。説明すべき点として、本実施形態で提供する図面は概略的に本発明の基本思想を説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しているが、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズに基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0043】
スタックMOSトランジスタのゲートバイアスは一般的に、直流電流ミラーリングを用いて回路が複製される。図1に示すのは2つのトランジスタがスタックされる増幅器及び電流ミラーリングを用いて複製された対応するゲートバイアス回路である。2つのトランジスタがスタックされる増幅器11はPMOSトランジスタM1、M2、M3及びM4、NMOSトランジスタM5、M6、M7及びM8、入力コンデンサCa、Cb、Cc、Cd及びゲートコンデンサCe、Cfを含む。ゲートバイアス回路12はPMOSトランジスタM9、M10、M11、M12、NMOSトランジスタM13、M14、電流源Ib、オペアンプ121、122、コンデンサCg、Ch及び抵抗Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rfを含む。オペアンプ121とPMOSトランジスタM9、M10はミラー電流源の入力端子をなす。ナノレベルのトランジスタからなるミラー電流源の精度はトランジスタのゲート電圧に大きく依存するため、オペアンプ121を用いてミラー電流源の入力と出力端子の電圧を一致させて維持する。すなわち、PMOSトランジスタM10のドレイン電圧が基準電圧Vrefにあるよう制御することによって、ミラー電流源の精度を高める。オペアンプ122とNMOSトランジスタM13、M14は別のミラー電流源の入力端子を構成する。オペアンプ122とオペアンプ121の機能は類似しており、ミラー電流源の精度を高めるのに用いられる。PMOSトランジスタM9、M10の電流(すなわち、電流源Ibを流れる電流)は2つのトランジスタがスタックされる増幅器11のPMOSトランジスタM1、M2、M3、M4のバイアス電圧及びバイアス電流を設定するのに用いられ、更に、PMOSトランジスタM11、M12によって複製されると、電流源IbがNMOSトランジスタM13のドレインに出力され、NMOSトランジスタM13、M14によって2つのトランジスタがスタックされる増幅器11のNMOSトランジスタM5、M6、M7、M8のバイアス電圧及びバイアス電圧が設定される。PMOSトランジスタM11、M12とPMOSトランジスタM1、M2、M3、M4との間の整合が良好である、かつ、NMOSトランジスタM13、M14とNMOSトランジスタM5、M6、M7、M8との整合が良好である場合、NMOSトランジスタM13のドレインの電圧(Vcmp = Vref)を2つのトランジスタがスタックされる増幅器11の出力端子に複製することができる。
【0044】
これから明らかなように、図1の増幅器出力端子の直流電圧はミラー電圧によって決まり、トランジスタ間の整合に大きく依存する。上述のミラー電流源の精度には限界があり、出力端子の直流電圧と設定された基準電圧Vrefには大きな誤差が存在するため、出力端子の直流電圧が基準電圧Vrefの変化をトラッキングできることを保証することができず、出力端子の直流電圧が終始、求められる固定値に設定されることを保証することもできない。このほか、図1のゲートバイアス回路12には2つのフィードバックループ(オペアンプ121とPMOSトランジスタM9、M10及び電流源Ibとが1つのフィードバックループを構成し、オペアンプ122とNMOSトランジスタM13、M14が別のフィードバックループを構成する)が含まれるが、複数のフィードバックループによってバイアス回路の有効帯域幅が減少しやすくなる。上述の課題を解決するために、本発明はバイアス回路及び電力増幅器を提供し、具体的な解決手段は以下の通りである。
【0045】
実施形態1
図2に示すように、本実施形態はバイアス回路2を提供し、バイアス回路2は増幅回路3にバイアス電圧を供給する。増幅回路3は相補的にスタックされる第一差動増幅モジュール31aと第二差動増幅モジュール32aからなり、本実施形態において、第一差動増幅モジュール31aの各トランジスタはNMOSトランジスタであり、第二差動増幅モジュール32aの各トランジスタはPMOSトランジスタである。バイアス回路2はフィードバックモジュール21、第一バイアスモジュール22a及び第二バイアスモジュール23aを含む。
【0046】
図2に示すように、フィードバックモジュール21の第一入力端子は増幅回路3の出力端子コモンモード電圧に接続され(本実施形態においては、増幅回路3の出力インダクタの一次コイルのセンタータップCTPから出力端子コモンモード電圧が取得されるが、実際に使用する際には、具体的な回路構造に基づいてフィードバックモジュール21の第一入力端子の接続ノードが決定される)、第二入力端子は基準電圧Vcmに接続され、出力端子は第一差動増幅モジュール31aの主増幅トランジスタのゲートに接続される。出力端子コモンモード電圧と基準電圧Vrefの差分に基づいて対応する主増幅トランジスタのゲート電圧を調整することによって、出力端子コモンモード電圧の値を基準電圧Vrefの値に等しくさせる。
【0047】
具体的には、本実施形態において、フィードバックモジュール21は演算増幅器211、第一抵抗R1及び第二抵抗R2を含む。演算増幅器211の非反転入力端子は出力端子コモンモード電圧に接続され、反転入力端子は基準電圧Vrefに接続され、出力端子は第一抵抗R1及び第二抵抗R2をそれぞれ介して第一差動増幅モジュール31aの対応する主増幅トランジスタのゲートに接続される。演算増幅器211は演算増幅ユニット211a及び周波数補償ユニット211bを含み、演算増幅ユニット211aは出力端子コモンモード電圧と基準電圧Vrefの差分を増幅し、周波数補償ユニット211bは演算増幅ユニット211aの出力端子に接続され、周波数補償に用いることによって、寄生振動のトラッキングが発生することを回避する。
【0048】
より具体的には、図3に示すように、一例として、演算増幅ユニット211aは第一電流源Ib1、第一PMOSトランジスタMP1、第二PMOSトランジスタMP2、第一NMOSトランジスタMN1、第二NMOSトランジスタMN2、第三抵抗R3及び第四抵抗R4を含む。第一PMOSトランジスタMP1と第二PMOSトランジスタMP2は差動入力対トランジスタを構成し、第一PMOSトランジスタMP1と第二PMOSトランジスタMP2のソースは第一電流源Ib1に接続される。第一PMOSトランジスタMP1のゲートは演算増幅ユニット211aの非反転入力端子in-に接続され、第二PMOSトランジスタMP2のゲートは演算増幅ユニット211aの反転入力端子in-に接続される。第一NMOSトランジスタMN1のドレインは第一PMOSトランジスタMP1のドレインに接続され、ゲートは第三抵抗R3を経由して第一NMOSトランジスタMN1のドレインに接続され、ソースは接地される。第二NMOSトランジスタMN2のドレインは第二PMOSトランジスタMP2のドレイン及び演算増幅ユニット211aの出力端子に接続され、ゲートは第四抵抗R4を経由して第一NMOSトランジスタMN1のドレインに接続され、ソースは接地される。第一PMOSトランジスタMP1、第二PMOSトランジスタMP2、第一NMOSトランジスタMN1及び第二NMOSトランジスタMN2はオペアンプ構造を構成し、第三抵抗R3及び第四抵抗R4は第一NMOSトランジスタMN1と第二NMOSトランジスタMN2が構成するミラー電流源を拡張するのに用いられる。図4に示すように、別の例として、演算増幅ユニットは第三PMOSトランジスタMP3、第四PMOSトランジスタMP4、第五PMOSトランジスタMP5、第六PMOSトランジスタMP6、第三NMOSトランジスタMN3、第四NMOSトランジスタMN4、第五NMOSトランジスタMN5、第六NMOSトランジスタMN6、第五抵抗R5及び第六抵抗R6を含む。第三PMOSトランジスタMP3と第四PMOSトランジスタMP4は差動入力対トランジスタを構成し、第三PMOSトランジスタMP3と第四PMOSトランジスタMP4のソースは第二電流源Ib2に接続される。第三PMOSトランジスタMP3のゲートは演算増幅ユニット211aの非反転入力端子in-に接続され、第四PMOSトランジスタMP4のゲートは演算増幅ユニット211aの反転入力端子in-に接続される。第五PMOSトランジスタMP5のソースは第三PMOSトランジスタMP3のドレインに接続され、ドレインは第三NMOSトランジスタMN3のドレインに接続される。第六PMOSトランジスタMP6のソースは第四PMOSトランジスタMP4のドレインに接続され、ドレインは第四NMOSトランジスタMN4のドレイン及び演算増幅ユニット211aの出力端子に接続される。第五PMOSトランジスタMP5と第六PMOSトランジスタMP6のゲートは第一バイアス電圧Vbias1に接続される。第三NMOSトランジスタMN3のソースは第五NMOSトランジスタMN5のドレインに接続され、第四NMOSトランジスタMN4のソースは第六NMOSトランジスタMN6のドレインに接続され、第三NMOSトランジスタMN3と第四NMOSトランジスタMN4のゲートは第二バイアス電圧Vbias2に接続される。第五NMOSトランジスタMN5のゲートは第五抵抗R5を経由して第三NMOSトランジスタMN3のドレインに接続され、第六NMOSトランジスタMN6のゲートは第六抵抗R6を経由して第三NMOSトランジスタMN3のドレインに接続され、第五NMOSトランジスタMN5と第六NMOSトランジスタMN6のソースは接地される。
【0049】
説明すべき点として、実際に使用する際には、本実施形態に限らず、演算増幅器構造であればいずれも本発明における演算増幅ユニットに適用される。2段MOSトランジスタ縦続接続構造を用いた演算増幅ユニット(図4)はループ利得を増加させることができる。
【0050】
より具体的には、図3及び図4に示すように、周波数補償ユニット211bは第七抵抗R7及び第一コンデンサC1を含む。第七抵抗R7の第一端子は演算増幅ユニット211aの出力端子に接続され、第二端子は第一コンデンサC1を経由して接地される。本例示において、第七抵抗R7は可変抵抗である。第七抵抗R7と第一コンデンサC1は主補償回路であり、利得ループの他のノードにおいて抵抗、コンデンサが形成するポールゼロペアをトラッキングしてキャンセルするのに用いられる。
【0051】
更に、本発明の別の実現手段として、周波数補償ユニット211bは第八抵抗R8、第二コンデンサC2及び第三コンデンサC3を更に含む。第二コンデンサC2の第一端子は第七抵抗R7の第二端子に接続され、第二端子は第八抵抗R8を経由して接地される。第三コンデンサC3は第八抵抗R8の両端に並列接続される。従来のドミナントポール補償と異なる点として、本発明の周波数補償ユニット211bは有効帯域幅内に複数のポールゼロを存在させることができる。第八抵抗R8、第二コンデンサC2及び第三コンデンサC3の機能は0dB帯域幅付近のポールゼロの位置を調整することであり、0dB帯域幅付近において位相応答が後退することを実現し、フィードバックループの位相マージンを増加させ、それによって有効帯域幅を更に増加させる。
【0052】
図5に示すのは本発明におけるバイアス回路2の周波数応答曲線である。抵抗、コンデンサが構成する周波数補償ユニット211bのパラメータはR7=1.25Kohm、C1=1pF、R8=10Kohm、C2=1pF、C3=3.5pFとなるように設定される。実線はループ利得振幅を表しており、点線はループ利得位相を表している。図からわかるように0dB周波数(約222MHz)内には依然として複数のポールゼロが存在し、低周波数から0dB周波数に近づく前の位相周波数は大きなピーク、後退を有する。このピーク、後退によって回路が十分な位相マージンを有するようになる。本発明の周波数補償と比べると、従来のドミナントポール補償を用いた技術において、フィードバックループの最大0dB帯域幅は20MHz付近にしか到達することができない。
【0053】
説明すべき点として、フィードバックモジュール21、第一差動増幅モジュール31a及び増幅回路3の出力端子はネガティブフィードバックループを構成する。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、第一差動増幅モジュール31a及び増幅回路3の出力端子とネガティブフィードバックループを構成し、出力端子コモンモード電圧を制御することができる回路構造であればいずれも本発明に適用される。
【0054】
図2に示すように、第一バイアスモジュール22aは第一差動増幅モジュール31aにおける主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。
【0055】
具体的には、第一バイアスモジュール22aは電源電圧Vddとグランドとの間に直列接続される第三電流源Ib3a及び第一トランジスタスタック構造221aを含み、第三電流源Ib3aは第一トランジスタスタック構造221aの最終段トランジスタのドレインに接続される。第一トランジスタスタック構造221aはKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、第一段トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートは対応するバイアス電圧を出力する。Kは第一差動増幅モジュール31aにおいて片側にスタックされるトランジスタの数である。第一トランジスタスタック構造221aと第一差動増幅モジュール31aの各トランジスタの種類は同じである。本実施形態において、第一トランジスタスタック構造221aは3つのNMOSトランジスタを含み、それぞれ第七NMOSトランジスタMN7、第八NMOSトランジスタMN8及び第九NMOSトランジスタMN9である。第七NMOSトランジスタMN7のソースは接地され、ゲート及びドレインは第八NMOSトランジスタMN8のソースに接続される。第八NMOSトランジスタMN8のゲート及びドレインは第九NMOSトランジスタMN9のソースに接続される。第九NMOSトランジスタMN9のゲート及びドレインは第三電流源Ib3aに接続される。第八NMOSトランジスタMN8及び第九NMOSトランジスタMN9はミラー電流源をそれぞれ構成し、対応するバイアス電圧を生成する。本発明の別の実施手段として、第一バイアスモジュール22aは第九抵抗R9、第十抵抗R10、第十一抵抗R11、第十二抵抗R12を更に含む。第八NMOSトランジスタMN8のゲートは第九抵抗R9及び第十抵抗R10をそれぞれ介してバイアス電圧を出力し、第九NMOSトランジスタMN9のゲートは第十一抵抗R11及び第十二抵抗R12をそれぞれ介してバイアス電圧を出力する。各抵抗は第一バイアスモジュール22aと増幅回路3の信号経路を絶縁するために用いられ、それによって第一バイアスモジュール22aが増幅回路3の信号経路に影響を及ぼすことが回避される。
【0056】
図2に示すように、第二バイアスモジュール23aは第二差動増幅モジュール32aの各トランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。
【0057】
具体的には、第二バイアスモジュール23aは第四電流源Ib4a、第二トランジスタスタック構造231a及び第四コンデンサC4を含み、第四電流源Ib4aと第二トランジスタスタック構造231aは電源電圧Vddとグランドの間に直列接続され、第四電流源Ib4aは第二トランジスタスタック構造231aの最終段トランジスタのドレインに接続される。第二トランジスタスタック構造231aはKつのトランジスタを含み、各トランジスタのゲートはドレインと一体に接続され、対応するバイアス電圧を出力する。第四コンデンサC4は第二トランジスタスタック構造231aの第一段トランジスタのゲートとソースとの間に接続される。Kは第二差動増幅モジュール32aにおいて片側にスタックされるトランジスタの数である。第二トランジスタスタック構造231aと第二差動増幅モジュール32aの各トランジスタの種類は同じである。本実施形態において、第二トランジスタスタック構造231aは3つのPMOSトランジスタを含み、それぞれ第七PMOSトランジスタMP7、第八PMOSトランジスタMP8及び第九PMOSトランジスタMP9である。第七PMOSトランジスタMP7のソースは電源電圧Vddに接続され、ゲート及びドレインは第八PMOSトランジスタMP8のソースに接続される。第八PMOSトランジスタMP8のゲート及びドレインは第九PMOSトランジスタMP9のソースに接続される。第九PMOSトランジスタMP9のゲート及びドレインは第四電流源Ib4aに接続される。第七PMOSトランジスタMP7、第八PMOSトランジスタMP8及び第九PMOSトランジスタMP9はミラー電流源をそれぞれ構成し、対応するバイアス電圧を生成する。本発明の別の実施手段として、第二バイアスモジュール23aは第十三抵抗R13、第十四抵抗R14、第十五抵抗R15、第十六抵抗R16、第十七抵抗R17及び第十八抵抗R18を更に含む。第七PMOSトランジスタMP7のゲートは第十三抵抗R13及び第十四抵抗R14をそれぞれ介してバイアス電圧を出力し、第八PMOSトランジスタMP8のゲートは第十五抵抗R15及び第十六抵抗R16をそれぞれ介してバイアス電圧を出力し、第九PMOSトランジスタMP9のゲートは第十七抵抗R17及び第十八抵抗R18をそれぞれ介してバイアス電圧を出力する。各抵抗は第二バイアスモジュール23aと増幅回路3の信号経路を絶縁するために用いられ、それによって第二バイアスモジュール23aが増幅回路3の信号経路に影響を及ぼすことが回避される。
【0058】
説明すべき点として、Kは2以上の自然数であり、実際に使用する際には、必要に応じてKの数値を設定することができる。第一トランジスタスタック構造において第一段トランジスタにより生成されるバイアス電圧は後段の増幅回路3に出力する必要がなく、他のバイアス電圧がいずれも増幅回路の相応するトランジスタのゲートに出力される。2段縦続接続構造(K=2)のバイアス回路においては各トランジスタのドレイン電圧を平衡にすることが保証できないため、電流源の精度が制限される。3段以上の縦続接続構造(K>3)のバイアス回路においては各トランジスタのドレイン電圧を平衡にすることについてかなりの程度で改善され、それによってバイアス回路におけるミラー電流源の精度が高まる。
【0059】
図2に示すように、本実施形態は電力増幅器を更に提供し、電力増幅器はバイアス回路2及び増幅回路3を含む。
【0060】
図2に示すように、バイアス回路2は増幅回路3にバイアス電圧を供給し、増幅回路3の出力端子コモンモード電圧を制御する。
【0061】
具体的には、バイアス回路2の構造及び原理は上述の文を参照されたく、ここでは詳細に述べない。
【0062】
図2に示すように、増幅回路3はバイアス回路2の出力信号に基づいて入力信号を増幅する。
【0063】
具体的には、増幅回路3は相補的にスタックされる第一差動増幅モジュール31a及び第二差動増幅モジュール32aを含み、第一差動増幅モジュール31a及び第二差動増幅モジュール32aはいずれも2つのカスコード構造を含み、各カスコード構造はKつのトランジスタをスタックすることによって構成される。本実施形態において、第一差動増幅モジュール31aは3つのトランジスタがスタックされるN型トランジスタ差動対であり、第二差動増幅モジュール32aは3つのトランジスタがスタックされるP型トランジスタ差動対である。
【0064】
より具体的には、第一差動増幅モジュール31aは第十NMOSトランジスタMN10、第十一NMOSトランジスタMN11、第十二NMOSトランジスタMN12、第十三NMOSトランジスタMN13、第十四NMOSトランジスタMN14及び第十五NMOSトランジスタMN15を含む。第十NMOSトランジスタMN10のソースは接地され、ゲートは増幅回路3の非反転入力端子in+に接続され、ドレインは第十一NMOSトランジスタMN11のソースに接続される。第十一NMOSトランジスタMN11のドレインは第十二NMOSトランジスタMN12のソースに接続される。第十二NMOSトランジスタMN12のドレインは増幅回路3の反転出力端子out-に接続される。第十NMOSトランジスタMN10、第十一NMOSトランジスタMN11及び第十二NMOSトランジスタMN12はカスコード構造を構成する。第十三NMOSトランジスタMN13のソースは接地され、ゲートは増幅回路3の反転入力端子in-に接続され、ドレインは第十四NMOSトランジスタMN14のソースに接続される。第十四NMOSトランジスタMN14のドレインは第十五NMOSトランジスタMN15のソースに接続される。第十五NMOSトランジスタMN15のドレインは増幅回路3の非反転出力端子out+に接続される。第十三NMOSトランジスタMN13、第十四NMOSトランジスタMN14及び第十五NMOSトランジスタMN15はカスコード構造を構成する。第十NMOSトランジスタMN10及び第十三NMOSトランジスタMN13のゲートはバイアス回路2のフィードバックモジュール21の出力端子に接続され、第十一NMOSトランジスタMN11及び第十四NMOSトランジスタMN14のゲートはバイアス回路2の第八NMOSトランジスタMN8により生成されるバイアス電圧を受信し、第十二NMOSトランジスタMN12及び第十五NMOSトランジスタMN15のゲートはバイアス回路2の第九NMOSトランジスタMN9により生成されるバイアス電圧を受信する。
【0065】
より具体的には、第二差動増幅モジュール32aは第十PMOSトランジスタMP10、第十一PMOSトランジスタMP11、第十二PMOSトランジスタMP12、第十三PMOSトランジスタMP13、第十四PMOSトランジスタMP14及び第十五PMOSトランジスタMP15を含む。第十PMOSトランジスタMP10のソースは電源電圧Vddに接続され、ゲートは増幅回路3の非反転入力端子in+に接続され、ドレインは第十一PMOSトランジスタMP11のソースに接続される。第十一PMOSトランジスタMP11のドレインは第十二PMOSトランジスタMP12のソースに接続される。第十二PMOSトランジスタMP12のドレインは増幅回路3の反転出力端子out-に接続される。第十PMOSトランジスタMP10、第十一PMOSトランジスタMP11及び第十二PMOSトランジスタMP12はカスコード構造を構成する。第十三PMOSトランジスタMP13のソースは電源電圧Vddに接続され、ゲートは増幅回路3の反転入力端子in-に接続され、ドレインは第十四PMOSトランジスタMP14のソースに接続される。第十四PMOSトランジスタMP14のドレインは第十五PMOSトランジスタMP15のソースに接続される。第十五PMOSトランジスタMP15のドレインは増幅回路3の非反転出力端子out+に接続される。第十三PMOSトランジスタMP13、第十四PMOSトランジスタMP14及び第十五PMOSトランジスタMP15はカスコード構造を構成する。第十PMOSトランジスタMP10及び第十三PMOSトランジスタMP13のゲートはバイアス回路2の第七PMOSトランジスタMP7により生成されるバイアス電圧を受信し、第十一PMOSトランジスタMP11及び第十四PMOSトランジスタMP14のゲートはバイアス回路2の第八PMOSトランジスタMP8により生成されるバイアス電圧を受信し、第十二PMOSトランジスタMP12及び第十五PMOSトランジスタMP15のゲートはバイアス回路2の第九PMOSトランジスタMP9により生成されるバイアス電圧を受信する。
【0066】
具体的には、本発明の一つの実現手段として、増幅回路3において主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタのゲートはそれぞれ1つのゲートコンデンサに接続される。PMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は電源電圧Vddに接続され、NMOSトランジスタに接続されるゲートコンデンサの他端は接地される。図2に示すように、第一ゲートコンデンサC5の一端は第十一NMOSトランジスタMN11のゲートに接続され、他端は接地される。第二ゲートコンデンサC6の一端は第十二NMOSトランジスタMN12のゲートに接続され、他端は接地される。第三ゲートコンデンサC7の一端は第十四NMOSトランジスタMN14のゲートに接続され、他端は接地される。第四ゲートコンデンサC8の一端は第十五NMOSトランジスタMN15のゲートに接続され、他端は接地される。第十NMOSトランジスタMN10、第十一NMOSトランジスタMN11及び第十二NMOSトランジスタMN12のドレイン電圧は第一ゲートコンデンサC5及び第二ゲートコンデンサC6の容量値及び比率によって決定される。第十三NMOSトランジスタMN13、第十四NMOSトランジスタMN14及び第十五NMOSトランジスタMN15のドレイン電圧は第三ゲートコンデンサC7及び第四ゲートコンデンサC8の容量値及び比率によって決定される。第五ゲートコンデンサC9の一端は第十一PMOSトランジスタMP11のゲートに接続され、他端は電源電圧Vddに接続される。第六ゲートコンデンサC10の一端は第十二PMOSトランジスタMP12のゲートに接続され、他端は電源電圧Vddに接続される。第七ゲートコンデンサC11の一端は第十四PMOSトランジスタMP14のゲートに接続され、他端は電源電圧Vddに接続される。第八ゲートコンデンサC12の一端は第十五PMOSトランジスタMP15のゲートに接続され、他端は電源電圧Vddに接続される。第十PMOSトランジスタMP10、第十一PMOSトランジスタMP11及び第十二PMOSトランジスタMP12のドレイン電圧は第五ゲートコンデンサC9及び第六ゲートコンデンサC10の容量値及び比率によって決定される。第十三PMOSトランジスタMP13、第十四PMOSトランジスタMP14及び第十五PMOSトランジスタMP15のドレイン電圧は第七ゲートコンデンサC11及び第八ゲートコンデンサC12の容量値及び比率によって決定される。
【0067】
具体的には、本発明の一つの実現手段として、増幅回路3において各主増幅トランジスタのゲートは更に、1つの入力コンデンサをそれぞれ介して増幅回路3の対応する入力端子に接続される。図2に示すように、第十NMOSトランジスタMN10及び第十PMOSトランジスタMP10のゲートは第一入力コンデンサC13及び第二入力コンデンサC15をそれぞれ介して増幅回路3の非反転入力端子in+に接続され、第十三NMOSトランジスタMN13及び第十三PMOSトランジスタ13のゲートは第三入力コンデンサC14及び第四入力コンデンサC16をそれぞれ介して増幅回路3の反転入力端子in-に接続される。
【0068】
本実施形態において、増幅回路3の出力端子は出力インダクタを経由して負荷RLに接続され、出力端子コモンモード電圧は出力インダクタの一次コイルのセンタータップCTPから取得される。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、増幅回路3の出力端子は必要に応じて相応の素子に接続させることができ、相応のノードから出力端子コモンモード電圧が取得される。
【0069】
本発明は、直接サンプリング、直接フィードバックする方法によってバイアス回路と信号経路を機能面で実質的に絶縁させることを実現するだけでなく、バイアス精度、バイアストラッキング及びバイアス帯域幅が制限されるという課題を永遠に解決する。また、本発明はナノレベルのCMOSプロセスにおいて、複数段に縦続接続されるミラー電流のゲートバイアス構造を採用することで、従来のゲートバイアス技術における精度が不十分であるという課題を効果的に克服するだけでなく、一般的なフィードバックループを放逐することでバイアス回路の帯域幅を効果的に拡張する。
【0070】
実施形態2
図6に示すように、本実施形態はバイアス回路2及び対応する電力増幅器を提供する。実施形態1のものと異なる点は、電力増幅器におけるバイアス回路2及び増幅回路3はいずれも4つのトランジスタがスタックされる構造であり、かつ、第一差動増幅モジュール31bの各トランジスタはPMOSトランジスタであり、第二差動増幅モジュール32bの各トランジスタはNMOSトランジスタであることである。
【0071】
図6に示すように、バイアス回路2はフィードバックモジュール21、第一バイアスモジュール22b及び第二バイアスモジュール23bを含む。
【0072】
具体的には、フィードバックモジュール21の出力端子は第一差動増幅モジュール31bの主増幅トランジスタのゲートに接続される。
【0073】
具体的には、第一バイアスモジュール22bは電源電圧Vddとグランドとの間に直列接続される第三電流源Ib3b及び第一トランジスタスタック構造221bを含む。第一トランジスタスタック構造221bは4つのPMOSトランジスタを含み、実施形態1の第二トランジスタスタック構造231aをベースにしてミラー電流源が1段追加される。第十六PMOSトランジスタMP16のソースは第九PMOSトランジスタMP9のドレインに接続され、ゲート及びドレインは第三電流源Ib3bに接続される。第十六PMOSトランジスタMP16のゲートは第二十三抵抗R23及び第二十四抵抗R24をそれぞれ介してバイアス電圧を出力する。第七PMOSトランジスタMP7はバイアス電圧を出力しない。
【0074】
具体的には、第二バイアスモジュール23bは電源電圧Vddとグランドとの間に直列接続される第四電流源Ib4b及び第二トランジスタスタック構造231bを含む。第二トランジスタスタック構造231bは4つのNMOSトランジスタを含み、実施形態1の第一トランジスタスタック構造221aをベースにしてミラー電流源が1段追加される。第十六NMOSトランジスタMN16のソースは第九NMOSトランジスタMN9のドレインに接続され、ゲート及びドレインは第四電流源Ib4bに接続される。第十六NMOSトランジスタMN16のゲートは第二十一抵抗R21及び第二十二抵抗R22をそれぞれ介してバイアス電圧を出力する。第七NMOSトランジスタMN7のゲートは第十九抵抗R19及び第二十抵抗R20をそれぞれ介してバイアス電圧を出力し、第二差動増幅モジュール32aの主増幅トランジスタのゲートに供給する。第四コンデンサC4bの一端は第七NMOSトランジスタMN7のゲートに接続され、他端は接地される。
【0075】
具体的には、第一差動増幅モジュール31bは4つのトランジスタをスタックするP型トランジスタ差動対であり、実施形態1の第二差動増幅モジュール32aをベースにしてスタック構造が1段追加される。第十七PMOSトランジスタMP17のソースは第十二PMOSトランジスタMP12のドレインに接続され、ドレインは増幅回路3の非反転出力端子out-に接続される。第十八PMOSトランジスタMP18のソースは第十五PMOSトランジスタMP15のドレインに接続され、ドレインは増幅回路3の反転出力端子out+に接続される。第十七PMOSトランジスタMP17及び第十八PMOSトランジスタMP18のゲートはバイアス回路2の第十六PMOSトランジスタMP16により生成されるバイアス電圧を受信し、第九ゲートコンデンサC19及び第十ゲートコンデンサC20にそれぞれ接続され、第九ゲートコンデンサC19及び第十ゲートコンデンサC20の他端は電源電圧Vddに接続される。
【0076】
具体的には、第二差動増幅モジュール32bは4つのトランジスタをスタックするN型トランジスタ差動対であり、実施形態1の第一差動増幅モジュール31aをベースにしてスタック構造が1段追加される。第十七NMOSトランジスタMN17のソースは第十二NMOSトランジスタMN12のドレインに接続され、ドレインは増幅回路3の反転出力端子out-に接続される。第十八NMOSトランジスタMN18のソースは第十五NMOSトランジスタMN15のドレインに接続され、ドレインは増幅回路3の非反転出力端子out+に接続される。第十七NMOSトランジスタMN17及び第十八NMOSトランジスタMN18のゲートはバイアス回路2の第十六NMOSトランジスタMN16により生成されるバイアス電圧を受信し、第十一ゲートコンデンサC17及び第十二ゲートコンデンサC18にそれぞれ接続され、第十一ゲートコンデンサC17及び第十二ゲートコンデンサC18の他端は接地される。
【0077】
説明すべき点として、本実施形態において、各差動モジュールの片側にスタックされるトランジスタのドレイン電圧は対応する3つのゲートコンデンサの容量値及び比率によって決定されるが、ここでは詳細に述べない。他の構造、原理は実施形態1と類似しており、ここでは詳細に述べない。
【0078】
以上に述べたことをまとめれば、本発明はバイアス回路及び電力増幅器を提供し、フィードバックモジュール、第一バイアスモジュール及び第二バイアスモジュールを含み、フィードバックモジュールの第一入力端子は増幅回路の出力端子コモンモード電圧に接続され、第二入力端子は基準電圧に接続され、出力端子は第一差動増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートに接続される。出力端子コモンモード電圧と基準電圧の差分に基づいて対応する主増幅トランジスタのゲート電圧を調整することによって、出力端子コモンモード電圧の値を基準電圧の値に等しくさせる。第一バイアスモジュールは第一差動増幅モジュールにおける主増幅トランジスタ以外の他のトランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。第二バイアスモジュールは第二差動増幅モジュールの各トランジスタに対応するバイアス電圧を供給する。第一差動増幅モジュールの各トランジスタはNMOSトランジスタであり、第二差動増幅モジュールの各トランジスタはPMOSトランジスタである。又は、第一差動増幅モジュールの各トランジスタはPMOSトランジスタであり、第二差動増幅モジュールの各トランジスタはNMOSトランジスタである。本発明におけるバイアス回路及び電力増幅器は、増幅回路の出力端子コモンモード電圧を直接サンプリング、直接フィードバックすることよって増幅器の出力端子コモンモード電圧が正確に制御される。また、抵抗とコンデンサを組み合わせた補償回路によって直接フィードバックループの安定が保証され、直接フィードバックループの帯域幅を4~10倍拡張させることができる。複数スタックされるトランジスタの特徴に基づくと、複数段に縦続接続されるミラー電流源のバイアス回路を導入することで、追加のフィードバックループが完全に省略されるだけでなく、バイアス回路の有効帯域幅及び有効バイアスの精度が高まる。したがって、本発明は従来技術における種々の欠点を効果的に克服し、高度な産業利用価値を有する。
【0079】
上述の実施形態は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するにすぎず、本発明を限定するためのものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに上述の実施形態に対する補足又は変更を行うことができる。したがって、当業者が本発明で開示する精神と技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変更は、依然として本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
2 バイアス回路
3 増幅回路
11 2つのトランジスタがスタックされる増幅器
12 ゲートバイアス回路
21 フィードバックモジュール
22a、22b 第一バイアスモジュール
23a、23b 第二バイアスモジュール
31a、31b 第一差動増幅モジュール
32a、32b 第二差動増幅モジュール
121、122 オペアンプ
211 演算増幅器
211a 演算増幅ユニット
211b 周波数補償ユニット
221a、221b 第一トランジスタスタック構造
231a、231b 第二トランジスタスタック構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】