(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062912
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】主増幅回路及び高周波電力増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/22 20060101AFI20240501BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240501BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20240501BHJP
H03F 3/30 20060101ALI20240501BHJP
H03F 1/52 20060101ALI20240501BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H03F1/22
H03F3/24
H03F3/45
H03F3/30
H03F1/52 220
H03F1/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023823
(22)【出願日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】202211312865.2
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521492252
【氏名又は名称】上海物騏微電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai WUQI Microelectronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building No.1&2, No.333 Haiyangyi Road, Lin-gang New Area, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 201306 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】古強
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA18
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC36
5J500AC57
5J500AC92
5J500AF01
5J500AF09
5J500AF15
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH35
5J500AK03
5J500AK29
5J500AK47
5J500AM08
5J500AM17
5J500AM21
5J500AS14
5J500AT02
5J500DN22
5J500DP01
5J500WU09
(57)【要約】
【課題】低雑音、高電力効率、高直線性、高集積度及び低コストを同時に実現する。
【解決手段】本発明は主増幅回路及び高周波電力増幅器を提供し、2つのP型トランジスタ増幅モジュール及び2つのN型トランジスタ増幅モジュールを含み、増幅モジュールはKつのトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含む。第一P型トランジスタ増幅モジュール、第一N型増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは非反転入力端子に接続され、第一P型トランジスタ増幅モジュールと第一N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは反転出力端子に接続される。第二P型トランジスタ増幅モジュール、第二N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは反転入力端子に接続され、第二P型トランジスタ増幅モジュールと第二N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは非反転出力端子に接続される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電力増幅器に応用される主増幅回路であって、
前記主増幅回路は、2つのP型トランジスタ増幅モジュール及び2つのN型トランジスタ増幅モジュールを少なくとも含み、前記P型トランジスタ増幅モジュールはKつのPMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、前記N型トランジスタ増幅モジュールはKつのNMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、Kは3以上かつ5以下の自然数であり、
第一P型トランジスタ増幅モジュールと第一N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、前記第一P型トランジスタ増幅モジュール及び前記第一N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは前記主増幅回路の非反転入力端子に接続され、前記第一P型トランジスタ増幅モジュールと前記第一N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは前記主増幅回路の反転出力端子に接続され、
第二P型トランジスタ増幅モジュールと第二N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、前記第二P型トランジスタ増幅モジュール及び前記第二N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは前記主増幅回路の反転入力端子に接続され、前記第二P型トランジスタ増幅モジュールと前記第二N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは前記主増幅回路の非反転出力端子に接続され、
前記P型トランジスタ増幅モジュール及び前記N型トランジスタ増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧に接続されることを特徴とする主増幅回路。
【請求項2】
前記P型トランジスタ増幅モジュールと前記N型トランジスタ増幅モジュールにおいて各主増幅トランジスタのバイアス電圧は同一のバイアス電流により生成されることを特徴とする請求項1に記載の主増幅回路。
【請求項3】
各P型トランジスタ増幅モジュール及び各N型トランジスタ増幅モジュールにおいて前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートはそれぞれ1つのRCモジュールに接続され、各RCモジュールはいずれも第一抵抗及び第一コンデンサを含み、前記第一抵抗は前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートとドレインとの間に接続され、前記第一コンデンサの一端は前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートに接続され、前記P型トランジスタ増幅モジュールに接続される各第一コンデンサの他端は電源電圧に接続され、前記N型トランジスタ増幅モジュールに接続される各第一コンデンサの他端は接地されることを特徴とする請求項1に記載の主増幅回路。
【請求項4】
各P型トランジスタ増幅モジュール及び各N型トランジスタ増幅モジュールの中間段トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧を受信し、1つのゲートコンデンサにそれぞれ接続され、前記P型トランジスタ増幅モジュールに接続されるゲートコンデンサの他端は電源電圧に接続され、前記N型トランジスタ増幅モジュールに接続されるゲートコンデンサの他端は接地されることを特徴とする請求項1に記載の主増幅回路。
【請求項5】
Kは3に設定されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の主増幅回路。
【請求項6】
前記電源電圧は3V~3.5Vであることを特徴とする請求項5に記載の主増幅回路。
【請求項7】
各主増幅トランジスタのゲートは更に、それぞれ1つの入力コンデンサを介して前記主増幅回路の対応する入力端子に接続されることを特徴とする請求項1に記載の主増幅回路。
【請求項8】
高周波電力増幅器であって、
前置増幅回路、第一インピーダンス整合回路、第二インピーダンス整合回路及び請求項1ないし4のいずれか1項に記載の主増幅回路を含み、
前記前置増幅回路の入力端子は高周波入力信号を受信し、前記高周波入力信号に対して初歩的な増幅を行って前記主増幅回路の歪みを補償し、
前記第一インピーダンス整合回路は前記前置増幅回路の出力端子と前記主増幅回路の入力端子との間に接続され、前記前置増幅回路と前記主増幅回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられ、
前記主増幅回路は前記第一インピーダンス整合回路の出力信号を増幅し、
前記第二インピーダンス整合回路は前記主増幅回路の出力端子に接続され、前記主増幅回路と出力側との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられることを特徴とする高周波電力増幅器。
【請求項9】
前記前置増幅回路は第一PMOS差動増幅モジュール及び第一NMOS差動増幅モジュールを含み、
前記第一PMOS差動増幅モジュールのソースは電源電圧に接続され、差動入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続され、
前記第一NMOS差動増幅モジュールのソースは接地され、差動入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続され、
前記第一PMOS差動増幅モジュールの入力段トランジスタのゲートは同一のバイアス電圧に接続され、前記第一NMOS差動増幅モジュールの入力段トランジスタのゲートは同一のバイアス電圧に接続されることを特徴とする請求項8に記載の高周波電力増幅器。
【請求項10】
前記第一PMOS差動増幅モジュール及び前記第一NMOS差動増幅モジュールの入力段トランジスタのゲートは更に、それぞれ1つの入力コンデンサを介して前記前置増幅回路の対応する入力端子に接続されることを特徴とする請求項9に記載の高周波電力増幅器。
【請求項11】
前記前置増幅回路は第一カスコードモジュール及び第二カスコードモジュールを含み、前記第一カスコードモジュールの入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子に接続され、前記第一カスコードモジュールの出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子に接続され、前記第二カスコードモジュールの入力端子は前記前置増幅回路の反転入力端子に接続され、前記第二カスコードモジュールの出力端子は前記前置増幅回路の非反転出力端子に接続されることを特徴とする請求項8に記載の高周波電力増幅器。
【請求項12】
前記高周波電力増幅器は入力バッファ回路、第三インピーダンス整合回路及び第四インピーダンス整合回路を更に含み、
前記第三インピーダンス整合回路は前記高周波入力信号と前記入力バッファ回路の入力端子との間に接続され、入力側と前記入力バッファ回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられ、
前記第四インピーダンス整合回路は前記入力バッファ回路の出力端子と前記前置増幅回路の入力端子との間に接続され、前記入力バッファ回路と前記前置増幅回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられることを特徴とする請求項8に記載の高周波電力増幅器。
【請求項13】
前記入力バッファ回路は電流源、第二PMOS差動増幅モジュール及び第二NMOS差動増幅モジュールを含み、
前記電流源の一端は電源電圧に接続され、他端は前記第二PMOS差動増幅モジュールのソースに接続され、
前記第二PMOS差動増幅モジュールの差動入力端子は前記入力バッファ回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記入力バッファ回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続され、
前記第二NMOS差動増幅モジュールのソースは接地され、差動入力端子は前記入力バッファ回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記入力バッファ回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続され、
前記第二PMOS差動増幅モジュール及び前記第二NMOS差動増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートとドレインとの間には抵抗が1つ設けられ、前記第二PMOS差動増幅モジュール及び前記第二NMOS差動増幅モジュールの入力端子は1つの入力コンデンサを介して前記入力バッファ回路の対応する入力端子に接続されることを特徴とする請求項12に記載の高周波電力増幅器。
【請求項14】
前記第二PMOS差動増幅モジュールと前記電流源の接続ノードには、接地コンデンサが更に接続されることを特徴とする請求項13に記載の高周波電力増幅器。
【請求項15】
各インピーダンス整合回路は誘導変圧器であることを特徴とする請求項8に記載の高周波電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路設計分野に関し、特に、主増幅回路及び高周波電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
5G及び6Gの通信技術が発展するにつれて、共存させなければならない信号周波数帯域はますます多くなり、対応する半導体チップの集積密度も高まっているが、集積モジュールが多すぎるとチップの放熱、信頼性、寿命、コスト等、多くの課題が生じる。現在の半導体プロセスに基づいてこれらの課題を効果的に解決できる唯一の方法が、集積モジュールの効率、性能(直線性)、及び集積度をできる限り高めることであることは明らかである。
【0003】
高周波電力増幅器(パワーアンプ)は高周波チップにおける重要なモジュールであり、その消費電力は高周波チップ全体の約半分(40~50%)を占める。
図1に示すように、パワーアンプ2の主な機能は、周波数変換器1が供給する高周波信号を増幅し、バラン3を経由してアンテナ4を駆動させることによって、空間に無線信号を放出することである。理想的なパワーアンプは、入力端子の信号が最小のオンチップ電力損失によって歪みなく増幅して、アンテナに伝送するものであり、そのため、パワーアンプの電力効率、直線性、集積度等を高めることは発展の要となる。このほか、信号の伝送距離と電力の大きさとは関係しており、直線性が満たされることを前提に、できる限り大きなパワーアンプ出力電力を追求することも、発展の重要要素である。
【0004】
図2に示すのは集積高周波電力増幅器2であり、2段増幅器からなる。第一段は前置増幅器2aであり、主な機能は信号に対して初歩的な増幅を行い、かつ、パワーアンプ入力端子と主増幅器2cを絶縁させることである。第二段は主増幅器2cであり、信号に対する増幅及び増強は主にこの段によって実現されるため、主増幅器2cがパワーアンプ全体の効率、直線性及び出力電力の大きさを決定する。前置増幅器2aと主増幅器2cとの間には整合回路2bが更に設けられ、インピーダンス整合を実現するのに用いられる。一般的な前置増幅器2aの構造は主増幅器2cの構造と類似しているか一致している。主増幅器2cにおいてはトランジスタM1及びM2が差動対をなし、主増幅トランジスタが形成される。高出力電力を得るために、主増幅器2cの電源電圧Vddは一般的に基本トランジスタM1及びM2の定格動作電圧(定格動作電圧を超えたトランジスタは容易に焼損する)よりもはるかに高いものでなければならず、例えば、22nm CMOSプロセスにおいて基本トランジスタの定格動作電圧は1.2Vよりも小さいが、約1Wの出力電力を得るためには電源電圧Vddは少なくとも3.2Vより大きくなければならない。それゆえ、トランジスタの安全を保証するために、トランジスタM1及びM2の上面にトランジスタM3及びM4を更に重畳させることでトランジスタM1及びM2の電圧降下を分担する。トランジスタM3及びM4が受けなければならない電圧は1.2Vを超えるため、トランジスタM3及びM4には基本トランジスタを選択することができなくなり、大きいサイズの高圧トランジスタを選択して使用しなければならなくなるが、この選択によって、パワーアンプが得られる最大の電力効率がやむを得なく制限される。
【0005】
トランジスタM1及びM2であるかトランジスタM3及びM4であるかにかかわらず、大信号非直線性特性がいずれも強いために、トランジスタM5及びM6を追加して一部の非直線性を補償する必要があるが、トランジスタM5及びM6の追加によって2段間の容量性負荷が増加することは疑う余地がなく、更には電力効率を下げることにもなる。トランジスタM5及びM6はトランジスタM1及びM2における容量の非直線性を補償することしかできず、他の非直線性は差動対M3及びM4のプッシュプル特性によって一部がキャンセルされる。このため、かなりの部分の非直線性が負荷RLに伝達してしまい、パワーアンプ2の直線性が不十分なものになる。このほか、
図3に示すように、信号歪みによって主増幅器2c出力端子の非ゼロ電流ID及び非ゼロ電圧Voutが同時出現する時間が長くなり、消費電力が追加されてしまうため、パワーアンプ全体の電力効率が更に制限される。
【0006】
また、出力電力の増加に伴い、出力インピーダンス不整合がある状況下において、トランジスタM3及びM4はより高い電圧を受けることになり、トランジスタM3及びM4が破損するリスクが生じる。それによって、出力不整合による定在波比(VSWR)保護回路(図面には示されていない)を導入しなければならなくなり、回路のコストを更に増加させることは疑う余地がない。
【0007】
以上をまとめれば、
図2における高周波電力増幅器2には以下の課題が存在する。(1)高圧トランジスタM3及びM4によってパワーアンプが得られる電力効率が制限される。トランジスタM3及びM4は(基本トランジスタM1及びM2と比べると)相互コンダクタンス利得が小さいだけでなく、それ自体がより大きな寄生容量パラメータを有しており、それによってより多くの電力が消費される。(2)大信号非直線性特性の補償は十分なものではなく、追加される補償回路(トランジスタ)自体も電力を消費するため、より高い電力効率が得られなくなるだけでなく、直線性を更に高めることも難しくなる。(3)一般的なCMOSプロセスにおけるトランジスタの相互コンダクタンス利得は普遍的に低いため、簡単な差動式プッシュプルのみによる増幅は負荷に対する駆動力が十分に強くない。これでは出力における非ゼロ電圧と非ゼロ電流の重複面積が増加してしまい、パワーアンプの電力効率が更に制限される。(4)トランジスタM3及びM4が受けなければならない電圧は最大で電源電圧Vddの2倍に達する可能性があるが、従来技術において電源電圧Vddを更に増加させることが不可能であることは明らかである。(5)出力不整合による定在波比保護回路を追加する必要があるため、回路コストが別途増加する。したがって、パワーアンプの電力効率、直線性、集積度及び出力電力を高めると同時にどのようにしてコストを低くするかは、当業者にとって早急に解決を要する課題の一つとなっている。
【0008】
注意すべきは、以上の技術背景に対する紹介は、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明しやすくするためのものであり、当業者が理解しやすくなるように叙述したものにすぎない。これらの解決手段が本願の背景技術の部分において説明されたことのみによって、上述の技術的解決手段が当業者にとって公知のものであると考えることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に述べた従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、従来技術において高周波電力増幅器は高電力効率、高性能、高集積度、高出力電力、低コストを同時に実現できないという課題を解決するための主増幅回路及び高周波電力増幅器を提供することにある。
【0010】
上述の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は主増幅回路を提供し、高周波電力増幅器に応用される。前記主増幅回路は、2つのP型トランジスタ増幅モジュール及び2つのN型トランジスタ増幅モジュールを少なくとも含む。前記P型トランジスタ増幅モジュールはKつのPMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、前記N型トランジスタ増幅モジュールはKつのNMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、Kは3以上かつ5以下の自然数である。
【0011】
第一P型トランジスタ増幅モジュールと前記第一N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、前記第一P型トランジスタ増幅モジュール及び前記第一N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは前記主増幅回路の非反転入力端子に接続され、前記第一P型トランジスタ増幅モジュールと前記第一N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは前記主増幅回路の反転出力端子に接続される。
【0012】
第二P型トランジスタ増幅モジュールと前記第二N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、前記第二P型トランジスタ増幅モジュール及び前記第二N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは前記主増幅回路の反転入力端子に接続され、前記第二P型トランジスタ増幅モジュールと前記第二N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは前記主増幅回路の非反転出力端子に接続される。
【0013】
前記P型トランジスタ増幅モジュール及び前記N型トランジスタ増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧に接続される。
【0014】
選択可能に、前記P型トランジスタ増幅モジュールと前記N型トランジスタ増幅モジュールにおいて各主増幅トランジスタのバイアス電圧は同一のバイアス電流により生成される。
【0015】
選択可能に、各P型トランジスタ増幅モジュール及び各N型トランジスタ増幅モジュールにおいて前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートはそれぞれ1つのRCモジュールに接続され、各RCモジュールはいずれも第一抵抗及び第一コンデンサを含む。前記第一抵抗は前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートとドレインとの間に接続され、前記第一コンデンサの一端は前記主増幅回路の出力端子に近接するトランジスタのゲートに接続される。前記P型トランジスタ増幅モジュールに接続される各第一コンデンサの他端は電源電圧に接続され、前記N型トランジスタ増幅モジュールに接続される各第一コンデンサの他端は接地される。
【0016】
選択可能に、各P型トランジスタ増幅モジュール及び各N型トランジスタ増幅モジュールの中間段トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧を受信し、1つのゲートコンデンサにそれぞれ接続される。前記P型トランジスタ増幅モジュールに接続されるゲートコンデンサの他端は電源電圧に接続され、前記N型トランジスタ増幅モジュールに接続されるゲートコンデンサの他端は接地される。
【0017】
より選択的に、Kは3に設定される。
【0018】
より選択的に、前記電源電圧は3V~3.5Vである。
【0019】
より選択的に、各主増幅トランジスタのゲートは更に、それぞれ1つの入力コンデンサを介して前記主増幅回路の対応する入力端子に接続される。
【0020】
上述の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は高周波電力増幅器を更に提供し、前記高周波電力増幅器は、前置増幅回路、第一インピーダンス整合回路、第二インピーダンス整合回路及び上述の主増幅回路を少なくとも含む。
【0021】
前記前置増幅回路の入力端子は高周波入力信号を受信し、前記高周波入力信号に対して初歩的な増幅を行って前記主増幅回路の歪みを補償する。
【0022】
前記第一インピーダンス整合回路は前記前置増幅回路の出力端子と前記主増幅回路の入力端子との間に接続され、前記前置増幅回路と前記主増幅回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0023】
前記主増幅回路は前記第一インピーダンス整合回路の出力信号を増幅する。
【0024】
前記第二インピーダンス整合回路は前記主増幅回路の出力端子に接続され、前記主増幅回路と出力側との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0025】
選択可能に、前記前置増幅回路は第一PMOS差動増幅モジュール及び第一NMOS差動増幅モジュールを含む。
【0026】
前記第一NMOS差動増幅モジュールのソースは電源電圧に接続され、差動入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続される。
【0027】
前記第一NMOS差動増幅モジュールのソースは接地され、差動入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続される。
【0028】
前記第一PMOS差動増幅モジュールの入力段トランジスタのゲートは同一のバイアス電圧に接続され、前記第一NMOS差動増幅モジュールにおける入力段トランジスタのゲートは同一のバイアス電圧に接続される。
【0029】
選択可能に、前記第一PMOS差動増幅モジュール及び前記第一NMOS差動増幅モジュールの入力段トランジスタのゲートは更に、それぞれ1つの入力コンデンサを介して前記前置増幅回路の対応する入力端子に接続される。
【0030】
選択可能に、前記前置増幅回路は第一カスコードモジュール及び第二カスコードモジュールを含む。前記第一カスコードモジュールの入力端子は前記前置増幅回路の非反転入力端子に接続され、出力端子は前記前置増幅回路の反転出力端子に接続され、前記第二カスコードモジュールの入力端子は前記前置増幅回路の反転入力端子に接続され、出力端子は前記前置増幅回路の非反転出力端子に接続される。
【0031】
選択可能に、前記高周波電力増幅器は入力バッファ回路、第三インピーダンス整合回路及び第四インピーダンス整合回路を更に含む。
【0032】
前記第三インピーダンス整合回路は前記高周波入力信号と前記入力バッファ回路の入力端子との間に接続され、入力側と前記入力バッファ回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0033】
前記第四インピーダンス整合回路は前記入力バッファ回路の出力端子と前記前置増幅回路の入力端子との間に接続され、前記入力バッファ回路と前記前置増幅回路との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0034】
更に選択可能に、前記入力バッファ回路は電流源、第二PMOS差動増幅モジュール及び第二NMOS差動増幅モジュールを含む。
【0035】
前記電流源の一端は電源電圧に接続され、他端は前記第二PMOS差動増幅モジュールのソースに接続される。
【0036】
前記第二PMOS差動増幅モジュールの差動入力端子は前記入力バッファ回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記入力バッファ回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続される。
【0037】
前記第二NMOS差動増幅モジュールのソースは接地され、差動入力端子は前記入力バッファ回路の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前記入力バッファ回路の反転出力端子と非反転出力端子とにそれぞれ接続される。
【0038】
前記第二PMOS差動増幅モジュール及び前記第二NMOS差動増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートとドレインとの間には抵抗が1つ設けられる。前記第二PMOS差動増幅モジュール及び第二NMOS差動増幅モジュールの入力端子は1つの入力コンデンサを介して前記入力バッファ回路の対応する入力端子に接続される。
【0039】
更に選択可能に、前記第二PMOS差動増幅モジュールと前記電流源の接続ノードには接地コンデンサが更に接続される。
【0040】
更に選択可能に、各インピーダンス整合回路は誘導変圧器である。
【発明の効果】
【0041】
上述したように、本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、以下の有益な効果を有する。
【0042】
(1)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、複数のトランジスタをスタックしたPMOS構造及びNMOS構造からなるデュアルプッシュプルのパワーアンプアーキテクチャを採用し、デュアルプッシュプルを用いて出力ポートにおける非ゼロ電圧と非ゼロ電流の重複時間を減少させることによって、電力効率を効果的に高める。
【0043】
(2)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、RCフィルタ構造及びコンデンサ分圧の原理を用いて、高電源電圧が重畳する3つの基本トランジスタ間において均等に分布されることを実現する。
【0044】
(3)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、PMOS主増幅トランジスタとNMOS主増幅トランジスタが同一のバイアス直流電流を共有することによって、電力効率が高まる。
【0045】
(4)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器において並列接続される基本NMOS主増幅トランジスタと基本PMOS主増幅トランジスタは、トランジスタの非線形容量が自動的に補償される特性を有し、素子を別途追加する必要なくして、電力効率を高める。
【0046】
(5)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、複数のトランジスタをスタックしたPMOS構造と複数のトランジスタをスタックしたNMOS構造のバックツーバック接続において、PMOSトランジスタにおける非線形相互コンダクタンス利得とNMOSトランジスタにおける非線形相互コンダクタンス利得を互いにキャンセル又は一部をキャンセルすることができ、直線性を効果的に高める。
【0047】
(6)本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、複数のトランジスタをスタックしたPMOS構造と複数のトランジスタをスタックしたNMOS構造のバックツーバック接続において、主増幅回路における全ての基本トランジスタのノード電圧がいかなる状況下においても主増幅回路の電源電圧を超えることがなく、電圧定在波比保護回路を改めて追加する必要もなく、コストがより低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は従来技術における高周波電力増幅器の動作原理模式図である。
【
図2】
図2は従来技術における高周波電力増幅器の構造模式図である。
【
図3】
図3は従来技術において信号歪みにより損失が引き起こされる原理の模式図である。
【
図4】
図4は本発明における主増幅回路の構造模式図である。
【
図5】
図5は本発明における出力不整合時の出力インダクタ出力端子の電圧曲線を示す図である。
【
図6】
図6は本発明における出力不整合時の主増幅回路の出力電圧曲線を示す図である。
【
図7】
図7は本発明における高周波電力増幅器の構造模式図である。
【
図8】
図8は本発明における前置増幅回路の構造模式図である。
【
図9】
図9は本発明における前置増幅回路の別の構造の模式図である。
【
図10】
図10は本発明における高周波電力増幅器の別の構造の模式図である。
【
図11】
図11は本発明における入力バッファ回路の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、特定の具体的な実施形態を通じて本発明の実施手段を説明するが、当業者であれば本明細書で開示された内容によって本発明の他の利点と効果を容易に理解することができる。また、本発明は、その他の異なる具体的実施手段による実施又は応用も可能である。本明細書における各詳細については、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更を行ってもよい。
【0050】
図4~
図11を参照されたい。説明すべき点として、本実施形態で提供する図面は概略的に本発明の基本思想を説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しているが、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズに基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0051】
実施形態1
図4に示すように、本実施形態は主増幅回路21を提供し、高周波電力増幅器2に応用される。主増幅回路21は、2つのP型トランジスタ増幅モジュール及び2つのN型トランジスタ増幅モジュールを含み、第一P型トランジスタ増幅モジュール211、第二P型トランジスタ増幅モジュール212、第一N型トランジスタ増幅モジュール213及び第二N型トランジスタ増幅モジュール214とそれぞれ記す。第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第一N型トランジスタ増幅モジュール213は電源電圧Vdddaとグランドとの間に順次直列接続され、第一P型トランジスタ増幅モジュール211及び第一N型トランジスタ増幅モジュール213の主増幅トランジスタのゲートは主増幅回路21の非反転入力端子in+に接続され、第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第一N型トランジスタ増幅モジュール213の接続ノードは主増幅回路21の反転出力端子out-に接続される。第二P型トランジスタ増幅モジュール212と第二N型トランジスタ増幅モジュール214は電源電圧Vdddaとグランドとの間に順次直列接続され、第二P型トランジスタ増幅モジュール212及び第二N型トランジスタ増幅モジュール214の主増幅トランジスタのゲートは主増幅回路21の反転入力端子in-に接続され、第二P型トランジスタ増幅モジュール212と第二N型トランジスタ増幅モジュール214の接続ノードは主増幅回路21の非反転出力端子out+に接続される。
【0052】
具体的には、第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第二P型トランジスタ増幅モジュール212はP型トランジスタ差動対を構成し、第一N型トランジスタ増幅モジュール213と第二N型トランジスタ増幅モジュール214はN型トランジスタ差動対を構成し、差動式プッシュプルが形成される。2つの差動対はバックツーバックで一体に接続され、差動対ベースの上に重畳される別のプッシュプルを構成する(
図4内の矢印の実線及び点線は異なる入力信号による2つの導通経路を示す)。第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第二N型トランジスタ増幅モジュール214が導通するとき、第二P型トランジスタ増幅モジュール212と第一N型トランジスタ増幅モジュール213がオフされ、第二P型トランジスタ増幅モジュール212と第一N型トランジスタ増幅モジュール213が導通するとき、第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第二N型トランジスタ増幅モジュール214がオフされ、これにより負荷RLに対してデュアルプッシュプルの効果をなす。デュアルプッシュプルでは必然的に出力端子の信号波形における過渡区間が短縮されるため、出力端子における非ゼロ電圧と非ゼロ電流の重複時間が効果的に減少し、電力効率が効果的に高まる。
【0053】
より具体的には、入力信号について言えば、第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第一N型トランジスタ増幅モジュール213の主増幅トランジスタは同様の入力信号(主増幅回路21の非反転入力信号)を有する並列接続トランジスタであり、第二P型トランジスタ増幅モジュール212と第二N型トランジスタ増幅モジュール214の主増幅トランジスタは同様の入力信号(主増幅回路21の反転入力信号)を有する並列接続トランジスタであり、並列接続されるPMOSトランジスタとNMOSトランジスタは非線形容量の補償機能を同時にかつ自動的に有する。このため、本発明の主増幅回路21は、
図2の方法のようにトランジスタM5及びM6を別途追加して非線形容量による非直線性を補償する必要がなく、トランジスタM5及びM6による寄生効果も除去される。同等の直線性が維持される条件下において、本発明の主増幅回路21がより高い電力効率を得ることは疑う余地がない。このほか、主増幅回路における非直線性は、トランジスタの入力端子の非線形容量によるもの以外に、トランジスタ自体の非線形相互コンダクタンス利得によるものもあり、
図2の方法はトランジスタM5及びM6によって非線形容量が補償されるが、非線形相互コンダクタンス利得に対しては役に立たない。本発明におけるPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとのバックツーバック接続はまさしくPMOSトランジスタの非線形相互コンダクタンスとNMOSトランジスタの非線形相互コンダクタンスとを互いにキャンセルさせることができるものである。
図4に示すように、PMOSトランジスタMP1、MP2、MP3(又はMP4、MP5、MP6)における相互コンダクタンスの非直線性とNMOSトランジスタMN1、MN2、MN3(又はMN4、MN5、MN6)における相互コンダクタンスの非直線性は、同じ状況下において、電源からMP1、MP2、MP3、MN3、MN2、MN1(又はMP4、MP5、MP6、MN6、MN5、MN4)を順次介して接地端子に直接流れるため、負荷RLに表れることがなく、それによって、直線性が効果的に高まる。
【0054】
図4に示すように、P型トランジスタ増幅モジュールはKつのPMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、N型トランジスタ増幅モジュールはKつのNMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、Kは3以上かつ5以下の自然数である。
【0055】
具体的には、本実施形態において、Kは3とする。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、P型トランジスタ増幅モジュール及びN型トランジスタ増幅モジュールのトランジスタの数は必要に応じて設定することができる。本実施形態において、第一P型トランジスタ増幅モジュール211は第一PMOSトランジスタMP1、第二PMOSトランジスタMP2及び第三PMOSトランジスタMP3を含む。第一PMOSトランジスタMP1のソースは電源電圧Vdddaに接続され、ゲートは主増幅回路21の非反転入力端子in+に接続され、ドレインは第二PMOSトランジスタMP2のソースに接続され、第二PMOSトランジスタMP2のドレインは第三PMOSトランジスタMP3のソースに接続され、第三PMOSトランジスタMP3のドレインは主増幅回路21の反転出力端子out-に接続され、第一PMOSトランジスタMP1、第二PMOSトランジスタMP2及び第三PMOSトランジスタMP3のゲートは対応するバイアス電圧に接続される。このとき、第一P型トランジスタ増幅モジュール211はカスコード構造を構成し、第一PMOSトランジスタMP1が入力段の主増幅トランジスタである。同じ理由により、第二P型トランジスタ増幅モジュール212は第四PMOSトランジスタMP4、第五PMOSトランジスタMP5及び第六PMOSトランジスタMP6を含む。第四PMOSトランジスタMP4のゲートは主増幅回路21の反転入力端子in-に接続され、第六PMOSトランジスタMP6のドレインは主増幅回路21の非反転出力端子out+に接続される。各PMOSトランジスタ間の接続関係は第一P型トランジスタ増幅モジュール211と同じであり、ここでは詳細に述べない。
【0056】
具体的には、本実施形態において、第一N型トランジスタ増幅モジュール213は第一NMOSトランジスタMN1、第二NMOSトランジスタMN2及び第三NMOSトランジスタMN3を含む。第一NMOSトランジスタMN1のソースは接地され、ゲートは主増幅回路21の非反転入力端子in+に接続され、ドレインは第二NMOSトランジスタMN2のソースに接続され、第二NMOSトランジスタMN2のドレインは第三NMOSトランジスタMN3のソースに接続され、第三NMOSトランジスタMN3のドレインは主増幅回路21の反転出力端子out-に接続され、第一NMOSトランジスタMN1、第二NMOSトランジスタMN2及び第三NMOSトランジスタMN3のゲートは対応するバイアス電圧に接続される。このとき、第一N型トランジスタ増幅モジュール213はカスコード構造を構成し、第一NMOSトランジスタMN1が入力段の主増幅トランジスタである。同じ理由により、第二N型トランジスタ増幅モジュール214は第四NMOSトランジスタMN4、第五NMOSトランジスタMN5及び第六NMOSトランジスタMN6を含む。第四NMOSトランジスタMN4のゲートは主増幅回路21の反転入力端子in-に接続され、第六NMOSトランジスタMN6のドレインは主増幅回路21の非反転出力端子out+に接続される。各NMOSトランジスタ間の接続関係は第一N型トランジスタ増幅モジュール213と同じであり、ここでは詳細に述べない。
【0057】
説明すべき点として、本実施形態において、電源電圧Vdddaを3V~3.5Vに設定することで1ワット程度の出力電力を実現する。電源電圧Vdddaは3.3Vを含むがこれに限定されず、実際に使用する際には、本実施形態に限らず、必要に応じて電源電圧の値を設定することができる。
【0058】
説明すべき点として、本実施形態において、各トランジスタはいずれも基本トランジスタであり、
図2の高圧トランジスタを用いた方法と比べると、寄生パラメータが小さくなるだけでなく相互コンダクタンス利得が大きくなるため、電力効率を更に高めることができる。このほか、本実施形態における3つのトランジスタがスタックされたPMOSトランジスタと3つのトランジスタがスタックされたNMOSトランジスタとのバックツーバック接続は、主増幅回路21の全ての基本トランジスタが接続することで形成されるノードの電圧が、いかなる状況下においても主増幅回路21の電源電圧Vdddaを超えることがない。
図5に示すように、出力不整合(RL:1~500ohm)時における出力インダクタ(主増幅回路21は出力インダクタを介して負荷RLに接続される)出力端子の電圧ピークはRL=500ohm時に17Vを超えるが、
図6に示すように、出力不整合(RL:1~500ohm)時における主増幅回路21の出力電圧の最大ピークは4Vよりも小さく(RL=1ohm)、インピーダンスが致命的な不整合を起こしたときの出力電力はいずれも小さくなる。したがって、本実施形態においては、いかなる電圧定在波比保護回路も追加する必要がなくなるため、チップのコストを効果的に抑えることができる。
【0059】
図4に示すように、P型トランジスタ増幅モジュール及びN型トランジスタ増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧に接続される。
【0060】
具体的には、一例として、第一PMOSトランジスタMP1のゲートは第二抵抗R2を介して第一バイアス電圧Vbp1に接続され、第四PMOSトランジスタMP4のゲートは第三抵抗R3(第二抵抗R2の抵抗値と同じ)を介して第一バイアス電圧Vbp1に接続され、第二PMOSトランジスタMP2と第五PMOSトランジスタMP5のゲートは第二バイアス電圧Vbp2に接続され、第三PMOSトランジスタMP3と第六PMOSトランジスタMP6のゲートは第三バイアス電圧に接続される。第一NMOSトランジスタMN1のゲートは第四抵抗R4を介して第四バイアス電圧Vbn1に接続され、第四NMOSトランジスタMN4のゲートは第五抵抗R5(第四抵抗R4の抵抗値と同じ)を介して第四バイアス電圧Vbn1に接続され、第二NMOSトランジスタMN2と第五NMOSトランジスタMN5のゲートは第五バイアス電圧Vbn2に接続され、第三NMOSトランジスタMN3と第六NMOSトランジスタMN6のゲートは第六バイアス電圧に接続される。各バイアス電圧は外部のバイアス生成回路によって(図面には示されていない)供給される。
【0061】
説明すべき点として、本実施形態において、第一P型トランジスタ増幅モジュール211と第二P型トランジスタ増幅モジュール212において対応するトランジスタのバイアス電圧は同じであり、第一N型トランジスタ増幅モジュール213と第二N型トランジスタ増幅モジュール214において対応するトランジスタのバイアス電圧は同じである。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、各トランジスタのバイアス電圧は必要に応じて設定することができる。
【0062】
具体的には、別の例として、第一PMOSトランジスタMP1、第二PMOSトランジスタMP2、第四PMOSトランジスタMP4、第五PMOSトランジスタMP5、第一NMOSトランジスタMN1、第二NMOSトランジスタMN2、第四NMOSトランジスタMN4及び第五NMOSトランジスタMN5のゲートはいずれも外部のバイアス電圧(上述の例と同じ)を受ける。第三PMOSトランジスタMP3のゲートは第一RCモジュール215に接続され、第一RCモジュール215によって自己バイアスが供給される。第一RCモジュール215は第一抵抗R1及び第一コンデンサC1を含み、第一抵抗R1は第三PMOSトランジスタMP3のゲートとドレインとの間に接続され、第一コンデンサC1の一端は第三PMOSトランジスタMP3のゲートに接続され、他端は電源電圧Vdddaに接続される。第六PMOSトランジスタMP6のゲートは第二RCモジュール216に接続され、第二RCモジュール216のデバイス、構造及びパラメータはいずれも第一RCモジュール215と同じであり、ここでは詳細に述べない。第三NMOSトランジスタMN3のゲートは第三RCモジュール217に接続され、第三RCモジュール217と第一RCモジュール215の構造は基本的に同じであり、ここでは詳細に述べない。異なる点は、第三RCモジュール217においては、第一コンデンサC1の一端が第三NMOSトランジスタMN3のゲートに接続され、他端が接地されることである。第六NMOSトランジスタMN6のゲートは第四RCモジュール218に接続され、第四RCモジュール218のデバイス、構造及びパラメータはいずれも第三RCモジュール217と同じであり、ここでは詳細に述べない。
【0063】
説明すべき点として、本実施形態において、第一RCモジュール215と第二RCモジュール216のデバイスパラメータはいずれも同じであり、第三RCモジュール217と第四RCモジュール218のデバイスパラメータはいずれも同じである。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、必要に応じて相応のパラメータを設定することができる。
【0064】
図4に示すように、本発明の一つの実現手段として、P型トランジスタ増幅モジュールとN型トランジスタ増幅モジュールにおいて各主増幅トランジスタのバイアス電圧は同一のバイアス電流により生成される。すなわち、ミラー電流源からなるマスタスレーブ型複製回路によって同一のバイアス電流をミラーリングして第一バイアス電圧Vbp1及び第四バイアス電圧Vbn1を取得し、対応する抵抗R2、R3、R4及びR5を介して対応するゲートにそれぞれ印加する。本発明におけるP型主電力増幅トランジスタとN型主電力増幅トランジスタは同一の直流バイアス電流を共有し、直流バイアス電流が同じである状況においては、本発明における主増幅トランジスタの相互コンダクタンス利得は
図2の主増幅トランジスタの2倍(N型トランジスタとP型トランジスタは同じであると仮定)になる。このため、本発明における主増幅回路21はより高い電力効率を有する。
【0065】
図4に示すように、本発明の一つの実現手段として、各P型トランジスタ増幅モジュール及び各N型トランジスタ増幅モジュールの中間段トランジスタのゲートはそれぞれ1つのゲートコンデンサに接続される。中間段トランジスタとは、各増幅モジュールにおいて主増幅トランジスタと主増幅回路21出力端子に近接するトランジスタとの間に介在するトランジスタを指す。本実施形態において、第二PMOSトランジスタMP2のゲートは第一ゲートコンデンサC2に接続され、第五PMOSトランジスタMP5のゲートは第二ゲートコンデンサC3に接続され、第一ゲートコンデンサC2及び第二ゲートコンデンサC3の他端は電源電圧Vdddaに接続され、第二NMOSトランジスタMN2のゲートは第三ゲートコンデンサC4に接続され、五NMOSトランジスタMN5のゲートは第四ゲートコンデンサC5に接続され、第三ゲートコンデンサC4及び第四ゲートコンデンサC5の他端は接地される。
【0066】
本実施形態において、各RCモジュールは、主増幅回路21出力端子に近接するトランジスタ(第三PMOSトランジスタMP3、第六PMOSトランジスタMP6、第三NMOSトランジスタMN3及び第六NMOSトランジスタMN6)の分圧が定格電圧(一例として、約1.2V)を超えないように保証するためのものであり、各ゲートコンデンサ(第一ゲートコンデンサC2、第二ゲートコンデンサC3、第三ゲートコンデンサC4及び第四ゲートコンデンサC5)は、中間段トランジスタ(第二PMOSトランジスタMP2、第五PMOSトランジスタMP5、第二NMOSトランジスタMN2及び第五NMOSトランジスタMN5)及び主増幅トランジスタ(第一PMOSトランジスタMP1、第四PMOSトランジスタMP4、第一NMOSトランジスタMN1及び第四NMOSトランジスタMN4)に残りの電源電圧をおおむね均等に分配させることができる。このようにすることで、3.3Vの電源電圧を、重畳する3つのトランジスタに、基本的には均等に分配させることができるようになり、それによって、全てのトランジスタが安全に動作することが保証される。
【0067】
図4に示すように、本発明の一つの実現手段として、各主増幅トランジスタのゲートは更に、それぞれ1つの入力コンデンサを介して主増幅回路21の対応する入力端子に接続される。第一PMOSトランジスタMP1と第一NMOSトランジスタMN1のゲートは第一入力コンデンサC6及び第三入力コンデンサC8を介それぞれして主増幅回路21の非反転入力端子in+に接続され、第四PMOSトランジスタMP4と第四NMOSトランジスタMN4のゲートは第二入力コンデンサC7及び第四入力コンデンサC9をそれぞれ介して主増幅回路21の反転入力端子in-に接続される。各入力コンデンサは主増幅回路21の入力と前段出力端子の直流(このとき、極性が同じである主増幅回路21の入力と前段出力端子とが対応して接続される)を絶縁するのに用いられる。本実施形態に限らず、主増幅回路21の入力と前段出力端子とが交差(このとき、極性が逆である前記主増幅回路21の入力と前段出力端子とが対応して接続される)接続されるとき、各入力コンデンサを省略することができる。
【0068】
本実施形態における主増幅回路21と
図2の主増幅器2cとを比べると、本発明は低雑音、高電力効率、高直線性、高集積度及び低コストを同時に実現し、電力効率が60%を超えて上昇する。
【0069】
実施形態2
本実施形態は主増幅回路21を提供する。実施形態1と異なる点は、Kを4又は5とすることである。
【0070】
具体的には、各増幅モジュールはいずれも4つ又は5つのトランジスタを含み、実施形態1における3つのトランジスタをスタックした構造に対応する。4つのトランジスタ又は5つのトランジスタをスタックした構造は、3つのトランジスタをスタックした構造をベースにして相応する段数の中間段トランジスタを追加するものである。このとき、各トランジスタはいずれも基本トランジスタである。
【0071】
本実施形態における主増幅回路21は高直線性、高集積度、高電力効率及び低コストであるという利点を有する。説明すべき点として、4つのトランジスタ又は5つのトランジスタをスタックした構造は、トランジスタ管が多くなるため、より多くのゲート電圧バイアス問題が生じ、寄生振動が発生しやすくなることから、主増幅回路21が正常な増幅機能を維持する難度が上がってしまう。同時に、各トランジスタ管のヘッドルーム電圧が小さくなることによって、各トランジスタ管の相互コンダクタンス利得が低下し、主増幅回路の電力効率にも影響を及ぼす。
【0072】
他の構造及び原理は実施形態1と同じであり、ここでは詳細に述べない。
【0073】
実施形態3
図7に示すように、本実施形態は高周波電力増幅器2を提供する。高周波電力増幅器2は主増幅回路21、前置増幅回路22、第一インピーダンス整合回路23及び第二インピーダンス整合回路24を含み、2段増幅構造である。
【0074】
図7に示すように、前置増幅回路22の入力端子は高周波入力信号INを受信し、高周波入力信号INに対して初歩的な増幅を行って主増幅回路21の歪みを補償する。
【0075】
具体的には、本発明の一つの実施手段として、前置増幅回路22は第一PMOS差動増幅モジュール221及び第一NMOS差動増幅モジュール222を含み、第一PMOS差動増幅モジュール221のソースは電源電圧Vdd(前置増幅回路22の電源電圧は主増幅回路21の電源電圧と同じであってもよく、異なっていてもよく、本実施形態に限らず、実際のニーズに基づいて設定される)に接続される。差動入力端子は前置増幅回路22の非反転入力端子in+と反転入力端子in-とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前置増幅回路22の反転出力端子out-と非反転出力端子out+とにそれぞれ接続される。
図8に示すように、第一PMOS差動増幅モジュール221は第七PMOSトランジスタMP7及び第八PMOSトランジスタMP8を含み、差動対トランジスタを構成する。第七PMOSトランジスタMP7と第八PMOSトランジスタMP8のゲートは第六抵抗R6及び第七抵抗R7をそれぞれ介して第七バイアス電圧Vbp3に接続される。第一NMOS差動増幅モジュール222のソースは接地され、差動入力端子は前置増幅回路22の非反転入力端子in+と反転入力端子in-とにそれぞれ接続され、差動出力端子は前置増幅回路22の反転出力端子out-と非反転出力端子out+とにそれぞれ接続される。
図8に示すように、第一NMOS差動増幅モジュール222は第七NMOSトランジスタMN7及び第八NMOSトランジスタMN8を含み、差動対トランジスタを構成する。第七NMOSトランジスタMN7と第八NMOSトランジスタMN8のゲートは第八抵抗R8及び第九抵抗R9をそれぞれ介して第八バイアス電圧Vbn3に接続される。本例示において、第七バイアス電圧Vbp3と第八バイアス電圧Vbn3は、ミラー電流源からなるマスタスレーブ型複製回路によって同一のバイアス電流をミラーリングすることによって取得する。更に、本実施形態において、第七PMOSトランジスタMP7と第八PMOSトランジスタMP8のゲートは第五入力コンデンサC10及び第六入力コンデンサC11をそれぞれ介して対応する入力端子に接続され、第七NMOSトランジスタMN7と第八NMOSトランジスタMN8のゲートは更に、第七入力コンデンサC12及び第八入力コンデンサC13をそれぞれ介して対応する入力端子に接続される。
【0076】
具体的には、本発明の別の実施手段として、
図9に示すように、前置増幅回路22は第一カスコードモジュール223及び第二カスコードモジュール224を含み、第一カスコードモジュール223の入力端子は前置増幅回路22の非反転入力端子in+に接続され、出力端子は前置増幅回路22の反転出力端子out-に接続され、第二カスコードモジュール224の入力端子は前置増幅回路22の反転入力端子in-に接続され、出力端子は前置増幅回路22の非反転出力端子out+に接続される。一例として、第一カスコードモジュール223及び第二カスコードモジュール224はNMOSトランジスタを用いて実現され、第一カスコードモジュール223は第九NMOSトランジスタMN9及び第十NMOSトランジスタMN10を含み、第九NMOSトランジスタMN9は主増幅トランジスタであり、ソースは接地され、ゲートは入力信号に接続され、ドレインは第十NMOSトランジスタMN10のソースに接続され、第十NMOSトランジスタMN10のゲートは第九バイアス電圧Vbn4に接続され、ドレインは出力端子に接続される。同じ理由により、第二カスコードモジュール224は第十一NMOSトランジスタMN11及び第十二NMOSトランジスタMN12を含み、第十一NMOSトランジスタMN11は主増幅トランジスタであり、そのソースは接地され、ゲートは入力信号に接続され、ドレインは第十二NMOSトランジスタMN12のソースに接続され、第十二NMOSトランジスタMN12のゲートは第九バイアス電圧Vbn4に接続され、ドレインは出力端子に接続される。本例示において、前置増幅回路22の出力端子は第一インピーダンス整合回路23のコイルを介して電源電圧Vddに接続される。別の例として、第一カスコードモジュール223及び第二カスコードモジュール224はPMOSトランジスタを用いて実現され、回路構造には適応した調整が行われるが、ここでは詳細に述べない。
【0077】
説明すべき点として、前置増幅回路22は高い電源電圧を必要とせず、
図8に示すPMOSトランジスタとNMOSトランジスタを重畳させる方法を用いて前置増幅を行うことが必ずしも必要ではないため、
図8の前置増幅回路構造は(前置増幅回路22の)入力と出力をより良好に絶縁する作用を実現することができ、かつ、大きな相互コンダクタンス利得を有するが、出力振幅が小さくなる。また、
図9の前置増幅回路構造は基本MOSトランジスタの差動対を用いて実現され、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタを重畳させる方法ではないため、大きな出力振幅を有するが、相互コンダクタンス利得は相対的に小さくなる。実際に使用する際には、必要に応じて相応の回路構造を選択することができるが、言うまでもなく、前置増幅回路も本実施形態で列挙した方法に限定されるものではなく、高周波信号の前置増幅が実現できる任意の回路構造であればいずれも本発明に適用される。
【0078】
図7に示すように、第一インピーダンス整合回路23は前置増幅回路22の出力端子と主増幅回路21の入力端子との間に接続され、前置増幅回路22と主増幅回路21との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0079】
具体的には、本実施形態において、第一インピーダンス整合回路23は誘導変圧器を用いて実現される。誘導変圧器の第一コイルの両端は前置増幅回路22の出力端子に接続され、第二コイルの両端は主増幅回路21の入力端子に接続される。
【0080】
図7に示すように、主増幅回路21は第一インピーダンス整合回路23の出力信号を増幅する。
【0081】
具体的には、主増幅回路21は実施形態1又は実施形態2の主増幅回路構造を採用する。具体的な構造及び原理は上述の文を参照されたく、ここでは詳細に述べない。
【0082】
図7に示すように、第二インピーダンス整合回路24は主増幅回路21の出力端子に接続され、主増幅回路21と出力側との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0083】
具体的には、本実施形態において、第二インピーダンス整合回路24は誘導変圧器を用いて実現される。出力側は負荷を含むが、これに限定されず、ここでは詳細に述べない。
図4において主増幅回路21出力端子に設けられた変圧器はすなわち第二インピーダンス整合回路24であり、主増幅回路21の動作原理を理解しやすくするために、変圧器を
図4において示す。
【0084】
説明すべき点として、実際に使用する際には、本実施形態に限らず、インピーダンス整合を実現することができる回路構造であればいずれも本発明に適用される。
【0085】
実施形態4
図10に示すように、本実施形態は高周波電力増幅器2を提供する。実施形態3と異なる点は、高周波電力増幅器2は、前置増幅回路22の前に入力バッファ回路25、第三インピーダンス整合回路26及び第四インピーダンス整合回路27を更に追加することで、3段増幅構造を実現することである。
【0086】
図10に示すように、第三インピーダンス整合回路26は高周波入力信号INと入力バッファ回路25の入力端子との間に接続され、入力側と入力バッファ回路25との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0087】
具体的には、本実施形態において、第三インピーダンス整合回路26は誘導変圧器を用いて実現される。入力側は前段の周波数変換器、補償回路を含むが、これらに限定されず、ここでは詳細に述べない。
【0088】
図10に示すように、入力バッファ回路25は隔離作用を発揮し、同時に、相当する利得を供給する。
【0089】
具体的には、本実施形態において、入力バッファ回路25は電流源Ib、第二PMOS差動増幅モジュール251及び第二NMOS差動増幅モジュール252を含む。電流源Ibの一端は電源電圧Vdd(主増幅回路21及び/又は前置増幅回路22の電源電圧と等しくてもよく、等しくなくてもよい)に接続され、他端は第二PMOS差動増幅モジュール251のソースに接続される。一例として、電源からグランドまでの2つの経路にはそれぞれ1つの電流源Ibが設けられ、実際に使用する際には、同一の電流源を共有することができる。第二PMOS差動増幅モジュール251の差動入力端子は入力バッファ回路25の非反転入力端子in+と反転入力端子in-とにそれぞれ接続され、差動出力端子は入力バッファ回路25の反転出力端子out-と非反転出力端子out+とにそれぞれ接続される。
図11に示すように、第二PMOS差動増幅モジュール251は第九PMOSトランジスタMP9及び第十PMOSトランジスタMP10を含み、差動対トランジスタを構成する。第二NMOS差動増幅モジュール252のソースは接地され、差動入力端子は入力バッファ回路25の非反転入力端子in+と反転入力端子in-とにそれぞれ接続され、差動出力端子は入力バッファ回路25の反転出力端子out-と非反転出力端子out+とにそれぞれ接続される。
図11に示すように、第二NMOS差動増幅モジュール252は第十三NMOSトランジスタMN13及び第十四NMOSトランジスタMN14を含み、差動対トランジスタを構成する。第二PMOS差動増幅モジュール251及び第二NMOS差動増幅モジュール252において各トランジスタのゲートとドレインとの間には抵抗が1つ設けられる。
図11に示すように、第九PMOSトランジスタMP9と第十三NMOSトランジスタMN13は第十抵抗R10を共有し、第十抵抗R10の一端は第九PMOSトランジスタMP9と第十三NMOSトランジスタMN13のゲートに接続され、他端は入力バッファ回路25の反転出力端子out-に接続され、第十PMOSトランジスタMP10と第十四NMOSトランジスタMN14は第十一抵抗R11を共有し、第十一抵抗R11の一端は第十PMOSトランジスタMP10と第十四NMOSトランジスタMN14のゲートに接続され、他端は入力バッファ回路25の反転出力端子out-に接続される。第二PMOS差動増幅モジュール251及び第二NMOS差動増幅モジュール252と入力バッファ回路25の非反転入力端子in+との間には第九入力コンデンサC14が直列接続され、第二PMOS差動増幅モジュール251及び第二NMOS差動増幅モジュール252と入力バッファ回路25の反転入力端子in-との間には第十入力コンデンサC15が直列接続される。本実施形態において、第二PMOS差動増幅モジュール251と電流源Ibの接続ノードには接地コンデンサが更に接続される。一例として、2つの電流源と第二PMOS差動増幅モジュール251の接続ノードは第一接地コンデンサC16及び第二接地コンデンサC17にそれぞれ接続される。
【0090】
説明すべき点として、本実施形態において、入力バッファ回路25は相互コンダクタンスバッファである。電流源Ibが入力バッファ回路25に定電流バイアスを供給することによって、前段への影響を低減する。第十抵抗R10及び第十一抵抗R11は直流電圧バイアスを供給して入力と出力を絶縁するのに用いられる。実際に使用する際には、本実施形態に限らず、絶縁バッファを実現することができる回路構造であればいずれも本発明に適用される。
【0091】
図10に示すように、第四インピーダンス整合回路27は入力バッファ回路25の出力端子と前置増幅回路22の入力端子との間に接続され、入力バッファ回路25と前置増幅回路22との間のインピーダンス整合を実現するのに用いられる。
【0092】
具体的には、本実施形態において、第三インピーダンス整合回路26は誘導変圧器を用いて実現される。
【0093】
他の構造及び原理は実施形態3と同じであり、ここでは詳細に述べない。
【0094】
従来の無線通信技術は高周波電力増幅器が高効率及び高直線性であることが例外なく要求され、特に中間約10dBバックオフの出力電力範囲においては、典型的な従来の集積電力増幅器ではバックオフ出力電力範囲における電力効率が15%を超えられるものが少ないが、本発明における高周波電力増幅器2では相応する電力効率が30%近くまで高まる。本発明は新型のアーキテクチャによってトランジスタの非直線性に対して更なる補償が行われることで、高周波電力増幅器の直線性が更に高まり、同類の電力増幅器と比べて直線性が10dBを超えて効果的に高まる。本発明は共有の直流バイアス電流を用いることによって、小さいサイズのトランジスタで同等の利得を供給することができ、用いられるものはいずれも基本トランジスタであって高圧トランジスタではなく、また、電圧定在波比保護回路を省略することができるため、本発明は低コストという明らかな優位性を得ることができる。
【0095】
以上に述べたことをまとめれば、本発明は主増幅回路及び高周波電力増幅器を提供し、2つのP型トランジスタ増幅モジュール及び2つのN型トランジスタ増幅モジュールを含み、P型トランジスタ増幅モジュールはKつのPMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、N型トランジスタ増幅モジュールはKつのNMOSトランジスタをスタックして構成するカスコード構造を含み、Kは3以上かつ5以下の自然数である。第一P型トランジスタ増幅モジュールと第一N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、第一P型トランジスタ増幅モジュール及び第一N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは主増幅回路の非反転入力端子に接続され、第一P型トランジスタ増幅モジュールと第一N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは主増幅回路の反転出力端子に接続される。第二P型トランジスタ増幅モジュールと第二N型トランジスタ増幅モジュールは電源電圧とグランドとの間に順次直列接続され、第二P型トランジスタ増幅モジュール及び第二N型トランジスタ増幅モジュールの主増幅トランジスタのゲートは主増幅回路の反転入力端子に接続され、第二P型トランジスタ増幅モジュールと第二N型トランジスタ増幅モジュールの接続ノードは主増幅回路の非反転出力端子に接続される。P型トランジスタ増幅モジュール及びN型トランジスタ増幅モジュールにおいて各トランジスタのゲートは対応するバイアス電圧に接続される。本発明における主増幅回路及び高周波電力増幅器は、複数のトランジスタをスタックしたPMOS構造及びNMOS構造からなるデュアルプッシュプルのパワーアンプアーキテクチャを採用し、デュアルプッシュプルを用いて出力ポートにおける非ゼロ電圧と非ゼロ電流の重複時間を減少させることによって、電力効率を効果的に高める。RCフィルタ構造及び容量分圧の原理を用いて、高電源電圧を重畳する3つの基本トランジスタ間において均等に分布させることを実現し、PMOS主増幅トランジスタとNMOS主増幅トランジスタが同一のバイアス直流電流を共有することによって、電力効率を高める。並列接続される基本NMOS主増幅トランジスタと基本PMOS主増幅トランジスタは、トランジスタの非線形容量を自動的に補償する特性を有し、素子を別途追加する必要なくして、電力効率を高める。複数のトランジスタをスタックしたPMOS構造と複数のトランジスタをスタックしたNMOS構造のバックツーバック接続は、PMOSトランジスタにおける非線形相互コンダクタンス利得とNMOSトランジスタにおける非線形相互コンダクタンス利得を互いにキャンセル又は一部をキャンセルすることができ、直線性を効果的に高め、主増幅回路における全ての基本トランジスタのノード電圧がいかなる状況下においても主増幅回路の電源電圧を超えることがなく、電圧定在波比保護回路を改めて追加する必要もなくなり、コストがより低くなる。したがって、本発明は従来技術における種々の欠点を効果的に克服し、高度な産業利用価値を有する。
【0096】
上述の実施形態は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するにすぎず、本発明を限定するためのものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに上述の実施形態に対する補足又は変更を行うことができる。したがって、当業者が本発明で開示する精神と技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変更は、依然として本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 周波数変換器
2 高周波電力増幅器
2a 前置増幅器
2b 整合回路
2c 主増幅器
3 バラン
4 アンテナ
21 主増幅回路
22 前置増幅回路
23 第一インピーダンス整合回路
24 第二インピーダンス整合回路
25 入力バッファ回路
26 第三インピーダンス整合回路
27 第四インピーダンス整合回路
211 第一P型トランジスタ増幅モジュール
212 第二P型トランジスタ増幅モジュール
213 第一N型トランジスタ増幅モジュール
214 第二N型トランジスタ増幅モジュール
215~218 第一~第四RCモジュール
221 第一PMOS差動増幅モジュール
222 第一NMOS差動増幅モジュール
223 第一カスコードモジュール
224 第二カスコードモジュール
251 第二PMOS差動増幅モジュール
252 第二NMOS差動増幅モジュール
【外国語明細書】