(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062913
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】皺抑制機能を有するカーテン用テープ及び皺抑制方法並びにカーテン
(51)【国際特許分類】
A47H 23/04 20060101AFI20240501BHJP
A47H 23/08 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A47H23/04
A47H23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024927
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022171038
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】392026833
【氏名又は名称】株式会社米澤物産
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 宗蔵
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AB01
2E182AC01
2E182BB02
2E182BB03
2E182BB12
2E182CC09
2E182EE04
2E182EF07
2E182EF14
2E182EG01
(57)【要約】
【課題】カーテン芯地の縁部分をカーテン生地に縫製したことにより生じた皺を伸ばし、該皺の伸ばされた状態を効果的に固定し得るカーテン用テープを提供する。
【解決手段】カーテン生地2の上端側の部分11に縫製されてカーテン上縁部に所要の剛性を付与するカーテン芯地9として構成されたカーテン用テープである。カーテン芯地9の、カーテン生地2に対する縫い代部分5にホットメルト接着剤7が塗布されている。カーテン芯地9を、縫い代部分5でカーテン生地2に縫製した後、該縫製によって発生した皺をアイロンを掛けて伸ばすと共に、該アイロンの熱でホットメルト接着剤7を溶融させると、その溶融物の接着作用によって、皺の伸ばされた状態を固定できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン生地の所要部位に縫製されるカーテン用テープであって、
テープ本体の、該カーテン生地に対する縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とする皺抑制機能を有するカーテン用テープ。
【請求項2】
前記テープ本体は、前記カーテン生地の上端側の部分に縫製されるカーテン芯地であり、該カーテン芯地の上縁部分及び/又は下縁部分をなす、該カーテン生地に対する前記縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の皺抑制機能を有するカーテン用テープ。
【請求項3】
前記テープ本体は、操作紐の引き上げ操作によって襞状部分が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテンを構成する前記カーテン生地に、その横方向に延長するように配置されて縫製されるものであり、
ウエイト棒を横方向に挿入させるための管状体を有し、該管状体に、前記操作紐を縦方向に挿通させる紐通し部材を取り付け可能の取着片が設けられてなり、又は、該操作紐を挿通させる紐挿通部が設けられてなる紐通し付き管状テープとして構成されており、
該紐通し付き管状テープの、前記カーテン生地に対する縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の皺抑制機能を有するカーテン用テープ。
【請求項4】
前記テープ本体は、操作紐の引き上げ操作によって襞状部分が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテンを構成する前記カーテン生地に、その縦方向に延長するように配置されて縫製されるものであり、
テープ基材の一面部に、前記操作紐を縦方向に挿通させる紐通し部材を取り付け可能の取り付け片が設けられており、又は、該操作紐を挿通させる紐挿通部が設けられており、 該テープ基材の、前記カーテン生地に対する縫い代部分の前記カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の皺抑制機能を有するカーテン用テープ。
【請求項5】
前記ホットメルト接着剤は、前記縫い代部分の前記カーテン生地に当接する側の面にのみ塗布されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の皺抑制機能を有するカーテン用テープ。
【請求項6】
請求項1~4の何れかに記載のカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープを前記カーテン生地に縫製し、該縫製によって発生した皺をアイロンを掛けて伸ばすと共に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤を溶融させ、その溶融物の接着作用によって、前記皺の伸ばされた状態を固定させることを特徴とする皺抑制方法。
【請求項7】
請求項5記載のカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープを前記カーテン生地に縫製し、該縫製によって発生した皺をアイロンを掛けて伸ばすと共に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤を溶融させ、その溶融物の接着作用によって、前記皺の伸ばされた状態を固定させることを特徴とする皺抑制方法。
【請求項8】
請求項1~4の何れかに記載のカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープが前記カーテン生地に縫製され、該縫製によって発生した皺がアイロンを掛けて伸ばされており、該皺の伸ばされた状態が、該アイロンの熱で溶融された前記ホットメルト接着剤の溶融物の接着作用によって固定されていることを特徴とするカーテン。
【請求項9】
請求項5記載のカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープが前記カーテン生地に縫製され、該縫製によって発生した皺がアイロンを掛けて伸ばされており、該皺の伸ばされた状態が、該アイロンの熱で溶融された前記ホットメルト接着剤の溶融物の接着作用によって固定されていることを特徴とするカーテン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皺抑制機能を有するカーテン用テープに関し、これを用いる皺抑制方法に関し、又、これを用いるカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテン生地の所要部位に装着されるカーテン用テープの一例として、カーテン生地の上端側の部分に縫製されるカーテン芯地について見た場合、例えば特許文献1、2に開示されているように、該カーテン芯地は該カーテン生地の上端側の部分に縫製されている。
【0003】
一般に、縫製を施せば、その縫製箇所だけでなくその周辺部分にも皺が発生する。カーテン芯地をカーテン生地の上端側の部分に縫製した場合における皺はカーテンの表側に生ずることになるが、カーテンの表側にこのように皺が発生すると、カーテンの見栄えを悪化することとなる。そこで従来は、前記縫製を施した後に、該皺が発生した部分にアイロンを掛けて皺を伸ばすことも行われていたが、時間が経つと、伸ばした皺が戻ってしまう問題があった。このように従来においては、縫製により発生した皺によるカーテンの見栄え悪化の問題を解決できないでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-249097号公報
【特許文献2】特開2002-10904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、カーテン生地の所要部位にカーテン用テープを縫製したことにより生じた皺を伸ばし、該皺の伸ばされた状態を効果的に固定できる、皺抑制機能を有するカーテン用テープの提供を課題とするものである。又、該カーテン用テープの縫製によって生じた皺を伸ばす工程と、該皺の伸ばされた状態を固定する工程を同時的に行うことができる皺抑制方法の提供を課題とするものである。更に、該皺の伸ばされた状態が良好に持続されて見栄えのよいカーテンの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープの第1の態様は、カーテン生地の所要部位に縫製されるカーテン用テープであって、テープ本体の、該カーテン生地に対する縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープの第2の態様は、前記第1の態様において、前記テープ本体は、前記カーテン生地の上端側の部分に縫製されるカーテン芯地であり、該カーテン芯地の上縁部分及び/又は下縁部分をなす、該カーテン生地に対する前記縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープの第3の態様は、前記第1の態様において、前記テープ本体は、操作紐の引き上げ操作によって襞状部分が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテンを構成する前記カーテン生地に、その横方向に延長するように配置されて縫製されるものであり、ウエイト棒を横方向に挿入させるための管状体を有する。該管状体に、前記操作紐を縦方向に挿通させる紐通し部材を取り付け可能の取着片が設けられてなり、又は、該操作紐を挿通させる紐挿通部が設けられてなる紐通し付き管状テープとして構成されている。そして該紐通し付き管状テープの、前記カーテン生地に対する縫い代部分の該カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープの第4の態様は、前記第1の態様において、前記テープ本体は、操作紐の引き上げ操作によって襞状部分が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテンを構成する前記カーテン生地に、その縦方向に延長するように配置されて縫製されるものである。テープ基材の一面部に、前記操作紐を縦方向に挿通させる紐通し部材を取り付け可能の取り付け片が設けられており、或いは該操作紐を挿通させる紐挿通部が設けられている。又該テープ基材の、前記カーテン生地に対する縫い代部分の前記カーテン生地に当接する側の面にホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープの第5の態様は、前記第1~4の何れかの態様において、前記ホットメルト接着剤は、前記縫い代部分の前記カーテン生地に当接する側の面にのみ塗布されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る皺抑制方法の第1の態様は、前記第1~4の何れかの態様に係るカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープを前記カーテン生地に縫製し、該縫製によって発生した皺をアイロンを掛けて伸ばすと共に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤を溶融させ、その溶融物の接着作用によって、前記皺の伸ばされた状態を固定させることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る皺抑制方法の第2の態様は、第5の態様に係るカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープを前記カーテン生地に縫製し、該縫製によって発生した皺をアイロンを掛けて伸ばすと共に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤を溶融させ、その溶融物の接着作用によって、前記皺の伸ばされた状態を固定させることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るカーテンの第1の態様は、前記第1~4の何れかの態様に係るカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープが前記カーテン生地に縫製され、該縫製によって発生した皺がアイロンを掛けて伸ばされており、該皺の伸ばされた状態が、該アイロンの熱で溶融された前記ホットメルト接着剤の溶融物の接着作用によって固定されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るカーテンの第2の態様は、前記第5の態様に係るカーテン用テープの前記縫い代部分で該カーテン用テープが前記カーテン生地に縫製され、該縫製によって発生した皺がアイロンを掛けて伸ばされており、該皺の伸ばされた状態が、該アイロンの熱で溶融された前記ホットメルト接着剤の溶融物の接着作用によって固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープ及び皺抑制方法によるときは、カーテン生地の所要部位にカーテンテープを縫製したことによって生じた、その縫製箇所及びその周辺部分の皺をアイロンを掛けて伸ばすことができる。そして、該皺を伸ばすと同時的に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤を溶融させその溶融物の接着作用によって、該皺の伸ばされた状態を効果的に固定できる。このように本発明に係るカーテン用テープによるときは、前記皺を伸ばす工程と、その後における該皺の伸ばされた状態の固定工程を、アイロン掛けの工程だけで簡易に行うことができる。
特に、前記ホットメルト接着剤が、前記縫い代部分の前記カーテン生地に当接する側の面にのみ塗布されるときは、伸ばした皺の固定部がカーテンのしなやかさを損ないにくい。
【0016】
そして本発明によるときは、カーテン生地の所要部位にカーテンテープを縫製したことによって生じた、前記縫製箇所及びその周辺部分の皺が伸ばされた状態が良好に持続されるカーテンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るカーテン用テープを、これがカーテン芯地として構成された場合について示す斜視図である。
【
図2】カーテン用テープをカーテン芯地として用いてカーテン上縁部に所要の剛性を付与する作業工程を説明する説明図である。
【
図3】フラットカーテンの上縁部に所要の剛性を付与するためのカーテン芯地として応用されたカーテン用テープを示す斜視図である。
【
図4】フラットカーテンの上端側の部分に該カーテン芯地を装着した状態を示す正面図である。
【
図6】襞状折り返し部が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式カーテンを構成する紐通し付き管状テープとして応用されたカーテン用テープを示す斜視図である。
【
図7】引き上げ式カーテンを例示する正面図である。
【
図8】カーテン生地に、紐通し付き管状テープを水平状態に多段に取り付けると共に、その管状体にウエイト棒を挿入して構成された引き上げ式カーテンを示す部分斜視図である。
【
図10】その引き上げ式カーテンにおいて、襞状折り返し部が多段に積み重なる状態を示す斜視図である。
【
図11】紐通し付き管状テープの管状部に設けられている紐挿通部に操作紐を縦方向に直に挿通させた状態を示す引き上げ式カーテンの部分斜視図である。
【
図12】襞状折り返し部が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するループ付きテープとして応用されたカーテン用テープを示す斜視図である。
【
図13】ループ付きテープが縦方向に取り付けられ、該ループに紐通し部材が取り付けられてなる引き上げ式カーテンを示す部分斜視図である。
【
図14】カーテン生地に縦方向に取り付けられたループ付きテープを備えた引き上げ式カーテンを示す部分斜視図である。
【
図16】その引き上げ式カーテンにおいて、襞状折り返し部が多段に積み重なる状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
図1~2において本発明に係る皺抑制機能を有するカーテン用テープ(以下カーテン用テープという)1は、カーテン生地2の所要部位に縫製3されるものであって、テープ本体4の、該カーテン生地2に対する縫い代部分5の、該カーテン生地2に当接する側の面6にホットメルト接着剤7が塗布されている。
【0019】
以下、該カーテン用テープ1の構成とその使用状態の好ましい態様を、該カーテン用テープ1がカーテン芯地9として用いられる場合に係る第1の態様と、該カーテン用テープ1が、襞状部分が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテン10を構成するために用いられる場合に係る第2の態様に分けて説明する。
【0020】
〔第1の態様〕
(その1)
図1~2は、前記カーテン用テープ1がカーテン芯地9として用いられる場合の一例を示すものである。該カーテン芯地9は、前記カーテン生地2の上端側の部分11に縫製されてカーテン上縁部14(
図2(C))に所要の剛性を付与するもので、製織乃至編成によりテープ状に形成されている。本実施例においては、テープ状に製織されている。そして、該カーテン芯地9の上縁部分12をなす前記縫い代部分5の、該カーテン生地2に当接する側の面(後述する、折り返した状態で該カーテン生地2に当接する側の面)6にのみ、前記ホットメルト接着剤7が塗布されている。この塗布幅は、カーテン生地2にカーテン芯地9を縫製して形成されてなるカーテンの開閉が繰り返されたときにも所要の接着力を持続させることができるように、所要幅に設定されるものである。本態様において該塗布幅は、前記縫い代部分5の幅に等しく5~10mmに、例えば7mmに設定されている。
【0021】
前記ホットメルト接着剤7は常温では乾燥状態にあるため、該ホットメルト接着剤7が塗布されてなるカーテン芯地9をカーテン生地2に縫製する際等における該カーテン芯地9の取り扱いが容易である。
【0022】
該カーテン芯地9は
図2(A)(B)に示すように、前記カーテン生地2の前記上端側の部分11にその延長方向(横方向)に重ね合わせられ、該カーテン芯地9の上縁部分12(前記縫い代部分5)が該上端側の部分11に縫製3a(1回目の縫製)される。その後、該上端側の部分11が
図2(C)に示すように下向きに折り返され、該上端側の部分11が該カーテン生地2の裏面8に重ね合わせられる。
【0023】
これによって、前記カーテン芯地9の前記上縁部分12が、
図2(C)に示すように、該折り返した部分の下端縁部15となる。このように折り返した状態で、折り返した部分の下端縁部15に縫製3bを施し、該下端縁部15と前記カーテン生地2とを一体化する。
【0024】
該縫製3bは、当初は前記上縁部分12(前記縫い代部分5であって、前記ホットメルト接着剤7が塗布されている部分)であった部分に対して施される2回目の縫製である。
【0025】
該2回目の縫製3bを施した後、該縫製箇所及びその周辺部分にアイロンを掛けて皺を伸ばすと、該皺を伸ばすと同時に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤7が溶融される。該ホットメルト接着剤7の溶融物の接着作用によって、該皺の伸ばされた状態が効果的に固定されることとなる。これにより、皺の伸ばされた箇所のカーテン表側(前記折り返した側と反対側の、室内側にあるカーテンの表側)16(
図2(C))では、前記カーテン芯地9を、その延長方向に縫製した際に従来生じていた皺の発生が抑制され、該カーテン表側16における見た目の皺が軽減された状態となる。前記カーテン芯地9が装着されることによって構成されたカーテン17(
図2(C))は、カーテン上縁部14に、タックを設けて所要間隔で襞が形成される。
【0026】
(その2)
図3~5は、前記カーテン用テープ1がカーテン芯地9として用いられた場合の他の態様を示すものである。該カーテン芯地9は、前記カーテン生地(本実施例においてはフラットカーテンを構成する)2(
図4~5)の上端側の部分11にその延長方向(横方向)に重ね合わせ状態に縫製されてカーテン上縁部14(
図4~5)に所要の剛性を付与するもので、製織乃至編成によりテープ状に形成されている。本実施例においては、テープ状に製織されている。そして、該カーテン芯地9の上縁部分12及び下縁部分19をなす前記縫い代部分5の、前記カーテン生地2に当接する側の面にホットメルト接着剤7が塗布されている。
【0027】
この場合も、前記(その1)で説明した場合と同様に、この塗布幅は、カーテン生地2にカーテン芯地9を縫製して形成されたカーテン17の開閉が繰り返されたときにも所要の接着力を持続させることができるように、所要幅に設定されるものである。本態様において該塗布幅は、前記縫い代部分5の幅に等しく5~10mmに、例えば7mmに設定されている。
【0028】
該ホットメルト接着剤7は常温では乾燥状態にあるため、該ホットメルト接着剤7が塗布されてなるカーテン芯地9をカーテン生地2に縫製する際等における該カーテン芯地9の取り扱いが容易である。
【0029】
該カーテン芯地9は
図4~5に示すように、前記上端側の部分11にその延長方向(横方向)に重ね合わせられ、該カーテン芯地9の前記上縁部分12と前記下縁部分19をなす前記縫い代部分5が、該上端側の部分11の上下の部分に縫製3cされる。
【0030】
該縫製3cを施した後、上下の縫製箇所及びその周辺部分にアイロンを掛けて皺を伸ばすと、該皺を伸ばすと同時に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤7が溶融される。該ホットメルト接着剤7の溶融物の接着作用によって、該皺の伸ばされた状態が効果的に固定されることとなる。これにより、該皺の伸ばされた箇所のカーテン表側(前記カーテン芯地9が縫製されている側と反対側の、室内側にあるカーテンの表側)16(
図5(A))での、前記カーテン芯地9をその延長方向に縫製した際に従来生じていた皺の発生が抑制され、該カーテン表面における見た目の皺が軽減された状態となる。
【0031】
〔第2の態様〕
(その1)
図6は、操作紐20(
図7~11)の引き上げ操作によって襞状折り返し部21(
図10)が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテン10(
図9~10)を構成するために用いられるカーテン用テープ1を示しており、該カーテン用テープ1は紐通し付き管状テープ22として構成されている。該紐通し付き管状テープ22は、ウエイト棒23を横方向に挿入させる(
図9~10)ための管状体25を有し、該管状体25の表面部26に、前記操作紐20を縦方向に挿通させる紐通し部材27(
図9~10) を取り付け可能の取着片28(
図6、
図9~10)が設けられている。又は、
図11に示すように、前記操作紐20を直に挿通させる紐挿通部30が該管状体25の表面部26に設けられている。そして
図6に示すように、該紐通し付き管状テープ22の、前記カーテン生地2に対する縫い代部分5の該カーテン生地2に当接する側の面にホットメルト接着剤7が塗布されている。以下、これを具体的に説明する。
【0032】
前記紐通し付き管状テープ22は、
図6(B)に示すように、管状に製織され且つ一側縁25aの側(本実施例においては上縁側)に、該一側縁25aの延長方向に延びる所要長さの出し入れ用の開口31(
図6(B)、
図9)が所要間隔をおいて並設されてなる前記管状体25を具えている。該管状体25には、
図9~10に示すように、該開口31を通してその長さ方向に前記ウエイト棒23が挿入される。又前記管状体25の表面部26に、
図6(B)に示すように、両端24,24が前記表面部26に織り込まれ且つ中間部分が該表面部26から遊離した状態にある遊離片33が、該表面部26の長さ方向に並設されている。該遊離片33は、前記操作紐20を縦方向に挿通させる前記紐通し部材27(
図9~10)を取り付け可能の前記取着片28となり、又は
図11に示すように、該操作紐20を縦方向に直に挿通させる前記紐挿通部30となる。
【0033】
又
図6、
図9に示すように、前記管状体25の前記一側縁(上縁)25aに、前記カーテン生地2への取付け部となる張出片35が突設されており、該張出片35は、前記カーテン生地2に対する縫製3dのための縫い代部分5となるものである。そして、該縫い代部分5となる該張出片35の前記カーテン生地2に当接する側の面に前記ホットメルト接着剤7aが塗布されている(
図6(A)、
図9)。加えて本実施例においては、
図6(A)、
図9に示すように、前記管状体25の上縁側の部分36(
図6(A))の全長に亘って、前記カーテン生地2に当接する側の面にホットメルト接着剤7bが塗布されている(
図6、
図11)。本実施例においては、該ホットメルト接着剤7の塗布幅L(
図6(A))は、前記ホットメルト接着剤7a,7bの塗布幅の合計幅とされている。
【0034】
この塗布幅Lは、前記カーテン生地2に前記紐通し付き管状テープ22を縫製3d(
図6(B)、
図9、
図11)して形成された前記引き上げ式のカーテン17の引き上げが繰り返されたときにも所要の接着力を持続できるように所要幅に設定されるものである。本態様においては、該塗布幅は5~10mmに、例えば7mmに設定されている。このうち、前記張出片35における塗布幅は5mmに設定されている。
【0035】
該ホットメルト接着剤7は常温では乾燥状態にあるため、該ホットメルト接着剤7が塗布されてなる紐通し付き管状テープ22をカーテン生地2に縫製する際等における該紐通し付き管状テープ22の取り扱いが容易である。
【0036】
かかる構成を有する紐通し付き管状テープ22を用いて前記引き上げ式のカーテン10を構成するに際しては、先ず
図8に示すように、該紐通し付き管状テープ22の前記張出片35を、前記カーテン生地2の裏面部(屋外側の面部)37(
図8~9)に、その下端寄りの部分を基端として上方に向け所要間隔で、水平状態で多段(例えば18cm程度の間隔を置いて多段に)縫製3d(
図9)する。該縫製3dは、前記縫い代部分5を前記カーテン生地2に縫製して行う。この縫製は、前記筒状体25に前記ウエイト棒23を挿入するに先立って行う。
【0037】
このように縫製3dを施した後、各紐通し付き管状テープ22について、縫製箇所及びその周辺部分にアイロンを掛けて該縫製3dによる皺を伸ばすのであるが、該皺を伸ばすと同時に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤7が溶融される。該ホットメルト接着剤7の溶融物の接着作用によって、該皺の伸ばされた状態が効果的に固定されることとなる。
【0038】
該皺の伸ばされた箇所のカーテン表側(前記紐通し付き管状テープ22が取り付けられている前記裏面部37と反対側の、室内側のカーテン表側)16(
図7)では、前記紐通し付き管状テープ22を水平状態にしてその延長方向に縫製した際に従来生じていた皺の発生が抑制され、該カーテン表側16(
図7)における見た目の皺が軽減されている。
【0039】
このように前記紐通し付き管状テープ1を、前記カーテン生地2の裏面部37に多段に縫着し、前記管状体25に、前記出し入れ用の開口31を通して前記ウエイト棒23を挿入する(
図9)。その後、
図8~9に示すように、前記管状体25の表面部39に取着されている前記遊離片33の所要のもの(例えば、カーテンの幅方向の中間部分とその両側で、上下方向に並列されているもの)を選択して、該遊離片33に前記紐通し部材27を取り付け(
図9)、全ての該紐通し部材27に前記操作紐20を挿通させる。そして該操作紐20を、
図7に示す操作ボックス34に納設されている巻き上げ装置38によって引き上げ可能とする。
【0040】
然して、該巻き上げ装置38によって各操作紐20を引き上げると、
図10に示すように、前記カーテン17は、前記水平直線状の前記ウエイト棒23によってカーテンの襞状折返し部21の直線性が確保され、矩形状の襞状折返し部21が多段に積み重なる状態に引き上げられることとなる。そして該操作紐20を戻すことにより、該カーテン17は
図7に示す垂下状態(下ろされた状態)を呈する。
【0041】
(その2)
図12~14は、操作紐20(
図14)の引き上げ操作によって襞状折り返し部21が多段に積み重なる状態に引き上げられる引き上げ式のカーテン10(
図14~16)を構成するために用いられるカーテン用テープ1の他の態様を示している。該カーテン用テープ1は、
図12に示すように、テープ基材40の一面部41に、長さ方向に所要間隔でループ42が突設されてなるループ付きテープ43として構成されている。該ループ42は、前記操作紐20を縦方向に挿通させる紐通し部材(例えば案内リング)45を取り付けるための取着片46となり、或いは該操作紐20を縦方向に直に挿通させる紐通し部となる。そして、該テープ基材40の両側縁部分をなす前記縫い代部分5の前記カーテン生地2に当接する側の面にホットメルト接着剤7が塗布されている。この塗布幅は、カーテン生地2に前記ループ付きテープ43を縫着して形成されたカーテン17の引き上げが繰り返されたときにも所要の接着力を確保できるように所要幅に設定されるものである。本態様においては、該塗布幅は、前記縫い代部分5の幅に等しく5~10mmに、例えば7mmに設定されている。
【0042】
該ホットメルト接着剤7は常温では乾燥状態にあるため、該ホットメルト接着剤7が塗布されてなるループ付きテープ43をカーテン生地2に縫製する際等における該ループ付きテープ43の取り扱いが容易である。
【0043】
かかる構成を有する前記ループ付きテープ(カーテン用テープ1)43を用いて前記引き上げ式のカーテン10を構成するに際しては、該ループ付きテープ43を前記カーテン生地2の裏面の例えば両側及び中央部において縦方向に取着する(
図14)。この取着は、前記テープ基材40の両側縁部分をなす前記縫い代部分5を前記カーテン生地2に当接させ、該縫い代部分5で該カーテン用テープ1を前記カーテン生地2に縫製3eして行う(
図13)。該縫製3eによって該カーテン17が構成される。このように該縫製3eを施した後、両側及び中央部の縫製箇所及びその周辺部分にアイロンを掛けて皺を伸ばすのであるが、該皺を伸ばすと同時に、該アイロンの熱で前記ホットメルト接着剤7が溶融される。該ホットメルト接着剤7の溶融物の接着作用によって、該皺の伸ばされた状態が効果的に固定されることとなる。
【0044】
図13で示す符号16は、該皺の伸ばされた箇所のカーテン表側を示しており、前記縫製3eを施した際に生じていた皺の発生が抑制され、該カーテン表側16における見た目の皺が軽減されている。
【0045】
前記操作紐20を、
図14~15に示すように、上下方向に所要ピッチで配置されている、前記ループ42に取り付けられた前記紐通し部材(例えば案内リング)45に挿通させると共にその下端部を前記カーテン17の下端側に固定し、或いは、最下端に位置する前記紐通し部材45aに固定或いは係合させ、且つ、該カーテン上端に設けられた公知の操作ボックス(例えば、
図7において符号34で示す操作ボックス)における前記巻き上げ装置38によって該操作紐20を巻き上げ、巻き戻し可能とする。これにより、該操作紐20の巻き上げ、巻き戻し操作に応じて上げ下げされる引き上げ式のカーテン10が構成される。
【0046】
該引き上げ式のカーテン10が垂下状態(下ろされた状態)を呈する状態において、前記操作紐20を巻き上げると、該引き上げ式のカーテン10は、
図16に示すように、襞状折り返し部21が多段に形成された状態で引き上げられることとなる。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
前記の各実施例においては前記ホットメルト接着剤7の塗布を、縫い代部分5の前記カーテン生地2に当接する面に限定して行う場合について説明したが、該ホットメルト接着剤7の塗布は、該縫い代部分5だけに特定されるものではなく、前記皺伸ばし状態を一層良好に固定するために必要であるならば、該縫い代部分5以外の部分にも塗布されることがある。
又、例えば前記第2の態様の前記(その1)における前記紐通し付き管状テープ22としてのカーテン用テープ1において、該紐通し付き管状テープ22を前記カーテン生地2に、より確実に縫製するために必要であるならば、前記管状体25の両側縁部分を前記縫い代部分5とすることもある。この場合は、両縫い代部分5,5の前記カーテン生地2に当接する側の面にホットメルト接着剤7が塗布される。前記紐通し付き管状テープ22を前記カーテン生地2により確実に止着するために更に必要であるならば、該縫い代部分5に加えて、該紐通し付き管状テープ22の該縫い代部分5以外の部分にも該ホットメルト接着剤7を塗布することにより、該ホットメルト接着剤7の溶融によって前記皺伸ばし状態を一層良好に固定できることともなる。
又、例えば前記第2の態様の前記(その2)におけるループ付きテープ43としてのカーテン用テープ1において、該ループ付きテープ43を前記カーテン生地2に、より確実に縫製するために必要であるならば、前記縫い代部分5,5に加えて、該ループ付きテープ43の該縫い代部分5,5以外の部分にも該ホットメルト接着剤7を塗布することにより、該ホットメルト接着剤7の溶融による前記皺伸ばし状態を一層良好に保持できることとなる。