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特開2024-62923リチウム複合酸化物及びこれを含む二次電池用正極活物質
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  • 特開-リチウム複合酸化物及びこれを含む二次電池用正極活物質 図1
  • 特開-リチウム複合酸化物及びこれを含む二次電池用正極活物質 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062923
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】リチウム複合酸化物及びこれを含む二次電池用正極活物質
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/36 20060101AFI20240501BHJP
   H01M 4/525 20100101ALN20240501BHJP
   H01M 4/505 20100101ALN20240501BHJP
【FI】
H01M4/36 C
H01M4/525
H01M4/505
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088633
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0138463
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517113750
【氏名又は名称】エコプロ ビーエム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOPRO BM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ユギョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ムンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユニョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョンスン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】ぺ,ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンヒョク
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050EA12
5H050FA17
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池のDC-IR特性、容量特性、出力特性及び寿命特性を著しく改善させる正極活物質を提供する。
【解決手段】本発明の一態様による正極活物質は、少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第1粒子と、前記2次粒子の表面、前記1次粒子間の粒界、及び前記1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物とを含み、CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をaとし、2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をbとするとき、1.3≦a/b≦3.0である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第1粒子と、
前記2次粒子の表面、前記1次粒子間の粒界、及び前記1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物と、を含み、
CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をaとし、2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をbとするとき、
1.3≦a/b≦3.0である、正極活物質。
【請求項2】
400≦a≦1200である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項3】
150≦b≦500である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項4】
前記コーティング酸化物は下記の化学式3で表示される、請求項1に記載の正極活物質。
[化3]
LiM3
前記式3で、M3はNi、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、B、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Gd及びNdから選択されるいずれか1種以上であり、0≦p≦10、0<q≦8、2≦r≦13である。
【請求項5】
前記2次粒子を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した断面イメージにおいて、2次粒子の中心を通って短軸方向に横切る直線上に置かれた1次粒子及び1次粒子間の粒界に対して、下記の式1によって計算された粒界密度は0.85以上である、請求項1に記載の正極活物質。
[式1]
粒界密度=前記直線上に置かれた1次粒子間の粒界の数/前記直線上に置かれた1次粒子の数
【請求項6】
前記正極活物質は、
少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第2粒子と、
前記リチウム複合酸化物の第2粒子の2次粒子の表面、前記1次粒子間の粒界、及び前記1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物と、をさらに含み、
前記リチウム複合酸化物の第1粒子の平均直径(D50)は8μm以上であり、
前記リチウム複合酸化物の第2粒子の平均直径(D50)は7μm以下である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項7】
前記リチウム複合酸化物の第2粒子の粒界密度は0.95以下である、請求項6に記載の正極活物質。
【請求項8】
前記正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物の第1粒子の重さをw1とし、リチウム複合酸化物の第2粒子の重さをw2とするとき、w1/w2は1.5~9.0以下である、請求項6に記載の正極活物質。
【請求項9】
請求項1に記載の正極活物質を含む、正極。
【請求項10】
請求項9に記載の正極を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム複合酸化物及びこれを含む二次電池用正極活物質に関するものであり、CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、より詳細には、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)及び2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)の比が調節された正極活物質に関するものである。
【0002】
また、一態様として、それぞれ粒界密度が調節された大粒子及び小粒子が混合されたバイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質に対して、前記最大ピーク強度比が調節された正極活物質に関するものである。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、MP3プレーヤー、タブレット型PCのような携帯用モバイル電子機器の発展に伴い、電気エネルギーを貯蔵することができる二次電池に対する需要が爆発的に増加している。特に、電気自動車、中大型エネルギー貯蔵システム、及び高エネルギー密度が要求される携帯機器の登場によって、リチウム二次電池に対する需要が増加している実情である。
【0004】
正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物として、最近一番脚光を浴びている物質はリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物Li(NiCoMn)O(ここで、前記x、y、zはそれぞれ独立的な酸化物組成元素の原子分率であり、0<x=1、0<y=1、0<z=1、及び0<x+y+z=1)である。この正極活物質の材料はその間に正極活物質として活発に研究されて使用されて来たLiCoOよりも高電圧で使用されるので高容量を有する利点があり、Co含量が相対的に少ないので安価という利点がある。
しかし、特に、高容量を具現するために、ニッケルの含量を50モル%以上に増加させたハイニッケル(Hi-nickel)正極活物質の場合、ニッケル含量が増加するのに伴って陽イオンの混合によって構造的不安定性がきたされる場合、高温だけでなく常温でも電池特性が急激に劣化する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リチウム複合酸化物をコーティング処理するとき、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)及び2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)の比を調節することで、電池のDC-IR特性、容量特性、出力特性及び寿命特性を著しく改善させる正極活物質を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の正極活物質は、少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第1粒子と、前記2次粒子の表面、前記1次粒子間の粒界、及び前記1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物とを含み、CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をaとし、2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をbとするとき、1.3≦a/b≦3.0である。
【0007】
一態様として、400≦a≦1200であり得る。
【0008】
一態様として、150≦b≦500であり得る。
【0009】
一態様として、前記コーティング酸化物は下記の化学式3で表示できる。
【0010】
LiM3
【0011】
前記式3で、M3はNi、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、B、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Gd及びNdから選択されるいずれか1種以上であり、0≦p≦10、0<q≦8、2≦r≦13である。
【0012】
一態様として、前記2次粒子を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した断面イメージにおいて、2次粒子の中心を通って短軸方向に横切る直線上に置かれた1次粒子及び1次粒子間の粒界に対して、下記の式1によって計算された粒界密度は0.85以上であり得る。
【0013】
[式1]
粒界密度=前記直線上に置かれた1次粒子間の粒界の数/前記直線上に置かれた1次粒子の数
【0014】
一態様として、前記正極活物質は、少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第2粒子と、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の2次粒子の表面、前記1次粒子間の粒界、及び前記1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物とをさらに含み、前記リチウム複合酸化物の第1粒子の平均直径(D50)は8μm以上であり、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の平均直径(D50)は7μm以下であり得る。
【0015】
一態様として、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の粒界密度は0.95以下であり得る。
【0016】
一態様として、前記正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物の第1粒子の重さをw1とし、リチウム複合酸化物の第2粒子の重さをw2とするとき、w1/w2は1.5~9.0以下であり得る。
【0017】
本発明の正極は前記正極活物質を含む。
【0018】
本発明の二次電池は前記正極を含む。
【発明の効果】
【0019】
一効果として、本発明の正極活物質は、電池のDC-IR特性、容量特性、出力特性及び寿命特性を著しく改善させることができる。
【0020】
他の効果として、バイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質において大粒子及び小粒子の同時焼成によって平均粒径の偏差が大きくなるかまたはインピーダンス及び寿命特性が低下する問題を著しく改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例による正極活物質に対するCuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果である。
図2】陽イオン混合現象によるCoドーピング及びCoコーティングに対して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用される「含む」のような表現は、他の構成を含む可能性を有する限定のない用語(open-ended terms)と理解されなければならない。
【0023】
本明細書で使用される「好ましい」及び「好ましく」は所定の環境の下で所定の利点を提供することができる本発明の実施形態を示す。しかし、本発明の範疇から他の実施形態を排除しようとするものではない。
【0024】
また、明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数の形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数の形態も含むものと理解されなければならない。
【0025】
一方、後述する技術的特徴は前述した本発明が目的とする効果を得るための一態様に関するものである。
【0026】
すなわち、本発明の一態様による正極活物質は後述する一態様による技術的特徴を含むことで、電池のDC-IR特性、容量特性、出力特性及び寿命特性を著しく改善させることができる。
【0027】
本明細書で、リチウム複合酸化物とコーティング酸化物とは互いに区別される。
【0028】
本発明の一態様によるリチウム複合酸化物粒子をコーティング処理するとき、コーティング元素の一部はリチウム複合酸化物粒子内に含まれる1次粒子の格子構造内に存在することができる。これはコーティング元素がリチウム複合酸化物粒子内にドーピングされたと表現し、前記リチウム複合酸化物はこのようにドーピングされた領域を全部含めて定義される。
【0029】
さらに他の一側面で、本発明の一態様によるリチウム複合酸化物粒子をコーティング処理するとき、コーティング元素の一部はコーティング酸化物を形成することができる。このようなコーティング酸化物は、リチウム複合酸化物粒子内に含まれる2次粒子の表面、1次粒子間の粒界、及び1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するようになる。
【0030】
本発明の一態様による正極活物質は、少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成される2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第1粒子を含む。
【0031】
前記2次粒子が一つの1次粒子からなる場合は、前記2次粒子は1次粒子自体であり得る。
【0032】
一態様として、前記1次粒子は1個以上の結晶子を含むことができる。
【0033】
一態様として、前記リチウム複合酸化物の第1粒子は一つの1次粒子を含む単粒子の形態を有することができ、前記1次粒子が一つの結晶子からなる場合は、単結晶の形態を有することができる。
【0034】
さらに他の側面の一態様として、前記リチウム複合酸化物の第1粒子は二つ以上の1次粒子を含む多粒子の形態または多結晶の形態を有することができる。より好ましくは、前記リチウム複合酸化物の第1粒子は、20個以上の1次粒子が凝集した多粒子の形態または多結晶の形態を有することができる。
【0035】
より好ましい一態様として、前記リチウム複合酸化物の第1粒子は、粒界密度が0.85以上、または0.90以上であり得る。
【0036】
本発明で、「粒界密度」は、2次粒子を断面加工処理した後、走査電子顕微鏡(SEM)を使用してリチウム複合酸化物の断面を撮影して得たSEMイメージにおいて、前記2次粒子の中心を短軸方向に横切る直線上に置かれた1次粒子に対して下記の式1によって計算する。
【0037】
[式1]
粒界密度=前記直線上に置かれた1次粒子間の粒界の数/前記直線上に置かれた1次粒子の数
【0038】
一例を挙げて説明すると、単一の1次粒子からなる凝集していない単粒子の場合は、前記式1によって計算された粒界密度は0であろう。また、2個の1次粒子が凝集した場合は、前記式1によって計算された粒界密度は0.5であろう。
【0039】
ここで、前記粒界密度は、任意に10本の直線を引いたとき、当該直線に対する平均的な値を意味する。
【0040】
前記リチウム複合酸化物の第1粒子の平均粒子サイズは1~30μm、より好ましくは8~20μmであり得る。
【0041】
一方、本発明で、「平均粒子サイズ」は、粒子が球形の場合は平均直径(D50)を示し、粒子が非球形の場合は平均長軸の長さを示す。粒子サイズは粒子サイズ分析機(PSA)を用いて測定することができる。
【0042】
本発明はユニモーダルタイプの正極活物質であり得る。
【0043】
また、より好ましいさらに他の一態様として、前記正極活物質は、前記リチウム複合酸化物の第1粒子の他に、少なくとも一つ以上の1次粒子が凝集して形成された2次粒子を含むリチウム複合酸化物の第2粒子をさらに含むバイモーダル(bimodal)タイプであり得る。
【0044】
前記第2粒子をさらに含む場合、前記リチウム複合酸化物の第1粒子及びリチウム複合酸化物の第2粒子は平均粒径が互いに異なるという点で区別される。より具体的には、前記リチウム複合酸化物の第1粒子の平均直径(D50)は8μm以上、より好ましくは10~20μmであり得、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の平均直径(D50)は7μm以下、より好ましくは1~5.0μmであり得る。
【0045】
本発明の一態様による正極活物質は大粒子及び小粒子が混合されるバイモーダル(bimodal)タイプであり得、大粒子の間の空隙に小粒子が位置することにより、単位体積当たりのエネルギー密度が増加することができる。しかし、このようなバイモーダル(bimodal)タイプの場合、焼成によって平均粒径の偏差が大きくなるかまたはインピーダンス及び寿命特性が低下することがある。
【0046】
本発明の一態様は、バイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質においてリチウム複合酸化物格子構造内のNi空孔を調節することで、大粒子の間の空隙に存在する小粒子によってエネルギー密度を増加させながらも、大粒子及び小粒子の平均粒径の偏差の変化による電池特性低下の問題を解消することができる。
【0047】
より好ましい一態様として、前記正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物の第1粒子の重さをw1とし、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の重さをw2とするとき、w1/w2は1.5~9.0、より好ましくは2.3~4であり得る。すなわち、前記第1粒子及び第2粒子は6:4~9:1、より好ましくは7:3~8:2で混合することができる。本発明は、このような混合比を有するバイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質においてリチウム複合酸化物格子構造内のNi空孔を調節することで、大粒子の間の空隙に存在する小粒子によってエネルギー密度を増加させながらも、大粒子及び小粒子の平均粒径の偏差の変化による電池特性低下の問題を解消することができる。
【0048】
本発明の一態様によるリチウム複合酸化物の第2粒子は一つの1次粒子を含む単粒子の形態を有することができ、前記1次粒子が一つの結晶子からなる場合は、単結晶の形態を有することができる。
【0049】
さらに他の側面の一態様として、前記リチウム複合酸化物の第2粒子は、二つ以上の1次粒子を含む多粒子の形態または多結晶の形態を有することができる。
【0050】
また、より好ましい一態様として、前記バイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質において、前記第2粒子の粒界密度は0.95以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.60以下、0.55以下、または0.5以下であり得る。
【0051】
本発明の一態様によるリチウム複合酸化物は、リチウム及びニッケルを含むリチウムニッケル系複合酸化物であり得る。
【0052】
一態様として、前記ニッケルは、遷移金属の総モル含量に対して、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上または0.9モル%以上含まれるハイニッケル系リチウム複合酸化物であり得る。
【0053】
一態様として、前記リチウム複合酸化物は、リチウム、ニッケル及びアルミニウムを含むリチウムニッケル系複合酸化物であり得る。
【0054】
一態様として、前記リチウム複合酸化物は、リチウム、ニッケル及びマンガンを含むリチウムニッケル複合酸化物であり得る。
【0055】
一態様として、前記リチウム複合酸化物は下記び化学式1で表示することができる。
【0056】
[化1]
LiNiCo1-x-y
【0057】
前記化学式1で、MはAl、Mn、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr及びこれらの組合せからなる群から選択され、0.9≦a≦1.3、0.6≦x≦1.0、0.0≦y≦0.4、0.0≦1-x-y≦0.4である。
【0058】
一態様として、前記リチウム複合酸化物は下記の化学式2で表示することができる。
【0059】
[化2]
Lia’Nix’Coy’M1z’M21-x’-y’-z’
【0060】
前記化学式2で、M1はAlまたはMnであり、M2はB、Ba、Ce、Cr、F、Mg、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr及びこれらの組合せからなる群から選択され、0.9≦a’≦1.3、0.6≦x’≦1.0、0.0≦y’≦0.4、0.0≦z’≦0.4、0.0≦1-x’-y’-z’≦0.4である。
【0061】
また、本発明の一態様による正極活物質は、2次粒子の表面、1次粒子間の粒界、及び1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物を含む。
【0062】
また、バイモーダル(bimodal)タイプの正極活物質の場合、前記リチウム複合酸化物の第2粒子の2次粒子の表面、1次粒子間の粒界、及び1次粒子の表面のうちの少なくとも一つ以上の少なくとも一部を占有するコーティング酸化物をさらに含むことができる。
【0063】
一態様として、前記コーティング酸化物は下記の化学式3で表示することができる。
【0064】
[化3]
LiM3
【0065】
前記化学式3で、M3はNi、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、B、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Gd及びNdから選択されるいずれか1種以上であり、0≦p≦10、0<q≦8、2≦r≦13である。
【0066】
一例として、前記化学式3でM3はコーティング元素を意味し、前記コーティング酸化物はリチウムとM3で表示される元素とが複合化した酸化物であるか、またはM3の酸化物であり得る。
【0067】
一例として、前記コーティング酸化物は、LiCo、Li、LiZr、LiTi、LiNi、LiAl、LiMo、Co、Al、W、Zr、Ti、B、Li(W/Ti)、Li(W/Zr)、Li(W/Ti/Zr)、またはLi(W/Ti/B)であり得るが、これに限定されるものではない。
【0068】
より好ましい一態様として、前記コーティング酸化物はLip’Coq’Or’(ここで、0≦p’≦10、0<q’≦8、2≦r’≦13である)であり得る。
【0069】
また、より好ましい一態様として、前記コーティング酸化物はLiCoOを含むことができる。
【0070】
前記コーティング酸化物が前記1次粒子表面の少なくとも一部を占有する場合、前記1次粒子の表面は2次粒子の最外郭を成す1次粒子の表面領域であり得、2次粒子の最外郭を成さない1次粒子の表面領域であり得る。
【0071】
ここで、前記2次粒子の最外郭を成す1次粒子の表面領域は2次粒子の表面と同じ意味と解釈することができる。
【0072】
前記コーティング酸化物は、コーティング酸化物内に含まれる元素のモル濃度が変わる濃度勾配部を含むことができる。一例として、前記コーティング酸化物がリチウムを含む場合は、リチウムのモル濃度が変わることができる。また、一例として、前記コーティング酸化物に含まれるM3のうちのいずれか一つ以上のモル濃度が変わることができる。
【0073】
一態様として、前記コーティング酸化物が前記2次粒子の最外郭を成す1次粒子の表面領域の少なくとも一部を占有する場合、前記濃度勾配部は、前記2次粒子の最外郭を成す1次粒子の表面から2次粒子の中心に向かう方向に減少するか、増加するか、または増加してから減少することができる。
【0074】
また、前記濃度勾配部は、前記2次粒子の最外郭を成す1次粒子の表面から前記1次粒子の中心に向かう方向に減少するか、増加するか、または増加してから減少することができる。
【0075】
一態様として、前記コーティング酸化物が前記2次粒子の最外郭を成さない1次粒子の表面領域の少なくとも一部を占有する場合、前記1次粒子の表面から前記1次粒子の中心に向かう方向に減少するか、増加するか、または増加してから減少することができる。
【0076】
本発明で、X線回折(XRD、X-ray diffraction)分析はCuKαラジエーション(radiation)(1.540598Å)を用いたBruker D8 Advance回折計(diffractometer)を用い、ステップサイズ(step size、°/step)は0.01°/step、ステップ当たりの測定時間は0.1s/stepの条件で測定した。
【0077】
本発明で、最大ピーク強度(max peak intensity)は当該領域でのピークの最大値を意味する。
【0078】
本明細書で、CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をaと言う。一態様として、前記aは2θ44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)であり得る。
【0079】
本発明で、最大ピーク強度aは、2θ30°~50°の範囲で平坦区間での回折ピーク強度平均値をバックグラウンドの補正値とし、2θ44.75°~44.80°で現れる補正前最大ピーク強度(max peak intensity)から前記バックグラウンドの補正値を差し引くことで求めた。
【0080】
本明細書で、CuKα線を用いたX線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果、2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)をbとする。
【0081】
最大ピーク強度bは、2θ30°~50°の範囲で平坦区間での回折ピーク強度平均値をバックグラウンドの補正値とし、2θ45.3°~45.6°で現れる補正前の最大ピーク強度(max peak intensity)から前記バックグラウンドの補正値を差し引くことで求めた。
【0082】
ここで、最大ピーク強度a及び最大ピーク強度bの比であるa/bは1.3以上または1.5以上であり、かつ3.0以下または2.5以下であり得る。本発明者らは、前記最大ピーク強度a及び最大ピーク強度bの比であるa/bにおいて、1.3≦a/b≦3.0、より好ましくは1.5≦a/b≦2.5に調節する場合、出力特性及び寿命特性が著しく改善することを確認した。
【0083】
前記2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度aは、リチウム複合酸化物粒子をコーティング処理するとき、コーティング元素がリチウム複合酸化物粒子内に含まれる1次粒子の格子構造内にドーピングされることで、1次粒子内に部分的に存在するコーティング元素が豊かな領域の相(phase)によるものであり得る。
【0084】
より具体的には、ニッケルを含むリチウム複合酸化物粒子内に含まれる1次粒子で、Ni2+による陽イオン混合(cation mixing)が発生し、これによりリチウム複合酸化物格子構造内にNi空孔(Ni vacancy)が存在することができる。特に、ハイニッケル(Hi-nickel)正極活物質の場合は、このような陽イオン混合がより容易に発生することができる。ここで、リチウム複合酸化物粒子をコーティング処理するとき、前記格子構造内のNi空孔にコーティング元素が容易にドーピングされることで、部分的にコーティング元素の豊かな領域が形成できる。
【0085】
前記2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度bは、リチウム複合酸化物粒子をコーティング処理することによって形成されるコーティング酸化物によるものであり得る。
【0086】
本発明の一態様による製造工程によって前記Ni空孔(Ni vacancy)を調節することができる。
【0087】
本発明の一態様によるコーティング酸化物は、高いイオン伝導性によって電池の出力特性を向上させ、正極活物質の表面を保護することによって電池の寿命を延ばす。また、リチウム複合酸化物の表面に存在する残留リチウムを効果的に減少させ、未反応残留リチウムによる副反応を防止することができる。
【0088】
しかし、前記コーティング元素のドーピングが著しく減少する場合、リチウム複合酸化物の格子構造内のNiがあまりに多くなってNi4+の電解質反応などを随伴し、むしろ電池の寿命特性が低下することがある。
【0089】
したがって、本発明は、コーティング元素のドーピング及びコーティング酸化物形成の程度を調節して電池特性を最も向上させることができる正極活物質を提供する。
【0090】
前記a/bはリチウム複合酸化物格子内のNi空孔を調節することによって制御することができ、後述するように、前記Ni空孔は洗浄及びコーティング工程を調節することによって制御することができる。
【0091】
より好ましい一態様として、前記最大ピーク強度aは、400以上、450以上、1200以下、または1000以下であり得る。
【0092】
より好ましい一態様として、前記最大ピーク強度bは、150以上、200以上、250以上、または500以下であり得る。
【0093】
本発明の正極活物質は、前述した技術的特徴を有するリチウム複合酸化物の第1粒子及びそのコーティング酸化物、及び/またはリチウム複合酸化物の第2粒子及びそのコーティング酸化物を含むことができる。
【0094】
また、前述したリチウム複合酸化物の第1粒子及びそのコーティング酸化物、及び/またはリチウム複合酸化物の第2粒子及びそのコーティング酸化物の技術的特徴は複数の粒子に対する平均的な特徴に関するものであり得る。
【0095】
一方、本発明で記載した「≦」、「以上」または「以下」の意味は、「<」、「超過」または「未満」の意味に代替することができる。
【0096】
本発明の正極活物質製造方法は、前述した技術的特徴を有すれば、その製造方法に限定がないが、より好ましい一態様として、つぎのように製造することができる。
【0097】
特に、本発明の一製造態様として、コーティング工程はpH11~13の範囲で実施することができる。リチウム複合酸化物製造の後、コーティング化合物を混合するに先立ち、製造されたリチウム複合酸化物に洗浄液を投入し、前記洗浄液にNaOHを、リチウム複合酸化物の総重量%に対して1.1~3.4重量%、1.3~3.2重量%、または1.5~3.0重量%添加して洗浄する工程を実施することができる。
【0098】
一態様として、前記洗浄液は蒸留水またはアルコールであり得、より好ましくは蒸留水であり得る。
【0099】
本発明は、コーティング化合物との混合に先立ち、洗浄液に添加されるNaOH量によって共沈粒子のサイズ、均一性及び共沈速度を調節することで、Ni空孔を調節することができる。
【0100】
ここで、洗浄液に含まれるNaOH量があまりにも少ない場合は、共沈反応がよく起こらないか、または共沈粒子があまりにも小さく生成されるので、a/bが1.3未満になることがある。
【0101】
また、洗浄液に含まれるNaOH量があまりにも多い場合は、混合されるコーティング化合物粒子があまりにも大きくなるので、a/bが3.0を超えることがある。
【0102】
また、本発明の一製造態様として、前記製造工程の他にも、コーティング化合物の含量、熱処理温度及び反応時間などを調節することで、a/b値を調節する。
【0103】
より具体的な一態様による製造段階として、まず、水酸化物前駆体粒子を製造する。
【0104】
ここで、バイモーダルタイプに製造しようとする場合は、前記水酸化物前駆体を、粒子のサイズが互いに異なる大粒子及び小粒子の2形態に製造する。
【0105】
次いで、前記準備した水酸化物前駆体粒子を酸化させて酸化物前駆体を製造する。
【0106】
次いで、前記酸化物前駆体をリチウム化合物と混合して熱処理することでリチウム複合酸化物を製造する。
【0107】
一態様として、前記熱処理は、前記酸化物前駆体をリチウム化合物と混合し、分当たり1~3℃で750~850℃まで昇温した後、10~14時間熱処理することができる。
【0108】
また、一態様として、この過程で、B、Ba、Ce、Cr、F、Mg、Al、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、PまたはSrから選択される化合物を一緒に熱処理することができる。
【0109】
次いで、前記製造されたリチウム複合酸化物に洗浄液を投入し、前記洗浄液にNaOHを、リチウム複合酸化物の総重量%に対して1.1~3.4重量%投入する。
【0110】
次いで、水溶液形態のコーティング化合物を、リチウムを除いた金属元素全体に対して、コーティング化合物に含まれるコーティング元素の含量を基準に2.5~10.0モル%になるように投入し、撹拌しながらコーティング工程を実施する。
【0111】
次いで、前記コーティング処理されたリチウム複合酸化物を100~140℃で乾燥した後、分当たり1~3℃で650~750℃まで昇温した後、10~14時間熱処理することで製造することができる。
【0112】
本発明の一態様による正極は前記正極活物質を含む。
【0113】
前記前述した正極活物質を用いることを除き、前記正極は公知の構造を有し、公知の製造方法によって製造することができる。バインダー、導電材、及び溶媒は二次電池の正極集電体上に使用可能なものであれば、これに特に限定されない。
【0114】
本発明の一態様による二次電池は前記正極活物質を含む。
【0115】
前記二次電池は、具体的には、正極、前記正極と対向して位置する陰極、及び前記正極と前記陰極との間の電解質を含むことができるが、二次電池として使用可能なものであれば、これに特に限定されない。
【0116】
以下、本発明の実施例についてより具体的に説明する。
【0117】
正極活物質の製造
【0118】
<実施例1>
【0119】
(a)硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸アルミニウムを使う公知の共沈法(co-precipitation method)によって、それぞれ大粒子及び小粒子であるNiCoAl(OH)水酸化物前駆体(Ni:Co:Al=95:4:1(at%))を合成した。
【0120】
前記合成されたNiCoAl(OH)水酸化物前駆体を分当たり2℃で昇温し、400℃で6時間焼成して酸化させることで、酸化物前駆体に転換させた。
【0121】
前記大粒子酸化物前駆体の平均粒径(D50)は15.0μmであり、前記小粒子酸化物前駆体の平均粒径(D50)は3.0μmであった。
【0122】
(b)前記段階(a)で製造された大粒子酸化物前駆体及び小粒子酸化物前駆体の重量比が80:20になるように秤量した後、LiOH(Li/(Ni+Co+Al)モル比=1.05)を添加して混合した後、焼成炉でO雰囲気を維持しながら800℃まで分当たり2℃で昇温し、12時間熱処理することで、リチウム複合酸化物を収得した。
【0123】
(c)前記製造されたリチウム複合酸化物に蒸留水を投入し、NaOHを、リチウム複合酸化物に対して、1.5wt%添加した。その後、5.0wt%の硫酸コバルト水溶液を、前記中間生成物のうちリチウムを除いた金属元素(Ni+Co+Al)に対して、硫酸コバルト水溶液に来由のコバルトが3.0mol%になるように投入しながら撹拌することで、リチウム複合酸化物粒子の表面をコーティングした。反応完了の後、120℃で12時間乾燥させた。
【0124】
(d)前記乾燥生成物を、焼成炉でO雰囲気を維持しながら700℃まで分当たり2℃で昇温し、700℃で12時間熱処理することで、正極活物質を収得した。
【0125】
<実施例2>
【0126】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して2.0wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0127】
<実施例3>
【0128】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して2.5wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0129】
<実施例4>
【0130】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して3.0wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0131】
<実施例5>
【0132】
段階(b)で、大粒子酸化物前駆体及び小粒子酸化物前駆体の重量比が80:20になるように秤量した後、LiOH(Li/(Ni+Co+Al)モル比=1.05)及びHBO(B/(Ni+Co+Al)モル比=0.015)を混合した後、熱処理したことを除き、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
【0133】
<実施例6>
【0134】
段階(b)で、大粒子酸化物前駆体及び小粒子酸化物前駆体の重量比が80:20になるように秤量した後、LiOH(Li/(Ni+Co+Al)モル比=1.05)及びZr(OH)(Zr/(Ni+Co+Al)モル比=0.005)を混合した後、熱処理したことを除き、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
【0135】
<比較例1>
【0136】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して1.0wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0137】
<比較例2>
【0138】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して0.5wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0139】
<比較例3>
【0140】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して3.5wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0141】
<比較例4>
【0142】
段階(c)で、NaOHをリチウム複合酸化物に対して4.0wt%添加したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を収得した。
【0143】
リチウム二次電池の製造
【0144】
前記実施例及び比較例によって製造された正極活物質のそれぞれ92wt%、人造黒鉛4wt%、及びPVDFバインダー4wt%をN-メチル-2ピロリドン(NMP)30gに分散させて正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを厚さ15μmのアルミニウム薄膜に均一に塗布し、135℃で真空乾燥することで、リチウム二次電池用正極を製造した。
【0145】
前記正極に対してリチウムホイルを対電極(counter electrode)とし、多孔性ポリエチレン膜(Celgard 2300、厚さ:25μm)を分離膜とし、エチレンカーボネート及びエチルカーボネートが3:7の容積比で混合した溶媒にLiPFが1.15Mの濃度で存在する電解液を使用してコイン電池を製造した。
【0146】
<実験例1>最大ピーク強度の測定
【0147】
前記X線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の結果は図1に示した。前記実施例及び比較例による正極活物質に対して、2θ44.75°~44.80°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)a、2θ45.3°~45.6°で現れる最大ピーク強度(max peak intensity)bを測定し、a/b値を計算して下記の表1に示した。
【0148】
前記X線回折(XRD、X-ray diffraction)分析の際、CuKαラジエーション(1.540598Å)を用いたBruker D8 Advance回折計(diffractometer)を用い、ステップサイズ(step size)は0.01°/stepの条件で、ステップ当たりの測定時間は0.1s/stepの条件で測定し、2θ30°~50°の範囲で平坦区間での回折ピーク強度平均値をバックグラウンドの補正値とし、測定された最大ピーク強度値から前記バックグラウンドの補正値を差し引くことで求めた。
【0149】
【表1】
【0150】
<実験例2>DC-IR特性評価
【0151】
前記実施例及び比較例によるリチウム二次電池に対して、25℃で充放電した電池をSOC100%を基準に充電して60℃で7日間保存した後、抵抗を測定して下記の表2に示した。
【0152】
【表2】
【0153】
<実験例3>初期充電容量、初期放電容量、充放電効率
【0154】
前記実施例及び比較例によるリチウム二次電池に対して、電気化学分析装置(Toyo、Toscat-3100)を用い、25℃で、電圧範囲3.0V~4.25V、0.2Cの放電率を適用して充放電実験を実施した。
これによって測定された初期充電容量、初期放電容量、及び充放電効率を下記の表3に示した。
【0155】
【表3】
【0156】
<実験例4>出力特性評価
【0157】
前記実施例及び比較例によるリチウム二次電池に対して、電気化学分析装置(Toyo、Toscat-3100)を用い、25℃で、電圧範囲3.0V~4.25Vで充放電を実施した。
【0158】
これによって測定されたrate capability(C-rate)を下記の表4に示した。
【0159】
【表4】
【0160】
<実験例5>寿命特性評価
【0161】
前記実施例及び比較例によるリチウム二次電池に対して、60℃で、3.0V~4.35Vの駆動電圧範囲内で1C/1Cの条件で50回の充放電を実施した後、初期容量に対して50サイクル目のサイクル容量保持率(capacity retention)を測定して下記の表5に示した。
【0162】
【表5】
図1
図2