(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062929
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240501BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240501BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116048
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】202211309592.6
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 永傑
(72)【発明者】
【氏名】鄭 維
(72)【発明者】
【氏名】李 丹丹
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC10
4B162AC50
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材の外側に配置された均熱材によって、断熱材から均熱材に伝達される熱を均一化して、高温集中点を解消することができるエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システムを提供する。
【解決手段】エアロゾル発生装置は、外部ハウジングと、外部ハウジングの内部に位置する発熱材、断熱材、及び均熱材とを含み、断熱材は、発熱材と均熱材との間に位置し、均熱材は、断熱材と外部ハウジングとの間に位置し、発熱材及び/又は断熱材から放出される熱を均一化するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ハウジングと、前記外部ハウジングの内部に位置する発熱材、断熱材、及び均熱材とを含み、前記断熱材は、前記発熱材と前記均熱材との間に位置し、前記均熱材は、前記断熱材と前記外部ハウジングとの間に位置し、前記発熱材及び/又は前記断熱材から放出される熱を均一化するように構成される、ことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記均熱材は非金属均熱材を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記非金属均熱材はグラファイト層を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記均熱材は第1の縦方向対称軸を有し、前記均熱材の前記第1の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL1であり、前記断熱材は第2の縦方向対称軸を有し、前記断熱材の前記第2の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL2であり、L1≧(2/3)L2である、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記断熱材はエアロゲル層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記断熱材は、前記発熱材の周りに全周に亘って配置され、及び/又は、
前記均熱材は前記断熱材の周りに全周に亘って配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記断熱材は、複数のサブ断熱材を含み、各前記サブ断熱材は、その径方向に積層して配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記断熱材は、前記発熱材の外側に接着されており、及び/又は
前記均熱材は、前記断熱材の外側に接着されている、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基質を収容するための内部キャビティを形成する内部ハウジングをさらに含み、前記発熱材は前記内部キャビティの中央部に配置され、前記断熱材は前記内部ハウジングの外側に配置され、
或いは、前記発熱材は、エアロゾル形成基質を収容するための収容キャビティを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置に電力を供給可能な充電装置とを備える、ことを特徴とするエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置の技術分野に関し、特にエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼加熱(HNB:Heat Not Burning)エアロゾル発生装置は、使用上の安全性、利便性、健康、環境保護などの利点のために、ますます注目されている。
【0003】
従来の非燃焼加熱エアロゾル発生装置は、通常、エアロゾル形成基質中の揮発性化合物を霧化させてユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるように動作する発熱体を有するアトマイザーを含む。
【0004】
しかし、発熱体によるエアロゾル形成基質の加熱には勾配温度場(高温域/中温域/低温域)が必要であるため、発熱体を周囲で加熱又は中心で加熱してもアトマイザーの外部ハウジングに局所的な高温点が形成される。従来技術では、しばしば外部ハウジングと内部ハウジングとの間に均熱アルミシートを採用して均熱を行い、高温集中点を解消するが、これは熱損失をもたらし、エネルギー消費が高くなり、タバコに対する焼き効果が低下し、吸引の一貫性が悪い。エアロゾル発生装置と充電装置とを分離した分離式エアロゾル発生装置では、エアロゾル発生装置の体積寸法が小さいため、外部ハウジングの外部に複雑な放熱機構を追加することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、従来の非燃焼加熱エアロゾル発生装置に対して、エアロゾル発生装置の体積寸法を余分に大きくすることなく、アトマイザーの外部ハウジングの局所的な高温点を解消して熱損失及びエネルギー消費の増加を緩和することができるエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、外部ハウジングと、前記外部ハウジングの内部に位置する発熱材、断熱材、及び均熱材とを含み、前記断熱材は、前記発熱材と前記均熱材との間に位置し、前記均熱材は、前記断熱材と前記外部ハウジングとの間に位置し、前記発熱材及び/又は前記断熱材から放出される熱を均一化するように構成されるエアロゾル発生装置を提供する。
【0007】
上記エアロゾル発生装置によれば、発熱材がエアロゾル形成基質を加熱して勾配温度場を形成する際に、発熱材の外側に配置された断熱材によって、熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材の外側に配置された均熱材によって、断熱材から均熱材に伝達される熱を均一化することができ、高温集中点を解消して、局所的な高温による関連部品の損傷やユーザの火傷のリスクを回避することができる。
【0008】
また、発熱材の外側が均熱材で取り囲まれると、均熱材の作用により、勾配温度場の中温域の内外温度差と低温域の内外温度差が共に減少するので、熱の外部への伝達が減少し、エアロゾル形成基質に対する焼付け効果が良くなり、具体的には、吸引の一貫性が向上して吸引の食感がより良好になる。
【0009】
さらに、断熱材及び均熱材の配置方式及び構成が簡単であるため、外部ハウジングの外部に補助放熱機構を追加することなく、エアロゾル発生装置の内部に配置することができるので、エアロゾル発生装置の体積寸法を余分に大きくすることがない。
【0010】
一実施例では、前記均熱材は非金属均熱材を含む。
【0011】
一実施例では、前記非金属均熱材はグラファイト層を含む。
【0012】
グラファイトは、従来の均熱アルミシートよりも高い熱伝導率を有するので、均熱材は良好な熱伝導特性を有し、さらに高温集中点が確実に解消される。
【0013】
一実施例では、前記均熱材は第1の縦方向対称軸を有し、前記均熱材の前記第1の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL1であり、前記断熱材は第2の縦方向対称軸を有し、前記断熱材の前記第2の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL2であり、L1≧(2/3)L2である。
【0014】
L1≧(2/3)L2と設定することによって、良好な均熱効果を発揮することができ、高温集中点を解消するだけでなく、吸引の食感も向上させることができる。L1<(2/3)L2の場合、均熱効果が低下し、所望の均熱効果を満足できないことが試験により確認された。
【0015】
一実施例では、前記断熱材はエアロゲル層を含む。
【0016】
エアロゲルは、非常に高い多孔度を持ち、大量の空気を含む、ナノスケールの孔径を有する多孔質材料である。エアロゲルのナノ細孔構造により、材料は熱伝導率が非常に低く、断熱保温効果がよい。このため、エアロゲル層を用いることにより、断熱効果をより高めることができ、ひいてはエネルギー消費を低減することができる。
【0017】
一実施例では、前記断熱材は、前記発熱材の周りに全周に亘って配置され、及び/又は、前記均熱材は前記断熱材の周りに全周に亘って配置される。
【0018】
これにより、全面的な断熱と均熱効果が得られる。
【0019】
一実施例では、前記断熱材は、複数のサブ断熱材を含み、各前記サブ断熱材は、その径方向に積層して配置される。
【0020】
断熱材を複数のサブ断熱材が積層された積層構造とすることにより、サブ断熱材とサブ断熱材との間の熱伝導の経路が少なくなり、断熱材の厚さ方向(径方向)の断熱効果を高めることができる。
【0021】
一実施例では、前記断熱材は、前記発熱材の外側に接着されており、及び/又は、前記均熱材は、前記断熱材の外側に接着されている。
【0022】
接着方式は簡単であり、両者の関係をより緊密にして断熱及び均熱効果を高める。
【0023】
一実施例では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基質を収容するための内部キャビティを形成する内部ハウジングをさらに含み、前記発熱材は前記内部キャビティの中央部に配置され、前記断熱材は前記内部ハウジングの外側に配置され、或いは、前記発熱材は、エアロゾル形成基質を収容するための収容キャビティを形成する。
【0024】
発熱材がキャビティの中央部に配置され、発熱材の上端がエアロゾル形成基質に挿入され、通電昇温後にエアロゾル形成基質をベーキングして加熱し、ユーザが吸引可能なエアロゾルを形成する。また、断熱材の配置はエアロゾル形成基質の内部キャビティへの挿入に影響を与えず、エアロゾル形成基質の周囲を断熱する効果が得られる。発熱材が収容キャビティを形成すると、発熱材によってエアロゾル形成基質の外周を加熱することができ、加熱面積が拡大して加熱効率が向上する。また、断熱材も発熱材により近接して設けることができるため、断熱効果を向上させ、エネルギー消費をより低減することができる。
【0025】
本発明の第2の態様は、上記実施例のいずれかのエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置に電力を供給可能な充電装置とを備えるエアロゾル発生システムを提供する。
【発明の効果】
【0026】
上記エアロゾル発生システムによれば、発熱材がエアロゾル形成基質を加熱して勾配温度場を形成する際に、発熱材の外側に配置された断熱材によって、熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材の外側に配置された均熱材によって、断熱材から均熱材に伝達される熱を均一化することができ、高温集中点を解消して、局所的な高温による関連部品の損傷やユーザの火傷のリスクを回避することができる。
【0027】
また、発熱材の外側が均熱材で取り囲まれると、均熱材の作用により、勾配温度場の中温域の内外温度差と低温域の内外温度差が共に減少するので、熱の外部への伝達が減少し、エアロゾル形成基質に対する焼付け効果が良くなり、具体的には、吸引の一貫性が向上して吸引の食感がより良好になる。
【0028】
さらに、断熱材及び均熱材の配置方式及び構成が簡単であるため、外部ハウジングの外部に補助放熱機構を追加することなく、エアロゾル発生装置の内部に配置することができるので、エアロゾル発生装置の体積寸法を余分に大きくすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例に係るエアロゾル発生装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すエアロゾル発生装置の概略断面図である。
【
図3】
図2に示すエアロゾル発生装置におけるアトマイザー部分の概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るエアロゾル発生システムの概略分解図である。
【
図5】
図4に示すエアロゾル発生システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、本発明を十分に理解するために、多くの具体的な細部を説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく類似な改善を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0031】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意の組合せ及びすべての組合せを含む。
【0032】
本発明の説明において、理解すべきものとして、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作しなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0033】
なお、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。従って、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0034】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になってもよい。また、機械的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。また、特に明確に限定されない限り、直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。本発明における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて当業者には理解されるであろう。
【0035】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2の特徴が直接に接触してもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」、及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」、及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。
【0036】
なお、一方の素子が他方の素子に「固定される」、「設けられる」と呼ばれる場合、他方の素子に直接存在してもよいし、又は介在する要素が存在してもよい。一方の素子が他方の素子に「接続される」と考えられる場合、他方の素子に直接接続されてもよいし、又は介在する要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は説明の目的だけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0037】
図面は1:1の縮尺で描かれたものではなく、個々の要素の相対的な寸法は、必ずしも実際の縮尺ではなく、図面において例示的に描かれているに過ぎない。
【0038】
図1は、本発明の一実施例に係るエアロゾル発生装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示すエアロゾル発生装置の概略断面図である。
図3は、
図2に示すエアロゾル発生装置におけるアトマイザー部分の概略断面図である。説明の便利上、図面には本発明の実施例に関連する構成のみが示されている。
【0039】
図面を参照すると、本発明の一実施例は、外部ハウジング10と、発熱材20と、断熱材30と、均熱材40とを含むエアロゾル発生装置100を提供する。
【0040】
断熱材30は、発熱材20と均熱材40との間に位置し、均熱材40は、断熱材30と外部ハウジング10との間に位置し、発熱材20及び/又は断熱材30から放出される熱を均一化するように構成される。
【0041】
発熱材20は、制御されて発熱可能な部材である。具体的には、発熱材20は、抵抗発熱材であってもよいし、電磁発熱材であってもよいし、赤外線発熱材であってもよいが、特に限定されない。
【0042】
断熱材30は、断熱材30の外側の環境から発熱材20で発生した熱を相対的に隔離し、発熱のための空間に熱を集中させ、外部への無駄な熱の流出を低減することができる、熱を隔離する機能を備える部材である。
【0043】
均熱材40は、熱量を均一に分布させることができる、熱を均一化する機能を備える部材である。具体的には、均熱材40が接触している部品や空間の温度が高い場合には、均熱材40が熱を自体の各所に伝達して熱を均一に分布させることができる。
【0044】
本発明のエアロゾル発生装置100によれば、発熱材20がエアロゾル形成基質を加熱して勾配温度場を形成する際に、発熱材20の外側に配置された断熱材30によって、熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材30の外側に配置された均熱材40によって、断熱材30から均熱材40に伝達される熱を均一化することができ、高温集中点を解消して、局所的な高温による関連部品の損傷やユーザの火傷のリスクを回避することができる。
【0045】
また、発熱材20の外側が均熱材40で取り囲まれると、均熱材40の作用により、勾配温度場の中温域の内外温度差と低温域の内外温度差が共に減少するので、熱の外部への伝達が減少し、エアロゾル形成基質に対する焼付け効果が良くなり、具体的には、吸引の一貫性が向上して吸引の食感がより良好になる。
【0046】
さらに、断熱材30及び均熱材40の配置方式及び構成が簡単であるため、外部ハウジング10の外部に補助放熱機構を追加することなく、エアロゾル発生装置100の内部に配置することができるので、エアロゾル発生装置100の体積寸法を余分に大きくすることがない。
【0047】
いくつかの実施例では、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル形成基質を収容するための内部キャビティを形成する内部ハウジングを含み、発熱材20は内部ハウジングの中央部に配置される。
【0048】
本発明のエアロゾル形成基質は、紙に包装されて消費可能なエアロゾル発生製品200を形成することができる。具体的には、このようなエアロゾル発生製品200は、製品を消費するためにユーザの口に挿入するためのノズル端部を含む。
【0049】
発熱材20が内部キャビティの中央部に配置される場合、発熱材20は、内部キャビティ内に柱状に突出し、エアロゾル発生製品200は、エアロゾル形成基質と共に内部ハウジングの頂部から内部キャビティ内に挿入され得る。発熱材20の上端は、エアロゾル形成基質に挿入され、通電昇温後にエアロゾル形成基質をベーキングして加熱し、ユーザが吸引可能なエアロゾルを形成する。
【0050】
別の実施例では、断熱材30は、内部ハウジングの外側に配置される。このように、断熱材30の配置がエアロゾル形成基質の内部キャビティへの挿入に影響を与えず、エアロゾル形成基質の周囲を断熱する効果が得られる。
【0051】
別の実施例では、発熱材20自体が、エアロゾル形成基質を収容するための収容キャビティ21を形成することができる。
【0052】
このように、発熱材20によってエアロゾル形成基質の外周を加熱することができ、加熱面積が拡大して加熱効率が向上する。また、断熱材30も発熱材20により近接して設けることができるため、断熱効果を向上させ、エネルギー消費をより低減することができる。
【0053】
具体的には、発熱材20は、エアロゾル形成基質を収容するための収容キャビティ21を形成する発熱管体22と、発熱管体22の外側に設けられ、制御されて発熱管体22を加熱するヒータ23とを備えている。より具体的には、ヒータ23は、加熱抵抗線、磁気誘導コイル等であるが、特に限定されない。
【0054】
本発明の実施例では、外部ハウジング10は、その内部に含まれる均熱材40、断熱材30、及び発熱材20を保護することができるとともに、均熱材40との直接の接触を回避することができ、ユーザがエアロゾル発生装置100の外面に接触する温度をさらに低下させ、火傷を回避することができる。
【0055】
さらに、外部ハウジング10と均熱材40との間は径方向に間隔を置いて隔離空間を形成している。隔離空間を設けることによって、均熱材40から外部ハウジング10に伝達される熱がこの空間内でさらに消費され、それによって外部ハウジング10に到達する熱がさらに低減され、外部ハウジング10の温度が低下して、ユーザによる把持が容易になる。
【0056】
いくつかの実施例では、断熱材30は、発熱材20の外側に接着されてもよく、及び/又は均熱材40は、断熱材30の外側に接着されてもよい。接着方式は簡単であり、両者の関係をより緊密にし、それにより断熱及び均熱効果を高める。
【0057】
本発明の実施例では、均熱材40は非金属均熱材を含む。
【0058】
本発明の実施例では、均熱材40は、グラファイト層を含む。
【0059】
グラファイトは、従来の均熱アルミシートよりも小さい比熱容量を有するため、グラファイトの自己吸熱性がより小さく、均熱材40の温度が低くなり、高温集中点が確実に解消される。
【0060】
本発明の実施例では、均熱材40は、第1の縦方向対称軸を有し、均熱材40の第1の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL1であり、断熱材30は、第2の縦方向対称軸を有し、断熱材30の第2の縦方向対称軸に沿った軸方向寸法はL2であり、L1≧(2/3)L2である。
【0061】
ここでいう第1の縦方向対称軸の軸方向と第2の縦方向対称軸の軸方向とは、
図2に示す鉛直方向を意味し、均熱材40と断熱材30の長手方向の対称軸の軸方向とも理解され得る。
【0062】
L1≧(2/3)L2と設定することによって、良好な均熱効果を発揮することができ、高温集中点を解消するだけでなく、吸引の食感も向上させることができる。L1<(2/3)L2の場合、均熱効果が低下し、所望の均熱効果を満足できないことが試験により確認された。
【0063】
選択的に、L1=L2である。
【0064】
本発明の実施例では、断熱材30は、エアロゲル層を含む。
【0065】
エアロゲルは、非常に高い多孔度を持ち、大量の空気を含む、ナノスケールの孔径を有する多孔質材料である。エアロゲルのナノ細孔構造により、材料は熱伝導率が非常に低く、断熱保温効果がよい。このため、エアロゲル層を用いることにより、断熱効果をより高めることができ、ひいてはエネルギー消費を低減することができる。
【0066】
本発明の実施例では、断熱材30は、複数のサブ断熱材31を含み、各サブ断熱材31は、その径方向に積層して配置される。
【0067】
断熱材30を複数のサブ断熱材31が積層された積層構造とすることにより、サブ断熱材31とサブ断熱材31との間の熱伝導の経路が少なくなり、断熱材30の厚さ方向(径方向)の断熱効果を高めることができる。
【0068】
具体的には、各サブ断熱材31同士が接着されている。接着方式は簡単であり、各サブ断熱材31同士の間の関係をより緊密にする。別の実施例では、各サブ断熱材31は、断熱空間を形成するように互いに間隔を置いて配置されてもよい。
【0069】
本発明の実施形態では、サブ断熱材31は、エアロゲルサブ断熱層を含む。
【0070】
完全な断熱及び均熱効果を達成するために、本発明の実施例では、断熱材30は、発熱材20の周りに全周に亘って配置され、又は均熱材40は、断熱材30の周りに全周に亘って配置され、或いは、断熱材30は、発熱材20の周りに全周に亘って配置され、かつ、均熱材40は、断熱材30の周りに全周に亘って配置される。
【0071】
本発明の実施形態では、発熱材20、断熱材30、均熱材40及び外部ハウジング10がこの順に外嵌されている。
【0072】
別の実施形態では、断熱材30又は均熱材40は、全周に亘って配置されていなくてもよいが、特に限定されない。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、発熱材20、断熱材30、及び均熱材40は、この順に外嵌されて接続されている。エアロゾル発生装置100は、互いに間隔を置いて配置された上部ブラケット50及び下部ブラケット60をさらに含み、発熱材20、断熱材30、及び均熱材40が上部ブラケット50と下部ブラケット60との間に制限されている。具体的には、上部ブラケット50及び下部ブラケット60は、共に外部ハウジング10内に設けられている。
【0074】
なお、発熱材20、断熱材30及び均熱材40は、この順に外嵌されて接続されているので、上部ブラケット50及び下部ブラケット60が発熱材20、断熱材30及び均熱材40を制限する際に、それぞれ3者のうちの少なくとも1者に当接することで3者への制限を実現することができる。
【0075】
さらに、エアロゾル発生装置100は、上部ブラケット50を外部ハウジング10内に制限するように外部ハウジング10と係合可能な上部キャップ70をさらに含む。
【0076】
いくつかの実施例では、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100に電力を供給するための電源アセンブリ80をさらに含む。
【0077】
具体的には、エアロゾル発生装置100は、外部電源による充電を可能にするために電源アセンブリ80に電気的に接続された充電インターフェース90をさらに含む。より具体的には、充電インターフェース90は、第1の電気接点を有し、第1の電気接点を介して外部電源に電気的に接続される。
【0078】
図4及び
図5に示すように、本発明は、同様の発明思想に基づいて、上記実施例のいずれかのエアロゾル発生装置100と、エアロゾル発生装置100に電力を供給可能な充電装置310とを含むエアロゾル発生システム300を提供する。
【0079】
発熱材20がエアロゾル形成基質を加熱して勾配温度場を形成する際に、発熱材20の外側に配置された断熱材30によって、熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材30の外側に配置された均熱材40によって、断熱材30から均熱材40に伝達される熱を均一化することができ、高温集中点を解消し、局所的な高温による関連部品の損傷やユーザの火傷のリスクを回避することができる。
【0080】
また、発熱材20の外側が均熱材40で取り囲まれると、均熱材40の作用により、勾配温度場の中温域の内外温度差と低温域の内外温度差が共に減少するので、熱の外部への伝達が減少し、エアロゾル形成基質に対する焼付け効果が良くなり、具体的には、吸引の一貫性が向上して吸引の食感がより良好になる。
【0081】
さらに、断熱材30及び均熱材40の配置方式及び構成が簡単であるため、外部ハウジング10の外部に補助放熱機構を追加することなく、エアロゾル発生装置100の内部に配置することができるので、エアロゾル発生装置100の体積寸法を余分に大きくすることがない。
【0082】
具体的には、充電装置310は、第2の電気接点を有し、第2の電気接点が第1の電気接点に電気的に接続されるようにエアロゾル発生装置100を収容することができる。
【0083】
なお、本発明の充電装置310は、エアロゾル発生装置100を収容することができるだけでなく、エアロゾル発生装置100に充電して電気エネルギーを供給する電気的動作を実現することができる。具体的には、充電装置310は、必要に応じてバッテリを含んでもよい。バッテリは、商用電源などの外部電源から充電され得るように充電ポートに電気的に接続される。充電装置310は、バッテリの充電及び放電を制御するための少なくとも1つのマイクロプロセッサのような回路をさらに含む。
【0084】
本発明の実施例によって提供されるエアロゾル発生装置100及びエアロゾル発生システム300は、以下の有益な効果を有する。
【0085】
発熱材20がエアロゾル形成基質を加熱して勾配温度場を形成する際に、発熱材20の外側に配置された断熱材30によって、熱の外側への放散を低減してエネルギー消費を低減することができ、且つ、断熱材30の外側に配置された均熱材40によって、断熱材30から均熱材40に伝達される熱を均一化することができ、高温集中点を解消して、局所的な高温による関連部品の損傷やユーザの火傷のリスクを回避することができる。
【0086】
また、発熱材20の外側が均熱材40で取り囲まれると、均熱材40の作用により、勾配温度場の中温域の内外温度差と低温域の内外温度差が共に減少するので、熱の外部への伝達が減少し、エアロゾル形成基質に対する焼付け効果が良くなり、具体的には、吸引の一貫性が向上して吸引の食感がより良好になる。
【0087】
さらに、断熱材30及び均熱材40の配置方式及び構成が簡単であるため、外部ハウジング10の外部に補助放熱機構を追加することなく、エアロゾル発生装置100の内部に配置することができるので、エアロゾル発生装置100の体積寸法を余分に大きくすることがない。
【0088】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0089】
上記の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本発明の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本発明の思想から逸脱することなく、本発明の範囲に含まれるいくつかの変形及び改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本発明の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0090】
100 エアロゾル発生装置
10 外部ハウジング
20 発熱材
21 収容キャビティ
22 発熱管体
23 ヒータ
30 断熱材
31 サブ断熱材
40 均熱材
50 上部ブラケット
60 下部ブラケット
70 上部キャップ
80 電源アセンブリ
90 充電インターフェース
200 エアロゾル発生製品
300 エアロゾル発生システム
310 充電装置