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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062942
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】背負い枕
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20240501BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61F5/56
A47G9/10 V
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023155542
(22)【出願日】2023-09-21
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】511125630
【氏名又は名称】都インキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】原田 邦夫
【テーマコード(参考)】
3B102
4C098
【Fターム(参考)】
3B102AA04
3B102AB10
3B102AC01
4C098BB15
4C098BC02
4C098BC09
4C098BC10
4C098BD02
4C098DD06
4C098DD13
4C098DD22
(57)【要約】
【課題】無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供すること。
【解決手段】背負い枕1は、使用者の背中に配置され、使用者の寝返り方向に揺動可能な柱状の背枕部10と、背枕部10における使用者の頭部側の端部に取り付けられ、使用者の頭部に配置される枕部30と、背枕部に設けられ、背枕部を背負うように使用者の両肩に装着させる肩装着部20と、を備え、枕部30は、U字状に構成され、仰向けの使用者の後頭部及び両側頭部を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の背中に配置され、使用者の寝返り方向に揺動可能な柱状の背枕部と、
当該背枕部における使用者の頭部側の端部に取り付けられ、使用者の頭部に配置される枕部と、
当該背枕部に設けられ、前記背枕部を背負うように使用者の両肩に装着させる装着部と、を備え、
前記枕部は、U字状に構成され、仰向けの使用者の後頭部及び両側頭部を覆うことを特徴とする背負い枕。
【請求項2】
前記背枕部は、かまぼこ形状の柱状体であり、使用者の背中に対向する平面部と、寝床に当接する曲面部と、を有することを特徴とする請求項1記載の背負い枕。
【請求項3】
前記平面部は、使用者の頭部側から腰部側に向かって下り傾斜していることを特徴とする請求項2記載の背負い枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負い枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内における睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は数百万人とも言われており、今後も増加すると予測されている。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中にのどの筋肉が緩んで気道がふさがれることにより、睡眠中、呼吸が止まってしまう病気である。睡眠時無呼吸症候群の患者は、いびきと無呼吸状態とを繰り返すことによって睡眠が充分に取れず、不眠になりやすい傾向にある。
【0003】
ところで、睡眠時無呼吸症候群の防止には横向きが望ましいとされている。そこで従来、特許文献1に記載された寝装具のように、背中に接する背枕と、この背枕の両側端に設けられたバンドと、を有し、背枕は寝装具を使用する時に背中にあたるようになっており、バンドで背枕を身体に固定することによって、身体が横向きに固定されることとなり、いびきを防止することができる、という技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された寝装具によれば、背枕は、空気弁によって背枕内部の空気圧を調節することができるようになっている。空気圧を上げて背枕を大きく膨らませると、使用者の身体をほぼ90度の状態に固定することができる。しかし、身体を固定されると身動きできなくてかえって眠れないという場合もある。そのような場合には、空気圧を下げる、すなわち背枕に入れる空気の量を少なくすることで、横寝の角度にある程度の自由がでてきて、寝返りができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-94980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背枕を装着した場合、寝返りを打つ前後の頭の位置が装着しない場合よりも左右に大きく移動する。このため、寝返りを打つごとに頭が枕から落ちてしまうおそれがある。そこで、予め左右に長い枕を用意することが考えられるが、その分、コスト面の負担が大きくなる。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0009】
(1) 使用者の背中に配置され、使用者の寝返り方向に揺動可能な柱状の背枕部と、
当該背枕部における使用者の頭部側の端部に連結され、使用者の頭部に配置される枕部と、
当該背枕部に設けられ、前記背枕部を背負うように使用者の両肩に装着させる装着部と、を備え、
前記枕部は、U字状に構成され、仰向けの使用者の後頭部及び両側頭部を覆うことを特徴とする背負い枕。
【0010】
(1)によれば、使用者の背中に配置される柱状の背枕部が配置されることにより、背枕部の揺動によって使用者が左右いずれかに安定して寝返りを打たせることが可能になる。また、仰向け状態の使用者が左右いずれかに寝返りを打った際に、背枕部が使用者の横側に配置されるため、使用者が横向きの姿勢になりやすくなる。更に、使用者の寝返りによって背枕部とともにU字状の枕部が回転するため、使用者が横向きになっても使用者の側頭部を枕部に載せることが可能になる。これにより、無呼吸症候群の症状を軽減させることが可能になる。このように、無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供することができる。
【0011】
(2) (1)において、前記背枕部は、かまぼこ形状の柱状体であり、使用者の背中に対向する平面部と、寝床に当接する曲面部と、を有することを特徴とする背負い枕。
【0012】
(2)によれば、背枕部は、かまぼこ形状の柱状体であるため、背枕部が揺動しやすくなり、使用者が左右いずれかに安定して寝返りを打たせて、横向きの姿勢に移行させることが可能になる。このように、無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供することができる。
【0013】
(3) (2)において、前記平面部は、使用者の頭部側から腰部側に向かって下り傾斜していることを特徴とする背負い枕。
【0014】
(3)によれば、背枕部は、かまぼこ形状の柱状体であり、しかも平面部が、使用者の頭部側から腰部側に向かって下り傾斜しているため、仰向けの姿勢でも左右のバランスが取りやすくなる。これにより、左側の横向き状態から右側に寝返りを打つ場合に、直ぐに右側の横向き状態に移行するのではなく、一旦、仰向けの姿勢を経ることが可能になり、左側の横向き状態から仰向けの姿勢を経て右側の横向き状態に移行したり、左側の横向き状態に戻ったりすることが可能になる。このように、無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、寝返りを打ちたい方向に安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、安定して寝返りを打つことができる背負い枕を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における背負い枕1の概略構成を示す斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態における背負い枕1を装着した使用者が仰向けになった状態の一例を示す側面図である。
図4】背負い枕1を装着した使用者が寝返りを打ったときの背負い枕1の動きを示す説明図である。
図5】背枕部10の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における背負い枕1の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の分解斜視図である。背負い枕1は、背枕部10と、肩装着部20と、胴装着部22と、枕部30と、面ファスナー40と、を備えている。
【0018】
背枕部10は、使用者の肩から腰まで背骨に沿って延び、長手方向に対して直角方向の断面がかまぼこ形状をした柱状体である。また背枕部10は、使用者の背中に対向する平面部11と、寝床に対向する曲面部12と、を有している。断面のかまぼこ形状の高さは、使用者の肩側から腰側に向かって漸次低くなっており、曲面部12が寝床に向くように背枕部10を寝床に置いた場合に、平面部11は斜面となる(図3参照)。背枕部10は、例えば、高反発マットレスに使用される反発弾性が15%~50%のウレタンフォーム、ラテックス、高反発ファイバー等によって構成されたベース部材を、カバー部材によって覆うことによって構成される。
【0019】
曲面部12は、背枕部10が揺動するような形状であれば適用可能であり、例えば、円弧状に形成しても、使用者の頭の位置から寝床面までの長さを半径とした円が転がるときに描くサイクロイド曲線としてもよい。
【0020】
肩装着部20は、長さ調整が可能な一対の帯状部材20a、20aを備える。帯状部材20a、20aは、平面部11における使用者の肩側上部に一端部が縫い付けられ、下端部は、平面部11における使用者の脇腹の側部に縫い付けられている。このように、肩装着部20はU字状に取り付けられる。
【0021】
胴装着部22は、一対の帯状部材22a、22aと、帯状部材22a、22aを連結するバックル23と、を備える。バックル23は、互いに連結、分離自在な雄バックル23aと雌バックル23bとからなる。一方の帯状部材22aは、平面部11における使用者の腰の一方の側部(右側)に一端部が縫い付けられており、他方の帯状部材22aは、平面部11における使用者の腰の他方の側部(左側)に一端部が縫い付けられている。更に、一方の帯状部材22aの他端部に雄バックル23aが取り付けられており、他方の帯状部材22aの他端部に雌バックル23bが取り付けられている。
【0022】
使用者は、U字状に形成された一対の帯状部材20a、20aにそれぞれ腕を通して、リュックを背負うように背枕部10を背負い、雄バックル23aと雌バックル23bとを連結する。これにより、背枕部10が使用者に装着される。
【0023】
なお、以下の説明の便宜上、背枕部10において肩側の方向を前方あるいは前側、鉛直上方を上方あるいは上側、鉛直下方を下方あるいは下側、使用者の右手側を右方あるいは右側、使用者の左側を左方あるいは左側と称する。すなわち、使用者が背枕部10を装着して仰向けに寝た場合、使用者の顔は上方を向き、使用者の頭部は前側を向き、使用者の脚が後側を向く。また、背枕部10の前面が最も大きなかまぼこ形状となり、背枕部10の後面が最も小さなかまぼこ形状となる。
【0024】
枕部30は、使用者の頭部を載せるものであり、使用者の後頭部を載置するベース部31と、このベース部31の両側部から上方に延出して使用者の側頭部に対向する側壁部32、32と、を有している。枕部30は、背枕部10と同様の部材によって構成してもよいし、あるいは、低反発マットレスに使用される反発弾性が15%以下のウレタンフォームによって構成されたベース部材を、カバー部材によって覆うことによって構成してもよい。
【0025】
ベース部31は、前面及び後面が背枕部10の前面と同じかまぼこ形状の柱状体であり、使用者の後頭部に対向する上面が平面に、寝床に対向する下面が曲面に形成されている。側壁部32、32は直方体形状であり、側壁部32、32の内側壁面間の距離は、使用者の頭部が余裕を持って入るように設定されている。このように、枕部30は、前面がU字形状の柱状体である。
【0026】
なお、本実施形態においては、枕部30における使用者の頭部が対向する面が平面に形成されているが、それに限らず、使用者の気道が拡がりやすくなるように、一部を膨出させたり、斜面を形成したりすることも可能である。
【0027】
ベース部31の後面及び背枕部10の前面には面ファスナー40が縫い付けられており、面ファスナー40同士を接合、分離することにより、背枕部10に対する枕部30の取付、取外しが自在である。背枕部10に枕部30を取り付ける際には、背枕部10の前面と枕部30の後面とを一致させるように取り付けることが望ましい。これにより、背枕部10の曲面部12と枕部30の下面とが連続して面一になるため、背枕部10と枕部30とが一体になって揺動しやすくなる。また、背枕部10の平面部11とベース部31の上面とが連続するため、平面部11の斜面によって上方に位置付けられた使用者の頭部をそのままベース部31の上面に載せることが可能になる。
【0028】
なお、本実施形態においては、背枕部10と枕部30とは面ファスナー40によって取付、取外し自在としているが、背枕部10と枕部30とを一体化できるのであればそれ以外の取付方法も適用可能である。例えば、背枕部10を収容するカバー部材と、枕部30を収容するカバー部材とをファスナーによって取付可能にしてもよい。
【0029】
次に、本実施形態における背負い枕1の使用例について説明する。
使用者は、まず、背枕部10に枕部30を取り付けてから、背枕部10を背負い、雄バックル23aと雌バックル23bとを連結することによって、背負い枕1を装着する。その後、使用者は、寝床の上に横になって就寝する。
【0030】
図3は、背負い枕1を装着した使用者が仰向けになった状態の一例を示す側面図である。背枕部10は、かまぼこ形状であるため左右に揺動可能であるが、使用者が仰向けになった状態においては、両脚をそろえたり、両腕を若干広げるなどすることにより、比較的左右のバランスが取りやすい状態にある。
【0031】
背枕部10と枕部30とを一体にした場合、枕部30における使用者の頭部の載置面、すなわちベース部31の上面が水平面であることに対して、背枕部10の平面部11が斜面となる。このため使用者の頭部が水平であることに対して身体が斜めになるため、使用者のあごが若干上がった状態になる。これにより、仰向け状態の使用者の気道が拡がりやすくなり、いびきを低減することが可能になる。
【0032】
図4は、背負い枕1を装着した使用者が寝返りを打ったときの背負い枕1の動きを示す説明図である。
図4(a)は、背負い枕1を装着した使用者が仰向けになった状態である。この状態で、例えば、使用者が右腕や右脚を左側に移動させたりすると背枕部10が揺動しやすくなり、使用者が左右のいずれかに寝返りを打つようになる。例えば、図4(b)に示すように、左側に寝返りを打つと、背枕部10と枕部30とが一緒に回転して、使用者は、図4(c)に示すように、左側に横向きの状態となる。この状態において、使用者は、左側の側壁部32に頭を置くことが可能となる。図4(a)に示す仰向け状態から使用者が、右側に寝返りを打つと、図4(d)に示すように、右側に横向きの状態となる。この状態において、使用者は、右側の側壁部32に頭を置くことが可能となる。このように、寝返りによって使用者の頭部が枕部30から落下することがなくなる。
【0033】
また、図4(c)に示す左側の横向き状態から寝返りを打つ場合に、直ぐに図4(d)に示す右側の横向き状態に移行するのではなく、一旦、図4(a)に示す仰向けの姿勢を経ることが可能になる。このため、左側の横向き状態から仰向けの姿勢を経て右側の横向き状態に移行したり、左側の横向き状態に戻ったりすることが可能になる。このように、寝返り方向を強制されるのではなく、寝返りたい方向に安定して返りを打つことが可能になる。
【0034】
使用者は、起き上がる場合に、一旦、俯せの姿勢になることによって容易に起き上がることが可能である。なお、仰向けの姿勢であっても、使用者の身体が斜めの状態であり、しかも背枕部10における腰付近の部位は肉薄であるため撓みやすくなっているため、起き上がることが可能である。
【0035】
このように本実施形態においては、背枕部10がかまぼこ形状であるため、左右に揺動可能になり、使用者が仰向けの姿勢になった場合に、左右のいずれかに寝返りを打つことが可能になる。これにより、就寝時に横向きの姿勢になる時間を多くすることができるため、いびきや無呼吸状態になることを低減させることが可能になる。
【0036】
また、枕部30と背枕部10とが連結可能であり、枕部30が使用者の頭部の周囲を覆うU字形状である。このため、使用者が寝返りを打ったときに、背枕部10とともに枕部30が回転し、横向きの姿勢になった使用者の側頭部に枕部30が配置される。このように、背枕部10を配置したことによって使用者が寝返りを打ったときに頭部が左右に大きく移動しても、頭部に枕を配置することが可能になる。
【0037】
また、背枕部10の曲面部12を円弧状あるいはサイクロイド曲線状に形成しているため、寝返りの際に、円滑に背枕部10を転がすことが可能になる。枕部30も同様に形成されているため、背枕部10に枕部30を装着している場合に、枕部30も円滑に転がすことが可能になる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述したものに限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、背枕部10を高反発マットレスの素材を使用しているが、それに限らず、図5に示す背枕部10のように構成してもよい。
【0039】
図5は背枕部10の変形例を示す説明図であり、図5(a)は前面側から視認した図、図5(b)は後面側から視認した図である。
【0040】
図5に示すように、背枕部10の変形例は、前面が二等辺三角形でかつ後面が前面の二等辺三角形を縮小した二等辺三角形の柱状に形成された三角柱部15と、三角柱部15における同形の2つの側面と同形の平面及びこの平面の一端から弧状に延びる円弧面を有する、略円欠型の柱状に形成された円欠柱部16、16と、によって構成されている。
【0041】
図5に示す背枕部10の変形例は、三角柱部15に円欠柱部16、16を固定することにより、図1図2に示す背枕部10と同形になる。平面部11は三角柱部15における二等辺三角形の斜辺を含む側面に相当し、曲面部12は円欠柱部16、16の円弧状の側面に相当する。
三角柱部15は、高反発マットレスの素材によって構成され、円欠柱部16、16は低反発マットレスの素材によって構成される。
【0042】
ここで、仮に、背枕部10の変形例を、三角柱部15のみで構成した場合、使用者は、背負い枕1を装着して寝床に就いた場合、仰向けの姿勢が左右に揺れやすい不安定な状態になるために、左右いずれかに寝返りを打つようになる。このとき、身体に軽い衝撃を受ける可能性があり、これによって目覚める可能性がある。しかも、使用者は、寝返りによって完全に横向きの姿勢とはならず、斜めの姿勢で維持される可能性がある。斜めの姿勢で維持されると、手足の位置によってはねじれ方向に力が加わり、腰に負担をかけるおそれがある。
【0043】
それに対して、背枕部10の変形例によれば、使用者が仰向けの姿勢であって背枕部10が左右に揺れた場合に、円欠柱部16、16が弾性変形するため背枕部10は不安定な状態となり、使用者は左右いずれかに寝返りを打つようになる。更に、使用者が寝返りを打った際に、片方の円欠柱部16が変形するものの、三角柱部15と寝床との間に円欠柱部16が介在するため、この円欠柱部16の弾性変形によって使用者は円滑に横向きになりやすくなる。しかも、使用者がある程度寝返りを打つと、変形した円欠柱部16が元に戻ろうとするため、使用者を完全に横向きの姿勢にできる可能性が高くなる。このように、背枕部10の変形例によれば、使用者を完全に横向きにする機会を増やすことが可能になり、就寝時に横向きの姿勢になる時間を多くすることができるため、いびきや無呼吸状態になることを低減させることが可能になる。
【0044】
また本実施形態においては、背枕部10が平面部11を有しているが、この平面部11に、上方に膨出する膨出部や、下方に凹む凹み部を形成して、使用者の背中に平面部11をフィットさせてもよい。
【0045】
また本実施形態においては、枕部30におけるベース部31の上面が平面状であるが、平面部11と同様に上方に膨出する膨出部や、下方に凹む凹み部を形成して、使用者の気道が閉塞することを防止可能な形状にすることが好ましい。
【0046】
また本実施形態の背負い枕1は、いびきや無呼吸状態の繰り返しといった無呼吸症候群の症状を軽減させることを目的としているが、他にも、要介護状態に使用者に本実施形態の背負い枕1を装着して、右向き、左向き、仰向けと姿勢を容易に変えるようにすることも可能である。
【0047】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0048】
例えば、前述の実施の形態及び各変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 背負い枕
10 背枕部
11 平面部
12 曲面部
15 三角柱部
16 円欠柱部
20 肩装着部
20a 帯状部材
22 胴装着部
22a 帯状部材
23 バックル
23a 雄バックル
23b 雌バックル
30 枕部
31 ベース部
32 側壁部
40 面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5