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▶ タイチョウ グァンユー テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062964
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/15 20230101AFI20240501BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240501BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240501BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240501BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20240501BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240501BHJP
【FI】
H10K50/15
H10K50/10
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/18
H10K59/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183106
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】63/380,812
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202311322604.3
(32)【優先日】2023-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523171733
【氏名又は名称】タイチョウ グァンユー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チェン フエイ-シオウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リー-チェン
(72)【発明者】
【氏名】シュー クオ-チェン
(72)【発明者】
【氏名】チュー カー タイ
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC35
3K107DD21
3K107DD50
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD84
3K107DD89
3K107FF14
(57)【要約】
【課題】 有機発光素子を提供することを課題とする。
【解決手段】 有機発光素子であって、基板と、第1電極と、有機発光層と、フッ素(F)含有イオン残留領域とを備える。第1電極は、基板の上に位置する。有機発光層は、第1電極の上に位置する。フッ素含有イオン残留領域は、有機発光層の少なくとも1つの表面の上に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光素子であって、
基板と、
前記基板の上に位置する第1電極と、
前記第1電極の上に位置する有機発光層と、
前記有機発光層の少なくとも1つの表面の上に位置するフッ素(F)含有イオン残留領域と
を備える、有機発光素子。
【請求項2】
前記フッ素含有イオン残留領域は、-C-Fイオン、C-Fイオン含有化合物、Fイオン、Fイオン含有化合物、これらの残基、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記フッ素含有イオン残留領域は、さらに前記有機発光層と前記第1電極との間に位置する、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記基板の上に位置し、前記第1電極を部分的に覆うバンプ構造をさらに備え、前記フッ素含有イオン残留領域はさらに前記バンプ構造の上に位置する、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記フッ素含有イオン残留領域は、さらに前記有機発光層と前記バンプ構造との間に位置する請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記有機発光層の上に位置する第2電極をさらに備え、前記フッ素含有イオン残留領域はさらに前記有機発光層と前記第2電極との間に位置する、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記第2電極は、さらにバンプ構造の上に位置し、前記フッ素含有イオン残留領域はさらに前記バンプ構造と前記第2電極との間に位置する、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記バンプ構造上の前記フッ素含有イオン残留領域のフッ素イオン濃度は、前記有機発光層上の前記フッ素含有イオン残留領域のフッ素イオン濃度より高い、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項9】
複数の材料層をさらに備え、前記フッ素含有イオン残留領域はさらに前記複数の材料層の間に位置する、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記基板、前記第1電極及び前記有機発光層のうちの少なくとも1つは、フッ素を実質的に含有しない、請求項1に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機発光素子に関し、特に、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)構造を含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機発光素子の発光層の塗膜工程には、FMM(ファインメタルマスク)が使用されることや製造プロセスに白色光やカラーフィルムを使用するが一般的である。上記の製造プロセスによって作製される画素密度又は解像度は悪い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示において、有機発光素子は、基板と、第1電極と、有機発光層と、フッ素(F)含有イオン残留領域とを備える。第1電極は、基板の上に位置する。有機発光層は、第1電極の上に位置する。フッ素含有イオン残留領域は、有機発光層の少なくとも1つの表面の上に位置する。
【0004】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域は、-C-Fイオン、C-Fイオン含有化合物、Fイオン、Fイオン含有化合物、これらの残基(residue)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域は、さらに有機発光層と第1電極との間に位置する。
【0006】
いくつかの実施形態において、有機発光素子は、基板の上に位置し、第1電極を部分的に覆うバンプ構造をさらに備え、フッ素含有イオン残留領域はさらにバンプ構造の上に位置する。
【0007】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域は、さらに有機発光層とバンプ構造との間に位置する。
【0008】
いくつかの実施形態において、有機発光素子は、有機発光層の上に位置する第2電極をさらに備え、フッ素含有イオン残留領域はさらに有機発光層と第2電極との間に位置する。
【0009】
いくつかの実施形態において、第2電極は、さらにバンプ構造の上に位置し、フッ素含有イオン残留領域はさらにバンプ構造と第2電極との間に位置する。
【0010】
いくつかの実施形態において、バンプ構造上のフッ素含有イオン残留領域のフッ素イオン濃度は、有機発光層上のフッ素含有イオン残留領域のフッ素イオン濃度より高い。
【0011】
いくつかの実施形態において、有機発光層は、複数の材料層をさらに備え、フッ素含有イオン残留領域はさらに複数の材料層の間に位置する。
【0012】
いくつかの実施形態において、基板、第1電極及び有機発光層のうちの少なくとも1つは、フッ素を実質的に含有しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】有機発光素子の中間製品を示す上面図である。
図2図1内のA-A’線に沿った断面図である。
図3図1内のB-B’線に沿った断面図である。
図4A】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4B】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4C】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4D】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4E】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4F】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4G】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4H】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
図4I】いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、有機発光素子10の中間製品を示す上面図である。有機発光素子10は、有機発光層20と、有機発光層20の上に位置する被覆層40とを備える。有機発光層20について、発光画素アレイを収容するための凹部アレイを提供するようにスペーサを設計できる。いくつかの実施形態において、スペーサはバンプ構造21を含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサは、感光性材料を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、図2は、図1内のA-A’線に沿った断面図であり、発光領域のみを示している。簡単にするため、ここで被覆層40を省略する。バンプ構造21は、発光画素パターンを定義するため、複数のバンプ251、252を有する。凹部は、2つの隣り合うバンプ間にあり、発光画素を収容するための空間を提供する。当業者は、断面図から観察すると、バンプ251、バンプ252が切り離されて示されているが、図1の上面図から観察すると、これらはバンプ構造21の他の部分を介して互いに連結され得ることを理解すべきである。
【0016】
図2に示すように、いくつかの実施形態において、有機発光素子10は、例えば有機発光ダイオード(OLED)構造を含む発光素子である。
【0017】
いくつかの実施形態において、有機発光素子10は、基板250と、電極215(第1電極とも呼ばれる)と、電極225(第2電極とも呼ばれる)と、有機発光層20と、バンプ構造21と、フッ素(F)含有イオン残留領域400とを備える。
【0018】
いくつかの実施形態において、基板250は、ガラスを備える。いくつかの実施形態において、基板250は、実質的にフッ素を含有しない。いくつかの実施形態において、基板250は、有機発光層20内の発光画素に対応するように構成されたトランジスタアレイを含み得る。基板250は、複数のコンデンサを含み得る。いくつかの実施形態において、2つ以上のトランジスタは、コンデンサ及び発光画素と回路を形成するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態において、電極215は、基板250の上に位置する。いくつかの実施形態において、電極215は、アノードである。いくつかの実施形態において、電極215は、Ag、Al、Mg、Au、AlCu合金、AgMo合金などの金属材料を含む。いくつかの実施形態において、電極215は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)又は他の適切な材料を含む。いくつかの実施形態において、電極215は、実質的にフッ素を含有しない。
【0020】
いくつかの実施形態において、有機発光層20は、電極215の上に位置する。いくつかの実施形態において、有機発光層20は、実質的にフッ素を含有しない。いくつかの実施形態において、有機発光層20は、複数の発光層300R、300B及び300Gを含み得る。いくつかの実施形態において、300R、300B及び300Gの各々は、複数の材料層を含んでもよく、例えば各々正孔輸送層(hole transportation layer、HTL)、発光層(emissive layer、EML)、電子輸送層(electron transportation layer、ETL)、正孔阻止層(HBL)、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、発光層300R、300B及び300Gは、同じ色又は異なる色の光を発する。いくつかの実施形態において、発光層300Rは赤色光を発光し、発光層300Gは緑色光を発光し、発光層300Bは青色光を発光する。いくつかの実施形態において、発光層300R、300B及び300Gは、実質的にフッ素を含有しない。
【0021】
いくつかの実施形態において、有機発光層20は有機材料を含み、この有機材料は、異なる実施形態に従い、発光層300R、300B及び300Gのいずれかに配置され得る。いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は、50%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は、60%以上であり、いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は、70%以上であり、いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は、80%以上であり、いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は、90%以上であり、いくつかの実施形態において、特定の波長に対する有機材料の吸収率は95%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、400nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、350nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、300nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、250nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、200nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、150nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、100nm未満である。
【0022】
いくつかの実施形態において、バンプ構造21は基板250に位置して電極215を部分的に覆われている。いくつかの実施形態において、バンプ構造21は、バンプ251と、バンプ252とを含み得る。いくつかの実施形態において、バンプ構造21の画素配置に基づいて設計された。いくつかの実施形態において、バンプ構造21は、画素定義層(pixel defined layer、PDL)とする。いくつかの実施形態において、バンプ251は、画素領域を画定し、バンプ252は周辺領域に位置する。いくつかの実施形態において、各バンプ251は、2つの隣り合う電極215間の隙間を埋める。各電極215は、バンプ251により部分的に覆われている。いくつかの実施形態において、バンプ構造21は、有機絶縁材料を含む。いくつかの実施形態において、バンプ構造21は感光性材料を含む。いくつかの実施形態において、バンプ構造21は、実質的にフッ素を含有しない。
【0023】
いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は、50%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は、60%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は、70%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は、80%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は、90%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長に対するバンプ構造21の吸収率は95%以上である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、400nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、350nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、300nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、250nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、200nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、150nm未満である。いくつかの実施形態において、特定の波長は、100nm未満である。
【0024】
いくつかの実施形態において、電極225は、有機発光層20の上に位置する。いくつかの実施形態において、電極225は、発光層300R、300B及び300Gの上に位置する。いくつかの実施形態において、電極225は、カソードである。いくつかの実施形態において、電極225は、さらにバンプ構造21の上に位置してもよい。いくつかの実施形態において、電極225は、有機発光層20内の全ての発光画素の共通電極である。いくつかの実施形態において、電極225は、Ag、Al、Mg、Au、AlCu合金、AgMo合金などの金属材料を含む。いくつかの実施形態において、電極225は、ITO、IZO又はその他の適切な材料を含む。いくつかの実施形態において、電極225は、実質的にフッ素を含有しない。
【0025】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、有機発光層20の少なくとも1つの表面の上に位置する。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、電極215の少なくとも1つの表面の上に位置し得る。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、バンプ構造21の少なくとも1つの表面の上に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、フッ素(F)イオン含有材料410を含み得、フッ素含有イオン材料410は例えば-C-Fイオン、C-Fイオン含有化合物、Fイオン、Fイオン含有化合物、その残基(residue)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、電極215と有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、電極215と有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)間の界面に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、バンプ構造21と有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、バンプ構造21と有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)間の界面に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)の側壁表面上に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)とその上にある電極225(カソード)との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)とその上にある電極225(カソード)間の界面に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、さらにバンプ構造21と電極225との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、さらにバンプ構造21と電極225間の界面に位置してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、電極215とバンプ構造21間の界面に位置しなくてもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、電極215と基板250間の界面に位置しなくてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、さらに複数の材料層の界面に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、さらに複数の材料層間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、有機発光層の発光層300R、300B及び300Gの正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、正孔阻止層(HBL)、正孔注入層(HIL)及び正孔輸送層(HTL)の任意の2つの層の間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、有機発光層の発光層300R、300B及び300G的正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、正孔阻止層(HBL)、正孔注入層(HIL)及び正孔輸送層(HTL)の任意の2つの層の界面に位置してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410は、電極215、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)、及びバンプ構造21の上に不均一に残存してもよい。例えばバンプ構造21上のフッ素含有イオン残留領域400のフッ素イオン濃度は、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)上のフッ素含有イオン残留領域400のフッ素イオン濃度より高くてもよい。例えばバンプ252上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度は、バンプ251上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度より高くてもよい。例えばバンプ構造21上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度は、有機発光層20(例えば発光層300R、300B及び300G)上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度より高くてもよい。例えばバンプ構造21上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度は、電極215上のフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物の濃度より高くてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、図2に特定の膜層として示されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400は、膜層界面に位置するフッ素含有イオン材料410から構成される領域であり、特定の厚さを有さない。図2に示すフッ素含有イオン残留領域400は、その位置を示すためにのみ使用される。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410の-C-Fイオン及びC-Fイオン含有化合物の定性(IR吸収ピーク位置)及び定量(IR吸収ピークの積分面積)は、IRスペクトルを通じて測定する。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料410のFイオン及びFイオン化合物の定性と定量は、ICP-MSスペクトルを通じて測定する。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400の位置は、EDSの測定深さを変更して、EDSの定性的結果を照合することにより測定することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、図3は、図1のB-B’線に沿った断面図であり、発光領域のみを示している。簡単にするため、ここで被覆層40を省略する。
【0032】
図3に示すように、いくつかの実施形態において、有機発光素子10は、基板250と、電極215、225と、バンプ251(又は画素定義層)と、有機発光層20とを含み得る。いくつかの実施形態において、有機発光層20は、キャリア注入層261と、キャリア輸送層262、263と、有機発射層264と、有機キャリア輸送層265とを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、有機キャリア輸送層265上に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、有機キャリア輸送層265と有機発射層264との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、キャリア輸送層263と有機発射層264との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、キャリア輸送層263とキャリア輸送層262との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、キャリア注入層261とキャリア輸送層262との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、有機キャリア輸送層265とキャリア輸送層262との間に位置してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、電極215とキャリア注入層261との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、バンプ251とキャリア注入層261との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有イオン残留領域400又はフッ素含有イオン材料は、電極225と有機キャリア輸送層265との間に位置してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、基板250、電極215、電極225、バンプ251(又は画素定義層)及び有機発光層20は、実質的にフッ素を含有しない。いくつかの実施形態において,キャリア注入層261、キャリア輸送層262、263、有機発射層264及び有機キャリア輸送層265は、実質的にフッ素を含有しない。
【0036】
図4A図4Iは、いくつかの実施形態による有機発光素子の作製方法を示す。
【0037】
図4Aに示すように、いくつかの実施形態において、基板250を用意し、基板250の上に複数の電極215を設けて複數のバンプ251を形成し、各バンプ251は隣り合う電極215間の隙間を埋める。次に、いくつかの実施形態において、バンプ251及び電極215の表面にキャリア注入層261を設け、キャリア注入層261の表面にキャリア輸送層262を設ける。さらに、いくつかの実施形態において、バンプ251にバッファ層301を設け、バッファ層301はキャリア注入層261、キャリア輸送層262及び1つの電極215も覆う。バッファ層301は、バンプ251、キャリア注入層261及びキャリア輸送層262への水蒸気の侵入を防止するために用いられる。
【0038】
図4Bに示すように、いくつかの実施形態において、バッファ層301の上に感光層302を設ける。バッファ層301の一部が溝312を通して露出されるように、フォトリソグラフィ工程を通じて感光層302をさらにパターン化することができる。
【0039】
図4Cに示すように、いくつかの実施形態において、バッファ層301の一部を除去して凹溝313が形成され、キャリア輸送層262を露出させる。いくつかの実施形態において、ウェットエッチング工程を通じてバッファ層301を除去する。いくつかの実施形態において、エッチャントはフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物を含み得る。
【0040】
図4Dに示すように、いくつかの実施形態において、キャリア輸送層262の上にキャリア輸送層263を設け、キャリア輸送層263の上に有機発射層264を設ける。
【0041】
図4Eに示すように、いくつかの実施形態において、バッファ層301、感光層302及び感光層302上のキャリア輸送層263及び有機発射層264の一部を除去する。いくつかの実施形態において、ウェットエッチング工程を通じてバッファ層301、感光層302、キャリア輸送層263の一部及び有機発射層264の一部を除去する。いくつかの実施形態において、エッチャントは、フッ素含有イオン及び/又はイオン化合物を含み得る。
【0042】
図4Fに示すように、いくつかの実施形態において、バンプ251の上にバッファ層303を設け、バッファ層303はキャリア注入層261、キャリア輸送層262及びもう1つの電極215も覆う。次に、いくつかの実施形態において、バッファ層303の上に感光層304を設ける。バッファ層303の一部が凹溝314を通して露出されるように、フォトリソグラフィ工程を通じて感光層304をさらにパターン化することができる。
【0043】
図4Gに示すように、いくつかの実施形態において、バッファ層303の一部を除去して凹溝315が形成され、キャリア輸送層262を露出させる。いくつかの実施形態において、ウェットエッチング工程を通じてバッファ層303を除去する。いくつかの実施形態において、エッチャントはフッ素含有イオン及び/又はイオン化合物を含み得る。次に、いくつかの実施形態において、キャリア輸送層262の上にキャリア輸送層263を設け、キャリア輸送層263の上に有機発射層264を設ける。
【0044】
図4Hに示すように、いくつかの実施形態において、バッファ層303、感光層304及び感光層304上のキャリア輸送層263及び有機発射層264の一部を除去する。いくつかの実施形態において、ウェットエッチング工程を通じてバッファ層303、感光層304、キャリア輸送層263の一部及び有機発射層264の一部を除去する。いくつかの実施形態において、エッチャントは、フッ素含有イオン及び/又はイオン化合物を含み得る。次に、いくつかの実施形態において、有機発射層264の上に有機キャリア輸送層265を設ける。
【0045】
図4Iに示すように、いくつかの実施形態において、有機キャリア輸送層265の上に電極225を設ける。ここまで、図3に示す構造を作製した。
【0046】
前述の概要は、いくつかの実施形態の特徴を概説したため、当業者が本開示の各態様をよりよく理解できる。本開示に基づいて他の製造工程及び構造を設計又は潤色して容易に本出願に記載された実施形態と同じ目的を達成し、及び/又は同じ利点を達成できることは当業者には明白になるであろう。当業者はまた、この均等な構造が本開示の精神及び範囲から逸脱せず、多種多様な変化、置換及び代替を行うことができるが、本開示の精神及び範囲に収まることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0047】
10 有機発光素子
20 有機発光層
21 バンプ構造
215 電極
225 電極
250 基板
251 バンプ
252 バンプ
261 キャリア注入層
262 第1キャリア輸送層
263 第2キャリア輸送層
264 有機発射層
265 有機キャリア輸送層
301 バッファ層
302 感光層
303 バッファ層
304 感光層
312 凹溝
313 凹溝
314 凹溝
315 凹溝
400 フッ素含有イオン残留領域
40 被覆層
410 フッ素含有イオン材料
A-A’ 線
B-B’ 線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I