IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一方社油脂工業株式会社の特許一覧

特開2024-62974粉体組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いたゴム組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062974
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】粉体組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いたゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08K 9/04 20060101AFI20240501BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240501BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20240501BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240501BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C08K9/04
C08K3/36
C08K5/17
C08L9/00
B60C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023205735
(22)【出願日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 可奈
(72)【発明者】
【氏名】川上 哲郎
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA01
3D131AA02
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002BB151
4J002DJ016
4J002EN027
4J002EN037
4J002EN097
4J002EN137
4J002FB086
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD020
4J002FD110
4J002FD140
4J002FD150
4J002GG01
4J002GM01
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】タンクやコンテナ、ホッパーなどの貯蔵設備や排出装置からの排出性が良好な、シリカ分散を目的とする粉体組成物を提供する。
【解決手段】(A)平均粒子径10μm以上の粉体と、(B)特定の構造を有するアミン化合物、ジアミン化合物、アンモニウム塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する粉体組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径10μm以上の粉体と、(B)下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する粉体組成物。
【化1】


[上記式(I)、(II)、(III)において、Rは炭化水素基を表し、R~Rは、同一もしくは異なって、炭化水素基、もしくは水素、もしくは-(AO)n-H(R~Rのnは、それぞれ同一でも異なっていても良い)を表す。また、上記式(III)において、Xは有機酸、ハロゲン原子等を表す。]
【請求項2】
粉体がシリカである、請求項1記載の粉体組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の粉体組成物を用いてなるゴム部材。
【請求項4】
請求項1または2記載の粉体組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
【請求項5】
ゾルゲル法、沈降法、湿式法によって製造されたシリカに、前記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を滴下する工程を含む請求項1または2記載の粉体組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いたゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤの低燃費性能向上を目的に、シリカおよびシリカカップリング剤を配合した「エコタイヤ」が開発されている。ゴム中でシリカカップリング剤が反応し、ゴムにシリカが固定化されることで、熱によるエネルギーロスを低減できることが知られており、その原理はタイヤだけではなく、防振ゴムやベルト、ホースといった成形体でも活用されている。一方で、シリカは凝集力が強く、分散性が悪いため、十分に転がり性能を引き出せないという課題があった。そこでシリカ分散を目的とした化合物を配合した組成物が提案されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-89917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは鋭意検討した結果、シリカ分散を目的とする化合物にアミン化合物、ジアミン化合物、アンモニウム塩化合物等の窒素含有化合物を用いる場合、前記窒素含有化合物を特定の平均粒子径の粉体に担持させることにより、ハンドリング性を向上させたうえで、タンクやコンテナ、ホッパーなどの貯蔵設備や排出装置からの排出性が良好となることを見出した。
本発明は、排出性が良好なシリカ分散を目的とする粉体組成物の提供およびその製造方法、ならびに粉体組成物を用いたゴム組成物の提供に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)平均粒子径10μm以上の粉体と、(B)下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する粉体組成物。
【化1】

[上記式(I)、(II)、(III)において、Rは炭化水素基を表し、R~Rは、同一もしくは異なって、炭化水素基、もしくは水素、もしくは-(AO)n-H(R~Rのnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい)を表す。また、上記式(III)において、Xは有機酸、ハロゲン原子等を表す。]

[2]粉体がシリカである前記[1]に記載の粉体組成物。
[3]前記[1]または[2]記載の粉体組成物を用いてなるゴム部材。
[4]前記[1]または[2]記載の粉体組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
[5]ゾルゲル法、沈降法、湿式法によって製造されたシリカに、前記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を滴下する工程を含む、前記[1]または[2]記載の粉体組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、タンクやコンテナ、ホッパーなどの貯蔵設備や排出装置からの排出性が良好なシリカ分散を目的とする組成物が得られる。また、シリカ分散を目的とする化合物として特定の構造を有するアミン化合物、ジアミン化合物、アンモニウム塩化合物等の窒素含有化合物を用いることにより、ゴム組成物中のシリカ分散性が改良され、加硫品としてのゴム組成物の低燃費性能を向上することができる。シリカ含有ゴム組成物として具体的には、ゴム部材、空気入りタイヤ、ベルト、防振ゴム、オイルシール、靴底、ウェザーストリップといったゴム加工品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の粉体組成物は、(A)平均粒子径10μm以上の粉体と、(B)下記式(I)~(III)の構造で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【化2】

[上記式(I)、(II)、(III)において、Rは炭化水素基を表し、R~Rは、同一もしくは異なって、炭化水素基、もしくは水素、もしくは-(AO)n-H(R~Rのnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい)を表す。また、上記式(III)において、Xは有機酸、ハロゲン原子等を表す。]
【0008】
本発明の粉体組成物に用いる(A)成分である粉体(以下「粉体A」とも言う)は、平均粒子径10μm以上の粉体が好ましく、平均粒子径15μm以上の粉体がさらに好ましい。上限値は特に制限は無いが、例えば500μm以下が好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
【0009】
本発明の粉体組成物に用いる粉体は、平均粒子径10μm以上であれば特に制限されず、シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム等の無機粉体を用いることができる。なかでも排出性と本発明の粉体組成物を用いて得られる加硫品としてのゴム組成物の低燃費性能の観点からシリカが好ましい。
【0010】
本発明の粉体組成物に用いるシリカとしては、市販品を使用することができ、なかでも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができる。
市販品としては、
カープレックス#101(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径10μm)、
カープレックス#67(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径12μm)、
Nipsil VN3(東ソー・シリカ(株)製、平均粒子径18μm)、
SIPERNAT 50(エボニック ジャパン(株)製、平均粒子径50μm)、
SIPERNAT 22(エボニック ジャパン(株)製、平均粒子径120μm)、
カープレックス XR(DSL.ジャパン(株)製、平均粒子径125μm)、
SIPERNAT 2200(エボニック ジャパン(株)製、平均粒子径320μm)
等が挙げられる。
【0011】
粉体の平均粒子径は、レーザー回折法、動的光散乱法、コールター法、画像解析法などの粒子径測定装置によって測定することができる。
【0012】
本発明の粉体組成物に用いる(B)成分である、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される化合物(以下「化合物B」とも言う)は、シリカ分散を目的に使用するものである。ゴムとの親和性とシリカ分散性の観点から、長鎖アルキルアミン(式(I)において、R:炭素数12~20のアルキル基、RおよびR:水素である化合物)であるか、オキシアルキレン基を含む化合物であることが好ましい。なお、下記式(I)~(III)で表される化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記式(I)、(II)の塩(例えば脂肪酸塩等)でも同様の効果を得られる。
【化3】

[上記式(I)、(II)、(III)において、Rは炭化水素基を表し、R~Rは、同一もしくは異なって、炭化水素基、もしくは水素、もしくは-(AO)n-H(R~Rのnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい)を表す。また、上記式(III)において、Xは有機酸、ハロゲン原子等を表す。]
【0013】
上記式(I)、(II)、(III)において、R~Rが炭化水素基の場合、炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。ゴムとの親和性とシリカ分散性の観点から、炭化水素基の炭素数は、Rは5~22、8~20、12~18が好ましく、R~Rは炭素数1~22、1~18、1~8、1~4が好ましい。
【0014】
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、アルキニレン基等があげられる。中でも、上記炭素数のアルキル基が好ましく、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0015】
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
【0016】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基、およびキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
【0017】
~Rが-(AO)n-H基(R~Rのnは、それぞれ同一でも異なっていても良い)を表す際、R~RのAOは同一、または異なって、炭素数1~6のオキシアルキレン基を表す。ゴムとの親和性とシリカ分散性の観点から、炭素数2~3のオキシアルキレン基が好ましい(炭素数2-オキシエチレン基(EO)、炭素数3-オキシプロピレン基(PO)である)。-(AO)n-が2種類以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列は、ブロックでもランダムでもよい。
【0018】
nは、AOの平均付加モル数を表す。nは1~20が一般的であり、ゴムとの親和性とシリカ分散性の観点から、1~5が最適である。
【0019】
~Rで複数のAO付加が存在する場合、R~Rでの各付加モル数をl、m、o、で示すと、上記式(I)、(II)において、l+m=1~15、上記式(III)において、l+m+o=1~15となることが、ゴムとの親和性とシリカ分散性の観点から最適である。
【0020】
Xは有機酸、ハロゲン原子等を表し、特に好ましくは塩素原子(Cl)、もしくはメチルサルフェート(CHSO)等が好ましい。
【0021】
式(I)~(III)で表される化合物の具体的な例としてライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の代表的な製品としては、
・リポミンTD(式(I)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:水素)
・レオミックスT(リポミンTDの酢酸塩)
・リポミンDMTD(式(I)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:メチル基)
・リポノールT/12(式(I)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:-(EO)-H、AOの付加モル数合計:2)
・リポノールO/12(式(I)中、R:炭素数10~16のアルキル基、RおよびR:-(EO)-H、AOの付加モル数合計:2)
・リポノールT/15(式(I)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:-(EO)l+m-H、AOの付加モル数合計(l+m):5)
・リポミンDA-T(式(II)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびRおよびR:水素)
・レオミックスTDO(リポミンDA-Tのオレイン酸塩)
・リポノールDA-T/13(式(II)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:-(EO)-H、AOの付加モル数合計:3)
・リポミンDA-CD(式(II)中、R:炭素数10~16のアルキル基、RおよびRおよびR:水素)
・リポソカードO/12(式(III)中、R:オレイル基(炭素数18)、R、R:2-ヒドロキシエチル基、R:メチル基、X:Cl)
・リポカード210-80MSPG(式(III)中、RおよびR:デシル基(炭素数10)、RおよびR:メチル基、X:CHSO
・リポカード18-63(式(III)中、R:ステアリル基(炭素数16~18)RおよびRおよびR:メチル基、X:Cl)
等が挙げられる。
【0022】
式(I)~(III)で表される化合物としては、上記市販品等を使用してもよく、またこれら市販品等とは別に製造したものを用いてもよい。
【0023】
本発明の粉体組成物において、粉体Aの含有率は特に限定されないが、粉体組成物全質量100質量%に対し、例えば、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上であってもよく、例えば、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下であってもよい。
粉体Aの含有率が上記範囲内であると排出性に優れる。
【0024】
本発明の粉体組成物において、化合物Bの含有率は特に限定されないが、粉体組成物全質量100質量%に対し、例えば、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上であってもよく、例えば、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下であってもよい。
化合物Bの含有率が上記範囲内であると排出性に優れる。
【0025】
粉体Aと化合物Bとの質量比(A/B)は、例えば、0.42以上、0.67以上、0.82以上であってもよく、例えば、2.3以下、1.5以下、1.2以下であってもよい。
粉体Aと化合物Bとの質量比(A/B)が上記範囲内であれば排出性に優れる。
【0026】
本発明のゴム組成物は特に限定されず、タイヤ、防振ゴム、ベルト、ホース、オイルシール、靴底、ウェザーストリップなどを挙げることができる。
【0027】
本発明のゴム組成物に用いられる成分は特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、シリカ、窒素含有化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明のゴム組成物には、上記成分以外にも、タイヤ工業で従来使用されている配合剤、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム等の補強用充填剤、オイル等の各種軟化剤、シランカップリング剤、各種老化防止剤、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄、パーオキサイドなどの加硫剤、各種加硫促進剤などを配合することが可能である。
【0029】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後プレス加硫等を行うことで製造できる。
【0030】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階で、タイヤの各部材(特にトレッド)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加硫加圧して、タイヤを製造することが出来る。
【0031】
ゴム部材、防振ゴム、ベルト、ホース、オイルシール、靴底、ウェザーストリップなどに関しては、既存の方法で製造することが可能である。
【0032】
本発明の粉体組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、撹拌法、乾式法、湿式法により製造することができる。
撹拌法は、粉体Aと化合物Bをあらかじめ撹拌装置に仕込み、適切な条件で撹拌して均一に分散させ、粉体組成物を得る方法である。
乾式法は、粉体Aを撹拌装置によって撹拌しながら、化合物Bを少量ずつ添加し、均一に分散させて粉体組成物を得る方法である。
湿式法とは、まず化合物Bをあらかじめ粉体Aに対して十分な量の水や有機溶媒などに溶解させる。つぎに粉体Aを添加し、撹拌装置によって撹拌して均一に分散させる。さらに水や溶媒を加熱乾燥するなどして除去し、粉体組成物を得る方法である。
【0033】
本発明の粉体組成物の製造に用いる撹拌装置は特に限定されず、例えば、リボンミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー、ダブルコーンミキサー、V型ミキサー、パドルミキサー、トルネードミキサーなどを用いることができる。少量の粉体組成物を得る場合には、マグネチックスターラーなどを用いて粉体と窒素含有化合物を撹拌混合してもよい。
【0034】
本発明の粉体組成物の製造温度は特に限定されず、室温であってもよく、化合物Bをあらかじめ固化させる目的で室温以下に冷却してもよく、化合物Bをあらかじめ溶解させる目的で室温以上に加熱してもよい。
【実施例0035】
つぎに、製造例、実施例および比較例をあげて、本説明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
[使用原料]
・カープレックス#67:DSL.ジャパン(株)の市販品(平均粒子径12μm)
・Nipsil VN3:東ソー・シリカ(株)の市販品(平均粒子径18μm)
・SIPERNAT 50:エボニック ジャパン(株)の市販品(平均粒子径50μm)
・カープレックス XR:DSL.ジャパン(株)の市販品(平均粒子径125μm)
・リポミンTD:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の市販品(式(I)中、R1:炭素数14~18のアルキル基、R2およびR3:水素)
・リポノールT/12:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の市販品(式(I)中、R:炭素数14~18のアルキル基、RおよびR:-(EO)-H、AOの付加モル数合計:2)
【0037】
[実施例の製造方法]
表1に示す配合処方に従い、カープレックス#67 45質量部を容器に秤量し、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、あらかじめ加熱溶解させたリポミンTD 55質量部を少量ずつ滴下することによって、実施例1の粉体組成物を得た。
実施例2~4はシリカ原料を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で粉体組成物を得た。
実施例5、6はシリカ原料とリポミンTDの含有量を表1記載の量に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で粉体組成物を得た。
実施例7はリポミンTDをリポノールT/12に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で粉体組成物を得た。
【0038】
[評価方法]
(排出性)
得られた粉体組成物の安息角(側壁開放法)より、排出性を評価した。
○ : 安息角 70°未満
△ : 〃 70~80°
× : 〃 80°を超える
【0039】
【表1】

【0040】
表1から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1~7は排出性が良好である。本発明の排出性が良好なシリカ分散を目的とする粉体組成物は、タイヤ(トレッド等)をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホース、オイルシール、靴底、ウェザーストリップ等の用途に使用できる。