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特開2024-62982バイオ医薬製品を製造するための方法及びシステム
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  • 特開-バイオ医薬製品を製造するための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062982
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】バイオ医薬製品を製造するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M3/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006080
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2020526903の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】1718917.6
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン・ローセンクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】ダリア・ドナーティ
(72)【発明者】
【氏名】ミア・ベンネモ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予め定められたバイオセーフティレベル分類に従ってバイオ医薬製品を製造するための体積調整可能な製造システムを提供する。
【解決手段】バイオセーフティレベル分類されたバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための体積調整可能な製造システムと、製造システムの生産量能力を調整するための方法とを提供する。製造システムは、一以上のマルチ製品スーツと、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、分離された供給システム及び戻りシステムを備える。供給システムは少なくとも一つの入口を備え、戻りシステムは、入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された少なくとも一つの出口を備え、各入口/出口ペアは、隣接したマルチ製品スーツに接続されていない場合にはシールを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための体積調整可能な製造システムであって、前記体積調整可能な製造システムは、二以上のマルチ製品スーツと、前記二以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備え、
前記循環システムは、前記二以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成されており、前記循環システムは、分離された供給システム及び戻りシステムを備え、前記供給システムは少なくとも一つの入口を備え、前記戻りシステムは、前記入口と組にされ、前記入口から空間的に所定の位置に提供された少なくとも一つの出口を備え、前記又は各入口/出口ペアは、隣接したマルチ製品スーツに接続されていない際に、シールを備え、
前記二以上のマルチ製品スーツの各マルチ製品スーツは、前記二以上のマルチ製品スーツの他のマルチ製品スーツと相互運用的に別々である、体積調整可能な製造システム。
【請求項2】
更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために各入口/出口ペアが準備されており、入口/出口ペアの前記シールは、前記更なるマルチ製品スーツと共に前記体積調整可能な製造システムを拡大するために壊されるように構成されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項3】
更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために前記又は各入口/出口ペアが準備されており、入口/出口ペアは、前記更なる入口/出口ペアへの接続が絶たれた際にシールされるように構成されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項4】
前記体積調整可能な製造システムに第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツが含まれ、前記第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアは前記第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアに接続されており、前記制御設備は、前記第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツを相互接続する循環システム内の一方向性フローを制御するように構成されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項5】
前記供給システムは前記体積調整可能な製造システムの中央部分内の背骨として構成されており、一以上のマルチ製品スーツによって少なくとも部分的に囲われており、各マルチ製品スーツの前記戻りシステムは、前記体積調整可能な製造システムの外周に沿った通路として構成されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項6】
前記二以上のマルチ製品スーツの各マルチ製品スーツは、前記供給システムへの第一の連絡インターフェースと、前記戻りシステムへの第二の連絡インターフェースとを備える、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項7】
前記バイオセーフティレベル分類がバイオセーフティレベル2(BSL2)である、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項8】
前記第一の連絡インターフェースは材料配送インターフェースを備え、前記第二の連絡インターフェースは製品配送インターフェースを備える、請求項5に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項9】
前記材料配送インターフェースと前記製品配送インターフェースはエアーロックによって提供される、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項10】
材料配送は使い捨て器具内の指定されたマルチ製品スーツに配送された供給材料を含み、前記供給材料は特注の培地及び/又はバッファーを含む、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項11】
前記二以上のマルチ製品スーツは使い捨ての製品接触部品の材料配送を受けるように配置されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項12】
前記二以上のマルチ製品スーツの各マルチ製品スーツは各マルチ製品スーツ内の制御ユニットによって制御された少なくとも一つの更なる連絡インターフェースを備え、前記少なくとも一つの更なる連絡インターフェースは前記各マルチ製品スーツへの/からの職員のアクセスを制御するように配置されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項13】
前記二以上のマルチ製品スーツはバイオ医薬品製造のために構成されたマイクロモジュールであり、前記分離された供給及び戻りシステムは、水分補給設備と貯蔵設備とを備えるマクロ構造に接続されている、請求項1に記載の体積調整可能な製造システム。
【請求項14】
バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を拡大するための方法であって、前記製造システムは第一のマルチ製品スーツと前記第一のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備え、前記循環システムは分離された供給システム及び戻りシステムを備え、前記供給システムは入口を備え、前記戻りシステムは前記入口と組にされ、前記入口から空間的に所定の位置に提供された出口を備え、前記入口/出口ペアはシールを備え、前記方法は、
前記第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの前記空間的に所定の位置を反映するように第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの空間的に所定の位置が配置されるように、第二のマルチ製品スーツを前記第一のマルチ製品スーツに隣接した位置に配置するステップと、
前記第一のマルチ製品スーツの前記入口/出口ペアを前記第二のマルチ製品スーツの前記入口/出口ペアと相互接続するステップと、
各入口/出口ペアの前記シールを破るステップと、を備え、
前記第一のマルチ製品スーツは、前記第二のマルチ製品スーツと相互運用的に別々である、方法。
【請求項15】
前記バイオセーフティレベル分類はバイオセーフティレベル2(BSL2)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記相互接続するステップは、前記第一のマルチ製品スーツの前記入口/出口ペアと前記第二のマルチ製品スーツの前記入口/出口ペアとの間に形成された接続がバイオセーフティレベル2(BSL2)に分類されたバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための要件と適合することを検証するステップと、そのような検証に続いて前記シールを破るステップとを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造が、前記第一のマルチ製品スーツ及び前記第二のマルチ製品スーツのそれぞれに対して検証されており、各入口/出口ペアの検証を含み、前記第二のマルチ製品スーツの検証は前記第一のマルチ製品スーツの検証と相関しておらず、各入口/出口ペアの検証は形成される接続を事前に検証することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を減らすための方法であって、前記製造システムは二以上のマルチ製品スーツと前記二以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備え、前記循環システムは前記二以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成されており、前記循環システムは分離された供給システム及び戻りシステムを備え、前記二以上のマルチ製品スーツの各マルチ製品スーツは前記供給システムへの少なくとも一つの入口と前記戻りシステムからの少なくとも一つの出口とを備え、前記出口は前記入口とペアにされており、前記入口から空間的に所定の位置に提供されており、前記二以上のマルチ製品スーツは前記二以上のマルチ製品スーツの第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと相互接続された前記二以上のマルチ製品スーツの第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアを有する隣接した位置に配置されており、前記方法は、
‐前記第一のマルチ製品スーツ及び/又は前記第二のマルチ製品スーツの前記入口/出口ペアをシールすることによって前記第一のマルチ製品スーツ及び前記第二のマルチ製品スーツの接続を切るステップと、
‐前記第一のマルチ製品スーツ内の一方向性フローを制御するために前記制御設備を適合させるステップと、を含み、
前記二以上のマルチ製品スーツの各マルチ製品スーツは、前記二以上のマルチ製品スーツの他のマルチ製品スーツと相互運用的に別々である、方法。
【請求項19】
前記第二のマルチ製品スーツを新たな位置に物理的に再配置することによって前記第二のマルチ製品スーツを前記第一のマルチ製品スーツから遠ざけるステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はバイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための体積調整可能な製造システム及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
新規バイオ医薬品の開発が増加し続ける中、そのようなバイオ医薬品の生産を提供する専門の製造設備を構築するという対応する必要性が存在する。バイオ医薬生産は、例えば有害な化学物質及び/又は有機体を環境に放出することを通して、生物学的完全性の防止の喪失を防ぐためにバイオセーフティーに高い要求を課す。
【0003】
バイオセーフティーは、バイオ医薬品等の生体有害物質の取り扱いのために要求される防止メカニズム及び手段を記述するために使用される用語である。バイオセーフティーは有害な出来事から保護するために使用される。生体有害物を取り扱う多くの実験室は、感染性材料を伴う実験室での作業のための生物学的封じ込めの予防措置を参照するバイオセーフティレベルによって分類されたものに従うバイオセーフティーのための継続的なリスク管理評価と実施プロセスを採用する。従って、バイオセーフティレベルは、危険な生物学的因子を密閉された実験室設備内に隔離するために要求される一連の生物学的封じ込めの予防措置である。封じ込めのレベルは最も低いバイオセーフティレベル0(BSL-0)から最も高いレベル4(BSL-4)にわたる。
【0004】
バイオセーフティーの最も低いレベルでは、予防措置は、定期的な手洗いと最低限の保護具とからなることがある。より高いバイオセーフティレベルでは、予防措置は、エアフローシステム、複数の格納室、密閉容器、正圧要員スーツ、全ての手順のための確立されたプロトコル、広範な要員訓練、及び、施設へのアクセスを制御するための高レベルのセキュリティを含んでよい。結果として、バイオセーフティレベルが高くなると、生産コストが高くなり、そのような生産を可能にすることができる生産設備を提供するためのコストが高くなる。
【0005】
新たなバイオ医薬品の開発は典型的には、科学的発見を新たな医薬へと転換し、専門の製造設備及び装置を構築するために多くの時間及び資本の投資を要求する。先端技術は研究開発と連携したバイオ医薬品製造を推進し、多くの科学的なノウハウやインフラを必要とする。加えて、新たな医薬は、より複雑な製造プロセス、より先端的な装置、及びより高いバイオセーフティレベルへの必要性を高める。
【0006】
より高いバイオセーフティレベルのバイオ医薬品生産は、特注の生産設備と、大々的かつ連続的な要員訓練を必要とするので、生産の拡大において地理的な制限が存在する。新たな地理的な位置に生産を確立することよりも、生産設備が既に確立された場所で生産を増やすことが通常、よりコストメリットがある。地理的なクラスタリングにより、これまではより効果的な方法で人員配置や供給面に対応することが可能であったが、生産インフラ、即ち生産工場の拡大などによる、生産量を調整するための時間とコストは、生産を増やすための大きな障害となっている。全体的に見て、現在の生産動向は、妥協のない品質で製造の柔軟性を高めつつ、コスト削減に役立つことができる運転効率を実現する必要性があることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、当技術における上述した欠陥の1つ以上を軽減(mitigate)、緩和(alleviate)、または除去しようとする解決法を提供することと、バイオ医薬製品の柔軟で費用対効果の高い製造のための解決法を提供することであり、より具体的には、予め定められたバイオセーフティレベル分類に従って製造するための体積調整可能な製造システムである。
【0008】
第一の態様によれば、この目的は、バイオセーフティレベル分類されたバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための体積調整可能な製造システムであって、一以上のマルチ製品スーツと、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える体積調整可能な製造システムによって達成される。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、分離された供給システム及び戻りシステムを備える。供給システムは少なくとも一つの入口を備え、戻りシステムは、入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された少なくとも一つの出口を備え、各入口/出口ペアは、隣接したマルチ製品スーツに接続されていない場合にはシールを備える。
【0009】
体積調整可能な製造システムは、生産体積の柔軟性についてと生産開始の時間についての両方で、スケールにおいてこれまでにない柔軟性を可能にするという利点を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態において、更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために各入口/出口ペアが準備されており、入口/出口ペアのシールは、更なるマルチ製品スーツと共に体積調整可能な製造システムを拡大するために壊されるように構成されている。代替的な実施形態において、更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために各入口/出口ペアが準備されており、入口/出口ペアは、更なる入口/出口ペアへの接続が絶たれた際にシールされるように構成されている。従って、開示された体積調整可能な製造システムは、更なるマルチ製品スーツを加える又は除去することによって、簡単な生産拡大又は生産制限を可能にする。
【0011】
いくつかの実施形態において、体積調整可能な製造システムに第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツが含まれ、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアは第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアに接続されており、制御設備は、第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツを相互接続する循環システム内の一方向性フローを制御するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、供給システムは体積調整可能な製造システムの中央部分内の背骨として構成されており、一以上のマルチ製品スーツによって少なくとも部分的に囲われている。各マルチ製品スーツの戻りシステムは、体積調整可能な製造システムの外周に沿った通路として構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、各マルチ製品スーツは、供給システムへの第一の連絡インターフェースと、戻りシステムへの第二の連絡インターフェースとを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、バイオセーフティレベル分類はバイオセーフティレベル2(BSL2)である。
【0015】
いくつかの実施形態において、各マルチ製品スーツは他のマルチ製品スーツと相互運用的に別々である。
【0016】
いくつかの実施形態において、一以上のマルチ製品スーツはバイオ医薬品製造のために構成されたマイクロモジュールであり、分離された供給及び戻りシステムは、水分補給設備と貯蔵設備とを備えるマクロ構造に接続されている。
【0017】
第二の態様によれば、上記目的は、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を拡大するための方法によっても達成される。製造システムは、第一のマルチ製品スーツと、第一のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える。循環システムは分離された供給システム及び戻りシステムを含む。供給システムは一つの入口を備え、戻りシステムは、入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された一つの出口を備え、入口/出口ペアはシールを備える。この方法は、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの空間的に所定の位置を反映する(mirror)ように第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの空間的に所定の位置が配置されるように、第二のマルチ製品スーツを第一のマルチ製品スーツに隣接した位置に配置するステップを含む。この方法は、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアを第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと相互接続し、各入口/出口ペアのシールを破るステップを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、バイオセーフティレベル分類はバイオセーフティレベル2(BSL2)である。
【0019】
いくつかの実施形態において、相互接続するステップは、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアとの間に形成された接続がバイオセーフティレベル2(BSL2)に分類されたバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための要件と適合することを検証するステップと、そのような検証に続いてシールを破るステップとを備える。
【0020】
いくつかの実施形態において、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造が、第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツのそれぞれに対して検証されており、各入口/出口ペアの検証を含み、第二のマルチ製品スーツの検証は第一のマルチ製品スーツの検証と相関しておらず、各入口/出口ペアの検証は形成される接続を事前に検証することを含む。
【0021】
第三の態様によれば、上記目的は、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を減らすための方法によっても達成される。製造システムは、少なくとも二つのマルチ製品スーツと、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、分離された供給システム及び戻りシステムを備える。各マルチ製品スーツは供給システムへの少なくとも一つの入口と、戻りシステムからの少なくとも一つの出口とを備え、出口は入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供される。二つのマルチ製品スーツは、第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと相互接続された第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアを有する隣接位置に配置される。この方法は、第一のマルチ製品スーツ及び/又は第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアをシールすることによって第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツの接続を切るステップと、第一のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するために制御設備を適合させるステップとを含む。
【0022】
以上は、異なる見方を通して同様の参照符号が同じ部分を指す添付の図面に描写された、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、例示的な実施形態を描写ことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の体積調整可能な製造システムの例示的な概略配置を描写する図である。
図2a】第一のマルチ製品スーツを備える体積調整可能な製造システムの例示的な構成を描写する図である。
図2b】相互接続された第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツを備える体積調整可能な製造システムの例示的な構成を描写する図である。
図2c】相互接続された第一から第三のマルチ製品スーツを備える体積調整可能な製造システムの例示的な構成を描写する図である。
図3】いくつかの実施形態に係る例示的な方法ステップを描写するフローチャートである。
図4】いくつかの実施形態に係る例示的な方法ステップを描写するフローチャートである。
図5】生体有害化合物を製造するためのマルチ製品スーツ及びフローの例示的な構成を開示する図である。
図6】例示的な制御設備の模式図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
体積調整可能な製造システム及び製造システムの生産量能力を調整するための方法の様々な実施形態が添付図面を参照しながら以降より完全に記述されるが、製造システム及び関連方法の全てではなくいくつかの実施形態が開示される。本開示の利点及び特徴並びにそれらを達成するための方法は例示的な実施形態の以下の記述から明らかになるであろう。しかし、本開示は本願に開示される例示的な実施形態に限定されず、様々な異なった方法で実施されてよい。例示的な実施形態は、本開示の開示を徹底させるため、及び本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることに留意されたい。
【0025】
本願で使用される用語は、本開示の特定の態様を説明することのみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本願で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0026】
「含む、備える(comprise)」という用語は、リストされたもの以外の他の要素またはステップの存在を必ずしも排除するものではないことに留意されたい。更に、いかなる参照符号も特許請求の範囲を限定しないことに留意されたい。
【0027】
本願に組み込まれる周知の機能及び構造の詳細な説明は、本開示の主題を不明瞭にすることを避けるために省略される。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語又は単語は、従来の辞書定義においてのみ解釈されるべきではなく、本発明の技術的思想に対応する意味及び概念において解釈されるべきである。
【0028】
図1は、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された体積調整可能な製造のための本発明の様々な実施形態とともに使用され得る、体積調整可能な製造システムの例示的な構成を描写する。図1に開示された体積調整可能な製造システム100は、例えば第一の化合物を製造するための第一のマルチ製品スーツ110を備え、任意的に第二及び第三のマルチ製品スーツ111、112を備え、第二のマルチ製品スーツ111は化合物Aの生産のスケール拡大を可能にするために導入されてよい。第三のマルチ製品スーツ112は、例えば拡大された生産設備において化合物Bを生産することによって、製造システム内におけるより様々な生産を可能にするものとして開示されている。第三のマルチ製品スーツ112は、化合物Aの生産の著しい増加に対する必要性が存在する場合には、当然化合物Aのために使用されてもよい。また、第一及び第二のマルチ製品スーツ110、111は化合物Aの生産に専念するものとして示されているものの、それらは実際には複数の化合物の生産のために使用されてもよく、第一及び第二のマルチ製品スーツ110、111は、互いに分離された、しかしマルチ製品スーツの一方向性の循環システムに連結された、多くのバイオ医薬生産環境を含んでよい。一以上のマルチ製品スーツ内に配置された制御設備は、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成されている。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、各マルチ製品スーツ内に循環システムを提供する。更に以下に議論されるように、図2a~図2cを参照すると、循環システムは分離された供給システム及び戻りシステムを備え、供給システムは少なくとも一つの入口を備え、戻りシステムは、入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された少なくとも一つの出口を備え、各入口/出口ペアは、隣接したマルチ製品スーツに接続されていない場合にはシールを備える。いくつかの態様によれば、入口及び出口は建築用ブロックの同じ床面高さに配置される。
【0029】
図2aは、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された体積調整可能な製造のための本発明の様々な実施形態とともに使用され得る、体積調整可能な製造システム構成の例示的な実施形態を描写する。最初に、本開示の体積調整可能な製造システム200は、第一のマルチ製品スーツ210と、制御設備とを備え、例えば制御設備は、製造システムの領域内に、別の制御センター内に、又はクラウドソリューションとして配置された処理装置である。制御設備は、マルチ製品スーツ210の循環システム内の一方向性フローを制御するように構成されている。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成されている。循環システムは、生産設備、即ちマルチ製品スーツのバイオセーフティレベル分類に適合するために要求された、職員、原材料、製品、及び廃棄物の循環を可能にするように構成されてもいる。本開示のいくつかの態様によれば、バイオセーフティレベル分類はバイオセーフティレベル2(BSL2)であり、職員、原材料、製品、及び廃棄物のフローが一方向性フローであることを暗示する。BSL2の要件に適合して、BSL1又はBSL2を要求する任意の種類のバイオ医薬生産が、製造設備のマルチ製品スーツ内で製造され得る。そのような生体分子は、mAbs、Recタンパク、ワクチン、ウイルスベクター、インスリン等を含む。
【0030】
図2aに開示された通り、循環システムは分離された供給システム及び戻りシステムを備え、供給システム220は少なくとも一つの入口220aを備え、戻りシステム230は、入口220aと組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された少なくとも一つの出口230aを備え、例えば、所定のそれぞれの幅で配置され、互いから所定の距離dで配置された各入口220a及び出口230aを有する。各入口/出口ペア220a/230aは、隣接するマルチ製品スーツに接続されていない際にシール240を備え、例えばシール240の第一部分で入口220aをシールし、シール240の第二部分で出口230aをシールし、これによってシール240の第一部分及び第二部分は互いに物理的に分離されていてよい。いくつかの態様によれば、入口及び出口は建築用ブロックの同じ床面高さに配置される。
【0031】
製造システム200は、クリーンルーム領域260、即ちその内部で所与のバイオセーフティレベル分類によって規定された生物学的封じ込めの予防措置が適合されねばならない領域を更に備える。戻りシステムに加えて、そのような生物学的封じ込めの予防措置が順守されねばならない領域の例は、シード領域、USP領域、DSP領域、及び実験室領域を含む。製造システム200は、厳しい生物学的封じ込めの予防措置に対する必要性なしに、バイオ医薬品製造に重要な貢献を提供する予備領域250も含む。そのような領域は、エントランス、オフィス、保管場所、ユーティリティ領域、サポート領域、メディア準備領域、及びバッファー準備領域を含む。これらの領域間の生産フローに関連したいくらかの更なる詳細は図5を参照しつつ以下に示される。
【0032】
いくつかの実施形態において、更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために各入口/出口ペア220a、230aが準備され、入口/出口ペアのシール240は、更なるマルチ製品スーツと共に体積調整可能な製造システムを拡大するために壊されるように構成されている。いくつかの実施形態において、更なるマルチ製品スーツの更なる入口/出口ペアへの接続のために各入口/出口ペア220a、230aが準備され、入口/出口ペアは、更なる入口/出口ペアへの接続が絶たれた際にシール240でシールされるように構成されている。図2aの開示は、予備領域250の端のシール240’も描写している。バイオセーフティレベル分類はこの領域には適用されないので、この領域と、隣接するマルチ製品スーツの対応する予備領域との相互接続はセーフティレベルの検証を必要としない。これらの領域も素早い接続を達成できることは利用者便益を提供することがある。従って、マルチ製品スーツはここにおいても破壊可能なシールとともに構成されてよい。
【0033】
図2bは、増産のために製造体積が調整される実施形態とともに使用され得る、製造システム構成の例示的な実施形態を描写する。図2aの実施形態について、生産はバイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造に関連する。図2bの開示において、第一及び第二のマルチ製品スーツは接続されており、ここにおける体積調整可能な製造システム200は第一及び第二のマルチ製品スーツ210、215を備える。第一のマルチ製品スーツの分離された供給システム及び戻りシステムへのアクセスを提供する入口/出口ペアは、第二のマルチ製品スーツの分離された供給システム及び戻りシステムへのアクセスを提供する入口/出口ペアと接続されている。制御設備は、第一及び第二のマルチ製品スーツを相互接続する供給システム及び戻りシステムによって形成された循環システム内の一方向性フローを制御するように構成されている。第一及び第二のマルチ製品スーツが同じバイオセーフティレベル分類、例えばBSL2について検証されていれば、製造システムのそれぞれの部分の事前検証によって、対応するバイオセーフティレベル分類について、迅速に、二つのマルチ製品スーツを接続しシールを壊した際に形成される接続領域225の検証することが可能となる。その結果、本開示の主な便益は、使用前に接続構造の検証を必要とするに過ぎない、厳しい生物学的封じ込めの予防措置に適合された、拡張可能な生産を提示する能力である。
【0034】
図2bの開示において、二つの隣接するマルチ製品スーツの入口/出口ペア間の接続は、これらの入口/出口ペアの位置を合わせることによって形成される。しかし、いくつかの実施形態において、それぞれの入口/出口ペアの間に中間コネクタを使用することによって相互接続が達成されてよい。そのような解決策は、マルチ製品スーツをすぐに互いに隣接して配置することに対して環境障害が存在する際にも二つのマルチ製品スーツが一緒に連結され得るという利点を提供する。一以上の中間コネクタを使用する場合、取り付け前に各コネクタがシールされてよく、マルチ製品スーツと中間コネクタとの間に形成された各接続について、二つのマルチ製品スーツ間の接続を確立するために以下に開示された手順が使用されてよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、供給システム220は体積調整可能な製造システムの中央部分内の背骨として構成されており、一以上のマルチ製品スーツによって少なくとも部分的に囲われており、例えばクリーンルーム領域260によって囲まれている。複数の実施形態によれば、各マルチ製品スーツの戻りシステム230は、体積調整可能な製造システムの外周に沿った、クリーンルーム領域を少なくとも部分的に囲む通路として構成されてよい。
【0036】
図2cは、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された体積調整可能な製造のための本発明の様々な実施形態とともに使用され得る、製造システム構成の例示的な実施形態を描写する。図2cの開示において、拡大された製造システム200は、更なるマルチ製品スーツと接続されるように構成されたマルチ製品スーツ211、212を用いて達成されている。結果として、第二及び第三のマルチ製品スーツ211、212はそれぞれ、対応する入口から空間的に所定の位置に提供されたそれぞれの出口を有する二つの入口/出口ペアを備え、各入口/出口ペアは、隣接したマルチ製品スーツに接続されていない時にシール240を備える。いくつかの実施形態において、各マルチ製品スーツは他のマルチ製品スーツと相互運用的に別々であり、これは、化合物Aが第一のマルチ製品スーツ内で製造されてよい一方で化合物Bが第一のマルチ製品スーツと循環システムを共有する第二のマルチ製品スーツ内で製造されることを暗示する。BSL2の要件下で製造を実施する際、新鮮な空気の供給が共通の空調ユニットから第一の及び第二のマルチ製品スーツに供給されてよい。しかし、BSL2の要件を満たすために、各スーツは他のスーツの循環システムとは独立したそれ自身の空気循環システムを有するであろう。当然、各マルチ製品スーツについて独立した空調ユニットを使用することもできる。これは製造に要求されるインフラのコストを僅かに高めることを意味してしまうが、そのような供給システムの分離も有する利点は、一以上の更なるマルチ製品スーツとともに製造システムを拡大する段階中に起こる、より短期の中断である。
【0037】
図3に移ると、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を拡大するための方法が開示されている。製造システムは、例えば図2a~2cに開示されたような、一以上のマルチ製品スーツと、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、分離された供給システム及び戻りシステムを備える。供給システムは一つの入口を備え、戻りシステムは、入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供された一つの出口を備え、入口/出口ペアはシールを備える。本方法は、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの空間的に所定の位置を反映する(mirror)ように第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアの空間的に所定の位置が配置されるように、第二のマルチ製品スーツを第一のマルチ製品スーツに隣接した位置に配置するステップS31を含む。後続のステップにおいて、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアは第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと相互接続され(S32)、各入口/出口ペアのシールは破られる(S34)。
【0038】
いくつかの実施形態において、方法は、マルチ製品スーツの取り付け前に、バイオセーフティレベル分類に従って製造するための第一のマルチ製品スーツを検証するステップ及び/又はバイオセーフティレベル分類に従って製造するための第二のマルチ製品スーツを検証するステップを含み、各マルチ製品スーツの検証は他のマルチ製品スーツの検証とは独立して行われ、即ち、各生産設備のための事前検証プロセスを表す。従って、いくつかの実施形態において、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造が、第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツのそれぞれに対して検証されており、各入口/出口ペアの検証を含み、第二のマルチ製品スーツの検証は第一のマルチ製品スーツの検証と相関しておらず、各入口/出口ペアの検証は形成される接続を事前に検証することを含む。いくつかの実施形態において、バイオセーフティレベル2(BSL2)のバイオセーフティレベル分類について検証が行われる。
【0039】
いくつかの実施形態において、相互接続するステップは、第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアとの間に形成された接続がバイオセーフティレベル2(BSL2)に分類されたバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための要件と適合することを検証するステップS33と、そのような検証に続いてのみシールを破るステップS34とを備える。
【0040】
図4に移ると、バイオセーフティレベル分類に関連したバイオ医薬製品の品質が保証された製造のための製造システムの生産量能力を減らすための方法が開示されている。製造システムは、例えば図2b又は2cに開示されたような、二以上のマルチ製品スーツと、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するように構成された制御設備とを備える。循環システムは一以上のマルチ製品スーツを相互接続するように構成され、分離された供給システム及び戻りシステムを備える。各マルチ製品スーツは供給システムへの少なくとも一つの入口と、戻りシステムからの少なくとも一つの出口とを備え、出口は入口と組にされ、入口から空間的に所定の位置に提供される。二つのマルチ製品スーツは、第二のマルチ製品スーツの入口/出口ペアと相互接続された第一のマルチ製品スーツの入口/出口ペアを有する隣接位置に配置される。この方法は、第一のマルチ製品スーツ及び/又は第二のマルチ製品スーツの入口/出口ベアをシールすることによって第一のマルチ製品スーツ及び第二のマルチ製品スーツの接続を切るステップS41と、第一のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するために制御設備を適合させるステップS42とを含む。
【0041】
図5に移ると、BSL2用に構成されたマルチ製品スーツを含む上記で議論された体積調整可能な製造システムについて詳細が概略的に提供されている。図5の開示において、対応するバイオセーフティレベルの要件の対象である領域は対応するパターンで示されている。矢印は、原材料、製品、及び製造システム内で生じることがある廃棄物の様々な流れ(フロー)を開示するために使用されている。製造システムは、ユーティリティ領域510と、具体的な生物学的封じ込めの予防措置の要件の対象でないエントランス/オフィス/保管領域520とを含む。製造システムは、入口廊下560、サポート領域570、メディア準備領域580、およびバッファー準備領域590も備え、これらはいくつかの安全予防措置を必要とするが、これらの予防措置はBSL2要件を満たさない。BSL2の具体的な要件が順守されねばならない領域は、出口廊下530(即ち、戻りシステム)と、クリーンルーム設備(即ち、シード領域、USP領域、DSP領域を含むマルチ製品スーツ540)とを含む。図5の開示は、シード領域及びUSP領域はBSL2の要件の対象であるべきことを示しているが、バイオセーフティー環境内の異なる領域に異なるセーフティー要件が適用される実施形態も本開示の範囲内である。入口廊下560からバイオセーフティー領域へと職員、原材料の供給が存在する、即ち供給システムが存在する。図5の矢印によって描写されたように、原材料は、メディア準備領域580又はバッファー準備領域590から供給システム内に受領されてよい。サポート領域/実験室550も存在してよく、BSL2の要件が順守されねばならない。入口廊下及び出口廊下、即ち供給システム及び戻りシステムは、互いからdの距離で配置される。製造システムを拡大しようとする場合には、対応する、鏡に映された(mirrored)生産設備が、図5のマルチ製品スーツに隣接して配置されてよく、マルチ製品スーツに接続されてよい。図5に描写されたように、供給システム及び戻りシステムに関連して異なるセーフティー要件が存在してよく、これは二つの隣り合うマルチ製品スーツの間の各接続への要件に影響を与えることがある。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、各マルチ製品スーツは、供給システムへの第一の連絡インターフェースと、戻りシステムへの第二の連絡インターフェースとを備える。第1の連絡インターフェースは、例えば図5に描写されたように原材料を配送するための、材料配送インターフェースを備えてよい。第2の連絡インターフェースは、製品配送インターフェースを備えてよい。いくつかの実施形態において、材料配送インターフェースと製品配送インターフェースはエアーロックによって提供される。いくつかの実施形態において、材料配送は使い捨て器具内の指定されたマルチ製品スーツに配送された供給材料を含み、この供給材料は特注の培地及び/又はバッファーを含む。いくつかの実施形態において、マルチ製品スーツは使い捨ての製品接触部品の材料配送を受けるように配置されている。
【0043】
いくつかの実施形態において、各マルチ製品スーツはマルチ製品スーツ内の制御ユニットによって制御された少なくとも一つの更なる連絡インターフェース(職員アクセスインターフェースとも呼ばれる)を備え、少なくとも一つの更なる連絡インターフェースはマルチ製品スーツへの/からの職員のアクセスを制御するように配置されている。いくつかの実施形態において、一以上のマルチ製品スーツはバイオ医薬品製造のために構成されたマイクロモジュールであり、分離された供給システム及び戻りシステムは、水分補給設備と貯蔵設備とを備えるマクロ構造に接続されている。
【0044】
図6は、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローを制御するために構成された例示的な制御設備600の模式図を示す。制御設備は、メモリ631と、処理回路632と、入力デバイス633とを備える。制御設備は、循環システムと、循環システム内に含まれた供給システム及び戻りシステムとのデータ接続を提供するデータインターフェースも備えてよい。
【0045】
一般に、処理回路という用語は、たとえば、一以上のコンピュータ、コンピューティングエンティティ、分散システム、処理デバイス、処理エンティティ、並びに/又は、本願に記述された機能、操作、及び/若しくは処理を実行するように適合されたデバイス又はエンティティの任意の組み合わせを指し得る。そのような機能、操作、及び/又は処理は、例えば、送信、受信、操業、処理、貯蔵、創造/発生、並びに/又は本願で使用された同様の用語を含んでよい。
【0046】
制御設備600は、内部にコンピュータ実行可能プログラムコード命令の記憶を有する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品を実行するように構成されている。処理回路632でプログラムコード命令を実行するとき、一以上のマルチ製品スーツの循環システム内の一方向性フローの制御が達成されてよい。即ち、一方向性フローを制御することによって、職員、原材料及び他の種類の供給材料が循環システムの供給システムによってマルチ製品スーツに提供され、循環システムの戻りシステムによってマルチ製品スーツから排出される。特に、制御設備は、供給システムと戻りシステムとの間の直接的な通信がないことを保証するように構成されている。
【0047】
図面および明細書では、本開示の例示的な態様が開示されてきた。しかしながら、本開示の原理から実質的に逸脱することなく、これらの態様に対して多くの変形および修正を行うことができる。従って、本開示は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、上述の特定の態様に限定されると見なされるべきではない。従って、特定の用語が使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【0048】
本願で提供される例示的な実施形態の記述は、例示の目的で提示されている。記述は、網羅的であること、又は例示の実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図しておらず、修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、或いは、提供された実施形態の様々な代替の実施から得られ得る。本願で議論された例は、当業者が例示的な実施形態を様々な方法で、期待される特定の使用に適した様々な修正と共に利用できるようにするために、様々な例示的な実施形態の原理及び性質と、その実用的応用とを説明するために選択され、記述された。
【0049】
図面及び詳細な説明において、例示的な実施形態が開示されてきた。しかし、これらの実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができる。従って、特定の用語が採用されているが、それらは、限定の目的ではなく、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】