(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062988
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】優れた剛性を有する高配向延伸ポリテトラフルオロエチレン
(51)【国際特許分類】
C08J 9/00 20060101AFI20240501BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20240501BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20240501BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20240501BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C08J9/00 A CEW
B01D71/36
B01D69/00
B01D69/02
B01D69/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014996
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021573876の分割
【原出願日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】62/861,175
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ジェイ.スカイフ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ハッチンソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い固有強度、高いマトリックス弾性率、及び高い結晶化度を有する自己支持型一軸延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンを提供する。
【解決手段】一軸配向ePTFEメンブレンは、機械方向におけるマトリックス引張強度が少なくとも約1000MPaであり、周囲温度(すなわち約20℃)におけるマトリックス弾性率が少なくとも約100GPaであり、そして結晶化度が少なくとも約94%である。いくつかの実施態様では、ePTFEメンブレンは強度が約5gf/d以上であり、そしてデニールが約750g/9000m以下である。加えて、一軸配向ePTFEメンブレンの<P2>配向は少なくとも約0.98である。また、ePTFEメンブレンにおけるフィブリルはほぼ完全平行配列を有する。ePTFEメンブレンを使用して、複合体、積層体、繊維、テープ、シート、チューブ、又は他の三次元物体を形成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンであって、
機械方向における少なくとも約1000MPaのマトリックス引張強度と、
温度20℃における少なくとも約100GPaのマトリックス弾性率と、
少なくとも約94%の結晶化度と
を含む、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン。
【請求項2】
前記ePTFEメンブレンの面密度が約30mg/m2未満である、請求項1に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項3】
前記ePTFEメンブレンの<P2>配向が0.98以上である、請求項1又は2に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項4】
前記ePTFEメンブレンのバルクデニールが約750g/9000m未満である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項5】
前記ePTFEメンブレンの強度が約5gf/d超である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項6】
前記ePTFEメンブレンが自己支持型である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項7】
前記ePTFEメンブレンが一軸配向型である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項8】
前記ePTFEメンブレンに少なくとも部分的にポリマーが被覆されているか、少なくとも部分的にポリマーが吸収されているか、又はその組み合わせが施されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項9】
繊維、シート、チューブ、三次元自己支持型構造、ダイス状繊維、ダイス状シート、ダイス状チューブ、又はダイス状三次元自己支持型構造の形態を成している、請求項1から8までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項10】
スペーサ層をさらに含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項11】
前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される、請求項10に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む複合体。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む積層体。
【請求項14】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン、請求項12に記載の複合体、又は請求項13に記載の積層体を含む物品。
【請求項15】
一軸配向ePTFEメンブレンを形成する方法であって、前記方法が、
(1)第1延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから少なくとも第1片を切り分け、
(2)前記少なくとも第1片を二軸伸張させることにより、第2延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを得、
(3)前記第2延伸メンブレンから少なくとも第2片を切り分け、
(4)前記少なくとも1つの第1片と前記少なくとも1つの第2片とを積み重ねられた配向で位置決めすることにより、積み重ねられた試料を形成し、
(4)前記積み重ねられた試料を二軸伸張させ、
(5)所望の二軸配向ePTFEメンブレンが得られるまで工程(1)~(4)を繰り返し、そして
(6)前記二軸配向ePTFEメンブレンを一軸伸張させる
ことを含む、一軸配向ePTFEメンブレンを形成する方法。
【請求項16】
スペーサ層を加えることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項17】
前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
ePTFEメンブレンが機械方向に一軸伸張させられる、請求項15から17までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細孔質フルオロポリマーメンブレンに関し、そしてより具体的には、高い固有強度、高いマトリックス弾性率、高い結晶化度、及び整列したフィブリルを有する自己支持型高延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレンは、1つまたは2つ以上の特性、例えば多くの化学物質に対する不活性、生体適合性、熱安定性、低い表面エネルギー、低い摩擦係数、及び様々な形状因子、例えばメンブレン、繊維、チューブ、及びこれに類するものへ加工される能力に基づき、魅力的な材料である。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を単独で使用するか、又は複合体及び/又は積層体内で使用することにより、種々の用途で使用するための物品を製造することができる。これらの用途の多くは、より軽量であり、より薄く、より強く、且つ/又は改善された光学特性を有する材料を使用することから恩恵を受けることができる。このようなものとして、改善された特性を有するePTFE物品を提供することが絶えず必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様(「態様1」)によれば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンが、機械方向における少なくとも約1000MPaのマトリックス引張強度と、温度20℃における少なくとも約100GPaのマトリックス弾性率(matrix modulus)と、少なくとも約94%の結晶化度とを含む。
【0004】
態様1に付加された別の態様(「態様2」)によれば、前記ePTFEメンブレンの面密度が約30mg/m2未満である。
【0005】
態様1に付加された別の態様(「態様3」)によれば、前記ePTFEメンブレンの<P2>配向が0.98以上である。
【0006】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様4」)によれば、前記ePTFEメンブレンのバルクデニールが750g/9000mである。
【0007】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様5」)によれば、前記ePTFEメンブレンの強度(tenacity)が約5gf/d超である。
【0008】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様6」)によれば、前記ePTFEメンブレンが自己支持型である。
【0009】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様7」)によれば、前記ePTFEメンブレンが一軸配向型である。
【0010】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様8」)によれば、前記ePTFEメンブレンに少なくとも部分的にポリマーが被覆されているか、少なくとも部分的にポリマーが吸収されているか、又はその組み合わせが施されている。
【0011】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様9」)によれば、前記ePTFEメンブレンが、繊維、シート、チューブ、三次元自己支持型構造、ダイス状繊維、ダイス状シート、ダイス状チューブ、又はダイス状三次元自己支持型構造の形態を成している。
【0012】
先行の態様のいずれか1つに付加された別の態様(「態様10」)によれば、前記ePTFEメンブレンがスペーサ層をさらに含む。
【0013】
態様10に付加された別の態様(「態様11」)によれば、前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される。
【0014】
別の態様(「態様12」)によれば、複合体が、いずれか1つの先行の態様の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む。
【0015】
別の態様(「態様13」)によれば、積層体が、いずれか1つの先行の態様の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む。
【0016】
別の態様(「態様14」)によれば、物品が、態様1から11の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン、態様12の複合体、又は態様13の積層体を含む。
【0017】
別の態様(「態様15」)によれば、一軸配向ePTFEメンブレンを形成する方法であって、前記方法が、
(1)第1延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから少なくとも第1片を切り分け、
(2)前記少なくとも第1片を二軸伸張させることにより、第2延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを得、
(3)前記第2延伸メンブレンから少なくとも第2片を切り分け、
(4)前記少なくとも1つの第1片と前記少なくとも1つの第2片とを積み重ねられた配向で位置決めすることにより、積み重ねられた試料を形成し、
(5)所望の二軸配向ePTFEメンブレンが得られるまで工程(1)~(4)を繰り返し、そして
(6)前記二軸配向ePTFEメンブレンを一軸伸張させる
ことを含む。
【0018】
態様15に付加された別の態様(「態様16」)によれば、前記方法がスペーサ層を加えることをさらに含む。
【0019】
態様16に付加された別の態様(「態様17」)によれば、前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される。
【0020】
態様15に付加された別の態様(「態様18」)によれば、ePTFEメンブレンが機械方向に一軸伸張させられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面は、本開示のさらなる理解のために含まれ、そして本明細書中に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成し、実施態様を例示し、そして記載内容と一緒に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0022】
【
図1】
図1は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例1の試料E1Gを、約63ミクロンの全水平方向フィールド幅で、2,000倍の倍率で撮影した走査型透過電子顕微鏡(STEM)画像である。
【0023】
【
図2】
図2は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例1の試料E1Gを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0024】
【
図3】
図3は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例1の試料E1Gを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0025】
【
図4】
図4は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例1の試料E1Hを、約6ミクロンの全水平方向フィールド幅で、20,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0026】
【
図5】
図5は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例1の試料E1Iを、約63ミクロンの全水平方向フィールド幅で、2,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0027】
【
図6】
図6は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例2の試料E2Eを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0028】
【
図7】
図7は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例2の試料E2Fを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0029】
【
図8】
図8は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例2の試料E2Gを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0030】
【
図9】
図9は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例3の試料E3Aを、約1.27ミクロンの全水平方向フィールド幅で、100,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0031】
【
図10】
図10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例3の試料E3Bを、約6ミクロンの全水平方向フィールド幅で、20,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0032】
【
図11】
図11は、本明細書中に記載された実施態様に基づく(約6ミクロンの全水平方向フィールド幅で、20,000倍の倍率で撮影された)実施例5の試料E1HのSTEM画像であって、フィブリル幅を測定するために手動画像解析を用いたものである。
【0033】
【
図12】
図12は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の
図11の手動画像解析からのフィブリル幅データ(ナノメートル)のヒストグラム、及び対数正規分布のフィットである。
【0034】
【
図13】
図13は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例5の試料E5Aを、約21ミクロンの全水平方向フィールド幅で、6,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0035】
【
図14】
図14は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Bを、約21ミクロンの全水平方向フィールド幅で、6,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0036】
【
図15】
図15は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Cを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0037】
【
図16】
図16は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Dを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0038】
【
図17】
図17は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Eを、約21ミクロンの全水平方向フィールド幅で、6,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0039】
【
図18】
図18は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Fを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0040】
【
図19】
図19は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Gを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0041】
【
図20】
図20は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Hを、約21ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影した走査型透過電子顕微鏡(STEM)画像である。
【0042】
【
図21】
図21は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Iを、約6ミクロンの全水平方向フィールド幅で、20,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0043】
【
図22】
図22は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Hを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0044】
【
図23】
図23は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例5の試料E5Iを、約25ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0045】
【
図24】
図24は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例6の試料E6A,E6B,E6D及びE6Eの品質係数対粒径を示すグラフである。
【0046】
【
図25】
図25は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例6の試料E6Aを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0047】
【
図26】
図26は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例6の試料E6Bを、約12ミクロンの全水平方向フィールド幅で、10,000倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0048】
【
図27】
図27は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例6の試料E6Aを、約84ミクロンの全水平方向フィールド幅で、1,500倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0049】
【
図28】
図28は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例6の試料E6Bを、約84ミクロンの全水平方向フィールド幅で、1,500倍の倍率で撮影したSTEM画像である。
【0050】
【
図29】
図29は、本明細書中に記載された実施態様に基づく試料E7A(灰色線、48層)及び試料E7B(黒線、3層)の%透過率対波長を示すグラフである。
【0051】
【
図30】
図30は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例8の試料E8CのX線回折パターン(XRD)である。
【0052】
【
図31】
図31は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例8の(熱処理)試料E8DのX線回折パターン(XRD)である。
【0053】
【
図32】
図32は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例8の試料E8C(ボトムトレース-非熱処理)及びE8D(トップトレース-熱処理)のq(nm
-1)対強度(10~45nm
-1)を示すグラフである。
【0054】
【
図33】
図33は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例8の試料E8C(ボトムトレース-非熱処理)及びE8D(トップトレース-熱処理)のq(nm
-1)対強度(10~20nm
-1範囲に焦点)を示すグラフである。
【0055】
【
図34】
図34は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例9の試料E9Aのマトリックス貯蔵弾性率対温度を示すグラフである。
【0056】
【
図35】
図35は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例9の試料E9AのX線回折パターン(XRD)である。
【0057】
【
図36】
図36は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例9の試料E9Aの強度対2-シータを示すグラフである。
【0058】
【
図37】
図37は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例9の試料E9Aを、約23ミクロンの全水平方向フィールド幅で、5000倍の倍率で撮影したSEM画像である。
【0059】
【
図38】
図38は、本明細書中に記載された実施態様に基づく実施例10の試料のナノ粒子保持率対濾液透過率を示すグラフである。
【0060】
【
図39】
図39は、本明細書中に記載された実施態様に基づく二軸延伸メンブレンを製造する方法を概略的に示すダイアグラムである。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
面積加重フィブリル幅は下記等式:
【数4】
を利用して計算された。
【0065】
【数5】
で計算され、
表面積:A(m
2)
体積:V(m
3)、及び
結晶性PTFEの密度ρ
x (g/m
3)
であった。
【0066】
比表面積(w
mに基づく)(m
2/g)は下記等式:
【数6】
で計算された。
【0067】
【0068】
面密度(面積当たり質量)(g/m2):
面密度(初期):MPAo及び
面密度(最終):MPAf
【0069】
層の数(n)
【0070】
面積比(AR)は下記等式:
【数8】
によって計算された。
【発明を実施するための形態】
【0071】
当業者には容易に明らかなように、所期機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって、本開示の種々の態様を実現することができる。さらに念のために述べるならば、本明細書中で参照される添付の図面は必ずしも原寸に比例しているわけではなく、本開示の種々の態様を示すために誇張されることがあり、それに関しては、図面は制限的なものとして解釈されるべきではない。
【0072】
加えて、本明細書中に使用される「隣接する」及び「に隣接する」という用語は、あるエレメントが別のエレメントに「隣接する」場合に、エレメントは他のエレメントに直接に隣接するか、あるいは介入するエレメントが存在してもよいことを意味する。本明細書中に使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のものを明示するのでない限り複数形を含むものとする。本明細書中の「on」という用語は、あるエレメントが別のエレメント上(on)にある場合に、これが他のエレメント上に直接にあるか、あるいは介入するエレメントが存在してもよいことを意味する。言うまでもなく、「微粉末」及び「粉末」という用語は本明細書中では相互に置き換え可能に使用することができる。また「ePTFEメンブレン」及び「メンブレン」という用語も本明細書中では相互に置き換え可能に使用することができる。さらに、本出願において、「ePTFEメンブレン」という用語は、ePTFEメンブレンの単独の層又は複数の層を含むものとする。言うまでもなく、機械方向と長手方向とは同じであり、本明細書中では相互に置き換え可能に使用することができる。加えて、「微細孔質ePTFEメンブレン」及び「ePTFEメンブレン」という用語も本明細書中では相互に置き換え可能に使用することができる。
【0073】
1つの態様では、本発明は、高い結晶化度、高い固有強度、低い面密度(すなわち軽量)、及び高い光透過性を有する薄い自己支持型二軸配向ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンに関する。具体的には、ePTFEメンブレンは結晶化度が少なくとも約94%であり、そして長手方向及び横方向の両方におけるマトリックス引張強度が少なくとも約600MPaであってよい。ePTFEメンブレンは面密度が約100mg/m2未満、そして総視感透過率が少なくとも98%であってよい。加えて、ePTFEメンブレンは、透明であるか又は肉眼には見えない。さらにePTFEメンブレンは積み重ね可能であり、これを用いて、透過率、孔サイズ、及び/又はバルク機械特性を制御することができる。ePTFEメンブレンを使用して、複合体、積層体、繊維、シート、チューブ、又は他の三次元物体を形成することができる。これを続いてダイシング又はその他の切断又は切り分けを施すことにより、より小さな部分にしてもしなくてもよい。加えて、二軸配向ePTFEメンブレンは濾過用途に使用することができる。別の態様では、二軸配向ePTFEメンブレンは一軸延伸することができる。これはフィルビルを1方向に整列させる(以後、一軸配向ePTFEメンブレン)。このようなePTFEメンブレンは、1デニール当たり約5重量グラム超の強度(tenacity)(gf/d)と、9000メートル当たり約750グラム未満のバルクデニール(g/9000m)とを有していてよい。
【0074】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーの場合、所望の多孔質構造を得るためには、粒子サイズ、形状、及びその分布が重要である。これらの粒子特性は充填密度並びに結合密度に影響を与え、これにより、粒子から製造され得る多孔質構造に影響を与える。PTFE樹脂は粒状形態、例えば微粉末形態で提供される。PTFE微粉末は一次粒子から形成される。
【0075】
ePTFEメンブレンを形成する際には、PTFE微粉末を先ず潤滑剤、例えば軽油と混合する。好適な潤滑剤の1つの具体例はイソパラフィン系炭化水素、例えばISOPAR(登録商標) K (ExxonMobil Chemical, Spring, TX)である。他の好適な潤滑剤は脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及びこれに類するものを含み、可燃性、蒸発速度、及び経済的考慮事項に基づいて選択される。言うまでもなく、本明細書中に使用された「潤滑剤」という用語は、プロセス条件においてポリマーのための溶媒ではない非圧縮性流体を含む(又は非圧縮性流体から成る)処理助剤を表すものとする。流体-ポリマー表面相互作用は、均質混合物を形成し得るように生じる。なお、潤滑剤の選択は特に限定的ではなく、潤滑剤の選択は主として安全性及び便宜性が重要である。潤滑剤は、約242mL/kg~約340mL/kgの量でPTFE粉末に添加することができる。
【0076】
少なくとも1つの実施態様では、PTFE微粉末と潤滑剤とを混合することにより、潤滑剤をPTFE粉末と一緒に均一又はほぼ均一に分配する。言うまでもなく、PTFE粉末を潤滑剤中に分配するためには種々の時間及び混合方法を用いることができる。ひとたび潤滑剤及びPTFE粉末が十分に分配されたら、潤滑化された粉末を圧縮して円柱形(すなわちペレット)にする。次いで、押出機ダイを通してペレットをラムで押し出すことにより(例えば、潤滑剤が存在する場合には典型的にはペースト押出又はペースト処理と呼ばれる)、凝集性の可撓性PTFEテープを製造することができる。本明細書中に使用される「凝集性(cohesive)」とは、さらなる処理のために十分に強いテープを表すものとする。ラム押し出しはPTFEポリマーの溶融温度未満(例えば327℃未満)で行われる。形成されたテープは不確定の長さと、約1.0mm未満、約0.8mm未満、約0.5mm未満、又は約0.4mm未満の厚さとを有している。凝集性の可撓性テープを以後単に「テープ」と呼ぶ。
【0077】
後続の工程において、潤滑剤をテープから除去する。ISOPAR(登録商標) Kが潤滑剤である事例では、テープを約200℃に加熱してよい。他の実施態様では、ヘキサン又はその他の適宜の溶媒中でテープを洗浄することによって、潤滑剤を除去することができる。潤滑剤が十分な揮発性を有する場合には、潤滑剤は洗浄工程なしに除去してよく、あるいは熱及び/又は真空によって除去してもよい。しかしながら言うまでもなく、いかなる好都合な乾燥方法を用いてもよい。
【0078】
次いでテープを長手方向及び横方向に同時に延伸させる(すなわち二軸延伸)。本明細書中に使用される「二軸延伸(biaxially expanded, biaxial expansion)」及び「二軸配向(biaxially oriented)」という用語は、フィブリルが実質的に面内配向されるように少なくとも2つの直交方向に延伸させられたポリマー、メンブレン、プリフォーム、又は物品を表すものとする。1実施態様では、テープを続いて機械方向にのみ延伸させる(すなわち一軸延伸)。本明細書中に使用された「一軸」、「一軸配向」、又は「一軸延伸」という用語は、ただ1つの方向(例えば機械方向(MD)又は横方向(TD))に延伸させられたポリマー、メンブレン、プリフォーム、又は物品を表すものとする。延伸は約10,000%/秒まで、約5,000%/秒まで、約2,500%/秒まで、約1,000%/秒まで、約750%/秒まで、約500%/秒まで、約250%/秒まで、約150%/秒まで、約100%/秒まで、約75%/秒まで、約50%/秒まで、約40%/秒まで、約35%/秒まで、約30%/秒まで、約20%/秒まで、約10%/秒まで、又は約5%/秒までの歪み速度で、熱を伴って又は伴わずに行われてよい。加えて、テープは、約1%/秒~約10,000%/秒、約1%/秒~約5,000%/秒、約1%/秒~2,500%/秒、約1%/秒~約1,000%/秒、約1%/秒~約750%/秒、約1%/秒~約500%/秒、約1%/秒~約250%/秒、約1%/秒~約150%/秒、約1%/秒~約100%/秒、約1%/秒~約75%/秒、約1%/秒~約50%/秒、約1%/秒~約40%/秒、約1%/秒~約35%/秒、約1%/秒~約30%/秒、約1%/秒~約20%/秒、約1%/秒~約10%/秒、又は約1%/秒~約5%/秒で(熱を伴って又は伴わずに)延伸させてよい。言うまでもなく、延伸させると固有強度の増大が同時に発生する。PTFEポリマーの固有強度の増大は、延伸前のテープの強度、PTFE樹脂の品質(例えば粒子サイズ、分子量、粒子サイズ及び/又は分子量の分布、結晶化度、ポリマーの組成、及びこれに類するもの)、延伸が行われたときの温度、延伸速度、及び/又は総延伸量に依存する。
【0079】
テープを二軸延伸させ、そしていくつかの実施態様では、加えて一軸延伸させることにより、ePTFEメンブレンを形成する。テープは同じ又は異なる歪み速度で、そして同じ又は異なる温度で延伸させることにより、微細孔質ePTFEメンブレンを得ることができる。本明細書中に使用される「微細孔質」という用語は、肉眼では見ることができない孔を有する物品、例えばメンブレンを定義するものとする。このように製造されたePTFEメンブレンの材料特性は、ePTFE一次粒子(すなわちPTFE微粉末)をフィブリルに効率的且つ完全に変換することにより、コンベンショナルなメンブレンの比較特性を超越することが見いだされている。本明細書中で論じられるePTFEメンブレンがコンベンショナルなePTFEメンブレンの特性、例えば化学的不活性、熱安定性、低い表面エネルギー、低い摩擦係数、生体適合性、及び広範な使用温度を維持すると有利である。ePTFEメンブレンは任意には約390℃までの温度で熱処理することができる。ePTFEメンブレンを一軸延伸させることにより、これが伸張される方向(すなわち機械方向(MD)又は横方向(TD))に一軸配向フィブリル、高い結晶化度、及び高いマトリックス引張強度を有するePTFEメンブレンが形成される。以後、ePTFEメンブレンは機械方向に延伸させることに関して記述するものの、言うまでもなく横方向の延伸も本発明の範囲に含まれるものと考えられる。
【0080】
二軸配向ePTFEメンブレンは極めて薄く、約2mm未満、約1.5mm未満、約1.0mm未満、約0.5mm未満、約0.3mm未満、約0.1mm未満、0.05mm未満、0.005mm未満、0.001mm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm未満、約5nm未満、又は約1nm未満の総メンブレン厚を有してよい。本明細書中に使用される「約」という用語は、記載された数又は量の±10%の範囲を意味するものとする。二軸配向ePTFEメンブレンは、約1nm~約100nm、約1nm~約90nm、約1nm~約80nm、約1nm~約70nm、約1nm~約60nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、又は約1nm~約10nmの総メンブレン厚を有するように形成されてよい。
【0081】
少なくとも1つの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの、1層当たりの厚さは、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、約50nm、又は40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約4nm未満、約3nm未満、約2nm未満、約1nm未満である。いくつかの実施態様では、ePTFEメンブレンの、1層当たりの厚さは、約1nm~約100nm、約1nm~約90nm、約1nm~約80nm、約1nm~約70nm、約1nm~約60nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約4nm、約1nm~約3nm、又は約1nm~約2nmである。二軸配向ePTFEメンブレンはコンベンショナルなePTFEメンブレンとは異なり、肉眼では見えないほどに薄い。
【0082】
二軸配向ePTFEメンブレンの「不可視性」はまた、ePTFEメンブレンのフィブリル微細構造にも少なくとも部分的に起因する。大まかに言えば、フィブリルは実質的に円柱形状である。本明細書中に使用される「実質的に円柱形」という用語は、二軸配向ePTFEメンブレン内のフィブリルの断面におけるアスペクト比が約1:1~約10:1であることを意味するように、本明細書中で使用される。加えて、二軸配向ePTFEメンブレン内のフィブリルは細く、約80nm以下のフィブリル幅中央値を有する。いくつかの実施態様では、フィブリル幅中央値は、約70nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満である。いくつかの実施態様では、フィブリル幅中央値は、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm、約10nm~約60nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、又は約10nm~約20nmである。いくつかの実施態様では、フィブリル幅中央値は、約20nm~約70nm、約30nm~約60nm、約40nm~約50nmである。他の実施態様では、フィブリル幅中央値は、約30nm~約80nm、約40nm~約80nm、約50nm~約80nm、約60nm~約80nm、又は約70nm~約80nmである。2つ又は3つ以上のフィブリルの交差又はオーバーラップは「クロスオーバー点」と本明細書中では呼ぶ。いくつかの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの厚さは2つのフィブリルのクロスオーバー点の厚さであってよい。
【0083】
加えて、1層当たりの面密度が約100mg/m2(0.1g/m2)未満、約90mg/m2(0.09g/m2)未満、約80mg/m2(0.08g/m2)未満、約70mg/m2(0.07g/m2)未満、約60mg/m2(0.06g/m2)未満、約50mg/m2(0.05g/m2)未満、約40mg/m2(0.04g/m2)未満、約30mg/m2(0.03g/m2)未満、約20mg/m2(0.02g/m2)未満、約15mg/m2(0.015g/m2)未満、約10mg/m2(0.01g/m2)未満、約5mg/m2(0.005g/m2)未満、約4mg/m2(0.004g/m2)未満、約3mg/m2(0.003g/m2)未満、約2mg/m2(0.002g/m2)、1.0mg/m2(0.001g/m2)未満、約0.50mg/m2(0.0005g/m2)未満、約0.40mg/m2(0.0004g/m2)未満、約0.30mg/m2(0.0003g/m2)未満、約0.20mg/m2(0.0002g/m2)未満、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)未満、約0.05mg/m2(0.00005g/m2)、又は約0.003mg/m2(0.000003g/m2)未満である二軸配向ePTFEメンブレンが著しく軽量である。いくつかの実施態様では、1層当たりの面密度は、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約100mg/m2(0.1g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約90mg/m2(0.09g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約80mg/m2(0.08g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約70mg/m2(0.07g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約60mg/m2(0.06g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約50mg/m2(0.05g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約40mg/m2(0.04g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約30mg/m2(0.03g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約20mg/m2(0.02g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約10mg/m2(0.01g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約1.0mg/m2(0.001g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.5mg/m2(0.0005g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.4mg/m2(0.0004g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.3mg/m2(0.0003g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.2mg/m2(0.0002g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.1mg/m2(0.0001g/m2)、又は約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.05mg/m2(0.00005g/m2)である。いくつかの実施態様では、1層当たりの面密度は、約5mg/m2(0.005g/m2)~約100mg/m2(0.1g/m2)、約20mg/m2(0.02g/m2)~約90mg/m2(0.09g/m2)、又は約30mg/m2(0.03g/m2)~約80mg/m2(0.08 g/m2)である。
【0084】
さらに、二軸配向ePTFEメンブレンの面積比は約2,000:1~約300,000,000:1である。いくつかの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの面積比は約20,000:1~約300,000,000:1、約40,000:1~約300,000,000:1、約60,000:1~約300,000,000:1、約80,000:1~約300,000,000:1、約100,000:1~約300,000,000:1、約250,000:1~約300,000,000:1、約500,000:1~約300,000,000:1、約1,000,000:1~約300,000,000:1、又は約2,500,000:1~約300,000,000:1である。
【0085】
加えて、二軸配向ePTFEメンブレンの総面密度は、約100g/m2未満、約10g/m2未満、約5g/m2未満、約1g/m2未満、約0.5g/m2未満、約0.1g/m2未満、約50mg/m2(0.05g/m2)未満、約10mg/m2(0.01g/m2)未満、約5.0mg/m2(0.005g/m2)未満、約4.0mg/m2(0.004g/m2)未満、約3.0mg/m2(0.003g/m2)未満、約2.0mg/m2(0.002g/m2)未満、約1.0mg/m2(0.001g/m2)未満、約0.50mg/m2(0.0005g/m2)未満、約0.40mg/m2(0.0004g/m2)未満、約0.30mg/m2(0.0003g/m2)未満、約0.20mg/m2(0.0002g/m2)未満、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)未満、約0.07mg/m2(0.00007g/m2)未満、約0.05mg/m2(0.00005g/m2)未満、約0.03mg/m2(0.00003g/m2)未満、約0.007mg/m2(0.000007g/m2)、又は約0.003mg/m2(0.000003g/m2)未満であってよい。いくつかの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの総面密度は、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約100g/m2、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約10g/m2、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約1.0g/m2、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.5g/m2、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.1g/m2、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約50mg/m2(0.05g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約10mg/m2(0.01g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約5mg/m2(0.005g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約4.0mg/m2(0.004g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約3.0mg/m2(0.003g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約2.0mg/m2(0.002g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約1.0mg/m2(0.001g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.50mg/m2(0.0005g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.40mg/m2(0.0004g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.30mg/m2(0.0003g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.20mg/m2(0.0002g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.10mg/m2(0.0001g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.07mg/m2(0.00007g/m2)、約0.003mg/m2(0.000003g/m2)~約0.05mg/m2(0.00005g/m2)、又は約0.10mg/m2(0.010g/m2)~約10g/m2である。
【0086】
1層当たりの面密度が約500mg/m2(0.5g/m2)未満、約400mg/m2(0.4g/m2)未満、約300mg/m2(0.3g/m2)未満、約200mg/m2(0.2g/m2)未満、約100mg/m2(0.1g/m2)未満、約70mg/m2(0.07g/m2)未満、約50mg/m2(0.05g/m2)未満、約30mg/m2(0.03g/m2)未満、約25mg/m2(0.025g/m2)未満、約20mg/m2(0.02g/m2)未満、約15mg/m2(0.015g/m2)未満、約10mg/m2(0.01g/m2)未満、約5mg/m2(0.005g/m2)未満、約4mg/m2(0.004g/m2)未満、約3mg/m2(0.003g/m2)未満、約2mg/m2(0.002g/m2)未満、約1.0mg/m2(0.001g/m2)未満、約0.50mg/m2(0.0005g/m2)未満、約0.40mg/m2(0.0004g/m2)未満、約0.30mg/m2(0.0003g/m2)未満、約0.20mg/m2(0.0002g/m2)、又は約0.10mg/m2(0.0001g/m2)未満である一軸配向ePTFEメンブレンも著しく軽量である。いくつかの実施態様では、面密度は、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約500mg/m2(0.5g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約400mg/m2(0.4g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約300mg/m2(0.3g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約200mg/m2(0.2g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約100mg/m2(0.1g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約70mg/m2(0.07g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約50mg/m2(0.05g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約30mg/m2(0.03g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約20mg/m2(0.02g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約15mg/m2(0.015g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約10mg/m2(0.01g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約5mg/m2(0.005g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約0.40mg/m2(0.0004g/m2)、約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約0.30mg/m2(0.0003g/m2)、又は約0.10mg/m2(0.0001g/m2)~約0.20mg/m2(0.0002g/m2)である。
【0087】
薄く軽量であるにもかかわらず、二軸延伸させられたePTFEメンブレンは高い固有強度特性を有する。ePTFEメンブレンのマトリックス引張強度(MTS)は、長手方向及び横方向の両方で少なくとも600MPa、長手方向及び横方向の両方で少なくとも約650MPa、少なくとも約700MPa、少なくとも約750MPa、少なくとも約800MPa、少なくとも約850MPa、少なくとも約900MPa、又は少なくとも約1000MPaである。少なくとも1つの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンのマトリックス引張強度(MTS)は、長手方向及び横方向の両方で、約600MPa~約1000MPa、約650MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約750MPa~約1000MPa、約800MPa~約1000MPa、約850MPa~約1000MPa、又は約900MPa~約1000MPaである。
【0088】
加えて、付加的に一軸延伸させられたePTFEメンブレンはより高い固有強度特性を有する。いくつかの実施態様では、ePTFEメンブレンのマトリックス引張強度(MTS)は、機械方向で約1000MPa超、機械方向で約1100MPa超、機械方向で約1200MPa超、機械方向で約1200MPa超、機械方向で約1300MPa超、又は機械方向で約1400MPa超である。いくつかの実施態様では、一軸配向ePTFEメンブレンのマトリックス引張強度(MTS)は、機械方向で約1000MPa~約1400MPa、機械方向で約1100MPa~約1400MPa、機械方向で約1200MPa~約1400MPa、機械方向で約1200MPa~約1300MPa、又は横方向で約1300MPa~約1400MPaである。言うまでもなく、マトリックス引張強度は本明細書では機械方向に関して提供されているものの、横方向に延伸させられたePTFEメンブレンにも等しく適用することができる。
【0089】
加えて、一軸配向ePTFEメンブレンのマトリックス貯蔵弾性率は周囲温度(すなわち約20℃)で少なくとも100GPaである。いくつかの実施態様では、一軸配向ePTFEメンブレンの周囲温度(すなわち約20℃)におけるマトリックス貯蔵弾性率は、約100GPa~約111GPa、約101GPa~約111GPa、約102GPa~約111GPa、約103GPa~約GPa、約104GPa~約111GPa、約105GPa~約111GPa、約106GPa~約111GPa、約107GPa~約111GPa、約108GPa~約111GPa、約109GPa~約111GPa、又は約110GPa~約111GPaである。さらに一軸配向ePTFEのバルクデニールは、約750g/9000mである。いくつかの実施態様では、一軸配向ePTFEのバルクデニールは、約0.5g/9000m~約750g/9000m、約0.5g/9000m~約650g/9000m、約0.5g/9000m~約500g/9000m、約100g/9000m~約450g/9000m、約0.5g/9000m~約400g/9000m、約0.5g/9000m~約350g/9000m、約0.5g/9000m~約250g/9000m、約0.5g/9000m~約200g/9000m、約0.5g/9000m~約150g/9000m、約0.5g/9000m~約100g/9000m、約0.5g/9000m~約50g/9000m、0.5g/9000m~約25g/9000m、約0.5g/9000m~約15g/9000m、約0.5g/9000m~約10g/9000m、約0.5g/9000m~約5g/9000m、約0.5g/9000m~約3g/9000m,又は約0.5g/9000m~約1g/9000mである。
【0090】
加えて、一軸配向ePTFEメンブレンの強度(tenacity)は少なくとも約5gf/dである。いくつかの実施態様では、一軸配向ePTFEメンブレンの強度は、約5gf/d~約8gf/d、約6gf/d~約8gf/d、又は約6gf/d~約7gf/dである。さらに、一軸配向ePTFEメンブレンは0.985以上の<P2>配向を有している。
【0091】
加えて、二軸配向ePTFEメンブレンの空気抵抗はわずかにすぎない。いくつかの実施態様では、ePTFEメンブレンの空気抵抗は、約30,000Pa・s/m未満、約25,000Pa・s/m未満、約20,000Pa・s/m未満、約15,000Pa・s/m未満、約10,000Pa・s/m未満、約7,500Pa・s/m未満、約5000Pa・s/m未満、約2000Pa・s/m未満、約1500Pa・s/m未満、約1000Pa・s/m未満、約750Pa・s/m未満、約500Pa・s/m未満、約250Pa・s/m未満、又は約150Pa・s/mであってよい。いくつかの実施態様では、空気抵抗は、約100Pa・s/m~約2000Pa・s/m、約100Pa・s/m~約1500Pa・s/m、約100Pa・s/m~約1000Pa・s/m、約100Pa・s/m~約750Pa・s/m、約100Pa・s/m~約500Pa・s/m、約100Pa・s/m~約250Pa・s/m、又は約250Pa・s/m~約500Pa・s/mである。ePTFEメンブレンの高い表面積と組み合わされた低い空気抵抗は、高性能の濾過デバイスを可能にする。
【0092】
二軸配向ePTFEメンブレンはまた、総視感透過率(380nm~780nmで測定)が約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上であり、高い光透過性を有している。模範的実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの総視感透過率は、約90%~約99%、約95%~約99%、又は約98%~約99%であってよい。いくつかの実施態様では、ePTFEメンブレンの総視感透過率はほぼ100%である。
【0093】
(二軸配向及び一軸配向された)ePTFEメンブレンのフィブリルは、ePTFEが多孔質であるように、又はePTFEが無孔質であるように、少なくとも1種の被覆組成物、例えばポリマー又は生物学的被膜によって任意に被覆されてよい。任意のコンベンショナルな被覆法、例えば溶媒被覆、噴霧被覆、回転被覆、蒸着、原子層体積(ALD)、又は浸漬被覆によって、ePTFEメンブレンに被膜組成物を被着することができる。加えて、成分、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフルオロアクリレート(PFA)及びシリコーンのシート間を加熱しながら圧縮することにより、ePTFEメンブレンに被膜を被着することもできる。
【0094】
いくつかの実施態様では、被膜組成物は、二軸配向又は一軸配向ePTFEメンブレンの厚さを貫通する空間の少なくとも一部を占めるか又は埋める。ePTFEメンブレン上又はePTFEメンブレン内に被覆し且つ/又は吸収させるのに適したポリマー及び/又は生物学的被膜の一例としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリアミド-イミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリシロキサン、エポキシ、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリレート、ポリパラキシリレン、テトラフルオロエチレン(TFE)とVDF(フッ化ビニリデン)とHFP(ヘキサフルオロプロピレン)とのターポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルキルエーテル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリビニルアルコール(PVA)、CBAS(登録商標)/ヘパリン被膜(W.L. Gore & Associates, Inc.から商業的に入手可能)、抗菌剤、抗体、医薬品、生物学的存在物、血管新生刺激剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。被着される被膜量は初期の用途に依存する。
【0095】
二軸又は一軸配向ePTFEメンブレンは自己支持型であり、そしていくつかの実施態様では、ポリマーフィルム、例えば多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、ポリオレフィン、フィルム、テープ、及び他のメンブレンを補強するために、ePTFEメンブレンは使用される。「自己支持型」とは、ePTFEメンブレンがバッキング層又はキャリア層を必要としないことを意味する。しかしながら、ePTFEメンブレンは極めて薄いので、ePTFEメンブレンの縁部はしばしばマクロスケールの長さで拘束される。換言すれば、ePTFEメンブレンをメンブレンの周囲を巡って拘束する(例えば「額縁を付ける(picture framed)」ことにより、ePTFEメンブレンの完全性を維持する。メンブレンの固有強度は種々の距離にわたって関連付けられ、メンブレンの後ろ又は下にバッキング層又は支持層を設けることなしに、メンブレン自体をまとめて保持する。
【0096】
二軸配向及び一軸配向ePTFEメンブレンは、単独のePTFEメンブレン層として形成することができる。他の実施態様では、二軸配向及び一軸配向ePTFEメンブレンは、ePTFEメンブレン内に数十、数百、又は数千のePTFEメンブレン層を有してよい。いくつかの実施態様では、2層~4層が存在してよい。他の実施態様では、ePTFEメンブレン内には2層~16層が存在してよい。さらなる実施態様では、ePTFEメンブレン内には、2層~500層、2層~1,000層、2層~5,000層、2層~10,000層、2層~25,000層、2層~50,000層、2~100,000層、2~500,000層、2~1,000,000層(又はこれよりも多くの層)が存在してよい。理論に縛られたくはないが、ePTFEメンブレン内に存在するePTFE層の数に対する唯一の限定因子は、層を積み重ね延伸させるのに費やされる時間である。典型的には、ePTFEメンブレンスタックは、ePTFEメンブレンが二軸延伸させられるたびに4倍「成長」する。言うまでもなく、積み重ねられたePTFEメンブレン内に個々のePTFEメンブレンを結合するために、接着剤又は他の結合剤は使用されないのが典型的であるものの、接着剤又は他の結合材料の包含が、本明細書中における使用から除外されることはなく、本発明の範囲に含まれるものと考えられる。
【0097】
別の実施態様では、ePTFEメンブレン(二軸配向及び一軸配向の両方)は、同じ機械特性を有するePTFEメンブレン、異なる機械特性を有するePTFEメンブレン、及び/又はスペーサ層(例えば異なるポリマー層、例えば多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、又は無孔質ポリオレフィン)を含んでよい。換言すれば、ePTFEメンブレンは、ePTFEメンブレン内に異なるポリマー及び/又は非ポリマー層を含むように、工学的に設計されてよい。加えて、1つのePTFEメンブレン層は、別のePTFE層とは、延伸量及び/又は歪み速度及び/又は層に施される全体的な作業によって異なっていてよい。ePTFEメンブレン内部の任意の付加的な層のメンブレンのタイプ、延伸、機械特性を変向することによって、輸送、濾過、又は分離の要件を維持しながら、特定のバルク特性に合致するようにePTFEメンブレンを形成することができる。
【0098】
ePTFEメンブレン(二軸配向及び一軸配向)及び/又はePTFEメンブレン内部の任意の付加的なスペーサ層を形成することによって、透過率、孔サイズ、及びバルク機械特性を制御することができる。本明細書中に使用される「透過率」という用語は、材料がそれを横切る差圧に晒されたときに、流体(すなわち液体又は気体)を、メンブレン又はフィルタ材料の孔を通して送る能力を意味する。1つの事例において、ePTFEメンブレンは、種々の孔サイズ、例えば直径約6ミクロン未満の孔サイズを可能にする。本明細書中に使用される「孔サイズ」は、ePTFEメンブレン内の孔のサイズを意味する。孔サイズは2nm~約6ミクロンであってよい。加えて、ePTFEの比表面積(SSA)は、面積加重フィブリル幅(AWFW)によって測定して、約35m2/g~約120m2/g、約45m2/g~約120m2/g、約55m2/g~約120m2/g、約65m2/g~約120m2/g、約75m2/g~約120m2/g、約80m2/g~約120m2/g、約90m2/g~約120m2/g、約100m2/g~約120m2/g、又は約110m2/g~約120m2/gであってよい。
【0099】
いくつかの実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンは空気濾過用途に使用することができる。このような用途では、ePTFEメンブレンの品質係数は、チャレンジ粒子が直径0.1ミクロンであるとともに面速度が5.33cmであるときに、少なくとも65(kPa-1)である。言うまでもなく、ePTFEメンブレンの重量に対する強度(固有強度)は、コンベンショナルなePTFEメンブレンよりも高い。より高い品質係数値はより良好な濾過性能と関連する。ある特定の実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンの品質係数は、約65(kPa-1)~約180(kPa-1)、約70(kPa-1)~約180(kPa-1)、約80(kPa-1)~約180(kPa-1)、約90(kPa-1)~約180(kPa-1)、約100(kPa-1)~約180(kPa-1)、約110(kPa-1)~約180(kPa-1)、約120(kPa-1)~約180(kPa-1)、約130(kPa-1)~約180(kPa-1)、約140(kPa-1)~約180(kPa-1)、約150(kPa-1)~約180(kPa-1)、約160(kPa-1)~約180(kPa-1)、又は約170(kPa-1)~約180(kPa-1)のであってよい。
【0100】
二軸配向ePTFEメンブレンは、液状媒質が高い流量で移動しているときでもナノ粒子(例えば約1nm~約200nm)を液状媒質から濾過することが望ましい用途において使用することができる。従って、ePTFEメンブレンは濾過材料として使用することができ、そしてポリテトラフルオロエチレンの性質によって、耐化学攻撃性を有し、生体適合性であり、そして高いマトリックス引張強度(MTS)を示す。濾過性マトリックスは、溶液、懸濁液、コロイド、生体流体、生体液の成分、水性材料、又は非水性材料から選択することができる。濾過性マトリックスを濾過するために、マトリックスをePTFEメンブレンに通し、結果として得られた濾液を収集する。1実施態様では、二軸配向ePTFEメンブレンは、等式(1)によって定義されたライン以上のナノ粒子保持パーセント(%)を含む。
【数9】
(上記式中、
y=ナノ粒子保持率%、そして
x=濾液透過率[g/cm
2/s/MPa])
【0101】
試験法
非接触厚さ測定
KEYENCE LS-7600レーザーシステム(KEYENCE Americaから商業的に入手可能)を使用して、メンブレンの非接触厚さを測定した。
【0102】
メンブレン密度の計算
試料をカットして正方形区分15.2cmx15.2cmを形成した。各試料をMettlerToledo AT20秤を使用して秤量した。KEYENCEレーザーによって計算された厚さを使用して、等式(2)を用いて試料の密度を計算した。
【数10】
(上記式中、
ρ=密度(g/cm
3);
m=質量(g);
w=幅(cm);
l=長さ(cm);及び
t=厚さ(cm))
【0103】
マトリックス引張強度(MTS)(方法1)
二軸ePTFEメンブレンのMTSを割り出すために、ASTM D412-ドッグボーン・ダイ・タイプF (D412F)を使用して、長手方向及び横方向に試料ePTFEメンブレンをカットした。一軸メンブレンのMTSを割り出すために、試料ePTFEメンブレンを長手方向に負荷した。平らな面を有するグリップと「22 lb」(ほぼ100N)ロードセルとを備えたINSTRON(登録商標)5567(マサチューセッツ州Norwood在、Illinois Tool Works Inc.)引張試験機械を使用して、引張破断荷重を測定した。グリップのためのゲージ長を8.26cmに設定し、そして歪み速度は0.847cm/sであった。試料をグリップ内に入れ、試料を1.27cm後退させることによりベースラインを得、続いて上述の速度で引張試験を行った。MTS計算のためにピーク力測定を用いた。
等式(3):
【数11】
を用いて長手方向及び横方向MTSを計算した。
【0104】
マトリックス引張強度(MTS)(方法2)
一軸ePTFEメンブレンのMTSを割り出すために、紐グリップ及び糸グリップを使用して、試料ePTFEメンブレンを長手方向に負荷した。紐グリップ及び糸グリップと「22 lb」(ほぼ100N)ロードセルとを備えたINSTRON(登録商標)5567 (マサチューセッツ州Norwood在、Illinois Tool Works Inc.)引張試験機械を使用して、引張破断荷重を測定した。グリップのためのゲージ長を15.24cmに設定し、そして歪み速度は0.254cm/sであった。試料をグリップ内に入れた後、試料を1.27cm後退させることによりベースラインを得、続いて上述の速度で引張試験を行った。MTS計算のためにピーク力測定を用いた。
【0105】
走査型透過電子顕微鏡(STEM)
低電圧(STEM)(走査型透過電子顕微鏡法)は、試料を通る電子の集束ビームを加速し、そして適宜の検出器で透過された電子を収集することにより、薄い試料を可視化するために用いられる技術である。低電圧とは、100kV未満(本明細書に例示されるように<30kV)のビーム加速電圧を用いることを意味する。画像コントラストは、組成又は厚さに起因するメンブレンによる電子吸収量の差に基づく。
【0106】
透過アダプター(STEM)を備えた走査電子顕微鏡(Hitachi, SU8000、日本国東京在、株式会社日立製作所)を使用し、30kV以下の加速電圧で操作した。試料には前処理も追加処理(染色)も施さなかった。炭素支持層(炭素タイプ-B、300メッシュ、銅、製品# 01813, Ted Pella, Inc.)を備えた銅グリッド(PELCO(登録商標)中央マーキング付きグリッド、400メッシュ、銅、製品# 1GC400、カリフォルニア州Redding在、Ted Pella Inc.)上で、薄い多孔質フィルムの分析のための試料を調製した。
【0107】
二軸試料のX線ディフラクトグラム
Brookhaven National Laboratory (ニューヨーク州Upton)におけるNational Synchrotron Light SourceのX27Cビームラインを使用して、二次元(2-d)X線ディフラクトグラムを得た。ビームラインは、波長0.1371nm、公称光束光子1012/s、及び直径0.39mmの、十分にコリメートされた単色X線ビームを提供した。検出器はRayonix MAR-CCD 2-d画像システム(イリノイ州Evanston在、Rayonix LLC)であった。システムは試料-検出器距離67.97mmで設定し、Al2O3粉末標準を使用して較正した。試料をビームと検出器との間に置き、透過ジオメトリー散乱/拡散X線画像を480~540秒間にわたって収集した。加えて、各試料を画像化した後すぐに、試料が存在しないバッググラウンド画像を同じ時間にわたって記録した。試料画像からバッググラウンド画像を差し引くことにより、空気散乱の効果を除去し、そして所期のディフラクトグラムを作成した。
【0108】
一軸試料のためのX線散乱法
XenocsブランドのXeuss 2.0 SAXS/WAXS Laboratory Beamlineシステム(フランス国Sassenage 在、Xenocs SAS)上で広角X線散乱試験を実施した。機器は、50kV及び0.6mAで動作するGeniX3D Cu k
a源(波長0.154nm)と、DectrisブランドのPilatus 300K検出器(スイス国Baden-Daettwil在、Dectris Ltd.)とを使用した。ビームを、それぞれが0.5 mm x 0.5 mm面積まで開いている2つのインライン・スリットでコリメートした。試料-検出器の距離は71.0mmであった(六ホウ化ランタン標準によって較正)。Xeuss 2.0システムの「仮想検出器」フィーチャを使用して、検出器内の盲点を消去し、またその角度範囲を拡張した。このことは、検出器を水平方向に並進させ、次いで複数の走査を平均することにより達成された。ここでは4つの走査を、様々な水平方向検出器オフセットで行い、それぞれの走査は15分間の暴露時間を伴った。これら4つの走査を平均することにより、散乱プロフィールを提供した。配向は、等式(4)を利用してI対φ方位角から、配向を定量化した。
【数12】
【0109】
等式(5)によって割り出されるように、<P2>が1に接近するのに伴い、機械方向におけるほぼ完全な配向が、達成される。
【数13】
【0110】
結晶化度
JMP(登録商標)14.1.0 統計分析ソフトウェア(SAS institute)を使用して強度対q scanをピークフィッティングすることにより、結晶化度を得た。積分の範囲をq=8.74~15.4(nm-1)に限定し、そして線形バックグラウンドを、これが測定された強度約q=8.74~10(nm-1)及びq=14.1~15.4(nm-1)と一致するように定義した。線形バックグラウンドが差し引かれた後、Pearson VII関数を用いて、両ピークをフィットさせた。
【0111】
Bowenの米国特許出願公開第2004/0173978号明細書に定義されているように、下記等式(6)に従って、フィットされた100結晶ピーク(A
100)下の面積と、フィットされた非晶質ピーク(A
amorphous)下の面積とから結晶化度を計算した。
【数14】
【0112】
泡立ち点
毛管流動ポロメーター(Porous Materials, Inc., Ithaca, N.Y.のModel CFP 1500 AE)を使用して、ASTM F31 6-03の一般的な教示内容に従って、泡立ち点を測定した。試料メンブレンを試料チャンバ内へ入れ、表面張力19.1ダイン/cmのSilWickシリコーン流体(Porous Materials, Inc.から商業的に入手可能)で湿潤した。試料チャンバの下側クランプは、下記寸法(2.54cm直径、3.175mm厚さ)の40ミクロン多孔質金属ディスク挿入体(Mott Metallurgical, Fannington, Conn)から成る。試料チャンバの上側クランプは、直径12.7mmの開口から成る。Capwinソフトウェア・バージョン6.74.70を使用して、下記パラメータ及び設定点を使用した。
パラメータ 設定点
Maxflow 200000 (cc/m)
Bubflow 10-127 (cc/m)
F/PT 50
Minbppres 0.1 (psi)
Zerotime 1 (sec)
V2incr 10 (cts)
Preginc 1 (cts)
Pulse Dela 2 (sec)
Maxpress 500 (psi)
Pulse Width 0.2 (sec)
Mineqtime 30 (sec)
Presslew 10 (cts)
Flowslew 50 (cts)
Eqiter (0.1 sec) 3
Aveiter (0.1 sec) 20
Maxpdif 0.1 (psi)
Maxfdif 50 (cc/m)
Startp 1 (psi)
泡立ち点に関して示された値は2つの測定の平均であった。
【0113】
ATEQ空気流
メンブレン試料を通る空気の層流体積流量を測定する。流路を横切って面積2.99cm2をシールする形で2つの板間に各メンブレン試料を締め付けた。ATEQ(登録商標)(ATEQ Corp., Livonia, MI) Premier D小型流量テスターを使用して、メンブレンを通る空気差圧1.2kPa(12mbar)でチャレンジすることにより各メンブレン試料を通る空気流量(L/hr)を測定した。
【0114】
空気流抵抗
Textest AG(スイス国Zurich)によって製造されたTextest FX 3300空気透過率テスターデバイスを使用して、空気流抵抗を試験した。フラジール透過率測定値は、12.7mm水柱の試料を横切る差圧の低下時における1分当たりの試料面積1平方フィート当たりの立方フィートで表された空気の流量である。試料を円形のフランジ付き固定具内に締め込むことによって空気透過率を測定した。固定具は7cm直径の円形開口(面積38.5cm2)を提供した。試料固定具の上流側を、乾燥圧縮空気源と並んで流量計に接続した。
【0115】
光透過率測定
二重ビーム積分球アタッチメント(150mm直径、ILN-725)を備えた分光光度計(Jasco V-670; ドイツ国Pfungstadt在、JASCO Deutschland GmbH)を使用して、光透過率測定を実施した。分光光度計は重水素&タングステン-ハロゲンランプと、単独のCzerny-Turnerタイプの単色光分光器(1200線/mm回折格子)と、光電子増倍管(PMT)検出器とから成っている。単色光分光器からの光は、積分球に入る前に試料ビームと参照ビームとに分割される。積分球は単方向照射及び拡散検出を行うように形成される。試料ビームは法線入射時に、積分急入射ポート上に置かれた20mm x 20mm試料を照射するのに対して、参照ビームは、積分球上の開いたポートを通過する。試料ビーム及び参照ビームはPMT検出器上へ交互に入射し、そして同期整流を施された後、デジタル信号に変換される。
【0116】
単色光分光器の帯域幅を10nmに設定し、そして格子波長を操作速度2000nm/minで250nm~800nmで走査した。源を340nmで重水素ランプからタングステン-ハロゲンランプへ変えた。2nmの間隔で信号を記録した。「暗補正(dark correction)」スペクトル(試料ビームをブロックする)と「ベースライン補正」(試料ビームが開いたポートを通過する)スペクトルとを収集した。すなわち、これらのスペクトルは、入射光のパーセンテージとして表される透過率スペクトルを報告するために使用した。
【0117】
CIE標準光源及びCIE測色標準観測者によって透過スペクトルを加重することにより、総視感透過率を計算した(ASTM D1003-13: Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics(透明プラスチックのヘイズ及び視感透過率の標準試験法)参照)。D65光源及び1931 2-deg標準観測者をここに提示された計算において用いた。315~400nm及び280~315nm波長範囲の%透過率平均値をそれぞれ計算することによって、UVA及びUVBの範囲内の透過率%を計算した。
【0118】
フィブリル幅平均値の割り出し
選択された試料をSTEMによって画像化し、フィブリルの投影幅の50の測定値によって手動で特徴付けた(例えば
図11)。50領域を強調するために乱数発生器を使用することにより、均一なサンプリングを容易にし、次いでオペレーターは最も近いフィブリル、好ましくはすでに特徴付けられてはいないフィブリル断片の輪郭をトレースする。一般に、マーキングされたフィブリルは方形であり、アスペクト比は1超であった。オブジェクトの面積を長さによって割り算した比から、フィブリルの公称投影幅を計算した。これは単一の幅測定値よりも代表的であり且つ情報に富む。それというのも、これは必然的に投影幅測定が方形形状の主軸に対して垂直になるように強制するからである。この方法を確認するために、等式(7)に従って計算された計算幅において主軸に対して直交する、手動識別された領域のセントロイドを通る線を描いた。
【数15】
【0119】
動的機械アナライザー(DMA)マトリックス貯蔵弾性率及び損失弾性率
マトリックス貯蔵弾性率及び損失弾性率の測定を、緊定試料クランプを備えたTA Instruments Q800システム(デラウェア州New Castle 在、TA Instruments)を使用して実施した。標準TA Instruments手順に従ってDMAを較正した。幅のために0.1mm目盛り付きレティクルを備えた10倍顕微鏡を、そして厚さのためにKEYENCE LS7010高精度非接触型マイクロメーター(イリノイ州Itasca 在、Keyence Corp.)を使用して、試料の寸法を得た。Mettler-Toledo A120マイクロ秤 (オハイオ州Columbus 在、Mettler-Toledo, LLC)を使用して、試料質量を測定した。次いで試料を機器内に入れ、5mNのプレロードを加えた。較正されたDMAクランプ位置から25℃で試料長さを得た。真歪振幅0.001及び周波数1Hzの正弦波歪を付加的な定荷重とともに加えた。この定荷重は、正弦波歪みが加えられている間中、試料を緊張状態に保つのにちょうど十分なものであった。試料を-50℃で10分間にわたって平衡化させ、次いで温度を2℃/minで150℃まで傾斜状に変化させた。試料に作用する合成正弦波力の規模及び位相角を、加熱傾斜全体を通して1秒に一度測定し、これを用いて貯蔵弾性率及び損失弾性率を計算した。貯蔵弾性率及び損失弾性率を比ρtrue/ρsampleで掛け算することにより、所期マトリックス弾性率を得た。ρtrueは、結晶性ポリ(テトラフルオロエチレン)の2.3g/cm3と想定する一方、ρsampleは、測定された試料の寸法及び質量から計算した。
【0120】
空気濾過性能測定
TSI CERTITEST(登録商標)モデル8160自動フィルタテスター操作・サービスマニュアルで指定された手順に従って、TSI CERTITEST(登録商標)モデル8160自動フィルタテスター(ミネソタ州St. Paul 在、TSI Incorporated)上で、ジオクチルフタレート(DOP)エアロゾルを使用して粒子濾過効率メンブレン濾過効率試験を実施した。試料試験面積は77.8cmであり、面速度は5.32cm/secであった。
【0121】
等式(8)を用いて品質係数Q
fを割り出した。
【数16】
【0122】
貫通率Pは、試料を貫通又は通過する粒子分であり、Δpは、空気速度5.33cm/sにおける圧力低下(kPa)である。より高い品質係数はより良好な濾過性能に関連する(William C. Hinds, Aerosol Technology: Properties, Behavior, and Measurement of Airborne Particles, Second Ed., John Wiley & Sons; Hoboken, NJ (1994)参照)。同じ面速度及び試験エアロゾル粒子サイズを用いて品質係数を比較する。品質係数は相互圧力(kPa
-1)の単位で定義される。
【数17】
【0123】
ビード試験による液体透過率及び保持率の割り出し
ビード試験は、メンブレン試料の透過率及びビード保持率を測定する。メンブレン試料を25mmフィルタホルダ内で拘束した。メンブレンをまずイソプロピルアルコール(IPA)-DI水溶液(70:30 v/v IPA:水)で湿潤させた。空気圧を使用して、この溶液をメンブレンに強制的に通した。7グラムの溶液が試料を貫流するようにし、続いてDI水中1体積%の非イオン性界面活性剤TRITON(登録商標)X-100(CAS 9002-93-1; ミズーリ州St. Louis 在、Sigma Aldrich)から成る10グラムの水溶液を貫流させた。次いでメンブレンを、DI水中1体積%のTRITON(登録商標)X-100から成る水溶液中に分散された0.025μm直径のポリスチレンラテックスビード(Fluoro-Max R25赤色蛍光ポリマーマイクロスフィア;マサチューセッツ州Waltham 在、Thermo Fisher Scientific)の溶液でチャレンジした。この場合、ビードの単一のモノレイヤーでメンブレン表面積を覆うのに十分な量のビードによってメンブレンをチャレンジした。チャレンジ溶液中のビード及び濾液の濃度を、Agilent Technologies Cary Eclipse 蛍光分光光度計(カリフォルニア州Santa Clara 在、Agilent Technologies)を使用して割り出した。
【0124】
メンブレンの透過率は等式(9)を用いて計算した。
【数18】
【0125】
等式(9)中、kはメンブレンの透過率であり、gは濾液のアリコートの質量であり、Aは、フィルタホルダ内のメンブレン試料の物理的面積であり、tは、濾液のアリコートを収集するのに必要な時間であり、そしてPはメンブレンを横切る圧力差である。等式(9)中、g/tはメンブレンを通る質量流量であり、そしてg/Atはメンブレンを通る質量流速である。
【0126】
メンブレンによって保持された溶液中のビードのパーセントは、等式(10)を用いて計算した。
【数19】
【0127】
等式(10)中、Cchallengeは、チャレンジ溶液中のビードの濃度であり、そしてCfiltrateは濾液中のビードの濃度である。
【実施例0128】
本明細書中で特に断りがない限り、本明細書中に使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者に広く理解されているものと同じ意味を有する。本発明は下記実施例においてさらに定義される。言うまでもなく、これらの実施例は本発明の好ましい実施態様を示す一方、例示を目的としたものにすぎない。上記論議及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、そして本発明に思想及び範囲を逸脱することなしに、本発明を種々の用途及び条件に適合させるために、本発明に種々の変更及び改変を加えることができる。
【0129】
実施例1
以下の実施例は、極めて低い面密度(例えば10mg/m2未満の面密度)を有する単層PTFEメンブレンの製造を開示する。
【0130】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末(デラウェア州Wilmington在、E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤(テキサス州Spring在、ExxonMobil Chemical)と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去し、これにより乾燥済みのテープ(「初期テープ」)を形成した。初期テープから98平方mmを切り取った。初期テープの面密度(パントグラフ延伸前)は、1平方メートル当たり1130グラム(g/m2)と割り出された。本明細書中に使用されるすべての初期テープ面密度は1150±100g/m2を意味するものとする。実施例1で使用されるプロセスパラメータの要約を表1に示す。
【0131】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、98平方mmの乾燥済みテープを120秒間にわたって300℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向(機械方向(MD))及び横方向(TD)に同時に(二軸延伸)、それぞれの方向の目標比約4:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ8秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0132】
第2パス
第1パスからの冷却済みePTFEメンブレン片をさらなる延伸、すなわち「第2パス」のために回収した。同じパントグラフ機械を使用して、選択されたメンブレンを目標120秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向(機械方向(MD))及び横方向(TD)に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を9%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ100秒間にわたって一定の速度目標で開いた。第2パスePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0133】
第3パス
第2パスからの冷却済みePTFEメンブレン片をさらなる延伸、すなわち「第3パス」のために選択した。同じパントグラフ機械を使用して、選択されたメンブレンを120秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向(機械方向(MD))及び横方向(TD)に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。一定の加速度設定点は1%/秒であった。パントグラフは、ほぼ230秒間にわたって一定の加速度設定点で開いた。第2パスePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0134】
ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。実施例1のプロセスパラメータの要約を表1に示す。
【0135】
第3パスからの冷却された延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフから回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量し、面密度平均値が4.3mg/m
2と算出された。最も軽い試料は2.4mg/m
2であった(表2)。面積比は一連の延伸操作の前後に面密度の比として定義される。第3パスから得られたePTFEメンブレンはプロセス条件に応じて、122,690:1~459,273:1の面積比を示した(表2)。
図1~3は同じ試料(2.40mg/m
2、試料E1G)を3つの異なる倍率で示したものである。残留一次粒子は観察されない。
図4は、同じ歪み経路が使用された第2片からのものであるが、炉は322℃に設定された(試料E1H)。試料E1IのSTEM画像は
図5として提供される。表1はプロセスパラメータをまとめている。
【表1】
【表2】
【0136】
実施例2
以下の実施例は、1層当たり極めて低い面密度(例えば10mg/m2未満の面密度)を有するPTFEメンブレンの製造を開示する。このePTFEメンブレンの層形成は256層までであり、面積比は最大約34,000,000:1である。
【0137】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。テープをほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープから98平方mmを切り取った。実施例2で使用されるプロセスパラメータの要約を表3に示す。
【0138】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、4つの正方形テープを240秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ16.7秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。冷却済みePTFEメンブレン片から4片(それぞれ4つの層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第2パスのためにとっておいた。第1パスプロセスをもう1回繰り返すことにより、別の16層を作成した。両16層型試料を合体させることにより、32層型試料を形成した。
【0139】
第2パス
同じパントグラフ機械を使用して、両16層スタック(全部で32層)を目標240秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を5%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ120秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0140】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレン片から4つの試料(それぞれ32層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち「第3パス」のために層形成(全部で128層)した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標240秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約8:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。同時延伸は、それぞれの方向における目標比8:1に対して一定の加速度設定点1%/秒で行った。パントグラフは第3パスではほぼ208秒間にわたって開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0141】
第4パス
冷却済みePTFEメンブレン片から4つの試料(128層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち「第4パス」のために層形成(全部で128層)した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約3:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。同時延伸は、それぞれの方向における目標比3:1に対して一定の加速度設定点1%/秒で行った。パントグラフは第4パスではほぼ110秒間にわたって開いた。延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0142】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量し、面密度が0.00047g/m2/層と算出されるとともに、ePTFEメンブレンは0.0605g/m2(試料E2A、表4)であった。他のePTFEメンブレンの面積比及び面密度(ePTFEメンブレン及びePTFEメンブレンのスタックの両方)を設定し、表4に記載する。
【0143】
加えて、上記最初の3つのパスを使用した128層から成るさらに3つのePTFEメンブレンを実施例2のために生成した(E2B~D)。各ePTFEメンブレンを第4及び第5延伸のために個別に負荷した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約4:1(E2B)、5:1(E2C)又は6:1(E2D)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。同時延伸は実施例E2B~Dでは一定の加速度設定点1%/秒で行った。パントグラフは第4パスではほぼ139(E2B)、161(E2C)又は179(E2D)秒間にわたって開いた。各延伸(E2B~E2D)の終了時には、延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量した。表4は第4パスの比設定値、面積比、ePTFEメンブレンのスタックの面密度、各層の面密度、及び最終パスにおける並進時間を含む。
【0144】
加えて、主としてSTEM(
図6~8)の画像を観察するために、実施例2のためにさらに3つのePTFEメンブレンを生成した(E2E~G)。
【0145】
下記2点を例外として実施例E2Dと同じ工程を用いて、実施例E2Eを処理した。延伸前の滞留時間を第3パス前の240秒(E2D)から120秒(E2E)へ短縮し、そして最終パスの面積比設定点のために、第4パス目標比を両方向の設定点6:1(E2D)から両方向の設定点8:1(E2E)へ増大させた。パントグラフは第4パスではほぼ208秒間(E2E)にわたって開いた。延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。
【0146】
下記2点を例外として実施例E2Eと同じ工程を用いて、実施例E2Fを処理した。第4延伸のために負荷される層の数を128(E2E)から256(E2F)へ増やし、第4パス目標比を各方向の設定点8:1(E2E)から両方向の設定点9:1(E2F)へ増大させた。延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。
【0147】
下記2点を例外として実施例E2Eと同じ工程を用いて、実施例E2Gを処理した。第2延伸のために負荷される層の数を32(E2E)から16(E2G)へ減らし、第4パスは用いなかった。延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量し、面密度が0.009g/m
2/層と算出されるとともに、ePTFEメンブレンは1.175g/m
2(試料E2G、表4)であった。これらの、そして他のePTFEメンブレンの面積比及び面密度(ePTFEメンブレン及びePTFEメンブレンのスタックの両方)を計算し、表4に記載する。
【表3】
【表4】
【0148】
実施例3
以下の実施例は、ePTFE層が最大1024であり、面積比が最大ほぼ300,000,000:1である極めて低い1層当たりの面密度を有するPTFEメンブレンの製造を開示する。
【0149】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。テープをほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープから98平方mmを切り取った。実施例3で使用されるプロセスパラメータの要約を表5に示す。
【0150】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、4つの正方形テープを目標240秒間にわたって約322℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約322℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ25秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。第1パスプロセスをもう1回繰り返すことにより、別の32層を作成した。
【0151】
第2パス
同じパントグラフ機械を使用して、両42層スタック(全部で64層)を目標240秒間にわたって約322℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約322℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を3.6%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ250秒間にわたって一定の速度目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0152】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレン片から4つの試料(それぞれ64層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち「第3パス」のために層形成(全部で256層)した。同じパントグラフ機械を使用して、積み重ねられたePTFEメンブレンを目標240秒間にわたって約322℃まで炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約8:1(E3B)又は10:1(E3A)で、約322℃の温度を維持しながら延伸させた。パントグラフが速度目標3.5mm/sに加速するのに伴って400%歪み(両方向でλsp=5:1)まで、同時延伸を一定の加速度目標1%/sで行い、そして一定の速度設定点5%/s(この具体的な事例では元の長さ入力70mmに基づいて3.5mm/s(“r/s”速度モード))で延伸を完了した。パントグラフは第3パスではほぼ221秒間(E3B)又は261秒間(E3A)にわたって開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0153】
第4パス
冷却済みePTFEメンブレン片から試料(256層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち「第4パス」のために積み重ねた(全部で1024層)した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120秒間にわたって約322℃まで炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、約322℃の温度を維持しながら延伸させた。パントグラフが速度設定点3.5mm/sに加速するのに伴って400%歪み(両方向でλsp=5:1)まで、同時延伸を一定の加速度設定点1%/sで行い、そして一定の速度設定点5%/s(この具体的な事例では元の長さ入力70mmに基づいて3.5mm/s(“r/s”速度モード))で延伸を完了した。パントグラフは第4パスではほぼ201秒間にわたって開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0154】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量し、面密度が0.005~0.016g/m
2/層と算出されるとともに、ePTFEメンブレンの面積当たり質量(MPA、面密度)は0.005~0.016mg/m
2であった(表6)。試料E3A(すなわちE3A~1及びE3A~2)に関して2つの異なる位置を測定する一方、試料E3B(すなわちE3B~1,E3B~2及びE3b~3)に関して3つの異なる位置を測定した。試料E3A(
図9)及びE3B(
図10)をSTEM画像形成した。
【0155】
最大298,611,016:1が可能であった(表6)。完成したePTFEメンブレンスタックの最も低い面密度はほぼ3.9mg/m
2であった。
【表5】
【表6】
【0156】
実施例4
以下の実施例は、(1層当たりの)メンブレン厚測定を容易にするために、0.6~2.0グラム/m2オーダーの面密度を有するePTFEメンブレンの製造を開示する。
【0157】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープから98平方mmを切り取った。実施例4で使用されるプロセスパラメータの要約を表7に示す。
【0158】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、4つの正方形テープを目標120(設定点)(試料E4B)又は240(設定点)秒間(E4A,E4C及びE4D)にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ16.6秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0159】
第2パス
同じパントグラフ機械を使用して、スタック(全部で16,32又は48層、詳細は表7)を目標120(E4B)又は240秒(E4A,E4C及びE4D)間にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を5%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ120秒間にわたって一定の速度目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0160】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレン片から4つの試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために全部で128層(E4A~C)又は192層(E4D)を積み重ねた。同じパントグラフ機械を使用して、128層又は192層のスタックを付加した。ePTFEメンブレンを目標120(E4A~C)秒間又は180(E4D)秒間にわたって約300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約8:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。パントグラフが速度設定点3.5mm/sに加速するのに伴って400%歪み(両方向でλsp=5:1)まで、同時延伸を一定の加速度設定点1%/sで行い、そして一定の速度設定点5%/s(この具体的な事例では元の長さ入力70mmに基づいて3.5mm/s)で延伸(E4A,E4C~D)を完了した。パントグラフはE4A及びE4C~Dの延伸中にほぼ221秒間にわたって開いた。実施例(E4B)の同時延伸は、それぞれの方向において8:1の目標比まで、一定の加速度目標1%/sで行った。第3パス並進全体は、実施例E4Bではほぼ210秒間かかった。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。
【0161】
フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンE4A~E4Dを秤量し、測定した。ePTFEメンブレンE4Aの面密度が0.0076g/m2/層と算出されるとともに、ePTFEメンブレンは0.974g/m2であった。128層型ePTFEメンブレンの平均層厚測定値は7.76ミクロンであった。これは1層当たりほぼ60nmに相当した。表7は、この試料、及び寸法安定性を促進するために目標5分間にわたってほぼ350℃に暴露された(すなわち「熱処理」)同様の試料のプロセスの詳細を含む。ePTFEメンブレンE4Bの面密度が0.0049g/m2/層と算出されるとともに、メンブレンは0.632g/m2であった。128層型ePTFEメンブレンの平均層厚測定値は4.95ミクロンであった。これは1層当たりほぼ39nmに相当した。表7は、本明細書中に記載された方法を用いて厚さを低減するように圧縮された2つの付加的な同様の試料のプロセスの詳細を含む。ePTFEメンブレンE4Cは、ePTFEメンブレンE4Aの圧縮された領域であった。ePTFEメンブレンE4Cを、ほぼ22℃でほぼ30分間にわたって2.07MPa(300psi)下の実験室プレス内に配置した。ePTFEメンブレンE4Dをほぼ200℃で40分間にわたって加圧下で1.73MPa(250psi)のオートクレーブ内に入れた。ePTFEメンブレンE4Cの面密度が0.0076g/m2/層と算出されるとともに、メンブレンは0.974g/m2であった。128層型ePTFEメンブレンの平均層厚測定値は1.50ミクロンであった。これは1層当たりほぼ11.7nmに相当した。ePTFEメンブレンE4Dの面密度が0.016g/m2/層と算出されるとともに、メンブレンは2.038g/m2であった。192層型ePTFEメンブレンの平均層厚測定値は3.50ミクロンであった。これは1層当たりほぼ18.2nmに相当した。
【0162】
表8は、128層型及び192層型のePTFEメンブレンが、壁厚測定するのに十分に重く厚かったことを示している。それぞれの圧縮されていないePTFEメンブレンの算出された1層当たりの厚さは、ほぼ20~30nmであるようにSTEMの顕微鏡画像から測定された典型的なフィブリルの幅のほぼ2倍と一致した。PTFEの密度として2.2g/ccを用いて、固形体積分率及びポロシティを算出する。圧縮されたePTFEメンブレンは、ポロシティ及び1層当たりの厚さの低減を示している。
【0163】
緻密化法
方法1:実験室プレス
ePTFEメンブレンE4CをCaver実験室プレスモデル M (ウィスコンシン州Menomonee Falls 在Fred S. Carver Inc.,)内に入れた。実験室プレスを、3”直径(ほぼ0.0762m)アンビルが頂部にある状態で室温(ほぼ22°C)で操作することにより、ほぼ30分間にわたってほぼ300psi(~2.07MPa)を生成した。
【0164】
方法2:実験室オートクレーブ
KAPTON(登録商標)ポリイミドフィルム(デラウェア州Wilmington 在、E.I. DuPont de Nemours Inc.)から集成されたオートクレーブバッグ内にePTFEメンブレンを入れた。ほぼ70分にわたって印加圧力250psi(ほぼ1.72MPa)とともに温度設定点200℃を用いて、Econoclave(登録商標)3フィートx5フィート実験室オートクレーブ(カリフォルニア州Valencia在、ASC Process Systems)内に集成体を入れた。
【表7】
【表8】
【0165】
実施例5
以下の実施例は、積み重ねられたePTFEメンブレン(層形成及び同時延伸による最大192層のスタック)の製造、及びフィブリル幅平均値、面積加重フィブリル幅(AWFW)、フィブリル幅中央値、比表面積、泡立ち点、空気流抵抗、及び面密度を含む種々のメンブレンパラメータの測定を開示する。
【0166】
特定の圧力における空気流量が比較的高いことによって、高い透過率が示され、換言すれば、より高い流量のための所要圧力は低い。空気流抵抗は構造の関数であり、大抵の単純なモデルは固形体積分率及び代表フィブリル半径を主要因子として使用する。より精緻なモデルはスリップをフィブリル半径減少として対処し、この場合、これらが標準的な条件における空気の平均自由行程の僅かな部分、ここでは65nmとなるようにする。高い空気流量を有するメンブレンを生成するための他の関与要因は、フィブリル分布の均一性、フィブリル形状及び配向である。それぞれのフィブリルが同一距離によって分離されるならば、フィブリルの均一な分布が最大化されることになる。均一性が低い分布は、凝集されたフィブリル集合体によって表され、より高い透過率を遅れて示す。フィブリル形状も空気流抵抗を変化させ得る。
【0167】
フィブリル幅平均値を割り出す1つの方法は、代表的な試料内部のフィブリルの幅を手動で測定することである。
図4(ePTFEメンブレンE1H)は、フィブリル幅を手動で測定する(50フィブリルを測定)ことにより幅平均値及び幅中央値を計算する(
図11)ために用いられた。フィブリル測定値はナノメートル(nm)で表した。
図11(ePTFEメンブレンE1H)からは、フィブリルの幅にわたるグレースケール強度変化に基づき、より小さなフィブリルがより大きいフィブリル上で凝集しているのが観察されるのにともなって、投影幅が過度に単純化されていることが明らかである。
図11からのフィブリル測定値の棒グラフが
図12に示されている。データは対数正規分布にフィットされている。
【0168】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープを98平方mmにカットした。実施例5で使用されるプロセスパラメータの要約を表9に示す。
【0169】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、4つの正方形テープを目標120(E5A~G)又は240秒間(E5H~J)にわたって300℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、目標比(λsp)4:1,7:1又は9:1(表9)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、目標比(表9)に基づいてほぼ8.3,16.6,又は22秒間にわたって一定の速度目標で開いた。延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0170】
第2パス
冷却済みePTFEメンブレン片からさらなる延伸、すなわち「第2パス」のために試料を回収した。各試料の第2パスのために積み重ねられた層の具体的な数を表9に示す。同じパントグラフ機械を使用して、ePTFE層スタックを目標120(E5A~G)又は240(E5H~J)秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比6.35:1(E5J),7:1(E5H~I)又は10:1(E5A~G)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標は4%/秒~9%/秒であった(表9)。パントグラフは、ほぼ100(E5A~BG),150(E5H),120(E5I)及び134(E5J)秒間にわたって一定の速度目標で開いた(表9)。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0171】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために必要であるならばこれらを積み重ねた。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120(E5A~G),180(E5I)又は240(E5H及びE5J)秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1(E5H及びE5J),8:1(E5I)又は10:1(E5A~G)(表9)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。二軸延伸は一定の加速度設定点1%/s(E5A~E5H及びE5J)で行った。実施例E5Iの場合、パントグラフが速度設定点3.5mm/sに加速するのに伴って400%歪み(両方向でλsp=5:1)まで、二軸延伸を一定の加速度設定点1%/sで行い、そして一定の速度設定点5%/s(この具体的な事例では元の長さ入力70mmに基づいて3.5mm/s)(“r/s”速度モード)で両方向の目標比λsp=8:1で延伸を完了した。パントグラフはほぼ221(E5I),230(E5A~G)及び195(E5H及びE5J)秒間にわたって開いた。選択された試料(E5E~G及びE5I)を、パントグラフ上で拘束された状態で、目標300秒にわたって設定点350℃の炉内で熱コンディショニング(熱処理)した。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0172】
第3パスからの冷却された延伸済みePTFEメンブレンをパントグラフから回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フィブリル幅平均値、面積加重フィブリル幅(AWFW)、フィブリル幅中央値、比表面積、泡立ち点、空気流抵抗、及び面密度を表10に記載する。
【表9】
【表10】
【0173】
実施例6
以下の実施例は、ePTFEメンブレンの製造、及び品質係数、空気流抵抗、面密度、粒子捕捉効率、及び貫通率を含む種々のメンブレンパラメータの測定を開示する。試験法の項に記載されたように空気濾過性能を測定した。
【0174】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープを98平方mmにカットした。実施例6で使用されるプロセスパラメータの要約を表11に示す。
【0175】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、単一(E6A~C)層又は最大4つ(E6D)の正方形テープを層形成し、そして120(E6A~C)又は240秒間(E6D)にわたって300℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比(λsp)4:1、7:1又は9:1(表11)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、目標比(表11)に基づいてほぼ8.3,16.6又は22秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0176】
第2パス
冷却済みメンブレンからさらなる延伸、すなわち第2パスのために試料を回収した。各試料の第2パスのために負荷されたePTFEメンブレンの具体的な数を表11に示す。同じパントグラフ機械を使用して、ePTFE層スタックを目標120(E6A~C)又は240(E6D)秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比7:1又は10:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標は5%/s,9%/s又は4%/sであった(表11)。パントグラフは、ほぼ120(E6A~B),100(E6C)及び150(E6D)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0177】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために必要であるならばこれらを積み重ねた。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120(E6A~C)又は240(E6D)秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約8:1(E6A~B)、10:1(E6C)又は7:1(E6D)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均歪み速度目標は1%/sであった。パントグラフはほぼ208(E6A~B),230(E6C)又は195(E6D)秒間にわたって、一定加速度目標で開いた。2つの試料E6B及びE6Dをほぼ350℃の熱に5分間にわたって暴露した。拡張済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0178】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に、さらなる試験のために置いた。試験法の項において記載したように、試料の空気流抵抗及び濾過効率を試験した。空気濾過の結果は表12に示されている。試料E6A,E6B,E6C,E6D,及びE6E(比較例1)に関して粒子直径対品質係数(Q
f)のプロットが
図24に示されている。
図24は、比較例E6Eに対する試料E6A~E6Dの品質係数の改善を示している。
【0179】
ePTFE試料をテープから切り離し、Mettler Toledo AT 20上で秤量した。フィブリル幅を試料E6A及びE6Bに関して測定し、
図25及び26に示した。
図27及び28はそれぞれ試料E6A及びE6Bをより低い倍率で示す。フィブリル幅測定結果が表13に示されている。
【0180】
比較例1
Goreの米国特許第3,953,566号明細書に記載された全般的な教示内容に従ってePTFEメンブレンを製造した。ePTFEメンブレン(試料E6E)の面積当たり質量は5.6g/m
2であり、空気流抵抗は6.68mmH
2Oであり、そして面速度5.33cm/sで試験された0.1ミクロンDOPチャレンジ粒子に対する捕捉効率は98.344%であった(表12)。
【表11】
【表12】
【表13】
【0181】
実施例7
以下の実施例は、続いて光透過率測定のために使用されるePTFEメンブレンの製造を開示する。
【0182】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープを98平方mmにカットした。実施例7で使用されるプロセスパラメータの要約を表14に示す。
【0183】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、1つ又は4つの正方形テープを240(E7A)又は120(E7B)秒間にわたって300℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、種々の目標比で延伸させた(表13)。平均エンジニアリング歪み速度目標を試料E7A及びE7Bに関して割り出した(表13)。パントグラフは、ほぼ16.6(E7A)又は8.4(E7B)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0184】
第2パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料をさらなる延伸、すなわち第2パスのために回収した。同じパントグラフ機械を使用して、単層(E7B)又は16層(E7A)のスタックを目標120(E7B)又は240(E7A)秒間にわたって約300℃まで炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1(E7A)又は10:1(E7B)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を5%/s(E7A)又は9%/s(E7B)に設定した。パントグラフは、ほぼ120(E7A)又は100(E7B)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0185】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために必要に応じて積み重ねた。同じパントグラフ機械を使用して、3層型(E7B)及び48層型(E7A)試料を目標120秒間にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1(E7B)又は8:1(E7A)(表14)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均歪み速度目標を1%/sに設定した。パントグラフはほぼ208(E7A)又は195(E7B)秒間にわたって、一定加速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0186】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に、さらなる試験のために置いた。試験法の項において記載したように、試料の空気流抵抗を試験した。ePTFE試料をテープから切り離し、Mettler Toledo AT 20上で秤量した。試験法の項において記載したように、選択された試料を光透過率に関しても試験した。光透過率試験の結果を表15及び
図29に示す。
図29は、3層型試料(E7B、黒線)及び48層型試料(E7A、灰色線)の両方に対する波長対%透過率のプロットである。
【表14】
【表15】
【0187】
実施例8
この実施例は、少なくとも94%という例外的に高い結晶化度を示す、極めて細い同様のフィブリルから成る相対的にバランスのとれたePTFEメンブレンの重量比に対する強度が改善されることを強調する。バルク機械特徴付けのための試料質量を生成し、構造特徴付けのためにシンクロトロンにおける時間を短縮するために、積み重ねと同時延伸とを採用した。非晶質含有率及び相対強度バランスをX線回折(XRD)を用いて割り出した。
【0188】
PTFE微粉末(DuPont)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープを98平方mmにカットした。この実施例で使用されるプロセスパラメータの要約を表16に示す。
【0189】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、最大4つの正方形テープを240秒間にわたって300℃(試料E8A及びE8B)又は322℃(試料E8C及びE8D)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比7:1(E8C~D)又は9:1(E8A~B)(表16)で延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/sに設定した。パントグラフは、ほぼ16.6(E8C~D)及び22.2(E8A~B)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0190】
第2パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料をさらなる延伸、すなわち第2パスのために回収した。表16は、それぞれの条件の第2パスのために負荷された層の具体的な数を挙げる。同じパントグラフ機械を使用して、16層(E8B)又は32層(E8A及びE8C~D)を有する試料を240秒間にわたって約300℃(E8A~B)又は322℃(E8C~D)まで炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1で、設定点温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を4%/s(E8A~B)又は5%/s(E8C~D)に設定した(表16)。パントグラフは、ほぼ150(E8A~B)又は120(E8C~D)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0191】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために必要に応じて積み重ねた。同じパントグラフ機械を使用して、(64層(E8B)及び128層(E8A及びE8C~D)を使用する)ePTFEメンブレンを120(E8C~D)又は240(E8A~B)秒間にわたって300℃(E8A~B)又は322℃(E8C~D)に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約7:1(E8A~B)又は8:1(E8C~D)で、設定点温度を維持しながら延伸させた(表16)。平均歪み速度目標は1%/sであった。パントグラフはほぼ195(E8A~B)又は208(E8C~D)秒間にわたって、一定加速度で開いた。パントグラフ上で拘束された状態で、試料E8B及びE8Dを目標300秒にわたって設定点350℃の炉内で熱コンディショニングした。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0192】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上にさらなる試験のために置いた。表17に含まれる引張試験結果は、重量メトリックスに対する固有強度が、技術分野において以前に報告された値(比較例参照-表18)を上回ることを示している。試料E8C及びE8DをX線回折(XRD)によってさらに特徴づけた(
図30、試料E8C(熱処理されず)及び
図31、試料E8D(熱処理済み))、そして結果はMD-TD平面内の等方性配向と一致する。これらの結果は、バランスのとれた強度の結果と一致する。
図32は、熱処理済み試料(試料E8D、トップトレース)と、熱処理されていない試料(試料E8C、ボトムトレース)との両方に対する範囲10~45nm
-1にわたるq(nm
-1)対強度のプロットである。
図32は、試料E8D(熱処理済み、トップトレース)と、試料E8C(熱処理されていない試料、ボトムトレース)に対する範囲10~20nm
-1にわたるq(nm
-1)対強度(10~20nm
-1)のプロットである。
図32及び33は、ePTFEメンブレンが極めて高い結晶化度を有することを実証する。加えて、q=12.8nm
-1に中心があるピークの狭さ(
図33)は、これらのePTFEの結晶充填の欠陥がほとんどないことを示唆する。実施例E8Cの結晶化度は99%であった。実施例E8Dの結晶化度は99.2%であった。
【表16】
【表17】
【0193】
比較例2~4
従来技術における比較ePTFE例2~4のマトリックス引張強度を表18に記載する。
【表18】
【0194】
実施例9
以下の実施例は、フィブリル方向に高い固有強度を有する低質量の一軸配向ePTFEメンブレンの調製及び分析を記述する。
【0195】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープから98平方mmを切り取った。実施例9で使用されるプロセスパラメータの要約を表19に示す。
【0196】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、それぞれが4つのテープ層を有する2つの異なる試料を240秒間にわたって約300℃(設定点)に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向(機械方向)及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ25秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0197】
第2パス
冷却済みePTFEメンブレン片から4片(それぞれ4つの層)を、さらなる延伸、すなわち第2パスのために回収した。同じパントグラフ機械を使用して、16層スタックを含有する試料を目標240秒間にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約10:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を3.6%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ250秒間にわたって一定の速度目標で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0198】
第3パス
冷却済みメンブレンから4つの試料(それぞれ16層)を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち「第3パス」のために16層の2スタック(全部で32層)をさらなる延伸、すなわち第3パスのために負荷した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120秒間にわたって約300℃まで炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比3:1(実施例E9A)又は5:1(実施例E9B)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均歪み速度目標を1%/秒に設定した。パントグラフは、ほぼ110(E9A)又は161(E9B)秒間にわたって一定の加速度で開いた。ePTFEメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0199】
任意の第4パス
同じパントグラフ機械を使用して、試料E9Bに対して、32層型試料を目標120秒間にわたって約300℃まで炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の目標比約3:1で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。同時延伸は、一定の加速度設定点目標1%/秒で行った。パントグラフは一定の加速度でほぼ110(E9B)秒間にわたって開いた。
【0200】
最後から2番目のパス
同じパントグラフ機械を使用して、ePTFEメンブレンを横方向の拘束から解放する一方、機械方向では固定されたままにした。ePTFEメンブレンを目標120秒間にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向でのみ目標比6:1(機械方向)に伸張させる一方、横方向ではePTFEメンブレンを自由にネックダウン(すなわち狭め)させておいた。パントグラフは、ほぼ170(E9A~B)秒間にわたって一定の加速度設定点で開いた。延伸は一定の加速度設定点1%/sで行った。
【0201】
最終パス
同じパントグラフ機械を使用して、32層型試料を目標300秒間にわたって約350℃に設定された炉内で加熱し、次いで機械(長手)方向にのみ目標比約1.5:1(試料E9A)又は1.67:1(試料E9B)で、約350℃の温度を維持しながら伸張させた。延伸は、一定の加速度設定点1%/秒で行った。パントグラフは一定の加速度でほぼ40(E9A)又は51(E9B)秒間にわたって開いた。
【0202】
ePTFEメンブレンを機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4mmx152.4mm)上に置いた。フレームをカッティングガイドとして使用して、ePTFEメンブレンを秤量することにより、線密度(バルクデニール)を算出し、そして上記試験法の項のマトリックス引張試験を用いて機械データを収集した。試料E9Aをさらに動的機械分析(DMA)を使用して特徴づけ、周囲温度(すなわち約20℃)においてマトリックス弾性率100GPaを示した(
図33)。試料E9AをさらにXRDによって特徴づけた(
図34)。XRDは極めて高い結晶配向度と一致する。<P2>配向関数は0.989であり、1.0は完全平行配列と一致する(
図35)。結晶化度は94.6%と割り出された。試料E9AのSEMは
図36に示されている。
【表19】
【表20】
【0203】
実施例10
以下の実施例は、高い固有強度及びナノ粒子保持測定値を有する極めて低質量の多層型ePTFEメンブレンの製造を開示する。メンブレン試料の透過率及びビード保持率を測定する方法の項に開示されたビード試験を用いてナノ粒子保持率を試験する。
【0204】
PTFE微粉末(E.I. DuPont de Nemours)をISOPAR(登録商標)Kイソパラフィン系炭化水素潤滑剤と、微粉末1ポンド(ほぼ0.454kg)当たり110mLの目標比(0.156gの潤滑剤/トータルg)(潤滑剤グラム/総混合物質量)でブレンドした。潤滑化された粉末を圧縮して円柱形にし、そして49℃でラム押出することにより、テープを提供した。テープは16.2cm幅及び0.762mm厚であった。ほぼ200℃に加熱することによりISOPAR(登録商標)Kを除去した。乾燥テープから98平方mmを切り取った。実施例10で使用されるプロセスパラメータの要約を表21に示す。
【0205】
第1パス
パントグラフ機械を使用して、4つの正方形テープを目標120(E10A~C)秒間にわたって約300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、それぞれの方向の選択された目標比(λsp)約7:1(E10A及びE10C)又は2:1(E10B)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標を36%/秒に設定した。パントグラフは、目標比に基づいて、ほぼ16.6(E10A及びE10C)又は約2.8(E10B)秒間にわたって一定の速度目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。64(E10A)層、又は16(E10B)層、又は32(E10C)層が第2パスのために利用できるようになるまで、第1パスを繰り返す。
【0206】
第2パス
特定の数、64(E10A),16(E10B)又は32(E10C)の層を、表21に示された書く条件の第2パスのために負荷した。同じパントグラフ機械を使用して、ePTFE層スタックを目標240(E10A及びB)又は120(E10C)秒間にわたって300℃に設定された炉内で加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、選択された目標7:1(E10A)又は10:1(E10B)又は6:1(E10C)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均エンジニアリング歪み速度目標は5%/秒(E10A及びE10C)又は18%/s(E10B)(表21)であった。パントグラフは、ほぼ120(E10A),50(E10B)及び100(E10C)秒間にわたって一定の目標速度で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0207】
第3パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第3パスのために必要であるならばこれらを層形成した。特定の数の層、256(E10A),120(E10B)又は128(E10C)を、表21に示された各条件の第2パスのために負荷した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120(E10A~C)秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、長手方向及び横方向の両方の目標比約8(E10A),10(E10B)又は6:1(E10C)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。平均一定加速歪み速度設定点は1%/sであった。パントグラフは、ほぼ221(E10A),261(E10B)又は179(E10C)秒間にわたって一定の加速度設定目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0208】
試料を機械から回収し、裏面に接着剤が塗布されたフレーム(152.4x152.4mm)上に、さらなる試験(E10A及びE10B)又はさらなる延伸(E10C)のために置いた。
【0209】
第4パス
冷却済みePTFEメンブレンから試料を回収し、そしてさらなる延伸、すなわち第4パスのために必要であるならばこれらを層形成した。特定の数の層、2056,(E10C)を、表21に示された各条件の第4パスのために負荷した。同じパントグラフ機械を使用して、メンブレンを目標120(E10C)秒間にわたって300℃に設定された炉内で再び加熱し、次いで長手方向及び横方向に同時に、長手方向及び横方向の両方の目標比4.75:1(E10C)で、約300℃の温度を維持しながら延伸させた。一定加速歪み速度設定点は1%/秒であった。パントグラフは、ほぼ156(E10C)秒間にわたって一定の加速度目標で開いた。延伸済みメンブレンをパントグラフで拘束しながら室温(ほぼ22℃)まで冷ましておいた。
【0210】
緻密化
拘束されたメンブレン上へイソプロピルアルコール(IPA)を静かに注ぎ、IPAを蒸発させておくことにより、試料(E10A~C)をMD及びTD平面内で拘束しながら緻密化させた。
【0211】
試験法の項に上述した、ビード試験による透過率及び保持率の割り出しに従って、各メンブレン試料(試料E10A,E10B及びE10C)の平均濾液透過率(上記等式(9)を参照)、及びビード保持率(上記等式(10)を参照)を評価した。結果は表22及び
図38に示されている。
【0212】
比較例5~7
3つの比較液体濾過試料を以下のように調製した。
【0213】
比較例5
Baillieの米国特許第6,541,589号の教示内容に従って製造されたポリテトラフルオロエチレンポリマー微粉末を、0.184 lb/lbのイソパラフィン系炭化水素潤滑剤(ISOPAR(登録商標) K、テキサス州Houston 在、Exxon)と合体させた。次いで、結果として得られた混合物をブレンドし圧縮して円柱形ペレットにし、温度49℃で少なくとも8時間にわたって熱コンディショニングした。次いで、円柱形ペレットを、方形オリフィス型を通して縮小率72:1で押し出すことにより、テープを形成した。次いでテープをカレンダー比3:1でロール間でカレンダー処理した。次いでカレンダー処理済みテープを比3.6:1で横方向に伸張させ、温度200℃で乾燥させた。
【0214】
次いで乾燥済みテープを延伸比7:1まで機械方向に330℃で延伸させた。結果として生じた材料を続いて約310℃の温度で延伸比12:1まで横方向に延伸させた。
【0215】
この二軸延伸メンブレンを速度1m/分で圧縮力10N/mmとともに(25℃で)ローラ間で圧縮した。
【0216】
比較例6-試料E10D2
Baillieの米国特許第6,541,589号の教示内容に従って製造されたポリテトラフルオロエチレンポリマー微粉末を、0.151 lb/lbの潤滑剤(ISOPAR(登録商標) K、テキサス州Houston 在、Exxon)と合体させた。次いで、結果として得られた混合物をブレンドし圧縮して円柱形ペレットにし、温度49℃で少なくとも8時間にわたって熱コンディショニングした。次いで、円柱形ペレットを、方形オリフィス型を通して縮小率72:1で押し出すことにより、テープを形成した。次いでテープをカレンダー比3:1でロール間でカレンダー処理した。次いでカレンダー処理済みテープを比3.6:1で横方向に伸張させ、温度200℃で乾燥させた。次いで乾燥済みテープを延伸比5:1まで機械方向に330℃で延伸させた。結果として生じた材料を続いて約310℃の温度で延伸比10.8:1まで横方向に延伸させた。次いで目標25秒間にわたってほぼ380℃の温度でメンブレンを熱処理した。この二軸延伸メンブレンを速度1m/分で圧縮力20N/mmとともに(25℃で)ローラ間で圧縮した。
【0217】
比較例7-試料E10D3
Baillieの米国特許第6,541,589号の教示内容に従って製造されたポリテトラフルオロエチレンポリマー微粉末を、0.145 lb/lbの潤滑剤(ISOPAR(登録商標) K、テキサス州Houston 在、Exxon)と合体させた。次いで、結果として得られた混合物をブレンドし圧縮して円柱形ペレットにし、温度49℃で少なくとも8時間にわたって熱コンディショニングした。次いで、円柱形ペレットを、方形オリフィス型を通して縮小率72:1で押し出すことにより、テープを形成した。次いでテープをカレンダー比3:1でロール間でカレンダー処理した。次いでカレンダー処理済みテープを比3.6:1で横方向に伸張させ、温度230℃で乾燥させた。次いで乾燥済みテープを延伸比5:1まで機械方向に325℃で延伸させた。結果として生じた材料を続いて約300℃の温度で延伸比12.3:1まで横方向に延伸させた。この二軸延伸メンブレンを速度5m/分で圧縮力80N/mmとともに(90℃で)ローラ間で圧縮した。
【0218】
上記試験手順を用いて、各比較例メンブレン試料(試料E10D1,E10D2及びE10D3)の平均濾液透過率(上記等式(9)を参照)、及びビード保持率(上記等式(10)を参照)を評価した。結果は表22及び
図38に示されている。
【表21】
【表22】
【0219】
本出願の発明を全般的に、そして具体的な実施態様に関連して上記のように説明してきた。当業者には明らかなように、開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を実施態様において加えることができる。したがって、本発明の改変形及び変更形が添付の請求項及びこれらの同等物の範囲に含まれるのであれば、実施態様はこれらの改変形及び変更形に範囲が及ぶものとする。
本出願の発明を全般的に、そして具体的な実施態様に関連して上記のように説明してきた。当業者には明らかなように、開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を実施態様において加えることができる。したがって、本発明の改変形及び変更形が添付の請求項及びこれらの同等物の範囲に含まれるのであれば、実施態様はこれらの改変形及び変更形に範囲が及ぶものとする。以下、本発明の態様を列挙する。
(態様1)
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンであって、
機械方向における少なくとも1000MPaのマトリックス引張強度と、
温度20℃における少なくとも100GPaのマトリックス貯蔵弾性率と、
少なくとも94%の結晶化度と
を含む、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン。
(態様2)
前記ePTFEメンブレンの面密度が30mg/m
2
未満である、態様1に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様3)
前記ePTFEメンブレンの<P2>配向が0.98以上である、態様1又は2に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様4)
前記ePTFEメンブレンのバルクデニールが750g/9000mである、態様1から3までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様5)
前記ePTFEメンブレンの強度が5gf/d超である、態様1から4までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様6)
前記ePTFEメンブレンが自己支持型である、態様1から5までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様7)
前記ePTFEメンブレンが一軸配向型である、態様1から6までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様8)
前記ePTFEメンブレンに少なくとも部分的にポリマーが被覆されているか、少なくとも部分的にポリマーが吸収されているか、又はその組み合わせが施されている、態様1から7までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様9)
繊維、シート、チューブ、三次元自己支持型構造、ダイス状繊維、ダイス状シート、ダイス状チューブ、又はダイス状三次元自己支持型構造の形態を成している、態様1から8までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様10)
スペーサ層をさらに含む、態様1から9までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様11)
前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される、態様10に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
(態様12)
態様1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む複合体。
(態様13)
態様1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む積層体。
(態様14)
態様1から11までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン、態様12に記載の複合体、又は態様13に記載の積層体を含む物品。
(態様15)
一軸配向ePTFEメンブレンを形成する方法であって、前記方法が、
(1)第1延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから少なくとも第1片を切り分け、
(2)前記少なくとも第1片を二軸伸張させることにより、第2延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを得、
(3)前記第2延伸メンブレンから少なくとも第2片を切り分け、
(4)前記少なくとも1つの第1片と前記少なくとも1つの第2片とを積み重ねられた配向で位置決めすることにより、積み重ねられた試料を形成し、
(4)前記積み重ねられた試料を二軸伸張させ、
(5)所望の二軸配向ePTFEメンブレンが得られるまで工程(1)~(4)を繰り返し、そして
(6)前記二軸配向ePTFEメンブレンを一軸伸張させる
ことを含む、一軸配向ePTFEメンブレンを形成する方法。
(態様16)
スペーサ層を加えることをさらに含む、態様16に記載の方法。
(態様17)
前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される、態様15又は16に記載の方法。
(態様18)
ePTFEメンブレンが機械方向に一軸伸張させられる、態様15から17までのいずれか1項に記載の方法。
前記ePTFEメンブレンに少なくとも部分的にポリマーが被覆されているか、少なくとも部分的にポリマーが吸収されているか、又はその組み合わせが施されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
繊維、シート、チューブ、三次元自己支持型構造、ダイス状繊維、ダイス状シート、ダイス状チューブ、又はダイス状三次元自己支持型構造の形態を成している、請求項1から8までのいずれか1項に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。
前記スペーサ層が、多孔質ポリマー、無孔質ポリマー、フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、及び無孔質ポリオレフィンから選択される、請求項10に記載の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン。