(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062989
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】天然の1,2-アルカンジオール、天然の1,2-アルカンジオールを有する組成物、およびそれを製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C12P 7/18 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
C12P7/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024015007
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2020571618の分割
【原出願日】2019-01-30
(31)【優先権主張番号】62/623,985
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511299355
【氏名又は名称】イノレックス インベストメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴ、ロッコ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ライト、マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】モッサー、ゲイリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】フェボラ、マイケル ジェイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオ-1,2-アルカンジオールの合成のための効率的プロセスを提供する。
【解決手段】バイオ-1,2-アルカンジオールの合成のためのプロセスであって、前記プロセスは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖と、少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性とを有するバイオ-アルケンを提供することと、前記バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、を含むプロセスである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ-1,2-アルカンジオールの合成のためのプロセスであって、前記プロセスは、
約5~約20個の炭素原子の炭素鎖と、少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性とを有するバイオ-アルケンを提供することと、
前記バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約14個の炭素原子の炭素鎖を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約10個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約8個の炭素原子の炭素鎖長を有する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記バイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記バイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記バイオ-アルケンは、触媒を備えた反応器内でバイオ-1-アルコールを加熱することによって同バイオ-1-アルコールが脱水されるプロセスから生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応器が固定床反応器である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記固定床反応器が流動固定床反応器である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記触媒が、ZnAl2O4およびγ-アルミナ触媒から選択される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記バイオ-アルケンが、約92%~約99%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記バイオ-アルケンが、約95%~約99%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記プロセスはまた、少なくとも約92%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記触媒は、修飾γ-アルミナ触媒を形成するために塩基で処置されたγ-アルミナ触媒である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記塩基は、第I族または第II族の金属を含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記γ-アルミナ触媒は、修飾γ-アルミナ触媒を提供するためにカルシウム促進剤で処理される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項16】
前記修飾γ-アルミナ触媒は、焼成γ-アルミナ触媒を提供するために焼成される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約0.01重量パーセント~約4重量パーセントの量で使用される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約1重量パーセント~約2重量パーセントの量で使用される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
焼成中の温度が約400℃~約500℃である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
焼成中の温度が約420℃~約480℃である、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
焼成中の温度が約440℃~約460℃である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
焼成がオーブン内で行われる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項23】
焼成が空気または不活性ガスの雰囲気中で行われる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項24】
前記バイオ-アルケンは、同バイオ-アルケンをバイオ-1,2-アルカンジオールに変換する前に、蒸留工程を経て同バイオ-アルケンを精製する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項25】
前記バイオ-アルケンから形成された前記バイオ-1,2-アルカンジオールが、同バイオ-1,2-アルカンジオールを精製するための最終蒸留工程を経る、請求項6に記載のプロセス。
【請求項26】
前記バイオ-アルケンは、水中のバイオ-1-アルコールが、パージガス下で触媒と共に同バイオ-1-アルコールを加熱することによって脱水されるプロセスから生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項27】
前記バイオ-アルケンは、エポキシ環を有するバイオ-1,2-エポキシアルカンを形成するべく同バイオ-アルケンをギ酸または酢酸の少なくとも1つと過酸化物との存在下で反応させ、バイオ-1,2-アルカンジオールを形成するべく前記1,2-エポキシアルカンを水および水酸化ナトリウムと接触させることにより、バイオ-1,2-アルカンジオールに変換される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プロセスは、少なくとも約60%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項29】
前記プロセスは、少なくとも約72%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
バイオ-1,2-アルカンジオールを製造するプロセスであって、前記プロセスは、
バイオ-1-アルコールおよび塩基で処理された触媒を提供することと;
バイオ-1-アルコールを前記触媒の存在下で脱水して、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有するバイオ-アルケンを生成することと;
前記バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、
を含む、プロセス。
【請求項31】
前記触媒がγ-アルミナ触媒であり、前記塩基がカルシウムを含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記γ-アルミナ触媒をカルシウム促進剤で処理し、処理後、約400℃~約500℃の温度で焼成する、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記プロセスは約72%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項34】
前記バイオ-1-アルケン位置選択性が約95%~約99%である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項35】
アルコールの脱水に使用するための触媒を処理する方法であって、前記方法は、
γ-アルミナ触媒を提供することと;
第I族または第II族金属を含む塩基でγ-アルミナ触媒を処理することと;
前記γ-アルミナ触媒を約400℃~約500℃の温度に加熱することと、
を含む、方法。
【請求項36】
前記塩基がカルシウムを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記塩基がカルシウム促進剤であり、前記加熱することが焼成中に起こる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約0.01重量パーセント~約4重量パーセントの量で使用される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約1重量パーセント~約2重量パーセントの量で使用される、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
焼成中の温度が約420℃~約480℃である、請求項35に記載のプロセス。
【請求項41】
焼成中の温度が約440℃~約460℃である、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有し、かつ少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンを変換することによって合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む組成物。
【請求項43】
前記組成物がパーソナルケア組成物である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記パーソナルケア組成物が、ヘアケア組成物、オーラルケア組成物、スキンケア組成物、または化粧品組成物である、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が家庭用製品用の組成物である、請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
前記家庭用製品が布地ケア製品または洗浄製品である、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が工業用組成物である、請求項42に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が医薬組成物、ビタミン組成物、またはヘルスケア組成物である、請求項42に記載の組成物。
【請求項49】
前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって合成される、請求項42に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる抗菌性化合物を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物が、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、他のバイオ-化合物とは異なる、少なくとも1つの抗菌化合物を含む、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、請求項42に記載の組成物。
【請求項55】
前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項42に記載の組成物。
【請求項56】
組成物に抗菌効果を提供する方法であって、前記方法は前記組成物に抗菌システムを組み込むことを含み、前記抗菌システムは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する少なくとも1つの第1のバイオ-アルケンの変換によって合成される、方法。
【請求項57】
前記抗菌システムは、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ第1のバイオ-アルケンとは異なり、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
抗菌システムが、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる少なくとも1つの他の保存剤化合物を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が、前記少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
抗菌剤が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる、少なくとも1つの他の抗菌化合物および保存剤化合物のうちの少なくとも一方を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
抗菌システムが抗菌効果を示す、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項57に記載の方法。
【請求項65】
組成物中の抗菌剤および保存剤のうちの少なくとも一方の抗菌効率を高める方法であって、前記組成物中に抗菌システムを組み込むことを含み、前記第2の抗菌システムが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、同第1のバイオ-1,2-アルカンジオールが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換によって合成される、方法。
【請求項66】
前記抗菌システムは、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ第1のバイオ-アルケンとは異なり、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
組成物が、前記抗菌剤および保存剤の少なくとも一方とは異なり、かつ第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記組成物が、前記少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記抗菌システムが抗菌効果を示す、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンを変換することによって合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む抗菌製品。
【請求項73】
前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、同第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンであって第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、請求項72に記載の抗菌製品。
【請求項74】
前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項73に記載の抗菌製品。
【請求項75】
前記抗菌製品とは異なる、第2の抗菌剤および保存剤の少なくとも一方をさらに含む、請求項74に記載の抗菌製品。
【請求項76】
前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項72に記載の抗菌製品。
【請求項77】
前記抗菌製品とは異なる、第2の抗菌剤および保存剤の少なくとも一方をさらに含む、請求項76に記載の抗菌製品。
【請求項78】
前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、請求項72に記載の抗菌製品。
【請求項79】
前記抗菌製品が抗菌効果を示す、請求項72に記載の抗菌製品。
【請求項80】
前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項72に記載の抗菌製品。
【請求項81】
組成物中の抗菌剤および保存剤のうちの少なくとも一方の効力を高めるための製品であって、前記製品は、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換により合成される少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールであって約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む、製品。
【請求項82】
前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンであって第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、請求項81に記載の製品。
【請求項83】
前記組成物が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項82に記載の製品。
【請求項84】
前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、請求項81に記載の製品。
【請求項85】
前記第1のバイオ-1-アルケンは、約92%~約99%の位置選択性を有する、請求項81に記載の製品。
【請求項86】
前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、請求項82に記載の製品。
【請求項87】
前記製品が抗菌効果を示す、請求項81に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の本発明は、パーソナルケア、家庭用および施設用または工業用の洗浄製品、医療用または他の関連する用途を含む様々な産業に適用可能な組成物、特にパーソナルケア組成物にて使用するための代替保存システムを可能にする天然の再生可能な、すなわち持続可能な抗菌性成分の分野に関する。より具体的には、天然の再生可能な1,2-アルカンジオールの調製、天然の再生可能な1,2-アルカンジオールを製造する方法、および天然の再生可能な(「持続可能な」)原料から調製されるそのような1,2-アルカンジオールを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国を含むほとんどの国において、化粧品および/またはパーソナルケア(「パーソナルケア製品」)および他の消費者製品は清浄状態で製造および包装されているが、典型的には無菌状態ではなく、多くは非無菌形態で販売されている。その結果、少量の(通常は無害な)細菌、カビ、酵母芽胞(総称して「微生物」)が製品に混入する可能性がある。さらに、一旦消費者がそのような製品を購入し、開封し、使用し始めると、さらなる汚染が起こる可能性がある。例えば、パーソナルケア製品では、空気中からの、または消費者の皮膚からの少量の微生物が製品をさらに汚染させる可能性がある。
【0003】
時間が経つにつれて、輸送中、貯蔵中または使用中では無視することができた初期の微生物集団は、目に見えるカビの外観を含む、製品の変色または汚れをもたらすのに十分に深刻なレベルまで増加し得ることがあり、それは製品の有用性または性能に影響を与える可能性がある。パーソナルケア製品または他の消費者製品が塗布または摂取される(ビタミン剤など)場合、それは同様に健康に影響を及ぼす可能性があり、場合によっては、塗布時に感染を含む皮膚の有害反応を引き起こす可能性がある。
【0004】
微生物増殖の問題に対処するために、パーソナルケア産業および他の産業の製造業者は、一般に、そのような製品および組成物に、典型的には石油化学に基づく化学保存剤を添加する。しかしながら、使用できる保存剤の種類と量にはいくつかの面で制限がある:(1)法的(特定の保存剤の使用が禁止されている国もある);(2)技術的(保存剤の種類/量は、経験的に評価された一定の基準(「チャレンジテスト」)を満たすことにより、その効力を証明しなければならない);(3)消費者選好(消費者は、特定の保存用化学物質、例えば石油系または非持続性製品を好ましくないと感じるかもしれないので、それらを含む製品は商業的に実行可能ではない);(4)ロジスティカル(例えば、選択された保存剤は、関連する化学的環境(pH、疎水性/親水性などのパラメータが変化する可能性がある環境)において効果的でなければならず、製造コストに優しいものでなければならない);(5)持続可能性、すなわち、それらは本明細書においてさらに記載されているように、持続可能なプロセスと原料調達を用いて製造されるべきである。
【0005】
また、伝統的な保存剤に代わるものを開発し、持続可能で再生可能な資源(すなわち「原料」)から得られる、よりユーザーフレンドリーな化学成分の組み合わせを見つけることも望まれている。これらの天然の再生可能な抗菌成分と伝統的な保存剤に対する代替物(「代替の保存剤」)は、消費者に対して、同等以上の保護と性能を提供すべきである。
【0006】
伝統的な保存剤の問題を解決するために、本願の出願人はここに、パラベン、ホルムアルデヒド供与体または塩素化化合物を含まない、あらゆるタイプのパーソナルケア製剤(例えば、「リーブオン(leave-on)」製品および「リンスオフ(rinse-off)」製品の両方)に使用することができる、パーソナルケア組成物のための先行技術の保存剤を開発した。そのようなパラベンフリーまたはその他の非石油系の代替の保存剤製品は、消費者にとって魅力的である。このパラベンフリーの保存剤は、種々のレベルのpH、特に典型的にはヒトの体内または身体上に存在する中性のpHレベル付近において、広範囲の微生物に対して効力を示す。この保存剤は、特許文献1に記載されており、この保存剤システムにおける成分の1つは、1,2-アルカンジオールである。
【0007】
従来の保存料の使用を減らすための当該技術分野における別の試みは、「ハードル技術(hurdle technology)」の適用である。ハードル技術とは、微生物が腐敗レベルまで増殖する前に克服しなければならない「ハードル」を有するように、数種類の制限または保存材料またはプロセスを適用することである(例えば、増殖を減少させるためにpHを変化させる何かを加えること、および一緒になって微生物増殖を遅延させるかまたは微生物増殖に対する「ハードル」を生じる少量の保存剤または他の化合物を加えること)。代替の保存剤を使用することは、ハードル技術における1つのステップまたは「ハードル」となり得る。
【0008】
当技術分野では、「代替の保存剤(alternative preservation)」である添加剤をさらに開発する必要がある。これらの代替の保存剤システムには、消費者に優しいパラベンフリーの材料が含まれており、これらの材料は、従来の保存剤または抗菌剤から、以下に定義されるような「天然の」かつ「持続可能な」(「再生可能な」)製剤および原料に向かって移行する。
【0009】
保存に使用される1つのジオール、カプリリルグリコールは、世界で最も急速に成長している代替の保存剤成分であると出願人は考えている。1,2-ヘキサンジオール、1,2-デカンジオール、および1,2-ドデカンジオールなどの他の1,2-アルカンジオールもまた、人気が高まっており、代替の保存剤製剤において機能している。
【0010】
重要な出発物質としてアルケンを使用してカプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)を合成するための1つの反応シーケンスの例を以下に示す。使用される出発物質は、石油化学由来の1-オクテンである:
【0011】
【0012】
上記反応シーケンスにおいて、石油化学由来の1-オクテンをギ酸および過酸化物の存在下で反応させて中間化学混合物を形成し、これを例えば水中で水酸化ナトリウムと更に開環反応させて1,2-オクタンジオールを完全に形成する。これは、優れた代替の保存剤用添加剤を提供し、パラベンフリーではあるが、出発物質(すなわち1-オクテン)は、化石ベースの(石油化学)資源に由来し、重要なことに、再生不可能な原料、すなわち、持続不可能な資源を示す。
【0013】
したがって、上述したように、パラベンフリーのものを含む、より消費者および環境に優しい代替の保存剤システム(単独で、またはハードル技術の一部として使用されるもの)が必要である。さらに、代替の保存剤システムとしてまたは代替の保存剤システムにおいて使用可能な抗菌剤を生成するために、代替の保存剤の材料であるか、または100%天然の再生可能な(「持続可能な」)原料である代替の保存剤システムにおいて使用可能な材料が当該技術分野において必要とされている。「天然」抗菌剤の一例は、生物由来の供給原料から調製されるものである(例えば、非GMOベース発酵、藻類、植物または野菜由来のような現在の持続可能な農業活動から調製されるもの、例えば、それは野菜源、またはバイオマスに由来し、石油化学由来ではない(例えば21世紀に活動している持続可能な木や植物の農場に由来するものである))。このような原料は、本明細書では「天然の(natural)」および「再生可能な(renewable)」(すなわち、「持続可能な(sustainable)」)と呼ばれ、非石油由来の原料として知られている。さらに、そのような材料は、石油や他の化石燃料源(「古い」炭素)からではなく、「新しい」炭素によって形成される。そのような製品は、本明細書では「天然の」製品と呼ばれ、当技術分野では、非石油化学由来または「バイオ(bio)」製品として知られている。本明細書における「持続可能な」によって、本出願人は、化石燃料または石油などの他の非再生可能な資源などの限られた天然資源を枯渇させるものではなく、再生可能な資源から得られる材料を指す。したがって、石油化学由来ではない、および/または石油化学由来ではない原料から製造された天然の、またはバイオ製品は、持続可能かつ再生可能である。
【0014】
真の天然の製品(バイオ-化合物)は、バイオマス(例えば、生きている植物および根などの炭素循環過程から貯蔵される物質、または動物の呼吸または分解によって放出された物質)を使用して形成される。炭素が分解し、圧力下で数百万年にわたって破壊されると、化石燃料(石油化学由来の炭素の供給源)が生成される。本明細書のバイオ-化合物(bio-compounds)は、最近存在し、持続可能であり、化石燃料に由来しない、植物源/バイオマスの炭素に由来する材料を含むことを意図している。
【0015】
これらのバイオ-ベースのまたは「天然の」原料は、代替の保存剤製剤の製造に使用することができる。このような原料からのバイオベースのまたは「天然の」製品は、(これらの用語がここで定義されているように)それらが真の、天然で持続可能な原料源から得られたものであることを決定するために試験され得る。製品の中には、実際には真に天然のおよび/または持続可能な原料から調製されていない可能性があるにもかかわらず、天然資源由来であると知られているか、または宣伝されているものがある。天然の有機製品は、典型的には、生物によって天然に生産される化合物として定義される。石油ベースの製品を真に天然の製品および/または持続可能な製品と区別するためには、確立された信頼できる試験方法を用いて真正性(authenticity)を試験しなければならない。最新の方法では、質量分析法を用いて安定同位体を詳細に分析し、炭素-12/炭素-13および/または水素-1/水素-2比を評価する。このような試験は、いくつかの分析サービス試験機関を通じて利用可能であり、放射性炭素試験法と比較して、はるかに速く、費用効果が高く、より詳細な情報が得られる。
【0016】
安定同位体分析は、速度論的同位体効果の原理に基づいている。後者の効果は化学反応速度論の分野ではよく知られている。最も広い意味では、特定の元素の重い同位体は、それらのより軽い同位体(例えば、炭素-12対炭素-13)よりも反応が遅い。そのため、植物が二酸化炭素をバイオマスに取り込むと、炭素12の炭素13に対する比率は、バイオマスを作るために植物が使用する化学物質の種類(例えば、植物がC3またはC4光合成経路を経るかどうか)によって異なる。これは一般的にδ13C/12C比(すなわちδ13C)として報告されており、現在の二酸化炭素基準を参照している。さらに、水が新しいバイオマスに取り込まれる場合にも同様の同位体速度効果が観察され、これはδ2H/1H比(すなわち、δ2H)として測定される。δ13Cおよびδ2H比の組み合わせを使用することにより、関連技術分野で精通している者は、分析される製品を調製するために使用された原料の性質(すなわち、それが石油化学由来であるか、又は最近生きている若しくは生きている藻類、植物又は類似の生物源に由来するか)を容易に識別および確認することができる。
【0017】
図2では、1-オクタノールのように、本明細書に記載される原料と強い関係を有する種々の洗浄剤の供給源を決定するために同位体比がどのように使用され得るかを一般的な用語で見ることができる。
図2のプロットから、δ
2H値は、石油ベースの原料と再生可能な原料との間でより明確に定義された差異を有しているので、したがって、この場合、δ
13C値よりも価値があり、かつ明確であることがわかる。しかしながら、δ
2Hおよびδ
13C値を一緒に使用する組み合わせは、原料が実際に天然かつ再生可能であることを証明するために本発明で採用される好ましい技術である。
【0018】
放射性炭素は、炭素の不安定な同位体であり、14Cとして知られている。14Cは、ベータ粒子の形で放射線エネルギーを非常に一定の速度で放出し、最終的にはより安定な14Nに崩壊する不安定な同位体である(すなわち、放射性炭素の半減期は5730年である)。石油ベース(すなわち、石油化学由来の)の原料は数百万年前に埋められた動植物から得られるため、原料の放射性炭素(すなわち14C)は減衰により失われている。ASTM国際規格は、放射性炭素を用いた「バイオ-ベースの化合物」の真正性を決定するための試験基準を規定しており、放射性炭素はASTM D6866-16に記載されている。この規格は、新しい炭素を、化石燃料または石油および石油化学由来の供給源に由来する炭素、つまり「古い炭素」と区別する。最近または現在のバイオマス中の14Cの量は既知であるため、再生可能資源からの炭素の割合は全有機炭素分析から推定することができ、これは化合物が本当に「天然の」および/または「持続可能な」(「再生可能」)原料源から得られたものか、あるいは逆に「古い」隔離の化合物(すなわち、石油化学由来または石油ベースの供給源)から得られたものかを決定するのに必要なデータを提供する。石油ベースまたはしばしば標識化された化石ベースの原料の使用は、非持続性である、すなわち、古い炭素は非持続的であり、再生可能な原料ではなく、さらに、当該技術分野では「天然の」および「持続可能」ではないと考えられるものとして一般に認められている。本明細書で定義されるように、それは「天然の」製品であるとは見なされず、または「天然の」製剤において有用であるとは見なされない。したがって、そのような原料の使用は、「天然の」および「再生可能」代替の保存剤の開発への道筋を示すものではない。
【0019】
アルケンの出発物質を形成するために、従来の方法を用いて末端アルコールを脱水すると、脱水過程における1-アルケン生成物の転位と移動により、化学的に、1-アルケン、2-アルケン、および3-アルケンの混合物が生成する。このようなアルケンの混合物を使用すると、ジヒドロキシル化時にジオールの混合物が最終的に得られ、低収率の所望の末端1,2-ジオール物質および望ましくない汚染物質が得られることになる。
【0020】
石油化学由来の(すなわち、石油由来または化石燃料由来の)原料から製造された1-オクタノールから出発してカプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)を生成する1つの既知の経路において、以下の反応が起こることが知られている:
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
上記の反応スキームからわかるように、熱および従来の酸触媒の使用は、1-オクタノールをアルケン、すなわちオクテンに変換する。触媒の酸部位にさらされると、より熱力学的に安定な2-オクテンが1-オクテンと共に形成される。形成された2-オクテン位置異性体(上記の3-オクテンと4-オクテン(表示されない)を含む)は、1-オクテンから分離することが非常に困難であり、所望の1-オクテンのより低い正味の化学収率をもたらす。したがって、1-オクタノールから1-オクテンへの触媒的脱水反応においては、位置選択性の増大またはより高い位置選択性が重要な因子であり、当該技術分野で達成すべき目標である。再生可能および天然の原料を使用する場合には、所望の生成物(すなわち1-アルケン)の反応効率(即ち、化学収率)が重要である。効率的なプロセス装置を使用し、迅速かつエネルギー効率の高い方法で動作する、高い化学的変換も有する1-オクタノールの高度に位置選択的な脱水が当技術分野で依然として必要とされている。
【0025】
したがって、所望の末端1,2-オクタンジオールへの変換のために上記に示されるようなオクテンの位置異性体混合物を使用する従来の経路は減少し、そして収率も減少する。これは、所望の代替の保存剤材料を形成する能力を化学的に非効率的にし、コスト効率を悪くし、プロセス中の廃棄物が多くなり、プロセス全体の持続可能性を低下させる。バイオ-1-オクタノールからバイオ-1-オクテンを生成するための高度に位置選択的で、高い化学的変換速度プロセスが、当該分野では強く求められている。
【0026】
特許文献2は、1-オクタノールの脱水のための位置選択性を高めるために、追加のプロモータを有さず、その代わりに非常に大きな孔サイズおよび容積を与えられたγ-アルミナを使用している。この研究では、位置選択性は高かった(97.7%)が、化学変換率は65%であり、オクテン類に対する生成物選択性はわずか25%であった。したがって、この触媒系を使用した1-オクタノールからの1-オクテンの化学収率は、わずか約15.9%であった。
【0027】
別の例では、特許文献3において、1-オクタノールのエーテル誘導体を分解することによる1-オクテンの形成が記載されている。この特許では、最初に1-オクタノールをメチルエーテル(すなわちメチルオクチルエーテル)に変換し、次いでこのエーテルをγ-アルミナ触媒に付して通過させる必要がある。これには、エーテルを製造するための余分な化学物質と付加的なコストが含まれ、その過程でメタノールが失われるため、非常に非効率的で原子非効率的な方法となる。最も注目すべきは、触媒が最初の数時間で良好な転化率および位置選択性を有することから始まり、次いで、僅か20時間のタイムオンストリーム(time-on-stream:TOS)において、当技術分野で開示された全ての触媒は、付随的に位置選択性の損失を伴って、化学的転化率の一定かつ有意な減少を示す。このタイプの短い触媒寿命は、商業的生産努力では受け入れられない。
【0028】
鉛含有アルミナ触媒は、特許文献4に記載されており、ここで、プランバイトプソイドベーマイトは高い見かけの選択性および転化率を示した。触媒の炭素堆積速度は約0.04%/hであり、これは非常に望ましくなく、1000時間程度の連続運転では不十分である。さらに制限的なのは、これらの触媒が有害な重金属、すなわち鉛を含むことである。これらの触媒の使用は、商業的生産のために工業的規模で使用される場合には、費用のかかる環境制御および労働者安全予防措置を必要とする。
【0029】
「天然の」アルカンジオールを製造する1つの方法は、バイオマスを発酵させて直鎖状の線形のアルカンジオールを形成することである。例えば、特許文献5は、発酵ブロスからの1,3-プロパンジオールの形成を教示している。しかしながら、1,3-プロパンジオールは1,2-アルカンジオールではない。長鎖ジオールを形成する発酵プロセスは、化学的に効率が悪く(すなわち、不良なライフサイクル分析値)、さらに、特に長鎖炭素1,2-アルカンジオールを製造しようとする場合には、GMO-細菌または-酵母の使用を必要とする。
【0030】
当技術分野に記載されている天然バイオ-アルコールの別の例は、バイオ-1-ブタノールであり、これは既知の物質であり、1862年にパスツールがクロストリジウム属細菌(非GMO細菌)によって実施されるアセトン-ブタノール-エタノール発酵プロセスを発見して以来、商業的生産に使用されているが、現在は非常に限られた量しか使用されていない。これらの細菌はC5とC6の両方の糖を発酵させ、アセトン、1-ブタノールおよびエタノール(すなわちABE)の混合物を生成する。ABEの発見以来、発酵プロセスの進歩はアセトンおよびエタノール生産よりもバイオ-1-ブタノールの生産の最適化を提供し得るものである。生産が改善される一方で、発酵ブロスおよびエタノールやアセトンのような発酵プロセスに関与する他の不純物からバイオ-1-ブタノールを精製することは困難かつエネルギー集約的である。さらに、出願人は、より長鎖のアルコール(すなわち、1-ヘキサノールまたは1-オクタノールのような6つ以上の鎖)を形成し得る非GMO細菌または酵母プロセスを知らない。
【0031】
バイオ-1-ブタノールは、バイオ燃料を製造する原料として知られており、バイオ燃料生産を改善するために、直鎖状の、線形の、第一級4炭素アルコールをバイオ-1-アルケンに非常に高い収率で変換する経路を提供し、また、例えば環境に優しいタイヤの生産にも使用することができる。この方法において、バイオ-1-アルコールを、高い選択性と化学収率でバイオ-1-アルケンに脱水した。得られたバイオ-1-アルケンは、民生および軍事用途に有用な高引火点ディーゼルおよびジェットバイオ燃料の調製に有用である。γ-アルミナ又はアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)等の無機担体を含み、塩基性水溶液で処理/改質された固相脱水触媒を用いて、バイオ-1-ブタノールを脱水する。担体は、少なくとも1つの炭化水素溶媒で希釈されたオルガノシランでさらに処理することができる。このプロセスは、バイオ-1-ブタノールを、0.1~約90重量%の水を含有する発酵プロセスから変換することができ、対応する1-アルケンを92~99%の位置選択性で生成することができ、固相触媒上を一回通過するだけで、反応変換率は95%を超え、90%を超えるバイオ-1-ブテンの化学収率を生成する。しかしながら、バイオ-1-ブテンについてこのような結果が得られたとしても、1-オクタノールの1-オクテンへの変換は、単に1-ブタノールのバイオ-1-ブテンへの変換と相同ではないことに留意されたい。実際、以下に記載する比較例は、触媒のシラン化が1-オクタノールの脱水化学のための位置選択性の損失をもたらすことを例示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0360035Al号明細書
【特許文献2】国際公開第WO2004/078336A2号
【特許文献3】米国特許第7576250号明細書
【特許文献4】中国特許第105312044B号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0069997A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
上記に基づいて進歩はしているが、製品を汚染から安全に保ち、保存および使用中に新鮮に保つために、特に抗菌用途のための添加剤を提供するために、または既知の保存剤もしくは代替の保存剤システムの効果を高めるために、一方では伝統的な保存剤を避け、天然の生物源からの消費者製品組成物のための成分を見つけてそれに依存する、パーソナルケア製品、家庭用製品、工業製品、および医薬品などの消費者製品に対する継続的な改善のための当該技術分野における必要性が存在している。より具体的には、天然のバイオ-カプリリルグリコール(すなわち、天然のまたはバイオ-1,2-オクタンジオール)および関連するバイオ-1-アルケン中間体を生成するために、天然の、好ましくは再生可能/持続可能な原料源に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、真正の「天然」材料であり、好ましくは、炭素長が約5~約20個の、好ましくは5~約14個のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、これらを単独で、異なるタイプのバイオ-1,2-アルカンジオールとの組み合わせで、または他の天然もしくは伝統的な抗菌剤および他の化粧品添加剤とのブレンドで使用することができる、100%「天然の」または「バイオ-化合物」を達成するための効率的経路を提供する。
【0035】
本発明は、バイオ-1,2-アルカンジオールの合成のためのプロセスであって、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖と、少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性とを有するバイオ-アルケンを提供することと、同バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、を含むプロセスを含む。
【0036】
プロセスの一実施形態において、バイオ-アルケンおよびバイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約14個の炭素原子の炭素鎖を有する。バイオ-アルケンおよびバイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約10個の炭素原子の炭素鎖長を有していてもよい。バイオ-アルケンおよびバイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約8個の炭素原子の炭素鎖長を有していてもよい。例えば、バイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、そしてバイオ-1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。
【0037】
プロセスのさらなる実施形態において、バイオ-アルケンは、好ましくは、触媒を備えた反応器内でバイオ-1-アルコールを加熱することによってバイオ-1-アルコールが脱水されるプロセスから生じる。反応器は、固定床反応器であってもよい。固定床反応器はまた、例えば、流動固定床反応器であってもよい。そのような実施形態において、触媒は、ZnAl2O4およびγ-アルミナ触媒から選択されてもよい。
【0038】
好ましい実施形態におけるバイオ-アルケンは、約92%~約99%、好ましくは約95%~約99%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する。このプロセスはまた、好ましくは、少なくとも約92%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する。
【0039】
上記のように、一実施形態では、触媒処理を使用することができる。触媒は、塩基で処理されて修飾(modified)γ-アルミナ触媒を形成するγ-アルミナ触媒であってもよい。塩基は、第I族または第II族の金属を含んでいてもよい。γ-アルミナ触媒は、例えばカルシウム促進剤で処理して修飾γ-アルミナ触媒とすることができる。次に、修飾γ-アルミナ触媒を焼成して、焼成されたγ-アルミナ触媒を得ることができる。カルシウム促進剤が使用される一実施形態において、カルシウム促進剤は、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて約0.01重量パーセント~約4重量パーセント、好ましくは焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて約1重量パーセント~約2重量パーセントの量で使用され得る。
【0040】
焼成中の好ましい温度は、約400℃~約500℃、より好ましくは約420℃~約480℃、最も好ましくは約440℃~約460℃である。焼成はオーブンで行うことができる。焼成は、空気中で、または窒素または他の不活性ガスの雰囲気下で実施することができる。
【0041】
バイオ-アルケンは、好ましくは、バイオ-アルケンをバイオ-1,2-アルケンジオールに変換する前に、蒸留工程を経て同バイオ-アルケンを精製する。バイオ-アルケンから生成されるバイオ-1,2-アルカンジオールは、最終蒸留工程を経てバイオ-1,2-アルカンジオールを精製してもよい。
【0042】
プロセスの別の実施形態において、バイオ-アルケンは、水中のバイオ-1-アルコールが、パージガスを使用せずに、またはパージガス下で、触媒を用いてバイオ-1-アルコールを加熱することによって脱水されるプロセスから生じ得る。パージガスは窒素であることが好ましいが、本発明の範囲内で他の不活性ガスを使用してもよい。
【0043】
プロセス中のバイオ-アルケンはまた、バイオ-アルケンを過酸、例えばギ酸または酢酸、および過酸化水素の少なくとも1つの存在下で反応させてエポキシ環を有するバイオ-1,2-エポキシアルカンとバイオ-1,2-アルカンジオールとの混合物を形成し、この混合物を水および水酸化ナトリウムと接触させてバイオ-1,2-アルカンジオールへの形成を完了することにより、バイオ-1,2-アルカンジオールに変換することができる。
【0044】
全プロセスは、好ましくはバイオ-1,2-アルカンジオールの少なくとも約60%~約99%を生じ、より好ましくはバイオ-1,2-アルカンジオールの少なくとも約72%~約99%を生じる。
【0045】
本発明は、バイオ-1,2-アルカンジオールを製造するプロセスをさらに含み、同プロセスは、バイオ-1-アルコールおよび塩基で処理された触媒を提供することと;バイオ-1-アルコールを触媒の存在下で脱水して、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有するバイオ-アルケンを生成することと;そして、バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、を含む。好ましくは、触媒は、促進剤で処理した後に焼成される。
【0046】
このプロセスにおける触媒はまた、γ-アルミナ触媒であってもよく、塩基はカルシウムを含んでもよい。γ-アルミナ触媒は、カルシウム促進剤で処理することが好ましく、処理後、約400℃~約500℃の温度で焼成される。このプロセスは、好ましくは、約92%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する。
【0047】
本発明は、アルコールの脱水に使用するための触媒を処理する方法をさらに含み、同方法は、γ-アルミナ触媒を提供することと;第I族または第II族金属を含む塩基、好ましくは本明細書に記載されているような促進剤でγ-アルミナ触媒を処理することと;そして、γ-アルミナ触媒を約400℃~約500℃の温度に加熱することと、を含み、これは、好ましくは、非常に制御された慎重な方法で行われる。塩基はカルシウムを含んでもよく、好ましくは、塩基はカルシウム促進剤であってもよく、加熱は焼成中に行われる。カルシウム促進剤は、焼成後に測定されたCaOの重量に基づいて約0.01重量%~約4重量%の量で使用することができ、より好ましくは、焼成後、好ましくは慎重な焼成後に測定されたCaOの重量に基づいて約1重量%~約2重量%の量で使用することができる。好ましい実施形態における焼成中の温度は、約420℃~約480℃であり得、より好ましくは約440℃~約460℃であり得る。有益な結果は、上記の好ましい範囲を含む出願人のプロセスに基づいて達成される。出願人は、高い焼成温度が触媒の位置選択性を低下させ、したがってバイオ-1-アルケンの化学的収率を低下させると判断した。
【0048】
本発明はさらに、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有し、かつ少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンを変換することによって合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む組成物を含む。
【0049】
組成物は、ヘアケア組成物、オーラルケア組成物、スキンケア組成物または化粧品組成物などのパーソナルケア組成物であってもよい。
組成物はまた、布地ケア(fabric care)製品または洗浄製品などの家庭用製品のための組成物であってもよい。
【0050】
組成物はまた、工業用組成物、または医薬組成物、ビタミン組成物、またはヘルスケア組成物であってもよい。
本明細書に記載の組成物の一実施形態において、組成物は、第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールであって、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する第2のバイオ-1,2-アルカンジオールを含むことができ、同第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、第2のバイオ-アルケンの変換により、好ましくは位置選択的に合成され、約5~約20個の炭素原子の得られたバイオ-アルケンが、少なくとも約80%の末端バイオ-アルケン含有量および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有するようになる。組成物は、第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物を含んでもよい。別の実施形態において、組成物は、第1および第2のバイオ-1、2-アルカンジオールとは異なり、かつ他のバイオ-化合物とは異なる抗菌化合物を含んでもよい。組成物はまた、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよく、別の実施形態において、そのような組成物はまた、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ他のバイオ-化合物とは異なる少なくとも1つの抗菌化合物をさらに含んでもよい。このような組成物中の第1のバイオ-1-アルケンは、好ましくは約92%~約99%、より好ましくは約95%~約99%の位置選択性を有する。第1のバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。
【0051】
また、本発明には、組成物に抗菌システムを組み込むことを含む、組成物に抗菌効果を提供する方法も含まれ、この抗菌システムは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、この第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する少なくとも1つの第1のバイオ-アルケンの変換によって合成される。抗菌システムは、第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含んでもよく、第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンであって約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長及び少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンを位置選択的に変換することによって形成される。組成物は、第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよく、別の実施形態において、組成物は、第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ他のバイオ-化合物とは異なる少なくとも1つの他の保存剤化合物を含んでもよい。このような組成物はまた、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよい。抗菌剤はまた、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ他のバイオ-化合物とは異なる少なくとも1つの他の抗菌化合物および/または保存剤化合物をさらに含んでもよい。抗菌システムは、抗菌効果を示すように作られてもよい。好ましくは、第1のバイオ-1-アルケンは、約92%~約99%、好ましくは約95%~約99%の位置選択性を有する。第1のバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、少なくとも1つの第1の1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。
【0052】
本発明は、一実施形態において、組成物中の抗菌剤および/または保存剤の抗菌効率を高める方法であって、組成物中に抗菌システムを組み込むことを含む方法をさらに含み、第2の抗菌システムが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、同第1のバイオ-1,2-アルカンジオールが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの位置選択的変換によって合成される。本方法において、抗菌システムは、第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含んでもよく、第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ第1のバイオ-アルケンとは異なり、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される。組成物中に、抗菌剤および/または保存剤とは異なり、かつ第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよい。組成物はまた、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよい。第1のバイオ-1-アルケンは、好ましくは、約92%~約99%、より好ましくは約95%~約99%の位置選択性を有する。一実施形態において、抗菌システムは抗菌効果を示す。第1のバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明は、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有し、かつ少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換により合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む抗菌製品を含む。製品はさらに、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、同第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンであって第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される。
【0054】
抗菌製品は、少なくとも1つの第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよい。一実施形態において、製品は、抗菌製品とは異なる第2の抗菌剤および/または保存剤をさらに含んでもよい。製品はまた、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよく、また、抗菌製品とは異なる第2の抗菌剤および/または保存剤をさらに含んでもよい。第1のバイオ-1-アルケンは、好ましくは約92%~約99%の位置選択性を有する。
【0055】
抗菌製品は、好ましくは、抗菌効果も示す。第1のバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、少なくとも1つの第1の1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。
【0056】
本発明はまた、組成物中の抗菌剤および/または保存剤の効力を高めるための製品を含み、同製品は、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換により合成される少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールであって約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む。このような製品はさらに、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、同第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、第1のバイオ-アルケンとは異なり、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長及び少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される。製品の組成物はまた、少なくとも1つの第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよく、また、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含んでもよい。第1のバイオ-1-アルケンは、好ましくは約92%~約99%の位置選択性を有する。第1のバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであってもよく、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールであってもよい。抗菌製品は、好ましくは、抗菌効果も示す。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本明細書に記載のプロセスの好ましい実施形態におけるステップのプロセスフローチャートである。
【
図2】石油ベースのアルコール、アルケンおよび酸、ならびに対応する天然および再生可能な類似体のδ
2Hおよびδ
13C値のグラフ表示である。
【
図3】実施例4で調製した触媒を用いてバイオ-1-オクタノールを0.2mlのバイオ-1-オクタノール供給物で315℃に加熱して脱水した、反応器出力のガスクロマトグラフ(GC)クロマトグラムである。
【
図4】蒸留後に反応器から得られたバイオ-1-オクテンのGCクロマトグラムである。
【
図5】バイオ-1-オクテンの脱水、1,2-オクタンジオールへの変換、次いで1,2-オクタンジオールの分留から得られたバイオ-1,2-オクタンジオールのGCクロマトグラムである。
【
図6】化粧品製剤での使用が現在承認されているペトロ(petro)-1,2-オクタンジオールのGCクロマトグラムである。
【
図7】1400時間TOSの触媒(左)および新しい触媒(右)を比較する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
前述の要約、並びに本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と合わせて読むと、よりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、示された正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【0059】
本発明は、バイオ-1,2-アルカンジオールを合成するためのプロセスを含む。本明細書で使用される場合、「アルカンジオール」、またはこのクラスの化合物内に記載される任意の特定のアルカンジオール化合物と共に使用される場合の「バイオ(bio)」は、上記のように、化合物、好ましくはこのクラスの化合物内の化合物中のすべての炭素が、以下でさらに説明するように、植物源(藻類、植物、動物、またはバイオマス由来)に由来する真の(authentic)天然の化合物でもあり、非石油化学的に由来する(すなわち、化石燃料、石油またはその他の「古い」炭素源などの再生不可能な資源から得られたものではない)「天然の」化合物であることを意味することを意図する。この意味で、再生可能な材料に由来することから、持続可能な化合物でもある。それはまた、そのような物質がバイオ-アルケンから形成されることを意味する。用語「バイオ-アルコール(bio-alcohol)」または「バイオ-アルケン(bio-alkene)」および本明細書における類似化合物において使用される場合、「バイオ」はまた、「bio-1,2-アルカンジオール」を記載するために上述したものと同じ意味を有することを意図する。そのような材料は、好ましくは、真の、または「新たな」炭素材料の(非石油化学由来の)原料を有し、それに由来するという要件を、上記のような質量分析および/またはガスクロマトグラフィー、現在のASTM D6866-16標準または特異的安定同位体分析(CSIA)のような従来の方法を用いてそのような化合物を試験することによって確認できるように、満たされるべきである。本発明はさらに、合成プロセスから得られるバイオ-1-アルケンおよびバイオ-1,2-アルカンジオール、ならびにそれらを組み込んだ様々な製品を含む。本発明はさらに、本明細書に記載の実施形態において使用でできる触媒であって、バイオ-1-アルコールを脱水して、バイオ-1,2-アルカンジオールを形成するための本明細書に記載のプロセスで使用されるバイオ-アルケンを形成するための触媒を処理する方法を含む。
【0060】
本発明は、100%「天然の」または「バイオ」化合物への効率的な経路を提供し、同化合物は、石油化学的に由来しておらず、本明細書に記載される他の用途の中でもとりわけ、抗菌性組成物の成分としておよび化粧品添加剤としてなど、多種多様な最終用途および組成物のために製造することができる組成物および製品において好ましくは使用される、新規な炭素または真の、炭素材料からのものである。
【0061】
また、本明細書に開示されているのは、バイオ-1,2-アルカンジオールを、組成物中の抗菌剤として、例えば、代替の保存システム中で、もしくはそれと併用して、および/またはハードル技術として使用する方法である。また、抗菌剤として使用される場合を含む、バイオ-1,2-アルカンジオールを含む種々の組成物が開示される。保存剤または代替の保存システムを既に含む組成物の抗菌効力を増強する方法、および得られる抗菌効力が増強された組成物も開示される。そのような方法の各々は、組成物中に、バイオ-1,2-アルカンジオール、少なくとも2つの異なるバイオ-1,2-アルカンジオールの組み合わせ、または少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールと少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物との組み合わせ、を組み込むことを含み、ここで、同バイオ-1,2-アルカンジオールは、抗菌剤として作用するか、または組成物中に既に存在する別の抗菌剤、保存剤、または他の代替の保存システムの効力を高める。バイオ-1,2-アルカンジオールは、単独で使用されるか、1種以上の異なるバイオ-1,2-アルカンジオールの組み合わせで使用されるか、あるいは1種以上の異なるバイオ-1,2-アルカンジオールと同バイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1種の他のバイオ-化合物との組み合わせで使用されるか、および/または任意の異なる抗菌剤、保存剤または代替の保存システムで使用されるかにかかわらず、それ自体が抗菌性製品および/または抗菌効力増強製品であり得る。バイオ-1,2-アルカンジオールは、本明細書中の組成物中で使用される場合、抗菌効力を示す。
【0062】
本明細書の一実施形態において、バイオ-1,2-アルカンジオールを合成するためのプロセスが本明細書に記載されている。上述のように、本明細書において、「天然の」と称される材料は、非石油化学由来の、天然材料から合成されるか、または天然の、好ましくは真の天然またはバイオベースの供給源から形成されるかにかかわらず、非石油化学由来かつ持続可能である材料を含むことが意図される。
【0063】
方法は、約5~約20個の炭素原子、好ましくは約6~約14個の炭素原子、より好ましくは約6~約10個の炭素原子の炭素鎖を有するバイオ-アルケンを提供することを含み、バイオ-1-オクテンが好ましい。バイオ-アルケンは、伝統的なα-オレフィン構造を有するバイオ-1-アルケンであることが好ましい。また、調製される場合に、好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約92%、最も好ましくは少なくとも約95%~99%で位置選択性を有する。
【0064】
このようなバイオ-アルケンは、バイオ-1-ペンテン、バイオ-1-イソペンテン、バイオ-1-ヘキセン、バイオ-1-ヘプテン、バイオ-1-オクテン、バイオ-1-ノネン、バイオ-1-デセン、バイオ-1-ドデセン、および炭素20個の鎖長までの関連するバイオ-1-アルケンであり得る。より大きいまたはより小さいバイオ-アルケンも製造することができるが、本明細書で使用するための好ましいバイオ-アルケンは、所望の特性を失うことなく、バイオ-1,2-アルカンジオールに変換した場合に有効な抗菌剤として機能するのに十分な鎖長を有するものである。このようなバイオ-アルケンは、直鎖分子または分枝鎖分子であってもよいが、直鎖分子が好ましく、限定することを意図するものではないが、最終用途における所望の最終効果のための1つ以上の官能基または置換基、例えば、スルホネート基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、カルボニル基、カルボン酸基、アミン基、フッ素化基、アリール基またはアレーン基、および類似の官能基を含むことができる。好ましくは、このような官能基または置換基は、アルカンジオールへの変換、または特定のアルカンジオールに所望される抗菌性についての最終用途を妨げるものではない。
【0065】
本発明に従って生成されるような、バイオ-1-ヘキセンおよびバイオ-1-オクテンのようなバイオ-アルケンは、本明細書に記載されるようなバイオ-1,2-アルカンジオールを製造するために使用することができ、また、他のバイオ-ベースの化合物およびポリマー、例えば、バイオ-ベースのオレフィンコポリマーの合成のためにも使用することができる。本明細書に記載されているバイオ-1-アルケンは、例えば、当技術分野で知られているフリーラジカルまたは触媒重合プロセスにおいて使用されて、潤滑剤および化粧品成分として有用な様々なバイオ-ポリアルファオレフィンホモポリマーおよびコポリマーを生成することができる。さらなる例としては、バイオ-直鎖状低密度ポリエチレン(bio-LLDPE)を、バイオ-エチレン(サトウキビ由来のバイオ-エタノールからバイオ-エチレンへの脱水によって得られる)とバイオ-1-アルケンのコポリマーとの共重合によって調製することができ、このコポリマーは、100%再生可能なバイオ-LLDPE、食品および非食品包装や収縮/伸長フィルムなどのフィルム用途に有用な熱可塑性樹脂を生成する。
【0066】
本発明のプロセスは、バイオ-1,2-アルカンジオールを製造する実施形態を含み、同プロセスは、バイオ-1-アルコールおよび塩基、好ましくは促進剤で処理された触媒を提供し、次いで焼成することと;バイオ-1-アルコールを触媒の存在下で脱水して、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有するバイオ-アルケンを生成することと;そして、バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、を含む。
【0067】
以下にさらに説明するような触媒を処理する好ましい方法を組み込んだ、バイオ-1,2-アルカンジオールを製造する好ましいプロセスの全体のフロー図が、
図1に示すような実施形態100として提供される。
【0068】
本明細書で一般にプロセス100と呼ばれる、
図1のプロセスにおいて、バイオ-1-アルコールを導入する前に、触媒が調製される。適切なγ-アルミナ触媒、例えば、Al
2O
3110が、反応器101に導入され、その中に、以下にさらに説明するようなカルシウム促進剤または他の塩基処理材料102が導入される。以下に詳細に記載される適切な処理の後、修飾された触媒103は、反応器101を出て、熱処理のためにオーブンなどの加熱されたチャンバ104に入る。例えば、触媒促進剤が使用される場合、焼成工程は、次のステップで得られるバイオ-アルケンにおける位置選択性のレベルを増加させるべく、好ましくかつ制御された温度範囲で行われる。例えば、チャンバ104内での焼成の後、焼成またはその他の方法で熱処理された触媒105は、バイオ-1-ヘキサノールまたはバイオ-1-オクタノールのようなバイオ-1-アルコール106と共に反応器107内に導入され、アルコールと触媒との密接な接触を促進する。適切な反応器には、固定床反応器、流動床反応器、管状反応器、および他の適切な反応器が含まれた。バイオ-1-アルコールをバイオ-1-アルケン109に脱水するのに十分な時間(それは、バイオ-1-アルケンに対して高度に位置選択的にする)が経過した後、カラムまたは他の装置110における更なる任意の蒸留または他の精製または精製工程を行うことができる。次に、精製された、または他の方法で浄化された、高度に位置選択的なバイオ-アルケン(大量のバイオ-1-アルケンであるべきである)が、バイオ-1-アルケンをバイオ-1,2-アルカンジオール113に変換するために反応器112に導入される。このようなバイオ-1,2-アルカンジオール113は、さらに、必要に応じて、カラムでの蒸留または装置における他のステップを介する蒸留などによって精製されてもよい114。精製または蒸留後、99%までの最終的な高収量が、最終的なバイオ-1,2-アルカンジオール115として除去される。
【0069】
バイオ-1-アルケンは、触媒プロセス、好ましくは本明細書に記載の方法に従って処理された触媒を用いて製造することができる。一実施形態において、バイオ-1-アルコールを触媒の存在下で加熱して脱水したバイオ-1-アルコールを用いて、バイオ-1-アルケン(それは、本明細書において、高い位置選択性のバイオ-1-アルケンであるものが形成されるのが好ましい)が形成される。これは、例えば、バイオ-1-アルコールを固定床反応器または流動床反応器に通すことによって行うことができる。固定床は、触媒、好ましくは、以下に記載される技術を使用して処理された処理済の触媒を充填してもよい。
【0070】
例えば、植物源由来のバイオ-1-アルコールは、関連する酸(例えば、1-オクタノールは、オクタン酸を生成することができるココナッツ、ヤシまたは他の植物源またはバイオマスから誘導され、続いて触媒による脱水素により1-オクタノールに還元される)を生成することができるバイオマスを含む。次に、バイオ-1-アルコールは、材料を高温で、例えば、固定床反応器またはバイオ-1-アルコールと触媒との間の密接な接触を提供する他の適切な反応器に供給することによって、位置選択的に脱水される。固定床は、触媒を充填されていてもよく、そうでなければ触媒と十分に接触するように配置されていてもよい。脱水を補助するための適切な接触を達成することができるならば、他の適切な反応器をこの目的のために提供してもよい。例としては、管状反応器、固定および流動床反応器などが挙げられる。
【0071】
反応器は、触媒を充填した単純な加熱反応管として設計することができ、ガス状のバイオ-1-アルコールの触媒上の流れは、好ましくは、単一の通過(pass)で約95%を超える変換率、好ましい実施形態では約98%を超える変換率を与え、全ての場合において、プロセス全体の流れの中でいかなるリサイクルストリームも使用されない。一実施形態において、反応管は等温的に加熱され、管は、触媒性能を最適化するために、管の長さに沿って1~10の反応ゾーン温度を有し、それぞれが約240℃~約360℃の範囲で加熱される。好ましい実施形態において、反応管は、1~4の反応ゾーン温度を約260℃~約340℃の範囲内に有する。
【0072】
一実施形態において、プロセスは、約240℃~約360℃の温度範囲で運転される流動床反応器内で実施される。化学工学の技術に精通した者によって使用される手順および実施方法に従って、他の連続流動反応器の設計を使用することができる。
【0073】
使用される触媒は、γ-アルミナ(例:Porocel(登録商標)CatGuard(登録商標))を少なくとも一種の塩基、好ましくは促進剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カルシウム等で処理して第2の触媒を生成することによって調製することができる。次に、この第2の触媒を焼成して、第3の触媒を生成する。焼成温度は、最も効果的な触媒を作成するために最も予想外で重要であることがわかった。以下に示すように、約500℃で焼成すると、低温で焼成する触媒に比べて位置選択性が著しく低下する。一実施形態において、以下の表1に示されるように、好ましい焼成温度は約400℃~約480℃であり、より好ましい焼成温度は約440℃~460℃である。
【0074】
【0075】
種々の触媒を用いて、脱水ステップにおいてバイオ-1-アルコールを補助することができる。しかしながら、本明細書に記載されるような高レベルの位置選択性を達成することができる適切な触媒が使用されることが好ましい。適切な触媒には、γ-アルミナ系の触媒およびZnAl2O4が含まれる。好ましくは、触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カルシウムなどの塩基で処理される。1つの好ましい例において、触媒は、第I族または第II族の金属を含む塩基で処理されたγ-アルミナ触媒である。1つのより好ましい実施形態において、カルシウムは、塩基および使用されるカルシウム促進剤に含まれ得る。カルシウム促進剤で処理して修飾γ-アルミナ触媒を形成した後、さらに好ましい実施形態では、修飾γ-アルミナ触媒を、種々の焼成技術を用いて、しかしながら、好ましくは標準的な焼成方法で使用されるよりもはるかに低い温度で焼成して、焼成γ-アルミナ触媒を提供する。最初の処理は、修飾γ-アルミナ触媒を提供し、次いで、この触媒は、バイオ-1-アルケンを製造するための本発明のプロセスの脱水工程およびその後のバイオ-1,2-アルカンジオールへの変換を含む様々なプロセスに使用するために焼成される。
【0076】
カルシウム促進剤を用いる場合には、上記の処理において、焼成後に測定されるCaOの量に基づいて約0.01重量%~約4重量%の量で用いることができる。好ましい実施形態において、カルシウム促進剤の約1重量%~約2重量%が、焼成後に測定されたCaOの量に基づいて使用される。
【0077】
別の実施形態において、所望であれば、アルミナ系の処理触媒を、例えば、ジエトキシジフェニルシランで処理することによって、オルガノシランでさらにオルガノシラン化して、オルガノシラン化塩基処理γ-アルミナ触媒を形成することができる。オルガノシラン化(organosilanzized)塩基は、例えば、ジエトキシジフェニルシラン、ジクロロジフェニルシランおよび類似の物質であってよい。
【0078】
一実施形態において、触媒担体(support)は、ZnAl2O4を含んでいてもよく、塩基によって、例えば、促進剤および同様の触媒との反応によって修飾されてもよく、また、高レベルの位置選択性を生成することができる本明細書に記載の触媒と同様の方法で本明細書に記載のプロセスを実施することができる、公知のまたは開発される予定の修飾された触媒材料も使用することができる。
【0079】
上記の触媒は、塩基で処理された場合に好適であることに加えて、代替的に、またはオルガノシランもしくはオルガノシランで修飾された材料で処理されて、促進剤で修飾された触媒を生成してもよい。この促進された触媒は、さらに、ジエトキシジフェニルシランで処理することにより、オルガノシランでオルガノシラン化されて、第3の、オルガノシラン化され、促進剤で修飾されたγ-アルミナ触媒を生成することができる。触媒を修飾するために使用されるオルガノシランは、例えば、ジエトキシジフェニルシラン、ジクロロジフェニルシランおよび類似の材料であり得る。本明細書の実施例10に見られるように、触媒のシラン化は、バイオ-1-オクテン選択性の低下をもたらし、これもまた、従来技術との相違、および1-ブタノールまたは1-オクタノールの高度に位置選択的な脱水に必要な脱水触媒構造の直接的かつ証明された相違を示す。
【0080】
本明細書に記載される他の処理技術において、γ-アルミナ触媒は、インシピエント湿潤含浸(incipient wetting impregnation)技術によって修飾されてもよい。塩基の溶液を用いて、固体の担体を、担体の損傷および化学変化をもたらす可能性のある過剰な水分を回避するように修飾する。一実施形態において、インシピエント湿潤含浸溶液(IWS)は、固体担体の重量の約40%~約100%であり、固体担体は、例えば、未処理のγ-アルミナ触媒であってもよい。一実施形態において、未処理のγ-アルミナ触媒は、市販のPorocel(登録商標)CatGuard(登録商標)から選択される。好ましくは、IWSは触媒担体重量の約50%~約60%である。
【0081】
γ-アルミナは、約50~約400m2/gの表面積を有する粉末形態で提供されてもよい。一実施形態におけるγ-アルミナは、固相触媒の当業者には公知であるように、適切な押出プロセスによって成形される。一例では、γ-アルミナは、長さ対直径の比が約20:1、好ましくは約5:1である1/16’’(0.16cm)~1/8’’(0.32cm)の円筒状ロッドの形態である。押出物は、連続流反応器システムで使用されるのに十分な表面積の細孔容積、機械的強度、および物理的サイズを有するγ-アルミナを最終的に送達することができる球、星形、中空円筒、または任意の三次元形状であり得る。
【0082】
一旦調製されると、例えば、上記のような塩基処理、好ましくは促進剤で処理されたγ-アルミナ触媒は、温度調節に注意して焼成することが好ましい。これは、高温で、好ましくはオーブンのような適当なチャンバ内で行われ、温度範囲は、材料を加熱するために上昇されるが、従来の触媒プロセスで典型的に使用される焼成処理ほど高くない。その代わりに、焼成のための温度は、約400℃~約500℃、好ましくは約420℃~約480℃、最も好ましくは約440℃~約460℃に維持される。典型的に、従来の標準的な焼成処理は、有効性のために設定または指定された制限のない500℃以上の温度で行われる。しかしながら、出願人は、この温度を制御することにより、および本明細書に記載の特定の触媒処理プロセスにおいて、触媒処理と注意深く制御された焼成プロセスとの組み合わせから得られる焼成触媒を用いてバイオ-1-アルコールを脱水する場合に、位置選択性を予想外に制御できてバイオ-1-アルケンの生成を不釣り合いに(disproportionately)有利にすることができることを発見した。
【0083】
本明細書の脱水工程において、バイオ-1-アルコールは、反応器に無希釈で供給してもよいし、反応器を介して水中に供給してもよい。任意選択の不活性ガス(例えば窒素)をパージガスとして使用して、プロセス中において一貫性を維持して汚染を回避することができる。バイオ-1-アルコールは、好ましくは、約200℃~約400℃の温度で、ポンプ(HPLCポンプ等)または加圧ガス源によって供給されるが、反応時間および流速、選択された触媒および所望の結果に応じて、異なるバイオ-1-アルコールに対して温度を調節することができる。反応器から生成物を除去する際には、位置選択性だけでなく、含有量、生成物の同定、およびバイオ-1-アルケン変換の比率を決定するためにモニターすることが好ましい。好ましい実施形態において、バイオ-1-アルケンは、少なくとも約80%、より好ましくは約92%~約99%、さらにより好ましくは約95%~約99%の位置選択性を有する。
【0084】
一実施形態において、本発明の触媒、すなわち、上述の好ましい処理および焼成プロセスから得られる触媒を用いて
図1に記載の脱水プロセスを停止し、触媒を不活性ガス流下で長時間維持することができる。このシャットダウン期間には、数時間、数日、または数週間を指定することができ、この期間には、加熱を適用することも、加熱を適用しないこともできる。本発明の触媒は、触媒活性または位置選択性に悪影響を及ぼすことなく、再加熱し、脱水プロセスを再開することができる。したがって、本発明の触媒は、連続運転において堅牢であるだけでなく、ラインに戻されたときに触媒性能に悪影響を与えることなく、休止(非活動)期間に耐えることができる。
【0085】
バイオ-1-アルケンは、バルクプロセスまたは他の連続反応器において、上記のようにパージガス下で触媒を用いてバイオ-1-アルコールを加熱することにより、水中のバイオ-1-アルコールを脱水するプロセスを用いて形成することもできる。塩基および任意選択のオルガノシラン処理を、触媒および上記のような反応条件と同様に使用することもでき、最も好ましくは、上記のプロセスによって形成された焼成γ-アルミナ触媒を使用することによって行うことができる。
【0086】
バイオ-1-アルコールは、水中のバイオ-1-アルコールをパージ下で触媒と共に加熱することによって脱水するプロセスを使用して形成してもよいが、上述のように、バルクプロセスまたはいくつかの他の連続反応器においても形成することができる。上記の触媒および反応条件と同様に、塩基および任意選択のオルガノシラン処理を使用してもよい。
【0087】
バイオ-1-アルコールが脱水されて高度に位置選択的な末端のバイオ-1-アルケンが形成されると、その物質は次に、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換される。変換に先立って、バイオ-1-アルケンは、任意選択的に、蒸留、減圧蒸留、分別または同様の精製工程などによってさらに精製され、バイオ-アルケンをさらに精製して、微量の不純物および少量の望ましくない画分を除去することができる。例えば、バイオ-1-オクテンを形成する際に、約90重量%~約99重量%のC8オレフィン含有量を達成することができ、n-α-オレフィンの形態のC8オレフィン(すなわち1-オクテン)を少なくとも約95重量%、好ましくは約97重量%以上達成することができる。さらに、バイオ-1-ヘキセンを形成する際に、約95重量%~約99.8重量%のC6含有量を達成することができ、その少なくとも約96重量%~約99重量%は1-ヘキセン構造を有する。
【0088】
石油化学的に誘導された出発物質を使用する標準的なアルケンからアルカンジオールへの変換で使用することが知られているように、および/またはより短い鎖のバイオ-アルカンに使用されるように、様々な化学反応をこの変換に使用することができる。例えば、前記バイオ-1-アルケンを、ギ酸または酢酸の少なくとも1つと過酸化水素などの過酸化物との存在下で反応させて、バイオ-1,2-エポキシアルカン、バイオ-1,2-アルカンジオールおよび他の成分を含む中間溶液を形成する。次いで、これを水酸化ナトリウムまたは別の適切な塩基溶液などの塩基溶液とさらに接触させて、バイオ-1,2-アルカンジオールの形成を完了する。上記のプロセスは、好ましくは約60%~約99%、より好ましくは約70%~約99%または約75%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する。
【0089】
バイオ-1-アルカノールは、他の先行技術に従って、このプロセスで使用するために、熱および酸触媒を用いてバイオ-1-アルカノールを脱水することによってバイオ-1-アルケンに変換することもできる。
【0090】
約5~約20個の炭素原子の鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールであって、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有とともにバイオ-1-アルケンの位置選択性が少なくとも約80%、より好ましくは92%~約99%、最も好ましくは約95%~約99%である第1のバイオ-アルケンを変換することにより合成されるバイオ-1,2-アルカンジオール。一実施形態において、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するバイオ-1-アルカノールは、好ましくは、最初に位置選択的にバイオ-アルケンに変換され、その結果得られるバイオ-アルケンは、上記のように、少なくとも約80%以上のバイオ-1-アルケン含有量を含む。次いで、バイオ-1-アルケンを当技術分野で公知の任意の方法により1,2-アルカンジオールに変換する。得られた変換後のバイオ-1,2-アルカンジオールを蒸留、減圧蒸留、分画、または上述したような他の類似のステップによりさらに精製して、バイオ-1-アルケンを精製し、精製された最終的なバイオ-1,2-アルカンジオールを得ることができる。
【0091】
得られた炭素数約5~約20の鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールは、炭素数約5~約20の炭素鎖を有するバイオ-1-アルカノールを、バイオ-1-アルケンの位置選択性が少なくとも約80%、より好ましくは約92%~約99%、最も好ましくは約95%~約99%であるバイオ-1-アルケンに最初に脱水し、次いで、過酸化水素の存在下で、バイオ-1-アルケンをギ酸または酢酸で処理し、さらに塩基水溶液で処理することにより合成することが好ましい。次いで、バイオ-1,2-アルカンジオールは、一般にジヒドロキシアルカン、より具体的には1,2-アルカンジオールを製造する当業者に公知の任意の適切な技術によって、水溶液から分離することができる。好ましい実施形態では、この目的のために蒸留ステップが含まれる。
【0092】
上記のようなバイオ-1,2-アルカンジオールは、単独で使用するか、または本発明による他の異なるバイオ-1,2-アルカンジオールと組み合わせて使用するかに関わらず、種々の組成物中で使用することができる。このような組成物は、抗菌システム内で作用し得る本発明に従う、1種、2種以上の異なるバイオ-1,2-アルカンジオールを含むことができる。このようなバイオ-1,2-アルカンジオールは、単独で抗菌性添加剤として、または他のバイオ-化合物(すなわち、上記の質量分析、ガスクロマトグラフィー、および/またはASTM標準を用いて試験された、任意の適切な天然由来の、好ましくは真の天然生成物)、例えば、バイオ-有機酸、1,3-プロパンジオール、バイオ-1,2-ブタンジオール、および1,2-ペンタンジオールなどのバイオ-ジオールを組み込んだ抗菌システムにおいて使用することができ、これらは、バイオ-ベースの出発物質の発酵生成物からの抽出物および/または他の抗菌性物質、代替の保存剤、伝統的な保存剤、または当該技術分野で公知であるか、または開発されるべきハードル技術成分である。本発明の範囲内で使用するための好ましいバイオ-化合物源の例は、トリグリセリドである。さらに別の例では、代替の保存剤を調製する際に使用することができる別の化学グループのバイオ-化合物は、一般にテルペノイドとして記載される。これらの天然テルペノイドは、5~20個の炭素原子を有することができ、持続可能な農作業によって容易に入手することができ、本明細書中でバイオ-1,2-アルカンジオールと組み合わせて本明細書中で使用される用語として「バイオ-化合物」の範囲内で使用することができる。
【0093】
組成物中に使用する場合、本発明のバイオ-1,2-アルカンジオールは、好ましくは全組成物の約0.1~約10重量%、好ましくは0.3~約2重量%の量で配合され、その量は、抗菌効果のために単独で使用されるか、抗菌システムの他の成分と一緒に使用されるかによって変更可能であえる。後者の例では、バイオ-1,2-アルカンジオールは、好ましくは、バイオ-1,2-アルカンジオールと他の任意の抗菌成分との比で、抗菌システム中に約99:1~約1:99、好ましくは約75:25~約25:75で存在する(ここで、システムは、本明細書に記載されるバイオ-1,2-アルカンジオールおよび/または組成物中の任意の他の抗菌剤、伝統的保存剤、代替の保存剤および/またはハードル技術成分を含み得る)。
【0094】
本発明の1,2-バイオ-アルカンジオールは、それ自体が種々の産業における他の処方者に提供するための「抗菌製品」とみなされるある種の組成物中で使用される場合、最初に、上記のように本発明に従って製造される1,2-バイオ-アルカンジオール材料の1つ以上を含み、上記のように組成物の1つ以上を組み込む抗菌性製品として調製することができ、ここで、そのような抗菌性製品は、他のバイオ-化合物、既知の抗菌剤、保存剤、代替の保存材料またはハードル技術材料も含み得る。
【0095】
本発明のバイオ-1,2-アルカンジオールと共に使用することができる既知の保存剤および代替の保存材料または代替の保存システムに使用される化合物の例としては、本発明が有益であり得る種々の産業による使用に適したものが挙げられる。例えば、化粧品およびパーソナルケア産業において、本発明に従って形成されたバイオ-1,2-アルカンジオールは、単独で、2つ以上のそのような材料の組み合わせで、および/または他のバイオ化合物と、および/または既知の化粧品用保存剤および代替の保存材料および/またはハードル技術成分と組み合わせて使用することができる。保存材料の例は、(i)パラベン(メチル、エチル、プロピルおよびブチル)、クアテミウム15(別名「Dowicil(商標)」)、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1、3-ジオール(別名「ブロノポール」)、ナトリウムヒドロキシグリシネート、フェノキシエタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、メチルイソチアゾリノン(別名「MI」)、メチルクロロイソチアゾリン(別名「CMI」ケーソン(登録商標)CGとしてMIと組み合わせて使用されることが多い)、安息香酸ナトリウム、カプリリルグリコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびホルムアルデヒドなどの従来の保存剤;(ii)植物のエキス、有機酸、アルコール及びグリセロール、発酵生成物、カプリル酸グリセリル、レブリン酸、p-アニス酸、ユーカリ、カンゾウ、カンゾウ根エキス、サルビア、グランディス(有機グレープフルーツ)エキス、アルニカモンタナ(有機アルニカ)エキス、ボラキシスシードエキス、ロイコノストック/ダイコン根発酵ろ液、ゴールドシール(ヒドラスチス根エキス)、かんきつ類医薬、リモニウム(レモン)皮エキス、カプリルヒドロキサム酸などの非伝統的又は代替的な保存剤;(iii)エタノール(15%以上存在する場合)、ブチレングリコール(10%以上存在する場合)、プロピレングリコール(20%以上存在する場合)などのいわゆる「自己保存」材料;(iv)MDMヒダントイン、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ベンズイソチアゾリノン、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、ヨードプロピニルブチルカルバメートクロロキシレノール、メチルジブロモグルタロニトリル、クロルフェネシン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニド、5-ブロモ-5-ニトロ-1、3-ジオキサン(bronidox(登録商標))、ヘキサミジンジイセチオン酸塩、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、トリクロカルバン、グリセリルカプリル酸塩、o-シメン-5-オール、クロルフェネシン、およびグリセリルモノラウリン酸塩、および1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどの伝統的に石油化学に由来する1,2-アルカンジオールのような化粧品中の代替のまたは従来の保存システムに使用される他の成分;を含み、米国においてはFDAにより列記されている。
【0096】
他の国も同様のリストを有しており、それらの国で使用される可能性のある保存剤、代替の保存剤または保存システム、あるいはハードル技術の添加物の性質と種類についてのバリエーションがある。しかしながら、本発明のバイオ-1,2-アルカンジオールは、このような他の材料においても同様に使用することができる。上記のシステムおよび組成物の各々において、本発明で使用される好ましいバイオ-アルケンはバイオ-オクテンであり、少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールはバイオ-1,2-オクタンジオールである。
【0097】
上記のプロセスおよび/または上記の組成物に従って形成された1種以上のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む抗菌システムから利益を得ることができる組成物の例には、ヘアケア、口腔ケア、スキンケアまたは化粧品組成物などのパーソナルケア組成物;ファブリックケア製品またはクリーニング製品などの家庭用製品組成物;工業組成物;および医薬、ビタミン、栄養補助食品または他のヘルスケア組成物が挙げられ、そのいずれかが真の、天然の、バイオベースの材料に由来する抗菌システム、成分または抗菌製品から利益を得ることができるものである。
【0098】
バイオ-1,2-アルカンジオールは、化粧品またはパーソナルケア組成物(湿基準または総重量基準で)中に、組成物の約0.001重量%~約25重量%、より好ましくは組成物の約0.01重量%~約10重量%を占めるように配合することが好ましい。使用量は、他のハードル技術成分または他の保存剤も組成物中に使用されているかどうかによって異なる場合がある。
【0099】
このようなバイオ-1,2-アルカンジオールは、単独で、2つ以上の異なるバイオ-1,2-アルカンジオールとの組み合わせで、および/またはバイオ-1,2-アルカンジオール単独、または他のバイオ-化合物および/または他の保存剤、代替の保存剤またはハードル技術成分を組み込んだ抗菌システムにおいて、組成物に抗菌効果を与える方法に使用することもでき、ここで組成物は、上記のような種々のタイプの組成物のいずれであってもよい。本明細書に記載されるバイオ-1,2-アルカンジオールは、同バイオ-1,2-アルカンジオールが組み込まれたパーソナルケア組成物、家庭用組成物、工業用組成物、医薬用組成物、ビタミン用組成物、栄養補助用組成物または他のヘルスケア組成物のいずれにも、同組成物に抗菌効果及び効力を与えることが好ましい。このような抗菌効果は、種々の適切な抗菌有効性試験(AET)を用いて証明することができる。このような試験には、例えば、多用量製剤として意図された非経口製剤の製剤開発及び安定性試験中に実施される公定書試験が含まれる。適切な試験方法及び判定基準については、米国薬局方、AET、欧州薬局方(抗菌薬保存の有効性)及び日本薬局方(保存効力試験)に収載されている。他の適切な負荷試験を用いてもよい。FDAは適切な負荷試験も推奨している。
【0100】
抗菌剤の1つの群(そのうちのいくつかは上記の群に属する)は、他のアルコール、好ましくは少なくとも1つの他のアルコール、好ましくは少なくとも1つの他のジオール、最も好ましくは石油化学的に誘導され得る1つ以上の他の隣接ジオールであるが、このような材料は、希釈剤として、またはいくらかの抗菌効果を与えるために少量で使用されることが好ましいが、本発明の天然のバイオ-ベースの1,2-アルカンジオールの影響を低減するほど大きくないことが好ましい。「隣接ジオール(vicinal diols)」という用語は、分子内の互いに隣接する原子に結合したヒドロキシル基を有する材料、すなわち、各々がヒドロキシル基を有する2つの原子が互いに結合している材料を意味する。本発明での使用に適した隣接ジオール化合物の例には、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。このような材料は、パーソナルケア、化粧品および製薬の分野において、保湿剤および溶媒として使用され、そして若干の穏やかな抗菌活性を有するとして、米国特許出願公開第2007-0207105A1号明細書に記載されるように使用される。
【0101】
パーソナルケアおよび医薬用組成物での使用のために記載された組成物における、本明細書に記載されているバイオ-1,2-アルカンジオールと共に使用するための好ましい隣接ジオールは、中鎖長の直鎖隣接ジオールであり、石油化学由来の1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、および1,2-デカンジオールを含み、いくらかの抗菌活性を示す。本明細書に記載の組成物において有用な他の隣接ジオールとしては、グリセリン由来の分子が挙げられる。グリセリンはその1位または3位で他の分子と反応し、2つの隣接ヒドロキシル基を残すことができる。例えば、Schulke&MayrからSENSIVA(登録商標)SC50として市販されているエチルヘキシルグリセリン[3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパン-1,2-ジオール]のようなグリセリルモノエーテルは、抗菌特性を有する有用な伝統的な液体隣接ジオールである。グリセリルモノラウレート、グリセリルモノカプロエートまたはグリセリルモノカプリレート(後者は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのイノレックスケミカルカンパニー(Inolex Chemical Company)から市販されている)のようなグリセリルモノエステルも有用な抗菌性隣接ジオールである。化粧品、トイレタリー、医薬品の保存に関して、隣接ジオールは、細菌及び酵母に対しては有効であるが、真菌に対しては弱いことが知られており、現在までに限られた天然の選択肢しかなく、そのいずれもが、5~20個の炭素原子を有するバイオ-由来の天然の1,2-アルカンジオールであることは、出願人の知る限りでは知られていない。
【0102】
本明細書に記載されている組成物は、好ましくは、使用者に有害であるとみなすことができる、パラベンなどの任意の保存材料、または他の既知の保存材料を含まないか、または少量だけ含む。
【0103】
このようなパーソナルケアおよび医薬組成物は、場合により、可溶化物質とバイオ-1,2-アルカンジオールとの組合せ(または他の保存剤成分とともに使用する場合は、可溶化物質とともに全抗菌システムの重量で)の約1%~約70%重量の量の可溶化剤をさらに含むことができる。適切な可溶化剤としては、隣接ジオールおよび他の従来のジオールが挙げられる。
【0104】
いずれの抗菌システムにおいても、バイオ-1、2-アルカンジオールと共に有用なのは、ヒドロキサム酸などであり、これは種々の産業において使用され得る。適切なヒドロキサム酸には、アルキルヒドロキサム酸および約2~約22個の炭素原子の鎖長の少なくとも1つのアルキル基を含むバイオ-アルキルヒドロキサム酸が含まれ、これらのアルキル基は、上記のように、構造的に分岐または直鎖状、置換または非置換、および飽和または不飽和であってもよい。好ましいアルキルヒドロキサム酸は、約6~約12個の炭素原子の鎖長のアルキル基を含み、最も好ましくはその長さの直鎖の鎖を含む。最も好ましいアルキルヒドロキサム酸は、8個の炭素原子の直鎖の末端鎖を有するカプリロヒドロキサム酸と、10個の炭素原子の直鎖を有するカプロヒドロキサム酸である。そのようなアルキルヒドロキサム酸は、任意の可溶化剤について、単独で、または組み合わせて、上記の量で使用することができる。
【0105】
パーソナルケア用途のために調製された製剤、および最終用途(局所的または経口的)に応じた医薬組成物は、パーソナルケアおよび医薬製剤での使用のために当該技術分野において典型的に使用されるおよび/または開発されるべき任意の他の着色剤、芳香剤、活性成分または他の添加剤を含むことができ、ここで添加剤は、好ましいバイオ-1、2-アルカンジオール、またはバイオ-1、2-アルカンジオールを含有する抗菌製品またはシステムが、例えば、局所皮膚化粧料、皮膚洗浄剤、ナイトクリーム、スキンクリーム、シェービングクリーム、スキンケアローション、または他の化粧用調製物;ファンデーション、リキッドベースの、およびパウダーベースのメイクアップ、マスカラ、口紅、チーク、グロス、アイライナーなどのメイクアップ;または、日焼け止め、リップクリーム、香水、マッサージオイル、シャンプー、コンディショナー、コンディショニングシャンプー、ヘアスタイリングジェル、毛髪修復剤、育毛剤、毛髪固定剤、ヘアムース、入浴剤およびシャワージェル、液体石鹸、保湿スプレー、メーキャップ、圧縮パウダー製剤、入浴剤、眼科用剤、起泡性石鹸およびボディーソープ、消毒用ワイプ、手の消毒剤、薬剤(錠剤や液体)、タオルおよびワイプなどの、他のパーソナルケアおよび/または医薬組成物、において使用される製剤に応じて変化する。本開示に基づいて、多種多様なパーソナルケア組成物および医薬組成物は、本発明のバイオ-1,2-アルカンジオールの特性から利益を得ることができ、ここで、本明細書において使用されるように、医薬組成物は、少なくとも1つの医薬品活性成分(API)を有するものであることが理解されるべきである。
【0106】
液体ベース(ゲル、ヒドロゲル、ローション、シャンプー、液体の薬剤等)の場合、パーソナルケア用製剤および医薬製剤は、液体ベースの一部として水を含むことが好ましい。製剤および組成物は、所望の最終製剤に応じて同様に他の添加剤、例えば、限定されるものではないが、少なくとも1種の保湿剤、少なくとも1種の乳化剤および/または増粘剤、キレート剤、ゲル化剤、アミノ酸、エモリエント、種々の溶媒、フリーラジカルおよび開始剤、サンスクリーンUVAおよび/またはUVB遮断剤、酸化防止剤、他の保存剤、ワックス、ポリマーおよびコポリマー、無機および有機顔料および/または1種以上の香料、フレーバー(favorings)、着色剤、ハーブ、天然抽出物、精油、医薬品、他の原薬、およびそのような製剤に一般的に使用される他の添加剤を含むことができる。
【0107】
本明細書のバイオ-1,2-アルカンジオールを使用するパーソナルケアおよび医薬組成物は、ローションベースの水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、シリコーン中水型エマルジョン、水中シリコーン型エマルジョン、ゲル、固体、液体、クリームベースの、オイルベースの、水性/アルコールまたはグリコール溶液ベースの、分散液、懸濁液またはシロップ、マイクロエマルジョンあるいはリポソームベースの製剤であってもよい。
【0108】
固体およびより厚いゲルなど以外の水ベースの製剤では、(湿潤ベースで)約20重量%~約95重量%の水がその中に組み込まれることが好ましい。本明細書に記載の水および好ましい抗菌システム以外の様々な添加剤は、様々なパーソナルケア組成物および医薬組成物の残りの部分を構成するであろう。好ましくは、各添加剤は、製剤全体の約75重量パーセントまで、より好ましくは約40重量パーセントまでの量で存在し、好ましくはそのような添加剤を合わせた量は約50重量パーセント以下で存在する。
【0109】
家庭用製品において、抗菌剤はまた有用な添加剤である。家庭用製品の組成物には、家庭用クリーナーおよび布地ケア用の組成物を含めることができる。洗浄用組成物は、(固体または溶液に関わらず)洗浄のための有効成分である洗浄剤(漂白剤、酢、アンモニア、クエン酸など)を組み込むことができる。液体洗浄剤の場合、第4級アンモニウム化合物、漂白剤、酢、または塩基性または酸性の洗浄剤など、当技術分野で知られている、または開発される予定の水溶液を使用することができる。市販の第4級アンモニウムベースの洗浄製品には、殺菌または消毒効果のために意図され、よく適した種々の抗菌性汎用洗浄剤が含まれるが、そのような組成物は、依然として、保存寿命のための、かつ外来物質の成長を防止するための抗菌剤および他の保存剤が含まれている。したがって、そのような組成物はまた、本明細書に記載されている天然のバイオ-1,2-アルカンジオールの使用から利益を得る。
【0110】
クエン酸ベースの薬剤または他のグリーンな(green)洗浄剤(環境に優しいもの)などのより天然な洗浄溶液の場合、消費者は、同じく天然であり、この場合は生物学的供給源に由来するさらなる添加剤に興味があるだろう。したがって、そのような組成物は、本明細書に記載されている天然のバイオ-ベースの1,2-アルカンジオール、ならびに同バイオ-1,2-アルカンジオールを組み込んだ抗菌システムおよび製品から利益を得る。上記のそのような天然の洗浄組成物ならびに標準的な洗浄組成物はまた、以下に記載されるように様々な量の様々な任意の添加剤を組み込むことができる。クエン酸-ベースの洗浄製品には、レモン、オレンジ、またはグレープフルーツ-ベースの洗浄剤が含まれていてもよい。他の適切な成分としては、グレープシードオイル、マイルドな過酸化物剤、界面活性剤などの1つ以上と組み合わせた植物油、並びに、洗浄剤が存在するときに視覚的な警告を与える顔料または着色剤添加剤、従来の又は代替の保存剤化合物、抗菌剤、殺菌剤又は防カビ剤(それらの各々は、抗菌システムまたは製品において本発明のバイオ-1,2-アルカンジオールに沿って、またはそれと組み合わせて使用することができる)、チキソトロピー剤及びレオロジー改質剤、pH調整添加剤又は緩衝剤、並びに清浄な匂い(松の香り、レモンの香り、オレンジの香り、フローラルな香りなど)を与えるための香料添加剤が挙げられる。さらに、必要に応じて、発泡、色変化、または泡立ち(バブリング)のための他の薬剤を提供して、洗浄作用を実証することができる。固体洗浄剤は、同様の添加剤を組み込むことができるが、基材(スポンジ、スクラバー、モップヘッドなど)上に洗浄材料を堆積させ、固体洗浄材料を一緒に保持するための様々な不活性剤(硬化剤、ゲル化剤、鉱物粉末など)を圧縮、組み込む、または形成することができる。家庭用洗浄組成物用の他の添加剤としては、pH緩衝剤、香料封入剤又は担体、蛍光剤、ヒドロトロープ、土壌放出剤、高分子電解質、酵素、光学増白剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、乳白剤、真珠光沢剤およびこれらの組み合わせ、並びに既知の、または開発されるべき他の洗浄剤製品が挙げられる。
【0111】
布地ケア組成物は、任意の布地洗浄活性成分、ならびに当該技術分野において公知であるかまたは開発されるべき種々のコンディショニング成分を含むことができる。このような組成物は、布地洗浄または洗濯、布地のコンディショニングまたは柔軟化、布地染料、水コンディショナー、および/またはスポット除去剤またはしみ処理などの布地ケア組成物に使用される成分を含むことができる。そのような成分は、限定されるものではないが、消泡剤、付着防止剤、芳香剤およびそれらの担体またはカプセル剤、伝統的または従来的なジオール(ただし、バイオ-1、2-アルカンジオールが既存のジオールに対して、同等の、向上したもしくは増強された能力で有用である場合には、そのようなジオールは省略してもよい)、顔料または染料などの着色剤、および共軟化剤を含む。布地ケア組成物用の他の添加剤としては、限定されるものではないが、他の伝統的な保存剤、抗菌剤、殺菌剤、および/または防カビ剤(それらの各々は、単独で、または本明細書に記載される抗菌製品または抗菌システムにおいて使用され得る)、pH修飾剤または緩衝剤、蛍光剤、ヒドロトロープ、土壌放出剤、高分子電解質、酵素、光学増白剤、抗収縮剤、抗しわ剤、抗スポッティング剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、抗腐食剤、ドレープ付与剤、帯電防止剤、アイロン補助剤、臭気防止化合物、香料封入剤、綿実油、茶油、アロエエキス、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、乳白剤、真珠光沢剤、およびこれらの成分の組合せを含む。
【0112】
本明細書に記載されている抗菌性バイオ-1,2-アルカンジオールはまた、所望の利益を達成するために、完成した織物の処理および/または織物を製造することになる繊維または糸の処理において使用することができる。織物は、フェルト及びタパ布及び他の樹皮布のような、織布及び不織布、又はそれらのブレンドおよびそれらの組合せを含むことができる。織物繊維(それは完成した織物形態として、糸状または繊維状形態として存在しているか否かに関わらず)は、当技術分野で公知または開発された任意のものであってもよく、合成繊維、「天然の」繊維(例えば動物由来の繊維またはセルロース/植物由来の繊維)およびこれらのいずれかのブレンドまたは組合せを含む。
【0113】
動物由来の繊維は、動物の毛または毛皮を含み、これらに由来することができる。例としては、限定されるものではないが、子羊または羊のウール、アルパカ、アンゴラウール、アズロン、ビッサス(byssus)、ラクダの毛、カシミヤウール、チエンゴラ、チャットゴラ(chatgora)、ラマ、モヘアウール、キビウト(qiviut)、ウサギ、シルク、ビクーニャ、ヤク、パシュミナウール、およびこれらの組合せが挙げられる。セルロース系または植物由来の繊維としては、限定されるものではないが、亜麻(リネン繊維)、綿、ラミー、ジュート、ケナフ、ビーチハイビスカス、ローゼル、ウレナ、麻(例えば、サンヘンプ(Crotalaria juncea)、アサ(Cannabis sativa)、アメリカアサ(Apocynum cannabinum))、フープつる、サイザルアサ、エネケン、ユッカ、マニラアサ、チトセラン属、ニュージーランド亜麻、綿、コイア、トウワタ(milkweed)、カポック、真綿(floss silk)、ダブルクロウ(Proboscidea parviflora)、竹、靭皮、フィーク、バナナ、モーダル、リヨセル、ピーニャ、ラフィア、レーヨン、大豆タンパク質、アセテートおよびそれらの組み合わせから得られるものが挙げられる。合成繊維としては、限定されるものではないが、例えば、アクリル、ケブラー(登録商標)、モダクリル、ノメックス(登録商標)、ナイロン、ポリエステル、ライクラ(登録商標)、スパンデックス、レーヨン、およびこれらの組み合わせなどの、公知のまたは開発されるべき任意のものが挙げられる。
【0114】
布地処理組成物は、織物または繊維に適用することができる。組成物は、湿式または乾式組成物のいずれかとして、および水を用いた洗濯サイクルまたは乾燥サイクルの間に適用することができる。そのような布地処理材料は、織物または繊維を軟化および/またはコンディショニングするために;しわを低減および/または防止するために;織物または繊維に芳香を付与するために;アイロン時間を短縮するために;柔軟性を向上させるために、などにおいて使用することができる。
【0115】
本発明はまた、本発明に従って形成された1,2-バイオ-アルカンジオール材料を、既存の抗菌剤、保存剤、代替の保存剤材料および/またはハードル技術の抗菌効率を高めるための材料として使用することを含む。
【0116】
抗菌効力を高めることによって、既存の抗菌剤および/または保存剤(代替の保存剤材料やハードル技術を含む)の抗菌効力は、1,2-バイオ-アルカンジオールと組み合わせた場合に、実質的な改善以上の抗菌効果の改善、即ち、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約20%以上の改善を達成する一方で、天然の増強材料を提供する。製剤中の増強効果(boosting effects)および抗菌効果は、保存効力試験「PET」又はチャレンジ試験を用いて性能を測定することにより評価される。化粧品、トイレタリー、医薬品に使用される保存剤および抗菌剤は、政府の規制や業界団体によって確立された「チャレンジテスト」と呼ばれる微生物学的テストプロトコルに製品が合格しなければならない。チャレンジテストは、製品に既知量の微生物を添加し、経時的な微生物数の増減を測定することによって行われる。微生物には、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母、カビが含まれる。米国化粧品工業会(Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association(CTFA))は、化粧品、トイレタリー、製薬業界で広く受け入れられているチャレンジテストを定義した。この試験では、細菌の量を7日間で99%、酵母と菌類(カビ)の量を7日間で90%減らす必要がある。チャレンジテストに合格するには、短期間で広範囲の微生物に対して抗菌効果を発揮する適切な量及び種類の保存剤化合物を含有していなければならない。
【0117】
抗菌効力を提供すると記載された内容に加えて、上記のように既存の抗菌剤などの有効性を改善するために増強材料として使用する場合、1,2-バイオアルカンジオールは、全組成物の約0.1~約10重量%、好ましくは5.0~約3.0重量%の量で配合されることが好ましく;そして、組成物中に既に存在する抗菌剤、保存剤、代替の保存剤および/またはハードル技術成分の総量の約99.999:0.001~約0.001:99.999、好ましくは約99.9:0.1~約0.1:99.9の比で配合されることが好ましい。
【0118】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例に関して説明する。
【実施例0119】
バイオ-1-オクタノールは、バイオ-オクタン酸(その適切な供給源は、ココナッツ、ヤシ、またはオクタン酸を生成することができる任意の他の再生可能な供給源またはプロセスに由来し得る)の水素化から形成される。バイオ-1-オクタノールは、バイオ-1-オクタノールを高温で、本明細書に記載の本発明に従う触媒を含む固定床反応器に供給することにより位置選択的に脱水される。
【0120】
ガスクロマトグラフィー(GC)は石油誘導体及び天然の再生可能な誘導体の両方の特性化に用いられる重要な方法であった。生成物(例えば、オクテン)は、FID検出器とChromeleon(商標)ソフトウェア(バージョン7.2.4.8525)を採用したThermo Scientific Trace(登録商標)1310ガスクロマトグラフを用いて特性化した。脱水反応生成物について、GCはRestek(登録商標)MXT-5カラム(30mの長さ、0.5μmの膜、0.53ID)、ヘリウムキャリアガス(3.0mL/分)、CT分割注入45mL/分(5.0mL/分のパージ流量)、インジェクタ250℃、検出器300℃、オーブン70℃を使用し、8分間保持し、その後、300℃(15℃/分)に昇温し、6.67分間、最終保持した。アルカンジオール生成物について、GC分析には、Restek(登録商標)MXT-WAXカラム(30mの長さ、0.5μmの膜、0.53ID)、ヘリウムキャリアガス(5.0mL/分)、CT分割注入10mL/分(5.0mL/分のパージ流量)、インジェクタ220℃、検出器250℃、オーブン70℃を使用し、0.25分間保持し、その後、250℃(10℃/分)に昇温し、6.67分間、最終保持した。
【0121】
実施例1
γ-アルミナ粉末を、インシピエント湿潤(incipient wetting)の技術を使用して酢酸カルシウム水溶液で処理し、空気中で440℃で12時間焼成した後、1.50%のカルシウム(CaOに基づく)を含む触媒を得た。
【0122】
実施例2
γ-アルミナ粉末を、インシピエント湿潤の技術を使用して酢酸カルシウム水溶液で処理し、空気中で500℃にて12時間焼成した後、1.50%のカルシウム(CaOに基づく)を含む触媒を得た。
【0123】
実施例3
実施例1および実施例2で調製した触媒は、別々の75mL(シグマアルドリッチパーツ番号Z173592)反応器に装填し、それぞれを加熱テープで包み、ガラス繊維断熱材で覆った。反応器の外皮に熱電対を取り付けることによって温度を制御し、この入力を温度制御器に用いた。バイオ-1-オクタノールを、HPLCポンプを用いて315℃に維持された反応器に供給した。バイオ-1-オクタノールの供給速度は、95%を超え100%未満の変換率が得られるように調整した。1時間の連続操作の後に、サンプルを収集し、バイオ-1-オクタノールの化学的変換とバイオ-1-オクテンの位置選択性を分析した。結果は以下の通りである:
【0124】
【0125】
実施例4
1/16インチ(0.16cm)押出物の形態のγ-アルミナであるPorocel(登録商標)CatGuard(登録商標)を、2~4の範囲の長さ対直径比を有するように切断した。押出物を酢酸カルシウムの水溶液で修飾した。アルミナに対する溶液の重量は0.55重量であり、酢酸カルシウム濃度は1.50%のCaOを供給するレベルであった(焼成後)。この触媒を空気中440℃で12時間焼成した。
【0126】
実施例5
実施例4で調製した触媒48gを75mL(シグマアルドリッチパーツ番号Z173592)反応器に装填し、加熱テープで包み、ガラス繊維断熱材で覆った。反応器の外皮に熱電対を取り付けることによって温度を制御し、この入力を温度制御器に用いた。バイオ-1-オクタノールを0.2mL/分で3l5℃に維持した反応器に供給した。定期的なシャットダウン及びスタートアップを含んだ、1,400時間以上のTOSの後、1)バイオ-1-オクタノールの化学変換、2)生成物選択性、および、3)バイオ-1-オクテンの位置選択性に関する触媒性能は変化しなかった。反応器から回収した粗生成物のGCクロマトグラムを
図3に示すが、オクテン選択率は96%であり、バイオ-1-オクテンの化学収率は94%である。
【0127】
実施例6
実施例5の生成物を大気圧で単純蒸留した。得られた生成物をGCで分析し、クロマトグラムを
図4に示す。蒸留からの生成物は99.9%のバイオ-オクテンであり、96.7%の含有量のバイオ-1-オクテンであった。
【0128】
実施例7
実施例6の生成物をギ酸および過酸化物で処理し、次に塩基加水分解することによりバイオ-1,2-オクタンジオールに変換し、最後に分留により精製した。
図5にGCクロマトグラムを示す。本実施例で得られたバイオ-1,2-オクタンジオールのGC分析による化学純度は98.7%である。現在市販の化粧品に使用されているペトロ-1,2-オクタンジオールの代表的なGCクロマトグラムを
図6に示す。
【0129】
実施例8
安定同位体分析は、石油ベースのもの、および実施例6および7で調製された天然の再生可能な原料から調製されたものについて実施した。その値を以下に示す:
【0130】
【0131】
実施例9
実施例7で調製したバイオ-1,2-オクタンジオールを、石油、再生不能、非天然の同等物を認定するために現在使用されている試験に供した。実施例7で調製したバイオ-1,2-オクタンジオールは、すべてのバッチ分析試験要件を満たすことが見出された:
【0132】
【0133】
実施例10
比較例において、バイオ-1-オクタノールを、次のように調製した触媒を充填した75mL反応器に供給した:γ-アルミナ粉末を水酸化ナトリウム溶液(5重量%のNaOH)で修飾して第2の触媒を調製し、第2の触媒をオーブン中で乾燥し、次いでエタノールに溶解したジエトキシジフェニルシラン(アルミナを基準として1重量%)で処理した。溶媒を除去し、触媒をエタノールで洗浄し、オーブンで乾燥させて、第3の触媒を作成した。この第3の触媒は、400℃で12時間焼成した。触媒を75mLの反応器に装填し、325℃の目標温度に加熱し、バイオ-1-オクタノールの供給速度を調整して、変換と位置選択性の両方を最適化した。
【0134】
実施例11
ペトロ-1-ヘキサノールを、実施例4で調製した触媒を充填した75mLの反応器に供給した。この実施例で使用した触媒は、バイオ-1-オクタノールのバイオ-1-オクテンへの脱水に使用するために1400時間を超えるTOSを有していた。この一連の脱水反応の例では、温度を330℃から370℃まで変化させ、反応器を通過するヘキサノールの量が1~2%になるように供給速度を調整した。ヘキサノール脱水の結果を以下に示す。
【0135】
【0136】
実施例11Cにおいて、反応器が370℃に維持されている場合、GCクロマトグラムにおける新しいピークは、3.6の面積%を有するように見える。したがって、1-ヘキセンの化学収率が低く、別の生成物が形成されていることを示している。
【0137】
実施例12
バイオ-1-オクタノールの脱水のための1400時間のTOSの後、いくらかの触媒が管状反応器の入口側で除去された。
図7において、使用された触媒が0時間のTOSの触媒の隣に撮影されている。使用された触媒はわずかな変色を示すが、本明細書に記載されているように、化学変換の損失または位置選択性の損失を示していない。
【0138】
当業者には、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内の修正を包含することを意図していることが理解される。
当業者には、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内の修正を包含することを意図していることが理解される。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]バイオ-1,2-アルカンジオールの合成のためのプロセスであって、前記プロセスは、
約5~約20個の炭素原子の炭素鎖と、少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性とを有するバイオ-アルケンを提供することと、
前記バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、
を含むプロセス。
[付記2]前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約14個の炭素原子の炭素鎖を有する、付記1に記載のプロセス。
[付記3]前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約10個の炭素原子の炭素鎖長を有する、付記2に記載のプロセス。
[付記4]前記バイオ-アルケンおよび前記バイオ-1,2-アルカンジオールはそれぞれ、約6~約8個の炭素原子の炭素鎖長を有する、付記3に記載のプロセス。
[付記5]前記バイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記バイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記1に記載のプロセス。
[付記6]前記バイオ-アルケンは、触媒を備えた反応器内でバイオ-1-アルコールを加熱することによって同バイオ-1-アルコールが脱水されるプロセスから生じる、付記1に記載のプロセス。
[付記7]前記反応器が固定床反応器である、付記6に記載のプロセス。
[付記8]前記固定床反応器が流動固定床反応器である、付記7に記載のプロセス。
[付記9]前記触媒が、ZnAl
2
O
4
およびγ-アルミナ触媒から選択される、付記6に記載のプロセス。
[付記10]前記バイオ-アルケンが、約92%~約99%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する、付記9に記載のプロセス。
[付記11]前記バイオ-アルケンが、約95%~約99%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する、付記10に記載のプロセス。
[付記12]前記プロセスはまた、少なくとも約92%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、付記1に記載のプロセス。
[付記13]前記触媒は、修飾γ-アルミナ触媒を形成するために塩基で処置されたγ-アルミナ触媒である、付記9に記載のプロセス。
[付記14]前記塩基は、第I族または第II族の金属を含む、付記13に記載のプロセス。
[付記15]前記γ-アルミナ触媒は、修飾γ-アルミナ触媒を提供するためにカルシウム促進剤で処理される、付記9に記載のプロセス。
[付記16]前記修飾γ-アルミナ触媒は、焼成γ-アルミナ触媒を提供するために焼成される、付記15に記載のプロセス。
[付記17]前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約0.01重量パーセント~約4重量パーセントの量で使用される、付記16に記載のプロセス。
[付記18]前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約1重量パーセント~約2重量パーセントの量で使用される、付記17に記載のプロセス。
[付記19]焼成中の温度が約400℃~約500℃である、付記15に記載のプロセス。
[付記20]焼成中の温度が約420℃~約480℃である、付記19に記載のプロセス。
[付記21]焼成中の温度が約440℃~約460℃である、付記20に記載のプロセス。
[付記22]焼成がオーブン内で行われる、付記15に記載のプロセス。
[付記23]焼成が空気または不活性ガスの雰囲気中で行われる、付記15に記載のプロセス。
[付記24]前記バイオ-アルケンは、同バイオ-アルケンをバイオ-1,2-アルカンジオールに変換する前に、蒸留工程を経て同バイオ-アルケンを精製する、付記6に記載のプロセス。
[付記25]前記バイオ-アルケンから形成された前記バイオ-1,2-アルカンジオールが、同バイオ-1,2-アルカンジオールを精製するための最終蒸留工程を経る、付記6に記載のプロセス。
[付記26]前記バイオ-アルケンは、水中のバイオ-1-アルコールが、パージガス下で触媒と共に同バイオ-1-アルコールを加熱することによって脱水されるプロセスから生じる、付記1に記載のプロセス。
[付記27]前記バイオ-アルケンは、エポキシ環を有するバイオ-1,2-エポキシアルカンを形成するべく同バイオ-アルケンをギ酸または酢酸の少なくとも1つと過酸化物との存在下で反応させ、バイオ-1,2-アルカンジオールを形成するべく前記1,2-エポキシアルカンを水および水酸化ナトリウムと接触させることにより、バイオ-1,2-アルカンジオールに変換される、付記1に記載のプロセス。
[付記28]前記プロセスは、少なくとも約60%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、付記1に記載のプロセス。
[付記29]前記プロセスは、少なくとも約72%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、付記28に記載のプロセス。
[付記30]バイオ-1,2-アルカンジオールを製造するプロセスであって、前記プロセスは、
バイオ-1-アルコールおよび塩基で処理された触媒を提供することと;
バイオ-1-アルコールを前記触媒の存在下で脱水して、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有するバイオ-アルケンを生成することと;
前記バイオ-アルケンを、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するバイオ-1,2-アルカンジオールに変換することと、
を含む、プロセス。
[付記31]前記触媒がγ-アルミナ触媒であり、前記塩基がカルシウムを含む、付記30に記載のプロセス。
[付記32]前記γ-アルミナ触媒をカルシウム促進剤で処理し、処理後、約400℃~約500℃の温度で焼成する、付記31に記載のプロセス。
[付記33]前記プロセスは約72%~約99%のバイオ-1,2-アルカンジオールを生成する、付記30に記載のプロセス。
[付記34]前記バイオ-1-アルケン位置選択性が約95%~約99%である、付記30に記載のプロセス。
[付記35]アルコールの脱水に使用するための触媒を処理する方法であって、前記方法は、
γ-アルミナ触媒を提供することと;
第I族または第II族金属を含む塩基でγ-アルミナ触媒を処理することと;
前記γ-アルミナ触媒を約400℃~約500℃の温度に加熱することと、
を含む、方法。
[付記36]前記塩基がカルシウムを含む、付記35に記載の方法。
[付記37]前記塩基がカルシウム促進剤であり、前記加熱することが焼成中に起こる、付記36に記載の方法。
[付記38]前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約0.01重量パーセント~約4重量パーセントの量で使用される、付記37に記載の方法。
[付記39]前記カルシウム促進剤が、焼成後に決定されたCaOの重量に基づいて、約1重量パーセント~約2重量パーセントの量で使用される、付記38に記載のプロセス。
[付記40]焼成中の温度が約420℃~約480℃である、付記35に記載のプロセス。
[付記41]焼成中の温度が約440℃~約460℃である、付記40に記載のプロセス。
[付記42]約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有し、かつ少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンを変換することによって合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む組成物。
[付記43]前記組成物がパーソナルケア組成物である、付記42に記載の組成物。
[付記44]前記パーソナルケア組成物が、ヘアケア組成物、オーラルケア組成物、スキンケア組成物、または化粧品組成物である、付記43に記載の組成物。
[付記45]前記組成物が家庭用製品用の組成物である、付記42に記載の組成物。
[付記46]前記家庭用製品が布地ケア製品または洗浄製品である、付記45に記載の組成物。
[付記47]前記組成物が工業用組成物である、付記42に記載の組成物。
[付記48]前記組成物が医薬組成物、ビタミン組成物、またはヘルスケア組成物である、付記42に記載の組成物。
[付記49]前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって合成される、付記42に記載の組成物。
[付記50]前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記49に記載の組成物。
[付記51]前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる抗菌性化合物を含む、付記50に記載の組成物。
[付記52]前記組成物が、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記42に記載の組成物。
[付記53]前記組成物が、少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、他のバイオ-化合物とは異なる、少なくとも1つの抗菌化合物を含む、付記52に記載の組成物。
[付記54]前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、付記42に記載の組成物。
[付記55]前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記42に記載の組成物。
[付記56]組成物に抗菌効果を提供する方法であって、前記方法は前記組成物に抗菌システムを組み込むことを含み、前記抗菌システムは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する少なくとも1つの第1のバイオ-アルケンの変換によって合成される、方法。
[付記57]前記抗菌システムは、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ第1のバイオ-アルケンとは異なり、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、付記56に記載の方法。
[付記58]前記組成物が、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記57に記載の方法。
[付記59]抗菌システムが、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる少なくとも1つの他の保存剤化合物を含む、付記58に記載の方法。
[付記60]前記組成物が、前記少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記57に記載の方法。
[付記61]抗菌剤が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なり、かつ前記他のバイオ-化合物とは異なる、少なくとも1つの他の抗菌化合物および保存剤化合物のうちの少なくとも一方を含む、付記60に記載の方法。
[付記62]抗菌システムが抗菌効果を示す、付記57に記載の方法。
[付記63]前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、付記57に記載の方法。
[付記64]前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記57に記載の方法。
[付記65]組成物中の抗菌剤および保存剤のうちの少なくとも一方の抗菌効率を高める方法であって、前記組成物中に抗菌システムを組み込むことを含み、前記第2の抗菌システムが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含み、同第1のバイオ-1,2-アルカンジオールが、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケンの位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換によって合成される、方法。
[付記66]前記抗菌システムは、前記第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ第1のバイオ-アルケンとは異なり、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長および少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、付記65に記載の方法。
[付記67]組成物が、前記抗菌剤および保存剤の少なくとも一方とは異なり、かつ第1および第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記66に記載の方法。
[付記68]前記組成物が、前記少なくとも1つのバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記65に記載の方法。
[付記69]前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、付記65に記載の方法。
[付記70]前記抗菌システムが抗菌効果を示す、付記65に記載の方法。
[付記71]前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記65に記載の方法。
[付記72]約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンを変換することによって合成される、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む抗菌製品。
[付記73]前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、同第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンであって第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、付記72に記載の抗菌製品。
[付記74]前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記73に記載の抗菌製品。
[付記75]前記抗菌製品とは異なる、第2の抗菌剤および保存剤の少なくとも一方をさらに含む、付記74に記載の抗菌製品。
[付記76]前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記72に記載の抗菌製品。
[付記77]前記抗菌製品とは異なる、第2の抗菌剤および保存剤の少なくとも一方をさらに含む、付記76に記載の抗菌製品。
[付記78]前記第1のバイオ-1-アルケンは、約95%~約99%の位置選択性を有する、付記72に記載の抗菌製品。
[付記79]前記抗菌製品が抗菌効果を示す、付記72に記載の抗菌製品。
[付記80]前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記72に記載の抗菌製品。
[付記81]組成物中の抗菌剤および保存剤のうちの少なくとも一方の効力を高めるための製品であって、前記製品は、約5~約20個の炭素原子の炭素鎖を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第1のバイオ-アルケンの変換により合成される少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールであって約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有する第1のバイオ-1,2-アルカンジオールを含む、製品。
[付記82]前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる第2のバイオ-1,2-アルカンジオールをさらに含み、前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールは約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有し、かつ約5~約20個の炭素原子の炭素鎖長を有するとともに少なくとも約80%のバイオ-1-アルケン位置選択性を有する第2のバイオ-アルケンであって第1のバイオ-アルケンとは異なる第2のバイオ-アルケンの変換によって形成される、付記81に記載の製品。
[付記83]前記組成物が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールおよび前記第2のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記82に記載の製品。
[付記84]前記製品が、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールとは異なる少なくとも1つの他のバイオ-化合物をさらに含む、付記81に記載の製品。
[付記85]前記第1のバイオ-1-アルケンは、約92%~約99%の位置選択性を有する、付記81に記載の製品。
[付記86]前記第1のバイオ-アルケンがバイオ-オクテンであり、前記少なくとも1つの第1のバイオ-1,2-アルカンジオールがバイオ-1,2-オクタンジオールである、付記82に記載の製品。
[付記87]前記製品が抗菌効果を示す、付記81に記載の製品。