(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063011
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】リアルタイムで無線周波数(RF)曝露を評価すること
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240501BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240501BHJP
H04W 52/34 20090101ALI20240501BHJP
【FI】
H04B1/04 E
H04W88/06
H04W52/34
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017387
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2020572730の分割
【原出願日】2019-07-03
(31)【優先権主張番号】62/694,405
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/696,687
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/460,894
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャガディシュ・ナダクドゥディ
(72)【発明者】
【氏名】リン・ル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・グッキアン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンシェン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ミンミン・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ウダラ・フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ラグー・チャッラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワイヤレスデバイスからの無線周波数(RF)曝露を評価する方法を提供する。
【解決手段】ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法は、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定し、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定し、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせ、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定し、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定し、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスデバイスであって、
第1のワイヤレス通信技術に従って第1の信号を送信するように構成された第1の送信機と、
第2のワイヤレス通信技術に従って第2の信号を送信するように構成された第2の送信機と、
前記第1及び第2の送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
前記第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
前記第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項2】
前記SAR分布は、第1の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたSAR分布を備える、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項3】
前記第1の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記プロセッサは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのSAR分布を決定することと、
前記時間平均化されたSAR分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記SAR分布を平均化することと
を行うことによって前記時間平均化されたSAR分布を決定するように構成される、請求項2に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項4】
前記第1の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、請求項3に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項5】
前記PD分布は、第2の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたPD分布を備える、請求項2に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項6】
前記第1の時間平均化ウィンドウ及び前記第2の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、請求項5に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項7】
前記第2の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記プロセッサは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのPD分布を決定することと、
前記時間平均化されたPD分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記PD分布を平均化することと
を行うことによって前記時間平均化されたPD分布を決定するように構成される、請求項5に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項8】
前記第2の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、請求項7に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項9】
前記時間平均化されたSAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記時間平均化されたPD分布は、PD限界に対して正規化される、請求項5に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項10】
前記組み合わされたRF曝露分布は、前記将来のタイムスロットにおける送信電力レベルの関数であり、前記プロセッサは、前記組み合わされたRF曝露分布のピーク値が限界値以下になることをもたらす前記送信電力レベルについての電力レベルを決定することによって、前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項11】
前記SAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記PD分布は、PD限界に対して正規化され、前記限界値は、1に等しい、請求項10に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項12】
前記第2の送信機は、複数の送信周波数帯域で前記第2の信号を送信するように構成され、前記複数の送信周波数帯域の各々は、複数の時間平均化ウィンドウのうちのそれぞれ1つに対応し、前記PD分布は、組み合わされた時間平均化されたPD分布を備え、前記プロセッサは、
前記複数の送信周波数帯域の各々について、前記それぞれの時間平均化ウィンドウに対応する前記送信周波数帯域についての時間平均化されたPD分布を決定することと、
前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を取得するために、前記送信周波数帯域についての前記時間平均化されたPD分布を組み合わせることと
を行うことによって、前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を決定するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項13】
前記複数の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、請求項12に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項14】
前記第1の送信機は、10GHzを下回る周波数で前記第1の信号を送信するように構成され、前記第2の送信機は、10GHzを上回る周波数で前記第2の信号を送信するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項15】
ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法であって、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を備える、方法。
【請求項16】
前記SAR分布は、第1の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたSAR分布を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記SAR分布を決定することは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのSAR分布を決定することと、
前記時間平均化されたSAR分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記SAR分布を平均化することと
を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PD分布は、第2の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたPD分布を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の時間平均化ウィンドウ及び前記第2の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記PD分布を決定することは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのPD分布を決定することと、
前記時間平均化されたPD分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記PD分布を平均化することと
を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記時間平均化されたSAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記時間平均化されたPD分布は、PD限界に対して正規化される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記組み合わされたRF曝露分布は、前記将来のタイムスロットにおける送信電力レベルの関数であり、前記少なくとも第1の1つの最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することは、前記組み合わされたRF曝露分布のピーク値が限界値以下になることをもたらす前記送信電力レベルについての電力レベルを決定することを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記SAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記PD分布は、PD限界に対して正規化され、前記限界値は、1に等しい、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の送信機は、複数の送信周波数帯域で信号を送信するように構成され、前記複数の送信周波数帯域の各々は、複数の時間平均化ウィンドウのうちのそれぞれ1つに対応し、前記PD分布は、組み合わされた時間平均化されたPD分布を備え、前記PD分布を決定することは、
前記複数の送信周波数帯域の各々について、前記それぞれの時間平均化ウィンドウに対応する前記送信周波数帯域についての時間平均化されたPD分布を決定することと、
前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を取得するために、前記送信周波数帯域についての前記時間平均化されたPD分布を組み合わせることと
を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うための記憶された命令を備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、ここにおいて、前記将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える、
前記将来のタイムスロットについての前記最大許容時間平均電力レベルに基づいて、前記複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、
前記それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、前記サブタイムスロットの各々における前記送信機についての送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記サブタイムスロットのうちの1つより時間的に前の前記サブタイムスロットのうちの1つ以上における前記送信機の以前の送信電力レベルにも基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定するように構成される、請求項29に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項31】
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについてのPD限界を決定することと、ここにおいて、前記将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える、
前記将来のタイムスロットについての前記PD限界に基づいて、前記複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、
前記それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、前記サブタイムスロットの各々における前記送信機についての送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項32】
前記プロセッサは、
前記PD限界に基づいて、前記将来のタイムスロットについてのPD割り振りを決定することと、
前記サブタイムスロットのうちの1つに先行する前記サブタイムスロットのうちの1つ以上によって使い切られた前記PD割り振りの一部分に基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定することと
を行うように構成される、請求項31に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項33】
前記プロセッサは、
前記サブタイムスロットのうちの前記1つに後続する前記サブタイムスロットのうちの1つ以上についての前記PD割り振りの一部分を予約することと。
前記PD割り振りの前記予約された部分にも基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定することと
を行うように構成される、請求項32に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項34】
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、
前記決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットについての最大許容送信デューティサイクルを決定することと、
前記最大許容送信デューティサイクルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記送信機についての送信デューティサイクル限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項35】
前記将来のタイムスロットは、約100ミリ秒の時間持続時間を有する、請求項34に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項36】
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、
前記決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容デューティサイクルに基づいて、前記将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力レベルを決定することと、
前記最大許容ピーク電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記送信機についてのピーク電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項37】
前記将来のタイムスロットは、約100ミリ秒の時間持続時間を有する、請求項36に記載のワイヤレスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2019年7月2日に米国特許商標庁に出願された非仮特許出願第16/460,894号、2018年7月5日に米国特許商標庁に出願された仮特許出願第62/694,405号、及び2018年7月11日に米国特許商標庁に出願された仮特許出願第62/696,687号の優先権及び利益を主張し、それらの全内容は、それらの全体が以下に完全に記載されているかのように、及び全ての適用可能な目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示の態様は、一般にワイヤレスデバイスに関し、より詳細には、ワイヤレスデバイスからの無線周波数(RF)曝露を評価することに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]現代のワイヤレスデバイス(例えば、セルラ電話)は、一般に、国内及び国際の規制機関によって設定された無線周波数(RF)曝露限界(RF exposure limits)に従ってRF放射へのユーザの曝露を制限することを要求される。ワイヤレスデバイスがRF曝露限界を遵守する(complies with)ことを保証するために、ワイヤレスデバイスがワイヤレスデバイスからのRF曝露をリアルタイムで評価し、それに応じてワイヤレスデバイスの送信電力を調整して、RF曝露限界を遵守することを可能にする技術が開発されている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]以下は、1つ以上の実施形態の基本的な理解を提供するために、そのような実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、全ての企図される実施形態の広範な概観ではなく、全ての実施形態の基幹的又は重要な要素を識別することも、任意又は全ての実施形態の範囲を叙述することも意図されない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への前置きとして、簡略化された形式で1つ以上の実施形態のいくつかの概念を提示することである。
【0005】
[0005]第1の態様は、ワイヤレスデバイスに関する。ワイヤレスデバイスは、第1のワイヤレス通信技術に従って第1の信号を送信するように構成された第1の送信機と、第2のワイヤレス通信技術に従って第2の信号を送信するように構成された第2の送信機と、第1及び第2の送信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR:specific absorption rate)分布を決定することと、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD:power density)分布を決定することと、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせることと、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することとを行うように構成される。
【0006】
[0006]第2の態様は、ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法に関する。方法は、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせることとを含む。方法はまた、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することとを含む。
【0007】
[0007]第3の態様は、コンピュータ可読媒体に関する。コンピュータ可読媒体は、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせることと行うための記憶された命令を含む。コンピュータ可読媒体はまた、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することとを行うための記憶された命令を含む。
【0008】
[0008]第4の態様は、ワイヤレスデバイスに関する。ワイヤレスデバイスは、送信機と、送信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせることと、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することとを行うように構成され、将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える。プロセッサはまた、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルに基づいて、複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、サブタイムスロットの各々における送信機についての送信電力限界を設定することとを行うように構成される。
【0009】
[0009]第5の態様は、ワイヤレスデバイスに関する。ワイヤレスデバイスは、送信機と、送信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせることと、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについてのPD限界を決定することとを行うように構成され、将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える。プロセッサはまた、将来のタイムスロットについてのPD限界に基づいて、複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、サブタイムスロットの各々における送信機についての送信電力限界を設定することとを行うように構成される。
【0010】
[0010]第6の態様は、ワイヤレスデバイスに関する。ワイヤレスデバイスは、送信機と、送信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容送信デューティサイクルを決定することと、最大許容送信デューティサイクルに基づいて、将来のタイムスロットにおける送信機についての送信デューティサイクル限界を設定することとを行うように構成される。
【0011】
[0011]第7の態様は、ワイヤレスデバイスに関する。ワイヤレスデバイスは、送信機と、送信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容デューティサイクルに基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力レベルを決定することと、最大許容ピーク電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける送信機についてのピーク電力限界を設定することとを行うように構成される。
【0012】
[0012]前述及び関連する目的を達成するために、1つ以上の実施形態は、以下において十分に説明され、且つ特許請求の範囲で特に指摘される特徴を含む。以下の説明及び付属の図面は、1つ以上の実施形態のある特定の例示的な態様を詳細に記載する。これらの態様は、しかしながら、様々な実施形態の原理が用いられ得る様々な方法のうちのほんの一部を示しているに過ぎず、説明される実施形態は、全てのそのような態様及びそれらの同等物を含むことを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]本開示の態様がインプリメントされ得るワイヤレスデバイスの例を示す。
【
図2】[0014]本開示のある特定の態様に係る、正規化(normalized)電力密度(PD)分布と組み合わされた正規化比吸収率(SAR)分布の例を示す。
【
図3】[0015]本開示のある特定の態様に係る、複数のワイヤレス通信技術を使用する同時送信のためのRF曝露限界を遵守する送信電力レベルを決定するための例証的な方法を例示するフローチャートである。
【
図4】[0016]本開示のある特定の態様に係る、PD限界を遵守する送信電力レベルを決定するための例証的な方法を例示するフローチャートである。
【
図5】[0017]本開示のある特定の態様に係る、時間平均化されたSAR分布の例を示す。
【
図6】[0018]本開示のある特定の態様に係る、時間平均SAR限界を遵守して将来のタイムスロットについての送信電力レベルを決定するための例証的な方法を例示するフローチャートである。
【
図7】[0019]本開示のある特定の態様に係る、時間平均化されたPD分布の例を示す。
【
図8】[0020]本開示のある特定の態様に係る、時間平均PD限界を遵守する送信電力レベルを決定するための例証的な方法を例示するフローチャートである。
【
図9】[0021]本開示のある特定の態様に係る、時間平均化されたPD分布と組み合わされた時間平均化されたSAR分布の例を示す。
【
図10】[0022]本開示のある特定の態様に係る、時間平均RF曝露限界を遵守する送信電力レベルを決定するための例証的な方法を例示するフローチャートである。
【
図11】[0023]本開示のある特定の態様に係る、時間平均化されたPD分布が異なる周波数帯域についての複数の時間平均化ウィンドウを使用して決定される例を示す。
【
図12】[0024]本開示のある特定の態様に係る、時間平均化されたPD分布が異なる周波数帯域における同時送信のために決定される例を示す。
【
図13】[0025]本開示のある特定の態様に係る、PD分布と組み合わされた時間平均化されたSAR分布の例を示す。
【
図14】[0026]本開示のある特定の態様に係る、ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法の例を示すフローチャートである。
【
図15】[0027]本開示のある特定の態様に係る、最大許容電力レベルが異なる技術に対して異なるレートで決定される例を示す。
【
図16】[0028]本開示のある特定の態様に係る、内側ループについての経時的なPDの例を示す。
【
図17】[0029]本開示のある特定の態様に係る、PD割り振りの使用される部分と、将来の送信のために予約されたPD割り振りの一部分との例を示す。
【
図18】[0030]本開示のある特定の態様に係る、許容されたPDを最大許容電力レベルに変換するための例証的な表を示す。
【詳細な説明】
【0014】
[0031]添付された図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されてない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供することを目的として特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは当業者にとって明らかであろう。いくつかの事例では、よく知られた構造及びコンポーネントは、そのような概念を曖昧にすることを避けるためにブロック図形式で示される。
【0015】
[0032]
図1は、本明細書で説明される本開示の態様がインプリメントされ得るワイヤレスデバイス100の例を示す。ワイヤレスデバイス100は、モバイルワイヤレスデバイス(例えば、セルラ電話)、ラップトップ、ワイヤレスアクセスポイント、又は何らかの他のワイヤレスデバイスを備え得る。
【0016】
[0033]ワイヤレスデバイス100は、プロセッサ110と、プロセッサ110に結合されたメモリ115とを含む。メモリ115は、プロセッサ110によって実行されると、プロセッサ110に本明細書で説明される動作のうちの1つ以上を実行させる命令を記憶し得る。プロセッサ110は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ベースバンドモデム、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、ディスクリートゲートロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書で説明される動作のうちの1つ以上を実行するように構成されたそれらの任意の組み合わせを用いてインプリメントされ得る。
【0017】
[0034]ワイヤレスデバイス100はまた、第1の送信機120と、第1の送信機120に結合された第1の複数のアンテナ122-1~122-Nと、第1の送信機120とプロセッサ110との間に結合された第1のバス140とを含む。ある特定の態様では、第1の送信機120は、第3世代(3G)技術(例えば、CDMA)、第4世代(4G)技術(ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))としても知られる)、第5世代(5G)技術、1つ以上のIEEE802.11プロトコルに基づく1つ以上の技術(例えば、IEEE802.11ac、IEEE802.11n、IEEE802.11ad、IEEE802.11ax、IEEE802.11ay、等)、及び/又は1つ以上の他の技術を含むがそれらに限定されない1つ以上のワイヤレス通信技術を使用して、第1の複数のアンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上を介して信号を送信するように構成される。いくつか態様では、第1の送信機120は、ワイヤレスデバイス100と別のワイヤレスデバイス(図示せず)との間の無線リンクの容量を増大させるために、多入力多出力(MIMO)送信を使用して複数のアンテナ122-1~122-Nを介して信号を送信するように構成され得る。いくつか態様では、第1の送信機120は、別のワイヤレスデバイス(図示せず)に向かって送信を方向付けるためにビームフォーミングを使用して複数のアンテナ122-1~122-Nを介して信号を送信するように構成され得る。これらの態様では、送信は、異なるアンテナ122-1~122-Nについての送信信号の相対位相及び/又は振幅を調整することによって電気的にステアリングされ得る。
【0018】
[0035]プロセッサ110は、第1のバス140を介して第1の送信機120とインターフェースする。第1のバス140は、プロセッサ110と第1の送信機120との間に1つ以上の信号線を含み得る。データを送信するために、プロセッサ110は、データを1つ以上の信号(例えば、ベースバンド信号又は中間周波数信号)に処理し得る。プロセッサ110によって実行される処理は、データをコーディングすることと、(例えば、BPSK、QPSK、QAM、等を含む様々な異なる変調スキームのうちのいずれか1つを使用して)コーディングされたデータを変調することとを含み得る。プロセッサ110は、第1のバス140を介して第1の送信機120に1つ以上の信号を出力し得る。第1の送信機120は次いで、プロセッサ110からの1つ以上の信号を、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上を介した送信のための1つ以上の無線周波数信号に処理し得る。第1の送信機120によって実行される処理は、周波数アップコンバージョン、電力増幅、等を含み得る。
【0019】
[0036]ある特定の態様では、プロセッサ110は、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。例えば、第1の送信機120は、複数の増幅器(図示せず)を含み得、ここで、増幅器の各々は、アンテナのうちのそれぞれ1つに結合される。各増幅器について、プロセッサ110は、増幅器の利得を制御するために、第1のバス140を介して増幅器にそれぞれの制御信号を出力し得る。この例では、プロセッサ110は、それに応じてそれぞれの増幅器の利得を調整することによって、アンテナについての送信電力を調整し得る。別の例では、プロセッサ110は、1つ以上の信号を第1の送信機120に出力し得、ここで、1つ以上の信号の各々は、アンテナ122-1~122-Nのうちのそれぞれ1つに対応する。この例では、プロセッサ110は、それに応じてそれぞれの信号の振幅を調整することによって、アンテナについての送信電力を調整し得る。本開示は、上記の例に限定されず、プロセッサ110は、送信電力を調整するために他の技法を用い得ることが理解されるべきである。
【0020】
[0037]ある特定の態様では、プロセッサ110は、開電力制御ループ及び/又は閉電力制御ループを使用してアンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。開電力制御ループの例では、ワイヤレスデバイス100は、受信機(図示せず)を介して別のワイヤレスデバイス(図示せず)からパイロット信号を受信し得る。この例では、プロセッサ110は、受信されたパイロット信号に基づいて、ワイヤレスデバイス100と他のワイヤレスデバイスとの間のチャネル状態を推定し、推定されたチャネル状態に基づいて、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整する。閉電力制御ループの例では、ワイヤレスデバイス100は、受信機(図示せず)を介して他のワイヤレスデバイスからフィードバック信号を受信し、それにおいて、フィードバック信号は、ワイヤレスデバイス100と他のワイヤレスデバイスとの間のチャネル状態を示す。この例では、プロセッサ110は、示されたチャネル状態に基づいて、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整する。
【0021】
[0038]プロセッサ110はまた、データレートに基づいて、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。例えば、プロセッサ110は、短いデータバーストを送信するために送信電力を増大(ブースト)させ得る。
【0022】
[0039]更に、プロセッサ110は、以下で更に議論されるように、ワイヤレスデバイス100からのRF曝露を、規制機関(例えば、FCC)によって設定されたRF曝露限界内に保つために、アンテナ122-1~122-Nのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。このケースでは、送信電力は、RF曝露限界によって制約される。
【0023】
[0040]ワイヤレスデバイス100はまた、第2の送信機130と、第2の送信機130に結合された第2の複数のアンテナ132-1~132-Mと、第2の送信機130とプロセッサ110との間に結合された第2のバス150とを含む。ある特定の態様では、第2の送信機130は、3G技術、4G技術、5G技術、1つ以上のIEEE802.11プロトコル(例えば、IEEE802.11ac、IEEE802.11n、IEEE802.11ad、IEEE802.11ax、IEEE802.11ay、等)に基づく1つ以上の技術、及び/又は1つ以上の他の技術を含むがそれらに限定されない1つ以上のワイヤレス通信技術を使用して、第2の複数のアンテナ132-1~132-Mのうちの1つ以上を介して信号を送信するように構成される。第2の送信機130は、MIMO送信、ビームフォーミング、及び/又は他の方法を使用して、複数のアンテナ132-1~132-Mを介して信号を送信し得る。ある特定の態様では、第1の送信機120及び第2の送信機130は、以下で更に議論されるように、異なるワイヤレス通信技術を使用して信号を同時に送信し得る。
【0024】
[0041]プロセッサ110は、プロセッサ110と第2の送信機130との間に1つ以上の信号線を含み得る第2のバス150を介して第2の送信機130とインターフェースする。データを送信するために、プロセッサ110は、データを1つ以上の信号(例えば、ベースバンド信号又は中間周波数信号)に処理し得る。プロセッサ110によって実行される処理は、データをコーディングすることと、(例えば、BPSK、QPSK、QAM、等を含む様々な異なる変調スキームのうちのいずれか1つを使用して)コーディングされたデータを変調することとを含み得る。プロセッサ110は、第2のバス150を介して第2の送信機130に1つ以上の信号を出力し得る。第2の送信機130は次いで、プロセッサ110からの1つ以上の信号を、アンテナ132-1~132-Mのうちの1つ以上を介した送信のための1つ以上の無線周波数信号に処理し得る。第2の送信機130によって実行される処理は、周波数アップコンバージョン、電力増幅、等を含み得る。
【0025】
[0042]プロセッサ110は、アンテナ132-1~132-Mのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。例えば、第2の送信機130は、複数の増幅器(図示せず)を含み得、ここで、増幅器の各々は、アンテナ132-1~132-Mのうちのそれぞれ1つに結合される。各増幅器について、プロセッサ110は、増幅器の利得を制御するために、第2のバス150を介して増幅器にそれぞれの制御信号を出力し得る。この例では、プロセッサ110は、それに応じてそれぞれの増幅器の利得を調整することによって、アンテナについての送信電力を調整し得る。別の例では、プロセッサ110は、1つ以上の信号を第2の送信機130に出力し得、ここで、1つ以上の信号の各々は、アンテナ132-1~132-Mのうちのそれぞれ1つに対応する。この例では、プロセッサ110は、それに応じてそれぞれの信号の振幅を調整することによって、アンテナについての送信電力を調整し得る。本開示は、上記の例に限定されず、プロセッサ110は、送信電力を調整するために他の技法を用い得ることが理解されるべきである。
【0026】
[0043]プロセッサ110は、上述されたように、開電力制御ループ及び/又は閉電力制御ループを使用してアンテナ132-1~132-Mのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。プロセッサ110はまた、以下で更に議論されるように、ワイヤレスデバイス100からのRF曝露を規制機関によって設定されたRF曝露限界内に保つために、アンテナ132-1~132-Mのうちの1つ以上についての送信電力を調整し得る。
【0027】
[0044]ワイヤレスデバイス100は、
図1に示された第1及び第2の送信機120及び130に加えて、1つ以上の追加の送信機を含み得ることが理解されるべきである。第1及び第2の送信機120及び130は、
図1に示される例ではアンテナの別個のセットに結合されるが、第1及び第2の送信機120及び130は、1つ以上のアンテナを共有し得ることが理解されるべきである。また、いくつかのインプリメンテーションでは、第1の送信機120は、1つのアンテナ上でのみ送信し得、及び/又は第2の送信機130は、1つのアンテナ上でのみ送信し得る。
【0028】
[0045]現代のワイヤレスデバイス(例えば、セルラ電話)は、一般に、国内及び国際の規制機関によって設定された曝露限界に従って無線周波数(RF)放射へのユーザの曝露を制限することを要求される。RF曝露は、比吸収率(SAR)の単位で表され得、それは、単位質量当たりのヒト組織によるエネルギー吸収を測定し、1キログラム当たりのワット数(W/kg)の単位を有し得る。RF曝露はまた、電力密度(PD)の単位で表され得、それは、単位面積当たりのエネルギー吸収を測定し、mW/cm2の単位を有し得る。
【0029】
[0046]SARは、3G(例えば、CDMA)、4G、IEEE802.11ac、等などのワイヤレス通信技術をカバーする10GHz未満の送信周波数に対するRF曝露を評価するために使用され得る。PDは、IEEE802.11ad、5G、等などのワイヤレス通信技術をカバーする10GHzよりも高い送信周波数に対するRF曝露を評価するために使用され得る。このことから、異なるメトリックが、異なるワイヤレス通信技術に対するRF曝露を評価するために使用され得る。
【0030】
[0047]ワイヤレスデバイス100は、複数のワイヤレス通信技術を使用して信号を同時に送信し得る。例えば、ワイヤレスデバイス100は、10GHz未満で動作する第1のワイヤレス通信技術(例えば、3G、4G、等)と、10GHz超で動作する第2のワイヤレス通信技術(例えば、5G、IEEE802.11ad)とを使用して信号を同時に送信し得る。ワイヤレスデバイス100は、第1及び第2の技術を使用して信号を同時に送信するので、デバイスのユーザは、両方の技術を使用する送信からのRF放射に曝露される。それ故に、ワイヤレスデバイス100が複数のワイヤレス通信技術を使用して信号を同時に送信するケースのために、RF曝露遵守(RF exposure compliance)を決定するための技法が必要とされる。
【0031】
[0048]本開示の態様は、以下で更に議論されるように、ワイヤレスデバイス100が複数のワイヤレス通信技術を使用して信号を同時に送信するケースのために、ワイヤレスデバイス100がRF曝露をリアルタイムで評価することを可能にする。
【0032】
[0049]ある特定の態様では、ワイヤレスデバイス100は、RF曝露がSARの単位で測定される第1のワイヤレス通信技術(例えば、3G、4G、IEEE802.11ac、等)と、RF曝露がPDの単位で測定される第2のワイヤレス通信技術(例えば、5G、IEEE802.11ad、等)とを使用して信号を同時に送信し得る。これらの態様では、第1の送信機120は、第1のワイヤレス通信技術に従って第1の信号を送信し得、第2の送信機130は、第2のワイヤレス通信技術に従って第2の信号を送信し得る。ワイヤレスデバイス100が第1及び第2の技術をそれぞれ使用して第1及び第2の信号を同時に送信するとき、プロセッサ110は、以下で更に議論されるように、RF曝露限界の遵守を保証するために、第1及び第2の技術からの組み合わされたRF曝露を評価し得る。
【0033】
[0050]第1の技術(例えば、3G、4G、IEEE802.11ac、等)を使用する送信からのRF曝露を評価するために、ワイヤレスデバイス100は、メモリ115中に記憶された第1の技術についての複数のSAR分布を含み得る。SAR分布の各々は、第1の技術についての、ワイヤレスデバイス100によってサポートされる複数の送信シナリオのうちのそれぞれ1つに対応し得る。送信シナリオは、以下で更に議論されるように、アンテナ122-1~122-N、周波数帯域、チャネル、及び/又は身体位置の様々な組み合わせに対応し得る。
【0034】
[0051]各送信シナリオについてのSAR分布(SARマップとも呼ばれる)は、人体のモデルを使用してテスト研究室において実行される測定(例えば、Eフィールド測定)に基づいて生成され得る。SAR分布が生成された後、SAR分布は、以下で更に議論されるように、メモリ115中に記憶されて、プロセッサ110がRF曝露をリアルタイムで評価することを可能にする。各SAR分布は、SAR値のセットを含み、ここで、各SAR値は、(例えば、人体のモデル上の)異なるロケーションに対応し得る。各SAR値は、それぞれのロケーションにおける1g又は10gの質量にわたって平均化されたSAR値を備え得る。
【0035】
[0052]各SAR分布におけるSAR値は、特定の送信電力レベル(例えば、SAR値がテスト研究室において測定された送信電力レベル)に対応する。SARは送信電力レベルでスケーリングするので、プロセッサ110は、SAR分布における各SAR値に以下の送信電力スケーラを乗算することによって、任意の送信電力レベルについてのSAR分布をスケーリングし得る:
【数1】
ここで、Tx
cは、それぞれの送信シナリオについての現在の送信電力レベルであり、Tx
SARは、記憶されたSAR分布におけるSAR値に対応する送信電力レベル(例えば、SAR値がテスト研究室において測定された送信電力レベル)である。
【0036】
[0053]上述されたように、ワイヤレスデバイス100は、第1の技術についての複数の送信シナリオをサポートし得る。ある特定の態様では、送信シナリオは、パラメータのセットによって指定され得る。パラメータのセットは、以下のうちの1つ以上を含み得る:送信のために使用される1つ以上のアンテナ(即ち、アクティブアンテナ)を示すアンテナパラメータ、送信のために使用される1つ以上の周波数帯域(即ち、アクティブ周波数帯域)を示す周波数帯域パラメータ、送信のために使用される1つ以上のチャネル(即ち、アクティブチャネル)を示すチャネルパラメータ、ユーザの身体ロケーションに対するワイヤレスデバイス100のロケーション(頭部、胴体、身体から離れていること、等)を示す身体位置パラメータ、及び/又は他のパラメータ。ワイヤレスデバイス100が多数の送信シナリオをサポートするケースでは、テスト環境(例えば、テスト研究室)において各送信シナリオについて測定を実行することは、非常に時間が掛かり、高価であり得る。テスト時間を低減するために、測定が、送信シナリオのサブセットについて実行されて、送信シナリオのサブセットについてのSAR分布が生成され得る。この例では、残りの送信シナリオの各々についてのSAR分布は、以下で更に議論されるように、送信シナリオのサブセットについてのSAR分布のうちの2つ以上を組み合わせることによって生成され得る。
【0037】
[0054]例えば、SAR測定が、アンテナ122-1~122-Nのうちの各1つについて実行されて、アンテナ122-1~122-Nのうちの各1つについてのSAR分布が生成され得る。この例では、アンテナ122-1~122-Nのうちの2つ以上がアクティブである送信シナリオについてのSAR分布は、2つ以上のアクティブアンテナについてのSAR分布を組み合わせることによって生成され得る。
【0038】
[0055]別の例では、SAR測定が、複数の周波数帯域のうちの各1つについて実行されて、複数の周波数帯域のうちの各1つについてのSAR分布が生成され得る。この例では、2つ以上の周波数帯域がアクティブである送信シナリオについてのSAR分布は、2つ以上のアクティブ周波数帯域についてのSAR分布を組み合わせることによって生成され得る。
【0039】
[0056]ある特定の態様では、SAR分布は、SAR分布における各SAR値をSAR限界で除算することによって、SAR限界に対して正規化され得る。このケースでは、正規化SAR値は、正規化SAR値が1より大きいときにSAR限界を超え、正規化SAR値が1より小さいときにSAR限界を下回る。これらの態様では、メモリ115中に記憶されたSAR分布の各々は、SAR限界に対して正規化され得る。
【0040】
[0057]ある特定の態様では、送信シナリオについての正規化SAR分布は、2つ以上の正規化SAR分布を組み合わせることによって生成され得る。例えば、2つ以上のアンテナがアクティブである送信シナリオについての正規化SAR分布は、2つ以上のアクティブアンテナについての正規化SAR分布を組み合わせることによって生成され得る。異なる送信電力レベルがアクティブアンテナのために使用されるケースでは、各アクティブアンテナについての正規化SAR分布は、アクティブアンテナについての正規化SAR分布を組み合わせる前に、それぞれの送信電力レベルによってスケーリングされ得る。複数のアクティブアンテナからの同時送信のための正規化SAR分布は、以下によって与えられ得る:
【数2】
ここで、SAR
limは、SAR限界であり、SAR
norm_combinedは、アクティブアンテナからの同時送信のための組み合わされた正規化SAR分布であり、iは、アクティブアンテナについてのインデックスであり、SAR
iは、i番目のアクティブアンテナについてのSAR分布であり、Tx
iは、i番目のアクティブアンテナについての送信電力レベルであり、Tx
SARiは、i番目のアクティブアンテナについてのSAR分布についての送信電力レベルであり、Kは、アクティブアンテナの数である。方程式(2)は、以下のように書き換えられ得る:
【数3】
ここで、SAR
norm_iは、i番目のアクティブアンテナについての正規化SAR分布である。同じ送信周波数で複数のアクティブアンテナを使用する同時送信(例えば、多入力多出力(MIMO))のケースでは、組み合わされた正規化SAR分布は、以下によって与えられるように、個々の正規化SAR分布の平方根を合計し、合計の平方を計算することによって取得される:
【数4】
【0041】
[0058]別の例では、異なる周波数帯域についての正規化SAR分布が、メモリ115中に記憶され得る。この例では、2つ以上の周波数帯域がアクティブである送信シナリオについての正規化SAR分布は、2つ以上のアクティブ周波数帯域についての正規化SAR分布を組み合わせることによって生成され得る。送信電力レベルがアクティブ周波数帯域について異なるケースでは、アクティブ周波数帯域の各々についての正規化SAR分布は、アクティブ周波数帯域についての正規化SAR分布を組み合わせる前に、それぞれの送信電力レベルによってスケーリングされ得る。この例では、組み合わされたSAR分布はまた、方程式(3a)を使用して計算され得、それにおいて、iは、アクティブ周波数帯域についてのインデックスであり、SARnorm_iは、i番目のアクティブ周波数帯域についての正規化SAR分布であり、Txiは、i番目のアクティブ周波数帯域についての送信電力レベルであり、TxSARiは、i番目のアクティブ周波数帯域についての正規化SAR分布についての送信電力レベルである。
【0042】
[0059]第2の技術(例えば、5G、IEEE802.11ad、等)を使用する送信からのRF曝露を評価するために、ワイヤレスデバイス100は、メモリ115中に記憶された第2の技術についての複数のPD分布を含み得る。PD分布の各々は、第2の技術についての、ワイヤレスデバイス100によってサポートされる複数の送信シナリオのうちのそれぞれ1つに対応し得る。送信シナリオは、以下で更に議論されるように、アンテナ132-1~132-M、周波数帯域、チャネル、及び/又は身体位置の様々な組み合わせに対応し得る。
【0043】
[0060]各送信シナリオについてのPD分布(PDマップとも呼ばれる)は、人体のモデルを使用してテスト研究室において実行される測定(例えば、Eフィールド測定)に基づいて生成され得る。PD分布が生成された後、PD分布は、以下で更に議論されるように、メモリ115中に記憶されて、プロセッサ110がRF曝露をリアルタイムで評価することを可能にする。各PD分布は、PD値のセットを含み、ここで、各PD値は、(例えば、人体のモデル上の)異なるロケーションに対応し得る。
【0044】
[0061]各PD分布におけるPD値は、特定の送信電力レベル(例えば、PD値がテスト研究室において測定された送信電力レベル)に対応する。PDは送信電力レベルでスケーリングするので、プロセッサ110は、PD分布における各PD値に以下の送信電力スケーラを乗算することによって、任意の送信電力レベルについてのPD分布をスケーリングし得る。
【数5】
ここで、Tx
cは、それぞれの送信シナリオについての現在の送信電力レベルであり、Tx
PDは、PD分布におけるPD値に対応する送信電力レベル(例えば、PD値がテスト研究室において測定された送信電力レベル)である。
【0045】
[0062]上述されたように、ワイヤレスデバイス100は、第2の技術についての複数の送信シナリオをサポートし得る。ある特定の態様では、送信シナリオは、パラメータのセットによって指定され得る。パラメータのセットは、以下のうちの1つ以上を含み得る:送信のために使用される1つ以上のアンテナ(即ち、アクティブアンテナ)を示すアンテナパラメータ、送信のために使用される1つ以上の周波数帯域(即ち、アクティブ周波数帯域)を示す周波数帯域パラメータ、送信のために使用される1つ以上のチャネル(即ち、アクティブチャネル)を示すチャネルパラメータ、ユーザの身体ロケーションに対するワイヤレスデバイス100のロケーション(頭部、胴体、身体から離れていること、等)を示す身体位置パラメータ、及び/又は他のパラメータ。ワイヤレスデバイス100が多数の送信シナリオをサポートするケースでは、テスト環境(例えば、テスト研究室)において各送信シナリオについて測定を実行することは、非常に時間が掛かり、高価であり得る。テスト時間を低減するために、測定が、送信シナリオのサブセットについて実行されて、送信シナリオのサブセットについてのPD分布が生成され得る。この例では、残りの送信シナリオの各々についてのPD分布は、以下で更に議論されるように、送信シナリオのサブセットについてのPD分布のうちの2つ以上を組み合わせることによって生成され得る。
【0046】
[0063]例えば、PD測定が、アンテナ132-1~132-Mのうちの各1つについて実行されて、アンテナ132-1~132-Mのうちの各1つについてのPD分布が生成され得る。この例では、アンテナ132-1~132-Mのうちの2つ以上がアクティブである送信シナリオについてのPD分布は、2つ以上のアクティブアンテナについてのPD分布を組み合わせることによって生成され得る。
【0047】
[0064]別の例では、PD測定が、複数の周波数帯域のうちの各1つについて実行されて、複数の周波数帯域のうちの各1つについてのPD分布が生成され得る。この例では、2つ以上の周波数帯域がアクティブである送信シナリオについてのPD分布は、2つ以上のアクティブ周波数帯域についてのPD分布を組み合わせることによって生成され得る。
【0048】
[0065]ある特定の態様では、PD分布は、PD分布における各PD値をPD限界で除算することによって、PD限界に対して正規化され得る。このケースでは、正規化PD値は、正規化PD値が1より大きいときにPD限界を超え、正規化PD値が1より小さいときにPD限界を下回る。これらの態様では、メモリ115中に記憶されたPD分布の各々は、PD限界に対して正規化され得る。
【0049】
[0066]ある特定の態様では、送信シナリオについての正規化PD分布は、2つ以上の正規化PD分布を組み合わせることによって生成され得る。例えば、2つ以上のアンテナがアクティブである送信シナリオについての正規化PD分布は、2つ以上のアクティブアンテナについての正規化PD分布を組み合わせることによって生成され得る。異なる送信電力レベルがアクティブアンテナのために使用されるケースでは、各アクティブアンテナについての正規化PD分布は、アクティブアンテナについての正規化PD分布を組み合わせる前に、それぞれの送信電力レベルによってスケーリングされ得る。複数のアクティブアンテナからの同時送信のための正規化PD分布は、以下によって与えられ得る:
【数6】
ここで、PD
limは、PD限界であり、PD
norm_combinedは、アクティブアンテナからの同時送信のための組み合わされた正規化PD分布であり、iは、アクティブアンテナについてのインデックスであり、PD
iは、i番目のアクティブアンテナについてのPD分布であり、Tx
iは、i番目のアクティブアンテナについての送信電力レベルであり、Tx
PDiは、i番目のアクティブアンテナについてのPD分布についての送信電力レベルであり、Lは、アクティブアンテナの数である。方程式(5)は、以下のように書き換えられ得る:
【数7】
ここで、PD
norm_iは、i番目のアクティブアンテナについての正規化PD分布である。同じ送信周波数で複数のアクティブアンテナを使用する同時送信(例えば、MIMO)のケースでは、組み合わされた正規化PD分布は、以下によって与えられるように、個々の正規化PD分布の平方根を合計し、合計の平方を計算することによって取得される:
【数8】
【0050】
[0067]別の例では、異なる周波数帯域についての正規化PD分布が、メモリ115中に記憶され得る。この例では、2つ以上の周波数帯域がアクティブである送信シナリオについての正規化PD分布は、2つ以上のアクティブ周波数帯域についての正規化PD分布を組み合わせることによって生成され得る。送信電力レベルがアクティブ周波数帯域について異なるケースでは、アクティブ周波数帯域の各々についての正規化PD分布は、アクティブ周波数帯域についての正規化PD分布を組み合わせる前に、それぞれの送信電力レベルによってスケーリングされ得る。この例では、組み合わされたPD分布はまた、方程式(6a)を使用して計算され得、それにおいて、iは、アクティブ周波数帯域についてのインデックスであり、PDnorm_iは、i番目のアクティブ周波数帯域についての正規化PD分布であり、Txiは、i番目のアクティブ周波数帯域についての送信電力レベルであり、TxPDiは、i番目のアクティブ周波数帯域についての正規化PD分布についての送信電力レベルである。
【0051】
[0068]上述されたように、ワイヤレスデバイス100は、第1の技術(例えば、3G、4G、IEEE802.11ac、等)と第2の技術(例えば、5G、IEEE802.11ad、等)とを使用して信号を同時に送信し得、それにおいて、RF曝露が、第1の技術と第2の技術とで異なるメトリック(例えば、第1の技術ではSAR、第2の技術ではPD)を使用して測定される。このケースでは、プロセッサ110は、RF曝露限界を遵守する将来のタイムスロットにおける送信のために、第1の技術についての第1の最大許容電力レベル及び第2の技術についての第2の最大許容電力レベルを決定し得る。将来のタイムスロット中に、第1及び第2の技術についての送信電力レベルは、更に以下のように、RF曝露限界の遵守を保証するために、決定された第1及び第2の最大許容電力レベルによってそれぞれ制約される(即ち、境界を定められる(bounded))。本開示では、「最大許容電力レベル」という用語は、特に明記されない限り、RF曝露限界によって課される「最大許容電力レベル」を指す。「最大許容電力レベル」は、RF曝露限界を遵守する絶対最大電力レベルに必ずしも等しくなく、(例えば、安全マージンを提供するために)RF曝露限界を遵守する絶対最大電力レベル未満であり得ることが理解されるべきである。「最大許容電力レベル」は、RF曝露遵守を保証するために、送信の電力レベルが「最大許容電力レベル」を超えることを可能にされないように送信器における送信に対する電力レベル限界を設定するために、使用され得る。
【0052】
[0069]プロセッサ110は、以下のように第1及び第2の最大許容電力レベルを決定し得る。プロセッサは、第1の送信電力レベルで第1の技術についての正規化SAR分布を決定し、第2の送信電力レベルで第2の技術についての正規化PD分布を決定し、正規化SAR分布と正規化PD分布とを組み合わせて、組み合わされた正規化RF曝露分布(以下では単に組み合わされた正規化分布と呼ばれる)を生成し得る。組み合わされた正規化分布における各ロケーションにおける値は、そのロケーションにおける正規化SAR値をそのロケーションにおける正規化PD値と組み合わせることによって、又は別の技法によって決定され得る。
【0053】
[0070]プロセッサ110は次いで、組み合わされた正規化分布におけるピーク値を1と比較することによって、第1及び第2の送信電力レベルがRF曝露限界を遵守するかどうかを決定し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、第1及び第2の送信電力レベルがRF曝露限界(例えば、SAR限界及びPD限界)を遵守すると判断し、第1及び第2の送信電力レベルを、将来のタイムスロット中にそれぞれ第1及び第2の最大許容電力レベルとして使用し得る。ピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、第1及び第2の送信電力レベルがRF曝露限界を遵守しないと判断し得る。将来のタイムスロット中の不遵守を回避するために、プロセッサ110は、組み合わされた正規化分布におけるピーク値が1以下であるように、第1及び第2の送信電力レベルのうちの1つ以上を低減し得る。このケースでは、プロセッサ110は、RF曝露限界を遵守する第1及び第2の送信電力レベルを、将来のタイムスロット中に第1及び第2の最大許容電力レベルとしてそれぞれ使用し得る。第1及び第2の技術を使用する同時送信のためのRF曝露遵守のための条件は、以下によって与えられ得る:
【数9】
【0054】
[0071]将来のタイムスロット中に、プロセッサ110は、第1の最大許容電力レベルによって第1の送信機120の送信電力レベルを制限(制約)する。例えば、電力制御ループが第1の技術のために使用される場合、電力制御ループは、第1の送信機120の送信電力レベルを、第1の最大許容電力レベル以下の電力レベルであるが、第1の最大許容電力レベルを超える電力レベルではない電力レベルに設定することを可能にされる。将来のタイムスロット中に、プロセッサ110はまた、第2の最大許容電力レベルによって第2の送信機130の送信電力レベルを制限(制約)する。例えば、電力制御ループが第2の技術のために使用される場合、電力制御ループは、第2の送信機130の送信電力レベルを、第2の最大許容電力レベル以下の電力レベルであるが、第2の最大許容電力レベルを超える電力レベルではない電力レベルに設定することを可能にされる。
【0055】
[0072]
図2は、正規化SAR分布210及び正規化PD分布220の視覚的表現を示し、それにおいて、正規化SAR分布210及び正規化PD分布220は組み合わされて、組み合わされた正規化分布230が生成される。
図2はまた、組み合わされた正規化分布230におけるピーク値がRF曝露遵守では1以下になる条件を示している。分布210、220、及び230の各々は、
図2において2次元分布として図示されているが、本開示はこの例に限定されないことが理解されるべきである。
【0056】
[0073]方程式(7)における正規化SAR分布は、(例えば、複数のアクティブアンテナを使用する送信シナリオについて)上述されたように、2つ以上の正規化SAR分布を組み合わせることによって生成され得る。同様に、方程式(7)における正規化PD分布は、(例えば、複数のアクティブアンテナを使用する送信シナリオについて)上述されたように、2つ以上の正規化PD分布を組み合わせることによって生成され得る。このケースでは、方程式(7)におけるRF曝露遵守のための条件は、方程式(3a)及び(6a)を使用して以下のように書き換えられ得る:
【数10】
MIMOのケースでは、方程式(3b)及び(6b)が、代わりに組み合わされ得る。方程式(8)に示されるように、組み合わされた正規化分布は、第1の技術についての送信電力レベル及び第2の技術についての送信電力レベルの関数であり得る。組み合わされた正規化分布における全ての点は、方程式(8)における1の正規化限界を満たすべきである。加えて、SAR分布とPD分布とを組み合わせるとき、SAR分布とPD分布とは、方程式(8)によって与えられる組み合わされた分布が人体の所与の位置に対する組み合わされたRF曝露を表すように、空間的に整列されるか、又はそれらのピークロケーションと整列されるべきである。
【0057】
[0074]ワイヤレスデバイス100が第1の技術及び第2の技術を使用して信号を同時に送信するケースでは、プロセッサ110は、以下のように、将来のタイムスロットにおける送信のために、第1の技術についての1つ以上の最大許容電力レベルと第2の技術についての1つ以上の最大許容電力レベルとを決定し得る。プロセッサ110は、将来のタイムスロットにおける第1の技術についての送信シナリオに基づいて、メモリ115から第1の技術についての1つ以上の正規化SAR分布を取り出し、将来のタイムスロットにおける第2の技術についての送信シナリオに基づいて、メモリ115から第2の技術についての1つ以上の正規化PD分布を取り出す。例えば、第1の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、プロセッサ110は、アクティブアンテナの各々についての正規化SAR分布を取り出し得る。同様に、第2の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、プロセッサ110は、アクティブアンテナの各々についての正規化PD分布を取り出し得る。
【0058】
[0075]プロセッサ110は次いで、
図3に例示された例証的な方法を実行することによって、RF曝露限界(例えば、SAR限界及びPD限界)を遵守する第1及び第2の技術についての最大許容電力レベルを決定し得る。
【0059】
[0076]ブロック310において、プロセッサ110は、将来のタイムスロットにおける第1及び第2の技術についての送信シナリオに従って、第1及び第2の技術についての送信電力レベルを初期化する。第1の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、送信電力レベルは、第1の技術についてのアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを含み得る。同様に、第2の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、送信電力レベルは、第2の技術についてのアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを含み得る。
【0060】
[0077]第1及び第2の技術についての送信電力レベルは、1つ以上の電力制御ループ、1つ以上の所望されるデータレート、1つ以上の所望されるビーム方向又はセクタ、等に従って初期化され得る。一例では、送信電力レベルは、デフォルト送信電力レベルのセットに初期化され得る。
【0061】
[0078]ブロック320において、プロセッサ110は、ブロック310における送信電力レベル、取り出された正規化SAR分布、及び取り出された正規化PD分布に基づいて(例えば、上述された方程式(8)に従って)、組み合わされた正規化分布を決定する。
【0062】
[0079]ブロック330において、プロセッサ110は、組み合わされた正規化分布におけるピーク値を1と比較する。組み合わされた正規化分布におけるピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、送信電力レベルがRF曝露限界を遵守すると判断する。このケースでは、方法300は、ブロック350で終了し、プロセッサ110は、将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルとして送信電力レベルを使用する。
【0063】
[0080]組み合わされた正規化分布におけるピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、ブロック340において送信電力レベルを調整する。例えば、プロセッサ110は、送信電力レベルの1つ以上を低減することによって送信電力レベルを調整し得る。
【0064】
[0081]プロセッサ110は次いで、調整された送信電力レベルを使用してブロック320及び330を繰り返す(即ち、調整された送信電力レベルを使用してブロック320において組み合わされた正規化分布を決定する)。プロセッサ110は、組み合わされた正規化分布におけるピーク値が1以下になるまでブロック340、320、及び330を繰り返し得、ピーク値が1以下になった時点で、送信電力レベルは、RF曝露限界を遵守する。RF曝露限界を遵守する送信電力レベルは次いで、将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルとして使用される。最大許容電力レベルは、第1の技術についての1つ以上の最大許容電力レベルと、第2の技術についての1つ以上の最大許容電力レベルとを含む。複数のアクティブアンテナ(例えば、アンテナ122-1~122-Nのうちの2つ以上)が第1の技術のために使用される例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含む。複数のアクティブアンテナ(例えば、アンテナ132-1~132-Mのうちの2つ以上)が第2の技術のために使用される例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含む。
【0065】
[0082]プロセッサ110が最大許容電力レベルを決定した後、プロセッサ110は、第1の技術についての1つ以上の決定された最大許容電力レベルによって、将来のタイムスロット中に第1の送信機120の送信電力を制約する。第1の送信機120が将来のタイムスロット中に複数のアンテナ(例えば、アンテナ122-1~122-Nのうちの2つ以上)を使用して信号を送信する例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含む。この例では、プロセッサ110は、それぞれの最大許容電力レベルによってアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを制約する。プロセッサ110はまた、第2の技術についての1つ以上の決定された最大許容電力レベルによって、将来のタイムスロット中に第2の送信機130の送信電力を制約する。第2の送信機130が将来のタイムスロット中に複数のアンテナ(例えば、アンテナ132-1~132-Mのうちの2つ以上)を使用して信号を送信する例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含む。この例では、プロセッサ110は、それぞれの最大許容電力レベルによってアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを制約する。
【0066】
[0083]本開示は、
図3に例示された例証的な方法300に限定されず、RF曝露限界を遵守する第1及び第2の技術についての最大許容電力レベルを決定するために他の方法が用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、プロセッサ110は、より少ない計算で最大許容電力レベルを決定するための保守的な近似分析のために、組み合わされた正規化分布におけるピーク値が1未満の値以下になることをもたらす最大許容電力レベルを決定し得る。このことから、1未満の値が、RF曝露遵守を評価するための条件として使用され得る。
【0067】
[0084]いくつかのケースでは、ワイヤレスデバイス100は、第1の技術がアクティブでないとき、第2の技術(例えば、5G、IEEE802.11ad、等)を使用して信号を送信し得る。これらのケースでは、第1の技術からのRF曝露は、RF曝露遵守を評価するために考慮される必要はない。
【0068】
[0085]これらのケースでは、プロセッサ110は、以下のように、PD限界を遵守する将来のタイムスロットにおける第2の技術についての最大許容電力レベルを決定し得る。第1に、プロセッサ110は、将来のタイムスロットにおける第2の技術についての送信シナリオに基づいて、メモリ115から第2の技術についての正規化PD分布を取り出し得る。例えば、将来のタイムスロットにおける第2の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、プロセッサ110は、アクティブアンテナの各々についての正規化PD分布を取り出し得る。この例では、アクティブアンテナは、例えば、将来のタイムスロットにおけるワイヤレスデバイス100による送信のための所望されるビーム方向又はセクタに基づいて選択され得る。
【0069】
[0086]プロセッサ110は次いで、
図4に例示された例証的な方法を実行することによって、PD限界を遵守する第2の技術についての最大許容電力レベルを決定し得る。
【0070】
[0087]ブロック410において、プロセッサ110は、第2の技術についての送信シナリオに従って、第2の技術についての送信電力レベルを初期化する。第2の技術についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、送信電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを含み得る。送信電力レベルは、電力制御ループ、所望されるデータレート、所望されるビーム方向又はセクタ、等に従って初期化され得る。一例では、送信電力レベルは、デフォルト送信電力レベルのセットに初期化され得る。
【0071】
[0088]ブロック420において、プロセッサ110は、ブロック410における送信電力レベルと、取り出された正規化PD分布とに基づいて(例えば、上述された方程式(6a)又は(6b)に従って)、組み合わされた正規化PD分布を決定する。
【0072】
[0089]ブロック430において、プロセッサ110は、組み合わされた正規化PD分布におけるピーク値を1と比較する。組み合わされた正規化PD分布におけるピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、送信電力レベルがPD限界を遵守すると判断する。このケースでは、方法400は、ブロック450で終了し、プロセッサ110は、送信電力レベルを第2の送信機130についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0073】
[0090]組み合わされた正規化PD分布におけるピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、ブロック440において送信電力レベルを調整する。例えば、プロセッサ110は、ブロック410において初期化された送信電力レベルのうちの1つ以上を低減することによって送信電力レベルを調整し得る。
【0074】
[0091]プロセッサ110は次いで、調整された送信電力レベルを使用してブロック420及び430を繰り返す(即ち、調整された送信電力レベルを使用してブロック420において組み合わされた正規化PD分布を決定する)。プロセッサ110は、組み合わされた正規化PD分布におけるピーク値が1以下になるまでブロック440、420、及び430を繰り返し得、ピーク値が1以下になった時点で、送信電力レベルは、PD限界を遵守する。プロセッサ110は次いで、PD限界を遵守する送信電力レベルを第2の送信機130についての最大許容電力レベルとして使用する。プロセッサ110がPD限界を遵守する最大許容電力レベルを決定した後、プロセッサ110は、決定された最大許容電力レベルに従って、将来のタイムスロット中に第2の送信機130についての送信電力を制約する。第2の送信機130が将来のタイムスロット中に複数のアクティブアンテナ(例えば、アンテナ132-1~132-Mのうちの2つ以上)を使用して信号を送信する例では、第2の技術についての最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含む。この例では、プロセッサ110は、それぞれの最大許容電力レベルによってアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを制約する。
【0075】
[0092]本開示は、
図4に例示された例証的な方法400に限定されず、PD限界を遵守する最大許容電力レベルを決定するために他の方法が用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、プロセッサ110は、より少ない計算で最大許容電力レベルを決定するための保守的な近似分析のために、ピーク値が1未満の値以下になることをもたらす最大許容電力レベルを決定し得る。
【0076】
[0093]ある特定のケースでは、RF曝露規制は、時間ウィンドウにわたる時間平均化されたRF曝露がRF曝露限界を超えないことを要求する。これは、ワイヤレスデバイス100が、時間平均化されたRF曝露が限界を超えない限り、RF曝露限界を短時間超えることを可能にする。
【0077】
[0094]これに関して、プロセッサ110は、以下のように、第1の技術がアクティブであり、第2の技術がアクティブでないケースのためのRF曝露遵守を決定し得る。プロセッサ110は、第1の時間ウィンドウ(例えば、6分)にわたる時間平均化された正規化SAR分布を計算し、時間平均化された正規化SAR分布におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、RF曝露遵守を決定し得る。
【0078】
[0095]これに関して、
図5は、プロセッサ110が第1の時間ウィンドウ505(例えば、6分)にわたる時間平均化された正規化SAR分布を計算する例を例示する。この例では、第1の時間ウィンドウ505は、複数のタイムスロット(即ち、時間間隔)に分割される。例えば、6分の時間ウィンドウは、5秒のタイムスロットに分割され得る。
図5に示された例では、p個のタイムスロット515(1)~515(p)と、p個の正規化SAR分布510(1)~510(p)とがある。分布510(1)~510(p)の各々は、
図5において2次元分布として図示されているが、本開示はこの例に限定されないことが理解されるべきである。
【0079】
[0096]プロセッサ110は、(例えば、方程式(3a)又は(3b)に従って)各タイムスロットについての正規化SAR分布を決定し得る。タイムスロットについての正規化SAR分布は、2つ以上のSAR分布を組み合わせることによって生成され得る。例えば、2つ以上のアンテナがタイムスロット中にアクティブである場合、プロセッサ110は、2つ以上のアクティブアンテナについての正規化SAR分布を組み合わせて、タイムスロットについての正規化SAR分布を生成し得る。異なる送信電力レベルがアクティブアンテナのために使用されるケースでは、プロセッサ110は、各アクティブアンテナについての正規化SAR分布を、アンテナについての送信電力レベルによってスケーリングし得る。
【0080】
[0097]ある特定の態様では、第1の技術についての送信シナリオ及び/又は送信電力レベルは、第1の時間ウィンドウ505にわたって変動し得る。これらの態様では、送信シナリオは、1つのタイムスロットにわたってほぼ一定であり得るが、第1の時間ウィンドウ505内のタイムスロット毎に変動し得る。プロセッサ110は、タイムスロットについての送信シナリオ及び時間平均化された送信電力レベルに基づいて(例えば、方程式(3a)又は3(b)に従って)、各タイムスロットについての正規化SAR分布を決定し得る。
【0081】
[0098]プロセッサ110は、第1の時間ウィンドウ505にわたって正規化SAR分布510(1)~510(p)を平均化して、時間平均化された正規化SAR分布520を生成し得る。例えば、プロセッサ110は、以下によって与えられるように、タイムスロット515(1)~515(p)についての正規化SAR分布510(1)~510(p)を組み合わせ、結果として生じる組み合わされた正規化SAR分布をタイムスロットの数で除算することによって、時間平均化された正規化SAR分布520を計算し得る:
【数11】
ここで、SAR
norm_jは、j番目のタイムスロット510(j)についての正規化SAR分布を表す。上述されたように、タイムスロットについての正規化SAR分布は、(例えば、複数のアクティブアンテナのケースでは)タイムスロットについての複数のSAR分布の組み合わせであり得る。プロセッサ110は次いで、時間平均化された正規化SAR分布520におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、RF曝露遵守を決定し得る。
【0082】
[0099]ある特定の態様では、プロセッサ110は、時間平均RF曝露遵守を保証するために、将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る。この点に関して、
図5におけるタイムスロット515(1)~515(p-1)は、ワイヤレスデバイス100による以前の送信に対応し得、タイムスロット515(p)は、将来のタイムスロットに対応し得る。これに関して、タイムスロット515(p)は、以下では将来のタイムスロットと呼ばれる。方程式(9a)は、以下のように書き換えられ得る:
【数12】
ここで、SAR
norm_pは、将来のタイムスロット515(p)についてのSAR分布である。
【0083】
[0100]この例では、正規化SAR分布510(1)~510(p-1)についての送信電力レベルは、ワイヤレスデバイス100による以前の送信に対応するので、プロセッサ110によって知られていると仮定される。例えば、プロセッサ110は、タイムスロット515(1)~515(p-1)の各々についての送信電力レベル及び送信シナリオをメモリ115中に記録し、タイムスロット515(1)~515(p-1)についての記録された送信電力レベル及び送信シナリオを使用して、これらのタイムスロットについての正規化SAR分布510(1)~510(p-1)を決定し得る。タイムスロット515(1)~515(p-1)について、j番目のタイムスロット515(j)についての正規化SAR分布は、j番目のタイムスロット515(j)中にアクティブであった全ての送信シナリオ及び電力レベルについて方程式(3a)又は(3b)を使用して決定され得る。
【0084】
[0101]この例では、将来のタイムスロット515(p)に対応する正規化SAR分布510(p)についての送信電力レベルは、プロセッサ110によって解かれることになる変数である。将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルを決定するために、プロセッサ110は、時間平均化された正規化SAR分布520を計算し得、それにおいて、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力レベルは、時間平均化された正規化SAR分布520における変数である(即ち、時間平均化された正規化SAR分布は、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力レベルの関数である)。プロセッサ110は次いで、時間平均化された正規化SAR分布におけるピーク値が1以下である(即ち、方程式(9b)における条件≦1を満たす)ように、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力レベルを決定し得る。プロセッサ110は、RF曝露遵守のための条件を満たす送信電力レベルを、将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルとして使用し、決定された最大許容電力レベルに従って、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力限界を設定する。プロセッサ110は、プロセッサ110が最大許容電力レベルを実施するために、将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルが将来のタイムスロット515(p)の開始時に準備されているように、タイムスロット515(p-1)中に将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルを決定し得る。
【0085】
[0102]プロセッサ110は、
図6に例示された例証的な方法600に従って、将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルを決定し得る。ブロック610において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット515(p)についての送信シナリオに従って、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力レベルを初期化する。送信電力レベルは、電力制御ループ、所望されるデータレート、所望されるビーム方向又はセクタ、等に従って初期化され得る。一例では、送信電力レベルは、デフォルト送信電力レベルのセットに初期化され得る。
【0086】
[0103]ブロック620において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット515(p)についてのブロック610における送信シナリオ及び送信電力レベルに基づいて、時間平均化された正規化SAR分布を決定する。以前のタイムスロット515(1)~515(p-1)についての送信電力レベルは、上述されたように知られていることに留意されたい。
【0087】
[0104]ブロック630において、プロセッサ110は、時間平均化された正規化SAR分布におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価する。ピーク値が1以下である場合、方法600は、ブロック650で終了する。このケースでは、プロセッサ110は、ブロック610において初期化された送信電力レベルを、将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0088】
[0105]ピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、ブロック640において、将来のタイムスロットについての送信電力レベルを調整する。プロセッサ110は、将来のタイムスロットについての送信電力レベルのうちの1つ以上を低減することによって、将来のタイムスロットについての送信電力レベルを調整し得る。プロセッサ110は次いで、調整された送信電力レベルを使用してブロック620及び630を繰り返す。プロセッサ110は、時間平均化された正規化SAR分布におけるピーク値が1以下になるまでブロック640、620、及び630を繰り返し得、ピーク値が1以下になった時点で、送信電力レベルは、SAR限界を遵守し、プロセッサ110は、SAR限界を遵守する送信電力レベルを、将来のタイムスロット515(p)についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0089】
[0106]第1の送信機120が将来のタイムスロット515(p)中に複数のアクティブアンテナ(例えば、アンテナ122-1~122-Nのうちの2つ以上)を使用して信号を送信する例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含み得る。この例では、プロセッサ110は、それぞれの最大許容電力レベルによってアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを制限(制約)する。
【0090】
[0107]本開示は、
図6に例示された例証的な方法600に限定されず、時間平均化された正規化SAR分布がSAR限界を遵守するように、将来のタイムスロット515(p)についての送信電力レベルを決定するために他の方法が用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、プロセッサ110は、より少ない計算で最大許容電力レベルを決定するための保守的な近似分析のために、時間平均化された正規化SAR分布におけるピーク値が1未満の値以下になることをもたらす最大許容電力レベルを決定し得る。
【0091】
[0108]ある特定のケースでは、規制機関は、第2の技術についての時間平均化されたPD分布が第2の技術についてのPD限界を超えないことを要求し得る。これは、時間平均化されたPD分布がPD限界を超えない限り、ワイヤレスデバイス100がPD限界を短時間超えることを可能にする。
【0092】
[0109]これに関して、プロセッサ110は、以下のように、第2の技術がアクティブであり、第1の技術がアクティブでないケースのためのRF曝露遵守を決定し得る。プロセッサ110は、第2の時間ウィンドウ(例えば、2分)にわたって時間平均化された正規化PD分布を計算し、時間平均化された正規化PD分布におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、RF曝露遵守を決定し得る。
【0093】
[0110]これに関して、
図7は、プロセッサ110が第2の時間ウィンドウ705(例えば、2分)にわたる時間平均化された正規化PD分布を計算する例を例示する。この例では、第2の時間ウィンドウ705は、複数のタイムスロット(即ち、時間間隔)に分割される。例えば、2分の時間ウィンドウは、5秒のタイムスロットに分割され得る。
図7に示された例では、q個のタイムスロット715(1)~715(q)と、q個の正規化PD分布710(1)~710(q)とがある。分布710(1)~710(q)の各々は、
図7では2次元分布として図示されているが、本開示はこの例に限定されないことが理解されるべきである。
【0094】
[0111]プロセッサ110は、(例えば、方程式(6a)又は(6b)に従って)、各タイムスロットについての正規化PD分布を決定し得る。タイムスロットについての正規化PD分布は、2つ以上のPD分布を組み合わせることによって生成され得る。例えば、2つ以上のアンテナがタイムスロット中にアクティブである場合、プロセッサ110は、2つ以上のアクティブアンテナについての正規化PD分布を組み合わせて、タイムスロットについての正規化PD分布を生成し得る。異なる送信電力レベルがアクティブアンテナのために使用されるケースでは、プロセッサ110は、各アクティブアンテナについての正規化PD分布をそれぞれの送信電力レベルによってスケーリングし得る。
【0095】
[0112]ある特定の態様では、第2の技術についての送信シナリオ及び/又は送信電力レベルは、第2の時間ウィンドウ705にわたって変動し得る。これらの態様では、送信シナリオは、1つのタイムスロットにわたってほぼ一定であり得るが、第2の時間ウィンドウ705内のタイムスロット毎に変動し得る。プロセッサ110は、タイムスロット中の送信シナリオ及び時間平均化された送信電力レベルに基づいて(例えば、方程式(6a)又は(6b)に従って)、各タイムスロットについての正規化PD分布を決定し得る。
【0096】
[0113]プロセッサ110は、第2の時間ウィンドウ705にわたって正規化PD分布710(1)~710(q)を平均化して、時間平均化された正規化PD分布720を生成し得る。例えば、プロセッサ110は、以下によって与えられるように、タイムスロット715(1)~715(q)についての正規化PD分布710(1)~710(q)を組み合わせ、結果として生じる組み合わされた正規化PD分布をタイムスロットの数で除算することによって、時間平均化された正規化PD分布720を計算し得る。
【数13】
ここで、PD
norm_jは、j番目のタイムスロット710(j)についての正規化PD分布を表す。上述されたように、タイムスロットについての正規化PD分布は、(例えば、複数のアクティブアンテナのケースでは)タイムスロットについての複数の正規化PD分布の組み合わせであり得る。プロセッサ110は次いで、時間平均化された正規化PD分布720におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、RF曝露遵守を決定し得る。
【0097】
[0114]ある特定の態様では、プロセッサ110は、時間平均化されたRF曝露遵守を保証するために、将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る。この点に関して、
図7におけるタイムスロット715(1)~715(q-1)は、ワイヤレスデバイス100による以前の送信に対応し得、タイムスロット715(q)は、将来の送信に対応し得る。これに関して、タイムスロット715(q)は、以下では将来のタイムスロットと呼ばれる。方程式(10a)は、以下のように書き換えられ得る:
【数14】
ここで、PD
norm_qは、将来のタイムスロット715(q)についての正規化PD分布である。
【0098】
[0115]この例では、正規化PD分布710(1)~710(q-1)についての送信電力レベルは、ワイヤレスデバイス100による以前の送信に対応するので、プロセッサ110によって知られていると仮定される。例えば、プロセッサ110は、タイムスロット715(1)~715(q-1)の各々についての送信電力レベル及び送信シナリオをメモリ115中に記録し、タイムスロット715(1)~715(q-1)についての記録された送信電力レベル及び送信シナリオを使用して、これらのタイムスロットについての正規化PD分布710(1)~710(q-1)を決定し得る。タイムスロット715(1)~715(q-1)について、j番目のタイムスロット715(j)についての正規化PD分布710(j)は、j番目のタイムスロット715(j)中にアクティブであった全ての送信シナリオ及び電力レベルについて方程式(6a)又は(6b)を使用して決定され得る。
【0099】
[0116]この例では、将来のタイムスロット715(q)に対応する正規化PD分布710(q)についての送信電力レベルは、プロセッサ110によって解かれることになる変数である。将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定するために、プロセッサ110は、時間平均化された正規化PD分布720を計算し得、それにおいて、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルは、時間平均化された正規化PD分布720における変数である(即ち、時間平均化された正規化PD分布720は、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルの関数である)。プロセッサ110は次いで、時間平均化された正規化PD分布におけるピーク値が1以下である(即ち、方程式(10b)における条件≦1を満たす)ように、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルを決定し得る。RF曝露レベルを遵守する決定された送信電力レベルは、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルとして使用される。この点に関して、プロセッサ110は、決定された最大許容電力レベルに従って、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力限界を設定する。プロセッサ110は、プロセッサ110が最大許容電力レベルを実施するために、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルが将来のタイムスロット715(q)の開始時に準備されているように、タイムスロット715(q-1)中に将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。
【0100】
[0117]プロセッサ110は、
図8に例示された例証的な方法800に従って、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。ブロック810において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット715(q)についての送信シナリオに従って、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルを初期化する。例えば、送信電力レベルは、電力制御ループ、所望されるデータレート、所望されるビーム方向又はセクタ、等に従って初期化され得る。一例では、送信電力レベルは、デフォルト送信電力レベルのセットに初期化され得る。
【0101】
[0118]ブロック820において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット715(q)についてのブロック810における送信シナリオ及び送信電力レベルに基づいて、時間平均化された正規化PD分布を決定する。以前のタイムスロット715(1)~715(q-1)についての送信電力レベルは、上述されたように知られていることに留意されたい。
【0102】
[0119]ブロック830において、プロセッサ110は、時間平均化された正規化PD分布におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価する。ピーク値が1以下である場合、方法800は、ブロック850で終了する。このケースでは、プロセッサ110は、ブロック810において初期化された送信電力レベルを、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0103】
[0120]ピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、ブロック840において、将来のタイムスロットについての送信電力レベル810を調整する。プロセッサ110は、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルのうちの1つ以上を低減することによって、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルを調整し得る。プロセッサ110は次いで、調整された送信電力レベルを使用してブロック820及び830を繰り返す。プロセッサ110は、時間平均化されたPD分布におけるピーク値が1以下になるまでブロック840、820、及び830を繰り返し得、ピーク値が1以下になった時点で、送信電力レベルは、PD限界を遵守し、プロセッサ110は、送信電力レベルを将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0104】
[0121]第2の送信機130が、将来のタイムスロット715(q)中に複数のアクティブアンテナ(例えば、アンテナ132-1~132-Mのうちの2つ以上)を使用して信号を送信する例では、最大許容電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての最大許容電力レベルを含み得る。この例では、プロセッサ110は、それぞれの最大許容電力レベルによってアクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを制限(制約)する。
【0105】
[0122]本開示は、
図8に例示された例証的な方法800に限定されず、時間平均化された正規化PD分布がPD限界を遵守するように、将来のタイムスロット715(q)についての送信電力レベルを決定するために他の方法が用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、プロセッサ110は、時間平均化された正規化PD分布におけるピーク値が1未満の値にほぼ等しいか又はそれよりも小さくなることをもたらす、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。
【0106】
[0123]プロセッサ110はまた、第1の技術と第2の技術との両方がアクティブである(即ち、ワイヤレスデバイスが第1の技術と第2の技術とを使用して信号を同時に送信する)ケースのための時間平均化されたRF曝露遵守を決定し得る。これを行うために、プロセッサ110は、
図9に例示されたように、時間平均化された正規化SAR分布520と時間平均化された正規化PD分布720とを組み合わせて、組み合わされた時間平均化された正規化分布920を生成し得る。プロセッサ110は次いで、組み合わされた時間平均化された正規化分布920におけるピーク値を1と比較して、時間平均化されたRF曝露遵守を評価し得る。ピーク値が1以下である(即ち、条件≦1を満たす)場合、プロセッサ110は、ワイヤレスデバイス100が遵守していると判断し得る。遵守のための条件は、方程式(9b)及び(10b)を以下のように組み合わせることによって与えられ得る:
【数15】
【0107】
[0124]時間平均化された正規化SAR分布についての第1の時間ウィンドウ505と、時間平均化された正規化PD分布についての第2の時間ウィンドウ705とは、長さが異なり得る。この点に関して、
図9は、第1の時間ウィンドウ505が第2の時間ウィンドウ705よりも長い例を示す。例えば、第1の時間ウィンドウ505は、長さが約6分であり得、第2の時間ウィンドウ705は、長さが約2分であり得る。第1及び第2の時間ウィンドウの長さは、(例えば、FCC又は他の規制機関によって確立された)それぞれのRF曝露規制によって指定され得る。時間ウィンドウ505及び705の長さは、
図9では一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【0108】
[0125]ある特定の態様では、プロセッサ110は、時間平均化されたRF曝露遵守を保証するために、第1及び第2の技術の将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。これらの態様では、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)は、
図9における例に示されたように、時間的にほぼ整列され得る。将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルを決定するために、プロセッサ110は、組み合わされた時間平均化された正規化分布920を計算し得、それにおいて、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信電力レベルは、組み合わされた時間平均化された正規化分布920における変数である(即ち、組み合わされた時間平均化された正規化分布920は、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信電力レベルの関数である)。プロセッサ110は次いで、組み合わされた時間平均化された正規化分布920におけるピーク値が1以下である(即ち、方程式(11)における条件≦1を満たす)ように、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。プロセッサ110は次いで、決定された最大許容電力レベルに従って、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信電力限界を設定し得る。
【0109】
[0126]プロセッサ110は、
図10に例示された例証的な方法1000に従って、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルを決定し得る。最大許容電力レベルは、第1の技術についての第1の最大許容電力レベルと、第2の技術についての第2の最大許容電力レベルとを含み得る。
【0110】
[0127]ブロック1010において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信シナリオに従って、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信電力レベルを初期化する。第1の技術についての将来のタイムスロット515(p)についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、送信電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを含み得る。同様に、第2の技術についての将来のタイムスロット715(q)についての送信シナリオが複数のアクティブアンテナを使用する場合、送信電力レベルは、アクティブアンテナの各々についての送信電力レベルを含み得る。
【0111】
[0128]送信電力レベルは、1つ以上の電力制御ループ、1つ以上の所望されるデータレート、1つ以上の所望されるビーム方向又はセクタ、等に従って初期化され得る。一例では、送信電力レベルは、デフォルト送信電力レベルのセットに初期化され得る。
【0112】
[0129]ブロック1020において、プロセッサ110は、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての送信電力レベルに基づいて、組み合わされた時間平均化された正規化分布920を決定する。第1の技術についての以前のタイムスロット515(1)~515(p-1)における送信電力レベル及び第2の技術についての以前のタイムスロット715(1)~715(q-1)における送信電力レベルは、上述されたように知られていることに留意されたい。
【0113】
[0130]ブロック1030において、プロセッサ110は、組み合わされた時間平均化された正規化分布におけるピーク値を1と比較して、RF曝露遵守を評価する。ピーク値が1以下である場合、方法1000は、ブロック1050で終了する。このケースでは、プロセッサ110は、ブロック1010において初期化された送信電力レベルを、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルとして使用する。
【0114】
[0131]ピーク値が1より大きい場合、プロセッサ110は、ブロック1040において将来のタイムスロットについての送信電力レベルを調整する。プロセッサ110は、将来のタイムスロットについての送信電力レベルのうちの1つ以上を低減することによって、将来のタイムスロットについての送信電力レベルを調整し得る。プロセッサ110は次いで、調整された送信電力レベルを使用してブロック1020及び1030を繰り返す。プロセッサ110は、組み合わされた時間平均化された正規化分布におけるピーク値が1以下になるまでブロック1040、1020、及び1030を繰り返し得、ピーク値が1以下になった時点で、将来のタイムスロットについての送信電力レベルは遵守しており、プロセッサ110は、送信電力レベルを最大許容電力レベルとして使用する。決定された最大許容電力レベルは、第1の技術についての第1の最大許容電力レベルと、第2の技術についての第2の最大許容電力レベルとを含む。この点に関して、プロセッサ110は、第1の最大許容電力レベルに従って第1の送信機120についての送信電力限界を設定し、第2の最大許容電力レベルに従って第2の送信機130についての送信電力限界を設定する。
【0115】
[0132]本開示は、
図10に例示された例証的な方法1000に限定されず、組み合わされた時間平均化された正規化分布920がRF曝露限界を遵守するように、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)についての最大許容電力レベルを決定するために他の方法が用いられ得ることが理解されるべきである。
【0116】
[0133]ある特定の態様では、PDについての時間平均化ウィンドウは、送信周波数に依存する(例えば、28GHz帯域では約2分、及び60GHzでは約1分)。これらの態様では、第2の送信機130が複数の周波数帯域において信号を送信するとき、時間平均PD分布は、各周波数帯域について異なる時間ウィンドウを使用して計算され得る。例えば、第2の送信機130が第1の周波数帯域(例えば、28GHz)及び第2の周波数帯域(例えば、60GHz)において信号を送信する場合、時間平均PD分布は、以下によって与えられ得る:
【数16】
ここで、qは、第1の周波数帯域(例えば、28GHz帯域)についてのタイムスロットの数であり、rは、第2の周波数帯域(例えば、60GHz帯域)についてのタイムスロットの数である。第1及び第2の周波数帯域のために異なる時間ウィンドウが使用されるので、周波数帯域についてのタイムスロットの数は、第2の周波数帯域についてのタイムスロットの数とは異なる(即ち、q及びrは異なる)。
【0117】
[0134]
図11は、2つの時間平均化ウィンドウがPDのために使用される例を示す。この例では、上述された第2の時間ウィンドウ705は、第1の周波数帯域(例えば、28GHz帯域)のために使用され、第3の時間ウィンドウ1105は、第2の周波数帯域(例えば、60GHz帯域)のために使用され、それにおいて、第3の時間ウィンドウ1105は、第2の時間ウィンドウ705よりも短い。例えば、第2の時間ウィンドウ705は、約2分の長さを有し得、第3の時間ウィンドウ1105は、約1分の長さを有し得る。
【0118】
[0135]
図11に示されたように、第3の時間ウィンドウ1105は、r個のタイムスロット1115(1)~1115(r)に分割される。第2の周波数帯域についてのr個の正規化PD分布1110(1)~1110(r)があり、ここで、各正規化PD分布は、タイムスロット1115(1)~1115(r)のうちのそれぞれ1つに対応する。この例では、タイムスロット1115(1)~1115(r-1)は、以前のタイムスロットに対応し、タイムスロット1115(r)は、将来のタイムスロット515(p)及び715(q)とほぼ整列された将来のタイムスロットに対応する。
【0119】
[0136]この例では、第2の時間ウィンドウ705における以前のタイムスロット715(1)~715(q-1)の各々についての正規化PD分布は、タイムスロット中の第1の周波数帯域についての送信シナリオ及び送信電力レベルに基づいて決定され得る。将来のタイムスロット715(q)についての正規化PD分布は、将来のタイムスロット715(q)における第1の周波数帯域についての送信電力レベルの関数である。同様に、第3の時間ウィンドウ1105における以前のタイムスロット1115(1)~1115(r-1)の各々についての正規化PD分布は、タイムスロット中の第2の周波数帯域についての送信シナリオ及び送信電力レベルに基づいて決定され得る。将来のタイムスロット1115(r)についての正規化PD分布は、将来のタイムスロット1115(r)における第2の周波数帯域についての送信電力レベルの関数である。
【0120】
[0137]時間平均正規化PD分布720は、上記の方程式(12)に従って計算され得、それにおいて、時間平均正規化PD分布は、将来のタイムスロット715(q)における第1の周波数帯域についての送信電力レベル及び将来のタイムスロット1115(r)における第2の周波数帯域についての送信電力レベルの関数である。
【0121】
[0138]この例では、時間平均正規化PD分布720は、第2の時間ウィンドウ705に対応する第1の周波数帯域についての時間平均正規化PD分布と、第3の時間ウィンドウ1105に対応する第2の周波数帯域についての時間平均正規化PD分布との組み合わせである。この点に関して、時間平均PD分布720は、組み合わされた時間平均化されたPD分布と見なされ得る。
【0122】
[0139]ワイヤレスデバイス100がまた第1の技術を使用して信号を送信する例では、時間平均化された正規化PD分布は、時間平均化された正規化SAR分布と組み合わされて、上述された組み合わされた時間平均化された正規化分布を取得し得る。この例では、組み合わされた時間平均化された正規化分布は、将来のタイムスロット515(p)における第1の技術についての送信シナリオ及び送信電力レベル、将来のタイムスロット715(q)における第1の周波数帯域についての送信シナリオ及び送信電力レベル、並びに将来のタイムスロット1115(r)における第2の周波数帯域についての送信シナリオ及び送信電力レベルの関数である。最大許容電力レベルは、(例えば、
図10に例示された方法1000に従って)組み合わされた時間平均化された正規化分布のピーク値が1以下になることをもたらす送信電力レベルを決定することによって決定され得る。この例では、最大許容電力レベルは、第1の技術についての最大許容電力レベルと、第1の周波数帯域についての最大許容電力レベルと、第2の周波数帯域についての最大許容電力レベルとを含む。将来のタイムスロット515(p)、715(q)、及び1115(r)中に、プロセッサ110は、第1の技術についての最大許容電力レベルに従って第1の技術についての送信電力限界を設定し、第1の周波数帯域についての最大許容電力レベルに従って第1の周波数帯域についての送信電力限界を設定し、第2の周波数帯域についての最大許容電力レベルに従って第2の周波数帯域についての送信電力限界を設定する。
【0123】
[0140]上記の例では、2つの時間平均化ウィンドウ705及び1105がPDのために使用されるが、アクティブである10GHzを上回る異なる周波数帯域の数に応じて、2つよりも多くの時間平均化ウィンドウが使用され得ることが理解されるべきである。一般に、PDのために使用される時間平均化ウィンドウの数は、10GHzを上回るアクティブ周波数帯域の数に等しくあり得、ここで、各時間平均化ウィンドウは、アクティブ周波数帯域のうちのそれぞれ1つに対応する。
【0124】
[0141]ある特定の態様では、ワイヤレスデバイス110は、第1の技術がアクティブでない間、第1及び第2の周波数帯域(例えば、28GHz及び60GHz)において信号を同時に送信し得る。このケースでは、プロセッサ110は、第1及び第2の周波数帯域についての最大許容電力レベルを次のように決定し得る。プロセッサは、方程式(12)に従って時間平均正規化PD分布を決定し得、それにおいて、時間平均正規化PD分布は、将来のタイムスロット715(q)における第1の周波数帯域についての送信電力レベル及び将来のタイムスロット1115(r)における第2の周波数帯域についての送信電力レベルの関数である。この例が
図12に例示されており、それにおいて、RF曝露遵守のための条件は、時間平均化された正規化PD分布720が1以下であることである。時間平均正規化PD分布は、第1の技術がこのケースではアクティブでないので、時間平均化された正規化SAR分布520とこのケースでは組み合わされないことに留意されたい。
【0125】
[0142]プロセッサ110は次いで、時間平均正規化PD分布におけるピーク値が1以下になることをもたらす、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域についての送信電力レベルを決定し、決定送信電力レベルを最大許容電力レベルとして使用し得る。この例では、最大許容電力レベルは、第1の周波数帯域についての最大許容電力レベルと、第2の周波数帯域についての最大許容電力レベルとを含む。将来のタイムスロット715(q)及び1115(r)中に、プロセッサ110は、第1の周波数帯域についての最大許容電力レベルに従って第1の周波数帯域についての送信電力限界を設定し、第2の周波数帯域についての最大許容電力レベルに従って第2の周波数帯域についての送信電力限界を設定する。上記の技法は、3つ以上の周波数帯域についての最大許容電力レベルを決定するために、3つ以上の周波数帯域に拡大され得ることが理解されるべきである。
【0126】
[0143]いくつかのRF曝露規制は、PDの時間平均化を必要としないことがあるか、又はPDについての時間平均化を現在指定していないことがある(それは変更する可能性がある)。これらのケースでは、時間平均化されたSAR分布は、正規化PD分布と組み合わされて、RF曝露遵守が評価され得る。この例が
図13に例示されており、それにおいて、時間平均化された正規化SAR分布520は、将来のタイムスロット715(q)についての正規化PD分布と組み合わされて、組み合わされた正規化分布920が取得される。
【0127】
[0144]この例では、プロセッサ110は、以下のように第1及び第2の技術についての最大許容電力レベルを決定し得る。プロセッサ110は、時間平均化された正規化SAR分布520を将来のタイムスロット715(q)についての正規化PD分布710と組み合わせて、組み合わされた正規化分布920を取得し、それにおいて、組み合わされた正規化分布920は、将来のタイムスロット515(p)における第1の技術についての送信電力レベル及び将来のタイムスロット715(q)における第2の技術についての送信電力レベルの関数である。
【0128】
[0145]プロセッサ110は次いで、正規化分布920におけるピーク値が1以下になることをもたらす、第1及び第2の技術についての送信電力レベルを決定し、決定された送信電力レベルを最大許容電力レベルとして使用し得る。この例では、最大許容電力レベルは、第1の技術についての最大許容電力レベルと、第2の技術についての最大許容電力レベルとを含む。将来のタイムスロット515(p)及び715(a)中に、プロセッサ110は、第1の技術についての最大許容電力レベルに従って第1の送信機120についての送信電力限界を設定し、第2の技術についての最大許容電力レベルに従って第2の送信機130の帯域についての送信電力限界を設定する。
【0129】
[0146]上述されたタイムスロット515(1)~515(p)は長さが等しくあり得るか、又はタイムスロット515(1)~515(p)のうちの2つ以上が異なる長さを有し得ることが理解されるべきである。将来のタイムスロット515(p)はまた、時間間隔と呼ばれ得、第1の時間ウィンドウ505の長さの10分の1以下の長さを有し得る。一例では、将来のタイムスロット515(p)は、約5秒の長さを有し、第1の時間ウィンドウ505は、約6分の長さを有する。
【0130】
[0147]上述されたタイムスロット715(1)~715(q)は長さが等しくあり得るか、又はタイムスロット715(1)~715(q)のうちの2つ以上が異なる長さを有し得ることが理解されるべきである。将来のタイムスロット715(q)はまた、時間間隔と呼ばれ得、第2の時間ウィンドウ705の長さの5分の1以下の長さを有し得る。一例では、将来のタイムスロット715(q)は、約5秒の長さを有し、第2の時間ウィンドウ705は、約2分の長さを有する。
【0131】
[0148]上述されたタイムスロット1115(1)~1115(r)は、長さが等しくあり得るか、又はタイムスロット1115(1)~1115(r)のうちの2つ以上が異なる長さを有し得ることが理解されるべきである。将来のタイムスロット1115(r)はまた、時間間隔と呼ばれ得、第3の時間ウィンドウ1105の長さの5分の1以下の長さを有し得る。一例では、将来のタイムスロット1115(r)は、約5秒の長さを有し、第3の時間ウィンドウ1105は、約1分の長さを有する。
【0132】
[0149]第1の時間ウィンドウ505は、第2の時間ウィンドウ705の長さよりも少なくとも50パーセント長い長さを有し得る。一例では、第1の時間ウィンドウ505は、約6分の長さを有し、第2の時間ウィンドウ705は、約2分の長さを有し、それにおいて、第1及び第2の時間ウィンドウの長さは、規制機関によって設定され得る。規制機関によって設定される第1及び第2の時間ウィンドウ505及び705の長さは、時間と共に変化し得、異なる規制機関の間で異なり得ることが理解されるべきである。上述されたように、規制機関は、送信周波数に依存する時間ウィンドウ、例えば、28GHz帯域では2分の時間ウィンドウ長、及び60GHz帯域では1分の時間ウィンドウ長を定義し得る。そのケースでは、SARについて1つの時間ウィンドウと、PDについて2つ以上の時間ウィンドウとがある可能性があり、PDについての各時間ウィンドウは所与の送信周波数帯域に対応することも理解されるべきである。
【0133】
[0150]本明細書で使用される場合、「以前のタイムスロット」という用語は、それぞれの将来のタイムスロットより前のタイムスロットを指す。例えば、
図5におけるタイムスロット515(1)~515(p-1)は、将来のタイムスロット515(p)より前の以前のタイムスロットである。
【0134】
[0151]本明細書で使用される場合、「将来のタイムスロット」という用語は、それぞれの最大許容電力レベルが決定される時間に関する将来のタイムスロット(即ち、時間間隔又は時間持続時間)を指す。将来のタイムスロットの前に将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定することは、将来のタイムスロット中のRF曝露遵守を保証にするのに役立つ。上述された将来のタイムスロット515(p)、715(q)、及び1115(r)は、時間的にほぼ整列しているので、それらは、まとめて1つの将来のタイムスロットと見なされ得る。
【0135】
[0152]上述された時間ウィンドウ(例えば、時間ウィンドウ505、705、及び1105)は、移動時間平均化ウィンドウであり得ることが理解されるべきである。このケースでは、各時間ウィンドウは、新しい将来のタイムスロットについての最大許容電力レベルが決定される度に1つのタイムスロットだけシフトされる。例えば、時間ウィンドウ505の上記の議論では、タイムスロット515(p)は、将来のタイムスロットとして与えられる。次の将来のタイムスロット515(p+1)についての最大許容電力レベルを決定するために、プロセッサ110は、タイムスロット515(2)~515(p+1)をカバーするために、1つのタイムスロットだけ時間ウィンドウ505をシフトする。最大許容電力レベルの以前の決定における第1のタイムスロット515(1)は、時間ウィンドウ505からドロップされ、最大許容電力レベルの以前の決定における将来のタイムスロット515(p)は、時間ウィンドウ505における以前のタイムスロットのうちの最後のタイムスロットになることに留意されたい。
【0136】
[0153]上述された第1の通信技術は、SARがRF曝露遵守を評価するために使用される複数の通信技術を含み得ることが理解されるべきである。例えば、第1の技術は、WWAN、WLAN、Bluetooth(登録商標)、等を含み得る。この点に関して、第1の送信機120は複数の送信機を含み得ることが理解されるべきである。また、SARは、複数のサブ6GHz通信技術(例えば、WWAN、WLAN、及びBluetoothの同時送信)からの寄与を有し得ることが理解されるべきである。
【0137】
[0154]上述された第2の通信技術は、PDがRF曝露遵守を評価するために使用される複数の通信技術を含み得ることが理解されるべきである。例えば、第2の技術は、mmWave/5G及びmmWave/802.11adを含み得る。この点に関して、第2の送信機130は複数の送信機を含み得ることが理解されるべきである。また、PDは、複数の通信技術(例えば、mmWave/5G及びmmWave/802.11adの同時送信)からの寄与を有し得ることが理解されるべきである。
【0138】
[0155]上記の例のうちのいくつかでは、正規化分布が1と比較されて、RF曝露遵守が評価される。しかしながら、本開示はこれらの例に限定されないことが理解されるべきである。例えば、分布(例えば、SAR分布、PD分布、組み合わされたRF曝露分布、等)は、1以外の限界値がRF曝露遵守のための条件を定義するために使用され得るように、任意の値に対して正規化され得る。この例では、RF遵守のための条件は、正規化分布が限界値以下であることである。また、上述されたように、限界値は、1未満の値に設定され得る。
【0139】
[0156]上述されたように、プロセッサ110は、(例えば、本明細書で説明される方法のうちのいずれかに従って)将来のタイムスロットについての送信機(例えば、第1の送信機120又は第2の送信機130)についての最大許容電力レベルを決定し、決定された最大許容電力レベルに基づいて送信機についての送信電力限界を設定し得る。ある特定の態様では、決定された最大許容電力レベルに基づいて送信電力限界を設定することは、送信機の電力レベルが将来のタイムスロット中の任意の時点で最大許容電力レベルを超えることを防ぐ。ある特定の態様では、決定された最大許容電力レベルに基づいて送信電力限界を設定することは、将来のタイムスロットにわたる送信機の電力レベルの時間平均が最大許容電力レベルを超えることを防ぐ。これは、将来のタイムスロットにわたる電力レベルの時間平均が最大許容電力レベルを超えない限り、電力レベルが将来のタイムスロット内の最大許容電力レベルを一時的に超えることを可能にする。これらの態様では、電力レベルは、将来のタイムスロットよりも短い時間間隔にわたって最大許容電力レベルを超え得る。これらの態様では、最大許容電力レベルは、将来のタイムスロットにわたる最大許容時間平均電力レベルである。
【0140】
[0157]
図14は、本開示のある特定の態様に係る、ワイヤレスデバイス(例えば、ワイヤレスデバイス100)においてインプリメントされる例証的な方法1400を例示する。
【0141】
[0158]ブロック1410において、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布が決定される。例えば、SAR分布は、時間平均化ウィンドウ(例えば、時間ウィンドウ505)に対応する時間平均化されたSAR分布を備え得る。第1のワイヤレス通信技術は、以下のうちの1つ以上を含み得る:WWAN、WLAN、3G、4G、Bluetooth、等。
【0142】
[0159]ブロック1420において、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布が決定される。例えば、PD分布は、1つ以上の時間平均化ウィンドウ(例えば、時間ウィンドウ705及び/又は1105)に対応する時間平均化されたPD分布を備え得る。第2のワイヤレス通信技術は、以下のうちの1つ以上を含み得る:5G、IEEE802.11ad、等。
【0143】
[0160]ブロック1430において、SAR分布とPD分布とが組み合わされて、組み合わされたRF曝露分布が生成される。
【0144】
[0161]ブロック1440において、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルが、組み合わされたRF曝露分布に基づいて決定される。例えば、組み合わされたRF曝露分布は、将来のタイムスロットにおける送信電力レベルの関数であり得る。この例では、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルは、組み合わされたRF曝露分布のピーク値がRF曝露遵守を保証する限界値(例えば、1の限界値)以下になることをもたらす送信電力レベルについての電力レベルを決定することによって決定され得る。
【0145】
[0162]ブロック1450において、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界が、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて設定される。少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて第1の送信機(例えば、第1の送信機120)についての少なくとも送信電力限界を設定することは、将来のタイムスロットにおける第1の送信機の送信電力レベルを少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに制限し得るか、又は将来のタイムスロットにわたる第1の送信機の時間平均化された送信電力レベルを少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに制限し得る。
【0146】
[0163]ブロック1460において、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界が、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて設定される。少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて第2の送信機(例えば、第2の送信機130)についての少なくとも送信電力限界を設定することは、将来のタイムスロットにおける第2の送信機の送信電力レベルを少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに制限し得るか、又は将来のタイムスロットにわたる第2の送信機の時間平均化された送信電力レベルを少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに制限し得る。
【0147】
[0164]方法1400は、
図14に示された例証的な順序に限定されないことが理解されるべきである。例えば、ブロック1420はブロック1410の前に実行され得るか、又はブロック1410と1420との両方が同時に実行され得る。また、ブロック1460はブロック1450の前に実行され得るか、又はブロック1450と1460との両方が同時に実行され得る。
【0148】
[0165]
図9を参照して上述された例証的な時間平均化アプローチでは、プロセッサ110は、第1の時間ウィンドウ505にわたる第1の技術についての時間平均化されたSAR分布505を決定し、第2の時間ウィンドウ705にわたる第2の技術についての時間平均化されたPD分布705を決定し、それにおいて、第1の時間ウィンドウ505と第2の時間ウィンドウ705とは、異なる時間持続時間(即ち、異なる長さ)を有する。プロセッサ110は次いで、時間平均化されたSAR分布505と時間平均化されたPD分布705とを組み合わせて、組み合わされた時間平均化された分布920を取得し、組み合わされた時間平均化された分布920に基づいて、将来のタイムスロットについての第1の技術についての最大許容電力レベル及び第2の技術についての最大許容電力レベルを決定する。プロセッサ110は、Δt秒毎にこの決定を行い得、ここで、Δt秒(例えば、5秒)は、1つのタイムスロットの時間持続時間である。このケースでは、プロセッサ110は、Δt秒(例えば、5秒)毎に第1の技術についての最大許容電力レベル及び第2の技術についての最大許容電力レベルを更新し、第1の時間ウィンドウ505及び第2の時間ウィンドウ705は、上述されたように、移動時間平均化ウィンドウである。
図9に示された例では、同じタイムスロット時間(例えば5秒)が、第1の技術及び第2の技術のために使用される。
【0149】
[0166]将来のタイムスロットにおける各技術についての最大ピーク対平均比(PAR)は、以下によって与えられ得る:
【数17】
ここで、PAR
maxは、最大許容PARであり、time_windowは、それぞれの時間平均化ウィンドウ(例えば、第1の技術についての第1の時間ウィンドウ505及び第2の技術についての第2の時間ウィンドウ705)の時間持続時間であり、Δtは、将来のタイムスロットの時間持続時間である。ここで、将来のタイムスロットにおける各技術についての平均送信電力レベルは、将来のタイムスロットについて決定されたそれぞれの最大許容電力レベルによって与えられる。
【0150】
[0167]例えば、第1の技術についての第1の時間ウィンドウ505が100秒であり、Δtが5秒である場合、第1の技術についての最大許容PARは、20dBに等しい。第2の技術についての第2の時間ウィンドウ705が30秒であり、Δtが5秒である場合、第2の技術についての最大許容PARは、7.8dBに等しい。これに伴う問題は、高いPARが第2の技術(例えば、mmWave通信)に必要とされ得ることである。例えば、mmWave通信の場合、平均送信電力は、約8dBmであり得、23dBmを超える送信電力が、セルエッジにおいて無線リンクを維持するために必要とされ得、それは、15dBを超えるPARに変換される。
【0151】
[0168]ある技術(例えば、第2の技術)についての最大PARは、Δt(即ち、1つのタイムスロットの時間持続時間)を減少させることによって増大され得る。Δtを減少させることは、プロセッサ110に、第1の技術についての最大許容電力レベル及び第2の技術についての最大許容電力レベルをより頻繁に更新させ、それは、両方の技術でより多くの計算リソースを消費する。しかしながら、ある1つの技術(例えば、第2の技術)に対するPAR要件を満たすためにΔtを減少させることは、そのPAR要件を既に満たしている別の技術(例えば、第1の技術)には必要とされないことがある。このケースでは、Δt(即ち、1つのタイムスロットの時間持続時間)を減少させることは、他の技術(例えば、第1の技術)についての計算リソースの不必要な増大をもたらす。
【0152】
[0169]これに対処するために、本開示の態様は、以下で更に議論されるように、依然として総RF曝露遵守を満たしながら、異なる技術についての最大許容電力レベルが異なるレートで更新されることを可能にする。
【0153】
[0170]ある特定の態様では、第2の技術についての最大許容電力レベルは、第1の技術についての計算負荷の増大を必要とすることなく第2の技術についての最大許容PARを増大させるために、第1の技術よりも小さい時間間隔で更新される。これらの態様では、第2の技術についての将来のタイムスロット715(q)は、
図15に示されたように、より小さいタイムスロット1515(1)~1515(N)に更に分割(区分化)される。プロセッサ110は、以下で更に議論されるように、より小さいタイムスロット1515(1)~1515(N)の各々についての正規化PD分布1520(1)~1520(N)を決定し得る。以下の説明では、より小さいタイムスロット1515(1)~1515(N)は、議論を容易にするためにサブタイムスロットと呼ばれる。
【0154】
[0171]これらの態様では、プロセッサ110は、外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定する。外側ループでは、プロセッサ110は、総RF曝露遵守を保証するために、上述されたように、組み合わされた時間平均化されたRF曝露分布920に基づいて、将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定する。プロセッサ110は、上述されたように、Δt秒(即ち、1つのタイムスロットの持続時間)毎に将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを更新する。例えば、1つのタイムスロットの持続時間が5秒である場合、プロセッサ110は、5秒毎に将来のタイムスロット715(q)についての最大許容電力レベルを決定する。同じタイムスロット期間が、総RF曝露遵守を満たすために、外側ループ中で第1の技術及び第2の技術のために使用されることに留意されたい。外側ループの動作は、
図9を参照してある特定の態様に従ってより詳細に上述された。
【0155】
[0172]内側ループでは、プロセッサ110は、Δt/N秒当たり約1のレートで一度に1つずつサブタイムスロット1515(1)~1515(N)についての最大許容電力レベルを決定し、ここで、Nは、将来のタイムスロット715(q)におけるサブタイムスロットの数であり、Δtは、将来のタイムスロット715(q)の時間持続時間である。例えば、Nが50に等しく、Δtが5秒に等しい場合、プロセッサ110は、約100ミリ秒毎にサブタイムスロット1515(1)~1515(N)のうちの1つについての最大許容電力レベルを決定する。このことから、内側ループは、更新レートをN倍に増大させる。より高い更新レートは、上述されたように、第2の技術(例えば、mmWave通信)についてのPARを増大させる。
【0156】
[0173]内側ループについて、プロセッサ110は、外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)について計算された正規化PD分布を、内側ループについての正規化PD限界として使用し得る。例えば、上述された方程式(11)では、将来のタイムスロット715(q)についての正規化PD分布は、PDnorm_qによって与えられ、それは、将来のタイムスロット715(q)について決定された最大許容電力レベルによってスケーリングされ得る。
【0157】
[0174]内側ループでは、プロセッサ110は、以下に基づいてn番目のサブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る:
【数18】
ここで、Nは、サブタイムスロット1515(1)~1515(N)の総数であり、iは、サブタイムスロットについてのインデックスであり、PD
norm_iは、i番目のサブタイムスロットについての正規化PD分布であり、PD
norm_nは、n番目のサブタイムスロットについての正規化PD分布であり、PD
norm_limは、内側ループについてのPD限界である。内側ループについてのPD限界は、上述されたように、外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)について計算された正規化PD分布によって与えられ得る。
【0158】
[0175]方程式(14)では、サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)は、サブタイムスロット1515(n)に対して過去の(即ち、サブタイムスロット1515(n)より時間的に前の)サブタイムスロットであり、従って、第2の送信機130による以前の送信に対応する。サブタイムスロット1515(n)は、サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)に対する将来のサブタイムスロットと見なされ得る。サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)は以前の送信に対応するので、プロセッサ110は、サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)についての以前の送信電力レベルに基づいて、方程式(14)におけるサブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)についての正規化PD分布を決定することができる。例えば、プロセッサ110は、サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)についての送信電力レベルを記録し、記録された送信電力レベルを使用して、サブタイムスロット1515(1)~1515(n-1)についての正規化PD分布を決定し得る。
【0159】
[0176]プロセッサ110は次いで、方程式(14)の左辺上の式がPDnorm_lim以下である(即ち、条件≦PDnorm_limを満たす)ように、サブタイムスロット1515(n)についての送信電力レベルを決定し得る。例えば、プロセッサ110は、左辺の式におけるピーク値がPDnorm_limにおけるピーク値以下である場合に条件が満たされていると判断し得る。プロセッサ110は次いで、サブタイムスロット1515(n)についての決定された送信電力レベルを、サブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルとして使用し得る。この点に関して、プロセッサ110は、サブタイムスロット1515(n)中の第2の送信機130の送信電力レベルがサブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルによって制約されるように、サブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルに基づいて第2の送信機130についての送信電力限界を設定し得る。
【0160】
[0177]プロセッサ110は、(例えば、最大許容電力レベルに基づいて第2の送信機130の送信電力限界を設定することによって)サブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルを実施するために、最大許容電力レベルが時間内に準備されるように、サブタイムスロット1515(n)の開始前にサブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルを決定し得る。このことから、プロセッサ110がサブタイムスロット1515(n)についての最大許容電力レベルを決定するとき、サブタイムスロット1515(n)は、将来のサブタイムスロットと見なされ得る。
【0161】
[0178]プロセッサ110は、方程式(14)に基づいて各サブタイムスロット1515(1)~1515(N)についての最大許容電力レベルを決定し得、方程式(14)において、第1のサブタイムスロット1515(1)についてはnが1であり、最後のサブタイムスロット1515(N)についてはnがNである。方程式(14)では、左辺上の式は、Nで除算されたサブタイムスロット1515(1)~1515(n)についての正規化PD分布の組み合わせによって与えられる累積平均である。外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)の時間持続時間が5秒であり、1つのサブタイムスロットの時間持続時間が100ミリ秒である例では、Nは、50に等しい。累積平均は、nが最初のサブタイムスロットについての1から最後のサブタイムスロットについてのNまで増大するにつれて(即ち、プロセッサ110がサブタイムスロット1515(1)から1515(N)まで進行するにつれて)、より多くのサブタイムスロットを累積することに留意されたい。
【0162】
[0179]このことから、プロセッサ110は、外側ループよりも高いレートで第2の技術についての最大許容電力レベルを更新するために(即ち、Δt/N秒毎に第2の技術についての最大許容電力レベルを更新するために)、内側ループ中で上記の動作を実行し得る。プロセッサ110は、第1の技術についての更新レートを増大させる必要なく、及びこのことから、第1の技術についての計算負荷を増大させる必要なく、これを達成することができる。例えば、外側ループ中の1つのタイムスロットの時間持続時間が5秒であり、内側ループ中の1つのサブタイムスロットの時間持続時間が100ミリ秒である場合、第1の技術についての最大許容電力レベルは、5秒毎に更新され、第2の技術についての最大許容電力レベルは、100ミリ秒毎に更新される。このことから、プロセッサ110は、第1の技術及び第2の技術についての最大許容電力レベルを異なるレート(即ち、更新間の異なる時間間隔)で更新することが可能である。
【0163】
[0180]内側ループ中のサブタイムスロット1515(1)~1515(N)についての最大許容電力レベルを決定するための追加の例が、本開示のある特定の態様に従ってここで議論される。
【0164】
[0181]
図16は、外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)に対応する内側ループについての時間平均化ウィンドウ1605を例示する。時間平均化ウィンドウ1605の持続時間は、外側ループ中の1つのタイムスロットの持続時間(「T1」とラベル付けされる)に等しい。時間平均化ウィンドウ1605は、外側ループ中の将来のタイムスロット715(q)と時間的に整列され得る。一例では、外側ループ中の1つのタイムスロットの持続時間T1は、0.5秒に等しい(即ち、T1=0.5秒)。時間平均化ウィンドウ1605は、N個のサブタイムスロットを含み、ここで、各サブタイムスロットの持続時間は、T1/N(「T2」とラベル付けされる)に等しい。一例では、Nは、50に等しく、T1、は0.5秒に等しい。この例では、内側ループ中の1つのサブタイムスロットの持続時間は、10msに等しい(即ち、T2=10ms)。
【0165】
[0182]
図16における例では、内側ループは、時間平均化ウィンドウ1605についての外側ループからPD限界(「PD
lim」とラベル付けされる)を受信する。PD限界は、上述された将来のタイムスロット715(q)について決定された正規化PD分布PD
norm_limにおけるピークPD値に対応し得る。
図16における例では、PD限界は、1より大きい。これは、外側ループが、複数のタイムスロット715(1)~715(q)を含む時間平均化ウィンドウ705にわたってRF曝露遵守を決定するので可能である。これは、PD限界が、外側ループ中の時間平均化ウィンドウ705にわたる平均RF曝露がRF曝露遵守を満たす限り、1を超えることを可能にする。一般に、外側ループからのPD限界は、1より大きいことも小さいこともある。
【0166】
[0183]
図16は、最大許容電力レベルが時間平均化ウィンドウ1605内のサブタイムスロット1620について決定されている時点を示す。
図16は、サブタイムスロット1620に先行する時間平均化ウィンドウ1605内のサブタイムスロット(以下では過去のサブタイムスロットと呼ばれる)についてのPD(例えば、ピークPD値)を示す。過去のサブタイムスロットは、
図16に示される時点に関する過去の送信に対応する。時間平均化ウィンドウ1605内のサブタイムスロット1620に後続するサブタイムスロットについてのPDは、これらのサブタイムスロットが
図16に示される時点に関する将来の送信に対応するので、
図16に示されない。
【0167】
[0184]この例では、PD限界は、時間平均化ウィンドウ1605にわたって平均化されたPDがPD限界以下であるときに満たされる。グラフでは、この条件は、時間平均化ウィンドウ1605全体にわたるPD曲線1610の下の領域が、時間平均化ウィンドウ1605全体にわたるPD限界線1630の下の領域以下であるときに満たされる。
【0168】
[0185]ある特定の態様では、プロセッサ110は、以下に基づいて、時間平均化ウィンドウ1605内のi番目のサブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る:
【数19】
ここで、PD
allowed,iは、時間平均化ウィンドウ1605内のi番目のサブタイムスロットについての許容PD(例えば、許容ピークPD値)であり、式N・PD
limは、時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りであり、PD
Rは、予約されたPDであり、合計項は、時間平均化ウィンドウ1605内の過去のサブタイムスロットのPDを合計する。方程式(15)は、以下の同等の方程式に書き換えられることができる:
【数20】
【0169】
[0186]方程式(15)では、過去のサブタイムスロットのPDの合計は、既に使い切られた時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りの一部分を表す。過去のサブタイムスロットは、時間平均化ウィンドウ1605における第1のサブタイムスロットからi番目-1のサブタイムスロットまでを含む。既に使い切られたPD割り振りの一部分は、i番目のサブタイムスロットのために利用可能ではないので、既に使い切られたPD割り振りの一部分は、時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りから減算される。
【0170】
[0187]項(N-i)・PD
Rは、将来のサブタイムスロット(即ち、i番目のサブタイムスロットの後の時間平均化ウィンドウ1605内のサブタイムスロット)のために予約される時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りの一部分を表す。予約されたPD
Rは、i番目のサブタイムスロットの後の将来のサブタイムスロットの数である(N-i)で乗算される。将来のサブタイムスロットのために予約されたPD割り振りの一部分は、i番目のサブタイムスロットのために利用可能でないので、将来のサブタイムスロットのために予約されたPD割り振りの一部分は、時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りから減算される。ある特定の態様では、予約されたPD
Rは、以下によって与えられる:
【数21】
ここで、PD_reserve_ratioは、予約比である。このことから、将来のサブタイムスロットのために予約されるPD割り振りの一部分は、予約比を設定することによって設定され得る。予約比を設定するためのファクタの例は、ある特定の態様に従って以下で更に議論される。
【0171】
[0188]このことから、i番目のサブタイムスロットについての許容PDを決定するとき、プロセッサ110は、過去のサブタイムスロットによって既に使い切られた時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りの一部分を考慮に入れる。プロセッサ110はまた、将来のサブタイムスロットのために残りのPD割り振りの一部分を予約する。
図17は、過去のサブタイムスロット1710によって既に使い切られたPD割り振りの一部分、i番目のサブタイムスロット1720についての許容PD、及び将来のサブタイムスロット1730のために予約された残りのPD割り振りの一部分のグラフ表示を示す。
図17では、時間平均化ウィンドウ1605についてのPD割り振りは、PD限界線1630の下の領域によって表される。
【0172】
[0189]上述されたように、プロセッサ110は、予約比を設定することによって、将来のサブタイムスロットのために予約されるPD割り振りの一部分を設定し得る。一例では、プロセッサ110は、ワイヤレスデバイス100(例えば、モバイルワイヤレスデバイス)と、ワイヤレスデバイス100からの送信を受信する別のワイヤレスデバイス(例えば、基地局)との間のチャネル状態に基づいて予約比を設定し得る。例えば、チャネル状態が良い(例えば、ワイヤレスデバイス間の干渉が低い及び/又は距離が短い)場合、プロセッサ110は、時間平均化ウィンドウ1605にわたって送信電力をより均一に分散させるために、予約比をより高く設定し得る。このケースでは、送信電力を分散することは、より高いスループットをもたらし得る。予約比をより高く設定することは、将来のサブタイムスロットのためにPD割り振りのより大きい部分を予約することによって、送信電力をより均等に分散させる。
【0173】
[0190]チャネル状態が悪い(例えば、ワイヤレスデバイス間の干渉が高い及び/又は距離が長い)場合、プロセッサ110は、予約比をより低く設定し得る。予約比をより低く設定することは、将来のサブタイムスロットのために予約されるPD割り振りの一部分を低減する。これは、将来のサブタイムスロットのために予約されたPD割り振りの一部分によって課される現在のサブタイムスロットについての送信電力に対する制約を緩和し、送信機130が現在のサブタイムスロットについてのより高い電力で送信することを可能にする。このケースでは、ワイヤレスデバイス100から送信されたデータが他のワイヤレスデバイスによって成功裏に受信されることを保証するために、より高い電力で(例えば、短いバーストで)送信することが必要であり得る。
【0174】
[0191]別の例では、プロセッサ110は、データトラフィックパターンに基づいて予約比を設定し得る。例えば、ワイヤレスデバイス100が時間平均化ウィンドウ1605の終わりに向かってデータを送信するようにスケジュールされている場合、プロセッサ110は、スケジュールされたデータ送信のために十分な量のPD割り振りを予約するために、予約比をより高く設定し得る。これは、送信機130が、スケジュールされたデータ送信の前にPD割り振りの全部又は大部分を使い切ってしまい、スケジュールされたデータ送信のために十分なPD割り振りを残さないことを防ぐのに役立ち得る。別の例では、ワイヤレスデバイス100が、時間平均化ウィンドウ1605の残りについての他のスケジュールされたデータ送信を伴わずに、時間平均化ウィンドウ1605の開始に向かって短い持続時間にわたってデータを送信するようにスケジュールされる場合、プロセッサ110は、別のデータ送信のためにPD割り振りの一部分を予約することがこの例では必要でないことがあるので、予約比をより低く設定し得る。別の例では、プロセッサ110は、過去の送信及び/又は上位レイヤ情報に基づいて将来の送信及び/又は周波数を予測し得る。プロセッサ110は次いで、予測された将来の送信及び/又は周波数に基づいて予約比を設定し得る。例えば、データパケット(例えば、ある特定のサイズのデータパケット)が過去にある特定の時間間隔で送信された場合、プロセッサ110は、この情報を使用して、データパケットが将来の時間間隔で送信されることを予測し、それに応じて予約比を設定(例えば、時間平均化ウィンドウ1605内での予測されたデータパケット送信のために十分な予約を提供するように予約比を設定)し得る。
【0175】
[0192]プロセッサ110は、(例えば、方程式(15)に基づいて)内側ループについての時間平均化ウィンドウ1605内のサブタイムスロットの各々についての許容PDを決定し得る。第1のサブタイムスロットについては、第1のサブタイムスロットに先行するサブタイムスロットが時間平均化ウィンドウ1605内にないので、使い切られたPD割り振りの一部分は0である。最後のサブタイムスロットについては、最後のサブタイムスロットの後のサブタイムスロットが時間平均化ウィンドウ1605内にないので、将来のサブタイムスロットのために予約されたPD割り振りの一部分は0である。各サブタイムスロットについての許容PDを決定した後、プロセッサ110は、サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し、決定された最大許容電力レベルに基づいてサブタイムスロットについての送信機130の送信電力限界を設定し得る。
【0176】
[0193]ある特定の態様では、プロセッサ110は、表を使用して、サブタイムスロットについての許容PDに基づいて、サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る。この点に関して、
図18は、サブタイムスロットについての許容PDを最大許容電力レベルに変換するための表1810の例を示す。表1810は、メモリ115中に記憶され得る。
【0177】
[0194]この例では、表1810は、送信機130についてのn個の異なる送信シナリオについてのインデックスを含む。n個の送信シナリオは、異なるビーム、ワイヤレスデバイス100に対する異なるユーザ位置、等に対応し得る。表1810中の各送信シナリオについて、表1810は、(「Tx1」~「Txn」とラベル付けされた)基準PDにおける対応する送信電力レベルを含む。基準PDにおける異なる送信シナリオについての送信電力レベルは、ワイヤレスデバイス110上でシミュレーション及び/又は測定を実行することによって予め決定され、表1810中に予め記憶され得る。
【0178】
[0195]対応する許容PDに基づいてサブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定するために、プロセッサ110は、サブタイムスロットについての送信シナリオを決定し、決定された送信シナリオに対応する表1810中の送信電力レベルを取り出し得る。例えば、表1810中の送信シナリオが異なるビームに対応する場合、プロセッサ110は、サブタイムスロットについてのビームを決定し、決定されたビームに対応する表1810中の送信電力レベルを取り出し得る。
【0179】
[0196]表1810から送信電力レベルを取り出した後、プロセッサ110は、サブタイムスロットについての許容PDと基準PDとに基づいて表1810からの送信電力レベルをスケーリングする(例えば、基準PDに対する許容PDの比によって表1810からの送信電力レベルをスケーリングする)ことによって、サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る。例えば、許容PDが基準PDよりも50%小さい場合、プロセッサ110は、サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを取得するために、表1810からの送信電力レベルを50%低減し得る。表1810中の送信電力レベルがデシベル(dB)単位である場合、最大許容電力レベルは、この例では、表1810中の送信電力から3dBを減算することによって取得される。このことから、任意の許容PDについての最大許容電力レベルは、許容PD及び基準PDに基づいて表1810中の送信電力レベルをスケーリングすることによって取得され得る。これは、上述されたように、PDが送信電力でスケーリングするので可能である。
【0180】
[0197]上述されたように、サブタイムスロットについての許容PDを決定するとき、プロセッサ110は、過去のサブタイムスロットによって使い切られたPD割り振りの一部分を考慮に入れ得る。方程式(15)における例では、過去のサブタイムスロットによって使い切られたPD割り振りの一部分は、過去のサブタイムスロットのPDを合計することによって決定される。一例では、過去のサブタイムスロットのPDは、過去のサブタイムスロットについて決定された許容PDに対応し得る。別の例では、過去のサブタイムスロットのPDは、過去のサブタイムスロットについての実際のPDに対応し得る。過去のサブタイムスロットについての実際のPDは、過去のサブタイムスロット中に使用された実際の送信電力レベルに対応するPDであり得、それは、過去のサブタイムスロットについて決定された最大許容電力レベル以下であり得る。この例では、プロセッサ110は、過去のサブタイムスロットのために使用された実際の送信電力レベルを記録し、過去のサブタイムスロットについての実際の送信電力レベルに基づいて、過去のサブタイムスロットについての実際のPDを決定し得る。
【0181】
[0198]本開示は1つの内側ループに限定されないことが理解されるべきである。例えば、プロセッサ110は、第1の内側ループと第2の内側ループとを含む2つの内側ループを使用して最大許容電力レベルを決定し得る。この例では、上述された内側ループは、第1の内側ループに対応し得、それは、外側ループから将来のタイムスロット715(q)についてのPD限界を受信し、PDが将来のタイムスロットにわたって平均化されるときに外側ループからのPD限界が満たされるように、サブタイムスロットにおける将来のタイムスロット内のPDを調整する。
【0182】
[0199]この例では、第2の内側ループは、第1の内側ループの下にある。第2の内側ループは、第1の内側ループ中の各サブタイムスロットをより小さいサブタイムスロットに区分化する。第1の内側ループの各サブタイムスロットについて、第2の内側ループは、第1の内側ループからPD限界(例えば、内側ループのサブタイムスロットについての許容PD)を受信し、PD限界が満たされるように、サブタイムスロット内の最大許容電力レベルを調整する。第1の内側ループのサブタイムスロット内で、第2の内側ループは、(例えば、PD限界が第1の内側ループによって提供される方程式(15)に基づいて)第1の内側ループのサブタイムスロット内の第2の内側ループの各サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定する。この例では、最大許容電力レベルは、第2の内側ループの各サブタイムスロットについて決定される。
【0183】
[0200]ある特定の態様では、プロセッサ110は、異なるレートにおける異なるサブ6GHz技術についての最大許容電力レベルを決定するために、上述された技法のうちのいずれかを使用し得る。例えば、プロセッサ110は、100ミリ秒毎にLTEについての最大許容電力レベルを更新し得るが、技術がどれほど高頻度で又は低頻度で変化するかに応じて、5秒毎にGSM(登録商標)についての最大許容電力レベルを更新し得る。この例では、プロセッサ110は、外側ループ中で5秒毎にLTEについての最大許容電力レベルとGSMについての最大許容電力レベルとを決定し得る。LTEの場合、プロセッサ110は、外側ループ中の将来のタイムスロットをサブタイムスロット(例えば、50個のサブタイムスロット)に更に分割し、内側ループ中の各サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定し得る。プロセッサ110は、内側ループ中の各サブタイムスロットについての最大許容電力レベルを決定するために、外側ループ中の将来のタイムスロットについての正規化SAR分布を、内側ループ中の正規化SAR限界として使用し得る。
【0184】
[0201]ある特定の態様では、上述された技法は、2つよりも多くの異なる時間間隔を実行する(即ち、2つよりも多くの異なる更新レートで異なる技術についての最大許容電力レベルを更新する)ように拡張され得る。これを行うために、プロセッサ110は、各内側ループ中の1つのサブタイムスロットの持続時間が異なる、異なる技術についての異なる内側ループを実行し得る。この例では、各内側ループについての1つのサブタイムスロットの持続時間は、対応する技術についての所望される時間間隔(即ち、更新レート)に基づいて選ばれ得る。いくつかのケースでは、各技術は、他の技術とは異なる特定の時間間隔で実行され得る。
【0185】
[0202]上述されたように、プロセッサ110は、将来のタイムスロットについての技術についての最大許容電力レベルを決定し、決定された最大許容電力レベルに基づいて、対応する送信機(例えば、送信機120又は130)の送信電力限界を設定し得る。将来のタイムスロットは、外側ループ中の将来のタイムスロット(例えば、5秒の将来のタイムスロット)又は内側ループ中の将来のサブタイムスロット(例えば、100ミリ秒の将来のサブタイムスロット)であり得る。ある特定の態様では、上述された最大許容電力レベルは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルとして使用され、従って、これらの態様では、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルと見なされ得る。以下の議論では、上述された最大許容電力レベルが、最大許容時間平均電力レベルと呼ばれる。
【0186】
[0203]上記の態様では、決定された最大許容時間平均電力レベルに基づいて送信機の送信電力限界を設定することは、将来のタイムスロットにわたる送信機の送信電力レベルの時間平均が最大許容時間平均電力レベルを超えることを防ぐ。将来のタイムスロットにわたる電力レベルの時間平均が最大許容時間平均電力レベルを超えない限り、送信器の瞬時送信電力レベルは、将来のタイムスロット中に最大許容時間平均電力レベルを超えることを可能にされる。
【0187】
[0204]上記の例では、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルは、将来のタイムスロットにわたる送信電力レベルの時間平均が最大許容時間平均電力レベルを超えないように、対応する送信機の最大電力限界を設定するために使用される。
【0188】
[0205]ある特定の態様では、プロセッサ110は、以下のように、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルに変換し得る:
【数22】
ここで、Max_duty_cycleは、将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルであり、Max_avg_Pは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルであり、P
maxは、最大許容電力レベルである。最大許容電力P
maxは、対応する送信機の最大許容瞬時電力レベル又はピーク電力レベルに対する限界であり得る。最大許容電力P
maxは、規格又は規制機関によって定義され得る。この例では、送信器は、最大許容デューティサイクルにほぼ等しいデューティサイクルで将来のタイムスロット中にP
maxにほぼ等しい電力レベルで送信し得る。最大デューティサイクルは、0から1の間の値を有し得る。
【0189】
[0206]ある特定の態様では、(例えば、上述された方法のうちのいずれかを使用して)将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定した後、プロセッサ110は、方程式(18)に基づいて将来のタイムスロットについての対応する最大許容デューティサイクルを決定し得る。プロセッサ110は次いで、決定された最大許容デューティサイクルに基づいて、将来のタイムスロットについての対応する送信機(例えば、送信機120又は130)の送信デューティサイクル限界を設定し得る。この例では、決定された最大許容デューティサイクルに基づいて送信デューティサイクル限界を設定することは、送信器の送信デューティサイクルが将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルを超えることを防ぐ。言い換えれば、将来のタイムスロットについての送信器の送信デューティサイクルは、決定された最大許容デューティサイクルによって制約される。
【0190】
[0207]ある特定の態様では、プロセッサ110は、以下のように、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力に変換し得る:
【数23】
ここで、Max_peak_powerは、将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力であり、Max_duty_cycleは、将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルであり、Max_avg_Pは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルである。最大許容デューティサイクルは、無線周波数(RF)システムによって(例えば、ネットワークによって提供されるアップリンク許可を通じて)提供され、規格、等によって定義されることができる。
【0191】
[0208]ある特定の態様では、(例えば、上述された方法のうちのいずれかを使用して)将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定した後、プロセッサ110は、方程式(19)に基づいて将来のタイムスロットについての対応する最大ピーク電力を決定し得る。プロセッサ110は次いで、決定された最大許容ピーク電力に基づいて、将来のタイムスロットについての対応する送信機(例えば、送信機120又は130)のピーク電力限界を設定し得る。この例では、決定された最大許容ピーク電力に基づいて将来のタイムスロットについての送信器のピーク電力限界を設定することは、送信器のピーク電力が最大許容ピーク電力を超えることを防ぐ。言い換えれば、将来のタイムスロット中のピーク電力が最大許容ピーク電力を超えないように、将来のタイムスロット中の送信器の瞬時電力レベルは、最大許容ピーク電力によって制約される。
【0192】
[0209]プロセッサ110はまた、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルと最大許容ピーク電力との異なる組み合わせを含む表を生成し得る。例えば、プロセッサ110は、異なる最大許容デューティサイクルを方程式(19)に入力し、異なる最大許容デューティサイクルの各々についての最大許容ピーク電力を決定することによって、表を生成し得る。この例では、プロセッサは、表を使用して将来のタイムスロット中のピーク電力に基づいてデューティサイクルを動的に調整し得るか、又は表を使用して将来のタイムスロット中の送信デューティサイクルに基づいてピーク電力を調整し得る。
【0193】
[0210]このことから、プロセッサ110は、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルに変換し、最大許容デューティサイクルに基づいて対応する送信機の送信デューティサイクル限界を設定し得る。プロセッサ110はまた、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力に変換し、最大許容ピーク電力に基づいて対応する送信機のピーク電力限界を設定し得る。将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルは、上述された方法のうちのいずれかを使用して決定され得る。将来のタイムスロットが外側ループ中の将来のタイムスロットである例では、最大許容時間平均電力レベルは、将来のタイムスロットについて計算された最大許容電力レベルに対応し得る。将来のタイムスロットが内側ループ中の将来のサブタイムスロットである例では、最大許容時間平均電力レベルは、将来のサブタイムスロット(例えば、100ミリ秒のサブタイムスロット)について計算された最大許容電力レベルに対応し得る。本開示はこれらの例に限定されず、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルは他の方法を使用して決定され得ることが理解されるべきである。
【0194】
[0211]例えば、送信機(例えば、送信機120及び130)は、N個のタイムスロット(
図18におけるサブタイムスロットの数と混同されるべきではない)に分割された(離散化された)時間ウィンドウにわたって送信し得る。この例では、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルは、以下によって決定され得る:
【数24】
ここで、P
limitは、規制機関のSAR限界又はPD限界に対応するRF曝露をもたらす時間平均送信電力であり、avgP
tkは、k番目のタイムスロットにおける平均送信電力であり、N番目のタイムスロットは、将来のタイムスロットであり、Max_avgP
tNは、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルである。方程式(20)において、平均送信電力レベルは、P
limitに対して正規化される。時間ウィンドウは、移動時間平均化ウィンドウであり得、それにおいて、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルは、time_window/N秒毎に更新され、ここで、time_windowは、時間ウィンドウの持続時間である。この例では、方程式(20)における第1のタイムスロットからk番目のタイムスロットは、送信機による以前の送信に対応する。このことから、これらのタイムスロットについての平均送信電力レベルは、知られている。この例では、プロセッサ110は、方程式(20)における条件を満たす最大許容時間平均電力レベルMax_avgP
tkを決定することによって、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルMax_avgP
tkを決定し得る。プロセッサ110は、方程式(20)の左辺上の正規化時間平均電力が1以下になることをもたらす最大許容時間平均電力レベルMax_avgP
tkを決定することによってこれを行い得る。
【0195】
[0212]上記の例では、プロセッサ110は、(例えば、方程式(18)におけるMax_avg_Pに対してMax_avgPtkを使用する方程式(18)に基づいて)、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルMax_avgPtkを将来のタイムスロットについての最大許容デューティサイクルに変換し、最大許容デューティサイクルに基づいて、対応する送信機の送信デューティサイクル限界を設定し得る。プロセッサ110はまた、(例えば、方程式(19)におけるMax_avg_Pに対してMax_avgPtkを使用する方程式(19)に基づいて)、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルMax_avgPtkを将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力に変換し、最大許容ピーク電力に基づいて、対応する送信機のピーク電力限界を設定し得る。
【0196】
[0213]ある特定の態様では、メモリ115は、プロセッサ110によって実行されると、プロセッサ110に方法1400及び/又は本明細書で説明される任意の他の方法を実行させる記憶された命令を含むコンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例として、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読取専用メモリ)、PROM(プログラマブル読取専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読取専用メモリ)、EEPROM(登録商標)(電気的消去可能プログラマブル読取専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、若しくは任意の他の有形非一時的記憶媒体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0197】
[0214]ある特定の態様では、装置は、方法1400を実行するための手段を含み得る。装置は、第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定するための手段と、第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定するための手段と、組み合わされたRF曝露分布を生成するために、SAR分布とPD分布とを組み合わせるための手段とを含み得る。装置はまた、組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定するための手段と、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定するための手段と、少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定するための手段とを含み得る。
【0198】
[0215]本開示は、本開示の態様を説明するために上記で使用された例証的な用語に限定されず、本開示は、同等な用語をカバーすることが理解されるべきである。例えば、分布はまた、マップ、スキャン、又は別の用語で呼ばれ得ることが理解されるべきである。別の例では、アンテナはまた、アンテナ素子又は別の用語で呼ばれ得ることが理解されるべきである。更に別の例では、最大許容電力レベルはまた、電力レベル限界又は別の用語で呼ばれ得ることが理解されるべきである。
【0199】
[0216]「約/ほぼ(approximately)」という用語は、記載された値又は特性に関して本明細書で使用される場合、記載された値又は特性の10%以内であることを示すことを意図される。
【0200】
[0217]「第1の」、「第2の」、等などの指定を使用する、本明細書での要素へのいかなる言及も一般に、それらの要素の数量又は順序を限定しない。むしろ、これらの指定は、2つ以上の要素又は1つの要素の複数のインスタンス間を区別する便利な方法として本明細書で使用される。このことから、第1及び第2の要素への言及は、2つの要素しか用いることができないこと、又は第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0201】
[0218]本開示内では、「例証的(exemplary)」という用語は、「例、事例、又は例示としての役割を果たす」という意味で使用される。「例証的」であるとして本明細書で説明されたどのインプリメンテーション又は態様も、本開示の他の態様より好ましい又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示の全ての態様が、議論される特徴、利点、又は動作モードを含むことを必要としない。
【0202】
[0219]本開示の先の説明は、当業者が本開示を製造又は使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義された包括的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなしに他の変形に適用され得る。このことから、本開示は、本明細書で説明された例に限定されることを意図されず、本明細書で開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を付与されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスデバイスであって、
第1のワイヤレス通信技術に従って第1の信号を送信するように構成された第1の送信機と、
第2のワイヤレス通信技術に従って第2の信号を送信するように構成された第2の送信機と、
前記第1及び第2の送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
前記第1のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第1の時間平均化ウィンドウにわたって前記第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)を平均化することと、前記第1の時間平均化ウィンドウは、前記第1のワイヤレス通信技術についての第1の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第1の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたSARは、前記第1の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
前記第2のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第2の時間平均化ウィンドウにわたって前記第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)を平均化することと、前記第2の時間平均化ウィンドウは、前記第2のワイヤレス通信技術についての第2の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第2の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたPDは、前記第2の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
前記平均化されたSAR及び平均化されたPDの組合わせに基づいて、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける前記第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける前記第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
【請求項2】
前記平均化されたSARは、SAR限界に対して正規化され、前記平均化されたPDは、PD限界に対して正規化され、前記プロセッサは、
前記正規化され平均化されたSARと前記正規化され平均化されたPDとの組合わせに基づいて前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項3】
前記第1の時間平均化ウィンドウ及び前記第2の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項4】
前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第1の送信機は、前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて前記第1の信号を送信するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項5】
前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第1の送信機は、前記第1の送信機についての前記少なくとも1つの送信電力限界に基づいて前記第1の送信機の電力レベルを制限するように構成される、請求項4に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項6】
前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第1の送信機は、前記第1の送信機についての前記少なくとも1つの送信電力限界に基づいて前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにわたって前記第1の送信機の電力レベルの平均化を制限するように構成される、請求項4に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項7】
前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第2の送信機は、前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて前記第2の信号を送信するように構成される、請求項4に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項8】
前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第2の送信機は、前記第2の送信機についての前記少なくとも1つの送信電力限界に基づいて前記第2の送信機の電力レベルを制限するように構成される、請求項7に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項9】
前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロット中に、前記第2の送信機は、前記第2の送信機についての前記少なくとも1つの送信電力限界に基づいて前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにわたって前記第2の送信機の電力レベルの平均を制限するように構成される、請求項7に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項10】
前記第1のワイヤレス通信技術が、ロングタームエボリューション(LTE)を備え、前記第2のワイヤレス通信技術が、第5世代(5G)を備えるか、または、前記第1のワイヤレス通信技術が、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を備え、前記第2のワイヤレス通信技術が、第5世代を備える、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを更新するように構成され、前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルは、前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルよりも小さい時間間隔で更新される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項12】
前記第1のワイヤレス通信技術についての前記SARは、複数のSARの組合わせを備え、前記複数のSARの各々は、複数のアンテナのうちのそれぞれ1つに対するものであるか、または、前記複数のSARの各々は、複数の周波数帯域のうちのそれぞれ1つに対するものである、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、
第3の時間平均化ウィンドウにわたって前記第2のワイヤレス通信技術についての前記PDを平均化することと、
前記平均化されたSARの組合わせと、前記第2の時間平均化ウィンドウにわたって前記平均化されたPD及び前記第3の時間平均化ウィンドウにわたって前記平均化されたPDの組合わせとに基づいて前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、ここにおいて、前記第2の時間平均化ウィンドウは、第1の周波数帯域に対するものであり、前記第3の時間平均化ウィンドウは、第2の周波数帯域に対するものである、
を行うように構成される、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項14】
ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法であって、
第1のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第1の時間平均化ウィンドウにわたって前記第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)を平均化することと、前記第1の時間平均化ウィンドウは、前記第1のワイヤレス通信技術についての第1の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第1の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたSARは、前記第1の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
第2のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第2の時間平均化ウィンドウにわたって前記第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)を平均化することと、前記第2の時間平均化ウィンドウは、前記第2のワイヤレス通信技術についての第2の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第2の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたPDは、前記第2の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
前記平均化されたSAR及び平均化されたPDの組合わせに基づいて、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を備える、方法。
【請求項15】
第1のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第1の時間平均化ウィンドウにわたって前記第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)を平均化することと、前記第1の時間平均化ウィンドウは、前記第1のワイヤレス通信技術についての第1の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第1の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたSARは、前記第1の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
第2のワイヤレス通信技術についての送信シナリオに基づいて第2の時間平均化ウィンドウにわたって前記第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)を平均化することと、前記第2の時間平均化ウィンドウは、前記第2のワイヤレス通信技術についての第2の複数の以前のタイムスロット及び将来のタイムスロットを含む第2の複数のタイムスロットに分割され、前記平均化されたPDは、前記第2の複数のタイムスロットの各々についての送信電力レベルに基づく、
前記平均化されたSAR及び平均化されたPDの組合わせに基づいて、少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記第1のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記第2のワイヤレス通信技術についての前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うための記憶された命令を備える、コンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0202
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0202】
[0219]本開示の先の説明は、当業者が本開示を製造又は使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義された包括的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなしに他の変形に適用され得る。このことから、本開示は、本明細書で説明された例に限定されることを意図されず、本明細書で開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を付与されるべきである。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
ワイヤレスデバイスであって、
第1のワイヤレス通信技術に従って第1の信号を送信するように構成された第1の送信機と、
第2のワイヤレス通信技術に従って第2の信号を送信するように構成された第2の送信機と、
前記第1及び第2の送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
前記第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
前記第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
[C2]
前記SAR分布は、第1の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたSAR分布を備える、C1に記載のワイヤレスデバイス。
[C3]
前記第1の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記プロセッサは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのSAR分布を決定することと、
前記時間平均化されたSAR分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記SAR分布を平均化することと
を行うことによって前記時間平均化されたSAR分布を決定するように構成される、C2に記載のワイヤレスデバイス。
[C4]
前記第1の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、C3に記載のワイヤレスデバイス。
[C5]
前記PD分布は、第2の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたPD分布を備える、C2に記載のワイヤレスデバイス。
[C6]
前記第1の時間平均化ウィンドウ及び前記第2の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、C5に記載のワイヤレスデバイス。
[C7]
前記第2の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記プロセッサは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのPD分布を決定することと、
前記時間平均化されたPD分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記PD分布を平均化することと
を行うことによって前記時間平均化されたPD分布を決定するように構成される、C5に記載のワイヤレスデバイス。
[C8]
前記第2の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、C7に記載のワイヤレスデバイス。
[C9]
前記時間平均化されたSAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記時間平均化されたPD分布は、PD限界に対して正規化される、C5に記載のワイヤレスデバイス。
[C10]
前記組み合わされたRF曝露分布は、前記将来のタイムスロットにおける送信電力レベルの関数であり、前記プロセッサは、前記組み合わされたRF曝露分布のピーク値が限界値以下になることをもたらす前記送信電力レベルについての電力レベルを決定することによって、前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定するように構成される、C1に記載のワイヤレスデバイス。
[C11]
前記SAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記PD分布は、PD限界に対して正規化され、前記限界値は、1に等しい、C10に記載のワイヤレスデバイス。
[C12]
前記第2の送信機は、複数の送信周波数帯域で前記第2の信号を送信するように構成され、前記複数の送信周波数帯域の各々は、複数の時間平均化ウィンドウのうちのそれぞれ1つに対応し、前記PD分布は、組み合わされた時間平均化されたPD分布を備え、前記プロセッサは、
前記複数の送信周波数帯域の各々について、前記それぞれの時間平均化ウィンドウに対応する前記送信周波数帯域についての時間平均化されたPD分布を決定することと、
前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を取得するために、前記送信周波数帯域についての前記時間平均化されたPD分布を組み合わせることと
を行うことによって、前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を決定するように構成される、C1に記載のワイヤレスデバイス。
[C13]
前記複数の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、C12に記載のワイヤレスデバイス。
[C14]
前記第1の送信機は、10GHzを下回る周波数で前記第1の信号を送信するように構成され、前記第2の送信機は、10GHzを上回る周波数で前記第2の信号を送信するように構成される、C1に記載のワイヤレスデバイス。
[C15]
ワイヤレスデバイスにおいてインプリメントされる方法であって、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を備える、方法。
[C16]
前記SAR分布は、第1の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたSAR分布を備える、C15に記載の方法。
[C17]
前記第1の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記SAR分布を決定することは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのSAR分布を決定することと、
前記時間平均化されたSAR分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記SAR分布を平均化することと
を備える、C16に記載の方法。
[C18]
前記第1の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、C17に記載の方法。
[C19]
前記PD分布は、第2の時間平均化ウィンドウに対応する時間平均化されたPD分布を備える、C16に記載の方法。
[C20]
前記第1の時間平均化ウィンドウ及び前記第2の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、C19に記載の方法。
[C21]
前記第2の時間平均化ウィンドウは、タイムスロットに分割され、前記PD分布を決定することは、
前記タイムスロットについての送信シナリオ及び1つ以上の送信電力レベルに基づいて、前記タイムスロットの各々についてのそれぞれのPD分布を決定することと、
前記時間平均化されたPD分布を生成するために、前記タイムスロットについての前記PD分布を平均化することと
を備える、C19に記載の方法。
[C22]
前記第2の時間平均化ウィンドウの前記タイムスロットのうちの1つは、前記将来のタイムスロットに対応する、C21に記載の方法。
[C23]
前記時間平均化されたSAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記時間平均化されたPD分布は、PD限界に対して正規化される、C19に記載の方法。
[C24]
前記組み合わされたRF曝露分布は、前記将来のタイムスロットにおける送信電力レベルの関数であり、前記少なくとも第1の1つの最大許容電力レベル及び前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することは、前記組み合わされたRF曝露分布のピーク値が限界値以下になることをもたらす前記送信電力レベルについての電力レベルを決定することを備える、C15に記載の方法。
[C25]
前記SAR分布は、SAR限界に対して正規化され、前記PD分布は、PD限界に対して正規化され、前記限界値は、1に等しい、C24に記載の方法。
[C26]
前記第2の送信機は、複数の送信周波数帯域で信号を送信するように構成され、前記複数の送信周波数帯域の各々は、複数の時間平均化ウィンドウのうちのそれぞれ1つに対応し、前記PD分布は、組み合わされた時間平均化されたPD分布を備え、前記PD分布を決定することは、
前記複数の送信周波数帯域の各々について、前記それぞれの時間平均化ウィンドウに対応する前記送信周波数帯域についての時間平均化されたPD分布を決定することと、
前記組み合わされた時間平均化されたPD分布を取得するために、前記送信周波数帯域についての前記時間平均化されたPD分布を組み合わせることと
を備える、C15に記載の方法。
[C27]
前記複数の時間平均化ウィンドウは、異なる長さを有する、C26に記載の方法。
[C28]
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての少なくとも1つの第1の最大許容電力レベル及び少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルを決定することと、
前記少なくとも1つの第1の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第1の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと、
前記少なくとも1つの第2の最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける第2の送信機についての少なくとも1つの送信電力限界を設定することと
を行うための記憶された命令を備える、コンピュータ可読媒体。
[C29]
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、ここにおいて、前記将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える、
前記将来のタイムスロットについての前記最大許容時間平均電力レベルに基づいて、前記複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、
前記それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、前記サブタイムスロットの各々における前記送信機についての送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
[C30]
前記プロセッサは、前記サブタイムスロットのうちの1つより時間的に前の前記サブタイムスロットのうちの1つ以上における前記送信機の以前の送信電力レベルにも基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定するように構成される、C29に記載のワイヤレスデバイス。
[C31]
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
第1のワイヤレス通信技術についての比吸収率(SAR)分布を決定することと、
第2のワイヤレス通信技術についての電力密度(PD)分布を決定することと、
組み合わされたRF曝露分布を生成するために、前記SAR分布と前記PD分布とを組み合わせることと、
前記組み合わされたRF曝露分布に基づいて、将来のタイムスロットについてのPD限界を決定することと、ここにおいて、前記将来のタイムスロットは、複数のサブタイムスロットを備える、
前記将来のタイムスロットについての前記PD限界に基づいて、前記複数のサブタイムスロットの各々についての最大許容電力レベルを決定することと、
前記それぞれの最大許容電力レベルに基づいて、前記サブタイムスロットの各々における前記送信機についての送信電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
[C32]
前記プロセッサは、
前記PD限界に基づいて、前記将来のタイムスロットについてのPD割り振りを決定することと、
前記サブタイムスロットのうちの1つに先行する前記サブタイムスロットのうちの1つ以上によって使い切られた前記PD割り振りの一部分に基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定することと
を行うように構成される、C31に記載のワイヤレスデバイス。
[C33]
前記プロセッサは、
前記サブタイムスロットのうちの前記1つに後続する前記サブタイムスロットのうちの1つ以上についての前記PD割り振りの一部分を予約することと。
前記PD割り振りの前記予約された部分にも基づいて、前記サブタイムスロットのうちの前記1つについての前記最大許容電力レベルを決定することと
を行うように構成される、C32に記載のワイヤレスデバイス。
[C34]
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、
前記決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットについての最大許容送信デューティサイクルを決定することと、
前記最大許容送信デューティサイクルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記送信機についての送信デューティサイクル限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
[C35]
前記将来のタイムスロットは、約100ミリ秒の時間持続時間を有する、C34に記載のワイヤレスデバイス。
[C36]
ワイヤレスデバイスであって、
送信機と、
前記送信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
将来のタイムスロットについての最大許容時間平均電力レベルを決定することと、
前記決定された最大許容時間平均電力レベル及び最大許容デューティサイクルに基づいて、前記将来のタイムスロットについての最大許容ピーク電力レベルを決定することと、
前記最大許容ピーク電力レベルに基づいて、前記将来のタイムスロットにおける前記送信機についてのピーク電力限界を設定することと
を行うように構成される、ワイヤレスデバイス。
[C37]
前記将来のタイムスロットは、約100ミリ秒の時間持続時間を有する、C36に記載のワイヤレスデバイス。
【外国語明細書】