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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063021
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240501BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240501BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240501BHJP
【FI】
G02B5/02 C
F21V5/04 600
F21V5/04 650
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018464
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2022108378の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】62/599,015
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エイチ チャクマクジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ マイケル モリス
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ジョン ワード
(72)【発明者】
【氏名】タッソ アール エム セールス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】拡散板をVCSELアレイと共に用いることに関する問題は、高周波アーチファクトの出現である。
【解決手段】第1微細構造面と第2微細構造面とを含み、第1微細構造面が軸に沿って第2微細構造面と整列する光学系が提供される。光源及び上記光学系を含む照明系も含まれる。光を拡散させる方法も含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1微細構造面と、
第2微細構造面と
を備え、前記第1微細構造面が軸に沿って前記第2微細構造面と整列する光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面は第1複数微細構造を含む光学
系。
【請求項3】
請求項1に記載の光学系において、前記第2微細構造面は第2複数微細構造を含む光学
系。
【請求項4】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は、そ
れぞれが独立して、マイクロレンズ、サドルレンズ、回折素子、ガウス拡散板、又はホロ
グラフィック拡散板の微細構造を含む光学系。
【請求項5】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面は第1視野を有し、前記第2微
細構造面は前記第1視野よりも狭い第2視野を有する光学系。
【請求項6】
請求項1に記載の光学系において、前記第1及び第2微細構造化は、それぞれが独立し
て光学材料から形成される光学系。
【請求項7】
請求項1に記載の光学系において、前記第2微細構造面は前記第1微細構造面の鏡像で
ある光学系。
【請求項8】
請求項1に記載の光学系において、支持体をさらに備えた光学系。
【請求項9】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面は、30°以上の角度範囲を有
する第1視野を有する光学系。
【請求項10】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は、そ
れぞれが独立してマイクロレンズアレイである光学系。
【請求項11】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面の少な
くとも一方に埋込層をさらに備えた光学系。
【請求項12】
請求項11に記載の光学系において、前記埋込層は平面状である光学系。
【請求項13】
請求項11に記載の光学系において、前記埋込層は適合的である光学系。
【請求項14】
請求項8に記載の光学系において、前記第1微細構造面は前記支持体の一方の側にあり
、前記第2微細構造面は前記支持体の反対側にある光学系。
【請求項15】
請求項8に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は前記
支持体の同じ側にある光学系。
【請求項16】
請求項15に記載の光学系において、前記第1微細構造面は前記第2微細構造面と前記
支持体との間に位置決めされる光学系。
【請求項17】
請求項15に記載の光学系において、前記第2微細構造面は前記第1微細構造面と前記
支持体との間に位置決めされる光学系。
【請求項18】
請求項1に記載の光学系において、保護層をさらに備えた光学系。
【請求項19】
光源及び請求項1に記載の光学系を備えた照明系。
【請求項20】
光を拡散させる方法であって、
光学系の第1微細構造面で入射光を受光するステップと、
前記光学系の第2微細構造面から光を透過させるステップと
を含み、透過光は、単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファ
クトを示す方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1微細構造面と第2微細構造面とを含み、第1微細構造面が軸に沿って第
2微細構造面と整列する光学系に関する。光源及び上記光学系を含む照明系も含まれる。
光を拡散させる方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)イメージング、センシング、及びジェスチャ認識に関する用途では、光
学コンポーネントを通常は用いて、通常は約800nm~約1000nmの範囲の波長を
有するレーザを伴いプロービング中のシーンにわたって光パターンを投影する。特定の光
パターンは、プロービング技術に応じて変わり、投光照明(flood illumination)、周期
的な点グリッド、線、縞、市松等の種々の形態をとり得る。
【0003】
拡散板は、回折拡散板及びガウス拡散板等のさまざまな形態をとり得る。マイクロレン
ズアレイを拡散目的で利用することもできる。
【0004】
拡散板は、レーザ又はLED等のさまざまな光源と共に働くことができる。特に関心が
高いレーザ源は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。これらのVCSEL源
は、小型パッケージへの適合性、出力、及び信頼性から3Dイメージング用途に有用であ
る。このようなVCSELは、アレイ状に配置することができ、例えば、数百個が小さな
面積で周期的又はランダムなグリッド上に配置される。アレイ内の各レーザは、実質的に
コヒーレントな挙動を示すが、任意所与の2つの光源は、実質的に相互にインコヒーレン
トである。VCSEL源又はアレイは、単独では3Dイメージング及びセンシング用途で
必要な制御された照明を生成するのに適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、拡散板をVCSELアレイと共に用いることに関する問題は、高周波ア
ーチファクトの出現である。投影された照明パターンにおける高周波アーチファクトは、
3Dセンシング等の特定の光学用途での性能に問題を引き起こし得る。これらの高周波ア
ーチファクトは、アレイにおける多数のコヒーレントVCSEL源が近接してインコヒー
レントに重なることによる。
【0006】
高周波アーチファクトの原因は、以下の論法で理解を深めることができる。光源アレイ
における個々の光源は、拡散板の一部を照明する。こうした理由で、アレイにおける2つ
の隣接した光源により照明された拡散板の領域間に重なりができる。各光源の出力は、ス
ペックルパターン又は強い回折パターンを特徴とする。アレイにおけるいずれか2つの光
源が相互にインコヒーレントなので、総出力は単に各光源からの強度パターンの和により
与えられる。多くのこうした同様のスペックル又は回折パターンの累積効果が、高周波イ
メージアーチファクトの出現を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、第1微細構造面と第2微細構造面とを備え、第1微細構造面が軸
に沿って第2微細構造面と整列する光学系が開示される。
【0008】
本発明の別の態様では、光源及び上記光学系を備えた照明系が開示される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、光を拡散させる方法であって、光学系の第1微細構造面で
入射光を受光するステップと、光学系の第2微細構造面から光を透過させるステップとを
含み、透過光は、単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファク
トを示す方法が開示される。
【0010】
本発明の上記目的、特徴、及び利点は、添付図面に関連して以下の説明を読めばより明
らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による光学系の断面図である。
図2】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3A】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3B】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3C】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図4A】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図4B】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図5】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図6】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図7】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図8】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図9】光源及び光学系を含む照明系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の一部に組み込まれてこれを構成する前述の図は、本発明の好ましい実施形態
を示すものであり、詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。図面及び説
明の両方が説明のためのものにすぎず、本発明を制限するものではないことが明らかに理
解される。
【0013】
上記の概要及び以下の詳細な説明の両方が例示的且つ説明的なものにすぎず、本教示の
種々の実施形態の説明を提供するためのものであることを理解されたい。
【0014】
図1を参照すると、本発明は、第1微細構造面2及び第2微細構造面3を含み、第1微
細構造面2が軸に沿って第2微細構造面と整列する光学系1に関する。光学系1は支持体
7も含み得る。第1微細構造面2が第2微細構造面3と整列すると、これらは実質的に相
互に平行になる。別の態様では、第1微細構造面2は、軸に沿って第2微細構造面3と整
列しない。
【0015】
単一光源又は光源アレイ等の光源からの照明を拡散させる光学系1が開示される。開示
の光学系1は、全透過率への影響を最小限にしつつ高周波アーチファクトを最小化し且つ
より均一な照明を提供することができる。光学系1は、光源からの照明をパターンに分配
するビーム整形面等の第1微細構造面2を含み得る。光学系は、パターンを受光してパタ
ーンを集光させる均質化面(homogenizing surface)等の第2微細構造面3も含み得る。
【0016】
視野(FOV)の概念は、光学系1により効果的に照明されている空間領域を指す。F
OVは、大抵の場合は強度に関して角度空間で規定され、検出器が光学系1を中心に位置
付けた円に沿って走査するゴニオメータシステムで測定される。このように、検出器は、
常に光学系1の方を向いた円弧に沿って回転する。例えば強度の代わりに放射照度に基づ
く、他のFOV規定手法も考えられ得る。このように、光源は光学系1を照明し、光学系
は続いて平坦な対象面を照明する。放射照度は、この面と平行に延びる検出器で測定され
る。実際には、透過型スクリーンが通常は用いられ、その画像がカメラで撮影される。適
切なシステム較正を用いて、放射照度を計算し光学系のFOVを特性化することができる
【0017】
第1微細構造面1は、照明の角度範囲、強度プロファイル、及び第1微細構造面2の微
細構造の幾何学的形状により規定される第1視野(FOV)を提供し得る。照明の角度範
囲は、2次元に沿って投影され得る。例えば、第1FOVは、y次元に沿って120°、
x次元に90°の角度範囲を有することができ、矩形の空間領域を照明する。3Dセンシ
ング用途では、第1FOVは、任意の1次元に沿って約30°以上の角度範囲を有し得る
。LIDAR用途では、第1FOVは、任意の1次元に沿って約1°以上の角度範囲を有
し得る。
【0018】
第1FOV等の像の強度プロファイルは、ある角度セグメントに沿った等間隔の点から
得られた強度値セットである。一態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、角度に
応じて実質的に均一である。別の態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、より多
くのエネルギーをいわゆる「バットウィング」プロファイルでより広い角度に集める。別
の態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、より多くのエネルギーを第1FOVの
中心に集める。
【0019】
第2微細構造面3は、高周波アーチファクトを除去又は最小化(実質的に除去)するた
めに第1視野よりも狭い第2視野を有し得る。第2FOVは、第1FOVよりも約1/3
~1/15の狭さにすることができるが、正確な値は他の要件に応じて変わり、最良の性
能に最適化される必要がある。このような最適化は、モデリングツール又は直接実験によ
り実行することができる。一例として、第1微細構造面2は、約110°×85°のFO
Vを有することができ、第2微細構造面3は、約5°~約15°の範囲のFOVを有する
ことができる。
【0020】
第2微細構造面3の強度プロファイルは、いずれの方向に沿っても実質的に同じ強度プ
ロファイルで概して等方性であり得る。別の態様では、第2微細構造面3は、2本の直交
する軸に沿った第2FOVが異なるアナモルフィックパターンを単独で生成し得る。第2
微細構造面3は、第2FOVが第1FOVよりも狭いという基本制約の下で、円形、正方
形、矩形、線、十字パターン、点列、又は任意の特定の散乱分布等のパターンも生成し得
る。所与の軸に沿った強度プロファイルは、フラットトップ、バットウィング、ガウシア
ン、又は任意の他の特定の強度プロファイルであり得る。垂直軸に沿った強度プロファイ
ルは、所与の軸に沿ったプロファイルとは異なっていてもそうでなくてもよい。
【0021】
一態様では、光学系1は、2つの反対向きの微細構造面を含み得る。一態様では、図1
に示すように、光学系1は、支持体7の一方の側に第1微細構造面2、支持体7の反対側
に第2微細構造面3を含み得る。各微細構造面2、3は、パターンを形成し得る複数の微
細構造を含み得る。第1微細構造面2は光源を向き得る。第2微細構造面3は、例えば図
9に示すように、光源8と反対側を向き得る。
【0022】
別の態様では、光学系1は、それぞれが同じ方向を向いて光学系1の支持体7の同じ側
に位置付けられた第1微細構造面2及び第2微細構造面3を含み得る。例えば、図5に示
すように、第1微細構造面2及び第2微細構造面3は、両方が支持体7の同じ側にあり得
る。第1微細構造面2は、第2微細構造面3と支持体7との間に位置付けられ得る。別の
態様では、第2微細構造面3が、第1微細構造面2と支持体7との間に位置付けられ得る
(図示せず)。いずれの変形形態でも、光源が支持体7側又は微細構造面側にあり得る。
【0023】
第1微細構造面2は、第1複数微細構造を含み得る。第2微細構造面3は、第2複数微
細構造を含み得る。第1及び第2微細構造面2、3は、それぞれが独立して、マイクロレ
ンズ拡散板、サドルレンズ拡散板、回折素子、すりガラス等のガウス拡散板、又はホログ
ラフィック拡散板等の微細構造を含む。
【0024】
図2を参照すると、第1微細構造面2は、軸に沿って第2微細構造面3と整列し得る。
一態様では、第1複数微細構造の各微細構造が、入射光のかなりの部分を第2微細構造面
3の微細構造の開口にわたって集束させ得る。第2微細構造面3は、第1微細構造面2の
鏡像であり得る。この特定の構成は、通常は「フライアイ」レンズと称される。
【0025】
アレイにおけるマイクロレンズ等の個々の微細構造のサイズは、約10μm~約100
μmの範囲にあり得る。
【0026】
第2微細構造面3の微細構造は、第1微細構造面2の微細構造と同等以下のサイズ及び
形状であり得る。第1微細構造面2及び第2微細構造面3のそれぞれの微細構造は、周期
的なアレイ状に分配され得るか又はランダムに分配され得る。例えば、第1微細構造面2
及び第2微細構造面3は、それぞれが独立してマイクロレンズアレイであり得る。
【0027】
図3A図3Cを参照すると、光学系1は、それぞれが独立して光学材料から形成され
た第1微細構造面2、第2微細構造面3、及び支持体7を含み得る。光学材料の非限定的
な例として、Borofloat等のガラス、UV硬化ポリマー、成形ポリマー、又はエ
ンボス加工ポリマー等の高分子材料、石英ガラス、シリコン等のIR材料、アモルファス
シリコン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。高分子材料は、例えばポリカーボネー
ト又はアクリルであり得る。光学材料は、屈折率が1.5よりも大きな材料等の高屈折率
材料であり得る。
【0028】
図3Aに関して、第1微細構造面2は、高分子材料から形成されることができ、微細構
造として複数のマイクロレンズ拡散板を含む。支持体7は、ホウケイ酸ガラス製であり得
る。第2微細構造面3は、支持体材料7に直接形成された複数のすりガラス微細構造を含
み得る。
【0029】
図3Bに関して、第1微細構造面2は、高分子材料から形成されることができ、複数の
マイクロレンズ拡散板及びすりガラス微細構造を含む。支持体7は、ホウケイ酸ガラス製
であり得る。第2微細構造面3は、支持体材料7に形成された複数のすりガラス微細構造
を含み得る。
【0030】
図3Cに関して、第1微細構造面2、支持体7、及び第2微細構造面3があり、これら
の全てが、例えば熱エンボス加工又は成形プロセスにより形成され得るような同じ材料か
ら形成される。
【0031】
一態様では、光学系1は単一の光学材料から形成され得る。別の態様では、光学系1は
異なる材料から形成され得る。例えば、第1微細構造面2及び第2微細構造面3のそれぞ
れを高分子材料製とすることができ、支持体7をガラス材料製とすることができる。図6
に示すように、第1微細構造面2及び支持体7は、同じ光学材料から形成され、すなわち
モノリシックである。図7に示すように、第1微細構造面2、支持体7、及び第2微細構
造面3は、同じ光学材料から形成される。光学系1が第1微細構造面2及び第2微細構造
面3を含む限り、光学系1の部品及び光学材料のあらゆる組み合わせが許容可能である。
【0032】
光学系1の全厚は、パッケージング要件及び利用材料に応じて約0.1mm~約2mm
の範囲にあり得る。一例として、支持体7は厚さ約0.3mのホウケイ酸ガラスであり得
る一方で、両側の微細構造は厚さ約20μm~約120μmの範囲のUV硬化プロセスに
より作製された高分子材料からなり得ることにより、約0.34mm~約0.54mmの
範囲の全厚となる。別の例では、少なくとも一方の微細構造面2、3がアモルファスシリ
コンを含み得ることにより、アモルファスシリコン材料は屈折率が高いことから層を薄く
することができるので、約0.32mm~約0.44mmの範囲の全厚となる。
【0033】
第1微細構造面2は、材料、微細構造設計、及び製造プロセスに応じて、約0.5ミク
ロン~約120ミクロン、例えば約0.75ミクロン~約100ミクロン、さらに別の例
として約1ミクロン~約90ミクロンの範囲の厚さを有し得る。厚さは、基部(平面部分
)及び微細構造化される部分を含み得る。
【0034】
支持体7は、約0.02mm~約2mm、例えば約0.05mm~約1.6mm、さら
に別の例として約0.1mm~約1.8mmの範囲の厚さを有し得る。
【0035】
第2微細構造面3は、材料、微細構造設計、及び製造プロセスに応じて、約0.5ミク
ロン~約120ミクロン、例えば約0.75ミクロン~約100ミクロン、さらに別の例
として約1ミクロン~約90ミクロンの範囲の厚さを有し得る。厚さは、基部(平面部分
)及び微細構造化される部分を含む。
【0036】
本発明の光学系1は、種々の物理形式をとり得る。図4Aに示すように、光学系1は埋
込層4をさらに含み得る。埋込層4は、第1微細構造面2及び第2微細構造面3の少なく
とも一方にあり得る。図4Aに示すように、埋込層4は平面状であり得る。平面状埋込層
4は、光学系1のパッケージングの小型化を可能にすることができる。一態様では、図4
Bに示すように、埋込層4は適合的(conforming)であり得る、すなわち微細構造面の微
細構造に適合し得る。適合的埋込層4は、光学系1の耐久性を向上させることができる。
光学系1は、平面状埋込層4、適合的埋込層、及びそれらの組み合わせを含み得る。一態
様では、光学系1は、1つの埋込層、2つの埋込層等を含み得る。埋込層の数、タイプ、
及び材料のあらゆる置き換えが考えられる。埋込層4は、約1ミクロン~約100ミクロ
ンの範囲の厚さを有し得る。
【0037】
埋込層4は、第1及び/又は第2微細構造面2、3を保護することができるとともに、
微細構造面の屈折率整合につながり得る汚染を防止することができる。屈折率整合が起こ
るのは、流体等の何らかの物質が微細構造面2、3を覆って微細構造面2、3の正しい動
作を阻止する場合である。埋込層としての使用に適した材料の非限定的な例として、ポリ
マー、石英ガラス、及びアモルファスシリコンが挙げられる。
【0038】
埋込層4は、表面反射を低減して光の透過を増加させる反射防止コーティングでもあり
得る。一態様では、埋込層4は単層である。別の態様では、埋込層4は複数の層等の少な
くとも1つの層である。2つ以上の埋込層4が光学系1にある場合、各埋込層4は、同じ
材料又は異なる材料を含み得る。
【0039】
図8を参照すると、第1微細構造面2は平面状埋込層4に埋め込まれる。第2微細構造
面3は、反射防止層等の適合的保護層5を伴った平面状埋込層4に埋め込まれる。保護層
5は、TiO、SiO、MgF、ITO、CaF等の材料から形成され得る。
【0040】
一態様では、光学系1は、支持体7の各側に2つ以上の微細構造面2、3を含み得る。
例えば、光学系は、支持体7のうち光源からの照明を受光する側に第2微細構造面3及び
第1微細構造面2を含むことができ、支持体7のうち光を透過させる側に付加的な第1微
細構造面2及び付加的な第2微細構造面3を含むことができる。光学系1は、支持体7の
両側に微細構造面2、3の任意の組み合わせを含み得る。さらに、光学系1は、支持体7
の両側に埋込層4(平面状及び/又は適合的)の任意の組み合わせを含み得る。
【0041】
光学系1は、成形、エッチング、研削、グレースケールリソグラフィ等の技術を用いて
形成され得る。光学系の形成に用いられる技術は、FOV、光学材料、予想される光源の
タイプ等にある程度応じて変わり得る。
【0042】
図9を参照すると、開示の光学系1及び光源8を含む照明系10がさらに開示される。
光源8は、光源アレイ11であって、アレイ内の各光源が実質的にコヒーレントだが、ア
レイにおけるいずれか2つの光源が相互に実質的にインコヒーレントなものであり得る。
一例は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイである。アレイ内の個々の光源の
配置の柔軟性はかなり高く、概して周期的だがランダム又は疑似ランダムでもある。アレ
イにおける各光源は、1/eの全幅が約10°~約30°であり得るビーム広がりでコ
ヒーレントであり得る。
【0043】
別の態様では、光源8は、レーザ等の単一光源であり得る。
【0044】
照明系10は、コンシューマタイプの装置及び他の小型形式のパッケージ製品に特有で
あるように、小型且つ小さな体積に組み込むのに適したものであり得る。照明系10の用
途は、数ある中でも特に、3次元(3D)イメージング、デプスセンシング、ジェスチャ
認識、自動車、セルラー通信装置、マシンビジョン、及びLIDARであり得る。
【0045】
光を拡散させる方法であって、光学系1の第1微細構造面2で入射光を受光するステッ
プと、光学系1の第2微細構造面3から光を透過させるステップとを含み、透過光は、単
一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファクトを示す方法も開示
される。特に、本方法は、入射光を送る光源を設けることを含み得る。光学系1の第1微
細構造面2は、入射光を受光することができ、受光した入射光を光パターンの形態で光学
系1の第2微細構造面3に向けて透過させることができる。第2微細構造面3は、透過光
パターンを受光し、透過光パターンを均質化し、且つ最小の高周波アーチファクトを示す
均質化された透過光パターンを透過させることができる。
【0046】
この方法は、図1に示す光学系に関して説明されているが、光源が光学系1のいずれか
の側に配置され得ると共に、透過光が単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の
高周波アーチファクトを示す、図に開示された光学系1のいずれかで実行することができ
る。
【0047】
上記説明から、本教示がさまざまな形態で実施され得ることが当業者には理解できる。
したがって、これらの教示は特定の実施形態及びそれらの実施例に関連して記載されたが
、本教示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。種々の変形及び変更を本明細
書中の教示の範囲から逸脱せずに行うことができる。
【0048】
本範囲開示は広義に解釈されるものとする。本開示は、本明細書に開示される装置、動
作、及び機械的作用を達成するための等価物、手段、システム、及び方法を開示すること
が意図される。開示された各構成(composition)、装置、物品、方法、手段、機械的要
素、又は機構について、本開示は、本明細書に開示された多くの態様、機構、及び装置を
実施するための等価物、手段、システム、及び方法をその開示に包含し且つ教示すること
も意図される。さらに、本開示は、一構成及びその多くの態様、特徴、及び要素を考慮す
る。このような構成は、その使用及び動作が動的なものとすることができ、本開示は、製
造対象の構成及び/又は光学装置の使用の等価物、手段、システム、及び方法と、本明細
書に開示された動作及び機能の説明及び趣旨と一致するその多くの態様とを包含すること
が意図される。本願の特許請求の範囲も同様に広義に解釈されるものとする。本明細書中
の本発明の説明は、その多くの実施形態が本質的に例示的なものにすぎず、したがって本
発明の要旨から逸脱しない変形形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。このよ
うな変形形態は、本発明の趣旨及び範囲からの逸脱とみなされないものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの照明源が発散する照明のコヒーレントビームを提供する複数の照明源と、
ゴニオメータシステムで測定されたとき、第1視野を有する第1微細構造面と、前記第1視野よりも1/3倍から1/15倍の狭さの第2視野を有する第2微細構造面とを含む光学系と
を備える照明系。
【請求項2】
前記複数の照明源は、2次元アレイ状に配列される、請求項1に記載の照明系。
【請求項3】
前記複数の照明源は、第1拡散照明を提供する、請求項1に記載の照明系。
【請求項4】
前記第1面は、前記複数の照明源から拡散照明を受光する、請求項1に記載の照明系。
【請求項5】
前記第2面は、受光した前記拡散照明を透過させる、請求項4に記載の照明系。
【請求項6】
前記第2面は、前記第1拡散照明よりも均一な照明を出力する、請求項3に記載の照明系。
【請求項7】
前記第1面は、前記複数の照明源に直接向かい合う、請求項1に記載の照明系。
【請求項8】
前記第1面は、前記発散する照明をパターンに分配する、請求項1に記載の照明系。
【請求項9】
前記第2面は、前記複数の照明源と反対側を向く、請求項1に記載の照明系。
【請求項10】
前記第2面は、受光した拡散照明をより狭い角度を有する均一な照明に広げるパターンを有する、請求項1に記載の照明系。
【請求項11】
前記拡散照明は、矩形のエネルギー分布を有する、請求項8に記載の照明系。
【請求項12】
前記均一な照明は、等方性の分布を有する、請求項10に記載の照明系。
【請求項13】
前記第1面は、複数の微細構造を有し、前記第2面は、前記第1面の前記複数の微細構造の鏡像である複数の微細構造を有する、請求項1に記載の照明系。
【請求項14】
前記第1面及び前記第2面は、それぞれマイクロレンズを含む、請求項1に記載の照明系。
【請求項15】
前記第1面及び前記第2面は、それぞれ回折素子を含む、請求項1に記載の照明系。
【請求項16】
前記第1面及び前記第2面は、それぞれガウス拡散板を含む、請求項1に記載の照明系。
【請求項17】
前記複数の照明源は、垂直共振器面発光レーザを含む、請求項1に記載の照明系。
【請求項18】
前記複数の照明源は、2次元アレイ内に周期的に配置される、請求項1に記載の照明系ム。
【請求項19】
前記複数の照明源は、2次元アレイ内にランダムに配置される、請求項1に記載の照明系。
【請求項20】
光を拡散させる方法であって、
光学系の第1視野を有する第1微細構造面で入射光を受光するステップと、
前記光学系の前記第1視野よりも狭い第2視野を有する第2微細構造面から光を透過させるステップと
を含み、透過光は、単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファクトを示し、
前記透過光は、3次元(3D)イメージング、3Dセンシング、デプスセンシング、ジェスチャ認識、マシンビジョン、又はLIDARに使用される方法。
【外国語明細書】