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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006303
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E04B1/58 502
E04B1/58 503F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107062
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】福本 晃治
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 義之
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓治
(72)【発明者】
【氏名】天野 直紀
(72)【発明者】
【氏名】片桐 卓也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊樹
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA13
2E125AA53
2E125AG41
2E125AG45
2E125BB02
2E125BB22
2E125CA05
(57)【要約】
【課題】同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造において、意匠性を向上しながら一対の鋼板端部同士を良好に接合する。
【解決手段】一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々に、鋼板1,2の面内方向において突き合せ方向D1と交差する幅方向D2に並設された複数の凸部1Aa,2Aaからなる櫛歯部1A,2Aが形成されていると共に、当該一対の鋼板1,2の端部1a,2aが、櫛歯部1A,2Aを互いに噛み合わせた状態で突き合せられており、複数の凸部1Aa,2Aaの夫々にボルト挿通孔が形成されており、当該ボルト挿通孔に挿通されたボルト4により一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々がスプライスプレート7に締結されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造であって、
前記一対の鋼板端部の夫々に、前記鋼板の面内方向において前記突き合せ方向と交差する幅方向に並設された複数の凸部からなる櫛歯部が形成されていると共に、当該一対の鋼板端部が、前記櫛歯部を互いに噛み合わせた状態で突き合せられており、
前記複数の凸部の夫々にボルト挿通孔が形成されており、当該ボルト挿通孔に挿通されたボルトにより前記一対の鋼板端部の夫々が前記スプライスプレートに締結されている接合構造。
【請求項2】
前記スプライスプレートの前記突き合せ方向に沿った長さが、前記一対の鋼板端部の夫々における前記凸部の基端部間の範囲内に設定されている請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記一対の鋼板端部の夫々において、前記複数の凸部の夫々に形成された前記ボルト挿通孔が、前記幅方向に沿って同列に配置されている請求項1又は2に記載の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
H形鋼のウェブや平鋼などの一対の鋼板端部同士を同一平面内で突き合せた状態でボルトにより接合する接合構造では、一対の鋼板端部に添わせてスプライスプレートが配置され、そのスプライスプレートに対して一対の鋼板端部の夫々が、当該一対の鋼板端部の夫々に形成されたボルト挿通孔に挿通されたボルトにより締結される(例えば特許文献1を参照。)。
かかる特許文献1記載の接合構造では、一対の鋼板端部の夫々が当該鋼板の面内方向において上記突き合せ方向と交差する幅方向に沿って直線状に形成されている。よって、これら一対の鋼板端部を突き合せた状態では、一対の鋼板端部の夫々に形成されたボルト挿通孔は、直線状の境界部を挟んで上記突き合せ方向の両側に配置されることになる。そして、一対の鋼板端部の夫々が、境界部を挟んで両側に配置されたボルト挿通孔に挿通されたボルトによりスプライスプレートに締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-127164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の接合構造では、一対の鋼板端部の夫々に形成されたボルト挿通孔は、これら一対の鋼板端部の直線状の境界部を挟んで上記突き合せ方向の両側にある程度離間して配置されているので、これらボルト挿通孔に挿通されたボルトにより締結されるスプライスプレートの上記突き合せ方向に沿った長さが比較的長いものとなる。すると、このスプライスプレートを含む一対の鋼板端部同士の接合部を外部から隠蔽することが困難となり、もしこれを隠蔽しようとすると比較的大きな仕上げ材などが必要となるので、意匠性の向上が困難となる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造において、意匠性を向上しながら一対の鋼板端部同士を良好に接合することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造であって、
前記一対の鋼板端部の夫々に、前記鋼板の面内方向において前記突き合せ方向と交差する幅方向に並設された複数の凸部からなる櫛歯部が形成されていると共に、当該一対の鋼板端部が、前記櫛歯部を互いに噛み合わせた状態で突き合せられており、
前記複数の凸部の夫々にボルト挿通孔が形成されており、当該ボルト挿通孔に挿通されたボルトにより前記一対の鋼板端部の夫々が前記スプライスプレートに締結されている点にある。
【0006】
本構成によれば、一対の鋼板端部同士が、同一平面内で、一対の鋼板端部の夫々に形成された上記櫛歯部を互いに噛み合わせた状態で上記突き合せ方向に突き合せられている。すると、当該一対の鋼板端部の夫々の櫛歯部が有する複数の凸部は、上記突き合せ方向と交差する上記幅方向に沿って並んで配置されることになり、これら凸部の夫々に形成される複数のボルト挿通孔は、上記突き合せ方向において比較的短い範囲内に収まることになる。よって、当該複数の凸部の夫々に形成されたボルト挿通孔に挿通されたボルトにより締結されるスプライスプレートについては、上記突き合せ方向において比較的短いコンパクトなものを採用することができるので、意匠性を向上するべく、例えばスプライスプレートを含む一対の鋼板端部同士の接合部を外部から容易に隠蔽することができる。
従って、本発明により、同一平面内で所定の突き合せ方向に突き合せられた一対の鋼板端部同士を、スプライスプレートを介してボルトにより接合する接合構造において、意匠性を向上しながら一対の鋼板端部同士を良好に接合することができる技術を提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記スプライスプレートの前記突き合せ方向に沿った長さが、前記一対の鋼板端部の夫々における前記凸部の基端部間の範囲内に設定されている点にある。
【0008】
本構成によれば、スプライスプレートの上記突き合せ方向に沿った長さが、互いの櫛歯部を噛み合わせた状態で突き合せられた一対の鋼板端部の夫々における凸部の基端部間の範囲内に設定されているので、当該櫛歯部が有する複数の凸部のみにボルト挿通孔を形成して、そのボルト挿通孔に挿通されたボルトにより一対の鋼板端部の夫々をスプライスプレートに締結することができる。
そして、上記突き合せ方向において、一対の鋼板端部の夫々の櫛歯部が存在する範囲内に、スプライスプレートが収まることになるので、これらを外部から容易に隠蔽することができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記一対の鋼板端部の夫々において、前記複数の凸部の夫々に形成された前記ボルト挿通孔が、前記幅方向に沿って同列に配置されている点にある。
【0010】
本構成によれば、上記幅方向に沿って並んで配置された複数の凸部において、当該複数の凸部に形成されたボルト挿通孔が上記幅方向に沿って同列に配置されているので、当該複数の凸部の夫々に形成されたボルト挿通孔は、上記突き合せ方向において非常に短い範囲内に収まることになる。よって、スプライスプレートの上記突き合せ方向に沿った長さを一層短くして、これらを外部から一層容易に隠蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の接合構造の接合前の状態を示す斜視図
図2】本実施形態の接合構造の接合後の状態を示す斜視図
図3】第1実施例の接合構造の構成を示す正面図
図4図3のA-A断面図
図5】第2実施例の接合構造の構成を示す正面図
図6図5のB-B断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
〔基本構成〕
先ず、本実施形態の接合構造Xの基本構成を図1及び図2に基づいて説明する。
接合構造Xは、同一平面内で所定の突き合せ方向D1に突き合せられた一対の鋼板である第1鋼板1及び第2鋼板2の夫々の端部1a,2a同士を、スプライスプレート7を介してボルト4及びナットにより接合するための構造である。
尚、図1は、これらを接合する前に、同一平面内にある第1鋼板1の端部1aと第2鋼板2の端部2aとを、上記突き合せ方向D1に突き合せて配置した状態を表している。また、図2は、このように配置された第1鋼板1の端部1aと第2鋼板2の端部2aとを接合した後の状態を表している。
そして、接合構造Xは、意匠性を向上しながら第1鋼板1と第2鋼板2の端部1a,2a同士を良好に接合するための特徴構成を採用しており、以下にその詳細を説明する。
【0014】
図1に示すように、一対の鋼板1,2の夫々の端部1a,2aには、当該鋼板1,2の面内方向において上記突き合せ方向D1と交差する幅方向D2に並設された複数の凸部1Aa,2Aaからなる櫛歯部1A,2Aが形成されている。即ち、第1鋼板1の端部1aに形成された櫛歯部1Aでは、突き合せ方向D1に沿って第2鋼板2の端部2aに向けて略等幅の帯状に突出する凸部1Aaが幅方向D2に沿って等間隔で複数箇所(例えば3箇所)に形成されている。一方、第2鋼板2の端部2aに形成された櫛歯部2Aでは、突き合せ方向D1に沿って第1鋼板1の端部1aに向けて略等幅の帯状に突出する凸部2Aaが幅方向D2に沿って等間隔で複数箇所(例えば2箇所)に形成されている。
【0015】
図1に示すように、一対の鋼板1,2の夫々の端部1a,2aは、互いの櫛歯部1A,2Aを互いに噛み合わせた状態で突き合せられている。即ち、第1鋼板1の端部1aと第2鋼板2の端部2aとを突き合せた状態において、第1鋼板1側の櫛歯部1Aにおける凸部1Aaと、第2鋼板2側の櫛歯部2Aにおける凸部2Aaとが、幅方向D2に沿って交互に並んで配置される状態となる。尚、互いに隣接する凸部1Aa,2Aaの間、並びに、一方側の鋼板1,2の端部1a,2aに対する他方側の鋼板1,2側の凸部1Aa,2Aaの先端との間には、一対の鋼板1,2同士の相対位置のズレの補正代となる若干の隙間が形成されている。
【0016】
複数の凸部1Aa,2Aaの夫々には、ボルト挿通孔1B,2Bが形成されている。即ち、第1鋼板1側の櫛歯部1Aを構成する複数の凸部1Aaの夫々の略中央部にはボルト挿通孔1Bが穿設されており、第2鋼板2側の櫛歯部2Aを構成する複数の凸部2Aaの夫々の略中央部にはボルト挿通孔2Bが穿設されている。
【0017】
図2に示すように、一対の鋼板1,2の端部1a,2aが両ボルト挿通孔1B,2Bに挿通されたボルト4及びナットによりスプライスプレート7に締結されて、それら端部1a,2a同士が接合される。即ち、スプライスプレート7は、第1鋼板1側の複数の凸部1Aa及び第2鋼板2側の複数の凸部2Aaの全体に亘る形態で幅方向D2に長尺な平鋼で構成されている。そして、スプライスプレート7には、図1に示すように、第1鋼板1側に形成された複数のボルト挿通孔1Bと第2鋼板2側に形成された複数のボルト挿通孔2Bとの夫々に対応する複数のボルト挿通孔7Bが形成されている。
【0018】
そして、スプライスプレート7が、第1鋼板1側及び第2鋼板2側において幅方向D2に沿って並んで配置された複数の凸部1Aa,2Aaに添わせた状態で配置される。尚、本実施形態では、第1鋼板1と第2鋼板2との夫々の板厚が同じであるが、板厚が異なる場合には、スプライスプレート7との間の隙間を埋めるためのフィラー材を適宜介装させても構わない。
このように配置されたスプライスプレート7に対し、一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々が、複数の凸部1Aa,2Aaの夫々に形成されたボルト挿通孔1B,2B及びスプライスプレート7に形成された夫々のボルト挿通孔7Bに挿通された複数のボルト4及びナットにより締結される。
尚、スプライスプレート7は一対の鋼板1,2の端部1a,2aの片面にのみ設けることもできるが、図2に示すように、一対の鋼板1,2の端部1a,2aの両面にスプライスプレート7を配置することで、強固な接合が実現されている。
【0019】
スプライスプレート7の突き合せ方向D1に沿った長さである幅は、一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々における凸部1Aa,2Aaの基端部1Ab,2Ab間の範囲内に設定されている。具体的には、スプライスプレート7の幅は、一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々における凸部1Aa,2Aaの先端間の幅と同等に設定されている。このことで、一対の鋼板1,2の夫々の端部1a,2aにおいて、櫛歯部1A,2Aが有する複数の凸部1Aa,2Aaのみにスプライスプレート7を添わせた状態となって、当該複数の凸部1Aa,2Aaのみにボルト挿通孔1B,2Bが形成される。そして、スプライスプレート7は、突き合せ方向D1において、一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々の櫛歯部1A,2Aが存在する範囲内に収まる程度のコンパクトなものとなって外部から容易に隠蔽可能となる。
【0020】
一対の鋼板1,2の端部1a,2aの夫々において、複数の凸部1Aa,2Aaの夫々に形成されたボルト挿通孔1B,2Bは、幅方向D2に沿って同列に配置されている。具体的には、夫々のボルト挿通孔1B,2Bは、幅方向D2に沿って一列に配置されている。このことで、夫々のボルト挿通孔1B,2Bは、突き合せ方向D1において非常に短い範囲内に収まるので、スプライスプレート7は一層小さな幅を有するものとなって外部から一層容易に隠蔽可能となる。
【0021】
以上が接合構造Xの基本構成であるが、以下にその適用例である第1実施例及び第2実施例夫々の接合構造について順に説明する。
【0022】
〔第1実施例〕
上述した接合構造X(図1及び図2を参照)の適用例として、第1実施例の接合構造X1の構成を図2及び図3に基づいて説明する。
尚、以下の説明において、上述した接合構造X(図1及び図2を参照)と同様の構成については詳細な説明は割愛する場合がある。
【0023】
本実施例の接合構造X1は、耐風梁10の下ガセットプレート13と下マリオン材20とを接合する構造である。
即ち、接合構造X1では、耐風梁10の下面側に固設された鋼板である下ガセットプレート13の下端部13aと、鋼板である下マリオン材20の上端部20aとが、耐風梁10の延在方向と直交する同一鉛直面内において鉛直方向である突き合せ方向D1に突き合せられており、両面に設けられた一対のスプライスプレート27を介してボルト24及びナットにより接合されている。
【0024】
下ガセットプレート13の下端部13aには、その面内の水平方向である幅方向D2に並設された3つの凸部13Aaからなる櫛歯部13Aが形成されている。一方、下マリオン材20の上端部20aには、上記幅方向D2に並設された2つの凸部20Aaからなる櫛歯部20Aが形成されている。
そして、下ガセットプレート13の下端部13aと下マリオン材20の上端部20aとが、互いの櫛歯部13A,20Aを互いに噛み合わせた状態で上記突き合せ方向D1に沿って突き合せられる。
【0025】
一対のスプライスプレート27が、上記のように突き合せられた下ガセットプレート13及び下マリオン材20の夫々の櫛歯部13A,20Aにおいて幅方向D2に沿って並んで配置された複数の凸部13Aa,20Aaの両面に添わせた状態で配置される。尚、下ガセットプレート13の板厚は、下マリオン材20よりも薄いため、下ガセットプレート13の凸部13Aaの両面には、スプライスプレート27との間の隙間を埋めるためのフィラー材28が介装されている。
そして、当該複数の凸部13Aa,20Aaに形成されたボルト挿通孔13B,20B及び当該スプライスプレート27に形成されたボルト挿通孔27Bに挿通されたボルト24及びナットにより、下ガセットプレート13及び下マリオン材20の一対の端部13a,20a同士が接合される。
【0026】
要するに、図3及び図4に示す本実施例の接合構造X1の各構成について、上述した図1及び図2に示す接合構造Xの各構成と対比すると、接合構造X1における下ガセットプレート13の下端部13a及び下マリオン材20の上端部20aが、接合構造Xにおける第1鋼板1の端部1a及び第2鋼板2の端部2aに相当する。また、接合構造X1における櫛歯部13A,20A及びそれらを構成する複数の凸部13Aa,20Aaが、接合構造Xにおける櫛歯部1A,2A及びそれらを構成する複数の凸部1Aa,2Aaに相当する。また、接合構造X1におけるスプライスプレート27及びボルト24が、接合構造Xにおけるスプライスプレート7及びボルト4に相当する。
【0027】
耐風梁10は、水平面内に延びる水平プレート部11と、その前後(図3の左右)両側の端部から下方に延びる垂直プレート部12と有して構成されており、下ガセットプレート13は、これらプレート部11,12と垂直となる姿勢で一対の垂直プレート部12間に亘って設けられている。よって、耐風梁10では、これら水平プレート部11と一対の垂直プレート部12で囲まれた下方が開放された溝部10aが形成されており、下ガセットプレート13はその溝部10a内に収容された状態で配置されている。尚、接合構造X1の構成を限定するものではないが、図4に示すように、耐風梁10の延在方向に沿って複数の下マリオン材20が配置されており、耐風梁10に対する複数の下マリオン材20の夫々の接合部において接合構造X1が適用されている。
【0028】
そして、図1及び図2に示す接合構造Xと同様に、図3に示す接合構造X1におけるスプライスプレート27の幅(図3における鉛直方向D1に沿った長さ)は、夫々の端部13a,20aの夫々における凸部13Aa,20Aaの基端部13Ab,20Ab間の範囲内の小さいものに設定されているので、当該接合構造X1を上記耐風梁10の溝部10a内に適切に収容して、外部から適切に隠蔽することができる。
【0029】
また、耐風梁10の上面には、当該耐風梁10の水平プレート部11の上面に固設された上ガセットプレート15を介して上マリオン材25が接合されている。
【0030】
〔第2実施例〕
上述した接合構造X(図1及び図2を参照)の適用例として、第2実施例の接合構造X2の構成を図5及び図6に基づいて説明する。
尚、以下の説明において、上述した接合構造X(図1及び図2を参照)と同様の構成については詳細な説明は割愛する場合がある。
【0031】
本実施例の接合構造X2は、手摺30の支柱プレート31と縦胴縁41のブラケット42とを接合する構造である。
即ち、接合構造X2では、手摺30が有する鋼板である支柱プレート31の下方奥側(図5の下方左側)の端部31aと、縦胴縁41に固設されたブラケット42の手前側(図5の右側)の端部42aとが、複数の支柱プレート31の並設方向(図6の左右方向)と直交する同一鉛直面内において水平方向である突き合せ方向D1に突き合せられており、両面に設けられた一対のスプライスプレート47を介してボルト44及びナットにより接合されている。
【0032】
支柱プレート31の下方奥側端部31aには、その面内の鉛直方向である幅方向D2に並設された2つの凸部31Aaからなる櫛歯部31Aが形成されている。一方、ブラケット42の手前側端部42aには、上記幅方向D2に並設された2つの凸部42Aaからなる櫛歯部42Aが形成されている。
そして、支柱プレート31の下方奥側端部31aとブラケット42の手前側端部42aとが、互いの櫛歯部31A,42Aを互いに噛み合わせた状態で上記突き合せ方向D1に沿って突き合せられる。
【0033】
一対のスプライスプレート27が、上記のように突き合せられた支柱プレート31の及びブラケット42の櫛歯部31A,42Aにおいて幅方向D2に沿って並んで配置された複数の凸部31Aa,42Aaの両面に添わせた状態で配置される。尚、支柱プレート31とブラケット42との夫々の板厚は略同じである。
そして、当該複数の凸部31Aa,42Aaに形成されたボルト挿通孔31B,42B及び当該スプライスプレート47に形成されたボルト挿通孔47Bに挿通されたボルト44及びナットにより、支柱プレート31の及びブラケット42の一対の端部31a,42a同士が接合される。
【0034】
要するに、図5及び図6に示す本字指令の接合構造X2の各構成について、上述した図1及び図2に示す接合構造Xの各構成と対比すると、接合構造X2における支柱プレート31の下方奥側端部31a及びブラケット42の手前側端部42aが、接合構造Xにおける第1鋼板1の端部1a及び第2鋼板2の端部2aに相当する。また、接合構造X2における櫛歯部31A,42A及びそれらを構成する複数の凸部31Aa,42Aaが、接合構造Xにおける櫛歯部1A,2A及びそれらを構成する複数の凸部1Aa,2Aaに相当する。また、接合構造X2におけるスプライスプレート47及びボルト44が、接合構造Xにおけるスプライスプレート7及びボルト4に相当する。
【0035】
縦胴縁41の周囲には野地板、外壁、笠木などの仕上げ材が施工されて腰壁40が構成されている。
また、手摺30の支柱プレート31の中間部分には、上記接合構造X1の上方を覆う水平姿勢で支柱プレート31から腰壁40に向けて突出する鋼板である見切材32が固設されている。尚、接合構造X2の構成を限定するものではないが、図6に示すように、手摺30の支柱プレート31及び縦胴縁41のブラケット42が複数並設されており、夫々の接合部において接合構造X2が適用されている。更に、見切材32及び複数の支柱プレート31の手前側端部を含む鉛直面に沿って仕上げ材49が設けられており、この見切り材32及び仕上げ材49により、腰壁40と支柱プレート31との間に収容された接合構造X2が覆い隠されている。
【0036】
そして、図1及び図2に示す接合構造Xと同様に、図3に示す接合構造X2におけるスプライスプレート47の幅(図5における水平方向D1に沿った長さ)は、夫々の端部31a,42aの夫々における凸部31Aa,42Aaの基端部31Ab,42Ab間の範囲内の小さいものに設定されているので、手摺30の支柱プレート31を腰壁40に近づけた場合でも、これらの間に当該接合構造X2を適切に収容して、外部から適切に隠蔽することができる。
【0037】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0038】
(1)上記実施形態では、スプライスプレート7、27、47の幅(突き合せ方向D1に沿った長さ)を、第1鋼板1,13,31の端部1a,13a,31aにおける凸部1Aa,13Aa,31Aaの基端部1Ab,13Ab,31Abと、第2鋼板2,20,42の端部2a,20a,42aにおける凸部2Aa,20Aa,42Aaの基端部2Ab,20Ab,42Abとの間の範囲内に設定したが、スプライスプレート7、27、47の幅を適宜変更しても構わない。
【0039】
(2)上記実施形態では、第1鋼板1,13,31の端部1a,13a,31aにおいて凸部1Aa,13Aa,31Aaに形成されたボルト挿通孔1B,13B,31B、及び第2鋼板2,20,42の端部2a,20a,42aにおいて凸部2Aa,20Aa,42Aaに形成されたボルト挿通孔2B,20B,42Bの夫々を、幅方向D2に沿って一列に配置したが、適宜、複数列に配置しても良く、また同列に配置しなくても良い。
【符号の説明】
【0040】
1,2 鋼板
1A,2A 櫛歯部
1Aa,1Ab 凸部
1Ab,2Ab 基端部
1B,2B ボルト挿通孔
1a,2a 端部
4 ボルト
7 スプライスプレート
13 下ガセットプレート(鋼板)
13A 櫛歯部
13Aa 凸部
13Ab 基端部
13B ボルト挿通孔
13a 下端部(鋼板端部)
20 下マリオン材(鋼板)
20A 櫛歯部
20Aa 凸部
20Ab 基端部
20B ボルト挿通孔
20a 上端部(鋼板端部)
24 ボルト
27 スプライスプレート
31 支柱プレート(鋼板)
31A 櫛歯部
31Aa 凸部
31Ab 基端部
31B ボルト挿通孔
31a 下方奥側端部(鋼板端部)
42 ブラケット(鋼板)
42A 櫛歯部
42Aa 凸部
42Ab 基端部
42B ボルト挿通孔
42a 手前側端部(鋼板端部)
44 ボルト
47 スプライスプレート
D1 突き合せ方向
D2 幅方向
X 接合構造
X1 接合構造
X2 接合構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6