(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006306
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理システム、及び識別コード付き物品
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240110BHJP
【FI】
G06T19/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107070
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】522266542
【氏名又は名称】シン・ウォンギュウ
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】キム・スンドン
(72)【発明者】
【氏名】シン・ウォンギュウ
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA13
5B050DA04
5B050EA09
5B050EA13
5B050EA19
5B050FA06
(57)【要約】
【課題】物品の娯楽性を向上しつつ、物品の正当性を証明しやすくすること。
【解決手段】情報処理方法は、表示部に表示された物品2に付された識別コード21を読み取り、読み取った識別コード21に対応する特定画像を、表示部において表示される物品2に重畳して表示する。特定画像は、物品2に固有のエフェクトを含む第1画像と、物品2を識別するための識別情報を含む第2画像と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された物品に付された識別コードを読み取り、
読み取った前記識別コードに対応する特定画像を、前記表示部において表示される前記物品に重畳して表示し、
前記特定画像は、前記物品に固有のエフェクトを含む第1画像と、前記物品を識別するための識別情報を含む第2画像と、を含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記特定画像は、所定のフィルタを用いることで前記表示部に表示され、
前記所定のフィルタは、前記識別コードを読み取ることで外部ネットワークを介して取得される、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記識別情報は、前記物品の製造番号を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記識別情報は、前記物品の所有者を特定する情報を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記エフェクトは、前記物品に付されたデザインの少なくとも一部の立体画像を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記識別コードは、前記物品のデザインに組み込まれている、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
1以上のプロセッサに、
請求項1又は2に記載の情報処理方法を実行させる、
プログラム。
【請求項8】
表示部に表示された物品に付された識別コードを読み取る読取部と、
前記読取部が読み取った前記識別コードに対応する特定画像を、前記表示部において表示される前記物品に重畳して表示する処理部と、を備え、
前記特定画像は、前記物品に固有のエフェクトを含む第1画像と、前記物品を識別するための識別情報を含む第2画像と、を含む、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の情報処理方法において読み取られる前記識別コードが付された、
識別コード付き物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示部に表示された物品に更に画像を重畳する情報処理方法、プログラム、情報処理システム、及び識別コード付き物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラ及び表示画面を有する端末装置上に拡張現実を表示する拡張現実表示方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、物品の娯楽性を向上しつつ、物品の正当性を証明しやすい情報処理方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、表示部に表示された物品に付された識別コードを読み取り、読み取った前記識別コードに対応する特定画像を、前記表示部において表示される前記物品に重畳して表示する。前記特定画像は、前記物品に固有のエフェクトを含む第1画像と、前記物品を識別するための識別情報を含む第2画像と、を含む。
【0006】
また、上記の目的を達成するために、本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記情報処理方法を実行させる。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、本開示の一態様に係る情報処理システムは、読取部と、処理部と、を備える。前記読取部は、表示部に表示された物品に付された識別コードを読み取る。前記処理部は、前記読取部が読み取った前記識別コードに対応する特定画像を、前記表示部において表示される前記物品に重畳して表示する。前記特定画像は、前記物品に固有のエフェクトを含む第1画像と、前記物品を識別するための識別情報を含む第2画像と、を含む。
【0008】
また、上記の目的を達成するために、本開示の一態様に係る識別コード付き物品は、前記情報処理方法において読み取られる前記識別コードが付されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る情報処理方法等によれば、物品の娯楽性を向上しつつ、物品の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る物品及び情報処理システム(情報端末)の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る情報処理システムの表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る情報処理システムを含む全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る情報処理システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る所定のフィルタの生成例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る所定のフィルタの更新例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0013】
[概要]
まず、実施の形態に係る情報処理システム(情報処理方法)の概要について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る物品2及び情報処理システム(情報端末)1の概要を示す図である。
図2は、実施の形態に係る情報処理システム1の表示部13(
図3参照)に表示される画像の一例を示す図である。以下では、特に断りの無い限り、情報処理システム1のことを「情報端末1」と称する。
【0014】
物品2は、例えばユーザが購入する、又は他者からの譲渡により、ユーザが所有している物品である。実施の形態では、物品2は、Tシャツ等の衣料品である。また、実施の形態では、物品2は、例えば生産数が比較的少ない限定生産品である。なお、物品2は、衣料品に限らず、例えば食器、家具、楽器、玩具、又は美術品等であってもよい。
【0015】
物品2には、識別コード21と、イラスト及び文字列の少なくとも一方を含むデザイン22と、が付されている。物品2に付された識別コード21は、後述するように情報端末(情報処理システム)1により読み取られる。つまり、物品2は、情報処理システム(情報処理方法)において読み取られる識別コード21が付された識別コード付き物品2である。
【0016】
識別コード21は、物品2を他の物品と識別するためのコードである。識別コード21は、例えばカメラ等のセンサを用いて認識することが可能なコードであればよい。実施の形態では、識別コード21は、QRコード(登録商標)である。なお、識別コード21は、QRコード(登録商標)に限らず、例えばデータマトリックス等の他の二次元コードであってもよい。また、識別コード21は、例えばバーコード等の一次元コードであってもよいし、三次元コード等の多次元コードであってもよい。さらに、識別コード21は、IC(Integrated Circuit)チップに格納されていてもよい。この場合、識別コード21は、識別コード21が格納されたICチップを物品2に埋め込む等して取り付けることにより、物品2に付される。そして、識別コード21は、例えばICリーダを用いて認識することが可能である。
【0017】
デザイン22は、物品2において人が視認しやすい位置に付されている。デザイン22は、例えば物品2に縫い付けられていてもよいし、転写されていてもよい。すなわち、デザイン22は、物品2と紐づく形で物品2に固定されていればよい。実施の形態では、デザイン22は、「WHO?」という文字列であって、物品2であるTシャツの前面に付されている。なお、デザイン22は、物品2において1箇所のみに付されていなくてもよく、複数の箇所に付されていてもよい。
【0018】
実施の形態では、識別コード21は、物品2のデザイン22に組み込まれている。言い換えれば、識別コード21は、デザイン22と一体化することにより、デザイン22の一部を構成している。具体的には、識別コード21は、デザイン22である「WHO?」という文字列におけるアルファベット「O」を構成する枠の内側に付されている。このように、識別コード21を物品2のデザイン22に組み込むことにより、識別コード21が物品2のデザイン22と別に設けられている場合と比較して、識別コード21の存在が目立ちにくくなる、という利点がある。
【0019】
情報端末1は、例えばスマートフォン又はタブレット端末等のユーザが利用する携帯端末である。なお、情報端末1は、携帯端末に限らず、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末であってもよい。また、情報端末1は、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。さらに、情報端末1は、例えばAR(Augmented Reality)、VR(Virtual Reality)、及びMR(Mixed Reality)等のxR(Cross Reality)用のデバイスであってもよい。ここでは、情報端末1を利用するユーザは、物品2を所有するユーザと同じであるが、情報端末1を利用するユーザと、物品2を所有するユーザとは、互い異なっていてもよい。
【0020】
ユーザは、情報端末1に搭載されたカメラ機能を起動し、情報端末1の表示部13、言い換えればカメラの撮像可能な範囲に物品2の識別コード21及びデザイン22が収まるように、情報端末1を物品2の前面に向ける。すると、カメラを用いた適宜の画像処理により、情報端末1にて識別コード21を読み取ることが可能である。また、識別コード21がICチップに格納されている場合、ユーザは、情報端末1に搭載されたICリーダを用いて、ICチップに格納された識別コード21を読み取ることが可能である。
【0021】
そして、情報端末1は、
図2に示すように、読み取った識別コード21に対応する特定画像P1を、情報端末1の表示部13において表示される物品2に重畳して表示する。具体的には、情報端末1の表示部13には、カメラを介して物品2の画像が表示されているが、この物品2の画像に重畳する形で、特定画像P1が表示される。つまり、情報端末1の表示部13には、AR(Augmented Reality)技術により、現実空間における物品2の画像に、仮想空間における特定画像P1が重畳して表示される。
【0022】
ここで、特定画像P1は、物品2に固有のエフェクトを含む第1画像P11と、物品2を識別するための識別情報を含む第2画像P12と、を含んでいる。
【0023】
実施の形態では、第1画像P11は、デザイン22が物品2から飛び出ているように錯覚し得る形で表現されたデザイン22の立体画像と、デザイン22の後方に位置する背景画像と、を含んでいる。具体的には、第1画像P11は、デザイン22である「WHO?」という文字列の立体画像と、空、都市、及び海を含む背景画像と、を含んでいる。つまり、第1画像P11に含まれるエフェクトは、物品2に付されたデザイン22の少なくとも一部の立体画像を含んでいる。
【0024】
なお、第1画像P11に含まれるエフェクトは、上記の態様に限られない。例えば、情報端末1の表示部13において物品2のみならず人(ユーザでなくてもよい)の画像が表示されている場合、エフェクトは、当該人のボディ、顔、又は衣服等に重畳して表示されてもよい。つまり、物品2に固有のエフェクトは、物品2のみに重畳して表示される態様に限られず、物品2と共に表示される物品2以外の物体又は背景等にも重畳して表示されてもよい。
【0025】
また、実施の形態では、第2画像P12は、シリアルナンバーと、物品2の所有者の名前を示す文字列と、を含んでいる。つまり、第2画像P12における識別情報は、物品2の製造番号を含んでいる。また、第2画像P12における識別情報は、物品2の所有者を特定する情報を含んでいる。なお、物品2の所有者の名前は、ユーザの実際の名前に限らず、例えばハンドルネーム等の仮名であってもよい。また、識別情報は、文字列に限らず、例えば図案化又は修飾化された文字列(いわゆる、ロゴタイプ)であってもよいし、デザインであってもよい。つまり、識別情報は、物品2の所有者を特定する情報であれば、その態様は特に限定されない。
【0026】
具体的には、第2画像P12には、物品2のシリアルナンバーである「0001」と、物品2の生産数である「1000」という文字列が含まれている。つまり、第2画像P12は、物品2であるTシャツが1000枚しか生産されておらず、かつ、1番目に生産されたことを表している。また、第2画像P12には、物品2の所有者が「△△△△」であることを示す「Owned by △△△△」という文字列が含まれている。
【0027】
実施の形態では、特定画像P1のうちの第1画像P11は、表示部13においてデザイン22に重なる位置に表示され、第2画像P12は、表示部13においてデザイン22の下方に、つまりデザイン22から離れた位置に表示されている。
【0028】
上述のように、実施の形態に係る情報処理システム1(情報処理方法)を用いることで、ユーザは、表示部13を通して、物品2の画像のみならず、物品2に重畳された特定画像P1を視認することが可能である。そして、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、当該物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、当該物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、実施の形態に係る情報処理システム1(情報処理方法)は、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【0029】
ところで、実施の形態において、第2画像P12のうちの物品2の所有者を特定する情報は、所定の条件を満たした場合に、物品2に重畳して表示されてもよい。ここで、所定の条件は、例えば物品2の所有者が、自身を特定する情報の表示を許可することである。この態様では、例えば物品2の所有者が自身を特定する情報の表示を許可していない、つまり所定の条件を満たしていない場合には、物品2には、第2画像P12のうち物品2を特定する情報のみが重畳して表示される。一方、例えば物品2の所有者が自身を特定する情報の表示を許可している、つまり所定の条件を満たしている場合には、物品2には、第2画像P12のうちの物品2を特定する情報、及び物品2の所有者を特定する情報の両方が重畳して表示される。したがって、この態様では、物品2の所有者の同意を得て初めて物品2の所有者を特定する情報が物品2に重畳して表示されるため、物品2の所有者のプライバシーを保護することができる、という利点がある。
【0030】
[構成]
次に、実施の形態に係る情報処理システム(情報端末)1の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る情報処理システム(情報端末)1を含む全体構成を示すブロック図である。情報端末1は、
図3に示すように、読取部11と、処理部12と、表示部13と、通信部14と、記憶部15と、を備えている。なお、表示部13、通信部14、及び記憶部15は、情報処理システム1の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0031】
読取部11は、表示部13に表示された物品2に付された識別コード21を読み取る。実施の形態では、読取部11は、情報端末1に搭載されたカメラを用いて実現される。すなわち、読取部11は、カメラを用いた適宜の画像処理により、カメラの撮像可能な範囲に含まれる物品2の識別コード21を読み取る。
【0032】
処理部12は、プロセッサを有しており、プロセッサにてメモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、処理部12としての機能を実現する。実施の形態では、メモリは記憶部15である。
【0033】
処理部12は、読取部11が読み取った識別コード21に対応する特定画像P1を、表示部13において表示される物品2に重畳して表示する。実施の形態では、処理部12は、所定のフィルタを用いた適宜の画像処理により、表示部13において表示される物品2に特定画像P1を重畳して表示する。すなわち、所定のフィルタには、特定画像P1を物品2に重畳して表示する処理を実行するためのプログラムが含まれている。処理部12は、所定のフィルタに含まれるプログラムを実行することにより、表示部13に表示されている識別コード21の位置を基準として、特定画像P1を表示部13に表示されている物品2の画像に重畳するようにして表示する。例えば、処理部12は、カメラの撮像範囲に収まっているデザイン22を立体画像に変換し、変換した立体画像を第1画像P11として物品2に重畳する処理と、識別情報を画像に変換し、変換した画像を第2画像P12として物品2に重畳する処理と、を実行する。
【0034】
なお、所定のフィルタには、上記プログラムの代わりに、特定画像P1のデータが含まれていてもよい。この場合、処理部12は、表示部13に表示されている識別コード21の位置を基準として、所定のフィルタに含まれる特定画像P1を、表示部13に表示されている物品2の画像に重畳するようにして表示する。
【0035】
このように、実施の形態では、特定画像P1は、所定のフィルタを用いることで表示部13に表示される。そして、実施の形態では、所定のフィルタは、読取部11が識別コード21を読み取ることで、例えばインターネット等の外部ネットワークN1を介して情報端末1で取得される。具体的には、処理部12は、読取部11にて識別コード21から読み取ったURL(Uniform Resource Locator)に通信部14を介してアクセスする。これにより、処理部12は、識別コード21に紐づいた所定のフィルタのダウンロードを外部サーバ3にリクエストすることができ、当該所定のフィルタをダウンロードすることが可能である。
【0036】
表示部13は、情報端末1に搭載されたカメラの撮像可能な範囲における画像を表示する。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等であるが、これらに限定されない。実施の形態では、表示部13はタッチパネルディスプレイで構成されており、ユーザのタッチ等の操作による入力を受け付ける入力インタフェースとしても機能する。
【0037】
通信部14は、例えばインターネット等の外部ネットワークN1を介して外部との間で通信を行うための通信インタフェースである。実施の形態では、通信部14は、無線通信インタフェースであるが、有線通信インタフェースであってもよい。また、実施の形態では、通信部14は、外部サーバ3及び管理サーバ4との間で通信を行う。
【0038】
記憶部15は、処理部12で実行されるプログラム等を記憶するための記憶媒体である。記憶媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又は半導体メモリ等である。なお、このような記憶媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。記憶部15は、例えば処理部12で取得した所定のフィルタを識別コード21と紐づけた状態で記憶する。
【0039】
外部サーバ3は、管理サーバ4によりアップロードされた所定のフィルタを記憶するサーバである。外部サーバ3は、識別コード21ごとに、言い換えれば物品2ごとに所定のフィルタを記憶する。つまり、外部サーバ3には複数の所定のフィルタが記憶されるが、複数の所定のフィルタは、それぞれ複数の物品2に紐づけられた、物品2ごとに固有のフィルタである。
【0040】
外部サーバ3は、情報端末1からの所定のフィルタのダウンロードについてのリクエストを受け付けると、当該リクエストに応じた所定のフィルタを読み出し、読み出した所定のフィルタを情報端末1へ送信する。
【0041】
管理サーバ4は、物品2に関するデータを管理するサーバである。具体的には、管理サーバ4は、物品2を販売する事業者とユーザとの間の取引、及び物品2を所有するユーザと他のユーザとの間の取引に関するトランザクションデータを記憶して管理する。つまり、管理サーバ4は、物品2に関するデータとして、物品2の所有者を管理する。
【0042】
また、管理サーバ4は、物品2ごとに所定のフィルタを生成及び更新する。つまり、管理サーバ4は、物品2に関するデータとして、物品2に紐づいた所定のフィルタを管理する。ここで、管理サーバ4は、単一のサーバであってもよいし、複数のサーバで構成されていてもよい。後者の場合、管理サーバ4は、トランザクションデータを記憶して管理する第1サーバと、物品2ごとに所定のフィルタを生成及び更新する第2サーバと、で構成されていてもよい。この場合、第1サーバを運用する事業者と、第2サーバを運用する事業者とが互いに異なっていてもよい。
【0043】
なお、実施の形態では、特定画像P1のうち第1画像P11は固定されており、事前に作成されていることとする。したがって、管理サーバ4は、特定画像P1のうちの第2画像P12、つまり例えばシリアルナンバー等の物品2を特定する情報と、例えば名前等の物品2の所有者を特定する情報と、を生成及び更新することで、所定のフィルタを生成及び更新する。もちろん、管理サーバ4は、特定画像P1のうち第1画像P11についても生成及び更新する機能を有していてもよい。
【0044】
なお、物品2を販売する事業者と、外部サーバ3を運用する事業者と、管理サーバ4を運用する事業者とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、物品2を販売する事業者と管理サーバ4を運用する事業者とが同一であり、これらの事業者と外部サーバ3を運用する事業者とが互いに異なっていてもよい。
【0045】
[動作]
以下、実施の形態に係る情報処理システム(情報端末)1の動作(つまり、情報処理方法)について
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係る情報処理システム1の動作例を示すフローチャートである。以下では、ユーザが情報端末1を用いて物品2に付された識別コード21を初めて読み取ることとして説明する。なお、ユーザが情報端末1を用いて一度識別コード21を読み取った後においては、情報端末1に記憶されている所定のフィルタを用いればよいため、後述する処理S12は省略される。また、ユーザは、物品2の所有者であってもよいし、物品2の所有者とは異なる人であってもよい。
【0046】
まず、情報端末1の読取部11は、物品2に付された識別コード21を読み取る(S11)。具体的には、ユーザが情報端末1に搭載されたカメラを物品2に付された識別コード21へかざすことにより、識別コード21を情報端末1に読み取らせる。
【0047】
次に、情報端末1の処理部12は、読取部11にて識別コード21から読み取ったURLに通信部14を介してアクセスし、識別コード21に紐づいた所定のフィルタを外部サーバ3からダウンロードする。つまり、処理部12は、外部ネットワークN1を介して所定のフィルタを取得する(S12)。
【0048】
そして、情報端末1の処理部12は、所定のフィルタを用いた適宜の画像処理により、特定画像P1を表示部13に表示されている物品2の画像に重畳するようにして表示する(S13)。
【0049】
次に、実施の形態に係る所定のフィルタの生成例について
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態に係る所定のフィルタの生成例を示すシーケンス図である。
図5に示す例は、ユーザが、物品2を販売する事業者から物品2を購入する場合の例である。
【0050】
まず、ユーザは、物品2を販売する事業者等が提供するEC(Electronic Commerce)サービスを用いて、又は暗号資産(仮想通貨等)と引き換えに所望の物品2を購入する手続きを行うことで、物品2を購入する(S21)。すると、物品2を販売する事業者とユーザとの間の取引に関するトランザクションデータが、管理サーバ4へ送信される。管理サーバ4は、トランザクションデータを受信すると、トランザクションデータを記憶して管理する(S22)。
【0051】
また、管理サーバ4は、トランザクションデータに含まれる物品2の所有者(つまり、当該物品2を購入したユーザ)の情報を参照することで、物品2に紐づいた所定のフィルタを生成する(S23)。そして、管理サーバ4は、生成した所定のフィルタを外部サーバ3へアップロードする(S24)。
【0052】
以降、ユーザ(当該物品2を購入したユーザを含む)は、情報端末1を用いて物品2に付された識別コード21を読み取ることで、当該物品2の所有者を特定する情報を含む所定のフィルタを情報端末1にダウンロードすることが可能である。そして、ユーザは、所定のフィルタを用いることで物品2に重畳して表示される特定画像P1を視認することにより、当該物品2の所有者を確認することが可能である。
【0053】
次に、実施の形態に係る所定のフィルタの更新例について
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態に係る所定のフィルタの更新例を示すシーケンス図である。
図6に示す例は、物品2を所有する第1ユーザが、第2ユーザとの取引により物品2を第2ユーザへ譲渡する場合の例である。
【0054】
まず、第1ユーザは、例えばユーザ間の取引を扱うECサービスを用いて、第2ユーザとの間で物品2の売買の手続きを行うことで、第2ユーザへ物品2を譲渡する(S31)。すると、第1ユーザと第2ユーザとの間の取引に関するトランザクションデータが、管理サーバ4へ送信される。管理サーバ4は、トランザクションデータを受信すると、受信したトランザクションデータを上書きすることでトランザクションデータを更新する(S32)。
【0055】
また、管理サーバ4は、トランザクションデータに含まれる物品2の新たな所有者(つまり、第2ユーザ)の情報を参照することで、物品2に紐づいた所定のフィルタを更新する(S33)。そして、管理サーバ4は、更新した所定のフィルタを外部サーバ3へアップロードする(S34)。これにより、外部サーバ3においては、所定のフィルタが更新される。
【0056】
以降、ユーザ(第1ユーザ及び第2ユーザを含む)は、情報端末1を用いて物品2に付された識別コード21を読み取ることで、当該物品2の所有者を特定する情報を含む所定のフィルタを情報端末1にダウンロードすることが可能である。そして、ユーザは、所定のフィルタを用いることで物品2に重畳して表示される特定画像P1を視認することにより、当該物品2の所有者(つまり、第2ユーザ)を確認することが可能である。
【0057】
ところで、実施の形態では、情報端末1を用いて物品2に付された識別コード21を読み取ることで、所定のフィルタを外部サーバ3から情報端末1にダウンロードしているが、これに限られない。例えば、情報端末1に既に所定のフィルタがインストールされている場合、識別コード21に対応するメタデータのみを外部サーバ3から情報端末1にダウンロードしてもよい。メタデータは、例えば物品2の所有者の名前、取引の行われた日付、又は物品2に固有の製造番号(限定番号)等の識別情報を含み得る。この場合、情報端末1の処理部12は、所定のフィルタを用いた適宜の画像処理を実行する際に、当該メタデータを参照することで、識別情報を含む第2画像P12を物品2に重畳して表示させることが可能である。
【0058】
この場合、外部サーバ3においては、所定のフィルタを保存する代わりに、メタデータを保存すればよい。そして、この場合、管理サーバ4は、トランザクションデータを受信すると、所定のフィルタを更新する代わりに、トランザクションデータに含まれるメタデータを外部サーバ3へアップロードすればよい。
【0059】
[利点]
上述のように、実施の形態に係る情報処理システム1(情報処理方法)を用いることで、ユーザ(物品2の所有者を含む)は、表示部13を通して、物品2の画像のみならず、物品2に重畳された特定画像P1を視認することが可能である。そして、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、当該物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、当該物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、実施の形態に係る情報処理システム1(情報処理方法)は、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。また、ユーザは、物品2に重畳された特定画像P1をスクリーンショットで撮影し、撮影した画像をソーシャルメディアで共有することが可能である。このような摩擦のない機能を持つことは、ユーザと企業の双方に価値を提供するバイラルマーケティングに役立てることができる、という利点もある。
【0060】
より具体的には、例えば物品2がTシャツである場合、従来はTシャツに印刷されているデザイン22のみをユーザが楽しむことができたのに対して、実施の形態では、例えばデザイン22の立体画像等といった物品2に固有のエフェクトを更に楽しむことができる。
【0061】
また、実施の形態では、ユーザは、表示部13を通して、物品2の正当性を示す第2画像P12を視認することができ、当該第2画像P12に含まれる物品2を識別するための識別情報は、例えば管理サーバ4等においてディジタル情報として管理される。このため、物品2の所有者を含むあらゆるユーザは、ディジタル情報として管理された識別情報を第2画像P12を介して確認することで、物品2の正当性を確認することができる。また、物品2の所有者は、自身が所有する物品2が真正品であることを主張することができる。
【0062】
(変形例)
以上、本開示に係る情報処理方法及び情報処理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施した形態、又は実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0063】
上記実施の形態において、第1画像P11は、物品2に対する表示部13の相対的な位置に応じて変化してもよい。例えば、表示部13が物品2の斜め前方、斜め上方、又は斜め下方にある場合、第1画像P11は、表示部13において正面から見ているように物品2に重畳して表示されてもよい。具体的には、デザイン22である「WHO?」という文字列は、物品2を斜め前方から見た場合には視認しにくくなるが、表示部13においては、当該文字列の立体画像が、当該文字列を正面から見ているように表示されてもよい。
【0064】
上記実施の形態では、識別コード21は、デザイン22に組み込まれているが、これに限られない。例えば、識別コード21は、物品2においてデザイン22から離れた位置に付されていてもよい。
【0065】
上記実施の形態では、第1画像P11に含まれるエフェクトは、デザイン22の立体画像と、背景画像と、を含んでいるが、これに限られない。例えば、第1画像P11に含まれるエフェクトは、デザイン22の立体画像のみであってもよい。また、例えば、第1画像P11に含まれるエフェクトは、デザイン22が経時的に変化する動画像であってもよい。また、例えば、第1画像P11に含まれるエフェクトは、物品2に関連する静止画像又は動画像であってもよい。具体的には、物品2がミュージシャンによるライブイベントで限定販売されたグッズであれば、第1画像P11に含まれるエフェクトは、当該ライブイベントの様子を撮像した動画像等であってもよい。
【0066】
上記実施の形態では、識別情報は、物品2を特定する情報としてシリアルナンバーを含んでいるが、これに限られない。例えば、物品2を特定する情報は、物品2を識別するためのID(Identifier)等であってもよい。また、上記実施の形態では、識別情報は、物品2の所有者を特定する情報として物品2の所有者の名前を含んでいるが、これに限られない。例えば、物品2の所有者を特定する情報は、物品2の所有者を識別するためのID等であってもよい。
【0067】
上記実施の形態では、特定画像P1は、少なくとも一部がデザイン22に重畳する形で表示部13に表示されているが、これに限られない。例えば、特定画像P1は、デザイン22とは離れた位置で物品2に重畳する形で表示部13に表示されてもよい。
【0068】
上記実施の形態では、情報端末1の表示部13には、AR技術により、現実空間における物品2の画像に、仮想空間における特定画像P1が重畳して表示されているが、これに限られない。例えば、情報端末1の表示部13には、仮想空間における物品2の画像に、仮想空間における特定画像P1が重畳して表示されてもよい。
【0069】
具体的には、情報端末1がVR(Virtual Reality)用のヘッドマウントディスプレイである場合、表示部13には、情報端末1のユーザを含む多数のユーザが仮想的に存在し得るメタバースが表示される。この場合、メタバースにおいて物品2であるTシャツを着用したアバターが存在する場合、表示部13におけるアバターの画像には、特定画像P1が重畳して表示されることになる。なお、情報端末1は、VR用のヘッドマウントディスプレイに限らず、メタバースへアクセス可能なIT(Information Technology)機器であればよい。
【0070】
上記実施の形態では、管理サーバ4は、所定のフィルタを生成及び更新しているが、これに限られない。例えば、管理サーバ4は、物品2を販売する事業者とユーザとの間の取引、及び物品2を所有するユーザと他のユーザとの間の取引に関するトランザクションデータを記憶する機能のみを有していてもよい。この場合、所定のフィルタを生成及び更新する機能は、別のサーバで実現されてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、物品2を販売する事業者とユーザとの間の取引、及び物品2を所有するユーザと他のユーザとの間の取引に関するトランザクションデータは管理サーバ4にて管理されているが、これに限られない。例えば、トランザクションデータは、ブロックチェーンとして複数のノードで分散して管理されてもよい。
【0072】
(まとめ)
以上述べたように、本開示に係る情報処理方法は、表示部13に表示された物品2に付された識別コード21を読み取り、読み取った識別コード21に対応する特定画像P1を、表示部13において表示される物品2に重畳して表示する。特定画像P1は、物品2に固有のエフェクトを含む第1画像P11と、物品2を識別するための識別情報を含む第2画像P12と、を含む。
【0073】
これによれば、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、これによれば、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【0074】
また、本開示に係る情報処理方法では、特定画像P1は、所定のフィルタを用いることで表示部13に表示される。所定のフィルタは、識別コード21を読み取ることで外部ネットワークN1を介して取得される。
【0075】
これによれば、例えば所定のフィルタを更新するだけで特定画像P1を変更することができるので、特定画像P1を自由に変更することができる、という利点がある。
【0076】
また、本開示に係る情報処理方法では、識別情報は、物品2の製造番号を含む。
【0077】
これによれば、物品2の出所等を証明しやすい、という利点がある。
【0078】
また、本開示に係る情報処理方法では、識別情報は、物品2の所有者を特定する情報を含む。
【0079】
これによれば、物品2の所有者を証明しやすい、という利点がある。
【0080】
また、本開示に係る情報処理方法では、エフェクトは、物品2に付されたデザイン22の少なくとも一部の立体画像を含む。
【0081】
これによれば、ユーザが平面的なデザイン22だけでなく、立体的なデザイン22を楽しむことができるので、物品2の娯楽性を向上しやすい、という利点がある。
【0082】
また、本開示に係る情報処理方法では、識別コード21は、物品2のデザイン22に組み込まれている。
【0083】
これによれば、識別コード21が物品2のデザイン22と別に設けられている場合と比較して、識別コード21の存在が目立ちにくくなる、という利点がある。
【0084】
また、本開示に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の情報処理方法を実行させる。
【0085】
これによれば、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、これによれば、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【0086】
また、本開示に係る情報処理システム1は、読取部11と、処理部12と、を備える。読取部11は、表示部13に表示された物品2に付された識別コード21を読み取る。処理部12は、読取部11が読み取った識別コード21に対応する特定画像P1を、表示部13において表示される物品2に重畳して表示する。特定画像P1は、物品2に固有のエフェクトを含む第1画像P11と、物品2を識別するための識別情報を含む第2画像P12と、を含む。
【0087】
これによれば、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、これによれば、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【0088】
また、本開示に係る識別コード付き物品2は、上記の情報処理方法において読み取られる識別コード21が付されている。
【0089】
これによれば、ユーザは、特定画像P1を視認することにより、物品2に固有のエフェクトを楽しむことができ、かつ、物品2が真正品であることを確認することができる。つまり、これによれば、物品2の娯楽性を向上しつつ、物品2の正当性を証明しやすい、という利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示は、例えば生産数が比較的少ない限定生産品に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 情報端末(情報処理システム)
11 読取部
12 処理部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
2 物品、識別コード付き物品
21 識別コード
22 デザイン
3 外部サーバ
4 管理サーバ
N1 外部ネットワーク
P1 特定画像
P11 第1画像
P12 第2画像