IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソウル ナショナル ユニバーシティ ホスピタルの特許一覧 ▶ ソウル ナショナル ユニバーシティ アールアンドディービー ファウンデーションの特許一覧

特開2024-63105腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム
<>
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図1
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図2
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図3
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図4
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図5
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図6
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図7
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図8
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図9
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図10
  • 特開-腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063105
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】腹腔内温熱加圧ガス循環システム及び二流体ノズルを含む腹腔内ガス提供システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/12 20060101AFI20240501BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61F7/12 Z
A61M31/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028870
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2022502875の分割
【原出願日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0085381
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0085382
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】504314133
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ ホスピタル
(71)【出願人】
【識別番号】519001383
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ アールアンドディービー ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】カン,コー テ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腹腔内に温熱ガスを循環させることができるガス循環装置と温度制御装置を含むシステム及び腹腔内薬剤をガスと共に効果的に噴射させる薬剤噴射装置を含むシステムを提供する。
【解決手段】システム1は、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムとして用いられ、腹腔内2のガス温度を一定の温度に維持しながら少量の抗癌剤をより効果的に癌細胞に伝達して抗癌治療効果を極大化することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステムであって、
個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結されガスを循環するため
のポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させるガス循環装置;及び
前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置のガス温度を制御する温度
制御装置;を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部
にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部のガス循環装置のガス温度のう
ちの一つ以上のガス温度を測定する温度センサ;前記ガス循環装置のガスホースの少なく
とも一部に熱を提供する加熱装置;及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御
部;を含み、
前記温度制御部は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガス温度が一定の温
度になるように前記加熱装置の温度を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシス
テム。
【請求項3】
前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤をガスと共に噴射す
る薬剤及びガス噴射装置;を含むことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器;
ガスホースに連結されて加圧ガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け
、腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器;及び
前記薬剤及びガス投与器の末端に配置され、腹腔内部に薬剤とガスを噴射するノズル;
を含むことを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記循環部は、腹腔に套管されガスを排出する第1トロカール、前記第1トロカールに
連結されたガスホースである循環ホース、及び前記循環ホースに連結され循環ガスの圧力
を上昇させる循環ポンプ;を含み、
前記循環部の循環ガスは、前記薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管された
第2トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及び第2トロカールに提供され
ることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記腹腔内ガス投入部は、薬剤及びガス噴射装置にガスを供給するガス供給部をさらに
含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される第1ホース;
を含むことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス供給部は、第1ホースを通じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプ;をさ
らに含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガス供給部は、第1ホースから分岐された第2ホースをさらに含み、
前記循環部は、循環ホース及び第2ホースのガスが流入され薬剤及びガス投与器にガス
を排出する第1バルブをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記循環部は、循環部にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、循環部に連結される第3ホース;を含むことを特
徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記循環部は、第3ホースのガス及び循環ホースのガスが流入され、循環ポンプにガス
を排出する第2バルブ;をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記循環部は、循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを提供する第
3バルブ;をさらに含み、
前記第3バルブから一本以上のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結されることを特
徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第3バルブから二本のガスホースが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結
され、又は前記第3バルブから一本のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう
一本のガスホースが第2トロカールに連結されることを特徴とする、請求項11に記載の
システム。
【請求項13】
前記加熱装置は、ガスホースの少なくとも一部分に巻き回される熱線コイルであり、
前記温度制御装置は、腹腔内部に噴射されるガスの温度を測定する第1温度センサ;を
含み、
前記第1温度センサの測定値に基づいて前記腹腔内部のガスの温度が38℃~42℃に
維持されるように熱線コイルの温度を制御することを特徴とする、請求項5に記載のシス
テム。
【請求項14】
前記温度制御装置は、前記循環部のガスの温度を測定する第2温度センサ;及び前記循
環部から薬剤及びガス投与器に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサ;のうち
の一方以上をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一方以上の測定値に基づいて各ガ
スホースからのガス供給量を調節することを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記ガスは二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項17】
前記システムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムであり、前記薬剤は抗癌剤
であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
腹腔内ガスを提供するシステムであって、
前記システムは、薬剤及びガス噴射装置;を含み、
前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器;
ガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け、腹腔に套管されて個体の腹
腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器;及び
前記薬剤及びガス投与器の末端に配置され、腹腔内部に薬剤とガスを共に噴射する二流
体ノズル;を含むことを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記システムは、腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステムであって、
腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結されガスを循環するためのポン
プを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させるガス循環装置;及び
前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置のガス温度を制御する温度
制御装置;を含み、
前記ガス循環装置が、前記薬剤及びガス噴射装置を含むことを特徴とする、請求項18
に記載のシステム。
【請求項20】
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部
にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記腹腔内ガス投入部が前記薬剤及びガス噴射装置を含み、
前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部のガス循環装置のガス温度のう
ちの一つ以上のガス温度を測定する温度センサ;前記ガス循環装置のガスホースの少なく
とも一部に熱を提供する加熱装置;及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御
部;を含み、
前記温度制御部は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガス温度が一定の温
度になるように前記加熱装置の温度を制御することを特徴とする、請求項19に記載のシ
ステム。
【請求項21】
前記循環部は、腹腔に套管されガスを排出する第1トロカール、前記第1トロカールに
連結されたガスホースである循環ホース、及び前記循環ホースに連結され循環ガスの圧力
を上昇させる循環ポンプ;を含み、
前記循環部の循環ガスは、前記薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管された
第2トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及び第2トロカールに提供され
ることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記腹腔内ガス投入部は、前記薬剤及びガス噴射装置にガスを供給するガス供給部をさ
らに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される第1ホース;
を含むことを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ガス供給部は、第1ホースを通じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプ;及び
第1ホースから分岐された第2ホース;をさらに含み、
前記循環部は、循環ホース及び第2ホースのガスが流入され薬剤及びガス投与器にガス
を排出する第1バルブをさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記循環部は、循環部にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、循環部に連結される第3ホース;を含み、
前記循環部は、第3ホースのガス及び循環ホースのガスが流入され、循環ポンプにガス
を排出する第2バルブ;及び循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを
提供する第3バルブ;をさらに含み、
前記第3バルブから二本のガスホースが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結
され、又は前記第3バルブから一本のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう
一本のガスホースが第2トロカールに連結されることを特徴とする、請求項21に記載の
システム。
【請求項25】
前記加熱装置は、ガスホースの少なくとも一部分に巻き回される熱線コイルであり、
前記温度制御装置は、腹腔内部に噴射されるガスの温度を測定する第1温度センサ;を
含み、
前記第1温度センサの測定値に基づいて前記腹腔内部のガスの温度が38℃~42℃に
維持されるように熱線コイルの温度を制御することを特徴とする、請求項20に記載のシ
ステム。
【請求項26】
前記温度制御装置は、前記循環部のガスの温度を測定する第2温度センサ;及び前記循
環部から薬剤及びガス投与器に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサ;のうち
の一方以上を含み、
前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一方以上の測定値に基づいてガス
ホースへのガス流量を調節することを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記二流体ノズルは、
薬剤が供給される通路であってノズルの中心に配置される薬剤ライン;
ガスが供給される通路であって前記薬剤ガイドの両側にそれぞれ別に形成された二本の
ガスライン;
前記薬剤ライン及びガスラインにそれぞれ連結され薬剤とガスとが混合される混合室;
を含み、
前記混合室には薬剤とガスとの混合物を腹腔内に噴射するための排出孔が形成されたこ
とを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムであり、前記薬剤は抗癌剤
であり、前記ガスは二酸化炭素であることを特徴とする、請求項18~27のいずれか一
項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔内温熱加圧ガス循環システムに係り、より具体的には、腹腔内に温熱ガ
スを循環させることができるガス循環装置と温度制御装置、及び腹腔内薬剤をガスと共に
効果的に噴射させる薬剤噴射装置を含むシステムに関する。また、本発明は、患者の癌な
どを治療するために腹腔内に抗癌剤などの薬剤を効果的に噴射する二流体ノズルを含む腹
腔内ガス提供システム、特に腹腔内温熱加圧ガス循環システムに関する。本発明のシステ
ムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムとして特に有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、腹腔内に転移した癌細胞への経口投与又は血管内投与される薬物の効率が低いこ
とを解決するための方法として、腹腔内抗癌化学療法(Intraperitoneal
Chemotherapy:IPC)が施されている。
【0003】
加圧腹腔内抗癌化学療法(pressurized intraperitoneal
aerosol chemotherapy:PIPAC)の場合、微粒化した薬物を
癌細胞に直接噴射することによって、腹腔内温熱抗癌化学療法(Hyperthermi
c Intraperitoneal Chemotherapy:HIPEC)で用い
られる抗癌剤の投与量の約10%でも抗癌治療効果が得られるが、人体の温度恒常性(3
6℃)によって腹腔内温度を癌細胞が死ぬ約42℃の温度に維持させ難いという問題があ
る。
【0004】
また、HIPECの場合、約42℃の温度維持は可能であるものの、抗癌剤の投与量が
多量となり且つ広範囲な手術によって抗癌治療の副作用を起こし易いという問題点がある
【0005】
さらに、既存の方式の場合、抗癌剤薬物を腹腔内で隈なく噴射し難く且つ噴射方向を調
節することも難しいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許第1866455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した問題点を解決するためになされたものであって、一側面において、本発明は、
腹腔内部に一定の温度と圧力でガスを循環させることができるガス循環装置と温度制御装
置を含み、治療効果を高められる腹腔内温熱加圧ガス循環システムを提供することを目的
とする。
【0008】
他の側面において、本発明は、腹腔内に薬剤をガスと共に効果的に噴射させ且つ腹腔内
の病巣に抗癌剤などの薬剤をより効果的に伝達することができる薬剤及びガス噴射装置を
含むシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、一側面において、本発明の例示的な具現例に係る腹
腔内温熱加圧ガスを循環するシステム(装置)は、個体の腹腔に連結されるガスホース及
び前記ガスホースに連結されたポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環
させるガス循環装置;及び前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置の
ガス温度を制御する温度制御装置;を含む。
【0010】
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部
にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部のガス循環装置のガス温度のうち
の一つ以上のガス温度を測定する温度センサ;前記ガス循環装置のガスホースの少なくと
も一部に熱を提供する加熱装置;及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御部
;を含み、前記温度制御部は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガス温度が
一定の温度になるように前記加熱装置の温度を制御するものであってよい。
【0011】
さらに、前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤をガスと共
に噴射する薬剤及びガス噴射装置;を含んでよい。
【0012】
一方、前述した目的を達成するために、他の側面において、本発明の例示的な具現例に
係る腹腔内ガスを提供するシステムは、薬剤及びガス噴射装置を含み、前記薬剤及びガス
噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器;ガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の
供給を受け、腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与
器;及び前記薬剤及びガス投与器の末端に配置され、腹腔内部に薬剤とガスを共に噴射す
る二流体ノズル;を含む。
【0013】
また、前記システムは、腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステム、特に腹腔内温熱抗癌
化学療法のためのシステムであってよい。
【0014】
このようなシステムは、個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結
されガスを循環するためのポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させ
るガス循環装置;及び前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置のガス
温度を制御する温度制御装置;を含む。ここで前記ガス循環装置の腹腔内ガス投入部とし
て、前述した薬剤及びガス噴射装置が含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の例示的な具現例に係るシステムによって、個体の腹腔を膨張させるためのガス
、例えば二酸化炭素を供給し、腹腔内部のガスを循環部の循環ポンプで循環させながら加
熱して腹腔内部の温度を効果的に維持することができる。
【0016】
さらに、本発明の例示的な具現例に係るシステムによれば、個体の腹腔を膨張させるた
めのガス、例えば二酸化炭素と、膨張した腹腔内部に微粒化した薬剤、例えば抗癌剤を二
流体ノズルによって共に噴射することで、高圧で注入される抗癌剤をより高いレベルに微
粒化して腹腔内に隈なく噴射させることができ、且つ噴射方向を調節することが非常に容
易になる。このように微粒化した抗癌剤は、膨張した腹腔内に隈なく行き渡ることができ
、癌細胞が転移した腹膜に効果的に作用することができるため、抗癌治療効果を極大化す
ることができる。
【0017】
したがって、本発明の例示的な具現例に係るシステムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のた
めのシステムとして用いられ、腹腔内のガス温度を一定の温度に維持しながら少量の抗癌
剤をより効果的に癌細胞に伝達して抗癌治療効果を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。
図2図1に示されたシステムにおけるA部分を拡大した部分断面図である。
図3図1に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
図4】本発明の第2実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。
図5図4に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
図6】本発明の第3実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。
図7図6に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
図8】本発明の第4実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。
図9図8に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
図10】本発明の第5実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。
図11図10に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一側面
一側面において、本発明の例示的な具現例を詳述すると、次のとおりである。
【0020】
本発明の一側面の例示的な具現例に係るシステム(装置)は、腹腔内温熱加圧ガスを循
環するシステム(装置)であって、大別してガス循環装置及び温度制御装置を含む。
【0021】
前記ガス循環装置は、個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結さ
れガスを循環し加圧するための一つ以上のポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び
腹腔に循環させる。
【0022】
一具現例において、前記ガス循環装置は、腹腔内部に加圧ガスを投入する腹腔内ガス投
入部、及び腹腔から外部にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内部に
投入する循環部を含んでよい。
【0023】
一具現例において、前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤
をガスと共に噴射する、一つ以上の薬剤及びガス噴射装置を含んでよい。また、前記薬剤
及びガス噴射装置とは別に、ガスを供給するために腹腔に套管される一つ以上の套管器(
ガス供給トロカール)をさらに含んでよい。
【0024】
一具現例において、前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器、ガスホ
ースに連結されて加圧されたガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け、
腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器を含んでよ
い。前記薬剤及びガス投与器の末端には、腹腔内部に薬剤とガスを噴射するノズルが配置
されてよい。
【0025】
一具現例において、前記薬剤及びガス投与器は、例えばヘッド、前記ヘッドに連なる胴
部及び前記胴部下部の腹腔套管部を含むように構成されてよい。ガスホースは、前記ヘッ
ド及び胴部のうちの一方以上に連結されてガスを供給してよい。また、後述するように、
温度センサが胴部の一方側に装着されてよい。
【0026】
一具現例において、前記ノズルは、後述するように特に二流体ノズルであることが好ま
しい。ノズルからの噴射時の圧力は、腹腔内圧力未満の圧力、例えば、6~14mmHg
又は6~15mmHgであってよい。
【0027】
一具現例において、前記ガス循環部は、循環部のガスホースである循環ホース、及び前
記循環ホースに連結され循環ガスの圧力を上昇させる一つ以上の循環ポンプを含んでよい
【0028】
前記ガス循環部の循環ガスは、ガス排出部から排出されポンプによって循環部を回って
、後述するように温度制御装置を経て、加熱及び/又は加圧された後、前記腹腔内ガス投
入部に再び提供されてよい。
【0029】
ここで、ガス循環部の循環ガスは、薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管さ
れたガス流入トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及びガス流入トロカー
ルのそれぞれに提供されてよい。
【0030】
一具現例において、前記ガス循環装置には、ガスを供給するためのガス供給部がさらに
含まれてよい。当該ガス供給部は、ガス循環装置の腹腔内ガス投入部及びガス循環部のう
ちの一方以上に連結されるように構成されてよい。
【0031】
例えば、一具現例において、前記腹腔内ガス投入部の薬剤及びガス噴射装置にガスが供
給されるようにガス供給部を連結してよい。このようなガス供給部は、ガスを発生させる
ガス注入器及び前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される
ガスホース(第1ホース)を含んでよい。また、前記ガス供給部は、前記ガスホースを通
じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプをさらに含んでよい。
【0032】
一具現例において、前記ガス供給部のガスホースは、一本以上の分岐されたガスホース
(第2ホース)をさらに含んでよい。このように分岐されたホースは循環部に連結されて
よい。
【0033】
また、一具現例において、前記循環部にガスを供給するガス供給部が直接連結されるよ
うにしてもよい。このようなガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器及び前記ガス注
入器からのガスが流動し、循環部に連結されるガスホース(第3ホース)(図示せず)を
含んでよい。
【0034】
一具現例において、前記ガス循環部には、二本以上のガスホースを連結するバルブを一
つ以上含んでよい。
【0035】
例えば、前記循環部は、循環ホースと前述したガス供給部のガスホース(第1ホース)
から分岐されたホース(第2ホース)とを連結し、薬剤及びガス投与器にガスを排出する
バルブ(第1バルブ)を含んでよい。
【0036】
また、前記循環部は、第3ホースと循環ホースとを連結し、循環ポンプにガスを排出す
るバルブ(第2バルブ)を含んでよい。
【0037】
また、前記循環部は、循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを提供
するバルブ(第3バルブ)をさらに含んでよい。前記第3バルブから一本以上のガスホー
スが薬剤及びガス投与器に連結されてよい。例えば、前記第3バルブから二本のガスホー
スが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結され、又は前記第3バルブから一本の
ガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう一本のガスホースが第2トロカールに
連結されてよい。
【0038】
一方、前記温度制御装置は、腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置の
ガス温度を制御する。このために、温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部の
ガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定した後、これに基づいて腹腔
内ガス温度を制御してよい。
【0039】
具体的に、一具現例において、前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部
のガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定する一つ以上の温度センサ
、前記ガス循環装置のガスホースの少なくとも一部に熱を提供する、例えば熱線コイルの
ような加熱装置、及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御部(コントローラ
)を含んでよい。
【0040】
前記温度制御部(コントローラ)は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガ
ス温度が一定の温度、例えば38℃~42℃に維持されるように、前記加熱装置の温度を
制御してよい。
【0041】
前記温度センサは複数備えられてよい。すなわち、本発明のシステムは、腹腔内部に噴
射されるガスの温度を測定する第1温度センサを少なくとも含んでよく、更に、ガス循環
装置のガスホースの温度を測定する一つ以上のセンサを含んでよい。例えば、前記循環部
の循環ホースガスの温度を測定する第2温度センサ、前記循環部から薬剤及びガス投与器
に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサのうちの一つ以上をさらに含んでよい
【0042】
一具現例において、前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一つ以上の測
定値に基づいて各ガスホースからのガス供給量を調節してよい。すなわち、循環ホース、
第1ホース、第2ホースなどのガスホースを流動するガスの温度が異なり得るため、前述
した第2温度及び第3温度センサのうちの一つ以上の各温度測定値に基づいて各ガスホー
スのガス流量を調節して腹腔内に投入されるガス温度を調節してよい。
【0043】
一具現例において、前記システムのガスは二酸化炭素であってよい。
【0044】
一具現例において、腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステムは、特に腹腔内温熱抗癌化
学療法のためのシステムであり、前記薬剤は抗癌剤であってよい。
【0045】
このように、前述したシステムを用いることによって、腹腔内温熱抗癌化学療法を遂行
するにあたって腹腔内部のガスの温度と圧力を効果的に維持し、且つ薬物を腹腔内に隈な
く噴射して、抗癌治療効果を極大化することができる。
【0046】
他の側面
一方、他の側面において、本発明の例示的な具現例を詳述すると、次のとおりである。
【0047】
他の側面において、本発明の例示的な具現例に係るシステム(装置)は、薬剤及びガス
噴射装置を含む腹腔内ガス提供システム、特に腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステム、
特に腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムである。
【0048】
前記システムは、前記薬剤及びガス噴射装置を含むガス循環装置及び温度制御装置を含
んでよい。以下、各詳述する。
【0049】
前記ガス循環装置は、個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結さ
れガスを循環し加圧するための一つ以上のポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び
腹腔に循環させる。
【0050】
一具現例において、前記ガス循環装置は、腹腔内部に加圧ガスを投入する腹腔内ガス投
入部、及び腹腔から外部にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内部に
投入する循環部を含んでよい。
【0051】
一具現例において、前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤
をガスと共に噴射する、前述した薬剤及びガス噴射装置を一つ以上含んでよい。また、前
記薬剤及びガス噴射装置とは別にガスを供給するために腹腔に套管される一つ以上の套管
器(ガス供給トロカール)をさらに含んでよい。
【0052】
一具現例において、前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器、ガスホ
ースに連結されて加圧されたガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け、
腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器を含んでよ
い。前記薬剤及びガス投与器の末端には、腹腔内部に薬剤とガスを噴射する二流体ノズル
が配置されてよい。
【0053】
一具現例において、前記薬剤及びガス投与器は、例えばヘッド、前記ヘッドに連なる胴
部、及び前記胴部下部の腹腔套管部を含むように構成されてよい。ガスホースは、前記ヘ
ッド及び胴部のうちの一方以上に連結されてガスを供給してよい。また、後述するように
、温度センサが胴部の一方側に装着されてよい。
【0054】
一具現例において、二流体ノズルは、薬剤とガスが共に投与される構造を有する。例え
ば、二流体ノズルは薬剤が供給される一本以上の薬剤ライン、ガス供給通路である一本以
上のガスラインを含んでよく、選択的にガスと薬剤とが混合される一つ以上の混合室を有
してよい。また、二流体ノズルは、ノズルの前方に位置する微細孔である排出口を一つ以
上含んでよい。
【0055】
一具現例において、二流体ノズルからの噴射時の圧力は、腹腔内圧力未満の圧力、例え
ば、6~14mmHg又は6~15mmHgとする。噴射圧力は、各ラインのサイズと微
細孔のサイズ、混合室の有無などに応じて調節してよい。
【0056】
このように二流体ノズルを用いると高圧薬剤と加圧ガスが共に腹腔内に噴射されること
で優れた微粒化程度を示すだけでなく、薬剤のみを提供する一流体ノズルの場合は腹腔内
の所望の病巣に噴射し難く且つ噴射方向の制御が難しいのに対し、二流体ノズルを用いる
と噴射方向を調節するのが遥かに容易となり腹腔内抗癌療法を遂行するうえで極めて適合
している。
【0057】
一具現例において、前記ガス循環部は、循環部のガスホースである循環ホース、及び前
記循環ホースに連結され循環ガスの圧力を上昇させる一つ以上の循環ポンプを含んでよい
【0058】
前記ガス循環部の循環ガスは、ガス排出部から排出されてポンプによって循環部を回っ
て、後述するように温度制御装置を経て、加熱及び/又は加圧された後、前記腹腔内ガス
投入部に再び提供されてよい。
【0059】
ここで、ガス循環部の循環ガスは、薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管さ
れたガス流入トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及びガス流入トロカー
ルのそれぞれに提供されてよい。
【0060】
一具現例において、前記ガス循環装置には、ガスを供給するためのガス供給部がさらに
含まれてよい。当該ガス供給部は、ガス循環装置の腹腔内ガス投入部及びガス循環部のう
ちの一方以上に連結されるように構成されてよい。
【0061】
例えば、一具現例において、前記腹腔内ガス投入部の薬剤及びガス噴射装置にガスが供
給されるようにガス供給部を連結してよい。このようなガス供給部は、ガスを発生させる
ガス注入器及び前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される
ガスホース(第1ホース)を含んでよい。また、前記ガス供給部は、前記ガスホースを通
じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプをさらに含んでよい。
【0062】
一具現例において、前記ガス供給部のガスホースは、一本以上の分岐されたガスホース
(第2ホース)をさらに含んでよい。このように分岐されたホースは循環部に連結されて
よい。
【0063】
また、一具現例において、前記循環部にガスを供給するガス供給部が直接連結されるよ
うにしてもよい。このようなガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器及び前記ガス注
入器からのガスが流動し、循環部に連結されるガスホース(第3ホース)(図示せず)を
含んでよい。
【0064】
一具現例において、前記ガス循環部には二本以上のガスホースを連結するバルブを一つ
以上含んでよい。
【0065】
例えば、前記循環部は、循環ホース及び前述したガス供給部のガスホース(第1ホース
)から分岐されたホース(第2ホース)を連結し薬剤及びガス投与器にガスを排出するバ
ルブ(第1バルブ)を含んでよい。
【0066】
また、前記循環部は、第3ホース及び循環ホースを連結し、循環ポンプにガスを排出す
るバルブ(第2バルブ)を含んでよい。
【0067】
また、前記循環部は、循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを提供
するバルブ(第3バルブ)をさらに含んでよい。前記第3バルブから一本以上のガスホー
スが薬剤及びガス投与器に連結されてよい。例えば、前記第3バルブから二本のガスホー
スが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結され、又は前記第3バルブから一本の
ガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう一本のガスホースが第2トロカールに
連結されてよい。
【0068】
一方、前記温度制御装置は、腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置の
ガス温度を制御する。このために、温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部の
ガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定した後、これに基づいて腹腔
内ガス温度を制御してよい。
【0069】
具体的に、一具現例において、前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部
のガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定する一つ以上の温度センサ
、前記ガス循環装置のガスホースの少なくとも一部に熱を提供する、例えば熱線コイルの
ような加熱装置、及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御部(コントローラ
)を含んでよい。
【0070】
前記温度制御部(コントローラ)は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガ
ス温度が一定の温度、例えば38℃~42℃に維持されるように前記加熱装置の温度を制
御してよい。
【0071】
前記温度センサは複数備えられてよい。すなわち、本発明のシステムは、腹腔内部に噴
射されるガスの温度を測定する第1温度センサを少なくとも含んでよく、さらに、ガス循
環装置のガスホースの温度を測定する一つ以上のセンサを含んでよい。例えば、前記循環
部の循環ホースガスの温度を測定する第2温度センサ、前記循環部から薬剤及びガス投与
器に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサのうちの一つ以上をさらに含んでよ
い。
【0072】
一具現例において、前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一つ以上の測
定値に基づいて各ガスホースからのガス供給量を調節してよい。すなわち、循環ホース、
第1ホース、第2ホースなどのガスホースを流動するガスの温度が異なることがあるため
、前述した第2温度及び第3温度センサのうちの一つ以上の各温度測定値に基づいて各ガ
スホースのガス流量を調節して腹腔内に投入されるガス温度を調節してよい。
【0073】
一具現例において、前記システムは、特に腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムで
あり、薬剤は抗癌剤であってよく、ガスは二酸化炭素であってよい。
【0074】
前述したように、本発明のシステムを用いることで腹腔内温熱抗癌化学療法を遂行する
にあたって腹腔内部のガスの温度と圧力を効果的に維持し、且つ薬物を腹腔内に隈なく噴
射して、抗癌治療効果を極大化することができる。
【0075】
以下、前述した本発明の例示的な具現例に係るシステムに関する実施例を、図面を参照
してより詳しく説明する。なお、これらの実施例は単に本発明を説明するためのものであ
るにすぎず、これらによって本発明の技術的思想やその核心構成及び作用が制限されるも
のではないことが理解できる。
【0076】
以下の各実施例で重複する構成及び作動の説明は省略する。例えば、図2のノズルはす
べての実施例において共通して用いられ得る。
【実施例0077】
第1実施例
図1は、本発明の一実施例に係る腹腔内温度維持のための気体循環装置及び温度制御装
置を含むシステム1(以下、「システム1」という)の構成を示す概略図である。
【0078】
図2は、図1に示されたシステムにおけるA部分を拡大した部分断面図である。
【0079】
図3は、図1に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図で
ある。
【0080】
図1~3を参照すると、前記システム1(装置)は、個体の腹腔内部2の空間を膨張さ
せるための加圧ガスを腹腔内に投入し、これを腹腔外部に排出した後、これを加熱及び/
又は加圧して再び腹腔内部に投入するガス循環装置と、当該ガス循環装置の温度を制御す
る温度制御装置を含む。これにより、膨張した腹腔内部2の空間が一定の温度及び圧力を
維持できるようにする。
【0081】
前記ガス循環装置は、腹腔内加圧ガスを投入する腹腔内ガス投入部として、ガスと薬剤
を腹腔内部2に微細噴射する薬剤及びガス噴射装置20を含み、当該薬剤及びガス噴射装
置20に加圧ガスを供給するガス供給部10を含んでよい。また、前記ガス循環装置は、
ガスを循環させる循環部30を含んでよい。
【0082】
先ず、ガス供給部10は、個体の腹腔内部2を膨張させるためのガスを発生させるガス
注入器11、発生されたガスを薬剤噴射装置20に供給するためのポンプ12、及びガス
注入器11から薬剤噴射装置20まで連結されてガスを輸送する第1ホース13を含んで
よい。
【0083】
ガス注入器11ではガスを例えば、12~14barの圧力で供給し、ポンプ12はガ
スを例えば、約3barの圧力で薬剤及びガス噴射装置20に供給する。このとき、前記
ガスは、例えば、二酸化炭素であってよい。
【0084】
薬剤及びガス噴射装置20は、高圧で注入される薬剤をガスと共に微粒化して腹腔内部
2に隈なく噴射させる装置であって、薬剤(例えば、抗癌剤)注射器21、これに連結さ
れる薬剤及びガス投与器22、及び前記薬剤及びガス投与器の末端のノズル23を含む。
【0085】
薬剤注射器21は、腹腔内部2に投与される薬剤を高圧で薬剤及びガス投与器22上に
供給する。このとき、薬剤注射器21上の薬剤は、約1500kPa以下の圧力で薬剤及
びガス投与器22上に供給されてよい。
【0086】
薬剤及びガス投与器22は、ガス供給部10からの加圧ガスと薬剤注射器21からの薬
剤の供給を受けて個体の腹腔内部2に前記ガスと薬剤を吐出する。このとき、薬剤を微粒
化して噴射させるために、薬剤及びガス投与器22の末端にはノズル23が設置されてい
る。
【0087】
ここで、好ましくは、前記ノズル23は、図2に示されたように、二流体ノズル23’
であってよい。図2には二流体ノズル23’の断面図が示されており、二流体ノズル23
’からガスと薬剤が共に噴射される。具体的に、薬剤ライン231を通じて供給された薬
剤とガスライン232を通じて供給されたガスとは混合室233で混合されて、排出口2
34から微細噴射される。
【0088】
このように、本発明の好ましい一実施例に係るシステム1は、二流体ノズルの原理で薬
剤を微粒化するため、既存のPIPACに使用中の一流体ノズルに比べて優れた微粒化程
度を示し、且つ優れた微粒化レベルを示すとともに噴射方向の調節が容易である。このよ
うに微粒化した抗癌剤の場合、膨張した腹腔内部2に隈なく行き渡って癌細胞が転移した
腹膜に効果的に作用する。
【0089】
また、薬剤及びガス噴射装置20のノズルの末端には腹腔内部2に噴射されるガスの温
度を測定する第1温度センサ42が配置されてよい。後述するように、第1温度センサ4
2でガスの温度を測定して、個体の腹腔内に吐出されるガスの温度を38~42℃、又は
好ましくは41~42℃、より好ましくは42℃に維持することができる。これによって
、患者の腹腔内癌性腹膜炎(Peritoneal carcinomatosis)へ
の抗癌剤の浸透を増加させて抗癌治療効果を極大化することができる。
【0090】
一方、個体の腹腔内部2に注入されたガスは個体の腹腔内壁を加圧して腹腔を膨張させ
、次いで排出されて循環する。
【0091】
このために、循環部30は、腹腔から外部にガスを排出させてシステム1に該ガスを回
収し、腹腔外部で循環させて再び腹腔内に投入する。
【0092】
具体的に、循環部30は、腹腔に套管されてガスを排出する套管器(ガス排出トロカー
ル;以下、第1トロカール)31、循環ポンプ32、循環ホース33、及び循環バルブ3
4を含んでよい。すなわち、第1トロカール31は、腹腔内ガス回収器であって、腹腔内
部2に挿入されて腹腔内部2のガスを回収する。回収されたガスは、循環ホース33を通
じて循環バルブ34に供給される。このとき、循環ポンプ32は、回収されたガスの循環
が可能になるようにガスを加圧する。
【0093】
一方、腹腔内部2を循環したガスがシステム1上に回収される過程で損失が発生するこ
とがある。該損失されたガスに相当する量のガスは、ガス注入器11とポンプ12との間
で分岐された第2ホース35を通じて循環バルブ34上に供給されてよい。
【0094】
循環バルブ34は、腹腔内部2から回収されたガス及び/又は第2ホース35によって
供給されたガスをバルブの開閉によって薬剤及びガス投与器22に再び供給し又は遮断す
ることができる。
【0095】
前記温度制御装置は、前記ガスの温度を一定の温度に制御するためにガスの温度を測定
する温度センサ、ガスホースを加熱する熱線コイル(加熱装置)、温度センサの測定値に
基づいて熱線コイルを制御する温度制御部(コントローラ)40を含んでよい。
【0096】
温度制御装置は、第1ホース13、第2ホース35及び循環ホース33のそれぞれに巻
き回されている熱線コイル41、第1温度センサ42、第2温度センサ43及び第3温度
センサ44を含んでよい。因みに、便宜上、第1ホース13、第2ホース35及び循環ホ
ース33のそれぞれに巻き回されている熱線コイル41をそれぞれ第1熱線コイル、第2
熱線コイル及び第3熱線コイルと称することがある。
【0097】
温度制御部(コントローラ)40は、それぞれの温度センサ42、43、44で測定さ
れた温度に基づいて、熱線コイル41に印加される電圧及びこれによる熱線コイル41の
発熱度合を調節することでガスの温度を一定の温度になるようにすることができる。これ
により、個体の腹腔内部2に吐出されるガスの温度を一定の温度に維持することができる
【0098】
以下では、特に図3を参照して、薬剤の噴射及び腹腔内の温度維持について説明する。
【0099】
個体の腹腔内部2に薬剤及びガスが吐出される場合は、循環バルブ34を閉にしてよい
。これによって、薬剤投与器22に供給されるガスはガス供給部10から供給されるガス
であり、循環ホース33及び第2ホース35に連結された循環バルブ34を通じてのガス
の供給は閉になる。個体の腹腔内部2に吐出される薬剤及びガスの温度は第1温度センサ
42によって測定され、温度制御部40は、前記第1温度センサ42の測定値に基づいて
、腹腔内部2の温度が前述したように38~42℃、又は好ましくは41~42℃、より
好ましくは42℃に維持されるように加熱装置を制御する。
【0100】
具体的に、温度制御部40は、ガス供給部10と薬剤投与器22との間の第1ホース1
3に巻き回された熱線コイル41の温度を調節して、ガス供給部10を通じて供給される
ガスの温度を調節することができる。
【0101】
次に、薬剤注射器21上の薬剤を全て個体の腹腔内部2に投与した後に、腹腔内のガス
を循環させる。このとき、循環部30上に回収されるガスは、腹腔内部2での熱伝達によ
って温度が下降した状態である。したがって、回収されたガスは循環ホース33上に巻き
回された熱線コイル41によって温度が上昇する。循環ホース33内のガスの温度は第2
温度センサ43で測定され、所定の設定値に維持され得る。
【0102】
なお、個体の腹腔内部2で損失されたガスは第2ホース35を通じて補充されてよく、
第2ホース35内のガスの温度は循環ホース33内のガスの温度よりも低くてよい。これ
により、循環ホース33内のガスの温度は42℃以上に維持することができ、循環ホース
33内のガスの温度の設定値は第2ホース35を通じて供給されるガスの量によって調節
することができる。
【0103】
循環バルブ34では腹腔内部2から回収されて循環ホース33によって供給されるガス
及び/又は第2ホース35によって供給されたガスが混合される。循環バルブ34と薬剤
投与器22との間には第3温度センサ44が配置されている。これにより、第3温度セン
サ44は循環ホース33によって供給されるガス及び/又は第2ホース35によって供給
されたガスが混合された場合の温度を測定する。温度制御部40は、第3温度センサ44
で測定されたガスの温度に基づいて、循環ホース33に巻き回されたコイル及び/又は第
2ホース35に巻き回されたコイルの温度を調節することができる。
【0104】
また、第1温度センサ42は、個体の腹腔内部2に吐出されるガスの温度を測定する。
温度制御部40は、前記第1温度センサ42の測定値に基づいて、前記第3温度センサ4
4で測定されるガスの温度を調節することで、腹腔内部2の温度を前述したように、38
~42℃、又は好ましくは41~42℃、より好ましくは42℃に維持するように調節す
ることができる。
【0105】
このように、本発明のシステム1は、複数の温度センサ42、43、44及び熱線コイ
ル41、これを制御する温度制御部40を含むことで、腹腔内部2の温度を予め設定した
所定の値に一定に維持することができる。
【0106】
第2実施例
図4は、本発明の第2実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。図5は、
図4に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
【0107】
図4及び5を参照すると、本実施例のシステム1(装置)は、ガス供給部が循環部に直
接連結されることを除いては、第1実施例と類似した構成を有する。
【0108】
すなわち、循環部30は、循環部でガスを供給するガス供給部(10)をさらに含み、
ここで、ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器11及び前記ガス注入器11からの
ガスが流動し、循環部30に連結されるガスホース(第3ホース)を含む。ガス注入器1
1は、第1実施例と同様にガスを、例えば12~14barの圧力で供給してよく、該ガ
スの圧力は循環ポンプ32を通りながら調節されてよい。
【0109】
また、前記循環部30は、第3ホースのガス及び循環ホースのガスが流入され、循環ポ
ンプ32にガスを排出するスリーウェイバルブ(第2バルブ)34をさらに含んでよい。
また、循環ポンプ32からガスが流入され薬剤及びガス投与器22にガスを提供するスリ
ーウェイバルブ(第3バルブ)34をさらに含んでよい。
【0110】
前記第3バルブから一本以上のガスホース、例えば二本のガスホースが薬剤及びガス投
与器22の互いに異なる位置、例えば、ヘッド部及び胴部にそれぞれ連結されてよい。
【0111】
前記胴部に連結されたガスホースのガスの温度を測定する温度センサ(第3温度センサ
)44が備えられてよいことは第1実施例の場合と同様であり、それ以外の構成及び作動
も第1実施例と同様である。
【0112】
第3実施例
図6は、本発明の第3実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。図7は、
図6に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
【0113】
図6及び7を参照すると、本実施例のシステム1(装置)は、循環部30のスリーウェ
イバルブ(第3バルブ)34から一本のガスホースが薬剤及びガス投与器22に連結され
、もうの一本のガスホースは腹腔に套管されるガス投入のための套管器のガス流入トロカ
ール(以下、第2トロカール)37に連結されることを除いては、第2実施例と類似した
構成を有する。
【0114】
これにより、薬剤及びガス投与器22から薬剤とガスを共に腹腔内に投入し、また別の
第2トロカールからガスを腹腔内に投入することができる。それ以外の構成及び作動は第
2実施例と同様である。
【0115】
第4実施例
図8は、本発明の第4実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。図9は、
図8に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である。
【0116】
図8及び9を参照すると、本実施例のシステム1(装置)は、ガス供給部のガス注入器
11が別途の分岐ホースやポンプを介することなく薬剤及びガス投与器22のヘッド側に
連結されることを除いては、第1実施例と類似した構成を有する。
【0117】
また、循環部30では循環ホース33が薬剤及びガス投与器22の胴部側に連結され、
これに第2温度センサが装着されて温度を測定する。それ以外の構成及び作動は第1実施
例と同様である。
【0118】
第5実施例
図10は、本発明の第5実施例に係るシステム装置の構成を示す概略図である。図11
は、図10に示されたシステム装置を薬剤及びガスの流れと共に図式化した概略図である
【0119】
図10及び11を参照すると、本実施例のシステム1(装置)は、循環部30では循環
ホース33が薬剤及びガス投与器22ではなくガス投入のための別途の套管器の第2トロ
カール37に連結されることを除いては、第4実施例と類似した構成を有する。
【0120】
循環部30のガスホースにガス温度を測定するための制2温度センサ43が備えられる
ことは第1実施例と同様である。それ以外の構成及び作動は第1実施例と同様である。
【0121】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例をより詳しく説明したが、本発明は必ずし
もこれらの実施例に局限されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種
々に変形実施され得る。よって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定
するためではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思
想の範囲が限定されるものではない。それ故に、以上で述べた実施例はすべての面で例示
的なものであり限定的なものではないと理解されるべきである。本発明の保護範囲は特許
請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想
は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のシステムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムとして用いられ、腹腔
内のガス温度を一定の温度に維持しながら少量の抗癌剤をより効果的に癌細胞に伝達して
抗癌治療効果を極大化することができる。
【符号の説明】
【0123】
1:システム 2:腹腔内部
10:ガス供給部 11:ガス注入器
12:ポンプ 13:第1ホース
20:薬剤噴射装置 21:薬剤注射器
22:薬剤投与器 23(23’):ノズル(二流体ノズル)
30:循環部 31:第1トロカール
32:循環ポンプ 33:循環ホース
34:循環バルブ 35:第2ホース
37:第2トロカール 40:温度制御部
41:熱線コイル 42:第1温度センサ
43:第2温度センサ 44:第3温度センサ
231:薬剤ライン 232:ガスライン
233:混合室 234:排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔内圧ガスを循環するシステムであって、
個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結されガスを循環するためのポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させるガス循環装置
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤をガスと共に噴射する薬剤及びガス噴射装置;を含み、
前記循環部は、腹腔に套管されガスを排出する第1トロカール、前記第1トロカールに連結されたガスホースである循環ホース、及び前記循環ホースに連結され循環ガスの圧力を上昇させる循環ポンプ;を含み、
前記循環部の循環ガスは、前記薬剤及びガス噴射装置及び腹腔に套管された第2トロカールに提供されることを特徴とする、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例をより詳しく説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に局限されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々に変形実施され得る。よって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。それ故に、以上で述べた実施例はすべての面で例示的なものであり限定的なものではないと理解されるべきである。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。

本発明は、以下の態様を含む。
<1>
腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステムであって、
個体の腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結されガスを循環するためのポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させるガス循環装置;及び
前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置のガス温度を制御する温度制御装置;を含むことを特徴とするシステム。
<2>
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部のガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定する温度センサ;前記ガス循環装置のガスホースの少なくとも一部に熱を提供する加熱装置;及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御部;を含み、
前記温度制御部は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガス温度が一定の温度になるように前記加熱装置の温度を制御することを特徴とする、<1>に記載のシステム。
<3>
前記腹腔内ガス投入部は、個体の腹腔内部へのガス投入の際に薬剤をガスと共に噴射する薬剤及びガス噴射装置;を含むことを特徴とする、<2>に記載のシステム。
<4>
前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器;
ガスホースに連結されて加圧ガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け、腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器;及び
前記薬剤及びガス投与器の末端に配置され、腹腔内部に薬剤とガスを噴射するノズル;を含むことを特徴とする、<3>に記載のシステム。
<5>
前記循環部は、腹腔に套管されガスを排出する第1トロカール、前記第1トロカールに連結されたガスホースである循環ホース、及び前記循環ホースに連結され循環ガスの圧力を上昇させる循環ポンプ;を含み、
前記循環部の循環ガスは、前記薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管された第2トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及び第2トロカールに提供されることを特徴とする、<4>に記載のシステム。
<6>
前記腹腔内ガス投入部は、薬剤及びガス噴射装置にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される第1ホース;を含むことを特徴とする、<5>に記載のシステム。
<7>
前記ガス供給部は、第1ホースを通じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプ;をさらに含むことを特徴とする、<6>に記載のシステム。
<8>
前記ガス供給部は、第1ホースから分岐された第2ホースをさらに含み、
前記循環部は、循環ホース及び第2ホースのガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを排出する第1バルブをさらに含むことを特徴とする、<6>に記載のシステム。
<9>
前記循環部は、循環部にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、循環部に連結される第3ホース;を含むことを特徴とする、<5>に記載のシステム。
<10>
前記循環部は、第3ホースのガス及び循環ホースのガスが流入され、循環ポンプにガスを排出する第2バルブ;をさらに含むことを特徴とする、<9>に記載のシステム。
<11>
前記循環部は、循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを提供する第3バルブ;をさらに含み、
前記第3バルブから一本以上のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結されることを特徴とする、<9>に記載のシステム。
<12>
前記第3バルブから二本のガスホースが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結され、又は前記第3バルブから一本のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう一本のガスホースが第2トロカールに連結されることを特徴とする、<11>に記載のシステム。
<13>
前記加熱装置は、ガスホースの少なくとも一部分に巻き回される熱線コイルであり、
前記温度制御装置は、腹腔内部に噴射されるガスの温度を測定する第1温度センサ;を含み、
前記第1温度センサの測定値に基づいて前記腹腔内部のガスの温度が38℃~42℃に維持されるように熱線コイルの温度を制御することを特徴とする、<5>に記載のシステム。
<14>
前記温度制御装置は、前記循環部のガスの温度を測定する第2温度センサ;及び前記循環部から薬剤及びガス投与器に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサ;のうちの一方以上をさらに含むことを特徴とする、<13>に記載のシステム。
<15>
前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一方以上の測定値に基づいて各ガスホースからのガス供給量を調節することを特徴とする、<10>に記載のシステム。<16>
前記ガスは二酸化炭素であることを特徴とする、<1>~<15>のいずれか一項に記載のシステム。
<17>
前記システムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムであり、前記薬剤は抗癌剤であることを特徴とする、<1>~<15>のいずれか一項に記載のシステム。
<18>
腹腔内ガスを提供するシステムであって、
前記システムは、薬剤及びガス噴射装置;を含み、
前記薬剤及びガス噴射装置は、薬剤を供給する薬剤注射器;
ガスの供給を受け、前記薬剤注射器から薬剤の供給を受け、腹腔に套管されて個体の腹腔内部に薬剤とガスを投与する薬剤及びガス投与器;及び
前記薬剤及びガス投与器の末端に配置され、腹腔内部に薬剤とガスを共に噴射する二流体ノズル;を含むことを特徴とするシステム。
<19>
前記システムは、腹腔内温熱加圧ガスを循環するシステムであって、
腹腔に連結されるガスホース及び前記ガスホースに連結されガスを循環するためのポンプを含み、腹腔から排出されたガスを再び腹腔に循環させるガス循環装置;及び
前記腹腔内部のガスが一定の温度になるようにガス循環装置のガス温度を制御する温度制御装置;を含み、
前記ガス循環装置が、前記薬剤及びガス噴射装置を含むことを特徴とする、<18>に記載のシステム。
<20>
前記ガス循環装置は、腹腔内部にガスを投入する腹腔内ガス投入部;及び腹腔から外部にガスを排出させ、腹腔外部でガスを循環させて再び腹腔内に投入する循環部;を含み、
前記腹腔内ガス投入部が前記薬剤及びガス噴射装置を含み、
前記温度制御装置は、腹腔内部のガス温度及び腹腔外部のガス循環装置のガス温度のうちの一つ以上のガス温度を測定する温度センサ;前記ガス循環装置のガスホースの少なくとも一部に熱を提供する加熱装置;及び前記加熱装置と温度センサに連結された温度制御部;を含み、
前記温度制御部は、前記温度センサの測定値に基づいて腹腔内部のガス温度が一定の温度になるように前記加熱装置の温度を制御することを特徴とする、<19>に記載のシステム。
<21>
前記循環部は、腹腔に套管されガスを排出する第1トロカール、前記第1トロカールに連結されたガスホースである循環ホース、及び前記循環ホースに連結され循環ガスの圧力を上昇させる循環ポンプ;を含み、
前記循環部の循環ガスは、前記薬剤及びガス投与器に提供され、又は腹腔に套管された第2トロカールに提供され、又は前記薬剤及びガス投与器及び第2トロカールに提供されることを特徴とする、<20>に記載のシステム。
<22>
前記腹腔内ガス投入部は、前記薬剤及びガス噴射装置にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、薬剤及びガス噴射装置に連結される第1ホース;を含むことを特徴とする、<21>に記載のシステム。
<23>
前記ガス供給部は、第1ホースを通じて流動するガスの圧力を上昇させるポンプ;及び第1ホースから分岐された第2ホース;をさらに含み、
前記循環部は、循環ホース及び第2ホースのガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを排出する第1バルブをさらに含む、<22>に記載のシステム。
<24>
前記循環部は、循環部にガスを供給するガス供給部をさらに含み、
前記ガス供給部は、ガスを発生させるガス注入器;及び
前記ガス注入器からのガスが流動し、循環部に連結される第3ホース;を含み、
前記循環部は、第3ホースのガス及び循環ホースのガスが流入され、循環ポンプにガスを排出する第2バルブ;及び循環ポンプからガスが流入され薬剤及びガス投与器にガスを提供する第3バルブ;をさらに含み、
前記第3バルブから二本のガスホースが薬剤及びガス投与器の互いに異なる位置に連結され、又は前記第3バルブから一本のガスホースが薬剤及びガス投与器に連結され、もう一本のガスホースが第2トロカールに連結されることを特徴とする、<21>に記載のシステム。
<25>
前記加熱装置は、ガスホースの少なくとも一部分に巻き回される熱線コイルであり、
前記温度制御装置は、腹腔内部に噴射されるガスの温度を測定する第1温度センサ;を含み、
前記第1温度センサの測定値に基づいて前記腹腔内部のガスの温度が38℃~42℃に維持されるように熱線コイルの温度を制御することを特徴とする、<20>に記載のシステム。
<26>
前記温度制御装置は、前記循環部のガスの温度を測定する第2温度センサ;及び前記循環部から薬剤及びガス投与器に提供されるガスの温度を測定する第3温度センサ;のうちの一方以上を含み、
前記第2温度センサ及び前記第3温度センサのうちの一方以上の測定値に基づいてガスホースへのガス流量を調節することを特徴とする、<25>に記載のシステム。
<27>
前記二流体ノズルは、
薬剤が供給される通路であってノズルの中心に配置される薬剤ライン;
ガスが供給される通路であって前記薬剤ガイドの両側にそれぞれ別に形成された二本のガスライン;
前記薬剤ライン及びガスラインにそれぞれ連結され薬剤とガスとが混合される混合室;を含み、
前記混合室には薬剤とガスとの混合物を腹腔内に噴射するための排出孔が形成されたことを特徴とする、<18>に記載のシステム。
<28>
前記システムは、腹腔内温熱抗癌化学療法のためのシステムであり、前記薬剤は抗癌剤であり、前記ガスは二酸化炭素であることを特徴とする、<18>~<27>のいずれか一項に記載のシステム。
【外国語明細書】