(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063143
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】セピアプテリンの薬学的に許容される塩
(51)【国際特許分類】
C07D 475/04 20060101AFI20240501BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240501BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240501BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240501BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240501BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240501BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
C07D475/04 CSP
A61K31/519
A61P3/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030700
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2020566701の分割
【原出願日】2019-05-30
(31)【優先権主張番号】62/726,612
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/822,336
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/678,025
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2019/37661
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GC
(71)【出願人】
【識別番号】519189843
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス エムピー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】レヴィー, ダニエル, イー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ニール
(72)【発明者】
【氏名】レイス, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】吉野 博
(72)【発明者】
【氏名】薦田 太一
(72)【発明者】
【氏名】城 祐一
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴義
(72)【発明者】
【氏名】岸本 海人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】向上した特性を示すセピアプテリンの新規な医薬塩及び/又は共結晶を提供する。
【解決手段】セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶であって、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶、硫酸塩及び/又は共結晶、リン酸塩及び/又は共結晶、マロン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、フマル酸塩及び/又は共結晶、ゲンチセート塩及び/又は共結晶、又はグリコール酸塩及び/又は共結晶である、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶であって、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶、硫酸塩及び/又は共結晶、リン酸塩及び/又は共結晶、マロン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、フマル酸塩及び/又は共結晶、ゲンチセート塩及び/又は共結晶、又はグリコール酸塩及び/又は共結晶である、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項2】
リン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、グリコール酸塩及び/又は共結晶、フマル酸塩及び/又は共結晶、ゲンチセート塩及び/又は共結晶、マロン酸塩及び/又は共結晶、又はニコチン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項3】
ニコチン酸、リン酸、又は酒石酸塩及び/又は共結晶である、請求項1又は2の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項4】
ニコチン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項5】
リン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項6】
酒石酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項7】
メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項8】
トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項9】
ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項10】
硫酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項11】
マロン酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項12】
フマル酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項13】
フマル酸塩及び/又は共結晶が2:1フマル酸塩及び/又は共結晶である、請求項12の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項14】
ゲンチセート塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項15】
グリコール酸塩及び/又は共結晶である、請求項1の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項16】
結晶である、請求項1~15のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項17】
40重量%未満のアモルファス化合物を含む、請求項16の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
それを必要とする対象におけるテトラヒドロビオプテリン関連障害の治療方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
前記テトラヒドロビオプテリン関連障害が、フェニルケトン尿症又はテトラヒドロビオプテリン欠損症である、請求項19の方法。
【請求項21】
それを必要とする対象におけるテトラヒドロビオプテリンレベルを増加させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項22】
それを必要とする対象におけるフェニルアラニンレベルを低下させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
対象におけるフェニルアラニン水酸化酵素の活性を高める方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項24】
それを必要とする対象におけるフェニルケトン尿症の治療方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
それを必要とする対象におけるセロトニンレベルを増加させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項26】
対象におけるトリプトファン水酸化酵素の活性を増加させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項27】
それを必要とする対象におけるドーパミンレベルを増加させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項28】
対象のチロシン水酸化酵素の活性を高める方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項29】
対象における一酸化窒素合成酵素の活性を高める方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項30】
対象におけるアルキルグリセロールモノオキシゲナーゼの活性を高める方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物が、投与前のテトラヒドロビオプテリンのレベルと比較して、前記対象の血漿中のテトラヒドロビオプテリンのレベルを少なくとも2倍増加させるのに十分な量を含む、請求項19~30のいずれか1項の方法。
【請求項32】
前記有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物が、投与前のテトラヒドロビオプテリンのレベルと比較して、前記対象のCSF及び/又は脳中のテトラヒドロビオプテリンのレベルを少なくとも2倍増加させるのに十分な量を含む、請求項19~30のいずれか1項の方法。
【請求項33】
対象におけるホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルを増加させる方法であって、有効量の請求項1~17のいずれか1項の薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、又は請求項18の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
前記対象のCSF中のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルが増加する、請求項33の方法。
【請求項35】
前記対象中のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルが、投与前のレベルと比較して少なくとも100%増加する、請求項33又は34の方法。
【請求項36】
前記対象がヒトである、請求項19~35のいずれか1項の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プライマリーテトラヒドロビオプテリン欠損症(PBD)は、テトラヒドロビオプテリン(BH4)の生合成を損なうGTPシクロヒドロラーゼI(GTP-CH)、6-ピルボイルテトラヒドロプテリン合成酵素(PTPS)、又はセピアプテリン還元酵素(SR)の欠損によって、又はBH4リサイクルの欠陥(プテリン-4a-カルビノールアミンデヒドラターゼ(PCD)又はジヒドロプテリジン還元酵素(DHPR)欠損)によって生じる。PBDは、高フェニルアラニン血症(HPA)の全症例の1~3%を占め、残りの症例のほぼすべてがフェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症によるものである。
【0002】
BH4は、フェニルアラニン水酸化酵素、チロシン水酸化酵素、トリプトファン水酸化酵素、脂肪酸グリセリルエーテルオキシゲナーゼ、一酸化窒素(NO)合成酵素の必須補因子である。
【0003】
PBDでは、フェニルアラニン(Phe)からチロシン(Tyr)への水酸化が障害された結果、HPAが生じる。Tyrの合成が低下し、Tyr及びトリプトファン水酸化酵素の活性が低下すると、神経伝達物質の形成が低下し、その結果、神経運動障害が発生する。
【0004】
表現型的にはBH4欠損症はHPAと神経伝達物質前駆体であるL-ドーパと5-ヒドロキシトリプトファンの欠損を示し、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症を検出するためにPheを測定するスクリーニングプログラムによって検出される(例外はPhe濃度が正常なSR欠損症患者である)。
【0005】
現在のBH4欠損症の治療は、BH4の経口投与(GTP-CH及びPTPS欠損症の場合)及び/又は低Phe食(主にDHPR欠損症の場合)と、神経伝達物質前駆体であるL-ドーパ及び5-ヒドロキシトリプトファン(5HTP)の投与により、血中Phe濃度を低下させることである。
【0006】
BH4欠損症患者の長期追跡調査の報告はほとんどない。治療法は医師や診療所によって異なり、臨床的なエビデンスに基づくものとは程遠く、薬理学的な薬剤が含まれているが、いずれもこの適応症での販売承認は得られていない。従って、BH4欠損症に対する新しい治療法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、向上した特性を示すセピアプテリンの新規な医薬塩を特徴とする。特に、本発明は、ニコチン酸、リン酸、酒石酸、フマル酸又は塩酸塩のような安定性が向上したセピアプテリンの塩を特徴とする。本発明はまた、薬学的有効量の1つ以上のセピアプテリンの塩を含む医薬組成物、及び本発明のセピアプテリン塩をそれ必要とする対象に投与する工程を含むテトラヒドロビオプテリン関連疾患の治療方法を特徴とする。
【0008】
一態様において、本発明は、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶を特徴とする。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶、p-トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶、リン酸塩及び/又は共結晶(例えば、の1:1リン酸塩及び/又は共結晶、即ち、リン酸1分子に対してセピアプテリン1分子)、マロン酸塩及び/又は共結晶(例えば、1:1マロン酸塩及び/又は共結晶、即ち、マロン酸1分子に対してセピアプテリン1分子)、酒石酸塩及び/又は共結晶(例えば、1:1酒石酸塩及び/又は共結晶、即ち、酒石酸1分子に対してセピアプテリン1分子)、ゲンチセート塩及び/又は共結晶(例えば、2:1ゲンチセート及び/又は共結晶、即ち、ゲンチセート1分子に対してセピアプテリン2分子の)、フマル酸塩及び/又は共結晶(例えば、2:1フマル酸塩及び/又は共結晶、即ち、フマル酸1分子に対してセピアプテリン2分子の)、グリコール酸塩及び/又は共結晶(例えば、3:1グリコール酸塩及び/又は共結晶、即ち、グリコール酸1分子に対してセピアプテリン3分子の)、酢酸塩及び/又は共結晶、又は硫酸塩及び/又は共結晶(例えば、2:1硫酸塩及び/又は共結晶、即ち、硫酸1分子に対してセピアプテリン2分子)である。いくつかの実施形態では、塩は、酸との共結晶である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、向上した特性、例えば、向上した安定性、純度、曝露性、及び/又はバイオアベイラビリティを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶である。
【0010】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、ニコチン酸塩及び/又は共結晶である。
【0011】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、p-トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶である。
【0012】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶である。
【0013】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、リン酸塩及び/又は共結晶であり、ここで、リン酸対イオンはH2PO4
-である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、リン酸塩及び/又は共結晶であり、ここで、リン酸対イオンがHPO4
2-である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、リン酸塩及び/又は共結晶であり、ここで、リン酸対イオンはPO4
3-である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1リン酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、リン酸塩1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1リン酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、リン酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0014】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1マロン酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、マロン酸塩1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1マロン酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、マロン酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0015】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1の酒石酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、酒石酸塩1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1の酒石酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、酒石酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0016】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1のゲンチセート塩及び/又は共結晶であり、即ち、ゲンチセート1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1のゲンチセート塩及び/又は共結晶であり、即ち、ゲンチセート1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0017】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1フマル酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、フマル酸1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1フマル酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、フマル酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0018】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1グリコール酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、グリコール酸1分子に対してセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1グリコール酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、グリコール酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、3:1グリコール酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、グリコール酸1分子に対してセピアプテリン3分子である。
【0019】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、硫酸塩及び/又は共結晶であり、ここで、硫酸塩対イオンはHSO4
-である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、硫酸塩及び/又は共結晶であり、ここで、硫酸塩対イオンはSO4
2-である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、1:1の硫酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、硫酸1分子に対すてセピアプテリン1分子である。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、2:1硫酸塩及び/又は共結晶であり、即ち、硫酸1分子に対してセピアプテリン2分子である。
【0020】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、酢酸塩及び/又は共結晶である。
【0021】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、結晶である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、40重量%未満(例えば、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、又は30~40%、25~35%、20~30%、15~25%、10~20%、5~15%、又は1~10%の間)のアモルファス化合物を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、アモルファス化合物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、セピアプテリンの他の塩又は結晶形を実質的に含まない。
【0022】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は安定である。例えば、いくつかの実施形態では、25℃及び60%の相対湿度及び/又は40℃及び75%の相対湿度に2週間曝露すると、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、少なくとも90%の純度(例えば、少なくとも95%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度)を維持し、及び/又は形態変化を起こさない(例えば、塩及び/又は共結晶は実質的にフリーベースを含まないままであり、及び/又は塩及び/又は共結晶及び/又はフリーベースの多形形態変化がない)。
【0023】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、セピアプテリンの他の塩及び/又は共結晶及び/又はセピアプテリンフリーベースと比較して、対象(例えば、対象の血漿、CSF、及び/又は脳内のBH4及び/又はセピアプテリンレベルによって測定される曝露の増加)における曝露の増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%の増加)をもたらす。
【0024】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、セピアプテリンの他の塩及び/又は共結晶及び/又はセピアプテリンフリーベースと比較して、対象におけるバイオアベイラビリティの増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%の増加)をもたらす。
【0025】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、セピアプテリンの他の塩及び/又は共結晶及び/又はセピアプテリンフリーベースと比較して、向上した結晶性を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、塩酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約218℃(例えば、216℃~220℃、例えば、217℃~219℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、7.8±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.8±0.5、12.9±0.5、及び/又は26.2±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表1に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、塩酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表1に記載のピークのすべてを有する。
【表1】
【0028】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約182℃(例えば、180℃~184℃、例えば、181℃~183℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、23.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.9±0.5、23.5±0.5、及び/又は29.0±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表2に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表2に記載のピークのすべてを有する。
【表2】
【0030】
いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、が7.9±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.9±0.5、23.4±0.5、及び/又は28.9±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表3に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表3に記載のピークのすべてを有する。
【表3】
【0031】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、ニコチン酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約220℃(例えば、218℃~222℃、例えば、219℃~221℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量測定分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、24.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、9.9±0.5、23.2±0.5、及び/又は24.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表4に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表4に記載のピークのすべてを有する。
【表4】
【0033】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、トルエンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約190℃(例えば、188℃~192℃、例えば、189℃~191℃まで)及び/又は263℃(例えば、261℃~265℃、例えば、262℃~264℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0034】
いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、6.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、6.5±0.5、15.1±0.5、及び/又は23.4±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表5に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表5に記載のピークのすべてを有する。
【表5】
【0035】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約193℃(例えば、191℃~195℃、例えば、192℃~194℃)及び/又は206℃(例えば、204℃~208℃、例えば、205℃~207℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、6.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、6.5±0.5、14.8±0.5、及び/又は19.6±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表6に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表6に記載のピークのすべてを有する。
【表6】
【0037】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、硫酸塩である。いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約196℃(例えば、194℃~198℃、例えば、195℃~197℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、熱重量測定分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0038】
いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、5.1±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、5.1±0.5、7.8±0.5、及び/又は23.0±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表7に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、硫酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表7に記載のピークのすべてを有する。
【表7】
【0039】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、リン酸塩である。いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約144℃(例えば、142℃~146℃、例えば、143℃~145℃)及び/又は207℃(例えば、205℃~209℃、例えば、206℃~208℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が12%未満(例えば、10%未満、5%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、25.6±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、16.6±0.5、22.2±0.5、及び/又は25.6±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表8に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、リン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表8に記載のピークのすべてを有する。
【表8】
【0041】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、マロン酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約175℃(例えば、173℃~177℃、例えば、174℃~176℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、6.9±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、6.9±0.5、23.8±0.5、及び/又は25.5±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表9に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、マロン酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表9に記載のピークのすべてを有する。
【表9】
【0043】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、酒石酸塩(例えば、L-酒石酸塩)である。いくつかの実施形態では、酒石酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約156℃(例えば、154℃~158℃、例えば、155℃~157℃)及び/又は175℃(例えば、173℃~177℃、例えば、174℃~176℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、酒石酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0044】
いくつかの実施形態では、酒石酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、7.4±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、酒石酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.4±0.5、21.8±0.5、及び/又は23.9±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態において、上記の酒石酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表10に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、酒石酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表10に記載のピークのすべてを有する。
【表10】
【0045】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、フマル酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約77℃(例えば、75℃~79℃で、例えば、76℃~78℃)、133℃(例えば、131℃~135℃、例えば、132℃~134℃)、及び/又は190℃(例えば、188℃~192℃、例えば、189℃~191℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、24.0±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、11.4±0.5、11.9±0.5、及び/又は24.0±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表11に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、フマル酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される表11に記載のピークのすべてを有する。
【表11】
【0047】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、ゲンチセート塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約83℃(例えば、81℃~85℃、例えば、82℃~84℃)、134℃(例えば、132℃~136℃、例えば、133℃~135℃)、及び/又は149℃(例えば、147℃~151℃、例えば、148℃~150℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が7%未満(例えば、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)である。
【0048】
いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、7.1±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.1±0.5、8.7±0.5、及び/又は26.7±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表12に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、ゲンチセート塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表12に記載されたピークのすべてを有する。
【表12】
【0049】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、グリコール酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにおいて、約79℃(例えば、77℃~81℃、例えば、78℃~80℃)、90℃(例えば、88℃~92℃、例えば、89℃~91℃)、132℃(例えば、130℃~134℃、例えば、131℃~133℃)、及び/又は152℃(例えば、130℃~134℃、例えば、131℃~133℃)での吸熱開始温度を有する。いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、熱重量分析によって測定される、31℃から150℃までの重量損失が21%未満(例えば、15%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満)である。
【0050】
いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、7.6±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、7.6±0.5、10.7±0.5、及び/又は24.0±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表13に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、グリコール酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表13に列挙されたピークのすべてを有する。
【表13】
【0051】
いくつかの実施形態では、酢酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、6.2±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、酢酸塩及び/又は共結晶は、さらに、粉末X線回折により測定される、6.2±0.5、12.0±0.5、及び/又は18.1±0.5の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピークを有する。いくつかの実施形態では、酢酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表14に記載の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、11つ以上、12つ以上、13つ以上、又は14つ以上)のピークを有する。いくつかの実施形態では、酢酸塩及び/又は共結晶は、粉末X線回折により測定される、表14に記載のピークのすべて有する。
【表14】
【0052】
別の態様において、本発明は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物(例えば、固体組成物)を特徴とする。いくつかの実施形態では、組成物は、室温で少なくとも6ヶ月間安定である。例えば、組成物が室温で6ヶ月間保存される場合、組成物中のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶のレベルは、5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満)で減少し、及び/又は組成物が室温で6ヶ月間保存される場合、組成物中のラクトイルプテリンのレベルは、5%未満(例えば、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)で増加する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、10重量%未満(例えば、5%未満、又は1%未満)のアモルファス化合物を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、アモルファス化合物を実質的に含まない。
【0053】
上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含み、ここで、薬学的に許容されるセピアプテリンの塩及び/又は共結晶及び抗酸化剤の比は、重量(例えば、塩及び/又は共結晶の抗酸化剤に対する重量)で4:1より大きい(例えば、5:1より大きい、6:1より大きい、7:1より大きい、8:1より大きい、9:1より大きい、10:1より大きい、15:1より大きい、又は20:1より大きい)。
【0054】
上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は抗酸化剤を含み、ここで、医薬組成物は、抗酸化剤よりもセピアプテリンの薬学的に許容される塩を重量比でより多く含む。例えば、いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、及び抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)は、少なくとも1:1(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1)の重量比で存在する。
【0055】
上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は抗酸化剤を含み、ここで、組成物は、総重量に対して10%未満(例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)の抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤を実質的に含まない。
【0056】
上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、総重量に対して10%未満(例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、又は0.2%未満)のラクトイルプテリンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1.3%未満のラクトイルプテリンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)をさらに含む。他の実施形態では、医薬組成物は抗酸化剤を含まない。
【0057】
上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、懸濁液で使用するために製剤化される。
【0058】
上記いずれかの医薬組成物のいくつかの実施形態において、抗酸化剤は、4-クロロ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、トコフェロール、α-トコフェロール、アルキル化ジフェニルアミン類、アスコルビン酸、アスコルビルミリステート、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、β-カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、システイン、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、デフェロキサミンメシレート、ドデシルガレート、エチルパラベン、葉酸、フマル酸、ガリック酸、グルタチオン、レシチン、リンゴ酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、ノルジヒドログアヤレト酸、オクチルガレート、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピルガレート、レチノール、ソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、tert-ブチルヒドロキノン、酢酸トコフェリル、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、もしくはビタミンE、又はそれらの組み合わせである。上記いずれかの医薬組成物のいくつかの実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び/又はブチル化ヒドロキシアニソールである。
【0059】
上記いずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して約20~95%(例えば、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約20~30%、約25~45%、約40~60%、約50~75%、約70~90%、約85~95%)のセピアプテリン、又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を含む。
【0060】
上記いずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース又はクロスカルメロースナトリウム等のその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶)をさらに含む。上記いずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して0.1~1.5%(例えば、0.1~0.3%、0.2~0.4%、0.3~0.5%、0.4~0.6%、0.5~0.7%、0.6~0.8%、0.7~0.9%、0.8~1%、0.9~1.1%、0.9~1.1%、1~1.2%、1.1~1.3%、1.2~1.4%、又は1.3~1.5%)の分散剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)を含む。
【0061】
上記いずれかの組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤又は増量剤(例えば、増量剤及びアンチケーキング剤)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアンチケーキング剤又は増量剤は、コロイダル二酸化ケイ素又は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して60~80%(例えば、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、又は約80%)のアンチケーキング剤及び/又は増量剤を含む。上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、コロイダル二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して60~65%(例えば、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、又は約65%)の微結晶セルロースと、総重量に対して2~15%(例えば、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%)のコロイダル二酸化ケイ素とを含む。
【0062】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、セピアプテリンは、サイズが200μm未満(例えば、180μm未満、160μm未満、140μm未満、120μm未満、100μm未満、又は80μm未満)の粒子で製剤化される。
【0063】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、粒子(例えば、懸濁液中で使用するための粒子)として製剤化される。いくつかの実施形態では、粒子は、サイズが200μm未満(例えば、180μm未満、160μm未満、140μm未満、120μm未満、100μm未満、又は80μm未満)である。
【0064】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、セピアプテリン又はその塩とラクトイルプテリンとの合計量の50重量%未満(例えば、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.3%未満、又は0.2%未満)のラクトイルプテリンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1.3%未満のラクトイルプテリンを含む。
【0065】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与ビヒクル(例えば、約50~1750センチポイズの粘度を有する投与ビヒクル)をさらに含む。
【0066】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態において、対象への投与時の医薬組成物は、テトラヒドロビオプテリンの同量を含む医薬組成物の投与から生じるものと比較して、テトラヒドロビオプテリンの血漿又は肝細胞レベルがより大きい(例えば、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも4倍)結果をもたらす(例えば、投与15分後のTmax、Cmax、AUC、又は血漿中濃度によって測定される)。
【0067】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態において、医薬組成物は、対象への投与時に、テトラヒドロビオプテリンの血漿又は肝細胞レベルが、同量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩、並びに10%超の抗酸化剤を含む医薬組成物の投与から生じるものと比較して、より大きい(例えば、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも4倍)結果をもたらす(例えば、投与15分後のTmax、Cmax、AUC、又は血漿中濃度によって測定される)。
【0068】
一態様では、本発明は、セピアプテリン、又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を含む医薬組成物を製造する方法を特徴とする。この方法は以下を含む。a)微結晶セルロースとコロイダル二酸化ケイ素を混合する工程、b)薬学的に許容されるセピアプテリンの塩及び/又は共結晶、分散剤、及び抗酸化剤を工程aの混合物に添加する工程、及びc)微結晶セルロース、コロイダル二酸化ケイ素、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、分散剤、及び抗酸化剤を混合し、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を含む医薬組成物を製造する工程。
【0069】
いくつかの実施形態では、微結晶セルロース及びコロイダル二酸化ケイ素の混合物は、工程bの前に、200μm未満(例えば、180μm未満、160μm未満、140μm未満、120μm未満、100μm未満、又は80μm未満)のポアを有するフィルターを通過させる。
【0070】
いくつかの実施形態では、微結晶セルロース、コロイダル二酸化ケイ素、セピアプテリン、分散剤、及び抗酸化剤の混合物を、200μm未満(例えば、180μm未満、160μm未満、140μm未満、120μm未満、100μm未満、又は80μm未満)のポアを有するフィルターを通過させる。
【0071】
上記のいずれかの組成物のいくつかの実施形態において、重量パーセンテージは、乾燥組成物(例えば、水のような液体中に懸濁する前のもの)について測定される。
【0072】
上記のいずれかの方法のいくつかの実施形態では、抗酸化剤はアスコルビン酸である。上記いずれかの方法のいくつかの実施形態では、分散剤はクロスカメロースナトリウムである。
【0073】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象において、テトラヒドロビオプテリン関連疾患(例えば、フェニルケトン尿症又はテトラヒドロビオプテリン欠損症)を治療するための方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0074】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるテトラヒドロビオプテリンレベルを増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0075】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるフェニルアラニンレベルを減少させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0076】
一態様では、本発明は、対象においてフェニルアラニンヒドロキシラーゼの活性を増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0077】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてフェニルケトン尿症の治療方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0078】
一態様では、本発明は、それを必要としている対象において胃麻痺の治療方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0079】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象におけるセロトニンレベルを増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0080】
一態様では、本発明は、対象においてトリプトファンヒドロキシラーゼの活性を増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0081】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象においてドーパミンレベルを増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0082】
一態様では、本発明は、対象においてチロシン水酸化酵素の活性を増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0083】
一態様では、本発明は、対象において一酸化窒素合成酵素の活性を増加させる方法を特徴とし、この方法は、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0084】
一態様では、本発明は、対象においてアルキルグリセロールモノオキシゲナーゼの活性を増加させる方法を特徴とし、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0085】
一態様において、本発明は、対象中のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルを増加させる方法を特徴とし、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。一実施形態では、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶、硫酸塩及び/又は共結晶、リン酸塩及び/又は共結晶、マロン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、フマル酸塩及び/又は共結晶、ゲンチセート塩及び/又は共結晶、又はグリコール酸塩及び/又は共結晶である。いくつかの実施形態では、対象の脳脊髄液(CSF)中のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルが増加する。いくつかの実施形態では、対象(例えば、対象のCSF中)のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルは、投与前のレベルと比較して少なくとも5%増加する(例えば、レベルは、投与前のレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%増加する)。
【0086】
いくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与前に、対象は平均的な対象のレベルの50%未満(例えば、40%未満、30%未満)のホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルを有する(例えば、対象は15ng/ml未満のホモバニリン酸のCSFレベルを有し、及び/又は5ng/ml未満の5-ヒドロキシインドール酢酸のCSFレベルを有する)。いくつかの実施形態では、対象はBH4関連疾患と診断されていない。いくつかの実施形態では、対象はBH4関連疾患の症状を有していない。いくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与後、対象におけるホモバニリン酸及び/又は5-ヒドロキシインドール酸のレベルは、平均的な対象のレベルの50%よりも大きい(例えば、対象は、15ng/mlより大きいホモバニリン酸のCSFレベルを有し、及び/又は5ng/mlより大きい5-ヒドロキシインドール酢酸のCSFレベルを有する)。
【0087】
上記のいずれかの方法のいくつかの実施形態において、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量は、投与前のテトラヒドロビオプテリンのレベルと比較して、投与1時間後の対象の血漿中のテトラヒドロビオプテリンのレベルを少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、9、又は10倍)に増加させるのに十分な量を含む。
【0088】
上記のいずれかの方法のいくつかの実施形態において、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物の有効量は、投与前のテトラヒドロビオプテリンのレベルと比較して、投与1時間後の対象のCSF及び/又は脳におけるテトラヒドロビオプテリンのレベルを少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、9、又は10倍)に増加させるのに十分な量を含む。
【0089】
上記いずれかの方法のいくつかの実施形態では、対象はヒトである。上記のいずれかの方法のいくつかの実施形態において、方法は、投与前に、上記のいずれかの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶又は医薬組成物を投与用ビヒクルと組み合わせることを含む。
【0090】
定義
本出願において、文脈から他に明らかでない限り、(i)用語「a」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解してもよく、(ii)用語「又は」は、「及び/又は」を意味すると理解してもよく、(iii)用語「含む」及び「包含する」という用語は、それ自体で提示されるか又は1つ以上の追加の構成要素もしくは工程と共に提示されるかにかかわらず、箇条書きされた構成要素又は工程を包含するものと理解してもよく、且つ(iv)「約」及び「およそ」という用語は、当業者によって理解されるように標準的な変形を可能にすると理解してもよく、且つ(v)範囲が提供されている場合は、終点が含まれる。
【0091】
本明細書で使用される用語「投与」は、組成物の対象への投与を指す。動物対象への投与(例えば、ヒトへの投与)は、任意の適切な経路によるものであってよい。例えば、一実施形態では、投与は気管支(気管支点滴注入を含む)、口腔内、経腸、皮内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管内(気管内点滴注入を含む)、経皮、膣内又は硝子体を含む。
【0092】
用語「アンチケーキング剤」は、ダマの形成を防止するために粉末状又は顆粒状の医薬製剤に添加される添加剤を指す。例示的なアンチケーキング剤には、コロイダル二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、及びポリジメチルシロキサンを含む。
【0093】
用語「抗酸化剤」は、医薬有効成分の酸化的分解を最小限に抑えることができる活性薬剤成分を意味する。抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、エチレンジアミン四酢酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオウレア、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ビタミンE、4-クロロ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、アルキル化ジフェニルアミン、アスコルビルミリステート、アスコルビルステアレート、β-カロチン、クエン酸、システイン、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、デフェロキサミンメタンスルホネート、ドデシルガレート、エチルパラベン、葉酸、フマル酸、ガリック酸、レシチン、リンゴ酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、ノルジヒドログアヤレト酸、オクチルガレート、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピルガレート、ソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、tert-ブチルヒドロキノン、酢酸トコフェリル、ビタミンA、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む。
【0094】
本明細書で使用される用語「BH4関連疾患」又は「テトラヒドロビオプテリン関連疾患」は、BH4のレベルの調節(例えば、増加)から治療上の利益を導き出し得る任意の疾患又は障害、例えば、フェニルケトン尿症を指す。
【0095】
「化合物のレベルを測定する」とは、当技術分野で知られている方法で、直接又は間接的に化合物を検出することを意味する。「直接的に測定する」とは、物理的実体又は値を得るためのプロセス(例えば、サンプルに対するアッセイ又は試験の実行、又は本明細書で定義される用語としての「サンプルの分析」)を実行することを意味する。「間接的に測定する」とは、物理的実体又は値を別の当事者又は供給源(例えば、物理的実体又は値を直接取得した第三者の試験所)から受け取ることを意味する。化合物のレベルを測定する方法は、一般に、液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析法を含むが、これらに限定されない。
【0096】
用語「分散剤」は、製剤中の粒子を分離させる、例えば、水分との接触でその薬効物質を放出させる、医薬製剤に使用される薬剤を指す。例としては、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(例えば、クロスカルメロース塩、例えば、クロスカルメロースナトリウム)、澱粉(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム)、又はアルギン酸を含む。
【0097】
化合物の「有効量」は、個人の病状、年齢、性別、体重、及び所望の応答を引き出す化合物の能力などの要因によって異なってもよい。治療上有効な量は、化合物の有毒又は有害な効果を治療上有益な効果が上回る量を包含する。治療上有効な量はまた、利益、例えば、臨床上の利益を与えるのに十分な量を包含する。
【0098】
酵素の「活性を増加させる」は、酵素に関連する活性、例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、又は関連する下流効果のレベルを増加させることを意味する。酵素の活性を増加させる非限定的な例は、フェニルアラニンのレベルの低下をもたらすフェニルアラニンヒドロキシラーゼの活性を増加させることを含む。酵素の活性レベルは、当技術分野で知られている任意の方法を用いて測定できる。
【0099】
「レベル」は、リファレンスと比較した場合の化合物のレベルを意味する。リファレンスは、本明細書で定義されるように、任意の有用なリファレンスであり得る。化合物の「減少したレベル」又は「増加したレベル」は、リファレンスと比較した、化合物のレベルの減少又は増加を意味する(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%、又はそれより大きい減少又は増加、リファレンスと比較して、約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約100%、又は約200%より大きい減少又は増加、約0.01倍、約0.02倍、約0.1倍、約0.3倍、約0.5倍、約0.8倍、又はそれより小さい減少又は増加、又は約1.2倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.8倍、約2.0倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.5倍、約5.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、約1000倍、又はそれより大きい増加)。化合物のレベルは、質量/ボリューム(例えば、g/dL、mg/ml、μg/ml、ng/ml)又はサンプル中の全化合物に対する相対的なパーセンテージで表されてもよい。
【0100】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載された化合物を薬学的に許容される賦形剤とともに配合した組成物を表す。医薬組成物は、哺乳動物における疾患の治療のための治療レジメンの一部として、政府の規制機関の承認を得て製造又は販売されるものであってもよい。医薬組成物は、例えば、単位投与剤形(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、懸濁液、溶液、又はシロップ)での経口投与用、局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、又は軟膏)、静脈内投与用(例えば、粒子状のエンボリを含まない、静脈内使用に適した溶媒系中の無菌溶液)、又は他の任意の薬学的に許容される製剤に製剤化できる。
【0101】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、セピアプテリンの任意の薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、固体状態及び/又は溶液中のセピアプテリンのイオン対を含む。薬学的に許容される共結晶は、固体状態でのフリーベースのセピアプテリンと酸を含む。塩の形態及び共結晶の形態の混合物は、同じ組成物中に存在してもよい。例えば、セピアプテリンの薬学的に許容される塩は、健全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合ったものを含む。薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、薬学的に許容される塩は、Remington(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)に記載されている。塩は、本明細書に記載された化合物の最終的な単離及び精製の間にin situで調製することができ、又はフリーベース基を適当な有機酸と反応させることによって別々に調製できる。
【0102】
セピアプテリンは、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶として調製できる。これらの塩は、無機酸又は有機酸を含む酸付加塩であってもよい。適切な薬学的に許容される酸及び適切な塩を調製するための方法は、当技術分野でよく知られている。
【0103】
「リファレンス」とは、化合物のレベルを比較するために使用される有用なリファレンスを意味する。リファレンスは、比較目的で使用される任意のサンプル、標準、標準曲線、又はレベルであり得る。リファレンスは、通常のリファレンスサンプル又はリファレンス標準又はレベルであり得る。「リファレンスサンプル」は、例えば、対照、例えば、「正常対照」のような所定の負の対照値、又は同じ対象から採取された先行サンプル、正常な細胞又は正常な組織などの正常な健康な対象から採取されたサンプル、疾患を有していない対象からのサンプル(例えば、細胞又は組織)、疾患と診断されているが、まだ本発明の化合物で治療されていない対象からのサンプル、本発明の化合物で治療された対象からのサンプル、又は既知の正常濃度の精製された化合物(例えば、本明細書に記載された任意のもの)のサンプルであり得る。「リファレンス標準又はレベル」とは、リファレンスサンプルから得られる値又は数値を意味する。「正常対照値」とは、非疾患状態を示す事前に決定された値、例えば、健康な対照対象において予想される値である。典型的には、正常対照値は、範囲(「XとYの間」)、高い閾値(「Xより高くない」)、又は低い閾値(「Xより低くない」)として表現される。特定のバイオマーカーの正常対照値内の測定値を有する対象は、典型的には、そのバイオマーカーの「正常範囲内」と呼ばれる。正常なリファレンス値又はレベルは、疾患又は障害(例えば、がん)を持たない正常な対象、本発明の化合物で治療された対象から導き出された値又は数値であり得る。好ましい実施形態では、リファレンスサンプル、標準、又はレベルは、年齢、体重、性別、疾患ステージ、及び全体的な健康状態のうちの少なくとも1つの基準において、対象サンプルと一致する。正常のリファレンス範囲内の精製化合物(例えば、本明細書に記載された任意のもの)のレベルの標準曲線もまた、リファレンスとして使用できる。
【0104】
本明細書で使用される用語「対象」又は「患者」は、本発明の組成物が、例えば、実験、診断、予防、及び/又は治療目的のために投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象は、任意の動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトのような哺乳類)を含む。対象は、治療を求めているか、又は治療を必要としているか、治療を受けているか、将来的に治療を受けているか、又は特定の疾患又は状態のために訓練を受けた専門家によってケアを受けているヒト又は動物であってもよい。
【0105】
本明細書で使用する「治療する」、「治療された」、又は「治療している」という用語は、治療的処置と予防的又は防止的処置の両方を意味し、目的は、望ましくない生理学的状態、障害、又は疾患を予防又は減速(軽減)させること、又は有益又は所望の臨床結果を得ることである。有益又は所望の臨床結果には、症状の緩和、状態、障害又は疾患の範囲の減少、状態、障害又は疾患の安定化(即ち、悪化しない)状態、状態、障害、又は疾患進行の発症遅延又は鈍化、状態、障害、又は疾患の状態の改善又は回復(部分的又は全体的であるかどうかにかかわらず)(検出可能であるか検出不能であるかにかかわらず)、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善(患者が必ずしも認識できるものではない)、又は状態、障害、又は疾患の増強又は改善を含むが、これらに限定されない。治療には、過剰なレベルの副作用を伴わずに臨床的に有意な反応を引き出すことを含む。治療には、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
【0106】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法及び材料は、本明細書の開示で使用するために本明細書に記載されているが、当技術分野で知られている他の適切な方法及び材料も使用できる。材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定することを意図していない。本明細書に記載されている全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参照文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書がコントロールする。
【0107】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】
図1は、セピアプテリンのフリーベースのIRスペクトルである。
【
図2】
図2は、セピアプテリンの塩酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図3】
図3は、セピアプテリンのメタンスルホン酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図4】
図4は、セピアプテリンのニコチン酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図5】
図5は、セピアプテリンのトルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図6】
図6は、ベンゼンスルホン酸塩及び/又はセピアプテリンの共結晶のIRスペクトルである。
【
図7】
図7は、セピアプテリンの硫酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図8】
図8は、セピアプテリンのリン酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図9】
図9は、セピアプテリンのL-酒石酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図10】
図10は、セピアプテリンのグリコール酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図11】
図11は、セピアプテリンのマロン酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図12】
図12は、セピアプテリンのゲンチセート塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【
図13】
図13は、セピアプテリンのフマル酸塩及び/又は共結晶のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本発明は、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、その組成物、及びそのような組成物を用いたテトラヒドロビオプテリン関連疾患の治療方法を特徴とする。本発明者らは驚くべきことに、セピアプテリンのいくつかの塩及び/又は共結晶が、向上した特性、例えば、向上した安定性、純度、曝露性、及び/又はバイオアベイラビリティを有することを見出した。
【0110】
化合物
セピアプテリン
本発明の医薬組成物は、セピアプテリン、又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を含む。セピアプテリンは以下の構造を有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているセピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は結晶形で本発明の医薬組成物中に存在する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を総重量に対して20~30%(例えば、20%、22%、25%、27%、又は30%)含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を総重量に対して20%超(例えば、25%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超)含む。
【0113】
テトラヒドロビオプテリン
セピアプテリンは、対象に投与されると、テトラヒドロビオプテリンに変換される。テトラヒドロビオプテリンは構造を有する。
【0114】
ラクトイルプテリン
セピアプテリン製剤中に存在し得る不純物は、ラクトイルプテリンであり、これはセピアプテリンの酸化に起因し得る。ラクトイルプテリンは以下の構造を有する。
【0115】
賦形剤
抗酸化剤
セピアプテリンは、空気にさらされると急速に酸化する傾向がある。従って、本発明の医薬組成物は抗酸化剤を含んでいてもよい。抗酸化剤はセピアプテリンの酸化的分解を最小限に抑えることができる。抗酸化剤の例には、4-クロロ-2, 6-ジ-tert-ブチルフェノール、トコフェロール、α-トコフェロール、アルキル化ジフェニルアミン類、アスコルビン酸、アスコルビルミリステート、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ベータカロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、システイン、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、デフェロキサミンメタンスルホネート、ドデシルガレート、エチルパラベン、葉酸、フマル酸、ガリック酸、グルタチオン、レシチン、リンゴ酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、ノルジヒドログアヤレト酸、オクチルガレート、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピルガレート、レチノール、ソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、tert-ブチルヒドロキノン、酢酸トコフェリル、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、又はビタミンEを含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び/又はブチル化ヒドロキシアニソールを抗酸化剤として含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して10%未満(例えば、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満)の抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して2~9%(例えば、2~4%、3~5%、4~6%、5~7%、6~8%、又は7~9%)の抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤のUSP最大1日用量の5~100%を含み、例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤のUSP最大1日量の5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%を含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤に対するセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶の比率は、少なくとも1:1、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1 wt/wtである。上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含み、ここで、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶と抗酸化剤との比率が、重量(例えば、塩の抗酸化剤に対する重量)で4:1より大きい(例えば、5:1より大きい、6:1より大きい、7:1より大きい、8:1より大きい、9:1より大きい、10:1より大きい、15:1より大きい、又は20:1より大きい)ことを特徴とする。
【0117】
セピアプテリンの以前の配合物は、50%以上の抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含んでいたため、10%未満の抗酸化剤を含む組成物、又は抗酸化剤を含まない組成物でさえも、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶の安定化に有効であることは驚くべきことである。
【0118】
分散剤
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの分散剤を含む。分散剤は、製剤中の粒子を分離させてもよく、例えば、水分との接触でその薬効物質を放出させてもよい。分散剤の例としては、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(例えば、クロスカルメロース塩、例えば、クロスカルメロースナトリウム)、澱粉(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム)、又はアルギン酸を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の分散剤は、クロスカルメロースの薬学的に許容される塩のようなカルボキシメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して0.1~1.5%(例えば、0.1%、0.5%、1%、又は1.5%)の分散剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1.5%未満(例えば、1%未満、0.5%未満、又は0.1%未満)の分散剤を含む。
【0119】
アンチケーキング剤
セピアプテリンは、水溶液に添加すると塊になることがわかっている。アンチケーキング剤は、しばしば、例えば、溶液中でのダマの形成を防止するために、医薬組成物に添加される。従って、いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2つのアンチケーキング剤を含む。例示的なアンチケーキング剤には、コロイダル二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、及びポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアンチケーキング剤は、コロイダル二酸化ケイ素又は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して65~75%(例えば、65%、67%、70%、73%、又は75%)のアンチケーキング剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コロイダル二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して60~65%の微結晶セルロース、及び総重量に対して5~7%のコロイダル二酸化ケイ素を含む。
【0120】
投与ビヒクル
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、投与前に投与用ビヒクルと組み合わされる。前記いずれかの組成物のいくつかの実施形態では、組成物は、薬学的組成物の懸濁及び投与を助けるために、例えば、約50~1750センチポイズ(cP)の粘度を有する投与ビヒクル中で投与されてもよい。使用することができる懸濁剤の1つのタイプは、水中のグリセリンとショ糖の組み合わせである(例えば、2.5%のグリセリン及び27%のショ糖を水中に含むMEDISCA(R) oral mix)。適切な量の組成物を投与ビヒクル混合物に添加し、投与直前に組成物を懸濁させるために撹拌できる。
【0121】
また、他の懸濁剤を投与ビヒクルとして使用してもよい。例示的な懸濁剤としては、アガー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ハイプロメロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポビドン、トラガカンス、キサンタンガム、又は当技術分野で知られている他の懸濁剤を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的に許容されるセピアプテリンの塩及び/又は共結晶、例えば、さらに総重量の10%未満(例えば、9%、7%、5%、3%、1%、0.5%、0.25%、又は0.1%)の抗酸化剤を含む医薬組成物を特徴とする。抗酸化剤は、アスコルビン酸であってもよい。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶と抗酸化剤との比率は、1:1、例えば、2:1、5:1、7:1、又は10:1 wt/wtである。上記の組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含み、ここで、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶と抗酸化剤との比は、重量(例えば、塩の抗酸化剤に対する重量)で4:1より大きい(例えば、5:1より大きい、6:1より大きい、7:1より大きい、8:1より大きい、9:1より大きい、10:1より大きい、15:1より大きい、又は20:1より大きい)。医薬組成物は、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を総重量に対して20~30%、例えば、20%、22%、25%、27%、又は30%含んでもよい。医薬組成物は、分散剤、例えば、クロスカメロースナトリウムをさらに含んでもよい。医薬組成物は、分散剤を総重量に対して0.1~1.5%、例えば、0.1%、0.5%、1%又は1.5%を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤、例えば、コロイダル二酸化ケイ素又は微結晶性セルロースを含む。医薬組成物は、アンチケーキング剤を総重量に対して65~75%、例えば、65%、67%、70%、73%、又は75%含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コロイダル二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、微結晶セルロースを総重量に対して60~65%、及びコロイダル二酸化ケイ素を総重量に対して5~7%含む。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、140μm未満、例えば、120μm、110μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、又は5μmのサイズの粒子として製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ラクトイルプテリンのような不純物を1.3%未満、例えば、1%未満含み、例えば、組成物は、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、又は0.2%未満含む。
【0123】
セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、低細胞内BH4レベルに関連する疾患、又はプリマリーテトラヒドロビオプテリン欠損症、GTPCH欠損症、6-ピルボイル-テトラヒドロプテリン合成酵素(PTPS)欠損症、DHPR欠損症、セピアプテリン還元酵素欠損症、ドーパミン反応性ジストニア、瀬川症候群、チロシン水酸化酵素欠損症、フェニルケトン尿症、DNAJC12欠損症、パーキンソン病、パーキンソン病によるうつ病、パーキンソン病患者における衝動性、大うつ病、自閉症スペクトラム、ADHD、統合失調症、双極性障害、脳虚血、レストレスレッグシンドローム、強迫性障害、不安、アルツハイマー病における攻撃性、脳血管障害、くも膜下出血後の痙攣、心筋炎、冠動脈血管痙攣、心肥大、動脈硬化症、高血圧症、血栓症、感染症、エンドトキシンショック、肝硬変、肥大性幽門狭窄症、胃粘膜損傷、肺高血圧症、腎機能障害、インポテンツ、及びと低血糖症を含むがこれらに限定されない、様々なBH4依存性代謝経路の機能不全に関連する疾患のための有用な治療法として役立ち得る。そのため、本発明の様々な形態のセピアプテリンは、疾患、障害又は状態の治療又は改善を得るために、有効量で患者に投与できる。
【0124】
いくつかの実施形態において、塩及び/又は共結晶は、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、酒石酸(例えば、L-酒石酸)、リン酸、ゲンチシン酸、フマル酸、グリコール酸、酢酸、又はニコチン酸とセピアプテリンの塩及び/又は共結晶である。
【0125】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、結晶性のセピアプテリンの塩及び/又は共結晶を含む。結晶性のセピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、無水物(例えば、任意の結合水又は溶媒又は水和又は溶媒和を持たない)として、又は水和物、部分水和物(例えば、半水和物、セスキ水和物)として、二水和物、三水和物として生じ得、ここで、結晶形は、セピアプテリン又はその塩及び/又は共結晶の結晶形に関連する水和水又は溶媒分子を結合する。一実施形態では、結晶性のセピアプテリンの塩及び/又は共結晶は、一水和物として、又は半水和物として生じる。
【0126】
本発明は、薬学的に許容される担体と、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶の有効量(例えば、予防的に有効な量を含む、治療的に有効な量)とを含む医薬組成物を提供する。
【0127】
薬学的に許容される担体は、従来使用されてきたもののいずれであってもよく、溶解性や化合物との反応性の欠如などの化学的・物理的な考慮事項、及び投与経路によってのみ制限される。当業者には、以下に説明する医薬組成物に加えて、セピアプテプリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を、シクロデキストリン包接複合体、又はリポソームとして製剤化することができることが理解されるであろう。
【0128】
本明細書に記載される薬学的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は希釈剤は、当業者にはよく知られており、容易に入手可能である。薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないものであることが好ましい。
【0129】
用量
セピアプテリンの薬学的に許容される塩は、任意の適切な用量で使用できる。適切な用量及び用量レジメンは、従来技術の範囲で決定できる。一般に、治療は、最適な用量よりも小さい用量で開始される。その後、状況下で最適な効果が得られるまで、投与量を小刻みに増加させる。便宜上、1日の総投与量は、所望であれば、1日の間に分割して投与できる。適切な用量及び特定の化合物の適切な投与では、本発明は広い範囲の応答を提供する。典型的には、投与量は、治療される患者の約2.5~約150mg/kg体重/日の範囲である。例えば、実施形態では、セピアプテリンの薬学的に許容される塩を、所望の治療効果を得るために、約20mg/kg~約200mg/kg、約40mg/kg~約150mg/kg、約60mg/kg~約120mg/kg、約80mg/kg~約100mg/kg、約40mg/kg~約60mg/kg、約2.5mg/kg~約20mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、約2.5mg/kg~約5mg/kg対象体重/日で、1日に1回以上投与できる。
【0130】
いくつかの実施形態では、用量は、例えば、CSF及び/又は脳内で測定される、CNS中のBH4のレベルを生成するのに十分な量であり、及び/又は治療結果を生成するのに十分な量、例えば、CNS中のセロトニン又はドーパミンのレベルの増加を生成するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、用量は、血漿又は対象の器官、例えば、対象の肝臓で測定される、投与前のBH4のレベルの少なくとも2倍超にBH4のレベルを増加させるのに十分な量である。
【0131】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶は、粒子のような単位固形経口製剤として製剤化できる。これらの実施形態では、各単位固形経口製剤は、任意の適当な量のセピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を含んでもよい。例えば、各単位固形経口製剤は、約2. 5mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、又は約500mgを含んでもよい。
【0132】
投与経路
担体の選択は、組成物を投与するために使用される特定の方法と同様に、特定の活性剤によって部分的に決定され得る。従って、本発明の医薬組成物の好適な製剤は多様である。経口、エアロゾル、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、直腸、及び膣の投与のための以下の製剤は、単に例示的なものであり、いかなる意味でも限定するものではない。
【0133】
医薬組成物は、溶液、懸濁液、又はエマルションの形態のような液体製剤であってもよい。経口投与に適した製剤は、(a)カプセル、サシェ、錠剤、ロゼンジ、及びトローチのような、それぞれが所定量の活性成分を含む、固形又は顆粒、(b)粉末、(c)水、生理食塩水、又はオレンジジュースのような希釈剤に溶解した有効量の化合物のような液剤、(d)適当な液体中の懸濁液、及び(e)適当なエマルションからなることができる。好ましくは、カプセル形態、錠剤形態、及び粉末形態のような固形経口製剤である。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、滑沢剤、及び不活性充填剤、例えば、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、及びコーンスターチを含む、通常の硬い又は軟らかい殻状ゼラチンタイプのものであり得る。錠剤形態は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイダル二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香料、及び薬理学的に適合する担体のうちの1種以上を含むことができる。ロゼンジ形態は、活性成分に加えて、フレーバー(通常はショ糖及びアカシア又はトラガカンス)内に活性成分を含むことができ、同様にパスティールはゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシア、エマルション、ゲル等の不活性基剤内に活性成分を含むことができ、そのような担体は当技術分野で知られている。
【0134】
経口及び/又は非経口投与に適した製剤は、水性及び非水性の等張性無菌注射液を含み、これらは抗酸化剤、緩衝剤、バクテリオスタッツ、及び製剤を対象のレシピエントの血液と等張性にする溶質、及び懸濁剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含むことができる。本発明の化合物は、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液及び関連する糖液、エタノール、ベンジルアルコール、又はヘキサデシルアルコール等のアルコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール及びポリエチレンアルコール等のグリコール類、2,2-ジメチルl-1,3-ジオキソラン-4-メタノール等のグリセロールケタール類、ポリ(エチレングリコール)400等のエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド、又はソープ又はデタージェント等の薬学的に許容される界面活性剤の添加又は無添加のアセチル化脂肪酸グリセリド、ペクチン等の懸濁化剤、カーボマー類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース、又は乳化剤、及びその他の製薬アジュバントを含む無菌液体又は液体の混合物などの製薬用担体中の生理学的に許容される希釈剤中で投与できる。
【0135】
非経口製剤に用いることができる油類としては、石油、動物、植物、合成油等が挙げられる。油の具体例としては、ピーナッツ、ダイズ、ゴマ、綿実、トウモロコシ、オリーブ、ペトロラタム、及びミネラルを含む。非経口製剤に使用するのに適した脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸を含む。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤で使用するための好適なソープ類には、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩が含まれ、好適なデタージェント類には、(A)カチオン性デタージェント(例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、及びアルキルピリジニウムハライド等)、(b)アニオンデタージェント(例えば、アルキル、アリール、及びオレフィンスルホネート類、アルキル、オレフィン、エーテル、及びモノグリセリドサルフェイト類、及びスルホスクシネート等)、(c)の非イオン性デタージェント(例えば、脂肪アミン酸化物類、脂肪酸アルカノールアミド類、及びポリオキシエチレン-ポリプロピレンコポリマー類等)、(d)両性デタージェント(例えば、アルキル-β-アミノプロピオネート類、及び2-アルキル-イミダゾピーク第4級アンモニウム塩類等)、及び(3)それらの混合物を含む。
【0136】
非経口製剤は、典型的には約20重量%~約30重量%のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶を溶液中に含み得る。適切な防腐剤及び緩衝剤は、そのような製剤で使用できる。注射部位での刺激を最小化又は排除するために、そのような組成物は、約12~約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。そのような組成物中の界面活性剤の量は、約5~約15重量%の範囲である。適切な界面活性剤には、ソルビタンモノオレエート等のポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、及びプロピレンオキサイドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される、疎水性塩基とエチレンオキサイドの高分子量付加物を含む。非経口製剤は、アンプル及びバイアルのような単位用量又は多用量の密封容器内に設置することができ、使用の直前に注射用の滅菌液体担体、例えば、水の添加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存できる。即席の注射液及び懸濁液は、前に記載された種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製できる。
【0137】
医薬組成物は、注射可能な製剤であってもよい。注射可能な組成物のための有効な薬学的担体の要件は、当技術分野の通常の当業者にはよく知られている。Remington(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)参照。
【0138】
経皮的薬物放出に有用なものを含む局所製剤は、当技術分野の当業者にはよく知られており、本発明の文脈においては皮膚への適用に適している。局所的に適用される組成物は、典型的には、液体、クリーム、ペースト、ローション及びゲルの形態である。局所投与は、口腔粘膜への適用を含み、これには口腔、口腔上皮、口蓋、歯肉、及び鼻粘膜を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、セピアプテリン、及び適切なビヒクル又は担体を含む。それはまた、抗刺激剤などの他の成分を含んでもよい。担体は、液体、固体又は半固体であり得る。実施形態において、組成物は水溶液である。代替的に、組成物は、様々な成分の分散体、エマルション、ゲル、ローション又はクリームビヒクルであり得る。一実施形態では、プライマリービヒクルは、水又は実質的に中性であるか、又は実質的に中性化された生体適合性溶媒である。液体ビヒクルは、所望のpH、不変性及び粘度を得るために、当技術分野で知られているような様々な乳化剤又は分散剤とともに、緩衝剤、アルコール、グリセリン、ミネラル油等の他の材料を含むことができる。組成物は、粉末又は顆粒のような固形物として製造できる。この固形物は、使用前に直接塗布するか、又は水又は生体適合性溶媒に溶解して、実質的に中性であるか、又は実質的に中性化された溶液を形成し、それを標的部位に塗布できる。本発明の実施形態では、皮膚への局所適用のためのビヒクルは、水、バッファー溶液、各種アルコール類、グリセリン等のグリコール類、脂肪酸等の脂質材料、ミネラル油、ホスホグリセリド、コラーゲン、ゼラチン、及びシリコーンベースの材料を含み得る。
【0139】
医薬組成物は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤であってもよい。このようなエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、及び窒素等の加圧された許容される推進剤に設置することができる。また、それらは、ネブライザー又は噴霧器などの非加圧製剤用の医薬品として製剤化されてもよい。
【0140】
さらに、医薬組成物は、坐剤であってもよい。膣投与に適した製剤は、活性成分に加えて、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー製剤として存在してもよく、そのような担体は当技術分野で適切であることが知られている。
【0141】
経口投与用固形製剤
経口使用のための製剤は、非毒性の薬剤学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む粒子を含み、そのような製剤は当業者に知られている(例えば、U.S. Patent Nos.: 5,817,307, 5,824,300, 5,830,456, 5,846,526, 5,882,640, 5,910,304, 6,036,949, 6,036,949, 6,372,218。これらは本明細書に組み込まれる。)。賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、砂糖、マンニトール、微結晶セルロース、ポテトスターチを含む澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム)、造粒・崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ポテトスターチを含む澱粉、クロスカルメロースナトリウム、アルギネート類又はアルギン酸)、結合剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、澱粉、プレゼラチン化澱粉、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール)、及び潤滑剤、滑剤、付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水添植物油、又はタルク)、及びアンチケーキング剤(例えば、コロイダル二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ポリジメチルシロキサン)であってもよい。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、腐植剤、及び緩衝剤であり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物と共に包装される。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物とは別に包装される(例えば、投与前に組成物と組み合わされる)。
【0142】
本発明の固体組成物は、組成物を望ましくない化学変化(例えば、活性物質の放出前の化学的分解)から保護するように適合されたコーティングを含んでもよい。コーティングは、Remington(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)に記載されているのと同様の方法で固体投与形態に適用されてもよい。
【0143】
上記成分を用いて、従来の方法で、例えば、ミキサー、流動層装置、溶融凝固装置、ローター造粒機、押出/球状化装置、又は噴霧乾燥装置等を用いて、粉体、顆粒を調製してもよい。
【0144】
治療方法
本発明は、例えば、経口許容可能な処方の医薬組成物であって、治療上有効な量のセピアプテリンの製薬学的に許容可能な塩及び/又は共結晶、例えば、及び10%未満の抗酸化剤を含むことによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に分散された顆粒状の製剤であり、例えば、組成物は、水に混合され得、且つ患者によって摂取され得る(例えば、5分から10分の間に)。本発明で使用するための好適な製剤は、Remington(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)に記載されている。活性成分と相容れない場合を除き、医薬組成物中での任意の従来の担体の使用が企図される。さらに、動物(例えば、ヒト)投与のために、調製物は、規制機関によって要求されるように、無菌性、高温性、一般的な安全性及び純度の基準を満たすべきであることが理解される。
【0145】
患者に投与される本発明の組成物の実際の投与量は、体重、状態の重症度、治療される疾患の種類、以前の治療的介入又は同時治療的介入、患者のイディオパシー、及び投与経路等の物理的及び生理学的要因によって決定され得る。投与量及び投与経路に応じて、好ましい投与量及び/又は有効量の投与回数は、対象の反応に応じて変化する。投与の責任者は、いかなる場合でも、組成物中の有効成分の濃度及び個々の対象に対する適切な投与量を決定し得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、患者は、2.5mg/kg/日、5mg/kg/日、10mg/kg/日、20mg/kg/日、40mg/kg/日、60mg/kg/日、又は80mg/kg/日のセピアプテリンの塩及び/又は共結晶を受ける。患者は、セピアプテリンを含む医薬組成物を、治療の間、1日1回、1日2回、又は1日3回、受けることができる。いくつかの実施形態では、患者は、BH4サプリメント(BH4を服用している場合)を除き、BH4関連疾患に対する他の現在の薬剤(例えば、処方されたL-ドパ/カルビドパ、5HTP、メラトニン、MAO阻害剤、及びドーパミン受容体アゴニスト)を継続する。患者は、葉酸合成を阻害することが知られている薬物(例えば、メトトレキサート、ペメトレキセド、トリメトレキサートなど)の服用を許可されなくてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、試験開始前にBH4療法を受けている患者は、本発明の医薬組成物を投与する前のスクリーニング中に「ウォッシュアウト」期間を設ける。患者は、蛋白質及びフェニルアラニン(Phe)の摂取に関して、一貫した食事を維持するように指示されてもよい。食事記録を、資格のある栄養士によってレビューしてもよい。3日間の総Phe濃度を、栄養士によって計算、記録してもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、BH4を服用している患者は、BH4の投与を中止する(即ち、BH4ウォッシュアウト)。Phe濃度のための血液サンプルを、本発明の医薬組成物による治療の7日前、5日前、3日前、及び1日前のBH4ウォッシュアウト期間中に、又はBH4ウォッシュアウト中の任意の時点で血中Phe濃度が>360μmol/Lになるまで得てもよい。いくつかの実施形態では、投与前の血液サンプルは、セピアプテプリン、Phe、BH4、及びチロシン(Tyr)について試験される。
【0149】
製剤の生産方法
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つ以上の賦形剤、例えば、分散剤、及び1つ以上のアンチケーキング剤とともに、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩及び/又は共結晶、及び抗酸化剤を混合することによって生産され得る。いくつかの実施形態では、組成物の各成分は、混合する前に、サイズ排除フィルター(例えば、200μm以下のポアを有するフィルター)を通過させる。いくつかの実施形態では、アンチケーキング剤は、組成物の各成分(例えば、セピアプテリン、分散剤、及び抗酸化剤)を添加する前に一緒に混合される。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は以下の工程で製造される。(a)少なくとも1つのアンチケーキング剤をサイズ排除フィルター(例えば、200μm未満のポアを有するフィルター)に通す工程、(b)少なくとも1つのアンチケーキング剤とともに、セピアプテリン抗酸化剤、及び任意に分散剤を組み合わせる工程(例えば、ブレンダーで混合することによって)、及び(c)工程bの組み合わせをサイズ排除フィルタ(例えば、150μm未満のポアを有するフィルタ)に通過させる工程。
【0151】
いくつかの実施形態では、工程aの少なくとも1つのアンチケーキング剤は、サイズ排除フィルタを通過させる前に一緒に混合された2つ以上のアンチケーキング剤(例えば、2つのアンチケーキング剤)を含む。
【実施例0152】
本明細書では本発明の特定の特徴を例示し説明してきたが、当業者は多くの修正、置換、変更、及び等価物を理解し得る。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内に入る全てのそのような修正及び変更をカバーするように意図されていることが理解される。そのため、以下の実施例は本発明の様々な態様を教示するために提供される。これらの実施例は本発明の態様の個々の実施形態を表し、そして当業者は本発明の態様を等しく教示するために追加の実施例が生成され得ることを認識するであろう。
【0153】
実施例1. セピアプテリンの塩の調製
セピアプテリンと塩酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ニコチン酸、硫酸、リン酸、マロン酸、L-酒石酸、フマル酸、ゲンチシン酸、グリコール酸の塩及び/又は共結晶を、セピアプテリンのフリーベースと酸をアセトン/水(9/1、v/v)又はメタノール中で2~17日間スラリー化して製造した。
【0154】
得られた塩をDSC、TGA、HPLC、IR及びXRPDにより分析した。結果を以下の表15にまとめた。IRスペクトルを
図1~13に示す。
【表15】
【0155】
実施例2. セピアプテリンの塩及び/又は共結晶の安定性分析
調製した塩及び/又は共結晶の安定性を、25℃及び相対湿度60%の環境下及び40℃及び相対湿度75%の環境下で1及び2週間後に分析した。結果は以下の表16にまとめられている。驚くべきことに、試験した全ての塩及び/又は共結晶のうち、リン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶は、他の塩及び/又は共結晶よりも顕著に安定であった。リン酸塩、酒石酸塩、又はニコチン酸塩及び/又は共結晶のいずれも、安定性試験中に形態変化を起こしておらず、それぞれが試験の2週間にわたって97%以上の純度を保持していた。実際、酒石酸塩とニコチン酸塩は両方とも99%以上の純度を保持していた。
【表16】
【0156】
実施例3:各種セピアプテリン塩及び/又は共結晶の溶解性と不均化
セピアプテリンのニコチン酸塩、リン酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩及び/又は共結晶について、水中及びMedisca Oral Mixでの動的溶解性を評価した。粉末X線回折(XRPD)を形態変化/不均化(form change/disproportionation)を確認するために残留固形物について実施した。固形物を~7 mg/ml(フリーベースで計算)の目標濃度でメディアに懸濁した。懸濁液をローリングインキュベーターで25rpmで1、4、及び24時間撹拌した。各タイムポイントで、懸濁液の1mLをピペッティングし、10000rpm(2分間)で遠心分離し、0.45μmの膜を介してろ過し、HPLC溶解性とpHテストのための上清を得、残留固形物をXRPDによって分析した。溶解性の結果を表17~20にまとめた。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0157】
結果:ニコチン酸塩、リン酸塩、L-酒石酸塩及び/又は共結晶では、水中及びMedisca Oral Mixで1時間後に残留固形物がフリーベースに変化した。フマル酸塩及び/又は共結晶では、水中では残留固形物の形態変化は認められず、Medisca Oral Mixでは1時間後に残留固形物の結晶化度が低下した。驚くべきことに、12種類の異なる塩及び/又は共結晶の形態を調査したうち、フマル酸塩及び/又は共結晶は、実施例2の固体形態安定性試験において高い安定性を有し、且つ不均化試験において不均化の証拠を示さないことが見出された唯一の塩及び/又は共結晶であった。
【0158】
他の形態
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されてきたが、さらなる変更が可能であり、本願は、典型的には、本発明の原理に従う本発明のあらゆる変形、使用、又は適応をカバーすることを意図しており、本明細書の開示からのそのような展開は、本発明が属する技術分野において既知又は慣習的プラクティスの範囲内にあり、本明細書に記載されている本質的な特徴に適用され得るものである。
セピアプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶であって、メタンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ニコチン酸塩及び/又は共結晶、トルエンスルホン酸塩及び/又は共結晶、ベンゼンスルホン酸塩及び/又は共結晶、硫酸塩及び/又は共結晶、リン酸塩及び/又は共結晶、マロン酸塩及び/又は共結晶、酒石酸塩及び/又は共結晶、フマル酸塩及び/又は共結晶、ゲンチセート塩及び/又は共結晶、又はグリコール酸塩及び/又は共結晶である、薬学的に許容される塩及び/又は共結晶。