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特開2024-63146磁石および磁気共鳴イメージングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063146
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】磁石および磁気共鳴イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240501BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20240501BHJP
   H01F 7/20 20060101ALI20240501BHJP
   H01F 6/06 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61B5/055 331
G01N24/00 600Y
G01N24/00 610J
H01F7/20 C ZAA
H01F6/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030984
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2021546704の分割
【原出願日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】2019900450
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】517055036
【氏名又は名称】マグネティカ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リュウ フォン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リユー
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー エワルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】DSVの磁場均一性とサイズの両方を維持することが可能な磁気共鳴イメージング(MRI)システムでの使用に適した磁石を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング(MRI)システムでの使用に適した磁石である。磁石は、本体の軸に沿って貫通して延びるボアを有する磁石本体と、軸に沿って配置された少なくとも4個の一次コイルを有する一次コイル構造とを含む。第一の端部コイルが磁石のボアの第一の端部に隣接し、第二の端部コイルが磁石の第二の端部に隣接する。第一の端部コイルと第二の端部コイルとの間隔は1000mm以下であり、一次コイルによって生成される撮像領域はディスクタイプである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング(MRI)システムでの使用に適した磁石であって、前記磁石は、磁石本体を有し、前記磁石本体は、前記磁石本体の軸に沿って貫通して延びるボアを有し、前記磁石は、
前記磁石のボアの第一の端部に隣接する第一の端部コイルと、前記磁石の第二の端部に隣接する第二の端部コイルとを含む、前記軸に沿って配置された4個又は5個の一次コイルを有する一次コイル構造を有し、前記4個又は5個の一次コイルは同じ電流極性を有し、
前記第一の端部コイルと前記第二の端部コイルとの間隔は1000mm以下であり、
前記一次コイルによって生成される均一な撮像領域は、ディスクタイプであって、
前記ディスクタイプの撮像領域は、軸方向直径と半径方向直径とを有し、前記軸方向直径は、前記半径方向直径より小さく、
前記ディスクタイプの撮像領域の前記半径方向直径に対する前記軸方向直径の比が0.75以下であり、前記撮像領域は、20ppm未満のピークトゥピークの撮像中心における長手方向磁場に対する前記長手方向磁場の計算された変動によって画定される外部表面を有する、
磁石。
【請求項2】
x軸に沿った前記撮像領域の直径は100mmから500mmの間であり、
y軸に沿った前記撮像領域の直径は100mmから500mmの間であり、
z軸に沿った前記撮像領域の直径は20mmから350mmの間である、
請求項1に記載の磁石。
【請求項3】
前記撮像領域は、250mm(x-)×250mm(y-)×40mm(z-)、320mm(x-)×320mm(y-)×100mm(z-)、450mm(x-)×450mm(y-)×100mm(z-)又は300mm(x-)×300mm(y-)×100mm(z-)のいずれかの寸法を有する、
請求項1又は2に記載の磁石。
【請求項4】
前記第一の端部コイルと前記第二の端部コイルとの間隔は、300mmから1000mmの間であり、前記ボアの内径が200mmから1100mmの間であり、前記ボアの長さが250mmから1000mmの間である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項5】
前記磁石本体およびボアが円筒状、円錐状、円錐台状、若しくは階段状であるか、又は、前記一次コイルが円筒状、円錐状、円錐台状、若しくは階段状であるか、の少なくともいずれであって、
前記磁石本体およびボアは、少なくとも一つの円筒部を含み、
前記円筒部が円錐台状部に隣接しているか、又は、第一の円筒部が、前記第一の円筒部の直径よりも小さい直径を有する第二の円筒部に隣接する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項6】
複数の円錐台状部、又は複数の円筒部の少なくともいずれかは、階段状直径ボアを画定し、
前記一次コイル構造の少なくとも1個の前記一次コイルは、前記階段状直径ボアの第一段の周囲に配置され、
前記一次コイル構造の少なくとも1個の前記一次コイルは、前記階段状直径ボアの第二段の周囲に配置される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項7】
前記磁石は、少なくとも1.0テスラの磁場を生成することができる、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項8】
前記磁石は、シールドコイル構造をさらに備え、前記シールドコイル構造は、前記一次コイル構造の周囲に配置され、
前記シールドコイル構造は、前記一次コイルよりも大きい直径を有する少なくとも2個のシールドコイルを含み、
前記シールドコイル構造は、前記一次コイル構造の半径方向外側に配置され、
前記シールドコイルの各々は、前記一次コイル構造の前記第一および第二の端部コイルにおける電流の方向と反対の方向に電流を流し、
前記シールドコイルの各々は、超伝導性または強磁性である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項9】
前記磁石が、一次コイルレイヤおよびシールドコイルレイヤを含む傾斜磁場コイル構造をさらに備え、
前記傾斜磁場コイル構造の前記一次コイルレイヤの長さは、前記傾斜磁場コイル構造の前記シールドコイルレイヤの長さより短く、
前記傾斜磁場コイル構造は、前記磁石本体内に配置された傾斜体内に配置され、
前記傾斜体は、前記ボアと前記磁石本体との間に配置され、
前記磁石は、前記傾斜磁場コイル構造と前記ボアとの間に配置された1以上の高周波 (RF) コイルをさらに備え、
前記1以上のRFコイルは、前記ボアの形状に適合する円錐台状または円筒形であり、前記ボアを取り囲む前記傾斜体の内面に配置される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項10】
前記磁石は、シールドコイル構造と、1以上のシムポケットをさらに備え、
前記シールドコイル構造は、前記一次コイル構造の周囲に配置され、前記一次コイルよりも大きい直径を有する少なくとも1個のシールドコイルを含み、
各前記シムポケットは、その内部に配置される鉄または強磁性材料のシム部を有し、
前記シムポケットは円錐台状または円筒形であり、
各前記一次コイルは、前記磁石本体または前記ボアの少なくともいずれかの形状に適合する形状を有する付属のシムポケットおよびシム部を有し、1以上の前記シム部は、好ましい磁場(B0)均一性レベルを達成するために、受動的に前記撮像領域にシムを入れ、
前記シム部は、前記一次コイル構造と前記シールドコイル構造との間に配置され、
前記シム部は、前記シールドコイル構造の外側に配置される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項11】
5ガウスラインの寸法が半径方向に1.5mから6mの間、軸方向に2.5mから9mの間であるか、又は、前記5ガウスラインの寸法は、
半径方向に3m、軸方向に5m;
半径方向に4.6m、軸方向に7.9m;
半径方向に4.8m、軸方向に7.0m;若しくは
半径方向に4.3m、軸方向に6.5m
のいずれかである、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁石。
【請求項12】
磁石を有する磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、前記磁石は、前記磁石の軸に沿って延びるボアを有し、前記磁石は、
前記磁石の前記ボアの第一の端部に隣接する第一の端部コイルと、前記磁石の第二の端部に隣接する第二の端部コイルとを含む、前記軸に沿って配置された4個又は5個の一次コイルを有する一次コイル構造を有し、前記4個又は5個の一次コイルは同じ電流極性を有し、
前記第一の端部コイルと前記第二の端部コイルとの間隔は1000mm以下であり、
前記一次コイルによって生成される均一な撮像領域は、ディスクタイプであって、
前記ディスクタイプの撮像領域は、軸方向直径と半径方向直径とを有し、前記軸方向直径は、前記半径方向直径より小さく、
前記ディスクタイプの撮像領域の前記半径方向直径に対する前記軸方向直径の比が0. 75以下であり、前記撮像領域は、20ppm未満のピークトゥピークの撮像中心における長手方向磁場に対する前記長手方向磁場の計算された変動によって画定される外部表面を有する、
磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項13】
前記磁気共鳴イメージングシステムが、患者を支持するように構成された可動プラットフォームまたは部分を備え、
前記可動プラットフォームまたは部分は、前記磁気共鳴イメージングシステムの前記ボアを通過するように構成される、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項14】
磁気共鳴イメージングスキャンの方法であって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の磁石を有する磁気共鳴イメージングシステムを通して、患者を支持するプラットフォームを移動させるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気共鳴イメージングおよび磁気共鳴イメージング (MRI) システムにおいて使用するための磁石に関する。特に、本開示の発明は、ディスクタイプ磁気共鳴イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の方法、装置又は文書への言及は、それらが共通の一般的知識の一部を形成した、又は形成するという、いかなる証拠又は自認を構成するものとはみなされない。
【0003】
磁気共鳴イメージングは1980年代に導入され、主要な医療用画像モダリティに発展した。
【0004】
臨床MRIの成功は、強力で均一な磁場を発生させることに依存する。MRI装置は、「撮像領域」 、「直径球面イメージング体積」または「DSV」として当技術分野で公知の所定の領域にわたって実質的に均一であることが要求される静磁場を生成するように設計される。DSV上の静磁場の均一性からの偏差は、典型的には、20ppmピークトゥピーク (または2ppm rms) 未満であることが要求される。
【0005】
MRI装置は最初の密閉型円筒システムの導入以来、多くの改良を受けてきた。特に、信号対雑音比の改善並びに高磁場及び超高磁場磁石の導入により、画像の品質/解像度が改善された。画像の解像度の向上が、順次、構造解剖学的および機能的なヒトMRI画像の両方の専門家の数が増加するのにMRIが選択されるモダリティとなっている。
【0006】
ヒトの研究のための診断画像を生成するための典型的な磁気共鳴システムの基本的な構成要素は、主磁石 (通常、DSV内に実質的に均一な静磁場(B0磁場)を生成する超伝導磁石) 、1以上のシムコイルのセット、1の傾斜磁場コイルのセット、および1以上のRFコイルを含む。MRIの議論は、例えば、Haacke et al., Magnetic Resonance Imaging: Physical Principles and Sequence Design, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999に見出すことができる。Crozier et al.、米国特許第5,818,319号、Crozier et al.、米国特許第6,140,900号、Crozier et al.、米国特許第6,700,468号、Dorri et al.、米国特許第5,396,207号、Dorriet al.、米国特許第5,416,415号、Knuttel et al.、米国特許第5,646,532号、およびLaskaris et al.、米国特許第5,801,609号も参照されたい。これらの内容は、その全体がここに組み込まれる。
【0007】
従来、MRI磁石の全体は、典型的には、長さ約1.6~2.0メートルの円筒形であり、フリーボアの直径は0.8~1.0メートルの範囲である。通常、磁石は、DSVの中点が磁石の主軸に沿って磁石構造の幾何学的中心に位置するように、対称となっている。DSVにおける磁場の軸方向成分の均一性は、球面調和展開によってしばしば解析される。
【0008】
補助的な構成要素 (傾斜磁場及び高周波コイル) を追加した後の従来のMRI装置の典型的な開口部は、約0.6~0.8メートルの直径、すなわち、対象者の肩を受け入れるのにちょうど十分な大きさを有し、約2.0メートル以上の長さを有する円筒形の空間である。驚くことではないが、多くの人がこのような空間に置かれると閉所恐怖症に苦しむ。また、撮像される対象者の身体の部分と磁石システムの端部との間の距離が大きいことは、医師がMRI の手順の間に対象者を容易に補助したり、個人的にモニターしたりすることができないことを意味する。従って、臨床応用においては、短い又はコンパクトな磁石システムが必要である。
【0009】
このような高磁場システムを設計する際の課題は、現在利用可能な費用効果の高い超伝導技術を用いてDSVの磁場均一性とサイズの両方を維持することである。磁石の性能は軸方向と半径方向のボアサイズに大きく関連する。短い磁石又は小型の磁石は、設計や組み立てが非常に難しい。これは主に、従来の設計で製造された高密度コイル構造が、超伝導コイル束に対して許容できないピーク磁場値と応力をもたらすためである。通常、DSVサイズにおいて、磁石のサイズに対して技術的な妥協がなされなければならない。
【0010】
被験者に対するその効果に加えて、磁石のサイズは、MRI装置のコストおよびそのような装置の設置に伴うコストを決定する主要な要因である。他の重要な考慮事項は、システムを極低温に維持するために必要なヘリウムの体積である。そのような磁石の全体は、その大きなサイズのために、頭部、四肢、新生児などの小さなサイズの対象物の画像を生成するのに使用するには高価である。
【0011】
安全に使用するために、MRI装置は、しばしば、オペレータの位置で装置を取り囲む磁界が規制当局指定の曝露レベルを下回るように遮蔽される必要がある。遮蔽によって、オペレータは遮蔽されていないシステムにいるよりも、磁石のさらに近くに安全に位置することができる。このような安全な使用のためには、磁石が長くなるほど、遮蔽の強化およびより大きな遮蔽室を必要とし、したがってより高いコストをもたらす。
【0012】
従って、臨床応用においては、より短い又はよりコンパクトな磁石システムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5818319号明細書
【特許文献2】米国特許第6140900号明細書
【特許文献3】米国特許第6700468号明細書
【特許文献4】米国特許第5396207号明細書
【特許文献5】米国特許第5416415号明細書
【特許文献6】米国特許第5646532号明細書
【特許文献7】米国特許第5801609号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Haacke et al., Magnetic Resonance Imaging: Physical Principles and Sequence Design, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本開示の目的は、1つ以上の上述の欠点または問題を克服または改善するか、または少なくとも有用な商業的代替を提供する磁石または磁気共鳴イメージングシステムを提供することである。
【0016】
本発明の他の好ましい目的は、以下の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様では、本発明は、人間の被験者を移動させることによって磁気共鳴画像を生成する磁気共鳴イメージングシステムに関する。このシステムは、ディスクタイプ均一磁場領域を生成する磁石、傾斜磁場コイル及び高周波 (Radio Frequency; RF) コイルを含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、移動中および/または複数の位置で撮像を行うために、磁気共鳴イメージングシステムを介して患者を移動させる方法に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、磁気共鳴イメージング (MRI) システムでの使用に適した磁石に関する。この磁石は、磁石本体の軸に沿って貫通して延びるボアを有する磁石本体を有し、この磁石は、
磁石のボアの第一の端部に隣接する第一の端部コイルと、磁石の第二の端部に隣接する第二の端部コイルとを含む、軸に沿って配置された少なくとも4個の一次コイルを有する一次コイル構造を有し、
第一の端部コイルと第二の端部コイルとの間隔は1000mm以下であり、
一次コイルによって生成される撮像領域は、ディスクタイプである。
【0020】
好ましくは、ディスクタイプ撮像領域は、軸方向直径 (Dz) と半径方向直径 (Dr) とを有し、軸方向直径は半径方向直径より小さい。より好ましくは、ディスクタイプ撮像領域の軸方向直径の半径方向直径に対する比は、0.75以下である。
【0021】
好ましくは、x軸に沿った撮像領域の直径は、100mmと500mmとの間である。好ましくは、y軸に沿った撮像領域の直径は、100mmと500mmとの間である。z軸に沿った撮像領域の直径は、20mmから350mmの間であることが好ましい。好ましい実施形態では、撮像領域は、250mm (x-) × 250mm (y-) × 40mm (z-) の寸法を有する。別の好ましい実施形態では、撮像領域は、320mm (x-) × 320mm (y-) × 100mm (z-) の寸法を有する。別の好ましい実施形態では、撮像領域は、450mm (x-) × 450mm (y-) × 100mm (z-) の寸法を有する。さらに別の好ましい実施形態では、撮像領域は、300mm (x-) × 300mm (y-) × 100mm (z-) の寸法を有する。
【0022】
好ましくは、第一の端部コイルと第二の端部コイルとの間隔は、300mmから1000mmの間である。
【0023】
好ましくは、一次コイル構造は、4個から8個の一次コイルを有する。好ましくは、一次コイル構造は、4個の一次コイル、5個の一次コイル、6個の一次コイル、または7個の一次コイルを有する。
【0024】
好ましくは、各一次コイルは、同じ電流極性を有する。あるいは、第二の端部コイルに隣接する少なくとも4個の一次コイルのうちの1個は、第二の端部コイルと反対の電流極性を有する。
【0025】
好ましくは、一次コイル構造は、撮像領域の軸方向中心に対して対称である。あるいは、一次コイル構造は、撮像領域の軸方向中心に対して非対称である。
【0026】
好ましくは、磁石本体及びボアは、円筒形、円錐形、円錐台状又は階段状である。好ましくは、磁石本体およびボアは、少なくとも1個の円筒部を含む。好ましくは、円筒部が円錐台状部に隣接する。代替的に、または追加的に、直径を有する第一の円筒部は、直径を有する第二の円筒部に隣接し、第一の円筒部の直径は、第二の円筒部の直径よりも大きい。好ましくは、複数の円錐台状部および/または円筒部は、階段状の直径ボアを画定する。
【0027】
好ましくは、ボアの内径は200mmから1100mmの間である。好ましい実施形態では、ボアは円錐台状であり、その最大直径は820mmであって、小さい直径は282mmである。
【0028】
一次コイルは、円筒形、円錐形、円錐台状、または階段状であることが好ましい。
【0029】
好ましくは、磁石は、階段状直径ボアの第一段の周囲に配置された少なくとも1個の一次コイルと、階段状直径ボアの第二段の周囲に配置された少なくとも1個の一次コイルとを有する階段状直径ボアを備える。
【0030】
好ましくは、磁石は、少なくとも1.0テスラの磁場、より好ましくは少なくとも3.0テスラの磁場を生成することができる。好ましくは、磁場は、所定の撮像領域にわたって実質的に均一である。
【0031】
好ましくは、撮像領域は、20ppm未満のピークトゥピークの撮像中心における長手方向磁場に対する長手方向磁場の計算された変動によって画定される外部表面を有する。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、磁気共鳴イメージング (MRI) システムでの使用に適した磁石を有する磁気共鳴イメージングシステムに関する。磁石は、磁石の軸に沿って延びるボアを有し、磁石は、
磁石のボアの第一の端部に隣接する第一の端部コイルと、磁石の第二の端部に隣接する第二の端部コイルとを含む、軸に沿って配置された少なくとも4個の一次コイルを有する一次コイル構造を有し、
前記第一の端部コイルと前記第二の端部コイルとの間隔は1000mm以下であり、
前記一次コイルによって生成される撮像領域は、ディスクタイプである。
【0033】
好ましくは、磁石またはMRIシステムは、シールドコイル構造をさらに含む。好ましくは、シールドコイル構造は、一次コイル構造の周囲に配置される(すなわち、シールドコイル構造は、一次コイル構造よりも大きな直径を有する)。好ましくは、シールドコイル構造は、一次コイルよりも大きな直径を有する少なくとも1個のシールドコイルを含む。好ましくは、シールドコイル構造は、一次コイル構造の半径方向外側に配置される。
【0034】
好ましくは、シールドコイル構造は、少なくとも2個のシールドコイルを有する。
【0035】
好ましくは、各シールドコイルは、一次コイル構造の第1および第2の端部コイルにおける電流の方向と反対の方向に電流を流す。
【0036】
好ましくは、各シールドコイルは、超伝導性または強磁性である。
【0037】
好ましくは、使用時に、シールドコイルは、撮像領域内の磁界を調整する。
【0038】
好ましくは、磁石またはMRIシステムは、一次コイルレイヤおよびシールドコイルレイヤを含む傾斜磁場コイル構造をさらに備える。好ましくは、傾斜磁場コイル構造の一次コイルレイヤの長さは、傾斜磁場コイル構造のシールドコイルレイヤの長さよりも短い。より好ましくは、傾斜磁場コイル構造の一次コイルレイヤの長さは、傾斜磁場コイル構造のシールドコイルレイヤの長さよりも著しく短い。有利には、シールドコイルレイヤは、良好な遮蔽性能を維持しながら傾斜磁場コイル厚さを減少させるために、一次コイルレイヤにより近い位置に配置することができる。
【0039】
好ましくは、傾斜磁場コイル構造は、磁石内に配置された傾斜体内に配置される。好ましくは、傾斜体は、ボアと磁石本体との間に配置される。
【0040】
好ましくは、磁石またはMRIシステムは、傾斜磁場コイル構造とボアとの間に配置された1以上の高周波 (RF) コイルをさらに含む。好ましくは、RFコイルは、円錐台状および/または円筒形であり、ボアの形状に適合する。好ましくは、RFコイルは、ボアを取り囲む傾斜体の内面に配置される。
【0041】
好ましくは、システムは、1以上のシムポケットをさらに含む。好ましくは、シムポケットは円錐台状および/または円筒形である。好ましくは、シム部は、各シムポケット内に配置される。好ましくは、シム部は、鉄系または強磁性材料を含む。好ましくは、各一次コイルは、磁石本体および/またはボアの形状に適合する形状を有する付属のシムポケットおよびシム部を有する。好ましくは、シム部は、好ましい磁場(B0) 均一性レベルを達成するために、受動的に撮像領域にシムを入れる。好ましくは、シム部は、一次コイル構造とシールドコイル構造との間に配置される。いくつかの実施形態では、シム部は、シールドコイル構造の外側に配置される。好ましくは、シム部は、磁石と傾斜磁場コイルとの間に配置される。
【0042】
好ましくは、ボアの長さは250mmから1000mmである。いくつかの好ましい実施態様において、ボアの長さは、300mm、570mm、600mm、800mm又は900mmである。
【0043】
好ましくは、5ガウスラインの寸法は、半径方向に1.5mから6mの間、軸方向に2.5mから9mの間である。いくつかの好ましい実施形態では、5ガウスラインは、以下の寸法を有する。
半径方向に3m、軸方向に5m;または
半径方向に4.6m、軸方向に7.9m;または
半径方向に4.8m、軸方向に7.0m;または
半径方向に4.3m、軸方向に6.5m。
【0044】
好ましくは、磁気共鳴イメージングシステムは、患者を支持するように構成された可動プラットフォームまたは部分を含む。好ましくは、可動プラットフォームまたは可動部分は、磁気共鳴イメージングシステムのボアを通過するように構成される。
【0045】
別の形態では、本発明は、磁気共鳴イメージングスキャンの方法に関し、この方法は、以下のステップを含む。
磁気共鳴イメージングシステムを通して、患者を支持するプラットフォームを移動させるものであり、磁気共鳴イメージングシステムは上記のような磁石を有する。
【0046】
本発明のさらなる側面によれば、磁気共鳴イメージング (MRI) システムにおいて使用するのに適した磁石が提供される。この磁石は、磁石本体の軸に沿って貫通して延びるボアを有する磁石本体を備え、磁石は、軸線に沿って同軸に配置された少なくとも4個の一次コイルを有する一次コイル構造を有し、一次コイル構造は、ボアの第一の端部に隣接する第一の端部コイルと、ボアの第二の端部に隣接する第二の端部コイルとを有し、一次コイル構造は、ボア内に実質的に均一なディスク形状の撮像領域を生成するように配置される。
【0047】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
一例に過ぎないが、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して、以下により詳細に説明する。
図1】本発明の第1の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムの概略断面図である。
図1A図1の磁気共鳴イメージングシステムのマグネットコイル構成およびDSV寸法を示す図である。
図1B図1の磁気共鳴イメージングシステムの磁石および5ガウスラインの外側の漂遊磁界を示す。
図2】本発明の第2の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図3A図3の磁気共鳴イメージングシステムのマグネットコイル構成およびDSV寸法を示す図である。
図3B図3の磁気共鳴イメージングシステムの磁石および5ガウスラインの外側の漂遊磁界を示す。
図4】本発明の第4の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図4A図4の磁気共鳴イメージングシステムのマグネットコイル構成およびDSV寸法を示す図である。
図4B図4の磁気共鳴イメージングシステムの磁石および5ガウスラインの外側の漂遊磁界を示す。
図5】本発明の第5の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図6】本発明の第6の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図6A図6の磁気共鳴イメージングシステムのマグネットコイル構成およびDSV寸法を示す。
図6B図6の磁気共鳴イメージングシステムの磁石および5ガウスラインの外側の漂遊磁界を示す。
図7】本発明の第7の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図8】本発明の第8の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図9】本発明の第9の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図10】本発明の第10の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
図11】本発明の第11の実施形態による磁気共鳴イメージングシステムで使用するための磁石の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1を参照すると、磁気共鳴イメージングシステム01が示されている。システム01は、超伝導磁石である磁石101と、傾斜体102と、受動シムポケット103と、RFコイル104と、磁石101を介して長手方向軸106に平行に軸方向に延びるボア105とを含む。
【0050】
磁石101のボア105は、コールドボア長さL1 (好ましくは250mmから1000mmの間) および内径D1を有する。
【0051】
磁石101は、球状体積径 (Diameter of Spherical Volume; DSV) /撮像領域の中心に対して対称であり、第一の端部コイル112aと、第二の端部コイル112bと、第一の端部コイル112aと第二の端部コイル112bとの間に配置される2個の中間コイル113a, 113bと、の四つの一次コイルを有する一次コイル構造110を備える。各コイル112a, 112b, 113a, 113bは、同じ (正) 極性を有する。ボア105の両端に配置されるそれぞれの端部コイル112a、112bは、距離C1だけ離れており、距離C1は好ましくは300mmと1000mmの間である。端部コイル112a, 112bの間の距離は、一方のコイルの中心から他方のコイルの中心までとして測定されることが理解されよう。
【0052】
また、システム01は、一次コイル112a, 112b, 113a, 113bの極性と反対 (負) の極性を有する2個のシールドコイル114a, 114bを含み、軸方向直径Dz1が半径方向直径Dr1より小さく、軸方向直径Dz1のDSV211における半径方向直径Dr1に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV111を生成する。
【0053】
磁石101内には傾斜体102が配置されている。傾斜体102の内部には、一次傾斜磁場コイルレイヤ121およびシールド傾斜磁場コイルレイヤ122が配置され、3本の直交z、xおよびy軸において3つの直交傾斜磁場を生成する。
【0054】
シールド傾斜磁場コイルレイヤ122のシールド傾斜磁場コイルにおける電流方向は、一次傾斜磁場コイルレイヤ121の該当する一次傾斜磁場コイルにおける電流方向と反対である。一次傾斜磁場コイルレイヤ121の長さ(Lp)は、シールド傾斜磁場コイルレイヤ122の長さ (Ls) よりも著しく短く、良好な遮蔽性能を維持しながら、一次レイヤとシールドレイヤとの間の半径方向距離をより近くすることが可能となる。RFコイル104も短いので、DSVが短いことにより効率的である。
【0055】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、1.5テスラ超伝導磁石101aの磁石構成およびDSV、並びに5ガウスラインを示す。
【0056】
超電導磁石101aは、超電導磁石101と同一の一次コイル構造110を有する。図示されるように、DSV111 aのサイズは250 mm (X-) × 250 mm (Y-) × 40 mm (Z-) であり、Dz1/Dr1の寸法比は40mm/250mmであり、これは0.16に等しく、ピークトゥピークの均一性は10ppmである。
【0057】
磁石101aのボア105aは、コールドボア長さが570mm、内径が570mm である。
【0058】
ボア105aの両端に配置される各端部コイル112a,112bは、520mm間隔で配置されている。
【0059】
図1Bを参照すると、5ガウスラインのサイズは、半径方向に3メートル、軸方向に5メートルであり、これは、良好に制御された漂遊磁界を示す。
【0060】
次に図2では、本発明の実施形態による一次コイル構造210を有する磁気共鳴イメージングシステムでの使用に適した超伝導磁石02が示されている。
【0061】
磁石02は、長手方向軸202に平行であり、磁石02を通って軸方向に延びるボア201を含む。
【0062】
磁石02のボア201は、コールドボア長さL2 (好ましくは250mmから1000mmの間) および内径D2を有する。
【0063】
磁石02の一次コイル構造210は、5個の一次コイル、第一の端部コイル212a、第二の端部コイル212bと、DSV211の中心に対して対称に配置された3個の中間コイル213a, 213b, 214とを含み、中間コイル214はDSV211の中心にわたって延在する。第一の端部コイル212aと第二の端部コイル212bとは、距離C2だけ離れており、距離C2は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0064】
一次コイル構造210の5個のコイル212a, 212b, 213a, 213b, 214は全て同じ極性を有し、軸方向直径Dz2が半径方向直径Dr2より小さく、軸方向直径Dz2のDSV211における半径方向直径Dr2に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV211を生成する。
【0065】
図3を参照すると、磁気共鳴イメージングシステムでの使用に適した超伝導磁石03が示されており、磁石03は、本発明の実施形態による一次コイル構造310を有する。
【0066】
磁石03は、長手方向軸302に平行に磁石03を軸方向に貫通して延びるボア301を含む。
【0067】
マグネット03は、コールドボア長L3(好ましくは250mmから1000mmの間)と内径D3とを有している。
【0068】
一次コイル構造310は、DSVの中心に対称に配置された磁石03内の6個の一次コイルを含み、そのうちの4個の312a, 312b, 313a, 313bは同じ極性を有する。残りの2個のコイル314a, 314bは、他の4個のコイルとは逆極性であり、軸方向直径Dz3が半径方向直径Dr3よりも小さいディスクタイプDSV311を生成し、軸方向直径Dz3のDSV211における半径方向直径Dr3に対する比が0.75以下である。
【0069】
ボア301の両端に配置されるそれぞれの端部コイル312a, 312bは、距離C3だけ離れており、距離C3は好ましくは300mmと1000mmの間である。端部コイル312a, 312bの間の距離は、一方のコイルの中心から他方のコイルの中心までとして測定されることが理解されよう。
【0070】
図3Aおよび3Bは、3.0テスラ超伝導磁石03aの磁石構成およびDSV、並びに5ガウスラインを示し、これは、同じ一次コイル構造310を有する超伝導磁石03と実質的に同じである。
【0071】
前述したように、磁石03(また、さらに磁石03a)は、6個の一次コイル312a, 312b, 313a, 313b, 314a, 314bを使用し、4個の一次コイル312a, 312b, 313a, 313bは正極性であり、2個の一次コイル314a, 314bは負極性である。また、磁石03aは、負極性を有する2個のシールドコイル315a, 315bを含む。
【0072】
図3Aに示すDSV311aの寸法は、320mm(X-) × 320mm(Y-) × 100mm (Z-) である。これにより、0.3125(Dz3/Dr3 = 100mm/320mm) の寸法比および10ppmのピークトゥピーク輪郭が得られる。
【0073】
マグネット03aのボア305aは、コールドボア長さが800mm、内径が760mmである。
【0074】
ボア305aの両端に配置される各端部コイル312a, 312bは、667mm間隔で配置されている。
【0075】
図3Bに示すように、この構成では半径方向に4.6メートル、軸方向に7.9メートルの5ガウスラインが得られ、これもまた、漂遊磁界が良好に制御されていることを示している。
【0076】
図4は、本発明の第四の好ましい実施形態の一次コイル構造410を超電導磁石04の形で示している。
【0077】
マグネット04は、コールドボア長さL4(好ましくは250mmから1000mmの間)及び内径D4を有する。
【0078】
磁石04は、7個の一次コイルを有する一次コイル構造410、すなわち、第一の端部コイル412aと、第二の端部コイル412bと、5個の中間コイル413a, 413b, 414, 415a, 415bとを含む。
【0079】
一次コイル構造410は、DSV411の中心に関して対称に配置され、コイル414は、DSV411の中心にわたって延在する。第一の端部コイル412a及び第二の端部コイル412bは、ボア401の対向する端部に位置し、距離C4だけ離れており、距離C4は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0080】
コイル412a, 412b, 413a, 413b, 414は同じ極性を有する一方、コイル415a及び415bは反対の極性を有し、これらを組み合わせて、軸方向直径Dz4が半径方向直径Dr4よりも小さく、軸方向直径Dz4のDSV411における半径方向直径Dr4に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV411を生成する。
【0081】
図4Aおよび図4Bは、1.5テスラ超伝導磁石04aの磁石構成およびDSV、並びに5ガウスラインを示し、これは、同じ一次コイル構造410を有する超伝導磁石04と実質的に同じである。
【0082】
磁石04aは、7個の一次コイル412a, 412b, 413a, 413b, 414, 415a, 415b(磁石04のように)と2個のシールドコイル416a, 416bとを用い、5個の一次コイル412a, 412b, 413a, 413b, 414は正極性を有し、2個のシールドコイル416a, 416bだけでなく2個の一次コイル415a, 415bは負極性を有する。
【0083】
DSV411aは、450mm(X-) × 450mm(Y-) × 100mm(Z-)の寸法を有し、0.222(Dz4/Dr4=100mm/450mm)の寸法比を提供する。
【0084】
磁石04aは、コールドボア長さが899mm、内径が900mmである。
【0085】
ボア405aの両端に配置される各端部コイル412a,412bは、800mm間隔で配置されている。
【0086】
次に図4Bを参照すると、5ガウスラインのサイズは半径方向に4.8メートル、軸方向に7.0メートルであり、これは、漂遊磁界が制御されていることを示していることが理解されよう。
【0087】
図4Aに手短に戻ると、DSV411aは10ppmのピークトゥピークの均一性を有することに留意されたい。
【0088】
図5は、超電導磁石05の一次コイル構造510を示す。
【0089】
磁石05は、長手方向軸502の周りに、磁石05を通って軸方向に延びる円錐台状のボア501を含む。
【0090】
磁石05は、一次コイル構造510を有し、一次コイル構造510は五つの一次コイルを含む:第一の端部コイル512、第二の端部コイル513、及び第一の端部コイル512と第二の端部コイル513との間に配置される3個の中間コイル514,515,516である。全てのコイル512~516は、同じ極性であり、非対称で円錐台状に配置されている。磁石05のボア501は、コールドボア長さL5(好ましくは250 mmから1000mmの間) を有する。第一の端部コイル512aと第二の端部コイル513とは、距離C5だけ離れており、距離C5は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0091】
端部コイル512は、円筒部503の周りで最大の内径D5aを有する一方、端部コイル513は、円筒部505の周りで最小の内径D5bを有し、これは端部コイル512の内径より著しく小さい。典型的には、コイル516は、端部コイル512の内径と同様の内径を有し、人の肩へのアクセスを可能にする。図示のように、コイル513, 514は、最大内径D5aと小さい内径D5bとの間の中間内径D5cを有するボア502の傾斜部/円錐台状部504の周りに配置される。
【0092】
磁石05は、軸方向直径Dz5が半径方向直径Dr5よりも小さく、軸方向直径Dz5のDSV511における半径方向直径Dr5に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV511を生成する。
【0093】
図6は、本発明の第六の好ましい実施形態の一次コイル構造を示しており、超電導磁石06は一次コイル構造610を有している。
【0094】
磁石06は、長手方向軸602の周りに、磁石06を通って軸方向に延びる狭窄ボア601を含む。
【0095】
磁石06の一次コイル構造610は、6個の一次コイル、すなわち、第一の端部コイル612、第二の端部コイル613、およびそれらの間に配置される4個の中間コイル614, 615, 616, 617を備える。一次コイル612~617は、非対称で円錐台状に配置されている。5個のコイル612, 613, 614, 615, 616は同じ極性を有する一方、端部コイル612に隣接する1個の一次コイル617は反対の負極性を有する。いくつかの代替実施形態では、一次コイル617は、端部コイル613に隣接して配置することができる。
【0096】
第一の端部コイル612および第二の端部コイル613は、ボア601の対向する端部に配置され、距離C6だけ離れており、距離C6 は好ましくは300mmと1000mmの間である。端部コイル612, 613間の距離は、一方のコイルの中心から他方のコイルの中心までとして測定されることが理解されよう。
【0097】
端部コイル612は、最大内径D6aを有するボア601の最も広い部分 (第一の円筒部603) の周りに配置される一方、対向する端部コイル613は、最小内径D6bを有するボア601の狭い部分 (第二の円筒部605) の周りに配置されており、最小内径D6bは、最大内径D6aのそれよりも著しく小さい。
【0098】
図示のように、コイル614, 615は、最大内径D6aと小さい内径D6bとの間の中間径D6cを有するボア601の傾斜部/円錐台状部604の周りに配置される。
【0099】
典型的には、コイル616は、端部コイル612の内径と同様の内径を有し、人間の肩へのアクセスを可能にする。
【0100】
磁石06は、軸方向直径Dz6が半径方向直径Dr6より小さく、軸方向直径Dz6のDSV611における半径方向直径Dr6に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV611を生成する。
【0101】
図示の実施形態では、磁石06は、L6のコールドボア長 (好ましくは250mmから1000mmの間) 、最大内径D6a、および小さい内径D6bを有する。
【0102】
図6Aおよび6Bは、磁石構成およびDSV、ならびに同一の一次コイル構造610を有する超伝導磁石06と実質的に同一である1.5テスラ超伝導磁石06aの5ガウスラインを図示する。磁石06と同様に、磁石06aは6個の一次コイル612, 613, 614, 615, 616, 617を使用する。磁石06aはまた、1個のシールドコイル618を含む。5個の一次コイル612, 613, 614, 615, 616は正の極性を有し、1個の一次コイル617はシールドコイル618と同様に反対の負の極性を有する。
【0103】
磁石06aによって生成されるDSV611 aは、寸法が300mm(X-) × 300mm(Y-) × 100mm(Z-)であり、Dz6/Dr6の比が0.333(100mm/300mm)であり、ピークトゥピークの均一性が10ppmである。
【0104】
図示の実施形態では、磁石06aは、600mmのコールドボア長さ、820mmの最大内径および282mmの最小内径を有する。
【0105】
ボア605aの両端に配置される各端部コイル612, 613は、550mm間隔で配置されている。図6Bを参照すると、磁石06aの5ガウスラインの寸法が半径方向に4.3メートル、軸方向に6.5メートルであり、漂遊磁界が良好に制御されていることが見て取れる。
【0106】
図7は、一次コイル構造710を有する別の磁石07を示す。
【0107】
磁石07は、長手方向軸702の周りに、磁石07を通って軸方向に延びる階段状ボア701を含む。
【0108】
図示された実施形態では、磁石07は、L7(好ましくは250mmから1000mmの間) のコールドボア長を有する。
【0109】
一次コイル構造710は、非対称の三段配置を有する同極性の5個の一次コイル712, 713, 714, 715, 716を有する。
【0110】
端部コイル712は、最大内径D7aを有するボア701の最も広い部分 (第一段703) の周りに配置される一方、対向する端部コイル713は、最大内径D7aよりも著しく小さい最小内径D7bを有するボア701の最も狭い部分 (第三段705) の周りに配置される。
【0111】
第一の端部コイル712と第二の端部コイル713とは、距離C7だけ離れており、距離C7は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0112】
コイル716は、端部コイル712の内径と同様の内径を有しており、人の肩へのアクセスを可能にしている。端部コイル713に隣接し、ボア701の第二段 (第二段704)の周りに配置された2個の中サイズのコイル714及び715は、最大内径D7aよりも著しく小さく、最小内径D7bよりも著しく大きい、同一又は類似の内径D7cを有する。
【0113】
磁石07は、軸方向直径Dz7が半径方向直径Dr7より小さく、軸方向直径Dz7のDSV711における半径方向直径Dr7に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV711を生成する。
【0114】
図8は、磁石08の一次コイル構造810を示す。
【0115】
磁石08は、長手方向軸802の周りに、磁石08を通って軸方向に延びる階段状ボア801を含む。
【0116】
図示された実施形態では、磁石08は、L8(好ましくは250mmから1000mmの間) のコールドボア長を有する。
【0117】
一次コイル構造810は、非対称の三段構成を有する6個の一次コイル812, 813, 814, 815, 816及び817を含む。
【0118】
5個のコイル812, 813, 814, 815, 816は同じ極性を有する一方、端部コイル812に隣接する1個の一次コイル817は反対の極性を有する。いくつかの実施形態では、一次コイル817は、対向する端部コイル813に隣接して配置することができる。
【0119】
端部コイル812は、最大内径D8aを有するボア801の最も広い部分 (第一段803) の周りに配置される一方、対向する端部コイル813は、最大内径D8aよりも著しく小さい最小内径D8bを有するボア801の最も狭い部分 (第三段805) の周りに配置される。典型的には、コイル816は、端部コイル812の内径と同様の内径を有し、人間の肩へのアクセスを可能にする。
【0120】
第一の端部コイル812と第二の端部コイル81とは、距離C8だけ離れており、距離C8は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0121】
端部コイル813に隣接し、ボア801の第二段804の周りに配置される2個の中サイズのコイル814及び815は、最大内径D8aよりも著しく小さく、最小内径D8bよりも著しく大きい同一又は類似の内径D8cを有する。
【0122】
磁石08は、軸方向直径Dz8が半径方向直径Dr8より小さく、軸方向直径Dz8のDSV811における半径方向直径Dr8に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV811を生成する。
【0123】
図9は、本発明の別の実施形態による磁石09を示す。
【0124】
磁石09は、長手方向軸902の周りに磁石09を通って軸方向に延びる階段状ボア901を含む。
【0125】
図示の実施形態では、磁石09は、L9(好ましくは250mmから1000mmの間) のコールドボア長を有する。
【0126】
磁石09は、非対称の二段配置を有する同極性の5個の一次コイル912, 913, 914, 915, 916を有する一次コイル構造910を備える。磁石は、より多くの一次コイルを有することができることが理解されよう。
【0127】
同一又は類似の内径D9aを有するボア901の第一段903には、2個の一次コイル912及び916がある。また、同一又は類似の内径D9b を有するボア901の第二段904には、3個の一次コイル913, 914及び915がある。
【0128】
第一段903におけるコイル912, 916の内径は、第二段904におけるコイル913, 914, 915の内径よりも著しく大きい。
【0129】
第一の端部コイル912と第二の端部コイル913とは、距離C9だけ離れており、距離C9は好ましくは300mmと1000mmとの間である。
【0130】
磁石09は、軸方向直径Dz9が半径方向直径Dr9より小さく、軸方向直径Dz9のDSV911における半径方向直径Dr9との比が0.75以下であるディスクタイプDSV911を生成する。
【0131】
図10は、一次コイル構造1010を含む磁石010を示す。
【0132】
磁石010は、長手方向軸1002の周りに、磁石010を通って軸方向に延びる階段状ボア1001を含む。
【0133】
図示の実施形態では、磁石010は、L10(好ましくは250mmから1000mmの間) のコールドボア長を有する。
【0134】
磁石010は、非対称の二段配置を有する7個の一次コイル1012, 1013, 1014, 1015, 1016, 1017, 1018を備える。一次コイル構造1010の5個のコイル1012, 1013, 1014, 1015, 1016は同じ極性を有する一方、2個の端部コイル1012, 1013にそれぞれ隣接する2個の一次コイル1017, 1018は、5個のコイル1012, 1013, 1014, 1015, 1016と反対の極性を有する。
【0135】
第一の端部コイル1012と第二の端部コイル1013とは、距離C10だけ離れており、距離C10は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0136】
内径D10aを有するボア1001の第一段1003の周りには、3個の一次コイル1012, 1016及び1017が配置されている。内径D10bを有するボア1010の第二段1004の周りには、4個の一次コイル1013, 1014, 1015及び1018も配置されている。
【0137】
第一段1003におけるコイル1012, 1016, 1017の内径は、第二段1004におけるコイル1013, 1014, 1015, 1018の内径よりも著しく大きい。磁石010は、軸方向直径Dz10が半径方向直径Dr10より小さく、軸方向直径Dz10のDSV1011における半径方向直径Dr10に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV1011を生成する。
【0138】
図11は、一次コイル構造1110を含む磁石011を示す。
【0139】
磁石011は、長手方向軸1102の周りに磁石011を通って軸方向に延びる二段状のボア1101を含む。
【0140】
図示された実施形態では、磁石011は、L11(好ましくは250mmから1000mmの間) のコールドボア長を有する。
【0141】
磁石011は、非対称の二段配置を有する七個の一次コイル1112, 1113, 1114, 1115, 1116, 1117及び1118を備える。
【0142】
一次コイル構造1110の5個のコイル1112, 1113, 1114, 1115, 1116は同じ極性を有する一方、2個の端部コイル1112及び1113にそれぞれ隣接する2個の一次コイル1117, 1118は他の5個のコイル1112, 1113, 1114, 1115, 1116とは反対の極性を有する。
【0143】
第一の端部コイル1112と対向する第二の端部コイル1113とは、距離C11だけ離れており、距離C11は好ましくは300mmと1000mmの間である。
【0144】
内径D11aを有するボア1101の第一段1103の周りには、6個の一次コイル1112, 1114, 1115, 1116, 1117及び1118が配置されている。残りの一次コイル1113は、内径D11bを有するボア1110の第二段1104の周りに配置される。
【0145】
第一段1103の周りのコイル1112, 1114, 1115, 1116, 1117および1118の内径は、第二段1104の周りのコイル1113の内径よりも著しく大きい。
【0146】
磁石011は、軸方向直径Dz11が半径方向直径Dr11より小さく、軸方向直径Dz11のDSV1111における半径方向直径Dr11に対する比が0.75以下であるディスクタイプDSV1111を生成する。
【0147】
上記実施形態を参照すると、ボアの内径は、200mmから1100mmの間であることが好ましい。いくつかの好ましい実施態様において、ボアは、最大内径820mm及び最小内径282mmを有する円錐台状である。
【0148】
従来、 MRI磁石内のDSVは、検査中の臓器全体(例えば脳全体)を囲むように設計されている。典型的なDSVサイズは直径45~50 cmであり、球形またはわずかに楕円形の体積を有し、患者がDSVの中心に位置したままで器官が走査/画像化される。したがって、その臓器の検査中に患者を動かすことはない。軸方向のDSVのサイズは磁石の長さに強く影響を与える。本発明の特徴は、DSVがその半径方向の広がりよりもはるかに小さい軸方向の広がりを有することである。これは、磁石を従来のシステムよりも短くすることを可能にし、使用時には、磁石システムを介して自動的に制御された様式で患者を移動させることによって、臓器全体のイメージングが達成される。この新しいアプローチは磁石設計からDSV制限を実質的に低減し、新しい磁石の範囲を設計できる。さらに、いくつかの実施形態では、患者を撮像領域/DSVを通って移動させることができ、それによって、撮像されるべき患者の器官をDSV内の中心に置く必要がないので、撮像装置の長さを著しく短くすることができる。
【0149】
使用時には、磁石は、少なくとも1.0テスラ、好ましくは少なくとも3.0テスラの磁場を生成することができ、その磁場は所定の撮像領域または体積(「均一領域」または「DSV」とも呼ばれる) にわたって実質的に均一である。典型的には、撮像領域は、20ppm未満のピークトゥピークの撮像中心における長手方向磁場に対する長手方向磁場の計算された変動によって画定される外部表面を有する。
【0150】
本明細書において、「球状体積の直径」、「DSV」および「撮像領域」という用語は、互換的に使用される。
【0151】
本明細書において、第1および第2、左および右、上および下などの形容詞は、必ずしも実際のそのような関係または順序を必要とする、または示唆することなく、単に1つの要素または動作を別の要素または動作から区別するために使用され得る。状況が許す場合、整数または要素またはステップ (または同様のもの) への参照は、1つだけのその整数、要素またはステップに限定されると解釈されるべきではなく、むしろ1つ以上のその整数、要素またはステップなどであり得る。
【0152】
本発明の様々な実施形態の上記の詳細な説明は、関連技術の当業者に対して説明の目的で提供されるものである。説明は、全てを網羅することも、本発明を単一の開示された実施形態に限定することも意図しない。上述したように、本発明の多数の代替および変形が、上記教示の当業者には明らかであろう。したがって、いくつかの代替的な実施形態が具体的に議論されてきた一方で、他の実施形態は、当業者によって明らかであるか、または比較的容易に開発されるであろう。本発明は、本明細書で議論されてきた本発明のすべての代替、修正、および変形、ならびに上記の本発明の精神および範囲に入る他の実施形態を包含することを意図している。
【0153】
本明細書において、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」または同様の用語は、非排他的包含を意味することを意図しており、要素のリストを含む方法、システム、または装置は、それらの要素のみを含まず、リストされていない他の要素を含んでもよい。
【0154】
明細書及び特許請求の範囲 (存在する場合) 全体を通して、文脈上、他に必要とされない限り、 「実質的に」 又は 「約」 という用語は、その用語によって限定される特定の値又は範囲に限定されないと理解される。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5
図6
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11