(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063157
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】循環細胞を用いて被検者における治療反応及び疾患の進行をモニターする方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20240501BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20240501BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240501BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 31/337 20060101ALN20240501BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/517 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/565 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/4196 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/357 20060101ALN20240501BHJP
A61K 38/09 20060101ALN20240501BHJP
A61K 38/08 20190101ALN20240501BHJP
A61K 31/277 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/58 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/282 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/7068 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/519 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/4166 20060101ALN20240501BHJP
A61K 31/475 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
G01N33/48 M
G01N33/68
A61P37/04
A61P35/00
A61K39/00 H
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K39/395 T
A61K31/517
A61K31/565
A61K31/4196
A61K31/357
A61K38/09
A61K38/08
A61K31/277
A61K31/58
A61K39/395 U
A61K31/282
A61K31/7068
A61K31/519
A61K31/4166
A61K31/475
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031759
(22)【出願日】2024-03-02
(62)【分割の表示】P 2020546878の分割
【原出願日】2019-03-13
(31)【優先権主張番号】62/642,318
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/658,122
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/747,796
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/768,561
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/794,580
(32)【優先日】2019-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517411139
【氏名又は名称】クレアティブ マイクロテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(72)【発明者】
【氏名】アダムス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】タン チャーメイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血液及びその他の体液中の循環細胞バイオマーカーを用いて、固形腫瘍のようながんを有する被検者における治療反応及び疾患の進行をモニターする方法の提供。
【解決手段】被検者の治療反応と疾患の進行をモニターする手段が開示されており、予測は、被検者からの血液などの生体試料中に見られる循環がん関連マクロファージ様細胞(CAMLs)の数及び/又はサイズの変化に基づいている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する被検者の治療に対する反応の可能性を示す方法であって、被検者から得られた血液試料中のCAMLsのサイズを決定すること、及びそれに基づいて予測を行うことを含み、試料中の各CAMLのサイズが約50μm未満である場合、被検者は治療に反応するであろうことを示し、また、試料中の少なくとも1つのCAMLのサイズが約50μm以上の場合、被検者は治療に反応しないであろうことを示す方法。
【請求項2】
がんを有する被検者の治療に対する反応の可能性を示す方法であって、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の血液試料、並びに任意の追加の血液試料におけるCAMLsのサイズを決定することを含み、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応するであろうことを示し;
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないであろうことを示し;
サイズが約50μmを超えるCAMLsの数が、第1から第2及び任意の追加試料で維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないであろうことを示し;又は
サイズが約50μmを超えるCAMLsの数が第1から第2及び任意の追加試料で減少する場合、被検者は治療に反応するであろうことを示し;又は
第2又は後続の試料の各CAMLのサイズが第1の試料と比較して減少し、第2の又は任意の追加の試料の各CAMLのサイズが約50μm未満である場合、被検者は治療に反応するであろうことを示し、がんが治癒される可能性がある方法。
【請求項3】
がんを有する被検者の治療に対する反応の可能性を示す方法であって、治療後の被検者からの血液試料中に約50μmより大きいどのようなCAMLsも存在しないことを決定することを含み、それは被検者が治療に反応していることを示す方法。
【請求項4】
がんを有する被検者の治療に対する反応の可能性を示す方法であって、がんを有する被検者から得られた血液試料中のCAMLsのサイズを決定することを含み、試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、各CAMLのサイズが約50μm以下である場合、被検者は治療に反応するであろうことを示す方法。
【請求項5】
がんを有する被検者の治療に対する反応の可能性を示す方法であって、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の血液試料、並びに任意の追加の血液試料中のCAMLsの数を決定することを含み、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2と任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、CAMLsの数が第1から第2及び任意の追加試料で減少する場合、被検者は治療に反応するであろうことを示し、そして、CAMLsの数が第1から第2及び任意の追加の試料で維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないであろうことを示す方法。
【請求項6】
CAMLsが以下の特徴を有する、請求項1~5のいずれかに記載の方法:
(a)約14~64μmのサイズを有する複数の個々の核及び/又は1つ以上の融合核;
(b)サイズが約20~300μmの細胞サイズ;及び
(c)紡錘形、オタマジャクシ、円形、楕円形、2本足、3本以上の足、細い足、及び無定形からなるグループから選択された形態学的形状。
【請求項7】
CAMLsが以下の追加の特性の1つ以上を有する、請求項6に記載の方法:
(d)CD14陽性表現型;
(e)CD45発現;
(f)EpCAM発現;
(g)ビメンチン発現;
(h)PD-L1発現;
(i)単球CD11Cマーカーの発現;
(j)内皮CD146マーカーの発現;
(k)内皮CD202bマーカーの発現;
(l)内皮CD31マーカーの発現;及び
(m)上皮がん細胞CK8、18、及び/又は19マーカーの発現。
【請求項8】
生体試料のサイズが5~15mLである、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
血液試料が、末梢血である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
血液試料が、肘正中静脈血、下大静脈血、大腿静脈血、門脈血、又は頸静脈血である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
がんが固形腫瘍、ステージIがん、ステージIIがん、ステージIIIがん、ステージIVがん、細胞腫、肉腫、神経芽細胞腫、黒色腫、上皮細胞がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵臓がん、大腸がん、肝臓がん、頭頸部がん、腎臓がん、卵巣がん、食道がん又は他の固形腫瘍がんである請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
CAMLsが、サイズ排除法、免疫捕捉、デンドリマーを介した多価細胞捕捉、親和性ベースの表面捕捉、生体模倣表面被覆捕捉、セレクチン被覆表面捕捉、他の機能化表面捕捉、慣性集束チップ、赤血球溶解、白血球枯渇、FICOLL分離、電気泳動、誘電泳動、フローサイトメトリー、磁気浮上、及びさまざまなマイクロ流体チップ、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の手段を用いて血液試料から単離される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
循環細胞が、マイクロフィルターの使用を含むサイズ排除法を用いて血液試料から単離される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
マイクロフィルターが約5ミクロンから約20ミクロンの範囲の孔径を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
マイクロフィルターの細孔が、円形、レーストラック形状、楕円形、正方形及び/又は長方形の細孔形状を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マイクロフィルターが精密な細孔形状及び均一な細孔分布を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
循環細胞が、物理的サイズに基づく選別、流体力学的サイズに基づく選別、グループ化、トラッピング、免疫捕獲、大きな細胞の濃縮、又はサイズに基づく小さな細胞の排除を介して、マイクロ流体チップを使用して分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
循環細胞が、CellSieve(商標)低圧精密濾過アッセイを使用する決定工程のために、血液試料から単離される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
治療が、化学療法、単一薬物、薬物の組み合わせ、免疫療法、放射線療法、化学放射線療法、単一又は複数の薬物と組み合わせた放射線療法、単一又は複数の薬物と組み合わせた化学放射線療法、がんワクチン、及び細胞療法の1つ以上である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
治療ががんワクチンであり、被検者が少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血液及びその他の体液中の循環細胞バイオマーカーを用いて、固形腫瘍のようながんを有する被検者における治療反応及び疾患の進行をモニターする方法に全般的に関わるものである。
関連技術
【0002】
腫瘍細胞が原発固形腫瘍から離脱すると、それらは血液又はリンパ循環に浸透し、最終的に血流を離れて臓器又は組織に入り、転移を形成する。がんに関連する死亡の90%は、転移過程により引き起こされる。最も一般的な転移部位は、肺、肝臓、骨、及び脳である。循環に見い出される腫瘍細胞は循環腫瘍細胞(CTCs)と称される。多くの研究発表と臨床試験は、CTCsが(i)血流中のCTCsの数え上げを通じて予後の生存とがんの再発の情報を提供すること、及び(ii)CTCsにおけるタンパク質発現レベルと遺伝子変異及び転位の発生の検査を通じて治療情報を提供すること、における臨床的有用性を有することを示している。しかし、CTCsは、ステージIVのがん患者でさえ、被検者のがんの進展及び/又は存在と一貫しては関連付けられない。CTCsは、乳がん、前立腺がん、及び大腸直腸がんのステージIVで最も頻繁に見られ、それらは、同じがんの初期ステージではまれである。CTCsは他のがんでもまれである。
【0003】
循環がん関連マクロファージ様細胞(CAMLs)は、がんを有する被検者の血液中に見られる別のがん関連細胞型である。それらは循環巨大間質細胞である。CAMLsは、試験された全ての固形腫瘍及びがんの全てのステージに関連している。CAMLsは倍数体であり、サイズが非常に大きく、サイズが~25から~300μmである。これらの倍数体細胞は、CD45(-)又はCD45(+)の何れかであり得、ほとんどの場合、CD11c、CD14、及びCD31を発現し、このことは、それらの骨髄系列としての起源を確認するものである。それらは、しばしばCTCsと細胞破片を貪食する過程で見出される[1,6]。
【0004】
血液及びその他の体液中のCAMLsなどのバイオマーカーの同定及び特性付けに関連するアッセイは、がんを有する被検者で疾患が進行するか否か、がんを有する被検者が治療に反応しているか否か、及びがんを有する被検者が将来の治療に反応し易いか否か、及びそのような被検者における全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)に関する情報を含む、多様な情報を提供するのに用いられることができる。本発明は、疾患の進行、及び治療反応、及びその他の重要な目標を予測するこのようなツールを臨床家に提供することに向けられている。
【0005】
血液検査によって疾患の進行と治療反応を迅速に予測できることの重要性は、最初の治療が効果的でなければ治療を変更する機会を提供することに関連している。変更を迅速に行うことができることは、別の治療の前にがんの進行を最小化するのに役立つ。免疫療法では、年間15万ドルから35万ドルを超える費用がかかり得るため、迅速な切り替えはコストも低減する。
【発明の概要】
【0006】
要約
本発明は、細胞腫、肉腫、神経芽細胞腫、及び黒色腫を含む固形腫瘍を有する被検者の血液中に見出される独特の特性を有する細胞タイプを用いる方法に向けられている。「循環がん関連マクロファージ様細胞」(CAMLs)と称されるこれらの循環細胞は、がんを有する被検者における固形腫瘍の存在と関連していることが示されてきた。CAMLsに関連する5つの形態が特徴付けられ、説明されてきた[1,2]。CAMLは、がん患者の末梢血において様々な方法で見出されてきた。精密マイクロフィルターを使用した精密濾過のようなサイズ排除法は、ステージIからステージIVの固形腫瘍を有する被検者の末梢血からのCAMLsの着実な分離を提供する。
【0007】
CAMLsに関連する医療応用は、それに限定されないが、がんの早期発見とがん診断、特にがんの逆戻り又は再発の早期発見と診断、及びがんの変異の決定を提供するバイオマーカーとしてのこの細胞の使用を含む。CAMLsは、患者の生存に関する予後を知ることにおけるバイオマーカーとして臨床的有用性を有することが示されている。CAMLsは、また、ここに示されたデータを通じて、治療反応及び疾患進行の予測を行う際のバイオマーカーとしての臨床的有用性を有することが示されている。
【0008】
従って、本発明は、固形腫瘍がんなどのがんを有する被検者における疾患の進行及び/又は治療反応を予測する方法に向けられている。
【0009】
第1の実施態様では、本発明の方法は、経時的にがんを有する被検者から得られた2つ以上の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、時間の経過とともに試料間の循環細胞のサイズの減少が見られるときは、がんが進行していないと予測され、及び/又は被検者が治療に反応していることが見出される。関連する実施態様において、本発明の方法は、経時的にがんを有する被検者から得られた2つ以上の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含み、時間の経過とともに試料間の循環細胞の数の減少が見られるときは、がんが進行していないと予測される、及び/又は被検者が治療に反応していることが見出される。
【0010】
関連する局面において、この方法は、がんを有する被検者から得られた、第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、第1の試料は被検者から得られるがん治療前又はがん治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第1の試料中の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上であり、第2及び任意の追加の試料中の各細胞のサイズが約50μm未満である場合、がんが進行しないと予測される、及び/又は被検者が治療に反応していることが見出される。
【0011】
別の関連する局面では、この方法は、がんを有する被検者から得られた、第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞の平均サイズを決定することを含み、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料における循環細胞の平均サイズが、第1の試料の細胞の平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応していると特定される。ある局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは、約50μm以上である。
【0012】
第2の実施態様では、本発明は、がんを有する被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定すること、及びそれに基づいて予測を行うことを含む、がんを有する被検者におけるがんの進行を予測する方法に向けられており、ここで、試料中の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、がんは進行しないと予測され、試料中の少なくとも1つの循環細胞のサイズが約50μm以上の場合、がんは進行すると予測される。
【0013】
この実施態様の一局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者におけるがん進行に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の試料及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られる、
第2及び任意の追加の試料のCAMLsの平均サイズが第1の試料のCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者でがんは進行しないと予測され、被検者は治療に反応していると任意に特定され;又は、
第2及び任意の追加の試料のCAMLsの平均サイズが第1の試料のCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者でがんは進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと任意に特定され;又は
第1の試料の少なくとも1つのCAMLのサイズが約50μm以上で、第2及び任意の追加の試料の各細胞のサイズが約50μm未満の場合、がんは進行しないと予測され、被検者は治療に反応していると任意に特定され;又は、
第1の試料の各CAMLのサイズが約50μm未満であり、第2及び任意の追加の試料の少なくとも1つのCAMLのサイズが約50μmより大きい場合、がんは進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと任意に特定される。ある局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは、約50μm以上である。
【0014】
この実施態様の別の局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞の数を測定することを含む、がんを有する被検者のがんの進行を予測する方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の試料及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2と任意の追加の試料における循環細胞の数が、第1の試料における循環細胞の数と比較して減少している場合、がんは進行しないと予測され、被検者は治療に反応していると任意に特定され、また、第2と任意の追加の試料における循環細胞の数が、第1の試料における循環細胞の数と比較して維持され又は増加している場合、がんは進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと特定される。
【0015】
第3の実施態様において、本発明は、被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定すること、及びそれに基づき予測することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで試料中の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応すると予測され、試料中の少なくとも1つの循環細胞のサイズが約50μm以上の場合、被検者は治療に反応しないと予測される。
【0016】
この実施態様の一局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、そして
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応すると予測され;
ここで、第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され;
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が、第1から第2及び任意の追加の試料で維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され;又は、
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が、第1から第2及び任意の追加の試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され;又は
第2又は後続の試料における各循環細胞のサイズが第1の試料と比較して減少し、第2又は任意の追加試料における各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応し、及びがんの治癒の可能性があると予測される。
【0017】
この実施態様の別の局面では、本発明は、被検者からの生体試料中に約50μmより大きいCAMLsなどのどのような循環細胞もないことを決定すること、及びこの被検者は治療に反応していると予測することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられている。
【0018】
この実施態様のさらなる局面において、本発明は、がんを有する被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、各循環細胞のサイズが約50μm以下である場合、被検者は治療に反応すると予測される。
【0019】
この実施態様の追加の局面では、本発明は、第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第1から第2及び任意の追加の試料で循環細胞の数が減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、第1から第2及び任意の追加の試料で循環細胞の数が維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測される。
【0020】
第4の実施態様において、本発明は、がんを有する被検者からの生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、肺がんを有する被検者における治療に対する耐性を予測する方法に向けられており、ここで、前記試料中の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上である場合、被検者は、細胞のサイズが約50μmを超る細胞がないがんを有する被検者よりもがん治療に対してより耐性であると予測される。この実施態様のある局面において、がんは肺がんである。
【0021】
本発明は、また、治療決定が、上記説明した方法において循環細胞を使用する治療反応の予測に基づくことができる、がんの治療方法に向けられている。
【0022】
例えば、第5の実施態様では、本発明は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及びがんを有する被検者から得られた2つ以上の生体試料の中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者を治療する方法に向けられており、ここで、第1の生体試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の生体試料はがん治療の間又は後に被検者から得られ、試料間で循環細胞のサイズの減少が経時的に見られる場合、被検者は治療に反応していることが分かり、治療が継続され、そして、試料間で循環細胞のサイズの減少が経時的に見られない場合、被検者は治療に反応しないことが分かり、治療は継続されない。
【0023】
関連する実施態様において、本発明の方法は、がんを有する被検体に治療有効量のがん治療を投与すること、及びがんを有する被検体から得られた2つ以上の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含み、ここで、第1の生体試料は、がん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の生体試料は、がん治療の間又は後に被検者から得られ、試料間で循環細胞の数の減少が経時的に見出された場合、被検者は治療に反応していると分かり、治療が継続され、そして、試料間で循環細胞の数の減少が経時的に見られない場合、被検者は治療に反応していないことが分かり、治療は継続されない。
【0024】
この実施態様の一局面では、この方法は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られる第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第1の試料の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上で、第2の試料と任意の追加の試料の各細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応していることが分かり、治療が継続される。
【0025】
別の関連する局面では、この方法は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られた第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の平均サイズを決定することを含み、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2と任意の追加の試料における循環細胞の平均サイズが第1の試料における細胞の平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応していると特定され、治療が継続され、そして、第2及び任意の追加試料における循環細胞の平均サイズが、第1の試料の細胞の平均サイズと比較して減少していない場合、被検者は治療に反応していないと特定され、治療は継続されない。ある局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは、約50μm以上である。
【0026】
第6の実施態様では、本発明は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られた第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療前又はがん治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、そして、
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され;
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され、治療は継続されず;
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が第1の試料から第2、及び任意の追加の試料で増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測され、治療は継続されず;
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加の試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され;又は
第2又は後続の試料の各循環細胞のサイズが最初の試料と比較して減少し、第2又は任意の追加試料における各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療は継続される。
【0027】
この実施態様の一局面では、本発明は、治療有効量のがん治療をがんを有する被検者に投与すること、及び被検者から得られた生体試料中に、約50μmより大きい、CAMLsなどのどのような循環細胞もないことを決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで、試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、生体試料中に約50μmより大きいどのような循環細胞も存在しない場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続される。
【0028】
この実施態様のさらなる局面では、本発明は、治療有効量のがん治療をがんを有する被検者に投与すること、及び被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者を治療する方法に向けられており、ここで、試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、各循環細胞のサイズが約50μm以下である場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続される。
【0029】
この実施態様の追加の局面では、本発明は、治療有効量のがん治療をがんを有する被検者に投与すること、及び被検者から得られる第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料中の、CAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで、第1の試料は、がん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加の試料で維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測され治療と治療は継続されない。
【0030】
本発明のこれらの実施態様及び局面のそれぞれにおいて、治療の終わりに生体試料中に循環細胞が見られない場合、がんが除去されたと結論付けることができる。治療の最後に生体試料に循環細胞がまだ見つかっている場合、患者においてがんは除去されておらず、患者には残存疾患があると結論付けることができる。
【0031】
残存疾患の病原力は、循環細胞のサイズによって予測することができる。例えば、生体試料における少なくとも1つのCAMLsのサイズが50μm以上の場合、がんはより速く進行する。
【0032】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、循環細胞はCAMLsであり得る。 CAMLsは、以下の各特性を有すると定義される。
(a)サイズが約14~64μmの大きな非定型倍数体核、複数の個々の核、及び/又は約14~64μmのサイズを持つ1つ以上の融合核;
(b)サイズが約20~300μmの細胞サイズ;及び
(c)紡錘形、オタマジャクシ、円形、楕円形、2本の足、3本以上の足、細い足、及び無定形からなる群より選択される形態学的形状。
【0033】
本発明の実施態様のある局面では、循環細胞は、以下の追加の特徴のうちの1つ又は複数を有するとさらに定義することができる。
(d)CD14陽性表現型;
(e)CD45発現;
(f)EpCAM発現;
(g)ビメンチン発現;
(h)PD-L1発現;
(i)CD11Cマーカーの発現;
(j)CD146マーカーの発現;
(k)CD202bマーカーの発現;
(l)CD31マーカーの発現;及び
(m)CK8、18、19上皮表現型。
【0034】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、生体試料のサイズは、0.5から50mLである。生体試料のサイズは、5から15mLであってもよい。本発明のある局面では、生体試料のサイズは約7.5mLである。
【0035】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、生体試料の供給源は、血液、リンパ節、骨髄、脳脊髄液、組織、尿、末梢血単核細胞(PBMCs)、及び凍結保存されたPBMCsの1以上であり得る。生体試料が血液である場合、血液は、例えば、末梢血、肘正中静脈血、下大静脈血、大腿静脈血、門脈血、又は頸静脈血であり得る。試料は、新鮮な試料であってもよいし、適切に調製された凍結保存試料を融解したものであってもよい。
【0036】
本発明の実施態様の有る局面では、がんは、固形腫瘍、ステージIのがん、ステージIIのがん、ステージIIIのがん、ステージIVのがん、細胞腫、肉腫、神経芽細胞腫、黒色腫、上皮細胞がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵臓がん、大腸がん、肝臓がん、頭頸部がん、腎臓がん、卵巣がん、食道がん、又は他の固形腫瘍がんである。
【0037】
本発明の実施態様のある局面では、循環細胞は、サイズ排除法、免疫捕捉、デンドリマーを介した多価細胞捕捉、親和性ベースの表面捕捉、生体模倣表面被覆補足、セレクチン被覆表面捕捉、その他の機能化表面捕捉、慣性集束チップ、赤血球溶解、白血球枯渇、FICOLL分離、電気泳動、誘電泳動、フローサイトメトリー、磁気浮上、及び種々のマイクロ流体チップ、又はそれらの組み合わせから選択される1以上の手段を使用して生体試料から分離される。
【0038】
本発明の一つの局面では、循環細胞は、マイクロフィルターを用いることを含むサイズ排除法を使用して生体試料から分離される。マイクロフィルターは、約5ミクロンから約20ミクロンの範囲の細孔サイズを有し得る。細孔サイズの適した範囲は、それには限定されないが、約5~7ミクロン、約7~8ミクロン、8~10ミクロン、11~13ミクロン、14~16ミクロン、17~20ミクロン 5~10ミクロン、11~15ミクロン、15~20ミクロン、9~15ミクロン、16~20ミクロン、及び9~20ミクロンの範囲の細孔サイズも含む。別の適した範囲は、約5~20ミクロンの範囲の細孔サイズを含むが、7~8ミクロンの細孔を除外する。マイクロフィルターの細孔は、円形、レーストラック形状、楕円形、スリット、正方形、長方形、及び/又は他の形状を有することができる。マイクロフィルターは、精密な細孔形状、均一な細孔分布、複数の細孔形状、及び/又は不均一な細孔分布を有することができる。マイクロフィルターは、単層でも、異なる層に異なる形状を有する多層でもよい。サイズが約7~8ミクロンの円形細孔を持つマイクロフィルターは、高分子マイクロフィルターが使用される場合に特に最適である。好ましい局面では、マイクロフィルターは、精密な細孔形状及び均一な細孔分布を有する。
【0039】
本発明の別の局面では、循環細胞は、CellSieve(商標)低圧精密濾過アッセイを使用して生体試料から分離される。
【0040】
本発明の別の局面では、循環細胞は、物理的サイズに基づく選別、スリット、チャネル、流体力学的サイズに基づく選別、グループ化、トラッピング、免疫捕獲、大細胞の濃縮、又はサイズに基づく小細胞の排除を介したミクロ流動チップを使用して生体試料から分離される。
【0041】
本発明の実施態様のある局面では、被検者は治療を受けている。治療は、化学療法、単一薬物、薬物の組み合わせ、免疫療法、放射線療法、化学放射線療法、単一又は複数の薬物と組み合わせた放射線、単一又は複数の薬物と組み合わせた化学放射線療法、がんワクチン、及び細胞療法の1つ以上であり得る。治療ががんワクチンである場合、被検者は少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現する可能性がある。
【0042】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、CAMLsは、がんマーカーとして独立して、又は循環腫瘍細胞(CTCs)、上皮間葉転換細胞(EMTs)、循環がん関連血管内皮細胞(CAVEs)などの他の循環細胞と組み合わせて、また、遊離DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、メチル化DNA、プロテオミクスの、メタボロームの、リピドミックな、及びその他のバイオマーカーと組み合わせて使用されることができ、それにより患者の疾患のより完全な理解を提供する。CAMLsは、ここで言及される循環細胞のグループの中で、典型的にはサイズが30μmより大きい唯一の細胞型である。
【0043】
本発明の方法が被検者における治療反応の予測に関連する場合、治療反応情報を得るための時間の尺度は、治療のタイプに応じて、2治療サイクル又は60日という短さであり得る。
【0044】
本発明の関連する局面において、がん治療反応を予測するための試験は、以下の1つ以上であり得る:
・固形腫瘍の種類に依存せず、
・がんのステージに依存せず、
・治療の種類に依存せず、
・治療の開始時、進行中の治療中、又は治療の終了時、
・血液試料に基づく、
・組織を必要としない、及び
・画像診断よりも前に得られた決定を介して行われる。
【0045】
本発明の方法で言う被検者は、ヒト、ヒト以外の霊長類、鳥、馬、牛、山羊、羊、犬、猫又はげっ歯類などの伴侶動物、又は他の哺乳動物である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】
図1A~1Dは、最大のCAMLのサイズの変化、及びそれと放射線で治療されたn=42の非小細胞肺がん患者の反応との関係を示す。破線はレスポンダーを示し、実線は非レスポンダーを示す。反応は24か月で決定される。
【
図1B】
図1A~1Dは、最大のCAMLのサイズの変化、及びそれと放射線で治療されたn=42の非小細胞肺がん患者の反応との関係を示す。破線はレスポンダーを示し、実線は非レスポンダーを示す。反応は24か月で決定される。
【
図1C】
図1A~1Dは、最大のCAMLのサイズの変化、及びそれと放射線で治療されたn=42の非小細胞肺がん患者の反応との関係を示す。破線はレスポンダーを示し、実線は非レスポンダーを示す。反応は24か月で決定される。
【
図1D】
図1A~1Dは、最大のCAMLのサイズの変化、及びそれと放射線で治療されたn=42の非小細胞肺がん患者の反応との関係を示す。破線はレスポンダーを示し、実線は非レスポンダーを示す。反応は24か月で決定される。
【0047】
【
図2A】
図2A~2Cは、3つの時点での無増悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図2A)化学放射線療法前のベースライン、(
図2B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図2C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【
図2B】
図2A~2Cは、3つの時点での無増悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図2A)化学放射線療法前のベースライン、(
図2B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図2C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【
図2C】
図2A~2Cは、3つの時点での無増悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図2A)化学放射線療法前のベースライン、(
図2B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図2C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【0048】
【
図3A】
図3A~3Cは、3つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図3A)化学放射線療法前のベースライン、(
図3B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図3C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【
図3B】
図3A~3Cは、3つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図3A)化学放射線療法前のベースライン、(
図3B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図3C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【
図3C】
図3A~3Cは、3つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図3A)化学放射線療法前のベースライン、(
図3B)最初の経過観察(ベースライン後~30日)、及び(
図3C)放射線治療を受けた肺がん及び食道がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された2回目の経過観察(ベースライン後~60日)。
【0049】
【
図4A】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【
図4B】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【
図4C】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【
図4D】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【
図4E】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【
図4F】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者における最大のCAMLのサイズを示し、それは、(
図4A)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察でも50μm未満、(
図4B)ベースラインで50μm未満で、かつ2回目の経過観察で50μm超に変化、(
図4C)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察で50μm未満に変化、(
図4D)ベースラインで50μmを超え、かつ2回目の経過観察でも50μm以上超え、(
図4E)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μm未満、及び(
図4F)ベースラインでのサイズに依存せず2回目の経過観察で50μmを超える。
【0050】
【
図5A】
図5A~5Bは、2つの時点での無憎悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図5A)治療前のベースライン及び(
図5B)乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された経過観察(~ベースライン後90日)。
【
図5B】
図5A~5Bは、2つの時点での無憎悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図5A)治療前のベースライン及び(
図5B)乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された経過観察(~ベースライン後90日)。
【0051】
【
図6A】
図6A~6Bは、2つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図6A)治療前のベースライン及び(
図6B)乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された経過観察(~ベースライン後90日)。
【
図6B】
図6A~6Bは、2つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(
図6A)治療前のベースライン及び(
図6B)乳がん、前立腺がん、及び肺がん患者のCAMLsのサイズに基づいて分析された経過観察(~ベースライン後90日)。
【0052】
【
図7】
図7は、CTCsが、BLで患者の21%及び経過観察で23%で特定されたことを示す。CTCsは乳がんでより頻繁に見られるが、他のタイプのがんには見られない。対照的に、CAMLsは5種類全てのがんで高い割合で見られる。
【0053】
【
図8A】
図8A~8Cは、FUにおける全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(8A)CTCs対CTCなし、(
図8B)CAMLサイズ<50μm対50μm以上、及び(
図8C)1以上 CTC又は50μm以上対0 CTC 又は<50μm。
【
図8B】
図8A~8Cは、FUにおける全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(8A)CTCs対CTCなし、(
図8B)CAMLサイズ<50μm対50μm以上、及び(
図8C)1以上 CTC又は50μm以上対0 CTC 又は<50μm。
【
図8C】
図8A~8Cは、FUにおける全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示し、(8A)CTCs対CTCなし、(
図8B)CAMLサイズ<50μm対50μm以上、及び(
図8C)1以上 CTC又は50μm以上対0 CTC 又は<50μm。
【0054】
【
図9】
図9は、CAMLsを同定しサブタイプに分類するために使用される細胞分化マーカーの強度を示す。
【0055】
【
図10】
図10は、ワクチン治療を経時的に受けている10人の乳がん患者のCAMLsの数を示す。
【0056】
【
図11】
図11は、ワクチン治療を経時的に受けている10人の乳がん患者のCAMLsのサイズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明
ここで使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。ここで「含む」という用語と併せて使用される場合、「a」又は「an」という用語は、1つ又は1つ以上を意味し得る。ここで使用される場合、「別の」は、少なくとも第2又はそれ以上を意味し得る。さらに、文脈で他に要求されない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数を含む。
【0058】
ここで使用される場合、「約」は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、例えば、整数、分数、及び百分率を含む数値に言及する。「約」という用語は、一般に、列挙された値(たとえば、同じ関数又は結果を持つ)と同等であると当業者が考えるであろう数値の範囲(例えば、列挙された値の+/- 5、6、7、8、9又は10%)に言及する。ある場合は、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含み得る。たとえば、「約50μm」は50μm +/- 10%を意味すると解釈されるべきでる。したがって、他に述べない限り、「約50μm」は45~55μmのサイズを包含する。
【0059】
詳細な構成や要素などの説明で定義された事項は、本発明の包括的な理解を助けるために提供されたものに過ぎない。したがって、これらの当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、ここで説明された実施態様の様々な変更及び修正を行うことができることを認識するであろう。
【0060】
がんは、世界で最も恐れられている疾患の1つであり、全ての国の全ての集団及び民族集団に影響を及ぼしている。男性及び女性の約40%が一生のうちにがんを発症する。米国だけでも、常に1,200万人を超えるがん患者がおり、2018年には170万人の新規がん患者と60万人を超える死亡が推定されている。世界中のがん死は年間約800万人と推定され、そのうち300万人は、患者が治療を受けられる先進国で発生している。
【0061】
理想的には、選択された治療が機能しているかどうかを迅速に決定し、疾患の進行の予後を提供することができる診断法があるであろう。
【0062】
この開示では、ステージI~IVの固形腫瘍患者の血液中に、どのようなその他のがん関連細胞よりも、より一貫して見られる細胞型が示されている。これらの循環細胞は、原発腫瘍と同じ腫瘍マーカーを含むマクロファージ様細胞であり、ここではそれらを循環がん関連マクロファージ様細胞(CAMLs)と称する。
【0063】
循環腫瘍細胞(CTCs)と共に、がんを有する患者からの生体試料中に存在するCAMLsは、例えば、精密濾過法を含むサイズ排除法の使用により、分離及び特徴付けられることができる。マイクロフィルターは、CTCsやCAMLsなどのより大きな循環細胞を保持しながら、赤血球と大部分の白血球を通過させるのに十分な大きさの細孔を持って形成されることができる。収集された細胞は、次いで、フィルター上で直接、又は他の手段を介して特徴付けられることができる。
【0064】
CAMLsは、単独で使用されて、多くの臨床的有用性を有する。しかし、本発明の方法を使用する生体試料中のCAMLsの特徴付けは、同じ特徴(例えば、サイズ及び数)又は他の特徴についての他のマーカーのアッセイと組み合わせられることができる。これらの他のマーカーは、CTCs、上皮間葉転換細胞(EMTs)、循環がん関連血管内皮細胞(CAVEs)、また遊離DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、メチル化DNA、プロテオミクスの、メタボロームの、リピドミックな、及びその他のバイオマーカー、ならびに血中の遊離タンパク質を含み、ここで定義される方法の感度及び特異性をさらに改善する。これはCAMLs及びCTCsに特に真実であるが、それらは、ここに開示される同じ方法を使用して同時に分離及び同定され得るからである。
循環がん関連マクロファージ様細胞(CAMLs)
【0065】
ここで定義されるように、CAMLsは、以下の特徴のうちの1つ以上を有する:
・拡大し融合した核小体が一般的であるにもかかわらず、CAMLsは大きく非定型の倍数体の核又は複数の個別の核を持ち、しばしば細胞内に散在する。CAMLs核は、一般に、直径が約10μmから約70μm、より一般的には直径が約14μmから約64μmのサイズの範囲である。
・多くのがんでは、CAMLsは疾患のがんマーカーを発現する。例えば、上皮がんに関連するCAMLsは、CK8、18又は19、ビメンチンなどを発現する可能性がある。このマーカーは、典型的には拡散しているか、又は液胞及び/又は摂取した物質に関連する。どのようなマーカーの染色パターンも、細胞全体にほぼ均一に拡散している。肉腫、神経芽細胞腫、及び黒色腫では、CK8、18、19の代わりに、がんに関連する他のマーカーを使用できる。
・CAMLsは、CD45陽性又はCD45陰性であり得、そして本発明は、CAMLsの両方のタイプの使用を包含する。
・CAMLsは大きく、最長径サイズが約20ミクロンから約300ミクロンである。
・CAMLは、紡錘形、オタマジャクシ、円形、楕円形、2本の足、3本以上の足、細い足、又は無定形を含む、多くの異なる形態学的形状で見られる。
・細胞腫のCAMLsは、典型的には、拡散したサイトケラチンを有する。
・CAMLsがEpCAMを発現する場合、EpCAMは、典型的には、細胞全体に拡散しているか、又は液胞及び/若しくは摂取した物質に関連し、細胞全体でほぼ均一であるが、いくつかの腫瘍はEpCAMの発現が極めて弱いか無いため、全てのCAMLがEpCAMを発現するのではない。
・CAMLsがマーカーを発現する場合、マーカーはしばしば細胞全体に拡散するか、又は液胞及び/又は摂取した物質に関連し、細胞全体でほぼ均一であるが、全てのCAMLが同じマーカーを同じ強度で限られた数だけ発現するわけではなく、マーカーは細胞全体に均一に分布していない。
・CAMLsは、しばしば、腫瘍起源のマーカーに関連するマーカーを発現し、例えば、腫瘍が前立腺がん起源であり、PSMAを発現している場合、そのような患者からのCAMLsもPSMAを発現している。別の例として、原発腫瘍が膵臓起源であり、PDX-1を発現している場合、そのような患者からのCAMLsもPDX-1を発現する。さらなる例として、がん起源の原発腫瘍又はCTCがCXCR-4を発現している場合、そのような患者からのCAMLsもCXCR-4を発現する。
・がん起源の原発腫瘍又はCTCが薬物標的のバイオマーカーを発現している場合、そのような患者からのCAMLsも薬物標的のバイオマーカーを発現する。免疫療法のそのようなバイオマーカーの例は、PD-L1である。
・CAMLsは、単球マーカー(例えば、CD11c、CD14)及び内皮マーカー(例えば、CD146、CD202b、CD31)を発現する。
・CAMLは、Fcフラグメントに結合する能力がある。
【0066】
マーカーの広範なセットが、CAMLs上でのそれらの発現について評価され、結果が
図9に示される。本発明の一局面では、本発明のCAMLsは、
図9に示されるマーカーの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は全21を発現する。マーカーは、異なるがんを有する93人の異なる患者からの1118個のCAMLsに対してスクリーニングされた。
【0067】
マーカー、したがってCAMLs自体は、当業者に知られている様々な手段を使用して検出され及び/又は特徴付けられることができる。例えば、特定のマーカーに対する結合特異性を有する抗体は、1つ以上のマーカーを発現する細胞を選択、検出及び/又は同定するのに使用できる。CAMLsは当初、DAPI、サイトケラチン、及びCD45と共に分離され、同定され;次に、骨髄/マクロファージ、白血球、巨核球、上皮、内皮、前駆/本幹、及び運動のマーカーを含む合計27のマーカーで順次再染色された。
図9から分かるように、マーカー発現範囲は 0%から96%である。ほとんど全てのCAMLsは、CD31、及び一般に共発現したサイトケラチン、CD14、CXCR4、ビメンチン及びその他のマーカーのレベルを発現することがわかった。しかし、CAMLsは明確な骨髄系譜マーカー(CD14)を含んでいたが、CD31マーカーはより頻繁には96%で発現された。
【0068】
CAMLsはまた、古典的な細胞分化(すなわち、CD45[白血球]及びサイトケラチン[上皮]、CD11c / CD14[マクロファージ]及びCD41[マクロファージ/巨核球]、CD146[内皮細胞]及びCD6 [マクロファージ/内皮細胞/巨核球]、CD31 [白血球/マクロファージ/内皮細胞/巨核球/幹細胞]及びCD68/CD163[マクロファージ]の共発現)の理解と一致していないように見える、多数の表現型を提示する。マーカーの多くは、複数の細胞タイプ上に現われる。これらのデータの組み合わせは、CAMLsは分化プロセスの早い段階で骨髄由来細胞であり、幹細胞及び血管新生促進能に関連する多くの表現型の特性を持っていることを示す。
【0069】
CAMLsは、
図9に示されるように、H&Eなどの比色染色、又は特定のマーカーの蛍光染色によって視覚化されることができる。細胞質では、CD31が最も陽性の表現型である。CD31単独、又は
図9における他の陽性マーカーとの組み合わせ、又は腫瘍に関連するがんマーカーが推奨される。
【0070】
したがって、本発明の様々な実施態様及び局面では、CAMLsは、以下の特性のそれぞれを有するものとして定義することができ、これらの特性のみに基づいて生体試料中で同定することができる。
(a)サイズが約14~64μmの大きな非定型倍数性核、又は同じ細胞内の複数の核;
(b)サイズが約20~300μmの細胞サイズ;及び
(c)紡錘形、オタマジャクシ、円形、楕円形、2本の足、3本以上の足、細い足、及び無定形からなる群より選択された形態学的形状。
【0071】
本発明の実施態様のある局面では、CAMLsは、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を有するものとしてさらに定義することができる:
(d)CD14陽性表現型;
(e)CD45発現;
(f)EpCAM発現;
(g)ビメンチン発現;
(h)PD-L1発現;
(i)CD11Cマーカーの発現;
(j)CD146マーカーの発現;
(k)CD202bマーカー発現;
(l)CD31マーカーの発現;及び
(m)CK8、18、19上皮表現型。
【0072】
転移性がんでは、患者から得られる診断情報は、(i)転移部位のがんを排除する、及び(ii)がんの治療及び/又は治癒、すなわち被検者のあらゆる場所でがんを排除する方法において有用である。CAML数の減少は、腫瘍の退行と転移部位でのクリアランスの指標である。この概念は、多数のCAMLsに関連する全ての治療法と全てのがんに適用できる。例えば、乳がんを有する被検者では、通常、多数のCAMLsがあり、ステージIVの患者では7.5mLの血液あたり約30~50のCAMLsが存在する。対照的に、肺がんを有する被検者ではIV期の患者の血液7.5 mLあたり典型的には約5個のCAMLsしかない。CAMLsの存在は、がんの存在の指標である。CAMLのサイズは、疾患の病原力の指標でもある。
循環腫瘍細胞
【0073】
CTCsは、多数のサイトケラチン(CKs)を発現する。CK8、18、及び19は診断に最も一般的に使用され、本発明の方法で使用できるが、検査はこれら3つに限定されなくてよい。固形腫瘍CTCsの表面は通常、上皮細胞接着分子(EpCAM)を発現する。しかし、この発現は均一でも一貫性のあるものでもない。CTCsは白血球マーカーであるため、どのようなCD45も発現してはならない。CTCs及びCAMLsなどの腫瘍関連細胞を特定するためのアッセイでは、CK8、18、若しくは19に対する抗体、又はCD45若しくはDAPIに対する抗体を使用すれば十分である。染色の存在と形態を組み合わせれば、病理学的に定義可能なCTCs、アポトーシスCTCs、及びCAMLsを同定できる。
【0074】
病理学的に定義可能なCTCは、以下の特徴によって同定される:
・それらはDAPIによって染色された「がんのような」核を持っている。例外は、細胞が分裂しているときで;核は凝縮されている。
・それらは少なくともCK 、18 及び19を発現する。サイトケラチンは繊維状のパターンを持っている。
・それらはCD45発現を欠いている。低発現CD45細胞を見逃さないようにするために、撮影には長時間暴露が使用される。
【0075】
したがって、本発明の病理学的に定義可能なCTCは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、又は3つを有するCTCsを含む:(a)がん様核;(b)サイトケラチン8、18及び19の1つ以上を発現しており、サイトケラチンは繊維状パターンを有する;及び(c)CD45陰性の表現型。
【0076】
アポトーシス性CTCは、以下の特徴により同定される:
・それらはがんの核を持っている。
・それらは少なくともCK8、18、19を発現し;サイトケラチンはフィラメント化されていないが、スポットの形で断片化されて現れる。
・それらはCD45を発現していない。
【0077】
したがって、本発明のアポトーシス性CTCは、以下の特徴のうちの1つ、2つ又は3つを有するCTCsを含む:(a)がん様核;(b)サイトケラチン8、18及び19の1つ以上を発現しており、サイトケラチンはスポットの形で断片化されている;及び(c)CD45陰性の表現型。
CAMLs及びCTCの捕捉
【0078】
上記示唆したように、ここに説明したCAMLs及びCTCsの独特の特徴は、それらを、がんなどの疾患のスクリーニング及び診断、治療のモニタリング、疾患の進行及び再発のモニタリング方法を含む臨床方法論における使用に非常に適したものとする。
【0079】
体液中に存在する他の細胞より大きい、及び/又は柔軟性の低い細胞、例えばCMALs及びCTCsは、体液をろ過することにより収集できる。例えば、状態を示す標的細胞は、標的細胞が通過するには小さすぎるが、他の細胞が通過するには十分に大きい開口部を有するフィルターに体液を濾過させることにより収集することができる。一旦収集したら、標的細胞の分析をいくつでも行える。そのような分析は、例えば、マーカーの発現の同定、カウント、特徴付け、分子分析の取得、及び/又は収集された細胞の培養を含み得る。
【0080】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、循環細胞(例えば、CAMLs及びCTCs)は、当業者に公知のどのような関連する手段を使用して、本発明の方法における生体試料から分離され得る。適した手段は、それには限定されないが、サイズ排除法、免疫捕獲、赤血球溶解、白血球枯渇、FICOLL分離、電気泳動、誘電泳動、フローサイトメトリー、磁気浮上、及び物理的なサイズベースの選別、スリット、チャネル、流体力学的なサイズベースの選別、グループ化、トラッピング、大きな細胞の濃縮、小さな細胞の排除、又はそれらの組み合わせを介したさまざまなマイクロ流体チップから選択される1つ以上の手段を含む。特定の局面では、サイズ排除法は、マイクロフィルターの使用を含む。
【0081】
一例として、循環細胞(例えば、CAMLs及びCTCs)は、マイクロフィルターを用いることを含むサイズ排除法を使用して、生体試料から分離され得る。適したマイクロフィルターは、様々な孔径及び形状を有することができる。例えば、マイクロフィルターは、約5ミクロン~約20ミクロンの範囲の細孔サイズを有し得る。細孔サイズの適した範囲は、それには限定されないが、約5~7ミクロン、7~8ミクロン、8~10ミクロン、11~13ミクロン、14~16ミクロン、17~20ミクロン、5~10ミクロン、11~15ミクロン、15~20ミクロン、9~15ミクロン、16~20ミクロン、及び9~20ミクロンの範囲の細孔サイズも含む。別の適した範囲は、約5~20ミクロンの範囲の細孔サイズを含むが、7~8ミクロンの細孔を除外する。本発明のある局面では、孔径サイズは約5~10ミクロンであり;他の局面では、孔径サイズは約7~8ミクロンである。より大きな孔径サイズは、フィルター上のほとんどの白血球(WBC)汚染を排除する。マイクロフィルターの細孔はどのような形状を有していてもよく、円形、レーストラック形状、楕円形、スリット、正方形、長方形、及び/又は他の形状を含む形状が許容可能である。マイクロフィルターは、精密な細孔形状、均一な細孔分布、複数の細孔形状、及び/又は不均一な分布を有し得る。マイクロフィルターは、単層、又は異なる層に異なる形状の多層であってよい。
【0082】
循環細胞(例えば、CAMLs及びCTCs)はまた、物理的サイズに基づく選別、スリット、チャネル、流体力学的サイズに基づく選別、グループ化、トラッピング、免疫捕獲、大きな細胞の濃縮、又はサイズに基づく小さな細胞の除外を介したマイクロ流体チップにより生体試料から分離され得る。循環細胞の捕捉効率は、収集方法に依存して異なる。異なるプラットフォームの上に捕捉され得る循環細胞のサイズも異なり得る。疾患の進行と治療反応を決定するための循環細胞サイズの使用の原理は同じであるが、統計値は変わるだろう。 CellSieve(商標)マイクロフィルターを使用した循環細胞の収集は、100%の捕捉効率と高品質の細胞を提供する。
【0083】
生体試料は、特に試料が血液である場合、採血管に収集されてもよい。CellSave血液採取管(Menarini Silicon Biosystems Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア)は、安定した細胞形態とサイズを提供する。利用可能な他の採血管は細胞の安定性を提供しないかもしれない。細胞は拡大することができ、ほとんどの他の採血管内で破裂することさえあり得る。
【0084】
本発明の方法でアッセイされる生体試料のサイズは、本発明の根底にある理論及び特性を変更することなく変化し得る。適した試料サイズは一般に約0.5mLから約50mLの範囲である。適したサイズは、約5から約15mL、約5から約10mL、約10から約15mL、約15から約20mL、約20から約25mL、約25から約30mL、約30から約35mL、約35から約40mL、約40から約45mL、及び約45から約50mLの範囲の試料を含む。本発明のある局面では、生体試料のサイズは約7.5 mLである。
【0085】
本発明の方法で使用される生体試料の供給源は、それがここで言及される循環細胞のタイプの1つ、例えばCAMLs及び/又はCTCsを含まなければならないという点でのみ制限される。生体試料の適した供給源は、血液、リンパ節、骨髄、脳脊髄液、組織、尿、末梢血単核細胞(PBMCs)、及び凍結保存されたPBMCsを含む。生体試料が血液である場合、血液は、例えば、末梢血、肘正中静脈血、下大静脈血、大腿静脈血、門脈血、又は頸静脈血であり得る。試料は、新鮮な試料、又は適切に調製された凍結保存試料を解凍したものであってもよい。
【0086】
本発明のさらなる局面では、循環細胞(CAMLs)は、CellSieve(商標)低圧精密濾過アッセイを使用して生体試料から分離される。
【0087】
がんを有する2人の被検者間で循環細胞のサイズを比較する場合、被検者が同じタイプのがんを有することが好ましい。しかし、他の要因の中で、がんの種類、がんのステージ、がんの進行速度、治療歴、及びがんの寛解及び/又は再発の履歴について、2人の被検者を完全に一致させることは難しい場合がある。したがって、本発明の関連する方法で比較されている2人の被検者のがんの特徴にはいくつかの変動がある可能性があることが理解されるべきである。
CAMLsの同定
【0088】
上記示したように、本発明の様々な実施態様及び局面は、がんを有する被検者から得られた試料中のCMALsのサイズ又は数を決定することに基づいている。試料中のCAMLsを同定するための具体的な手段は前述したとおりであり、以下を含む:(i)細胞内の核のサイズ、形状、及び数の決定;(ii)全体の細胞サイズの決定;(iii)細胞の形態学的形状の決定;及び(iv)
図9に示されるマーカーの1つ以上の使用。
【0089】
しかし、本発明の実施態様及び局面のそれぞれは、生体試料中の循環細胞をそれ自体CAMLsとして明確に特定することなく実施できることを明確にすべきである。代わりに、例えば、単に細胞のサイズに基づいて細胞を特定することが使用されてもよい。他の手法の例としては、H&E染色などのカラーメトリック染色の使用や、生体試料内又は生体試料から収集されたCK(+)細胞の単純な同定などがある。
被検者
【0090】
発明の方法で言及される被検者は、ヒト、ヒト以外の霊長類、鳥、馬、牛、山羊、羊、犬、猫、げっ歯類などの伴侶動物、又は他の哺乳動物であろう。動物もがんを発症することがある。がんは10歳を超えるペットの死因のほぼ50%を占める。ペットに見られる幾つかの一般的な種類のがんは、皮膚がん、乳がん、頭頸部がん、リンパ腫、白血病、精巣がん、腹部がん、及び骨のがんを含む。ペットに一般に見られるが、人間にも一般に見られるがんの例は、リンパ腫、黒色腫、及び骨肉腫である。CAMLsは人間以外の動物に見られる。したがって、ヒトでのCAMLsの臨床的有用性は他の動物にも適用できる。
【0091】
本発明の様々な局面及び実施態様では、被検者は、がんを有する被検者である。がんは固形腫瘍、ステージIがん、ステージIIがん、ステージIII癌、ステージIVがん、細胞腫、肉腫、神経芽細胞腫、黒色腫、上皮細胞がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵臓がん、大腸がん、肝臓がん、頭頸部がん、腎臓がん、卵巣がん、食道がん、又は他の固形腫瘍がんであり得る。当業者は、本発明の方法が特定の形態又はタイプのがんに限定されないこと、及び多種多様ながんに関連して実施され得ることを完全に理解するであろう。
治療
【0092】
本発明のある局面及び実施態様では、被検者は治療を受けている。治療は、化学療法、単一薬物、薬物の組み合わせ、免疫療法、放射線療法、化学放射線療法、単一又は複数の薬物と組み合わせた放射線、単一又は複数の薬物と組み合わせた化学放射線療法、がんワクチン、及び細胞療法の1つ以上であってよい。
【0093】
がんワクチンは、ワクチン標的として意図されたマーカーを発現する細胞の形態で被検者に投与することができる。細胞は、がん細胞、改変ウイルス及び他のタイプの改変細胞の形態であり得る。被検者がワクチンを受けた後、体の免疫システムは、がん細胞と共に、ワクチンによって発現される抗原を認識して攻撃するT細胞を生産する。治療ががんワクチンである場合、被検者は少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現する可能性がある。
【0094】
CAMLサイズは、依然としてがんの病原性を予測するものである。追加情報はCAMLの数から得ることができる。免疫システムは、最大のがん部位よりも、小さな転移部位から、より速くがんを排除できる可能性がある。免疫系のキラーT細胞は、他の臓器よりもいくつかの臓器の腫瘍に浸入しやすい場合がある。たとえば、免疫療法は、典型的には、肺がんと黒色腫に最適に機能するが、乳がんと前立腺がんにはあまり良く機能しない。しばしば、免疫細胞が腫瘍に侵入して腫瘍細胞を殺すため、腫瘍が大きくなると偽の進行が見られる。良好な免疫療法の治療反応の指標における疑似進行である。
【0095】
がんワクチンの例はSV-BR-1-GMである。それは、HER2、PRAMEならびにクラスI及びクラスII HLA抗原を発現するGM-CSF操作された乳がん細胞株である。黄熱ウイルス(YFV)ペプチドをロードしたSV-BR-1-GM細胞は、YFV特異的CD4+T細胞を直接活性化した。
【0096】
このSV-BR-1-GMワクチンの反応者は、少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現する乳がん患者であると予測されている。
発明の方法
【0097】
上記の要約に説明されているように、本発明は、とりわけ、循環細胞の数及び/又はサイズに基づいて、被検者における治療反応及び/又は疾患進行(例えば、がんの進行)を予測する方法に向けられている。これらの方法は、がんを有する被検者などの被検者からの生体試料中の循環細胞の数及び/又はサイズを決定すること、ならびにいくつかの局面及び実施態様では、異なる時点で同じ被検者から採取された試料からの結果を比較することを含む。アッセイされる循環細胞のサイズ又は数の変化は、被検者における治療反応及び/又は疾患進行の指標であり、予測はそれに基づくことができる。
【0098】
本発明の具体的な実施態様及び局面は、以下の段落に提示されている。しかし、本発明の方法が被検者における治療反応の予測に関連している場合、治療反応情報を得るための時間スケールは、治療の種類に依存するが、一般に2治療サイクル又は60日と短い場合があることにまず注目できる。治療反応は、治療の種類に依存するが、1つの治療サイクル後、又はわずか10日でも見られることは明らかであろう。
【0099】
ここで、CAMLのサイズ及び数、ならびにCAMLのサイズ及び数の変化を他のパラメーターと共に分析することによって、治療反応及び/又は疾患進行の正しい決定の確率を改善できることにも注目することができる。そのようなパラメーターは以下を含む:
1.良い治療反応、例えば:
・CTCsの消失
・最初非常に高いときのCTC数の減少
・循環腫瘍DNA(ctDNA)の減少
2.悪い治療反応、例えば:
・CTC数の増加[3]
・有糸分裂におけるCTCsの出現[7]
・クラスタ内のCTCsの出現
・ctDNA量の増加
・ctDNAの変異の増加
・CAML DNAの変異の増加
【0100】
さらに、CAMLのサイズ及び数、ならびにCAMLのサイズ及び数の変化は、画像診断が予後情報を提供できるようになる前に、治療反応及び/又は疾患進行の予測を提供することができる。画像診断は、疾患の進行において違いが分かるように腫瘍が実質的に成長している必要がある。CT画像診断はまた、がんを引き起こす可能性がある望ましくない放射線照射量を生成し、また30~45日間隔では望ましくない。最後に、画像診断は高価である。
【0101】
CTCsの数の増加は、疾患の進行に関する予測の基礎を形成することが知られている。しかし、それ自体、ステージIVの乳がん、前立腺がん、及び大腸がんに応用できるだけである。CTCsは、がん及び他のタイプの固形腫瘍の初期ステージではまれである。
循環細胞サイズの決定
【0102】
1つの実施態様において、本発明の方法は、がんを有する被検者から経時的に得られた2つ以上の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、ここで、試料間に循環細胞のサイズの減少が経時的に見られる場合、がんは進行しないと予測され、及び/又は被検者は治療に反応していることが分かる。関連する実施態様において、本発明の方法は、がんを有する被検者から経時的に得られた2つ以上の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含み、ここで試料間の循環細胞の数の減少が経時的に見られる場合、がんが進行しないと予測され、及び/又は被検者が治療に反応していると分かる。
【0103】
関連する局面では、この方法は、がんを有する被検者から得られた、第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、ここで、第1の試料は、がん治療前又はがん治療中の被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第1の試料中の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上であり、そして第2の及び任意の追加の試料の各細胞のサイズが約50μm未満である場合、がんが進行しないと予測され、及び/又は被検者が治療に反応していると分かる。
【0104】
別の関連する局面では、この方法は、がんを有する被検者から得られた、第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料におけるCAMLsなどの循環細胞の平均サイズを決定することを含み、ここで第1の試料はがん治療の前又は治療中の被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料における循環細胞の平均サイズが、第1の試料の細胞の平均サイズより減少している場合、被検者は治療に反応していると特定される。ある局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは、約50μm以上である。
がんの進行の予測
【0105】
別の実施態様において、本発明は、がんを有する被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定すること、及びそれに基づいて予測することを含む、がんを有する被検者におけるがんの進行を予測する方法に向けられており、ここで、試料中の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、がんは進行しないと予測され、また試料中の少なくとも1つの循環細胞のサイズが約50μm以上の場合、がんは進行すると予測される。
【0106】
この実施態様の一局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者におけるがんの進行を予測する方法に向けられており、
第1の試料はがん治療前又はがん治療中に被検者から得られ、第2の試料及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、
第2及び任意の追加の試料のCAMLsの平均サイズが第1の試料のCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、がんは被検者の中で進行しないと予測され、被検者は治療に反応していると任意に特定され;又は
第2と任意の追加の試料のCAMLsの平均サイズが第1の試料のCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、がんは被検者の中で進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと任意に特定され;又は
第1の試料の少なくとも1つのCAMLのサイズが約50μm以上で、第2及び任意の追加の試料の各細胞のサイズが約50μm未満の場合、がんは進行しないと予測され、被検者は治療に反応していると任意に特定され;又は
第1の試料の各CAMLのサイズが約50μm未満であり、かつ第2及び任意の追加の試料の少なくとも1つのCAMLのサイズが約50μmより大きい場合、がんは進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと任意に特定される。ある局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは、約50μm以上である。
【0107】
この実施態様の別の局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含む、がんを有する被検者のがんの進行を予測する方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療前又はがん治療中に被検者から得られ、第2の試料及び任意の追加の試料は、少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料の循環細胞の数が、第1の試料の循環細胞の数と比較して減少している場合、がんは進行しないと予測され、被検者は治療に反応すると任意に特定され、また、第2及び任意の追加の試料の循環細胞の数が、第1の試料の循環細胞の数と比べて維持され又は増加している場合、がんは進行すると予測され、被検者は治療に反応していないと任意に特定される。
治療反応の予測
【0108】
さらなる実施態様では、本発明は、被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定すること、及びそれに基づいて予測することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、試料中の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応すると予測され、試料中の少なくとも1つの循環細胞のサイズが約50μm以上の場合、被検者は治療に反応しないと予測される。
【0109】
この実施態様の一局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料における、CAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、第1の試料はがん治療前又はがん治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応すると予測され;
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され;
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が第1の試料から第2及び任意の追加の試料で維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され;又は
サイズが約50μmを超える循環細胞の数が第1の試料から第2及び任意の追加の試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され;又は
第2又は後続の試料の各循環細胞のサイズが第1の試料と比較して減少し、また第2又は任意の追加試料の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応すると予測され、がんの治癒の可能性がある。
【0110】
この実施態様の別の局面では、本発明は、被検者から得られた生体試料中に約50μmを超えるCAMLsなどの循環細胞が存在しないことを決定すること、及び被検者が治療に反応していると予測することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられている。
【0111】
この実施態様のさらなる局面において、本発明は、がんを有する被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、各循環細胞のサイズが約50μm以下である場合、被検者は治療に反応すると予測される。
【0112】
この実施態様の追加の局面では、本発明は、がんを有する被検者から得られた第1及び第2の生体試料、並びに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含む、がんを有する被検者の治療に対する反応を予測する方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加試料で維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測される。
治療に対する耐性の予測
【0113】
最後の実施態様において、本発明は、肺がんを有する被検者における治療に対する耐性を予測する方法に向けられており、その方法は、がんを有する被検者からの生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、ここで前記試料中の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上である場合、被検者は、細胞のサイズが約50μmを超える細胞のないがんを有する被検者よりもがん治療に対してより耐性であると予測される。この実施態様のある局面において、がんは肺がんである。
【0114】
本発明のこれらの実施態様及び局面のそれぞれにおいて、治療の終わりに生体試料中に循環細胞が見られない場合、がんが除去されたと結論付けることができる。治療の最後に生体試料に循環細胞がまだ見つかっている場合、患者のがんは除去されておらず、患者には残存疾患があると結論付けることができる。
【0115】
本発明の実施態様及び局面のそれぞれにおいて、CAMLsは、がんマーカーとして独立して、又は循環腫瘍細胞(CTCs)、上皮間葉転換細胞(EMTs)、及び循環がん関連血管内皮細胞(CAVEs)などの他の循環細胞や、遊離DNA(cfDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、メチル化DNA、プロテオミクスの、メタボロームの、リピドミックな、及びその他のバイオマーカーと組み合わせて使用されることができ、患者の疾患のより完全な理解を提供する。CAMLsは、ここで言及されている循環細胞のグループの中で、典型的にはサイズが30μmより大きい唯一の細胞型である。
治療方法
【0116】
上記で要約したように、本発明はまた、治療決定が、上記の方法における循環細胞を使用した治療反応の予測に基づくことができる、がんの治療方法に向けられている。
【0117】
したがって、本発明は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及びがんを有する被検者から得られた2つ以上の生体試料の中の、CAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者を治療する方法を包含し、ここで、第1の生体試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の生体試料はがん治療中又は後に被検者から得られ、その試料間に循環細胞のサイズの減少が経時的に見られる場合、被検者が治療に反応していることが分かり、治療が継続され、また試料間の循環細胞のサイズの減少が経時的に見られない場合、被検者は治療に反応していないことが分かり、治療は継続されない。
【0118】
関連する実施態様において、本発明の方法は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及びがんを有する被検者から得られた2つ以上の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含み、ここで第1の生体試料は、がん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2の生体試料は、がん治療中又は治療後に被検者から得られ、試料間の循環細胞の数の減少が経時的に見られる場合、被検者は治療に反応していることが分かり、治療が継続され、試料間の循環細胞数の減少が経時的に見られない場合、被検者は治療に反応していないことが分かり、治療は継続されない。
【0119】
この実施態様の一局面では、この方法は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含み、ここで第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第1の試料の少なくとも1つの細胞のサイズが約50μm以上であり、かつ第2の試料と任意の追加試料の各細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応していることが分かり、治療が継続される。
【0120】
別の関連する態様では、この方法は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の平均サイズを決定することを含み、ここで最初の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、第2と任意の追加の試料中の循環細胞の平均サイズが、第1の試料の細胞の平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応していると特定され、治療が継続され、第2と任意の追加試料中の循環細胞の平均サイズが第1の試料の細胞の平均サイズと比較して減少していない場合、被検者は治療に反応しないと特定され、治療は継続されない。幾つかの局面では、第1の試料中の循環細胞の平均サイズは約50μm以上である。
【0121】
別の実施態様において、本発明は、治療有効量のがん治療をがんを有する被検者に投与すること、及び被検者から得られた第1及び第2の生体試料、ならびに任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して減少している場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され;
第2及び任意の追加の試料におけるCAMLsの平均サイズが、第1の試料におけるCAMLsの平均サイズと比較して維持され又は増加している場合、被検者は治療に反応しないと予測され、治療は継続されず;
第1から第2の試料及び任意の追加の試料で、サイズが約50μmを超える循環細胞の数が維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測され、治療は継続されず;
第1から第2の試料及び任意の追加の試料で、サイズが約50μmを超える循環細胞の数が減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され;又は
第2又は後続の試料の各循環細胞のサイズが第1の試料と比較して減少し、かつ第2又は任意の追加試料の各循環細胞のサイズが約50μm未満の場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療は継続される。
【0122】
この実施態様の一局面では、本発明は、治療有効量のがん治療をがんを有する被検者に投与すること、及び被検者から得られた生体試料に約50μmより大きいCAMLsなどのどのような循環細胞も存在しないこと決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで、試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、生体試料中に約50μmより大きいどのような循環細胞も存在しない場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続される。
【0123】
この実施態様のさらなる局面において、本発明は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、及び被検者から得られた生体試料中のCAMLsなどの循環細胞のサイズを決定することを含む、がんを有する被検者を治療する方法に向けられており、ここで試料は少なくとも1つのがん治療後に被検者から得られ、各循環細胞のサイズが約50μm以下である場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続されるる。
【0124】
この実施態様の追加の局面では、本発明は、がんを有する被検者に治療有効量のがん治療を投与すること、ならびに被検者から得られる第1及び第2の生体試料、及び任意の追加の生体試料中のCAMLsなどの循環細胞の数を決定することを含む、がんを有する被検者の治療方法に向けられており、ここで、第1の試料はがん治療の前又は治療中に被検者から得られ、第2及び任意の追加の試料は少なくとも1つのがん治療の後に被検者から得られ、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加試料で減少する場合、被検者は治療に反応すると予測され、治療が継続され、また、循環細胞の数が第1から第2及び任意の追加試料で維持され又は増加する場合、被検者は治療に反応しないと予測され、治療は継続されない。
【実施例0125】
実施例1
試料の収集と処理
サイズ排除法は、CTCs及びCAMLsの両方を収集するための1つの方法である。多くのサイズ排除法がある。ここでは濾過方法を例に説明する。末梢血をCellSaveチューブ(Menarini Silicon Biosystems Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア)に収集し、96時間以内に処理した。 CellSieve(商標)マイクロろ過技術を使用して、血液試料中の全てのがん関連細胞(CTCs、EMTs、CECs、及びCAMLs)を収集した。CellSieve(商標)マイクロフィルターには、9mmの領域内に7μmの細孔径を持つ均一に配列した180,000を超える細孔がある。試薬は、前固定バッファー、後固定バッファー、透過処理バッファー、及び抗体カクテルを含む。ろ過を行う手法は 5mL/分で吸引されるシリンジポンプセット[5]又は真空ポンプ[4]のいずれかを使用した。ろ過プロセスは、フィルターを通して吸引される前に7.5mLの血液を7.5mLの前固定バッファー内で前固定することにより始まった。次に、フィルター及び捕捉された細胞を洗浄、後固定、洗浄、透過処理、及び洗浄に供した。次に、フィルター上に捕捉された細胞を抗体カクテルで染色し、続いて洗浄した。フィルターを顕微鏡スライドの上に置き、Fluoromount-G / DAPI(Southern Biotech)でカバースリップした。上皮がんのCTCsとCAMLsを特定するための1つの可能な抗体カクテルは、サイトケラチンとCD45抗体を含むことができる。目的のマーカーのための追加の抗体を含めることができる。次に、スライドを蛍光顕微鏡で読み取る。CTCsの数がカウントされる。CAMLsのサイズが測定される。CTCsの数、最大のCAMLsサイズ、及び<50μm又は50μm以上の最大CAMLサイズが記録される。血液からCTCsとCAMLsを収集する方法は他にも多種多様である。
研究1:放射線治療を受けたn=42のNSCLC患者の研究
【0126】
図1A~1Dは、治療反応に関連するCAMLサイズ、及びCAMLサイズの変化を示す。実線の曲線と線は非反応者を示し、破線は反応者を示す。この図のデータ分析では、治療反応は24か月の時点での反応として定義された。n=42試料のこのパイロット研究では、被検者は非小細胞肺がん(NSCLC)を有しており、それらのほとんどは放射線療法を受けており、少数者は化学療法も受けていた。進行は、化学放射線療法の導入前と導入後の肺患者における治療画像診断の標準に基づいている。最初の100日でさえ結果は強い傾向を示す。
図1Aは、ベースラインでサイズが50μm未満のCAMLsを有する患者のほとんどが50μm未満のままであったことを示す。
図1Bは、サイズが50μm未満から50μmを超えるまで増大したCAMLsを有する患者の全てが進行したことを示す。
図1Cは、最初に50μmより大きいCAMLsを持ち、第2の時点で50μmより小さいCAMLsを持つ一人の患者が治療に反応したことを示す。
図1Dは、CAMLsがベースラインで50μmを超え、サイズの経時的な減少がなかった患者、及びCAMLsのサイズの減少を示した1人の被検者で、治療に対する反応が見られないことを示す。
【0127】
定性的測定を行うために、所与の時点での予測の正確さは、(真陽性+真陰性)/(偽陽性+偽陰性)として定義された。真の陽性は、CAMLsサイズ>50μmであり、進行した患者の数である。偽陽性は、CAMLsサイズ>50μmであるが、進行しなかった患者の数である。真の陰性は、CAMLsサイズ<50μmで、進行しなかった患者の数である。偽陰性は、CAMLsサイズ<50μmで、進行した患者の数である。この50μmサイズの使用は、2018年8月23日付の国際公開 WO2018/151865 に示されているデータに基づいている。ベースラインでの精度は69%、最後の経過観察での精度は85%であった。
【0128】
治療反応の指標は、ほとんどの患者について100日以内に得ることができる。要約すると、治療後の最終的なCAMLsサイズは、治療反応に関する予測と結論を下すための基礎を提供する。
研究2:放射線療法で治療されたn=52のNSCLC患者の研究
【0129】
0.05のαで両側90%出力を達成するために、52人のNSCLC患者のテストセットが行われた。全ての患者は病理学的に確認された肺がんステージI(n=7)、ステージII(n=7)、ステージIII(n=29)及びステージIV(n=9)を有し、標準的なPET/CTスキャンを受けた。治療開始前にベースライン(BL)の血液試料を採取した。第1の経過観察(FU1)は、放射線療法中に(~30日)行われた。2回目の経過観察(FU2)は、放射線療法の最後に(~60日)行われた。数人の患者は60日以内に化学療法も受けた。
【0130】
血液はCellSieve(商標)精密濾過により濾過され、CAMLサイズが定量された。<50μm又は50μm以上のCAMLサイズによる分析を利用して、各時点での打ち切り単変量及び多変量解析によるPFSハザード比(HR)を評価した。
【0131】
以下の分析は、治療反応とは逆に、疾患の進行を予測する。CAMLsは全ての試料の97%で同定され、BLでは平均2.9 CAMLs/7.5mL試料で、50μm以上のCAMLsでは無増悪生存期間(PFS)が低下した(HR=2.9、95%CI 1.3-6.2、p=0.015)。FU1(経過観察1)では、7人の患者のCAMLサイズが増加し、PFSが減少した(HR=5.0 95%CI 2.3-10.9、p<0.001)。FU2(経過観察2)では、さらに7人の患者がCAMLサイズを増加させ、さらにPFSを減少させた(HR=7.1、95%CI 3.4-14.8、p<0.001)。合計で、BLでサイズが50μm以上のCAMLsは、24か月以内の最終的な進行の予測で65%正確であったが、FU2でサイズが50μm以上のCAMLsは、進行の予測で89%正確であった。
【0132】
NSCLCの全てのステージにおける治療反応又は進行の予測に適用可能であることに注意されたい。
研究3:化学放射線療法で治療されたn=52のNSCLC及びn=29の食道がん患者
【0133】
図1A-1D(ステージI、n=7、ステージII、n=7、ステージIII、n=29、及びステージIV、n=9)に記載されているのと同じ52人のNSCLC及び21人の食道がん(ステージIII n=20及びステージIV(n=1))患者に基づいて、食道がんを含む放射線療法の結果を予測する、より大きな研究が行われた。
【0134】
図2A~2Cは、3つの時点:ベースライン(BL)(
図2A)、第1の経過観察(FU1)(
図2B)、及び第2の経過観察(FU2)(
図2C)における無憎悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示す。データは、CAMLsのサイズに基づいて分析され、<50μm(青(上)曲線)又は50μm以上(赤(下)曲線)である。ベースライン
図2A及び表1では、CAMLsのサイズが予後情報を提供する。第1の経過観察
図2B及び表2では、CAMLサイズに基づく治療反応の予測が示されている。放射線療法終了後の2回目の経過観察
図2Cと表3では、CAMLサイズは、非反応者とくらべての反応者のPFSのはるかに良い予測を提供した。多変量解析が行われた。CAMLサイズは、ステージ、がんの種類、年齢、及び性別と比較して最良の結果を提供した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0135】
図3A~3Cは、3つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示す:ベースライン(BL)(
図3A)、第1の経過観察(FU1)(
図3B)、及び第2の経過観察(FU2)(
図3C)。データは、CAMLsのサイズに基づいて分析され、<50μm(青(上)曲線)又は50μm以上(赤(下)曲線)である。CAMLサイズは、NSCLCと食道がんの化学放射線療法の非反応者と比べての反応者のOSの良い予測を提供する。
【0136】
CAMLsは、全てのBL試料の97%で見られた。平均して、2.9 CAMLs/7.5mL血液が見られた。BLで巨大CAMLsを有する患者は、NSCLCのPFS(HR=2.9、95%CI 1.3~6.2、p=0.015)を有意に低下させ、食道がん(HR=3.0、95%CI 0.9~9.9、p=0.14)ではわずかであった。
【0137】
FU1では、検出可能な巨大CAMLsを有する患者は、治療後のPFSをさらに減少させた(NSCLC、HR=5.0、95%CI 2.3~10.9、p<0.001;EC、HR=4.0、95%CI 1.2~13.2、p=0.05 )、そしてFU2ではさらに顕著であった(NSCLC、HR=7.1、95%CI 3.4-14.8、p<0.001;EC、HR=5.6、95%CI 1.6~18.8、p=0.01)。2つの疾患データセットを組み合わせると、BLでの巨大CAMLsは24か月以内の最終的な進行の予測で70%正確であったが、FU2での巨大CAMLsは進行の予測で84%正確であった。多変数解析では、巨大CAMLsが治療反応の予測において最も有意であった。
【0138】
図4A~4Fは、乳がん、前立腺がん又は肺がんを有する患者について、3つの時点にわたる各患者における最大のCAMLの詳細を示す。赤と緑の曲線は、進行した患者(赤)対進行も治癒もしていなかった患者(緑)である。
【0139】
図4Aは、ベースラインで50μm未満のCAMLサイズを有し、FU2で50μm未満のままの患者を示す。患者の81%は24か月以内に進行しなかった。
【0140】
図4Bは、ベースラインで50μm未満であるが、FU2で50μmを超えて増加したCAMLサイズを有する患者を示す。患者の79%は24か月以内に進行した。
【0141】
図4Cは、ベースラインで50μmを超え、FU2で50μm未満に減少するCAMLサイズを有する患者を示す。患者の60%は24か月以内に進行しなかった。
【0142】
図4Dは、ベースラインで50μmを超えるCAMLサイズを有し、FU2で50μmを超えたままの患者を示す。患者の96%は24か月以内に進行した。
【0143】
図4Eは、FU2でCAMLサイズが50μm未満の患者を示す。患者の79%は24か月以内に進行しなかった。
【0144】
図4Fは、FU2で50μmを超えるCAMLサイズの患者を示す。患者の89%が24か月以内に進行した。
研究4:多くの固形腫瘍及び治療に適用可能
【0145】
血液ベースのバイオマーカー(PSA、CEA、CA125)は、画像診断と並行して疾患のリアルタイムの進行を追跡するために使用される。しかし、多数の血液バイオマーカーが存在するが、それらはがんのタイプ(すなわち、PSAが前立腺に、CEAが大腸に)に特異的であり、全ての罹患した個体に現れるとは限らない。CAMLsは、進行性の疾患の間にサイズ及び高倍数性が増大することが観察されたさまざまな固形がんのタイプで同定された。CAMLの拡大が進行/反応のバイオマーカーであるかどうかを評価するために、乳がん(n=10)、肺がん(n=16)、及び前立腺がん(n=8)を伴う34人のがん患者の治療[ステージI(n=2)、II(n=3)、III(n = 8)、及びIV(n=21)]からの匿名化末梢血試料を用い、多施設共同前向き試験でCAMLの成長/収縮を追跡した。試料は、治療前(BL)、治療導入後~1か月(FU1)の経過観察時、及び~3か月(FU2)の経過観察時に採取された。
【0146】
この群における患者の治療は非常に多様であった。含まれる治療法:放射線療法、化学放射線療法、化学療法、ドセタキセル、トラスツズマブ、トラスツズマブ/ラパチニブ、フルベストラント/トラスツズマブ/ラパチニブ/脳放射線、レトロゾール/デノスマブ、トラスツズマブ/ペルツズマブ/エリブリン、パクリタキセル/ハーセプチン/ペルツズマブ、アブラキサン、エリガルド、ルプロン、エリガルド/ビカルタミド、カソデックス、ルプロン/ビカルタミド、ルプロン、手術、アビラテロン/ルプロン、ニボルマブ、カルボプラチン/タキソール、カルボプラチン/ゲムシタビン、ゲムシタビン/トラスツズマブ+ラパチニブ、エリブリン/トラスツズマブ/ラパチニブ、ハーセプチン/フルベストラント/パルボチリブ、エリブリン、パクリタキセル/ハーセプチン/ペルツズマブ、アブラキサン、エリガード+エンザルタミド、ルプロン+エンザルタミド、カソデックス+ルプロン、ビノレルビン/トラスツズマブ/ラパチニブ、レトロゾール/フルベストラント、エリブリン/ハーセプチン、ハーセプチン/フェマラ。
【0147】
全体的な臨床データは:
・CAMLは、BLでがん患者の97%、FU1で97%、FU2で94%で見られた
・2年間で、7人の患者は臨床疾患の進行を示さず(
図5及び6の青又は上線)、29人の患者は観察可能な臨床疾患の進行を示した(
図5及び6の赤又は下線)。
・進行のない患者(
図5及び6の青又は上線、n=7)の1人は、全ての時点でCAMLsが50μm以上であったのに対し、6人は全ての時点で小さいCAMLだけ有していた。
・進行した29人の患者のうち、
〇22人の患者が全ての時点で50μm以上のCAMLsを有した
〇5人の患者がBLで<50μmのCAMLsを有し、FU2によりサイズが増加した
〇1人の患者がBLで50μm以上のCAMLを有し、FU2により減少した
〇1人の患者は、全ての時点で小さなCAMLsを有していた。
【0148】
固形腫瘍のタイプ及び治療のタイプとは独立して、CAMLサイズが治療反応を予測できるかどうかが評価された。
【0149】
図5A~5Bは、2つの時点での無増悪生存期間(PFS)のカプランマイヤープロットを示す:ベースライン(BL)(
図5A)及び第2の経過観察(FU2)(
図5B)。データは、CAMLsのサイズに基づいて分析され、<50μm(青(上)曲線)又は50μm以上(赤(下)曲線)である。
【0150】
図6A~6Bは、2つの時点での全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットを示す:ベースライン(BL)(
図6A)及び第2の経過観察(FU2)(
図6B)。データは、CAMLsのサイズに基づいて分析され、<50μm(青(上)曲線)又は50μm以上(赤(下)曲線)である。
【0151】
我々は、ベースラインと比較して増加したCAML拡大は、治療に反応しないことを示すものであり、その結果、様々な種類のがんにおいて、PFSがより短かくなることを示す。
研究5:CTCとCAMLデータの結合
【0152】
別の結果セットは、異なるがん及び異なる治療に関連している。新しい治療法の導入前と導入後のCAMLsのサイズに加えて、CTCsの包含を評価するために、2年間の前向き二重盲検多施設共同試験が行われた。合計n=91の患者が募集された:III期(n=53)又はIV期(n=38)疾患の乳がん(n=14)、食道がん(n=23)、NSCLC(n=23)、前立腺がん(n=21)、及び小細胞肺がん(SCLC)(n=10)。新しい治療の導入前にベースライン(BL)の血液試料を採取し、全身治療の開始後(~30日)に1回の経過観察(FU)が行われた。 CellSieveろ過で血液をろ過した。CTCsとCAMLsの数量とサブタイプは、打ち切り単変量及び多変量解析によってOSハザード比(HR)に基づいて分析された。
【0153】
図7は、CTCsが肺(6%)、食道(4%)及び前立腺(24%)ではまれであったが、乳房(79%)では一般的であったことを示している。CAMLsは全てのがんに共通しており、BL試料の92%とFU試料の98%で見られ、どちらもOSのための予後である。
【0154】
CTCsは、BLの患者の21%で同定され、単一のCTCがOSのための予後である(HR=2.495% CI=1.1~5.1、P=0.048)。さらに、CTCsはFUの試料の23%で見られ、OSのための予後でもある(HR=3.1 95%CI=1.4~6.9、p=0.013)。しかし、CTCsは肺がん(6%)、食道がん(4%)及び前立腺がん(24%)でまれであったが、乳がん(79%)で一般的であった。対照的に、CAMLsはBLの92%で見られ、50μm以上のCAMLsがOSのための予後である(HR=3.0、95%CI=1.6~5.7、p=0.001)。FUでは、CAMLsがFU試料の98%で見られ、50μm以上のCAMLsのOSの予後値が増加した(HR=3.5 95%CI=1.9~6.6、p=0.001)。さらに、全身治療の導入後、CTCsが>1つ又は50μm以上のCAMLの両方の存在は、OS HR=3.7 95%CI=2.0~7.0、p=0.001で、24時間以内の患者の生存率の予測で75%正確であった。
【0155】
FUでは、単一のCTC(
図8A)は、より低いOSと関連していた(下(赤)曲線)。単一のCAML 50μm以上 CAML(
図8B)も、OSの低下(低(赤)曲線)に関連していた。血液検査によるCTCs及びCAMLsの両方の同時測定のOSを
図8Cに、下の(赤い)曲線として示される単一のCAML及びCTCと共に示す。
【0156】
このデータは、CTCs及びCAMLサイズの両方の同時測定が、血液ベースの診断の予後の価値を高め、そしてその後の治療の利益を予期し得ることを示している。
【0157】
このデータは、CAMLサイズ及びCAMLサイズの変化が、主要な固形腫瘍の治療反応又は疾患進行の予測に適用可能であることを示唆している。
実施例2
がんワクチン
【0158】
がんワクチンは、ワクチン標的として意図されるマーカーを発現する細胞の形態で被検者に投与することができる。細胞は、がん細胞、改変ウイルス及び他のタイプの改変細胞の形態であり得る。被検者がワクチンを受けた後、体の免疫システムは、がん細胞と共にワクチンによって発現された抗原を認識して攻撃するT細胞を生産する。
【0159】
がんワクチンの患者の治療反応をモニター及び/又は予測するためにCAMLsを利用するという概念をサポートするデータは、SV-BR-1-GMワクチンで治療された10人の乳がん患者に基づいている。7.5mLの血液を採取し、異なる時点で分析した。
図10と
図11に示されるデータは、少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現している患者(実線)とどのようなHLA対立遺伝子も発現していない患者(破線)のCAMLデータを示す。
【0160】
図10は、治療中のCAMLの数を示す。少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現している患者では、治療中に減少した数又はより少ないCAMLsを有し、このことは肯定的な反応を示す。データポイントが200日である1人の患者では、肺及び軟部組織の転移は完全に除去された。HLA対立遺伝子を発現していない患者はワクチンの恩恵を受けていないようであり、CAML数は増加していることが分かった。
【0161】
図11は、治療中のCAMLのサイズを示す。少なくとも1つのHLA対立遺伝子を発現している一人を除く全ての患者は、治療中にCAMLサイズの減少を示した。しかし、ほとんどの患者のCAMLサイズは依然として50μmよりはるかに大きく、このことは、病原性の高いがんの存在を示している。患者の画像診断は、彼ら全員がまだがんを有することを示した(データは示されていない)。
【0162】
CAML数の変化は、ワクチン以外の他の治療及び他のがんに、特にステージIVのがんを有する被検者において典型的に5つを超えるCAMLsを有するがんに適用可能である。
実施例3
【0163】
CAMLsは、がんの病態形成におけるメカニズムであると仮定されたがん患者の末梢血において一般的な循環間質細胞である。ここで示されるのは、CAMLsが治療反応とがんの進行を予測できるかどうかを判断するための、誘導前及び根治的放射線療法の完了直後の未治療の肺がん患者についての前向き試験の結果である。
【0164】
方法:2年間の単一の前向き単一盲検試験が行われ、根治的放射線療法の導入前後の肺がん患者の無増悪生存期間(PFS)に対する拡大CAMLs(50μm以上)の関係をテストした。両側95%パワー(α=0.05)を達成するために、全て病理学的に確認された肺がんを伴う55人の患者のトレーニングセットが採用された:ステージI(n=13)、ステージII(n=7)、ステージIIIa(n=10)、ステージIIIb(n=18)及びステージIV(n=7)。治療開始前にベースライン(BL)の血液試料を採取した。可能であれば、放射線療法の終了後(~60日)に第2の血液試料(T1)を採取した、n=46患者。CellSieve(商標)ろ過によって血液をろ過し、CAMLsを定量した。<50μm又は50μm以上のCAMLサイズによる分析を用いて、打ち切り単変量及び多変量解析によるPFS-ハザード比(HR)を評価した。
【0165】
結果(データは示されていない):CAMLsは、平均3.2 CAML/7.5mLのBL試料の93%で見られた。50μm以上のCAMLが少なくとも1つある患者では、PFSが低下していた(HR=2.9、95%CI 1.4~6.0、p=0.010)。46人の患者が経過観察採血に同意した。46人の患者のうち13人はCAMLサイズが50μm以上に増加したが、3人の患者は<50μmに減少し、その結果PFSが増加した(HR=7.7、95%CI 2.6~12.5、p<0.001)。併せて、BLで50μm以上のCAMLを有する患者の90%が2年以内に進行したのに対し、<50μmのCAMLsを有する患者では46%であった。T1でのCAMLの拡大は進行をよりよく予測し、50μm以上のCAMLを有する患者の92%が進行していたのに対し、<50μmのCAMLを有する患者では21%であった。特に、BLとT1の両方でCAMLsが50μm以上の患者の100%が進行した。比較すると、BLとT1の両方でCAMLsが<50μmの患者の11%のみが進行した。多変量解析では、ステージを含む他の全ての臨床変数とは独立して、CAMLサイズがPFSとOSの最も重要な指標であった。
【0166】
このデータは、根治的放射線療法を受けている肺がん患者の場合、拡大したCAMLsの存在が、治療に耐性がある患者を予測するように見えることを示唆している。さらに、これらの循環間質細胞は、治療後に進行し易い患者の予後であり得る患者の逐次モニタリングに有用であるように見える。
引用