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特開2024-6316画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006316
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/40 20220101AFI20240110BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240110BHJP
   G06V 40/20 20220101ALI20240110BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240110BHJP
【FI】
G06V40/40
G06T7/00 510F
G06V40/20
G06T7/20 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107096
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】奈良 和也
【テーマコード(参考)】
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
5B043AA10
5B043BA04
5B043DA05
5L096CA04
5L096EA03
5L096GA19
5L096GA51
5L096HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】不正な認証突破を抑制する簡易な構成の顔認証を実行する画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理システムにおいて、画像処理装置2は、認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行う処理部26と、オプティカルフローにより得られた顔の動きベクトルMVに基づいて、認証対象が生体であるか否かを判別する判別部23と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行う処理部と、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する判別部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の画像および前記第2の画像から、前記第1の顔画像および前記第2の顔画像の切り出しを行う編集部をさらに備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記編集部は、前記第1の顔画像および前記第2の顔画像をそれぞれ複数の領域に分割し、
前記判別部は、前記複数の領域の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の領域の動きベクトルの差分二乗和が動作閾値以上である場合に、前記認証対象が生体であると判別する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記編集部は、前記第1の顔画像と、前記第2の顔画像の大きさを揃える、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の顔画像と、前記第2の顔画像の大きさを揃えるのに対応して、前記複数の領域の大きさおよび動きベクトルを調整する、
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数の領域の動きベクトルは、前記第1の画像および前記第2の画像から得られる前記認証対象の顔の動きベクトルを予め差し引かれている、
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記認証対象を撮像する撮像装置と、
前記認証対象に認証結果を提示する表示装置と、
を有する画像処理システム。
【請求項9】
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行い、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行い、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
ように機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体認証技術の一つとして、認証対象である人物の顔画像を取得し、これを予め登録された顔画像と照合することにより、本人であるか否かの認証を行う顔認証技術が知られている。顔認証を不正に認証突破されることを抑制するために、例えば、特許文献1に記載の生体認証装置は、光学パターンを照射して顔の3次元情報を取得することにより認証対象の顔の3次元画像を生成して顔認証を行い、虹彩認証も同時に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-13443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された生体認証装置では、顔の3次元情報および虹彩の情報を取得するために、2種類の光学パターンを照射する投影装置等を組み込む必要があり、また、3次元情報に係る各種計算を大量に実行する必要がある。従って、生体認証装置の構成が複雑化する。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、不正な認証突破を抑制できる簡易な構成の顔認証を実行する画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像処理装置は、
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行う処理部と、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する判別部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不正な認証突破を抑制できる簡易な構成の顔認証を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係る画像処理システムで生体認証されたときの第1の顔画像を簡略化して示す図であり、(b)は、第2の顔画像を簡略化して示す図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態に係る画像処理システムで生体認証されなかったときの第1の顔画像を簡略化して示す図であり、(b)は、第2の顔画像を簡略化して示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像処理システムの構成を例示する図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像処理システムのブロック図である。
図5図1(a)、(b)を用いてオプティカルフローを実行して得られたデータを示す図である。
図6図2(a)、(b)を用いてオプティカルフローを実行して得られたデータを示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る生体検知対応顔認証処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る画像処理システムについて、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[画像処理システムの概要]
本発明の実施形態に係る画像処理システムは、例えば、商業施設等の限られたスタッフ等(認証対象Tを含む場合がある)が立ち入りを許される管理対象エリア(セキュリティエリア)において、入退出の際の顔認証および顔認証の信頼性を高めるための生体検知を行う。生体検知には、例えば、図1(a)に示す認証対象Tの顔を映した動画の1フレームであり、顔を複数の領域Rに分割した第1の顔画像F1、および第1の顔画像F1の次のフレームである、図1(b)に示す第2の顔画像F2を使用する。顔認証には、第1の顔画像F1または第2の顔画像F2、或いは複数の領域Rに分割する前の顔画像を使用する。画像処理システム1では、顔認証後に生体検知が行われる。
【0011】
顔認証は、一般的な認証方式であるビジュアル方式で行われる。生体検知は、第1の顔画像F1と第2の顔画像F2とで認証対象Tの顔の動きを検出し、その動きをベクトルで表現する処理(オプティカルフロー)を行う。オプティカルフローにより得られた認証対象Tの顔のそれぞれの領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和(SSD:Sum of Squared Difference)を取得し、差分二乗和が動作閾値以上である領域が存在した場合に、認証対象Tは生体であると判別されて入退出が許可される。差分二乗和が動作閾値未満である場合には、認証対象Tは生体ではないと判別され、認証対象Tの入退出は許可されない。このように、画像処理システム1は、特別な装置や構成を有することなく、簡易な構成で顔認証における不正な認証突破を抑制することができる。
【0012】
[画像処理システムの構成]
以下、画像処理システム1の構成を説明する。図3に示すように、画像処理システム1は、生体検知および顔認証を行う画像処理装置2、認証対象Tを撮像する撮像装置4、撮像された認証対象Tや認証結果等を表示する表示装置6、を有する。図4に示すように、画像処理装置2は、オプティカルフローを行う制御部20と、認証対象Tの顔画像、動きベクトル等を記憶する記憶部30と、撮像装置4、表示装置6や入退出ゲートとの通信を行う通信部50と、情報等を入力する入力部70と、を備える。
【0013】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサで構成され、記憶部30に記憶されたプログラム等を実行することにより、後述する各部(画像取得部21、顔認証部22、判別部23、編集部24、特徴点検出部25、処理部26)の機能を実現する。また、制御部20は、図示しない時計を有し、現在日時の取得や経過時間のカウント等をすることができる。
【0014】
記憶部30は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つのメモリで構成され、ROMの一部または全部は電気的に書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ等)で構成されている。記憶部30は、機能的に、画像記憶部31と、顔認証画像記憶部32と、顔画像記憶部33と、特徴点記憶部34と、設定記憶部35と、を有する。ROMには、制御部20のCPUが実行するプログラムおよびプログラムを実行する上であらかじめ必要なデータが記憶されている。RAMには、プログラム実行中に作成されたり、変更されるデータが記憶される。
【0015】
画像記憶部31には、撮像部40に撮像された第1の画像、第2の画像等が記憶される。
【0016】
顔認証画像記憶部32には、顔認証部22が顔認証の際に使用する、管理対象エリアに立ち入りが許されたスタッフ等の顔画像が記憶される。画像処理システム1の管理者は、眼鏡が必要になった、コンタクトを使用することで眼鏡が不要になった、短髪にした等顔画像に変化があった際や、管理エリア立ち入り許可スタッフの退職や入職等の際に、新しい顔画像の登録、古い顔画像の削除等を行うことができる。
【0017】
顔画像記憶部33には、編集部24に編集された第1の顔画像F1、第2の顔画像F2等が記憶される。
【0018】
特徴点記憶部34には、特徴点検出部25に検出された特徴点が第1の画像、第2の画像とともに記憶される。
【0019】
設定記憶部35には、画像処理装置2で使用する各種設定が記憶される。顔の向き、角度が同一か否かを判別するフレーム数、生体検知許容差違、動作閾値等の生体検知対応顔認証処理に必要な設定値等が記憶され、画像処理システム1の管理者は必要に応じてこれらの設定について入力部70を介して変更することができる。ここで、顔の向きとは、首を中心に顔を左右に回転させることで変わるものである。顔の角度とは、頭頂を中点とした顔の角度を表すものである。
【0020】
通信部50は、入退出ゲート等の外部機器と通信するためのモジュールである通信装置51を有する。通信装置51は、外部機器と通信する場合にはアンテナを含む無線モジュールである。例えば、通信装置51は、Bluetooth(登録商標)に基づく近距離無線通信を行うための無線モジュールである。通信部50を介して、画像処理装置2は、撮像装置4、表示装置6、入退出ゲート等をコントロールして、認証対象Tの入退出、管理対象エリアのセキュリティを管理する。
【0021】
入力部70は、認証対象Tが画像処理装置2に諸情報を入力するための入力装置71を有する。入力部70は、管理者、認証対象T等が情報等を入力するためのキーボード、マウス等も有する。
【0022】
撮像装置4は、認証対象Tを撮像する撮像部40と、撮像部40の姿勢を変化させる駆動部41と、を有する。
【0023】
撮像部40は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを備える。撮像部40は、認証対象Tを撮像し、第1の画像、第2の画像等を生成する。
【0024】
駆動部41は、撮像部40の姿勢を変化させる。これにより、撮像部40の撮像範囲や撮像角度等を変化させ、認証対象Tの顔を適切に撮像することができる。
【0025】
表示装置6は、液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)から構成された表示部60を備える。
【0026】
表示部60は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)、液晶、または有機EL等により構成される。表示部60は、第1の顔画像F1、第2の顔画像F2等を表示する。
【0027】
次に、画像処理装置2の制御部20の機能的構成について説明する。制御部20は、画像取得部21、顔認証部22、判別部23、編集部24、特徴点検出部25、処理部26、の機能を実現し、後述する顔認証生体検知入退出処理等を行う。
【0028】
画像取得部21は、あらかじめ画像処理装置2に設定された、またはユーザ設定された条件等で撮像範囲を撮像部40に撮像させ、第1の画像、第2の画像等を含む動画を取得する。画像取得部21は、取得した第1の画像を顔認証部22に送信する。また、画像取得部21は、取得した第1の画像、第2の画像を含む動画を画像記憶部31に記憶する。
【0029】
顔認証部22は、画像取得部21から送信された第1の画像を用いて顔認証を行う。顔認証部22は、画像に写った目・鼻・口等の位置を認識し、顔認証画像記憶部32内の顔画像と照合することにより、特定の人物であると認証する、公知の2D顔認証を行う。
【0030】
判別部23は、各画像内の認証対象Tの顔の向きおよび角度が同一であるか否かを判別する。また、判別部23は、第1の画像における顔位置情報(画像内での顔の位置)と第2の画像における顔位置情報との差違が生体検知許容差違以内であるか否かを判別する。さらに、顔画像全体の動きベクトルGMVを差し引いた各領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和が動作閾値以上の領域Rがあるか否かを判別する。
【0031】
編集部24は、画像取得部21が取得した第1の画像および第2の画像から、認証対象Tの顔の正面のパーツおよびその周辺が映った第1の顔画像F1および第2の顔画像F2を、224ピクセル×224ピクセルに切り出す。また、切り出した第2の顔画像F2を第1の顔画像F1のサイズと同じになるように調整する。さらに、図1および図2(a)、(b)に示すように、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2に複数の、本実施形態では5×5の矩形状の領域Rを設定する。各領域のサイズは、32ピクセル×32ピクセルとする。また、編集部24は、顔画像のサイズの調整を行うために第2の顔画像F2の始点をオフセットして、第1の顔画像F1と第2の顔画像F2との顔の位置合わせを行う。始点のオフセット、顔の位置合わせの詳細は後述する。編集部24は、切り出した第1の顔画像F1および第2の顔画像F2を顔画像記憶部33に記憶する。
【0032】
特徴点検出部25は、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2の複数の領域R内において、特徴点を検出する。特徴点検出部25は、検出した特徴点を特徴点記憶部34に記憶する。
【0033】
処理部26は、特徴点検出部25が検出した特徴点を用いて第1の顔画像F1および第2の顔画像F2とでオプティカルフローを行い、複数の領域Rの動きベクトルMVを取得する。また、顔画像全体の動きベクトルGMVも取得する。さらに、顔画像全体の動きベクトルGMVを差し引いた各領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和を算出する。なお、オプティカルフローの計算には、Lucas-Kanade法を用いる。
【0034】
以上、制御部20の機能的構成について説明した。以下、第1の顔画像F1が図1(a)、第2の顔画像F2が図1(b)である場合、および第1の顔画像F1が図2(a)、第2の顔画像F2が図2(b)である場合を例として、画像処理システム1で行われる生体検知対応顔認証処理について具体的に説明する。なお、図1(a)、図2(a)、(b)に示す顔画像F1,F2(すなわち第1および第2の画像に映された顔画像)と同一である顔画像は、顔認証画像記憶部32に記憶されているものとする。また、認証対象Tの顔は、指定フレーム数の間、顔の向き、角度が同一であるとする。第1、第2の画像内の認証対象Tの顔位置の差違は生体検知許容差違以内であるとし、図1(a)、(b)に示すような顔画像F1,F2を用いてオプティカルフローを行った結果、図5に例示するデータが得られたものとする。また、図2(a)、(b)に示すような顔画像F1,F2を用いてオプティカルフローを行った結果、図6に例示するデータが得られたものとする。
【0035】
(第1の顔画像F1が図1(a)、第2の顔画像F2が図1(b)である場合)
図3に示すように、認証対象Tが画像処理システム1の撮像装置4の前に立ち、撮像装置4は、認証対象Tの顔を動画に撮像する。画像取得部21は、動画から第1の画像、第2の画像を取得し、第1の画像を顔認証部22に送信する。
【0036】
顔認証部22は、第1の画像に映された顔画像と顔認証画像記憶部32に記憶されている顔画像とを照合する。段落0034で設定したように、第1の画像に映された顔画像と同一である顔画像が顔認証画像記憶部32に記憶されているので、認証成功する。
【0037】
また、段落0034で設定したように、認証対象Tの顔は、指定フレーム数の間、顔の向き、角度が同一であり、第1、第2の画像内の認証対象Tの顔位置の差違は生体検知許容差違以内であるので、編集部24は、第1の顔画像F1、第2の顔画像F2を生成する。
【0038】
調整後、顔の目、鼻、口が配置されている箇所を範囲に含めるように複数の領域R(本実施形態では5×5=25個の領域R)を設定し、図1(a)、(b)に示す、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2が得られる。編集部24は、サイズの調整にあわせて第2の顔画像F2の始点をオフセットして、第1の顔画像F1と第2の顔画像F2との顔の位置合わせを行う。編集部24は、第1の画像から第1の顔画像F1、第2の画像から位置合わせを行った第2の顔画像F2を切り出し、第2の顔画像F2を第1の顔画像F1のサイズと同じになるように調整する。始点のオフセットおよび調整方法は、整体検知対応顔認証処理のステップS6において後述する。なお、始点は、顔画像の左上端の頂点とする。
【0039】
特徴点検出部25は、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2の複数の領域R内において、特徴点を検出する。
【0040】
処理部26は、検出された特徴点を用いて第1の顔画像F1および第2の顔画像F2とでオプティカルフローを行い、複数の領域Rの動きベクトルMVを取得する。また、顔画像全体の動きベクトルGMVも取得する。
【0041】
図5に示す動きベクトルMVおよび顔画像全体の動きベクトルGMVが得られ、顔画像全体の動きベクトルGMVを差し引いた各領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和が算出される。
【0042】
差分二乗和が48を超える領域Rが5つある(図5のSSD(-GMV)の項目のうち[]で囲まれた数値が5つある)ので、判別部23は、図1(a)、(b)に映された認証対象Tが生体であると判別し、顔認証が正当に認証成功されたとして、認証対象Tに入退出許可を与える。
【0043】
(第1の顔画像F1が図2(a)、第2の顔画像F2が図2(b)である場合)
段落0035-0037,0039-0040については、第1,2の顔画像が図1(a)、(b)の場合と同一の内容であるので省略する。以下、第1,2の顔画像が図1(a)、(b)の場合と異なる内容を含む段落についてのみ説明する。
【0044】
編集部24は、第1の画像から第1の顔画像F1、第2の画像から第2の顔画像F2を切り出し、第2の顔画像F2を第1の顔画像F1のサイズと同じになるように調整する。調整後、顔の目、鼻、口が配置されている箇所を範囲に含めるように複数の領域R(本実施形態では5×5=25個の領域R)を設定し、図2(a)、(b)に示す、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2が得られる。
【0045】
図6に示す動きベクトルMVおよび顔画像全体の動きベクトルGMVが得られ、顔画像全体の動きベクトルGMVを差し引いた各領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和が算出される。
【0046】
差分二乗和が48を超える領域Rが無い(図6のSSD(-GMV)の項目のうち[]で囲まれた数値が無い)ので、判別部23は、図2(a)、(b)に映された認証対象Tが生体で無いと判別し、顔認証の不正な認証突破が試みられたので認証失敗であると判別して、認証対象Tに入退出許可を与えない。
【0047】
以下、画像処理システム1で行われる生体検知対応顔認証処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0048】
(生体検知対応顔認証処理)
図7を参照して、生体検知対応顔認証処理のフローを説明する。生体検知対応顔認証処理によって、顔認証に対する不正な認証突破を抑制することができる。画像処理システム1では、顔認証および生体検知を組み合わせて入退出管理を行う。顔認証が認証成功であっても、その後に続いて行われる生体検知において、認証対象Tが生体であると判別されなければ認証対象Tは入退出を許可されない。
【0049】
まず、画像取得部21は、認証対象Tの顔が撮像された動画から第1の画像を取得する(ステップS1)。
【0050】
ステップS2に進み、顔認証部22は、第1の画像を用いて顔認証を行う。第1の画像内の顔と同一とみなせる顔画像が顔認証画像記憶部32に記憶された画像内にあり、顔認証に成功した場合(ステップS2:Yes)、ステップS3に進む。顔認証に失敗した場合(ステップS2:No)、表示部60に非認証のメッセージを表示して(ステップS14)終了する。
【0051】
ステップS3では、画像取得部21は、認証対象Tの顔が撮像された動画から第1の画像に連続するフレームである第2の画像を取得し、ステップS4に進む。
【0052】
ステップS4では、判別部23は、第1の画像の直前の8フレームおよび第1の画像、第2の画像の2フレームの計10フレーム(以後、顔配置確認フレームとする)の画像において、認証対象Tの顔の向きおよび角度が同一であるか否かを判別する。顔配置確認フレームの画像において、認証対象Tの顔の向きおよび角度が同一である場合(ステップS4:Yes)、ステップS5に進む。認証対象Tの顔の向きおよび角度が同一でない場合(ステップS4:No)、生体検知の精度の低下が予想されるので生体検知を行わず、ステップS1に戻る。
【0053】
ステップS5では、判別部23は、第1の画像における顔位置(座標)情報と第2の画像における顔位置(座標)情報との差違が生体検知許容差違である30ピクセル以内であるか否かを判別する。差違が30ピクセル以内である場合(ステップS5:Yes)、ステップS6に進み、差違が30ピクセルを超えた場合(ステップS5:No)、生体検知の精度の低下が予想されるので生体検知を行わず、ステップS1に戻る。
【0054】
ステップS6では、編集部24は、第1の顔画像と第2の顔画像との大きさを比較し、第1の顔画像と第2の顔画像との大きさが異なる場合に、第2の顔画像F2の始点をオフセットして、第1の顔画像F1と第2の顔画像F2との顔の位置合わせを行う。具体的には、位置合わせでは、以下の2つのいずれかの処理を行う。「第1の顔画像のサイズ>第2の顔画像のサイズ」である場合、((第1の顔画像のサイズ-第2の顔画像のサイズ)÷2)だけ、第2の顔画像の始点の座標をマイナス方向にずらす。例えば、第1の顔画像の始点(100、100)、第1の顔画像のサイズが幅300高さ300、第2の顔画像の始点(100、100)、第2の顔画像のサイズが幅280高さ280である場合、第2の顔画像の始点(100、100)から(300-280)÷2ずつ引いて(90、90)を始点の座標とする。その後、ステップS7で、第2の顔画像のサイズを第1の顔画像のサイズに拡大する。「第1の顔画像のサイズ<第2の顔画像のサイズ」である場合、((第2の顔画像のサイズ-第1の顔画像のサイズ)÷2)だけ、第2の顔画像の始点の座標をプラス方向にずらす。例えば、第1の顔画像の始点(100、100)、第1の顔画像のサイズが幅260高さ260、第2の顔画像の始点(100、100)、第2の顔画像のサイズが幅300高さ300である場合、第2の顔画像の始点(100、100)に(300-260)÷2ずつ加えて(120、120)を始点の座標とする。その後、ステップS7で、第2の顔画像のサイズを第1の顔画像のサイズに縮小する。
【0055】
ステップS7では、編集部24は、第1の画像から第1の顔画像F1を切り出し、第2の画像から位置合わせを行った第2の顔画像F2を切り出す。このとき、認証対象Tの顔の移動(微動)や顔情報のばらつきによる影響を低減させるため、編集部24は、第2の顔画像F2のサイズを第1の顔画像F1のサイズと同じになるように調整する。また、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2に複数の領域Rを設定する。
【0056】
ステップS8に進み、特徴点検出部25は、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2から特徴点を検出する。処理部26は、検出された特徴点および顔の位置合わせ後の第1の顔画像F1と第2の顔画像F2とを用いて、オプティカルフローを行う。
【0057】
ステップS9では、処理部26は、ステップS8でのオプティカルフローの実行によって、認証対象Tの顔画像全体の動きベクトルGMVを取得する。
【0058】
ステップS10では、処理部26は、認証対象Tの顔画像全体の動きベクトルGMVを差し引いた顔画像の各領域Rの動きベクトルMVを算出する。その後、処理部26は、算出した各領域Rの動きベクトルMVの差分二乗和を取得する。
【0059】
ステップS11に進み、判別部23は、差分二乗和が動作閾値である48以上の数値である領域Rがあったか否かを判別する。差分二乗和が8以上の数値である領域Rがあった場合(ステップS11:Yes)、認証対象Tは生体であり、顔認証の正当な認証成功であったと判別して入退出許可を出して(ステップS12)、終了する。差分二乗和が48以上の数値であった領域Rが無かった場合(ステップS11:No)、認証対象Tは生体ではなく、顔認証の不正な認証突破が試みられたので認証失敗であると判別して入退出許可を出さず(ステップS13)、終了する。
【0060】
以上、生体検知対応顔認証処理について説明した。
【0061】
このように、生体検知対応顔認証処理によって、画像処理システム1は、認証対象Tの顔が時系列的に撮像された第1および第2の画像に含まれる第1の顔画像F1および第2の顔画像F2を用いてオプティカルフローによって顔画像の顔の各部の動きベクトルMVの差分二乗和を取得し動作閾値と比較することにより、認証対象Tが生体であるか否かを判別するという簡易な構成で、予め用意されていた静止画像、ポスター写真、人形等による顔認証に対する不正な認証突破を判別し、抑制できる。また、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2の切り出しを行い、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2をそれぞれ複数の領域Rに分割して動きベクトルMVを取得することにより、計算量を大きく削減することができる。
【0062】
また、画像処理システム1は、第1の顔画像F1と、第2の顔画像F2の大きさを揃えることにより、動きベクトルMVの精度を上げることができる。さらに、第1の顔画像F1と、第2の顔画像F2の大きさを揃えるのに対応して、複数の領域Rの大きさおよび動きベクトルMVを調整することにより、動きベクトルMVの精度を上げることができる。また、複数の領域Rの動きベクトルMVは、第1および第2の画像から得られる認証対象Tの顔の動きベクトルを予め差し引くことにより、顔画像内の各領域内での特徴点の動きを抽出することができる。
【0063】
(変形例)
上記実施形態において、画像処理システム1は、差分二乗和が動作閾値以上で生体であると判別していたが、差分の絶対値の和(SAD:Sum of Absolute Difference)が動作閾値以上で認証対象Tが生体であると判別してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、画像処理システム1は、画像処理装置2、撮像装置4、表示装置6を有していたが、これらをタブレット等の1つの機器によって代替してもよい。或いは、例えば、表示装置と撮像装置とが1つの機器で構成されていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、画像処理装置2は、生体検知と顔認証とを実行していたが、顔認証を外部機器に行わせてもよい。
【0066】
上記実施形態では、画像処理システム1では、動作閾値が48に設定されていたが、認証対象Tと撮像装置4との距離、撮像装置4の解像度等の条件にあわせて適切な閾値を設定するとよい。また、生体検知許容差違等も適切な閾値を適宜設定するとよい。
【0067】
また、上記実施形態では、画像処理システム1は、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示すような、5×5の領域Rに分割していたが、分割数を変更してもよいし、例えば、ほぼ動きの見られない頬の位置付近の領域Rを設定しない、或いはオプティカルフローの対象外としてもよい。或いは、分割せずに1つの領域としてもよいし、領域Rに分割することなく、直接認証対象Tの顔の各部(例えば、目、鼻、口、眉、顔の輪郭等)の動きベクトルを算出してもよい。
【0068】
上記実施形態では、画像処理システム1は、第2の画像を第1の画像の次のフレームとしていたが、認証対象Tの瞬きが検知できるフレームレートであれば、第2の画像は第1の画像の2つ後のフレームや、それよりも後のフレームであってもよい。
【0069】
上記実施形態では、画像処理システム1は、顔認証後に生体検知を行っていたが、生体検知後に顔認証を行ってもよいし、生体検知と顔認証とを並行して行ってもよい。
【0070】
上記実施形態では、画像処理システム1は、2D顔認証を行っていたが、赤外線センサを用いた顔認証等、他の顔認証を行ってもよい。
【0071】
上記実施形態では、画像処理システム1は、入退出管理に使用されていたが、出退勤管理、PCセキュリティ、タブレットやスマートフォン等のログオン認証等に使用してもよいし、ロボットやロッカーに組み込んでもよい。
【0072】
上記実施形態では、画像処理システム1では、第1の顔画像F1および第2の顔画像F2を、224ピクセル×224ピクセルに切り出し、32ピクセル×32ピクセルの領域Rを5×5の矩形状に編集していたが、これらの各数値は適宜調整してもよい。
【0073】
この発明の画像処理システム1の各機能は、通常のPC(Personal Computer)やタブレット等のコンピュータによっても実施することができる。具体的には、上記実施形態では、画像処理システム1が行う生体検知対応顔認証処理のプログラムが、記憶部30のROMに予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)およびMO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0075】
(付記)
(付記1)
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行う処理部と、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する判別部と、
を備える画像処理装置。
【0076】
(付記2)
前記第1の画像および前記第2の画像から、前記第1の顔画像および前記第2の顔画像の切り出しを行う編集部をさらに備える、
付記1に記載の画像処理装置。
【0077】
(付記3)
前記編集部は、前記第1の顔画像および前記第2の顔画像をそれぞれ複数の領域に分割し、
前記判別部は、前記複数の領域の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
付記2に記載の画像処理装置。
【0078】
(付記4)
前記複数の領域の動きベクトルの差分二乗和が動作閾値以上である場合に、前記認証対象が生体であると判別する、
付記3に記載の画像処理装置。
【0079】
(付記5)
前記編集部は、前記第1の顔画像と、前記第2の顔画像の大きさを揃える、
付記4に記載の画像処理装置。
【0080】
(付記6)
前記第1の顔画像と、前記第2の顔画像の大きさを揃えるのに対応して、前記複数の領域の大きさおよび動きベクトルを調整する、
付記5に記載の画像処理装置。
【0081】
(付記7)
前記複数の領域の動きベクトルは、前記第1の画像および前記第2の画像から得られる前記認証対象の顔の動きベクトルを予め差し引かれている、
付記6に記載の画像処理装置。
【0082】
(付記8)
付記1から7のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
前記認証対象を撮像する撮像装置と、
前記認証対象に認証結果を提示する表示装置と、
を有する画像処理システム。
【0083】
(付記9)
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行い、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
画像処理方法。
【0084】
(付記10)
コンピュータに、
認証対象の顔が時系列的に撮像された第1の画像および第2の画像に含まれる第1の顔画像と第2の顔画像とを用いてオプティカルフローを行い、
前記オプティカルフローにより得られた前記顔の動きベクトルに基づいて、前記認証対象が生体であるか否かを判別する、
ように機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0085】
1…画像処理システム、2…画像処理装置、4…撮像装置、6…表示装置、20…制御部、21…画像取得部、22…顔認証部、23…判別部、24…編集部、25…特徴点検出部、26…処理部、30…記憶部、31…画像記憶部、32…顔認証画像記憶部、33…顔画像記憶部、34…特徴点記憶部、35…設定記憶部、40…撮像部、41…駆動部、50…通信部、51…通信装置、60…表示部、70…入力部、71…入力装置、F1…第1の顔画像、F2…第2の顔画像、GMV…顔画像全体の動きベクトル、MV…動きベクトル、R…領域、T…認証対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7