(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063189
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】血液脳関門透過能を有するペプチド核酸複合体及びこれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20240501BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240501BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240501BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240501BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240501BHJP
A61K 47/59 20170101ALI20240501BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240501BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240501BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240501BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20240501BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240501BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240501BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240501BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240501BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240501BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240501BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240501BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61K31/7088
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/113 Z
C07K7/08
C07K7/06
A61K47/59
A61K47/69
A61K47/34
A61K48/00
A61K47/42
A61K47/30
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P9/10
A61P35/00
A61P7/02
A61K51/04 320
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033627
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022522874の分割
【原出願日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0128465
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519045000
【氏名又は名称】シーサン・セラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】パク ミンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒギョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血液脳関門(Blood-Brain Barrier)透過能を有する新しい構造の核酸複合体、これを含む組成物を提供する。
【解決手段】生物活性核酸と全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)が相補的に結合した核酸複合体及びこれを含む血液脳関門透過用組成物を提供する。本発明に係る核酸複合体は、優れた効率で血液脳関門を通過でき、特に、核酸複合体に薬物を結合させると薬物の血液脳関門透過能が増加するので、疾病の治療又は診断に非常に有用である。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)の構造を有する核酸複合体を含む血液脳関門透過用組成物。
[構造式(1)]
[A≡C(+)]
前記構造式(1)において、
Aは、目的とする遺伝子と結合可能な配列、又は目的とする遺伝子配列を有する生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)であり、
Cは、生物活性核酸と結合可能なキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)であり;
‘≡’は、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との相補的な結合を意味し、
Aで表される生物活性核酸は、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid)であって、全体的に陰電荷を有し、
C(+)で表されるキャリアペプチド核酸は、全体的に陽電荷を有し、
A≡C(+)で表される構造式(1)の核酸複合体は、全体的に陽電荷を有し、
前記キャリアペプチド核酸は、キャリアペプチド核酸が全体的に陽電荷を帯びるように1個以上のガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体を一つ以上含み、前記ガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体は、陽電荷を有するアミノ酸を有する単量体が、陰電荷を有するアミノ酸を有する単量体に比べてより多く含まれ、全体的なキャリアペプチド核酸の電荷が陽性になることを特徴とする。
【請求項2】
前記生物活性核酸又はキャリアペプチド核酸は、それぞれの核酸の5’末端又は3’末端に、エンドソーム脱出を助ける物質がさらに結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エンドソーム脱出を助ける物質は、ペプチド、脂質ナノ物質(lipid nanoparticles)、接合体ナノ物質(polyplex nanoparticles)、高分子ナノ球(polymer nanospheres)、無機物ナノ物質(inorganic nanoparticles)、陽イオン脂質ナノ物質(cationic lipid-based nanoparticles)、陽イオン高分子(cationic polymer)及びpH感応高分子(pH sensitive polymers)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、GLFDIIKKIAESF(配列番号5)又はヒスチジン(10)であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記生物活性核酸は、核酸の5’末端又は3’末端に疾患の治療又は診断用物質がさらに結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸はそれぞれ、2~50個の核酸単量体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記キャリアペプチド核酸は、前記生物活性核酸と塩基配列の一部或いは全部が相補的な配列で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記一部が相補的な配列で構成されるキャリアペプチド核酸は、一つ以上のユニバーザル塩基を含むことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記陽電荷を有するアミノ酸は、リジン(Lysine,Lys,K)、アルギニン(Arginine,Arg,R)、ヒスチジン(Histidine,His,H)、ジアミノ酪酸(Diamino butyric acid,DAB)、オルニチン(Ornithine,Orn)及びアミノ酸類似体からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記陰電荷を有するアミノ酸はグルタミン酸(Glu,E)、アスパラギン酸(Asp,D)又はアミノ酸類似体であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸は、それぞれの核酸の5’-方向性及び3’-方向性によって平行(parallel)又は逆平行(antiparallel)に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(融解温度、melting temperature、Tm)は、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸は、平行結合(Parallel binding)又は部分特異結合(Partial specific binding)することにより、生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(melting temperature,Tm)が、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記キャリアペプチド核酸がリンカー、ユニバーザル塩基(universal base)及び生物活性核酸の対応する塩基と相補的でない塩基を有するペプチド核酸塩基から選択された一つ以上のペプチド核酸塩基を有することにより、生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(融解温度、melting temperature、Tm)が、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との結合力の調節により、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸の分離時点、及び生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子の結合時点の調節が可能になることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記ユニバーザル塩基(universal base)は、アデニン(adenine)、グアニン(guanine)、シトシン(cytosine)、チミン(thymine)、ウラシル(Uracil)などの天然塩基と選択性無しで結合し、相補的な結合力よりも低い結合力を有する塩基としてイノシンPNA(inosine PNA)、インドールPNA(indole PNA)、ニトロインドールPNA(nitroindole PNA)及び無塩基(abasic)からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー、クエンチャー、蛍光マーカー及び発光マーカーからなる群から選ばれる一つ以上の物質が生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー、クエンチャー、蛍光マーカー及び発光マーカーからなる群から選ばれる一つ以上の物質と生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸との結合は、単純共有結合又はリンカー媒介の共有結合であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記疾患は、脳疾患であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項20】
前記脳疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ルーゲーリック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ニーマン・ピック病、脳卒中、中風、認知症、血栓症、塞栓症、一過性虚血発作、小梗塞、脳溢血、脳梗塞、頭部損傷、脳循環代謝障害、脳機能昏睡、脳癌及び脳腫瘍からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
脳疾患の予防又は治療用医薬組成物であることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
脳疾患の診断用組成物であることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液脳関門(Blood-Brain Barrier)透過能を有する新しい構造の核酸複合体、これを含む組成物に関し、より詳細には、生物活性核酸と、全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)とが相補的に結合した核酸複合体及びこれを含む血液脳関門透過用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血液脳関門(blood-brain barrier,BBB)は、脳血管の内皮細胞間の稠密な連結(tight junction)及びこれをさらに強化させる星状細胞(astrocyte)からなる構造物で、血管内部の物質が血管壁を通過して脳室質内に抜け出ることを防ぐ機能を有する。この理由から、脳疾患治療剤として開発された相当数の薬が脳血管障壁をよく通過しない問題点を抱えている。このような血液脳関門の透過メカニズムはまだ明らかになっておらず、中枢神経系に障害が発生しても、薬物を中枢神経系の目的とする領域に到達させることができないのが現実であり、効果的な治療方法はまだ開発されずにいる。
【0003】
最近では、薬物のより安全で効果的な利用を図るために、薬物に適する剤形の他にも、薬物の標的となる生体部位に効率的に薬物を伝達(drug delivery)する方法が注目されている。特に、薬物を必要な時に、必要な量だけ、必要な箇所に効率的に運搬する輸送システムである薬物伝達システム(DDS;Drug Delivery System)の実用化が要求されている。血液脳関門を通過して薬物などを伝達できる伝達体(carrier)の開発も活発に行われているが、血液脳関門を透過できるDDSは開発されていない現状である。
【0004】
一方、伝統的な薬剤と違い、核酸薬剤は、標的特異的伝令RNA(messenger RNA,mRNA)の発現を抑制するので、タンパク質を標的とする既存薬剤では治療不可であった研究領域を扱うことが可能になった(Kole R.et al.,Nature Rev.Drug Discov.2012;11;125-140.,Wilson C.et al.,Curr.Opin.Chem.Bio.2006;10:607-614.)。
【0005】
オリゴ核酸(Oligo nucleic acid)ベースの遺伝子発現調節の優れた効果及び様々な用途にもかかわらず、核酸ベースの治療剤を開発するには克服すべき妨害物が多数存在する。例えば、オリゴ核酸は、核酸分解酵素(nuclease)などによる損傷の危険があり、また、オリゴ核酸の電気的性質(電荷)及び大きさのため、受動拡散(passive diffusion)による細胞膜透過が不可能な点などがある。これらの問題点を解消するために、核酸の修飾を用いた生物学的安定性を確保しようとする努力が続いており、修飾された人工核酸(Artificial Nucleic Acid)は、生物学的な活性の損失無しで標的核酸との親和性を高めることが可能になった。修飾された人工核酸の一種類であるペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid,PNA)は、相補的な塩基配列を有するRNA及びDNAに強く結合する性質を有しており、特に、核酸分解酵素に対して抵抗性があり、生物学的安定性が高いことから、様々なオリゴ核酸ベースの治療剤関連研究が行われている。ただし、前記ペプチド核酸は、電気的中性を有する特性のため、細胞内に取り込みにくいという短所がある(Joergensen M.et al.,Oligonucleotides 2011,21;29-37.)。薬剤としての性能及び長所から、核酸を用いた様々な臨床試験が行われており、増加している核酸ベースの治療剤の用途にもかかわらず、細胞内導入又は血液脳関門透過のための運搬体の使用は極めて制限的である。また、オリゴ核酸自体の細胞膜透過能力は非常に低く、特に、DNA又はRNAは陰電荷を帯びているため、細胞の疎水性リン脂質二重膜を通過できず、単純拡散を用いた細胞内伝達又は血液脳関門の透過は困難である。中枢神経系では、ウイルスベクターを用いた方法が提示されたことがあるが(韓国特許公開第2009-159988号公報)、この方法は安全面で不都合があり、実用化には至らずにいる。
【0006】
このような理由で、細胞毒性が少なく、免疫活性が低い非ウイルス性オリゴ核酸に基づく核酸運搬体開発の重要性が増しており、その結果、陽電荷性脂質(cationic lipid)、リポソーム(liposome,安定した核酸脂質粒子(stable nucleic acid lipid particle,SNALP))、ポリマー及び細胞透過粒子(cell-penetrating peptide)を用いた細胞導入手法が開発されている(Zhi D.et al.,Bioconjug.Chem.2013,24;487-519.,Buyens K. et al.,J.Control Release,2012,158;362-70.,ROSSI,J.J.et al.,Gene Ther.2006,13:583-584.,Yousefi A. et al.,J.Control Release,2013,170;209-18.,Trabulo S. et al.,Curr.Pharm.Des.2013,19;2895-923.)。このような核酸伝達手法は、機能性残基を直接の結合によって持っており、複合体形成のための段階を含み、リポソーム(liposome)構造のエンドソームエスケープ(endosome escape)効率及び生体毒性などといった欠点があり、よって、オリゴ核酸導入機能の向上、及び製造手順及び副作用関連の問題点を解消する必要がある。
【0007】
これと関連して、本発明者らは、生物活性核酸と全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)とが相補的に結合した核酸複合体は、細胞透過性(cell permeability)が驚くべきほど向上し、これを用いて標的遺伝子の発現を非常に効率的に調節できることを確認し、このような細胞毒性が低く、生物活性核酸の細胞透過性及び遺伝子発現調節能力が向上した新しい構造体に関する特許を出願したことがある(PCT/KR2017/008636)。
【0008】
そこで、本発明者らは、前記構造体の機能に関する研究を続けて、血液脳関門透過能に優れた核酸複合体を開発しようと鋭意努力した結果、生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)と全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)とが相補的に結合した核酸複合体が、優れた効率で血液脳関門を通過できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【0009】
本発明で解決しようとする課題は、生物活性核酸と全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)とが相補的に結合した核酸複合体、これを含む血液脳関門透過用組成物、並びこれを用いた疾病の治療及び診断用組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明で解決しようとする他の側面における課題は、本発明に係る血液脳関門透過性を有する核酸複合体及び/又はこれを含む組成物を治療が必要な患者に投与することを特徴とする疾病の治療方法を提供することにある。
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、下記構造式(1)の構造を有する核酸複合体を含む血液脳関門透過用組成物を提供する:
[構造式(1)]
[A≡C(+)]
前記構造式(1)において、
Aは、目的とする遺伝子と結合可能な配列、又は目的とする遺伝子配列を有する生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)であり、
Cは、生物活性核酸と結合可能なキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)であり;
‘≡’は、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との相補的な結合を意味し、
Aで表される生物活性核酸は、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid)であって、全体的に陰電荷を有し、
C(+)で表されるキャリアペプチド核酸は、全体的に陽電荷を有し、
A≡C(+)で表される構造式(1)の核酸複合体は、全体的に陽電荷を有し、
前記キャリアペプチド核酸は、キャリアペプチド核酸が全体的に陽電荷を帯びるように1個以上のガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体を一つ以上含み、前記ガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体は、陽電荷を有するアミノ酸を有する単量体が、陰電荷を有するアミノ酸を有する単量体に比べてより多く含まれ、全体的なキャリアペプチド核酸の電荷が陽性になることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体を含む疾病の予防又は治療用医薬組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体を含む疾病の診断用組成物又はキットを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体及び/又はこれを含む薬学的組成物を治療が必要な患者に投与する段階を含む疾病の治療方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体及び/又はこれを含む薬学的組成物を疾病の予防又は治療に使用する用途を提供する。
【0016】
また、本発明は、疾病の予防又は治療用薬剤の製造のための前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体及び/又はこれを含む薬学的組成物の用途を提供する。
【0017】
また、本発明は、疾病の予防又は治療用薬剤の製造のための前記構造式(1)の構造を有する核酸複合体及び/又はこれを含む薬学的組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】核酸複合体投与後1日目の脳組織前部領域である前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0019】
【
図1B】核酸複合体投与後1日目の脳組織後部領域である海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0020】
【
図1C】核酸複合体投与後3日目の脳組織前部領域である前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0021】
【
図1D】核酸複合体投与後3日目の脳組織後部領域である海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0022】
【
図2A】核酸複合体投与後1日目に脳の各組織において蛍光発現分布を比較した結果である。
【0023】
【
図2B】核酸複合体投与後3日目に脳の各組織において蛍光発現分布を比較した結果である。
【0024】
【
図3A】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後1日目の脳組織前部領域である前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0025】
【
図3B】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後1日目の脳組織後部領域である海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0026】
【
図3C】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後3日目の脳組織前部領域である前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0027】
【
図3D】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後3日目の脳組織後部領域である海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)における共焦点顕微鏡分析結果である。
【0028】
【
図4A】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後1日目に脳の各組織において蛍光発現分布を比較した結果である。
【0029】
【
図4B】エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体投与後3日目に脳の各組織において蛍光発現分布を比較した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
特に断りのない限り、本明細書で使われる技術的及び科学的用語はいずれも、本発明の属する技術の分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書における命名法は、本技術分野でよく知られており、通常用いられるものである。
【0031】
本発明は、下記構造式(1)の構造を有する核酸複合体を含む血液脳関門透過用組成物に関する。
【0032】
[構造式(1)]
[A≡C(+)]
前記構造式(1)において、
Aは、目的とする遺伝子と結合可能な配列、又は目的とする遺伝子配列を有する生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)であり、
Cは、生物活性核酸と結合可能なキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)であり;
‘≡’は、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との相補的な結合を意味し、
Aで表される生物活性核酸は、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid)であって、全体的に陰電荷を有し、
C(+)で表されるキャリアペプチド核酸は、全体的に陽電荷を有し、
A≡C(+)で表される構造式(1)の核酸複合体は、全体的に陽電荷を有し、
前記キャリアペプチド核酸は、キャリアペプチド核酸が全体的に陽電荷を帯びるように1個以上のガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体を一つ以上含み、前記ガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体は、陽電荷を有するアミノ酸を有する単量体が、陰電荷を有するアミノ酸を有する単量体に比べてより多く含まれ、全体的なキャリアペプチド核酸の電荷が陽性になることを特徴とする。
【0033】
本発明において、生物活性核酸又はキャリアペプチド核酸は、それぞれの核酸の5’末端又は3’末端にエンドソーム脱出を助ける物質がさらに結合したことを特徴とし得る。すなわち、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸のエンドソーム脱出(endosome escape)を助ける物質をさらに含み、下記構造式(2)の構造を有することを特徴とし得る。
【0034】
[構造式(2)]
[mA≡mC(+)]
前記構造式(2)において、
‘m’は、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸のエンドソーム脱出(endosome escape)を助ける物質を意味する。
【0035】
本発明において、“エンドソーム脱出を助ける物質”は、エンドソーム内部の浸透圧を増加させる、又はエンドソームの膜を不安定化させる方法により、生物活性核酸のエンドソームからの脱出を助けることを特徴とし得る。生物活性核酸がより効率的且つ迅速に核や細胞質に移動し、標的遺伝子に出会って作用するように助けることを意味する(D.W.Pack,A.S.Hoffman,S.Pun,P.S.Stayton,“Design and development of polymers for gene delivery,” Nat.Rev.Drug.Discov.,4,581-593(2005))。
【0036】
本発明において、前記エンドソーム脱出を助ける物質は、ペプチド、脂質ナノ物質(lipid nanoparticles)、接合体ナノ物質(polyplex nanoparticles)、高分子ナノ球(polymer nanospheres)、無機物ナノ物質(inorganic nanoparticles)、陽イオン脂質ナノ物質(cationic lipid-based nanoparticles)、陽イオン高分子(cationic polymer)及びpH感応高分子(pH sensitive polymers)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とし得る。
【0037】
本発明において、前記エンドソーム脱出を助ける物質として、生物活性核酸には、GLFDIIKKIAESF(配列番号5)の配列を有するペプチドがリンカー媒介で連結されてよく、キャリアペプチド核酸には、ヒスチジン(10)がリンカー媒介連結方法で結合することを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
【0038】
本発明において、前記脂質ナノ物質(lipid nanoparticles)は、脂質(Lipid)、リン脂質(phospholipids)、パルミチン酸セチル(cetyl palmitate)、poloxamer 18、Tween 85、トリステアリングリセリド(tristearin glyceride)及びTween 80からなる群から選ばれることを特徴とし得る。
【0039】
本発明において、前記接合体ナノ物質(polyplex nanoparticles)は、ポリ(アミドアミン)(poly(amidoamine))又はポリエチレンイミン(polyethylenimine,PEI)であることを特徴とし得る。
【0040】
本発明において、前記高分子ナノ球(polymer nanospheres)は、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、 ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(poly(lactide-co-glycolide))、ポリラクチド(polylactide)、ポリグリコリド(polyglycolide)、ポリ(d,l-ラクチド)(poly(d,l-lactide))、キトサン(chitosan)及びPLGA-ポリエチレングリコール(PLGA-polyethylene glycol))からなる群から選ばれることを特徴とし得る。
【0041】
本発明において、前記無機物ナノ物質(inorganic nanoparticles)は、Fe2O3Fe3O4、WO3及びWO2.9からなる群から選ばれることを特徴とし得る。
【0042】
本発明において、前記陽イオン脂質ナノ物質(cationic lipid-based nanoparticles)は、1-(アミノエチル)イミノビス[N-(オレイックイルシステイニル-1-アミノ-エチル)プロピオンアミド](1-(aminoethyl)iminobis[N-(oleicylcysteinyl-1-amino-ethyl)propionamide])、PTAのN-アルキル化誘導体(N-alkylatedderivativeofPTA)、及び3,5-ジドデシルオキシベンズアミジン(3,5-didodecyloxybenzamidine)からなる群から選ばれることを特徴とし得る。
【0043】
本発明において、前記陽イオン高分子(cationic polymer)は、ビニルピロリドン-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(vinylpyrrolidone-N,N-dimethylaminoethyl methacrylate acid copolymer diethyl sulphate)、ポリイソブチレン(polyisobutylene)及びポリ(N-ビニルカルバゾール)(poly(N-vinylcarbazole))から構成される群から選ばれることを特徴とし得る。
【0044】
本発明において、前記pH感応性高分子(pH sensitive polymers)は、ポリ酸(polyacids)、ポリ(アクリル酸)(poly(acrylic acid))、ポリ(メタクリル酸)(poly(methacrylic acid))、及び加水分解されたポリアクリルアミド(hydrolyzed polyacrylamide)からなる群から選ばれることを特徴とし得る。
【0045】
本発明において、“生物活性核酸”は、発現を減少させようとする目的の標的遺伝子と結合可能な相補的な配列、特に、そのような目的とする標的遺伝子のmRNAに結合可能な相補的な配列を有するか、或いは発現させようとする標的遺伝子の発現を促進する配列を含む核酸であり、当該遺伝子の発現を抑制したり促進したりするなどの遺伝子発現調節に関与する核酸を意味し、発現を減少又は増加させようとする標的遺伝子に相補的な配列を有する核酸であるか、或いは、pre-mRNA、miRNA、mRNAなどの一本鎖RNA配列に相補的な配列の核酸であってよい。
【0046】
特に、本発明における“生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)”は、生体外(in vitro)又は生体内(in vivo)で標的遺伝子及びこれを含む塩基配列と結合して当該遺伝子の固有機能(例えば、転写体(transcript)発現又はタンパク質発現)を活性化又は阻害させるか、或いはpre-mRNAのスプライシング(splicing)を調節(例えば、エクソンスキッピング(exon skipping))するなどの機能を有し、前記塩基配列は、遺伝子調節部位(gene regulatory sequence)又は遺伝子部位(gene coding sequence)又はスプライシング調節部位(splicing regulatory sequence)であることを特徴とし得る。前記遺伝子調節部位は、プロモーター、転写エンハンサー、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ウイルスパッケージング配列、及び選択マーカーから選択されることを特徴とし得る。前記遺伝子部位はエクソン又はイントロンでよく、前記遺伝子部位は遺伝子の転写開始部位の10、5、3、1kb又は500、300、200bp内に、例えば、開始部位の上流(upstream)又は下流(downstream)に存在してよい。また、前記スプライシング調節部位は、エクソンスキッピング、隠されたスプライシング(cryptic splicing)、擬似スプライス部位活性化(pseudo-splice site activation)、イントロン保持(intron retention)、選択的スプライシングディレギュレーション(alternative splicing deregulation)関連配列を含むことができる。
【0047】
本発明において“キャリアペプチド核酸”は、生物活性核酸と一部或いは全部の塩基が相補的に結合して機能性を付与する核酸を意味し、本発明で用いられるキャリアペプチド核酸は、ペプチド核酸(PNA:Peptide Nucleic Acid)の他に、これと類似な修飾された核酸も使用でき、ペプチド核酸が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明において、“核酸複合体”は、生物活性物質を体内、究極としては細胞内に浸透させることができ、具体的には、血液脳関門を通過して体内に伝達できる能力を有する。
【0049】
本発明において、前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸はそれぞれ2~50個、好ましくは5~30個、より好ましくは10~25個、最も好ましくは15~17個の核酸単量体を含むことを特徴とし得る。
【0050】
また、前記生物活性核酸は、天然(natural)核酸塩基及び/又は修飾された核酸単量体からなっていることを特徴とし、前記キャリアペプチド核酸は、前記生物活性核酸と塩基配列の一部或いは全部が相補的な配列で構成されることを特徴とし得る。
【0051】
特に、キャリアペプチド核酸は、ユニバーザル塩基(universal base)を一つ以上含むことができ、キャリアペプチド核酸の全てがユニバーザル塩基からなってもよい。
【0052】
本発明において、前記生物活性核酸は、DNA、RNA又は修飾された核酸であるPNA(peptide nucleic acid)、PMO(phosphorodiamidate morpholino oligonucleotide)、LNA(locked nucleic acid)、GNA(glycol nucleic acid)、及びTNA(threose nucleic acid)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)、アプタマー(aptamer)、siRNA(small interfering RNA)、shRNA(short hairpin RNA)、リボザイム(ribozyme)及びDNAzymeからなる群から選ばれるものでよく、好ましくは、前記生物活性核酸は、DNA、RNA又は修飾された核酸であるPNA(peptide nucleic
acid)、PMO(phosphorodiamidate morpholino
oligonucleotide)、LNA(locked nucleic acid)、GNA(glycol nucleic acid)及びTNA(threose
nucleic acid)からなる群から選ばれるものでよい。
【0053】
本発明において、生物活性核酸に使用された単量体がPNAである場合に、生物活性ペプチド核酸といい、他の単量体が使用された場合にも同じ方式で呼ぶ。
【0054】
本発明において、前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸は、ホスホジエステル(phosphodiester)、2’0-メチル(2’0-methyl)、2’メトキシ-エチル(2’ methoxy-ethyl)、ホスホルアミデート(phosphoramidate)、メチルホスホネート(methylphosphonate)及びホスホロチオエート(phosphorothioate)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上の官能基をさらに含むことを特徴とし得る。
【0055】
本発明において、前記キャリアペプチド核酸は、前記生物活性核酸と塩基配列の一部或いは全部が相補的な配列で構成されることを特徴とし得る。特に、キャリアペプチド核酸は、ユニバーザル塩基(universal base)を一つ以上含むことができ、キャリアペプチド核酸の全てがユニバーザル塩基からなってもよい。
【0056】
本発明において、前記核酸複合体内の前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸のそれぞれは、電気的特性が全体的に、陽電荷(陽性)、陰電荷(陰性)又は中性電荷を有することを特徴とする複合体であってよい。
【0057】
前記電気的特性の表現において、“全体的に”との意味は、個別塩基の電気的特性ではなく全体的な生物活性核酸又はキャリアペプチド核酸のそれぞれの電荷が外部から見て全体的な電気的特性であることを意味し、例えば、生物活性核酸内の一部の単量体が陽性を有しても、陰性を有する単量体の個数が相対的に多く存在する場合には、生物活性核酸は“全体的に”電気的特性からして陰電荷を有するものであり、キャリアペプチド核酸内の一部の塩基及び/又はバックボーン(backbone)が陰性を有しても、陽性を有する塩基及び/又はバックボーンの個数が相対的に多く存在する場合には、キャリアペプチド核酸は“全体的に”電気的特性からして陽電荷を有するものである。
【0058】
したがって、本発明の核酸複合体は、全体的に陽電荷を有することを特徴とし得る。前記核酸複合体において、好ましくは、前記生物活性核酸は全体的に電気的特性からして陰電荷特性を有し、前記キャリアペプチド核酸は全体的に電気的特性からして陽電荷特性を有することを特徴とし得るが、これに制限されるものではない。
【0059】
本発明において、前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸の電気的特性の付与は、修飾されたペプチド核酸単量体を使用することができ、修飾されたペプチド核酸単量体は、陽電荷を有するキャリアペプチド核酸として、リジン(Lysine,Lys,K)、アルギニン(Arginine,Arg,R)、ヒスチジン(Histidine,His,H)、ジアミノ酪酸(Diamino butyric acid,DAB)、オルニチン(Ornithine,Orn)及びアミノ酸類似体からなる群から選ばれるいずれか一つ以上の陽電荷のアミノ酸を含み、陰電荷を有するキャリアペプチド核酸として、陰電荷のアミノ酸であるグルタミン酸(Glutamic acid,Glu,E)又はアミノ酸類似体の陰電荷のアミノ酸を含むことを特徴とし得る。
【0060】
本発明において、前記キャリアペプチド核酸は、全体的に陽電荷を有するように、1個以上のガンマ-又はアルファ-バックボーン修飾ペプチド核酸単量体を含むことを特徴とし得る。
【0061】
前記ガンマ-或いはアルファ-バックボーン修飾ペプチド核酸単量体は、電気的陽性を有するように、リジン(Lysine,Lys,K)、アルギニン(Arginine,Arg,R)、ヒスチジン(Histidine,His,H)、ジアミノ酪酸(Diamino butyric acid,DAB)、オルニチン(Ornithine,Orn)及びアミノ酸類似体からなる群から選ばれるいずれか一つ以上の陽電荷を有するアミノ酸をバックボーンに含むことを特徴とし得る。
【0062】
本発明において、電荷付与のためのペプチド核酸単量体の修飾は、前記バックボーン修飾の他にも、ヌクレオ塩基(nucleobase)が修飾されたペプチド核酸単量体を使用することができる。好ましくは、電気的陽性を有するようにアミン、トリアゾール、イミダゾール残基をヌクレオ塩基に含む、或いは電気的陰性を有するようにカルボン酸を塩基に含むことを特徴とし得る。
【0063】
本発明において、前記キャリアペプチド核酸の修飾ペプチド核酸単量体は、陰電荷をバックボーン或いはヌクレオ塩基にさらに含んでもよいが、修飾ペプチド核酸単量体は、陽電荷を有する単量体が陰電荷を有する単量体に比べて多く含まれ、全体的にキャリアペプチド核酸の電荷が陽性になることが好ましい。
【0064】
好ましくは、本発明に係る前記核酸複合体は、全体的に陽の電荷を有することを特徴とする。
【0065】
本発明に係る前記核酸複合体において、疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー又は蛍光/発光マーカーなどからなる群から選ばれる一つ以上の物質が生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸に結合していることを特徴とし、好ましくは、前記疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー及びイメージングのための蛍光/発光マーカーなどからなる群から選ばれる一つ以上の物質は、前記キャリアペプチド核酸に結合したものであり得る。
【0066】
本発明において前記疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー、クエンチャー、蛍光マーカー及び発光マーカーからなる群から選ばれる一つ以上の物質と生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸の結合は、単純共有結合又はリンカー媒介の共有結合であることを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記核酸運搬体に結合した細胞透過、溶解度、安定性、運搬及びイメージング関連物質(例えば、疎水性残基など)は、標的遺伝子の発現を調節する生物活性核酸と独立して存在する。
【0067】
本発明において、先に述べたように、前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の相補的な結合形態は、大きく、逆平行結合(antiparallel binding)と平行結合(parallel binding)の形態を有することを特徴とし得る。前記相補的な結合形態は、生物活性核酸の目的配列(生物活性核酸と相補的な配列)の存在下で分離される構造を有する。
【0068】
前記逆平行結合と平行結合は、DNA-DNA又はDNA-PNAの結合方式において、5’-方向性と3’-方向性によって決定される。逆平行結合は、一般のDNA-DNA又はDNA-PNAの結合方式であり、本発明に係る核酸複合体を取り上げて説明すると、生物活性核酸は5’から3’方向に、キャリアペプチド核酸は3’から5’方向に互いに結合する形態を意味する。平行結合は、逆平行結合に比べては結合力が多少劣る形態であり、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸の両方とも5’から3’方向に又は3’から5’方向に互いに結合する形態を意味する。
【0069】
本発明に係る核酸複合体において、好ましくは、前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力は、生物活性核酸と生物活性核酸の目的する遺伝子、特に目的遺伝子のmRNAとの結合力よりも低いことを特徴とし得る。前記結合力は、融解温度、melting temperature又はTmによって決定される。
【0070】
前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(融解温度、melting temperature、Tm)を生物活性核酸と生物活性核酸の目的する遺伝子、特に目的遺伝子のmRNAとの結合力よりも低くするための具体的な方法は、例えば、前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸とが平行結合(Parallel binding)又は部分特異結合(Partial specific binding)することを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0071】
他の例として、前記キャリアペプチド核酸がリンカー、ユニバーザル塩基(universal base)及び生物活性核酸の対応する塩基と相補的でない塩基を有するペプチド核酸塩基から構成された群から選ばれる一つ以上のペプチド核酸塩基を有することを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0072】
本発明において、前記ユニバーザル塩基(universal base)は、アデニン(adenine)、グアニン(guanine)、シトシン(cytosine)、チミン(thymine)、ウラシル(Uracil)などの天然塩基と選択性無しで結合し、相補的な結合力よりも低い結合力を有する塩基としてイノシンPNA(inosine PNA)、インドールPNA(indole PNA)、ニトロインドールPNA(nitroindole PNA)及び無塩基(abasic)からなる群から選ばれる一つ以上を使用でき、好ましくは、イノシンPNAを使用することを特徴とし得る。
【0073】
本発明において、前記核酸複合体の機能調節のための核酸の結合形態と電気的性質の組合せを提供し、前記核酸の結合形態と電気的性質の組合せで粒子サイズ及び作用時点を調節し、細胞透過性、溶解度及び特異度を向上させることを特徴とし得る。
【0074】
本発明において、前記生物活性ペプチド核酸とキャリアペプチド核酸との結合力調節により、目的遺伝子の存在下で、生物活性ペプチド核酸が目的配列と結合する時点(生物活性核酸の目的配列への置換される時点、標的特異的分離及び結合時点)などの調節が可能である。
【0075】
本発明に係る核酸複合体において、生物活性核酸の目的遺伝子への置換(strand displacement)時点、標的特異的分離及び結合(target specific release and bind)時点の調節は、複合体の非特異結合のためのキャリアペプチド核酸の非特異塩基、ユニバーザル塩基及びリンカーの有無、個数及び位置によって調節が可能であることを特徴とし得る。前記ペプチド複合体の相補的な結合の形態である平行(parallel)又は逆平行(antiparallel)形態の結合などと前記条件との組合せによって調節が可能であることを特徴とし得る。
【0076】
本発明は、他の観点において、下記構造式(1)の構造を有し、血液脳関門透過性を有する核酸複合体を含む疾患の診断又は治療用組成物に関する。
【0077】
[構造式(1)]
[A≡C(+)]
前記構造式(1)において、
Aは、目的とする遺伝子と結合可能な配列、又は目的とする遺伝子配列を有する生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)であり、
Cは、生物活性核酸と結合可能なキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)であり;
‘≡’は、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との相補的な結合を意味し、
Aで表される生物活性核酸は、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid)であって、全体的に陰電荷を有し、
C(+)で表されるキャリアペプチド核酸は、全体的に陽電荷を有し、
A≡C(+)で表される構造式(1)の核酸複合体は、全体的に陽電荷を有し、
前記キャリアペプチド核酸は、キャリアペプチド核酸が全体的に陽電荷を帯びるように、1個以上のガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体を一つ以上含み、前記ガンマ或いはアルファバックボーン修飾ペプチド核酸単量体は、陽電荷を有するアミノ酸を有する単量体が、陰電荷を有するアミノ酸を有する単量体に比べてより多く含まれ、全体的なキャリアペプチド核酸の電荷が陽性になることを特徴とする。
【0078】
本発明における用語“血液脳関門”又は“BBB(Blood-Brain Barrier)”は、本願において互いに同じ意味で使われ、これは、血液と脳組織との間に交換されることを綿密に調節し厳しく制限する脳組織を通じて循環するので、血液内に存在する透過性障壁を指すために使われる。血液脳障壁の成分には、あらゆる血管の最も深い内膜を形成する内皮細胞、BBBと構造的に相関がある隣接した内皮細胞同士間の稠密な連接部、内皮細胞の基底膜、及び血管の露出された外部表面の略全体を覆っている近い星状細胞の拡張された足様突起(foot process)が含まれる。BBBは、血液内の大部分の物質、例えば、大部分の大分子、例えば、Ig、抗体、補体、アルブミン及び薬物及び小分子が脳組織内に流入することを防ぐ。
【0079】
本発明における用語“疾患”又は“障害”は、本願において互いに同じ意味で使われ、これは、機能の遂行を妨害や混乱させる、及び/又は不快感、機能異常、困難のような症状を誘発させる、ひいては病気にかかった人を死亡させる、或いはこれと接触した人を死亡に至らせる、身体状態又はいくつかの器官上のあらゆる変更のことを指す。
【0080】
本発明において、前記生物活性核酸は、核酸の5’末端又は3’末端に疾患治療又は診断用物質がさらに結合したことを特徴とし得る。
【0081】
本発明において、前記追加結合した物質は、活性作用剤を含むものでよい。前記活性作用剤は、前記血液脳関門を透過できないものと知られている、或いは透過できない物質であってよい。また、前記活性作用剤は、前記血液脳関門を少ない量しか透過できず、他の透過補助剤の存在無しでは効果的な量で伝達され得ない物質であってよい。
【0082】
前記活性作用剤は、薬剤学的活性作用剤、診断的活性作用剤又はこれらの組合せであってよい。
【0083】
本発明の生物活性核酸に連結可能な脳疾患治療用物質は、従来、それらの疾患の治療に使用されるものであればいずれも可能である。例えば、脳神経細胞保護剤であるNMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体抑制剤、アセチルコリンエステラーゼ抑制剤、抗アミロイドタンパク質剤であって、例えば、ドネペジル、ガランタミン、タグリン、メマンチンなどであってよい。また、例えば、テモゾロミド、カルムスチン含有ギリアデル(Gliadel)ウェハー、メルファラン、プレガバリン、デパコート又はメトトレキサートなどであってよい。
【0084】
また、本発明の生物活性核酸に連結可能な脳疾患治療用物質は、従来、脳腫瘍治療に使用されるものであればいずれも可能であり、既存の抗癌剤のうち、血液脳関門の通過が難しいドキソルビシン、パクリタキセルなどを生物活性核酸に連結し、脳腫瘍治療に使用することができる。
【0085】
前記製剤と本発明の生物活性核酸との連結は、当業界に公知の方法、例えば、共有結合又はリンカー媒介の共有結合などにより行われてよい。そのために、本発明の生物活性核酸は、必要であれば、その活性が消失しない範囲で化学的に修飾(modification)されてよい。
【0086】
本発明は、さらに他の観点において、前記構造式(1)の構造を有し、血液脳関門透過性を有する核酸複合体を含む脳疾患診断用組成物又はキットに関する。
【0087】
本発明において、前記核酸複合体にさらに連結可能な脳疾患診断用物質は、造影剤を含むことができ、好ましくは、静脈注射で投与可能な血管造影剤、例えば、ヨード化造影剤又はガドリニウム造影剤であってよい。特に、より好ましくは、[11C]25B-NBOMe、[18F]Altanserin、[11C]Carfentanil、[11C]DASB、[11C]DTBZ又は[18F]Fluoropropyl-DTBZ、[11C]ME@HAPTHI、[18F]Fallypride、[18F]Florbetaben、[18F]Florbetapir、[18F]又は[11C]Flumazenil、[18F]Flutemetamol、[18F]Fluorodopa、[18F]Desmethoxyfallypride、[18F]Mefway、[18F]MPPF、[18F]Nifene、[11C]Raclopride、[18F]Setoperone、[18F]又は[11C]N-Methylspiperone、[11C]Verapamil、Pittsburgh compound B、18F-THK5105、18F-THK5117及び18F-THK5351などの脳(brain)陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)の放射性追跡子(radiotracer)であってよい。
【0088】
本発明は、さらに他の観点において、前記構造式(1)の構造を有し、血液脳関門透過性を有する核酸複合体を含む脳疾患予防又は治療用医薬組成物に関する。
【0089】
本発明は、さらに他の観点において、前記構造式(1)の構造を有し、血液脳関門透過性を有する核酸複合体を個体に投与する段階を含む脳疾患の予防又は治療方法に関する。
【0090】
本発明は、さらに他の観点において、脳疾患の予防又は治療用薬剤の製造のための前記構造式(1)の構造を有し、血液脳関門透過性を有する核酸複合体の用途に関する。
【0091】
本発明において、前記疾患は脳疾患が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0092】
本発明において、前記脳疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ルーゲーリック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ニーマン・ピック病、脳卒中、中風、痴呆、血栓症、塞栓症、一過性虚血発作、小梗塞、脳溢血、脳梗塞、頭部損傷、脳循環代謝障害、脳機能昏睡、脳癌及び脳腫瘍からなる群から選ばれることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0093】
本発明において、用語“治療用組成物”は、“医薬(薬剤学的、薬学的)組成物(pharmaceutical composition)”と同じ意味で使われ、本発明の生物活性核酸及び前記核酸と結合するキャリアペプチド核酸を含む核酸複合体を有効成分として含み、さらに、前記核酸複合体に、目的とする疾患を治療するための治療用薬物が結合した形態であってよい。
【0094】
本発明の治療用組成物は、標準医薬実施によって血液脳関門内に伝達される形態の剤形にしてよい。これらの剤形は、有効成分以外に薬学的に許容される形態の剤形に適合な担体、賦形剤、補助剤又は希釈剤などの添加物を含有することができる。
【0095】
用語“薬学的に許容される(physiologically acceptable)”とは、化合物の生物学的活性及び物性を損傷させない特性を意味する。
【0096】
用語“担体(carrier)”とは、細胞又は組織内への核酸複合体の付加を容易にする化合物と定義される。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物体の細胞又は組織内への多くの有機化合物の取り込みを容易にする通常の担体である。
【0097】
用語“希釈剤(diluent)”とは、対象化合物の生物学的活性形態を安定化させる他、化合物を溶解させる水で希釈される化合物と定義される。バッファー溶液に溶解されている塩は、当該分野で希釈剤として用いられる。一般に用いられるバッファー溶液は、リン酸塩バッファー食塩水であり、これはヒト溶液の塩状態を摸倣しているためである。バッファー塩は低い濃度で溶液のpHを制御できるので、バッファー希釈剤が化合物の生物学的活性を修飾することは稀である。
【0098】
本発明における核酸複合体を含有する物質は、ヒト患者に、それ単独で又は併用療法(combination therapy)のように他の活性成分と併用して又は適当な担体や賦形剤と共に混合された医薬組成物として投与できる。
【0099】
本発明における使用に適する医薬組成物には、活性成分がそれらの意図した目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。より具体的に、治療的有効量は、治療される客体の生存を延長する、或いは疾患の症状を防止、軽減又は緩和させるのに有効な化合物の量を意味する。治療的有効量の決定は、特に、ここに提供された詳細な開示内容の側面において、通常の技術者の能力範囲内にある。
【0100】
本発明で使われる用語“予防”は、前記核酸複合体を含む治療用組成物の投与により疾患の発病を防ぐか、それの進行を抑制するあらゆる行為を意味する。
【0101】
本発明における用語“改善”とは、前記核酸複合体を含む治療用組成物の投与により疾患が治療される状態と関連したパラメータ、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるあらゆる行為を意味する。
【0102】
また、本発明で使われる用語“治療”は、前記核酸複合体を含む治療用組成物の投与により疾患の症状が好転又は完治するあらゆる行為を意味する。
【0103】
本発明に係る核酸複合体を含む組成物は、脳疾患を治療するために又は脳疾患の症状を抑制(又は、緩和)するために、医薬として効果的な量で適用されてよい。脳疾患の種類、患者の年齢、体重、症状の特性及び度合、現在治療法の種類、治療回数、適用形態及び経路などの様々な要因によって変わってよく、当該分野の専門家によって容易に決定されてよい。本発明の組成物は、前記の薬理学的又は生理学的成分を共に適用するか或いは順次に適用してよく、また、追加の従来の治療剤と併用して適用してもよく、従来の治療剤とは順次に又は同時に適用してもよい。このような適用は、単回又は多回の適用であってよい。
【0104】
本発明において、“個体”は、本発明に係る核酸複合体を投与して軽減、抑制又は治療可能な状態又は疾患を持っている或いはその危険がある哺乳動物を意味し、好ましくは、人を意味する。
【0105】
また、本発明の化合物の人体への投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾患程度によって変わってもよく、体重が70kgである成人患者を基準にする時、一般に0.001~1,000mg/日であり、好ましくは0.01~500mg/日であり、医師又は薬剤師の判断によって一定時間間隔で1日1回又は数回分割投与してもよい。
【0106】
本明細書に記載の核酸複合体を含む組成物の毒性と治療効率性は、例えば、LD50(群集の50%に対する致死量)、ED50(群集の50%に対して治療効果を有する線量)、IC50(群集の50%に対して治療抑制効果を有する線量)を決定するために、細胞培養又は実験動物における標準製薬過程によって算定されてよい。毒性と治療効果間の線量比が治療指数であり、これは、LD50とED50(又は、IC50)との比率として表現されてよい。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養分析から得られたデータは、ヒトに使用する線量の範囲を算定するために利用することができる。当該化合物の投与量(dosage)は、好ましくは、毒性がない或いは殆どない状態でED50(又は、IC50)を含む循環濃度の範囲内にある。
【0107】
本発明における用語“投与”とは、いずれか適切な方法で個体に本発明の医薬組成物を導入する行為を意味し、投与経路は、目的組織に到達できる限り、経口又は非経口の様々な経路を通じて投与されてよい。
【0108】
本発明の前記医薬組成物は薬学的に有効な量で投与されてよいが、本発明における用語“薬剤学的に有効な量”とは、医学的治療又は予防に適用可能な合理的な受恵/危険の割合で、疾患を治療又は予防するのに十分な量を意味し、有効容量レベルは、疾患の重症度、薬物の活性、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、使用された本発明の組成物の投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、使用された本発明の組成物と配合又は同時使用される薬物を含む要素、及びその他医学分野によく知られた要素によって決定されてよい。
【0109】
本発明の医薬組成物は、個別治療剤として投与されるか、他の治療剤と併用して投与されてよく、従来の治療剤とは順次に又は同時に投与されてよい。そして、単回又は多回投与されてよい。前記要素を全て考慮し、副作用無しで最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要である。
【0110】
本発明の医薬組成物の投与量は、使用目的、疾患の重症度、患者の年齢、体重、性別、既往力、又は有効成分として使用される物質の種類などを考慮して当業者が決定してよい。例えば、本発明の医薬組成物を、ヒトを含む哺乳動物に1日間10~100mg/kg、より好ましくは10~30mg/kgで投与でき、本発明の組成物の投与頻度は、特にこれに制限されないが、1日1回~3回投与してもよく、或いは容量を分割して数回投与してもよい。
【0111】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0112】
実施例1:生物活性核酸(Bioactive Nucleic Acid)及びキャリアペプチド核酸、及びこれらを用いた複合体の製造
【0113】
本発明では、核酸複合体の血液脳関門透過能に対する効果を検定するために、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor,VEGF)アンチセンス核酸(antisense PNA)にメトトレキサート(Methotrexate,MTX)と蛍光物質(cy3)を標識した生物活性核酸(antisense PNA)及びキャリア核酸(carrier PNA)の複合体を使用した。メトトレキサート(Methotrexate,MTX)は、血液脳関門を通過するものとして既存に知られているが、生体利用率が非常に低い脳疾患治療剤である。メトトレキサートは、生体利用率は低いものの、血液脳関門の透過が可能なことから脳腫瘍治療剤として用いられている薬物であるので、核酸複合体によって血液脳関門透過能が増大する効果を検定することができる。陽性対照群(positive control)は、メトトレキサートに蛍光物質だけを標識した合成物質を使用した。
【0114】
本実施例で使用されたペプチド核酸ベースの生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の塩基配列、単量体修飾及び構造は、下記表1の通りである。
【0115】
本発明で使用したペプチド核酸はいずれも、パナジン(PANAGENE、韓国)でHPLC精製方法を用いて合成した。
【0116】
本発明で使用された生物活性ペプチド核酸とキャリアペプチド核酸の配列情報を、表1に示す。
【0117】
【0118】
単量体の修飾は、電気的な性質を付与するために、ペプチド核酸のバックボーンを、電気的陽性はリジン(Lysine;Lys、K、(+)と表記)に、電気的陰性はグルタミン酸(Glutamic acid;Glu、E、(-)と表記)に修飾されたペプチドバックボーンを有するように作製した。
【0119】
それぞれの生物活性核酸とキャリアペプチド核酸組合せは、DMSO下で混成化され、その結果、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸とで構成された複合体が作製された。
【0120】
実施例2:核酸複合体を用いた血液脳関門透過能分析
【0121】
実施例1によって下記表2の構造で製造された核酸複合体を用いて、マウスモデルにおいて核酸複合体の血液脳関門透過能を分析した。
【0122】
実施例2-1:動物モデルへの生物活性ペプチド核酸及びキャリアペプチド核酸複合体の投与
【0123】
核酸複合体の血液脳関門透過能の確認のために、ICR系統の6週齢雄マウス(OrientBio、韓国)を購入し、1週間馴化させた後、20mg/kg(n=6)の核酸複合体を尾静脈に投与した。このとき、使用された陽性対照群(n=6)は、蛍光物質を標識したメトトレキサートを尾静脈に投与し、陰性対照群(n=6)は、実験群と同じ濃度のDMSOを生理食塩水に希釈して同様の経路で投与した。
【0124】
本実施例で使用した核酸複合体組合せは、下記表2の通りである。
【0125】
【0126】
実施例2-2:動物モデルの脳組織分離及び分析
【0127】
実施例2-1の条件で実験を行い、実験群と対照群を1日目及び3日目に分けて組織を分離した。マウスモデルは、Averntin(5mg/kg)を腹腔内投与して麻酔させた後、生理食塩水と4%パラフォームアルデヒド(paraformaldehyde)を灌流(perfusion)し、脳組織を水洗及び固定した。固定された脳組織は分離して30%砂糖水に24時間置いて脱水した後、OCTを用いて包埋過程を行った。組織は、凍結切片器(cryosection)を用いて脳組織の全領域を30μmにセクションした。脳組織の全領域と見なし得る大脳皮質(Cerebral cortex)から脳幹(brainstem)までを確認するために、組織を、大きく、前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)、海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)などの合計6部位に分離してスライドグラスにマウンティングし、核はDAPIで15分間染色した後、共焦点顕微鏡下で分析した。
【0128】
静脈に薬物を投与した時、血液を通じて脳組織内に循環する経路は、脳の後部から前部へと経時に広がるのが一般である。したがって、投与物質が本システムを経て拡散するかを確認するために、脳組織を前側から後側までに6部位に大別して分析を行い、また、経時に拡散する様相を確認するために、DAY1及びDAY3のグループを分離し、数値を分析した。
【0129】
その結果、
図1に示すように、核酸複合体を投与した実験群においてcy3による蛍光発現が現れることを確認し、このことから、既存に血液脳関門を通過すると知られたメトトレキサート単独投与群に比べて、蛍光発現が高く現れることを確認した。したがって、核酸複合体によってメトトレキサートの血液脳関門透過度及び生体利用率が増加するということを確認した。
【0130】
DAY1とDAY3のグループを分離して数値を分析したとき、DAY1では、核酸複合体の蛍光値が、脳組織の前側領域(
図1A)である前頭葉、視交叉上核に比べて、後側領域(
図1B)である中脳、小脳部位で高く現れることが確認され、DAY3では、脳組織の前側領域である前頭葉まで蛍光が拡散し、蛍光発現が高く現れることを確認した(
図1及び
図1D)。したがって、血管と脳組織領域の循環系に沿って核酸複合体が透過して拡散することを確認した。
【0131】
その後、核酸複合体を投与した全ての実験群に対して、投与した日付による組織内蛍光分布を数値化し、核酸複合体を投与後の脳の各組織における蛍光発現分布を比較した。
【0132】
その結果、DAY1では、核酸複合体の蛍光発現分布が、様々な脳領域のうち、脳の後部である中脳、小脳部位で高く現れることを確認した(
図2A)。これは、核酸複合体を投与したとき、MTX単独投与の陽性対照群グループに比しても、脳の全部分で2倍~3倍程度高い蛍光値を示した。DAY3では、脳領域のうち、脳の前部である前頭葉まで蛍光発現分布が高く現れることを確認した(
図2B)。DAY1と同様に、陽性対照群グループであるMTX単独投与されたグループに比べて、核酸複合体を投与したグループの蛍光値が1.5倍~2倍程度高いことを確認した。また、脳組織の全領域においてDAY1に比べてDAY3に、蛍光発現がより大きく現れることを確認した。蛍光強度を数値化して分析することによって実験結果の正確性を高めた。
【0133】
実施例3:エンドソーム脱出を助ける物質を含む生物活性ペプチド核酸(Bioactive Peptide Nucleic Acid)及びキャリアペプチド核酸、並びにそれらを用いた複合体の製造
【0134】
本発明では、核酸複合体の血液脳関門透過能に対する効果を検定するために、エンドソーム脱出(endosome escape)を助ける物質を含む血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor,VEGF)アンチセンス核酸(antisense PNA)にクロラムブシル(chlorambucil)及び蛍光物質(cy3)を標識した生物活性核酸(antisense PNA)とエンドソーム脱出(endosome escape)を助ける物質を含むキャリア核酸(carrier PNA)との複合体を作って使用した。クロラムブシル(chlorambucil)は、既存に血液脳関門を通過しない物質として知られた薬物である。
【0135】
本実施例で使用されたペプチド核酸ベースの生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の塩基配列、単量体修飾及び構造は、下記表3の通りである。
【0136】
本発明で使用した全てのペプチド核酸は、パナジン(PANAGENE、韓国)でHPLC精製方法を用いて合成した。
【0137】
本発明で使用された生物活性ペプチド核酸とキャリアペプチド核酸の配列情報を、表3に示す。
【0138】
【0139】
単量体の修飾は、電気的な性質を付与するためにペプチド核酸のバックボーンを、電気的陽性はリジン(Lysine;Lys、K、(+)と表記)に、電気的陰性はグルタミン酸(Glutamic acid;Glu、E、(-)と表記)に修飾されたペプチドバックボーンを有するように作製した。
【0140】
それぞれの生物活性核酸とキャリアペプチド核酸の組合せは、DMSO下で混成化され、その結果、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸とで構成された複合体が作製された。
【0141】
実施例4:エンドソーム脱出を助ける物質を含む核酸複合体を用いた血液脳関門透過能分析
【0142】
実施例3によって下記表4の構造で製造された核酸複合体を用いて、マウスモデルにおいて核酸複合体の血液脳関門透過能を分析した。
【0143】
実施例4-1:動物モデルへの生物活性ペプチド核酸及びキャリアペプチド核酸複合体の投与
【0144】
エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体の血液脳関門透過能の確認のために、ICR系統の6週齢雄マウス(OrientBio、韓国)を購入し、一週間馴化させた後、20mg/kg(n=6)の核酸複合体を尾静脈に投与した。この時に使用された対照群(n=2)は、実験群と同じ濃度のDMSOを生理食塩水に希釈し、尾静脈に投与した。
【0145】
本実施例で使用した核酸複合体の組合せは、下記表4の通りである。
【0146】
【0147】
実施例4-2:動物モデルの脳組織分離及び分析
【0148】
実施例4-1の条件で実験を行い、実験群と対照群を1日目及び3日目に分けて組織を分離した。マウスモデルは、Averntin(5mg/kg)を腹腔内投与して麻酔させた後、生理食塩水と4%パラフォームアルデヒド(paraformaldehyde)を潅流(perfusion)して脳組織を水洗及び固定した。固定された脳組織は分離して30%砂糖水に24時間置いて脱水した後、OCTを用いて包埋過程を行った。組織は、凍結切片器(cryosection)を用いて脳組織の全領域を30μmにセクションした。大脳皮質(Cerebral cortex)から脳幹(brainstem)までを確認するために、組織を、大きく、前頭葉(prefrontal cortex)、側脳室(lateral ventricle)、視交叉上核(paraventricular nucleus)、海馬(hippocampus)、中脳(midbrain)、小脳(cerebellum)などの合計6部位に分離し、スライドグラスにマウンティングし、核はDAPIで15分間染色した後、共焦点顕微鏡下で分析した。
【0149】
静脈に薬物を投与したとき、血液を通じて脳組織内に循環する経路は、脳の後部分から前部に経時に広がることが一般であるので、投与物質が本システムを経て拡散するかを確認するために、脳組織を前側から後側までに大きく6部位に分類して分析を行い、また、経時に拡散する様相を確認するために、DAY1とDAY3のグループを分離して数値を分析した。
【0150】
その結果、
図3に示すように、エンドソーム脱出を助ける物質が含まれた核酸複合体を投与した実験群において、cy3による蛍光発現が現れることを確認し、これは、既存に血液脳関門を通過できない薬物を標識したにもかかわらず、核酸複合体によって透過したことを確認した。
【0151】
また、DAY1とDAY3のグループを分離して数値を分析したとき、DAY1では、核酸複合体の蛍光値が、脳組織の前側領域(
図3A)である前頭葉、側脳室部位よりも後側領域(
図3B)である中脳、小脳部位で高く現れることが確認された。DAY3では、前側領域である前頭葉まで蛍光値が高く現れたが(
図3C)、脳の後側領域である中脳、小脳部位では、DAY1に比べて蛍光値が非常に減少したことを確認した(
図3D)。このことから、血管と脳組織領域の循環系に沿って核酸複合体が透過して拡散することを確認した。
【0152】
その後、核酸複合体を投与した全ての実験群に対して、投与した日付による組織内蛍光分布を数値化し、核酸複合体を投与後の脳の各組織における蛍光発現分布を比較した。
【0153】
その結果、DAY1では、核酸複合体の蛍光発現分布が、様々な脳領域のうち、脳の後部である中脳、小脳部位で高く現れることを確認し、これを数値化したとき、対照群に比べて、核酸複合体を投与した群において脳の前側領域は2倍或いは3倍、後側領域は、大きくは10倍も蛍光値が増加したことが確認できた(
図4A)。DAY3では、脳領域のうち、脳の前部である前頭葉まで蛍光発現分布が高く現れることを確認し、これを数値化して比較したとき、核酸複合体を投与したグループにおいて、対照群に比べて脳の前側領域で10倍以上、後側領域では2.5倍、蛍光値が増加したことを確認した(
図4B)。蛍光強度を数値化して分析することによって実験結果の正確性を高めた。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明に係る生物活性核酸と全体的に陽電荷を有するように修飾されたキャリアペプチド核酸(Carrier Peptide Nucleic Acid)とが相補的に結合した核酸複合体は、優れた効率で血液脳関門を通過することができる。特に、核酸複合体に薬物を結合させると、薬物の血液脳関門透過能が増加するので、疾病の治療又は診断に非常に有用である。
【0155】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好ましい実施態様であるだけで、これによって本発明の範囲が制限されるものでない点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付する請求項及びそれらの等価物によって定義されるといえよう。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液脳関門透過能を有する核酸複合体であって、配列番号1又は3で表される配列を含む生物活性核酸、及び配列番号2又は3で表される配列を含むキャリアペプチド核酸が相補的に結合している核酸複合体、と脳疾患の治療または診断用物質とを含む血液脳関門透過用組成物。
【請求項2】
前記生物活性核酸又はキャリアペプチド核酸は、それぞれの核酸の5’末端又は3’末端に、エンドソーム脱出を助ける物質がさらに結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エンドソーム脱出を助ける物質は、GLFDIIKKIAESF(配列番号5)又はヒスチジン(10)であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸はそれぞれ、2~50個の核酸単量体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記キャリアペプチド核酸は、前記生物活性核酸と塩基配列の一部或いは全部が相補的な配列で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記一部が相補的な配列で構成されるキャリアペプチド核酸は、一つ以上のユニバーザル塩基を含むことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸は、それぞれの核酸の5’-方向性及び3’-方向性によって平行(parallel)又は逆平行(antiparallel)に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(融解温度、melting temperature、Tm)は、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸は、平行結合(Parallel binding)又は部分特異結合(Partial specific binding)することにより、生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(melting temperature,Tm)が、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記キャリアペプチド核酸がリンカー、ユニバーザル塩基(universal base)及び生物活性核酸の対応する塩基と相補的でない塩基を有するペプチド核酸塩基から選択された一つ以上のペプチド核酸塩基を有することにより、生物活性核酸及びキャリアペプチド核酸の結合力(融解温度、melting temperature、Tm)が、生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子との結合力よりも低いことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記生物活性核酸とキャリアペプチド核酸との結合力の調節により、生物活性核酸とキャリアペプチド核酸の分離時点、及び生物活性核酸と生物活性核酸の目的とする遺伝子の結合時点の調節が可能になることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記ユニバーザル塩基(universal base)は、アデニン(adenine)、グアニン(guanine)、シトシン(cytosine)、チミン(thymine)、ウラシル(Uracil)などの天然塩基と選択性無しで結合し、相補的な結合力よりも低い結合力を有する塩基としてイノシンPNA(inosine PNA)、インドールPNA(indole PNA)、ニトロインドールPNA(nitroindole PNA)及び無塩基(abasic)からなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー、クエンチャー、蛍光マーカー及び発光マーカーからなる群から選ばれる一つ以上の物質が生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
疎水性残基(hydrophobic moiety)、親水性残基(hydrophilic moiety)、標的抗原特異的抗体、アプタマー、クエンチャー、蛍光マーカー及び発光マーカーからなる群から選ばれる一つ以上の物質と生物活性核酸及び/又はキャリアペプチド核酸との結合は、単純共有結合又はリンカー媒介の共有結合であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記脳疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ルーゲーリック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ニーマン・ピック病、脳卒中、中風、認知症、血栓症、塞栓症、一過性虚血発作、小梗塞、脳溢血、脳梗塞、頭部損傷、脳循環代謝障害、脳機能昏睡、脳癌及び脳腫瘍からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
脳疾患の予防又は治療用医薬組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
脳疾患の診断用組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【外国語明細書】