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特開2024-63207キャビティ内コーティングを備えたパッシブQスイッチマイクロチップレーザー、及びそのマイクロチップレーザーを備えたハンドピース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063207
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】キャビティ内コーティングを備えたパッシブQスイッチマイクロチップレーザー、及びそのマイクロチップレーザーを備えたハンドピース
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/113 20060101AFI20240501BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20240501BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20240501BHJP
   H01S 3/00 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
H01S3/113
A61N5/067
A61B18/20
H01S3/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034441
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2021520086の分割
【原出願日】2019-06-17
(31)【優先権主張番号】16/015,249
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】398001791
【氏名又は名称】キャンデラ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】シャン シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ファン チ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチステージ構成による複雑な光学配置及び高度な電子的同期を回避するレーザーを提供する。
【解決手段】マイクロチップレーザー及びこのマイクロチップレーザーを備えたハンドピースが提供される。このマイクロチップレーザーは、入力面及び出力面を備えたレーザー媒質を有する。入力面は、マイクロチップレーザー波長において高反射性かつポンプ波長において高透過性の誘電体コーティングでコートされている。出力面は、マイクロチップレーザー波長において部分反射性の誘電体コーティングでコートされている。可飽和吸収体が、マイクロチップレーザーの出力面に分子間力によって取り付けられている。皮膚処置のためのハンドピースは、このマイクロチップレーザーを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチップレーザーであって、
入力面及び出力面を備えたレーザー媒質と、
マイクロチップレーザー波長において高反射性かつポンプ波長において高透過性の誘電体コーティングでコートされた入力面と、
ポンプ波長において高反射性かつQスイッチレーザー波長において高透過性の誘電体コーティングでコートされた出力面と、
分子間力によってマイクロチップレーザーに取り付けられ、出力面がマイクロチップレーザー波長において部分反射性の誘電体コーティングによってコートされた可飽和吸収体と、
を有するマイクロチップレーザー。
【請求項2】
出力面のコーティングは、モノリシック材料が形成された際にコーティングが要求に応じて機能するように、レーザー媒質及び可飽和吸収体の屈折率を考慮してなる請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項3】
レーザー媒質材料及び可飽和吸収体は、同一の母材で形成されている請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項4】
レーザー媒質材料及び可飽和吸収体は、異なる母材で形成されている請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項5】
レーザー媒質と可飽和吸収体との間の結合は、分子間力による光学的接触によって行われている請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項6】
前記マイクロチップレーザーは、ダブルパスポンプマイクロチップレーザーである請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項7】
ダブルパスポンプマイクロチップレーザーが、ポンプレーザー吸収と、より短いパルス幅及びよりコンパクトなレーザーレイアウトをもたらすより短い媒質長さと、を支援する請求項1に記載のマクロチップレーザー。
【請求項8】
レーザー媒質と可飽和吸収体との間の接合部分におけるポンプ波長において高反射性の誘電体コーティングが、ダブルパスポンプの達成を支援し、未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチの望まない退色を避ける請求項1に記載のマイクロチップレーザー。
【請求項9】
ハンドピースボディーであって、
ハンドピースボディー内に配置され皮膚に適用されるように構成されたマイクロチップレーザーと、
ポンプレーザーに対する光ファイバー接続部と、
マイクロチップレーザーによって発されたソリッドビームを分解して皮膚の一部を横切るマクロビームのアレイを形成するように構成された分割走査システムと、
を収容するハンドピースボディーを有し、
前記マイクロチップレーザーは、高出力ピコ秒短パルスエネルギーを発生するマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項10】
前記ハンドピースボディーは、皮膚に適用され該皮膚上をスライドするように適合されている請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項11】
走査システムは、一対のミラーを含む一群の走査システムのうちの1つである請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項12】
走査ビームは、レンズアレイ上に入射してマイクロビームアレイを形成する請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項13】
レンズアレイ上のレーザースポットサイズは、各レンズが、1064nmにおいて4mJまで、及び532nmにおいて2mJまでを通すように決定される請求項10に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項14】
前記ハンドピースは更に、1-D分割マイクロドットラインを生成するように構成されたホログラフィック1-Dビームスプリッターを有する請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項15】
1-D分割マイクロドットラインと直交する方向に沿う前記ハンドピースの手動による移動が、2-D分割ビームパターンを生成する請求項14に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項16】
前記ハンドピースボディーは、追加のレーザー光波長を発生するためのオプションの第二高調波発生器を収容する請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項17】
前記ハンドピースボディーのスライド速度が、レーザービームによって処置される皮膚の範囲を決定する請求項9に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項18】
ポンプレーザービームを供給するように構成されたポンプレーザーと、
ハンドピースであって、
前記ポンプレーザービームを受けるように構成され、利得媒質及び可飽和吸収体によって形成されたキャビティを備えたマイクロチップレーザーと、
前記マイクロチップレーザーによって発されたレーザービームによって活性化されるパッシブQスイッチ素子と、
を備えたハンドピースと、
を有し、
超短高出力レーザーパルスを発生するレーザーシステム。
【請求項19】
前記マイクロチップレーザーは、ダブルパスポンプマイクロチップレーザーである請求項15に記載のレーザーシステム。
【請求項20】
ダブルパスポンプマイクロチップレーザーが、十分なポンプレーザー吸収と、より短いパルス及びよりコンパクトなレーザーレイアウトをもたらすより短い媒質長さと、を支援する請求項16に記載のレーザーシステム。
【請求項21】
前記マイクロチップレーザーの高反射性の誘電体コーティングフィルムが、ダブルパスポンプの達成を支援し、未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチの望まない退色を避ける請求項15に記載のレーザーシステム。
【請求項22】
レーザー媒質と可飽和吸収体との間の結合は、分子間力による光学的接触によって行われている請求項15に記載のレーザーシステム。
【請求項23】
利得媒質及び可飽和吸収体は、同一の母材で形成されている請求項15に記載のレーザーシステム。
【請求項24】
利得媒質及び可飽和吸収体は、異なる母材で形成されている請求項15に記載のレーザーシステム。
【請求項25】
前記ポンプレーザーは、アレキサンドライトレーザーである請求項15に記載のレーザーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本システムは、ハンドピース内に包含されるパッシブQスイッチマイクロチップレーザーに関するものであり、特に、ダブルパスポンプ構成を備えたマイクロチップレーザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚疾患の非侵襲的処置のためのシステムが当該技術分野において知られている。典型的には、そのようなシステムは、その中にレーザーが配置されるキャビネットと、レーザーから処置対象の皮膚の一部へのレーザー照射を行うハンドピースに接続された連結式のアームと、を有する。そのようなシステムの機能は、選択されたレーザーの能力によって制限される。皮膚欠陥の処置は、通常1種類を超えるレーザーを必要とし、しばしば1種類を超えるレーザーがキャビネット内に配置される。これが、システムのサイズ、コスト及び複雑さを増大させる。
【0003】
ある種の皮膚欠陥の処置は、かなりのレーザー出力(何十、更には何百MW)を必要とし、これは皮膚の損傷を避けるためにフェムト又はピコ秒の超短パルスで供給される。そのようなレーザー出力はファイバーを通して伝達することは困難であり、また連結式アームの使用が医療提供者の自由をかなり制限する。
【0004】
マイクロチップレーザーは、活性レーザー媒質が各端部ミラーと直接接触してレーザー共振器を形成する、アライメントフリー(配列自由)でモノリシックなソリッドステートレーザーである。多くの場合、各ミラーは、誘電体コーティングであり、単に活性レーザー媒質の各端面上に配置(堆積)される。10Wの出力を発するマイクロチップレーザーの報告が公知であるが、マイクロチップレーザーは、通常レーザーダイオードで励起(ポンプ、ポンピング)され、また典型的には平均で数十又は数百ミリワットの出力を発する。マイクロチップレーザーの寸法は、小さく、それをシステムにおけるほぼすべての所望の場所に配置することを支援する。
【0005】
典型的なQスイッチマイクロチップレーザーは、レーザー媒質と、パッシブQスイッチとしての可飽和吸収体とが、1つの素子として一緒に結合されてなる。マイクロチップレーザーは、誘電体でコートされた各キャビティミラーを備えた、小さい、直線状のキャビティの、モノリシックなソリッドステートレーザーである。典型的なキャビティ長さは、ミリメートルオーダーである。短いキャビティ長さは、極めて短いキャビティ寿命、及びより短いQスイッチパルスの可能性をもたらす。Qスイッチマイクロチップレーザーが、市販の大型のQスイッチシステムが生成するものと同様に、大型のモードロックされたレーザーが約10KWのピーク出力で生成するものと同程度に短い、300psよりも短い出力パルスを生成できることが実証された。
【0006】
数十年にわたって、高エネルギーピコ秒レーザーの発生を求めて、多くの努力が投入されてきた。多くの技術が開発されてきた。これらの技術は、一般に、マルチステージ構成(多段構成)を含み、すなわち、低エネルギーピコ秒シードレーザー(例えば、nJ又はμJ)が増幅ステージ(再生増幅器又は/及びマルチパス増幅を含む)に与えられる。そのようなマルチステージ構成は、複雑な光学配置及び高度な電子的同期を必要とし、システムの複雑さ及びコストを更に増大させる[16,17、18、20、25、28]。
【発明の概要】
【0007】
マイクロチップレーザー、及びダブルパス(二重通過)ポンプ構造を備えたパッシブQスイッチマイクロチップレーザーを有するハンドピースを実施する方法が開示される。レーザー媒質及び可飽和吸収体は、ポンプ波長において高反射性の誘電体コーティングで挟まれ、分子間力による光学的接触によって結合される。高反射性の誘電体コーティングは、ダブルパスポンプの達成を支援し、未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチの望まない退色を避ける。
【0008】
マイクロチップレーザーの寸法は、複数の異なる用途、特に、皮膚疾患の処置において用いることのできるハンドピース内にマイクロチップレーザーを包含することを支援する。ハンドピースは、皮膚に適用され皮膚上をスライドするように適合される。ハンドピースは、マイクロチップレーザーによって発されたレーザービームを皮膚の一部を横切って走査するように構成された走査システムを有していてよい。走査システムは、1次元(1-D)の又は2次元(2-D)の処置される皮膚領域の範囲を提供してよい。分割マイクロドットラインビームパターンが支援される。マイクロチップレーザーハンドピースは、追加のレーザー波長を発生するための2次又はより高次の高調波発生器を収容していてよい。
【0009】
マイクロチップレーザーに基づくシステムは、ポンプ光源としてアレキサンドライトレーザーを用いる。アレキサンドライトレーザーは、より高いパルスエネルギー発生のための1kWを超えるポンプ出力を供給する。高いポンプ出力は、エネルギー蓄積を促進し、これは低い初期透過の可飽和吸収体の使用によって更に促進される。約100MW以上の高いピーク出力を伴うピコ秒レーザーパルスの発生が実証された。
【0010】
本開示及びその特徴のより完全な理解のために、添付の図面と共に下記の詳細な説明を参照する。各図面において同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】マイクロチップレーザーの例を示す図である。
図2】マイクロチップレーザーのレーザー媒質と可飽和吸収体との結合を例示する図である。
図3】第二高調波発生(SHG)を支援するマイクロチップレーザーの例を示す図である。
図4】和周波発生(SFG)を支援するマイクロチップレーザーの例を示す図である。
図5】第五高調波発生(FHG)を支援するマイクロチップレーザーの例を示す図である。
図6】分割皮膚処置のためのハンドピースの例を示す図である。
図7】まばらな分割皮膚処置パターンの例を示す図である。
図8】より密度が高い分割皮膚処置パターンの例を示す図である。
図9】分割皮膚処置のためのハンドピースの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、パッシブQスイッチマイクロチップレーザー(受動的にQスイッチされるマイクロチップレーザー)をハンドピースに搭載すること、それによってシステム全体のサイズ及び複雑さを低減し、電力利用効率を向上させることを提案する。本開示はまた、新規で、より頑丈なマイクロチップレーザーを提案する。このQスイッチマイクロチップレーザーは、数十及び数百MWのレーザー出力でピコ秒パルスを発する。
【0013】
パッシブQスイッチマイクロスイッチレーザーは、スイッチング電子機器を必要とせず、それによってシステム全体のサイズ及び複雑さを低減し、電力効率を向上させる。加えて、キャビティ寸法の干渉法による制御の必要がなく、機器の製造を簡単にし、その使用中の温度制御における許容範囲を大きく緩和する。その結果、連結キャビティQスイッチマイクロチップレーザーのものに匹敵する能力を備えた、潜在的により安価、より小型、より頑丈、かつより信頼性のある、Qスイッチレーザーシステムが得られる。この特性の組み合わせをもって、パッシブQスイッチピコ秒マイクロチップレーザーは、高精度測距、ロボットの視覚、自動化生産、非線形周波数発生、環境モニタリング、マイクロマシニング、コスメティック及びマイクロサージェリー、イオン化分光法、並びに、自動車エンジンのイグニッションを含む、広範囲の応用のために魅力的である。
【0014】
[マイクロチップレーザー]
パッシブQスイッチマイクロチップレーザーは、数十年にわたり広く研究されてきた。しかしながら、ほとんどの研究は、数ミリジュール未満のパルスエネルギー及び10MW未満のピーク出力の発生を報告している[1~15、19、21~26、28、29]。特に、いくつかのマイクロチップレーザーは、ナノ秒レーザーパルス幅(パルス持続時間)しか生成できなかった[3、4、7、13、23、及び24]。ごく最近、X. Guoらは、Yb:YAG/Cr:YAGマイクロチップレーザーからの12mJの出力の発生を実証した[1]。しかし、比較的長いパルス幅(1.8ns)に起因して、~3.7MWのピーク出力しか達成されなかった。さらに、そのレーザーは、極低温環境下(すなわち、77ケルビン)で動作させられなければならず、これが実用的な応用を問題のあるものとする。本発明者の知る限りにおいて、パッシブQスイッチマイクロチップレーザーから直接の100MWを超える(>100MW)ナノ秒未満(サブナノセカンド)のレーザーパルスの発生は報告されていない。
【0015】
シングルパス(単一通過)ポンプマイクロチップレーザーは、いくつかの制限を有する。レーザー媒質におけるポンプエネルギーの十分な吸収を確保するためには、レーザー媒質は十分に長くなければならないが、より長いレーザー媒質はより長いパルス幅を発することにつながる。加えて、いくつかの特定のポンプ波長において、未吸収のポンプレーザーが、Qスイッチ動作の不具合を引き起こす可飽和吸収体の望まない退色(ブリーチング)をもたらすことがある。上記各問題を克服するために、本開示は、ダブルパスポンプを備えたマイクロチップレーザーを提案する。ダブルパスポンプはまた、ドープされにくい結晶(すなわち、Nd:YAG)から生成されたレーザー媒質、又は利用可能なポンプレーザー波長におけるレーザー媒質の吸収が弱い結晶から生成されたレーザー媒質の使用を促進する。ダブルパスポンプは、高反射性の誘電体コーティングを、レーザー媒質とパッシブQスイッチとの間に、2つの材料が一緒に結合されてマイクロチップレーザーが形成される際に適用することによって、可能とすることができる。ダブルパスポンプマイクロチップレーザーは、ポンプレーザー吸収と、より短いパルス幅及びよりコンパクトなレーザーレイアウト(配置)をもたらすより短い媒質長さと、を支援する。
【0016】
本開示は、100MWを超える高ピーク出力を伴うナノ秒未満のレーザーパルスを生成するためのマイクロチップレーザーについて述べる。
【0017】
マイクロチップレーザー100が図1に示されている。マイクロチップレーザー100は、例えばNd:YAG及びNdなどのレーザー媒質104と、レーザー媒質104と可飽和吸収体112との間に挟まれた、ポンプレーザー波長に対して高反射性の誘電体コーティング108と、を有する。また、図1には、アレキサンドライトレーザーポンプビーム116及びマイクロチップレーザー100の出力ビーム120が示されている。アレキサンドライトレーザー出力ビーム120は、例えば、波長が~752nmのビームであってよい。高反射性の誘電体コーティング108(ポンプレーザー波長である752nmにおいて高反射性、かつ、Qスイッチレーザー波長である1064nmにおいて高透過性)は、ダブルパスポンプの達成を支援し、パッシブQスイッチ112を通して漏れる未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチ112の望まない退色を避ける。
【0018】
マイクロチップレーザー100の入力端部124(すなわち、レーザー媒質104の表面)は、例えば1064nmのマイクロチップレーザー100の波長において高反射性かつポンプ波長において高透過性の誘電体コーティングでコートされている。マイクロチップレーザー100の出力端部(すなわち、パッシブQスイッチ112の表面128)は、マイクロチップレーザー100から発されるレーザー波長において部分反射性の誘電体コーティングがコート(堆積)されている。マイクロチップレーザーの出力面のコーティングは、モノリシック材料が形成された際にコーティングが要求に応じて機能するように、レーザー媒質及び可飽和吸収体の屈折率を考慮して形成される。
【0019】
これら2つの端部(124及び128)は、平行となるように配置され、誘電体コーティングでコートされており、レーザー発振が発生することを可能としている。
【0020】
レーザー媒質とパッシブQスイッチ素子(すなわち、可飽和吸収体)とを結合してパッシブQスイッチマイクロチップレーザーを形成するためには、一般に、拡散接合が用いられる。この方法は、典型的には、接触配置された各材料が完全に溶融する温度の約50~70%といった、高温高圧で達成される。高温を伴うそのような製造工程は、いかなる誘電体コーティング(特に、ポンプレーザー波長において高反射性のコーティング)を2つの素子(すなわち、レーザー媒質及びQスイッチ素子)の間に設ける(堆積させる)ことも困難にする。したがって、シングルパスポンプを適用することだけが可能である。
【0021】
本開示では、図2に示すように、矢印204で示すレーザー媒質104と可飽和吸収体112との間の結合は、ファンデルワールス力、水素結合、及び双極子間相互作用などの分子間力による光学的接触によって行われる。高温高圧を必要としないので、反射性誘電体コーティング108の完全性が保護される。
【0022】
接触させられる2つの表面(すなわち、レーザー媒質104の表面208、及び可飽和吸収体112の表面212)は、安定した光学的接触を達成するために、光学的品質で処理される。レーザー媒質104と可飽和吸収体112との間の接合部分(界面)におけるポンプ波長において高反射性の誘電体コーティングは、ダブルパスポンプの達成を支援し、未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチの望まない退色を避ける。概して、表面品質は、20-10のスクラッチ-ディグよりも良くてよい。表面平面度及び表面精度(粗さ)は、それぞれ少なくともλ/4、10A rms、又はそれらよりも良くてよい。
【0023】
マイクロチップレーザー媒質100及び可飽和吸収体112は、Ndドープ結晶、すなわち、YAG又はYLF又はセラミックであってよい。レーザー媒質のための材料と可飽和吸収体のための材料とは、同一の母材のもの又は異なる母材のものであってよい。この点は、2つの構成要素に関する材料の物理的特性(すなわち、融点、熱膨張係数など)が類似しているべきである拡散方法によって結合される現存するマイクロチップレーザーと大きく異なる。
【0024】
ダブルパスポンプを備えたパッシブQスイッチマイクロチップレーザーは、より短いレーザー媒質が用いられることでより短いパルスを発生することによって、シングルパスポンプによるものに対する優位性を提供する。これは、Qスイッチパルス幅がおおよそキャビティ長さに比例することによるものである。さらに、ドーピング濃度が低い結晶あるいはポンプレーザー波長における吸収が低い結晶に関して、ダブルパスポンプは、よりコンパクトなレーザー設計をもたらすより短い結晶長さを維持しつつ、十分なポンプレーザー吸収を得ることを可能とする。
【0025】
このシステムは、ポンプ光源としてアレキサンドライトレーザーを使用する。アレキサンドライトレーザーは、より高いパルスエネルギー発生のための1kWを超えるポンプ出力を供給することができる。この高いポンプ出力は、エネルギー蓄積を促進し、これは低い初期透過の可飽和吸収体の使用によって更に促進される。約100MW以上の高いピーク出力を伴うピコ秒レーザーパルスの発生が実証された。
【0026】
高エネルギー/高ピーク出力で超短パルスのマイクロチップレーザーは、高調波発生(第二高調波発生、第三高調波発生、第四高調波発生、和周波発生、OPOなど)を含む効率的な非線形周波数変換、及び高ピーク出力が要求されるスーパーコンティニウム発生を促進する。現存する低エネルギーマイクロチップレーザーとは対照的に、この高エネルギーマイクロチップレーザーは、周波数変換された波長におけるより高いエネルギー/出力を供給することができ、その結果、信号対ノイズ比の向上によって測定精度を著しく高めることができる。最も重要なことに、光学配置が非常にコンパクト(小型)かつシンプル(簡素)であり、例えばハンドピース内などの制約されたスペース内にマイクロチップレーザーを搭載することを支援する。
【0027】
図3は、第二高調波発生を支援するマイクロチップレーザーの一例である。安定した直線偏光Qスイッチレーザーを発生するために、<110>カットCr4+:YAGが用いられる。ニオブ酸リチウム(LiNbO)、チタンリン酸カリウム(KTP=KTiOPO)、及び三ホウ酸リチウム(LBO=LiB)など、又は他の任意の第二高調波発生結晶(SHG)であってよい第二高調波発生結晶(SHG)304は、波長が1064nmのマイクロチップレーザー100の出力ビーム120を受け、これを2つのビームに変換する。1つのビーム320は、1064nmの当初の波長(周波数)を維持し、もう1つのビーム312は、波長が532nmで当初のビーム120の2倍高い周波数を有する。ビームスプリッター308は、ビーム320とビーム312とを、分割し、異なる方向に向かわせて、それらの使用を促進する。
【0028】
図4は、和周波発生(SFG)を支援するマイクロチップレーザーの一例である。和周波発生(SFG)又は差周波発生(DFG)は、波長が532nm及び1064nmであるポンプビーム312及び320の光周波数の和又は差をもって2つのレーザーポンプビームが別のビームを発生するようにして起き得る。例えば、SFG結晶404を用いて、1064nmのレーザービーム(レーザ光)の出力を、周波数が2倍された532nmのレーザービームと混合すると、355nmのUV光の出力光線(光ビーム)408をもたらし得る。
【0029】
図5は、第四高調波発生(FHG)を支援するマイクロチップレーザーの一例である。第四高調波発生は、例えば266nm又は更に短い波長でUV放射を生成するためのプロセス設計である。例えば、波長が1064nmのレーザービームを生成するNd:YAGレーザーの第四高調波は、波長が266nmの光線となり得る。番号502は、FHG結晶を示し、番号506は、波長が266nmの出力ビームを示す。
【0030】
上述のような周波数変換プロセスは、異なる分光学的応用のための十分なエネルギーを伴う広範囲のスペクトルを提供することができる。現存する低エネルギーマイクロチップレーザーとは対照的に、この高エネルギーマイクロチップレーザーは、周波数変換された波長におけるより高いエネルギー/出力を供給することができ、その結果、信号対ノイズ比の向上によって測定精度を著しく高めることができる。光学配置は、非常にコンパクトかつシンプルである。
【0031】
本開示のピコ秒パルスを生成する高ピーク出力マイクロチップレーザーは、分光学(分光法)の分野に加えて多くの分野で用いられ得る。それらは、皮膚処置、マイクロマシニング、高調波発生(第二高調波発生、第三高調波発生、第四高調波発生、和周波発生、OPOなど)を含む効率的な非線形周波数変換、及び高ピーク出力が要求されるスーパーコンティニウム発生を含む。上述のような周波数変換プロセスは、分光学的応用のためのエネルギーを伴う広範囲のスペクトルを提供することができる。
【0032】
[ハンドピース]
本開示のピコ秒レーザーパルスを生成する高ピーク出力マイクロチップレーザーの潜在的かつ有望な応用の1つは、コスメティック(美容)用及び医療用のレーザーシステムにおけるものであろう。高エネルギー短パルスマイクロチップレーザーは、有意義な美容処置、特に、分割(フラクショナル)皮膚若返り術を実施するためのハンドピース内にマイクロチップレーザーを包含することを支援する。1レーザービーム当たり4mJの数百ピコ秒のレーザーパルスが、レーザー誘起オプティカルブレイクダウン(LIOB)あるいはメラニン補助オプティカルブレイクダウンによって、組織あるいは皮膚の微小損傷を引き起こすのに十分であることが、臨床的に実証された。そのような微小損傷によって刺激されるその後のコラーゲン再構築が、皮膚の若返りをもたらし得る。本開示のマイクロチップレーザーは、波長が1064nmの40mJを超える300psのレーザーパルスを発生することができる。したがって、このマイクロチップレーザーからの出力エネルギーを、例えば、10個の微小ビーム(ただし、他の数の微小ビームも可能である)に分割することができる。各微小ビームは、効果的な皮膚処置のために十分な4mJを超えるエネルギーを有し得る。各微小ビームは、10個の微小ドットを発生するために、集束(フォーカシング)光学系によって集束されてよい。
【0033】
皮膚処置は、通常、2次元の皮膚領域の照射を必要とする。2次元の微小ビームパターンを実現するための多くの手法がある。例えば、マイクロチップレーザービームを1次元の微小ビームのアレイに分割し、皮膚上でその1次元の微小ビームのアレイを手動によりスライドさせる手法がある。別の手法としては、微小ビームのアレイを1つ又は2つの方向/軸に走査する走査(スキャニング)システムを使用する手法がある。走査ミラー又は他の走査手段を伴う微小ビームあるいは分割ビームの使用は、分割皮膚処置を支援する。
【0034】
図6は、分割皮膚処置のためのハンドピースの一例である。例えば、励起アレキサンドライトレーザーが、キャビネット内に、本件と同じ譲受人及び発明者に対する米国特許第9,722,392号(その全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるようにして、配置されていてよい。矢印606で模式的に示すアレキサンドライトポンプレーザービームは、皮膚に適用されるように構成されたハンドピースボディー604内に配置されたシードマイクロチップレーザー610へと、光ファイバー接続部によって導かれてよい。ハンドピースボディー604は、上述のマイクロチップレーザーと同じ高エネルギーシードマイクロチップレーザー610と、走査ミラー群614又はポリゴンスピナーのユニット、あるいは1つ又は2つの方向又は軸(X、Y)へのレーザービーム120の走査を支援するその他のレーザービーム走査手段と、を収容していてよい。これは、分割皮膚処置の実施を促進し得る。シードマイクロチップレーザー610及び走査ミラー群614の全体のシステムは、ハンドピース604内に包含されるように十分に小型であり得る。そのようなハンドピースは、皮膚の若返りのための分割処置を可能とするピコ秒レーザーを発生することができる。
【0035】
オプションの2次又はより高次の高調波発生器304がハンドピースボディー604内に配置されていてよい。マイクロチップレーザー610は、波長が1064nmのビームを発する。1064nmに加えて波長が必要な場合、追加のレーザー光波長を発生するために、第二高調波発生器304がマイクロチップレーザービーム経路中に導入されてよい。概して、必要な場合に、他の波長周波数逓倍器がタレット上に配置されて使用されてよい。
【0036】
図7に示すように、皮膚処置のために、医療提供者又は使用者は、例えばホログラフィック1-Dビームスプリッター又はスキャナーなどの1次元(1-D)ビームスプリッターを備えたハンドピース604を、処置される皮膚領域上で手動によりスライドさせて、分割走査システムを形成することができる。スライド移動中に、マイクロチップシードレーザー610は、1-D分割微小ドット704のラインを形成するピコ秒レーザーパルスを発生する。
【0037】
矢印708で示すような1-D分割微小トッドラインと直交する方向へのハンドピースの手動による移動は、2-D分割ビームパターン712を生成する。分割処置される皮膚領域の範囲は、1-Dライン中の分割微小ドット704の数及びハンドピース604の移動速度を変化させることで変更することができる。図7は、1-Dライン中に比較的まばらに配置された分割微小ドット704の一例である。ハンドピース604の移動速度708は、同じハンドピースの移動速度808(図8)よりも大きい。その結果、より密度が高い分割微小ドット704の2-Dパターン812が生成される。
【0038】
図9には、分割皮膚処置のためのハンドピースの他の例が示されている。分割ビームパターンの生成は、レンズアレイ912上にレーザービーム120を投影又は走査する一対のガルバノメーターミラー904及び908の組み合わせによって提供される。レンズアレイ912は、レーザービーム120を、これもまた分割微小ビームであってよい複数の微小ビーム916に分割する。高調波発生器内に配置されていてよい2次又はより高次の高調波発生器304によって発生される追加の波長を分離するために、ミラー920が用いられてよい。ミラー920のコーティングは、要求される波長分離に従って形成される。高調波は、皮膚疾患類の組み合わせを含んでいる処置対象の皮膚部分へと伝達されてよい一方、未変換の赤外光120は、レーザー光線ダンプ924中に向けられて吸収されてよい。レーザー光線ダンプ924は、ダメージを受けることなく又はハンドピース900の他の構成要素の温度上昇を引き起こすことなく、未変換の赤外エネルギーを効果的に消散させるように設計されてよい。レーザー光線ダンプ924から熱を除去するために、必要に応じて、パッシブ(受動)及びアクティブ(能動)の冷却機構を用いることができる。
【0039】
下記の例は、皮膚疾患処置のために用いられる典型的なハンドピースのいくつかの動作パラメータを提供する。シードレーザー610のエネルギーは、40mJ以上であってよい。システムは、各微小ビームのためのエネルギーが、1064nmで4mJまで、532nmで2mJまで、となるように設計される。
【0040】
そのようなシードレーザーエネルギーは、そのシードレーザーからの各レーザービームが、9個の微小ドットを生成する少なくとも9個の小レンズをカバーできるようにするのに十分に高い。ガルバノメーターミラー対904及び908は、2-Dパターンを形成して少なくとも81個の小レンズをカバーするために、レーザービームを9回走査する。マイクロチップレーザーが20Hzの周波数で動作すると仮定すると、各走査には0.45秒(9/20)かかり、あるいは処置は2.2Hzまでで行うことができる。
【0041】
当業者は、本開示が上述の特定の態様に限定されないことを理解するだろう。むしろ、本発明のマイクロチップレーザー及びハンドピースの範囲は、上述の種々の特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの両方、並びに、当業者が上述の詳細な説明及び従来技術に属さないものを読むことで起こり得るその変化及び変更を含む。
【0042】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースボディーであって、
ハンドピースボディー内に配置され皮膚に適用されるように構成されたマイクロチップレーザーと、
ポンプレーザーに対する光ファイバー接続部と、
マイクロチップレーザーによって発されたソリッドビームを分解して皮膚の一部を横切るマクロビームのアレイを形成するように構成された分割走査システムと、
を収容するハンドピースボディーを有し、
前記マイクロチップレーザーは、高出力ピコ秒短パルスエネルギーを発生するマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項2】
前記ハンドピースボディーは、皮膚に適用され該皮膚上をスライドするように適合されている請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項3】
走査システムは、一対のミラーを含む一群の走査システムのうちの1つである請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項4】
走査ビームは、レンズアレイ上に入射してマイクロビームアレイを形成する請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項5】
レンズアレイ上のレーザースポットサイズは、各レンズが、1064nmにおいて4mJまで、及び532nmにおいて2mJまでを通すように決定される請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項6】
前記ハンドピースは更に、1-D分割マイクロドットラインを生成するように構成されたホログラフィック1-Dビームスプリッターを有する請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項7】
1-D分割マイクロドットラインと直交する方向に沿う前記ハンドピースの手動による移動が、2-D分割ビームパターンを生成する請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項8】
前記ハンドピースボディーは、追加のレーザー光波長を発生するためのオプションの第二高調波発生器を収容する請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項9】
前記ハンドピースボディーのスライド速度が、レーザービームによって処置される皮膚の範囲を決定する請求項に記載のマイクロチップレーザーハンドピース。
【請求項10】
ポンプレーザービームを供給するように構成されたポンプレーザーと、
ハンドピースであって、
前記ポンプレーザービームを受けるように構成され、利得媒質及び可飽和吸収体によって形成されたキャビティを備えたマイクロチップレーザーと、
前記マイクロチップレーザーによって発されたレーザービームによって活性化されるパッシブQスイッチ素子と、
を備えたハンドピースと、
を有し、
超短高出力レーザーパルスを発生するレーザーシステム。
【請求項11】
前記マイクロチップレーザーは、ダブルパスポンプマイクロチップレーザーである請求項10に記載のレーザーシステム。
【請求項12】
ダブルパスポンプマイクロチップレーザーは、短いパルス及びコンパクトなレーザーレイアウトを可能とする短い媒質長さを有する請求項11に記載のレーザーシステム。
【請求項13】
前記マイクロチップレーザーの高反射性の誘電体コーティングフィルム、ダブルパスポンプを可能とすると共に、未吸収のポンプレーザーによるパッシブQスイッチの望まない退色を避ける請求項10に記載のレーザーシステム。
【請求項14】
レーザー媒質と可飽和吸収体との間の結合は、分子間力による光学的接触によって行われている請求項10に記載のレーザーシステム。
【請求項15】
利得媒質及び可飽和吸収体は、同一の母材で形成されている請求項10に記載のレーザーシステム。
【請求項16】
利得媒質及び可飽和吸収体は、異なる母材で形成されている請求項10に記載のレーザーシステム。
【請求項17】
前記ポンプレーザーは、アレキサンドライトレーザーである請求項10に記載のレーザーシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本開示では、図2に示すように、矢印204で示すレーザー媒質104と可飽和吸収体112との間の結合は、ファンデルワールス力、水素結合、及び双極子間相互作用などの分子間力による光学的接触(オプティカルコンタクト)によって行われる。高温高圧を必要としないので、反射性誘電体コーティング108の完全性が保護される。