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特開2024-63218摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063218
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/36 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
A61L27/36 100
A61L27/36 410
A61L27/36 400
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024035022
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2021556317の分割
【原出願日】2020-03-20
(31)【優先権主張番号】62/821,620
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
3.NONIDET
(71)【出願人】
【識別番号】517335857
【氏名又は名称】ミロマトリックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,アンネ
(72)【発明者】
【氏名】カタネ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】セタプン ダヴィドー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ジェフリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】摘出臓器又はその一部を脱細胞化するための方法を提供する。
【解決手段】摘出臓器又はその一部を液体と接触させることを含み:前記液体が少なくとも部分的に脱気されており;前記液体が洗浄剤、ラジカル生成化合物又はその両方を含む、摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘出臓器又はその一部を液体と接触させることを含む方法であって:
(a)前記液体が少なくとも部分的に脱気されている;
(b)前記液体が洗浄剤とラジカル生成化合物とを含む;
(c)前記摘出臓器若しくはその一部が、前記摘出臓器若しくはその一部の除去前約10時間以内に給餌された哺乳動物からのものである;又は
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせである、方法。
【請求項2】
(a)、(b)又は(c)のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)、(b)、及び(c)を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記摘出臓器又はその一部が哺乳動物からのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非ヒト哺乳動物が、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌ、ネコ、又はサルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳動物がヒト哺乳動物である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記摘出臓器又はその一部が、肝臓、肺、心臓、腎臓、膀胱、膵臓、脾臓、子宮、これらのいずれかの一部、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接触が、(i)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を灌流させること、(ii)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を注入すること、(iii)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部上に液体を噴霧すること、(iv)前記摘出臓器若しくはその一部を液体中に沈めること、又は(v)それらの任意の組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接触前、接触中、又は接触後に、前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)を含み、前記液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が細胞外マトリックスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞外マトリックスが脈管構造床を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接触後に、前記脈管構造床が少なくとも部分的に無傷なままである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞外マトリックスが、それ以外は同等の非脱気液体と同等の期間接触させることにより生成した、それ以外は同等の細胞外マトリックスと比較して、増大した圧縮率を有
する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(a)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記摘出臓器又はその一部を、少なくとも部分的に脱気された液体と少なくとも約2時間接触させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも部分的に脱気された液体中に溶解した気体が、1リットル(L)あたり約1ミリグラム(mg)未満の濃度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解した気体が、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、希ガス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触後の前記摘出臓器又はその一部が、少なくとも部分的に脱気されていない、それ以外は同等の液体と同等の時間接触させた、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、(a)より少ない空気塞栓、(b)より少ないマイクロバブル、(c)より少ない色素沈着、又は(d)それらの任意の組み合わせを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも部分的に脱気された液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体との前記接触後の前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、同等の時間、それ以外は同等の非脱気脱細胞化媒体と接触させた、それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部よりも少ない細胞を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体で前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分な時間が、それ以外は同等の非脱気脱細胞化媒体でそれ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するための時間よりも短い、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
(b)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ラジカル生成化合物が式R-O-O-Rのものであり、式中、R及びRが、独立して、H、C~Cアルキル、置換C~Cアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、C(=O)A、C(=O)OAであり、A及びAが、独立して、H、C~Cアルキル又は置換C~Cアルキルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
がHであり、RがC(=O)CHである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ラジカル生成化合物が過酸である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記過酸が、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過酢酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記過酸が過酢酸を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記過酸が、少なくとも約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、又は4000ppmを含む量で液体中に存在する、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記接触により、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が生成される、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、過酸を含まない、それ以外は同等の液体と、同等の期間接触させた、それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部における細胞の量と比較して、減少した量の細胞を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記減少した細胞量が、前記それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部における前記細胞量と比較して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%の細胞の減少を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記接触が灌流を含み、灌流の流量が、前記過酸を含まない、それ以外は同等の液体の灌流の流量と比較して増加している、請求項24~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記流量を、前記摘出臓器又はその一部の細胞外マトリックスの完全性を実質的に損なうことなく増大させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(c)を含み、前記液体が脱細胞化媒体を含み、それによって前記摘出臓器又はその一部を少なくとも部分的に脱細胞化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
動物から前記摘出臓器又はその一部を除去する前約10時間以内に給餌されていない前記動物から除去された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部の、それ以外は同等の脱細胞化において生成される微粒子レベルと比較して、前記摘出臓器又はその一部における微粒子レベルが低減されて、前記脱細胞化が進行する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記微粒子レベルが、前記それ以外は同等の脱細胞化において生成される前記微粒子レベルと比較して、少なくとも約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%減少する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記減少した微粒子レベルが、目視検査、流出の判定、濁度の判定、顕微鏡分析、又はそれらの任意の組み合わせによって決定される、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記接触に先立って、前記摘出臓器又はその一部を洗浄媒体で洗浄することをさらに含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記洗浄媒体が高張溶液を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記高張溶液が生理食塩水を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記洗浄媒体が消毒液を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記摘出臓器又はその一部を第二液体と接触させることをさらに含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第二液体との前記接触が、前記液体との前記接触後に起こる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第二液体が少なくとも部分的に脱気された液体である、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記第二液体が洗浄媒体を含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記摘出臓器又はその一部が、前記摘出臓器又はその一部の前記第二液体との接触後、洗浄剤の重量あたり約1重量%未満を含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第二液体との前記接触後、それ以外は同等の非脱気第二液体を使用して生成された、それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の脈管の体積と比較して、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の脈管構造のより大きな体積を通って血液が流れる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を再生媒体と接触させることをさらに含む、請求項11~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記再生媒体が少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体との前記接触によって少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部を形成する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体が再生細胞の集団を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体との前記接触の結果、それ以外は同等の非脱気細胞再生媒体と接触させた、それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された臓器又は一部の再細胞化の程度と比べて、再細胞化の程度がより高くなる、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~49のいずれか一項に記載の方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部。
【請求項56】
請求項50~54のいずれか一項に記載の方法によって生成される、少なくとも部分的
に再細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部。
【請求項57】
(a)請求項1~49のいずれか一項に記載の方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は一部、(b)流体を移動させるためのデバイス、(c)カニューレ、及び(d)ポートを含む、システム。
【請求項58】
脱気された脱細胞化媒体をさらに含む、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
脱気された洗浄媒体をさらに含む、請求項57に記載のシステム。
【請求項60】
容器中に請求項1~49のいずれか一項に記載の方法によって生成された少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を含む、キット。
【請求項61】
(a)少なくとも一つのカニューレ、(b)液体、(c)前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器若しくはその一部を再細胞化するための説明書、(d)対象において少なくとも部分的に再細胞化された摘出臓器若しくはその一部を導入するための説明書、又は(e)それらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
前記容器がパッケージングである、請求項60又は61に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる、2019年3月21日に出願された米国特許仮出願番号62/821,620の優先権を主張する。
【発明の概要】
【0002】
本明細書中で開示するのは、摘出臓器又はその一部を液体と接触させることを含み得る方法である。いくつかの実施形態において、(a)液体を少なくとも部分的に脱気することができる;(b)液体は洗浄剤(detergent)及び/若しくはラジカル生成化合物を含み得る;(c)摘出臓器又はその一部は、摘出臓器若しくはその一部の摘出前の約10時間以内に給餌された哺乳動物からのものであり得る;又は(d)(a)~(c)の任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、方法は、(a)、(b)又は(c)のうちの少なくとも二つを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、(a)、(b)、及び(c)を含み得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非ヒト哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物は、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌ、ネコ、又はサルであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒト哺乳動物であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、肝臓、肺、心臓、腎臓、膀胱、膵臓、脾臓、子宮、これらのいずれかの一部、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、接触は、(i)摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を灌流させること、(ii)摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を注入すること、(iii)摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部上に液体を噴霧すること、(iv)摘出臓器若しくはその一部を液体中に沈めること、又は(v)それらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、接触前、接触中、又は接触後にカニューレを挿入することができる。いくつかの実施形態では、液体は、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体と接触させることで、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、細胞外マトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは脈管構造床(vasculature bed)を含み得る。いくつかの実施形態では、接触後、脈管構造床は少なくとも部分的に無傷なままであり得る。いくつかの実施形態では、液体は少なくとも部分的に脱気され得る。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは、同等の期間、非脱気液体との接触により生成する、それ以外は同等の細胞外マトリックスと比較して、増加した圧縮率を有し得る。いくつかの実施形態では、方法は少なくとも(a)を含み得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、少なくとも部分的に脱気された液体と少なくとも約2時間接触させることができる。いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に脱気された液体中に溶解した気体は、リットル(L)あたり約1ミリグラム(mg)未満の濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、溶解した気体は、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、希ガス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、接触後の摘出臓器又はその一部は、少なくとも部分的に脱気されていない、それ以外は同等の液体と同等の時間接触させることによって生成する、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、より少ない空気塞栓、より少ないマイクロバブル、より少ない色素沈着、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された液体は、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み得、それにより、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する。いくつかの実施形態では、少なく
とも部分的に脱気された脱細胞化媒体との接触後の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、それ以外は同等の非脱気脱細胞化媒体で脱細胞化された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部よりも少ない細胞を含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するのに十分な時間は、非脱気脱細胞化媒体で実質的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分な時間よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、方法は少なくとも(b)を含み得る。いくつかの実施形態では、ラジカル生成化合物は、式R-O-O-Rのものであり得、R及びRは、独立して、H、C~Cアルキル、置換されたC~Cアルキル、アリール、置換されたアリール、ベンジル、置換されたベンジル、C(=O)A、C(=O)OAであり得、A及びAは、独立して、H、C~Cアルキル又は置換されたC~Cアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、RはHであり得、RはC(=O)CHであり得る。いくつかの実施形態では、ラジカル生成化合物は過酸であり得る。いくつかの実施形態では、過酸は:ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過酢酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、過酸は過酢酸を含み得る。いくつかの実施形態では、過酸は、少なくとも約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、又は4000ppmを含む量で存在することができる。いくつかの実施形態では、接触させることで、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、過酸を含まない、それ以外は同等の液体と同等の期間と接触させた、それ以外は同等の脱細胞化摘出臓器又はその一部と比較して減少した量の細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、減少した細胞量は、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%の摘出臓器又はその一部由来の細胞の減少を含み得る。いくつかの実施形態では、接触は灌流を含み得る。いくつかの実施形態では、灌流の流量は、過酸を含まない、それ以外は同等の液体の灌流の流量と比較して増大させることができる。いくつかの実施形態では、流量は、摘出臓器又はその一部の細胞外マトリックスの完全性を実質的に損なうことなく増大させることができる。いくつかの実施形態では、方法は少なくとも(c)を含み得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、摘出臓器又はその一部を当該動物から除去する前、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、又は約1時間以内に給餌されていない動物から得られた、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、減少した微粒子レベルを含み得る。いくつかの実施形態では、減少した微粒子レベルは、動物から摘出臓器又はその一部を除去する前、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、又は約1時間以内に給餌されていない動物から得られた、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、少なくとも約:90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%減少させることができる。いくつかの実施形態では、減少した微粒子レベルは、目視検査、
流出の判定、濁度の判定、顕微鏡分析、又はそれらの任意の組み合わせによって決定することができる。いくつかの実施形態では、方法は、接触に先立って、摘出臓器又はその一部を洗浄媒体で洗浄することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄媒体は高張溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、高張溶液は生理食塩水を含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄媒体は消毒液を含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、摘出臓器又はその一部を第二液体と接触させることをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第二液体との接触は、液体との接触後に起こり得る。いくつかの実施形態では、第二液体は少なくとも部分的に脱気された液体であり得る。いくつかの実施形態では、第二液体は洗浄媒体を含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、摘出臓器又はその一部を第二液体と接触させた後に、洗浄剤の重量あたり約1重量%未満を含むことができる。いくつかの実施形態では、第二液体との接触後、血液は、非脱気第二液体を使用して生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、摘出臓器又はその一部のより大容積の脈管構造を通って流れることができる。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を再生媒体と接触させることをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、再生媒体は、少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体と接触させることで、少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部を形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体は、再生細胞の集団を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体と接触させることで、非脱気細胞再生媒体を用いて生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、より高度の再細胞化をもたらすことができる。
【0003】
また、いくつかの実施形態において、ここに開示されるのは、ここに記載する方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその部分である。
【0004】
また、いくつかの実施形態において、ここに開示されるのは、ここに記載する方法によって生成される、少なくとも部分的に再細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその部分である。
【0005】
また、いくつかの実施形態において、ここに開示されるのは、システムである。ここに記載するシステムは:(a)本明細書中で記載する方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は一部、(b)流体を移動させるためのデバイス、(c)カニューレ、又は(d)ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの少なくとも2つ、3つ、又は全部を含む、(a)、(b)、(c)、及び(d)の任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、脱気された脱細胞化媒体をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、脱気された洗浄媒体をさらに含むことができる。
【0006】
また、いくつかの実施形態において、ここに開示されるのは、キットである。ここに記載するキットは、ここに記載する方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、(a)少なくとも一つのカニューレ、(b)液体、(c)少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器若しくはその一部を再細胞化するための説明書、(d)対象において少なくとも部分的に再細胞化された摘出臓器若しくはその一部を導入するための説明書、又は(e)それらの任意の組み合わせをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部はパッケージング内にあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、心臓の脱細胞化のための初期準備を示す概略図である。大動脈、肺動脈、及び上大静脈にカニューレを挿入し(それぞれ、A、B、C)、下大静脈、腕頭動脈、左総頚動脈、及び左鎖骨下動脈を結紮する。矢印は、順行性及び逆行性の灌流の方向を示す。
図2図2は、約48時間にわたる成体ブタ心臓の脱細胞化を示す。48時間にわたって灌流脱細胞化を受けている6月齢のブタ心臓。少なくともある天然の構造及び少なくともある脈管構造は、脱細胞化後に保存され得る。48時間後、心臓は少なくとも部分的に脱細胞化され得る。
図3図3は、24時間にわたる成体ブタ肝臓の脱細胞化を示す。24時間にわたって灌流脱細胞化を受けている6月齢ブタ肝臓。天然の構造及び脈管構造は脱細胞化後に保存されたままである。
図4A図4Aは、0~5%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4B図4Bは、20%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4C図4Cは、40~50%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4D図4Dは、50~60%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4E図4Eは、60%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4F図4Fは、70%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4G図4Gは、80%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図4H図4Hは、95~100%の微粒子パーセントを有する脱細胞化後のブタ肝臓を示す。
図5図5は、肝臓の門脈カニューレに接続されたチューブへの微粒子の溶出を示し、約24時間の灌流脱細胞化後10分間灌流を停止できる場合、目に見える微粒子が灌流脱細胞化を受ける。
図6A図6Aは、48時間にわたる成体ブタ肺の脱細胞化を示す。48時間にわたって灌流脱細胞化を受ける6月齢ブタ肺。天然の構造及び脈管構造は脱細胞化後に保存され得る。
図6B図6Bは、48時間後の脱細胞化を示し、肺は完全に脱細胞化され得る。
図7A図7Aは、48時間にわたる成体ブタ腎臓の脱細胞化を示す。48時間にわたって灌流脱細胞化を受ける6月齢ブタ腎臓。天然の構造及び脈管構造は脱細胞化後に保存され得る。
図7B図7Bは、48時間後の脱細胞化を示し、腎臓を完全に脱細胞化することができる。
図8A図8Aは、30分の再循環水リンス後の、目に見える微粒子(L281)を有する肝臓を取り巻く溶液の吸光度プロファイルを示す。
図8B図8Bは、15分の再循環水リンス後の、目に見える微粒子L274を有する肝臓を取り巻く溶液中の流出物の吸光度プロファイルを示す。
図9図9は、DNA結合蛍光染色を使用した天然及び脱細胞化腎臓スキャフォールドの処理を示す。検査は免疫蛍光顕微鏡法で実施した。
図10A図10Aは、ラジカル生成化合物(例えば、過酢酸)を灌流脱細胞化プロセスに導入できた後の流量の増加を示す。流量の増加は、12mmHgの設定圧力でブタ肝臓を灌流脱細胞化する間、ラジカル生成化合物の添加後に起こり得る。脱細胞化装置により、規定の圧力を指定することが可能になり、流量は規定の圧力を維持するために調節することができる。
図10B図10Bは、ラジカル生成化合物(例えば、過酢酸)を灌流脱細胞化プロセスに導入できた後の流量の増加を示す。流量の増加は、12mmHgの設定圧力でブタ肝臓を灌流脱細胞化する間、ラジカル生成化合物の添加後に起こり得る。脱細胞化装置により、規定の圧力を指定することが可能になり、流量は規定の圧力を維持するために調節することができる。
図10C図10Cは、ラジカル生成化合物(例えば、過酢酸)を灌流脱細胞化プロセスに導入できた後の流量の増加を示す。流量の増加は、12mmHgの設定圧力でブタ肝臓を灌流脱細胞化する間、ラジカル生成化合物の添加後に起こり得る。脱細胞化装置により、規定の圧力を指定することが可能になり、流量は規定の圧力を維持するために調節することができる。
図11図11は、4%歪みの増加量で伸長することができ、緩和させることができるサンプルについての、正規化ピーク負荷力値のプロットを示す。
図12A図12Aは、組織学的分析で用いられる内皮播種を表す図である
図12B図12Bは、バイオリアクター、21日後の組織構造、及び例示的血管表面の代表的な画像を示す。
図13図13は免疫蛍光染色を示し、これは、適切な位置にある腎臓全体にわたる天然の腎臓細胞の分布及び生着を示す。
図14図14は、脱細胞化プロセスワークフローの間のラジカル生成化合物PAAの添加による一定圧力での灌流の流量の改善を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
参照による組み込み
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりここに組み込まれる。米国特許第10,213,525号及び米国特許第10,220,056号は、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0009】
例示的実施形態の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に記載されている。特徴及び利点は、例示的実施形態が利用される例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することによって、よりよく理解される。
【0010】
概要
いくつかの実施形態において、本明細書中で開示するのは、摘出臓器、又はその一部を実質的に脱細胞化する方法である。いくつかの実施形態では、脱細胞化方法は、摘出臓器又はその一部に、灌流前に約700torr未満の圧力、約15℃~約95℃で、脱気された細胞破壊媒体を灌流させ、それにより、溶解した気体を脱気された細胞破壊媒体から実質的に除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は洗浄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、又はポリエチレングリコール、又はTriton-X100を含むことができる。いくつかの実施形態では、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)超の酸素を含む、それ以外は同等の細胞破壊媒体と比較して、灌流の間のマイクロバブルの量を減らすことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流前に約10分間真空ポンプに接続することができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流前に約4℃~約95℃の温度に置くことができる。いくつかの実施形態では、溶解した気体は酸素又は窒素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するのに充分な時間は、非脱気細胞破壊媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するための時間よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成する
ために充分であり得る脱気された細胞破壊媒体の体積は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために必要とされる非脱気細胞破壊媒体の体積よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分であり得る脱気された細胞破壊媒体の重量は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために必要とされる非脱気細胞破壊媒体の重量よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、細胞外マトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは、フィブロネクチン、フィブリリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲンファミリーのタンパク質、グリコサミノグリカン、基質、細網線維又はトロンボスポンジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、コラーゲンファミリーのタンパク質は、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、又はコラーゲンIVを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は脈管構造床を含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、又はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、心臓、肝臓、肺、脳、膵臓、脾臓、腎臓、子宮、又は膀胱であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は順行性であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は逆行性であり得る。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流の間、再循環させることができる。
【0011】
ここで、細胞外マトリックスを含むことができる摘出臓器又はその一部であって、一つ以上の空洞、血管、及び/又は管でカニューレ挿入することができる、摘出臓器又はその一部も開示する。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体を灌流して、少なくとも部分的に脱細胞化されたカニューレ挿入された摘出臓器又は一部を得ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化されたカニューレ挿入された臓器又はその一部は、少なくとも部分的に脱細胞化された細胞外マトリックスを含むことができ、これは、外面と血管樹とを含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、約25℃の温度で保存した場合、約8ppm超の酸素を含む、それ以外は同等の細胞破壊媒体と比較して、より短い時間で細胞の除去を増加させることができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は洗浄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、又はポリエチレングリコール、又はTriton-X100を含むことができる。いくつかの実施形態では、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)超の酸素を含む、それ以外は同等の細胞破壊媒体と比較して、灌流の間のマイクロバブルの量を減らすことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流前に約10分間真空ポンプに接続することができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流前に約4℃~約95℃の温度に置くことができる。いくつかの実施形態では、溶解した気体は酸素又は窒素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するのに充分な時間は、非脱気細胞破壊媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するための時間よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分であり得る脱気された細胞破壊媒体の体積は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために必要とされる非脱気細胞破壊媒体の体積よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分であり得る脱気された細胞破壊媒体の重量は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために必要とされる非脱気細胞破壊媒体の重量よりも少ないものであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は
その一部は、細胞外マトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは、フィブロネクチン、フィブリリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲンファミリーのタンパク質、グリコサミノグリカン、基質、細網線維又はトロンボスポンジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、コラーゲンファミリーのタンパク質は、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、又はコラーゲンIVであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は脈管構造床を含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、又はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、心臓、肝臓、肺、脳、膵臓、脾臓、腎臓、子宮、又は膀胱であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は順行性であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は逆行性であり得る。いくつかの実施形態では、脱気された細胞破壊媒体は、灌流の間、再循環させることができる。
【0012】
また、ここで開示するのは、少なくとも部分的に脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部を含むことができる組成物である。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、外面と血管樹とを有する、少なくとも部分的に脱細胞化された細胞外マトリックスを有することができる。いくつかの実施形態では、哺乳動物の摘出臓器又はその一部の少なくとも部分的に脱細胞化された細胞外マトリックスは、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の酸素を含む細胞破壊媒体を含むことができる。
【0013】
また、ここで開示するのは、細胞破壊媒体で灌流された、摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部を含むことができる組成物である。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の溶存酸素濃度を含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部は、最大で10時間細胞破壊媒体で灌流した後、最大で約10%の天然の細胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも部分的に脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは蠕動ポンプを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器若しくはその一部、少なくとも一つのカニューレ、試薬、摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器若しくはその一部を再細胞化するための説明書、及び/又は摘出され脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器若しくはその一部を対象に導入するための説明書を含むことができるキットを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットはパッケージング中であり得る。いくつかの実施形態では、パッケージングは無菌であり得る。
【0014】
また、ここで開示するのは、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を提供する方法であって、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が脈管構造床を含むことができ、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が内皮細胞を実質的に含まないものであり得る、方法である。場合によっては、方法は、少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部を生成することを含むことができ、生成は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を脱気された細胞再生媒体で灌流することを含むことができ;脱気された細胞再生媒体は、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞再生媒体は細胞の集団を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、全能性細胞、多能性細胞、多分化能細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、再生細胞集団は、未分化細胞、部分的に分化した細胞、完全に分化した細胞、又はそれらの組み合わせを含む
ことができる。いくつかの実施形態では、再生細胞集団は、独立して哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、又はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、再生細胞集団は、胚幹細胞、臍帯血細胞、組織由来幹又は前駆細胞、骨髄由来幹又は前駆細胞、血液由来幹又は前駆細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨格筋由来の細胞、多能性成人前駆細胞(MAPC)、心筋幹細胞(CSC)、多能性成人心臓由来幹細胞、心臓線維芽細胞、心臓微小血管系内皮細胞、大動脈内皮細胞、骨髄単核細胞(BM-MNC)、内皮前駆細胞(EPC)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、再生細胞集団は少なくとも約1,000個の再生細胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、灌流中の脱気された細胞再生媒体の量は、実質的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部1mgあたり少なくとも約1,000個の再生細胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気された細胞生成媒体は成長因子を含むことができる。いくつかの実施形態では、成長因子は、VEGF、DKK-1、FGF、BMP-1、BMP-4、SDF-1、IGF、HGF、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、脱気された細胞生成媒体は免疫調節剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、サイトカイン、グルココルチコイド、IL2Rアンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、細胞外マトリックスをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは、フィブロネクチン、フィブリリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲンファミリーのタンパク質、グリコサミノグリカン、基質、細網線維又はトロンボスポンジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、コラーゲンファミリーのタンパク質は、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、又はコラーゲンIVであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器は哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、又はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部は、心臓、肝臓、肺、脳、膵臓、脾臓、腎臓、子宮、又は膀胱であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は順行性であり得る。いくつかの実施形態では、灌流は逆行性であり得る。
【0015】
また、ここで開示するのは、約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の酸素を有する細胞再生媒体を含むことができる、少なくとも部分的に再細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部である。
【0016】
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、摘出された全臓器の脱細胞化並びに摘出された全臓器の部分の脱細胞化の組成物及び方法も、いくつかの実施形態において、ここで開示される。また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、方法及び組成物を利用した脱細胞化の改善である。いくつかの実施形態では、ここで開示される改善された脱細胞化の組成物及び方法は、ここで記載する組成物のより高効率の脱細胞化及び改善された再細胞化をもたらし得る。
【0017】
定義
別段の定義がない限り、ここで使用されるすべての科学技術用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0018】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定的であることを意図するものではない。ここで使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を意味する場合を除き、複数形も含むことを意図している。さらに、ここで使用される用語「含む(including、includes)」、「有する(having、has、with)」、又はこれらの変形が「含む(comp
rising)」を意味する範囲で。
【0019】
参照数値に関連する「約」という用語及びその文法的同等物及びここで使用される文法的同等物は、その値から±10%の値の範囲を含むことができる。例えば、「約10」という量は9~11の量を含む。参照数値に関連する「約」という用語はまた、その値から±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の値の範囲を含み得る。
【0020】
ここで使用される「実質的に」という用語は、所与の値の100%に近い値を指すことができる。いくつかの実施形態では、この用語は、合計量の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は99.99%であり得る量を指すことができる。いくつかの実施形態では、この用語は、合計量の約100%であり得る量を指すことができる。
【0021】
ここで使用される「脱細胞化された」又は「脱細胞化」という用語は、細胞及び組織内容物が除去され、無傷な無細胞基礎構造が後に残された生物学的構造(例えば、摘出臓器若しくはその一部、又は組織)を指すことができる。腎臓などの臓器は、様々な分化した組織から構成され得る。臓器の分化した組織構造又は実質は、当該臓器に関連する特定の機能を提供することができる。摘出臓器の支持線維網は間質であり得る。ほとんどの臓器は、分化された組織を支持する未分化結合組織から構成される間質フレームワークを有し得る。脱細胞化のプロセスは、組織の細胞部分を少なくとも部分的に除去し、細胞外マトリックス(ECM)の複雑な三次元網目構造が後に残される。ECM基礎構造は、主にコラーゲンで構成され得るが、サイトカイン、プロテオグリカン、ラミニン、フィブリリン及び細胞から分泌される他のタンパク質を含み得る。少なくとも部分的に脱細胞化された構造は、例えば、限定されるものではないが、創傷治療用マトリックス、瘻孔マトリックス、ボイドフィラー、ダーマルフィラー、軟部組織補強材、又は移植若しくは塗布後の細胞浸潤及びリモデリングを可能にする他の基材などの無細胞医療デバイスとして、異なる細胞集団をその上に注入することができるか、又は移植するために使用できる生体適合性基材を提供できる。脱細胞化された生物学的構造は、硬質、又は半硬質である得、その形状を変化させることができる。脱細胞化摘出臓器の例としては、限定されるものではないが、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、脳、骨、脾臓、及び膀胱、子宮、尿管、及び尿道などの実質臓器を挙げることができる。
【0022】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、ここで開示する摘出臓器又はその一部への導入時に所望の活性をもたらすのに十分であり得る組成物、例えば、再生細胞などの細胞を含む組成物の量を指すことができる。
【0023】
ここで使用する「機能」という用語及びその文法的同等物は、意図された目的のために動作する、意図される目的を有する、又は意図される目的を果たす能力を指すことができる。機能的とは、ベースラインから意図される目的の100%までの任意のパーセントを含み得る。例えば、機能的とは、意図される目的の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約100%までを含み得るか、又は含む。いくつかの実施形態では、機能的という用語は、正常な機能の100%超又は約100%超、例えば、意図される目的の125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%又は最大約1000%までを意味し得る。
【0024】
ここで用いられる「レシピエント」という用語及びその文法的同等物は対象を指すことができる。対象はヒト又は非ヒト動物であり得る。レシピエントは、がんなどの疾患の治
療を必要とするなど、それを必要とするものでもあり得る。いくつかの実施形態では、レシピエントは、予防療法を必要としている可能性がある。レシピエントは、他の場合では、それを必要としていない可能性がある。
【0025】
ここで用いられる「対象」という用語及びその文法的同等物はヒト又は非ヒトを指すことができる。対象は哺乳動物であり得る。対象は、生物学的性別がオス又はメスのヒト哺乳動物であり得る。対象は任意の年齢であり得る。対象は胚であり得る。対象は新生児から約100歳までの年齢であり得る。対象はそれを必要としているものであり得る。対象はがんなどの疾患に罹患している可能性がある。対象は、閉経前、閉経期、又は閉経を誘発された可能性がある。
【0026】
「治療」又は「治療する」という用語及びそれらの文法的同等物は、疾患、状態、又は障害の治癒、改善、又は安定化を目的とした対象の医学的管理を指すことができる。治療は、能動的治療、すなわち、疾患、状態、又は障害の改善に特に向けられた治療を含み得る。治療は、原因治療、すなわち、関連する疾患、状態、又は障害の原因の除去に向けられた治療を含み得る。さらに、このような治療には、緩和治療、すなわち、疾患、状態、又は障害の治癒ではなく、症状の軽減のために設計された治療が含まれ得る。治療には、予防的治療、すなわち、疾患、状態、又は障害の進行を最小限に抑えるか、又は部分的若しくは完全に阻害することを目的とした治療が含まれ得る。治療には、支持的治療、すなわち、疾患、状態、又は障害の改善に向けられた別の特定の療法を補足するために採用される治療が含まれ得る。いくつかの実施形態では、状態は病理的であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、疾患、状態、又は障害を完全に治癒、改善、又は安定化させなくてもよい。
【0027】
「予防する(prevent又はpreventing)」という用語、及びそれらの文法的同等物は、対象の予防的医学的管理を指すことができる。そのような予防的医学的管理には、疾患、状態、又は障害の発症を予防するための、疾患、状態、又は障害の発生前の予防的管理が含まれ得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、全臓器の脱細胞化並びに全臓器の部分の脱細胞化の組成物及び方法である。また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、方法及び組成物を利用した脱細胞化の改善である。また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、ここで開示される、より高効率の脱細胞化及び改善された再細胞化をもたらし得る改善された脱細胞化の組成物及び方法である。
【0029】
好適な臓器及びその一部
いくつかの実施形態においてここで開示されるのは、摘出臓器又はその一部を含み得る組成物である。また、いくつかの実施形態においてここで開示されるのは、修飾された摘出臓器又はその一部である。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、身体の摘出臓器系の一部であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器系には、制限なく、外皮系、筋肉系、骨格系、神経系、循環系、リンパ系、呼吸器系、内分泌系、泌尿器系/排泄系、生殖器系及び消化器系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、筋骨格系からのものであり得る。いくつかの実施形態では、筋骨格系からの摘出臓器又はその一部は、骨格、関節、靱帯、腱、筋肉を含むことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は消化器系からのものであり得る。いくつかの実施形態では、消化器系には、舌、歯、唾液腺(耳下腺、顎下、舌下)、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、及び回腸)、大腸、肝臓、胆嚢、又は膵臓が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部には、呼吸器系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、呼吸器系には、肺、横隔膜、気管支、気管、喉頭、咽頭、又は鼻腔が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部には、泌尿器系が含まれ得る。いくつかの
実施形態では、泌尿器系には、腎臓、尿管、膀胱、又は尿道が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部には、生殖器系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、生殖器系には、卵巣、卵管、子宮、膣、外陰部、陰核、胎盤、精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺、尿道球腺、陰茎、又は陰嚢が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は内分泌腺を含み得る。いくつかの実施形態では、内分泌腺には、下垂体、松果腺、甲状腺、副甲状腺、副腎、又は膵臓が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部には、循環系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、循環系には心臓血管系又はリンパ系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、心臓血管系には、心臓、動脈、静脈、又は毛細血管が含まれ得る。いくつかの実施形態では、リンパ系には、リンパ管、リンパ節、骨髄、胸腺、又は脾臓が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、神経系からのものであり得る。いくつかの実施形態では、神経系には、中枢神経系、末梢神経系、又は感覚器官が含まれ得る。いくつかの実施形態では、中枢神経系には、脳、大脳、間脳、中脳、脳橋、延髄、小脳、脊髄、脳室系(脈絡叢)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、末梢神経系には、脳神経、脊髄神経、神経節、腸神経系などの神経が含まれ得る。いくつかの実施形態では、感覚器官には、眼(角膜、虹彩、毛様体、レンズ、若しくは網膜)、耳(耳たぶ、鼓膜、中耳、蝸牛、三半規管、及び耳の前庭)、嗅上皮、又は舌が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部には、外皮系が含まれ得る。いくつかの実施形態では、外皮系には、乳腺、皮膚、又は皮下組織が含まれ得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器は実質臓器であり得る。いくつかの実施形態では、実質臓器は、堅固な組織堅さを有し得、胃腸管の臓器のような中空ではなく、血液のような液体でもない。いくつかの実施形態では、実質臓器には、心臓、腎臓、肝臓、肺、及び膵臓が含まれ得る。いくつかの実施形態では、実質臓器は、細胞外マトリックス(ECM)、その中に埋め込まれた細胞、及び脈管構造床の3つの主要な構成成分を有し得る。いくつかの実施形態では、ここで記載する実質臓器の脱細胞化は、細胞外マトリックス(ECM)及び脈管構造床を実質的に保存しつつ、ほとんど又はすべての細胞構成成分を除去することができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、摘出臓器の約50%から、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%までを脱細胞化することを含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、摘出臓器の約50%~60%から、50~70%、60~80%、60~85%、70~90%、70~95%、75~96%、75~97%、80~98%、80~99%、又は約75~100%までを脱細胞化することを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は非ヒトであり得る。ここで記載する方法は、非ヒト哺乳動物の臓器の灌流脱細胞化ECMを提供することを含み得る。いくつかの例では、非ヒト哺乳動物の臓器は大型動物からのものであり得る。灌流脱細胞化ECMは、無傷な外面を含み得る。灌流脱細胞化ECMは、無傷な脈管構造床を含み得る脱細胞化ECM血管樹を含み得る。いくつかの場合では、灌流脱細胞化ECMは、脱細胞化ECM血管樹に導入された液体の少なくとも一部、又は大部分を保持できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、アロジェニック、自家性、又はゼノジェニックであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、成人又は小児の提供者からのものであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、合成成分を含み得る。いくつかの実施形態では、非ヒト摘出臓器提供者は、非ヒト哺乳動物からのものであり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト摘出臓器は、非ヒト霊長類からのものであり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト霊長類は、ヒヒ又はチンパンジーであり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト摘出臓器又はその一部は、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、又はサルからのものであり得る。いくつかの実施形態では、ノトバイオート哺乳動物を利用して、摘出臓器又はその一部を提供することができる。いくつかの実施形態では、ノトバイオート哺乳動物は、微生物叢を欠く
ものであり得る。いくつかの実施形態では、ノトバイオート哺乳動物は、無菌条件下で手術により娩出させることができる。いくつかの実施形態では、ノトバイオート哺乳動物は、隔離型障壁中で飼育することができる。いくつかの実施形態では、ノトバイオート哺乳動物は、ノトバイオートではない、それ以外は同等の哺乳動物と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%の微生物叢がない可能性がある。ノトバイオート哺乳動物が実質的に欠いている可能性がある人畜共通感染症病原体の例は、数例を挙げると、狂犬病、サルポックスウイルス、ブルセラ/スイス、マイコバクテリウム属、トリパノソーマ・クルーズ、回虫属、幼虫、トキソプラズマ原虫、EMCV、麻疹、風疹、ヘパトシスティス・コチ(hepatocystiis kochi)、インフルエンザ、アフリカブタ熱コレラ、ブタ水泡病ウイルスであり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、非ヒト動物から抽出することができる。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、絶食させた非ヒト動物であり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、絶食させていない非ヒト動物であり得る。いくつかの実施形態では、絶食させていない動物は、当該動物から摘出臓器又はその一部を除去する前、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、又は約1時間以内に給餌された非ヒト動物であり得る。
【0033】
摘出臓器又はその一部は、脱細胞化前、脱細胞化中、又は脱細胞化後に減少した微粒子レベルを含み得る。例えば、ここで記載する脱細胞化の方法は、微粒子の発生をより低くして進行することができる。したがって、脱細胞化プロセスは、微粒子の発生がより高い、それ以外は同等の脱細胞化方法と比べて、例えば、より速く、より効率的に、より高度に進行することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、動物から摘出臓器又はその一部を除去する前約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、又は約1時間以内に給餌されていない当該動物から生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、減少した微粒子レベルを含み得る。いくつかの実施形態では、減少した微粒子レベルは、動物から摘出臓器又はその一部を除去する前、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、又は約1時間以内に給餌されなかった当該動物から生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、少なくとも約:90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%減少させることができる。
【0035】
臓器脱細胞化
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、脱細胞化摘出臓器を含むことができる組成物及び脱細胞化の方法である。いくつかの実施形態では、摘出臓器は脱細胞化を受けることができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、組織の細胞外マトリックス(ECM)を、その天然の細胞から単離することを含むプロセスを指すことができる。少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織は、血管樹のECM成分を含む、摘出臓器若しくはその一部、又は組織の全部若しくはほとんどの領域の細胞外マトリックス(ECM)成分を含み得る。いくつかの実施形態では、ECM成分は:フィブロネクチン、フィブリリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲンファミリーのメンバー(例えば、コラーゲンI、III、及びIV)、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、サイトカイン、硫酸ヘパリン、基質、細網線維、若しくはトロンボスポンジン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、これらは、基底膜などの規定の構造として組織化されたままであり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、標準的な組織学的染色手順を用いて組織切片中の検出可能な筋フィラメント、内皮細胞、平滑筋細胞、及び核の減
少又は欠如を指すことができる。残存する細胞片はまた、脱細胞化摘出臓器又は組織から除去することもできる。臓器脱細胞化は、灌流脱細胞化、浸漬脱細胞化、物理的処理、化学的処理、酵素処理、及びそれらの組み合わせなどの様々な技術を用いて実施することができる。
【0036】
灌流脱細胞化
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、実質臓器又はその一部の灌流ベースの脱細胞化を含み得る方法である。いくつかの実施形態では、灌流脱細胞化は、天然の脈管構造、管、空洞、及びそれらの組み合わせを介した脱細胞化を可能にすることができ、この結果、組織を再構築するために重要な血管(vascular conduit)を無傷なままに維持しつつ、大きな臓器又はその一部を迅速に脱細胞化することができる。いくつかの実施形態では、灌流脱細胞化は、脈管構造にカニューレを挿入し、天然の血管を通して中性洗剤溶液を灌流することにより、天然の脈管構造を介した全臓器への迅速なアクセスを可能にする。臓器は毛細血管が密集しているので、ほとんどの細胞は、毛細血管の50~100マイクロメートル(μm)以内に位置する可能性があり、その結果、浸漬ベースの脱細胞化で行われるように摘出臓器壁又はカプセルを介するのとは対照的に、静脈系を介した排出の間に、洗浄剤の有効表面積が指数関数的に増加し、細胞物質を溶解する時間が減少する。摘出臓器又は組織からのECMの灌流脱細胞化は、浸漬ベースの脱細胞化などの他の脱細胞化技術と比較して、天然のミクロ構造、例えば、無傷な血管及び/又は微小血管系を保持できる。例えば、臓器又は組織からの灌流脱細胞化ECMは、コラーゲン含有量並びに他の結合及びシグナル伝達因子及び脈管構造を保存することができ、したがって、導入された細胞の機能分化又は細胞機能の維持のための天然のキューを有するニッチな環境を提供する。いくつかの実施形態では、臓器又は組織からの灌流脱細胞化ECMは、生物で通常見いだされる条件を模倣するのに適切な圧力及び流れを含む適切な条件下で、灌流脱細胞化ECMの脈管構造を用いて細胞及び/又は媒体で灌流することができる。ヒトサイズの臓器の正常圧力は、約5mmHg~約200mmHgであり得、結果として生じる流量は、流入灌流血管の直径に依存する。いくつかの実施形態では、ヒトサイズの臓器の正常圧力は、5mmHgから、10mmHg、15mmHg、20mmHg、25mmHg、30mmHg、40mmHg、50mmHg、60mmHg、80mmHg、100mmHg、120mmHg、140mmHg、160mmHg、180mmHg、又は約200mmHgまでであり得る。正常なヒト心臓に関して、結果として得られる灌流量は、約20mL/分/100g~約200mL/分/100gであり得る。播種された細胞についてそのような系を使用することで、2D細胞培養条件下で達成されるよりも例えば約5×から最大約1000×高い、より高い播種濃度を達成することができ、そして、2D培養系とは異なり、ECM環境は、細胞のさらなる機能的分化、例えば、持続的機能を有する臓器特異的又は組織特異的表現型を示す細胞への前駆細胞の分化を可能にする。灌流脱細胞化は、摘出臓器又はその一部のカニューレ挿入を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのカニューレ挿入を摘出臓器又はその一部に導入することができる。いくつかの場合では、少なくとも2つのカニューレ挿入を摘出臓器又はその一部に導入することができる。いくつかの実施形態では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は最大10のカニューレ挿入を摘出臓器又はその一部に導入することができる。いくつかの実施形態では、カニューレは、カニューレ挿入システムの一部であり得る。いくつかの実施形態では、カニューレ挿入システムは、摘出された組織、臓器又はその一部の血管、管、空洞、又はそれらの任意の組み合わせに導入するためのサイズに適切な中空チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、動物に適切な直径を有するものであり得;例えば、カニューレは、あるゲージを有するものであり得る。いくつかの実施形態では、ゲージは、1~75であり得る。いくつかの実施形態ではゲージは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29,30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、
41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、又は75ゲージのものであり得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、約16のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、約23のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、約27のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、約30のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、約34のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、16ゲージ~34ゲージのゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、30ゲージ~50ゲージのゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、30ゲージ~50ゲージのゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、「カニューレ」の種類は変わり得る。いくつかの実施形態では、採血又はIVに使用される典型的なカニューレは約14~26ゲージであり得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、ルアーフィッティングを備えたバーブコネクタ又はチューブコネクタへの二方向バーブチューブを含み得る。いくつかの実施形態では、バーブ末端は約1/32”から約5/8”以上まで変化し得;例えば、6か月のブタ肝臓のカニューレサイズは直径5/8”であり得る。いくつかの実施形態では、ブタは、1/16”から約1/4”までのカニューレを使用できる。いくつかの実施形態では、カニューレは、約1/16”~約1”のゲージを有し得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は少なくとも34のゲージのカニューレを含むことができる。いくつかの実施形態では、ここで開示されるのは、少なくとも50のゲージのカニューレを含む摘出臓器又はその一部であり得る。いくつかの実施形態では、ここで開示されるのは、少なくとも16のゲージのカニューレを含む摘出臓器又はその一部であり得る。いくつかの実施形態では、ここで開示されるのは、少なくとも20のゲージのカニューレを含む摘出臓器又はその一部であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの血管、管、及び/又は空洞は摘出臓器においてカニューレ挿入できる。いくつかの実施形態では、灌流装置又はカニューレ挿入システムは、溶液(例えば、細胞破壊媒体)の保持容器及び一つ以上のカニューレを介して摘出臓器を通って液体を移動させるためのメカニズム(例えば、ポンプ、空気圧、重力)を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化及び/又は再細胞化の間の摘出臓器又は組織は、空気の流れの制御及びフィルタリング並びに/又は例えば、望ましくない微生物の成長を防止するための抗生物質、抗真菌剤若しくは他の抗菌剤での灌流などの様々な技術を用いて無菌状態で維持することができる。いくつかの実施形態では、ここで記載するシステムは、ある特定の灌流特性(例えば、圧力、体積、フローパターン、温度、ガス、pH)、機械力(例えば、心室壁運動及び張力)、及び電気的刺激(例えば、ペーシング)をモニタリングする能力を有し得る。いくつかの実施形態では、血管床は、脱細胞化及び再細胞化の間に変化し得る(例えば、血管抵抗、体積)。いくつかの実施形態では、圧力調節された灌流装置又はカニューレ挿入システムは、変動を回避又は低減するために有利であり得る。いくつかの実施形態では、灌流の有効性は、流出物及び組織切片において評価することができる。いくつかの実施形態では、灌流体積、フローパターン、温度、O分圧及びCO分圧並びにpHは、標準的方法を用いてモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、センサを用いて、システム(例えば、バイオリアクター)及び/又は摘出組織、臓器若しくはその一部をモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、ソノミクロメトリ、ミクロマノメトリ、及び/又はコンダクタンス測定を使用して、心筋壁運動及び活動に関して圧力-体積又は予負荷補充可能一回仕事量情報(preload recruitable stroke work information)を取得できる。い
くつかの実施形態では、例えば、センサを使用して、カニューレ挿入された臓器又は組織を通って移動する液体の圧力;システム中の周囲温度及び/又は摘出臓器若しくは組織の温度;カニューレ挿入された臓器若しくは組織を通って移動する液体のpH及び/若しくは流速;及び/又は再細胞化臓器若しくは組織の生物学的活性をモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、そのような特徴をモニタリングするセンサを有することに加えて、摘出臓器若しくは組織の脱細胞化及び/又は再細胞化のためのシステムはま
た、そのような特徴を維持又は調節するための手段も含み得る。いくつかの実施形態では、そのような特徴を維持又は調節するための手段は、温度計、サーモスタット、電極、圧力センサ、オーバーフローバルブ、液体の流速を変更するためのバルブ、溶液のpHを変更するために使用される溶液への流体接続を開閉するためのバルブ、バルーン、体外式ペースメーカー、及び/又は心室腔コンプライアンスなどの構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、安定な条件(例えば、温度)を保証するのを助けるために、チャンバー、リザーバー、又はチュービングにウォータージャケットを取り付けることができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化の方法は、摘出臓器又はその一部を提供すること、摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入すること、及びカニューレ挿入された摘出臓器又はその一部を溶液又は媒体でカニューレ挿入により灌流することを含むことができる。いくつかの実施形態では、カニューレ挿入は、空洞、血管、管、又はそれらの組み合わせで起こる。いくつかの実施形態では、約1~3、約1~5、約2~3、約2~5、約1~8の溶液を臓器灌流に利用することができる。いくつかの実施形態では、溶液は少なくとも2回灌流させることができる。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、又は最大10回、摘出臓器又はその一部を通して灌流させることができる。いくつかの実施形態では、様々な溶液及び媒体を再細胞化の間に使用することができる。いくつかの実施形態では、溶液は、細胞破壊媒体、洗浄液、消毒液、又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、少なくとも一つの洗浄剤を含むことができる溶液であり得る、表1。いくつかの実施形態では、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリエチレングリコールp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル(Triton X)、NP-40、Brij、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween)、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート(CHAPSO)、その塩、又はそれらの修飾体のうちの少なくとも一つを脱細胞化の間に利用できる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、脂肪族又は芳香族の特徴を有する非極性「尾部」及び極性「頭部」の両方を含むことができる両親媒性分子であり得る。いくつかの実施形態では、極性頭部基のイオン性は、洗浄剤の広い分類の基礎を形成でき;それらは、イオン性(荷電、アニオン性又はカチオン性のいずれか)、非イオン性(非荷電)、又は双性イオン性(正に荷電した基及び負に荷電した基の両方を有するが、正味の電荷はゼロである)であり得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、タンパク質構造に関して変性又は非変性であり得る。いくつかの実施形態では、変性洗浄剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアニオン性又はエチルトリメチルアンモニウムブロ

ミド(ETMAB)などのカチオン性であり得る。いくつかの実施形態では、これらの洗浄剤は、タンパク質間相互作用を破壊することによって、膜を完全に破壊し、タンパク質を変性させる。いくつかの実施形態では、非変性洗浄剤は、Triton X-100、NP40、Tweenなどの非イオン性洗浄剤、コール酸塩などの胆汁酸塩、及びCHAPSなどの双性イオン性洗浄剤に分けることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱気された液体溶液を脱細胞化の際に利用することができる。いくつかの実施形態では、洗浄液を利用して、細胞破壊媒体などの残存溶液を、摘出臓器又はその一部並びに残存する細胞構成成分、酵素、又はそれらの組み合わせから除去することができる。いくつかの実施形態では、好適な洗浄液には、水、ろ過水、通常の生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、PBSは、細胞の一定のpH及び一定のオスモル濃度を維持できる(ほとんどの生体物質のpHは約7~約7.6に収まる)。いくつかの実施形態では、任意の濃度のPBSを洗浄溶液として利用できる。いくつかの実施形態では、PBSの濃度は、約0.5%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5
%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は最大約100%であり得る。いくつかの実施形態では、洗浄液に薬剤を補充できる。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗生物質、DNase I、又は消毒剤であり得る。いくつかの実施形態では、洗浄液は生理食塩水を含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄液は、0.9%NaCl、0.55%PBS、及び100%PBS、生理食塩水、並びにそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は脱気された細胞破壊媒体であり得る。いくつかの実施形態では、「脱気された」細胞破壊媒体は、ここで記載する破壊媒体であって、溶解した気体が実質的に除去されたものを指すことができる。いくつかの実施形態では、溶解した気体には、酸素、窒素、空気、二酸化炭素、一酸化炭素、アルゴン、硫化水素、メタン、エチレン、エタン、塩素、水素、ヘリウム、アンモニア、二酸化硫黄、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、脱気媒体は、非脱気媒体よりも少ない溶解した気体を含むことができる。いくつかの実施形態において、脱気媒体は、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、45%、45.5%、46%、46.5%、47%、47.5%、48%、48.5%、49%、49.5%、50%、50.5%、51%、51.5%、52%、52.5%、53%、53.5%、54%、54.5%、55%、55.5%、56%、56.5%、57%、57.5%、58%、58.5%、59%、59.5%、60%、60.5%、61%、61.5%、62%、62.5%、63%、63.5%、64%、64.5%、65%、65.5%、66%、66.5%、67%、67.5%、68%、68.5%、69%、69.5%、70%、70.5%、71%、71.5%、72%、72.5%、73%、73.5%、74%、74.5%、75%、75.5%、76%、76.5%、77%、77.5%、78%、78.5%、79%、79.5%、80%、80.5%、81%、81.5%、82%、82.5%、83%、83.5%、84%、84.5%、85%、85.5%、86%、86.5%、87%、87.5%、88%、88.5%、89%、89.5%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、又は99.9%の非脱気媒体の溶解気体含有量を含むことができる。いくつかの実施形態では、脱気媒体は所与の温度で、ある量の気体を含むことができる;例えば、脱気媒体は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、1
0.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、17.6、17.7、17.8、17.9、18、18.1、18.2、18.3、18.4、18.5、18.6、18.7、18.8、18.9、19、19.1、19.2、19.3、19.4、19.5、19.6、19.7、19.8、19.9、20、20.1、20.2、20.3、20.4、20.5、20.6、20.7、20.8、20.9、21、21.1、21.2、21.3、21.4、21.5、21.6、21.7、21.8、21.9、22、22.1、22.2、22.3、22.4、22.5、22.6、22.7、22.8、22.9、23、23.1、23.2、23.3、23.4、23.5、23.6、23.7、23.8、23.9、24、24.1、24.2、24.3、24.4、24.5、24.6、24.7、24.8、24.9、25、25.1、25.2、25.3、25.4、25.5、25.6、25.7、25.8、25.9、26、26.1、26.2、26.3、26.4、26.5、26.6、26.7、26.8、26.9、27、27.1、27.2、27.3、27.4、27.5、27.6、27.7、27.8、27.9、28、28.1、28.2、28.3、28.4、28.5、28.6、28.7、28.8、28.9、29、29.1、29.2、29.3、29.4、29.5、29.6、29.7、29.8、29.9、30、30.1、30.2、30.3、30.4、30.5、30.6、30.7、30.8、30.9、31、31.1、31.2、31.3、31.4、31.5、31.6、31.7、31.8、31.9、32、32.1、32.2、32.3、32.4、32.5、32.6、32.7、32.8、32.9、33、33.1、33.2、33.3、33.4、33.5、33.6、33.7、33.8、33.9、34、34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6、34.7、34.8、34.9、35、35.1、35.2、35.3、35.4、35.5、35.6、35.7、35.8、35.9、36、36.1、36.2、36.3、36.4、36.5、36.6、36.7、36.8、36.9、37、37.1、37.2、37.3、37.4、37.5、37.6、37.7、37.8、37.9、38、38.1、38.2、38.3、38.4、38.5、38.6、38.7、38.8、38.9、39、39.1、39.2、39.3、39.4、39.5、39.6、39.7、39.8、39.9、40、40.1、40.2、40.3、40.4、40.5、40.6、40.7、40.8、40.9、41、41.1、41.2、41.3、41.4、41.5、41.6、41.7、41.8、41.9、42、42.1、42.2、42.3、42.4、42.5、42.6、42.7、42.8、42.9、43、43.1、43.2、43.3、43.4、43.5、43.6、43.7、43.8、43.9、44、44.1、44.2、44.3、44.4、44.5、44.6、44.7、44.8、44.9、45、45.1、45.2、45.3、45.4、45.5、45.6、45.7、45.8、45.9、46、46.1、46.2、46.3、46.4、46.5、46.6、46.7、46.8、46.9、47、47.1、47.2、47.3、47.4、47.5、47.6、47.7、47.8、47.9、48、48.1、48.2、48.3、48.4、48.5、48.6、48.7、48.8、48.9、49、49.1、49.2、49.3、49.4、49.5、49.6、49.7、49.8、49.9、50、50.1、50.2、50.3、50.4、50.5、50.6、50.7、50.8、50.9、51、51.1、51.2、51.3、51.4、51.5、51.6、51.7、51.8、51.9、52、52.1、
52.2、52.3、52.4、52.5、52.6、52.7、52.8、52.9、53、53.1、53.2、53.3、53.4、53.5、53.6、53.7、53.8、53.9、54、54.1、54.2、54.3、54.4、54.5、54.6、54.7、54.8、54.9、55、55.1、55.2、55.3、55.4、55.5、55.6、55.7、55.8、55.9、56、56.1、56.2、56.3、56.4、56.5、56.6、56.7、56.8、56.9、57、57.1、57.2、57.3、57.4、57.5、57.6、57.7、57.8、57.9、58、58.1、58.2、58.3、58.4、58.5、58.6、58.7、58.8、58.9、59、59.1、59.2、59.3、59.4、59.5、59.6、59.7、59.8、59.9、60、60.1、60.2、60.3、60.4、60.5、60.6、60.7、60.8、60.9、61、61.1、61.2、61.3、61.4、61.5、61.6、61.7、61.8、61.9、62、62.1、62.2、62.3、62.4、62.5、
62.6、62.7、62.8、62.9、63、63.1、63.2、63.3、63.4、63.5、63.6、63.7、63.8、63.9、64、64.1、64.2、64.3、64.4、64.5、64.6、64.7、64.8、64.9、65、65.1、65.2、65.3、65.4、65.5、65.6、65.7、65.8、65.9、66、66.1、66.2、66.3、66.4、66.5、66.6、66.7、66.8、66.9、67、67.1、67.2、67.3、67.4、67.5、67.6、67.7、67.8、67.9、68、68.1、68.2、68.3、68.4、68.5、68.6、68.7、68.8、68.9、69、69.1、69.2、69.3、69.4、69.5、69.6、69.7、69.8、69.9、70、70.1、70.2、70.3、70.4、70.5、70.6、70.7、70.8、70.9、71、71.1、71.2、71.3、71.4、71.5、71.6、71.7、71.8、71.9、72、72.1、72.2、72.3、72.4、72.5、72.6、72.7、72.8、72.9、73、73.1、73.2、73.3、73.4、73.5、73.6、73.7、73.8、73.9、74、74.1、74.2、74.3、74.4、74.5、74.6、74.7、74.8、74.9、75、75.1、75.2、75.3、75.4、75.5、75.6、75.7、75.8、75.9、76、76.1、76.2、76.3、76.4、76.5、76.6、76.7、76.8、76.9、77、77.1、77.2、77.3、77.4、77.5、77.6、77.7、77.8、77.9、78、78.1、78.2、78.3、78.4、78.5、78.6、78.7、78.8、78.9、79、79.1、79.2、79.3、79.4、79.5、79.6、79.7、79.8、79.9、80、80.1、80.2、80.3、80.4、80.5、80.6、80.7、80.8、80.9、81、81.1、81.2、81.3、81.4、81.5、81.6、81.7、81.8、81.9、82、82.1、82.2、82.3、82.4、82.5、82.6、82.7、82.8、82.9、83、83.1、83.2、83.3、83.4、83.5、83.6、83.7、83.8、83.9、84、84.1、84.2、84.3、84.4、84.5、84.6、84.7、84.8、84.9、85、85.1、85.2、85.3、85.4、85.5、85.6、85.7、85.8、85.9、86、86.1、86.2、86.3、86.4、86.5、86.6、86.7、86.8、86.9、87、87.1、87.2、87.3、87.4、87.5、87.6、87.7、87.8、87.9、88、88.1、88.2、88.3、88.4、88.5、88.6、88.7、88.8、88.9、89、89.1、89.2、89.3、89.4、89.5、89.6、89.7、89.8、89.9、90、90.1、90.2、90.3、90.4、90.5、90.6、90.7、90.8、90.9、91、91.1、91.2、91.3、91.4、91.5、91.6、91.7、91.8、91.9、92、92.1、92.2、92.3、92.4、92.5、92.6、92.7、92.8、92.9、93、93.1、93.2、93.3、93
.4、93.5、93.6、93.7、93.8、93.9、94、94.1、94.2、94.3、94.4、94.5、94.6、94.7、94.8、94.9、95、95.1、95.2、95.3、95.4、95.5、95.6、95.7、95.8、95.9、96、96.1、96.2、96.3、96.4、96.5、96.6、96.7、96.8、96.9、97、97.1、97.2、97.3、97.4、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、又は100ppb未満の気体を25℃で含み得る。いくつかの実施形態では、脱気媒体は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は10ppm未満の気体を25℃で含み得る。いくつかの実施形態では、媒体を減圧下(例えば、真空又は真空ポンプ下)に置くことにより、脱気媒体を調製することができる。いくつかの実施形態では、「減圧」は、大気圧よりも低い圧力であり得;例えば、「減圧」は、760torr未満の圧力であり得る。いくつかの実施形態では、減圧は、真空、中真空、高真空、又は超高真空であり得る。いくつかの実施形態において、減圧は、約760、759、758、757、756、755、754、753、752、751、750、749、748、747、746、745、744、743、742、741、740、739、738、737、736、735、734、733、732、731、730、729、728、727、726、725、724、723、722、721、720、719、718、717、716、715、714、713、712、711、710、709、708、707、706、705、704、703、702、701、700、699、698、697、696、695、694、693、692、691、690、689、688、687、686、685、684、683、682、681、680、679、678、677、676、675、674、673、672、671、670、669、668、667、666、665、664、663、662、661、660、659、658、657、656、655、654、653、652、651、650、649、648、647、646、645、644、643、642、641、640、639、638、637、636、635、634、633、632、631、630、629、628、627、626、625、624、623、622、621、620、619、618、617、616、615、614、613、612、611、610、609、608、607、606、605、604、603、602、601、600、599、598、597、596、595、594、593、592、591、590、589、588、587、586、585、584、583、582、581、580、579、578、577、576、575、574、573、572、571、570、569、568、567、566、565、564、563、562、561、560、559、558、557、556、555、554、553、552、551、550、549、548、547、546、545、544、543、542、541、540、539、538、537、536、535、534、533、532、531、530、529、528、527、526、525、524、523、522、521、520、519、518、517、516、515、514、513、512、511、510、509、508、507、506、505、504、503、502、501、500、499、498、497、496、495、
494、493、492、491、490、489、488、487、486、485、484、483、482、481、480、479、478、477、476、475、474、473、472、471、470、469、468、467、466、465、464、463、462、461、460、459、458、457、456、455、454、453、452、451、450、449、448、447、446、445、444、443、442、441、440、439、438、437、436、435、434、433、432、431、430、429、428、427、426、425、424、423、422、421、420、419、418、417、416、415、414、413、412、411、410、409、408、407、406、405、404、403、402、401、400、399、398、397、396、395、394、393、392、391、390、389、388、387、386、385、384、383、382、381、380、379、378、377、376、375、374、373、372、371、370、369、368、367、366、365、364、363、362、361、360、359、358、357、356、355、354、353、352、351、350、349、348、347、346、345、344、343、342、341、340、339、338、337、336、335、334、333、332、331、330、329、328、327、326、325、324、323、322、321、320、319、318、317、316、315、314、313、312、311、310、309、308、307、306、305、304、303、302、301、300、299、298、297、296、295、294、293、292、291、290、289、288、287、286、285、284、283、282、281、280、279、278、277、276、275、274、273、272、271、270、269、268、267、266、265、264、263、262、261、260、259、258、257、256、255、254、253、252、251、250、249、248、247、246、245、244、243、242、241、240、239、238、237、236、235、234、233、232、231、230、229、228、227、226、225、224、223、222、221、220、219、218、217、216、215、214、213、212、211、210、209、208、207、206、205、204、203、202、201、200、199、198、197、196、195、194、193、192、191、190、189、188、187、186、185、184、183、182、181、180、179、178、177、176、175、174、173、172、171、170、169、168、167、166、165、164、163、162、161、160、159、158、157、156、155、154、153、152、151、150、149、148、147、146、145、144、143、142、141、140、139、138、137、136、135、134、133、132、131、130、129、128、127、126、125、124、123、122、121、120、119、118、117、116、115、114、113、112、111、110、109、108、107、106、105、104、103、102、101、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、
85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1torr未満の圧力であり得る。いくつかの実施形態において、減圧は、約1×10、1×10-1、1×10-2、1×10-3、1×10-4、1×10-5、1×10-6、1×10-7、1×10-8、1×10-9、1×10-10、1×
10-11、又は1×10-12torr未満の圧力であり得る。いくつかの実施形態において、脱気媒体は、脱気媒体を加熱することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、脱気媒体は、約25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、又は100℃の温度に置くことができる。いくつかの実施形態において、脱気媒体は、約25℃~約27℃、約25℃~約28℃、約25℃~約29℃、約25℃~約30℃、約25℃~約31℃、約25℃~約32℃、約25℃~約33℃、約25℃~約34℃、約25℃~約35℃、約25℃~約36℃、約25℃~約37℃、約25℃~約38℃、約25℃~約39℃、約25℃~約40℃、約25℃~約41℃、約25℃~約42℃、約25℃~約43℃、約25℃~約44℃、約25℃~約45℃、約25℃~約46℃、約25℃~約47℃、約25℃~約48℃、約25℃~約49℃、約25℃~約50℃、約25℃~約51℃、約25℃~約52℃、約25℃~約53℃、約25℃~約54℃、約25℃~約55℃、約25℃~約56℃、約25℃~約57℃、約25℃~約58℃、約25℃~約59℃、約25℃~約60℃、約25℃~約61℃、約25℃~約62℃、約25℃~約63℃、約25℃~約64℃、約25℃~約65℃、約25℃~約66℃、約25℃~約67℃、約25℃~約68℃、約25℃~約69℃、約25℃~約70℃、約25℃~約71℃、約25℃~約72℃、約25℃~約73℃、約25℃~約74℃、約25℃~約75℃、約25℃~約76℃、約25℃~約77℃、約25℃~約78℃、約25℃~約79℃、約25℃~約80℃、約25℃~約81℃、約25℃~約82℃、約25℃~約83℃、約25℃~約84℃、約25℃~約85℃、約25℃~約86℃、約25℃~約87℃、約25℃~約88℃、約25℃~約89℃、約25℃~約90℃、約25℃~約91℃、約25℃~約92℃、約25℃~約93℃、約25℃~約94℃、約25℃~約95℃、約25℃~約96℃、約25℃~約97℃、約25℃~約98℃、約25℃~約99℃、約25℃~約100℃の温度に置くことができる。いくつかの実施形態では、脱気媒体を約50℃~約52℃、約50℃~約53℃、約50℃~約54℃、約50℃~約55℃、約50℃~約56℃、約50℃~約57℃、約50℃~約58℃、約50℃~約59℃、約50℃~約60℃、約50℃~約61℃、約50℃~約62℃、約50℃~約63℃、約50℃~約64℃、約50℃~約65℃、約50℃~約66℃、約50℃~約67℃、約50℃~約68℃、約50℃~約69℃、約50℃~約70℃、約50℃~約71℃、約50℃~約72℃、約50℃~約73℃、約50℃~約74℃、約50℃~約75℃、約50℃~約76℃、約50℃~約77℃、約50℃~約78℃、約50℃~約79℃、約50℃~約80℃、約50℃~約81℃、約50℃~約82℃、約50℃~約83℃、約50℃~約84℃、約50℃~約85℃、約50℃~約86℃、約50℃~約87℃、約50℃~約88℃、約50℃~約89℃、約50℃~約90℃、約50℃~約91℃、約50℃~約92℃、約50℃~約93℃、約50℃~約94℃、約50℃~約95℃、約50℃~約96℃、約50℃~約97℃、約50℃~約98℃、約50℃~約99℃、又は約50℃~約100℃の温度に置くことができる。いくつかの実施形態において、媒体は、減圧下、昇圧下、又はその両方に、所与の時間置いて、溶解した気体の濃度を低下させることができる。いくつかの実施形態において、媒体は、減圧下、昇圧下、又はその両方に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60分間置くことができる。いくつか
の実施形態において、媒体は、減圧下、昇圧下、又はその両方に、少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、又は24時間置くことができる。いくつかの実施形態では、脱気媒体(例えば、脱気された脱細胞化又は再細胞化媒体)は、摘出臓器中に灌流された場合、非脱気媒体よりも効率的に機能し得;例えば、脱気媒体を使用する脱細胞化は、同等量の脱細胞化を達成するために、非脱気媒体と比べて、より少ない体積の脱気媒体を必要とし得る。いくつかの実施形態では、脱気媒体を使用する脱細胞化は、非脱気媒体を使用して同等量の脱細胞化を達成するために必要な時間と比べて、所与の量の脱細胞化を達成するためにより少ない時間を必要とし得る。いくつかの実施形態では、脱気媒体での灌流は、非脱気媒体での灌流よりも少ないマイクロバブルを生じる。いくつかの実施形態では、消毒液を脱細胞化の間に利用することができる。いくつかの実施形態では、消毒液は、任意の数の薬剤、例えば、抗生物質、消毒剤、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化溶液で使用できる抗生物質は:アクチノマイシン、アンピシリン、カルベニシリン、セフォタキシム、フォスミドマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、アンホテリシン、ペニシリン、ポリミキシン、ストレプトマイシン、幅広い抗生物質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、任意の濃度の抗生物質を消毒液に導入することができる。いくつかの実施形態では、抗生物質の好適な濃度は:0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は最大約60%であり得る。いくつかの実施形態では、抗生物質の好適な濃度は:0.5U/ml、1U/ml、5U/ml、10U/ml、20U/ml、30U/ml、40U/ml、50U/ml、60U/ml、70U/ml、80U/ml、90U/ml、100U/ml、110U/ml、120U/ml、130U/ml、140U/ml、150U/ml、160U/ml、170U/ml、180U/ml、190U/ml、200U/ml、300U/ml、400U/ml、500U/ml、600U/ml、700U/ml、800U/ml、900U/ml、1000U/ml、及び最大約1500U/mlであり得る。いくつかの実施形態では、抗生物質の好適な濃度は:0.5μg/ml、1μg/ml、1.5μg/ml、2μg/ml、2.5μg/ml、3μg/ml、3.5μg/ml、4μg/ml、4.5μg/ml、5μg/ml、5.5μg/ml、6μg/ml、6.5μg/ml、7μg/ml、7.5μg/ml、8μg/ml、8.5μg/ml、9μg/ml、9.5μg/ml、10μg/ml、15μg/ml、20μg/ml、25μg/ml、30μg/ml、35μg/ml、40μg/ml、45μg/ml、50μg/ml、又は最大約60μg/mlであり得る。いくつかの実施形態では、抗生物質は、1%塩化ベンザルコニウム、100U/mlペニシリン-G、100U/mlストレプトマイシン、50μg/mlゲンタマイシン及び0.25μg/mlアンホテリシンBであり得る。いくつかの実施形態では、概して、中程度の濃度の中性(すなわち、非イオン性)洗浄剤は、細胞膜完全性を損なう可能性があり、それによって細胞の溶解及び多くの場合は天然形態の可溶性タンパク質の抽出を促進する。いくつかの実施形態では、ある特定の緩衝液条件を使用して、様々な洗浄剤は、単離されたリン脂質及び膜タンパク質と混合ミセルを形成するために充分な濃度で膜二重層間に効果的に浸透する。いくつかの実施形態では、SDSなどの変性洗浄剤は、CMC(すなわち、モノマーとして)より低い濃度で、膜(疎水性)及び非膜(水溶性、親水性)タンパク質の両方と結合することができる。いくつかの実施形態では、反応は飽和するまで平衡で駆動することができ、したがって、モノマーの遊離濃度は、洗浄剤濃度を決定できる。いくつかの実施形態では、SDS結合は、協同的(すなわち、1分子のSDSの結合は、別の1分子のSDSがそのタンパク質と結合する確率を増
大させる)であり得、ほとんどのタンパク質を、その長さが分子量に比例し得る硬質ロッドに変えることができる。いくつかの実施形態では、Triton X-100などの非変性洗浄剤は、水溶性タンパク質に浸透しない硬質かつかさ高い非極性頭部を有し;結果として、それらは概して水溶性タンパク質の天然の相互作用及び構造を破壊せず、協同的結合特性を有しない。いくつかの実施形態では、非変性洗浄剤の主な効果は、膜タンパク質の疎水性部分と会合することであり得、それにより、それらに混和性を付与する。いくつかの実施形態では、摘出臓器若しくはその一部又は組織を生成するためのシステムは、プログラム可能なプロセッサと組み合わせたコンピュータ可読記憶媒体によって制御することができる(例えば、ここで使用するコンピュータ可読記憶媒体には、プログラム可能なプロセッサに特定のステップを実行させるための命令が格納されている)。いくつかの実施形態では、例えば、そのような記憶媒体は、プログラム可能なプロセッサと組み合わせて、一つ以上のセンサから情報を受け取り、処理することができる。いくつかの実施形態では、プログラム可能なプロセッサと組み合わせたそのような記憶媒体はまた、バイオリアクター及び/又は摘出臓器若しくは組織に情報や命令を返送することもできる。いくつかの実施形態では、再細胞化を受けている摘出臓器又は組織を生物学的活性についてモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、生物学的活性は、摘出臓器若しくはその一部又は組織自体の活性であり得、例えば心臓組織の場合、摘出臓器又は組織の電気的活性、機械的
活性、機械的圧力、収縮性、及び/又は壁応力であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器若しくはその一部又は組織に付着又は移植された細胞の生物学的活性は、例えば、イオン輸送/交換活性、細胞分裂、及び/又は細胞生存率についてモニタリグすることができる。いくつかの実施形態では、再細胞化の間に、摘出臓器又はその一部に対する能動的な負荷をシミュレートすることが有用であり得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、プログラム可能なプロセッサと組み合わせて、摘出臓器又は組織に対する能動的な負荷をモニタリングし維持するために必要な構成成分を適合させるために使用できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器若しくはその一部又は組織の重量を、ここに記載するコンピュータ可読記憶媒体に入力することができ、この記憶媒体は、プログラム可能なプロセッサと組み合わせて、その特定の臓器又は組織について曝露時間及び灌流圧力を計算することができる。いくつかの実施形態では、そのような記憶媒体は、予負荷及び後負荷(それぞれ、灌流前及び灌流後の圧力)並びに流速を記録することができる。いくつかの実施形態では、例えば、プログラム可能なプロセッサと組み合わせたコンピュータ可読記憶媒体は、一つ以上のポンプ及び/又はバルブ制御を介して、灌流圧力、灌流の方向、及び/又は灌流溶液の種類を調節することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部の灌流脱細胞化は、非灌流ベースの脱細胞化システムと比べて、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は最大約100%より有効であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部の脱細胞化は、様々な手段を使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、組織学的検査によって決定することができる。いくつかの実施形態では、組織学的検査は、小葉や中心静脈などの全体的構造を保持しながら、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の内部で細胞物質、核、及びそれらの組み合わせの欠如又は減少を示し得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、免疫組織化学的染色によって決定することができる。いくつかの実施形態では、免疫組織化学的染色は、灌流脱細胞化後のガラクトシル-α(1,3)ガラクトース(α-Gal)などの細胞因子の不足を示し得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、DNA定量化を使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、DNA定量化は、PicoGreen、qPCR、及びQuant-ITなどのアッセイを含み得る。いくつかの実施形態では、DNA定量化アッセイは、摘出臓器又はその一部におけるDNAの減少量を決定することができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は:H&E染色での組織構造、細胞構造の免疫蛍光、細胞膜関連タンパク質の免疫組織化学的染色、核染色、例えば、Dapi、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかの方法によって決定することができる。いくつ
かの実施形態では、灌流ベース脱細胞化された摘出臓器又はその一部は、臓器特異的細胞の導入に必要な適切な微小環境を含む天然のスキャフォールドを、対象の血液供給及び生理学的血圧を維持できる外皮(outer capsule)に再接続するための無傷な血管網と共に保存する。いくつかの実施形態では、これらの構成成分は灌流再細胞化のその後の使用にとって重要であり得、この灌流再細胞化もまた、灌流を使用して、血管及び臓器特異的再生細胞を少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の上に再配置させ、ここで、それらはバイオリアクター中、通常の生理的条件下で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が成長し成熟するにつれ、(灌流脱細胞化スキャフォールド内にとどまる、関連するシグナリングタンパク質マーカーを介して)適切な微小環境に移動することができる。いくつかの実施形態では、得られた少なくとも部分的に再細胞化された摘出臓器又はその一部は、次いで、現行の臓器移植に匹敵する技術を利用して移植することができる。いくつかの実施形態では、灌流脱細胞化によって創出されたスキャフォールドは、様々な細胞を受容し組み入れることが可能であり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは微粒子を生成することができる。いくつかの実施形態では、微粒子は、脱細胞化からの残留コメントを指すことができる。いくつかの実施形態では、微粒子は、天然のタンパク質と洗浄剤との間の不溶性相互作用によって形成され得る。いくつかの実施形態では、微粒子は、水溶液中で不混和性であり得る。いくつかの実施形態では、SDS又は他の洗浄剤で全臓器を脱細胞化する間に不溶性白色微粒子の提示が見られる。いくつかの実施形態では、脱細胞化の間に微粒子が形成され、次いで臓器中にトラップされるようになり、このことは、無細胞産物に対する脱細胞化されたマトリックスの使用に悪影響を及ぼし得るか、又は再細胞化に対するその脱細胞化された摘出臓器の一部若しくはそのマトリックスの使用に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、方法は、生理食塩水溶液、非絶食時哺乳動物、及びそれらの組み合わせの使用により、微粒子形成を低減できる。いくつかの実施形態では、微粒子形成を低減することで、脱細胞化されたマトリックスの導入された細胞に対する細胞毒性を、例えば再細胞化の間、減少させることができる。いくつかの実施形態では、微粒子の低減は、溶液の使用、哺乳動物の食習慣の制御、又はそれらの組み合わせによって実施できる。
【表1】
【0037】
浸漬脱細胞化
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、摘出臓器又はその一部の浸漬ベースの脱細胞化の方法である。いくつかの実施形態では、全臓器又はその一部は、臓器から全細胞及び組織内容物を除去することにより、脱細胞化できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、一連の逐次抽出を含み得る。いくつかの実施形態では、第一ステップは、細胞片の除去と細胞膜の可溶化とを含み得る。いくつかの実施形態では、これに続いて、核細胞質構成成分及び核構成成分の可溶化を行うことができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器は、穏やかな機械的破壊方法を使用して摘出臓器を取り巻く細胞膜及び細胞片を除去することによって脱細胞化することができる。いくつかの実施形態では、
穏やかな機械的破壊方法で細胞膜を破壊することができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化のプロセスは、生物学的構造の複雑な基礎構造の損傷又は障害を回避できる。いくつかの実施形態では、穏やかな機械的破壊方法は、摘出臓器若しくはその一部の表面を掻爬すること、摘出臓器若しくはその一部を撹拌すること(agitating)、又は摘出臓器若しくはその一部を好適な体積の流体、例えば蒸留水中で撹拌すること(stirring)を含み得る。いくつかの実施形態では、穏やかな機械的破壊方法は、細胞膜を破壊でき、また細胞片が摘出臓器又はその一部から除去されるまで、好適な体積の蒸留水中で摘出臓器又はその一部を磁気撹拌すること(例えば、磁気撹拌棒及び磁性板を使用)を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞膜を除去した後、核又は細胞質の生物学的構造構成成分を除去できる。いくつかの実施形態では、これは、基礎構造を破壊することなく、細胞又は核構成成分を可溶化することによって実施できる。いくつかの実施形態では、核構成成分を可溶化するために、非イオン性洗浄剤又は界面活性剤を使用できる。いくつかの実施形態では、非イオン性洗浄剤又は界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、多くの販売会社から市販されている、Triton X-100、Triton N-101、Triton X-114、Triton X-405、Triton
X-705、及びTriton DF-16を含む、ペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas社から入手可能なTritonシリーズ界面活性剤;Tweenシリーズ界面活性剤、例えば、モノラウレート(Tween20)、モノパルミテート(Tween40)、モノオレエート(Tween80)、及びポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル(Brij.35)、ポリオキシエチレンエーテルW-1(Polyox)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、CHAPS、サポニン、n-デシルβ-D-グルコピラノシド、n-ヘプチルβ-Dグルコピラノシド、n-オクチルα-D-グルコピラノシド、Nonidet P-40、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0038】
物理的処理
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、摘出臓器又はその一部の物理的処理による、少なくとも部分的な脱細胞化の方法である。いくつかの実施形態では、物理的処理を使用して、ECM又はその一部から細胞を溶解、殺滅、及び除去することができる。いくつかの実施形態では、物理的処理は、温度、力、圧力、及び電気的破壊を利用できる。いくつかの実施形態では、温度法は、急速凍結メカニズムで使用できる。いくつかの実施形態では、例えば、組織を凍結させることによって、微細な氷が細胞膜の周りに形成され、細胞を溶解させることができる。いくつかの実施形態では、一つ以上の細胞を溶解させた後、組織を液化化学物質にさらに曝露することで、任意の残存する構成成分又は望ましくない構成成分を分解し洗い流すことができる。いくつかの実施形態では、温度法は、ECMスキャフォールドの物理的構造を保存できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部、及び組織は、好適な温度で脱細胞化できる。いくつかの実施形態では、好適な温度は、約4℃、8℃、10℃、12℃、14℃、16℃、18℃、20℃、22℃、24℃、26℃、28℃、30℃、32℃、34℃、36℃、38℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、又は最大約70℃であり得る。いくつかの実施形態では、物理的処理はまた、圧力の使用も含み得る。いくつかの実施形態では、圧力脱細胞化は、組織、摘出臓器、又はその一部に適用された静水圧の制御された使用を含み得る。いくつかの実施形態では、圧力脱細胞化は、モニタリングされない氷の結晶の形成を回避するために高温で実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部の電気的破壊を実施できる。いくつかの実施形態では、電気的破壊は、組織若しくは摘出臓器又はその一部中に収容された細胞を溶解するために実施できる。いくつかの実施形態では、組織、摘出臓器、又はその一部を電気パルスに曝露することによって、細胞膜に微細孔を形成できる。いくつかの実施形態では、そのような適用された刺激によって恒常性電気バランスが崩された後に一つ以上の細胞が死滅する可能性がある。いくつかの実施形態では、この電気的プロセスは、非熱的不可逆電気穿孔法(NTIRE)として実証できる。い
くつかの実施形態では、超音波処理も、脱細胞化のため、又は灌流脱細胞化を増強するために使用できる。
【0039】
化学的処理及び酵素処理
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、少なくとも部分的な脱細胞化を達成するための摘出臓器又はその一部の化学的処理方法である。いくつかの実施形態では、化学的処理で使用するための化学物質及び/又はその塩は、厚さ、細胞外マトリックス組成、組織若しくは摘出臓器の使用目的、又はそれらの任意の組み合わせに応じて、脱細胞化のために選択することができる。いくつかの実施形態では、例えば、酵素は結合組織線維を破壊し得るので、酵素はコラーゲン組織に使用されない場合がある。いくつかの実施形態では、コラーゲンが高濃度で存在しないか、又は組織中で必要とされない場合、酵素は脱細胞化のための実行可能な選択肢となり得る。いくつかの実施形態では、細胞を殺して除去するために使用できる化学物質又はその塩は、限定されるものではないが、酸、アルカリ処理、イオン性洗浄剤、非イオン性洗浄剤、双性イオン性洗浄剤、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、一つ以上の化学物質は細胞破壊媒体を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリエチレングリコール(PEG)、又はTriton Xなどの少なくとも一つの洗浄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、細胞膜を溶解し、内容物をさらなる分解に曝露するように効果的に作用できる。いくつかの実施形態では、例えば、SDSが細胞膜を溶解した後、エンドヌクレアーゼ及び/又はエキソヌクレアーゼは遺伝的内容物を分解でき、その一方で、細胞の他の構成成分を可溶化してマトリックスから洗い流すことができる。いくつかの実施形態では、アルカリ処理剤及び/又は酸処理剤は、核酸を分解でき、細胞質内封入体を可溶化できるので、これらと洗浄剤を混合することができる。いくつかの実施形態では、一つ以上の細胞破壊媒体を使用して、摘出臓器又は組織を脱細胞化することができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、SDS、PEG、又はTriton Xなどの少なくとも一つの洗浄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、媒体が浸透圧的に細胞と不適合となり得るように水を含むことができる。あるいは、いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、細胞との浸透圧適合性のための緩衝液(例えば、PBS)を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体はまた、酵素、例えば、限定されるものではないが、一つ以上のコラゲナーゼ、一つ以上のディスパーゼ、一つ以上のDNase、一つ以上のプロテアーゼ、及びそれらの任意の組み合わせも含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、付加的又は代替的に、一つ以上の酵素の阻害剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、及び/又はコラゲナーゼ阻害剤)を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、媒体が浸透圧的に細胞と不適合となり得るように水を含むことができる。いくつかの実施形態では、あるいは、細胞破壊媒体は、細胞との浸透圧適合性のために緩衝液(例えば、PBS)を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体はまた、一つ以上のコラゲナーゼ、一つ以上のディスパーゼ、一つ以上のDNase、又はプロテアーゼ、例えばトリプシンなどの酵素も含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞破壊媒体は、付加的又は代替的に、一つ以上の酵素の阻害剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、及び/又はコラゲナーゼ阻害剤)を含むことができる。いくつかの実施形態では、Triton X-100などの非イオン性洗浄剤を利用できる。いくつかの実施形態では、Triton X-100は、脂質間、又は脂質とタンパク質との間の相互作用を破壊できる。いくつかの実施形態では、Triton X-100は、タンパク質間相互作用を破壊しない可能性があり、このことは、ECMを無傷に保つために有益であり得る。いくつかの実施形態では、EDTAを利用できる。いくつかの実施形態では、EDTAは、カルシウムと結合するキレート剤であり得、これは、タンパク質が互いに相互作用するための構成成分であり得る。いくつかの実施形態では、カルシウムを利用不可能にすることによって、EDTAは、細胞間の内在性タンパク質が互いに結合するのを防ぐことができる。いくつか
の実施形態では、EDTAは、組織内の隣接する細胞の内在性タンパク質間の既存の結合を切断するプロテアーゼとして作用する酵素であるトリプシンと共に使用できる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、約10分から、30分、60分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、51時間、52時間、53時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、70時間、80時間、90時間、又は約100時間まで投与することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部のサイズ及び/又は重量に応じて、洗浄剤などの化学的処理剤は、摘出臓器又はその一部と、細胞破壊媒体を含む摘出実質臓器又は組織1グラムあたり、約2時間から、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、約20時間まで接触させることができる。洗浄を含むいくつかの実施形態では、摘出臓器を最大約12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、51時間、52時間、53時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、70時間、80時間、90時間、又は最大約100時間まで灌流することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部は、組織1グラムあたり約12時間から約72時間まで灌流することができる。いくつかの実施形態では、灌流は、パルス流、速度、圧力、及びそれらの任意の組み合わせを含む生理的条件に対して調節することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、その一部、又は組織は、少なくとも2つの異なる細胞破壊媒体と連続して接触させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、第一細胞破壊媒体は、SDSなどのアニオン性洗浄剤を含むことができ、第二細胞破壊媒体は、Triton Xなどのイオン性洗浄剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、灌流などの、少なくとも一つの細胞破壊媒体との接触後、カニューレ挿入された摘出臓器又は組織を、例えば、洗浄液又は一つ以上の酵素を含む溶液で灌流することができる。いくつかの実施形態では、灌流の方向(例えば、順行性及び逆行性)を交互にすることで、摘出臓器、その一部、又は組織を効果的に脱細胞化するのを助けることができる。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、摘出臓器又はその一部を内側部分から外側部分へ向かって脱細胞化でき、その結果、ECMにはほとんど損傷を与えない。いくつかの実施形態では、脱細胞化の連続的方法は、摘出臓器又はその一部をSDS洗浄剤などの細胞破壊媒体と接触させ、続いて洗浄ステップ、続いて一つ以上の化学物質を添加し、続いて洗浄剤と接触させ、そして最後に少なくとも一つの洗浄ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化の連続的方法は、ここで開示する任意の媒体又は溶液との、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は最大で15の接触ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、ここで開示する緩衝液は、約0.1%から、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約100%までの濃度であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部(例えば、肝臓、肺、腎臓、心臓、膀胱、膵臓、脾臓、子宮、又はその一部)は、脱細胞化の前に前処理できるか又はフラッシング溶液でフラッシングできる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の溶液での前処理又はフラッシングを使用して、血液の除去及び/又は血餅形成の低減が可能である。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部を、1回、2回、3回、4回、5回、又はそ
れ以上フラッシングすることができる。いくつかの実施形態では、フラッシングはある期間にわたって行われる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部のフラッシングは、数分から数日、数分から数時間、又は数時間(例えば、約5分、10分、15分、20分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、10時間、24時間、48時間、又はそれ以上)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、フラッシング溶液は高張溶液であり得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は、細胞内部の溶質濃度よりも高い溶質濃度を有する溶液を指すことができる。いくつかの実施形態では、高張溶液は、塩化ナトリウムと、酢酸ナトリウムなどの第二のナトリウム源とを含む。いくつかの実施形態では、高張溶液は、ナトリウム源と塩化物源とを含む。いくつかの実施形態では、ナトリウムの塩化物に対する比率は約1:0.7~1:1であり得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は、NaCl、KCl、NaHCO、NaSO、NaHPO、MgCl、酢酸Na、乳酸Na、生理食塩水、4×生理食塩水、5×生理食塩水、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は生理食塩水であり得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は5×生理食塩水であり得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は、約0.1%NaCl、0.2%NaCl、0.5%NaCl、0.7%NaCl、0.8%NaCl、0.9%NaCl、1%NaCl、1.5%NaCl、2%NaCl、2.5%NaCl、3%NaCl、3.5%NaCl、4%NaCl、4.5%NaCl、5%NaCl、5.5%NaCl、6%NaCl、6.5%NaCl、7%NaCl、8%NaCl、9%NaCl、10%NaCl、12%NaCl、15%NaCl、20%NaCl、23%NaCl、若しくは25%NaCl、約0.1%NaCl、0.2%NaCl、0.5%NaCl、0.7%NaCl、0.8%NaCl、0.9%NaCl、1%NaCl、1.5%NaCl、2%NaCl、2.5%NaCl、3%NaCl、3.5%NaCl、4%NaCl、4.5%NaCl、5%NaCl、5.5%NaCl、6%NaCl、6.5%NaCl、7%NaCl、8%NaCl、9%NaCl、10%NaCl、12%NaCl、15%NaCl、20%NaCl、23%NaCl、若しくは25%NaCl以上、又は約0.1%NaCl、0.2%NaCl、0.5%NaCl、0.7%NaCl、0.8%NaCl、0.9%NaCl、1%NaCl、1.5%NaCl、2%NaCl、2.5%NaCl、3%NaCl、3.5%NaCl、4%NaCl、4.5%NaCl、5%NaCl、5.5%NaCl、6%NaCl、6.5%NaCl、7%NaCl、8%NaCl、9%NaCl、10%NaCl、12%NaCl、15%NaCl、20%NaCl、23%NaCl、若しくは25%

NaClまでであり得る。いくつかの実施形態では、高張溶液は、KHCO、酢酸K、乳酸K、MgSO、又はKHPOなどの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、生理食塩水溶液は、10×の処方を有し得、これを水で希釈して、様々な高張溶液を得ることができる。いくつかの実施形態では、高張溶液は、約1.01×~約10×緩衝液の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、緩衝液は生理食塩水溶液であり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又は任意のその一部は、高張溶液、低張溶液、又は両者で洗浄することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部は、脱細胞化の前及び/又は後に消毒することができる。いくつかの実施形態では、消毒は脱細胞化前に実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は脱細胞化後に実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は、摘出臓器、組織、又はその一部がフラッシング溶液でフラッシングされ得る後に実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は、摘出臓器、組織、又はその一部をフラッシング溶液でフラッシングすることなく実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は、摘出臓器、組織、又はその一部が洗浄溶液で洗浄され得る前に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の消毒は、例えば、消毒液を含む消毒浴中に摘出臓器、組織、又はその一部を入れることによって実施できる。いくつかの実施形態では、消毒はまた、摘出臓器、組織、又はその一部を消毒液で灌流又は浸漬することによっても行うことができる。いくつかの実施形態で
は、消毒は、摘出組織、臓器、又はその一部を消毒液に沈めることによって行われる。いくつかの実施形態では、消毒液は、酸、過酸、過酸化水素、過酸化物、酢酸、過酢酸、及びペルオキシ酢酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、消毒液は、過酸、過酸化水素、酢酸、過酢酸(PAA)、生理食塩水、SDS、又は水酸化ナトリウム(NaOH)のうちの一つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、消毒に使用される溶液は、酸(例えば、過酸)、過酸化水素、過酸化水素を含む化合物、過酸を含む化合物、有機部分に共有結合した過酸化水素、生理食塩水、及び/又はナトリウム含有溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液は生理食塩水を含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液はナトリウムを含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液は、NaCl(例えば、0.1%NaCl、0.2%NaCl、0.5%NaCl、0.7%NaCl、0.8%NaCl、0.9%NaCl、1%NaCl、1.5%NaCl、2%NaCl2.5%NaCl、3%NaCl、3.5%NaCl、4%NaCl、4.5%NaCl、5%NaCl、5.5%NaCl、6%NaCl、6.5%NaCl、7%NaCl、8%NaCl、9%NaCl、10%NaCl、12%NaCl、15%NaCl、20%NaCl、23%NaCl、又は25%NaCl)を含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液は生理食塩水と酸とを含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液は生理食塩水と過酸(例えば、過酢酸)とを含み得る。いくつかの実施形態では、消毒液は、0.9%NaClと600ppmの過酢酸とを含み得る。いくつかの実施形態では、生理食塩水は、1×生理食塩水、2×生理食塩水、5×生理食塩水、7×生理食塩水、10×生理食塩水、12×生理食塩水、15×生理食塩水であり得る。いくつかの実施形態では、消毒液は生理食塩水と過酸(例えば、過酢酸)とを含み得る。いくつかの実施形態では、生理食塩水は1×生理食塩水であり得る。いくつかの実施形態では、消毒液中の酸又は過酸は、約25パーツ・パー・ミリオン(ppm)~約4000ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、消毒液中の酸又は過酸は、約500ppm~約700ppm(500ppm~700ppm)、600ppm~650ppm、250ppm~700ppm、250ppm~800ppm、550ppm~1000ppm、600ppm~700ppm、550ppm~2000ppm、550ppm~3000ppm、550ppm~4000ppm、1000ppm~2000ppm、2000ppm~3000ppm、又は3000ppm~4000ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸は、約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppmで、少なくとも約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppmで、又は約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375
ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppmまでであり得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸(例えば、過酢酸)は、約600ppmであり得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸(例えば、過酢酸)は、約50ppmであり得る。いくつかの実施形態では、消毒液は、約4~約10のpH(例えば、6~7、5~8、5~10、6~8、及び5.5~9のpH)を有し得る。いくつかの実施形態では、消毒液は、約5.00~約7.50、約6.00~約8.00、約6.10~約7.00、約4.50~約9.00、又は約6.00~約6.50のpHを有する。いくつかの実施形態では、消毒液は、約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19、6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14、少なくとも約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19、6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14、又は約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19、6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14までのpHを有する。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の消毒は、数分から、数日まで、数週間まで、数カ月まで、又はそれ以上の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、消毒は、約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上、少なくとも約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上、又は約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上まで実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくははそれ以上、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくははそれ以上、又は約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくははそれ以上まで実施できる。いくつかの実施形態では、消毒は、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週
間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上、又は約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上まで実施できる。
【0040】
いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部は、酸(例えば、酢酸)又はラジカル生成化合物を含む脱細胞化溶液を用いて脱細胞化され得る。ラジカル生成化合物は、穏やかな条件下でラジカルに分解可能であり得る化合物であり得る。ラジカル生成化合物は、式R-O-O-Rの化合物を含み得、式中、R及びRは、独立して、H、C~Cアルキル、置換C~Cアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、C(=O)A、C(=O)OAであり、ここで、A及びAは、独立して、H、C~Cアルキル又は置換C~Cアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、ラジカル生成化合物は式R-O-O-Rの化合物であり得、式中、RはHであり得、RはC(=O)CHであり得る。いくつかの場合では、ラジカル生成化合物は、ここで開示する過酸であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、消毒後に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、消毒前に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、フラッシング後に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、フラッシング前に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、フラッシング及び消毒後に実施できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、フラッシング及び消毒前に実施できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化に使用される溶液は、洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化に使用される溶液は、洗浄剤と、過酸などの酸とを含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化に使用される溶液は、酸、過酸、過酸化水素、過酸化水素を含む化合物、過酸を含む化合物、有機部分と共有結合した過酸化水素、生理食塩水、及び/又はナトリウム含有溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤(例えば、SDS)は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、0.6%、0.8%、0.9%、1%、5%、10%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、65%、70%、80%、90%、又はそれ以上の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、0.6%で存在し得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、0.9%で存在し得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤は商業的に入手可能であり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化に使用される溶液は、洗浄剤と過酸(例えば、SDS及び過酢酸(PAA))とを含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化溶液は、約4~約10のpH(例えば、6~7、5~8、5~10、6~8、及び5.5~9のpH)を有し得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化溶液は、約5.00~約7.50、約6.00~約8.00、約6.10~約7.00、約4.50~約9.00、又は約6.00~約6.50のpHを有する。いくつかの実施形態では、脱細胞化溶液は、約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19,6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14、少なくとも約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19,6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8
.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14、又は約4.00、4.50、5.00、5.50、5.80、5.90、6.00、6.05、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.15、6.16、6.17、6.18、6.19,6.20、6.30、6.40、6.41、6.42、6.43、6.44、6.45、6.50、6.60、6.90、7.00、7.50、8.00、8.50、9.0、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、若しくは14までのpHを有する。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化は、数分から、数日まで、数週間まで、数カ月まで、又はそれ以上であり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上、少なくとも約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上、又は約5分、10分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、27時間、30時間、34時間、40時間、44時間、48時間、若しくはそれ以上まで実施され得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくはそれ以上、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくはそれ以上、又は約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日、若しくはそれ以上まで実施され得る。いくつかの実施形態では、消毒は、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週間、1か月、2カ月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週間、1か月、2カ月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上、又は約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、7週間、8週間、1か月、2カ月、3か月、4か月、5か月、6か月、1年、若しくはそれ以上まで実施され得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、少なくとも一つの洗浄ステップ、少なくとも一つのフラッシングステップ、少なくとも一つの消毒ステップ、少なくとも一つの脱細胞化ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、過酸溶液は過酸化物溶液であり得る。いくつかの実施形態では、過酸の例としては、限定されるものではないが、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、過酸は過酸化水素と酢酸との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、過酸は過酢酸(PAA)であり得る。いくつかの実施形態では、過酸(例えば、過酢酸)は、約0.1%~約1.0%、約0.1%~約15%、約0.1%~約5.0%、約0.1%~約10%、又は約0.1%~約0.5%の範囲で存在し得る。いくつかの実施形態では、過酸(例えば、過酢酸)を含む溶液は、約0.1%過酸を含み得る。いくつかの実施形態では、溶液(例えば、脱細胞化溶液又は消毒液又は脱細胞化プロセスの間に使用される別の溶液)中の過酸濃度は、約0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10
.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、18%、20%、23%、25%、若しくはそれ以上、少なくとも約0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、18%、20%、23%、25%、若しくはそれ以上、又は約0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、18%、20%、23%、25%、若しくはそれ以上までであり得る。いくつかの実施形態では、溶液(例えば、脱細胞化溶液又は消毒液又は脱細胞化プロセスの間に使用される別の溶液)中の酸又は過酸は、約25パーツ・パー・ミリオン(ppm)~約4000ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、溶液(例えば、脱細胞化溶液又は消毒液又は脱細胞化プロセスの間に使用される別の溶液)中の酸又は過酸は、約500ppm~約700ppm(500ppm~700ppm)、600ppm~650ppm、250ppm~700ppm、250ppm~800ppm、550ppm~1000ppm、600ppm~700ppm、550ppm~2000ppm、550ppm~3000ppm、550ppm~4000ppm、1000ppm~2000ppm、2000ppm~3000ppm、又は3000ppm~4000ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、溶液(例えば、脱細胞化溶液又は消毒液又は脱細胞化プロセスの間に使用される別の溶液)中の酸又は過酸は、約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppm、少なくとも約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700ppm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppm、又は約10ppm、25ppm、50ppm、75ppm、90ppm、100ppm、125ppm、150ppm、175ppm、200ppm、225ppm、250ppm、275ppm、300ppm、325ppm、350ppm、375ppm、400ppm、425ppm、450ppm、475ppm、500ppm、525ppm、550ppm、575ppm、600ppm、625ppm、650ppm、675ppm、700p
pm、725ppm、750ppm、775ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、2000ppm、2200ppm、2500ppm、2750ppm、3000ppm、3200ppm、3500ppm、3750ppm、若しくは4000ppmまでであり得る
。いくつかの実施形態では、酸又は過酸(例えば、過酢酸)は、約600ppmであり得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸(例えば、過酢酸)は、約50ppmであり得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸を溶液へ添加することで、流量を増加させることができる。いくつかの実施形態では、酸又は過酸を使用しない後続ステップでも、流量の増加を維持できる。いくつかの実施形態では、灌流脱細胞化の間に過酸を溶液に添加することで、流量を増加させることができ、過酸を使用しない後続の灌流の間で流量を維持できる(又は実質的に減少しない)。いくつかの実施形態では、流量は、所定の圧力で調節できる。いくつかの実施形態では、所定の圧力は、約1mmHg、2mmHg、3mmHg、4mmHg、5mmHg、6mmHg、7mmHg、8mmHg、9mmHg、10mmHg、11mmHg、12mmHg、13mmHg、14mmHg、15mmHg、16mmHg、17mmHg、18mmHg、19mmHg、20mmHg、21mmHg、22mmHg、23mmHg、24mmHg、25mmHg、26mmHg、27mmHg、28mmHg、29mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、65mmHg、70mmHg、75mmHg、80mmHg、90mmHg、100mmHg、150mmHg、175mmHg、200mmHg、250mmHg、300mmHg、350mmHg、400mmHg、450mmHg、500mmHg、550mmHg、600mmHg、700mmHg、800mmHg、900mmHg、1000mmHg、若しくはそれ以上、少なくとも約1mmHg、2mmHg、3mmHg、4mmHg、5mmHg、6mmHg、7mmHg、8mmHg、9mmHg、10mmHg、11mmHg、12mmHg、13mmHg、14mmHg、15mmHg、16mmHg、17mmHg、18mmHg、19mmHg、20mmHg、21mmHg、22mmHg、23mmHg、24mmHg、25mmHg、26mmHg、27mmHg、28mmHg、29mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、65mmHg、70mmHg、75mmHg、80mmHg、90mmHg、100mmHg、150mmHg、175mmHg、200mmHg、250mmHg、300mmHg、350mmHg、400mmHg、450mmHg、500mmHg、550mmHg、600mmHg、700mmHg、800mmHg、900mmHg、1000mmHg、若しくはそれ以上、又は約1mmHg、2mmHg、3mmHg、4mmHg、5mmHg、6mmHg、7mmHg、8mmHg、9mmHg、10mmHg、11mmHg、12mmHg、13mmHg、14mmHg、15mmHg、16mmHg、17mmHg、18mmHg、19mmHg、20mmHg、21mmHg、22mmHg、23mmHg、24mmHg、25mmHg、26mmHg、27mmHg、28mmHg、29mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、60mmHg、65mmHg、70mmHg、75mmHg、80mmHg、90mmHg、100mmHg、150mmHg、175mmHg、200mmHg、250mmHg、300mmHg、350mmHg、400mmHg、450mmHg、500mmHg、550mmHg、600mmHg、700mmHg、800mmHg、900mmHg、1000mmHg、若しくはそれ以上までであり得る。いくつかの実施形態では、所定の圧力は、約5mmHg~約20mmHg、約10mmHg~約30mmHg、約5mmHg~約50mmHg、又は約8mmHg~約100mmHgであり得る。いくつかの実施形態では、流量は、約50mL/分、100mL/分、150mL/分、200mL/分、250mL/分、300mL/分、350mL/分、400mL/分、450mL/分、500mL/分、550mL/分、600mL/分、650mL/分、700mL/分、750mL/分、800mL/分、900mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、若しくはそれ以上、少なくとも約50mL/分、100mL/分、150mL/分、200mL/分、250mL/分、300mL/分、350mL/分、400mL/分、450mL/分、500mL/分、550mL/分、600mL/分、650mL/分、700mL/分、750mL/分、800mL/分、900mL/分、1000mL/分、1500m
L/分、2000mL/分、若しくはそれ以上、又は約50mL/分、100mL/分、150mL/分、200mL/分、250mL/分、300mL/分、350mL/分、400mL/分、450mL/分、500mL/分、550mL/分、600mL/分、650mL/分、700mL/分、750mL/分、800mL/分、900mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、若しくはそれ以上まで増加させることができる。いくつかの実施形態では、流量は、生理学的速度を越えて増加させることができる。いくつかの実施形態では、流量は、生理学的速度を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上増加させることができる。いくつかの実施形態では、流量は、約500mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、2500mL/分、若しくはそれ以上、少なくとも約500mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、2500mL/分、若しくはそれ以上、又は約500mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、2500mL/分、若しくはそれ以上まで増加させることができる。いくつかの実施形態では、流量は、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)などのクロマトグラフィーによって測定できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、約10日、8日、7日、5日、4日、3日、2日、1日若しくは1日未満、少なくとも約10日、8日、7日、5日、4日、3日、2日、1日若しくは1日未満、又は約10日、8日、7日、5日、4日、3日、2日、1日若しくは1日未満まで存続し得る。いくつかの実施形態では、プロセスは、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、15時間、18時間、20時間、24時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくは約100時間超、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、15時間、18時間、20時間、24時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくは約100時間超、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、15時間、18時間、20時間、24時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくは約100時間超まで存続し得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、例えば、摘出臓器、組織、又はその一部を洗浄剤溶液で、約1~約10、約1~約20、約1~約7、約1~約15、約1~約2、約1~約5、又は約1~約6相又はサイクルで、灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、例えば、摘出臓器、組織、又はその一部を洗浄剤溶液で、合計で約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上まで、灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、例えば、摘出臓器、組織、又はその一部を洗浄剤溶液で、合計で約20時間~約50時間、約10時間~約80時間、又は約30時間~約50時間、灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、摘出臓器、組織、又はその一部を過酸(例えば、PAA)溶液で、約1~約10、約1~約20、約1~約7、約1~約15、約1~約2、約1~約5、約1~約3、約1~約2、又は約1~約6相又はサイクルで灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、例えば、摘出臓器、組織、又
はその一部を過酸溶液で、合計で約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上まで、灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、例えば、摘出臓器、組織、又はその一部を過酸溶液で、合計で約2時間~約10時間、約30時間~約7時間、又は約1時間~約15時間灌流又は浸漬又は沈めることを含む。いくつかの実施形態では、洗浄剤溶液及び過酸溶液は重複する。いくつかの実施形態では、洗浄剤溶液は、過酸溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、水での洗浄を含む。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、摘出臓器、組織、又はその一部を水で、合計約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間
、40時間、45時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、若しくはそれ以上まで、灌流、浸漬、又は沈めることを含み得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、摘出臓器、組織、又はその一部を水で、約1~約10、約1~約20、約1~約7、約1~約15、約1~約2、約1~約5、約1~約3、約1~約2、又は約1~約6相又はサイクルで、灌流又は浸漬又は沈めることを含み得る。いくつかの実施形態では、水での洗浄は、PBS(例えば、約5%PBS~約60%PBS)を含み得る。いくつかの実施形態では、水は、摘出臓器、組織、又はその一部について特異的であり得る(例えば、肝臓脱細胞化については肝臓水(hepatic water))。いくつかの実施形態では、脱細胞化摘出臓器、組織、又はその一部は、最大で約50%の天然細胞、40%の天然細胞、35%の天然細胞、30%の天然細胞、20%の天然細胞、10%の天然細胞、5%の天然細胞、3%の天然細胞、2%の天然細胞、1%の天然細胞、又は約0%の天然細胞を含み得る。
【0042】
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、マトリックス完全性を損なわない、摘出臓器、組織、又はその一部の脱細胞化の方法である。いくつかの実施形態では、酸又は過酸を脱細胞化プロセスに添加することで、流量の増加及び脱細胞化に必要な時間の減少をもたらし得る。いくつかの実施形態では、酸又は過酸を脱細胞化プロセスに添加することで、過酸を溶液から除去した後又は非過酸溶液の使用の後も維持され得る、流量の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、より純粋な脱細胞化(例えば、より少ない時間での細胞除去の増加)をもたらし得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化プロセスは、ここで記載するように、より純粋な脱細胞化(例えば、残存DNAの減少)をもたらし得る。いくつかの実施形態では、過酸の溶液への添加又は脱細胞化の間の流量の増加は、接着特性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、脱細胞化の間の過酸(例えば、PAA)の添加は、脱細胞化された摘出臓器、組織、又はその一部の再細胞化の間の細胞接着に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、
過酸を使用する脱細胞化は、細胞の完全な除去をもたらし得る。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、細胞外マトリックスの剛性又は柔軟性に影響を及ぼさない場合がある。いくつかの実施形態では、脱細胞化は灌流によるものであり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は撹拌(agitation)を含まない。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、マトリックスの完全性(例えば、ECMの完全性)を損なわない可能性がある。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、マトリックス(例えば、ECM)の柔軟性、弾力性、又は剛性を損なわない可能性がある。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、より純粋な脱細胞化をもたらさない可能性がある。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、摘出臓器、組織、又はその一部の表面特性に影響を及ぼさない可能性がある。いくつかの実施形態では、過酸を使用する脱細胞化は、摘出臓器、組織、又はその一部の代謝活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、脱細胞化された摘出臓器、組織、又はその一部を対象(例えば、ヒト)に導入できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化された摘出臓器、組織、又はその一部は、再細胞化後に対象に導入できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化された摘出臓器、組織、又はその一部は、再細胞化の前に対象に導入できる。いくつかの実施形態では、ヒト細胞(例えば、幹細胞、前駆細胞、再生細胞、又は摘出臓器特異的細胞)は、少なくとも部分的に脱細胞化された非ヒト哺乳動物に導入できる。また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、別の脱細胞化方法又は別の方法から得られる組成物と比較して、改善された拒絶速度を提供できる方法又は組成物(例えば、少なくとも部分的に脱細胞化又は再細胞化された摘出臓器、組織、又はその一部)である。いくつかの実施形態では、拒絶速度は、約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、若しくは0.5%未満又は約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、若しくは0.5%までであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部を脱細胞化の前にフラッシング又は前処理できる場合、拒絶速度を減少させることができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部を脱細胞化の前に消毒できる場合、拒絶速度を減少させることができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器、組織、又はその一部を、過酸、又は酸、又は過酸化物を含む溶液で脱細胞化できる場合、拒絶速度を減少させることができる。
【0043】
臓器再細胞化
また、いくつかの実施形態において、ここで開示されるのは、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器及びその一部を少なくとも部分的に再細胞化する方法である。いくつかの実施形態では、摘出臓器又は組織は、ここで記載する少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織を細胞の集団と接触させることによって生成させることができる。いくつかの実施形態では、細胞の集団は再生細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、ここで記載する再生細胞は、少なくとも部分的に脱細胞化された組織、摘出臓器又はその一部を再細胞化するために使用される任意の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、再生細胞は、全能性細胞、多能性細胞、又は多分化能細胞であり得、関与し得ないか、又は関与し得る。いくつかの実施形態では、再生細胞はまた、単一系統(single-lineage)細胞であり得る。いくつかの実施形態では、再生細胞は未分化細胞、部分的に分化した細胞、又は完全に分化した細胞であり得る。いくつかの実施形態では、再生細胞は、胚幹細胞、前駆(progenitor)細胞、前駆(precursor)細胞、臍帯細胞及び胎児幹細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む「成体」由来幹細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、ここで開示する摘出臓器又はその一部を再細胞化するために使用できる再生細胞は、限定されるものではないが、胚幹細胞、臍帯血細胞、組織由来幹又は前駆細胞、骨髄由来幹又は前駆細胞、血液由来幹又は前駆細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、脂肪組織由来幹又は前駆細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨格筋由来細胞、又は多能性成人前駆細胞(MAPC)であり得る。いくつかの実施形態では、
使用できるさらなる再生細胞は、心筋幹細胞(CSC)、多能性成人心臓由来幹細胞、心臓線維芽細胞、心臓微小血管系内皮細胞、又は大動脈内皮細胞を含む組織特異的幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄単核細胞(BM-MNC)などの骨髄由来幹細胞、内皮又は血管幹又は前駆細胞、及び内皮前駆細胞(EPC)などの末梢血由来幹細胞も再生細胞として使用できる。いくつかの実施形態において、摘出臓器又は組織を生成させるために少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部に導入できる複数の再生細胞は、摘出組織、臓器若しくはその一部のサイズ、重量、又は種類、あるいは使用できる再生細胞の種類又は発生段階に依存し得る。いくつかの実施形態では、異なる種類の細胞は、そのような細胞が到達する個体群密度に関して異なる傾向を有し得る。いくつかの実施形態では、異なる摘出組織、臓器、又はその一部は、異なる密度で再細胞化できる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織は、少なくとも約1,000(例えば、少なくとも10,000、100,000、1,000,000、10,000,000、若しくは100,000,000)個の再生細胞を「播種」できる;又はそれに付着した、1,000細胞/mg若しくは約1,000細胞/mgの組織(湿重量、すなわち、脱細胞化の前)から10,000,000細胞/mg若しくは約10,000,000細胞/mgの組織(湿重量)を有し得る。いくつかの実施形態では、再生細胞は、一つ以上の位置への注射によって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織中に導入(「播種」)できる。いくつかの実施形態では、少なくとも一種の細胞(すなわち、細胞のカクテル)を、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部中に導入できる。いくつかの実施形態では、細胞のカクテル又は細胞の集団を、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織中の複数の位置に注入できるか、又は異なる細胞種を少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の異なる部分に注入できる。いくつかの実施形態では、注射に加えて、再生細胞、細胞の集団、又は細胞のカクテルを、カニューレ挿入された脱細胞化摘出臓器又はその一部への灌流によって導入できる。いくつかの実施形態では、再生細胞は、灌流媒体を使用して少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器中に灌流でき、これを次に、増殖及び/又は分化媒体に変えて、再生細胞の成長及び/又は分化を誘導できる。いくつかの実施形態では、再細胞化の間、摘出臓器又は組織を、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部において、一つ以上の再生細胞が、増殖、繁殖、分化、及びそれらの任意の組み合わせが可能な条件下で維持できる。いくつかの実施形態では、これらの条件には、限定されるものではないが、適切な温度、圧力、電気的活性、機械的活性、力、適切な量のO及び/又はCO、適切な量の湿度、無菌又はほぼ無菌の条件、及びそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、再細胞化の間、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は組織と、これに付着した再生細胞とは、好適な環境中で維持できる。いくつかの実施形態では、例えば、再生細胞は、栄養剤(例えば、栄養素及び/又はグルコースなどの炭素源)、外因性ホルモン若しくは成長因子、及び/又は特定のpHを必要とし得る。いくつかの実施形態では、成長因子は、VEGF、DKK-1、FGF、BMP-1、BMP-4、SDF-1、IGF、HGF、免疫調節剤、例えば、サイトカイン、グルココルチコイド、IL2Rアンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つであり得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部中の微粒子を除去又は減少させることで、再細胞化を改善できる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部に導入された細胞の生着、播種、増殖、生存、分化、及びそれらの任意の組み合わせは、摘出臓器又はその一部の微粒子パーセントを低減することによって改善できる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部に導入された細胞の生着、播種、増殖、生存、分化、及びそれらの任意の組み合わせの量又はパーセントは、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は最大で約100%まで改善できる。いくつかの実施形態では、細胞の集団を少なくとも部分的に脱細胞化されたここで開示する摘出臓器又はその一部に導入することで、低減したレベルの微粒子が存在し得ない、それ以外は同等の摘出された実質臓器又はそ
の一部に導入できる、同等の細胞の集団と比べて、その細胞の集団の生存率(%)を改善できる。いくつかの実施形態では、微粒子は、細胞毒性(%)を増大させることができ、それによって細胞の生存率(%)が減少する。いくつかの実施形態では、生存率は、減少したレベルの微粒子を含む摘出臓器又はその一部に導入された細胞の集団において、約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約100%であり得る。いくつかの実施形態では、ここで開示する再生細胞は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部(例えば、ヒト再生細胞を播種したヒト脱細胞化摘出臓器又は組織)に対してアロジェニックであり得るか、又は再生細胞は、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部(例えば、ヒト再生細胞を播種したブタ脱細胞化摘出臓器又は組織)に対してゼノジニックであり得る。ここで使用する「アロジェニック」は、摘出臓器又は組織が由来する同じ種(例えば、自己(すなわち、自家性)又は関連するか若しくは関連しない個体)から得られた細胞を指し、一方、ここで使用する「ゼノジニック」は、摘出臓器又は組織が由来するものとは異なる種から得られた細胞を指す。
【0044】
摘出臓器及びその一部の使用
また、いくつかの実施形態においてここで開示されるのは、様々な用途における脱細胞化され再細胞化された摘出臓器又はその一部の方法及び使用である。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部を対象に移植できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器又はその一部などのここで記載する組成物は、疾患を有する対象に移植できる。いくつかの実施形態では、摘出臓器移植を必要とし得る関連疾患としては、限定されるものではないが、摘出臓器不全、心筋ミオパチー、肝硬変、慢性閉塞性肺疾患、肺水腫、胆管閉鎖症、気腫及び肺高血圧症、冠状動脈心疾患、心臓弁膜症、先天性心疾患、冠動脈疾患、膵炎、嚢胞性線維症、糖尿病、肝炎、高血圧、突発性肺線維症、多発性嚢胞腎、短腸症候群、傷害、先天性欠損、遺伝性疾患、自己免疫疾患、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、インプラントを使用して、既存の組織を置換又は増強することができ、例えば、対象の機能不全腎臓を外因性又は改変腎臓と置換することによって、腎臓障害を有する対象を治療することができる。いくつかの実施形態では、対象を、外因性腎臓の移植後に、腎臓障害の改善のためにモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、ここで開示する脱細胞化摘出臓器又はその一部は、対象への移植のために利用できる。いくつかの実施形態では、摘出された実質臓器又はその一部などのここで開示する組成物は、脱細胞化にその本来の機能の約1%~約100%を有し得る。いくつかの実施形態では、摘出された実質臓器又はその一部などのここで開示する組成物は、脱細胞化後にその本来の機能の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は最大で約100%を有し得る。いくつかの実施形態では、特定の摘出臓器又はその一部は、それらの天然の対応物よりも機能が劣る場合、移植に適している可能性がある。いくつかの実施形態では、例えば、肝臓及び腎臓は、ヒトを肝不全から救うために、又は透析から解放するために、全臓器機能のおよそ約20%からを必要とし得る。いくつかの実施形態では、肝臓及び腎臓は、移植に好適であるために、全臓器機能のおよそ約20~30%から、30~40%、20~50%、20~60%、40~60%を必要とし得る。いくつかの実施形態では、摘出臓器は天然の対応物と同等に機能できる。いくつかの実施形態では、例えば、心臓は、移植時に、機能の約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は最大で約100%を必要とし得る点で、さらに複雑であり得る。いくつかの実施形態では、膵臓又は肺などの摘出臓器は、本来の機能の15%、20%、30%、40%、又は50%で機能することができ、移植可能であり得る。いくつかの実施形態では、膵臓は、10%以上から機能することができ、移植可能であり得る。いくつかの実施形態では、ここで開示する摘出臓器は、本来の機能を支援する副器官として使用できる。いくつかの実施形態では、対象の寿命は、ここで開示する摘出臓器又はその一部などの組成物の移植後に延長することができる。いくつかの実施形態では、例えば、対象の寿命は、移植後、約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年
、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、15年、20年、30年、40年、50年、60年、70年、80年、90年、又は最大約100年まで延長できる。いくつかの実施形態では、ここで開示する摘出臓器又はその一部などの組成物の移植は、対象における二次的治療の必要性を低減できる。いくつかの実施形態では、二次的治療とは、透析、ペースメーカー、呼吸器、及びそれらの組み合わせを指す可能性がある。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器若しくはその一部又は少なくとも部分的に再細胞化された摘出臓器若しくはその一部をインビトロで使用して、医薬品、化学薬品、成長因子、又は調節因子の有効性及び細胞毒性について、多種多様な化合物をスクリーニングできる。いくつかの実施形態では、培養物をインビトロで維持でき、試験対象の化合物に曝露できる。いくつかの実施形態では、細胞毒性化合物の活性は、培養において細胞を損傷又は殺滅するその能力によって測定できる。いくつかの実施形態では、これは、生体染色技術によって容易に評価できる。いくつかの実施形態では、成長又は調節因子の効果は、マトリックスの細胞内容物を分析することによって、例えば、全細胞数、及び細胞百分率によって、評価できる。いくつかの実施形態では、これは、型特異的細胞性抗原を規定する抗体を用いた免疫細胞化学的技術の使用を含む標準的な細胞学的及び/又は組織学的技術を使用して達成できる。いくつかの実施形態では、再構築された人工の摘出臓器で培養した正常細胞に対する様々な薬物の効果を評価できる。いくつかの実施形態では、水溶液をろ過するためにインビトロで使用できる、脱細胞化及び再細胞化された摘出臓器又はその一部、例えば、再構築された人工腎臓を使用して、血液をろ過できる。いくつかの実施形態では、再構築された腎臓を使用することで、インビボの腎臓産物に類似した形態学的特徴を有するシステムが提供され、これは、いくつかの実施形態では、水及び低分子量溶質を血液から除去するための血液透析、又は血液ろ過に好適であり得る。いくつかの実施形態では、人工腎臓をインビトロで維持でき、人工腎臓の腔側に注入できる血液に曝露できる。いくつかの実施形態では、処理された水溶液を改変腎臓の反管腔側から収集できる。いくつかの実施形態では、ろ過の効率は、ろ過及び非ろ過血液のイオン、又は代謝老廃物含有量を測定することによって評価できる。いくつかの実施形態では、脱細胞化及び再細胞化された摘出臓器又はその一部は、移植の結果を支援若しくは改善するためにインビボで遺伝子若しくは遺伝子産物を導入するためのビヒクルとして、又は遺伝子治療で使用するために、使用できる。いくつかの実施形態では、内皮細胞などの培養細胞は、遺伝子産物を発現するように操作できる。いくつかの実施形態では、細胞は、一時的若しくは誘導性制御下で、又は内皮細胞に固定されたキメラ融合タンパク質として、例えば、細胞外ドメインとして遺伝子産物と融合した、受容体若しくは受容体様分子の細胞内及び/又は膜貫通ドメインから構成されるキメラ分子として、遺伝子産物を発現するように操作できる。いくつかの実施形態では、一つ以上の内皮細胞は、患者が欠損し得るか、又は治療効果を発揮するであろう遺伝子を発現するように遺伝子操作できる。いくつかの実施形態では、内皮細胞又は実質細胞に操作された関心対象の遺伝子は、治療される疾患に関連するものであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、腎臓障害の場合、内皮又は培養された腎臓細胞は、腎臓障害を改善できる遺伝子産物を発現するように操作できる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの細胞集団を少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部に導入できる。いくつかの実施形態では、操作できる摘出臓器としては、限定されるものではないが、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓、膀胱、子宮、尿管、尿道、骨格筋、小及び大腸、食道、胃、脳、脊髄及び骨が挙げられる。他の実施形態及び使用は、ここで開示される使用及び実施を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0045】
いくつかの実施形態では、脱細胞化摘出臓器又はその一部を無細胞組成物として利用できる。ここで開示されるのは、無細胞又は実質的に無細胞の摘出臓器又はその一部であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、摘出臓器移植の方法は、摘出臓器又はその一部を圧縮するこ
とを含み得る。摘出臓器又はその一部を圧縮する能力は、微粒子パーセンテージによって影響を受け得る。35%超の微粒子を含む摘出臓器又はその一部について、35%の微粒子又は35%未満の微粒子を含む摘出臓器又はその一部と比べて、圧縮するのがより困難であり得る。50%超の微粒子を含む摘出臓器又はその一部について、50%の微粒子又は50%未満の微粒子を含む摘出臓器又はその一部と比べて、圧縮するのがより困難であり得る。
【0047】
キット
ここで開示するのは、少なくとも部分的に脱細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部を含むキットであり得る。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部とその使用説明書とを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を含み得る無菌容器を含み得る;そのような容器は、ボックス、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知の他の好適な容器であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は摘出臓器又はその一部を保持するのに適した他の材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、送達ビヒクル組成物は、内部内容物の実質的部分が保持され得るように、送達ビヒクル組成物を脱水し、貯蔵し、次いで再構成することができる。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を含む圧縮されたパッケージングを含み得る。例えば、摘出臓器又はその一部を含む無菌パウチは脱気できるか、さもなければ圧縮してシートにできる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ここで開示するのは、ここで開示する組成物のいずれかを含むシステムであり得る。いくつかの実施形態では、システムは、ポンプ、ハウジング、チュービング、インキュベータ、モータ、コンピュータ、記憶媒体、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0049】
特定の実施形態
いくつかの方法及びシステムをここで開示する。これらの方法及びシステムの特定の例示的実施形態を以下に開示する。
実施形態1
摘出臓器又はその一部を液体と接触させることを含む方法であって:(a)前記液体を少なくとも部分的に脱気することができる;(b)前記液体は過酸を含むことができる;(c)前記摘出臓器若しくはその一部は、摘出臓器若しくはその一部を除去する前約10時間以内に給餌された哺乳動物からのものであり得る;又は(d)(a)~(c)の任意の組み合わせである、方法。
実施形態2
(a)、(b)又は(c)のうちの少なくとも2つを含むことができる、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
(a)、(b)、及び(c)を含むことができる、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
実施形態4
前記摘出臓器又はその一部が哺乳動物からのものであり得る、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
実施形態5
前記哺乳動物が非ヒト哺乳動物であり得る、実施形態4に記載の方法。
実施形態6
前記非ヒト哺乳動物が、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌ、ネコ、又はサルであり得る、実施形態5に記載の方法。
実施形態7
前記哺乳動物がヒト哺乳動物であり得る、実施形態4に記載の方法。
実施形態8
前記摘出臓器又はその一部が、肝臓、肺、心臓、腎臓、膀胱、膵臓、脾臓、子宮、これらのいずれかの一部、又はそれらの任意の組み合わせであり得る、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
実施形態9
前記接触が、前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を灌流させること、前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を注入すること、前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部上に液体を噴霧すること、前記摘出臓器若しくはその一部を液体中に沈めること、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
実施形態10
前記摘出臓器又はその一部の少なくとも一部に前記液体を灌流させることを含むことができる、実施形態9に記載の方法。
実施形態11
前記摘出臓器又はその一部を少なくとも約10リットルの前記液体で灌流させることができる、実施形態10に記載の方法。
実施形態12
前記液体を前記摘出臓器又はその一部に連続して灌流させることができる、実施形態10に記載の方法。
実施形態13
灌流が逆行性であり得る、実施形態10に記載の方法。
実施形態14
灌流が順行性であり得る、実施形態10に記載の方法。
実施形態15 前記液体を灌流の間に再循環させることができる、実施形態10に記載の方法。
実施形態16
接触前、接触中、又は接触後に、前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入することができる、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
実施形態17
前記液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含むことができ、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、実施形態1~16のいずれか一つに記載の方法。
実施形態18
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が細胞外マトリックスを含むことができる、実施形態17に記載の方法。
実施形態19
前記細胞外マトリックスが:フィブロネクチン、フィブリリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲンファミリーのタンパク質、グリコサミノグリカン、基質、細網線維、トロンボスポンジン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記細胞外マトリックスがコラーゲンファミリーのタンパク質を含むことができ、前記コラーゲンファミリーのタンパク質が、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、又はコラーゲンIVであり得る、実施形態18に記載の方法。
実施形態21
前記細胞外マトリックスが脈管構造床を含むことができる、実施形態18~20のいずれか一つに記載の方法。
実施形態22
前記脈管構造床が無傷であり得る、実施形態21に記載の方法。
実施形態23
前記液体を少なくとも部分的に脱気することができ、前記細胞外マトリックスが、非脱気液体を使用して生成する、それ以外は同等の細胞外マトリックスと比較して増大した圧縮率を有する、実施形態18~22のいずれか一つに記載の方法。
実施形態24
少なくとも(a)を含むことができる、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
実施形態25
前記摘出臓器又はその一部を、少なくとも部分的に脱気された液体と少なくとも約2時間接触させることができる、実施形態24に記載の方法。
実施形態26
少なくとも部分的に脱気された液体中に溶解した気体が、1リットル(L)あたり約1ミリグラム(mg)未満の濃度を有する、実施形態24に記載の方法。
実施形態27
前記溶解した気体の前記濃度が、静的ヘッドスペースガスクロマトグラフィー又は動的ルミネッセンスクエンチングを使用して測定することができる、実施形態26に記載の方法。
実施形態28
前記溶解した気体が、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、希ガス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる、実施形態26に記載の方法。
実施形態29
接触前に、液体を、約700torr未満の空気圧に曝露することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態30
接触前に、液体を約1torr未満の空気圧に曝露することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態31
前記液体を、接触に先立って、約700torr未満の空気圧に少なくとも約10分曝露することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態29に記載の方法。
実施形態32
接触に先立って、液体を、約10℃~約100℃の温度に少なくとも2時間曝露することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態33
接触に先立って、液体を、少なくとも約1秒間超音波処理に曝露することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態34
接触前に、液体を少なくとも約1秒間散布して、少なくとも部分的に脱気された液体を形成することができる、実施形態24に記載の方法。
実施形態35
前記液体を化学的に不活性な気体と共に散布することができる、実施形態34に記載の方法。
実施形態36
前記化学的に不活性な気体が、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る、実施形態35に記載の方法。
実施形態37
接触に先立って、液体を気液分離膜と接触させることができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態38
接触前に、液体を還元剤と接触させることができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態39
前記還元剤が亜硫酸アンモニウムであり得る、実施形態38に記載の方法。
実施形態40
接触前に、液体を凍結-ポンプ-解凍によって脱気することができ、それによって少なくとも部分的に脱気された液体を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態41
接触後の摘出臓器又はその一部が、少なくとも部分的に脱気されていない、それ以外は同等の液体と同等の時間接触させることによって生成する、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、(a)より少ない空気塞栓、(b)より少ないマイクロバブル、(c)より少ない色素沈着、又は(d)それらの任意の組み合わせを含み得る、実施形態24に記載の方法。
実施形態42
前記少なくとも部分的に脱気された液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含むことができ、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、実施形態24に記載の方法。
実施形態43
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体との前記接触後の前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、同等の時間、それ以外は同等の非脱気脱細胞化媒体で脱細胞化された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部よりも少ない細胞を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態44
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体で少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するのに十分な時間は、非脱気脱細胞化媒体で実質的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を生成するために充分な時間よりも少ないものであり得る、実施形態42に記載の方法。
実施形態45
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体が、酸、塩基、高張溶液、低張溶液、洗浄剤、界面活性剤、アルコール、生物学的試薬、塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態42に記載の方法。
実施形態46
前記少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体が界面活性剤を含むことができ、前記界面活性剤がイオン性界面活性剤を含むことができる、実施形態45に記載の方法。
実施形態47
前記イオン性界面活性剤が硫酸アルキルを含むことができる、実施形態46に記載の方法。
実施形態48
前記硫酸アルキルがドデシル硫酸ナトリウムを含むことができる、実施形態47に記載の方法。
実施形態49
前記硫酸アルキルが:ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、2-エチルヘキシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、ラウリル硫酸カリウム、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態47に記載の方法。
実施形態50
前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入し、それによってカニューレ挿入された摘出臓器又はその一部を生成することをさらに含む、実施形態1~49のいずれか一つに記載の方法。
実施形態51
前記液体を、前記カニューレ挿入された摘出臓器又はその一部に灌流させることができる、実施形態50に記載の方法。
実施形態52
前記摘出臓器又はその一部を通って灌流する液体が、約10MPa~約1000MPaの圧力であり得る、実施形態51に記載の方法。
実施形態53
前記摘出臓器又はその一部を通って灌流する液体が、1分あたり約100ミリリットル(mL)から1分あたり約100リットル(L)の流量であり得る、実施形態51又は52に記載の方法。
実施形態54
少なくとも(b)を含むことができる、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
実施形態55
前記過酸が、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過酢酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態54に記載の方法。
実施形態56
前記過酸が過酢酸を含み得る、実施形態55に記載の方法。
実施形態57
前記過酸が、ペルオキシ酸を含み得る、実施形態54に記載の方法。
実施形態58
ペルオキシ酸が、約0.1重量%~約1.0重量%の濃度で液体中に存在することができる、実施形態57に記載の方法。
実施形態59
ペルオキシ酸が、約0.1体積%~約1.0体積%の濃度で前記液体中に存在することができる、実施形態57に記載の方法。
実施形態60
前記ペルオキシ酸が、約40パーツ・パー・ミリオン(ppm)~約700ppmの濃度で前記液体中に存在することができる、実施形態57に記載の方法。
実施形態61
前記接触により、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が生成される、実施形態54~50のいずれか一つに記載の方法。
実施形態62
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、外面と血管樹とを含む細胞外マトリックスを含むことができる、実施形態61に記載の方法。
実施形態63
前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入し、それによってカニューレ挿入された摘出臓器又はその一部を生成することをさらに含む、実施形態54~62のいずれか一つに記載の方法。
実施形態64
前記液体を、前記カニューレ挿入された摘出臓器又はその一部に灌流させることができる、実施形態63に記載の方法。
実施形態65
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、過酸を含まない、それ以外は同等の液体と、同等の時間接触させた、それ以外は同等の脱細胞化摘出臓器又はその一部と比較して、減少した量の細胞を含むことができる、実施形態61~63のいず
れか一つに記載の方法。
実施形態66
前記減少した量の細胞が、前記摘出臓器又はその一部から少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.5%の細胞の減少を含み得る、実施形態65に記載の方法。
実施形態67
前記灌流の流量を、過酸を含まない、それ以外は同等の液体の灌流の流量と比較して増大させることができる、実施形態64に記載の方法。
実施形態68
前記流量を、前記摘出臓器又はその一部の細胞外マトリックスの完全性を実質的に損なうことなく増大させることができる、実施形態67に記載の方法。
実施形態69
前記流量を、生理学的速度を越えて増大させることができる、実施形態67に記載の方法。
実施形態70
前記流量を、生理学的速度を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%超えて増大させることができる、実施形態69に記載の方法。
実施形態71
少なくとも(c)を含むことができる、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
実施形態72
前記摘出臓器又はその一部が、外面と血管樹とを含む細胞外マトリックスを含むことができる、実施形態71に記載の方法。
実施形態73 前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入し、それによってカニューレ挿入された摘出臓器又はその一部を生成することをさらに含む、実施形態72に記載の方法。
実施形態74
前記液体を、前記カニューレ挿入された摘出臓器又はその一部に灌流させることができる、実施形態73に記載の方法。
実施形態75
前記摘出臓器又はその一部を、続いて洗浄媒体と接触させることができる、実施形態71~74のいずれかに記載の方法。
実施形態76
前記洗浄媒体との接触が、灌流、注射、浸漬、又はそれらの任意の組み合わせによるものであり得る、実施形態75に記載の方法。
実施形態77
前記洗浄媒体との前記接触が、灌流によるものであり得る、実施形態76に記載の方法。
実施形態78
前記洗浄媒体との前記接触が浸漬によるものであり得る、実施形態76に記載の方法。
実施形態79
前記洗浄媒体がpH緩衝液を含むことができる、実施形態75~78のいずれか一つに記載の方法。
実施形態80
前記pH緩衝液がリン酸塩を含むことができる、実施形態79に記載の方法。
実施形態81
前記洗浄媒体が生理食塩水を含み得る、実施形態75~80のいずれか一つに記載の方法。
実施形態82
前記生理食塩水が、約0.1%~約10%の濃度であり得る、実施形態81に記載の方法。
実施形態83
前記摘出臓器又はその一部が、動物から前記摘出臓器又はその一部を除去する前約10時間以内に給餌されなかった動物から生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、減少した微粒子レベルを含むことができる、実施形態71~82のいずれか一つに記載の方法。
実施形態84
前記減少した微粒子レベルは、動物から摘出臓器又はその一部を除去する前、+約10時間以内に給餌されなかった動物から生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比較して、少なくとも約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%減少させることができる、実施形態83に記載の方法。
実施形態85
減少した微粒子レベルは、目視検査、流出の判定、濁度の判定、顕微鏡分析、又はそれらの任意の組み合わせによって決定することができる、実施形態83又は84に記載の方法。
実施形態86
接触に先立って、前記摘出臓器又はその一部を洗浄媒体で洗浄することをさらに含む、実施形態1~85のいずれか一つに記載の方法。
実施形態87
前記洗浄媒体が高張溶液であり得る、実施形態86に記載の方法。
実施形態88
前記高張溶液が生理食塩水を含み得る、実施形態87に記載の方法。
実施形態89
前記洗浄媒体が消毒液を含み得る、実施形態86に記載の方法。
実施形態90
前記消毒液での洗浄が、前記消毒液を含む消毒浴中に前記摘出臓器又はその一部を入れることを含むことができる、実施形態8940に記載の方法。
実施形態91
前記消毒液が:過酸、過酸化水素、酢酸、過酢酸(PAA)、生理食塩水、ドデシル硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム(NaOH)、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態89又は90に記載の方法。
実施形態92
前記消毒液がペルオキシ酸を含むことができる、実施形態89又は90に記載の方法。
実施形態93
前記ペルオキシ酸が:ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過酢酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態92に記載の方法。
実施形態94
前記ペルオキシ酸が過酢酸であり得る、実施形態92に記載の方法。
実施形態95
ペルオキシ酸が、約0.1重量%~約1.0重量%の濃度で存在することができる、実施形態92~94のいずれか一つに記載の方法。
実施形態96
ペルオキシ酸が、約0.1体積%~約1.0体積%の濃度で存在することができる、実
施形態92~94のいずれか一つに記載の方法。
実施形態97
前記ペルオキシ酸が、約40ppm~約700ppmの濃度で存在することができる、実施形態92~94のいずれか一つに記載の方法。
実施形態98
前記液体との前記接触後、前記摘出臓器又はその一部を第二液体とさらに接触させる、実施形態1~97のいずれか一つに記載の方法。
実施形態99
前記第二液体が少なくとも部分的に脱気された液体であり得る、実施形態98に記載の方法。
実施形態100
前記第二液体が洗浄媒体を含み得る、実施形態99に記載の方法。
実施形態101
前記洗浄媒体が蒸留水を含み得る、実施形態100に記載の方法。
実施形態102
前記洗浄媒体が:蒸留水、逆浸透水、ろ過水、HEPC処理水、精製水、脱イオン水、生理食塩水、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る、実施形態100の方法。
実施形態103
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を前記第二液体と接触させた後、洗浄剤の重量あたり約1重量%未満を含む、実施形態99に記載の方法。
実施形態104
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を前記第二液体と接触させた後、洗浄剤の重量あたり約0.1重量%未満を含む、実施形態99に記載の方法。
実施形態105
前記第二液体との接触後、非脱気第二液体を使用して生成された、それ以外は同等の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部と比較して、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の脈管構造のより大きな体積を通って血液が流れる、実施形態99に記載の方法。
実施形態106
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を再生媒体と接触させることをさらに含む、実施形態1~106のいずれか一つに記載の方法。
実施形態107
前記再生媒体が少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体であり得る、実施形態106に記載の方法。
実施形態108
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体との前記接触によって少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部を形成する、実施形態107に記載の方法。
実施形態109
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体が再生細胞の集団を含むことができる、実施形態107に記載の方法。
実施形態110
前記再生細胞集団が、全能性細胞、多能性細胞、多分化能細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態109に記載の方法。
実施形態111
前記再生細胞集団が、未分化細胞、部分的に分化した細胞、完全に分化した細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態109に記載の方法。
実施形態112
前記再生細胞集団が、胚幹細胞、臍帯血細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、組織由
来幹又は前駆細胞、骨髄由来幹又は前駆細胞、血液由来幹又は前駆細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨格筋由来細胞、多能性成人前駆細胞(MAPC)、心筋幹細胞(CSC)、多能性成人心臓由来幹細胞、心臓線維芽細胞、心臓微小血管系内皮細胞、大動脈内皮細胞、骨髄単核細胞(BM-MNC)、内皮前駆細胞(EPC)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態109に記載の方法。
実施形態113
前記再生細胞集団が独立して哺乳動物由来のものであり得る、実施形態109~112のいずれか一つに記載の方法。
実施形態114
前記哺乳動物が、げっ歯類、ブタ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、又はヒトであり得る、実施形態113に記載の方法。
実施形態115
前記再生細胞集団が少なくとも約1,000個の細胞を含むことができる、実施形態109~114のいずれか一つに記載の方法。
実施形態116
前記再生細胞集団の量が、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部1ミリグラム(mg)あたり少なくとも約1,000個の再生細胞であり得る、実施形態109~114のいずれか一つに記載の方法。
実施形態117
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体が成長因子を含むことができる、実施形態107に記載の方法。
実施形態118
前記成長因子が:VEGF、DKK-1、FGF、BMP-1、BMP-4、SDF-1、EGF、IGF、HGF、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態117に記載の方法。
実施形態119
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体が免疫調節剤を含むことができる、実施形態107に記載の方法。
実施形態120
前記免疫調節剤が:サイトカイン、グルココルチコイド、IL-2Rアンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる、実施形態119に記載の方法。
実施形態121
前記少なくとも部分的に脱気された細胞再生媒体との前記接触の結果、非脱気細胞再生媒体を用いて生成された、それ以外は同等の摘出臓器又はその一部と比べて、より高度の再細胞化がもたらされる、実施形態107に記載の方法。
実施形態122
前記少なくとも部分的に再細胞化された臓器又はその一部が少なくとも1個のヒト細胞を含むことができる、実施形態108に記載の方法。
実施形態123
実施形態1~105のいずれか一つに記載の方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部。
実施形態124
前記摘出臓器又はその一部が少なくとも部分的に脱気された溶液を含む、実施形態123に記載の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部。
実施形態125
少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部の再細胞化の間に細胞の細胞毒性を低減する方法であって、実施形態123に記載の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部に細胞集団を導入することを含む、方法。
実施形態126
実施形態106~122のいずれか一つに記載の方法によって生成される、少なくとも部分的に再細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部。
実施形態127
約25℃の温度で保存した場合、約8パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の酸素を有する細胞再生媒体を含む、実施形態126に記載の少なくとも部分的に再細胞化された哺乳動物の摘出臓器又はその一部。
実施形態128
(a)実施形態1~122のいずれか一つに記載の方法によって生成される、少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又は一部、(b)流体を移動させるためのデバイス、(c)カニューレ、及び(d)ポートを含む、システム。
実施形態129
脱気された脱細胞化媒体をさらに含むことができる、実施形態128に記載のシステム。
実施形態130
脱気された洗浄媒体をさらに含むことができる、実施形態128に記載のシステム。
実施形態131
前記システムが、少なくとも部分的に閉じられた容器をさらに含み得る、実施形態128に記載のシステム。
実施形態132
1分あたり100ml又は約100mlから1分あたり100リットル又は約100リットルの流量で少なくとも部分的に脱気された溶液の流れが摘出臓器又はその一部を通過することができる、実施形態128に記載のシステム。
実施形態133
前記少なくとも部分的に脱気された溶液が、前記摘出臓器又はその一部を1分あたり100ml又は約100mlから1分あたり100リットル又は約100リットルの流量で通過することができる、実施形態128に記載のシステム。
実施形態134
蠕動ポンプをさらに含む、実施形態128に記載のシステム。
実施形態135
(a)実施形態1~122のいずれか一つに記載の方法によって生成された、前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部、(b)少なくとも一つのカニューレ、(c)試薬、(d)前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器若しくはその一部を再細胞化するための説明書、(e)前記少なくとも部分的に再細胞化された摘出臓器若しくはその一部を対象に導入するための説明書、又は(f)それらの任意の組み合わせを含む、キット。
実施形態133
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部がパッケージング中にあり得る、実施形態135に記載のキット。
実施形態134
前記パッケージングが無菌であり得る、実施形態136に記載のキット。
実施形態135
実施形態135に記載の少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を含む、キット。
【実施例0050】
実施例1:脱気媒体を使用する摘出された実質臓器の灌流脱細胞化
パート1:カニューレ挿入
心臓を、例えば、ブタ、イヌ、ヒト、霊長類、及びヒツジなどのドナー1kgあたり400Uのヘパリンで全身的にヘパリン化する。ヘパリン化後、心臓及び隣接する大型血管を慎重に摘出する。心臓は、ヘパリン(2000U/ml)を含み得る生理食塩水溶液(
0.9%)中に入れることができ、そしてさらなる処理まで5℃で保持することができる。無菌条件下で、結合組織を心臓及び大型血管から除去できる。下大静脈並びに左及び右肺静脈は、モノフィラメント非吸収性結紮法を使用して右及び左心房から遠位で結紮できる。
【0051】
心臓を、灌流のために脱細胞化装置に取り付けることができる図1。下行胸部大動脈にカニューレ挿入して、逆行性冠灌流を可能にすることができる(図1、カニューレA)。胸部動脈(例えば、腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈)の分岐部を結紮する。肺動脈は、左及び右肺動脈に分岐する前にカニューレ挿入できる(図1、カニューレB)。上大静脈にカニューレ挿入できる(図1、カニューレC)。この構成により、逆行性冠灌流及び順行性冠灌流の両方が可能になる。陽圧を大動脈カニューレ(A)に適用できる場合、灌流は、冠動脈から毛細血管床を経て、冠静脈系から右心房及び上大静脈(C)へと起こる。灌流は、上大静脈カニューレ(C)に陽圧を適用している間、右心房、冠状静脈洞、及び冠静脈から、毛細血管床を経て、冠動脈及び大動脈カニューレ(A)へと起こり得る。
【0052】
パートII:脱細胞化
基本プロトコル
心臓を脱細胞化装置に取り付けた後、順行性灌流は、一定の冠血流を復旧するために、灌流1Lあたり1~5ミリモルのアデノシンを含む冷ヘパリン化無カルシウムリン酸塩緩衝液で始めることができる。灌流の前に、緩衝液は、25℃で30分間撹拌棒を使用して激しく撹拌しながら30分間高真空下に置くことができる。
【0053】
冠血流は、冠灌流圧力及び流れを測定し、冠抵抗を計算することによって、評価できる。15分の安定した冠血流後、洗浄剤ベースの脱細胞化プロセスは、脱気された脱細胞化溶液を利用して開始できる。心臓は、脱気した洗浄剤溶液で順行性に灌流できる。灌流後、心臓を脱気した緩衝液(例えば、PBS)で逆行性にフラッシングできる。心臓を次いで、抗生物質を含む脱気したPBS緩衝液で、次いでDNase Iを含む脱気したPBS緩衝液で灌流できる。心臓を次いで1%塩化ベンザルコニウムで灌流して、微生物汚染を低減でき、将来の微生物汚染を防止することができ、次いでPBSで灌流して、任意の残存する細胞構成成分、酵素、又は洗浄剤を摘出臓器から洗いことができる。
【0054】
脱細胞化された例示的実質臓器を図2(ブタ心臓)及び図3(ブタ肝臓)に示す。
【0055】
脱気した緩衝液での脱細胞化は、非脱気緩衝液での脱細胞化よりも生じるマイクロバブルが少ない。
【0056】
PEG脱細胞化
心臓を、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、及び0.25μg/mlアンホテリシンBを含む200mlのPBS中で再循環なしで洗浄する。心臓を次に、35mlの脱気ポリエチレングリコール(PEG;1g/ml)で最大30分間、手動で再循環させつつ脱細胞化する。ポリエチレングリコール溶液を上記の真空ポンプ下に置くことによって、脱気ポリエチレングリコールを調製した。摘出臓器を次いで500mlの脱気PBSで最大24時間、再循環用のポンプを使用して洗浄した。洗浄ステップは、毎回少なくとも24時間、少なくとも2回繰り返すことができる。心臓を35mlのDNase I(70U/ml)に少なくとも1時間、手動で再循環させつつ曝露する。摘出臓器を再度500mlの脱気PBSで少なくとも24時間洗浄する。
【0057】
脱気緩衝液で脱細胞化することで、非脱気緩衝液を使用する場合と比較して、30分間ポンプで送達した場合に、より効率的な脱細胞化がもたらされる。
【0058】
Triton X及びトリプシン脱細胞化
心臓を、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、及び0.25μg/mlアンホテリシンBを含む200mlのPBS中で少なくとも約20分間、再循環させずに洗浄する。心臓を次いで、0.05%トリプシンの脱気水溶液で30分間脱細胞化し、続いて5%Triton-X及び0.1%水酸化アンモニウムを含む500mlの脱気PBSで約6時間灌流する。両溶液は、予め脱気した水で洗浄剤を溶解させることによって調製する。心臓を脱気脱イオン水で約1時間灌流し、次いで脱気PBSで12時間灌流する。心臓を次いで、3回、毎回24時間、500mlの脱気PBS中、再循環用のポンプを使用して洗浄する。心臓は、35mlのDNase I(70U/ml)で1時間、手動で再循環させつつ灌流し、500mlのPBS中で2回、毎回少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄する。
【0059】
脱気緩衝液で脱細胞化することで、非脱気緩衝液を使用する場合と比較して、30分間ポンプで送達した場合に、より効率的な脱細胞化がもたらされる。
【0060】
SDS脱細胞化
心臓は、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、及び0.25μg/mlアンホテリシンBを含む200mlのPBS中で少なくとも約20分間、再循環させずに洗浄する。心臓は、1%SDSを含む4000mlの脱気水で、少なくとも約6時間、再循環用ポンプを使用して脱細胞化する。脱気水は、脱イオン水を低真空下で約65℃まで約1時間加熱することによって調製した。心臓を次いで脱気脱イオン水で約1時間洗浄し、脱気PBSで約12時間洗浄する。心臓は、3回、500mlの脱気PBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄する。心臓は、次いで、35mlのDNase I(70U/ml)で約1時間、手動で再循環させつつ灌流することができ、3回500mlの脱気PBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄することができる。
【0061】
肝臓を2000mlのPBS中で洗浄し、PAAで消毒し、2000mlの脱気0.9%生理食塩水で灌流する。肝臓は、約0.6%SDSを含む合計で約10Lの脱気水で少なくとも約6時間、一連のシングルフロースルー用のポンプと再循環浴とを使用して、脱細胞化する。溶液を脱気するように設計された真空フィルターに脱イオン水を通すことにより、脱気水を調製した。肝臓を次いで脱気脱イオン水で約1時間洗浄し、脱気PBSで約12時間洗浄する。肝臓は、3回、2000mlの脱気PBSで、毎回、少なくとも約2時間、再循環用ポンプを使用して洗浄する。
【0062】
脱気した緩衝液での脱細胞化は、非脱気緩衝液での脱細胞化よりも生じるマイクロバブルが少ない。
【0063】
Triton X脱細胞化
心臓は、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、及び0.25μg/mlアンホテリシンBを含む200mlのPBSで少なくとも約20分間、再循環させずに洗浄する。次に、5%Triton X及び0.1%水酸化アンモニウムを含む500mlの脱気水で少なくとも6時間、再循環用ポンプを使用して、心臓を脱細胞化する。脱気緩衝液を、PEG脱細胞化について上述したように調製する。次に、心臓を脱気脱イオン水で約1時間、次いで脱気PBSで約12時間灌流する。心臓は、500mlの脱気PBSで3回、毎回少なくとも24時間、再循環用ポンプを使用して灌流することによって洗浄する。次に、心臓は、35mlのDNase I(70U/ml)で約1時間の再循環を用いて灌流し、3回、500mlの脱気PBS中、毎回約24時間洗浄する。
【0064】
最初の実験では、脱細胞化装置を層流フードないに設置できる。心臓を60cmHOの冠灌流圧力で灌流する。必須ではないが、上記実験で記載した心臓を、脱細胞化チャンバーに取り付け、抗生物質を含む脱気PBSで72時間、再循環モードで、5ml/minの連続流にて完全に沈め灌流して、できるだけ多くの細胞構成成分及び洗浄剤を洗い流す。
【0065】
脱細胞化の成功は、組織切片における筋フィラメント及び核の欠如によって定義できる。血管構造の保存の成功は、組織切片を埋め込む前に2%Evans Blueで灌流することによって評価できる。非常に効率的な脱細胞化は、一定の冠灌流圧力にて脱イオン化HO中に溶解したイオン性洗浄剤(1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.03M)で順行性に心臓をまず灌流することによって実施でき、次に、非イオン性洗浄剤(1%Triton X-100)で順行性に灌流し、SDSを除去でき、おそらくは細胞外マトリックス(ECM)タンパク質を再生できる。断続的に、心臓をリン酸塩緩衝液で逆行的に灌流して、閉塞した毛細血管や小血管を一掃できる。
【0066】
実施例2:脱細胞化摘出臓器の評価
脱細胞化の無傷な血管構造を示すために、少なくとも部分的に脱細胞化された心臓を、Evans Blueを用いたランゲンドルフ灌流により染色して、血管基底膜を染色でき、大血管及び微小血管密度を定量化できる。さらに、ポリスチレン粒子を心臓に灌流して、冠血管容積、血管漏出のレベルを定量化でき、また冠血管流出物及び組織切片を分析することによって灌流の分布を評価できる。3つの基準の組み合わせ:1)ポリスチレン粒子の均一な分布、2)あるレベルでの漏出の有意な変化、3)微小血管密度を評価し、摘出された非脱細胞化心臓と比較する。
【0067】
線維配向は、Towerらの偏光顕微鏡法技術(2002,Fiber alignment imaging during mechanical testing of
soft tissues,Ann Biomed Eng.,30(10):1221-33)によって評価でき、これは、一軸又は二軸応力に供されたサンプルにリアルタイムで適用できる。ランゲンドルフ灌流の間、少なくとも部分的に脱細胞化されたECMの基本的な機械的特性を記録し(コンプライアンス、弾力性、破裂圧力)、新たに摘出した心臓と比較する。
【0068】
組織学的評価
細胞内容物及び組織構造を評価するために、天然及び脱細胞化腎臓、心臓及び肝臓の両方の代表的サンプルをヘマトキシリン及びエオシン(H&E)のために処理する。サンプルを10%中性緩衝ホルマリン溶液中で4℃にて24時間固定する。続いて、蒸留水中で洗浄し、段階的アルコールで脱水し、パラフィン中に包埋し、染色のために切片(5mm)にする。組織スライドを標準的プロトコルに従ってH&Eで染色した。核物質の存在を排除するために、天然の腎臓と脱細胞化された腎臓スキャフォールドをDAPI(40,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI,Vector Laboratories,Burlingame,CA))染色によるDNA結合蛍光染色のために処理する。染色された切片の検査を、免疫蛍光顕微鏡(Olympus,Japan)下で実施した、図9
【0069】
走査電子顕微鏡法(SEM)
脱細胞化ステップ後の超微細構造の評価のために、天然の腎臓及び脱細胞化された腎臓の検体を走査電子顕微鏡法のために処理する。検体を蒸留水で洗浄し、冷2.5%グルタルアルデヒドで2時間48℃にて固定する。PBSで洗浄して残存するグルタルアルデヒドを除去した後、20~30分間室温にてエタノールの濃度を増加させることによって(
30%エタノール、50%エタノール、70%エタノール、90%エタノール、及び100%エタノール)、サンプルを脱水する。サンプルは、COを使用して臨界点乾燥し、最終的に走査電子顕微鏡(Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)を用いて画像化のために粘着性カーボンタップを使用してアルミニウムスタブに取り付ける。
【0070】
血管網画像化
血管網及び腎臓カプセル完全性を評価するために、X線不透過性造影剤(radio-opaque contrast)溶液(Omnipaque 350,GE Healthcare,Piscataway,NJ)を腎動脈から天然及び脱細胞化腎臓に灌流でき、造影剤によるX線検査(KMC-950,Komed,Korea)は、造影剤試薬灌流の10分後に用いることができる。
【0071】
細胞外マトリックス(ECM)構成成分の定量化
脱細胞化プロセスのECM構成成分に対する影響をチェックするために、天然及び脱細胞化腎組織のサンプルを50mgmLのプロテイナーゼKを含むPBS中、56℃で一晩消化する。次いで、ライセートを90℃で10分間熱不活化し、13,000×gで10分間遠心分離する。上清を収集し、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Scientific,Rock-ford,IL)を用いてタンパク質濃度について分析する。GAG、コラーゲン、及びエラスチンレベルは、Blyscan sGAGs Assay Kit(Biocolor Ltd,Carrickfergus,UK)、Sircol Soluble Collagen Assay Kit(Bio-color
Ltd)、及びFastin Elastin Assay Kit(Biocolor Ltd)をそれぞれ製造業者の指示に従って使用してライセートにおいて定量化する。
【0072】
機械的試験
心筋組織の交差は、中心区域が約5mm×5mmを含み得、交差の軸が心臓の週方向及び長手方向に整列するように、ラットの左心室から切り取ることができる。組織交差の初期厚さは、マイクロメートルで測定する。交差はまた、脱細胞化されたラットの左心室組織から同じ配向で、同じ中心区域サイズで切り取られる。さらに、血管及び心臓組織のエンジニアリングに使用される別の組織エンジニアリングスキャフォールドである、フィブリンゲルの機械的特性を試験する。フィブリンゲルを、1mlあたり6.6mgのフィブリンの最終濃度で十字形の型にキャスティングする。すべてのサンプルを、クランプを介して二軸機械的試験機(Instron Corporation,Norwood,Mass.)に取り付け、PBS中に沈め、40%歪みまで等二軸延伸する。静的受動的機械的特性を正確に調べるために、サンプルを4%歪みの増分で延伸し、各歪み値で少なくとも60秒間緩和させる。図11はサンプルのピーク負荷のプロットを示す。力は、力値を特定の軸方向の断面積(5mm×初期厚さ)で正規化することによって工学応力に変換される。工学応力は、初期長さで正規化された変位として算出できる。二つの軸間のデータ及びサンプル群間のデータを比較するために、接線係数は以下のように算出できる:[T(ε=40%歪み)-T(ε=36%歪み)]/4%歪み、式中、Tは工学応力であり、Eは工学歪みである。接線係数の値を平均し、二つの軸間(周方向及び長手方向)及び群間で比較する。
【0073】
実施例3:脱気媒体を使用する摘出された実質臓器の灌流再細胞化
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)
摘出された実質臓器の灌流再細胞化は、冠灌流によって少なくとも部分的に脱細胞化されたブタ心臓に細胞を灌流することによって実施できる。少なくとも部分的に脱細胞化されたブタ心臓を摘出臓器チャンバーに移し、細胞培養条件(5%CO、60%湿度、3
7℃)下、酸素化細胞培養媒体で連続的に灌流できる。120×10PKH標識HUVEC(50mlの脱気内皮細胞成長媒体中に懸濁)を40cmHO冠灌流圧力で注入する。脱気内皮細胞成長媒体は、実施例1に記載するように内皮細胞成長媒体を保存することによって灌流できる。冠血管流出物を保存でき、細胞を計数できる。流出物を次いで再循環させ、再度灌流させて、最大数の細胞を送達できる。再循環は2回繰り返すことができる。3回目の継代後、約90×10細胞は心臓内に保持される。心臓は、500mlの再循環酸素化内皮細胞培養媒体で120時間連続的に灌流できる。心臓を次いで取り出して、凍結切片用に包埋できる。
【0074】
再生細胞
摘出された実質臓器の灌流再細胞化は、再生細胞(胚幹細胞、臍帯細胞、生体由来幹又は前駆細胞、骨髄由来細胞、血液由来細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、骨格筋由来細胞、多能性成人前駆細胞(MAPC)、心筋幹細胞(CSC)、多能性成人心臓由来幹細胞)を冠灌流により少なくとも部分的に脱細胞化されたブタ心臓に灌流することによって、灌流することで実施できる。少なくとも部分的に脱細胞化されたブタ心臓を摘出臓器チャンバーに移し、細胞培養条件(5%CO、60%湿度、37℃)下、酸素化細胞培養媒体で連続的に灌流できる。120×10再生細胞(50mlの細胞成長媒体中に懸濁)を40cmHO冠灌流圧力で注入する。冠血管流出物を保存でき、再生細胞を計数する。流出物を次いで再循環させ、再度灌流させて、最大数の細胞を送達できる。再循環は2回繰り返すことができる。3回目の継代後、約90×10細胞は心臓内に保持される。心臓は、500mlの再循環酸素化内皮細胞培養媒体で120時間連続的に灌流できる。心臓を次いで取り出して、凍結切片用に包埋できる。
【0075】
実施例4:微粒子形成の低減
摘出された全臓器又はその一部をSDSなどのいくつかの洗浄剤での灌流脱細胞化の間に、不溶性白色微粒子の提示が見られる。微粒子が形成され、次いで、脱細胞化の間に摘出臓器又はその一部にトラップされるようになる可能性がある。微粒子形成の低減は、脱細胞化後に残存する微量洗浄剤又は洗浄剤の量の有意な減少を含み得る。微粒子形成を低減することで、摘出臓器を再細胞化する能力を増大させることができる。微粒子形成を低減することで、導入された細胞に対する脱細胞化されたマトリックスの細胞毒性を減少させることができる。微粒子は、天然タンパク質と洗浄剤との間の不溶性相互作用によって形成され得る。溶液を使用するか、哺乳動物の食習慣を制御するか、又はそれらの組み合わせによって、微粒子の低減を実施することができる。
【0076】
生理食塩水溶液
摘出臓器脱細胞化の間、摘出臓器を直ちに洗浄剤で処理した。生理食塩水の添加は、微粒子形成を阻害又は防止することが判明した。哺乳動物から切除した後、摘出臓器を0.9%生理食塩水又はPBSでフラッシングし、次いで過酢酸で消毒した。摘出臓器は、洗浄剤での脱細胞化の前に0.9%生理食塩水でプライミングし、洗浄剤灌流の前に0.9%生理食塩水又はPBS浴中に入れた。
【0077】
特に、ブタ肝臓を0.9%生理食塩水又はPBSで洗浄し、続いて過酢酸洗浄を行った。洗浄した肝臓を次に0.9%生理食塩水又はPBS浴に沈めた。脱細胞化のために、肝臓は、1%SDSを含む5000mlの水で、少なくとも約6時間、再循環用ポンプを使用して脱細胞化した。肝臓を次いで脱イオン水で約1時間洗浄し、PBSで約12時間洗浄した。肝臓は、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。肝臓は、次いで、35mlのDNase I(70U/ml)で約1時間、手動で再循環させつつ灌流し、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。
【0078】
非絶食哺乳動物
哺乳動物が最後の8時間に給餌されたことを安楽死前に確認することによって、当該哺乳動物において微粒子形成を低減できる。
【0079】
給餌の4時間後に、ブタを安楽死させ、その肝臓を採取した。ブタ肝臓は、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、及び0.25μg/mlアンホテリシンBを含む200mlのPBS中で少なくとも約20分間、再循環させずに洗浄した。肝臓は、1%SDSを含む500mlの水で、少なくとも約6時間、再循環用ポンプを使用して脱細胞化した。肝臓を次いで脱イオン水で約1時間洗浄し、PBSで約12時間洗浄した。肝臓は、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。肝臓は、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。ブタを絶食させるか、又は食餌へのアクセスを制限した場合、高パーセンテージの脱細胞化された肝臓が、微量から多量の微粒子を含むことが観察された。非絶食又は最近給餌された動物からの摘出は、微粒子形成を脱細胞化ロットあたり79%から4.6%まで有意に降下させた、表2。%微粒子は、目視検査で微粒子を含む総グラフトランの量を指す。DL-071116ロットについて、30のグラフトランのうち11では、微粒子が認められ、これはロットの37%に相当した。
【表2】
【0080】
全肝臓を絶食又は非絶食動物から摘出し、SDSで灌流脱細胞化し、微粒子形成のレベルを視覚的に定量化した。非絶食動物から摘出した肝臓は、絶食動物と比較して、非常に低レベルの微粒子形成を示した。
【0081】
非絶食哺乳動物+生理食塩水浴
通常通りに絶食する標準的条件下でと殺場から収集した肝臓を、0.9%生理食塩水又はPBSで洗浄し、続いて過酢酸消毒を行った。次に、洗浄した肝臓を、0.9%生理食塩水又はPBS浴に沈め、脱細胞化が開始されるまで0.9%生理食塩水溶液浴に移し、肝臓は最初の0.9%生理食塩水浴中のままであった。脱細胞化のために、肝臓を、0.6%SDSを含む少なくとも1000mlの水で、少なくとも約2時間、肝臓を通る最初のシングルフロー用ポンプを使用して脱細胞化し、次いで少なくとも約6時間再循環させつつ、0.6%SDSを含む少なくとも3000mlの水を含む新しい浴へ移した。肝臓を次いで脱イオン水で約1時間洗浄し、PBSで約12時間洗浄した。肝臓は、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。肝臓は、次いで、35mlのDNase I(70U/ml)で約1時間、手動で再循環させつつ灌流し、3回、500mlのPBSで、毎回、少なくとも約24時間、再循環用ポンプを使用して洗浄した。0.6%SDSを含む水溶液での脱細胞化の開始時に採取した肝臓を、0.9%生理食塩水浴に入れると、微粒子形成が有意に低減した(表3)。

【表3】
【0082】
微粒子形成は、脱細胞化の開始時に肝臓が0.9%生理食塩水浴中にあった場合は、3%未満の肝臓で視覚的に検出されたのに対し、生理食塩水浴を使用しなかった場合では40%超であった。
【0083】
肝臓の再細胞化
HUVEC細胞培養及び脱細胞化された肝臓構築物の播種:ヒト臍帯静脈内皮細胞を、37℃及び5%COで、組織培養フラスコ内の抗生物質を含まないEGM-2媒体中で培養し、製造業者のプロトコルに従って90~100%のコンフルエンシーで0.25%トリプシンを用いて継代した。肝臓グラフトの播種に使用した最高の継代は継代11であった。脱気された脱細胞化を利用した脱細胞化ブタ肝臓を、800mlの培地細胞を含むカスタムバイオリアクターに入れ、肝上大静脈を介して灌流入口に接続し、播種前に培養培地で12mmHgにて灌流した。HUVECを100mlの培地に再懸濁させ、肝上大静脈を介して播種した。注入された細胞懸濁液を静的条件下で1時間放置し、次いで灌流を再開した。24時間後、灌流を肝上大静脈から門脈に変更し、播種プロトコルを繰り返した。再内皮化されたグラフトは、BioProfile FLEXアナライザーを用いて収集した培地サンプル中で毎日モニタリングする、代謝物(グルコース、ラクテート、グルタミン、グルタメート及びアンモニア)を含む連続灌流ループ中で維持した。培養培
地を交換し、体積を循環培地におけるグルコース枯渇速度に応じて増加させて、24時間グルコースレベルが500mg/L超であることを確実にした。
【0084】
組織学的分析:この研究で分析する組織サンプルをPBSで灌流し、10%中性緩衝ホルマリン(VWR16004-128)で固定した。固定した組織をパラフィン包埋し、薄片にし、標準的組織学的技術を用いて染色した。図12Aは、組織学的分析で用いられる内皮播種を表す図である。図12Bは、バイオリアクター、21日後の組織構造、及び例示的血管表面の代表的な画像を示す。
【0085】
全肝臓摘出を伴う腎臓の再細胞化
脱気された脱細胞化を利用した脱細胞化ブタ腎臓を、800mlの培地細胞を含むカスタムバイオリアクターに入れ、腎動脈を介して灌流入口に接続し、播種前に培養培地で12mmHgにて灌流した。腎臓摘出物を100mlの培地中に再懸濁させ、尿管を通して播種した。注入された細胞懸濁液を静的条件下で1時間放置し、次いで灌流を再開した。再細胞化された腎臓は、BioProfile FLEXアナライザーを用いて収集した培地サンプル中で毎日モニタリングする、代謝物(グルコース、ラクテート、グルタミン、グルタメート及びアンモニア)を含む連続灌流ループ中で維持した。培養培地を交換し、体積を循環培地におけるグルコース枯渇速度に応じて増加させて、24時間グルコースレベルが500mg/L超であることを確実にした。図13に示すように、免疫蛍光染色は、適切な位置にある腎臓全体にわたる天然の腎臓細胞の分布及び生着を示す。
【0086】
実施例5:摘出臓器脱細胞化
肝臓、脾臓、肺、腎臓、及び心臓などの摘出臓器を高張溶液(例えば、5×生理食塩水)でフラッシングする。次に、摘出臓器を消毒できる。例えば、摘出臓器は、過酸単独、又は過酸及び生理食塩水の溶液のいずれかを含む消毒浴中に入れることができる。具体的には、消毒浴は、生理食塩水、過酸(例えば、過酢酸)、及びNaOHを含み得、6~7のpHを有し得る。消毒浴は、例えば、2リットルの10×生理食塩水(9%NaCl)を18リットルの水に添加して、1×生理食塩水(0.9%NaCl)を作製し、80mlの15%過酢酸及び51mlの5N NaOHを添加して、6.12のpHで0.9%NaCl中に追加されたPAAの最終濃度を600ppmにすることによって作製できる消毒液を含み得る。摘出臓器は、様々な時間(例えば、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、10時間、12時間、15時間、18時間、24時間、一晩、少なくとも1日、2日、3日、又はそれ以上)、異なる濃度の過酸(例えば、50パーツ・パー・ミリオン(ppm)、100ppm、150ppm、200ppm、250ppm、300ppm、350ppm、400ppm、450ppm、500ppm、550ppm、600ppm、650ppm、700ppm、750ppm、800ppm、850ppm、900ppm、1000ppm、1200ppm、1400ppm、1500ppm、1700ppm、1800ppm、1900ppm、2000ppm、又は2000ppm超)と共に消毒浴中に入れることができる。摘出臓器を消毒浴から取り出した後、摘出臓器を脱細胞化する。摘出臓器は、洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を含む溶液又は洗浄剤と過酸とを含む溶液で脱細胞化できる。脱細胞化溶液中のSDSは、例えば、約0.2%~2%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、脱細胞化は、0.6%のSDS又は0.9%のSDSで灌流することができる。脱細胞化の間に溶液中に存在する過酸は、約25ppm~3000ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、過酸は、50ppm、100ppm、200ppm、400ppm、500ppm、600ppm、650pppm、700ppm、1000ppm、1500ppm、又は2000ppmで存在することができる。いくつかの実施形態では、摘出臓器は、PAA及びSDSを含む溶液で灌流することができる。
【0087】
要するに、灌流可能な肝臓を5×生理食塩水でフラッシングし、次に600ppm過酢
酸(PAA)を含む消毒浴中に入れた。過酢酸(PAA)を1×生理食塩水溶液(0.9%NaCl)に添加して、6.12のpHで600ppmのPAAを含む最終溶液を作製した。肝臓を消毒浴から取り出した後、肝臓を、PAAとSDSとを含む溶液で一定期間(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、16時間、20時間、24時間、30時間、35時間、40時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、又はそれ以上)灌流した。肝臓の灌流脱細胞化のために使用した溶液中のPAAは、約50ppm~3000ppmの範囲であった。
【0088】
実施例6:ラジカル生成化合物での摘出臓器の完全脱細胞化
摘出臓器の脱細胞化の間の溶液中のラジカル生成化合物の使用は、完全性マトリックスを損なうことなく、流量及び摘出臓器の脱細胞化プロセスに影響を及ぼした(図10A図10C)。ブタからの肝臓を入手し、カニューレ挿入した。ブタ肝臓の天然の脈管構造にカニューレ挿入し、肝臓を脱細胞化するために中性洗剤溶液で灌流した。洗浄剤溶液はラジカル生成化合物(例えば、過酢酸)をさらに含んでいた。ラジカル生成化合物を含む洗浄剤溶液を摘出臓器に設定圧力(例えば、12mmHg)で導入した後に、流量の増加(例えば、少なくとも500mL/分、1000mL/分、1500mL/分、2000mL/分、2500mL/分、又はそれ以上まで増加)及び脱細胞化プロセスの低下が観察された(図10A図10C)。この実験では、約50~2000ppmの濃度のラジカル生成化合物(例えば、過酢酸)を使用することで、ラジカル生成化合物を使用しない、それ以外は同等の脱細胞化プロセスと比較して、所定の圧力での灌流脱細胞化の間に流量が増加したことが示された。図14は、ラジカル生成化合物を脱細胞化ワークフローに組み込むことによる流量の改善を示す。図14に示すように、脱細胞化ワークフローにおける各ステップの全体的な流量は、ラジカル生成化合物の添加後に改善された。ワークフローにおけるこのような改善は、脱細胞化ワークフロー全体にわたって、ラジカル生成化合物を含まない灌流ステップまでも伝播した。実際、設定圧力での流量のこのような増加は、ラジカル生成化合物(例えば、PAA)での灌流の間に起こり、その後の灌流ステップで、ラジカル生成化合物を含まないステップでさえも保持された。流量のこのような増加の結果、完全性マトリックスに影響を及ぼすことなく摘出臓器のより完全な脱細胞化がもたらされた。
【0089】
全体として、結果から、より多くの細胞がより短い期間で除去され、流量の増加が、摘出器官のより純粋でより完全な脱細胞化をもたらすことがわかった。摘出臓器は毛細血管が密集しており、ほとんどの細胞は毛細血管のすぐ近くに位置する。このように、カニューレ挿入された摘出臓器にラジカル生成化合物を含む溶液を灌流し、その後、流量を増加させると、洗浄剤の有効表面積が増加し、静脈系を通して天然の細胞物質を排出するのに必要な時間が短縮された。また、結果から、脱細胞化の際に流量を増加させたり、ラジカル生成化合物を添加したりしても、完全性マトリックスに有意な影響を与えたり、又は損なったりすることはないことがわかった。
【0090】
実施例7:ラジカル生成化合物は摘出臓器脱細胞化を改善する
摘出された哺乳動物肝臓を、SDSを含むリザーバービンに約1~24時間入れた。次に、肝臓を、肝臓SDSを含むリザーバービン中に約1~10時間入れ、次いで水(HO)を含むビン中に入れた。肝臓を水ビンから取り出し、ラジカル生成化合物(PAA)を含むビンに入れ、続いてPAAのSDS中溶液を含むビンに入れた。PAAは約0.1%~約30%の範囲であった。SDS中のPAAは約25ppm~3000ppmの範囲であった。次に、肝臓をSDSに入れ、肝臓HO、HO、HO及びPBSでの洗浄、PAAでのさらなる処理、及びさらなる洗浄を含むさらなるステップを続いて行った。SDS灌流の持続時間は約10~100時間(例えば、25~60時間)の範囲であり、PAA灌流の持続時間は約1~20時間(例えば、2~10時間)の範囲であった。
【0091】
実施例8:ラジカル生成化合物の定量化 脱細胞化の改善
摘出された哺乳動物肝臓を、実施例7に記載するようなラジカル生成化合物PAAの存在下又は非存在下で脱細胞化した。PAAの添加後の脱細胞化プロセスの改善を定量化するために、脱細胞化された葉の先端からDNAの残留濃度を決定した。約10~30mgの組織を集め、60℃の緩衝液中プロテイナーゼKで8~30時間消化した。クロロホルムを組織に対して2:5の比率で添加し、混合物を14,000×gにて10分間遠心分離した。上清を集め、DNAストリッピング溶液を上清に添加した。懸濁液を60℃で5~10分間インキュベートした。沈殿溶液を添加し、14,000×gで5分間遠心分離した後、上清を集めた。100%イソプロパノール及びイガイグリコーゲンを用いてDNAを沈殿させ、続いて14,000×gで5分間遠心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、トリス緩衝液中に溶解させた。各サンプル中のDNAの量を、Qubit(商標)dsDNA BRアッセイキット及びQubit(登録商標)2.0Fluorimeterを用いて定量化した。
【表4】
【0092】
上記表4は、脱細胞化後の残留DNA濃度を示す。残留DNA含有量の評価、脱細胞化の量及び/又は完全性の定量に関しての表示により、PAAの添加による残留DNAの10倍低下を示した。したがって、このことにより、ラジカル生成化合物を添加することで、脱細胞化プロセスの完全性を改善したことを示す。
【0093】
例示的実施形態をここで示し記載してきたが、そのような実施形態がほんの一例として提示したことは当業者には明らかである。多くの変更、変化、及び置換は当業者にはわかるであろう。ここで記載した実施形態に対して様々な変更を用いることができることは理解されよう。以下の請求項は本開示の範囲を規定し、これらの請求項及びそれらの均等物の範囲内の範囲内の方法及び構造がそれらによって網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘出臓器又はその一部を液体と接触させることを含み:
前記液体が少なくとも部分的に脱気されており;
前記液体が洗浄剤、ラジカル生成化合物又はその両方を含む、摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項2】
前記洗浄剤を含む前記液体を含む、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項3】
前記摘出臓器又はその一部が哺乳動物からのものである、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項4】
前記哺乳動物が非ヒト哺乳動物であり、前記非ヒト哺乳動物が、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌ、ネコ、又はサルである、請求項3に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項5】
前記哺乳動物がヒト哺乳動物である、請求項3に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項6】
前記摘出臓器又はその一部が、肝臓、肺、心臓、腎臓、膀胱、膵臓、脾臓、子宮、これらのいずれかの一部、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項7】
前記接触が、(i)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を灌流させること、(ii)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部に液体を注入すること、(iii)前記摘出臓器若しくはその一部の少なくとも一部上に液体を噴霧すること、(iv)前記摘出臓器若しくはその一部を液体中に沈めること、又は(v)それらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項8】
前記接触前、接触中、又は接触後に、前記摘出臓器又はその一部にカニューレを挿入する、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項9】
前記液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項10】
前記少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部が細胞外マトリックスを含む、請求項9に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項11】
前記細胞外マトリックスが脈管構造床を含む、請求項10に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項12】
前記接触後に、前記脈管構造床が少なくとも部分的に無傷なままである、請求項11に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項13】
前記細胞外マトリックスが、それ以外は同等の非脱気液体と同等の期間接触させることにより生成した、それ以外は同等の細胞外マトリックスと比較して、増大した圧縮率を有する、請求項10に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項14】
前記摘出臓器又はその一部を、少なくとも部分的に脱気された液体と少なくとも2時間接触させる、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項15】
少なくとも部分的に脱気された液体中に溶解した気体が、1リットル(L)あたり1ミリグラム(mg)未満の濃度を有する、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項16】
前記溶解した気体が、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、希ガス、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項17】
前記少なくとも部分的に脱気された液体が、少なくとも部分的に脱気された脱細胞化媒体を含み、それによって少なくとも部分的に脱細胞化された摘出臓器又はその一部を形成する、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項18】
前記ラジカル生成化合物が過酸である、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項19】
前記過酸が、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、スルホペルオキシカルボン酸、ペルオキシスルホン化オレイン酸、ペルオキシギ酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシプロパン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシアジピン酸、過酢酸、過乳酸、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシ安息香酸、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項18に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項20】
前記過酸が過酢酸を含む、請求項18に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【請求項21】
前記ラジカル生成化合物を含む前記液体を含む、請求項1に記載の摘出臓器又はその一部を脱細胞化する方法。
【外国語明細書】