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特開2024-63231プログラム、ヘアカット支援装置およびサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063231
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】プログラム、ヘアカット支援装置およびサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240501BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035568
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2023579610の分割
【原出願日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2022108670
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522270583
【氏名又は名称】株式会社BAS
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 清隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修
(57)【要約】
【課題】 髪を切る人に対して髪のカットラインを案内する仕組みを提供する。
【解決手段】 コンピュータを、髪を切られる人の頭皮上に仮想的に形成される複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示する第1の表示手段として機能させるためのプログラム。
【選択図】 図13

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
髪を切られる人の頭皮上に仮想的に形成される複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示する第1の表示手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記髪を切る人の頭部に装着されるコンピュータであって、透過型ディスプレイを備え、
前記第1の表示手段は、前記透過型ディスプレイにおいて、前記髪を切られる人の頭部に重ねて前記ガイド画像を表示する
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記透過型ディスプレイにおいて、前記複数の区画の少なくとも一部を示す区画画像を、前記髪を切られる人の頭部に重ねて表示する第2の表示手段
としてさらに機能させるための、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記複数の区画の各々の形状は、前記髪を切られる人の頭部の形状に応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記カットラインは、前記髪を切られる人により選択されたヘアスタイルに応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記カットラインは、前記髪を切られる人の頭部の形状に応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
前記複数の区画の各々について、髪の切り方を説明する動画を表示する第3の表示手段
としてさらに機能させるための、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記髪を切る人により把持された髪に対応する区画を特定する区画特定手段
としてさらに機能させ、
前記第1の表示手段は、前記特定された区画について前記ガイド画像を表示する
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記区画特定手段により隣接する2以上の区画が特定された場合に、前記カットラインは、当該特定された2以上の区画に対応付けれた、髪の長さに関する複数のパラメータに基づいて直線状に形成される
ことを特徴とする、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記区画特定手段により1つの区画が特定された場合に、前記カットラインは、当該1つの区画と、当該1つの区画に隣接する区画に対応付けられた、髪の長さに関する複数のパラメータに基づいて、直線状に形成される
ことを特徴とする、請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、
前記複数の区画のうち、前記髪を切る人により髪を切られた区画を工程管理テーブルに記録する工程管理手段
としてさらに機能させるための、請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを、
前記工程管理テーブルを参照して、前記髪を切る人により髪を切られていない区画を特定する切り残し特定手段
としてさらに機能させ、
前記第1の表示手段は、前記特定された区画のヘアカットを、前記髪を切る人に促すために、当該区画について前記ガイド画像を表示する
ことを特徴とする、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記カットラインは、セニングカット用のカットラインであることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項14】
髪を切られる人の頭皮上に仮想的に形成される複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示する表示手段を備えるヘアカット支援装置。
【請求項15】
髪を切られる人の頭皮上に仮想的に形成される複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示するためのデータをヘアカット支援装置に提供する提供手段を備えるサーバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアカットを支援するためのプログラム、ヘアカット支援装置およびサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアカットを支援するための技術が種々開発されている。例えば、特許文献1には、「処置される身体部位を処置するためのシステム」が記載されている。このシステムは、「手持式の処置装置と、処置される身体部位に対する処置装置の位置を示す情報を生成するように構成される位置特定部とを含む、処置される身体部位を処置するためのシステムであって、コントローラが、位置特定部によって生成される情報に応じて処置される身体部位に対する処置装置の経路及び/又は配向の角度を決定し、コントローラによって決定される処置装置の経路及び/又は配向の角度に基づいて利用者にフィードバックを提供するようにフィードバックモジュールを動作させるように構成されるシステム」である。このシステムによれば、「処置装置の経路についてのフィードバック又は決定される処置装置の経路に基づくフィードバックを提供することによって、取られている経路を利用者に示し、あるいは現在の経路に基づいて取られるべき経路を示すことができる。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-534804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムによれば、処置装置(具体的には、電動式のトリマ)により取られた経路と今後取られるべき経路を利用者に示すことができる。しかし、ハサミを使って髪を切る人に対して髪の毛のカットラインを案内することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するための仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、コンピュータを、髪を切られる人の頭皮上に仮想的に形成される複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示する第1の表示手段として機能させるためのプログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内する仕組みを提供することができる。
上記したもの以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ヘアカット支援システム100の構成の例を示す。
図2図2は、データ管理サーバ200のハードウェア構成の例を示す。
図3図3は、スマートグラス300のハードウェア構成の例を示す。
図4図4は、カットレシピデータ400の例を示す。
図5図5は、頭皮モデルテーブル500の例を示す。
図6図6は、カットレシピテーブル600の例を示す。
図7図7は、工程管理テーブル700の例を示す。
図8図8は、事前設定シーケンス800の例を示す。
図9図9は、第1の工程管理フロー900の例を示す。
図10図10は、ガイド表示フロー1000の例を示す。
図11図11は、第2の工程管理フロー1100の例を示す。
図12図12は、3Dモデル1201の例を示す。
図13図13は、スマートグラス300の表示画面の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
1.実施例
1-1.構成
図1は、ヘアカット支援システム100の構成の例を示す。同図に示すヘアカット支援システム100は、美容師や理容師ではない一般の利用者によるヘアカットを支援するためのシステムである。
【0009】
このヘアカット支援システム100は、データ管理サーバ200と複数のスマートグラス300を備える。これらのデータ管理サーバ200と複数のスマートグラス300は、無線のネットワークを介して相互に接続され、このネットワークを介して情報を送受信することができる。
データ管理サーバ200は、ヘアカットを支援するための各種データを管理するサーバである。
スマートグラス300は、ヘアカットを行う利用者により使用される、ヘアカットを支援するためのMR(複合現実:Mixed Reality)端末である。
【0010】
データ管理サーバ200とスマートグラス300は、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーション、プログラムなどを実行するプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ICカードやハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、ネットワークカードや無線通信モジュール、モバイル通信モジュール等の通信制御部と、タッチパネルやキーボード、マウス、音声入力、カメラ部の撮像による動き検知による入力などの入力装置と、モニタやディスプレイ等の出力装置とを備える。特にスマートグラス300は、出力装置として透過型ディスプレイを備える。
なお、出力装置は、外部のモニタやディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、機器などに、出力するための情報を送信する装置や端子であってもよい。
【0011】
主記憶装置には、各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)が記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサが実行することで全体システムの各機能要素が実現される。なお、これらの各モジュールは集積化する等によりハードウェアで実装してもよい。また、各モジュールはそれぞれ独立したプログラムやアプリケーションでもよいが、1つの統合プログラムやアプリケーションの中の一部のサブプログラムや関数などの形で実装されていてもよい。
【0012】
本明細書では、各モジュールが、処理を行う主体(主語)として記載をしているが、実際には各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)を処理するプロセッサが処理を実行する。
補助記憶装置には、各種データベース(DB)が記憶されている。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるようにデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、表計算ソフトウェアでもよいし、XML、JSONなどのテキストファイルでもよい。
【0013】
図2は、データ管理サーバ200のハードウェア構成の例を示す。同図に示すデータ管理サーバ200は、例えばクラウド上に配置されたサーバで構成される。
このデータ管理サーバ200の主記憶装置210には、情報提供モジュール211というプログラムが記憶されている。このプログラムをプロセッサ230が実行することでデータ管理サーバ200の各機能要素が実現される。
【0014】
情報提供モジュール211は、ヘアカットを支援するための各種データをスマートグラス300に提供する。提供されるデータには、複数の区画の各々について、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するためのガイド画像を表示するためのデータが含まれる。このデータについては後述する。
【0015】
補助記憶装置220は、ヘアスタイル選択画面データ221、頭部形状選択画面データ222、頭皮モデルデータ223、カットレシピデータ400、解説動画データ224、頭皮モデルテーブル500、カットレシピテーブル600等のデータを記憶する。
【0016】
ヘアスタイル選択画面データ221は、利用者がヘアスタイルを選択するための画面を表すデータである。このデータにより表される画面は、複数のヘアスタイル画像により構成されている。利用者は、複数のヘアスタイル画像の中からいずれかを選択することで、希望のヘアスタイルを選択することができる。
【0017】
頭部形状選択画面データ222は、利用者が自身の頭部形状を選択するための画面を表すデータである。このデータにより表される画面は、複数の頭部形状画像により構成されている。各頭部形状画像により示される頭部形状には、例えば、長頭型、中頭型、短頭型などの、頭長幅指数により分類される頭部形状がある。利用者は、複数の頭部形状画像の中からいずれかを選択することで、髪を切られる人の頭部形状またはそれに類似するものを選択することができる。
【0018】
頭皮モデルデータ223は、頭皮を表す3Dモデルのデータである。この頭皮モデルデータ223は、頭部形状ごとに用意されている。
図12は、頭皮モデルデータ223が表す3Dモデル1201の例を示す。同図に示す3Dモデル1201は、頭皮上に仮想的に形成される複数の区画1202を有する。各区画1202は、髪を切る人によって1回のヘアカットで把持される毛束の範囲を示している。
【0019】
カットレシピデータ400は、髪のカット方法を規定するためのデータである。このカットレシピデータ400は、ヘアスタイルと頭皮モデルの組み合わせごとに用意されている。このカットレシピデータ400については後で詳述する。
【0020】
解説動画データ224は、髪の切り方を説明する動画のデータであり、より具体的には、髪の切り方の手本を示す動画のデータである。利用者は、このデータが表す動画を見ることで、髪の切り方を具体的に知ることができる。
この解説動画データ224は、3Dモデルの頭皮の区画ごとに用意されている。
【0021】
頭皮モデルテーブル500とカットレシピテーブル600については後述する。
【0022】
次に、図3は、スマートグラス300のハードウェア構成の例を示す。同図に示すスマートグラス300は、髪を切る人の頭部に装着されて使用される。
このスマートグラス300の主記憶装置310には、情報取得モジュール311、音声操作受付モジュール312、工程管理モジュール313、動画表示モジュール314、頭部検出モジュール315、頭皮モデル表示モジュール316、ガイド表示モジュール317、区画特定モジュール318、切り残し特定モジュール319等のプログラムが記憶されている。これらのプログラムをプロセッサ330が実行することでスマートグラス300の各機能要素が実現される。
【0023】
情報取得モジュール311は、ヘアカットを支援するための各種データをデータ管理サーバ200から取得する。
音声操作受付モジュール312は、利用者の音声操作を受け付ける。
工程管理モジュール313は、ヘアカットの工程を管理する。具体的には工程管理モジュール313は、利用者により髪を切られた区画を、後述する工程管理テーブル700に記録する。
【0024】
動画表示モジュール314は、解説動画データ224に基づいて、透過型ディスプレイに解説動画を表示する。表示される解説動画は、特定の区画について髪の切り方を説明する動画である。
頭部検出モジュール315は、カメラ部360により撮影された撮影画像を解析して、髪を切られる人の頭部を検出する。この頭部検出を容易にするために、髪を切られる人の頭部(より具体的には、例えば耳)に基準マーカを取り付けてもよい。
【0025】
頭皮モデル表示モジュール316は、頭皮モデルデータ223に基づいて、透過型ディスプレイに頭皮モデル画像を表示する。表示される頭皮モデル画像は、複数の区画のうちの少なくとも一部を示す画像である。また当該画像は、髪を切られる人の頭部に重ねて表示される。
頭皮モデル画像に示される各区画の形状は、髪を切られる人の頭部形状に応じて決定される。
【0026】
ガイド表示モジュール317は、複数の区画の各々について、透過型ディスプレイにガイド画像を表示する。表示されるガイド画像は、髪を切る人に対して髪のカットラインを案内するための画像である。また当該画像は、髪を切られる人の頭部に重ねて表示される。
ガイド画像で案内されるカットラインは、残すべき髪の長さ(言い換えると、切るべき髪の長さ)と、髪を切る角度を示す線である。このカットラインは、髪を切られる人により選択されたヘアスタイルと当該人の頭部形状に応じて決定される。また、このカットラインには、ベース工程のカットラインだけでなく、セニングカット用のカットラインも含まれる。
【0027】
区画特定モジュール318は、カメラ部360により撮影された撮影画像を区画推定モデルに入力して、髪を切る人により把持されている髪に対応する区画を特定する。ここで撮影画像が入力される区画推定モデルは、多数の教師データをニューラルネットワーク等の機械学習モデルに学習させることで生成される。ここで言う教師データとは、髪を把持する人を写す撮影画像と、その把持される髪が生えている区画のIDからなるデータである。生成される区画推定モデルは、カメラ部360により撮影された撮影画像を入力とし、区画IDを出力する。
区画特定モジュール318により特定された区画については、ガイド表示モジュール317によりガイド画像が表示される。
【0028】
切り残し特定モジュール319は、工程管理テーブル700を参照して、髪を切る人により髪を切られていない区画を特定する。特定された区画については、髪を切る人にヘアカットを促すために、ガイド表示モジュール317によりガイド画像が表示される。
【0029】
次に、スマートグラス300の補助記憶装置320について説明する。この補助記憶装置320は、ヘアスタイル選択画面データ221、頭部形状選択画面データ222,頭皮モデルデータ223、カットレシピデータ400、解説動画データ224、工程管理テーブル700等のデータを記憶する。
【0030】
この補助記憶装置320が記憶するデータのうち、工程管理テーブル700以外のデータはデータ管理サーバ200からダウンロードされる。一方、工程管理テーブル700はスマートグラス300内で生成される。この工程管理テーブル700については後述する。
【0031】
次に、データ管理サーバ200とスマートグラス300に記憶されるテーブル等について説明する。
図4は、カットレシピデータ400の例を示す。同図に示すカットレシピデータ400は、ベース工程およびセニング工程におけるヘアカットを支援するためのデータである。当該データは、区画ID401、髪の長さ402、角度403および解説動画ID404の4つのフィールドを有する。
【0032】
ここで区画ID401とは、3Dモデルの頭皮の区画の識別情報である。
髪の長さ402は、ヘアカットで残すべき髪の長さを表すパラメータである。このパラメータは、髪の長さの比で表される。
角度403は、カットラインの角度である。この角度は、後述するガイド画像が延びる方向に対する角度で表される。
解説動画ID404は、解説動画データ224の識別情報である。
【0033】
図5は、頭皮モデルテーブル500の例を示す。同図に示す頭皮モデルテーブル500は、頭部形状ID501と頭皮モデルID502の2つのフィールドを有する。
ここで頭部形状ID501は、頭部形状の識別情報である。
頭皮モデルID502は、頭皮モデルデータ223の識別情報である。
この頭皮モデルテーブル500は、頭部形状に対応する頭皮モデルデータ223を特定するために参照される。
【0034】
図6は、カットレシピテーブル600の例を示す。同図に示すカットレシピテーブル600は、ヘアスタイルID601、頭皮モデルID602およびカットレシピID603の3つのフィールドを有する。
ここでヘアスタイルID601は、ヘアスタイルの識別情報である。
頭皮モデルID602は、頭皮モデルデータ223の識別情報である。
カットレシピID603は、カットレシピデータ400の識別情報である。
このカットレシピテーブル600は、ヘアスタイルと頭皮モデルデータ223の組み合わせに対応するカットレシピデータ400を特定するために参照される。
【0035】
図7は、工程管理テーブル700の例を示す。同図に示す工程管理テーブル700は、区画ID701、髪の長さ702、角度703、解説動画ID704およびカット完了フラグ705の5つのフィールドを有する。
【0036】
ここで区画ID701とは、3Dモデルの頭皮の区画の識別情報である。
髪の長さ702は、ヘアカットで残すべき髪の長さを表すパラメータである。このパラメータは、髪の長さの比で表される。
角度703は、カットラインの角度である。この角度は、後述するガイド画像が延びる方向に対する角度で表される。
解説動画ID704は、解説動画データ224の識別情報である。
カット完了フラグ705は、カットが完了したか否かを示すフラグである。
この工程管理テーブル700は、ヘアカットの工程を管理するために生成される。
【0037】
1-2.動作
以下、ヘアカット支援システム100の動作として、事前設定シーケンス800、第1の工程管理フロー900、ガイド表示フロー1000および第2の工程管理フロー1100について説明する。
【0038】
1-2-1.事前設定シーケンス800
図8は、事前設定シーケンス800の例を示す。同図に示す事前設定シーケンス800は、スマートグラス300がデータ管理サーバ200からヘアカットに必要な各種データを取得するために実行されるシーケンスである。このシーケンスは、スマートグラス300を利用者(具体的には、髪を切る人)が装着した状態で実行される。
【0039】
まず、スマートグラス300の情報取得モジュール311は、データ管理サーバ200に対してヘアスタイル選択画面を要求する(ステップ801)。この要求を受けてデータ管理サーバ200の情報提供モジュール211は、スマートグラス300に対してヘアスタイル選択画面データ221を送信する(ステップ802)。このデータを受信したスマートグラス300の情報取得モジュール311は、当該データに基づいてヘアスタイル選択画面を表示する(ステップ803)。表示された画面において利用者は、髪を切られる人が希望するヘアスタイルの画像を音声操作で選択する。
【0040】
当該画面においていずれかのヘアスタイル画像が選択されると、情報取得モジュール311は、選択された画像に対応するヘアスタイルIDをデータ管理サーバ200に送信する(ステップ804)。このIDを受信したデータ管理サーバ200の情報提供モジュール211は、次に頭部形状選択画面データ222をスマートグラス300に送信する(ステップ805)。このデータを受信したスマートグラス300の情報取得モジュール311は、当該データに基づいて頭部形状選択画面を表示する(ステップ806)。表示された画面において利用者は、髪を切られる人の頭部形状の画像を音声操作で選択する。
【0041】
当該画面においていずれかの頭部形状画像が選択されると、情報取得モジュール311は、選択された画像に対応する頭部形状IDをデータ管理サーバ200に送信する(ステップ807)。このIDを受信したデータ管理サーバ200の情報提供モジュール211は、頭皮モデルテーブル500を参照して、当該IDに対応する頭皮モデルIDを特定する。そして当該モジュールは、特定したIDにより識別される頭皮モデルデータ223を補助記憶装置220から取得する(ステップ808)。
【0042】
また当該モジュールは、カットレシピテーブル600を参照して、取得したヘアスタイルIDと頭皮モデルIDの組に対応するカットレシピIDを特定する。そして当該モジュールは、特定したIDにより識別されるカットレシピデータ400を補助記憶装置220から取得する(ステップ809)。
【0043】
また当該モジュールは、取得したカットレシピデータ400を参照して、当該データの解説動画IDにより識別される解説動画データ224を補助記憶装置220から取得する(ステップ810)。
当該データモジュールは、取得した頭皮モデルデータ223、カットレシピデータ400および解説動画データ224をスマートグラス300に送信する(ステップ811)。
【0044】
それらのデータを受信したスマートグラス300の情報取得モジュール311は、受信した頭皮モデルデータ223と解説動画データ224を補助記憶装置320に記憶する(ステップ812)。また当該モジュールは、受信したカットレシピデータ400を工程管理テーブル700に格納する(ステップ813)。
以上が事前設定シーケンス800についての説明である。
【0045】
以上説明した事前設定シーケンス800によれば、利用者は、希望のヘアスタイルを実現するためのカットレシピデータ400と解説動画データ224を取得することができる。加えて利用者は、髪を切られる人の頭部形状に適合した頭皮モデルデータ223を取得することができる。
【0046】
1-2-2.第1の工程管理フロー900
図9は、第1の工程管理フロー900の例を示す。同図に示す第1の工程管理フロー900は、事前設定シーケンス800の実行後に、ヘアカットを支援するためにスマートグラス300で実行される処理フローである。このシーケンスは、スマートグラス300を利用者(具体的には、髪を切る人)が装着した状態で実行される。
【0047】
まず、スマートグラス300の工程管理モジュール313は、工程管理テーブル700に登録されている区画IDのうち、カット完了フラグ「false」と対応付けられている区画IDを処理対象に設定する(ステップ901)。ここで処理対象に設定された区画IDは、後述するガイド表示フロー1000の対象となる。
【0048】
次に当該モジュールは、工程管理テーブル700を参照して、処理対象の区画IDに対応する解説動画IDを特定する。そして当該モジュールは、特定した解説動画IDにより識別される解説動画データ224を補助記憶装置320から取得する(ステップ902)。そして当該モジュールは、取得したデータに基づいて解説動画を表示する(ステップ903)(図13参照)。この解説動画を見ることで利用者は、当該区画に対応する髪の切り方を具体的に知ることができる。
【0049】
次に当該モジュールは、当該区画のヘアカットが完了したか否かを判定する(ステップ904)。より具体的には当該モジュールは、当該区画のヘアカットの完了を通知する音声操作が受け付けられたか否かを判定する。この判定の結果、当該区画のヘアカットが完了していない場合には(ステップ904のNo)、当該モジュールは待機する。一方、この判定の結果、当該区画のヘアカットが完了した場合には(ステップ904のYes)、当該モジュールは工程管理テーブル700を更新する(ステップ905)。具体的には当該モジュールは、工程管理テーブル700において処理対象の区画IDと対応付けられているカット完了フラグを「false」から「true」に変更する。
【0050】
次に当該モジュールは、工程管理テーブル700を参照して、すべての区画IDを処理対象としたか否かを判定する(ステップ906)。具体的には当該モジュールは、工程管理テーブル700においてすべての区画IDがカット完了フラグ「true」と対応付けられているか否かを判定する。この判定の結果、すべての区画IDを処理対象としていない場合には(ステップ906のNo)、当該モジュールはステップ901に戻る。この判定の結果、すべての区画IDを処理対象とした場合には(ステップ906のYes)、当該モジュールは本処理フローを終了する。
以上が第1の工程管理フロー900についての説明である。
【0051】
以上説明した第1の工程管理フロー900によれば、工程管理テーブル700に登録された区画IDが順番にガイド表示フロー1000の対象とされる。
【0052】
1-2-3.ガイド表示フロー1000
図10は、ガイド表示フロー1000の例を示す。同図に示すガイド表示フロー1000は、区画IDが処理対象に設定されたことを契機として、スマートグラス300で繰り返し実行される処理フローである。このシーケンスは、スマートグラス300を利用者(具体的には、髪を切る人)が装着した状態で実行される。
【0053】
まず、スマートグラス300の頭部検出モジュール315は、カメラ部360により撮影された撮影画像を取得する(ステップ1001)。そして当該モジュールは、取得した撮影画像を解析して、髪を切られる人の頭部の傾きと大きさを立体的に検出する(ステップ1002)。
【0054】
次にスマートグラス300の頭皮モデル表示モジュール316は、検出された頭部の傾きおよび大きさに基づいて、当該頭部に重ねて表示する頭皮モデル画像を生成する(ステップ1003)。具体的には当該モジュールは、補助記憶装置320に記憶されている頭皮モデルデータ223を取得する。そして当該モジュールは、上記頭部に対するのと同様の視点から見た頭皮モデルであって、上記頭部に重なるようにリサイズした頭皮モデルを表す半透明の画像を生成する。
【0055】
この画像を生成後、当該モジュールは、上記頭部に重ねて当該画像を表示する(ステップ1004)。この結果、利用者には、上記頭部に重畳された頭皮モデルが見えるようになる。この頭皮モデルは頭皮の区画を有する。そのため利用者は、1回のヘアカットで把持すべき毛束の範囲を把握しやすくなる。
【0056】
次にスマートグラス300のガイド表示モジュール317は、工程管理テーブル700を参照して、処理対象の区画IDに対応する髪の長さと角度を特定する(ステップ1005)。そして当該モジュールは、特定した髪の長さおよび角度と、上記検出された頭部の傾きおよび大きさとに基づいて、ガイド画像を生成する(ステップ1006)。生成されるガイド画像については後述する。そして当該モジュールは、生成したガイド画像を表示する(ステップ1007)。
以上がガイド表示フロー1000についての説明である。
【0057】
図13は、以上説明したガイド表示フロー1000の結果、スマートグラス300に表示される画面の例を示す。ただし、同図に示す画面では、図面が煩雑になるのを避けるために、頭皮モデル画像の図示を省略している。
【0058】
図13に示す画面は、ガイド画像1301を有する。このガイド画像1301は、略四角形の板体の半透明画像である。このガイド画像1301が示す板体は、処理対象の区画IDにより識別される区画から所定の角度で延び、その先端は髪のカットラインを示す。この板体の先端が示すカットラインは、残すべき髪の長さ(言い換えると、切るべき髪の長さ)と、髪を切る角度を示す。このカットラインが示す髪の長さは、上記特定された髪の長さに基づいて決定される。より具体的には当該髪の長さは、上記特定された髪の長さ(比)に、例えば、利用者により予め指定された基準長さを乗算して得た値に基づいて決定される。また、上記カットラインが示す髪を切る角度は、上記特定された角度に基づいて決定される。
【0059】
利用者は、このガイド画像1301を参考にして髪をカットする。具体的には利用者は、まず、ガイド画像1301の板体の起点となっている区画を特定し、その区画から延びる髪の毛束を把持する。次に利用者は、把持した毛束を当該板体に沿って重ねる。そして利用者は、その状態でガイド画像1301のカットラインに沿って毛束をカットする。その結果、利用者は、処理対象の区画から生える髪を、指定された長さおよび角度に従ってカットすることができる。
【0060】
図13に示す画面は、解説動画1303も有する。この解説動画1303を見ることで利用者は、処理対象の区画に対応する髪の切り方を具体的に知ることができる。
【0061】
1-2-4.第2の工程管理フロー1100
図11は、第2の工程管理フロー1100の例を示す。同図に示す第2の工程管理フロー1100は、上記の第1の工程管理フロー900と異なり、利用者主導のヘアカットを実現する。より具体的には、上記の第1の工程管理フロー900ではヘアカットの順序が予め決められていたのに対し、この第2の工程管理フロー1100では利用者がヘアカットの順序を決定することができる。
この第2の工程管理フロー1100と上記の第1の工程管理フロー900は、利用者により選択的に実行される。
【0062】
この第2の工程管理フロー1100では、まず、スマートグラス300の区画特定モジュール318は、カメラ部360により撮影された撮影画像を取得する(ステップ1101)。そして当該モジュールは、取得した撮影画像を区画推定モデルに入力して、利用者が把持している髪に対応する区画のIDを特定する(ステップ1102)。
【0063】
区画IDが特定されると、スマートグラス300の工程管理モジュール313は、特定された区画IDを処理対象に設定する(ステップ1103)。ここで処理対象に設定された区画IDは、上述したガイド表示フロー1000の対象となる。
【0064】
次に当該モジュールは、工程管理テーブル700を参照して、処理対象の区画IDに対応する解説動画IDを特定する。そして、当該モジュールは、特定した解説動画IDにより識別される解説動画データ224を補助記憶装置320から取得する(ステップ1104)。そして、当該モジュールは、取得したデータに基づいて解説動画を表示する(ステップ1105)(図13参照)。この解説動画を見ることで利用者は、当該区画に対応する髪の切り方を具体的に知ることができる。
【0065】
次に当該モジュールは、当該区画のヘアカットが完了したか否かを判定する(ステップ1106)。より具体的には当該モジュールは、当該区画のヘアカットの完了を通知する音声操作が受け付けられたか否かを判定する。この判定の結果、当該区画のヘアカットが完了していない場合には(ステップ1106のNo)、当該モジュールは待機する。一方、この判定の結果、当該区画のヘアカットが完了した場合には(ステップ1106のYes)、当該モジュールは工程管理テーブル700を更新する(ステップ1107)。具体的には当該モジュールは、工程管理テーブル700において処理対象の区画IDと対応付けられているカット完了フラグを「false」から「true」に変更する。
【0066】
次に当該モジュールは、利用者がヘアカットの作業をすべて完了したと判断したか否かを判定する(ステップ1108)。より具体的には当該モジュールは、ヘアカットの作業がすべて完了したことを通知する音声操作が受け付けられたか否かを判定する。この判定の結果、利用者がヘアカットの作業をすべて完了したと判断していない場合には(ステップ1108のNo)、当該モジュールはステップ1101に戻る。一方、この判定の結果、利用者がヘアカットの作業をすべて完了したと判断した場合には(ステップ1108のYes)、切り残し特定モジュール319は、髪の切り残しの有無を判定する(ステップ1109)。
【0067】
具体的には当該モジュールは、工程管理テーブル700を参照して、すべての区画IDがカット完了フラグ「true」と対応付けられているか否かを判定する。この判定の結果、髪の切り残しがある場合には(ステップ1109のYes)、当該モジュールは、カット完了フラグ「true」と対応付けられていない区画IDを処理対象に設定する(ステップ1110)。ここで処理対象に設定された区画IDは、上述したガイド表示フロー1000の対象となる。そのため、髪を切り残した区画について、利用者にヘアカットを促すためのガイド画像が表示される。
【0068】
一方、上記の判定の結果、髪の切り残しが無い場合には(ステップ1109のNo)、当該モジュールは本処理フローを終了する。
以上が第2の工程管理フロー1100についての説明である。
【0069】
以上説明した第2の工程管理フロー1100によれば、利用者がヘアカットの順序を決定することができる。加えて、髪の切り残しを防止できる。
【0070】
2.変形例
上記の実施例は以下のように変形してもよい。なお、以下の変形は組み合わせて採用してもよい。
(1)ヘアカット支援システム100は、上記の通り、美容師や理容師ではない一般の利用者によるヘアカットを支援することを目的としている。しかし、このシステムの利用者は必ずしも一般の利用者に限られるわけではなく、美容師や理容師により、業務を支援するためのシステムとして利用されてもよい。
【0071】
(2)上記の実施例では、利用者端末としてスマートグラスが採用されている。しかし、スマートグラスは利用者端末のあくまで一例であり、このスマートグラスに代えて、その他の頭部装着型のコンピュータ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)が採用されてもよい。
【0072】
(3)上記の実施例では、利用者端末としてスマートグラスが採用されている。そのため、頭皮モデル画像やガイド画像は利用者の眼前に表示される。しかし、この表示方法はあくまで一例であり、別の表示方法を採用してもよい。例えば、利用者の近傍に据え置き型のディスプレイを配置し、このディスプレイに頭皮モデル画像やガイド画像を表示させてもよい。その場合、利用者端末は必ずしも頭部装着型である必要はなく、据え置き型や携帯型のコンピュータであってもよい。この据え置き型または携帯型のコンピュータは、利用者の頭部に装着されたカメラから撮影画像を無線で受信し、頭皮モデル画像やガイド画像を重畳した撮影画像を据え置き型のディスプレイに表示させればよい。
【0073】
(4)上記の実施例では、ガイド画像として、略四角形の板体の画像が表示されている(図13参照)。しかし、この画像はあくまで一例であり、カットラインとそれに対応する区画が識別可能な画像であれば、その他の画像を採用してもよい。
【0074】
(5)上記の実施例では、髪の長さに加えて切断角度もガイド画像で表している。しかし、切断角度の表示は必ずしも必須ではなく、表示を省略してもよい。
【0075】
(6)上記の事前設定シーケンス800では、髪を切られる人の頭部形状を利用者に選択させている。しかし、これに代えて、髪を切られる人の頭部形状の測定データを利用者にアップロードさせてもよい。ここでアップロードされる測定データは、例えば、髪を切られる人の側で専用の機器を使って測定した頭部形状のデータである。
【0076】
この測定データを受信したデータ管理サーバ200は、受信した測定データに基づいて、髪を切られる人の頭部形状に近い頭皮モデルを選択してもよい。あるいはデータ管理サーバ200は、当該測定データに基づいてオーダーメイドの頭皮モデルを生成してもよい。
【0077】
(7)上記の実施例では、カットレシピデータ400の髪の長さが比率で表されている。しかし、この比率は髪の長さを表すパラメータの一例にすぎない。この比率のような相対値に代えて、絶対値で髪の長さを表してもよい。
【0078】
(8)上記の実施例では、カットレシピデータ400の角度に基づいてカットラインの角度が決定されている。しかし、これに代えて、カットレシピデータ400の髪の長さに基づいてカットラインの角度を決定してもよい。
【0079】
例えば、上記の第2の工程管理フロー1100において区画特定モジュール318により1つの区画が特定されたとする。その場合、ガイド表示モジュール317は、その特定された区画と、当該区画に隣接する区画に対応付けられた複数の髪の長さに基づいて、カットラインの角度を算出してもよい。このような方法でも、隣接する区画間でカットラインを階段状とせずに直線状にすることができる。
【0080】
また別の例として、上記の第2の工程管理フロー1100において区画特定モジュール318により2以上の区画が特定されたとする。その場合、ガイド表示モジュール317は、その特定された2以上の区画に対応付けられた複数の髪の長さに基づいて、カットラインの角度を算出してもよい。この場合も、隣接する区画間でカットラインを階段状とせずに直線状にすることができる。
【0081】
(9)上記の実施例では、スマートグラス300により音声操作が受け付けられている。しかし、音声操作は操作方法のあくまで一例であり、その他の操作(例えば、視線操作やタッチ操作)を受け付けてもよい。
【0082】
(10)スマートグラス300は、髪を切られる人の頭髪の量に応じて、セニングカット用のガイド画像を表示するか否かを判定してもよい。より具体的にはスマートグラス300は、髪を切られる人の頭髪の量が所定の条件を満たす場合に、セニングカット用のガイド画像を表示するようにしてもよい。
【0083】
ここで、頭髪の量が所定の条件を満たす場合とは、具体的には、頭髪の量が多い場合である。より具体的には当該場合とは、スマートグラス300に予め設定される、毛量を示す変数が、毛量が多いことを示す場合である。頭髪の量が多い利用者は、当該変数を、毛量が多いことを示す値に予め設定しておく。
【0084】
スマートグラス300は、当該変数を参照し、当該変数の値が、毛量が多いことを示す場合には、セニングカット用のガイド画像を表示する。一方、当該変数の値が、毛量が多いことを示すものでない場合には、スマートグラス300はセニングカット用のガイド画像の表示を省略する。
【0085】
(11)美容師または理容師は、自らカットレシピデータ400を作成し、データ管理サーバ200にアップロードしてもよい。アップロードされたカットレシピデータ400は、データ管理サーバ200の補助記憶装置320に記憶され、利用者により自由にダウンロードされる。
データ管理サーバ200は、カットレシピデータ400ごとにダウンロード回数を管理し、当該サーバの管理者は、ダウンロード回数に応じてカットレシピデータ400の作成者にロイヤリティを支払ってもよい。
【0086】
(12)上記の実施例では、頭皮モデルデータ223は頭部形状ごとに用意されている。これに代えて、頭皮モデルデータ223を、頭部形状とヘアスタイルの組み合わせごとに用意してもよい。
【0087】
その場合、頭皮モデルテーブル500では、頭皮モデルIDに対し、頭部形状IDとヘアスタイルIDの組み合わせが対応付けられることになる。このテーブルを使用する場合、データ管理サーバ200は、利用者により選択された頭部形状IDとヘアスタイルIDの組み合わせに対応する頭皮モデルIDを特定する。そして当該サーバは、特定したIDにより識別される頭皮モデルデータ223をスマートグラス300に送信する。
【0088】
スマートグラス300は、その頭皮モデルデータ223に基づいて、透過型ディスプレイに頭皮モデル画像を表示する。頭皮モデル画像に示される各区画の形状は、髪を切られる人の頭部形状とヘアスタイルに応じて決定されたものとなる。
【0089】
(13)ヘアカット支援システム100を多言語に対応させてもよい。具体的には、スマートグラス300の音声操作の対応言語を、利用者が選択可能としてもよい。また、データ管理サーバ200に記憶される解説動画データ224を言語ごとに用意し、当該サーバは、利用者の使用言語に対応する解説動画データ224をスマートグラス300に送信するようにしてもよい。
【0090】
(14)上記の実施例では、カットレシピデータ400はヘアスタイルと頭皮モデルの組み合わせごとに用意されている。これに代えて、カットレシピデータ400を、ヘアスタイル、頭部形状および額(ひたい)形状の組み合わせごとに用意してもよい。
【0091】
その場合、カットレシピテーブル600では、カットレシピIDに対し、ヘアスタイルID、頭皮モデルIDおよび額形状IDの組み合わせが対応付けられることになる。このテーブルを使用する場合、データ管理サーバ200は、利用者により選択されたヘアスタイルIDおよび額形状IDと、自サーバで特定した頭皮モデルIDとに対応するカットレシピIDを特定する。そして当該サーバは、特定したIDにより識別されるカットレシピデータ400をスマートグラス300に送信する。
【0092】
スマートグラス300は、そのカットレシピデータ400に基づいて、透過型ディスプレイにガイド画像を表示する。表示されるガイド画像が示すカットラインは、ヘアスタイルと頭皮モデルと額形状に応じて決定されたものとなる。
【0093】
なお、上記の例でデータ管理サーバ200は、額形状ごとにカットレシピデータ400を予め用意している。しかし、これに代えて当該サーバは、ヘアスタイルと頭部形状に対応するカットレシピデータ400を、利用者の額形状に応じて、特に額に対応する区画について修正するようにしてもよい。
【0094】
(15)なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0095】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0096】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0097】
100…ヘアカット支援システム、200…データ管理サーバ、210…主記憶装置、211…情報提供モジュール、220…補助記憶装置、221…ヘアスタイル選択画面データ、222…頭部形状選択画面データ、223…頭皮モデルデータ、224…解説動画データ、230…プロセッサ、240…入力装置、250…出力装置、260…通信制御部、300…スマートグラス、310…主記憶装置、311…情報取得モジュール、312…音声操作受付モジュール、313…工程管理モジュール、314…動画表示モジュール、315…頭部検出モジュール、316…頭皮モデル表示モジュール、317…ガイド表示モジュール、318…区画特定モジュール、319…切り残し特定モジュール、320…補助記憶装置、330…プロセッサ、340…入力装置、350…出力装置、360…カメラ部、370…通信制御部、400…カットレシピデータ、500…頭皮モデルテーブル、600…カットレシピテーブル、700…工程管理テーブル
図1
図2
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図6
図7
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図10
図11
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