(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063237
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】眼の治療中の眼球追跡のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/113 20060101AFI20240501BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61B3/113
A61F9/007 200C
A61F9/007 170
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024035968
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2021515165の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】62/733,620
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】510017365
【氏名又は名称】アヴェドロ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AVEDRO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ルジスキー,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー,デイビッド
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】眼の治療中に眼の動きを追跡するための1の例示的なシステムは、眼の複数の画像をキャプチャするように構成された画像キャプチャ装置を含む。このシステムは、上記画像キャプチャ装置から複数の画像を受信するプロセッサを含むコントローラを含んでいる。上記プロセッサは、複数の追跡器を実装する。各追跡器は、複数の画像内のそれぞれの特徴を検出するように構成され、上記それぞれの特徴に基づいて、眼の動きに関連するそれぞれのデータセットを提供する。複数の追跡器によって検出された上記それぞれの特徴は、互いに直交しており、複数の追跡器によって提供されたそれぞれのデータセットは、互いに独立している。上記プロセッサは、複数の追跡器からのデータセットを合体させ、上記データセットに基づいて上記眼の動きの指標を決定する。
【効果】障害からの誤った情報や欠落している情報に対処できるので、追跡を続行することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の治療中に眼の動きを追跡するためのシステムであって、
眼の複数の画像を取り込むように構成された画像キャプチャ装置、及び
1以上のコンピュータ可読媒体に記憶されたプログラム命令を実行するように構成された1以上のプロセッサを含む1以上のコントローラ、
を備え、
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサに対して、
前記画像キャプチャ装置から前記複数の画像を受信させ、
複数の追跡器を実装させ、各追跡器は、前記複数の画像におけるそれぞれの特徴を検出し、且つ、前記それぞれの特徴に基づいて、前記眼の動きに関連するそれぞれのデータセットを提供するように構成されており、前記複数の追跡器によって検出された前記それぞれの特徴は、互いに対して直交しており、前記複数の追跡器によって提供された前記それぞれのデータセットは、互いに独立している、
前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させ、及び
前記合体されたデータセットに基づいて、前記眼の動きの指標を決定させる、
上記システム。
【請求項2】
各追跡器によって提供された前記それぞれのデータセットは、前記複数の画像に対応するフレームの時系列にわたる前記それぞれの特徴の形状、及び/又は、位置の変化を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記眼の動きの前記指標は、前記眼の瞳孔の動きを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の画像がピクセル化され、各追跡器が局所的なピクセル情報に基づいて前記それぞれの特徴を検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像キャプチャ装置は高速赤外線カメラを含み、前記複数の画像は赤外線画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させる時に、前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサに、前記複数の追跡器からの前記データセットを互いに分析させ、前記データセット間の不整合を識別させ、前記データセットの前記不整合に対する修正をさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記不整合は、少なくとも、前記複数の画像によって取り込まれた照明の反射、及び/又は、障害物によって引き起こされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の追跡器は、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域の解剖学的構造を含む第1の特徴を検出し、且つ、前記第1の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第1のデータセットを提供するように構成された第1の追跡器、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域と瞳孔領域との間のコントラストによって規定される形状を含む第2の特徴を検出し、且つ、前記第2の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第2のデータセットを提供するように構成された第2の追跡器、及び
前記複数の画像において、前記眼の前記虹彩領域と瞳孔領域との間の境界を含む第3の特徴を検出し、且つ、前記第3の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第3のデータセットを提供するように構成された第3の追跡器、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサに、前記複数の画像に対応するフレームの時系列におけるフレームの数の閾値に関する時間的整合性の状態を識別させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記眼の動きの前記指標を決定するために、前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサに、(i)フレームFnに対する前記複数の追跡器からの前記合体されたデータセットからのコンセンサスと(ii)前のフレームFn-1について決定された前記眼の位置とに基づいて、前記フレームFnにおける前記眼の前記位置を繰り返し決定することによって、前記複数の画像に対応する前記フレームの時系列を処理させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
眼の治療中の眼の動きを追跡するための方法であって、
画像キャプチャ装置を用いて眼の複数の画像を取り込むこと、及び
1以上のプロセッサを用いて複数の追跡器を実装することであって、各追跡器は、前記複数の画像におけるそれぞれの特徴を検出するように、且つ、前記それぞれの特徴に基づいて、前記眼の動きに関連するそれぞれのデータセットを提供するように構成されており、前記複数の追跡器によって検出された前記それぞれ特徴は、互いに直交しており、且つ前記複数の追跡器によって提供された前記それぞれのデータセットは、互いに独立している、
前記1以上のプロセッサを用いて、前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させること、及び
前記1以上のプロセッサを用いて、前記合体されたデータセットに基づいて前記眼の動きの指標を決定すること、
を包含する、
上記方法。
【請求項12】
各追跡器によって提供される前記それぞれのデータセットは、前記複数の画像に対応するフレームの時系列にわたる前記それぞれの特徴の形状、及び/又は、位置の変化を示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記眼の動きの前記指標は、前記眼の瞳孔の動きを示している、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の画像がピクセル化され、各追跡器が局所的なピクセル情報に基づいて前記それぞれの特徴を検出する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記画像キャプチャ装置は高速赤外線カメラを含み、前記複数の画像は赤外線画像である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させることは、前記データセット間の不整合を識別し且つ前記データセットの不整合を訂正するために、前記複数の追跡器からの前記データセットを互いに分析することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記不整合は、少なくとも、前記複数の画像によって取り込まれた照明の反射、及び/又は、障害物によって引き起こされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の追跡器は、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域の解剖学的構造を含む第1の特徴を検出するように、且つ、前記第1の特徴に基づいて前記眼の動きに関連する第1のデータセットを提供するように構成された第1の追跡器、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域と瞳孔領域との間のコントラストによって規定される形状を含む第2の特徴を検出するように、且つ、前記第2の特徴に基づいて前記眼の動きに関連する第2のデータセットを提供するように構成された第2の追跡器、及び
前記複数の画像において、前記眼の前記虹彩領域と瞳孔領域との間の境界を含む第3の特徴を検出するように、且つ、前記第3の特徴に基づいて前記眼の動きに関連する第3のデータセットを提供するように構成された第3の追跡器、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の画像に対応するフレームの時系列におけるフレームの数の閾値に関する時間的整合性の状態を識別すること、を更に包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記眼の動きの前記指標を決定することは、(i)フレームFnに対する前記複数の追跡器からの前記合体されたデータセットからのコンセンサスと、(ii)前のフレームFn-1について決定された前記眼の位置と、に基づいて、前記フレームFnにおける前記眼の前記位置を繰り返し決定することによって、前記複数の画像に対応する前記フレームの時系列を処理することを包含している、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/733,620号(2018年9月19日に出願)の利益及び優先権を主張し、その内容は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、眼の治療のためのシステム及び方法、より具体的には、眼の所望の領域に治療を施すために眼の動きを追跡するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クロスリンキング治療(/架橋治療)は、疾患(例えば円錐角膜)に罹っている眼を治療するために使用されうる。特に、円錐角膜は、角膜内の構造変化によって角膜が弱くなり、異常な円錐形に変形する眼球の変性疾患である。クロスリンキング治療は、円錐角膜によって弱められた領域を強化し且つ安定化させ、望ましくない形状変化を防ぐことができる。
【0004】
クロスリンキング治療はまた、レーシック(LASIK:Laser-Assisted in site Keratomileusis(レーザ支援その場円錐角膜矯正))手術などの外科的手術の後に用いられてもよい。例えば、レーシック後拡張症として知られる合併症は、レーシック手術によって引き起こされる角膜の薄化と弱化が原因で発生する可能性がある。レーシック後拡張症では、角膜に進行性の急勾配(膨らみ)が生じる。したがって、クロスリンキング治療は、レーシック手術後の角膜の構造を強化且つ安定化し、レーシック後拡張症を防ぐことができる。
【0005】
クロスリンキング治療はまた、近視、遠視、乱視、不規則な乱視、老眼などの障害を矯正するために角膜の屈折変化を誘発するために使用されうる。
【発明の概要】
【0006】
クロスリンキング手術では、角膜を光活性化光に少なくとも数分間(例えば、1分~30分間)曝す必要があるので、手術中に何らかの眼の動きが発生する可能性が非常に高くなる。眼の動きの発生に対処するために、システム及び方法は、眼球追跡システムを用いて角膜の位置のどのような変化をも決定することができ、それに応じて、照明システムを角膜の特定の領域に光活性化光を精確に照射するように調整できる。
【0007】
眼の治療中の眼の動きを追跡するための1例示的システムは、眼の複数の画像を取り込むように構成された画像キャプチャ装置を含む。本システムは、1以上のコンピュータ可読媒体に記憶されたプログラム命令を実行するように構成された1以上のプロセッサを含む1以上のコントローラを含む。上記1以上のプロセッサは、上記画像キャプチャ装置から上記複数の画像を受信する。上記1以上のプロセッサは、複数の追跡器を実装する。各追跡器は、上記複数の画像におけるそれぞれの特徴を検出し、且つ上記それぞれの特徴に基づいて、上記眼の動きに関連するそれぞれのデータセットを提供するように構成されている。上記複数の追跡器によって検出された上記それぞれの特徴は、互いに直交しており、上記複数の追跡器によって提供された上記それぞれのデータセットは、互いに独立である。上記1以上のプロセッサは、上記複数の追跡器からの上記データセットを合体し、且つ上記合体されたデータセットに基づいて上記眼の動きの指標を決定する。
【0008】
医学的治療(例えば、クロスリンキング治療)における眼球追跡は、ロバスト(堅牢)かつ正確でなければならない。何故なら、眼球追跡におけるエラーは、効果のない治療、及び/又は、患者への損傷/けがをもたらす可能性があるからである。例示的システム及び方法は非常に堅牢である。何故なら、上記追跡器が上記複数の画像における直交する(重複しない)画像の特徴に関する情報を取得し、眼の動きの独立した推定値を提供するからである。これらの独立した推定値は、誤差分散を減らし、眼の動きの滑らかな推定値をより正確に取得することを可能にするために、高度なレベルのメタヒューリスティック過程を用いて相互に分析される。上記画像における反射やその他の妨害が原因で、上記追跡器が時々障害に陥いる場合に、上記システム及び方法は、そのような障害からの誤った情報や欠落している情報に対処できるので、追跡を続行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の態様による、角膜コラーゲンの架橋を生成するために、架橋剤と光活性化光とを眼の角膜に施与する1の例示的システムを示す図である。
【
図2】本開示の態様による、眼球追跡システムを備えた1の例示的治療システムを示す図である。
【
図3】本開示の態様による、例示的な眼球追跡システムによって捕捉された眼のピクセル化画像において検出されうる特徴を示す図である。
【
図4】本開示の態様による、眼球追跡システムのために、捕捉された眼の画像における複数の特徴を追跡且つ処理するために集合体追跡器を用いる例示的な解決法を示す図である。
【
図5A】本開示の態様による、眼の動きに関連する最終推定値を生成するために、3つの追跡器からのデータを合体するために高レベルのメタヒューリスティック(汎用発見的問題解決法)を用いる例示的な方法を示す図である。
【
図5B】本開示の態様による、眼球運動に関連する最終推定値を生成するために3つの追跡器からのデータを合体するために高レベルのメタヒューリスティックを用いる例示的な方法を示す図である。
【
図6】本開示の態様による、
図5A~5Bに示された例示的な方法に基づいて、瞳孔中心位置のコンセンサス(総意)を決定するためにそれぞれの追跡器によって用いられる画像の特徴を備えた例示的フレームを示す図である。
【
図7】本開示の態様による、フレームF
iの時系列が処理されるにつれて、様々な状態を通過して進行するトラック(軌跡)を生成する例示的な眼球追跡プロセスを示す図である。
【
図8】本開示の態様による、
図7に示されたような「成熟期トラック」での一連のフレームF
iを処理するための例示的なアプローチを示す図である。
【
図9A】生じうる誤差誘発現象として、不規則な形状の瞳孔又は瞳孔の形状の変化を捉えた例示的な画像である。
【
図9B】生じうる誤差誘発現象として、治療ために患者が着用するマスク又は瞼による眼の部分的閉鎖からの影及び反射を捉えた例示的な画像である。
【
図9C】生じうる誤差誘発現象として、治療に用いられる点眼器及び検鏡を捉えた例示的な画像である。
【
図9D】生じうる誤差誘発現象として、眼内インプラントによって引き起こされた瞳孔の灰色化を捉えた画像の例である。
【
図9E】生じうる誤差誘発現象として、インプラントされた眼内レンズに起因する不規則な反射パターンを捉えた例示的な画像である。
【
図9F】生じうる誤差誘発現象として、妨害(例えば、指又は点眼器)を捉えた例示的な画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、様々な修正及び代替の形態が可能であるが、その特定の実施形態が、例として図面に示されており、そして本明細書で詳細に説明されよう。しかし、本開示を、開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本開示の趣旨に含まれる全ての修正、均等物、及び代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0011】
図1は、眼1の角膜2においてコラーゲンの架橋(cross-linking:クロスリンキング)を生成するための1の例示的治療システム100を示す。本治療システム100は、架橋剤130を角膜2に施与するためのアプリケータ132を含んでいる。例示的実施態様において、アプリケータ132は、光増感剤130を液滴として角膜2に施与する点眼器、注射器などでありうる。架橋剤を施与するための例示的システム及び方法は、「Systems and Methods for Delivering Drugs to an Eye(薬剤を眼に施与するためのシステム及び方法)」と題された米国特許第10,342,697号(2017年4月13日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0012】
架橋剤130は、架橋剤130を角膜上皮2aを通して角膜基質2b内の下部領域へと通過させることを可能にする製剤で提供されうる。代わりに、架橋剤130を下部組織に対してより直接的に施与することを可能にするために、角膜上皮2aは除去されるか、さもなければ切開されてもよい。
【0013】
本治療システム100は、光源110及び光を角膜2に向けるための光学素子112を備える照射システムを含んでいる。この光は、架橋剤130の光活性化を引き起こして、角膜2において架橋活性を生み出す。例えば、架橋剤はリボフラビンを含むことができ、光活性化用の光(以下、光活性化光と呼ぶ)は紫外A(UVA)(例えば、約365nm)光を含むことができる。代わりに、光活性化光は、別の波長、例えば可視波長(例えば、約452nm)を含んでもよい。以下でさらに説明するように、角膜架橋は、光化学動的反応の機構に従って、角膜組織内に化学結合を生成することによって角膜強度を改善する。例えば、リボフラビン及び光活性化光は、疾患(例えば、円錐角膜又はレーシック後拡張症)に対処するために、角膜組織を安定化、及び/又は、強化するように施与されてもよい。
【0014】
本治療システム100は、本システム100(光源110、及び/又は、光学素子112を含んでいる)の態様を制御する1又は複数のコントローラ120を含んでいる。1実施形態において、角膜2は、架橋剤130で(例えば、点眼器、注射器などを用いて)より幅広く治療され得、且つ光源110からの光活性化光は、特定のパターンに従って治療される角膜2の領域に選択的に向けられうる。
【0015】
光学素子112は、光源110によって放射された光活性化光を、角膜2上の特定のパターンに向け且つ集束するための、1以上の鏡又はレンズを含みうる。光学素子112は更に、光源110によって放射された光の波長を部分的に遮断するために、且つ架橋剤130を光活性化するために角膜2に向けられた光の特定の波長を選択するために、フィルタを含みうる。更に、光学素子112は、光源110によって放射された光のビームを分割するための1又は複数のビームスプリッタを含んでもよく、且つ光源110によって放射された光を吸収するための1又は複数のヒートシンクを含んでもよい。光学素子112はまた、光活性化光を角膜2内の特定の焦点面に(例えば、架橋活性が望まれる下部領域2b内の特定の深さで)正確かつ精密に集束させうる。
【0016】
更に、角膜2の選択された領域において所望の程度の架橋を達成するために、光活性化光の固有の特性が変更されうる。1又は複数のコントローラ120は、波長、帯域幅、強度、出力、位置、浸透の深さ、及び/又は、治療期間(露光サイクルの期間、暗サイクルの期間、及び露出サイクルと暗サイクルの継続時間の比率)の任意の組み合わせに従って、光活性化光を正確に施与するように、光源110、及び/又は、光学素子112の動作を制御することができる。
【0017】
架橋剤130の光活性化に関するパラメータは、例えば、所望の架橋を達成するために必要とされる時間を短縮するように調整されうる。1実装例において、時間は分から秒に減らすことができる。いくつかの構成は、5mW/cm2の放射照度で光活性化光を照射できるが、必要な架橋を達成するのに必要な時間を短縮するために、光活性化光は、より大きな照度(例えば、5mW/cm2の倍数)で照射されうる。角膜2に吸収されるエネルギーの総線量は、実効線量として記載され得、それは角膜上皮2aの領域を通過して吸収されたエネルギーの量である。例えば、角膜表面2aの領域に対する実効線量は、例えば、5J/cm2、又は20J/cm2、又は30J/cm2の大きさでありうる。記載された実効線量は、エネルギーの1回の施与から、又はエネルギーの繰り返しの施与から与えられうる。
【0018】
本治療システム100の光学素子112は、光活性化光の照射を空間的及び時間的に変調するために、微小電気機械システム(MEMS: microelectromechanical system)装置、例えばデジタル微小ミラーデバイス(DMD: digital micro-mirror device)を含みうる。DMD技術を用いて、光源110からの光活性化光は、半導体チップ上のアレイ状に配置された極めて微小なミラー(鏡)によって作成される精確な空間パターンで投射される。各鏡は、投射された光のパターンの1又は複数のピクセルを表す。DMDを用いると、トポグラフィー(topograph)に導かれた架橋を実行できる。トポグラフィーによるDMDの制御は、いくつかの異なる空間的及び時間的な照度及び線量プロファイルを用いうる。これらの空間的及び時間的な線量プロファイルは、連続波照射を用いて作成できるが、周波数及びデューティサイクルを変化させる形の下で、照射源をパルス化することによるパルス化照射を介して調整されうる。代わりに、DMDは、連続波照射を用いて究極の柔軟性を提供するように、ピクセル毎にピクセルの周波数とデューティサイクルが異なるように調整しうる。あるいは、パルス化照射と、調整されたDMD周波数及びデューティサイクルの組み合わせとの両方が組み合わされてもよい。この空間的に決定される架橋は、治療前の計画、及び/又は、治療中の角膜架橋の実時間の監視及び調整のために、線量測定法、干渉法、光干渉断層法(OCT)、角膜トポグラフィーなどと組み合わされうる。線量測定システムの態様については、以下でさらに詳しく説明する。さらに、臨床前の患者情報を有限要素生体力学的コンピューターモデリングと組み合わせて、患者固有の治療前計画を作成することもできる。
【0019】
光活性化光の投射の態様を制御するために、実施形態はまた、多光子励起顕微鏡法の態様を採用しうる。具体的には、特定波長の単一光子を角膜2へ照射するというよりも、本治療システム100は、架橋を開始するように結合するところの、より長い波長(即ち、より低いエネルギー)の複数の光子を照射しうる。有利には、より長い波長は、より短い波長よりも角膜2内で散乱される程度が少なく、このことは、より長い波長の光が、より短い波長の光よりもより効率的に角膜2に浸透することを可能にする。角膜内のより深い所での入射照射の遮蔽効果はまた、従来の短波長照射よりも低減される。何故なら、光増感剤による光の吸収は、より長い波長ではるかに少ないからである。このことは、深さに固有の架橋に対する制御を強化可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、2つの光子が用いられうる。ここで、各光子は、さらに以下で説明される光化学的反応を生成するように、架橋剤130内の分子を励起するのに必要なエネルギーの約半分を運ぶ。架橋剤分子が同時に両方の光子を吸収する場合、それは角膜組織において反応性ラジカルを放出するのに十分なエネルギーを吸収する。実施形態はまた、架橋剤分子が反応性ラジカルを放出するためには、例えば、3、4、又は5個の光子を同時に吸収しなければならないような、より低いエネルギーの光子を利用してもよい。複数の光子がほぼ同時に吸収される可能性は低く、したがって高フラックスの励起光子が必要になり、高フラックスはフェムト秒レーザを介して与えられうる。
【0020】
多数の条件及びパラメータが、架橋剤130による角膜コラーゲンの架橋に影響を与える。例えば、光活性化光の照度及び線量は、架橋の量及び速度に影響を与える。
【0021】
架橋剤130が具体的にはリボフラビンである場合、UVA光は連続的(連続波(CW))に又はパルス光として照射されてもよく、この選択は、架橋の量、速度、及び程度に影響を与える。UVA光がパルス光として照射される場合、露光サイクル、暗サイクルの期間、及び露出サイクルの暗サイクル期間に対する比率は、結果として角膜硬化に影響を与える。パルス光照射は、同じ量又は線量のエネルギーを施与する連続波照射で達成できるよりも、角膜組織の硬化をより強めたり弱めたりするために用いられうる。適切な長さと周波数との光パルスは、より最適な化学増幅を達成するために用いられうる。パルス光治療について、オン/オフのデューティサイクルは、約1000/1から約1/1000の間でありうる。照度は平均照度が約1mW/cm2から約1000mW/cm2の間であり得、パルスレートは約0.01Hzから約1000Hzの間、又は約1000Hzから約100,000Hzの間でありうる。
【0022】
本治療システム100は、DMD(光源110を電子的にオン及びオフする)を採用することにより、及び/又は、機械的若しくは光電子的(例えば、ポッケルスセル)シャッター又は機械的チョッパー又は回転開口部を用いることにより、パルス光を生成しうる。DMDのピクセルに固有の変調機能、及び変調された周波数、デューティサイクル、照度、及び角膜に照射される線量に基づく後続の剛性付与の故に、複雑な生体力学的剛性パターンが角膜に付与され、様々な程度の屈折矯正を可能にする。これらの屈折矯正には、眼の状態(例えば、円錐角膜、透明な周辺部疾患、レーシック後拡張症)並びに角膜の生体力学的変化/変性などの他の状態の故の、例えば、近視、遠視、乱視、不規則な乱視、老眼、及び複雑な角膜屈折面矯正の組み合わせが含まれうる。DMDのシステム及び方法の具体的な利点は、それが、ランダムな非同期パルストポグラフィーパターン化のために、非周期的で均一に見える照明(この照明は2Hz~84Hzの間のパルス周波数に対する感光性てんかん発作又はフリッカーめまいを引き起こす可能性を除去する)を作成することを可能にすることである。
【0023】
例示的な実施形態は階段状のオン/オフパルス光機能を用いうるけれども、同様の効果を得るために、角膜へ光を照射する別の機能が用いられうることが理解される。例えば、正弦波関数、鋸歯状波関数、又は他の複雑な関数又は曲線、あるいは関数又は曲線の任意の組み合わせに従って、光が角膜に照射されうる。実際、関数は、オン/オフ値の間でのより緩やかな遷移でありうる場合にも、実質的に階段状でありうることが理解されよう。さらに、照度は、オフサイクル中にゼロの値まで減少する必要はなく、オフサイクル中にゼロより上でありうる場合があることが理解されよう。所望の効果は、2以上の値の間で照度を変化させる曲線に従って、角膜に光を当てることによって達成されうる。
【0024】
光活性化光を送達するためのシステム及び方法の例は、例えば、「Systems and Methods for Applying and Monitoring Eye Therapy(眼科治療を施し及び監視するためのシステム及び方法)」と題された米国特許出願公開第2011/0237999号(2011年3月18日出願)、「Systems and Methods for Applying and Monitoring Eye Therapy(眼科治療を施し及び監視するためのシステム及び方法)」と題された米国特許出願公開第2012/0215155号(2012年4月3日出願)、及び「Systems and Methods for Corneal Cross-Linking with Pulsed Light(パルス光による角膜架橋のためのシステムと方法)」と題された米国特許出願公開第2013/0245536号(2013年3月15日出願)に記載されている。これらの出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0025】
酸素の添加はまた、角膜の硬化の程度に影響を与える。人の組織において、O
2含有量は大気と比較して極めて低い。しかし、角膜における架橋の速度は、光活性化光が照射されるときのO
2の濃度に関連している。したがって、所望の程度の架橋が達成されるまで、架橋速度を制御するために、照射中に能動的にO
2の濃度を増加又は減少させることが有利でありうる。酸素は、いくつかの異なる方法でクロスリンキング治療中に施与されてもよい。1つのアプローチは、リボフラビンをO
2で過飽和にすることである。このようにして、リボフラビンが眼に施与されるとき、高濃度のO
2がリボフラビンと一緒に角膜内に直接施与され、リボフラビンが光活性化光に曝されるときにO
2を含む反応に影響を与える。別のアプローチによれば、(選択された濃度での)O
2の定常状態が角膜の表面で維持され、角膜は選択された量のO
2に曝され、O
2を角膜に入らせることができる。
図1に示されたように、例えば、治療システム100はまた、酸素源140と、酸素を任意選択的に選択された濃度で角膜2に随意に供給される酸素供給デバイス142とを含む。クロスリンキング治療中に酸素を施与するための例示的なシステム及び方法は、たとえば、「Eye Therapy(眼科治療)」という標題の米国特許第8,574,277号(2010年10月21日出願)、「Systems and Methods for Corneal Cross-Linking with Pulsed Light(パルス光による角膜架橋のためのシステム及び方法)」という標題の米国特許第9,707,126号(2012年10月31日出願)に記載されている。これらの出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。さらに、眼の治療において酸素濃度と光活性化光を施与するための例示的なマスク器具が、「Systems and Methods for Treating an Eye with a Mask Device(マスク器具を用いる眼を治療するためのシステム及び方法)」と題する米国特許出願公開第2017/0156926号(2016年12月3日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。例えば、マスクは、眼の表面上に一貫した既知の酸素濃度を与えるために眼を覆って配置されうる。
【0026】
リボフラビンは、照射エネルギー(特に光)を吸収すると、光活性化を受ける。リボフラビンの光活性化に関して、タイプI及びタイプIIの2つの光化学的動的経路がある。タイプI及びタイプIIの両方の機構に含まれる反応と、架橋活性を生成する光化学動的反応の別の側面とは、「Systems and Methods for Cross-Linking Treatments of an Eye(眼のクロスリンキング治療のためのシステムと方法)」と題する米国特許第10,350,111号(2016年4月27日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0027】
例えば、円錐角膜を治療するために、又は屈折矯正を実現するために、効果的なクロスリンキング手術は、架橋剤で治療される角膜の特定の領域に、可能な限り正確に光活性化光を照射する。指定された領域の外側に光活性化光を照射することは、角膜に望ましくない構造変化又は損傷を生じさせ、治療結果に悪影響を与える可能性がある。しかし、光活性化光の正確な照射は、処置中に起こりうる眼の動きのために、実現するのが困難な場合がありうる。このような眼の動きは、例えば、
図1に示されるように、x-y平面に沿った並進、視線角度の変化、及び/又は、隔壁の動きを含みうる。(
図1において、角膜2の深さはz軸に沿って測定され、光活性化光のパターンは横方向x-y平面に投射される場合がある。)クロスリンキング手術は、角膜を光活性化光に少なくとも数分間、例えば1~30分間、露光させる必要があるので、処置中に何らかの眼の動きが発生する可能性は非常に高い。
【0028】
眼の動きの発生に対処するため、実施形態は、角膜の位置の変化を決定するために眼球追跡システムを用いることができ、それに応答して、角膜の特定の領域に光活性化光を正確に照射するように照射システムを調整する。
図2は、眼球追跡システム250を備えた例示的な治療システム200を示す。治療システム200は、光活性化光を眼1の角膜2に向けるための照射システムを含む。照射システムは、上述のように、光源110及び光学素子112を含む。例えば、光源110は、角膜2に施与されたリボフラビンを光活性化するために、UV光を放射する1以上のLEDを含みうる。光学素子112は、光活性化光を角膜2上に正確な空間パターンでx-y平面に沿って照射する。さらに、治療システム200は、治療システム200の態様を制御するための1又は複数のコントローラ120を含む。
【0029】
眼球追跡システム250は、手術中に眼1の複数の画像20を動的に取り込む(「キャプチャする」とも云う)カメラ252(画像キャプチャ装置)を含んでいる。各画像20は、動いている眼1のビデオ内の一連のフレームのうちの1つに対応しうる。いくつかの実施形態において、カメラ252は高速赤外線カメラであり得、画像20はピクセル化されたデジタル画像でありうる。一般に、コントローラ120は、カメラ252、ひいては治療システム200に対する眼1の1つ以上の幾何学的特徴の位置を検出するために、画像20を処理することができる。1つ以上の特徴の位置を基準として用いて、コントローラ120は、角膜2の指定された領域の位置を決定することができる。このようにして、コントローラ120は、指定された領域の位置に光活性化光を送達するように、治療システム200を調整することができる。眼球追跡システム250はまた、画像20を処理するためにコントローラ120によって用いられるソフトウェア(例えば、一時的でない媒体に格納されたコンピュータ可読命令)を含んでいる。
【0030】
上述のように、医学的治療(例えば、クロスリンキング治療)における眼球追跡は、眼球追跡の誤りが効果のない治療、及び/又は、患者への損傷/負傷をもたらす可能性があるので、ロバスト(/頑健)で且つ正確でなければならない。眼球追跡システムの中には、眼の画像に取り込まれた角膜からの光の反射を信頼する場合がある。
図3は、例えば、例示的な反射28を示している。しかし、反射パターンは、眼球追跡に関して信頼できない根拠を与える可能性がある。
図9Eに示されるように、例えば、眼に埋め込まれた眼内レンズ(IOL:intraocular lens)は、不規則な反射パターンを生成する可能性がある。さらに、治療中のまばたきを制限するために用いられる検鏡によって、眼が長期間開いたままにされる場合、角膜上の涙液膜が破壊される可能性がある。乾燥し壊れた涙液膜は、画像に輝いたパターンを作る反射面を生成し、反射ベースの追跡システムに対してさらなる課題をもたらす。したがって、ロバストで正確な眼球追跡を達成するために、実施形態は、角膜からの光の反射に依存しないアプローチを採用する。
【0031】
図3は、カメラ252によって取り込まれた眼の例示的なピクセル化画像20を示す。特に、画像20は、特徴22、24、26を含む。画像の特徴22は、瞳孔括約筋及び色素性線維血管間質によって形成された虹彩領域3における低レベルの解剖学的構造に対応している。これらの解剖学的構造は、特に高速赤外線カメラによって取り込まれた場合に、画像20におけるテクスチャ(陰影)として現れる。画像の特徴24は、虹彩領域3と瞳孔領域4との間のコントラストによって規定される暗く実質的に円形又は円のような形状に対応している。画像の特徴26は、虹彩領域3と瞳孔領域4との間の実質的に円形の境界に対応している。コントローラ120は、画像の特徴22、24、26を検出し、画像20の時系列にわたる画像の特徴22、24、26の形状及び位置の変化を決定しうる。
【0032】
眼球追跡システム250は、
図4に示されるような集合体追跡器454を含みうる。特に、集合体追跡器454(1以上のコントローラ120によって実装されるような)は、高速赤外線カメラによって捉えられる赤外線画像20aを処理するために、追跡器A、追跡器B、及び追跡器Cを用いる。3つの追跡器A、B、Cは全て、局所的なピクセル情報を用いて非常に高速に動作し、且つ同時に並行して動作することができる。フレーム間の眼の動きの推定値は、追跡器A、B、Cのいずれかから非常に高速に(例えば、数ミリ秒以内に)取得できる。
【0033】
追跡器Aは、画像の特徴22(即ち、虹彩領域のテクスチャ)に対して特に合わせて調整されている。追跡器Aは、虹彩領域3内の特徴点の集合(それらは高い空間周波数を有する本質的な極値点である)のマルチスケールのオプティカルフロー(optical flow)を推定するために、ルーカスカナデトマシ(Lucas Kanade Tomasi: LKT)特徴追跡器の変形を使用しうる。これらの特徴点は、追跡の開始時に検出され、場面の変更によって失われたときにも自動的に補充されうる。
【0034】
追跡器Bは、画像の特徴24(即ち、虹彩と瞳孔との間のコントラスト)に対して特に合わせて調整されている。赤外線画像20aにおいて瞳孔が虹彩よりも暗く見えるという事実を用いて、追跡器Bは、虹彩領域3のより明るい色のピクセルに囲まれた瞳孔領域4内のピクセルの集合によって形成されたより暗い形状を探すために、最適化技術を用いることができる。追跡器Bは、例えば、フーバーのM推定器(Huber’s M-estimators)を用いて、反射によって発生する明るく輝き且つ飽和したピクセルを無視するためにロバストな統計学を用いることができる。
【0035】
追跡器Cは、画像の特徴26(即ち、虹彩-瞳孔境界)に対して特に合わせて調整される。追跡器Cは、円形又は楕円形のモデルを、赤外線画像20aから得られたより高いスケールでの境界マップに適合させることによって、円形の瞳孔-虹彩境界を検出することができる。
【0036】
図4に示されるように、例示的なアプローチ400は、追跡器A、B、Cからのデータを合体させる集合体追跡器454を用いて、赤外線画像20aからの眼の動きのよりロバストで正確かつ効率的な推定を提供する。例えば、3つの画像の特徴22、24、26の全てに関連する情報に基づく集合的平均運動を用いて、集合体追跡器454は、全体的な眼の動きの指標として瞳孔のパラメータを推定することができる。
【0037】
集合体追跡器454は、非常にロバストである。何故なら、追跡器A、B、Cは、画像20a内の直交する(重複しない)画像の特徴に関する情報を取得し、眼の動きの独立した推定値を提供するように設計されているからである。これらの独立した推定値は、より高度なレベルのメタヒューリスティック(meta-heuristic:汎用発見的問題解決)過程を用いて相互に分析され、誤り分散を減らし、眼の動きの滑らかな推定値をより正確に取得できるようにする。
図9A~9Eに示されるような反射及びその他の障害のために追跡が時折困難になるとき、追跡器A、B、Cは、失敗する可能性がある。しかし、高レベルのメタヒューリスティック過程は、このような障害による誤った情報及び欠落した情報に対して対処でき、そのために追跡を続行できる。
【0038】
集合体追跡器454は、眼1で発生する特徴的な動きを効率的にモデル化する。眼1の動きは、衝動性運動と呼ばれる高速弾道運動から、低速で移動物体を追跡するのに用いられるゆっくりした滑らかな追跡運動までの範囲にある。眼1はまた、視線の角度が再配置されるときに、前庭動眼反射及び視運動性反射を受けうる。さらに、物体が深さ方向に(例えば、
図1に示されるz軸に沿って)移動するときに、物体が両眼の視野の中心に維持される場合、眼1は両眼転導運動を受けうる。集合体追跡器454は、これらの典型的な動きの下での、眼の形状の解剖学的変化、虹彩の反射率の変化、及び瞳孔のコントラストの変化に対処するのに十分に迅速であり且つロバストである。
【0039】
集合体追跡器454は、画像20の取り込み中に存在する照明の反射によって、導入される可能性のある追跡における誤りに対処する。有利には、例示的なアプローチ400は、照明の配置に依存しない。例えば、例示的なアプローチ400は、照明が点光源又は環境/拡散光源によって提供されるか否か、又は光源が軸上又は軸外であるか否かに関わらず、効果的な眼球追跡を提供する。特に、例示的なアプローチ400は、眼の光学面(即ち、角膜及び水晶体の前面及び背面)からの光源の再帰反射を拒絶しうる。より高度なレベルのメタヒューリスティックを用いて3つの独立した追跡器A、B、Cからの追跡データを組み合わせると、動きに関連する推定値の誤差分散は減少し、追跡器の精度は向上し、追跡速度は超リアルタイム(即ち60Hz)で維持できる。
【0040】
上記のように、追跡器A、B、Cは、画像20a内の直交する画像の特徴に関する情報を取得し、且つ眼の動きに関する推定値を提供するように設計されている。集合体追跡器454は、眼の動きに関する最終推定値(正味の推定誤差は最小化されている)を生成するために、より高度なレベルのメタヒューリスティックを用い、追跡器A、B、Cを管理し、追跡器A、B、Cからのデータを合体させる。
図5A及びBは、眼の動きに関する最終推定値を生成するために、より高度なレベルのメタヒューリスティックを用いる例示的な方法500を示す。眼の動きは、眼の瞳孔のパラメータ(即ち、瞳孔の中心位置及び瞳孔半径)の変化で表現される。赤外線画像20aの時系列は、眼の動きをキャプチャするフレームF
iを生成する。図示された例において、前のフレームF
n-1の瞳孔パラメータ(データ502として示されている)は既知である。動作504の追跡器Aは、マルチスケールのルーカスカナデトマシ(LKT)特徴追跡器を用いて、現在のフレームF
nの虹彩領域の陰影に対応する一組の特徴点のオプティカルフローを決定する。瞳孔の正味の動きは、これらの特徴点の動きと相関しており、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)を用いて個々の特徴点の動きベクトルを組み合わせることによって決定されうる。動作506において、虹彩(特徴点)の結果的に生じた動き、即ち、瞳孔の正味の動きは、前のフレームF
n-1における瞳孔の中心位置に適用されて、現在のフレームF
nについての瞳孔パラメータの第1の推定値508を生成する。
【0041】
追跡器B及びCは、初期推測値として、瞳孔中心位置の第1の推定値508を用いて初期化されうる。動作510において追跡器Bは、勾配上昇法を用いて最適化問題を解くことによって、瞳孔パラメータの第2の推定値512を生成する。特に、瞳孔領域と虹彩領域とにおけるピクセル強度の間のコントラストが、未知の瞳孔中心位置と半径を決定するために最大化される。一方、動作514において追跡器Cは、未知の瞳孔中心位置及び半径を決定するために、円形の瞳孔-虹彩境界を境界マップに適合させることによって、瞳孔パラメータの第3の推定値516を生成する。
【0042】
決定518において、瞳孔パラメータの推定値508、512、516は、それらが相互に整合しているか否かを決定するために評価される。より高度なレベルのメタヒューリスティックは、追跡器A、B、Cによって生成された瞳孔パラメータの推定値間の偏差を測定し、それらの整合性に基づいてそれらをランク付けする。最も整合性の少ない推定値が、他の2つの推定値から経験的閾値よりも大きい量だけ外れている場合は、この1つの整合性のない推定値は誤っていると見なされて拒絶され、残りの2つの相互に整合性のある推定値は、動作520で平均化され、フレームF
nにおける瞳孔パラメータの最終推定値524を生成する。そうではなく、最も整合性の少ない推定値が経験的限界内にある場合、推定値508、512、516は相互に整合性があると見なされ、次に動作522で推定値508、512、516を平均することによって結合され、フレームF
nにおける瞳孔パラメータの最終推定値を生成する。
図6は、追跡器A、B、Cによってそれぞれ採用された画像の特徴22、24、26、及び最終推定値524に基づく瞳孔の中心位置に関するコンセンサス(consensus:総意)を備えた例示的フレームを示している。
【0043】
要約すると、追跡器A、B、Cは、画像内の有用な情報のほとんどが利用されるように設計されている。各追跡器は、他の追跡器によって用いられる画像の特徴と相互に排他的で重複しない特定の画像の特徴を狙っている。このアプローチは、このようにして情報の直交する部分を用いて複数の測定値を取得し、どれか1つの特徴の不適切な測定による誤りを減少させるために、これらの測定値をロバストに結合(合体)する。このようにして、いずれか1つの特徴の失敗が、追跡器にまったく影響を与えることはなく、誤差分散は平均化により常に減らされる。
【0044】
図9A~Fは、画像20aに取り込まれ、収差、ノイズ、歪み、妨害などを生成する可能性のある様々な例示的な現象を示しており、これらの現象は、追跡器A、B、Cによって生成される推定値508、512、516に影響を及ぼしうる。そのような現象は、誤差を誘発し、上述されたように推定値508、512、516の間に不整合をもたらす可能性がある。具体的には、
図9Aは、不規則な形状の瞳孔又は瞳孔の形状の変化を捉えた画像90aを示す。
図9Bは、治療のために患者が着用するマスク又は瞼による眼の部分的閉鎖からの影及び反射を捉えた画像90bを示す。
図9Cは、治療に用いられる点眼器及び検鏡を捉えた画像90cを示す。
図9Dは、眼内インプラントによって引き起こされた瞳孔の灰色化を捉えた画像90dを示す。
図9Eは、インプラントされたIOLに起因する不規則な反射パターンを捉えた画像90eを示す。
図9Fは、妨害(例えば、指又は点眼器)を捉えた画像90fを示す。
【0045】
図5に示されたようなより高度なレベルのメタヒューリスティックは、追跡器A、B、Cからそれぞれの推定値508、512、516の間の整合性の量を決定し、それらを互いに分析することによって誤差を低減しようと試みる。所与のフレームF
nでの誤差が小さい場合、推定値508、512、516は、非常に小さな相互偏差を有し実質的に同一であり、したがって、実際の瞳孔のパラメータ(即ち、中心位置及び半径)の指標を提供するはずである。他方、所与のフレームF
nでの誤差が無視できない場合、推定値508、512、516は相互に不整合であり、実際の瞳孔パラメータからの偏向を明らかにするであろう。追跡器A、B、Cは、設計により、重複しない画像の特徴を測定することによって直交情報を符号化するので、不整合が発生し、同じ誤差が追跡器A、B、Cによって異なって示される可能性がある。
【0046】
図7に示されるように、上記の眼球追跡プロセスは、フレームF
iの時系列が処理されるにつれて、様々な状態を通過して進行するところのトラック(track:軌跡)702を生成しうる。
図7は、眼球追跡プロセスが始まるとき、初期フレームF
1、F
2、F
3、F
4の画像に瞳孔は見出されないことを示している。したがって、これらの初期フレームは、「トラック未発見」と指定された状態704に分類される。一度、瞳孔が画像内で見つかると、トラック702は、以下に説明される或る基準が満たされるまで、「初期トラック」と指定された状態706にあると見なされる。フレームF
5、F
6、F
7は、トラック702が「初期トラック」状態にある期間に対応する。一度、上記基準が満たされると、トラック702は、「成熟期トラック」と指定された状態708にあると見なされる。フレームF
8及びそれ以降のフレームは、トラック702が「成熟期トラック」状態にある期間に対応する。
【0047】
トラック702が「初期トラック」状態にあるとき、トラック702が真に確立されていることを保証し且つ誤った開始を回避するために、対応するフレームの処理は、より遅く且つより網羅的である。特に、各フレームの全体画像が、瞳孔パラメータの個別の推定値を取得するために、独立して検索(グローバル検索)される。したがって、連続するフレームの推定値は、トラック702の初期段階でのフレーム間の時間的整合性を検証するために、相互に分析されうる。フレームは、時間的整合性がフレームの経験的閾値の数(N)に対して確立されるまで、このより遅くより網羅的な処理を施される。この時間的整合性が確立されると、トラック702は「成熟期トラック」状態に入る。整合性チェックがいずれかの時点で失敗した場合、上記プロセスは再始動され、N個の連続するフレームが整合していることが判明するまで、トラック702は「成熟期トラック」状態にあるとは見なされ得ない。
【0048】
トラック702が一度「成熟期トラック」状態に入ると、フレームは、例示的な方法500に従って処理されうる。上記のように、前のフレームFn-1での瞳孔推定値502は、追跡器A、B、Cによる瞳孔パラメータについての比較的狭い検索に対する初期推測値として、現在のフレームFnの処理において使用される。「成熟期トラック」状態の間は、前のフレームFn-1における瞳孔パラメータが現在のフレームFnにおける初期推測値として用いられるので、時間的整合性はチェックされない。時間的整合性がチェックされず且つ検索が局所的であるため、この状態での追跡プロセスはより高速である。
【0049】
図8は、トラックが「成熟期トラック」状態にあるときに、一連のフレームF
iを処理するための一般的なアプローチ800を示している。具体的には、瞳孔パラメータ502は、追跡器A、B、Cへのより高度なレベルのメタヒューリスティックの適用によって作られたコンセンサスに基づいて、フレームF
n-1について決定される。上記のように、瞳孔パラメータ524は、フレームF
n-1の瞳孔パラメータ502から開始して、追跡器A、B、Cへより高度なレベルのメタヒューリスティックを適用することによって作られた別のコンセンサスに基づいて、フレームF
nについて決定される。フレームF
nに対して用いられた処理は、引き続くフレームに対して繰り返される。例えば、瞳孔パラメータは、フレームF
nからの瞳孔パラメータ524から開始して、追跡器A、B、Cへのより高度なレベルのメタヒューリスティックの適用によって作られた更に別のコンセンサスに基づいて、フレームF
n+1について決定される。アプローチ800は、60Hzの速度でフレームを処理するのに十分にロバストであり且つ迅速である。
【0050】
上述のように、本開示のいくつかの態様によれば、上述及び図示された手順の一部分又は全てのステップは、コントローラ(例えば、コントローラ120)の制御下で自動化又は誘導されうる。一般に、コントローラは、ハードウェア要素とソフトウェア要素の組み合わせとして実装されうる。ハードウェアの態様は、マイクロプロセッサ、論理回路、通信/ネットワークポート、デジタルフィルタ、メモリ、又は論理回路を含んでいる動作可能に結合されたハードウェア構成要素の組み合わせを含みうる。このコントローラは、コンピュータ実行可能コード(これはコンピュータ可読媒体に格納されうる)によって指定された動作を実行するように適合されうる。
【0051】
上述されたように、コントローラは、ソフトウェア又は記憶されたプログラム命令を実行するプログラム可能な処理デバイス(例えば、外部の従来型コンピュータ、又はオンボードのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はデジタル信号プロセッサ(DSP))でありうる。一般に、何らかの処理又は評価のために本開示の実施形態によって用いられる物理プロセッサ、及び/又は、機械は、コンピュータ及びソフトウェア技術の当業者には理解されるように、本開示の例示的な実施形態の教示に従ってプログラムされた1つ又は複数のネットワーク接続又はネットワーク非接続の汎用コンピュータシステム、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含みうる。物理的プロセッサ、及び/又は、機械は、画像キャプチャ装置と外部でネットワーク化されてもよく、又は画像キャプチャ装置内に常駐するように統合されてもよい。ソフトウェア技術の当業者には理解されるように、適切なソフトウェアは、例示的な実施形態の教示に基づいて、通常の技能のプログラマによって容易に準備されうる。さらに、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムは、電気技術の当業者によって理解されるように、特定用途向け集積回路の準備によって、又は複数の従来のコンポーネント回路を適切なネットワークで相互接続することによって実装されうる。このようにして、本例示的実施形態は、ハードウェア回路、及び/又は、ソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0052】
本開示の例示的な実施形態は、コンピュータ可読媒体の任意の1つ又は組み合わせに記憶され、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを制御するための、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを駆動するための、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを人間のユーザなどと対話を可能にするための、ソフトウェア又は記憶されたプログラム命令を含みうる。このようなソフトウェアには、デバイスドライバー、ファームウェア、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェアなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなコンピュータ可読媒体は、実装で実行される処理のすべて又は一部(処理が分散されている場合)を実行するための、本開示の実施形態のコンピュータプログラム製品をさらに含みうる。本開示の例示的な実施形態のコンピュータコードデバイスは、スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、Javaクラス及びアプレット、完全な実行可能プログラムなどを含むが、これらに限定はされない任意の適切な解釈可能又は実行可能なコードメカニズムを含みうる。さらに、本開示の例示的な実施形態の処理の一部分は、より良い性能、信頼性、コストなどのために分散させることができる。
【0053】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の適切な磁気媒体、CD‐ROM、CDRW、DVD、その他の適切な光学媒体、パンチカード、紙テープ、光学式マークシート、穴のパターン若しくは他の光学的に認識可能な印を備えたその他の適切な物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)‐EPROM、その他の適切なメモリチップ若しくはカートリッジ、コンピュータが読み取りうる搬送波又はその他の適切な媒体を含みうる。
【0054】
本開示は1以上の特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更がそれに加えられうることを認識するであろう。これらの実施形態及びそれらの自明の変形のそれぞれは、本開示の趣旨及び範囲内に含まれると考えられる。本開示の態様による追加の実施形態は、本明細書で説明された実施形態のいずれかの特徴を任意の数だけ組み合わせることができることも想定されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の治療中の眼の動きを追跡するための方法であって、
画像キャプチャ装置を用いて眼の複数の画像を取り込むこと、
1以上のプロセッサを用いて、第1の追跡器および第2の追跡器を含む複数の追跡器を実装させることであって、各追跡器は、前記複数の画像におけるそれぞれの特徴を検出し、且つ、前記それぞれの特徴に基づいて、前記眼の動きに関連するそれぞれのデータセットを提供するように構成されており、前記第1の追跡器によって検出された前記それぞれ特徴は、前記第2の追跡器によって検出された前記それぞれの特徴に対して重複しておらず、前記第1の追跡器によって提供された前記それぞれのデータセットは、前記第2の追跡器によって提供された前記それぞれのデータセットとは独立していること、
前記1以上のプロセッサを用いて、トラックの状態に基づいて、前記複数の画像に対応するフレームの時系列におけるフレームの数の閾値に関する時間的整合性の状態を識別させること、
前記1以上のプロセッサを用いて、前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させること、及び、
前記1以上のプロセッサを用いて、前記合体されたデータセットに基づいて、前記眼の動きの指標を決定させること、
を包含する、
上記方法。
【請求項2】
各追跡器によって提供される前記それぞれのデータセットは、前記複数の画像に対応する前記フレームの時系列にわたる前記それぞれの特徴の形状、及び/又は、位置の変化を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼の動きの前記指標は、前記眼の瞳孔の動きを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の画像がピクセル化され、各追跡器が局所的なピクセル情報に基づいて前記それぞれの特徴を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像キャプチャ装置は高速赤外線カメラを含み、前記複数の画像は赤外線画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の追跡器からの前記データセットを合体させることは、前記複数の追跡器からの前記データセットを互いに分析させ、前記データセット間の不整合を識別させ、前記データセットの前記不整合に対する修正をさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記不整合は、少なくとも、前記複数の画像によって取り込まれた照明の反射、及び/又は、障害物によって引き起こされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の追跡器は、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域の解剖学的構造を含む第1の特徴を検出し、且つ、前記第1の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第1のデータセットを提供するように構成された第1の追跡器、
前記複数の画像において、前記眼の虹彩領域と瞳孔領域との間のコントラストによって規定される形状を含む第2の特徴を検出し、且つ、前記第2の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第2のデータセットを提供するように構成された第2の追跡器、及び、
前記複数の画像において、前記眼の前記虹彩領域と瞳孔領域との間の境界を含む第3の特徴を検出し、且つ、前記第3の特徴に基づいて、前記眼の動きに関連する第3のデータセットを提供するように構成された第3の追跡器、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記眼の動きの前記指標を決定することは、(i)フレームFnに対する前記複数の追跡器からの前記合体されたデータセットからのコンセンサスと(ii)前のフレームFn-1について決定された前記眼の位置とに基づいて、前記フレームFnにおける前記眼の前記位置を繰り返し決定することによって、前記複数の画像に対応する前記フレームの時系列を処理させること、を包含している、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】