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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063243
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】容器詰め飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240501BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240501BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240501BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240501BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20240501BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20240501BHJP
   A23F 5/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/00 G
A23L2/60
A23F3/16
A23F5/00
A23L2/52 101
A23L2/52
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036678
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2022092777の分割
【原出願日】2015-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2014008290
(32)【優先日】2014-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】八尋 衣里奈
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
(72)【発明者】
【氏名】城戸 弥生
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(72)【発明者】
【氏名】森川 琢海
(57)【要約】      (修正有)
【課題】葛花処理物を含有しているにもかかわらず葛花特有の独特な風味がなく、嗜好性に優れ、安定性がよく長期間の飲用に耐えられる容器詰め飲料を提供する。
【解決手段】プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)由来の葛花処理物、並びに、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、エリスリトール、キシリトール及びソーマチンから選ばれる1種以上の人工甘味料を含有する、体脂肪低減用又は血糖値上昇抑制用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)由来の葛花処理物、並びに、
アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、エリスリトール、キシリトール及びソーマチンから選ばれる1種以上の人工甘味料を含有する、体脂肪低減用又は血糖値上昇抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葛花処理物を含有する容器詰め飲料、及びテクトリゲニン類を含有する容器詰め飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
葛は、マメ科の大形蔓性の植物であり、その根から採取される葛澱粉は、古くから和菓子の原料として用いられている。その根および花は、それぞれ葛根および葛花と称し、解熱薬、鎮痛薬、鎮痙薬、発汗などの症状に対する薬などの漢方薬の原料として用いられている。特に、葛花は、体脂肪低減作用を有することが知られており(特許文献1)、葛花由来のイソフラボン類が肝障害改善作用、二日酔い予防作用、尿窒素代謝改善作用など様々な作用を有することが知られている(特許文献1~5)。また、イソフラボン類が脂肪分解促進作用を有することも知られている。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許-4879741号公報
【特許文献2】特許-3454718号公報
【特許文献3】特公平8-32632号公報
【特許文献4】特開2007-137861号公報
【特許文献5】特許-2829387号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Kamiya et al., Evid Based Complement Alternat Med., Volume 2012, Article ID 272710, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
葛花には、テクトリゲニン類をはじめ、有用と思われる様々な成分が含まれているにもかかわらず、抽出物の乾燥粉末または乾燥物自体が漢方薬の原料など限られた分野で細々と利用されているだけである。葛花処理物の生理作用をより効果的に発現させる目的で、有効量の葛花処理物を摂取するためには、多量の葛花処理物を容易にとりやすい飲料形態が、嗜好性・市場性から望ましい。特に、飲用しやすい容器形態として、再栓可能な蓋部を有する容器、具体的には、PETボトルなどの需要が高まっている。しかしながら、葛花処理物は、独特の風味があるため、多量に配合し、飲料形態とするとその嗜好性の点で摂取しにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討した結果、葛花処理物を含有しているにもかかわらず葛花特有の独特な風味がなく、嗜好性に優れ、安定性がよく長期間の飲用に耐えられる容器詰め飲料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、以下の容器詰め飲料を提供するものである。
葛花処理物を含有することを特徴とする、容器詰め飲料。
<1>葛花処理物を含有することを特徴とする容器詰め飲料。
<2>テクトリゲニン類を含有することを特徴とする容器詰め飲料。
<3>さらに茶処理物を含有することを特徴とする<1>又は<2>のいずれかに記載の容器詰め飲料。
<4>葛花処理物及び人工甘味料を含有することを特徴とする組成物。
<5>テクトリゲニン類及び人工甘味料を含有することを特徴とする組成物。
<6>人工甘味料がアセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ステビアから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、<4>又は<5>のいずれかに記載の組成物。
<7>葛花処理物及び人工甘味料を含有することを特徴とする体脂肪低減用組成物。
<8>テクトリゲニン類及び人工甘味料を含有することを特徴とする体脂肪低減用組成物。
<9>葛花処理物及び人工甘味料を含有することを特徴とする血糖値上昇抑制用組成物。
<10>テクトリゲニン類及び人工甘味料を含有することを特徴とする血糖値上昇抑制用組成物。
<11><4>~<10>の組成物を用いた容器詰め飲料。
【0008】
本発明の容器詰め飲料は、葛花処理物を含有する容器詰め飲料である。本発明の容器詰め飲料は、嗜好性に優れ、長期間の保存も可能であり、また透明容器に充填して高温保存しても長期間色調が安定なものである。また、本発明の容器詰め飲料は、葛花処理物を含有することにより、葛花処理物の有する優れた作用、特に、体脂肪低減作用や血糖値上昇抑制作用を有するものである。
【0009】
また、本発明の容器詰め飲料は、テクトリゲニン類を含有する容器詰め飲料である。本発明の容器詰め飲料は、嗜好性に優れ、長期間の保存も可能であり、また透明容器に充填して高温保存しても長期間色調が安定なものである。また、本発明の容器詰め飲料は、テクトリゲニン類を含有することにより、テクトリゲニン類の有する優れた作用、特に、体脂肪低減作用や血糖値上昇抑制作用を有するものである。
【0010】
また、本願発明は、葛花処理物及び人工甘味料を含有する組成物である。葛花処理物及び人工甘味料を併用することにより、嗜好性を高めるとともに保存安定性も向上する。また、葛花処理物の有する効果である体脂肪低減作用や血糖値上昇抑制作用を高めることができる。
【0011】
また、本願発明は、テクトリゲニン類及び人工甘味料を含有する組成物である。テクトリゲニン類及び人工甘味料を併用することにより、嗜好性を高めるとともに保存安定性も向上する。また、テクトリゲニン類の有する効果である体脂肪低減作用や血糖値上昇抑制作用を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】葛花飲料、葛花茶飲料の吸光度測定結果を表す。
図2】葛花飲料、葛花茶飲料の保存中のテクトリゲニン類含有量変化率を表す。
図3】各pHにおける葛花飲料の吸光度測定結果を表す。
図4】各pHにおける葛花飲料の保存中のテクトリゲニン類含有量変化率を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の容器詰め飲料は葛花処理物を含有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の容器詰め飲料は、テクトリゲニン類を含有することを特徴とする。
【0015】
(葛花処理物)
葛花は、葛植物の花部である。葛植物は、通常知られているとおりのマメ科クズ属のつる性多年生植物であり、日本、中国、台湾、東南アジアなどに分布することが知られている。葛植物の種類としては、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)等が挙げられる。本発明においては、葛植物のどのような種のものを用いてもよく、特に制限はないが、体脂肪低減効果や血流改善効果が知られているプエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)を用いることが好ましい。葛花には、カッカライド、カッカリドン、イリソリドン、バイオカニンA、6-ヒドロキシビオカニンA-6,7-ジ-O-グルコシド、ゲニステイン、ゲニスチン、6-ヒドロキシゲニステイン-6,7-ジ-O-グルコシド、グリシテイン、グリシチン、テクトリゲニン、テクトリジン、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド、ダイゼイン又はダイジン等のイソフラボン及びその配糖体又は誘導体を含むイソフラボン類、ソヤサポゲノールB、ソファラジオール等のサポニン及びその配糖体又は誘導体を含むサポニン類、トリプトファン配糖体、糖質、脂肪族有機酸、芳香族有機酸、糖アルコール、水溶性食物繊維、ビタミン類などが含有されている。本発明で用いる葛花処理物の原料である葛花は、イソフラボン及びその配糖体又は誘導体を含むイソフラボン類、サポニン及びこれらの配糖体又は誘導体を含むサポニン類から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる花部の一部又は全体であればよく、いかなる開花の段階で採集された葛花であってもよいが、例えば、上記成分の含有量が多いことから、全開する前の蕾の段階で採集された葛花であることが好ましい。
【0016】
葛花処理物は、葛花を処理したものに加えて、葛花自体をも包含する。葛花の処理手段は特に限定されず、例えば、細断、破砕、磨砕、乾燥、加熱、抽出などの植物の花部を加工処理する際に通常採られ得る物理的又は化学的処理であればよい。葛花処理物として好ましい形態は、葛花乾燥物又は葛花抽出物である。
【0017】
葛花乾燥物は、葛花を乾燥して得られる物であり、例えば、葛花自体を乾燥したもの、葛花自体を乾燥後破砕して得られるものなどが挙げられる。葛花乾燥物を得るための葛花の乾燥手段は特に限定されないが、例えば、全開する前の蕾の段階で採集された葛花を、日干しや熱風乾燥などにより乾燥することにより葛花乾燥物を得ることができる。乾燥の程度は、葛花の水分含有量が十分に低下したことが確認されるまでの程度であればよく、例えば、水分含有量が10質量%又はそれ以下となるまでの程度であることが好ましい。また、必要に応じて、葛花乾燥物は、粉砕することにより、粉末の形態とすることができる。
【0018】
葛花乾燥物の粉末を得る場合において、その粉末化の方法としては、例えば、当業者が通常用いる方法であるボールミル、ハンマーミル、ローラーミルなどにより、葛花乾燥物を粉砕又は粉末化する方法が挙げられるが、これらに限定されない。乾燥と粉末化の順序を入れ替えて、乾燥前の葛花をマスコロイダー、スライサー、コミトロールなどで予め粉砕しておき、この粉砕物を乾燥して葛花乾燥物の粉末とすることもできる。
【0019】
葛花抽出物は、葛花の含有成分が抽出された物であれば特に限定されず、例えば葛花を圧搾して得られる搾汁や葛花と溶媒とを用いて抽出して得られた抽出液などが挙げられる。また、葛花抽出物は、搾汁や抽出液の溶媒希釈物、濃縮物や乾燥物であってもよく、例えば、液状、ペースト状、粉末状、細粒状、顆粒状、ペレット状、錠状等の固体状であってもよい。いずれの場合も葛花抽出物のみでも良いし、例えば液状、ペースト状の場合は溶媒等と混合状態でも良い。また、固体状の場合は賦形剤と混合したもの、更に賦形剤や結合剤と共に成型したものでも良い。
【0020】
葛花抽出物は、抽出液の形態で得る場合、通常知られている植物体を用いた溶媒抽出手段により得ることができる。例えば、葛花に溶媒を加えて、適宜加温や撹拌などをすることにより、葛花抽出物が得られる。また、遠心分離や濾過などの通常知られている固液分離手段を用いて、固形物(残渣)を除いた液体成分からなる葛花抽出物とすることができる。なお、葛花抽出物の原料となる葛花としては、乾燥前後の葛花を用いることができるが、抽出効率の観点から、例えば、葛花乾燥物であることが好ましい。
【0021】
葛花抽出物を得る際に使用する溶媒としては、例えば、水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、抽出処理に通常用いられる有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテンなどが挙げられる。上記溶媒のうち、イソフラボン類を効率よく抽出することができるものであることから、水、熱水又は極性有機溶媒が好ましく、水、熱水、エタノール、n-ブタノール、メタノール、アセトン、プロピレングリコール又は酢酸エチルがより好ましく、水、熱水又はエタノールがさらに好ましい。
【0022】
葛花抽出物を得る際は、加温せずに抽出することもできるが抽出効率の観点から加温することが好ましい。加温抽出手段としては、例えば、加熱還流などの加温抽出法や超臨界抽出法などが挙げられ、場合によっては加圧して加温する手段を採用することができる。加温抽出での抽出温度は、使用する溶媒の沸点以下の温度であれば特に制限はない。抽出温度は、用いる溶媒によっても異なるが、一般に4℃~150℃である。抽出に用いる溶媒が揮発することを防ぐために、加温温度の下限値を、例えば、30℃以上、好ましくは50℃以上とし、加温温度の上限値を、例えば、150℃以下、好ましくは130℃以下と設定するのがよい。
【0023】
抽出時間は、イソフラボン類などの可溶性成分が葛花から十分に抽出される時間であればよいため、抽出温度などに応じて適宜設定すればよく、例えば、数分から数十時間であり、加温条件や撹拌条件によっては30分~48時間とすることができる。なお、加温せずに抽出する場合又は50℃未満で抽出する場合は、例えば、抽出時間を6時間~48時間とすることができ、50℃以上で加温する場合は、例えば、抽出時間を30分~24時間とすることができる。抽出時間、すなわち抽出の開始から終了までの時間は、各種条件に依存するが、例えば、可溶性成分の濃度を経時的に測定し、これらの濃度が最大濃度でプラトーになった時間をもって抽出終了時間とすることができる。
【0024】
葛花抽出物は、例えば、有機溶媒を除去するなどのために、抽出操作を経た抽出液を減圧濃縮や凍結乾燥などの濃縮や乾燥などに供したものであってもよい。
【0025】
葛花抽出物は、ダイヤイオンHP20、セパビースSP825L、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20Pなどの合成吸着剤やセファデックスLH-20などのデキストラン樹脂等のカラムや濃縮機などを用いて、イソフラボン類を高含有する抽出物としてもよい。
【0026】
葛花に加えて、葛花乾燥物や葛花抽出物などの葛花処理物は、イソフラボン類を含有しているものを使用するのが好ましい。例えば、葛花乾燥物に含有されるイソフラボン類は、葛花乾燥物の乾燥質量に対して0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは10質量%以上である。また、葛花抽出物に含有されるイソフラボン類は、葛花抽出物の乾燥質量に対して1質量%以上、より好ましくは3質量%であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、特に好ましくは15質量%以上である。
【0027】
(テクトリゲニン類)
本発明の容器詰め飲料で用いるテクトリゲニン類とは、イソフラボンの一種であるテクトリゲニン、その配糖体又は誘導体、及びそれらの混合物を意味する。テクトリゲニン類はクズ属植物やアヤメ属植物に含まれることが知られているが、本発明においてはクズ属植物由来のテクトリゲニン類を使用することが好ましく、葛花処理物由来のテクトリゲニン類を使用することがより好ましい。
【0028】
本発明において、葛花処理物の含有量は、飲料中に成人1日あたり1mg以上摂取できるように含有していればよく、好ましくは5mg以上であり、よりに好ましくは10mg以上であり、更に好ましくは15mg以上であり、特に好ましくは20mg以上である。1日あたりの摂取量は、通常生活において1日に摂取する飲料に含まれる総量であり、1日に1回、又は複数回に分けて摂取することができる。葛花処理物が少ないと葛花処理物由来の効果、特にイソフラボン類の効果を得ることができないため、好ましくない。また、葛花処理物が多いと特有の風味が強すぎてしまい、調和が取りにくくなるため、好ましくない。
【0029】
本発明において、イソフラボン類の含有量は、飲料中に成人1日あたり1mg以上摂取できるように含有していればよく、好ましくは5mg以上であり、よりに好ましくは10mg以上であり、更に好ましくは15mg以上であり、特に好ましくは20mg以上である。1日あたりの摂取量は、通常生活において1日に摂取する飲料に含まれる総量であり、1日に1回、又は複数回に分けて摂取することができる。
【0030】
本発明の容器詰め飲料において、テクトリゲニン類の含有量は、飲料中に成人1日あたり1mg以上摂取できるように含有していればよく、好ましくは5mg以上であり、よりに好ましくは10mg以上であり、更に好ましくは15mg以上であり、特に好ましくは20mg以上である。1日あたりの摂取量は、通常生活において1日に摂取する飲料に含まれる総量であり、1日に1回、又は複数回に分けて摂取することができる。
【0031】
本発明においては、葛花処理物の他、必要に応じて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸(塩)類、無機酸(塩)類、色素類、乳化剤、保存料、甘味料、酸味料、塩等のその他調味料、増粘安定剤、油、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、果汁、エキス類、食物繊維、環状オリゴ糖、pH調整剤、苦味抑制剤、キレート剤又は品質安定剤等の成分を単独で又は2種以上を併用して配合してもよい。
【0032】
本発明においては、保存安定性を高めることを目的として、酸化防止剤を配合しても良い。使用できる酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその塩、トコフェロール又はその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸塩、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物、茶抽出物、ローズマリー抽出物、ゴマ油抽出物等が挙げられる。好ましくは、ビタミンC、ビタミンEである。本発明の容器詰め飲料において、酸化防止剤の配合量は特に限定はないが、含有する場合は、0.0001~10質量%が好ましく、より好ましくは0.001~1質量%であり、更に好ましくは0.005~0.5質量%である。酸化防止剤を配合することにより、酸化による飲料の変色や風味の劣化を防止することができる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0033】
本発明においては、嗜好性を高める目的として香料を配合することができる。香料としては、動植物から抽出、圧搾、蒸留などの物理的手段や酵素処理により得られる天然香料や、合成香料から適宜選択して使用できる。例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、緑茶、烏龍茶、紅茶などの茶由来の香料、コーヒー由来の香料等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液-液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3-1-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。飲料中に香料を含有する場合は、配合量は特に限定されないが、0.0001~10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.0005~5質量%であり、更に好ましくは0.001~3質量%である。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0034】
本発明においては、適宜有機酸又はその塩類、無機酸又はその塩類を配合することができる。使用できる無機酸又はその塩類としては、例えば、リン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが、有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、酢酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。飲料中に有機酸又はその塩類、無機酸又はその塩類を含有する場合は、配合量は特に限定されないが、0.0001~10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.0005~5質量%であり、更に好ましくは0.001~3質量%である。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0035】
本発明においては、適宜色素類を配合することができる。使用できる色素類としては、例えば、カロチノイド系色素として、エビ、オキアミ、カニ、トマト、オレンジ、パプリカ、クチナシ黄、マリーゴールド、サフラン、ファフィア、ヘマトコッカス、デュナリエラ、ニンジン、イモ、アナトー、コーン、パーム油などを、アントラキノン系色素として、コチニール、ラック,アカネなどを、ナフトキノン系色素として、アルカネット、シコンなどを、アントシアニン系色素として、赤キャベツ、シソ、紫イモ、紫ヤマイモ、レッドカーラント、ローガンベリー、エルダーベリー、カウベリー、グースベリー、クランベリー、サーモンベリー、スイムブルベリー、ストロベリー、ラズベリー、デュベリーハクルベリー、ブラックカーラント、ブラックベリー、ブルーベリー、ホワートルベリー、ボイセンベリー、マルベリー、ウグイスカグラ、モレロチェリー、チェリー、ダークス、スウィートチェリー、ブドウ果汁、ブドウ果皮、プラン、赤米、紫コーン、ハイビスカスなどを、フラボノイド系色素として、アズキ全草抽出物、ソバ全抽出物、タマネギ、柿、ペカンナッツ、シアナット、タマリンド、ナッツ、カカオ、コウリャン、カロブ、スオウ、シタン、エンジュ、ベニバナ赤、ベニバナ黄、カンゾウ、クーローなどを、ポルフィリン系色素として、クロロフィル、クロロフィリン、ササなどを、ジケトン系色素としてウコンを、ベタシアニン系色素としてビートレッドを、アザフィロン系色素として、ベニコウジ、ベニコウジ黄などを、食用タール色素として、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号などを、その他、アルミニウム、金、銀、クサギ、クチナシ青、クチナシ赤、スピルリナ、ノリ、チコリ、イカスミ、カラメル、ココア、テアフラビンなどが挙げられる。その中でもカラメル、ココア、テアフラビン等の褐色系色素はビタミンを光からより保護することが可能となるため、ビタミンとの併用の際は好ましい。飲料中に色素類を含有する場合は、配合量は特に限定されないが、好ましくは0.0001~1質量%であり、より好ましくは0.0001~0.1質量%である。
【0036】
本発明においては、必要に応じて乳化剤を配合することができる。使用できる乳化剤としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン等が挙げられる。飲料中に乳化剤を含有する場合は、配合量は特に限定されないが、0.001~1質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.005~0.5質量%である。0.001質量%よりも少ないと充分な効果を得ることができず、1質量%より多いと更なる効果が望めないためである。
【0037】
本発明においては、保存安定性を高めることを目的として、保存料を配合することができる。保存料としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、デヒドロ酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ツヤプリシン、エゴノキ抽出物、ペクチン分解物、ε-ポリリシン、しらこたん抽出物(プロタミン)、ツヤプリシン(ヒノキチオール)等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。飲料中に保存料を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は0.001~10質量%が好ましく、より好ましくは0.005~5質量%であり、更に好ましくは0.01~1質量%である。保存料を配合することにより、酸化による飲料の変色や風味の劣化を防止することができる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0038】
本発明においては、適宜甘味料を配合することができる。使用できる甘味料としては、例えば、砂糖、和三盆、黒糖、三温糖、蜂蜜、メープルシロップ、モラセス(糖蜜)、水飴、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖ブドウ糖液糖、異性化糖、オリゴ糖などの糖類のほか、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、甘草抽出物、ステビア、羅漢果抽出物、ソーマチン、グリセリン、クルクリン、モネリン、モナチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン又はその塩、ズルチン、サイクラミン酸又はその塩、ネオテーム、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン等の人工甘味料が挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。飲料中に甘味料を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は0.0001~30質量%が好ましく、より好ましくは0.0005~25質量%であり、更に好ましくは0.001~20質量%である。
【0039】
本発明においては、葛花処理物と甘味料を含有するのが好ましい。甘味料の中でも人工甘味料が好ましく用いられ、具体的にはエリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、甘草抽出物、ステビア、羅漢果抽出物、ソーマチン、グリセリン、クルクリン、モネリン、モナチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン又はその塩、ズルチン、サイクラミン酸又はその塩、ネオテーム、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコンが挙げられる。後述する実施例5~34から明らかな通り、葛花処理物は人工甘味料を併用することで、葛花処理物の持つ独特の風味を改善し、飲料としての嗜好性を向上するのみでなく、保存安定性の向上、体脂肪低減効果、血糖値上昇抑制効果を高めることができる。好ましい人工甘味料はステビア、キシリトール、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースから選ばれる1種又は2種以上を配合することである。また、人工甘味料は2種以上配合することが好ましく、そのうち少なくとも1種はアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースから選ばれる甘味料である。
【0040】
また、本願発明においては、テクトリゲニン類と甘味料を含有することが好ましい。甘味料の中でも人工甘味料が好ましく用いられ、具体的にはエリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、甘草抽出物、ステビア、羅漢果抽出物、ソーマチン、グリセリン、クルクリン、モネリン、モナチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン又はその塩、ズルチン、サイクラミン酸又はその塩、ネオテーム、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコンが挙げられる。
【0041】
本発明においては、適宜酸味料を配合することができる。使用できる酸味料としては、例えば、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸、及びこれらの塩などが挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。酸味料を含有する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は0.001~10質量%が好ましく、より好ましくは0.001~5質量%であり、更に好ましくは0.005~7質量%である。
【0042】
本発明においては、適宜増粘安定剤を配合することができる。使用できる増粘安定剤としては、飲料に一般的に用いられている増粘安定剤であればよい。具体的には、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース等のセルロース及びその誘導体、プロピレングリコール、アルギン酸及びその塩、澱粉及びその誘導体、寒天、サイリウムシードガム、ゼラチン、ファーセレラン、水溶性大豆多糖類、ペクチン等が挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。増粘安定剤の添加量としては、用いる増粘安定剤の種類により一概には規定することができないが、一般には、密閉容器入り飲料に対して、0.001~0.1質量%が望ましい。0.001質量%よりも少ないと充分な効果を得ることができず、0.1質量%より多いと密閉容器入り乳飲料の調製における作業効率が悪くなるためである。
【0043】
本発明においては、適宜ビタミンを配合することができる。配合するビタミンは水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンのいずれのビタミンでも良いが、水溶性ビタミンのほうが好ましい。具体的には、水溶性ビタミンとしてはビタミンB類(B1、B2、B6、B12)、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンCが、脂溶性ビタミンとしてはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。飲料中にビタミンを配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は0.0001~10質量%が好ましく、より好ましくは0.0005~5質量%であり、更に好ましくは0.001~1質量%である。
【0044】
本発明においては、適宜アミノ酸を配合することができる。使用できるアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンが挙げることができ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。特に、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンの9種類のアミノ酸が人体では合成できず、人体にとって必要不可欠なアミノ酸、すなわち、必須アミノ酸として知られており、これらの必須アミノ酸をバランスよく摂取できる飲料組成とすることが望ましい。飲料中にアミノ酸を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は0.0001~10質量%が好ましく、より好ましくは0.0005~5質量%であり、更に好ましくは0.001~1質量%である。
【0045】
本発明においては、適宜ミネラルを配合することができる。使用できるミネラルとしては、例えば、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、リン、銅、マンガン及びそれらの塩が挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。これらのミネラルは、飲料組成物において許容される水溶性塩の形態で飲料中に添加されることができる。ミネラルの含有量は、葛花処理物やその他添加物と組み合わされたときに飲料の味と食感を向上させることができる量であれば特に限定されない。ミネラルの含有量は、好ましくは、飲料全量に対して、金属イオン換算で、0.0001~0.100質量%、より好ましくは0.001~0.05質量%である。
【0046】
本発明においては、果汁やエキス類を配合することができる。使用できる果汁の種類は、特に限定されないが、例えば、カンキツ果汁(スイートオレンジ果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁など)、リンゴ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、熱帯果実果汁(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツなど)、その他果実の果汁(ウメ果汁、ナシ果汁、アンズ果汁、スモモ果汁、ベリー果汁、キウイフルーツ果汁など)、トマト果汁、ニンジン果汁、イチゴ果汁、メロン果汁などが挙げられ、好適にはカンキツ果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、ブドウ果汁、ブルーベリー果汁、ウメ果汁、カシス果汁が挙げられ、さらに好適には、カンキツ果汁、ブドウ果汁、ブルーベリー果汁、カシス果汁が挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。
【0047】
本発明で用いられる果汁は、不溶性固形物を含む状態の果汁である混濁果汁や、種々の方法(精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法及びその組み合わせ法など)で、不溶性固形物を除去した清澄果汁を用いることができる。通常、保管スペースや輸送コストなどの点から、搾汁した果汁の水分を除いて、濃縮した濃縮混濁果汁や濃縮清澄果汁などの濃縮果汁を用い、濃縮果汁は場合によって、糖類、はちみつ等で糖度が調整されたり、酸度が調整されたりする。また、果実の外皮を含む全果を破砕し種子など特に粗剛な固形物のみを除いた全果果汁、果実を裏ごしした果実ピューレー、或いは、乾燥果実の果肉を破砕もしくは抽出した果汁を用いることができる。本発明の容器詰め飲料中に果汁を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は飲料中に0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005~50質量%であり、更に好ましくは0.01~30質量%である。
【0048】
本発明で用いられるエキス類は、通常食品に使用される原料を溶媒(例えば、水、エタノール又はこれらの混合物)で抽出して得られる抽出物や、原料から直接搾取した搾汁をいう。エキス類は抽出物や搾汁を濃縮した物であってもよく、抽出物や搾汁を乾燥して得られた乾燥物(顆粒、細粒、粉末)のいずれの形態でも使用できる。エキス類の原料としては、例えば、野菜、果物、キノコ、花、茎葉、樹木、藻類等の植物由来の原料、動物由来の原料が使用でき、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。エキス類の配合量は特に限定されないが、好ましくは固形分量として0.0001~1質量%であり、より好ましくは0.0001~0.1質量%である。
【0049】
本発明においては、食物繊維を配合することができる。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別されるが、いずれの食物繊維を用いてもよい。中でも、製品の粘性や粒度に影響しない点で、水溶性食物繊維が好ましい。水溶性食物繊維としては、例えば難消化性デキストリン、ペクチン、グアー豆酵素分解物、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸及びその塩、βグルカン、イヌリン、カラギーナン、フコイダン、及びこれらの誘導体などが挙げられ、不溶性食物繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。上記食物繊維の中でも、製品の粘性や粒度、さらには透明性の観点から、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、ペクチンが好ましい。食物繊維は苦味やエグ味を改善する目的で配合することができる。本発明の容器詰め飲料中に食物繊維を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、飲料中に0.01~20質量%含有すればよく、好ましくは0.05~15質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0050】
本発明においては、品質の安定化や品質改善などの目的で環状オリゴ糖を配合してもよい。使用できる環状オリゴ糖としては、例えば、α‐、β‐及びγ‐シクロデキストリン、分岐(又は分枝)シクロデキストリンが挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。本発明の容器詰め飲料中に環状オリゴ糖を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は飲料中に0.0001~5質量%含有すれば良く、好ましくは0.005~3質量%であり、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0051】
本発明においては、pH調製剤を配合してもよい。使用できるpH調整剤としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二酸化炭素、乳酸等が挙げられ、これらから適宜選択して1種又は2種以上を使用することができる。pH調整剤の量は目的のpHになるように、必要に応じて適宜使用量や組合せを変更できる。
【0052】
(苦味抑制剤)
本発明においては、苦味抑制剤を配合してもよい。使用できる苦味抑制剤としては、例えば、レシチン、糖、有機酸、フレーバー、環状オリゴ糖等が挙げられる。本発明の容器詰め飲料中に苦味抑制剤を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は飲料中に0.0001~5質量%含有すれば良く、好ましくは0.005~3質量%であり、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0053】
(キレート剤)
本発明においては、キレート剤を配合してもよい。使用できるキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、アルファリポ酸、メチルスルフォニルメタン、フラボノイド化合物、ゲニステイン、クエン酸、リンゴ酸、フィチン酸、フィチン、酒石酸、アルギン酸、グルコン酸、L-シスチン等又はそれらの塩が挙げられる。本発明の容器詰め飲料中にキレート剤を配合する場合は、配合量は特に限定されないが、配合する場合は飲料中に0.0001~5質量%含有すれば良く、好ましくは0.005~3質量%であり、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0054】
本発明の容器詰め飲料のpHは特に限定されないが、pH2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、特に好ましくは3.5以上、とりわけ4以上である。また、pH8以下が好ましく、より好ましくは7以下であり、特に好ましくは6.8以下であり、とりわけ6以下である。pHが低すぎると長期保存中の吸光度が高くなりやすい。また、pHが高すぎると風味の調和が取りにくくなり、嗜好性の低下が見られるだけでなく、長期保存時中のテクトリゲニン類が分解しやすくなる。
【0055】
本発明の容器詰め飲料は、透明か不透明かについては特に限定されない。透明性を有する場合は、ヘイズ値80以下、好ましくは80~0.1、特に好ましくは75~0.3である。容器詰飲料のヘイズ値が上記範囲にある場合、成分が均一に分散して存在していることを示し、不溶分による飲料の長期保存時の異味・異臭の発生、風味剤の変質臭が感じられず、長期間の飲用に適する。また、酸素透過性の透明容器の形態であっても、ショーウィンドウで照明が照射された時に、飲料の外観の変化が生ぜず、酸素透過下での光照射による色調安定性に優れる。ここでヘイズ値とは、光路長10mmのガラスセルを透過した透過光と散乱光をあわせた状態で測定される値で、0~100の値をもち、値が小さい程透明性が高い。
【0056】
本発明の容器詰め飲料が透明性を有する場合、吸光度が0.8以下、好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.1以下、とりわけ0.08以下である。容器詰め飲料の吸光度が上記範囲にある場合、成分が均一に分散して存在していることを示し、不溶分による飲料の長期保存時の異味・異臭の発生、風味剤の変質臭が感じられず、長期間の飲用に適する。ここで吸光度とは、分光光度計において波長720nmでの吸光度における値で、値が小さい程透明性が高い。
【0057】
本発明の容器詰め飲料が透明性を有する場合は、保存中に澱(沈殿)が発生しないことが好ましい。澱が発生すると外観が劣化するのみでなく、風味やのどごしが悪くなってしまう。澱は、目視観察において飲料中の粒状物の発生や容器底部の濁りが発生したかで判断することができる。本発明の容器詰め飲料においては、室温保存1ヶ月で澱が発生していなければ良く、室温保存3ヶ月で発生していないことが好ましい。
【0058】
本発明の容器詰め飲料は、甘味料を含有するか否かについては特に限定されない。本発明において、飲料に甘味料を含有しない場合のブリックス値は0.001~10%であれば良く、好ましくは0.005~8%である。甘味料を含有する場合はこの限りではない。
【0059】
本発明の容器詰め飲料は、葛花処理物のみを含有する葛花飲料でも、葛花処理物以外の成分も含有する飲料、例えば、茶飲料でも、非茶系飲料であってもよい。茶飲料としては、例えば、緑茶などの不発酵茶飲料、烏龍茶などの半発酵茶飲料、紅茶などの発酵茶飲料、麦茶、穀物茶、杜仲茶、ジャスミン茶、甜茶、はと麦茶、玄米茶、黒豆茶、ほうじ茶、プーアル茶、マテ茶等を用いた茶飲料、ハーブティー、その他ブレンド茶飲料(例えば、はとむぎ、玄米、大麦、黒ゴマ、どくだみ、大麦若葉、明日葉、よもぎ、烏龍茶、緑茶、熊笹、プーアル茶、ほうじ茶、マテ茶、甜茶、発芽大麦、発芽玄米、昆布、シイタケ、あわ、きび、ハブ茶、ゴマ、ルイボス、麦芽エキス、とうきび、大豆、田舎麦、とうもろこし、黒豆(大豆)、チコリー、月見草、霊芝、びわの葉、カワラケツメイ、柿の葉、紅花、あまちゃづる、南天、かりん、アロエ、杜仲葉、はすの葉、クコの実、みかんの皮、高麗人参、グアバ葉、桑の葉、甘草、ウコン、ウイキョウ、アカメガシワ、ナツメ、チョウジ、長命草等から2種以上を含有)などが例示される。また、非茶系飲料としては、例えば、清涼飲料(例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、ニアウォーター、エード、炭酸飲料等)、コーヒー飲料、ココア飲料、ゼリー飲料、乳性飲料、豆乳類、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ワイン、清酒、梅酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類、ビール、発泡酒等のアルコール飲料が例示される。その中でも、葛花処理物の嗜好性の観点から茶飲料、清涼飲料、コーヒー飲料、ゼリー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤が好ましく、葛花茶飲料、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料、ブレンド茶飲料、野菜ジュース、コーヒー飲料がより好ましい。本発明の容器詰め飲料は、栄養機能食品、特定保健用食品、疾病リスク低減表示特定保健用食品として用いても良い。
【0060】
本発明の容器詰め飲料を茶飲料として提供する場合は、葛花処理物の他に、茶処理物を併用することができる。茶処理物は、茶葉を処理したものに加えて茶葉自体をも包含する。茶葉は乾燥物、乾燥粉末、抽出物のいずれのものも使用できる。茶葉抽出物の場合は茶葉の成分が抽出されたものであれば特に限定されず、搾汁、抽出液などが挙げられる。また、茶葉抽出物は搾汁や抽出液の溶媒希釈物、濃縮物や乾燥物であってもよく、例えば、液状、ペースト状、粉末状、細粒状、顆粒状、ペレット状、錠状等の固体状であってもよい。いずれの場合も茶葉抽出物のみでも良いし、例えば液状、ペースト状の場合は溶媒等と混合状態でも良い。また、固体状の場合は賦形剤と混合したもの、更に賦形剤や結合剤と共に成型したものでも良い。
【0061】
茶処理物の原料としては、一般的に茶飲料として用いられる原料が挙げられ、例えば、緑茶などの不発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶、麦茶、穀物茶、杜仲茶、ジャスミン茶、甜茶、はと麦茶、玄米茶、黒豆茶、ほうじ茶、プーアル茶、マテ茶等を用いた茶飲料、ハーブティー、その他ブレンド茶等の茶葉が挙げられる。使用する茶葉は市販品を使用することができる。
【0062】
本発明においては、葛花処理物の安定性向上の観点から、茶処理物を併用することが好ましい。使用する茶処理物としてはいずれも使用できるが、例えば、緑茶などの不発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶、麦茶、穀物茶、杜仲茶、ジャスミン茶、甜茶、はと麦茶、玄米茶、黒豆茶、ほうじ茶、プーアル茶、マテ茶等を用いた茶飲料、ハーブティー、その他ブレンド茶が挙げられ、好ましくは緑茶、烏龍茶、紅茶、ジャスミン茶である。茶処理物を使用する場合は、葛花処理物に対して0.01~1000倍含有することができ、0.05~500倍含有するのが好ましく、0.1~100倍含有するのが更に好ましい。また、テクトリゲニン類に対して0.01~10000倍含有することができ、0.05~5000倍含有するのが好ましく、0.1~1000倍含有するのが更に好ましい。
【0063】
本発明の茶飲料が紅茶の場合は甘味料やレモン等の果汁、酸味料、香料、牛乳や脱脂粉乳等の乳成分、乳化剤を併用することもできる。
【0064】
本発明の容器詰め飲料をコーヒー飲料として提供する場合は、葛花処理物の他に、コーヒー処理物を併用することが好ましい。コーヒー処理物としては、例えば、コーヒー粉末をそのまま、又はコーヒー抽出物が挙げられる。コーヒー処理物は、市販品を使用することができる。また、牛乳や脱脂粉乳等の乳成分、乳化剤と併用し、乳成分を有するコーヒー飲料とすることもできる。
【0065】
また、本発明の容器詰め飲料は、カテキン類、テアニン、タンニン、テアフラビン類、テアルビジン類、ウーロン茶ポリフェノール、カフェイン、クロロゲン酸類等の成分をそのまま、又は茶葉、コーヒーやその他成分と併用することもできる。
【0066】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類、それらの誘導体及びそれらの混合物の総称である。これらの誘導体としては、アルキル化体、配糖体、抱合体、塩、エステル等の生理学的に許容されるものが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。カテキン類の由来植物としては、柿、茶、カカオ、ゆず、イモ、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、バナナ、栗皮、タマリンド、ミモザ、五倍子等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明においては、カテキン類は、一般に市販されているものを使用することができる。本発明において、カテキン類を配合する場合は、葛花処理物に対して0.001~1000倍含有することができ、0.005~500倍含有するのが好ましく、0.01~100倍含有するのが更に好ましい。また、テクトリゲニン類に対して0.001~10000倍含有することができ、0.005~5000倍含有するのが好ましく、0.01~1000倍含有するのが更に好ましい。
【0067】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるテアニンとは、茶の旨味成分として知られ、グルタミン酸-γ-エチルアミドからなる。L体、D体、DL体(ラセミ体)のいずれも使用可能である。市販の試薬、純品(テアニン含量98%以上の精製品)、粗精製品(テアニン含量50~98%)の他、茶抽出物またはその濃縮物の形態でも用いることができる。本発明の容器詰め飲料で使用する場合は、呈味や沈殿等の保存性の観点から、粗精製品または純品を用いることが好ましく、特に純品を用いることが好ましい。
【0068】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるテアニンは、どのような方法によって得られたものでも利用可能である。テアニンの製造方法としては、例えば茶葉からの分離精製法、化学的合成法、茶細胞による組織培養法、酵素反応を利用する方法等が挙げられる。酵素反応を利用する方法としては、例えばグルタミンとエチルアミンの混合物にグルタミナーゼを作用させてテアニンを得る方法が挙げられる。
【0069】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるタンニンとは、植物の幹、皮、葉、実等から抽出される天然物であり、ピロガロール系の加水分解型タンニンとカテコール系の縮合型タンニンがある。タンニンの由来植物としては、柿、茶、カカオ、ゆず、イモ、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、バナナ、栗皮、タマリンド、ミモザ、五倍子等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明においては、タンニンを含有する植物からの抽出物を使用することができる。
【0070】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるテアフラビン類とは、テアフラビン(非ガレート型テアフラビン)の他、テアフラビン-3-モノガレート、テアフラビン-3’-モノガレート、テアフラビン-3,3’-ジガレート等のガレート基を有するエステル型テアフラビン(ガレート型テアフラビン)及びそれらの混合物の総称である。テアフラビンは血中コレステロール濃度の低減効果、中性脂肪の減少効果を有することが知られている。本発明においては、テアフラビン類は、一般に市販されているものを使用することができる。
【0071】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるテアルビジン類とは、チャの葉が発酵する際に酵素的酸化によって形成されるポリフェノールの重合体である。テアルビジン類は血液をさらさらにし、動脈硬化を予防する作用があることが知られている。本発明においては、紅茶からの抽出物を使用することができる。
【0072】
本発明の容器詰め飲料で使用することができるウーロン茶ポリフェノールとは、茶葉を半発酵する過程でカテキン類が重合して生じるウーロン茶特有の成分である。ウーロン茶ポリフェノールの代表成分として、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)2量体の化学構造が確認されている。ウーロン茶ポリフェノールはコレステロールや中性脂肪の体外への排出作用による高脂血症や肥満の改善効果、抗酸化作用による動脈硬化の予防、ブドウ糖の吸収を抑制作用による血糖値の上昇抑制などの効果を有することが知られている。本発明においては、ウーロン茶ポリフェノールは、一般に市販されているものを使用することができる。
【0073】
本発明の容器詰め飲料で使用できるカフェインとは、食品添加物として使用できる精製品(カフェイン含量98.5%以上の精製品)や、食品として使用できる粗精製品(カフェイン含量50~98.5%)の他、カフェインを含有する植物(茶葉、コーラの実、コーヒー豆、ガラナ等)の抽出物又はその濃縮物の形態でも用いることができる。本発明の容器詰め飲料で使用する場合は、呈味や沈殿等の保存性の観点から、粗精製品または純品を用いることが好ましく、特に純品を用いることが好ましい。
【0074】
本発明の容器詰め飲料で使用できるクロロゲン酸類とは、モノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、その誘導体及びそれらの混合物の総称である。ここでモノカフェオイルキナ酸としては3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸及び5-カフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。またフェルラキナ酸としては、3-フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸及び5-フェルラキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。ジカフェオイルキナ酸としては3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸及び4,5-ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。また、これらの誘導体としては、塩、エステル等の生理学的に許容されるものが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。本発明においては、クロロゲン酸類は一般に市販されているものを使用することができる。
【0075】
本発明の容器詰め飲料において、カテキン類、テアニン、タンニン、テアフラビン類、テアルビジン類、ウーロン茶ポリフェノール、カフェイン、クロロゲン酸類等の成分を含有する場合は、それぞれ単独で、又は、2種類以上を用いても良い。上記成分は葛花処理物に対して0.0001~10000倍含有することができ、0.001~1000倍含有するのが好ましく、0.005~500倍含有するのが更に好ましい。
【0076】
本発明の容器詰め飲料において、カテキン類、テアニン、タンニン、テアフラビン類、テアルビジン類、ウーロン茶ポリフェノール、カフェイン、クロロゲン酸類等の成分を含有する場合は、それぞれ単独で、又は、2種類以上を用いても良い。上記成分はイソフラボン類に対して0.0001~10000倍含有することができ、0.001~1000倍含有するのが好ましく、0.005~500倍含有するのが更に好ましい。
【0077】
本発明の容器詰め飲料において、カテキン類、テアニン、タンニン、テアフラビン類、テアルビジン類、ウーロン茶ポリフェノール、カフェイン、クロロゲン酸類等の成分を含有する場合は、それぞれ単独で、又は、2種類以上を用いても良い。上記成分はテクトリゲニン類に対して0.0001~10000倍含有することができ、0.001~1000倍含有するのが好ましく、0.005~500倍含有するのが更に好ましい。
【0078】
(容器)
本発明の容器詰め飲料に使用される容器は、通常飲料用容器として使用されているものであれば良く、スチール缶、アルミ缶等の金属容器、PETボトル、紙パック、ビン等のガラス容器、チルドカップ等のプラスチックカップ、チアパック等のパウチ等が挙げられる。
【0079】
(殺菌方法)
本発明の容器詰め飲料において、殺菌は、容器の種類や保存条件に合わせて、適宜選択すればよい。例えば、スチール缶、アルミ缶等の金属容器やチアパックなどのように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては、レトルト殺菌法を用いて食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙パックなどのようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等での加熱殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用される。加熱殺菌の方法としては、低温保持殺菌法(LTLT法)や高温保持殺菌法(HTLT法)、高温短時間法(HTST法)や超高温殺菌法(UHT法)など、いずれの方法も使用できるが、UHT法が好ましい。
【0080】
(充填方法)
本発明の容器詰め飲料において、充填方法は適宜選択すればよい。充填方法としては、例えば、ホットパック充填、無菌充填、アセプティック充填などが好ましい。充填された容器に別の成分を含有して充填してもよい。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
【0081】
(製造方法)
本発明の容器詰め飲料は、使用する原料に応じて従来の製造方法にて製造することができる。
【0082】
(葛花液の製造)
葛花処理物として、葛花乾燥物を使用する場合は、あらかじめ水や熱水に浸し、固形物(残渣)などを除去することで葛花液を得る。熱水を使用する場合、熱水の温度は40~100℃が好ましく、50~95℃がより好ましい。その後、必要に応じて濾過を行い、葛花液中の不純物を除去する。熱水を使用する場合、濾過は一定の温度まで冷却した後に実施するのが良い。一定温度まで冷却することにより、沈殿等の不純物を効率良く除去可能となる。濁りや沈殿の防止として濾過を行う場合は、例えば、遠心分離、濾布、珪藻土濾過やフィルター濾過等を用いて行うことができる。飲料のヘイズ値や吸光度を小さくするためにはフィルター濾過等の精密濾過が好ましい。濾過処理の際には、香味に寄与する成分の過剰な除去を防ぐため、捕捉粒子径の適切な設定を行うことが望ましい。濾過を行い不純物を除去することで、保存時の沈殿の発生の抑制や、飲用時ののどごしの悪さ等を改善することができる。
【0083】
葛花処理物として、葛花抽出物を使用する場合は、水又は熱水に葛花抽出物を加えて撹拌し、必要に応じて濾過を行って不純物を除去することで葛花液を得る。熱水を用いる場合、その温度は40~100℃が好ましく、50~95℃がより好ましい。その後、必要に応じて濾過を行い、葛花液中の不純物を除去する。熱水を使用する場合、濾過は一定の温度まで冷却した後に実施するのが良い。一定温度まで冷却することにより、沈殿等の不純物を効率良く除去可能となる。濾過を行い不純物を除去することで、保存時の沈殿の発生の抑制や、飲用時ののどごしの悪さ等を改善することができる。
【0084】
本発明の容器詰め飲料を葛花飲料として提供する場合は、上記方法によって得られた葛花液に、必要に応じて酸化防止剤、pH調製剤等の添加剤を加える。製造後は充填する容器に応じて適切な工程で殺菌、充填を行う。
【0085】
(茶飲料の製造)
本発明の容器詰め飲料が茶系飲料の場合は、使用する葛花処理物や茶処理物の種類によって製造方法を選ぶことができる。使用する葛花処理物の原料として葛花乾燥物を使用する場合は、あらかじめ葛花乾燥物と茶葉を混合した後に水又は熱水で抽出し、茶葉等を除去後、ストレーナーなどで不純物を除き、抽出液を得ることができるし、葛花乾燥物と茶葉とを別々に水又は熱水で抽出し、それぞれ茶葉等を除去後、ストレーナーなどで不純物を除き、茶抽出液と葛花抽出液を得た後、混合して得ることもできる。茶抽出液は、そのまま用いてもよいし、あらかじめ溶媒を濃縮又は乾固したものも使用することもできる。熱水を使用する場合、熱水の温度は40~100℃が好ましく、50~95℃がより好ましい。ストレーナーで除去できない不純物が多い場合は、必要に応じて濾過を行い、不純物を除去する。熱水を使用する場合、濾過は一定の温度まで冷却した後に実施するのが良い。一定温度まで冷却することにより、沈殿等の不純物を効率良く除去可能となる。濁りや沈殿の防止として濾過を行う場合は、例えば、遠心分離、濾布、珪藻土濾過やフィルター濾過等を用いて行うことができる。飲料のヘイズ値や吸光度を小さくするためにはフィルター濾過等の精密濾過が好ましい。濾過処理の際には、香味に寄与する成分の過剰な除去を防ぐため、捕捉粒子径の適切な設定を行うことが望ましい。濾過を行い不純物を除去することで、保存時の沈殿の発生の抑制や、飲用時ののどごしの悪さ等を改善することができる。これに必要に応じて酸化防止剤、pH調製剤等の添加剤を加える。茶系飲料製造後は、充填する容器に応じて適切な工程で殺菌、充填を行う。
【0086】
また、葛花処理物の原料として葛花抽出物を用いる場合は、熱水に各種茶葉を加え、茶葉等を除去後、ストレーナーなどで不純物を除き、茶抽出液を得ることができる。茶抽出液は、そのまま用いてもよいし、あらかじめ溶媒を濃縮又は乾固したものも使用することもできる。熱水の温度は茶葉に応じて適宜決めることができるが、40~100℃の間であれば良く、好ましくは、50~95℃である。ストレーナーで除去できない不純物が多い場合は、必要に応じて濾過を行い、不純物を除去する。熱水を使用する場合、濾過は一定の温度まで冷却した後に実施するのが良い。一定温度まで冷却することにより、沈殿等の不純物を効率良く除去可能となる。濾過を行い不純物を除去することで、保存時の沈殿の発生の抑制や、飲用時ののどごしの悪さ等を改善することができる。次に、葛花抽出物に水や熱水を加えたものをあらかじめ調製し、茶抽出液に加えて撹拌する。熱水の温度は40~100℃が好ましく、50~95℃がより好ましい。これに必要に応じて酸化防止剤、pH調製剤等の添加剤を加える。茶系飲料製造後は、充填する容器に応じて適切な工程で殺菌、充填を行う。
【0087】
(コーヒー飲料の製造)
本発明の容器詰め飲料がコーヒー飲料の場合は、コーヒーを熱水で抽出した抽出液に、上記製造方法にて得られる葛花液を添加することもできるし、葛花抽出物を使用することもでき、必要に応じて甘味料、乳成分、乳化剤、pH調整剤等の添加剤を加えることで得ることができる。熱水の温度は40~100℃が好ましく、50~95℃がより好ましい。コーヒー飲料製造後は、充填する容器に応じて適切な工程で殺菌、充填を行う。
【0088】
本発明の容器詰め飲料は、希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、利用者の好みに応じて水や牛乳等のその他の飲料で希釈して飲用することも可能である。また、濃縮液や粉末飲料等を本発明の容器詰め飲料を用いて希釈し、飲用することも可能である。
【0089】
本発明の容器詰め飲料は、販売時に加熱したり、冷却したりすることも可能である。例えば、店頭や自動販売機での販売時にあらかじめ容器ごと加熱したり冷却したりすることができ、長時間加熱・冷却状態を保持し続けても風味や外観等の品質を劣化させることなく、安定した品質で保存や販売が可能である。また、飲用の都度、電子レンジで加熱したり、冷蔵庫で冷却したりすることを繰り返しても葛花処理物の分解や飲料の劣化等は起こりにくいため、風味や外観の劣化が少なく、一定品質の保持が可能である。
【実施例0090】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0091】
製造例1~5 葛花飲料の製造
表1の配合量に従い、葛花飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0092】
【表1】
【0093】
葛花抽出物に水を加え、5分間撹拌して葛花抽出物を溶解させた。その後、濾過を行い、不純物を除去した。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例1~5)を得た。
【0094】
製造例6~10 緑茶飲料の製造
表2の配合量に従い、緑茶飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0095】
【表2】
【0096】
80℃の熱水に緑茶葉を加え、緑茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により緑茶葉を除去し、緑茶抽出液を得た。次に、葛花抽出物に水を加え溶解させたものを、先に得た緑茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、緑茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを緑茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例6~10)を得た。
【0097】
製造例11~15 烏龍茶飲料の製造
表3の配合量に従い、烏龍茶飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0098】
【表3】
【0099】
80℃の熱水に烏龍茶葉を加え、烏龍茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により烏龍茶葉を除去し、烏龍茶抽出液を得た。次に、葛花抽出物に水を加え溶解させたものを、先に得た烏龍茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、烏龍茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを烏龍茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例11~15)を得た。
【0100】
製造例16~20 紅茶飲料の製造
表4の配合量に従い、紅茶飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0101】
【表4】
【0102】
80℃の熱水に紅茶葉を加え、紅茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により紅茶葉を除去し、紅茶抽出液を得た。次に、葛花抽出物に水を加え溶解させたものを、先に得た紅茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、紅茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを紅茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例16~20)を得た。
【0103】
製造例21~25 紅茶飲料の製造
表5の配合量に従い、紅茶飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0104】
【表5】
【0105】
80℃の熱水に紅茶葉を加え、紅茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により紅茶葉を除去し、紅茶抽出液を得た。次に、葛花抽出物に水を加え溶解させたものを、先に得た紅茶抽出液に加えた。次に、砂糖、果汁を加えた。L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、紅茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを紅茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒の殺菌条件で殺菌し、紙パックに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例21~25)を得た。
【0106】
製造例26~30 コーヒー飲料の製造
表6の配合量に従い、コーヒー飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0107】
【表6】
【0108】
焙煎し、粉砕したコーヒー豆を抽出してコーヒー抽出液を得た。この抽出液に甘味料(砂糖又はスクラロース)、牛乳、乳化剤、水を混合し、炭酸水素ナトリウムを添加してpHを調整した。その後、75℃にて缶に充填し、密封して223.5℃で25分間の殺菌条件で殺菌し、目的の容器詰め飲料を得た。なお、缶充填の際ヘッドスペースを窒素ガスで置換した。
【0109】
製造例31 ブレンド茶飲料の製造
表7の配合量に従い、ブレンド茶飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0110】
【表7】
【0111】
80℃の熱水に発芽玄米、大麦、麦芽エキス、とうもろこし、はと麦、大豆、ルイボスを含むブレンド茶葉を加え、ブレンド茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過によりブレンド茶葉を除去し、ブレンド茶抽出液を得た。次に、葛花抽出物に水を加え溶解させたものを、先に得たブレンド茶抽出液に加えた。次に、カテキン抽出物、環状オリゴ糖を加えた。アスコルビン酸に水を加えて溶解させたものを、ブレンド茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度138℃、殺菌保持時間30秒の殺菌条件で殺菌し、86℃でPETボトルに充填し、キャッフ゜にて密閉した。その後流水にて冷却し、目的の容器詰め飲料を得た。
【0112】
製造例32 清涼飲料の製造
表8の配合量に従い、清涼飲料を製造した。葛花処理物は、葛花抽出物を使用した。
【0113】
【表8】
【0114】
表8に記載の原料を配合し、水を加えて撹拌した。得られた液を殺菌温度138℃、殺菌保持時間30秒の殺菌条件で殺菌し、86℃でPETボトルに充填し、キャップにて密閉した。その後流水にて冷却し、目的の容器詰め飲料を得た。
【0115】
製造例33~37 テクトリゲニン類含有飲料の製造
表9の配合量に従い、テクトリゲニン類含有飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0116】
【表9】
【0117】
テクトリゲニン類に水を加え、5分間撹拌してテクトリゲニン類を溶解させた。その後、濾過を行い、不純物を除去した。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒相当の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例33~37)を得た。
【0118】
製造例38~42 緑茶飲料の製造
表10の配合量に従い、緑茶飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0119】
【表10】
【0120】
80℃の熱水に緑茶葉を加え、緑茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により緑茶葉を除去し、緑茶抽出液を得た。次に、テクトリゲニン類に水を加え溶解させたものを、先に得た緑茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、緑茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを緑茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒相当の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例38~42)を得た。
【0121】
製造例43~47 烏龍茶飲料の製造
表11の配合量に従い、烏龍茶飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0122】
【表11】
【0123】
80℃の熱水に烏龍茶葉を加え、烏龍茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により烏龍茶葉を除去し、烏龍茶抽出液を得た。次に、テクトリゲニン類に水を加え溶解させたものを、先に得た烏龍茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、烏龍茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを烏龍茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒相当の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例43~47)を得た。
【0124】
製造例48~52 紅茶飲料の製造
表12の配合量に従い、紅茶飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0125】
【表12】
【0126】
80℃の熱水に紅茶葉を加え、紅茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により紅茶葉を除去し、紅茶抽出液を得た。次に、テクトリゲニン類に水を加え溶解させたものを、先に得た紅茶抽出液に加えた。次に、L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、紅茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを紅茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒相当の殺菌条件で殺菌し、PETボトルに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例48~52)を得た。
【0127】
製造例53~57 紅茶飲料の製造
表13の配合量に従い、紅茶飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0128】
【表13】
【0129】
80℃の熱水に紅茶葉を加え、紅茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過により紅茶葉を除去し、紅茶抽出液を得た。次に、テクトリゲニン類に水を加え溶解させたものを、先に得た紅茶抽出液に加えた。次に、砂糖、果汁を加えた。L-アスコルビン酸ナトリウムに水を加えて溶解させたものを、紅茶抽出液に加えた。次に、70℃程度の熱水に炭酸水素ナトリウムを加えて溶解させたものを紅茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度135.5℃、殺菌保持時間40秒相当の殺菌条件で殺菌し、紙パックに充填し、目的の容器詰め飲料(製造例53~57)を得た。
【0130】
製造例58~62 コーヒー飲料の製造
表14の配合量に従い、コーヒー飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0131】
【表14】
【0132】
焙煎し、粉砕したコーヒー豆を抽出してコーヒー抽出液を得た。この抽出液に甘味料(砂糖又はスクラロース)、牛乳、乳化剤、水を混合し、炭酸水素ナトリウムを添加してpHを調整した。その後、75℃にて缶に充填し、密封して223.5℃で25分間の殺菌条件で殺菌し、目的の容器詰め飲料(製造例58~62)を得た。なお、缶充填の際ヘッドスペースを窒素ガスで置換した。
【0133】
製造例63 ブレンド茶飲料の製造
表15の配合量に従い、ブレンド茶飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0134】
【表15】
【0135】
80℃の熱水に発芽玄米、大麦、麦芽エキス、とうもろこし、はと麦、大豆、ルイボスを含むブレンド茶葉を加え、ブレンド茶を抽出した後、室温まで冷却した。濾過によりブレンド茶葉を除去し、ブレンド茶抽出液を得た。次に、テクトリゲニン類に水を加え溶解させたものを、先に得たブレンド茶抽出液に加えた。次に、カテキン抽出物、環状オリゴ糖を加えた。アスコルビン酸に水を加えて溶解させたものを、ブレンド茶抽出液に加えた。得られた液を殺菌温度138℃、殺菌保持時間30秒の殺菌条件で殺菌し、86℃でPETボトルに充填し、キャッフ゜にて密閉した。その後流水にて冷却し、目的の容器詰め飲料を得た。
【0136】
製造例64 清涼飲料の製造
表16の配合量に従い、清涼飲料を製造した。テクトリゲニン類は、葛花処理物由来のものを使用した。
【0137】
【表16】
【0138】
表16に記載の原料を配合し、水を加えて撹拌した。得られた液を殺菌温度138℃、殺菌保持時間30秒の殺菌条件で殺菌し、86℃でPETボトルに充填し、キャッフ゜にて密閉した。その後流水にて冷却し、目的の容器詰め飲料を得た。
【0139】
(葛花処理物含有飲料の評価)
葛花処理物を含有する飲料(葛花飲料、緑茶)について、各種評価を実施した。使用した葛花処理物含有飲料は製造例2、製造例8で製造した飲料を使用した。PETボトルに充填し、密封したものをそれぞれ冷蔵(4℃)、室温、高温(40℃)で一定期間保管し、それぞれ吸光度(720nmにて測定)、ブリックス値、テクトリゲニン類含有率、官能評価(沈殿(澱))を評価した。なお、製造例2(サンプル1~3)のpHは6.6であり、製造例8(サンプル4~6)のpHは6.4であった。また、製造例8の葛花処理物含有飲料中に含まれるカテキン類の含有量は葛花処理物に対して0.74倍であった。
【0140】
【表17】
【0141】
実施例1 吸光度の評価
表17に記載のサンプル1~6について、それぞれ保存開始(0ヶ月)、保存開始後1ヶ月、3ヶ月の時点での720nmにおける吸光度を測定した。その結果を図1に示す。図1より、保存期間中の吸光度はいずれも0.05未満であり、高い透明性を有し、温度条件に関わらず安定して保存できることがわかった。
【0142】
実施例2 ブリックス値の評価
表17に記載のサンプル2及び5について、それぞれ保存開始(0ヶ月)、保存開始後1ヶ月、3ヶ月におけるブリックス値を、屈折計を用いて測定した。結果を表10に示す。表18から、ブリックス値は保存前と比較し、変動は±0.01と変化は小さく、安定して保存できることがわかった。
【0143】
【表18】
【0144】
実施例3 テクトリゲニン類の評価
表17に記載のサンプル2,3,5及び6について、保存中のテクトリゲニン類の含有率を評価した。保存開始(0ヶ月)、保存開始後1ヶ月、3ヶ月におけるテクトリゲニン類含有量の変化率を、HPLCを使用して測定し、保存開始(0ヶ月)を基準としてそれぞれの含有率を算出した。その結果を図2に示す。図2より、本発明の容器詰め飲料は室温、高温(40℃)のいずれの保管状態においても、高いテクトリゲニン類の含有率を示した。特に、茶処理物として緑茶抽出物を併用する飲料については、葛花抽出物のみで保存する場合に比べ、高いテクトリゲニン類の含有率を維持していた。
【0145】
実施例4 澱(沈殿)の評価
サンプル1~6について、保存開始後1ヶ月、3ヶ月における澱の状態を目視で観察した。サンプル1~6のいずれも澱は発生しておらず、透明性を保っていた。
【0146】
実施例1~4より、本発明の容器詰め飲料は、長期保存安定性に優れていることがわかる。特に、葛花抽出物と茶処理物、特に緑茶抽出物を併用することにより、テクトリゲニン類の保持効果が高く、保存安定性に優れていることがわかる。
【0147】
製造例65~79 葛花含有飲料の製造
表19、20に記載の配合で葛花含有飲料を製造した。
【0148】
【表19】
【0149】
【表20】
【0150】
葛花抽出物、L-アスコルビン酸ナトリウム、水を計りとり、5分間撹拌して葛花含有液を調整した。葛花抽出物、L-アスコルビン酸ナトリウムはそれぞれ0.0015g/mL、0.005g/mLとなるように調製した。次に、甘味料として、アセスルファムカリウム(甘味度:200)、スクラロース(甘味度:100)、ステビア(甘味度:200)、アスパルテーム(甘味度:100~200)、エリスリトール(甘味度:0.75~0.80)、キシリトール(甘味度:0.60)、ソーマチン(甘味度:300~800)を準備し、それぞれの甘味料について、甘味度が6となるように甘味料水溶液を調製した。なお、甘味度を算出する際、アスパルテームの甘味度は150として、エリスリトールの甘味度は0.78として、ソーマチンの甘味度は550として算出した。次に、葛花含有液が40質量%、甘味料水溶液が60質量%となるように各水溶液を混合し、製造例65~79の飲料を得た。尚、製造例65は甘味料水溶液の代わりに水を用いた。
【0151】
比較製造例1~7 大豆含有飲料の製造
表19において、葛花抽出物を大豆抽出物に変えて、他は製造例65~71と同様にして調製し、比較製造例1~7の飲料を得た。
【0152】
【表21】
【0153】
実施例5~18、比較例1~7 人工甘味料を用いた葛花飲料の官能評価
製造例65~79、及び比較製造例1~7で得られたサンプルを用いて官能評価を実施した。被験者11名に、製造例65~79のサンプルを少量ずつ試飲し、各評価項目(美味しさ、香りの良さ、にがみの感じ易さ、えぐみ(えぐみのなさ)、甘さの好み、飲みやすさ、すっきり感、後味、舌触り)について、下記表22に従い点数を付けた。比較例として、イソフラボンを含有する素材である大豆抽出物を使用し、同様に評価した。
集計後、人工甘味料を配合していないサンプル(製造例65)に比べてその他サンプルの評価項目がどの程度変化したかを算出した。大豆抽出物を使用した場合は、比較製造例1のサンプルに比べてその他サンプルの評価項目がどの程度変化したかを算出した。
結果を表23~25に示す。表中、数値がプラスのものは甘味料なしと比較して良くなったことを示し、数値がマイナスのものは甘味料なしと比較して悪くなったことを示す。
【0154】
【表22】
【0155】
【表23】
【0156】
【表24】
【0157】
【表25】
【0158】
表23~25より、葛花抽出物を使用した場合、人工甘味料を添加することでどの項目も人工甘味料添加前よりも評価結果が良くなり、飲みやすくなることがわかった。特に、美味しさ、えぐみ、甘さの好み、飲みやすさ、後味については高い評価が得られた。人工甘味料を単独で使用する場合は、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ステビアを用いることで、他の人工甘味料に比べて高い評価が得られることがわかった。更に、人工甘味料を2種類以上使用することで、より評価結果が良く、美味しさ、香りの良さ、にがみの感じ易さ、えぐみ、甘さの好み、飲みやすさ、後味が改善し、より飲料に適することがわかった。特に、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ステビアは、2種以上用いるか、その他人工甘味料との組合せることで評価結果がいずれも高く、飲みやすい飲料を提供できることがわかった。
一方、同じイソフラボン抽出物である大豆抽出物を用いた例では、いずれの項目も甘味料なしと比較して同程度か若干良くなる程度であり、甘味料の種類によっては甘味料なしよりも悪くなる傾向であった。
【0159】
製造例80~79 葛花紅茶飲料の製造
表26に記載の配合で葛花紅茶飲料を製造した。
【0160】
【表26】
【0161】
紅茶9gに熱湯300mLを加え、1分間蒸らして紅茶抽出液を調製した。得られた紅茶抽出液に葛花抽出物、L-アスコルビン酸ナトリウムを計りとり、5分間撹拌して葛花含有液(紅茶入り)を調整した。葛花抽出物、L-アスコルビン酸ナトリウムはそれぞれ0.0015g/mL、0.005g/mLとなるように調製した。次に、甘味料として、アセスルファムカリウム(甘味度:200)、スクラロース(甘味度:100)、ステビア(甘味度:200)、アスパルテーム(甘味度:100~200)、ソーマチン(甘味度:300~800)を準備し、それぞれの甘味料について、甘味度が6となるように甘味料水溶液を調製した。なお、甘味度を算出する際、アスパルテームの甘味度は150として、ソーマチンの甘味度は550として算出した。次に、葛花含有液を40質量%、甘味料水溶液を60質量%となるように各水溶液を混合し、製造例80~86の紅茶飲料を得た。尚、製造例80は甘味料水溶液の代わりに水を用いた。
【0162】
実施例19~24 人工甘味料を用いた葛花紅茶飲料の官能評価
製造例80~86で得られたサンプルを用いて官能評価を実施した。被験者8名に、製造例80~86のサンプルを少量ずつ試飲し、各評価項目(美味しさ、香りの良さ、にがみの感じ易さ、えぐみ(えぐみのなさ)、甘さの好み、飲みやすさ、すっきり感、後味、舌触り)について、表22に従い点数を付けた。
集計後、人工甘味料を配合していないサンプル(製造例80)に比べてその他サンプルの評価項目がどの程度変化したかを算出した。
結果を表27に示す。表中、数値がプラスのものは甘味料なしと比較して良くなったことを示し、数値がマイナスのものは甘味料なしと比較して悪くなったことを示す。
【0163】
【表27】
【0164】
表27より、葛花紅茶飲料を使用した場合、人工甘味料を添加することでどの項目も人工甘味料添加前よりも評価結果が良くなり、飲みやすくなることがわかった。特に、甘さの好み、飲みやすさ、すっきり感、後味については高い評価が得られた。特に、人工甘味料を2種類以上使用することで、より評価結果が良く、全ての項目で高い評価となり、飲みやすい飲料を提供できることがわかった。
【0165】
実施例25~30 甘味料を用いた葛花飲料の安定性評価
製造例66、67、69、73及び75で得られた葛花含有飲料について、安定性評価を行った。甘味料による安定性の違いを比較するため、ショ糖を用いた評価を併せて行った。甘味料としてショ糖を用いた葛花飲料は、甘味度が6となるようにショ糖水溶液を調製し、製造例65~79と同様の方法で調製した。使用したサンプルを表28に示す。
【0166】
【表28】
【0167】
洗浄したサンプルビンに表28で準備した葛花含有飲料を充填し、密封したものを室温で一定期間保管し、吸光度(720nmにて測定)を評価した。それぞれのサンプルについて、保存開始前(0日)、14日後の時点での720nmにおける吸光度を測定した。結果を表29に示す。
【0168】
【表29】
【0169】
表29より、保存期間中の吸光度はいずれも0.5未満であり、高い透明性を有し、室温条件下で安定して保存できることがわかった。特に、人工甘味料を使用する実施例25~29においては、吸光度はいずれも0.1未満とより高い透明性を有するものであり、その変化量は0.05以下であった。このことから、人工甘味料を用いることで、葛花飲料を安定保存できることがわかる。
【0170】
(動物試験による葛花処理物の効果の確認)
マウスに葛花処理物、葛花処理物及び人工甘味料の混合物を投与し、体脂肪低減効果、血糖値上昇抑制効果を確認した。7週齢の雄性C57BL/6Jマウスを8匹を5日間馴化後、体重値に基づいてA~Dの4群に群分けし、各群に対応した試験飼料を14日間自由摂取させた。投与した飼料を表30に示す。
【0171】
【表30】
【0172】
(体脂肪低減効果の確認)
上記群分けしたマウスを試験14日目に解剖し、腸間膜白色脂肪組織を採取し、重量を測定した。体重増加率及び腸間膜の白色脂肪重量を表31に示す。
【0173】
【表31】
【0174】
実施例31及び比較例7より、葛花処理物を含有する飼料(B群)を摂取したマウスは葛花処理物を含有していない飼料(A群)を摂取したマウスと比較して、高脂肪食の飼料を摂取下にもかかわらず、体重増加、白色脂肪重量の増加を抑制することができた。また、実施例32及び比較例8から、人工甘味料を使用した場合においても、葛花処理物を含有することで体重増加、白色脂肪重量の増加を抑制することができた。さらに、実施例31及び実施例32から、葛花処理物と人工甘味料を併用することで、効果的に体重増加、白色脂肪重量増加を抑制できており、葛花処理物と人工甘味料の併用は、体重増加、白色脂肪重量増加の抑制について相乗効果があることがわかる。
【0175】
(血糖値上昇抑制効果の確認)
上記群分けしたマウスを試験14日目に尾静脈より採血を行い、小型血糖値測定器(グルテストエース:株式会社三和化学研究所)を用いて血糖値を測定した。測定結果を表32に示す。
【0176】
【表32】
【0177】
実施例33及び比較例9より、葛花処理物を含有する飼料(B群)を摂取したマウスは葛花処理物を含有していない飼料(A群)を摂取したマウスと比較して、高脂肪食の飼料を摂取下にもかかわらず、血糖値の上昇を抑制することができた。また、実施例34及び比較例10から、人工甘味料を使用した場合においても、葛花処理物を含有することで血糖値の上昇を抑制することができた。さらに、実施例33及び実施例34から、葛花処理物と人工甘味料を併用することで、効果的に血糖値の上昇を抑制できており、葛花処理物と人工甘味料の併用は、血糖値の上昇抑制について相乗効果があることがわかる。
【0178】
製造例88~94
表33に記載の配合で、葛花含有飲料を製造した。ビーカーに、葛花処理物と安息香酸を計りとり、水を加えて撹拌し、溶解した。次に、クエン酸水溶液(2M)又はクエン酸ナトリウム水溶液(2M)を加え、目的のpH(2~8)となるように各溶液のpHを調整した。なお、pH2~5はクエン酸水溶液、pH6~8はクエン酸ナトリウム水溶液を用いた。pH調整後、各溶液を85℃30分間湯煎し、殺菌済みのペットボトルに入れキャップをし、さらに85℃の湯で30分間加熱することで殺菌を行った。
【0179】
【表33】
【0180】
実施例35 pH依存性の評価1
製造例88~94で得られた葛花含有飲料を室温にて保管した。製造例88~94について、それぞれ保存開始(0ヶ月)、保存開始後1ヶ月、3ヶ月、及び4ヶ月の時点での720nmにおける吸光度及びテクトリゲニン類含有量をHPLCを使用して測定し、保存開始(0ヶ月)を基準としてそれぞれの変化率を算出した。測定した。その結果を図3及び図4に示す。
図3より、保存期間中の吸光度はいずれも0.5未満であり、長期間の保存における安定性が高いことがわかった。特に、pHが4以上の場合、吸光度が0.05未満と高い透明性を有し、長期間の安定性に優れることがわかった。
テクトリゲニン類は、全てのサンプルにおいて1ヶ月で70%以上保持されていた。特に、pH7以下の場合、4ヶ月後のテクトリゲニン類は70%以上保持されていることから、葛花含有飲料を安定して保存するこが可能であることがわかる。さらにpH6以下の場合、4ヶ月経過後のテクトリゲニン類は90%以上と高く、安定して保持されていることがわかる。
図1
図2
図3
図4