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特開2024-63263ウェアラブル自動インジェクタおよび投与システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063263
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ウェアラブル自動インジェクタおよび投与システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240501BHJP
   A61M 5/148 20060101ALI20240501BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M5/148
A61M5/168 540
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042983
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2021184811の分割
【原出願日】2018-07-18
(31)【優先権主張番号】62/533,954
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/559,051
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/626,935
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ウディン,ナシール
(72)【発明者】
【氏名】デスパ,ミルチャ
(72)【発明者】
【氏名】ドシ・パーセル,レクハ
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,ジョン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】モラレス,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー,マット
(72)【発明者】
【氏名】エイブリー,エルベ
(72)【発明者】
【氏名】ボーエン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,レイチェル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動インジェクタを用いた医薬組成物の患者への投与のための装置を提供する。
【解決手段】患者の皮膚面に移動可能に取り付け可能で、一回分の服用量の薬剤を患者に投与するように構成されたウェアラブル自動インジェクタ300であって、ハウジングの壁の一部に配設されるビューイングウィンドウ304を含むハウジング302と、針が前記ハウジングの外部に突き出ない引退位置と、前記針を前記患者の体内に挿入できるように、前記針が前記ハウジングの外部に突き出る伸長位置との間で移動可能な針と、前記ハウジング内に配置され、および前記薬剤を中に収容するためのフレキシブル容器306と、前記ビューイングウィンドウの一部と位置合わせされた視覚的識別部308であって、前記視覚的識別部の前記ビューイングウィンドウに対する位置が、前記容器内の前記薬剤の容積に依存するウェアラブル自動インジェクタを開示する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚面に移動可能に取り付け可能で、一回分の服用量の薬剤を患者に投与するように構成されたウェアラブル自動インジェクタであって、
ハウジングの壁の一部に配設されるビューイングウィンドウを含むハウジングと、
針が前記ハウジングの外部に突き出ない引退位置と、前記針を前記患者の体内に挿入できるように、前記針が前記ハウジングの外部に突き出る伸長位置との間で移動可能な針と、
前記ハウジング内に配置され、および前記薬剤を中に収容するためのフレキシブル容器と、
前記ビューイングウィンドウの一部と位置合わせされた視覚的識別部であって、前記視覚的識別部の前記ビューイングウィンドウに対する位置が、前記容器内の前記薬剤の容積に依存し、前記視覚的識別部が、前記容器内の前記薬剤の容積を示すために前記患者によって視認可能である、前記視覚的識別部と、を備えるウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項2】
前記視覚的識別部は、前記容器が空である空位置と、前記容器が満たされている満位置と、の間で前記ビューイングウィンドウに対して移動可能である請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項3】
前記視覚的識別部は、前記容器の一部に取り付け可能になっているコネクタを有する請求項2に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項4】
前記コネクタは、前記容器の密封縁部に取り付け可能であり、もしくは、前記コネクタは、インジケータクリップを備える請求項3に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項5】
前記ビューイングウィンドウは透明であり、前記ハウジングの残りの部分が不透明である請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項6】
前記視覚的識別部は、前記ハウジング内の、前記容器と変形可能材料との間に設けられる請求項2に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項7】
前記視覚的識別部は偏向可能部材を含み、前記容器に前記薬剤が充填されるにつれて、前記容器が膨張して、前記偏向可能部材の一端を下方へ偏向させ、前記容器が前記薬剤を吐出するにつれて、前記容器が収縮して、前記偏向可能部材の前記一端がその元の位置へ戻る請求項2に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記ビューイングウィンドウに隣接して充填インジケータディスプレイを備える請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項9】
前記容器は貯蔵バッグであり、前記視覚的識別部は、前記貯蔵バッグの一部である請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項10】
前記視覚的識別部は、前記ハウジング内の、前記容器と変形可能材料との間に設けられる請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項11】
前記容器に前記薬剤が充填されるにつれて、前記容器が膨張して、前記視覚的識別部を下方へ移動させ、それによって前記変形可能材料を圧縮し、前記容器が前記薬剤を吐出するにつれて、前記容器が収縮して、前記変形可能材料が膨張し、それによって前記視覚的識別部を上方へ移動させる請求項1に記載のウェアラブル自動インジェクタ。
【請求項12】
患者への薬剤の投与のための投与システムであって、
請求項1に記載の前記ウェアラブル自動インジェクタと、
前記ウェアラブル自動インジェクタと情報をやりとりする通知装置であって、前記ウェアラブル自動インジェクタの少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成された通知装置と、を備える投与システム。
【請求項13】
前記通知装置は、前記ウェアラブル自動インジェクタの前記少なくとも一つの特性の状態を表示するように構成された請求項12に記載の投与システム。
【請求項14】
前記通知装置は、前記ウェアラブル自動インジェクタと受動的に一方向で情報をやりとりし、前記通知装置は、
前記ウェアラブル自動インジェクタから、前記ウェアラブル自動インジェクタの前記少なくとも一つの特性の状態に関する情報を受け取り、
その受け取った情報に基づいて、前記ウェアラブル自動インジェクタが前記通知装置とペアリングがされた時は、第1の表示を行い、前記ウェアラブル自動インジェクタが前記患者に前記薬剤を投与している時は、第2の表示を行い、前記患者への前記薬剤の投与が完了した時は、第3の表示を行うように構成された請求項13に記載の投与システム。
【請求項15】
前記通知装置はリストバンドである請求項12に記載の投与システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年7月18日に出願された「医療機器の状態を知らせるための通知装置」というタイトルの米国仮出願特許第62/533954号に対する優先権を主張するものであり、また、本出願は、2017年9月15日に出願された「医療機器の状態を知らせるための通知装置」というタイトルの米国特許仮出願第62/559051号に対しても優先権を主張するものであり、また、本出願は、2018年2月6日に出願された「投与システム、投与装置、および医療機器の状態を知らせるための通知装置」というタイトルの米国特許仮出願第62/626935号に対しても優先権を主張するものであり、これらの各々の開示全体は、参照によって本願明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
本出願は、一般に、医薬組成物の患者への投与のための機器、システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、自動インジェクタを用いた医薬組成物の患者への投与のための装置、システムおよび方法に関し、および自動インジェクタの少なくとも一つの特性を知らせるための通知装置に関し、および患者が、充填確認および/または投与確認を表示する視覚手段などの容器の状態を見ることを可能にする機器に関する。
【背景技術】
【0003】
自動インジェクタなどのウェアラブル医療機器には、診療施設から遠く離れた場所で、および/または患者の衣服の下に個別に身に付けられたままで、患者に治療を施すという利点がある。医師の判断に基づいて、ウェアラブル医療機器を患者の皮膚に適用することができ、および医療機器は、ウェアラブル医療機器を患者の皮膚に適用した後の所定期間内に、たとえば27時間の遅延時間後に、一回分の服用量の医薬組成物を自動的に投与するように構成できる。当該機器が医薬組成物を患者に対して投与した後、患者は、その後、機器を取り外して廃棄できる。
【0004】
いくつかのウェアラブル医療機器は、当該機器の少なくとも一つの特性を患者に知らせる能力を有している。たとえばいくつかの機器は、たとえば当該機器が医薬組成物を患者に対して投与しているときに、または投与の処理が完了したときに、直接的な機器上での視覚的な、可聴のまたは触感的なフィードバックを患者に与えて、当該機器の状態に関して患者に報告できる。現存の機器は離散性を与えているが、このことの一つの欠点は、当該機器は、患者の衣服によって、または、患者の体の特定の部位への当該機器の配置によって邪魔されているため、当該機器のいかなる視覚的な、可聴の、または触感的なフィードバックも患者に容易に伝えることができないということである。たとえば当該機器が患者の腕の後ろに配置されている場合、当該機器によって出された通知は可視性を制限し、医療従事者が通知を監視することを要する場合がある。さらに、当該機器が患者の腹部に着用されている場合には、当該機器は、患者の衣服によって邪魔されて、患者の衣服を脱がせることなく容易に点検することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野において、自動インジェクタを用いた患者への医薬組成物の投与に対する必要性、および自動インジェクタの少なくとも一つの特性を知らせるための通知装置に対する必要性がある。
【0006】
本開示は、自動インジェクタを用いた医薬組成物の患者への投与のための装置、および自動インジェクタの少なくとも一つの特性を知らせるための通知装置、を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施例において、医薬組成物の患者への投与のための投与システムは、一回分の服用量の医薬組成物を患者へ投与するように構成された投与装置と、投与装置と情報をやりとりする通知装置と、を有していてもよい。通知装置は、投与装置の少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成できる。投与装置は、患者の皮膚上に着用されるように構成されたウェアラブル自動インジェクタであってもよい。通知装置は、少なくとも一つのインジケータを有していてもよい。少なくとも一つのインジケータは、視覚的インジケータ、可聴的インジケータ、触感的インジケータ、または、これらの組合せであってもよい。通知装置は、リストバンドであってもよい。投与装置の少なくとも一つの特性は、投与装置による投与状態を含んでもよい。
【0008】
本発明の実施形態によれば、投与装置は、一回分の服用量の薬剤を患者に投与するように構成されている。投与システムは、ビューイングウィンドウを含むハウジングと、ハウジング内に配置され、薬剤を中に収容するためのフレキシブル容器と、ビューイングウィンドウの一部と位置合わせされた視覚的識別部と、を有する投与装置を含み、この場合、ビューイングウィンドウに対する視覚的識別部の位置は、容器内の薬剤の容積に依存する。投与装置は、投与装置と情報をやりとりする通知装置も含み、通知装置は、投与装置の少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成されている。
【0009】
別の構成においては、視覚的識別部は、容器が空になっている空位置と、容器が満たされている満位置との間で、ビューイングウィンドウに対して移動可能である。視覚的識別部は、容器の一部に取り付け可能になっているコネクタを含んでいてもよい。コネクタは、容器の密封縁部に取り付け可能にすることができ、また、コネクタは、インジケータクリップを含んでいてもよい。
【0010】
視覚的識別部は、ハウジング内の、容器と変形可能材料との間に配置できる。容器に薬剤が充填されるにつれて、容器が膨張して視覚的識別部を下方へ移動させて、それにより、変形可能材料を圧縮する。容器が薬剤を吐出するにつれて、容器が収縮し、および変形可能材料が膨張し、それにより、視覚的識別部を上方へ移動させる。必要に応じて、変形可能材料は発泡材料から成っている。
【0011】
いくつかの構成において、視覚的識別部は、偏向可能部材を含んでいる。容器に薬剤が充填されるにつれて、容器が膨張して、偏向可能部材の一端を下方へ偏向させる。容器が薬剤を吐出するにつれて、容器が収縮して、偏向可能部材の一端が、その元の位置へ戻る。ハウジングは、ビューイングウィンドウに隣接して充填インジケータディスプレイを含んでいてもよい。視覚的識別部は、容器内の薬剤の量を識別するために、充填インジケータディスプレイの一部と位置合わせできる。容器は貯蔵バッグであってもよく、また、視覚的識別部は、貯蔵バッグの一部であってもよい。
【0012】
いくつかの構成において、ビューイングウィンドウは、ハウジングの側壁内に配設されている。投与装置は、患者の皮膚面に移動可能に取り付け可能なウェアラブル自動インジェクタであってもよい。必要に応じて、投与装置は、投与装置の状態を患者に知らせるための少なくとも一つのインジケータを含む。通知装置は、リストバンドであってもよく、また、通知装置は、投与装置と受動的に一方向で情報をやりとりしてもよく、この場合、通知装置は、投与装置の少なくとも一つの特性の状態を表示する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、医薬組成物の患者への投与のための投与システムは、一回分の服用量の医薬組成物を患者へ投与するように構成された投与装置と、投与装置と情報をやりとりする通知装置と、を含み、通知装置は、投与装置の少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成されている。通知装置は、投与装置と受動的に一方向で情報をやりとりし、また、通知装置は、投与装置の少なくとも一つの特性の状態を表示する。
【0014】
いくつかの構成において、投与装置は、患者の皮膚に着用されるように構成されたウェアラブル自動インジェクタである。通知装置は、少なくとも一つのインジケータを含んでいてもよい。少なくとも一つのインジケータは、視覚的インジケータ、可聴的インジケータ、触感的インジケータ、またはこれらの組合せであってもよい。必要に応じて、通知装置はリストバンドであり、また、投与装置の少なくとも一つの特性は、投与装置の投与状態を含む。投与装置は、薬剤を中に収容するように構成された貯蔵バッグを含んでもよく、また、貯蔵バッグは、視覚的識別部を含んでいてもよい。さらに、投与装置は、充填インジケータディスプレイを含んでいてもよく、また、貯蔵バッグの視覚的識別部は、貯蔵バッグ内に配置された薬剤の容積に依存して、充填インジケータディスプレイの一部と位置合わせされるように構成されている。必要に応じて、投与装置は、投与装置の状態をユーザに伝えることが可能な少なくとも一つのインジケータをさらに含み、この場合、インジケータはLEDであってもよい。
【0015】
投与システムおよび投与システムを利用する方法のこれらおよび他の形状構成および特徴は、それらのすべてがこの明細書の一部を構成する添付図面を参照して以下の説明および添付クレームを考慮すれば、より明白になるであろうし、この場合、類似の参照数字は、さまざまな図面における対応する部材を示す。しかし、それらの図面が、単に例示および説明のためのものであることを明確に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付図面とともに解釈して開示の実施形態に関する以下の説明を参照すれば、この開示の上述したおよびその他の形状構成および利点、およびそれらを達成する方法は、より明らかになるであろうし、および開示自体は、より良く理解されるであろう。
【0017】
図1】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタと、ウェアラブル自動インジェクタとペアリングされている通知装置と、の斜視図
図2】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタの上部斜視図
図3】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタの平面図
図4】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタに用いる通知装置の斜視図
図5A】本発明の実施形態による、初期の使用前状態を示すウェアラブル自動インジェクタに用いる通知装置のディスプレイの平面図
図5B】本発明の実施形態による、初期化後に第一の期間が経過した後の通知の状態を示す、ウェアラブル自動インジェクタに用いる通知装置のディスプレイの平面図
図5C】本発明の実施形態による、初期化後に第二の期間が経過した後の通知の状態を示す、ウェアラブル自動インジェクタに用いる通知装置のディスプレイの平面図
図5D】本発明の実施形態による、初期化後に第三の期間が経過した後の通知の状態を示す、ウェアラブル自動インジェクタに用いる通知装置のディスプレイの平面図
図6A】本発明の実施形態による、患者の皮膚への取付けのためにウェアラブル自動インジェクタを準備しているユーザの斜視図
図6B】本発明の実施形態による、患者の皮膚への取付けのためにウェアラブル自動インジェクタを準備しているユーザの斜視図
図6C】本発明の実施形態による、患者の皮膚に適用し、装置のシグナル伝達を有効化したときの平面図
図6D】本発明の実施形態による、作動状態のウェアラブル自動インジェクタの平面図
図7A】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタおよび通知装置のライフサイクルの概略図
図7B】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタおよび通知装置のライフサイクルの概略図
図8A】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタおよび通知装置のワークフローの概略図
図8B】本発明の実施形態によるウェアラブル自動インジェクタおよび通知装置のワークフローの概略図
図9】本発明の実施形態による、ウェアラブル自動インジェクタと通知装置との間の通信リンクの概略図
図10A】本発明の実施形態による、満/空の状態の前の充填インジケータディスプレイを有するウェアラブル自動インジェクタの概略側面図(投与ニードルが、単に装置の図示のために伸長位置で図示され、装置は、充填プロセス中に、伸長した投与ニードルを含んでいなくてもよいことが意図されている。)
図10B】本発明の実施形態による、一部が充填された/投与された状態における充填インジケータディスプレイを有するウェアラブル自動インジェクタの概略側面図(投与ニードルが、単に装置の図示のために伸長位置で図示され、装置は、充填プロセス中に、伸長した投与ニードルを含んでいなくてもよいことが意図されている。)
図10C】本発明の実施形態による、充填状態における充填インジケータディスプレイを有するウェアラブル自動インジェクタの概略側面図であり、(投与ニードルが、単に装置の図示のために伸長位置で図示され、装置は、充填プロセス中に、伸長した投与ニードルを含んでいなくてもよいことが意図されている。)
図11】本発明の実施形態による、充填インジケータディスプレイおよび独立したLEDインジケータを有するウェアラブル自動インジェクタの斜視図
図12】本発明の実施形態による、充填インジケータディスプレイおよび独立したLEDインジケータを有するウェアラブル自動インジェクタの斜視図
図13】本発明の実施形態による、ビューイングウィンドウ内で位置合わせされた視覚的識別部が満位置にある状態のビューイングウィンドウを有するウェアラブル自動インジェクタの側面図
図14】本発明の実施形態による、ビューイングウィンドウ内で位置合わせされた視覚的識別部が空位置にある状態のビューイングウィンドウを有するウェアラブル自動インジェクタの側面図
図15】本発明の実施形態による、視覚的識別部が空位置にあり、かつビューイングウィンドウ内で位置合わせされている状態の、薬剤容器の一部に取り付け可能である視覚的識別部コネクタを備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図16】本発明の実施形態による、ウェアラブル自動インジェクタ内への収納のための薬剤容器の斜視図(薬剤容器は、それに取り付け可能である視覚的識別部を有する。)
図17】本発明の実施形態による、視覚的識別部が、満位置にあり、かつビューイングウィンドウ内で位置合わせされている状態の、薬剤容器の一部に取り付け可能である視覚的識別部コネクタを備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図18】本発明の実施形態による、視覚的識別部が空位置にある状態の、視覚的識別部および変形可能材料を備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図19】本発明の実施形態による、視覚的識別部が満位置にあり、かつ変形可能材料が圧縮位置にある状態の、視覚的識別部および変形可能材料を備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図20】本発明の実施形態による、視覚的識別部が空位置にある状態の、偏向可能部材を含む視覚的識別部を備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図21】本発明の実施形態による、視覚的識別部が満位置にある状態の、偏向可能部材を含む視覚的識別部を備えたウェアラブル自動インジェクタハウジングの正面断面図
図22】本発明の実施形態による、薬剤容器および偏向可能部材の分解斜視図
図23】本発明の実施形態による、薬剤容器と偏向可能部材の組み付け斜視図
【0018】
類似の参照符号は、いくつかの図において、対応する部材を示す。本願明細書に記載された例証は、本開示の例示的な実施形態を示し、また、このような例証は、どのような形にしろ、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、さまざまな代替的適応を想定できるため、空間を示す用語または方向を示す用語、たとえば「左の」、「右の」、「内側の」、「外側の」、「上の」、「下の」などは、本発明を限定するものと見なすべきではない。
【0020】
本明細書およびクレームで用いられているすべての数字は、どのような場合においても、「約」という用語によって変更されるものと理解すべきである。「約」については、記述されている値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲を意味するものとする。「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示対象を含むものとする。
【0021】
「第一の」および「第二の」などの用語は、任意の特定の順序または時系列を指すことは意図していないが、異なる状態、特性または要素を指している。「少なくとも」については、「~より大きいかまたは~と等しい」を意味するものとする。「~より大きくない」については、「~より小さいかまたは~に等しい」を意味するものとする。
【0022】
〔投与システム〕
図1を参照すると、医薬組成物、たとえば何らかの所望の薬剤または治療薬の患者への投与のための投与システム10は、一回分の服用量の医薬組成物を患者に投与するように構成された投与装置20、たとえばウェアラブル自動インジェクタと、投与装置20と情報をやりとりする通知装置30と、を有していてもよい。通知装置30は、投与装置20の少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成できる。
【0023】
いくつかの実施例において、通知装置30は、投与装置20と無線で電子的に情報をやりとりしてもよい。他の実施例では、通知装置30は、投与装置20と有線で電子的に情報をやりとりしてもよい。通知装置30と投与装置20とが無線接続されているいくつかの実施例においては、通知装置30を、投与装置20と受動的に一方向で情報をやりとりするために構成してもよく、この場合、通知装置30は、投与装置20に関する何らかの特徴を制御することなく、投与装置20の少なくとも一つの特性の状態に関する情報を伝えるように構成される。通知装置30と投与装置20とが無線接続されている他の実施例においては、通知装置30を、投与装置20と双方向で情報をやりとりするために構成してもよく、この場合、通知装置30は、投与装置20の少なくとも一つの特性の状態に関する情報をやりとりするとともに、投与装置20の少なくとも一つの特徴、たとえば有効化、リセット機能などを制御するように構成される。
【0024】
通知装置30は、少なくとも一つのインジケータを有していてもよい。少なくとも一つのインジケータは、視覚的インジケータ、可聴的インジケータ、触感的インジケータ、またはこれらの組合せであってもよい。投与装置20および/または通知装置30は、一回分の服用量の医薬組成物が患者に投与された後に廃棄可能であってもよい。いくつかの実施例において、投与装置20は、一回分の服用量の医薬組成物が患者に投与された後に廃棄可能であってもよく、一方、通知装置30は、別の投与装置20に対して再利用可能であってもよい。
【0025】
〔投与装置〕
図2図3を参照すると、投与装置20は、いくつかの実施例において、ウェアラブル自動インジェクタ、たとえばインスリンまたは骨髄刺激薬投与装置であってもよい。使用時に、医薬組成物、たとえば何らかの所望の薬剤が入っている投与装置20は、患者の皮膚上に取付けられ、医薬組成物を患者に注入するように起動される。投与装置20は、医薬組成物を事前に充填することができ、または、装置は、使用前に、患者または医療専門家が医薬組成物を充填してもよい。
【0026】
投与装置20は、一回分の服用量の医薬組成物、たとえば何らかの所望の薬剤を、皮下注射により、制御された低速の注入によって患者の体内に投与するように構成されている。投与装置20により実現される、投与の例示的な持続時間は、約5分から約60分の範囲とすることができるが、この例示的な範囲に限定されるものではない。投与装置20によって投与される医薬組成物の例示的な容量は、約0.1ミリリットルから約10ミリリットルの範囲とすることができるが、この例示的な範囲に限定されるものではない。患者に投与される医薬組成物の容量は、調節できる。
【0027】
引き続き図2図3を参照すると、投与装置20は、患者の皮膚に固定可能な皮膚パッド50を備えるハウジング40を有している。皮膚パッド50は、投与装置20を患者の皮膚に接着接続するための接着剤を有していてもよい。ハウジング40は、ハウジング40内に移動可能に設けられた注射アセンブリ(図示せず)を有している。注射アセンブリは、患者への挿入のための皮下注射針60(図6B)を有している。注射アセンブリは、注射針60がハウジング40の外部に突き出ない引退位置と、注射針60を患者の体内に挿入できるように、注射針60がハウジング40の外部に突き出て皮膚パッド50を貫通する伸長位置との間で、注射針60を動かすために構成されている。注射針60は、医薬組成物が患者に投与された後に、および患者の体からの投与装置20の取外しの前に、伸長位置から引退位置まで引退可能にすることができる。注射針60を可視化するために、ウィンドウ65または他のインジケータを、ハウジング40に設けてもよい。
【0028】
引き続き図2図3を参照すると、投与装置20は、内部薬剤容器、たとえば一定量の薬剤または治療薬を保持するためにハウジング40内に設けられた貯蔵バッグ306(図15)を有している。薬剤または治療薬は、注射アセンブリの投与機構により、容器から注射針60を介して投与できる。
【0029】
本開示の投与装置20は、ユーザまたは患者が、内部薬剤容器306の状態を観察することを可能にしている。たとえば本開示の投与装置は、充填確認および/または投与確認を表示するシンプルで有効な視覚的手段を備えている。図13から図23を参照すると、例示的な実施形態において、本開示の投与装置300は、一回分の服用量の薬剤を患者またはユーザに投与するように構成されている。投与装置300は、一般に、ビューイングウィンドウ304と、ハウジング302内に配置され、薬剤または治療薬を中に収容するための薬剤容器306、たとえば貯蔵バッグと、ビューイングウィンドウ304の一部と位置合わせされた視覚的識別部308と、を含むハウジング302を含み、この場合、ビューイングウィンドウ304に対する視覚的識別部308の位置は、容器306内の薬剤の容量に依存する。
【0030】
このようにして、投与装置のユーザは、容器306の状態を容易に観察できる。たとば専門家は、何らかの薬剤が容器306に収容されているか否か、どのくらいの薬剤が容器306に収容されているか、容器306が空で、薬剤を充填する必要があるか否か、および/または容器306に薬剤が充填されていて、患者が使用する準備ができているか否か、または、薬剤が容器306から患者に既に十分に投与されているか否か、を容易に判断できる。
【0031】
図10Aから図10Cおよび図15から図21を参照すると、一つの実施形態において、容器306は、投与装置20のハウジングの少なくとも一部に設けられたビューイングウィンドウ280を介して、少なくとも部分的に可視的になっている少なくとも一つの伸縮部290を含む。いくつかの構成において、容器306全体は、膨張可能であってもよい。たとえば容器306は、流体薬剤が容器306内に充填されるにつれてサイズが膨らむ可撓性材料から形成できる。必要に応じて、容器306は、それに一体形成された視覚的インジケータを有していてもよい。一つの実施形態において、容器306は、ビューイングウィンドウ280内での容器306の位置が容易に識別できるように、視覚的にはっきりした色、たとえば蛍光緑色材料を有する材料で形成できる。このようにして、容器306が空の場合、ビューイングウィンドウ280を通して見えている貯蔵バッグ290の着色帯は、空のインジケータラインに隣接して位置する直線またはほぼ直線になっているように見える。また、容器306が充填されて膨張する際、容器306の幅が増加して、それにより、ビューイングウィンドウ280を通して見えている容器306の着色帯は、フルインジケータラインに隣接する箇所まで伸びる幅広の帯になっているように見える。他の構成においては、貯蔵バッグ290の着色帯は、空位置では、ビューイングウィンドウ280内の第一の位置に設けることができ、また、満位置では、ビューイングウィンドウ280内の第二の位置に設けることができる。
【0032】
他の構成において、視覚的識別部は、容器306の少なくとも一部に型打ちするか、または塗布してもよい。視覚的識別部は、ラインまたは他のはっきりしたパターニングの形態であってもよく、代替的には、容器306全体が、視覚的識別部、たとえば容器306の全体の色を含んでいてもよい。
【0033】
一つの実施形態において、着色帯は、パッド印刷、ロール印刷、接着パッチ取付け、または他の同様のプロセスによって、容器306に付加してもよい。一つの実施形態においては、容器306の色の付いた縁部に対する視認を可能にするために、投与装置20の上部カバーにウィンドウを付加してもよい。一つの実施形態において、このことは、上部カバーのある程度の領域を見えなくし、およびカバーの他の領域内のウィンドウを介して見えるようにする、透明な上部カバーへのオーバープリンティングもしくはオーバーラベリング、透明な領域と不透明な領域とを上部カバーに形成する多色成形、または、ウィンドウ用の穴を有する不透明なカバーを成形したのちに透明なウィンドウ部を後処理工程として組み込む方法、により行われる。また、ウィンドウのない不透明な上部カバーを形成し、後処理工程を介して、ウィンドウ用の穴を切断することも想定され、その後、ウィンドウを当該位置に付加できる。
【0034】
一つの実施形態において、容器306は、視覚的にはっきりした色を有する材料で形成できる。たとえば特定の色は、より有利である可能性があり、および容器306の状態および/または状況の可視性を向上させることができる。また、システムの内部または外部への照明の付加も、可視性を向上させるのに利用できる。ウィンドウ領域は、容器306の充填状態と非充填状態との間の区別を支援するために、網状にしてもよい。
【0035】
一つの実施形態において、容器306全体または容器306のかなりの部分は、容器306、たとえば貯蔵バッグのビューイングウィンドウ280内での位置が容易に識別可能であるように視覚的にはっきりした色、たとえば蛍光緑色材料を有する材料で形成してもよい。他の構成では、視覚的識別部308は、容器306の少なくとも一部に型打ちするか、または塗布してもよい。視覚的識別部308は、ラインまたは他のはっきりしたパターニングの形態であってもよく、代替的には、容器306全体が、視覚的識別部308、たとえば容器306の全体の色を含んでいてもよい。容器306内に供給される薬剤の特定の性質によっては、遮光性の容器306を設けることが望ましい可能性がある。
【0036】
図13および図14を参照すると、本開示の独立した視覚的識別部308は、容器306が空である空位置(図14)と、容器306が満たされている満位置(図13)との間で、投与装置300のハウジング302のビューイングウィンドウ304に対して移動可能である。図13および図14を参照すると、一つの実施形態においては、容器306が充填されるにつれて、容器306は膨張する。一つの実施形態において、容器306の上部は、たとえば図15および図17に図示されているように、ハウジング302の上部によって拘束されているため、容器306は、充填されるにつれて、下方に向かって強制的に膨張する。容器306が下方向へ押しやられる際に、独立した視覚的識別部308も、容器306の重量によって下方向に押しやって、視覚的識別部308を第一の位置から、容器306内の薬剤の量を示す第二の位置へ移行させることができる。本願明細書においては、視覚的識別部308の位置は、薬剤の充填中および投与中の両方において変化しうることに留意されたい。この構成においては、容器306の内容物が患者に投与される際に、容器306の重量が少なくなるにつれて、視覚的識別部308は、第一の位置から第二の位置へ上方向に移行できる。
【0037】
図13および図14を参照すると、一つの実施形態において、ビューイングウィンドウ304は、ハウジング302の側壁に配設されている。他の実施形態においては、図3を参照すると、ビューイングウィンドウ200は、投与装置20のハウジング40の上壁に配設できる。他の代替的な実施形態においては、本開示のビューイングウィンドウは、ユーザまたは患者が、容器の状態を観察することを可能にするように、他の方向性で構成してもよい。充填インジケータ70は、容器内の医薬組成物の容量を示す付属の印を有していてもよい。いくつかの実施例において、投与装置20は、各容器が同一のまたは異なる医薬組成物を収容している複数の容器を有していてもよい。
【0038】
図10A図11を参照すると、別の例示的な実施形態においては、投与装置20は、満/空の状態の前、部分的充填/投与状態、および充填状態を示す充填ラインディスプレイを含むビューイングウィンドウまたは充填インジケータディスプレイ270を有していてもよい。このようにして、専門家は、もしあるなら、どのくらい、薬剤が容器306内に供給されているかを容易に識別できる。この構成では、投与装置20のハウジング上の印は、容器306内の薬剤の量を一時にユーザおよび/または患者に示すために、容器の視覚的識別部と位置合わせできる。
【0039】
図15から図17を参照すると、別の例示的な実施形態において、コネクタ312は視覚的識別部308を含み、コネクタ312は、容器306の一部に取り付け可能になっている。一つの実施形態において、コネクタ312は、容器306の密封縁部に取り付け可能になっている。コネクタ312は、たとえば容器の貼合部に沿って、容器306の一部に固定できるインジケータクリップを含んでいてもよい。コネクタ312は、容器306が空である空位置(図15)と、容器306が満たされている満位置(図17)との間で、投与装置300のハウジング302のビューイングウィンドウ304に対して移動可能にできる。ビューイングウィンドウ304内での動きは、容器306の内容物の容量をユーザに示す。
【0040】
図15および図17を参照すると、一つの実施形態において、容器306が充填されるにつれて、容器は膨張する。一つの実施形態においては、容器306の上部が、ハウジング302の上部によって拘束されているため、容器306は、充填されるにつれて、強制的に下方へ膨張する。容器306が充填されるにつれて、コネクタ312は下方へ移動し、およびその動きは、ハウジング302のビューイングウィンドウ304内に視認できる。
【0041】
図18図19を参照すると、別の例示的な実施形態において、視覚的識別部308が、ハウジング302内の、容器306と変形可能材料320との間に設けられている。変形可能材料320は、図18に図示されているように、容器306を支持し、かつ、視覚的識別部308の一定の初期位置、元の状態、または空位置を表示するように、作用する。
【0042】
一つの実施形態において、変形可能材料は、発泡材料、たとえば低密度発泡材料である。容器306に薬剤が充填されるにつれて、容器306の重量が、変形可能材料320を圧縮する。堅固な構成要素322、たとえばプラスチック補強材の形態の視覚的識別部308は、ビューイングウィンドウ304を介した容器306内の内容物の容量の可視化を可能にするために、たとえば容器306の充填中に、視覚的識別部308が、ビューイングウィンドウ304の一部を介して視認できるように、ハウジング302内の、容器306と変形可能材料320との間に設けることができる。堅固な構成要素322は、容器306が空である空位置(図18)と、容器306が満たされている満位置(図19)との間で、投与装置300のハウジング302のビューイングウィンドウ304に対して移動可能である。容器306が充填されるにつれて、容器306は膨張する。一つの実施形態においては、容器306の上部は、たとえば図18および図19に図示されているように、ハウジング302の上部によって拘束されているため、容器306は、充填されるにつれて、強制的に下方に向かって膨張する。容器306が充填されるにつれて、堅固な構成要素322は下方へ移動し、その動きは、ハウジング302のビューイングウィンドウ304内で視認できる。容器306が薬剤を吐出するにつれて、容器306は収縮して、変形可能材料320が膨張し、それにより、堅固な構成要素322を上方へ動かす。堅固な構成要素322が空位置にある状態で(図18)、変形可能材料320は元の状態にあり、また、堅固な構成要素322が満位置にある状態で(図19)、変形可能材料320は圧縮されている。
【0043】
図20から図23を参照すると、別の例示的な実施形態において、視覚的識別部308は、偏向可能部材330を含んでいる。一つの実施形態において、視覚的識別部308は、長い補強材などのフレキシブルカンチレバーである。一つの実施形態において、偏向可能部材330は、投与装置300のハウジング302のビューイングウィンドウ304に対する、視覚的識別部308のより大きな範囲の動きを可能にしている。図20および図21を参照すると、本開示の偏向可能部材330は、容器306が空である空位置(図20)と、容器306が満たされている満位置(図21)と、の間で、投与装置300のハウジング302のビューイングウィンドウ304に対して移動可能である。容器306が充填されるにつれて、容器306が膨張する。一つの実施形態においては、容器306の上部は、たとえば図20および図21に図示されているように、ハウジング302の上部によって拘束されているため、容器306は、充填されるにつれて、強制的に下方に向かって膨張する。容器306が充填されるにつれて、偏向可能部材330が下方へ移動し、その動きは、ハウジング302のビューイングウィンドウ304内で視認できる。容器306に薬剤が充填されるにつれて、容器306は、膨張して、偏向可能部材330の一端、たとえば第一の端部332を下方へ偏向させる。一つの実施形態において、容器306が薬剤を吐出するにつれて、容器306は収縮し、偏向可能部材330の一端、たとえば第一の端部332は、元の位置へ戻る。図20図21に図示されているように、偏向可能部材330の第一の端部332は、容器306内の内容物の容量をユーザに示すために、ビューイングウィンドウ304を介して見えるようにしてもよい。
【0044】
図22および図23を参照すると、偏向可能部材330は、たとえば偏向可能部材330の一端において、接着剤334を介して容器306に固定できる。他の実施形態では、同様の固着機構を、偏向可能部材330を容器306に固定するのに用いてもよい。
【0045】
他の構成においては、本願明細書において、視覚的識別部が視認可能なパターンの形態であってもよいことが予想される。必要に応じて、視覚的識別部の視認性を高めるために、視覚的識別部および/または可視化ウィンドウを覆う拡大鏡を設けてもよい。
【0046】
図2図3を参照すると、投与装置20は、少なくとも一つのインジケータ90も有していてもよい。少なくとも一つのインジケータ90は、視覚的インジケータ、可聴的インジケータ、触感的インジケータ、または、これらの組合せであってもよい。たとえば少なくとも一つのインジケータ90は、たとえば、限定するものではないが、圧電ブザーなどのスピーカー、および/または発光ダイオード(LED)ライトなどのライトであってもよい。LEDは、マルチカラーLEDであってもよい。いくつかの実施例においては、同じカラーまたは異なるカラーの複数のLEDを設けてもよい。図12を参照すると、LEDは、患者が視認しやすいように、投与装置20の上面に設けてもよい。LEDは、患者の利益のために、LEDのカラーを変えることにより、LEDが点滅する速さを変えることにより、または、点滅と不断のLED信号との移行を介して、いくつかの薬剤投与ステップおよび/またはエラーメッセージを経るように構成してもよい。LEDは、たとえば患者への不適切な取付け、ドラッグ放出機構における閉塞、バッテリーの残量不足の警告などの装置に関するエラーを示すように構成してもよい。また、LEDは、患者に投与終了の指標を示すように構成してもよい。必要に応じて、複数方向からの視認を最適化するために、複数のインジケータ90、たとえば複数のLEDを、投与装置20の両側面に設けてもよい。
【0047】
他の実施例では、少なくとも一つのインジケータ90は、ディスプレイスクリーンである。少なくとも一つのインジケータ90は、投与装置20の状態、たとえば、限定するものではないが、投与装置20が医薬組成物を患者に投与中であること、薬剤の投与が完了したこと、および/または投与装置20が通知装置30とペアリングされたか否か、などに関する情報を提供できる。投与装置20の状態に関する他のさまざまな情報を、少なくとも一つのインジケータ90によって提供してもよい。少なくとも一つのインジケータ90は、電源(図示せず)、たとえばバッテリーによって電力を供給されうる。
【0048】
他の構成においては、本願明細書において、視覚的インジケータに関する高い視認能力を付与するために、および/または投与装置20自体の状態を示すために、ビューイングウィンドウ200にもLEDを設けてもよいことが予想される。
【0049】
投与装置20は、一つ以上のユーザ入力装置100、たとえば一つ以上のボタンを有していてもよい。一つ以上のユーザ入力装置100は、投与装置20を構成するために、たとえば、限定するものではないが、投与装置20を通知装置30と無線接続するために、および/または投与装置20を作動させるために、用いることができる。いくつかの構成において、投与装置20は、LEDなどのインジケータ90が、半透明または部分的に半透明のボタンを介して視認可能であるように、一つ以上の入力装置100、たとえば半透明または少なくとも部分的に半透明である一つ以上のボタンを含んでいてもよい。
【0050】
投与装置20は、無線通信回路110、たとえば、限定するものではないが、Wi-Fi(登録商標)モジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、近距離無線通信(NFC)モジュール、またはたとえば図9に関連して示されている他の無線通信回路を有する。無線通信回路110は、投与装置20が、一つ以上の他の電子装置、たとえば通知装置30または他の装置と無線接続によって情報をやりとりできるように構成されている。無線接続は、任意のWi-Fi接続、Bluetooth接続、NFC接続、または、他の無線接続とすることができる。無線通信回路110は、投与装置20によって送信される無線信号の範囲内で一つ以上の他の電子装置と自動的にペアリングされるように構成できる。
【0051】
いくつかの実施例において、無線通信回路110は、一つ以上の他の電子装置、たとえば通知装置30または他の装置と、一方向で情報をやりとりするように構成される。一つ以上の電子装置との一方向での情報のやりとりは、投与装置20の少なくとも一つの特性に関する情報、たとえば、限定するものではないが、投与装置20の投与状態、投与装置20の最大容量、投与装置20が一つ以上の他の電子装置とペアリングされているか否か、および/または患者に投与されている医薬組成物の種類、を伝えることを含んでいてもよい。
【0052】
他の実施例では、無線通信回路110は、一つ以上の他の電子装置、たとえば通知装置30または他の装置との双方向通信を実行できるように構成される。一つ以上の電子装置との双方向の情報のやりとりは、限定するものではないが、投与装置20の少なくとも一つの特性に関する情報、たとえば、限定するものではないが、投与装置20の投与状態、投与装置20の最大容量、投与装置20が一つ以上の他の電子装置とペアリングされたか否か、および/または患者に投与されている薬剤の種類、をやりとりすることと、一つ以上の電子装置から情報を受信することとを含んでもよい。いくつかの実施例において、一つ以上の電子装置から情報を受信することは、投与装置20の少なくとも一つの特徴、たとえば投与装置20の投与状態を制御するための制御信号を含んでもよい。
【0053】
〔通知装置〕
図4を参照すると、通知装置30の一つの例示的かつ非限定的な実施形態が図示されている。図4に示す実施例において、通知装置30は、ストラップ部120およびディスプレイ部130を有するリストバンドとして具体化されている。ストラップ部120は、ユーザの手首Wの周りに取付けられるように構成されている。他の実施例では、通知装置30は、投与装置20と無線で通信して、投与装置20の少なくとも一つの特性に関する情報、たとえば、限定するものではないが、投与装置20の投与状態、投与装置20の充填容量、投与装置20が通知装置30とペアリングされたか否か、および/または患者に投与されている医薬組成物の種類、をやりとりするために構成されたキーホルダー、ペンダント、パッチ、リング、ネックレス、または他の何らかのウェアラブルまたは非ウェアラブルの装置とすることができる。
【0054】
図5Aから図5Dを参照すると、通知装置30のディスプレイ部130は、少なくとも一つのインジケータ140を有している。少なくとも一つのインジケータ140は、視覚的インジケータ、可聴的インジケータ、触感的インジケータ、または、これらの組合せであってもよい。たとえば少なくとも一つのインジケータ140は、たとえば、限定するものではないが、圧電ブザーなどのスピーカー、および/または発光ダイオード(LED)ライトなどのライトであってもよい。LEDは、マルチカラーLEDであってもよい。いくつかの実施例においては、同じカラーまたは異なるカラーの複数のLEDを設けてもよい。たとえば図5Aにおいては、通知装置30は、使用前の初期構成で図示されている。図5Bにおいては、通知装置30は作動されており、また、第一のLEDが視認可能であり、かつ、ディスプレイの第一の部分の周りに及んで点灯されており、投与装置20の第一の期間の有効化、たとえば第一の所定量の薬剤の投与を示している。図5Cでは、第二のLEDが視認可能であり、かつ、ディスプレイの第二の部分の周りに及んで点灯されており、投与装置20の第二の部分の有効化、たとえば第二の所定量の薬剤の投与を示している。図5Dにおいては、第三のLEDが視認可能であり、かつ、ディスプレイの第三の部分の周りに及んで点灯されており、投与装置20の第三の部分の有効化、たとえば第三の所定量の薬剤の投与を示している。
【0055】
他の実施例において、少なくとも一つのインジケータ140は、ディスプレイスクリーンである。少なくとも一つのインジケータ140は、投与装置20および/または通知装置30の状態に関する情報、たとえば、限定するものではないが、投与装置20が医薬組成物を患者に投与していること、薬剤の吐出が完了していること、投与装置20が通知装置30とペアリングされていること、および/または患者に投与されている医薬組成物の種類、を提供できる。投与装置20および/または通知装置30の状態に関するさまざまな他の情報は、少なくとも一つのインジケータ140によって提供できる。少なくとも一つのインジケータ140は、バッテリーなどの電源(図示せず)によって電力を供給されうる。
【0056】
通知装置30は、一つ以上のユーザ入力装置150、たとえば一つ以上のボタンを有していてもよい。一つ以上のユーザ入力装置150は、通知装置30の設定を行うために、たとえば、限定するものではないが、通知装置30と投与装置20とを無線接続するために、および/または通知装置30を作動させるために、用いることができる。
【0057】
通知装置30は、無線通信回路160、たとえばWi-Fiモジュール、Bluetoothモジュール、近距離無線通信(NFC)モジュール、または、他の無線通信回路を有する。無線通信回路160は、通知装置30が、一つ以上の他の電子装置、たとえば投与装置20または他の装置と無線接続によって情報をやりとりできるように構成されている。無線接続は、任意のWi-Fi接続、Bluetooth接続、NFC接続、または、他の無線接続とすることができる。無線通信回路160は、通知装置30によって送信される無線信号の範囲内で一つ以上の他の電子装置と自動的にペアリングされるように構成できる。
【0058】
いくつかの実施例において、無線通信回路160は、一つ以上の他の電子装置、たとえば投与装置20または他の装置と、一方向で情報をやりとりするように構成される。一つ以上の電子装置との一方向での情報のやりとりは、投与装置20の少なくとも一つの特性に関する情報、たとえば、限定するものではないが、投与装置20の投与状態、投与装置20の最大容量、通知装置30が投与装置20とペアリングされているか否か、などを含んでいてもよい。他の実施例では、無線通信回路160は、一つ以上の他の電子装置、たとえば投与装置20または他の装置との双方向通信を実行できるように構成される。一つ以上の電子装置との双方向の情報のやりとりは、投与装置20の少なくとも一つの特性を受信することと、投与装置20に情報を送信することと、を含んでもよい。いくつかの実施例において、投与装置20に情報を送信することは、投与装置20の少なくとも一つの特徴、たとえば投与装置20の投与状態を制御するための制御信号を送信することを含んでもよい。
【0059】
一つ以上の実施例において、通知装置30は、通知装置30を制御するために、ならびに/または、通知装置30および/もしくは投与装置20に関する状態情報を送信するために、無線接続によって別の電子装置(たとえば電話、ラップトップ、タブレットなど)に接続してもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、通知装置30は、有線接続により、投与装置20と機械的におよび/または電気的に接続してもよい。
【0061】
〔投与システムの使用方法〕
投与システム10の構造について説明してきたが、次に、投与システム10を用いて、一回分の服用量の医薬組成物を患者に投与する方法について、図6Aから図9を参照して説明する。
【0062】
〔設定〕
患者または医師は、投与装置20をパッケージ170から取出す。いくつかの実施例において、パッケージから投与装置20を取出すと、自動的に投与装置20を準備状態で作動できる。他の実施例では、投与装置20は、パッケージからの取出しの後に一つ以上のユーザ入力装置100、150を押すことによって作動させることができる。いくつかの実施例において、患者または医師は、患者に投与すべき目的の一回分の服用量の医薬組成物を設定できる。
【0063】
投与装置20および通知装置30は、最初は「オフ」状態になっている。患者または医師は、一つ以上のユーザ入力装置100、150をそれぞれ作動させることにより、たとえば一つ以上のボタンを所定時間、たとえば約1秒間押すことにより、投与装置20および通知装置30を作動させる。投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90は、投与装置20のスイッチが既に入っていることを示すことができる。たとえば投与装置20上のLEDライトは、所定間隔で、たとえば1秒間隔で黄色に点滅させてもよく、また、スピーカーが作動音を出してもよい。同様に、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140は、通知装置30のスイッチが既に入っていることを示すことができる。たとえば通知装置30上のLEDライトは、所定間隔で、たとえば0.5秒間隔で緑色に点滅させてもよく、また、スピーカーが作動音を出してもよい。
【0064】
〔ペアリング〕
投与装置20および通知装置30は、作動時に、それぞれの無線通信回路110、160を作動させて、投与装置20と通知装置30とを自動的にペアリングできる。無線通信回路110、160は、投与装置20の範囲内にある通知装置30が、その間に、投与装置20とペアリングされるであろう所定の時間の間、たとえば約75秒間、作用していてもよい。いくつかの実施例において、通知装置30は、ペアリングに関するアウトオブバンド(OOB)法を用いてもよい。ペアリングされた場合、投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、通知装置30と投与装置20の良好なペアリングを示すことができる。たとえば投与装置20上のLEDは消灯されてもよく、一方、通知装置30上のLEDライトは、所定間隔で、たとえば0.5秒間隔で緑色に点滅させてもよい。通知装置30と投与装置20とが、所定期間内にペアリングされていない場合は、通知装置30および投与装置20は、スタンバイモードになる。
【0065】
〔充填および初期化〕
投与装置20は、医薬組成物を充填して初期化できる。一旦、所望の一回分の服用量の医薬組成物が充填されて、投与装置20の準備ができると、投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140は、投与装置20が使用できる状態になっていることを示すことができる。いくつかの実施形態において、および図10Aから図10Cを具体的に参照すると、医薬組成物の容器306は、投与装置20のハウジングの少なくとも一部に設けられたビューイングウィンドウ280を介して少なくとも部分的に視認可能になっている貯蔵バッグであってもよい。たとえば容器306は、流体薬剤が容器306内に充填される際にサイズが膨張する可撓性材料から形成してもよい。必要に応じて、容器306は、それと一体形成された視覚的インジケータを有していてもよい。一つの実施形態において、容器306は、ビューイングウィンドウ280内での容器306の位置が容易に識別可能であるように、視覚的にはっきりした色、たとえば蛍光緑色材料を有する材料で形成してもよい。他の構成においては、視覚的識別部は、容器306の少なくとも一部に型打ちするか、または塗布してもよい。視覚的識別部は、ラインまたは他のはっきりしたパターニングの形態であってもよく、代替的には、容器306全体が、視覚的識別部、たとえば容器306の全体の色を含んでいてもよい。容器306内に供給される薬剤の特定の性質によっては、遮光性の容器306を設けることが望ましい可能性がある。
【0066】
図10Aから図10Cに具体的に図示されているように、投与装置20は、投与装置20内に設けられた容器306の、満/空の状態の前、部分的充填/投与状態、および充填状態を示す充填ラインディスプレイを含む充填インジケータディスプレイ270を有していてもよい。この構成では、ビューイングウィンドウ280内での貯蔵バッグ290の位置は、薬剤の充填中および投与中の両方の装置の充填の状態を示すために、充填インジケータディスプレイ270の少なくとも一つのインジケータと一致させることができる。容器306は、水平ラインなどの容易に識別可能な視覚的識別部を含むため、充填プロセスまたは空にするプロセス中の容器306内に設けられた薬剤の量をユーザに伝えるために、貯蔵バッグなどの容器の位置は、充填インジケータディスプレイ270のインジケータと位置合わせできる。
【0067】
図10Aの第一のステップに図示されているように、充填前(または、完全に空)の状態では、容器306の視覚的識別部は、充填インジケータディスプレイ270の「空」インジケータと位置合わせされて、容器306内に認められるほどの薬剤がないことをユーザに知らせている。図10Bの第二のステップに図示されているように、部分的に充填された(または、一部が投与された)状態では、容器306の視覚的識別部は、充填インジケータディスプレイ270の中間インジケータと位置合わせされて、容器306内に、一定量の薬剤があることが確認されたことをユーザに知らせている。図10Cの第三のステップに図示されているように、充填状態においては、容器306の視覚的識別部、たとえば貯蔵バッグは、充填インジケータディスプレイ270の「満」インジケータと位置合わせされて、装置が、容器306内に、一回分の総量の薬剤を有していることをユーザに知らせている。本願明細書においては、容器306全体が視覚的識別部として機能する場合、たとえば容器306が全体的に対比色を有している場合においては、充填インジケータディスプレイ270の個別のインジケータに対する容器306自体の位置が、容器306内の薬剤の量をユーザに知らせるであろうことも正しく認識されるであろう。
【0068】
いくつかの実施例においては、一回分の服用量の医薬組成物の投与は、所定期間、たとえば約27時間、遅延されることが望ましい可能性がある。いくつかの実施例において、医薬組成物の充填容量および事前設定遅延は構成可能であってもよい。投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、遅延期間の開始時を示すことができる。たとえば通知装置30上のLEDは、1秒間隔で緑色に点滅してもよい。
【0069】
図6B図6Cを参照すると、充填されて準備された投与装置20は、保護カバー180を皮膚パッド50から取り外して注射針60を露出させて、皮膚パッド50を患者の皮膚に適用することにより、患者の体Bに適用される。患者または医師は、注射アセンブリを作動させて注射針60を配置できる。投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、注射針60が既に患者の体内に挿入されていることを示すことができる。
【0070】
〔投与〕
投与装置20を初期化および充填し、投与装置20を患者の体に取り付けたとき、投与装置20は、遅延期間の満了時に医薬組成物の投与を始めることになる。一旦、投与プロセスが始まると、投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、投与が進行中であることを示すことができる。たとえば通知装置30上のLEDを、0.5秒間隔で緑色に点滅させてもよい。通知装置30上のブザーは、投与音を出すことによって、投与処理の開始を示すことができる。投与処理は、投与装置20上の一つ以上のユーザ入力装置100が作動されているときに中断されてもよい。いくつかの実施例において、投与処理は、通知装置30上の一つ以上のユーザ入力装置150が作動されているときに中断されてもよい。投与処理は、投与装置20上の一つ以上のユーザ入力装置100、および/または通知装置30上の一つ以上のユーザ入力装置150を作動させることによって再び始めることができる。投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、投与が完了したことを示すことができる。たとえば通知装置30上のLEDは、緑色に点灯してよい。投与装置20および通知装置30は、投与が完了した後に自動的に停止されてもよい。投与が完了した場合、投与装置20を患者の体から取り外して廃棄できる。通知装置30は、別の投与装置20に対して再利用することができ、または、通知装置は、一度の使用後に廃棄してもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、投与装置20上の少なくとも一つのインジケータ90と、通知装置30上の少なくとも一つのインジケータ140とは、医薬組成物の投与中にエラーメッセージを示すのに利用できる。いくつかの実施例において、投与装置20および/または通知装置30上のLEDは、赤色で点滅させてもよく、ならびに/または、投与装置20および/もしくは通知装置30上のスピーカー/ブザーは、医師に連絡するように患者に指示するために、警告音を発生させてもよい。
【0072】
いくつかの実施例において、通知装置30は、無線通信を利用して、通知装置30および/または投与装置20の状態をリモート装置、たとえば、限定するものではないが、コンピュータ、ラップトップまたはスマートフォンに伝えることができる(リレーモード)。他の実施例では、通知装置30は、無線通信を利用して、通知装置30および/または投与装置20の状態をクラウドに伝えることができる(セルモード)。
【0073】
本発明を、現在、最も実用的でかつ好適な実施形態であると考えられることに基づいて、例示のために詳細に説明してきたが、そのような詳細は単に例示目的にすぎないこと、また、本発明は、開示されている実施形態に限定されるものではないが、逆、添付クレームの趣旨および範囲内にある変更例および等価な構成をカバーすることが意図されていることを理解すべきである。たとえば本発明は、可能な限り、任意の実施形態のうちの一つ以上を、任意の他の実施形態の一つ以上の形状構成と組合せることができることを意図していることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23