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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063293
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240502BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240502BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240502BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240502BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20240502BHJP
   H01L 33/02 20100101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L41/09
H01L41/113
H01L21/52 C
H01L21/50 C
H10N30/20
H10N30/30
H01L33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171093
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】篠▲原▼ 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】北島 由隆
【テーマコード(参考)】
5F047
5F241
【Fターム(参考)】
5F047AA13
5F047AB10
5F241CA04
5F241CA62
5F241CA74
5F241CA75
5F241CA77
5F241CA88
5F241CA93
5F241CB11
5F241CB13
5F241CB25
5F241FF01
5F241FF06
(57)【要約】
【課題】機能層を転写する際の機能層の割れ等を防止する。
【解決手段】電子デバイスの製造方法は、第1基板(10)上に第1の層(11)を介して形成された機能層(14)の第1基板(10)と反対側の第1の面(14f)から第1基板(10)にかけて設けられ、機能層(14)を第1基板(10)に対して支持する支持層(15)を形成する工程と、支持層(15)および機能層(14)の第1の面(14f)の少なくとも一方に薄膜保持層(16)を形成する工程と、第1の層(11)を除去する工程と、薄膜保持層(16)の機能層(14)と反対側の面に転写部材(18)を接合する工程と、機能層(14)、支持層(15)および薄膜保持層(16)を第1基板(10)から分離する工程と、機能層(14)、支持層(15)および薄膜保持層(16)を別の第2基板(20)に転写する工程と、薄膜保持層(16)を除去する工程とを有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上に第1の層を介して形成された機能層の前記第1基板と反対側の第1の面から前記第1基板にかけて設けられ、前記機能層を前記第1基板に対して支持する支持層を形成する工程と、
前記支持層および前記機能層の前記第1の面の少なくとも一方に、薄膜保持層を形成する工程と、
前記第1の層を除去する工程と、
前記薄膜保持層の前記機能層と反対側の面に、転写部材を接合する工程と、
前記機能層、前記支持層および前記薄膜保持層を、前記第1基板から分離する工程と、
前記機能層、前記支持層および前記薄膜保持層を、前記第1基板とは別の第2基板に転写する工程と、
前記薄膜保持層を除去する工程と
を有する電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記薄膜保持層の厚さは、前記機能層の厚さよりも厚い
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記薄膜保持層のせん断強度は、前記機能層のせん断強度よりも高い
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記薄膜保持層の前記第1の面と平行な面における面積は、前記機能層の前記第1の面の面積よりも小さい
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記薄膜保持層を形成する工程では、
前記薄膜保持層を、前記機能層の前記第1の面と前記支持層との境界部分を覆うように形成する
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記支持層を形成する工程では、
前記支持層を、前記機能層の前記第1の面における中央領域以外の領域に形成する
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記支持層は、前記第1基板に接合された第1の部分と、前記機能層の側面と接合された第2の部分と、前記機能層の前記第1の面と接合された第3の部分とを有し、
前記第2の部分の厚さは、前記第1の部分の厚さよりも薄く、且つ前記第3の部分の厚さよりも薄い
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記薄膜保持層を除去する工程の後に、
前記機能層の一部および前記支持層を除去する工程
を有する
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記転写部材への接合工程では、
前記薄膜保持層に対向する側に凹凸を有する前記転写部材を用い、
前記第1基板上の複数の機能層のうち、少なくとも一つの機能層上の薄膜保持層に選択的に転写部材を接合する
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記薄膜保持層を形成する工程では、
前記第1基板上の全ての機能層上に薄膜保持層を形成し、
前記第1の層を除去する工程では、
前記第1基板上の全ての機能層の下の第1の層を除去する
請求項9に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記電子デバイスは、圧電デバイスである
請求項1から10までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記電子デバイスは、光電変換デバイスである
請求項1から10までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の素子を基板から剥離し、別の基板に転写する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-152387号公報(要約参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、素子を転写する際に、素子の割れ等が生じ易く、製造歩留まりの向上が難しいという問題がある。
【0005】
本開示は、機能層を転写する際の機能層の割れ等を防止し、製造歩留まりを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子デバイスの製造方法は、第1基板上に第1の層を介して形成された機能層の第1基板と反対側の第1の面から第1基板にかけて設けられ、機能層を第1基板に対して支持する支持層を形成する工程と、支持層および機能層の第1の面の少なくとも一方に、薄膜保持層を形成する工程と、第1の層を除去する工程と、機能層の第1の面に形成された薄膜保持層に、転写部材を接合する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を、第1基板から分離する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を第1基板とは別の第2基板に転写する工程と、薄膜保持層を除去する工程とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、機能層を薄膜保持層で保持した状態で、第1基板からの分離および第2基板への転写を行うため、機能層の割れ等を防止することができ、これにより製造歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、第1基板上に機能層を形成する工程、および機能層を分離(個片化)する工程を概略的に示す断面図(A),(B)である。
図3】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、支持層を形成する工程を概略的に示す断面図(A)、平面図(B)および部分拡大図(C)である。
図4】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、薄膜保持層を形成する工程を概略的に示す断面図(A)および平面図(B)である。
図5】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、剥離層を除去する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を第1基板から分離する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を第2基板に転写する工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
図6】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、薄膜保持層を除去する工程を概略的に示す断面図(A)および平面図(B)である。
図7】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、機能層に電極および配線を形成する工程を概略的に示す断面図(A)、平面図(B)、および別の断面図(C)である。
図8】比較例の電子デバイスの製造方法において、剥離層を除去する工程を示す概略的に示す断面図(A)、平面図(B)および模式図(C)である。
図9】実施の形態1の電子デバイスの製造方法において、薄膜保持層を形成する工程の他の例を概略的に示す断面図(A)および平面図(B)である。
図10】実施の形態2の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、第1基板上に機能層を形成する工程、および機能層を分離(個片化)する工程を概略的に示す断面図(A),(B)である。
図12】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、支持層を形成する工程を概略的に示す断面図(A)、平面図(B)および部分拡大図(C)である。
図13】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、薄膜保持層を形成する工程を概略的に示す断面図(A)および平面図(B)である。
図14】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、剥離層を除去する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を第1基板から分離する工程と、機能層、支持層および薄膜保持層を第2基板に転写する工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
図15】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、薄膜保持層を除去する工程を概略的に示す断面図(A)および平面図(B)である。
図16】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、第2基板上の機能層をパターニングし、支持層を除去する工程を概略的に示す断面図である。
図17】実施の形態2の電子デバイスの製造方法において、機能層に電極および配線を形成する工程を概略的に示す断面図(A)、平面図(B)、および別の断面図(C)である。
図18】実施の形態3の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
図19】実施の形態3の電子デバイスの製造方法において、剥離層を除去する工程と、選択した機能層上の薄膜保持層に第3の基板を接合する工程と、当該機能層、支持層および薄膜保持層を第1基板から分離する工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
図20】実施の形態3の電子デバイスの製造方法において、機能層、支持層および薄膜保持層を第2基板に転写する工程と、薄膜支持層を除去する工程とを概略的に示す断面図(A),(B)である。
図21】実施の形態3の電子デバイスの製造方法において、選択した別の機能層上の薄膜保持層に第3の基板を接合する工程と、当該機能層、支持層および薄膜保持層を第1基板から分離する工程とを概略的に示す断面図(A),(B)である。
図22】実施の形態3の電子デバイスの製造方法において、機能層、支持層および薄膜保持層を第2基板に転写する工程と、薄膜支持層を除去する工程とを概略的に示す断面図(A),(B)である。
図23】実施の形態3の電子デバイスの製造方法において、機能層に電極および配線を形成する工程を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る電子デバイスの製造方法について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
≪実施の形態1≫
<電子デバイスの製造方法>
実施の形態1の電子デバイスは、例えば、圧電素子を有する圧電デバイスである。圧電デバイスは、圧電モジュールに用いられる。圧電モジュールは、例えば、圧電センサ、アクチュエータ、超音波センサ、超音波発生器、圧力トランスデューサ等である。
【0011】
図1は、実施の形態1の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。図2(A)および(B)は、第1基板10上に、後述する剥離層11aおよび機能層14aを形成する工程と、剥離層11aおよび機能層14aをエッチングにより分離(個片化)する工程とを概略的に示す断面図である。
【0012】
ステップS101(図1)では、図2(A)に示すように、第1基板10上に、剥離層11aと、結晶性薄膜層12aと、上部電極層13aとを形成する。これらのうち、結晶性薄膜層12aと上部電極層13aとを合わせて、機能層14aと称する。なお、機能層14aは、結晶性薄膜層12aのみで構成してもよい。
【0013】
第1基板10は、その表面に結晶性薄膜層12aをエピタキシャル成長させる成長基板(ウエハ)である。第1基板10は、例えば、シリコン、酸化シリコン、サファイヤ等で形成されている。
【0014】
結晶性薄膜層12aは、例えば、圧電特性を有する結晶層である。結晶性薄膜層12aは、例えば、チタン酸バリウム、チタンジルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム等の薄膜結晶、または水晶等で形成されている。結晶性薄膜層12aの厚さは、例えば、500nm~10μmである。
【0015】
良好な圧電特性を得るためには、第1基板10上に、格子不整合の少ない単結晶となるように結晶性薄膜層12aをエピタキシャル成長させることが好ましい。
【0016】
剥離層11aは、例えば、酸化マグネシウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム等の酸化膜、モリブデン、チタン等の金属の中から、結晶性薄膜層12aとの格子定数が近く、エッチング選択比が大きい材料を選択することが望ましい。
【0017】
また、第1基板10と剥離層11aとの格子不整合を低減させるため、第1基板10の表面に、第1基板10と剥離層11aとの中間の格子定数を有するバッファ層10aを設けても良い。バッファ層10aは、材料の異なる複数層を積層した積層体であってもよい。
【0018】
以下では、「第1基板10の表面」という表現は、第1基板10がバッファ層10aを有する場合には、バッファ層10aの表面を意味するものとする。
【0019】
上部電極層13aは、導電性の高い金属、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、銅、またはこれらのうちの2種以上を含む合金で形成される。上部電極層13aの厚さは、例えば10nm~1000nmである。なお、上部電極層13aの形成は、後述する第2基板20への転写工程の後に行うことも可能である。
【0020】
続くステップS102(図1)では、図2(B)に示すように、フォトリソグラフィ等を用いて溝17を形成し、剥離層11aおよび機能層14aを島状に分離(個片化)する。ここではバッファ層10aは分離していないが、バッファ層10aをさらに分離してもよい。
【0021】
分離された剥離層11aを、剥離層11と称する。同様に、分離された結晶性薄膜層12aを結晶性薄膜層12と称し、分離された上部電極層13aを上部電極層13と称する。結晶性薄膜層12と上部電極層13とにより、機能層14(機能性薄膜とも称する)が形成される。なお、機能層14は、結晶性薄膜層12のみで構成してもよい。
【0022】
機能層14は、第1基板10と反対側の表面(第1の面)14fと、第1基板10側の裏面(第2の面)14rと、表面14fと裏面14rとの間に形成された傾斜面である側面14sとを有する。
【0023】
この例では、上部電極層13の表面が機能層14の表面14fとなるが、機能層14が上部電極層13を有さない場合には、結晶性薄膜層12の表面が機能層14の表面14fとなる。
【0024】
ここでは、機能層14の平面形状(第1基板10の表面と平行な面における形状)は、円形である(図3(B)参照)。但し、機能層14の平面形状は円形に限らず、例えば四角形(図9(B)参照)であってもよい。
【0025】
図3(A),(B)は、後述する支持層15を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。ステップS103(図1)では、図3(A)に示すように、機能層14の表面14fから第1基板10の表面にかけて、支持層15を形成する。支持層15は、第1基板10に対して機能層14を支持する部分である。
【0026】
支持層15は、CVD(化学気相成長)等によって製膜したのち、リソグラフィまたはエッチング等によってパターニングする。支持層15は、後述する剥離層11の除去工程で用いられるエッチング液に耐性を有する材料で形成される。一例としては、酸化膜または窒化膜等の無機絶縁膜が望ましい。
【0027】
支持層15は、上部電極層13の表面から、結晶性薄膜層12の側面を経て、第1基板10の表面まで延在する。言い換えると、支持層15は、機能層14の表面14fから、機能層14の側面14sを経て、第1基板10の表面まで延在する。
【0028】
図3(B)に示すように、支持層15は、円形の機能層14の中心に対して180度の位置関係にある2か所に、それぞれ設けられる。すなわち、1つの機能層14につき、2つの支持層15が設けられる。
【0029】
第1基板10の表面の大部分と、剥離層11、結晶性薄膜層12および上部電極層13の各側面の大部分と、上部電極層13の表面の中央領域は、支持層15に覆われておらず、露出している。
【0030】
上部電極層13の表面では、2つの支持層15の円弧状の端部155が互いに対向する。上部電極層13の中央領域(符号R1で示す)は、露出部分となる。この中央領域は、後工程で配線が形成される領域である。
【0031】
なお、1つの機能層14当たりの支持層15の数は、2つには限定されない。1つの機能層14につき、1つ以上の支持層15が設けられていればよい。
【0032】
図3(C)は、支持層15の断面形状を概略的に示す断面図である。支持層15は、第1基板10の表面に接合された第1の部分151と、機能層14の側面14sに接合された第2の部分152と、機能層14の表面14fに接合された第3の部分153とを有する。
【0033】
第1の部分151、第2の部分152および第3の部分153は、厚さT1,T2,T3を有する。第2の部分152の厚さT2は、第1の部分151の厚さT1よりも薄く、かつ、第3の部分153の厚さT3よりも薄い。すなわち、支持層15は、第2の部分152が最も破断されやすく構成されている。
【0034】
図4(A),(B)は、次に説明する薄膜保持層16を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。ステップS104(図1)では、図4(A)に示すように、機能層14上に薄膜保持層16を形成する。
【0035】
薄膜保持層16は有機構造体であり、後述する剥離層11の除去工程で用いられるエッチング液に耐性を有し、別の剥離液で除去可能な材料で形成される。一例としては、感光性の有機レジスト、またはシリコーン樹脂等が望ましい。
【0036】
薄膜保持層16は、第1基板10上の機能層14および支持層15を覆うように有機レジスト等を製膜し、フォトリソグラフィによりパターニングする。
【0037】
薄膜保持層16は、機能層14よりも厚く形成することにより、曲げ強度およびせん断強度が機能層14よりも高くなるようにしている。一例としては、薄膜保持層16の厚さは、機能層14の厚さの3~10倍である。
【0038】
また、後述する剥離層11の除去(エッチング)の際に結晶性薄膜層12が第1基板10側に反らないよう、薄膜保持層16の線膨張率は結晶性薄膜層12の線膨張率よりも小さいことが望ましい。
【0039】
薄膜保持層16は、機能層14の表面14f(上部電極層13の表面)と支持層15との境界部分(図4(A)に符号Eで示す)を覆うように形成されている。これにより、当該境界部分で生じやすい割れを効果的に防止することができる。
【0040】
また、薄膜保持層16の面積は、機能層14の表面14fの面積よりも小さい。そのため、薄膜保持層16が結晶性薄膜層12の側面に垂れ下がることが防止される。
【0041】
図5(A),(B),(C)は、剥離層11を除去する工程と、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を第1基板10から分離する工程と、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を第2基板20に転写する工程とを概略的に示す断面図である。
【0042】
ステップS105(図1)では、図5(A)に示すように、剥離層11をエッチングにより除去する。これにより、機能層14と第1基板10との間、より具体的には結晶性薄膜層12と第1基板10との間には、空隙Gが形成される。
【0043】
支持層15は、機能層14を第1基板10から離間した状態で保持する。支持層15は、機能層14にせん断方向の力が作用することを抑制し、これにより機能層14の割れが防止される。
【0044】
ステップS106(図1)では、図5(B)に示すように、転写部材としての第3基板18を薄膜保持層16に接合する。第3基板18は、ガラス、シリコン等の硬質な材料で形成されている。
【0045】
第3基板18は、例えば、熱剥離性または紫外線剥離性の粘着シートを用いて、薄膜保持層16に接合することができる。あるいは、薄膜保持層16を、弾性および粘着性(タック性)を有する材料で形成することにより、第3基板18を薄膜保持層16に直接接合することもできる。
【0046】
ステップS107(図1)では、図5(B)に示すように、第3基板18に第1基板10から離間する方向に力を加え、支持層15を破断する。支持層15は、最も薄い第2の部分152で破断し、第1の部分151は第1基板10上に残る。これにより、機能層14、支持層15(より具体的には第2の部分152と第3の部分153)および薄膜保持層16が、第1基板10から分離する。
【0047】
ステップS108(図1)では、図5(C)に示すように、第3基板18に接合された薄膜保持層16に保持された機能層14を、第2基板20に接合する。
【0048】
第2基板20の表面には、機能層14の接合予定領域よりも広い領域に、下部電極21が形成されている。下部電極21は、高い導電性を有する金属、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、銅、またはこれらのうちの2種以上を含む合金で形成されている。下部電極21は、10nm~1000nmの厚さを有する。
【0049】
下部電極21は、機能層14の接合予定領域に平滑面を有し、その表面粗さは例えば10nm以下である。第3基板18と第2基板20とは、両基板に設けられたアライメントマークによって互いに位置合わせされる。
【0050】
機能層14が第2基板20上の下部電極21に接触した状態で、加熱および加圧が行われる。これにより、機能層14が、第2基板20上の下部電極21に、分子間力によって接合される。
【0051】
図6(A),(B)は、薄膜保持層16を除去する工程を概略的に示す断面図および平面図である。
【0052】
ステップS109(図1)では、図6(A)に示すように、薄膜保持層16を除去する。薄膜保持層16は、例えば、剥離液で除去することができる。具体的には、第3基板18と第2基板20とを含むユニット(図5(C))を、剥離液を貯蔵した槽に入れ、振動を加える。これにより薄膜保持層16が溶解して除去され、第3基板18が剥離する。
【0053】
薄膜保持層16の除去により、図6(B)に示すように、第2基板20の下部電極21上には、結晶性薄膜層12および上部電極層13(すなわち機能層14)がマトリクス状に配列された構成が得られる。下部電極21は、列方向(図6(B)に示すY方向)に延在し、1つの下部電極21上に複数の結晶性薄膜層12が配置される。下部電極21は、第2基板20の縦配線を構成する。
【0054】
これにより、結晶性薄膜層12と上部電極層13と下部電極21とを有する圧電素子2が形成される。また、第2基板20と圧電素子2(結晶性薄膜層12と上部電極層13と下部電極21とを含む)とを有する電子デバイスとしての圧電デバイスが得られる。この圧電デバイスに配線等を形成することにより、次に説明する圧電モジュール200が得られる。
【0055】
図7(A),(B)は、第2基板20上に配線等を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。なお、図7(A)は、図7(B)に示した線分A-Aにおける断面図に相当する。また、図7(C)は、図7(A)とは別の断面図であり、図7(B)に示した線分B-Bにおける断面図である。
【0056】
ステップS110(図1)では、図7(A)および(B)に示すように、第2基板20上に配線等を形成する。一例としては、上部電極層13と後述する横配線22との間に、上部電極層13の表面から結晶性薄膜層12の側面にかけて、層間絶縁層24を形成する。横配線22は、行方向(図7(B)に示すX方向)に延在する配線層である。
【0057】
層間絶縁層24上には、上部電極層13の表面から横配線22まで延在する引き出し配線25が形成される。また、層間絶縁層24上で、隣り合う結晶性薄膜層12の間に、上述した横配線22が形成される。なお、横配線22と引き出し配線25とは同一工程で形成することもできる。
【0058】
なお、支持層15は、後工程で除去してもよいし、何らかの層間絶縁層として利用してもよい。
【0059】
以上の工程により、第2基板20と圧電素子2(結晶性薄膜層12と上部電極層13と下部電極21を含む)と横配線22と引き出し配線25等を有する圧電モジュール200が形成される。
【0060】
<圧電モジュールの動作>
第2基板20上の縦配線(下部電極)21および横配線22は、図示しない駆動ドライバに接続される。駆動ドライバから縦配線(下部電極)21および横配線22に駆動信号を入力することで、第2基板20上の所望の圧電素子2を駆動することができる。これにより、圧電モジュール200を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のアクチュエータ、あるいは超音波発生器として構成することができる。
【0061】
また、圧電素子2に圧力が印加されることで上部電極層13と下部電極21との間に電位差が発生することを利用し、圧電モジュール200を圧電センサや超音波センサ等として構成することもできる。
【0062】
<作用>
次に、実施の形態1の作用について、比較例と対比して説明する。図8(A)、(B)および(C)は、比較例の電子デバイスの製造方法において、剥離層11を除去する工程を概略的に示す断面図、平面図および模式図である。比較例の電子デバイスの製造方法は、薄膜保持層16を用いずに剥離層11の除去を行う点で、実施の形態1の電子デバイスの製造方法と異なる。
【0063】
図8(A)に示したように、剥離層11を除去する工程では、支持層15が機能層14を第1基板10から離間した状態で保持する。機能層14(特に結晶性薄膜層12)は厚さが薄いため、支持層15のみで支持することが難しい。そのため、剥離層11の除去工程あるいはその後の工程において、機能層14の中央部あるいは支持層15との接合部の近傍に割れが生じる可能性がある。
【0064】
また、図8(B)および(C)に示すように、機能層14の外周が垂れ下がる可能性もある。この場合、剥離層11を除去するためのエッチング液の侵入が阻害され、あるいは結晶性薄膜層12の下側にエッチングガスが残る等、エッチング不良が生じる可能性がある。
【0065】
このような機能層14の割れやエッチング不良は、機能層14の面積が大きくなるほど発生しやすくなり、機能層14の直径が1mmを超えると、特に顕著になる。
【0066】
これに対し、実施の形態1では、機能層14上に薄膜保持層16が設けられているため、剥離層11の除去工程およびその後の工程においても、機能層14の形状を維持することができる。そのため、機能層14の割れを防止し、機能層14の変形に伴うエッチング不良を防止することできる。
【0067】
なお、ここでは、薄膜保持層16が機能層14の表面14fと支持層15との境界部分とを覆っているが、本実施の形態はこのような態様に限定されるものではない。
【0068】
図9(A)および(B)は、剥離層11を除去する工程の他の例を概略的に示す断面図および平面図である。図9(A)および(B)に示した例では、支持層15の第3の部分153が上部電極層13の上部を覆っている。薄膜保持層16は、支持層15の第3の部分153上に設けられている。この場合も、薄膜保持層16および支持層15によって機能層14の形状が維持されるため、機能層14の割れや変形を防止することができる。
【0069】
なお、図9(B)の平面図では、機能層14(図9(B)では上部電極層13のみ示している)が四角形状であり、支持層15の第3の部分153(上部電極層13を覆う部分)も四角形状であり、第1の部分151は第3の部分153から図中左右方向に2つずつ延在している。但し、このような形状に限らず、機能層14が図3(B)に示したように円形状であってもよい。また、各支持層15における第1の部分151の数も任意である。隣り合う2つの支持層15の第1の部分151同士がつながっていても良い。
【0070】
また、薄膜保持層16が支持層15にかからず、機能層14の表面14f(ここでは上部電極層13の表面)上のみに設けられていてもよい。すなわち、薄膜保持層16は、支持層15および機能層14の表面14fの少なくとも一方に形成されていればよい。
【0071】
上記の例では、第1基板10上に剥離層11を介して機能層14を形成したのち(ステップS101,S102)、支持層15を形成した(ステップS103)。しかしながら、予め第1基板10上に剥離層11を介して機能層14が形成された基板を用い、その上に機能層14の表面14fから第1基板10にかけて支持層15を形成してもよい。
【0072】
<実施の形態1の効果>
以上説明したように、実施の形態1の電子デバイスの製造方法は、第1基板10上に剥離層11を介して形成された機能層14の表面(第1の面)14fから第1基板10にかけて支持層15を形成する工程と、支持層15および機能層14の表面14fの少なくとも一方に薄膜保持層16を形成する工程と、剥離層11(第1の層)を除去する工程と、薄膜保持層16の機能層14と反対側の面に第3基板(転写部材)20を接合する工程と、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を、第1基板10から分離する工程と、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を第2基板20に転写する工程と、薄膜保持層16を除去する工程とを有する。そのため、機能層14の割れを防止し、また機能層14の変形とそれに伴うエッチング不良を防止することができる。これにより、製造歩留まりを向上することができる。
【0073】
また、薄膜保持層16の厚さが機能層14の厚さよりも厚いため、薄膜保持層16の十分な強度を確保することができ、機能層14の割れ等をより効果的に防止することができる。
【0074】
また、薄膜保持層16の面積が機能層14の表面(第1の面)14fの面積よりも小さいため、薄膜保持層16の機能層14の側面14sに沿って垂れ下がることがない。そのため、垂れ下がった薄膜保持層16がエッチング液の侵入を妨げることによるエッチング不良を防止することができる。
【0075】
また、薄膜保持層16が、機能層14の表面14fと支持層15との境界部分を覆うため、当該境界部分で生じやすい割れを効果的に防止することができる。
【0076】
また、支持層15が、機能層14の表面14fにおける中央領域(素子形成領域または電極形成領域)以外の領域に形成されるため、後工程での配線の形成を容易に行うことができる。
【0077】
また、支持層15が、第1基板10に接合された第1の部分151と、機能層14の側面14sと接合された第2の部分152と、機能層14の表面14fと接合された第3の部分153とを有し、第2の部分152の厚さT2は、第1の部分151の厚さT1よりも薄く、且つ第3の部分153の厚さT3よりも薄い。そのため、機能層14の剥離時に支持層15を第2の部分152で確実に破断させることができる。
【0078】
≪実施の形態2≫
<電子デバイスの製造方法>
実施の形態2の電子デバイスは、例えば、LED(発光ダイオード)等の光電変換素子を有する光電変換デバイスである。光電変換デバイスは、光電変換モジュールに用いられる。光電変換モジュールは、例えば、LEDディスプレイ、イメージセンサ等である。
【0079】
図10は、実施の形態2の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。図11(A)および(B)は、第1基板30上に後述する剥離層31aと機能層34aとを形成する工程と、剥離層31aおよび機能層34aをエッチングにより分離(個片化)する工程とを概略的に示す断面図である。
【0080】
ステップS201(図10)では、図11(A)に示すように、第1基板30上に、剥離層31aと、結晶性薄膜層32aと、透明電極層33aとを形成する。これらのうち、結晶性薄膜層32aと透明電極層33aとを合わせて、機能層34aと称する。なお、機能層34aは、結晶性薄膜層32aのみで構成してもよい。
【0081】
第1基板30は、その表面に結晶性薄膜層32aをエピタキシャル成長させる成長基板(ウエハ)である。第1基板30は、例えば、ガリウムヒ素、インジウムリン、シリコン、サファイヤ等で形成されている。シリコンおよびサファイヤの場合には、基板表面にバッファ層を形成することが望ましい。
【0082】
結晶性薄膜層32aは、発光特性または受光特性を有する半導体層である。具体的には、結晶性薄膜層32aは、ガリウム、アルミニウム、インジウム、ヒ素、窒素、リン等を含むIII-V族化合物半導体、P型半導体層、活性層、エッチングストップ層、N型半導体層等を積層した積層体である。結晶性薄膜層32aの厚さは、例えば、500nm~10μmである。
【0083】
良好な発光特性を得るためには、第1基板30上に、格子不整合の少ない単結晶となるように結晶性薄膜層32aをエピタキシャル成長させることが好ましい。
【0084】
剥離層31a、例えば、アルミニウムヒ素、インジウムガリウムヒ素、インジウムアルミニウムヒ素、窒化アルミニウム等の金属の中から、結晶性薄膜層32aとの格子定数が近く、エッチング選択比が大きい材料を選択することが望ましい。
【0085】
剥離層31aは、後述する除去工程で除去される層であるが、バッファ層の役割も兼ねている。また、第1基板30の表面に、第1基板30と剥離層31aとの中間の格子定数を有するバッファ層を設けても良い。
【0086】
透明電極層33aは、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化インジウム等で形成される。透明電極層33aは、使用される主波長に対して70%以上の透過率を有し、且つ導電性を有する。透明電極層33aの厚さは、例えば10nm~1000nmである。なお、透明電極層33aの形成は、後述する第2基板40への転写工程の後に行うことも可能である。
【0087】
続くステップS202(図10)では、図2(B)に示すように、フォトリソグラフィ等を用いて溝37を形成し、剥離層31aおよび機能層34aを島状に分離(個片化)する。実施の形態2では、1つの島に複数の素子形成領域が含まれるように分離を行う。
【0088】
分離された剥離層31aを、剥離層31と称する。同様に、分離された結晶性薄膜層32aを結晶性薄膜層32と称し、分離された透明電極層33aを透明電極層33と称する。結晶性薄膜層32および透明電極層33により、機能層34(機能性薄膜とも称する)が形成される。なお、機能層34は、結晶性薄膜層32のみで構成してもよい。
【0089】
機能層34は、複数の素子形成領域を含むため、例えば1mm~20mmという比較的大きな面積を有する。
【0090】
機能層34は、第1基板30と反対側の表面(第1の面)34fと、第1基板30側の裏面(第2の面)34rと、表面34fと裏面34rとの間に形成された傾斜面である側面34sとを有する。
【0091】
この例では、透明電極層33の表面が機能層34の表面34fとなるが、機能層34が透明電極層33を有さない場合には、結晶性薄膜層32の表面が機能層34の表面34fとなる。
【0092】
ここでは、機能層34の平面形状(第1基板30の表面と平行な面における形状)は、四角形である(図12(B)参照)。但し、機能層34の平面形状は四角形に限らず、例えば円形であってもよい。
【0093】
図12(A)および(B)は、後述する支持層35を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。ステップS203(図10)では、図12(A)に示すように、機能層34の表面34fから第1基板30の表面にかけて、支持層35を形成する。支持層35は、第1基板30に対して機能層34を支持する部分である。
【0094】
支持層35は、CVD(化学気相成長)等によって製膜したのち、リソグラフィまたはエッチング等によってパターニングする。支持層35は、後述する剥離層31の除去工程で用いられるエッチング液に耐性を有する材料で形成される。一例としては、酸化膜または窒化膜等の無機絶縁膜が望ましい。
【0095】
支持層35は、透明電極層33の表面から、結晶性薄膜層32の側面を経て、第1基板30の表面まで延在する。言い換えると、支持層35は、機能層34の表面34fから、機能層34の側面34sを経て、第1基板30の表面まで延在する。
【0096】
図12(B)に示すように、支持層35は、四角形の機能層34の各辺に2か所ずつに形成される。すなわち、1つの機能層34につき、8つの支持層35が設けられる。
【0097】
第1基板30の表面の大部分と、剥離層31、結晶性薄膜層32および透明電極層33の各側面の大部分と、透明電極層33の表面の中央領域(符号R2で示す)は、支持層35に覆われておらず、露出している。透明電極層33の中央領域は、後工程で配線が形成される領域である。
【0098】
なお、1つの機能層34当たりの支持層35の数は、8つには限定されない。1つの機能層34につき、1つ以上の支持層35が設けられていればよい。
【0099】
図12(C)は、支持層35の断面形状を概略的に示す断面図である。支持層35は、第1基板30の表面に接合された第1の部分351と、機能層34の側面34sに接合された第2の部分352と、機能層34の表面34fに接合された第3の部分353とを有する。
【0100】
第1の部分351、第2の部分352および第3の部分353は、厚さT1,T2,T3を有する。第2の部分352の厚さT2は、第1の部分351の厚さT1よりも薄く、かつ、第3の部分353の厚さT3よりも薄い。すなわち、支持層35は、第2の部分352が最も破断されやすく構成されている。
【0101】
図13(A)および(B)は、次に説明する薄膜保持層36を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。ステップS204(図10)では、図13(A)に示すように、機能層34上に薄膜保持層36を形成する。
【0102】
薄膜保持層36は有機構造体であり、後述する剥離層31の除去工程で用いられるエッチング液に耐性を有し、別の剥離液で除去可能な材料で形成される。一例としては、感光性の有機レジスト、またはシリコーン樹脂等が望ましい。
【0103】
薄膜保持層36は、第1基板30上の機能層34および支持層35を覆うように有機レジスト等を製膜し、フォトリソグラフィによりパターニングする。
【0104】
薄膜保持層36は、機能層34よりも厚く形成することにより、曲げ強度およびせん断強度が機能層34よりも高くなるようにしている。一例としては、薄膜保持層36の厚さは、機能層34の厚さの3~10倍である。
【0105】
また、後述する剥離層31の除去(エッチング)の際に結晶性薄膜層32が第1基板30側に反らないよう、薄膜保持層36の線膨張率は結晶性薄膜層32の線膨張率よりも小さいことが望ましい。
【0106】
薄膜保持層36は、機能層34の表面34f(透明電極層33の表面)と支持層35との境界部分を覆うように形成されている。これにより、当該境界部分で生じやすい割れを効果的に防止することができる。
【0107】
また、薄膜保持層36の面積は、機能層34の表面34fの面積よりも小さい。そのため、薄膜保持層36が結晶性薄膜層32の側面に垂れ下がることが防止される。
【0108】
図14(A)、(B)および(C)は、剥離層31を除去する工程と、機能層34、支持層35および薄膜保持層36を第1基板30から分離する工程と、機能層34、支持層35および薄膜保持層36を第2基板40に転写する工程とを概略的に示す断面図である。
【0109】
ステップS205(図10)では、剥離層31をエッチングにより除去する。これにより、機能層34と第1基板30との間、より具体的には結晶性薄膜層32と第1基板30との間には、空隙Gが形成される。
【0110】
支持層35は、機能層34を第1基板30から離間した状態で保持する。支持層35は、機能層34にせん断方向の力が作用することを抑制し、これにより機能層34の割れが防止される。
【0111】
ステップS206(図10)では、図14(B)に示すように、転写部材としての第3基板38を薄膜保持層36に接合する。第3基板38は、ガラス、シリコン等の硬質な材料で形成されている。
【0112】
第3基板18は、例えば、熱剥離性または紫外線剥離性の粘着シートを用いて、薄膜保持層36に接合することができる。あるいは、薄膜保持層36を、弾性および粘着性(タック性)を有する材料で形成することにより、第3基板18を薄膜保持層36に直接接合することもできる。
【0113】
ステップS207(図10)では、図14(B)に示すように、第3基板38に第1基板30から離間する方向に力を加え、支持層35を破断する。支持層35は、最も薄い第2の部分352で破断し、第1の部分351は第1基板30上に残る。これにより、機能層34、支持層35(より具体的には第2の部分352と第3の部分353)および薄膜保持層36が、第1基板30から分離する。
【0114】
ステップS208(図10)では、図14(C)に示すように、第3基板38に接合された薄膜保持層36に保持された機能層34を、第2基板40に接合する。
【0115】
第2基板40は、機能層34の接合予定領域に平滑面を有し、その表面粗さは例えば10nm以下である。第3基板38と第2基板40とは、両基板に設けられたアライメントマークによって互いに位置合わせされる。
【0116】
機能層34が第2基板40の表面に接触した状態で、加熱および加圧が行われる。これにより、機能層34が、第2基板40の表面に分子間力によって接合される。
【0117】
図15(A)および(B)は、薄膜保持層36を除去する工程を概略的に示す断面図および平面図である。
【0118】
ステップS209(図10)では、図15(A)に示すように、薄膜保持層36を除去する。薄膜保持層36は、例えば、剥離液で除去することができる。具体的には、第3基板38と第2基板40とを含むユニット(図14(C))を、剥離液を貯蔵した槽に入れ、振動を加える。これにより薄膜保持層36が溶解して除去され、第3基板38が剥離する。
【0119】
薄膜保持層36の除去により、図15(B)に示すように、第2基板40上に結晶性薄膜層32および透明電極層33(すなわち機能層34)が形成された構成が得られる。
【0120】
図16は、機能層34を素子単位に分離する工程を概略的に示す断面図である。ステップS210(図10)では、図16に示すように、第1段階のエッチングにより、機能層34の結晶性薄膜層32のP型半導体層をパターニングする。この段階で支持層35が除去される。
【0121】
続くステップS211では、第2段階のエッチングにより、機能層34の結晶性薄膜層32のN型半導体層をパターニングしてカソード面39を形成し、且つ機能層34を複数の島に分離(素子分離)する。
【0122】
これにより、結晶性薄膜層32と透明電極層33とを有し、素子毎にパターニングされたLED素子4が形成される。また、第2基板40とLED素子4(結晶性薄膜層32と透明電極層33とを含む)とを有する電子デバイスとしての光電変換デバイスが得られる。この光電変換デバイスに配線等を形成することにより、次に説明する光電変換モジュール300が得られる。
【0123】
図17(A)および(B)は、第2基板40上の機能層34に配線等を形成する工程を概略的に示す断面図および平面図である。なお、図17(A)は、図17(B)に示した線分C-Cにおける断面図に相当する。また、図17(C)は、図17(A)とは別の断面図であり、図17(B)に示した線分D-Dにおける断面図である。
【0124】
ステップS212(図10)では、図17(A)および(B)に示すように、第2基板40上に配線等を形成する。一例としては、第2基板40の表面に、列方向(図17(B)におけるY方向)に延在する縦配線41を形成する。
【0125】
結晶性薄膜層32のカソード面39から側面にかけて、層間絶縁層46を形成する。この層間絶縁層46上には、カソード面39と縦配線41とを接続するように、引き出し配線47を形成する。
【0126】
また、図17(C)に示すように、透明電極層33の表面から結晶性薄膜層32の側面を経て第2基板40に到達するように、層間絶縁層44を形成する。この層間絶縁層44上で、隣り合う結晶性薄膜層32の間に、行方向(図17(B)におけるX方向)に延在する横配線42を形成する。また、透明電極層33と横配線42とを接続するように、引き出し配線45を形成する。
【0127】
以上の工程により、第2基板40とLED素子4(結晶性薄膜層32と透明電極層33とを含む)と配線41,42と引き出し配線45,47等を有する光電変換モジュール300が形成される。
【0128】
<光電変換モジュールの動作>
第2基板40上の縦配線41および横配線42は、図示しない駆動ドライバに接続される。駆動ドライバから縦配線41および横配線42に駆動信号を入力することで、第2基板40上の所望のLED素子4を駆動することができる。これにより、光電変換モジュール300は、例えばLEDディスプレイとして構成することができる。
【0129】
LEDアレイデバイスは、各LED素子4に対して個別に電流調整回路を設け、ハイダイナミックレンジ機能を有する液晶ディスプレイの光源とすることができる。図17(A)~(C)では、構成を明確に示すため、LED素子4を4×4のマトリクス(4行4列)状に配列した例を示したが、例えば1280×720のマトリクス状に配列することによって、高解像度のマイクロLEDディスプレイを構成することができる。
【0130】
また、第2基板40を、アクティブマトリクスCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路が形成されたシリコン基板または薄膜トランジスタ基板とし、第2基板40上の電極とアクティブ素子を接続したマイクロディスプレイとしてもよい。
【0131】
また、LED素子4は、ここでは印加電圧に応じた光を発する発光素子であるが、入射光に応じた電圧を出力する受光素子として利用してもよい。すなわち、LED素子4を有する光電変換素子は、例えばイメージセンサとして構成することができる。
【0132】
なお、ここでは薄膜保持層36が機能層34の表面34fと支持層35との境界部分とを覆っているが、実施の形態1で説明したように、薄膜保持層36は支持層35および機能層34の表面34fの少なくとも一方に形成されていればよい。
【0133】
この例では、第1基板30上に剥離層31を介して機能層34を形成したのち(ステップS201,S202)、支持層35を形成した(ステップS203)。しかしながら、予め第1基板30上に剥離層31を介して機能層34が形成された基板を用い、その上に機能層34の表面34fから第1基板30にかけて支持層35を形成してもよい。
【0134】
<実施の形態2の効果>
以上説明したように、実施の形態2の電子デバイスの製造方法は、第1基板30上に剥離層31介して形成された機能層34の表面(第1の面)34fから第1基板30にかけて支持層35を形成する工程と、支持層35および機能層34の表面34fの少なくとも一方に薄膜保持層36を形成する工程と、剥離層31(第1の層)を除去する工程と、薄膜保持層36の機能層34と反対側の面に第3基板(転写部材)40を接合する工程と、機能層34、支持層35および薄膜保持層36を、第1基板30から分離する工程と、機能層34、支持層35および薄膜保持層36を第2基板40に転写する工程と、薄膜保持層36を除去する工程とを有する。そのため、機能層34の割れを防止し、また機能層34の変形とそれに伴うエッチング不良を防止することができる。これにより、製造歩留まりを向上することができる。
【0135】
特に、面積の大きい機能層34を第1基板30から剥離して第2基板40に転写する製造工程では、機能層34の割れや変形の防止による製造歩留まりの向上効果が大きい。また、面積の大きい機能層34の転写が可能になるため、機能層34をエッチング等で分離することにより、多数のLED素子4を形成することが可能になる。
【0136】
また、薄膜保持層36の厚さが機能層34の厚さよりも厚いため、薄膜保持層36の十分な強度を確保することができ、機能層34の割れ等をより効果的に防止することができる。
【0137】
また、薄膜保持層36の面積が機能層34の表面(第1の面)34fの面積よりも小さいため、薄膜保持層36の機能層34の側面34sに沿って垂れ下がることによるエッチング不良を防止することができる。
【0138】
また、薄膜保持層36が、機能層34の表面34fと支持層35との境界部分を覆うため、当該境界部分で生じやすい割れを効果的に防止することができる。
【0139】
また、支持層35が、機能層34の表面34fにおける中央領域(素子形成領域または電極形成領域)以外の領域に形成されるため、後工程での配線の形成を容易に行うことができる。
【0140】
また、支持層35が、第1基板30に接合された第1の部分351と、機能層34の側面34sと接合された第2の部分352と、機能層34の表面34fと接合された第3の部分353とを有し、第2の部分352の厚さT2は、第1の部分351の厚さT1よりも薄く、且つ第3の部分353の厚さT3よりも薄いため、機能層34の剥離時に支持層35を第2の部分352で確実に破断させることができる。
【0141】
≪実施の形態3≫
<電子デバイスの製造方法>
実施の形態3の電子デバイスは、実施の形態1で説明した圧電デバイスである。但し、実施の形態2で説明した光電変換デバイスであってもよい。実施の形態3の電子デバイスの製造方法は、第1基板10上の機能層14を選択的に剥離して転写する点において、実施の形態1と異なる。
【0142】
図18は、実施の形態3の電子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。図19(A)、(B)および(C)は、剥離層11を除去する工程と、薄膜保持層16に第3基板50を接合する工程と、機能層14を第1基板10から剥離する工程とを概略的に示す断面図である。
【0143】
ステップS301~S305(図18)は、実施の形態1のステップS101~S105(図1)と同様である。すなわち、図19(A)に示すように、支持層15によって機能層14が第1基板10から離間した状態で支持される。また、機能層14の表面14fおよび支持層15上には薄膜保持層16が設けられる。
【0144】
ステップS306(図18)では、転写部材として、凹凸形状を有する第3基板50を用いる。第3基板50は、第1基板10側に向けて突出する凸部51を有する。第3基板50の隣り合う凸部51の間隔は、第1基板10上で隣り合う機能層14の間隔よりも広い。
【0145】
図19(A)に示した例では、第3基板50の凸部51は、第1基板10上の1つおきの機能層14上の薄膜保持層16に対向する。第3基板50の隣り合う凸部51の間には、凹部52が形成される。
【0146】
第3基板50を第1基板10に接近させると、第1基板10の機能層14上の薄膜保持層16のうち、第3基板50の凸部51に対向する薄膜保持層16に凸部51が接合される。第3基板50と薄膜保持層16との接合方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0147】
ステップS307(図18)では、図19(C)に示すように、第3基板50に、第1基板10から離間する方向に力を加える。第3基板50の凸部51に接合された薄膜保持層16の下の機能層14は、支持層15の破断により、第1基板10から分離される。
【0148】
一方、第3基板50の凹部52に対向する薄膜保持層16とその下の機能層14および支持層15は、第1基板10上に残る。すなわち、機能層14の選択的な剥離、言い換えるとピックアップが行われる。
【0149】
図20(A)および(B)は、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を第2基板20に転写する工程と、薄膜保持層16を除去する工程とを概略的に示す断面図である。
【0150】
ステップS308(図18)では、図20(A)に示すように、第3基板18に接合された薄膜保持層16に保持された機能層14を、第2基板20に接合する。第2基板20の表面には、実施の形態1で説明した下部電極21が形成されている。機能層14と第2基板20の下部電極21とは、実施の形態1で説明したように分子間力で接合される。
【0151】
ステップS309(図18)では、図20(B)に示すように、薄膜保持層16を除去する。薄膜保持層16の剥離方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0152】
ステップS310(図18)では、実施の形態1のステップS110と同様に、第2基板20上の機能層14に引き出し配線45等を形成する。これにより、圧電素子2およびこれを備えた圧電デバイスが形成される。また、第2基板20に配線等を形成することにより、圧電モジュール200(上述した図7(B)参照)が形成される。
【0153】
ステップS311(図18)では、転写すべき機能層14が第1基板10上に残っているか否かを判断する。転写すべき機能層14が第1基板10上に残っていない場合には、処理を終了する。転写すべき機能層14が第1基板10上に残っている場合には、ステップS312に進む。
【0154】
図21(A)および(B)は、第1基板10上に残っている機能層14上の薄膜保持層16に第3基板50を接合する工程と、機能層14を第1基板10から剥離する工程とを概略的に示す断面図である。
【0155】
ステップS312(図18)では、図21(A)に示すように、第3基板50の凸部51を、第1基板10上に残っている機能層14上の薄膜保持層16に対向させ、機能層14上の薄膜保持層16と第3基板50の凸部51とを接合する。第3基板50と薄膜保持層16との接合方法は、ステップS306と同様である。
【0156】
なお、このステップS312では、ステップS306で使用した第3基板50を再利用してもよい。この場合、第1基板10に対する第3基板50のアライメント位置をずらすことにより、ステップS306とは別の機能層14上の薄膜保持層16に凸部51を接合することができる。
【0157】
ステップS313(図18)では、図21(B)に示すように、第3基板50に、第1基板10から離間する方向に力を加える。第3基板50の凸部51に接合された薄膜保持層16の下の機能層14は、支持層15の破断により、第1基板10から分離される。
【0158】
図22(A)および(B)は、機能層14、支持層15および薄膜保持層16を第2基板60に転写する工程と、薄膜保持層16を除去する工程とを概略的に示す断面図である。
【0159】
ステップS314(図18)では、図23(A)に示すように、第3基板18に接合された薄膜保持層16に保持された機能層14を、別の第2基板60に接合する。第2基板60は、第2基板20とは別の基板であるが、第2基板20と同様に構成されている。
【0160】
第2基板60の表面には、第2基板20の下部電極21と同様の下部電極61が形成されている。機能層14と第2基板60の下部電極61とは、実施の形態1で説明したように分子間力で接合される。
【0161】
ステップS315(図18)では、図20(B)に示すように、薄膜保持層16を除去する。薄膜保持層16の剥離方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0162】
これにより、結晶性薄膜層12と上部電極層13と下部電極61とを有する圧電素子6が形成される。また、第2基板60と、結晶性薄膜層12と、上部電極層13と、下部電極61とを有する電子デバイスとしての圧電デバイスが得られる。この圧電デバイスに配線等を施すことにより、次に説明する圧電モジュール600が得られる。
【0163】
ステップS316(図18)では、上記のステップS310と同様に、第2基板60に引き出し配線65等を形成する。
【0164】
図23は、第2基板60に配線等を形成する工程を概略的に示す平面図である。上部電極層13と後述する横配線62との間に、上部電極層13の表面から結晶性薄膜層12の側面に沿って延在する層間絶縁層64を形成する。横配線62は、行方向(図23に示すX方向)に延在する配線層である。層間絶縁層64上には、上部電極層13の表面から横配線62まで延在する引き出し配線65が形成される。
【0165】
以上の工程により、第2基板60と圧電素子6(結晶性薄膜層12と上部電極層13と下部電極61を含む)と横配線62と引き出し配線65等を有する圧電モジュール600が形成される。
【0166】
また、図23に示したように、第2基板60上に、例えば、センサ67およびマイクロIC(Integrated Circuit)68等をさらに実装し、これらを横配線62に接続してもよい。センサ67およびマイクロIC68は、フリップチップボンディングによって実装することができる。あるいは、センサ67およびマイクロIC68が結晶性薄膜で構成される場合には、上述した結晶性薄膜層12と同様に、成長基板で成長させ、第2基板60に接合してもよい。
【0167】
なお、ここでは、第1基板10からの機能層14の選択的な剥離(ピックアップ)と別基板への接合を2回行う場合について説明したが、3回以上行ってもよい。
【0168】
上述した点を除き、実施の形態3の電子デバイスの製造方法は、実施の形態1の電子デバイスの製造方法と同様である。
【0169】
<実施の形態3の効果>
以上説明したように、実施の形態3では、凹凸形状を有する転写部材としての第3基板50を用いることにより、第1基板10上の機能層14を選択的に剥離して、第2基板20に転写する。そのため、第1基板10上で機能層14を密に形成し、用途に合わせた配設ピッチで別の基板(第2基板20、第2基板60等)に転写することができる。そのため、高価な結晶性薄膜層12の無駄をなくし、製造コストを低減することができる。
【0170】
また、予め第1基板10上の全ての機能層14上に薄膜保持層16が形成され、また全ての剥離層11が除去されているため、ピックアップのたびに薄膜保持層16の形成や剥離層11の除去を行う必要がない。そのため、製造工程を短縮することができる。
【0171】
上記の実施の形態1~3では、電子デバイスの例として、圧電デバイスおよび光電変換デバイスについて説明したが、実施の形態1~3は、圧電デバイスおよび光電変換デバイスの製造方法に限らず、例えば、スイッチ素子、パワーデバイス等を含む種々の電子デバイスの製造方法に適用することができる。
【0172】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、各種の改良または変形を行なうことができる。
【0173】
本開示は、圧電デバイス、光電変換デバイス、スイッチ素子、パワーデバイス等の電子デバイスの製造方法に適用することができる。
【0174】
以下に、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
第1基板上に第1の層を介して形成された機能層の前記第1基板と反対側の第1の面から前記第1基板にかけて設けられ、前記機能層を前記第1基板に対して支持する支持層を形成する工程と、
前記支持層および前記機能層の前記第1の面の少なくとも一方に、薄膜保持層を形成する工程と、
前記第1の層を除去する工程と、
前記薄膜保持層の前記機能層と反対側の面に、転写部材を接合する工程と、
前記機能層、前記支持層および前記薄膜保持層を、前記第1基板から分離する工程と、
前記機能層、前記支持層および前記薄膜保持層を、前記第1基板とは別の第2基板に転写する工程と、
前記薄膜保持層を除去する工程と
を有する電子デバイスの製造方法。
(付記2)
前記薄膜保持層の厚さは、前記機能層の厚さよりも厚い
付記1に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記3)
前記薄膜保持層のせん断強度は、前記機能層のせん断強度よりも高い
付記1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記4)
前記薄膜保持層の前記第1の面と平行な面における面積は、前記機能層の前記第1の面の面積よりも小さい
付記1から3までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記5)
前記薄膜保持層を形成する工程では、
前記薄膜保持層を、前記機能層の前記第1の面と前記支持層との境界部分を覆うように形成する
付記1から4までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記6)
前記支持層を形成する工程では、
前記支持層を、前記機能層の前記第1の面における中央領域以外の領域に形成する
付記1から5までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記7)
前記支持層は、前記第1基板に接合された第1の部分と、前記機能層の側面と接合された第2の部分と、前記機能層の前記第1の面と接合された第3の部分とを有し、
前記第2の部分の厚さは、前記第1の部分の厚さよりも薄く、且つ前記第3の部分の厚さよりも薄い
付記1から5までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記8)
前記薄膜保持層を除去する工程の後に、
前記機能層の一部および前記支持層を除去する工程
を有する
付記1から7までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記9)
前記転写部材への接合工程では、
前記薄膜保持層に対向する側に凹凸を有する前記転写部材を用い、
前記第1基板上の複数の機能層のうち、少なくとも一つの機能層上の薄膜保持層に選択的に転写部材を接合する
付記1から8までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記10)
前記薄膜保持層を形成する工程では、
前記第1基板上の全ての機能層上に薄膜保持層を形成し、
前記第1の層を除去する工程では、
前記第1基板上の全ての機能層の下の第1の層を除去する
付記9に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記11)
前記電子デバイスは、圧電デバイスである
付記1から10までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記12)
前記電子デバイスは、光電変換デバイスである
付記1から10までのいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0175】
2,6 圧電素子、 4 LED素子、 6 圧電素子、 10 第1基板、 10a バッファ層、 11 剥離層、 12 結晶性薄膜層、 13 上部電極層、 14 機能層、 14f 表面、 14r 裏面、 14s 側面、 15 支持層、 16 薄膜保持層、 17 溝、 18 第3基板(転写部材)、 20 第2基板、 21 下部電極、 22 横配線、 24 層間絶縁層、 25 引き出し配線、 30 第1基板、 31 剥離層、 32 結晶性薄膜層、 33 透明電極層、 33a 透明電極層、 34 機能層、 34a 機能層、 34f 表面、 34r 裏面、 34s 側面、 35 支持層、 36 薄膜保持層、 37 溝、 38 第3基板(転写部材)、 40 第2基板、 41 縦配線、 42 横配線、 45 引き出し配線、 47 引き出し配線、 50 第3基板、 51 凸部、 52 凹部、 60 第2基板、 61 下部電極、 62 横配線、 65 引き出し配線、 151 第1の部分、 152 第2の部分、 153 第3の部分、 200,600 圧電モジュール、 300 光電変換モジュール、 351 第1の部分、 352 第2の部分、 353 第3の部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23