IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本電機サービスの特許一覧

特開2024-63295車載ナビゲーションシステム用のアダプター
<>
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図1
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図2
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図3
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図4
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図5
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図6
  • 特開-車載ナビゲーションシステム用のアダプター 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063295
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車載ナビゲーションシステム用のアダプター
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171097
(22)【出願日】2022-10-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】502365656
【氏名又は名称】株式会社日本電機サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】河野 博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】田辺 享二
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB20
2F129EE82
2F129GG23
2F129GG28
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】車両が走行中であってもテレビ視聴を可能とする改良されたアダプターを提供すること。
【解決手段】車両に搭載されたナビゲーションシステム(120)に車速パルス信号を提供するためのアダプター(100)であって、前記ナビゲーションシステム(120)は、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間経過後に無効となる機能を有し、前記アダプターは、車速パルス信号を前記ナビゲーションシステム(120)に送信する第1期間と送信しない第2期間とを交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短いように構成された、アダプター(100)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーションシステムに車速パルス信号を提供するためのアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムは、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間経過後に無効となる機能を有し、
前記アダプターは、車速パルス信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と送信しない第2期間とを交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短いように構成された、
アダプター。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプターであって、
前記車両から車速パルス信号を受信し、
前記車両から受信した前記車速パルス信号において前記第1期間と前記第2期間とを合わせた期間に含まれる数のパルスが、前記第1期間内に送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項3】
請求項2に記載のアダプターであって、
前記第1期間の長さa及び前記第2期間の長さbは一定であり、
ある前記第2期間において、前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれるパルスの数cをカウントし、
ある前記第2期間の直後の前記第1期間内にc×(a+b)/bの数のパルスが送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項4】
請求項2に記載のアダプターであって、
前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれる1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求め、
前記1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さに基づき、前記第1期間に前記ナビゲーションシステムに送信すべきパルスの数と、1つのパルスの継続時間と、パルスの1周期の長さとのうちの少なくとも1つを計算する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項5】
車両に搭載されたナビゲーションシステムにCAN-BUS信号を提供するためのアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムは、車両が走行中であること又は停止中でないことを、受信したCAN-BUS信号が示すことを検出してから所定時間経過後に無効となる機能を有し、
前記アダプターは、
前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、該CAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と、
前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、車両が走行中でないこと又は停止中であることを示すCAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第2期間と
を交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短い
ように構成された、
アダプター。
【請求項6】
請求項1から5のうちの何れか一項に記載のアダプターであって、前記機能はテレビ視聴機能であることを特徴とするアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載ナビゲーションシステム用のアダプターに関し、特に車速パルス信号やCAN-BUS(Controller Area Network)信号を用いてテレビの視聴等を制限するナビゲーションシステム用のアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、純正の車載ナビゲーションシステムに搭載されているテレビには、車両の走行中に運転者がテレビの視聴を行うとわき見運転の可能性があるため、安全性を考慮し走行中はテレビの視聴ができないような機能が搭載されている。
【0003】
しかしながら、それでは運転に支障の無い助手席や後席の同乗者も走行中にテレビを視聴することができないために、走行中であってもテレビの視聴ができるようにするアダプターが製造販売されている。
【0004】
純正ナビゲーションシステムは、車両が走行中であることを検知するために、車速パルス信号(車両の走行速度に応じたパルス(以下、「車速パルス」ともいう。)が含まれる信号)等を用いているところ、従来の車載用テレビアダプターでは、車両が走行中であってもこれら車速パルス信号等を純正ナビゲーションシステムに送信しないように遮断するという手法がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-43064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の手法である車速パルスを停車中であるかのように変換する手法では、実際には車両が走行中であっても、ナビゲーションシステムには車両が停車中(車速パルスがない状態。)である信号しか入力されないために、実際の車両の走行位置とナビゲーションシステムの地図上の車両の位置にズレが生じてしまうという問題があった。
【0007】
本開示に係る発明者は、上記のようなナビゲーションシステムは、車両が走行中であることを示す車速パルスを検出すると、すぐにテレビの視聴を制限するわけではなく、数秒後(ナビゲーションシステムの機種により相違はあるが、車速パルスを検出してから1~2秒後くらい)にテレビの視聴の制限を開始することに気付いた。即ち、車両が走行中であるために車速パルスが検出されたとしても、その後数秒間はテレビの視聴が可能である。
【0008】
本開示に係る発明者は、また、上記のようなナビゲーションシステムの特徴を利用し、走行中のテレビの視聴を可能とするために、車速パルスを連続で遮断し続けるのではなく、例えば1秒遮断し、次に1秒遮断しない、というように断続的(間欠的)に遮断を行うことにより、車両から車速パルスが送信される状況でも即ち走行中にテレビの視聴をすることができることに気付いた。
【0009】
本開示は以上に鑑みてなされたものであり、その課題の1つは、車両が走行中であってもテレビ視聴等を可能とする改良されたアダプターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態によれば、車両に搭載されたナビゲーションシステムに車速パルス信号を提供するためのアダプターであって、前記ナビゲーションシステムは、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間経過後に無効となる機能を有し、前記アダプターは、車速パルス信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と送信しない第2期間とを交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短いように構成された、アダプターが提供される。
【0011】
上記アダプターは、前記車両から車速パルス信号を受信し、前記車両から受信した前記車速パルス信号において前記第1期間と前記第2期間とを合わせた期間に含まれる数のパルスが、前記第1期間内に送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成するように更に構成されていてよい。
【0012】
上記アダプターは、前記第1期間の長さa及び前記第2期間の長さbは一定であり、ある前記第2期間において、前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれるパルスの数cをカウントし、ある前記第2期間の直後の前記第1期間内にc×(a+b)/bの数のパルスが送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成するように更に構成されていてよい。
【0013】
上記アダプターは、前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれる1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求め、前記1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さに基づき、前記第1期間に前記ナビゲーションシステムに送信すべきパルスの数と、1つのパルスの継続時間と、パルスの1周期の長さとのうちの少なくとも1つを計算するように更に構成されていてよい。
【0014】
上記課題を解決するため、本開示の実施形態によれば、車両に搭載されたナビゲーションシステムにCAN-BUS信号を提供するためのアダプターであって、前記ナビゲーションシステムは、車両が走行中であること又は停止中でないことを、受信したCAN-BUS信号が示すことを検出してから所定時間経過後に無効となる機能を有し、前記アダプターは、前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、該CAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と、前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、車両が走行中でないこと又は停止中であることを示すCAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第2期間とを交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短いように構成された、アダプターが提供される。
【0015】
なお、上記ナビゲーションシステムの前記機能は、テレビ視聴機能であってよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示の実施形態に係るアダプターによれば、ナビゲーションの車速パルス信号を断続(間欠)的に遮断することにより、車両走行中であってもテレビの視聴等を可能とするとともに、ナビゲーションシステムの地図上の車両の位置ズレを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係るブロック図である。
図2】停車中及び走行中の車速パルス信号の波形の例を示すグラフである。
図3】車両が10km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号を表す図である。
図4】車両が20km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号を表す図である。
図5】車両が10km/hで走行しているときにナビゲーションシステムに送信される例示車速パルス信号を表す図である。
図6】アダプターが実行する例示処理のフローチャートである。
図7】アダプターが実行する別の例示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する
1 第1の実施形態
図1は、第1実施形態に係るブロック図である。
【0019】
図1に示すナビゲーションシステム120は、ディスプレイ部121と、テレビチューナー部122と、ナビゲーション部123と、CAN-BUS信号入力部125と、アナログ信号入力部126を備えている。これらは、一体であってもそれぞれが別体であってもよい。なお、ナビゲーションシステム120は、搭載する車のメーカー純正のものであってよいが、同様の構成を有するのであれば、メーカー純正のものに限定されないことに留意されたい。また、図1に示したナビゲーションシステム120が含む構成要素はあくまで例示であることに留意されたい。
【0020】
図1に示テレビアダプター100は、CAN-BUS信号制御部110と、アナログ信号制御部112とを備えている。
車両に備えられた車速パルス信号の発生源133及びパーキング信号の発生源134は、本来であればナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に直接接続されている。しかしながら、本実施形態においては、車速パルス信号の発生源133は、テレビアダプター100のアナログ信号制御部112を介して、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に接続されている。以下、発生源133から送信される車速パルス信号を、「車両から送信される車速パルス信号」という。なお、図1では、パーキング信号の発生源134も、テレビアダプター100のアナログ信号制御部112を介して、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に接続されているが、本実施形態においてこれは必須ではないことに留意されたい。
【0021】
車両ECU132は車両を制御するコンピュータを示している。一般的に、車両ECUは1つの車両に複数搭載されており、車両ECU132はこれら複数の車両ECUの集合に相当する。図1における太線はCAN-BUSを示している。図1において、車両ECU132とナビゲーションシステム120は、テレビアダプター100のCAN-BUS信号制御部110を介してCAN-BUSで接続されているが、本実施形態においてこれは必須ではなく、従って、テレビアダプター100のCAN-BUS信号制御部110も必須ではないことに留意されたい。
【0022】
なお、CAN-BUSには車両の様々なコンピュータ(ECU)が接続されているため、CAN-BUS上の通信データには車両に関する様々な情報が含まれ得る。CAN-BUS上の通信データには、車両の運転支援システムやその他の制御装置がそれぞれどのような動作状態であるのか、車両が現在時速何キロで走行しているのか(車速)等、車両に搭載されている様々な制御装置(コンピュータ)からの情報が含まれている。以下、CAN-BUS上の通信データを含む信号を「CAN-BUS信号」といい、車両ECU132から送信されるCAN-BUS信号を「車両から送信されるCAN-BUS信号」という。
【0023】
以下、車速パルス信号について、図2を用いて説明する。210及び220は、それぞれ、停車中及び走行中の車速パルス信号の波形の一例を示すグラフである。従って、グラフ210に波形を示す信号は停車中であることを示す車速パルス信号の一例であり、グラフ220に波形を示す信号は走行中であることを示す車速パルス信号の一例である。当該グラフの縦軸は電圧であり、横軸は時間に相当する。グラフ210に示すように、停車中、例示車速パルス信号にはパルスが含まれておらず、当該信号は所定電圧Vで一定となる。なお、所定電圧Vは0Vであってよい。一方、グラフ220に示すように、走行中、例示車速パルス信号にはパルスが含まれている。より詳細には、車速パルス信号は、単位時間あたりに含まれるパルスの数が、車速に比例するように構成されていてよい。
【0024】
車速パルス信号について、以下、更に説明する。
図3は、ある車種Aの車両が10km/hで走行しているときに、車両から送信される例示車速パルス信号300を表す図であり、この例示車速パルス信号300には、1秒間に5パルスが含まれている。10km/hである車両が1秒間に進む距離は、10km(1時間の距離)÷60分÷60秒≒2.77mである。更に、例示車速パルス信号300によれば、1秒間に5パルスが含まれているため、1パルスあたり(あるパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでと定義されてよい。)、2.77m÷5(パルス数)=0.554m車両が進むことになる。
【0025】
図4は同車種Aの車両が20km/hで走行しているときに、車両から送信される例示車速パルス信号400を表す図であり、この例示車速パルス信号400には、1秒間に10パルスが含まれている。当然、例示車速パルス信号300の場合に比べて車速が2倍なので、例示車速パルス信号400に含まれるパルスの数は2倍となる。しかしながら、例示車速パルス信号400によっても、1パルスあたり0.554m進むことは同じである。そのため、例示車速パルス信号400により10パルスが送信される間即ち1秒が経過する間に、車両は5.54m車両が進むことになり、図3の10km/hで走行した場合に比べて車両の移動距離は2倍となる。
【0026】
当然、走行速度が2倍になれば、同一時間に移動する距離は2倍となる。
図5は、本実施形態により生成される、同車種Aの車両が10km/hで走行しているときの例示車速パルス信号500を表している。
【0027】
車両は10km/hで走行しているが、例示車速パルス信号500の0秒から1秒までに含まれるパルスは例示車速パルス信号400と同じ(パルスの持続時間(パルスの立ち上がりから立ち下がりまでの長さと定義されてよい。)及びパルスの1周期の長さ(あるパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでの長さと定義されてよい。)が同じ。)である。一方、例示車速パルス信号500の1秒から2秒までにはパルスが含まれていない。これは、車両の車速が0km/h(停止状態)であるときに車両から送信される車速パルス信号と同じである。
【0028】
例示車速パルス信号500は、最初の1秒間は20km/hで進み、次の1秒間は0km/h(停止状態)であることに相当するものであるが、この場合の進んだ距離は、10km/hで2秒間走行した場合と同じである。
【0029】
換言すれば、2秒単位で見た場合には、例示車速パルス信号300と例示車速パルス信号500とによっては、含まれるパルスの数が同じであることから、走行速度を区別できないことがわかる。
【0030】
テレビ視聴機能を有するナビゲーションシステム120は、入力された車速パルス信号において車両が走行中であることを示すパルスが検出された場合、所定時間即ち2秒後にテレビ視聴の制限を開始するよう構成されており、従って、通常走行中はテレビを見ることができない状態となる。
【0031】
しかしながら、例示車速パルス信号500のように、例えば1秒間に2秒分のパルスをナビゲーションシステム120に入力し、その後は停止状態を示すようにパルスを入力しないといったことを、2秒のサイクルで繰り返すことにより、ナビゲーションシステム120が走行中であることを検出してからテレビ視聴の制限を開始する前に走行中であることを検出しないようにすれば、実際には走行中であっても、テレビの視聴が可能となる。
【0032】
なお、ナビゲーションシステムが走行中であることを検出してからテレビ視聴の制限を開始するまでの時間は、機種により異なることに留意されたい。
本実施形態のメリットは、車速パルス信号を単純に遮断するわけではないので、ナビゲーションシステム120における地図上の自車位置のずれもなくなることである。
【0033】
具体的に説明すると、繰り返しの1周期の長さが例えば2秒である場合、最初の1秒間(期間Aとする。)は実際の車速パルス信号(車両から送信される車速パルス信号)に含まれるパルスの数の2倍のパルスをナビゲーションシステム120に入力し、次の1秒間(期間Bとする。)は停止状態と同じようにパルスをナビゲーションシステム120に入力しないようにすることができる。このとき、ある期間Bに車両から送信される車速パルス信号に含まれるパルスの数をカウントし、次の期間A内で、そのカウントした数の2倍のパルスがナビゲーションシステム120に入力されるようにしてよい。
【0034】
この手法により、車両の走行速度が変化しても、実際の車速パルス信号に含まれるパルスの数に等しいパルスをナビゲーションシステム120に入力させることができる。
なお、期間AとBの長さはそれぞれ1秒間と限定しなくてもよいし、AとBの長さが同じ時間である必要もない。
【0035】
例えば、期間Aの長さを1秒とし、期間Bの長さを2秒とした場合には、期間Aにナビゲーションシステム120に入力されるパルスの数は、実際の車速パルス信号に含まれるパルスの数の3倍とすることができる。
【0036】
期間AとBの最適な長さはナビゲーションシステム120の機種により異なる可能性があるために、これらはナビゲーションシステムの機種ごとに設定することが好ましい。
一般化すると、本実施形態に係るテレビアダプター100は、車両パルス信号をナビゲーションシステム120に送信する第1期間Aと、送信しない第2期間Bとを(自動的に)交互に繰り返すように構成することができる。
【0037】
このとき、ナビゲーションシステム120が、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間D経過後にテレビ視聴機能を無効とする機種であるならば、第1期間Aの長さaは所定時間Dより短いように設定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るテレビアダプター100は、車両から受信した車速パルス信号において第1期間Aと第2期間Bとを合わせた期間(繰り返しの1周期)に含まれる数のパルスが、第1期間A内に送信されるように、ナビゲーションシステム120に送信すべき車速パルス信号を生成するように構成することができる。
【0039】
第1期間Aの長さa及び第2期間Bの長さbは、限定するわけではないが、一定とすることができる。この場合、ある第2期間Bにおいて、車両から受信した車速パルス信号に含まれるパルスの数cをカウントし、このある第2期間Bの直後の第1期間A(繰り返しの次の周期の第1期間A)内にc×(a+b)/bの数のパルスが送信されるように、ナビゲーションシステム120に送信すべき車速パルス信号を生成するように構成することができる。
【0040】
図6は、本実施形態に係るテレビアダプター100のアナログ信号制御部112が実行する例示処理600のフローチャートである。なお、アナログ信号制御部112は、マイクロプロセッサ等のコンピュータやアナログ回路等のハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現されるものであってよい。また、例示処理600は、テレビアダプター100の電源ONや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で開始してよく、テレビアダプター100の電源OFFや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で終了してよい。
【0041】
610は、受信した車速パルス信号においてパルスを検出するたびに、カウントcがインクリメントされるように構成するステップを示している。カウントcのインクリメントは、カウントcに1を加算することであってよい。
【0042】
620は、経過時間を測定するタイマ及び変数であるcを初期化するとともに、パルスを発生しないように構成するステップを示している。タイマを初期化することは、経過時間を0とすることであってよく、変数cの初期化は、変数cに0を代入することであってよい。また、パルスを発生しないように構成することにより、車速パルス信号がナビゲーションシステム120に送信されないようになる。
【0043】
630は、タイマを用いて、時間bが経過したかを判定するステップを示している。時間bが経過したと判定した場合、処理はステップ640に進み、そうでない場合、処理はステップ630を繰り返す。なお、ステップ630においてループしている期間が、第2期間Bに相当する。
【0044】
640は、次の第1期間Aにナビゲーションシステム120に送信すべきパルスの1周期の長さp=a×b/(c×(a+b))を計算するステップを示している。以下、パルスの1周期の長さpについて説明する。ステップ640の時点での変数cの値は、ある第2期間Bにおいて、車両から受信した車速パルス信号に含まれるパルスの数に相当する。よって、ある第2期間Bの直後の第1期間Aにナビゲーションシステム120に送信すべきパルスの数nは、ステップ640の時点で上述したc×(a+b)/bとなるため、これを実現するためのパルスの1周期の長さpは、a/n=a/(c×(a+b)/b)=a×b/(c×(a+b)とすることができる。
【0045】
650は、タイマを再度初期化するとともに、1周期の長さpのパルスを発生するように構成するステップを示している。発生したパルスは、車速パルス信号としてナビゲーションシステム120に送信されることになる。なお、パルスの継続時間は、pに0より大きく1より小さい値を乗算することにより決定してよく、例えばp×0.5と設定してよい。
【0046】
660は、タイマを用いて、時間aが経過したかを判定するステップを示している。時間aが経過したと判定した場合、処理はステップ620に戻り、そうでない場合、処理はステップ660を繰り返す。なお、ステップ660においてループしている期間が、第1期間Aに相当する。
【0047】
例示処理600によれば、テレビアダプター100は上述したように構成されることが理解されよう。
2 第2の実施形態
図1は、第2実施形態に係るブロック図でもある。
【0048】
第1の実施形態では、例えば1秒間である期間Bに車両から発生するパルス数をカウントし、例えば1秒間である次の期間Aに、カウントした数の2倍の数のパルスをナビゲーションシステム120に入力させるものであった。これに関し、図3の例示車速パルス信号300と図4の例示車速パルス信号400とを見比べると、20km/hで走行している車両から送信される車速パルス信号が、10km/hで走行している車両から送信される車速パルス信号に含まれるパルスの2倍の数のパルスを含んでいることに加えて、前者に含まれる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さが、後者に含まれる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さの2分の1となっていることもわかる。
【0049】
従って、第1の実施形態のように例えば1秒間もパルスの数をカウントすることに代えて、1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求めることにより、その継続時間又は長さから車両が何km/hで走行しているのかを判別することができる。この手法によれば、短時間で車両の走行速度を判別することができ、より実際の車両走行速度に近い車速パルスを断続的(間欠的)にナビゲーションシステム120に入力させることができる。
【0050】
換言すれば、第2実施形態に係るテレビアダプター100は、車両から受信した車速パルス信号に含まれる少なくとも1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求め、1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さに基づき、第1期間Aに前記ナビゲーションシステムに送信すべきパルスの数と、1つのパルスの継続時間と、パルスの1周期の長さとのうちの少なくとも1つを計算するように構成することができる。テレビアダプター100は、ある車速であるときの1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを予め記憶し、求められた1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さが予め記憶された1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さの何倍であるかに基づき、上記計算を行ってよい。
【0051】
なお、求められる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さは、1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さの測定結果であってもよいし、複数のパルスの継続時間又はパルスの複数の周期の長さの測定結果を統計処理した値、例えば、平均値や最頻値、最大値、最小値であってもよい。
3 第3の実施形態
図1は、第3実施形態に係るブロック図でもある。但し、図1では、車速パルス信号の発生源133及びパーキング信号の発生源134が、テレビアダプター100のアナログ信号制御部112を介して、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に接続されているが、本実施形態においてこれは必須ではなく、従って、テレビアダプター100のアナログ信号制御部112も必須ではないことに留意されたい。
【0052】
上述した第1及び第2の実施形態の説明は、ナビゲーションシステム120が車速パルス信号に基づきテレビ視聴機能を無効にする場合を説明したが、ナビゲーションシステムは、CAN-BUS信号に基づきテレビ視聴機能を無効にする場合もある。
【0053】
CAN-BUS信号によれば、車両の走行速度は、パルスではなく、データ(以下、「車速データ」ともいう。)に変換されてナビゲーションシステム120に送信される。従来の手法では、車速データを受け取ったアダプターが、車両が走行中であっても、その受け取った車速データを停止中のデータに変換してナビゲーションシステム120に送信することにより、走行中であってもテレビの視聴を可能としていた。
【0054】
第1及び第2の実施形態と考え方は同じように、本開示の第3実施形態は、CAN-BUS信号の中の車速データを連続的に停止中のデータに変換するのではなく、断続的(間欠的)に停止中のデータに変換するものである。
【0055】
即ち、第3実施形態であるテレビアダプター100は、車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、該CAN-BUS信号をナビゲーションシステム120に送信する第1期間と、車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、車両が走行中でないこと又は停止中であることを示すCAN-BUS信号をナビゲーションシステム120に送信する第2期間とを(自動的に)交互に繰り返すように構成されたものである。
【0056】
図7は、第3実施形態であるアダプター100のCAN-BUS制御部110が実行する例示処理700のフローチャートである。なお、CAN-BUS制御部110は、マイクロプロセッサ等のコンピュータのハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現されるものであってよい。また、例示処理700は、テレビアダプター100の電源ONや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で開始してよく、テレビアダプター100の電源OFFや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で終了してよい。
【0057】
710は、車両からCAN-BUS信号を受信するステップを示している。
720は、上述した第2期間Bであるかを判定するステップを示している。判定する手法は任意であり、例えば、タイマを用いて所定の基準時点からの経過時間に基づき、現在が第2期間Bであるかを判定することができる。第2期間Bであると判定した場合、処理はステップ730に進み、そうでない場合、処理はステップ750に進む。
【0058】
730は、受信したCAN-BUSが、車両が走行中であることを示すかを判定するステップを示している。ステップ730は、受信したCAN-BUSが、車両が停止中でないことを示すかを判定するステップであってもよい。受信したCAN-BUSが、車両が走行中であることを示すと判定した場合、処理はステップ740に進み、そうでない場合、処理はステップ750に進む。
【0059】
740は、車両が走行中でないことを示すように、受信したCAN-BUS信号を変換するステップを示している。ステップ740は、車両が停止中であることを示すように、受信したCAN-BUS信号を変換するステップであってもよい。また、ステップ740は、対応するCAN-BUS信号を新たに生成するステップであってもよい。
【0060】
750は、CAN-BUS信号をナビゲーションシステム120に送信するステップを示している。ステップ720からステップ750に至った場合、ステップ710において受信したCAN-BUS信号と同じものがナビゲーションシステム120に送信され、ステップ740からステップ750に至った場合、ステップ740において変換されたCAN-BUS信号がナビゲーションシステム120に送信されることになる。
【0061】
例示処理700によれば、アダプター100は上述したように構成されることが理解されよう。
4 更なるの実施形態
上述した実施形態では、ナビゲーションシステム120は、受信した車速パルス信号においてパルスを検出等してから所定時間経過後にテレビ視聴機能を無効とするよう構成されているものであった。
【0062】
しかしながら、本開示は、受信した車速パルス信号においてパルスを検出等してから所定時間経過後に無効となる任意の機能を有するナビゲーションシステム120に対しても実施できることが理解されよう。
5 おわりに
以上、本開示の実施形態の幾つかの例を説明してきたが、これらは例示にすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。説明した実施形態についても、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の技術的範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
210…停車中の車速パルス信号の波形の一例である。
220…走行中の車速パルス信号の波形の一例である。
300…10km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号である。
400…20km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号である。
500…車両が10km/hで走行しているときにナビゲーションシステムに送信される例示車速パルス信号である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーションシステムに車速パルス信号を提供するためのアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムは、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間経過後に無効となるテレビ視聴機能を有し、
前記アダプターは、
車速パルス信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と送信しない第2期間とを交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短い
ように構成され
前記車両から車速パルス信号を受信し、
前記車両から受信した前記車速パルス信号において前記第1期間と前記第2期間とを合わせた期間に含まれる数のパルスが、前記第1期間内に送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成する
ように更に構成された、
アダプター。
【請求項2】
請求項に記載のアダプターであって、
前記第1期間の長さa及び前記第2期間の長さbは一定であり、
ある前記第2期間において、前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれるパルスの数cをカウントし、
ある前記第2期間の直後の前記第1期間内にc×(a+b)/bの数のパルスが送信されるように、前記ナビゲーションシステムに送信すべき前記車速パルス信号を生成する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項3】
請求項に記載のアダプターであって、
前記車両から受信した前記車速パルス信号に含まれる1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求め、
前記1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さに基づき、前記第1期間に前記ナビゲーションシステムに送信すべきパルスの数と、1つのパルスの継続時間と、パルスの1周期の長さとのうちの少なくとも1つを計算する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項4】
車両に搭載されたナビゲーションシステムにCAN-BUS信号を提供するためのアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムは、車両が走行中であること又は停止中でないことを、受信したCAN-BUS信号が示すことを検出してから所定時間経過後に無効となるテレビ視聴機能を有し、
前記アダプターは、
前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、該CAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第1期間と、
前記車両から、該車両が走行中であること又は停止中でないことを示すCAN-BUS信号を受信したときに、車両が走行中でないこと又は停止中であることを示すCAN-BUS信号を前記ナビゲーションシステムに送信する第2期間と
を交互に繰り返し、前記第1期間の長さは、前記所定時間より短い
ように構成された、
アダプター。