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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006330
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240110BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240110BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240110BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240110BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240110BHJP
   G02B 5/02 20060101ALN20240110BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20240110BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240110BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21S2/00 481
F21V5/00 320
F21V5/00 510
F21V5/00 530
F21V5/04 500
F21V5/04 650
F21V19/00 150
F21V19/00 170
G02F1/13357
G02B5/02 B
F21Y105:10
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107119
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 悠生
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K013
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA13
2H042BA18
2H391AA03
2H391AB04
2H391AC04
2H391AC10
2H391AC13
3K013BA01
3K013CA05
3K244AA01
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA19
3K244FA03
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】X方向およびY方向について異なる中心間距離で配列された複数の発光装置を有する面光源装置であって、帯状に暗部が生じることを抑制できる面光源装置および表示装置を提供すること。
【解決手段】X方向に配列された複数の発光装置の中心間距離をPxとし、Y方向に隣接する発光装置との中心間距離をPyとしたときに、Py/Px≧1.5を満たし、発光装置は、X方向に延び、Y方向に並んだ複数の溝を有し、溝は、溝の曲率が0となるように、またはY方向において、溝の曲率中心が前記入射面の中心よりも溝から離れて位置するように形成され、XY平面におけるX方向に平行で前記入射面の中心を通る仮想直線で分割される2つの平面のそれぞれにおいて、溝の曲率は、凹部の開口部の曲率よりも小さく、複数の溝は、傾斜面を有する面光源装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に複数配列され、かつ、前記X方向に垂直なY方向に複数配列された複数の発光装置を有する面光源装置であって、
前記X方向に配列された前記複数の発光装置のうち隣接する任意の2つの発光装置における中心間距離をPxとし、前記任意の発光装置のうちの1つの発光装置と前記Y方向に隣接する発光装置との中心間距離をPyとしたときに、Py/Px≧1.5を満たし、
前記複数の発光装置は、それぞれ、光源と、前記光源を覆うように配置された、前記光源からの光を制御するための光束制御部材と、を有し、
前記光束制御部材は、
前記光束制御部材の裏側に配置された凹部の内面である、前記光源からの光を入射させるための入射面と、
前記光束制御部材の裏側に、X方向に延び、Y方向に並んだ複数の溝と、
前記光束制御部材の表側に配置された、前記入射面で入射した光を外部に出射させる出射面と、
を有し、
前記溝は、前記溝の曲率が0となるように、またはY方向において、前記溝の曲率中心が前記入射面の中心よりも前記溝から離れて位置するように形成され、
XY平面におけるX方向に平行で前記入射面の中心を通る仮想直線で分割される2つの平面のそれぞれにおいて、前記溝の曲率は、前記凹部の開口部の曲率よりも小さく、
前記複数の溝は、それぞれ、前記光束制御部材の裏側から表側に向かうにつれて前記光源の光軸に近づくように傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面の角度は、XY平面に対して30°~60°である、
面光源装置。
【請求項2】
前記光束制御部材を底面視したときの前記入射面の外縁は、前記溝が沿う長円の長軸、または、前記溝が沿う直線に平行な長軸を有する長円であり、
前記光束制御部材を平面視したときの前記出射面の外縁は、前記溝が沿う前記長円の短軸、または、前記溝が沿う前記直線に垂直な長軸を有する長円である、
請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記発光装置は基板上に配置されており、前記基板は、X方向を長辺とし、短辺がPyより短い長方形状の基板であって、前記基板には、X方向に複数の発光装置が配列される、
請求項1に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記傾斜面の角度が前記XY平面に対して40°~60°である、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置、および当該面光源装置を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されている。また、発光素子は広い範囲に光を照射するために数多く配置されることがある。
【0003】
特許文献1は、第1方向、および第1方向に垂直な第2方向に配列された発光ダイオード上に配置される光束制御部材を開示している。なお、第1方向における光束制御部材の中心間距離は、第2方向における光束制御部材の中心間距離より大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0109762号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように第1方向における中心間距離と第2方向における中心間距離が異なるように配列された発光装置(光束制御部材)を有する面光源装置において光の品位が悪くなるという問題が生じることがある。この問題について図1を参照しつつ説明する。
【0006】
図1は、X方向、およびX方向に垂直なY方向に配列された複数の発光装置1を有する面光源装置10の概略図である。なお、発光装置1のY方向における中心間距離PyはX方向における中心間距離Pxより大きい。また、発光装置1は、光源と、当該光源からの光の配光を制御するための光束制御部材(レンズ)を有する。また、複数の発光装置1を覆うように光拡散板(不図示)が配置されている。
【0007】
たとえば、図1に示すように、面光源装置10において、図中で最も上側に位置する8つの発光装置1のみを発光させると、X方向に沿って延び、Y方向に離間した複数の帯状の暗部2が、発光させていない発光装置1の上に生じやすい。これは、発光させた発光装置1からの光が面光源装置10の底板に到達した場合、発光装置1が配置されていない領域では光拡散板に向けて光をよく反射させるのに対し、発光装置1が配置されている領域では光をあまり反射させないためと考えられる。
【0008】
本発明の目的は、X方向およびY方向について異なる中心間距離で配列された複数の発光装置を有する面光源装置であって、帯状に暗部が生じることを抑制できる面光源装置および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の面光源装置および表示装置に関する。
[1]X方向に複数配列され、かつ、前記X方向に垂直なY方向に複数配列された複数の発光装置を有する面光源装置であって、前記X方向に配列された前記複数の発光装置のうち隣接する任意の2つの発光装置における中心間距離をPxとし、前記任意の発光装置のうちの1つの発光装置と前記Y方向に隣接する発光装置との中心間距離をPyとしたときに、Py/Px≧1.5を満たし、前記複数の発光装置は、それぞれ、光源と、前記光源を覆うように配置された、前記光源からの光を制御するための光束制御部材と、を有し、前記光束制御部材は、前記光束制御部材の裏側に配置された凹部の内面である、前記光源からの光を入射させるための入射面と、前記光束制御部材の裏側に、X方向に延び、Y方向に並んだ複数の溝と、前記光束制御部材の表側に配置された、前記入射面で入射した光を外部に出射させる出射面と、を有し、前記溝は、前記溝の曲率が0となるように、またはY方向において、前記溝の曲率中心が前記入射面の中心よりも前記溝から離れて位置するように形成され、XY平面におけるX方向に平行で前記入射面の中心を通る仮想直線で分割される2つの平面のそれぞれにおいて、前記溝の曲率は、前記凹部の開口部の曲率よりも小さく、前記複数の溝は、それぞれ、前記光束制御部材の裏側から表側に向かうにつれて前記光源の光軸に近づくように傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜面の角度は、XY平面に対して30°~60°である、面光源装置。
[2]前記光束制御部材を底面視したときの前記入射面の外縁は、前記溝が沿う長円の長軸、または、前記溝が沿う直線に平行な長軸を有する長円であり、前記光束制御部材を平面視したときの前記出射面の外縁は、前記溝が沿う前記長円の短軸、または、前記溝が沿う前記直線に垂直な長軸を有する長円である、[1]に記載の面光源装置。
[3]前記発光装置は基板上に配置されており、前記基板は、X方向を長辺とし、短辺がPyより短い長方形状の基板であって、前記基板には、X方向に複数の発光装置が配列される、[1]に記載の面光源装置。
[4]前記傾斜面の角度が前記XY平面に対して40°~60°である、[1]に記載の面光源装置。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の面光源装置を有する、表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯状に暗部が生じることを抑制できる面光源装置および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、従来の面光源装置の問題点を説明するための図である。
図2図2A、Bは、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図4図4A~Fは、実施の形態1に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5A~Fは、実施の形態2に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図6図6A~Dは、それぞれ、変形例に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図7図7A、Bは、変形例に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図8図8は実施の形態1に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図9図9A~Dは、比較例および実施の形態2に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図10図10A~Eは、比較例および変形例に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図11図11A~Dは、比較例および変形例に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図12図12A~Dは、比較例および変形例に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図13図13A~Dは、比較例および変形例に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
図14図14A、Bは、参考例に係る面光源装置の照度分布のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される表示部材102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる(図2B参照)。
【0013】
[実施の形態1]
(面光源装置および発光装置の構成)
図2A、2B、図3は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。図2Aは、平面図であり、図2Bは、正面図である。図3は、図2Bに示されるA-A線の断面概略図であり、発光装置200の配置の概略を示す。
【0014】
図2A~3に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110、複数の発光装置200および光拡散板120を有する。複数の発光装置200は、筐体110の底板112上に格子状(マトリックス状)に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。
【0015】
図3に示されるように、発光装置200は、基板210上に固定されている。基板210は、筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。発光装置200は、発光素子220および光束制御部材300を有している。なお、発光素子220は、光束制御部材300の下に配置されるため、本来見えないが、図3では説明のために発光素子220を示している。
【0016】
図3に示されるように、本実施の形態において、複数の発光素子220および複数の光束制御部材300は、いずれも格子状にかつ互いに離間して配置されている。すなわち、複数の発光装置200は、いずれも格子状にかつ互いに離間して配置されている。具体的には、本実施の形態においては、複数の発光装置200は、X方向に等間隔に配列され、かつ、X方向に垂直なY方向にも等間隔に配列されている。このとき、複数の発光装置200は、X方向における中心間距離とY方向における中心間距離とが異なるように配列されている。すなわち、図3に示されるように、X方向における複数の発光装置200の中心間距離をPxとし、Y方向における複数の発光装置200の中心間距離をPyとしたときに、PyがPxより大きくなるように複数の発光装置200は配列されている。なお、(Py/Px)≧1.5であることが好ましく、(Py/Px)≧2であることがより好ましく、(Py/Px)≧3であることが特に好ましい。なお、図3では、発光装置200はX方向に等間隔に配置され、さらに、Y方向に等間隔に配置されているが、配置のされ方はこれに限定されない。X方向に配列された複数の発光装置のうちの一部は等間隔でなくてもよいし、Y方向に配列された複数の発光装置のうちの一部は等間隔でなくてもよい。たとえば、面光源装置の端部等の暗くなりやすい部分は発光装置の間隔が狭くなってもよい。
【0017】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。また、発光素子220の種類は、特に制限されないが、天面および側面から光を出射する発光素子220(例えば、COB型発光ダイオード)などが、本実施の形態に係る発光装置200において好適に用いられる。発光素子220のサイズは、特に制限されないが、0.1mm~1.0mmであることが好ましい。また、0.1mm~0.3mmであることがより好ましい。また、基板210は、X方向を長辺とし、短辺がPyより短い長方形状の基板であって、基板には、X方向に複数の発光装置が配列される。このようにX方向を長辺とする複数の基板が、Y方向に離間して複数配列される。あるいは、Y方向を長辺とする複数の基板が、X方向に離間して複数配置されていてもよい。
【0018】
光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御する光学部材であり、基板210上に固定されている。この後説明するように、光束制御部材300は、入射面310を有し、光束制御部材300は、入射面310の中心軸CAが各発光素子220の光軸LAに一致するように、複数の発光素子220の上に配置されている。なお、「発光素子220の光軸LA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子220が実装された基板210と光束制御部材300の裏面との間には、発光素子220から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0019】
光束制御部材300は、一体成形により形成されている。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0020】
本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300については、別途詳細に説明する。
【0021】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの表示部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0022】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散板120の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材300から出射された光は、さらに光拡散板120により拡散される。光拡散板120に到達した光の大部分は光拡散板120を透過するが、一部は光拡散板120で反射される。光拡散板120で反射された光の大部分は、拡散反射面として機能する底板112の内面または基板210で反射して光拡散板120に再度向かう。光拡散板120で反射された光の一部は、光束制御部材300の表側の面または裏側の面で反射して光拡散板120に再度向かう。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の表示部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。なお、面光源装置100の底板112には反射部材(反射シート)が配置されていることが好ましい。
【0023】
(光束制御部材の構成)
図4Aは本実施の形態に係る光束制御部材300の表側からみた斜視図であり、図4Bは裏側からみた斜視図であり、図4Cは平面図であり、図4Dは底面図であり、図4Eは正面図であり、図4Fは側面図である。以下、本実施の形態に係る光束制御部材300の構成について説明する。
【0024】
本実施の形態に係る光束制御部材300は、基板210上に配置された複数の発光素子220から出射された光の配向を制御するための光束制御部材300であって、光束制御部材300を平面視したときに長軸および短軸を有する略長円形状である。なお、本明細書において「長円」とは、互いに異なる長さでかつ互いに垂直な2つの対称軸を有する、楕円に似た曲線を意味する。長円の例には、楕円、オーバル、角丸長方形などが含まれる。2つの対称軸のうち長い方の軸を「長軸」と称し、短い方の軸を「短軸」と称する。光束制御部材300は、光束制御部材の長円の長軸がY方向に平行になり、短軸がX方向に平行になるように配置される。
【0025】
光束制御部材300は、入射面310と、出射面320、複数の溝330、脚部340とを有する。以下、それぞれについて説明する。
【0026】
入射面310は、光束制御部材300の裏側に配置され、発光素子220と対向する位置に形成されている凹部の内面である。入射面310は、発光素子220から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。入射面310は、発光素子220の光軸LAと交わる。光束制御部材300を底面視したときに、入射面310の外縁は、長軸および短軸を有する長円である。2つの対称軸の交点を通り、XY平面に垂直な軸が入射面310の中心軸である。本実施の形態において、当該中心軸と光軸LAとが一致するように、光束制御部材300は配置される。入射面310の形状は、特に限定されず、入射面310で入射した光が出射面320に向かうように設計される。本実施の形態では、入射面310の中心軸を通る断面形状は、光束制御部材の裏側から表側に近づくにつれて発光素子220の光軸LAからの距離が徐々に短くなるような形状(砲弾形状)である。図4Dに示されるように、入射面310は、入射面の長円の長軸がX方向に平行になり、短軸がY方向に平行になるように配置される。
【0027】
なお、光束制御部材300を底面視したときに、入射面310と溝330との間には、入射面310を取り囲むように平面部311が配置されている。平面部311により、入射面310と溝330とが連続しないようになっている。なお、当該平面部311はXY平面に平行な面である。光束制御部材300が、このような平面部311を有すると、光束制御部材300を成形するための成形型を駒割りしやすくなり、光束制御部材300を成形しやすくなる。
【0028】
出射面320は、入射面310で入射した光が出射する面である。図4Cに示されるように、出射面320を平面視したときに、出射面320の外縁は、長軸および短軸を有する長円である。出射面320は、前記長円の長軸がY方向に平行になり、短軸がX方向に平行になるように配置される。なお、図4E、Fに示されるように、出射面320は、正面視、側面視したときに長円を半分にした形状である。
【0029】
複数の溝330は、面光源装置100の他の発光装置200から出射されて光束制御部材300内に入射した光を光拡散板120に向かって反射させる反射部として機能する。すなわち、溝330は、前述のX方向に沿う帯状の暗部2の発生を抑制することに寄与する。溝330は、この機能を発揮できるように構成されていることが好ましい。
【0030】
上記の機能を発揮できるように、本実施の形態において、溝330は、図4Fに示されるように、光束制御部材300の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面331を有する。傾斜面331の角度は、XY平面(底板112の内面または基板210の表面)に対して30°~60°であることが好ましく、40°~60°であることがさらに好ましい。このようにすることで、傾斜面331は、他の発光装置200から出射されて光束制御部材300内に入射した光を光拡散板120の光束制御部材300の近くの領域に向けて効果的に反射することができ、暗部の発生を抑制することできる。
【0031】
また、図4Dに示されるように、X方向に延び、Y方向に並ぶように配置される。また、溝330は、Y方向において、溝330の曲率中心が入射面310の中心よりも溝330から離れて位置するように形成される。また、溝330は、XY平面におけるX方向に平行で入射面310の中心を通る仮想直線で分割される2つの平面のそれぞれにおいて、前記溝の曲率は、前記凹部の開口部の曲率よりも小さい。具体的には、本実施の形態において、図4Dに示されるように、溝330は長軸および短軸を有する長円に沿うように配置される。溝330が沿う長円の長軸はX方向に平行になり、短軸はY方向に平行になるように配置される。溝330がこのような長円に沿うように配置されることで、溝330の傾斜面331が効果的に光を反射することができる。
【0032】
また、本実施の形態において、複数の溝330は、図4Dに示されるように、光束制御部材300の裏側に入射面310を取り囲むように配置されている。なお、本実施の形態において、複数の溝のそれぞれが沿う複数の長円は互いに相似であり、長軸と短軸との比である(Gx/Gy)はいずれも同じである。
【0033】
また、本実施の形態において、溝330は、図4Fに示されるように、傾斜面331の他に、XY平面に垂直な垂直面332を有する。また、傾斜面331と垂直面332との間は、稜線333である。本実施の形態において、傾斜面331、垂直面332は、光束制御部材300の短手方向の一端から他端まで延びる曲面であり、稜線333は光束制御部材300の短手方向の一端から他端まで延びる曲線である。
【0034】
脚部340は、光束制御部材300の裏側に配置される。本実施の形態においては、光束制御部材300は脚部340を介して基板に設置される。本実施の形態において、脚部340は4つであり、底面視したときに円形である。
【0035】
(効果)
本実施の形態に係る面光源装置および表示装置によれば、長円に沿うように配置された複数の溝が有する傾斜面によって、暗部が生じることを抑制できる。
【0036】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る面光源装置は、実施の形態2に係る光束制御部材400を有しており、光束制御部材400の構成のみが実施の形態1の面光源装置と異なる。以下、光束制御部材400を、図5A~Fを参照しつつ説明する。光束制御部材400において、光束制御部材300と同様の構成については同様の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図5Aは光束制御部材400の表側からみた斜視図であり、図5Bは裏側からみた斜視図であり、図5Cは平面図であり、図5Dは底面図であり、図5Eは正面図であり、図5Fは側面図である。図5Cに示されるように、光束制御部材400は平面視したときに、長軸と短軸とを有する略長円である。光束制御部材400は溝430を有し、溝430の構成のみが光束制御部材300と異なる。以下、この点について説明する。
【0038】
溝430は図5Dに示されるように、X方向に延び、Y方向に並ぶように配置される。具体的には、溝430は直線に沿うように配置されており、当該直線はX方向に平行に配置されている。溝430は、図5Fに示されるように、光束制御部材400の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面431を有する。また、傾斜面431の角度は、XY平面に対して30°~60°であることが好ましく、40°~60°であることがさらに好ましい。このようにすることで、傾斜面331は、他の発光装置200から出射されて光束制御部材300内に入射した光を光拡散板120の光束制御部材300の近くの領域に向けて効果的に反射することができ、暗部の発生を抑制することできる。
【0039】
また、溝430は、XY平面に垂直な垂直面432を有する。また、溝430において、傾斜面431と垂直面432との間は稜線433である。本実施の形態において、溝430の傾斜面431および垂直面432は直線に沿って光束制御部材400の短手方向の一端から他端まで延びる平面である。また、稜線433は、光束制御部材400の短手方向の一端から他端まで延びる直線である。
【0040】
なお、上記のように光束制御部材400の溝430は直線に沿うように配置されるが、これは、溝430は、その曲率が0となるように形成されていることと同義である。また、これは、長円の長軸の長さGxと短軸の長さGyの比である(Gx/Gy)が無限大になった場合に相当すると考えることもできる。
【0041】
(効果)
本実施の形態に係る面光源装置および表示装置によれば、直線に沿うように配置された複数の溝が有する傾斜面によって、暗部が生じることを抑制できる。
【0042】
[変形例]
図6A~Dは、変形例に係る面光源装置の光束制御部材を示す。図6A図6Dは、それぞれ光束制御部材の側面図である。変形例に係る面光源装置の光束制御部材は、溝の構成が光束制御部材400と異なるので、以下、この点について説明する。なお、同様の点についてはその説明を省略する。
【0043】
図6Aに示される変形例1に係る光束制御部材500は、複数の溝530を有する。溝530は、光束制御部材500の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面531と、光軸LAから遠ざかるように傾斜する傾斜面532とを有する。なお、溝530は、X方向に平行な直線に沿う溝であるが、実施の形態1と同様に長円に沿う溝としてもよい。
【0044】
図6Bに示される変形例2に係る光束制御部材600は、複数の溝630と複数の溝640とを有する。溝630は、光束制御部材600の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面631と、光軸LAから遠ざかるように傾斜する傾斜面632とを有する。一方、溝640は、互いに対向するXY平面に垂直な垂直面641a、641bと、XY平面に平行な水平面642とを有する。なお、水平面642は、溝640の最奧部において、垂直面641aと641bとの間に位置する。なお、溝630および溝640は、X方向に平行な直線に沿う溝であるが、実施の形態1と同様に長円に沿う溝としてもよい。
【0045】
図6Cに示される変形例3に係る光束制御部材700は、複数の溝730を有する。溝730は、光束制御部材700の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面731と、光軸LAから遠ざかるように傾斜する傾斜面732とを有する。また、複数の溝730は互いに離間して配置されている。なお、溝730は、X方向に平行な直線に沿う溝であるが、実施の形態1と同様に長円に沿う溝としてもよい。また、2つの溝730の間の面は、XY平面に平行である。
【0046】
図6Dに示される変形例4に係る光束制御部材800は、複数の溝830と複数の溝840とを有する。溝830は光束制御部材800の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAに近づくように傾斜する傾斜面831と、XY平面に垂直な垂直面832とを有する。一方、溝840は光束制御部材800の裏側から表側に向かうにつれて光源の光軸LAから遠ざかるように傾斜する傾斜面841と、XY平面に垂直な垂直面842とを有する。溝830は、光源の光軸LAを挟んでY方向の一方の側に配置され、溝840は、Y方向の他方の側に配置される。なお、溝830、840は、X方向に平行な直線に沿う溝であるが、実施の形態1と同様に長円に沿う溝であってもよい。
【0047】
[その他の変形例]
上記の実施の形態1、2および各変形例では、1つの光束制御部材が1つの独立した部材である例を説明したが、本実施の形態に係る面光源装置において使用される光束制御部材は、これに限定されない。
【0048】
図7A、Bは、複数の光束制御部材300がフランジ部350によって接続されて一体になっている例を示す。なお、図7Aは、平面図であり、図7Bは正面図である。複数の光束制御部材が一体になっていることで、複数の発光素子220上に複数の光束制御部を配置することが容易になり、実装が容易になる。
【0049】
[シミュレーション]
以下に照度分布のシミュレーション結果を示す。シミュレーションは、図1に示されるように、X方向に並んだ複数の発光装置を1列としたときに、4列の中で図中最上列の8つの発光装置のみを点灯するという条件で行った。また、(Py/Px)は3.2という条件で行った。
【0050】
図8は、溝が長円に沿って配置され、(Gx/Gy)は3.2という条件の実施の形態1に係る光束制御部材300を用いたときの照度分布である。なお、当該実施例の光束制御部材において、傾斜面331の傾斜角度はXY平面に対して35°とした。図8から暗部2(特に2列目の暗部2)の発生が抑制されていることがわかる。
【0051】
図9A~Dは、実施の形態2に係る光束制御部材400を用い、傾斜面431の角度を、それぞれ、25°、35°、45°、55°としたときの照度分布のシミュレーション結果を示す。図9A~Dを比較すると、図9B、C(角度35°、45°)の方が、図9A、D(角度25°、55°)より暗部2の発生が抑制されていた。
【0052】
図10A~Eは、変形例1に係る光束制御部材500を用い、傾斜面531および532の角度を、それぞれ、25°、35°、45°、55°、65°としたときの照度分布のシミュレーション結果を示す。図10A~Eを比較すると、図10B、C、D(角度35°、45°、55°)の方が、図10A、E(角度25°、65°)より暗部2の発生が抑制されていた。
【0053】
図11A~Dは、変形例2に係る光束制御部材600を用い、傾斜面631および632の角度を、25°、35°、45°、55°としたときの照度分布のシミュレーション結果を示す.図11A~Dを比較すると、図11B、C、D(角度35°、45°、55°)の方が、図11A(25°)より暗部2の発生が抑制されていた。
【0054】
図12A~Dは、変形例3に係る光束制御部材700を用い、傾斜面731および732の角度を25°、35°、45°、55°としたときの照度分布のシミュレーション結果を示す。図12A~Dを比較すると、図12B、C、D(角度35°、45°、55°)の方が、図12A(角度25°)より暗部2の発生が抑制されていた。
【0055】
図13A~Dは、変形例4に係る光束制御部材800を用い、傾斜面831の角度を25°、35°、45°、55°としたときの照度分布のシミュレーション結果を示す。なお、光束制御部材800は、傾斜面831が、上記の図1の最上列側に向くように配置した。図13A~Dを比較すると、図13A~D(角度25°、35°、45°、55°)のいずれも暗部の発生を抑制することができたが、図13B、C(角度35°、45°)がより暗部の発生を抑制することできた。
【0056】
表1は、参考例A~Dの面光源装置において、Py/Pxの値を変化させたときの暗部の発生についてのシミュレーション結果を示す。なお、図14Aは参考例Aの照度分布を示し、図14Bは参考例Dの照度分布を示す。評価基準は、A:帯状の暗部が目立たない、B:帯状の暗部がやや目立つ、C:帯状の暗部が目立つ、D:帯状の暗部がかなり目立つとした。
【0057】
【表1】
【0058】
表1、図14A、Bからわかるように、Py/Pxが1より大きくなるほど帯状の暗部2が目立つようになった。このことから、帯状の暗部の発生を抑制することができる本発明は、Py/Pxの値が1.5以上のときに特に有用であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10、100 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
112 底板
114 天板
120 光拡散板
1、200 発光装置
210 基板
220 発光素子
300、400、500、600、700、800 光束制御部材
310 入射面
311 平面部
320 出射面
330、430、530、630、640、730、830、840 溝
331、431、531、532、631、632、731、732、831、841 傾斜面
332、432、641a、641b、832、842 垂直面
333、433 稜線
340 脚部
350 フランジ部
642 水平面
LA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14