(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063312
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】描画制御装置および描画制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171133
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 健
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA30
3K339CA30
3K339DA05
3K339EA06
3K339EA10
3K339FA02
3K339FA03
3K339FA20
3K339HA01
3K339JA21
3K339KA01
3K339KA06
3K339KA27
3K339LA06
3K339MA01
3K339MA03
3K339MA04
3K339MA07
3K339MB05
3K339MC02
3K339MC25
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC85
3K339MC88
3K339MC92
(57)【要約】
【課題】二輪車等を追い抜く後方他車両に、適切な追い抜きを行わせること。
【解決手段】描画制御装置20Bは、自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する走行路情報取得部28Aと、自車両が、車道の路側を走行していることを検出する走行区分検出部24と、自車両が道路の車道を走行している場合、道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる描画制御部27と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する走行路情報取得部と、
自車両が、前記車道の路側を走行していることを検出する走行区分検出部と、
前記自車両が前記道路の車道を走行している場合、前記道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる描画制御部と、
を備える、描画制御装置。
【請求項2】
前記描画制御部は、前記走行路情報取得部が取得した前記道路における車道の幅が狭いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させる、
請求項1に記載の描画制御装置。
【請求項3】
前記自車両の後方から前記自車両と同一方向に走行している後方他車両を検出する他車両検出部をさらに備え、
前記描画制御部は、前記後方他車両が検出されている場合、前記自車両の周囲の路面に映像を描画させる、
請求項1または2に記載の描画制御装置。
【請求項4】
前記他車両検出部が検出した、前記後方他車両の情報を取得する他車両情報取得部をさらに備え、
前記描画制御部は、前記道路における車道の幅を示す情報に加えて、前記後方他車両の情報に基づいて描画範囲を変更する、
請求項3に記載の描画制御装置。
【請求項5】
自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する走行路情報取得ステップと、
自車両が、前記車道の路側を走行していることを検出する走行区分検出ステップと、
前記自車両が前記道路の車道を走行している場合、前記道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる描画制御ステップと、
を描画制御装置が実行する描画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画制御装置および描画制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車などの二輪車は、車道の路側を走行することが多い。そのため、二輪車の後方から接近する車両が二輪車を追い抜く際に、車両の速度や大きさによっては、危険な状態が生じる。二輪車が路面に情報を投影することで、安全性を向上させる技術が知られている。二輪車等から、経路に関する情報を路面に投影する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。二輪車を追い抜く車両側において、二輪車を追い抜く経路を表示する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-090318号公報
【特許文献2】特開2021-149291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に追い抜かれる二輪車においては、追い抜き時の間隔が適度に保たれていても、追い抜かれる際の車両の速度や車両の大きさによっては、恐怖を感じる場合や、風圧の影響を受ける場合もある。特許文献1、特許文献2に記載の技術においては、このような状況への対応は考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、二輪車等を追い抜く後方他車両に、適切な追い抜きを行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る描画制御装置は、自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する走行路情報取得部と、自車両が、前記車道の路側を走行していることを検出する走行区分検出部と、前記自車両が前記道路の車道を走行している場合、前記道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる描画制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る描画制御方法は、自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する走行路情報取得ステップと、自車両が、前記車道の路側を走行していることを検出する走行区分検出ステップと、前記自車両が前記道路の車道を走行している場合、前記道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる描画制御ステップと、を描画制御装置が実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二輪車等を追い抜く後方他車両に、適切な追い抜きを行わせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第二実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第三実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第四実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第四実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第五実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第五実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第五実施形態に係る描画装置における処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る描画制御装置および描画制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
<描画装置>
図1は、第一実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。描画装置10は、自車両に搭載されている。描画装置10は、自車両に載置されているものに加えて、可搬型で自車両において利用可能な装置であってもよい。描画装置10は、例えば、四輪車である他車両が自車両の後方に位置するときに、後方他車両に対して自車両の周囲の描画範囲に描画を行う。後方他車両とは、後続他車両と言い換えてもよい。
【0012】
自車両とは、例えば、オートバイ(特に原動機付自転車や小型二輪車)、自転車等の軽系車両、電動キックスケータなど、公道走行時に車道の路側帯を走行する車両であり、二輪車とも呼ばれるが、厳密な車輪数は問わない。対象となる自車両は、上述したように、公道における路側を、一般的な自動車より遅い速度で走行するような車両である。
【0013】
他車両とは、自車両が走行している車線と同一車線を同一方向に走行している車両である。同一車線の走行とは、自車両と他車両とが、車両境界線で区切られた同一の車両通行帯を走行していることを意味する。
【0014】
描画装置10は、カメラ11と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部12と、描画部15と、描画制御装置20とを有する。
図1に示す地図情報記憶部13および車両検出モデル14は、描画装置10が備えるメモリ等の記憶媒体に記憶されていてもよく、図示しない通信部を介し、外部のサーバ等に記憶されている情報を参照可能としてもよい。描画装置10は、描画部15を備えた専用の装置であってもよく、GNSS受信部12および位置情報取得部22、地図情報記憶部13および地図情報取得部23、走行区分検出部24などの一部の構成および機能は、スマートフォンなどの他の装置の機能および構成を利用してもよい。
【0015】
カメラ11は、自車両の後方を含む範囲を撮影する。カメラ11は、複数配置されていてもよい。本実施形態では、カメラ11は、自車両の後方に配置され、自車両の後方を中心とした周辺の映像データを撮影する。映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。カメラ11は、撮影した映像データを描画制御装置20の撮影制御部21へ出力する。
【0016】
GNSS受信部12は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部12は、受信したGNSS信号を位置情報取得部22に出力する。
【0017】
地図情報記憶部13は、道路の情報を含む地図情報を記憶する。地図情報記憶部13は、例えば、道路の車道、歩道および路側の情報を含む道路の情報を記憶する。地図情報記憶部13は、例えば、道路の車道の幅の情報を含む道路の情報を記憶してもよい。地図情報記憶部13は、一例としては自車両に搭載された他のシステムと共用するものである。
【0018】
車両検出モデル14は、カメラ11によって撮影された映像から、車両を検出するための学習済みのモデルである。車両検出モデル14は、ディープラーニングにより、入力された教師データから生成される。ディープラーニングの方法、学習モデルの生成方法は、公知の方法を使用可能であり限定されない。車両検出モデル14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの半導体メモリ素子、ネットワークを介した外部記憶装置などの記憶装置に記憶されていてもよい。
【0019】
描画部15は、自車両の周辺の路面に映像を描画させる。描画部15は、例えば、レーザ光源を使用したプロジェクタ、または、液晶表示素子を使用したプロジェクタなどである。描画部15は、路面に描画可能なものであればよく限定されない。描画部15は、描画制御装置20の描画制御部27が出力した制御信号に基づいて、映像を投射する。
【0020】
<描画制御装置>
描画制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や映像処理用プロセッサなどで構成された演算処理装置である。描画制御装置20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。描画制御装置20は、撮影制御部21と、位置情報取得部22と、地図情報取得部23と、走行区分検出部24と、他車両検出部25と、他車両情報取得部26と、描画制御部27とを有する。描画制御装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは描画制御装置20におけるデータの一時記憶などに用いられる。描画制御装置20は、一または複数の装置で構成されていてもよい。
【0021】
撮影制御部21は、カメラ11を制御して、自車両の後方を含む範囲を撮影して映像データを取得する。より詳しくは、撮影制御部21は、描画装置10が起動している間、常時、カメラ11による撮影を行い、映像データを取得する。撮影制御部21は、カメラ11が出力した映像データを取得して、走行区分検出部24および他車両検出部25に出力する。
【0022】
位置情報取得部22は、自車両の現在位置を示す現在位置情報を取得する。より詳しくは、位置情報取得部22は、GNSS受信部12が受信したGNSS信号から、公知の方法により現在位置情報を取得する。
【0023】
地図情報取得部23は、現在位置に対応する地図情報を取得する。より詳しくは、地図情報取得部23は、地図情報記憶部13が記憶した地図情報に基づいて、位置情報取得部22により取得された現在位置に対応する地図情報を取得する。
【0024】
走行区分検出部24は、自車両が、車道の路側を走行していることを検出する。より詳しくは、走行区分検出部24は、位置情報取得部22が取得した現在位置と、地図情報取得部23が取得した現在位置に対応する地図情報とに基づいて、自車両の現在位置が道路の路側であることを検出する。
【0025】
道路の路側とは、例えば、オートバイ、自転車、電動キックスケータなどの車両が走行するための路側帯、または、道路の側方端部の1m程度のことをいう。ここでは、車両の走行区分と路側帯とを区別する車線の有無は問わない。
【0026】
路側であることの判定は、例えば、現在位置情報の誤差が数cm以上十数cm以下程度であることを前提として、自車両の現在位置が地図上の道路の延伸方向に沿って移動しており、自車両の現在位置が歩道ではない車道の路側であることを示す場合に、路側であると判定してもよい。
【0027】
路側であることの判定は、例えば、自車両の現在位置が地図上における歩道のない道路の延伸方向に沿って移動していることを示す場合に、路側であると判定してもよい。この場合は、現在位置情報の誤差は数十cm程度であっても問題ない。
【0028】
他車両検出部25は、自車両の後方から自車両と同一方向に走行している後方他車両を検出する。本実施形態では、他車両検出部25は、撮影制御部21によって取得された映像から、車両検出モデル14を用いて後方他車両を検出する。他車両検出部25は、特に、映像において車両前方が撮影された他車両を後方他車両として検出する。他車両検出部25は、検出した後方他車両を追尾する。他車両検出部25は、例えば、自車両から100m程度後方までに存在する後方他車両を検出できればよい。
【0029】
他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した後方他車両の走行速度を示す情報を取得する。より詳しくは、他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した後方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさの推移から、後方他車両の走行速度、または自車両と後方他車両との走行速度差を推定する。この場合、他車両情報取得部26は、自車両の走行速度情報も取得することで、後方他車両の走行速度、または自車両と後方他車両との走行速度差を推定する。
【0030】
描画制御部27は、自車両の側方または後方の路面に光束を照射することで、映像を描画する。この場合の映像とは、単に路面における所定の範囲に光束が照射されているのみであることも含む。言い換えると、描画制御部27は、自車両の側方または後方の路面の所定範囲に光を投射する。より詳しくは、描画制御部27は、例えば、レーザ走査などの描画手法により描画部15を制御して、他車両情報取得部26が取得した情報に応じた描画範囲の映像を路面に描画させる。描画制御部27は、追尾している後方他車両が検出されなくなったら、言い換えると、後方他車両が存在しなくなったら、描画範囲の映像描画を終了する。
【0031】
描画範囲は、走行中の自車両の周囲において、他車両の立ち入りを抑制したい範囲である。描画範囲は、例えば、楕円形、矩形、台形、三角形などの任意の形状の図形である。描画範囲は、例えば、図形のうち、自車両から最も離れた辺を示す線でもよい。描画範囲は、自車両に対し、後方他車両が追い抜く側の横方向、自車両の後方、および、自車両の前方の少なくともいずれかを含む。
【0032】
描画制御部27は、他車両情報取得部26が取得した後方他車両の走行速度に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる。より詳しくは、後方他車両の走行速度に応じて描画範囲を規定の広さより広くして、自車両の周囲の路面に映像を描画させる。
【0033】
本実施形態では、描画制御部27は、他車両情報取得部26が取得した後方他車両の走行速度が速いほど、または、自車両の走行速度に対する後方他車両の走行速度が速いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。描画制御部27は、例えば、後方他車両の走行速度が閾値以上である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の走行速度の閾値は、例えば、40km/h程度としてもよい。走行速度の閾値は、自車両が路側を走行するときの速度より速い速度が設定される。描画制御部27は、例えば、自車両の走行速度に対する後方他車両の走行速度、すなわち、走行速度差が閾値以上である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の走行速度差の閾値は、例えば、20km/h程度としてもよい。
【0034】
本実施形態では、描画制御部27は、自車両に対し、後方他車両が追い抜く側の横方向、自車両の後方、および、自車両の前方の少なくともいずれかに対して、範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。
【0035】
範囲を広くするとは、例えば、自車両の後方に対する描画範囲(以下、後方描画範囲)の場合、自車両の進行方向に沿った描画範囲の長さを後方に延伸するように長くすることである。範囲を広くするとは、例えば、自車両の側方に対する描画範囲(以下、側方描画範囲)の場合、自車両の側方における描画範囲の幅を自車両から離間するように広くすることである。
【0036】
図2は、描画範囲を説明する図である。
図2に示す道路Rd1は、センターラインCL1が引かれた、片側1車線の道路である。自車両である二輪車Msは、道路Rd1の路側Rs1を走行している。二輪車Msの走行する車線の左側方には、歩道Sw1が設けられている。二輪車Msの後方には、二輪車Msと同一方向に走行している後方他車両V1が存在する。この場合、二輪車Msに搭載された描画部15により、二輪車Msの側方に側方描画範囲Irs1を描画し、後方に後方描画範囲Irr1を描画する。例えば、後方他車両の走行速度が閾値未満である場合、
図2に示す側方描画範囲Irs1および後方描画範囲Irr1を描画する。側方描画範囲Irs1および後方描画範囲Irr1を、規定描画範囲という。
【0037】
図3は、描画範囲を説明する図である。
図3では、二輪車Msの後方には、二輪車Msと同一方向に走行している後方他車両V2が存在する。この場合、二輪車Msに搭載された描画部15により、二輪車Msの側方に側方描画範囲Irs2を描画し、後方に後方描画範囲Irr2を描画する。側方描画範囲Irs2は、側方描画範囲Irs1より広い。側方描画範囲Irs2は、側方描画範囲Irs1より右方向に広い。後方描画範囲Irr2は、後方描画範囲Irr1より広い。後方描画範囲Irr2は、後方描画範囲Irr1より後方に長い。例えば、後方他車両の走行速度が閾値以上である場合、
図3に示す側方描画範囲Irs2および後方描画範囲Irr2を描画する。
【0038】
図2および
図3は、左側通行の道路として路側が車線の左側である場合について説明した図であるが、右側通行の道路の場合、左右が逆になるとともに、側方描画範囲Irs2も右方向に広くなる。
【0039】
<描画制御装置における処理>
次に、
図4を用いて、描画装置10の描画制御装置20における処理の流れについて説明する。
図4は、第一実施形態に係る描画装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示す処理は、描画制御装置20が動作している期間や、描画制御装置20を搭載している二輪車等の車両が動作している期間は、繰り返し実行される。
【0040】
描画装置10の起動中、描画制御装置20は、撮影制御部21によって、カメラ11により撮影を行い、撮影した映像データを取得する。
【0041】
描画制御装置20は、自車両が車道の路側を走行中であるか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、位置情報取得部22が取得した現在位置情報と、地図情報取得部23が取得した現在位置に対応する地図情報とに基づいて、自車両の現在位置が車道の路側であることを検出する。描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、路側を走行中であると判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS102へ進む。描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、路側を走行中であると判定しない場合(ステップS101でNo)、本処理を終了する。
【0042】
路側を走行中であると判定する場合(ステップS101でYes)、描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両を検出したか否かを判定する(ステップS102)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両検出部25によって、撮影制御部21によって取得された映像から、車両検出モデル14を用いて後方他車両を検出する。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両を検出したと判定する場合(ステップS102でYes)、ステップS103へ進む。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両を検出したと判定しない場合(ステップS102でNo)、ステップS108へ進む。
【0043】
後方他車両を検出したと判定する場合(ステップS102でYes)、描画制御装置20は、後方他車両の走行速度は閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両情報取得部26によって、他車両検出部25が検出した後方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさの推移から、後方他車両の走行速度を推定する。描画制御装置20は、後方他車両の走行速度は閾値以上であると判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS104へ進む。描画制御装置20は、後方他車両の走行速度は閾値以上であると判定しない場合(ステップS103でNo)、ステップS105へ進む。
【0044】
後方他車両の走行速度は閾値以上であると判定する場合(ステップS103でYes)、描画制御装置20は、描画制御部27によって、描画範囲を広くした映像描画を開始する(ステップS104)。より詳しくは、描画制御装置20は、描画制御部27によって、描画部15を制御して、
図3に示すような、自車両の後方および右側方の路面に規定描画範囲より広い描画範囲の映像を描画させる。描画制御装置20は、ステップS106へ進む。
【0045】
後方他車両の走行速度は閾値以上であると判定しない場合(ステップS103でNo)、描画制御装置20は、描画制御部27によって、規定描画範囲の映像描画を開始する(ステップS105)。より詳しくは、描画制御装置20は、描画制御部27によって、描画部15を制御して、
図2に示すような、自車両の後方および右側方の路面に規定描画範囲の映像を描画させる。描画制御装置20は、ステップS106へ進む。
【0046】
描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両が存在しているか否かを判定する(ステップS106)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両検出部25によって、撮影制御部21によって取得された映像において、ステップS102において検出された後方他車両が存在するか否かを判定する。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両が存在すると判定する場合(ステップS106でYes)、ステップS106の処理を再度実行する。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両が存在すると判定しない場合(ステップS106でNo)、ステップS107へ進む。
【0047】
後方他車両が存在すると判定しない場合(ステップS106でNo)、描画制御装置20は、描画制御部27によって、映像描画を終了する(ステップS107)。描画制御装置20は、ステップS108へ進む。ステップS106の処理は、ステップS102で検出した後方他車両が、自車両を追い抜くときまで、描画範囲を広くした映像描画を行うことが好ましいことから、後方他車両が追い抜き完了した場合にステップS106をNoとしてもよい。この場合、追い抜きを行った後方他車両以外に、他の後方他車両が存在する場合は、ステップS106はYesの判断となる。
【0048】
描画制御装置20は、路側走行を終了したか否かを判定する(ステップS108)。描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、位置情報取得部22が取得した現在位置と、地図情報取得部23が取得した現在位置に対応する地図情報とに基づいて、現在位置が道路の路側ではないことを検出する。または、描画制御装置20は、例えば、数分間程度の所定時間以上の時間、走行速度がゼロであることを検出した場合など、走行を終了したと判定した場合にも、路側走行を終了したと判定してもよい。描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、路側走行を終了したと判定する場合(ステップS108でYes)、処理を終了する。描画制御装置20は、走行区分検出部24によって、路側走行を終了したと判定しない場合(ステップS108でNo)、S102の処理を再度実行する。
【0049】
<効果>
上述したように、本実施形態は、自車両が、車道の路側を走行している場合、後方他車両の走行速度に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させることができる。このように、本実施形態は、自車両を追い抜く後方他車両に、適切な追い抜きを行わせることができる。
【0050】
本実施形態では、後方他車両の走行速度が速いほど、または、自車両の走行速度に対する後方他車両の走行速度が速いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させることができる。本実施形態によれば、後方他車両の走行速度が速いほど、自車両から離れて追い抜きすることを促すことができる。
【0051】
本実施形態では、自車両に対し、後方他車両が追い抜く側の横方向および自車両の後方、または、自車両の後方に対して、範囲を広くした映像を路面に描画させることができる。本実施形態によれば、後方他車両の立ち入りを抑制したい範囲を路面に描画することができる。
【0052】
[第二実施形態]
図5を参照しながら、本実施形態に係る描画装置1Aについて説明する。
図5は、第二実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。描画装置10は、基本的な構成は第一実施形態の描画装置10と同様である。以下の説明においては、描画装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。描画装置10は、他車両検出部25、他車両情報取得部26、描画制御部27における処理が、第一実施形態と異なる。
【0053】
カメラ11は、自車両の後方および前方を含む範囲を撮影する。本実施形態では、カメラ11は、自車両の後方および前方に配置され、自車両の後方および前方を中心とした周辺の映像データを撮影する。
【0054】
撮影制御部21は、カメラ11を制御して、自車両の後方および前方を含む範囲を撮影して映像データを取得する。
【0055】
他車両検出部25は、自車両の前方に自車両と同一方向に走行している前方他車両を検出する。より詳しくは、他車両検出部25は、撮影制御部21によって取得された映像から、車両検出モデル14を用いて前方他車両を検出する。他車両検出部25は、特に、映像において車両後方が撮影された他車両を前方他車両として検出する。他車両検出部25は、検出した前方他車両を追尾する。他車両検出部25は、例えば、自車両から100m程度前方までに存在する後方他車両を検出できればよい。
【0056】
他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した前方他車両の走行速度を示す情報を取得する。より詳しくは、他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した前方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさの推移から、前方他車両の走行速度、または自車両と前方他車両との走行速度差を推定する。この場合、他車両情報取得部26は、自車両の走行速度情報も取得することで、前方他車両の走行速度、または自車両と前方他車両との走行速度差を推定する。
【0057】
描画制御部27は、自車両の走行速度に対する前方他車両との走行速度が速いほど描画範囲を広くした映像を路面に描画させる。
【0058】
本実施形態では、描画制御部27は、他車両情報取得部26が取得した前方他車両の走行速度が速いほど、または、自車両の走行速度に対する前方他車両の走行速度が速いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。描画制御部27は、例えば、前方他車両の走行速度が閾値以上である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の走行速度の閾値は、例えば、40km/h程度としてもよい。描画制御部27は、例えば、自車両の走行速度に対する前方他車両の走行速度、すなわち、走行速度差が閾値以上である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の走行速度差の閾値は、例えば、20km/h程度としてもよい。
【0059】
次に、
図5を用いて、描画装置10の描画制御装置20における処理の流れについて説明する。ステップS201ないしステップS203、ステップS206ないしステップS210の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS101ないしステップS103、ステップS104ないしステップS108と同様の処理を行う。
【0060】
後方他車両の走行速度、または自車両との走行速度差は閾値以上であると判定する場合(ステップS203でYes)、描画制御装置20は、他車両検出部25によって、前方他車両を検出したか否かを判定する(ステップS204)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両検出部25によって、撮影制御部21によって取得された映像から、車両検出モデル14を用いて前方他車両を検出する。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、前方他車両を検出したと判定する場合(ステップS204でYes)、ステップS205へ進む。描画制御装置20は、他車両検出部25によって、後方他車両を検出したと判定しない場合(ステップS204でNo)、ステップS206へ進む。
【0061】
前方他車両を検出したと判定する場合(ステップS204でYes)、描画制御装置20は、前方他車両の走行速度、または自車両との走行速度差は閾値以上であるか否かを判定する(ステップS205)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両情報取得部26によって、他車両検出部25が検出した前方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさの推移から、他車両の走行速度、または自車両と前方他車両との走行速度差を推定する。描画制御装置20は、前方他車両の走行速度または走行速度差は閾値以上であると判定する場合(ステップS205でYes)、ステップS206へ進む。描画制御装置20は、前方他車両の走行速度または走行速度差は閾値以上であると判定しない場合(ステップS205でNo)、ステップS207へ進む。
【0062】
<効果>
上述したように、本実施形態では、自車両の走行速度に対する前方他車両との走行速度または走行速度差が速いほど描画範囲を広くした映像を路面に描画させることができる。前方他車両の走行速度が閾値未満である場合や、走行速度差が閾値未満である場合は、後方他車両は、ステップS203でYesとなった走行条件を維持せずに、減速して自車両を追い抜くか、自車両の追い抜きを行わないためである。言い換えると、前方他車両の走行速度が閾値以上である場合や、走行速度差が閾値以上である場合は、後方他車両は、ステップS203でYesとなった走行条件を維持した状態で、自車両を追い抜く可能性が高くなる。したがって、本実施形態によれば、前方他車両の走行速度が速いほど、自車両から離れて追い抜きすることを促すことができる。
【0063】
[第三実施形態]
図6を参照しながら、本実施形態に係る描画装置1Bについて説明する。
図6は、第三実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。描画装置10は、他車両情報取得部26、描画制御部27における処理が、第二実施形態と異なる。
【0064】
他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した前方他車両と自車両との距離を示す情報を取得する。より詳しくは、他車両情報取得部26は、他車両検出部25が検出した前方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさ、または、映像におけるタイヤなど他車両の下端部の接地位置から、前方他車両と自車両との距離を推定する。
【0065】
描画制御部27は、前方他車両と自車両との距離が大きいほど描画範囲を広くした映像を路面に描画させる。描画制御部27は、例えば、前方他車両との距離が閾値以上である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の前方他車両との距離の閾値は、例えば、20m程度としてもよい。
【0066】
次に、
図6を用いて、描画装置10の描画制御装置20における処理の流れについて説明する。ステップS301ないしステップS304、ステップS306ないしステップ310の処理は、
図5に示すフローチャートのステップS201ないしステップS204、ステップS206ないしステップS210と同様の処理を行う。
【0067】
前方他車両を検出したと判定する場合(ステップS304でYes)、描画制御装置20は、前方他車両との距離は閾値以上であるか否かを判定する(ステップS305)。より詳しくは、描画制御装置20は、他車両情報取得部26によって、他車両検出部25が検出した前方他車両の撮影された映像の毎フレームの大きさから、前方他車両と自車両との距離を推定する。描画制御装置20は、前方他車両との距離は閾値以上であると判定する場合(ステップS305でYes)、ステップS306へ進む。描画制御装置20は、前方他車両との距離は閾値以上であると判定しない場合(ステップS305でNo)、ステップS307へ進む。
【0068】
<効果>
上述したように、本実施形態では、前方他車両と自車両との距離が大きいほど描画範囲を広くした映像を路面に描画させることができる。前方他車両と自車両との距離が閾値未満である場合は、後方他車両は、ステップS303でYesとなった走行条件を維持せずに、減速して自車両を追い抜くか、自車両の追い抜きを行わないためである。言い換えると、前方他車両と自車両との距離が閾値以上である場合は、後方他車両は、ステップS303でYesとなった走行条件を維持した状態で、自車両を追い抜く可能性が高くなる。したがって、本実施形態によれば、前方他車両と自車両との距離が大きいほど、自車両から離れて追い抜きすることを促すことができる。
【0069】
[第四実施形態]
図7ないし
図10を参照しながら、本実施形態に係る描画装置10Aについて説明する。
図7は、第四実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。
図8および
図9は、描画範囲を説明する図である。
図10は、第四実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。描画装置10Aは、カメラ11と、GNSS受信部12と、地図情報記憶部13と、描画部15と、描画制御装置20Aとを有する。カメラ11、GNSS受信部12、地図情報記憶部13、および描画部15は、第一実施形態と同様に構成されている。
【0070】
描画制御装置20Aは、撮影制御部21と、位置情報取得部22と、地図情報取得部23と、走行区分検出部24と、描画制御部27Aと、走行路情報取得部28Aとを有する。
【0071】
走行路情報取得部28Aは、自車両が走行している道路における車道の幅を示す情報を取得する。より詳しくは、走行路情報取得部28Aは、位置情報取得部22が取得した現在位置と、地図情報取得部23が取得した現在位置に対応する地図情報とに基づいて、自車両の現在位置の道路の車道の幅を示す情報を取得する。
【0072】
車道の幅とは、自車両が路側を走行している道路の幅である。車道の幅とは、複数車線がある道路の場合は車線の幅である。車道の幅とは、同一方向の走行に用いる、または、用いることができる(単車線道路の場合)走行区画の幅である。
【0073】
描画制御部27Aは、自車両が道路の車道を走行している場合、道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させる。
【0074】
本実施形態では、描画制御部27Aは、走行路情報取得部28Aが取得した道路における車道の幅が狭いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。描画制御部27は、例えば、車道の幅が閾値未満である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。この場合の車道の幅の閾値は、例えば、4m程度としてもよい。
【0075】
図8は、描画範囲を説明する図である。
図8に示す道路Rd1は、車道の幅がRw1である。この場合、自車両である二輪車Msに搭載された描画部15により、二輪車Msの側方に側方描画範囲Irs1を描画し、後方に後方描画範囲Irr1を描画する。例えば、道路Rd1の車道の幅Rw1が閾値以上である場合、
図8に示す側方描画範囲Irs1および後方描画範囲Irr1を描画する。例えば、道路Rd1の車道の幅Rw1が4m以上である場合、少なくとも側方描画範囲Irs1に映像を描画させる。例えば、道路Rd1の車道の幅Rw1が4m以上である場合、後方描画範囲Irr1への描画を含めてもよい。側方描画範囲Irs1は、例えば、二輪車Msから横方向に0.5m程度の範囲である。後方描画範囲Irr1は、例えば、二輪車Msから後方に2.0m程度の範囲である。側方描画範囲Irs1および後方描画範囲Irr1を、規定描画範囲という。
【0076】
図9は、描画範囲を説明する図である。
図9に示す道路Rd2は、車道の幅がRw2である。この場合、二輪車Msに搭載された描画部15により、二輪車Msの側方に側方描画範囲Irs2を描画し、後方に後方描画範囲Irr2を描画する。側方描画範囲Irs2は、側方描画範囲Irs1より広い。側方描画範囲Irs2は、側方描画範囲Irs1より左方向に広い。後方描画範囲Irr2は、後方描画範囲Irr1より広い。後方描画範囲Irr2は、後方描画範囲Irr1より後方に長い。例えば、道路Rd1の車道の幅Rw1が閾値未満である場合、
図9に示す側方描画範囲Irs2および後方描画範囲Irr2を描画する。例えば、路側Rs2を走行している道路Rd2の車道の幅Rw2が4m未満である場合、少なくとも側方描画範囲Irs2に映像を描画させる。例えば、路側Rs2を走行している道路Rd2の車道の幅Rw2が4m未満である場合、後方描画範囲Irr2への描画を含めてもよい。側方描画範囲Irs2は、例えば、二輪車Msから横方向に1.0m程度の範囲である。後方描画範囲Irr2は、例えば、二輪車Msから後方に3.0m程度の範囲である。
【0077】
次に、
図10を用いて、描画装置10Aの描画制御装置20Aにおける処理の流れについて説明する。ステップS121、ステップS123ないしステップ125の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS101、ステップS104、ステップS105、ステップS108と同様の処理を行う。
【0078】
路側を走行中であると判定する場合(ステップS121でYes)、描画制御装置20Aは、走行路情報取得部28Aによって、車道の幅は閾値未満であるか否かを判定する(ステップS122)。より詳しくは、描画制御装置20Aは、走行路情報取得部28Aによって、位置情報取得部22が取得した現在位置と、地図情報取得部23が取得した現在位置に対応する地図情報とに基づいて、自車両の現在位置の道路の車道の幅を示す情報を取得する。描画制御装置20Aは、走行路情報取得部28Aによって、車道の幅が閾値未満であると判定する場合(ステップS122でYes)、ステップS123へ進む。描画制御装置20Aは、走行路情報取得部28Aによって、車道の幅が閾値未満であると判定しない場合(ステップS122でNo)、ステップS124へ進む。
【0079】
<効果>
上述したように、本実施形態では、自車両が車道の路側を走行している場合、道路における車道の幅を示す情報に応じて描画範囲を変更して、自車両の周囲の路面に映像を描画させることができる。本実施形態は、道路の幅、または、車線の幅が狭い場合であっても、後方からの他車両に安全な間隔で追い抜きさせるような描画を行うことができる。このように、本実施形態によれば、自車両を追い抜く後方他車両に、注意を喚起するとともに適切な追い抜きを行わせることができる。
【0080】
本実施形態では、道路における車道の幅が狭いほど、描画範囲を広くした映像を路面に描画させることができる。
【0081】
[第五実施形態]
図11ないし
図13を参照しながら、本実施形態に係る描画装置10Bについて説明する。
図11は、第五実施形態に係る描画装置の構成例を示すブロック図である。
図12は、第五実施形態に係る描画装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13は、第五実施形態に係る描画装置における処理の流れの他の例を示すフローチャートである。描画装置10Bは、他車両モデル検出部14B、他車両検出部25Bを有する点と、描画制御部27Bにおける処理が、第四実施形態と異なる。他車両モデル検出部14B、他車両検出部25Bは、第一実施形態と同様の処理を行う。本実施形態では、他車両情報取得部26Bは、必須の構成ではない。
【0082】
他車両情報取得部26Bは、他車両検出部25Bが検出した後方他車両の情報を取得する。他車両情報取得部26Bは、他車両検出部25Bが検出した後方他車両の形状や特徴などから、他車両の大きさを示す情報を取得する。より詳しくは、他車両情報取得部26Bは、他車両の形状や特徴などから、乗用車であるか、トラック、バスなどの比較的大きい大型車両であるかなどの情報を取得する。他車両情報取得部26Bは、例えば、映像を画像解析して、車両を識別する識別プレートの色、文字などから大型車両であるかを判定可能な情報を取得してもよい。
【0083】
描画制御部27Bは、道路における車道の幅を示す情報に加えて、後方他車両の情報に基づいて描画範囲を変更する。描画制御部27Bは、車道の幅が閾値未満であって、後方他車両が大型車である場合、描画範囲を広くした映像を路面に描画させてもよい。
【0084】
描画制御部27Bは、後方他車両が検出されている場合、自車両の周囲の路面に映像を描画させてもよい。
【0085】
次に、
図12を用いて、描画装置10Bの描画制御装置20Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS221、ステップS223ないしステップ225、ステップS228の処理は、
図10に示すフローチャートのステップS121、ステップS122ないしステップS224、ステップS125と同様の処理を行う。ステップS222、ステップS226、ステップS227の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS102、ステップS106、ステップS107と同様の処理を行う。
【0086】
次に、
図13を用いて、描画装置10Bの描画制御装置20Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS321ないしステップS323、ステップ325ないしステップS329の処理は、
図12に示すフローチャートのステップS221ないしステップS223、ステップS224ないしステップS228と同様の処理を行う。
【0087】
車道の幅が閾値未満であると判定する場合(ステップS323でYes)、描画制御装置20Bは、他車両情報取得部26Bによって、後方他車両が大型車であるか否かを判定する(ステップS324)。描画制御装置20Bは、他車両情報取得部26Bによって、後方他車両が大型車であると判定する場合(ステップS324でYes)、ステップS325へ進む。描画制御装置20Bは、他車両情報取得部26Bによって、後方他車両が大型車であると判定しない場合(ステップS324でNo)、ステップS326へ進む。
【0088】
<効果>
上述したように、本実施形態では、後方他車両が検出されている場合、自車両の周囲の路面に映像を描画させることができる。本実施形態は、道路の幅、または、車線の幅が閾値未満であって、後方他車両が存在する場合、後方他車両に注意を喚起するとともに、適切な追い抜きを行わせることができる。
【0089】
本実施形態では、道路における車道の幅を示す情報に加えて、後方他車両の情報に基づいて描画範囲を変更することができる。本実施形態は、車道の幅が閾値未満であって、後方他車両が大型車である場合、映像を路面に描画させることができる。
【0090】
さて、これまで本発明に係る描画装置について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0091】
図示した描画装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0092】
描画装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0093】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0094】
上記では、カメラ11が撮影した映像データから他車両を検出するものとして説明したが、他車両を検出する方法は、これに限定されない。例えば、センサによって、自車両の後方の他車両を検出してもよい。センサは、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ、画像認識によるセンサ等、複数方式のセンサの組合せなど様々な方式が適用可能である。
【0095】
<変形例>
描画範囲は、後方他車両の走行速度、自車両と後方他車両との走行速度差、前方他車両の走行速度、自車両と前方他車両との走行速度差、前方他車両と前記自車両との距離、または、道路の幅に応じて、広さを変えてもよい。例えば、前方描画範囲および後方描画範囲を、自車両から離れるにつれて幅が狭くなる三角形状とし、側方描画範囲を、自車両に近い側を長辺、遠い側を短辺とする台形とする場合を例にして説明する。この場合、後方他車両の走行速度が速いほど、前方描画範囲、後方描画範囲の進行方向の長さ(三角形の高さ)を長くし、側方描画範囲の横幅(台形の高さ)を広くしてもよい。
【0096】
上記では、描画範囲は、自車両の周囲において、後方他車両の立ち入りを抑制したい範囲を描画するものとして説明したが、後方他車両に通過してほしい範囲を描画してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 描画装置
11 カメラ
12 GNSS受信部
13 地図情報記憶部
14 車両検出モデル
15 描画部
20 描画制御装置
21 撮影制御部
22 位置情報取得部
23 地図情報取得部
24 走行区分検出部
25 他車両検出部
26 他車両情報取得部
27 描画制御部