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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063319
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】植栽システム及び桝
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20240502BHJP
   E03F 5/10 20060101ALI20240502BHJP
   A01G 25/06 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03F5/10 Z
A01G25/06 F
A01G25/06 602
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171153
(22)【出願日】2022-10-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日:令和4年8月30日 公開先:建設技術展2022近畿 事務局 一般社団法人近畿建設協会
(71)【出願人】
【識別番号】392027900
【氏名又は名称】株式会社イトーヨーギョー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】片井 寛
(72)【発明者】
【氏名】井上 了介
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA12
2D063AA17
2D063DA06
2D063DA07
(57)【要約】
【課題】植栽エリアと境界ブロックで区画された道路における雨水の処理を可能にする。
【解決手段】植栽システムは、道路12の横断方向Yの端部に沿って配置される境界ブロック13と、境界ブロック13を挟んで道路12とは反対側に配置され、雨水浸透機能を有する植栽エリア11と、植栽エリア11に少なくとも一部が配置され、雨水を集めて植栽エリア11に供給する集水桝16と、植栽エリア11に少なくとも一部が配置され、植栽エリア11上の雨水を集めて外部へ排水する排水桝17とを備え、境界ブロック13が、道路12の縦断方向Xに延び集水桝16及び排水桝17に接続される排水路23と、道路12と排水路23とを連通する導水口25とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の横断方向の端部に沿って配置される境界ブロックと、
前記境界ブロックを挟んで前記道路とは反対側に配置され、雨水浸透機能を有する植栽エリアと、
前記植栽エリアに少なくとも一部が配置され、雨水を集めて植栽エリアに供給する集水桝と、
前記植栽エリアに少なくとも一部が配置され、前記植栽エリア上の雨水を集めて外部へ排水する排水桝と、を備えており、
前記境界ブロックが、前記道路の縦断方向に延び前記集水桝及び前記排水桝に接続される排水路と、前記道路と前記排水路とを連通する導水口とを有している、植栽システム。
【請求項2】
前記集水桝に接続され、前記集水桝に集められた雨水を前記植栽エリアに供給する給水路をさらに備える、請求項1に記載の植栽システム。
【請求項3】
前記給水路が、多孔質材料で形成された管により構成される、請求項2に記載の植栽システム。
【請求項4】
前記給水路が、前記道路の横断方向に延びる第1部分と、前記道路の縦断方向に延びる第2部分とを有する、請求項2又は3に記載の植栽システム。
【請求項5】
前記境界ブロックが、地中に埋設され前記排水路が形成された排水部と、前記排水部の上側に位置し地上に突出する縁石部とを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の植栽システム。
【請求項6】
前記排水桝は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、前記桝本体部の上側に位置し前記縁石部に前記道路の縦断方向に隣接して配置される桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている、請求項5に記載の植栽システム。
【請求項7】
前記桝本体部の上端に、前記植栽エリアの雨水を流入させかつ前記溢水口よりも開口面積の小さい流入口が形成されている、請求項6に記載の植栽システム。
【請求項8】
前記桝上部が、前記桝本体部内に連通する開口部と、前記開口部を塞ぐとともに前記溢水口が形成された蓋と、を有している、請求項6に記載の植栽システム。
【請求項9】
前記集水桝は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、前記桝本体部の上側に位置し前記縁石部に前記道路の縦断方向に隣接して配置される桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている、請求項5に記載の植栽システム。
【請求項10】
前記集水桝と前記排水桝とが、前記道路の縦断方向における前記植栽エリアの両端部に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の植栽システム。
【請求項11】
少なくとも一部が植栽エリアに配置される桝であって、
地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、
前記桝本体部の上側に配置され地上に突出する桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている、桝。
【請求項12】
前記桝本体部の上端に、前記植栽エリアの雨水を流入させかつ前記溢水口よりも開口面積の小さい流入口が形成されている、請求項11に記載の桝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に隣接して設けられる植栽システム、及び、植栽システムに適用可能な桝に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台風による大雨やゲリラ豪雨等に起因する自然災害が増加しており、急激に発生する雨水の処理能力向上が重要な課題となっている。その対策の一つとして、道路脇等にレインガーデンと呼ばれる植栽エリアを設け、道路の雨水を植栽エリアに流入させて一時的に貯留し、地中に浸透させることによって、下水道設備の負荷を軽減するとともに道路の冠水等を抑制することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車道と歩道との境界に縁石を設け、この縁石に沿った歩道の範囲に緑化領域(植栽エリア)を設けた道路構造が開示されている。この技術は、緑化領域で植物を成育させるとともに、雨天時等に歩道からの雨水を緑化領域に流入させて地中に浸透させ、歩道への浸水を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-23975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、豪雨等によって多量の雨水が緑化領域に流入すると、当該雨水が溢れて歩道に戻ってしまうおそれがある。また、特許文献1の技術では、縁石で仕切られた車道側の雨水を、縁石を超えて緑化領域に流入させることができないので、車道における雨水処理には活用することができない。
【0006】
本開示は、植栽エリアと境界ブロックで区画された道路における雨水の処理を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の植栽システムは、道路の横断方向の端部に沿って配置される境界ブロックと、
前記境界ブロックを挟んで前記道路とは反対側に配置され、雨水浸透機能を有する植栽エリアと、
前記植栽エリアに少なくとも一部が配置され、雨水を集めて植栽エリアに供給する集水桝と、
前記植栽エリアに少なくとも一部が配置され、前記植栽エリア上の雨水を集めて外部へ排水する排水桝と、を備えており、
前記境界ブロックが、前記道路の縦断方向に延び前記集水桝及び前記排水桝に接続される排水路と、前記道路と前記排水路とを連通する導水口とを有している。
【0008】
上記構成を有する植栽システムは、道路上の雨水を境界ブロックの導水口を介して排水路に流入させ、この排水路を流れる雨水を集水桝に集めることができる。集水桝に集められた雨水は植栽エリアに供給され、この植栽エリアにおいて雨水が一時的に貯留され、地面に浸透される。したがって、道路の冠水を抑制するとともに下水道設備の負担を軽減することができる。豪雨等によって植栽エリアに貯留・浸透しきれず、植栽エリアから溢れた雨水は、排水桝に集められ、この排水桝から下水道設備等へ向けて外部へ排出される。したがって、植栽エリアで溢れた雨水が道路側に戻るのを抑制し、道路の冠水を抑制することができる。
【0009】
(2)上記(1)の植栽システムは、好ましくは、前記集水桝に接続され、前記集水桝に集められた雨水を前記植栽エリアに供給する給水路をさらに備える。
【0010】
上記構成によれば、集水桝で集められた雨水を給水路に流すことによって、植栽エリア内の集水桝から離れた場所へ雨水を供給することができる。
【0011】
(3)上記(2)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記給水路が、多孔質材料で形成された管により構成される。
【0012】
この構成によれば、給水路を構成する管を流れる雨水は、管壁から浸み出して地中に供給される。そのため、植栽エリアの広い範囲に雨水を満遍なく供給することができる。
【0013】
(4)上記(2)又は(3)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記給水路が、前記道路の横断方向に延びる第1部分と、前記道路の縦断方向に延びる第2部分とを有する。
【0014】
このような構成によって、植栽エリアの広い範囲に雨水を効率よく供給することができる。
【0015】
(5)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の植栽システムにおいて、好ましくは、前記境界ブロックが、地中に埋設され前記排水路が形成された排水部と、前記排水部の上側に位置し地上に突出する縁石部とを有する。
【0016】
このように境界ブロックが、地上に突出する縁石部を有している場合でも、導水口を介して道路上の雨水を排水路に流入させ、集水桝を経て植栽エリアに雨水を供給することができる。
【0017】
(6)上記(5)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記排水桝は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、前記桝本体部の上側に位置し前記縁石部に前記道路の縦断方向に隣接して配置される桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている。
【0018】
この構成によれば、豪雨等によって植栽エリアで雨水を貯留・浸透しきれず、所定高さにまで雨水が達した場合に、溢水口から排水桝内に雨水を流入させ、外部に排出することができる。そのため、雨水が桝上部を超えて道路に逆流するのを抑制することができる。
【0019】
(7)上記(6)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記桝本体部の上端に、前記植栽エリアの雨水を流入させかつ前記溢水口よりも開口面積の小さい流入口が形成されている。
【0020】
このような構成によって、溢水口に到達していない雨水を少しずつ排水桝に流入させることができ、植栽エリア上で雨水が溢れることを抑制することができる。
【0021】
(8)上記(6)又は(7)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記桝上部が、前記桝本体部内に連通する開口部と、前記開口部を塞ぐとともに前記溢水口が形成された蓋と、を有している。
【0022】
この構成によれば、蓋を取り外すことで桝上部の開口部を開き、桝本体部の内部を大きく開放することができる。そのため、桝本体部内の清掃等のメンテナンスを効率よく行うことができる。
【0023】
(9)上記(5)~(8)の植栽システムにおいて、好ましくは、前記集水桝は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、前記桝本体部の上側に位置し前記縁石部に前記道路の縦断方向に隣接して配置される桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている。
【0024】
この構成によれば、豪雨などによって植栽エリアで雨水を貯留・浸透しきれず、所定高さにまで雨水が達した場合に、溢水口から集水桝内に雨水を流入させ、この集水桝から植栽エリアに雨水を戻したり、境界ブロックの排水路に雨水を流したりすることができる。そのため、雨水が道路に逆流するのを抑制することができる。
【0025】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の植栽システムにおいて、好ましくは、前記集水桝と前記排水桝とが、前記道路の縦断方向における前記植栽エリアの両端部に配置されている。
【0026】
この構成によれば、植栽エリアの一端部側から植栽エリア内に雨水を供給し、植栽エリアの他端部側で雨水を集めて排水することができる。
【0027】
(11)本発明の桝は、少なくとも一部が植栽エリアに配置される桝であって、
地中に埋設され雨水を収容する桝本体部と、
前記桝本体部の上側に配置され地上に突出する桝上部とを有し、
前記桝上部の前記植栽エリア側の側面には、前記桝本体部内に連通し、前記植栽エリアの上面よりも高い所定高さに達した雨水を前記桝本体部に流入させる溢水口が形成されている。
【0028】
この構成によれば、豪雨などによって植栽エリアで雨水を貯留・浸透しきれず、所定高さにまで雨水が達した場合に、溢水口から桝内に雨水を流入させ、外部に排出することができる。
【0029】
(12)上記(11)の桝において、好ましくは、前記桝本体部の上端に、前記植栽エリアの雨水を流入させかつ前記溢水口よりも開口面積の小さい流入口が形成されている。
【0030】
このような構成によって、溢水口に到達していない雨水を少しずつ桝に流入させることができ、植栽エリア上で雨水が溢れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、植栽エリアと境界ブロックで仕切られた道路における雨水の処理を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1の実施形態に係る植栽システムの平面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4図1のC-C線断面図である。
図5】植栽システムの正面図である。
図6】境界ブロックの断面図である。
図7】集水桝の斜視図である。
図8】排水桝の斜視図である。
図9】集水桝及び排水桝において蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図10】集水桝の断面図である。
図11】排水桝の断面図である。
図12】第2の実施形態に係る植栽システムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る植栽システムの平面図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、図1のB-B線断面図である。図4は、図1のC-C線断面図である。図5は、植栽システムの正面図である。なお、図面には、車道12の縦断方向(延長方向)を矢印Xで示し、車道12の横断方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示している。
【0034】
本実施形態の植栽システム10は、植栽エリア11と、境界ブロック13と、桝16,17と、を有する。
境界ブロック13は、車道(道路)12の横断方向Yの端部に設置され、車道12の縦断方向Xに延びている。車道12は、横断方向Yの中央が高く両端が低くなるように緩やかな勾配が設けられている。境界ブロック13は、車道12と歩道15とを区画している。境界ブロック13内には、排水路23が形成されている。排水路23は、車道12の縦断方向Xに境界ブロック13を貫通している。
【0035】
植栽エリア11は、境界ブロック13を挟んで車道12とは反対側に配置されている。植栽エリア11は、境界ブロック13で区画された歩道15の領域の一部に配置されている。植栽エリア11は、境界ブロック13と、仕切材14とによって囲まれている。仕切材14は、石材、レンガ、コンクリートブロック等からなる。仕切材14は、植栽エリア11と歩道15とを仕切っている。
【0036】
植栽エリア11には、樹木や花などの植物が植えられる。図2図4に示すように、植栽エリア11は、上下方向Zにおいて1層又は多層に構成されている。例えば、植栽エリア11は、植生層11Aと、浸透層11Bとを含むことができる。植生層11Aは、植物を生育するのに適した黒土、腐葉土、培養土等を含む層により構成される。浸透層11Bは、雨水を浸透させるのに適した層であり、例えば砕石を充填してなる多孔質層により構成される。植栽エリア11は、植物を生育でき、雨水浸透機能を有していれば特に限定されるものではなく、従来公知の構成を採用することができる。
【0037】
桝16,17は、集水桝16と、排水桝17とを含む。集水桝16と排水桝17とは、車道12の縦断方向Xに間隔をあけて配置されている。集水桝16と排水桝17とは、それぞれ車道12の縦断方向Xに延びる境界ブロック13の途中に配置されている。言い換えると、集水桝16及び排水桝17は、それぞれ車道12の縦断方向Xにおいて境界ブロック13に挟まれて(隣接して)配置されている。集水桝16及び排水桝17は、少なくとも一部が植栽エリア11に配置されている。集水桝16及び排水桝17は、植栽エリア11における車道12の縦断方向Xの両端部に配置されている。
【0038】
なお、本実施形態の車道12及び歩道15は、車道12の縦断方向Xにおいて、図1の左側(集水桝16側)が高く右側(排水桝17側)が低くなるような勾配を有している。したがって、集水桝16は、排水桝17よりも高所に設置されている。境界ブロック13の排水路23も、図1における左側が高く右側が低くなるような勾配を有している。したがって、境界ブロック13の排水路23を流れる雨水は、集水桝16側から排水桝17側へ向かう方向に流れる。
【0039】
(境界ブロック13の具体的構成)
図6は、境界ブロックの断面図である。
境界ブロック13は、プレキャストされたコンクリート製の部材である。境界ブロック13は、図1に示すように、複数のブロック単体13Aを車道12の縦断方向Xに並べることによって構成されている。境界ブロック13は、全体又は一部が地中に埋設される排水部21と、排水部21の上側に配置され地上に突出する縁石部22とを備えている。
【0040】
排水部21は、略直方体形状に形成されている。排水部21には、前述した排水路23が形成されている。排水部21には、導水口25が形成されている。導水口25は、車道12と排水路23とを連通している。具体的に、導水口25の上端は、車道12側における排水部21の上面と縁石部22の基部とに跨って開口している。導水口25の下端は、排水路23に接続されている。導水口25は、上端の開口から排水路23へ向けて斜め下方に延びている。導水口25は、車道12の縦断方向Xに間隔をあけて複数(例えば各ブロック単体13Aに2つずつ)形成されている。
【0041】
縁石部22は、コンクリートにより排水部21と一体に形成されている。縁石部22は、横断面形状が略台形状に形成されている。縁石部22は、車道12の横断方向Yにおける幅が同方向Yにおける排水部21の幅よりも小さい。縁石部22は、排水路23の真上に位置している。
【0042】
降雨時、車道12上の雨水は、車道12自身の勾配によって横断方向Yの端部に向けて流れ、境界ブロック13に到達する。境界ブロック13に到達した雨水は、導水口25から排水路23に流入し、この排水路23を流れて集水桝16や排水桝17に集められる。
【0043】
(桝16,17の具体的構成)
図7は、集水桝の斜視図である。図10は、集水桝の断面図である。
集水桝16は、境界ブロック13の排水路23を流れる雨水を一旦集め、植栽エリア11に供給するために用いられる。集水桝16は、桝本体部31と、桝上部32とを有する。桝本体部31は、プレキャストされたコンクリート製の部材である。桝本体部31は、底壁31aと、4つの側壁31b~31eとを有し、上方が開口している。底壁31aは長方形又は正方形の板状に形成されている。側壁31b~31eは、底壁31aの四辺から上方に立ち上がる長方形又は正方形の板状に形成されている。桝本体部31は、上下方向Zにおいて複数の部材に分割されていてもよい。
【0044】
桝本体部31の植栽エリア11側の側壁31bには、開口36が形成されている。この開口36には、後述する給水路を形成する浸透管35が接続される。桝本体部31の境界ブロック13に隣接する側壁31c,31dには、境界ブロック13の排水路23に連通する開口37が形成されている。
【0045】
桝上部32は、桝本体部31の上面に固定されている。桝上部32は、鉄、鋼等の金属材料により形成されている。桝上部32は、金属製の板材の折曲加工等によって形成されている。桝上部32は、桝本体部31の上面に載置されボルト等によって固定される板状の基部32aと、基部32a上に配置され、横断面の外形が境界ブロック13の縁石部22の外形と略同じ形状に形成された本体部32bとを有する。本体部32bは、車道12の横断方向Yにおける幅が、桝本体部31の同方向Yの幅よりも小さい。さらに、桝上部32は、基部32aと本体部32bとに形成された開口部32cを塞ぐ蓋33,34を有する。
【0046】
集水桝16には、主に集水桝16よりも高所側(図1における左側)に配置された境界ブロック13の排水路23を流れる雨水が流入する。また、集水桝16には、後述する溢水口34aからも雨水が流入する。
【0047】
図8は、排水桝の斜視図である。図11は、排水桝の断面図である。
排水桝17は、境界ブロック13の排水路23を流れる雨水を一旦集め、下水道設備等の外部へ排水するために用いられる。排水桝17は、桝本体部41と、桝上部42とを有する。桝本体部41は、プレキャストされたコンクリート製の部材である。桝本体部41は、底壁41aと、4つの側壁41b~41eとを有し、上方が開口している。底壁41aは長方形又は正方形の板状に形成されている。側壁41b~41eは、底壁41aの四辺から上方に立ち上がる長方形又は正方形の板状に形成されている。桝本体部41は、上下方向Zにおいて複数の部材に分割されていてもよい。排水桝17の桝本体部41は、集水桝16の桝本体部31よりも深く(上下方向Zに長く)形成されている。
【0048】
桝本体部41の車道12側の側壁41eには、開口46が形成されている。開口46には、排水管45が接続される。この排水管45は、図示しない下水道設備に接続される。桝本体部41の境界ブロック13に隣接する側壁41c、41dには、境界ブロック13の排水路23に連通する開口47が形成されている。
【0049】
桝上部42は、桝本体部41の上面に固定されている。桝上部42は、鉄、鋼等の金属材料により形成されている。桝上部42は、金属製の板材の折曲加工等によって形成されている。桝上部42は、桝本体部41の上面に載置されボルト等によって固定される平板状の基部42aと、基部42a上に配置され、横断面の外形が境界ブロック13の縁石部22の外形と略同じ形状に形成された本体部42bとを有する。
【0050】
桝上部42の本体部42bは、車道12の横断方向Yにおける幅が、桝本体部41の同方向の幅よりも小さい。さらに、桝上部42は、基部42aと本体部42bとに形成された開口部42cを塞ぐ蓋43,44を有する。排水桝17の桝上部42は、集水桝16の桝上部32と略同一の構成を有しており、一部(蓋43)を除き同一の部品が用いられている。
【0051】
図1に示すように、排水桝17には、当該排水桝17と集水桝16との間に配置された境界ブロック13の排水路23を流れる雨水が流入する。また、排水桝17には、次に説明する溢水口44a及び流入口43aからも雨水が流入する。
【0052】
図9は、集水桝及び排水桝において蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図7図9に示すように、集水桝16及び排水桝17の桝上部32,42は、桝本体部31,41の内部空間と連通する開口部32c、42cと、この開口部32c,42cを閉鎖する蓋33,34、43,44とを有している。この開口部32c、42cは、基部32a、42aにおける植栽エリア11側の部分32a1、42a1と、本体部32b,42bにおける植栽エリア11側の側面32b1,42b1及び頂面32b2,42b2とに形成されている。蓋33,34、43,44は、開口部32c,42cのうち基部32a,42aに形成された部分を塞ぐ第1蓋33、43と、本体部32b,42bに形成された部分を塞ぐ第2蓋34,44とを含む。
【0053】
第1蓋33,43は、長方形状の板材により形成されている。排水桝17の第1蓋43には、流入口43aが形成されている。流入口43aは、多数の開口からなる。流入口43aは、植栽エリア11上の雨水を桝本体部41内に流入させる。流入口43aは、後述の溢水口44aよりも低い位置に配置される。
【0054】
集水桝16の第1蓋33は、排水桝17の第1蓋43のような流入口43aを備えていない。したがって、第1蓋33は、桝上部32の基部32aに形成された開口部32cを完全に閉鎖する。
【0055】
第1蓋33,43で開口部32c,42cを閉じたとき、第1蓋33,43の上面と基部32a,42aの上面とは略面一となる。なお、図示はしていないが、開口部32c,42cを第1蓋33,43及び第2蓋34,44で閉じたときに、これらが基部32a,42a及び本体部32b,42bに保持されるように、基部32a,42a及び本体部32b,42b、又は、蓋33,34、43,44の一方又は双方には、保持板や連結ボルト等の保持手段が設けられる。
【0056】
第2蓋34,44は、桝上部32,42の本体部32b,42bの側面32b1,42b1及び頂面32b2,42b2に沿った形状、具体的には側面視で略L字形状に形成されている。集水桝16の第2蓋34と、排水桝17の第2蓋44とは、同一の構成を有しており、同一の部品が用いられている。
【0057】
第2蓋34,44には、溢水口34a,44aが形成されている。この溢水口34a,44aは、図10及び図11に示すように、基部32a,42aの上面から所定の高さH以上の範囲に形成されている。溢水口34a,44aは、桝上部32,42の上端まで形成されている。植栽エリア11の上面11aは、基部32a,42aの上面と略同じ高さに設定される。したがって、溢水口34a,44aは、植栽エリア11の上面11aよりも高い位置に形成される。そのため、植栽エリア11内において、所定の高さに雨水が到達した場合に、溢水口34a,44aから桝16,17内に雨水が流入する。
【0058】
溢水口34a,44aは、スリット状に形成された多数の開口からなる。溢水口34a,44aの開口面積(複数の開口の総面積)は、排水桝17の第1蓋43に形成された流入口43a(複数の開口の総面積)よりも大きい。
【0059】
第1蓋33,43及び第2蓋34,44を開くことで桝本体部31,41の内部を広く開放することができ、桝本体部31,41内の清掃等のメンテナンスを効率よく行うことができる。
【0060】
(給水路の具体的構成)
前述したように、集水桝16には、給水路を構成する浸透管35が接続されている。浸透管35は、多孔質材料、例えばポーラスコンクリートにより形成された管である。したがって、浸透管35を流れる水は管壁を通過して外部へ浸み出す。図1に示すように、浸透管35は、集水桝16の桝本体部31に接続され、車道12の横断方向Yに延びる第1部分35aと、第1部分35aから車道12の縦断方向Xに延びる第2部分35bとを含む。第1部分35aは、植栽エリア11の車道12の横断方向Yにおける大部分の範囲に配置されている。第2部分35bは、植栽エリア11の車道12の縦断方向Xにおける大部分の範囲に配置されている。第2部分35bの終端は、開放していてもよいし閉じていてもよい。浸透管35は、図5に示すように、集水桝16側から排水桝17側へ向けて低くなるように傾斜している。ただし、浸透管35は、水平に配置されていてもよい。第2部分35bは、桝本体部31に直接接続されていてもよく、第1部分35aは、桝本体部31に直接接続されずに第2部分35bに接続されていてもよい。
【0061】
浸透管35は、桝本体部31の側壁31c,31dに形成された開口37よりも低い位置に配置されている。また、浸透管35は、植栽エリア11において比較的植物に近い高さ(例えば、植生層11A)に配置されている。
【0062】
(植栽システムの作用)
本実施形態の植栽システム10は、車道12上の雨水を植栽エリア11に流入させ、植栽エリア11において一時的に貯留するとともに、地中に浸透させるものである。具体的には、車道12上の雨水は、車道12の勾配によって横断方向Yの端部に向けて流れ、境界ブロック13に到達する。境界ブロック13に到達した雨水は、導水口25を経て排水路23に流入する。
【0063】
図1において、集水桝16よりも高所側(左側)の境界ブロック13の排水路23を流れる雨水は、集水桝16に流入する。集水桝16に集められた雨水は、浸透管35に流入し、植栽エリア11内の地中に供給される。雨水は、浸透管35を流れる過程で管壁から外部へ浸み出すので、植栽エリア11の広い範囲に雨水が供給される。このように、車道12上の雨水を植栽エリア11に流入させることによって、下水道設備の負担が軽減され、車道12の冠水が抑制される。植栽エリア11に流入した雨水によって植物の生育も促進する。
【0064】
図1において、排水桝17よりも高所側(左側)の境界ブロック13の排水路23を流れる雨水は、排水桝17に流入する。排水桝17に集められた雨水は、排水管45に流入し、下水道設備に排水される。
【0065】
植栽エリア11に流入した雨水の水面が、排水桝17における桝上部42の基部42aの上面(植栽エリア11の上面11a)よりも上昇すると、雨水は排水桝17の第1蓋43に形成された流入口43aから排水桝17内に流入し、排水管45から下水道設備に排水される。一方、集水桝16の第1蓋33には流入口は形成されていないので、雨水は第1蓋33の部分から集水桝16内に流入しない。植栽エリア11からの雨水には土や砂が含まれることが多く、そのような雨水が集水桝16に流入すると浸透管35を詰まらせる恐れがあるからである。
【0066】
豪雨などによって植栽エリア11に降り注ぐ雨の量が増大したり、集水桝16から浸透管35を経て供給される雨水の量が増大し、植栽エリア11の雨水が溢水口34a,44aの高さに到達すると、当該雨水は溢水口34a,44aから集水桝16及び排水桝17に流入する。言い換えると、植栽エリア11の雨水は、溢水口34a,44aに到達するまでは植栽エリア11内で貯留される。溢水口34aから集水桝16に流入した雨水は、再び浸透管35から植栽エリア11に戻されるか境界ブロック13の排水路23に流入する。溢水口44aから排水桝17に流入した雨水は、排水管45から下水道設備に排出される。そのため、植栽エリア11内の雨水が境界ブロック13、集水桝16、及び排水桝17を超えて車道12に逆流することが抑制され、車道12の冠水が抑制される。
【0067】
[第2の実施形態]
図12は、第2の実施形態に係る植栽システムの正面図である。
第2の実施形態では、給水路を構成する浸透管35の構成が第1の実施形態と異なっている。本実施形態の浸透管35は、その一端が集水桝16の桝本体部31の側壁に接続され、他端が排水桝17の桝本体部41の側壁に接続されている。したがって、集水桝16から浸透管35に流入した雨水は、浸透管35を流れつつ管壁から植栽エリア11の地中に浸み出し、植栽エリア11に供給できなかった雨水は排水桝17に流入し、下水道設備に排出される。
【0068】
なお、本実施形態においても、浸透管35は、車道12の横断方向Yに延びる第1部分と縦断方向Xに延びる第2部分とを有する構成であってもよい。
【0069】
[その他の実施形態]
以上の実施形態における植栽システム10は、車道12に隣接して配置された植栽エリア11と、当該車道12と植栽エリア11との間に設置される境界ブロック13及び桝16,17とを備えたものであったが、例えば、車道12以外の道路(歩道15など)に隣接する植栽エリア11と、当該道路と植栽エリア11との間に設置される境界ブロック13及び桝16,17とを備えたものであってもよい。
【0070】
上記実施形態では、植栽システム10が1つの集水桝16と1つの排水桝17とを有していたが、集水桝16及び排水桝17のいずれか又は双方を複数有していてもよい。
上記実施形態では、集水桝16と排水桝17との双方に溢水口34a,44aが形成されていたが、集水桝16の溢水口34aを省略することもできる。この場合、植栽エリア11で貯留・浸透しきれなかった雨水が集水桝16を介して植栽エリア11に戻されることを抑制することができる。ただし、集水桝16に溢水口34aが形成されることで、植栽エリア11の雨水が増大したときに迅速に排水できる利点がある。
【0071】
上記実施形態の境界ブロック13では、排水部21と縁石部22とが一体に形成されていたが、これらは別々のブロックで構成されていてもよい。
上記実施形態の集水桝16及び排水桝17では、コンクリート製の桝本体部31,41と、金属製の桝上部32,42とが別々の部材で構成されていたが、一体のコンクリート製の部材で構成されていてもよく、蓋33,34、43,44のみが別体で構成されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、集水桝16に接続される給水路が、ポーラスコンクリート等の多孔質材料で形成された浸透管35で構成されていたが、これに代えて、管壁に多数の貫通孔が形成された管で構成されていてもよい。この場合、当該管の外周面を透水性を有する不織布や織布等で覆うことで、管を流れる雨水が徐々に管壁から浸み出すように構成することができる。また、給水路は、外周が閉じた管ではなく、U字断面等の外周の一部が開放した部材によって構成してもよい。もっとも、給水路は必ずしも必要ではなく、集水桝16の開口36から直接植栽エリア11内に雨水を供給することもできる。
【0073】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の植栽システム10は、車道12で例示される道路の横断方向Yの端部に沿って配置される境界ブロック13と、境界ブロック13を挟んで道路12とは反対側に配置され、雨水浸透機能を有する植栽エリア11と、植栽エリア11に少なくとも一部が配置され、雨水を集めて植栽エリア11に供給する集水桝16と、植栽エリア11に少なくとも一部が配置され、植栽エリア11上の雨水を集めて外部へ排水する排水桝17と、を備える。境界ブロック13は、道路12の縦断方向Xに延び集水桝16及び排水桝17に接続される排水路23と、道路12と排水路23とを連通する導水口25とを有している。この構成の植栽システム10では、道路12上の雨水を境界ブロック13の導水口25を介して排水路23に流入させ、この排水路23を流れる雨水を集水桝16に集めることができる。集水桝16に集められた雨水は植栽エリア11に供給され、この植栽エリア11において雨水が一時的に貯留され、地面に浸透される。そのため、道路12の冠水を抑制するとともに下水道設備の負担を軽減することができる。豪雨等によって植栽エリア11に貯留・浸透しきれず、植栽エリア11から溢れた雨水は、排水桝17に集められ、この排水桝17から下水道設備等へ向けて外部へ排出される。したがって、植栽エリア11で溢れた雨水が道路12側に戻るのを抑制し、道路の冠水を抑制することができる。
【0074】
(2)上記実施形態の植栽システム10は、集水桝16に接続され、集水桝16に集められた雨水を植栽エリア11に供給する給水路をさらに備える。そのため、集水桝16で集められた雨水を植栽エリア11内の集水桝16から離れた場所へ効率よく供給することができる。
【0075】
(3)上記実施形態の植栽システム10では、給水路が、多孔質材料で形成された管(浸透管)35により構成される。そのため、給水路を構成する管35を流れる雨水は、当該管35を流れる過程で管から浸み出して地中に供給される。そのため、植栽エリア11の広い範囲に雨水を満遍なく供給することができる。
【0076】
(4)上記実施形態の植栽システム10では、給水路35が、道路12の横断方向Yに延びる第1部分35aと、道路12の縦断方向Xに延びる第2部分35bとを有する。そのため、植栽エリア11の広い範囲に雨水を効率よく供給することができる。
【0077】
(5)上記実施形態の植栽システムでは、境界ブロック13が、地中に埋設され排水路23が形成された排水部21と、排水部21の上側に位置し地上に突出する縁石部22とを有する。このように境界ブロック13が、地上に突出する縁石部22を有している場合でも、導水口25を介して道路12上の雨水を排水路23に流入させ、集水桝16を経て植栽エリア11に雨水を供給することができる。
【0078】
(6)上記実施形態の植栽システム10では、排水桝17は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部41と、桝本体部41の上側に位置し縁石部22と道路12の縦断方向Xに隣接して配置される桝上部42とを有する。桝上部42の植栽エリア11側の側面には、桝本体部41内に連通し、植栽エリア11の上面11aよりも高い所定高さに達した雨水を桝本体部41に流入させる溢水口34aが形成されている。そのため、豪雨等によって植栽エリア11で雨水を貯留・浸透しきれず、所定高さにまで雨水が達した場合に、溢水口44aから排水桝17内に雨水を流入させ、下水道設備等の外部に排出することができる。これにより、雨水が桝上部42を超えて道路12に逆流するのを抑制することができる。また、桝上部42に溢水口44aを形成することで、桝本体部41には植栽エリア11上の雨水を取り入れるための開口を不要とするか又当該開口を小さく(少なく)形成することができ、植栽エリア11に存在する桝本体部41の領域を小さくすることができる。これにより、植栽エリア11の見栄えの悪化や植栽エリア11の実質的な減少(植物を植えることができる面積の減少)を抑制することができる。
【0079】
(7)上記実施形態の植栽システム10では、桝本体部41の上端に、植栽エリア11の雨水を流入させかつ溢水口44aよりも開口面積の小さい流入口43aが形成されている。そのため、溢水口44aに到達していない雨水を少しずつ排水桝17に流入させることができ、植栽エリア11上で雨水が溢れることを抑制することができ、溢れた場合でも、急激な排水桝17への雨水の流入を抑制することができる。
【0080】
(8)上記実施形態の植栽システム10では、桝上部42が、桝本体部41内に連通する開口部42cと、開口部42cを塞ぐとともに溢水口44aが形成された第2蓋44とを有している。そのため、第2蓋44を取り外すことで桝上部42の開口部42cを開き、排水桝17の内部を大きく開放することができる。そのため、桝本体部41に大きな開口を形成する必要がなくなり、植栽エリア11に存在する桝本体部41の領域を小さくすることができ、見栄えの悪化や植栽エリア11の実質的な減少を抑制することができる。
【0081】
(9)上記実施形態の植栽システム10では、集水桝16は、地中に埋設され雨水を収容する桝本体部31と、桝本体部31の上側に位置し縁石部22に道路12の縦断方向Xに隣接して配置される桝上部32とを有する。桝上部32の植栽エリア11側の側面には、桝本体部31内に連通し、植栽エリア11の上面11aよりも高い所定高さに達した雨水を桝本体部31に流入させる溢水口34aが形成されている。そのため、豪雨等によって植栽エリア11で雨水を貯留・浸透しきれず、所定高さにまで雨水が達した場合に、溢水口34aから集水桝16内に雨水を流入させ、この集水桝16から植栽エリア11に雨水を戻したり、境界ブロック13の排水路23に雨水を流したりことができる。これにより、雨水が道路12に逆流するのを抑制することができる。また、桝上部32に溢水口34aを形成することで、桝本体部31には植栽エリア11上の雨水を取り入れるための開口を不要とするか又は当該開口を小さく(少なく)形成することができ、植栽エリア11に存在する桝本体部31の領域を小さくすることができる。そのため、植栽エリア11の見栄えの悪化や植栽エリア11の実質的な減少(植物を植えることができる面積の減少)を抑制することができる。
【0082】
(10)上記実施形態の植栽システム10では、集水桝16と排水桝17とが、道路12の縦断方向Xにおける植栽エリア11の両端部に配置されている。そのため、植栽エリア11の一端部から植栽エリア11内に雨水を供給し、植栽エリア11の他端部側で雨水を集めて排水することができる。
【0083】
なお、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10 :植栽システム
11 :植栽エリア
11a :上面
12 :車道(道路)
13 :境界ブロック
16 :集水桝
17 :排水桝
21 :排水部
22 :縁石部
23 :排水路
31 :桝本体部
32 :桝上部
32c :開口部
33 :第1蓋
34 :第2蓋
34a :溢水口
35 :浸透管(給水路)
35a :第1部分
35b :第2部分
41 :桝本体部
42 :桝上部
42c :開口部
43 :第1蓋
43a :流入口
44 :第2蓋
44a :溢水口
X :縦断方向
Y :横断方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12