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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063323
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ストリップの切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/26 20060101AFI20240502BHJP
   B29D 30/60 20060101ALI20240502BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20240502BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20240502BHJP
   B26D 1/28 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B26D7/26
B29D30/60
B29D30/06
B26D3/00 601E
B26D1/28 H
B26D1/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171165
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 望
【テーマコード(参考)】
3C021
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3C021JA02
3C021JA09
4F215AH20
4F215AR07
4F215AR12
4F215VA11
4F215VD03
4F215VK34
4F215VL02
4F215VL14
4F215VM06
4F215VP28
4F215VP35
4F215VR01
4F215VR03
4F501TA11
4F501TC03
4F501TD37
4F501TE02
4F501TF06
4F501TL27
4F501TL34
4F501TT01
4F501TT03
4F501TU07
4F501TU12
4F501TV12
(57)【要約】
【課題】ストリップに対するカッターの切り込み量を適切に調整する。
【解決手段】切断装置は、搬送装置8により搬送されるストリップSを切断する刃21aを有するカッター21と、カッター21を駆動する駆動装置22と、ストリップSへの刃21aの切り込み量を調整する調整装置23とを備え、駆動装置22は、搬送装置8の搬送面39に平行でストリップSの搬送方向Xと交差する軸心C回りにカッター21を搬送方向Xに回転させ、刃21aを搬送面39に接近させた切断姿勢のカッター21によりストリップSを切断し、調整装置23は、手で回転操作される操作部62と、操作部62の回転に連動して、切断姿勢のカッター21の刃21aと搬送面39との距離を変化させる連動部63と、操作部62を所定の回転量毎に位置決めする位置決め部71と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により搬送されるストリップを切断する刃を有するカッターと、
前記カッターを駆動する駆動装置と、
前記ストリップへの前記刃の切り込み量を調整する調整装置と、を備え、
前記駆動装置は、前記搬送装置の搬送面に平行で前記ストリップの搬送方向と交差する軸心回りに前記カッターを前記搬送方向に回転させ、前記刃を前記搬送面に接近させた切断姿勢の前記カッターにより前記ストリップを切断し、
前記調整装置は、
手で回転操作される操作部と、
前記操作部の回転に連動して、切断姿勢の前記カッターの刃と前記搬送面との距離を変化させる連動部と、
前記操作部を所定の回転量毎に位置決めする位置決め部と、を備えている、ストリップの切断装置。
【請求項2】
前記位置決め部が、前記操作部とともに回転移動する第1係合部と、
前記操作部とともに回転移動せずに固定された状態にあり、前記第1係合部に係脱自在に係合する第2係合部と、を有する、請求項1に記載のストリップの切断装置。
【請求項3】
前記第1係合部又は前記第2係合部が、前記操作部の回転軸心回りに間隔をあけて複数設けられている、請求項2に記載のストリップの切断装置。
【請求項4】
前記連動部は、前記軸心と前記刃との距離を維持したまま、前記軸心と前記搬送面との距離を変化させる、請求項1~3のいずれか1項に記載のストリップの切断装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記カッターが取り付けられ前記軸心を有する回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、を備え、
前記連動部は、前記回転軸及び前記モータを前記搬送面に垂直な方向に移動させる、請求項4に記載のストリップの切断装置。
【請求項6】
前記操作部が、前記搬送面に垂直な方向において当該搬送面に対して前記カッターとは反対側に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のストリップの切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、トレッド、サイドウォール等の複数のゴム部材を組み合わせることによって製造される。この構成部品の製造する方法として、ストリップワインド工法が知られている。このストリップワインド工法では、未加硫ゴムからなる帯状のストリップをフォーマ上で螺旋状に巻くことで、所望の断面形状を有するゴム部材が形成される。下記の特許文献1には、このようなゴム部材の製造のためにフォーマに向けてストリップを搬送する搬送装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の搬送装置は、フォーマへ向けて搬送されているストリップを切断する切断装置を備えている。この切断装置は、搬送されているストリップを下から支持する支持台と、ストリップの上方に配置され、搬送装置の搬送面に平行で搬送方向に直交する軸心回りに回転するカッターとを有する。カッターは、軸心と略平行な直線状の刃を有し、この刃は、軸心回りに円形の軌跡で移動する。切断装置は、カッターをストリップの搬送速度と同速度でかつ搬送方向と同方向に一回転させ、刃がストリップに最も接近したときにストリップを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-246812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の切断装置は、ストリップの硬度や粘性等によって切断状態が変化しやすい。例えば、ストリップの硬度が高いと、カッターがストリップに接触したときにカッターが撓み、ストリップを十分に切断できなくなる可能性がある。また、ストリップの粘性が高いと、カッターの接触によってストリップが引っ張られて伸びてしまい、ストリップを適切に切断できなくなる可能性がある。
【0006】
そのため、上記の切断装置においては、ストリップに対するカッターの切り込み量(切り込み深さ)を適切に調整することが望まれる。
【0007】
本発明は、ストリップに対するカッターの切り込み量を調整することができるストリップの切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のストリップの切断装置は、搬送装置により搬送されるストリップを切断する刃を有するカッターと、
前記カッターを駆動する駆動装置と、
前記ストリップへの前記刃の切り込み量を調整する調整装置と、を備え、
前記駆動装置は、前記搬送装置の搬送面に平行で前記ストリップの搬送方向と交差する軸心回りに前記カッターを前記搬送方向に回転させ、前記刃を前記搬送面に接近させた切断姿勢の前記カッターにより前記ストリップを切断し、
前記調整装置は、
手で回転操作される操作部と、
前記操作部の回転に連動して、切断姿勢の前記カッターの刃と前記搬送面との距離を変化させる連動部と、
前記操作部を所定の回転量毎に位置決めする位置決め部と、を備えている。
【0009】
上記構成の切断装置によれば、操作部を手で回転操作するだけで簡単にストリップに対するカッターの刃の切り込み量を調整することができる。そのため、ストリップの硬度や粘性等に応じて適切な切り込み量でストリップを切断することができる。また、調整装置は、操作部を所定の回転量毎に位置決めする位置決め部を備えているので、カッターの刃と搬送面との距離を所定量ずつ変化させることができる。そのため、ストリップの性質等に応じてカッターの刃の切り込み量を適切に調整することができる。
【0010】
(2) 上記(1)の切断装置において、好ましくは、前記位置決め部が、前記操作部とともに回転移動する第1係合部と、
前記操作部とともに回転移動せずに固定された状態にあり、前記第1係合部に係脱自在に係合する第2係合部と、を有する。
【0011】
この構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合により操作部を所定の回転位置で位置決めすることができる。
【0012】
(3) 上記(2)の切断装置において、好ましくは、前記第1係合部又は前記第2係合部が、前記操作部の回転軸心回りに間隔をあけて複数設けられている。
【0013】
この構成によれば、操作部をより小さい回転量毎に位置決めすることができ、カッターの刃の切り込み量をより細かく調整することができる。
【0014】
(4) 上記(1)~(3)のいずれか1つの切断装置において、好ましくは、前記連動部は、前記軸心と前記刃との距離を維持したまま、前記軸心と前記搬送面との距離を変化させる。
【0015】
この構成によれば、調整装置が、搬送面とカッターの回転軸心との距離を変化させることで、切断姿勢のカッターの刃と搬送面との距離を変化させることができる。このようにストリップに対する刃の切り込み量を調整した場合、カッターの回転軸心と刃との距離は維持されるので、当該回転軸心回りの刃の移動速度(周速度)は変化せず、搬送装置によるストリップの搬送速度と刃の移動速度との関係も変化しない。そのため、刃の切り込み量の調整に伴って、ストリップの搬送速度又は刃の移動速度の調整が不要となり、ストリップの搬送速度と刃の移動速度とを容易に同期させることができる。
【0016】
(5) 上記(4)の切断装置において、好ましくは、前記駆動装置は、前記カッターが取り付けられ前記軸心を有する回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、を備え、
前記連動部は、前記回転軸及び前記モータを前記搬送面に垂直な方向に移動させる。
【0017】
このような構成によって、カッターの回転軸心と刃との距離を維持したまま、ストリップに対する刃の切り込み量を調整することができる。
【0018】
(6) 上記(1)~(5)のいずれか1つの切断装置において、好ましくは、前記操作部が、前記搬送面に垂直な方向において当該搬送面に対して前記カッターとは反対側に配置される。
【0019】
この構成によれば、カッターから離れた位置で操作部を操作し、刃の切り込み量の調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ストリップに対するカッターの切り込み量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係るストリップの切断装置を含むタイヤ用のゴム部材の製造装置を示す側面図である。
図2図2は、切断装置の平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線断面図である。
図4図4は、カッターの取付構造を示す平面図である。
図5図5は、図2のV-V線断面図である。
図6図6は、位置決め部を拡大して示す正面図である。
図7図7は、位置決め部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るストリップの切断装置について説明する。
【0023】
図1は、実施形態に係るストリップの切断装置を含むタイヤ用のゴム部材の製造装置を示す側面図である。
この製造装置2は、未加硫ゴムからなるテープ状(帯状)のストリップSを形成しながら、ストリップSを螺旋状に巻いてタイヤを構成するゴム部材、例えばタイヤのトレッドを製造する装置である。この製造装置2は、タイヤを製造する生産ラインの一部を構成する。
【0024】
製造装置2は、押し出し装置4、カレンダー装置6、搬送装置8、切断装置20、及びドラム成形装置10を備える。
【0025】
押し出し装置4は、未加硫ゴムGをテープ状に成形する。この押し出し装置4は、シリンダー12、スクリュー14及び口金16等を有する。押し出し装置4では、シリンダー12内に未加硫ゴムGが投入される。スクリュー14は、図示されない駆動手段により回転駆動される。シリンダー12内の未加硫ゴムGは、スクリュー14の駆動により口金16を通じて押し出され、テープ状に成形される。
【0026】
本実施形態の製造装置2では、押し出し装置4の構造、動作等は特に限定されるものではなく、未加硫ゴムGをテープ状に成形できればよい。したがって、タイヤの製造において一般的に用いられる押し出し装置を、本実施形態の製造装置2の押し出し装置4として用いることができる。
【0027】
製造装置2では、押し出し装置4においてテープ状に成形された未加硫ゴムGはカレンダー装置6に供給される。カレンダー装置6は、未加硫ゴムGを圧延してストリップSを成形する。このカレンダー装置6は、回転可能に支持された、少なくとも2本のロール18を備える。押し出し装置4にて成形されたテープ状の未加硫ゴムGはそのまま、2本のロール18の間に設けられた間隙に通される。これにより、未加硫ゴムGが圧延され、ストリップSが成形される。
【0028】
図1に示されるように、搬送装置8は、カレンダー装置6とドラム成形装置10との間に位置する。搬送装置8は、ストリップSをドラム成形装置10に搬送する。この搬送装置8は、フェスツーン部32と、コンベア部34とを有する。
【0029】
フェスツーン部32は、ストリップSを蛇行させるための上ローラ32u及び下ローラ32sを備える。このフェスツーン部32は、上ローラ32uと下ローラ32sとの間の距離を変更することにより、搬送装置8を通過するストリップSの長さを調整できる。これにより、ストリップSのたるみが吸収され、ストリップSの成形と、後述するゴム部材の成形とが安定して行われる。
【0030】
コンベア部34は、一対の搬送ローラ40と、搬送ベルト38と、搬送フレーム42とを備える。一対の搬送ローラ40は、ストリップSの搬送方向に間隔をあけて配置され、搬送フレーム42に回転可能に支持されている。搬送ベルト38は、一対の搬送ローラ40に巻き掛けられる。一対の搬送ローラ40のうち、一方の搬送ローラ40が、図示されない駆動手段により回転させられる。これにより、搬送ベルト38が周回する。
【0031】
フェスツーン部32によって搬送されたストリップSは、搬送ベルト38の上面(搬送面)に載せられ、搬送ベルト38の周回によってドラム成形装置10のドラム36に供給される。
【0032】
搬送ローラ40の軸心は、ドラム36の回転軸48と互いに平行関係になるように配置される。コンベア部34は、図示されない移動手段により、ドラム36の軸方向に往復移動させられる。ストリップSは、コンベア部34を軸方向に移動させながらドラム36に巻かれる。これにより、ストリップSは螺旋状に巻き重ねられ、ドラム36上に筒状のゴム部材が成形される。
【0033】
切断装置20は、搬送装置8のコンベア部34によって搬送されているストリップSをその長手方向に交差する方向、例えば、ストリップSを幅方向に沿って切断する。なお、以下の切断装置20の説明における「搬送装置8」は、専ら「コンベア部34」のことを意味している。この切断装置20の詳細については後述する。また、切断装置20は、搬送装置8の一構成要素であってもよい。逆に、搬送装置8は、切断装置20の一構成要素であってもよい。
【0034】
ドラム成形装置10は、ドラム36と、押し付けローラ44とを有する。ドラム36は、本体フレーム41に回転自在に支持され、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転駆動される。ドラム36は、複数のセグメント37を備える。複数のセグメント37は、周方向に並べられ、ドラム36の外周面36aを構成する。複数のセグメント37は、図示しない移動手段によって径方向に移動する。これによりドラム36の外径が、拡大又は縮小する。
【0035】
押し付けローラ44は、搬送装置8で搬送されたストリップSを、ドラム36又はドラム36上に形成された他のゴム部材に押し当てる。これにより、ストリップSが貼り付けられる。押し付けローラ44はドラム36上でストリップSを貼り付ける。ドラム36に所定の長さのストリップSが巻かれると、切断装置20がストリップSを切断する。これにより、ストリップSの搬送とドラム36の回転とを止めずに効率よく所定長さのストリップSをドラム36に巻くことができる。
【0036】
[切断装置の詳細]
図2は、切断装置の平面図である。図3は、図2のIII-III線断面図である。図4は、カッターの取付構造を示す平面図である。
なお、以下の説明において、コンベア部34によるストリップSの搬送方向を第1方向X、この第1方向Xに直交する方向を第2方向Y、第3方向Zということがある。第2方向Yは、搬送装置8の搬送面39に平行な方向であり、第3方向Zは、搬送面39に垂直な方向である。本実施形態では、第3方向Zが上下方向に向けられている。また、図2図4では、カッター21が第1、第2方向X,Yに平行な姿勢(待機姿勢)で示されている。
【0037】
切断装置20は、搬送装置8で搬送されているストリップSを切断する。切断装置20は、カッター21と、駆動装置22と、調整装置23と、を備えている。
カッター21は、長方形の板状に形成された部材である。カッター21は、長方形の一つの長辺に刃21aを備える。刃21aは、直線状に形成されている。
【0038】
(駆動装置の構成)
図2に示すように、駆動装置22は、回転軸51と、モータ52と、連結軸59と、支持フレーム53とを有する。
回転軸51は、支持フレーム53の取付部材54に回転自在に取り付けられている。回転軸51は、略円柱形状に形成され、搬送装置8による搬送面39(搬送ベルト38の外周面)に平行な軸心Cを有する。軸心Cは、搬送装置8の搬送方向(第1方向)Xに直交している。言い換えると、軸心Cは、第2方向Yに沿って配置されている。ただし、軸心Cは、必ずしも搬送方向Xに直交していなくてもよく、搬送方向Xに交差していればよい。
【0039】
図3及び図4に示すように、回転軸51の外周面には、略L字状に切欠かれた凹部51aが形成されている。この凹部51aには、ホルダ55を介してカッター21が取り付けられる。カッター21は、ホルダ55にボルト55bで固定されている。図4において、第2方向Yにおけるホルダ55の両端には、第1方向Xに長い長孔55aが形成されている。ホルダ55は、長孔55aに挿入されたボルト56によって回転軸51に固定されている。したがって、ホルダ55及びカッター21は、ボルト56を緩めることによって長孔55aの長さの範囲で回転軸51に対して第1方向Xに位置調整可能となる。
【0040】
回転軸51には、第2方向Yに並べて2つの調整ボルト(調整部材)57が設けられている。この調整ボルト57により、回転軸51に対するホルダ55及びカッター21の第1方向Xの位置を調整することができる。言い換えると、回転軸51の軸心Cから刃21aまでの距離L1(後述する刃21aの回転軌跡Kの半径;図3参照)を調整することができる。また、2つの調整ボルト57を操作することによって、軸心Cに対するカッター21の刃21aの平行度(傾き)を調整することができる。
【0041】
図2に示すように、モータ52は、支持フレーム53の取付部材58に取り付けられている。連結軸59は、モータ52の出力軸と回転軸51とを連結している。モータ52の回転動力は、連結軸59を介して回転軸51に伝達される。
【0042】
支持フレーム53は、第2方向Yに延びる主フレーム60と、主フレーム60から第1方向Xに突出する前述の取付部材54,58とを有する。支持フレーム53は、後述する調整装置23の一対のガイド部材64bに第3方向Zに移動自在に支持されている。一対のガイド部材64bは、第3方向Zに延びている。支持フレーム53は、ガイド部材64bに連結されかつガイド部材64bに沿って第3方向Zにガイドされる被ガイド部材53aを有している。支持フレーム53が、第3方向Zに移動することによって、回転軸51、モータ52、及び連結軸59を含む駆動装置22全体が第3方向Zに移動する。
【0043】
カッター21は、図3に示す位置で待機している。このときのカッター21の姿勢を「待機姿勢」ともいう。駆動装置22のモータ52を作動すると、図3の矢印a方向に回転軸51が回転し、カッター21が待機姿勢から軸心C回りに回転する。カッター21の刃21aは、軸心Cを中心とした円形の軌跡Kで移動する。カッター21が待機姿勢から約90度回転し、第3方向Zにおいて刃21aが搬送ベルト38の搬送面39に最も接近したとき、カッター21は搬送面39に対して略垂直な姿勢となる。このとき、搬送ベルト38上に配置されて搬送されているストリップSに刃21aが入り込み、ストリップSが切断される。このときのカッター21の姿勢を「切断姿勢」といい、図3に2点鎖線(符号21’)で示す。
【0044】
カッター21の刃21aの移動速度(周速度)は、ストリップSの搬送速度と略同一である。そのため、刃21aは、搬送面39に垂直な方向にストリップSを切り込む。なお、搬送装置8のコンベア部34は、ストリップSを切断しているカッター21の反対側で搬送ベルト38を支持する支持ローラ35を有している。
【0045】
(調整装置の構成)
調整装置23は、ストリップSに対するカッター21の刃21aの切り込み量(切り込み深さ)を調整する。具体的に、本実施形態では、搬送装置8の搬送面39からカッター21の回転軸心Cまでの第3方向Zの距離L2(図3参照)を調整することによって、ストリップSに対する刃21aの切り込み量を調整する。
【0046】
図5は、図2のV-V線断面図である。
図2及び図5に示すように、調整装置23は、人の手で回転操作される操作部62と、操作部62の回転に連動して、カッター21の刃21aの位置を変化させる連動部63と、これらを支持する支持部64と、を有する。
【0047】
支持部64は、コンベア部34の搬送フレーム42に固定されている。支持部64は、第3方向Zに対して垂直に配置された支持台64aと、支持台64aに固定された一対のガイド部材64bとを備えている。ガイド部材64bは、前述したように支持フレーム53を第3方向Zに移動自在に支持している。
【0048】
操作部62は、円柱形状に形成されている。操作部62の外周面にはすべり止めのためにローレット加工が施されている。操作部62は、円柱形状の軸心C1を第3方向Zに沿わせた状態で当該軸心C1回りに回転自在に支持台64aに取り付けられている。操作部62は、第3方向Zにおいて搬送ベルト38の搬送面39に対してカッター21とは反対側に配置されている。より具体的には、操作部62は、搬送面39及び支持台64aの下方に配置されている。
【0049】
連動部63は、主歯車66、ねじ軸67、及び副歯車68を有する。主歯車66は、主歯車66は、操作部62と同心状に配置され、操作部62に固定されている。したがって、操作部62を回転操作すると主歯車66も回転する。主歯車66は、第3方向Zにおいて操作部62と支持台64aとの間に配置されている。
【0050】
ねじ軸67は、円柱状に形成されている。ねじ軸67は、円柱形状の軸心を第3方向Zに沿わせた状態で配置されている。ねじ軸67の外周面には、雄ネジ67aが形成されている。雄ネジ67aは、支持台64aに設けられた雌ねじ部材69にねじ結合されている。第3方向Zにおいて支持台64aよりもカッター21側に配置されたねじ軸67の一端部には、駆動装置22の支持フレーム53が連結されている。第3方向Zにおいて支持台64aよりも操作部62側に配置されたねじ軸67の他端部には、副歯車68が同心状に固定されている。副歯車68は、主歯車66と噛み合い、主歯車66の回転に連動して回転する。
【0051】
調整装置23の操作部62を回転操作すると、主歯車66、副歯車68を介してねじ軸67が回転する。この回転によってねじ軸67が第3方向Zに移動し、ねじ軸67に連結された駆動装置22も第3方向Zに移動する。この移動によって、第3方向Zにおける回転軸51の軸心Cと搬送面39との距離L2が調整される。この距離L2の調整によって、切断姿勢におけるカッター21の刃21aと搬送面39との距離も調整され、搬送面39上のストリップSに対する刃21aの切り込み量も調整される。本実施形態では、例えば、操作部62を一回転(360度回転)させると、カッター21の刃21aの切り込み量が1mm調整されるように構成されている。
【0052】
以上のようなカッター21の刃21aの切り込み量の調整は、例えば、ストリップSの硬度や粘性等の性質に応じて行うことができる。ストリップSの硬度が高いと、図3に2点鎖線(符号21”)で示すようにストリップSにカッター21が接触したときに撓んでしまい、適切にストリップSを切断することができない可能性がある。また、ストリップSの粘性が高いと、カッター21が接触したときにストリップSが伸びてしまい、適切に切断できない可能性がある。本実施形態では、カッター21の刃21aの切り込み量を調整することで、ストリップSの性質に応じて適切に切断することが可能となる。
【0053】
カッター21の刃21aの切り込み量の調整は、例えば、調整ボルト57(図4参照)を操作して、回転軸51に対するホルダ55の位置調整によっても行うことができる。しかしながら、調整ボルト57の操作には六角レンチやスパナ等の工具が必要であり、作業が煩雑となる。これに対して、本実施形態の調整装置23は、操作部62を人の手で回転操作するだけで、カッター21の刃21aの切り込み量を容易に調整することができる。
【0054】
また、カッター21の刃21aの切り込み量の調整を調整ボルト57により行うと、軸心Cに対する刃21aの平行度が変動する可能性があるため、当該平行度も併せて調整する必要がある。本実施形態の調整装置23は、刃21aの切り込み量を調整するために、回転軸51(駆動装置22)とともにカッター21を移動させているので、軸心Cに対する刃21aの平行度が変化することもない。
【0055】
さらに、カッター21の刃21aの切り込み量の調整を調整ボルト57により行うと、回転軸51の軸心Cから刃21aまでの距離L1が変化し、カッター21を回転させたときの刃21aの移動速度(周速度)が変化する。そのため、ストリップSの搬送速度とカッター21の回転速度との同期が崩れ、前記搬送速度及び前記回転速度の一方又は双方を再調整する必要が生じる場合がある。本実施形態の調整装置23では、刃21aの切り込み量を調整したとしても、軸心Cと刃21aとの距離L1は変化しないので、刃21aの移動速度も変化しない。したがって、ストリップSの搬送速度又はカッター21の回転速度の調整が不要となり、これらを容易に同期させることができる。
【0056】
本実施形態では、第3方向において、操作部62が搬送面39に対してカッター21とは反対側、すなわち、搬送面39よりも下側に配置されている。そのため、カッター21から離れた位置で刃21aの切り込み量の調整を行うことができ、カッター21の刃21aと、コンベア部34の搬送面39との位置関係を確認しながら切り込み量を調整することができる。
【0057】
図5に示すように、本実施形態の調整装置23は、操作部62を所定の回転量毎に位置決めする位置決め部71を更に有している。図6は、位置決め部を拡大して示す正面図である。図7は、位置決め部を拡大して示す平面図である。
【0058】
位置決め部71は、第1係合部73と第2係合部72とを有する。第1係合部73は、操作部62とともに回転する主歯車66に形成されている。主歯車66の上面は支持台64aの下面に対向して配置されており、この主歯車66の上面に第1係合部73が形成されている。本実施形態の第1係合部73は、主歯車66の上面に形成された凹部である。したがって、以下の説明では、凹部にも第1係合部と同じ符号「73」を付すことがある。凹部73は球面状に形成されている。図7に示すように、凹部73は、操作部62及び主歯車66の回転軸心C1回りに間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、10個の凹部73が回転軸心C1回りに等間隔(中心角θ=36度)で形成されている。
【0059】
第2係合部72は、操作部62及び主歯車66を回転自在に支持する支持部64の支持台64aに設けられている。したがって、第2係合部72は、操作部62及び主歯車66とともに回転せず、固定された状態にある。第2係合部72は第1係合部(凹部)73に対して係合及び離脱が可能(係脱自在)である。
【0060】
第2係合部72は、支持台64aに設けられたボールプランジャ72により構成されている。このボールプランジャ72は、ボール72aとばね72bとケース72cとを含む。ケース72cは円筒形状に形成され、支持台64aに固定されている。ケース72cの下端は開口している。
【0061】
ばね72bはケース72c内に収容されている。ボール72aは、ケース72cの下端開口から下方に突出している。ボール72aは、ばね72bによって下方に付勢されている。ボール72aは、主歯車66に形成された凹部73に係脱自在に係合する。したがって、ボール72aが、実質的な第2係合部を構成し、凹部73に係脱自在な凸部となっている。
【0062】
操作部62を手で回転操作すると、主歯車66も一緒に回転し、複数の凹部73が回転移動する。そして、主歯車66に形成されたいずれかの凹部73の位置がボールプランジャ72のボール72aに一致すると、当該ボール72aがばね72bに付勢されて凹部73に係合する。これにより操作部62及び主歯車66が位置決めされる。さらに操作部62を回転操作すると、ボール72aがばね72bに抗して上方に移動し凹部73から離脱する。そして、他の凹部73の位置がボール72aに一致したときに、当該ボール72aがその凹部73に係合する。ボール72aが凹部73に係合した状態では、人為的に力を加えないと操作部62を回転させることができない。そのため、操作部62及び主歯車66が位置決めされた状態で自然に回転しまうことが抑制される。
【0063】
以上のように、第1係合部73と第2係合部72とを有する位置決め部71によって、操作部62を所定の回転量(36度)毎に位置決めすることができる。前述したように、操作部62を一回転(360度回転)させることでカッター21の刃21aの切り込み量を1mm調整することができるので、10個の第1係合部73に第2係合部72を順次係合させることで、刃21aの切り込み量を0.1mmずつ調整できることになる。したがって、カッター21の刃21aの切り込み量を正確に微量ずつ調整することができる。そのため、ストリップSの硬度や粘性等の性質に応じてカッター21の刃21aの適切な切り込み量の調整が可能となる。
【0064】
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【0065】
例えば、位置決め部71において、第1係合部(凹部)73の個数は10個に限定されず適宜変更することができる。第1係合部73の個数を変更することで、刃21aの切り込み量の調整量も変更することができ、当該調整量をより細かく又は粗く設定することができる。また、第1係合部73は1個であってもよい。この場合、操作部62を一回転(360度回転)させる度に位置決めすることができる。
【0066】
位置決め部71において、第1係合部(凹部)73は、操作部62に形成されていてもよい。この場合、例えば操作部62の下面に第1係合部(凹部)73を形成し、操作部62の下面に対向する他の固定部材に第1係合部73に係合する第2係合部(ボールプランジャ)72を設ければよい。
【0067】
位置決め部71において、第1係合部73は、上記実施形態のボールプランジャ(ボール;凸部)により構成されていてもよく、第2係合部72は、上記実施形態の凹部により構成されていてもよい。
【0068】
位置決め部71において、第1係合部73が一箇所に形成され、第2係合部72が操作部62の回転軸心C1回りに複数箇所に設けられていてもよい。
【0069】
上記実施形態の第2係合部72は、ボールプランジャ72により構成されていたが、第1係合部73に係脱可能であれば特に限定されない。
【0070】
調整装置23は、回転軸51に対するカッター21の位置を調整するものであってもよい。この場合、操作部62及び連動部63は、回転軸51やホルダ55等に設けることができる。ただし、カッター21の周囲はスペースが狭く、操作部62を設けると操作し難くなる可能性が高いので、上記実施形態のように構成することがより好ましい。
【0071】
上記実施形態23では、調整装置23の連動部63が、操作部62と一体に回転する主歯車66と、ねじ軸67と一体に回転する副歯車68とを有していたが、操作部62によって直接的にねじ軸67を回転させる構成であってもよい。ただし、上記実施形態のように連動部63が、主歯車66及び副歯車68を備えることで、操作部62の回転を増速又は減速してねじ軸67に伝達することができ、第3方向Zにねじ軸67が移動しても、操作部62は一定の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0072】
8 :搬送装置
20 :切断装置
21 :カッター
21a :刃
22 :駆動装置
23 :調整装置
39 :搬送面
51 :回転軸
52 :モータ
62 :操作部
63 :連動部
71 :位置決め部
72 :第2係合部
73 :第1係合部(凹部)
C :カッターの回転軸心
C1 :操作部の回転軸心
L1 :距離
L2 :距離
S :ストリップ
X :搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7