(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063325
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】通信制御システム及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20240502BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240502BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20240502BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W48/16 132
H04W48/18 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171168
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】竹内 重博
(72)【発明者】
【氏名】江頭 公平
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD41
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】より顧客満足度の高い通信を提供する通信制御システム及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】通信制御システム100は、4G又は5GのU-Planeにおける通信を制御する通信制御装置20と、通信制御装置20と外部通信網40との間に設置された通信品質判断装置30と、を備え、通信品質判断装置30は、U-PlaneのQoSを取得し、QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断し、QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を通信制御装置20へ送信し、通信制御装置20は、QoS低下検知信号を受信した場合に、UEの再アタッチ処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4G(第4世代移動通信システム)又は5G(第5世代移動通信システム)のU-Plane(User-Plane)における通信を制御する通信制御装置と、前記通信制御装置と外部通信網との間に設置された通信品質判断装置と、を備え、
前記通信品質判断装置は、
前記U-PlaneのQoS(Quality of Service)を取得し、前記QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断し、前記QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を前記通信制御装置へ送信し、
前記通信制御装置は、
前記QoS低下検知信号を受信した場合に、UE(User Equipment)の再アタッチ処理を行う、
通信制御システム。
【請求項2】
前記通信品質判断装置は、DPI(Deep Packet Inspection)方式により、前記QoSを取得する、
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
4G(第4世代移動通信システム)又は5G(第5世代移動通信システム)のU-Plane(User-Plane)における通信を制御する通信制御装置と外部通信網との間に設置された通信品質判断装置が、
前記U-PlaneのQoS(Quality of Service)を取得し、前記QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断し、前記QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を前記通信制御装置へ送信し、
前記通信制御装置が、
前記QoS低下検知信号を受信した場合に、UE(User Equipment)の再アタッチ処理を行う、
通信制御方法。
【請求項4】
前記通信品質判断装置は、DPI(Deep Packet Inspection)方式により、前記QoSを取得する、
請求項3に記載の通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御システム及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザがUE(User Equipment)を使用中に乗り物などで移動したり、イベントなどで大量のユーザが同じ場所でUEを使用したり、ユーザがUEを使用中に電波状態が極端に低い地域に移動したりする場合がある。このような場合に、UEの画面に表示される受信強度を示すアンテナの本数が十分に立っているにもかかわらず、通信速度が極端に遅くなる場合がある。通信速度が極端に遅くなると、動画が再生できない、Webページを開けないなどパケ詰まりが発生し、QoS(Quality of Service)が悪くなる現象が発生する。この現象を解消するためには、ユーザが手動でUEの再起動や機内モードのON/OFFを実施する必要があり、顧客満足度(QoE;Quality of Experience)の低下の一因となっていた。
【0003】
特許文献1では、管理装置が、各基地局装置のリソース不足を予想可能なパラメータを取得する。また、管理装置が、当該パラメータに応じて、所定の基地局装置に接続された端末装置に使用させたいリソースの優先度に関する情報を生成する。そして、管理装置が、当該優先度に基づいて、端末装置が採用するチャネルを選択する。これにより、特許文献1に記載された技術は、端末装置と基地局装置との間の通信をより容易に成立させることを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一度、端末装置と基地局装置との通信が成立した後、端末装置が移動等により、当該端末装置と基地局との通信のQoSが低下した場合についての対処については記載されていない。
【0006】
本開示の目的は、より顧客満足度の高い通信を提供する通信制御システム及び通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る通信制御システムは、4G(第4世代移動通信システム)又は5G(第5世代移動通信システム)のU-Plane(User-Plane)における通信を制御する通信制御装置と、前記通信制御装置と外部通信網との間に設置された通信品質判断装置と、を備え、前記通信品質判断装置は、前記U-PlaneのQoS(Quality of Service)を取得し、前記QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断し、前記QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を前記通信制御装置へ送信し、前記通信制御装置は、前記QoS低下検知信号を受信した場合に、UE(User Equipment)の再アタッチ処理を行う。
【0008】
本開示に係る通信制御方法は、4G又は5GのU-Plane(User-Plane)における通信を制御する通信制御装置と外部通信網との間に設置された通信品質判断装置が、前記U-PlaneのQoS(Quality of Service)を取得し、前記QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断し、前記QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を前記通信制御装置へ送信し、前記通信制御装置が、前記QoS低下検知信号を受信した場合に、UE(User Equipment)の再アタッチ処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
より顧客満足度の高い通信を提供する通信制御システム及び通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る通信制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態に係る4Gのネットワークアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図3】第3の実施形態に係る5Gのネットワークアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図4】第4の実施形態に係る通信制御方法の一例をフローチャートである。
【
図5】第4の実施形態に係る通信制御方法の一例をフローチャートである。
【
図6】第4の実施形態に係る通信制御方法の一例をフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る通信制御システムの一例を示すブロック図である。本実施形態に係る通信制御システム100は、例えば、4G(第4世代移動通信システム)又は5G(第5世代移動通信システム)における通信を制御するシステムである。具体的には、通信制御システム100は、通信制御装置20、通信品質判断装置30を備える。また、通信品質判断装置30は、通信制御装置20と外部通信網40との間に設置されている。外部通信網40は、例えば、インターネット等のDN(Data Network)である。
【0012】
通信制御装置20は、U-Plane(User-Plane)における通信を制御する。例えば、通信制御装置20は、UE(User Equipment)10の外部通信網40への登録処理(以下、「アタッチ処理」)を行う。
【0013】
通信品質判断装置30は、U-PlaneのQoS(Quality of Service)を取得し、QoSが所定の閾値未満となったか否かを判断する。また、QoSが所定の閾値未満となった場合に、QoS低下検知信号を通信制御装置20へ送信する。
【0014】
そして、通信制御装置20は、QoS低下検知信号を受信した場合に、外部通信網40へのUE10のアタッチ処理を再度行う(再アタッチ処理)。
【0015】
以上に説明した第1の実施形態に係る通信制御システム100によれば、パケ詰まり等が発生し、QoSが所定の閾値未満となった場合、すなわち、通信品質が低下した場合に、通信制御装置20がUE10の再アタッチ処理を自動で行うことができる。そして、再アタッチ処理により、UE10にとって適切な基地局が再選択されることにより、自動的にパケ詰まりが復旧し、QoEが通常レベルに戻る。そのため、通信品質の低下を解消するため、UE10のユーザが手動でUE10を再起動したり、機内モードをON/OFFしたりする必要が無くなる。よって、より顧客満足度の高い通信を提供する通信制御システム及び通信制御方法を提供することができる。
【0016】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る通信制御システム200の構成を示すブロック図である。通信制御システム200は、4Gにおける通信を制御するシステムである。具体的には、通信制御システム200は、通信制御装置としてのコアネットワーク部21、通信品質判断装置としてのDPI(Deep Packet Inspection)システム31を備える。より具体的には、通信制御システム200は、eNB(eNodeB(Evolved Node B))201、SGW(Serving Gateway)202、PGW(Packet data network Gateway)203、MME(Mobility Management Entity)204、HSS(Home Subscriber server)205、PCRF(Policy and Charging Rule Function)206、OCS(Online Charging System)207、OFCS(Offline Charging System)208を備える。また、コアネットワーク部21は、SGW202、PGW203、MME204を備える。
【0017】
コアネットワーク部21は、U-Planeにおける通信を制御する。例えば、コアネットワーク部21は、UE10のインターネット41(外部通信網)への登録処理(以下、「アタッチ処理」)を行う。また、コアネットワーク部21は、UE10のアタッチ情報をDPIシステム31に送信する。ここで、アタッチ情報とは、UE10のユーザの加入者情報、UE10が接続された基地局に関する情報等である。
また、コアネットワーク部21は、DPIシステム31から、QoS低下検知信号を受信した場合に、再アタッチ要求信号をUE10へ送信する。そして、コアネットワーク部21は、UE10の再アタッチ処理を行う。
【0018】
DPIシステム31は、コアネットワーク部21からUE10のアタッチ情報を受信する。また、DPIシステム31は、受信したアタッチ情報に基づいて、U-Planeに対するUE10のQoSを取得するための設定を行う。また、UE10がインターネット41に接続した場合に、DPIシステム31は、U-Planeに対するUE10のQoSの取得を開始する。また、DPIシステム31は、取得したQoSが所定の閾値未満となったか否かを判断する。また、DPIシステム31は、取得したQoSが所定の閾値未満となったと判断した場合に、QoS低下検知信号をコアネットワーク部21へ送信する。
【0019】
以上に説明した第2の実施形態に係る通信制御システム200によれば、パケ詰まり等が発生し、QoSが所定の閾値未満となった場合、すなわち、通信品質が低下した場合に、コアネットワーク部21がUE10の再アタッチ処理を自動で行うことができる。そして、再アタッチ処理により、UE10にとって適切な基地局が再選択されることにより、自動的にパケ詰まりが復旧し、QoEが通常レベルに戻る。そのため、通信品質の低下を解消するため、UE10のユーザが手動でUE10を再起動したり、機内モードをON/OFFしたりする必要が無くなる。よって、より顧客満足度の高い通信を提供することができる。
【0020】
また、通信品質判断装置としてDPIシステム31がQoSを取得することにより、より高度にQoSの低下を判断することが可能となる。また、例えば、DPIシステム31によって、UE10が通信している通信の種類を特定することができるため、QoS低下検知信号に、特定した通信の種類に適した帯域に関する情報を含ませることができる。これにより、再アタッチ処理において、UE10が通信している通信の種類に適した帯域に対して再アタッチ処理を行うことが可能となる。
【0021】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る通信制御システム300の構成を示すブロック図である。通信制御システム300は、5Gにおける通信を制御するシステムである。具体的には、通信制御システム300は、通信制御装置としてのC-Planeコアネットワーク部22、通信品質判断装置としてのDPI(Deep Packet Inspection)システム32、U-Planeコアネットワーク部50を備える。より具体的には、通信制御システム300は、(R)AM((Radio) Access Network)301、UPF(User Plane Function)302、AMF(Access and Mobility Management Function)303、SMF(Session Management Function)304、PCF(Policy Control Function)305、AF(Application Function)306、NSSF(Network Slice Selection Function)307、AUSF(Authentication Server Function)308、UDM(Unified Data Management)309を備える。また、C-Planeコアネットワーク部22は、AMF303、SMF304、PCF305、AF306、NSSF307、AUSF308、UDM309を備える。U-Planeコアネットワーク部50は、UPF302を備える。U-Planeコアネットワーク部50は、U-PlaneにおけるUE10と外部通信網としてのDN42との間のパケットの送受信を行う。
【0022】
C-Planeコアネットワーク部22は、U-Planeにおける通信を制御する。例えば、C-Planeコアネットワーク部22は、UE10のDN(Data Network)42への登録処理(以下、「アタッチ処理」)を行う。また、C-Planeコアネットワーク部22は、UE10のアタッチ情報をDPIシステム32に送信する。
また、C-Planeコアネットワーク部22は、DPIシステム32から、QoS低下検知信号を受信した場合に、再アタッチ要求信号をUE10へ送信する。そして、C-Planeコアネットワーク部22は、UE10の再アタッチ処理を行う。
【0023】
DPIシステム32の処理は、第3の実施形態に係るDPIシステム31と同様であるため、その説明を省略する。
【0024】
以上に説明した第3の実施形態に係る通信制御システム300によれば、第2の実施形態に係る通信制御システム200と同様に、より顧客満足度の高い通信を提供することができる。
【0025】
(第4の実施形態)
図4~
図6は、本発明の第4の実施形態に係る通信制御方法を示すフローチャートである。
図4~
図6において、コアネットワーク部23は、第2の実施形態に係るコアネットワーク部21又は第3の実施形態に係るC-Planeコアネットワーク部22である。また、DPIシステム33は、第2の実施形態に係るDPIシステム31又は第3の実施形態に係るDPIシステム32である。また、外部通信網43は、第2の実施形態に係るインターネット41又は第3の実施形態に係るDN42である。
【0026】
まず、ユーザがUE10の電源をONする、又は、UE10の機内モードをOFFすると(ステップS101)、コアネットワーク部23がUE10のアタッチ処理を行う(ステップS102)。
【0027】
次に、コアネットワーク部23がUE10のアタッチ情報をDPIシステム33へ送信する(ステップS103)。
【0028】
次に、DPIシステム33は、UE10のアタッチ情報を受信すると、当該アタッチ情報に基づいて、U-Planeに対するUE10のQoSを取得するための設定を行う(ステップS104)。
【0029】
次に、UE10が外部通信網43へ接続し(ステップS105)、DPIシステム33は、U-Planeに対するUE10のQoSの取得を開始する(ステップS106)。
【0030】
次に、DPIシステム33は、取得したQoSが所定の閾値未満となったか否かを判断する(ステップS107)。
【0031】
ステップS107において、DPIシステム33は、QoSが所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS107;Yes)、ステップS106の処理に戻る。
【0032】
ステップS107において、DPIシステム33は、QoSが所定の閾値未満であると判断した場合(ステップS107;No)、QoS低下検知信号をコアネットワーク部23へ送信する(ステップS108)。ここで、QoSが所定の閾値未満となる場合とは、例えば、U-Planeにおいてパケ詰まりが発生した場合等である。
【0033】
次に、コアネットワーク部23は、QoS低下検知信号を受信すると、再アタッチ要求信号をUE10に送信し(ステップS109)、UE10の再アタッチ処理を行う(ステップS110)。
【0034】
以上に説明した第4の実施形態に係る通信制御方法によれば、パケ詰まり等が発生し、QoSが所定の閾値未満となった場合、すなわち、通信品質が低下した場合に、コアネットワーク部23がUE10の再アタッチ処理を自動で行うことができる。そして、再アタッチ処理により、UE10にとって適切な基地局が再選択されることにより、自動的にパケ詰まりが復旧し、QoEが通常レベルに戻る。そのため、通信品質の低下を解消するため、UE10のユーザが手動でUE10を再起動したり、機内モードをON/OFFしたりする必要が無くなる。よって、より顧客満足度の高い通信を提供することができる。
【0035】
上述の実施の形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。本開示は、フローチャートに記載の処理手順及びその他の実施の形態に記載の処理手順を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0036】
上記の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等である。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0037】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
100、200、300 通信制御システム
10 UE
20 通信制御装置
21、23 コアネットワーク部(通信制御装置)
22 C-Planeコアネットワーク部(通信制御装置)
30 通信品質判断装置
31、32、33 DPIシステム(通信品質判断装置)
40 外部通信網
41 インターネット(外部通信網)
42 DN(外部通信網)
50 U-Planeコアネットワーク部