(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063327
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両用バンパ構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/50 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B60R19/50 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171171
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英也
(57)【要約】
【課題】バンパに衝撃荷重が入力された場合であっても、バンパに取り付けられた報知部が破損することを抑制することができる車両用バンパ構造を提供する。
【解決手段】本発明にかかる車両用バンパ構造100は、車体の後端108に設置されたバンパ104と、バンパに取り付けられ車両の存在を知らせる報知部106とを備える車両用バンパ構造において、報知部は、車外側から視認可能な車外面部材118と、バンパよりも車体側に配置されバンパとともに車外面部材に固定された車内側部材120とを有し、バンパは、車幅方向外側の端部114に形成され車体から遠ざかる方向に凸形状となるように屈曲した屈曲部112を有し、車内側部材は、車幅方向に延びる所定の本体部124と、本体部から車幅方向外側に延びさらに車体から遠ざかる方向に向かって膨出し屈曲部に沿った形状となる膨出部126とを有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前端または後端に設置されたバンパと、該バンパに取り付けられ車両の存在を知らせる報知部とを備える車両用バンパ構造において、
前記報知部は、
車外側から視認可能な車外面部材と、
前記バンパよりも車体側に配置され該バンパとともに前記車外面部材に固定された車内側部材とを有し、
前記バンパは、車幅方向外側の端部に形成され車体から遠ざかる方向に凸形状となるように屈曲した屈曲部を有し、
前記車内側部材は、
車幅方向に延びる所定の本体部と、
前記本体部から車幅方向外側に延びさらに車体から遠ざかる方向に向かって膨出し前記屈曲部に沿った形状となる膨出部とを有することを特徴とする車両用バンパ構造。
【請求項2】
前記車内側部材はさらに、前記本体部の車幅方向外側の角部に連続し前記膨出部よりも車両上下方向に延びる延長部を備え、
前記延長部は、前記膨出部に連続し該膨出部とともに前記本体部の角部に沿った湾曲形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造。
【請求項3】
前記膨出部は、前記車外面部材よりも車体から遠ざかる方向に膨出していることを特徴とする請求項2に記載の車両用バンパ構造。
【請求項4】
前記延長部は、前記膨出部から車体に近づく方向に延び該膨出部を支持する支持面を有し、前記支持面から前記膨出部よりも車両上下方向に延びていることを特徴とする請求項3に記載の車両用バンパ構造。
【請求項5】
前記車内側部材はさらに、前記膨出部の車体側に形成されて車幅方向に延びていて該膨出部と前記本体部をつなぐリブを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用バンパ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車体の前端または後端には、車幅方向に長手のバンパが設置されている。またバンパには、車両の存在を知らせるライトやリフレクタなどの報知部が取り付けられている。このような報知部は、軽微衝突時に破損することがないように保護する必要がある。
【0003】
特許文献1には、リアバンパ構造が記載されている。このリアバンパ構造は、車両後端となる後端壁と、凹部とを備える。凹部は、後端壁よりも車両前方に窪んでいてリフレクタが収容される。また後端壁には、肉抜き部が形成されている。肉抜き部は、後端壁のうち凹部より下方に位置していて、車両前方側の面である裏面の一部に形成されている。なお肉抜き部は、山なり形状の後端壁の頂点に相当する箇所に形成され、車幅方向に沿った溝形状となっている。
【0004】
特許文献1のリアバンパ構造では、後突時に後端壁が相対的な脆弱部である肉抜き部を起点に潰れて変形して、後突の衝撃を吸収することにより、凹部への衝撃入力を軽減可能となり、凹部の破損に伴うリフレクタの脱落を防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のリアバンパ構造では、後端壁に車幅方向に延びる溝形状の肉抜き部を設けている。このため、このリアバンパ構造では、車両斜め後方から衝突荷重が入力された場合、たとえ軽微な衝突であっても、後端壁が肉抜き部を起点に潰れて変形してしまい、報知部の破損を却って招いてしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、バンパに衝撃荷重が入力された場合であっても、バンパに取り付けられた報知部が破損することを抑制することができる車両用バンパ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車体前端または後端に設置されたバンパと、バンパに取り付けられ車両の存在を知らせる報知部とを備える車両用バンパ構造において、報知部は、車外側から視認可能な車外面部材と、バンパよりも車体側に配置されバンパとともに車外面部材に固定された車内側部材とを有し、バンパは、車幅方向外側の端部に形成され車体から遠ざかる方向に凸形状となるように屈曲した屈曲部を有し、車内側部材は、車幅方向に延びる所定の本体部と、本体部から車幅方向外側に延びさらに車体から遠ざかる方向に向かって膨出し屈曲部に沿った形状となる膨出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バンパに衝撃荷重が入力された場合であっても、バンパに取り付けられた報知部が破損することを抑制することができる車両用バンパ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用バンパ構造が適用される車両を示す図である。
【
図2】
図1の車両用バンパ構造の要部を示す図である。
【
図3】
図2(a)の車両用バンパ構造の一部を拡大して示す図である。
【
図4】
図2(a)の車両用バンパ構造のB矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態の代表的な構成は、車体前端または後端に設置されたバンパと、バンパに取り付けられ車両の存在を知らせる報知部とを備える車両用バンパ構造において、報知部は、車外側から視認可能な車外面部材と、バンパよりも車体側に配置されバンパとともに車外面部材に固定された車内側部材とを有し、バンパは、車幅方向外側の端部に形成され車体から遠ざかる方向に凸形状となるように屈曲した屈曲部を有し、車内側部材は、車幅方向に延びる所定の本体部と、本体部から車幅方向外側に延びさらに車体から遠ざかる方向に向かって膨出し屈曲部に沿った形状となる膨出部とを有することを特徴とする。
【0012】
上記構成では、バンパの車幅方向外側の端部に屈曲部が形成されている。このため、バンパに対して車両前後方向の車幅方向寄り(斜め方向)から衝突物が衝突した場合、バンパの屈曲部に衝撃荷重が入力される。また報知部(例えばランプやリフレクタなど)の車内側部材が、バンパよりも車体側に配置されていて、さらに屈曲部に沿った形状である膨出部を有している。このため、バンパの屈曲部に入力された衝撃荷重は、報知部の車内側部材の膨出部に伝達される。さらに報知部の車内側部材の膨出部がバンパの屈曲部に沿った形状を有しているため、膨出部と屈曲部との接触面積が大きくなり、バンパの屈曲部から車内側部材の膨出部に衝撃荷重が確実に伝達される。
【0013】
したがって上記構成によれば、報知部の車外面部材(例えばランプやリフレクタの表面部分)に衝撃荷重が伝達され難くなるため、車外面部材が破損することを抑制することができる。また報知部がランプやリフレクタである場合、これらの表面部分が破損しないことにより、安全性を維持できるだけでなく、意匠性も損なわれることがない。
【0014】
上記の車内側部材はさらに、本体部の車幅方向外側の角部に連続し膨出部よりも車両上下方向に延びる延長部を備え、延長部は、膨出部に連続し膨出部とともに本体部の角部に沿った湾曲形状を形成するとよい。
【0015】
これにより、バンパに対して車両前後方向の車幅方向寄りから衝撃荷重が入力された場合、膨出部と延長部が本体部の角部に沿って形成した湾曲形状によって、車両前後方向の衝撃荷重を本体部に沿って車幅方向に分散させることができる。なお仮に、膨出部および延長部が本体部の角部に沿う湾曲形状ではなく例えば折れ目があるような形状を形成した場合には、本体部と膨出部および延長部との根元に応力集中が発生し、膨出部が破損し易くなってしまう。これに対して上記構成では、膨出部と延長部が連続して本体部の角部に沿った湾曲形状を形成しているため、衝撃荷重を分散させて、車内側部材の膨出部が破損することを防止し、車外面部材を保護することができる。
【0016】
上記の膨出部は、車外面部材よりも車体から遠ざかる方向に膨出しているとよい。これにより、報知部が例えばランプである場合、ランプカバーとなる車外面部材よりも、車内側部材の膨出部が車両前方または車両後方に膨出していることになる。このため、バンパの屈曲部に衝突物が衝突すると、屈曲部は膨出部により当接し易くなる。一例として、車外面部材の断面(例えばランプカバーの断面)よりも、車両前方または車両後方に膨出部が位置すると、衝突物が衝突するときの角度がより車両前後方向寄りになった場合であっても、屈曲部は、車外面部材ではなく、最初に車内側部材の膨出部に当接する。したがって上記構成によれば、報知部の車外面部材の破損を抑制することができる。
【0017】
上記の延長部は、膨出部から車体に近づく方向に延び膨出部を支持する支持面を有し、支持面から膨出部よりも車両上下方向に延びているとよい。
【0018】
これにより、延長部が膨出部よりも車体側に配置されて、延長部と膨出部が車両前後方向で位置がずれることになる。このため、膨出部に衝撃荷重が入力された場合、前後方向の荷重を膨出部から延長部に分散させ易くなり、さらに延長部の支持面によって膨出部を支持することができるため、報知部の車内側部材の剛性を高めることができる。
【0019】
上記の車内側部材はさらに、膨出部の車体側に形成されて車幅方向に延びていて膨出部と本体部をつなぐリブを有するとよい。
【0020】
このように、報知部の車内側部材では、本体部と膨出部がリブによってつながっているため、膨出部の剛性を高めることができる。また、膨出部に入力された衝撃荷重を、リブを介して本体部に伝達できるため、報知部の車外面部材が破損することを抑制することができる。
【実施例0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
図1は、本発明の実施例に係る車両用バンパ構造100が適用される車両102を示す図である。以下各図において、車両前後方向をそれぞれ矢印Front、Back、車幅方向の左右をそれぞれ矢印Left、Right、車両上下方向をそれぞれ矢印Up、Downで例示する。なお以下の説明では、
図1の車両左側であって車両後側の車両用バンパ構造100を例示するが、車両右側に本実施例を適用してもよい。
【0023】
車両用バンパ構造100は、バンパ104と報知部106とを備える。バンパ104は樹脂製の部材であって、車体の後端108に設置され車幅方向に延びている。報知部106は、例えばランプやリフレクタなどであり、バンパ104に取り付けられ車両の存在を知らせる機能を有する。また報知部106には、その機能を発揮させるためのハーネス110(
図2(a)参照)が装着されている。
【0024】
このような報知部106は、軽微衝突時に破損することがないように保護する必要があり、さらに報知部106を機能させるハーネス110が断線することを回避する必要もある。そこで車両用バンパ構造100では、バンパ104に衝撃荷重が入力された場合であっても、報知部106が破損することを抑制し、さらにハーネス110が断線することを回避する構成を採用した。
【0025】
図2は、
図1の車両用バンパ構造100の要部を示す図である。
図2(a)は、バンパ104および報知部106を車体側すなわち車両前側から見た状態を示している。
図2(b)は、
図2(a)の車両用バンパ構造100のA-A断面図である。
図3は、
図2(a)の車両用バンパ構造100の一部を拡大して示す図である。なお
図3では、
図2(a)に示すハーネス110を省略している。
【0026】
バンパ104は、
図1および
図2(b)に示す屈曲部112を有する。屈曲部112は、
図2(b)に示すバンパ104の車幅方向外側の端部114に連続して形成され、車体から遠ざかる方向(ここでは車両後側)に凸形状となるように屈曲している。またバンパ104の車幅方向外側の端部114には、車幅方向内側に延びるフランジ116が形成されている。
【0027】
報知部106は、車外面部材118と車内側部材120とを有する。車外面部材118は、
図1および
図2(b)に示すように車外側から視認可能な部材であって、例えばランプ外面を形成する。また車外面部材118の車幅方向外側の端部122は、
図2(b)に示すように、バンパ104のフランジ116に車両後側から重なっている。
【0028】
車内側部材120は、
図2および
図3に示すようにバンパ104よりも車体側に配置される部材であって、例えばリヤコンビランプカバーを形成する。また車内側部材120は、車幅方向に延びる所定の本体部124と、膨出部126とを有する。本体部124は、
図2(b)に示すようにバンパ104のフランジ116に車両前側から重なっていて、フランジ116とともに車外面部材118の車幅方向外側の端部122にボルト128によって固定されている。
【0029】
車内側部材120の膨出部126は、
図2(b)に示すように本体部124から車幅方向外側に延びて車外面部材118よりも車幅方向外側に位置し、さらに車体から遠ざかる方向に向かって凸形状となるように膨出している。また膨出部126は、バンパ104の屈曲部112に沿った形状となっている。
【0030】
膨出部126は、車外面部材118の車幅方向外側の縁部130よりも、車体から遠ざかる方向に膨出している。また膨出部126は、車外面部材118の車幅方向外側の端部122とともに、バンパ104の車幅方向外側の端部114を挟持している。
【0031】
車内側部材120はさらに、複数のリブ132と、第1延長部134および第2延長部136とを有する。リブ132は、車体から遠ざかる方向に凸形状となる膨出部126の車体側に形成されて、車幅方向に延びていて膨出部126と本体部124をつないでいる。
【0032】
第1延長部134は、
図3に示すように本体部124の車幅方向外側の角部138に連続し、膨出部126よりも車両上方に延びている。また第1延長部134には、ハーネス110が装着される第1装着部140が形成されている。第1装着部140には、長孔142が形成されている。長孔142は、
図2(a)に示すハーネス110の配置方向に沿った長手方向を有し、クリップ144が取り付けられる。第1装着部140は、長孔142およびその周辺の部位であり、クリップ144を用いてハーネス110が装着される。
【0033】
第2延長部136は、
図3に示すように本体部124に連続していて、第1延長部134よりも車両下方かつ車幅方向内側に位置している。また第2延長部136には、ハーネス110が装着される第2装着部146が形成されている。第2装着部146には、長孔148が形成されている。長孔148は、
図2(a)に示すハーネス110の配置方向に沿った長手方向を有し、クリップ150が取り付けられる。第2装着部146は、長孔148およびその周辺の部位であり、クリップ150を用いてハーネス110が装着される。
【0034】
車内側部材120の膨出部126は、
図3に示すように第1装着部140および第2装着部146よりも車幅方向外側に位置している。また膨出部126は、
図2(a)に示すように車体側から見て、クリップ144、150に装着された状態のハーネス110と重なっている。
【0035】
ハーネス110は、
図2(a)に示すようにクリップ144、150に装着された状態において、クリップ144が取り付けられた第1装着部140とクリップ150が取り付けられた第2装着部146との間で、車幅方向外側に凸となる湾曲形状を形成している。
【0036】
図4は、
図2(a)の車両用バンパ構造100のB矢視図である。
図5は、
図4の車両用バンパ構造100の各矢視図である。
図5(a)、
図5(b)はそれぞれ、
図4の車両用バンパ構造100のC矢視図、D矢視図である。なお
図4および
図5では、バンパ104を省略して示している。
【0037】
第1延長部134は、
図5(a)に示すように膨出部126に連続し、膨出部126とともに本体部124の角部138に沿った湾曲形状を形成している。また第1延長部134に形成された第1装着部140では、クリップ144の爪部152が長孔142に固定され、さらに
図4に示すようにクリップ144の環状部154にハーネス110が通されて装着されている。またクリップ144の爪部152は、長孔142に対応した楕円形状となっている。
【0038】
第2延長部136は、
図4に示す支持面156を有する。支持面156は、膨出部126から車体に近づく方向(ここでは車両前側)に延びていて膨出部126を支持する。また第2延長部136は、支持面156から膨出部126よりも車両下方に延びている。
【0039】
このため、第2延長部136は、第1延長部134よりも車体側に位置している。また第2延長部136に形成された第2装着部146は、第1装着部140よりも車体側に位置することになる。
【0040】
第2装着部146では、
図5(b)に示すようにクリップ150の爪部158が長孔148に固定され、さらに
図4に示すようにクリップ150の環状部160にハーネス110が通されて装着されている。またクリップ150の爪部158は、長孔148に対応した楕円形状となっている。
【0041】
ここで車両用バンパ構造100において、
図2(a)の矢印Eに示すようにバンパ104に対して車両後方の車幅方向寄り(斜め方向)から衝突物が衝突した場合の挙動について説明する。
【0042】
車両用バンパ構造100では、バンパ104の車幅方向外側の端部114に屈曲部112が形成されているため、バンパ104に対して矢印Eに示す方向から衝突物が衝突した場合、バンパ104の屈曲部112に衝撃荷重が入力される。また、報知部106の車内側部材120が、バンパ104よりも車体側に配置されていて、さらに屈曲部112に沿った形状である膨出部126を有している。このため、バンパ104の屈曲部112に入力された衝撃荷重は、報知部106の車内側部材120の膨出部126に伝達される。
【0043】
また、車内側部材120の膨出部126がバンパ104の屈曲部112に沿った形状を有しているため、膨出部126と屈曲部112との接触面積が大きくなり、バンパ104の屈曲部112から車内側部材120の膨出部126に衝撃荷重が確実に伝達される。
【0044】
したがって車両用バンパ構造100によれば、報知部106の車外面部材118に衝撃荷重が伝達され難くなるため、車外面部材118が破損することを抑制することができる。また報知部106がランプやリフレクタである場合、これらの表面部分が破損しないことにより、安全性を維持できるだけでなく、意匠性も損なわれることがない。
【0045】
また車両用バンパ構造100では、第1延長部134が本体部124の車幅方向外側の角部138に連続し、膨出部126よりも車両上方に延びて膨出部126とともに本体部124の角部138に沿った湾曲形状を形成している。このため、バンパ104に対して矢印Eに示す方向から衝突物が衝突した場合、第1延長部134が膨出部126とともに形成した湾曲形状によって、衝撃荷重を本体部124に沿って車幅方向に分散させることができる。
【0046】
なお仮に、第1延長部134が膨出部126とともに本体部124の角部138に沿う湾曲形状ではなく例えば折れ目があるような形状を形成した場合には、本体部124と膨出部126および第1延長部134との根元に応力集中が発生し、膨出部126が破損し易くなってしまう。
【0047】
これに対して車両用バンパ構造100では、膨出部126と第1延長部134が連続して本体部124の角部138に沿った湾曲形状を形成しているため、衝撃荷重を分散させて、車内側部材120の膨出部126が破損することを防止し、車外面部材118を保護することができる。
【0048】
また車両用バンパ構造100では、膨出部126が車外面部材118の車幅方向外側の縁部130よりも、車体から遠ざかる方向に膨出している。これにより、報知部106の車外面部材118よりも、車内側部材120の膨出部126が車両後方に膨出していることになる。
【0049】
このため、バンパ104の屈曲部112に衝突物が衝突すると、屈曲部112は膨出部126により当接し易くなる。一例として、車外面部材118の断面(例えばランプカバーの断面)よりも、膨出部126が車両後方に位置することにより、衝突物が衝突するときの角度が矢印Eに示す方向よりも車両前後方向寄りになった場合であっても、屈曲部112は、車外面部材118ではなく、最初に車内側部材120の膨出部126に当接する。したがって車両用バンパ構造100によれば、報知部106の車外面部材118の破損を抑制することができる。
【0050】
また車両用バンパ構造100では、第2延長部136が膨出部126から車体に近づく方向に延びて膨出部126を支持する支持面156を有し、支持面156から膨出部126よりも車両上下方向に延びている。
【0051】
このため、第2延長部136が膨出部126よりも車体側に配置されて、第2延長部136と膨出部126が車両前後方向で位置がずれることになる。したがって車両用バンパ構造100では、膨出部126に衝撃荷重が入力された場合、車両前後方向の荷重を膨出部126から第2延長部136に分散させ易くなり、さらに第2延長部136の支持面156によって膨出部126を支持することができるため、報知部106の車内側部材120の剛性を高めることができる。
【0052】
また車両用バンパ構造100では、報知部106を機能させるためのハーネス110が、車内側部材120の第1装着部140および第2装着部146に装着されていて、車体側から見て膨出部126と重なっている。また膨出部126は、本体部124から車幅方向外側に膨出していて、第1装着部140および第2装着部146よりも車幅方向外側に位置している。
【0053】
このため、バンパ104に衝突物が衝突した場合やハーネス110の取り回しの際などに、ハーネス110が車内側部材120の本体部124よりも車幅方向外側へ飛び出したとしても、ハーネス110は、車体側から見て膨出部126と重なることになる。したがって車両用バンパ構造100によれば、ハーネス110を保護することができ、ハーネス110の断線などにより報知部106が機能しない事態を回避することができる。
【0054】
また車両用バンパ構造100では、ハーネス110が第1装着部140と第2装着部146の間で車幅方向外側に凸となる湾曲形状を形成している。このため、バンパ104に対して矢印Eに示す方向から衝突物が衝突した場合、車内側部材120の膨出部126は、バンパ104を介して衝撃荷重を受けて車体側に押されて、車体側から見て膨出部126と重なるハーネス110に当接する。なお仮に、第1装着部140と第2装着部146の間でハーネス110が張った状態であれば、膨出部126が折れるなどしてハーネス110と当接すると、ハーネス110が断線する可能性がある。
【0055】
これに対して車両用バンパ構造100では、ハーネス110が第1装着部140と第2装着部146との間で車幅方向外側に凸となる湾曲形状を形成しているため、第1装着部140と第2装着部146の間でハーネス110が張った状態ではなく緩みがある。したがって、車内側部材120の膨出部126がハーネス110に当接すると、ハーネス110は変形し易くなり断線することを回避できる。
【0056】
また車両用バンパ構造100では、第1装着部140および第2装着部146の長孔142、148の長手方向をハーネス110の配置方向に沿った方向にしている。なお仮に、長孔142、148ではなく丸穴形状であった場合、ハーネス110を装着するためのクリップ144、150が回転してしまい、ハーネス110の湾曲形状を形成することが困難となる。
【0057】
これに対して車両用バンパ構造100では、長孔142、148に対応した楕円形状の爪部152、158を有するクリップ144、150を用いて、爪部152、158を長孔142、148に固定してハーネス110を装着している。したがって、ハーネス110の形状を、第1装着部140と第2装着部146の間で車幅方向外側に凸となる湾曲形状とすることができる。
【0058】
また車両用バンパ構造100では、第2装着部146が第1装着部140よりも車両下方に位置していて、さらに第1装着部140よりも車幅方向内側かつ車体側に位置している。このため、ハーネス110は、第1装着部140と第2装着部146の間で、車両下方に向かうほど車幅方向内側かつ車体側に湾曲した湾曲形状を形成する。よってハーネス110は、車内側部材120の膨出部126の車幅方向内側寄りに湾曲形状を形成することができ、車幅方向内側かつ車体側への変形しろを確保することができる。
【0059】
これにより、バンパ104を介して衝撃荷重を受けた膨出部126が車体側に押されて変形した場合、車内側部材120では、第2装着部146を軸として第1装着部140が車幅方向内側かつ車体側に移動し、ハーネス110が車幅方向内側および車両前後方向の変形しろにより変形する。したがって車両用バンパ構造100によれば、ハーネスの断線を抑制することができる。
【0060】
また車両用バンパ構造100では、膨出部126が車体から遠ざかる方向に凸形状となるように膨出していて、膨出部126と本体部124がリブ132によってつながっているため、膨出部126の剛性を高めることができる。また、膨出部126に入力された衝撃荷重を、リブ132を介して本体部124に伝達できるため、報知部106の車外面部材118が破損することを抑制することができる。
【0061】
仮に、衝撃荷重を受けた膨出部126が車体側に折れた場合であっても、膨出部126と本体部124がリブ132によってつながっているので、
図2(b)に示すハーネス110はリブ132に当接する。したがって車両用バンパ構造100では、膨出部126の凸形状の車体側の空間にハーネス110が入り込むことを抑制し、ハーネス110が損傷することを防止することができる。
【0062】
なお上記の車両用バンパ構造100では、バンパ104を車体の後端108に設置されたリアバンパとしたが、これに限定されない。一例として車両用バンパ構造100を、車体の前端に設置されるフロントバンパと、フロントバンパに取り付けられる報知部に適用し、車両前方の車幅方向寄り(斜め前方)から衝突物が衝突した場合に、報知部が破損することを抑制し、さらにハーネスが断線することを回避する構成としてもよい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100…車両用バンパ構造、102…車両、104…バンパ、106…報知部、108…車体の後端、110…ハーネス、112…屈曲部、114…バンパの車幅方向外側の端部、116…バンパのフランジ、118…車外面部材、120…車内側部材、122…車外面部材の車幅方向外側の端部、124…本体部、126…膨出部、128…ボルト、130…車外面部材の縁部、132…リブ、134…第1延長部、136…第2延長部、138…本体部の角部、140…第1装着部、142、148…長孔、144、150…クリップ、146…第2装着部、152、158…クリップの爪部、154、160…クリップの環状部、156…支持面