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特開2024-63342プリンタ及びプリンタに備えられた剥離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063342
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】プリンタ及びプリンタに備えられた剥離装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 11/02 20060101AFI20240502BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20240502BHJP
   B41J 15/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65C11/02
B65H41/00 C
B41J15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171194
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 優和
【テーマコード(参考)】
2C060
3E095
3F108
【Fターム(参考)】
2C060AA09
2C060BB00
3E095BA03
3E095CA02
3E095DA03
3E095DA22
3E095DA62
3E095DA76
3E095EA34
3E095FA22
3F108JA03
(57)【要約】
【課題】プリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ200は、印字されたラベル310と台紙320とを分離する剥離板120と、剥離板120よりも搬送方向の下流側に設けられて、剥離板120で分離された後の台紙320を挟んで引っ張って搬送する、プラテンローラ240とニップローラ160とで構成された搬送ローラ対と、を有する、ラベル用紙300からラベル310から剥離するピーラー100、を備えたプリンタ200であって、搬送ローラ対よりも搬送方向の下流側に設けられた、搬送ローラ対よりも下流側に搬送された台紙320を、搬送ローラ対のうち、台紙320を排出する下側出口159に近い側に設けられたニップローラ160に押し付ける台紙押圧部材10、を備えている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字されたラベルと前記ラベルが貼られた台紙とを分離する剥離部と、前記剥離部よりも搬送方向の下流側に設けられて、前記剥離部で分離された後の前記台紙を挟んで引っ張って搬送する搬送ローラ対と、を有する、ラベル用紙から前記ラベルを剥離する剥離装置、を備えたプリンタであって、
前記搬送ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に設けられた、前記搬送ローラ対よりも下流側に搬送された前記台紙を、前記搬送ローラ対のうち、前記台紙を排出する出口側に設けられたローラに押し付ける台紙押圧部材、を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記台紙押圧部材は、前記台紙を弾性力で前記ローラに押し付ける、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記出口側に設けられたローラは、前記出口側ではない方に設けられたローラに強い力で接する複数の大径部と、前記出口側ではない方に設けられたローラに弱い力で接する小径部と、が形成されている、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
プリンタに取り付けられ、前記プリンタで印字されたラベルをラベル用紙から剥離する剥離装置であって、
前記ラベルと前記ラベルが貼られた台紙とを分離する剥離部と、
前記剥離部よりも搬送方向の下流側に設けられて、前記剥離部で分離された後の前記台紙を挟んで引っ張って搬送する搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に設けられた、前記搬送ローラ対よりも下流側に搬送された前記台紙を、前記搬送ローラ対のうち、前記台紙を排出する出口側に設けられたローラに押し付ける台紙押圧部材と、を備えた剥離装置。
【請求項5】
前記台紙押圧部材は、前記台紙を弾性力で前記ローラに押し付ける、請求項4に記載の剥離装置。
【請求項6】
前記出口側に設けられたローラは、前記出口側ではない方に設けられたローラに強い力で接する複数の大径部と、前記出口側ではない方に設けられたローラに弱い力で接する小径部と、が形成されている、請求項4又は5に記載の剥離装置。
【請求項7】
前記搬送ローラ対のうち、前記出口側ではない方に設けられたローラは、前記プリンタの搬送ローラである、請求項4又は5に記載の剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及びプリンタに備えられた剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに備えられ、ラベル用紙からラベルを剥がす剥離装置が知られている。この剥離装置は、台紙にラベルが貼付されたラベル用紙を剥離部に搬送し、台紙を、ラベルの貼付された面とは反対側に鋭角に折り曲げた経路に搬送することで、台紙だけを鋭角に折り曲げて搬送し、折り曲げられないラベルは、剥離部を通過するときの延長線の方向に沿ってそのまま進むことで、台紙から剥がれる。
【0003】
台紙を搬送する台紙搬送機構は、例えば、剥離部よりも、台紙の搬送方向の下流側に設けられた駆動ローラと従動ローラとを有する搬送ローラ対により構成される。そして、搬送ローラ対が台紙を挟み、駆動ローラが回転することで、台紙を、搬送ローラ対よりも下流側に形成された排出口に向かって搬送する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6878780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送ローラ対によって搬送方向の下流側に送られた台紙は、ラベルが剥離される前のラベル用紙に繋がったまま、剥離装置の排出口から外部に排出される。ここで、排出された台紙に何らかの障害物が当たって台紙が動かされると、台紙は、台紙を挟んで搬送する搬送ローラ対の下流の部分が撓む。
【0006】
そして、撓んだ台紙は、搬送ローラ対のうち下側に配置された一方のローラから離れて浮き上がった状態となる。その浮き上がった台紙の部分は、搬送ローラ対の上側に配置されたローラと搬送ローラ対の後方に形成された壁との間に巻き込まれ、台紙の詰まりを発生させることがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、台紙を搬送する搬送ローラ対よりも下流側での台紙の詰まりを防止又は抑制することができるプリンタ及び剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1は、印字されたラベルと前記ラベルが貼られた台紙とを分離する剥離部と、前記剥離部よりも搬送方向の下流側に設けられて、前記剥離部で分離された後の前記台紙を挟んで引っ張って搬送する搬送ローラ対と、を有する、ラベル用紙から前記ラベルを剥離する剥離装置、を備えたプリンタであって、前記搬送ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に設けられた、前記搬送ローラ対よりも下流側に搬送された前記台紙を、前記搬送ローラ対のうち、前記台紙を排出する出口側に設けられたローラに押し付ける台紙押圧部材、を備えたプリンタである。
【0009】
本発明の第2は、プリンタに取り付けられ、前記プリンタで印字されたラベルをラベル用紙から剥離する剥離装置であって、前記ラベルと前記ラベルが貼られた台紙とを分離する剥離部と、前記剥離部よりも搬送方向の下流側に設けられて、前記剥離部で分離された後の前記台紙を挟んで引っ張って搬送する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対よりも前記搬送方向の下流側に設けられた、前記搬送ローラ対よりも下流側に搬送された前記台紙を、前記搬送ローラ対のうち、前記台紙を排出する出口側に設けられたローラに押し付ける台紙押圧部材と、を備えた剥離装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリンタ及び剥離装置は、台紙を搬送する搬送ローラ対よりも下流側での台紙の詰まりを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ピーラーを備えたプリンタを示す斜視図である。
図2A図1における幅方向の中心で、かつ前後方向に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
図2B図2Aにおける要部を拡大した拡大図である。
図3図1のプリンタのカバー部を開いた状態(ラベル用紙は引き出されていない)を示す斜視図である。
図4】ピーラーの単体を示す斜視図であり、カバー部が閉じた状態を示す。
図5】ピーラーの単体を示す斜視図であり、カバー部が開いた状態を示す。
図6図3のプリンタにおいてピーラーのカバー部を開いた状態を示す斜視図である。
図7図6における幅方向の中心で、かつ前後方向に沿った鉛直面による断面を示す(ラベル用紙は引き出されている)断面図である。
図8図3に示したプリンタからピーラーとプラテンローラを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図9】台紙押圧部材を示す斜視図である。
図10】台紙押圧部材を示す図であり、図9における前後方向を含む鉛直面で切断した断面を示す断面図である。
図11】本発明の適用されないプリンタが用紙詰まり(ジャム)を生じさせる様子を説明する、図2B相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るプリンタ及び剥離装置の実施形態は、以下のように、図面を参照して説明される。
【0013】
<構成>
図1はピーラー100を備えたプリンタ200を示す斜視図、図2A図1における幅方向Wの中心で、かつ前後方向Lに沿った鉛直面による断面を示す断面図、図2B図2Aにおける要部を拡大した拡大図、図3図1のプリンタ200のカバー部220を開いた状態(ラベル用紙300は引き出されていない)を示す斜視図である。
【0014】
図示のピーラー100は、本発明に係る剥離装置の一実施形態である。また、図示のプリンタ200は、本発明に係る剥離装置を備えたプリンタの一実施形態である。
【0015】
(プリンタ)
プリンタ200は、図1,2Aに示すように、本体部210とカバー部220とピーラー100とを備えている。プリンタ200は、概略直方体状に形成されている。本体部210とカバー部220は上下に積まれた配置となっていて、カバー部220は、本体部210の、高さ方向Hの上方Uに配置されている。
【0016】
カバー部220は、前後方向Lの後方Rにおける下部が、幅方向Wに平行な軸Cの回りに回転可能に、本体部210に支持されている。そして、カバー部220は、図1に示した閉じた状態から、図3に示すように、軸C回りに上方U及び後方Rに向けて回転することで開いた状態となる。
【0017】
本体部210とカバー部220とには、ラベル用紙300を収容する用紙収容室211が形成されている。用紙収容室211は、図3に示すように、長尺で帯状に形成されたラベル用紙300をロール状に巻いたロール紙として収容する。用紙収容室211は、カバー部220が開いた状態で露出し、閉じた状態では、カバー部220に覆われて隠されている。そして、ラベル用紙300は、カバー部220が開いた状態で、用紙収容室211に出し入れされる。
【0018】
ラベル用紙300は、台紙320にラベル310が貼られた用紙である。台紙320は、長尺の帯状に繋がった1枚の用紙で形成され、ラベル310は、台紙320に比べて長さの短い矩形状に形成されている。ラベル310は、後述する印字ヘッド230による印字が可能な材質で形成されている。ラベル310は、台紙320に対向する面に粘着剤が設けられており、台紙320から剥がされた後に、その粘着剤が設けられた面が対象物に貼付される。台紙320は、ラベル310に対向する面に離型剤が設けられており、離型剤は、粘着剤によって台紙320に貼られたラベル310を、台紙320に粘着剤が残らずに剥がし易くする。
【0019】
ラベル用紙300は、ラベル310を外面側、台紙320を内面側としてロール状に巻かれている。ラベル310は、台紙320の長手方向(ロール状に巻かれた周方向M)に沿って並んで配置されている。ラベル310間には、所定の隙間330が設けられている。所定の隙間330は、各ラベル310の、周方向Mに沿った長さに比べて短い長さである。
【0020】
カバー部220を閉じた状態において、用紙収容室211の前方Fで、カバー部220の、本体部210と対向する部分には、図3に示すように、幅方向Wに延びた印字ヘッド230が設けられている。一方、用紙収容室211の前方Fで、本体部210の、印字ヘッド230に対向する部分は、幅方向Wに延びたプラテンローラ240が設けられている。
【0021】
カバー部220を閉じた状態で、印字ヘッド230はプラテンローラ240に接した状態となる。そして、用紙収容室211に配置されたロール紙から巻き解かれたラベル用紙300が、図2に示すように、印字ヘッド230とプラテンローラ240とに挟まれて、これら印字ヘッド230とプラテンローラ240との間を通される。このとき、ラベル310が印字ヘッド230に接し、台紙320がプラテンローラ240に接する。
【0022】
プリンタ200は、印字ヘッド230とプラテンローラ240との前方Fに、印字ヘッド230とプラテンローラ240との間を通ったラベル用紙300を、プリンタ200の外部に排出する排出口290が形成されている。
【0023】
プリンタ200は、印字ヘッド230によるラベル310への印字動作と、プラテンローラ240によるラベル用紙300の搬送動作とにより、ラベル用紙300をプリンタ200の前方Fの排出口290に送りながら、ラベル310に所定の印字を行う。
【0024】
プリンタ200は、図3に示すように、本体部210とカバー部220とに、ラベル310を検出するセンサ261,262を備えている。一方のセンサ261は、カバー部220を閉じた状態で、本体部210の、前後方向Lにおいて用紙収容室211とプラテンローラ240との間の位置に、上方Uを向いて設けられている。他方のセンサ262はカバー部220の、カバー部220を閉じた状態でセンサ261に対向する位置に、下方Dを向いて設けられている。
【0025】
本体部210に設けられているセンサ261は、例えば光学式の反射型のセンサである。反射型のセンサ261は、発光部と受光部とを有している。センサ261は、発光部から上方Uに光を出射し、受光部は、上方Uからの反射光を受光する。ラベル用紙300が、周方向Mに並んだ2つのラベル310間の隙間330に対応する台紙320の裏面に、黒色の印である、いわゆるブラックマークが形成されたロール紙である場合、センサ261の発光部は、上方Uを通過するラベル用紙300の台紙320に光を照射し、台紙320で反射して下方Dに戻った反射光を受光部で検出する。
【0026】
台紙320のブラックマークの有る位置で反射した反射光とブラックマークの無い位置で反射した反射光とでは、光量が異なる。したがって、センサ261は、受光部で受光した反射光の光量に応じて、ブラックマークの通過を検出することができ、この検出結果に基づいて、プリンタ200は、ラベル用紙300のラベル310が存在しない隙間330を検出し、ラベル310の先端位置及び後端位置を検出することができる。
【0027】
一方、カバー部220に設けられているセンサ262は、例えば光学式の透過型のセンサである。透過型のセンサ262は、発光部と受光部とを有しているが、このセンサ262の発光部は、反射型のセンサ261の発光部が兼ねている。すなわち、透過型のセンサ262による検出を行う場合、反射型のセンサ261の発光部から上方Uに光を出射し、センサ261の発光部の上方Uに配置された透過型のセンサ262の受光部は、反射型のセンサ261の発光部から出射し、ラベル用紙300を透過した下方Dからの透過光を受光する。
【0028】
ラベル用紙300が、ブラックマークを有しないロール紙である場合に、周方向Mに並んだ2つのラベル310間の隙間330には、ラベル310が貼付されていないため、台紙320にラベル310が貼付されていない部分を透過した透過光と、台紙320にラベル310が貼付されている部分を透過した透過光とでは、光量が異なる。
【0029】
したがって、センサ262は、受光部が受光した透過光の光量に応じて、隙間330の通過を検出することができ、この検出結果に基づいて、プリンタ200は隙間330を検出し、ラベル310の先端位置及び後端位置を検出することができる。
【0030】
プリンタ200は、ラベル用紙300がブラックマークを有するか又は有しないかの別に応じて、2つのセンサ261,262の検出方法を使い分けることで、ブラックマークの有無に拘わらず、ラベル用紙300におけるラベル310の先端位置及び後端位置を検出することができる。
【0031】
(ピーラー)
図4,5はピーラー100の単体を示す斜視図であり、図4はカバー部150が閉じた状態、図5はカバー部150が開いた状態を、をそれぞれ示す。
【0032】
ピーラー100は、図1~3に示すように、プリンタ200の本体部210の、排出口290よりも前方Fの部分に設けられている。ピーラー100は、図2に示すように、排出口290から排出されたラベル用紙300からラベル310を剥離する。つまり、ピーラー100は、ラベル用紙300のラベル310とラベル310が貼りつけられてラベル310を支持している台紙320とを分離する。
【0033】
ピーラー100は、図4に示すように、本体フレーム110とカバー部150とを備えている。ピーラー100は、図5に示すように、本体フレーム110に対してカバー部150が開閉するように構成されている。具体的には、カバー部150の高さ方向Hの下部が、本体フレーム110の下部に、回転自在に支持されている。
【0034】
そして、図4に示すカバー部150が、閉じた状態から、本体フレーム110に支持された部分を中心として本体フレーム110に対して前方F及び下方Dに向けて回転することで、図5に示す開いた状態となる。一方、カバー部150が、開いた状態から、本体フレーム110に支持された部分を中心として後方R及び上方Uに向けて回転することで、図4に示す閉じた状態となる。
【0035】
本体フレーム110は、金属の板によって、矩形状の枠に形成されている。本体フレーム110の矩形状の枠のうち、幅方向Wに沿って延びた上辺に相当する部分は、剥離板120(剥離部)を形成している。剥離板120は、図2に示すように、ラベル用紙300の、ラベル310と台紙320とを分離する部材である。本体フレーム110は、プリンタ200に固定される。
【0036】
具体的には、剥離板120の上面に沿って搬送されたラベル用紙300を、剥離板120の前端において、剥離板120の下面側に折り返す経路で搬送することで、ラベル310の前端が剥離板120の前端を通過するとき、台紙320は、剥離板120の前端で折り返されるが、ラベル310は、その剛性と台紙320に設けられた離型剤によって、台紙320から剥離して、剥離板120の上面の延長線上に沿って進む。これにより、ピーラー100は、剥離板120においてラベル310と台紙320とを分離する。
【0037】
図6図3のプリンタ200においてピーラー100のカバー部150を開いた状態を示す斜視図、図7図6における幅方向Wの中心で、かつ前後方向Lに沿った鉛直面による断面を示す(ラベル用紙300は引き出されている)断面図である。
【0038】
カバー部150は、カバーフレーム151と、カバー152と、上ガイドローラ154と、下ガイドローラ155と、ニップローラ160(台紙を排出する出口側に設けられたローラ)と、コイルバネ165と、ラベルセンサ190と、を備えている。
【0039】
カバー152、上ガイドローラ154、下ガイドローラ155、ニップローラ160及びコイルバネ165はカバーフレーム151に支持されていて、カバーフレーム151と共に、図6に示すようにプリンタ200に固定された本体フレーム110に対して回転可能である。
【0040】
上ガイドローラ154及び下ガイドローラ155は、いずれも軸回りに自在に回転する。カバー部150が閉じた状態(図4参照)において、図1に示すように、上ガイドローラ154は剥離板120の上方Uに配置され、下ガイドローラ155は剥離板120の下方Dに配置される。そして、上ガイドローラ154は、剥離板120の上面に沿って前方Fに搬送されるラベル用紙300の上面側に上方Uから接した状態となり、ラベル用紙300を、剥離板120に接した状態に保持しながら、つまり剥離板120から上方Uに浮き上がらない状態で前方Fに送る。
【0041】
なお、上ガイドローラ154及び下ガイドローラ155には、後述するカバー152に形成された凸条152c,152dと同様の凸条が、周方向に延びて、幅方向Wに分布して形成されている。この凸条は、ラベル用紙300との接触面積を減らして、ラベル用紙300の送り時の摩擦抵抗を低減するためであり、下ガイドローラ155に形成された凸条は、ラベル310から台紙320に移った粘着剤との接触機会を低減する効果も発揮する。また、ラベル用紙300との摩擦抵抗をより低減するために、上ガイドローラ154及び下ガイドローラ155は、フッ素樹脂で形成するか又はフッ素コーティングを施すことが好ましい。
【0042】
ラベル用紙300は、剥離板120の前端で下方Uに折り返され、ここで、ラベル310が台紙320から分離する。下ガイドローラ155は、剥離板120の前端で折り返されて剥離板120の下方Dを後方Rに搬送される台紙320に、下方Dから接した状態となり、台紙320が下方に垂れ下がらないように保持しながら後方Rに送る。
【0043】
カバー152は、剥離板120の前端よりも前方Uに配置され、図4に示すように、上面板152aと前面板152bとを備えている。カバー152は剥離板120によって台紙から分離したラベル310が、重力で下方に垂れ下がった際に、図2に示すように、ラベル310の下面側から接してラベル310を支持する。
【0044】
カバー152の上面板152aには、幅方向Wの寸法が細く、前後方向Lに延びた複数の凸条152cが、幅方向Wに分布して形成されている。同様に、カバー152の前面板152bにも、幅方向Wの寸法が細く、高さ方向Hに延びた複数の凸条152dが、幅方向Wに分布して形成されている。
【0045】
ラベル310の下面には、粘着剤が設けられているため、ラベル310の下面がカバー152に接した際に、粘着剤がカバー152に接する。しかし、粘着剤は、カバー152に形成された凸条152c,152dに接するため、粘着剤とカバー152との接触面積を極めて少なくすることができ、これにより、ラベル310がカバー152に接着されるのを防止又は抑制する。
【0046】
カバー152には、ラベルセンサ190が上方Uに向いて配置されている。ラベルセンサは、センサ261と同様の光学式で反射型のセンサであり、ラベルセンサ190の上方Uに、ラベル310が存在するか否かを検出する。なお、ラベルセンサ190は、使用されるラベル310に適した検出感度に調整することができる感度調整部を備えている。
【0047】
カバー152には、本体フレーム110に対してカバー部150を開閉する際に指で掴むつまみ部152eが設けられている。
【0048】
ニップローラ160は、幅方向Wに平行な軸回りに回転自在に形成されたローラである。ニップローラ160は、軸方向に分布した4か所において、他の部分(以下、小径部162という。)よりも太い直径に形成された大径部161を有している。
【0049】
ニップローラ160は、図2に示すようにカバー部150を閉じているときは、大径部161とプラテンローラ240(出口側ではない方に設けられたローラ)とが、互いに相手方を押し潰しながら強い力で接し、プラテンローラ240の回転に従ってプラテンローラ240と反対向きに回転する。小径部162とプラテンローラ240とは、互いに相手方を押し潰しながら、大径部161とプラテンローラ240との力よりも弱い力で接している。
【0050】
ここで、図5に示すように、カバーフレーム151に一端が固定され、弾性範囲で縮められたコイルバネ165の他端が、ニップローラ160の軸に接している。ニップローラ160の軸は、コイルバネ165の弾性力により、所定方向に押されていて、その所定方向は、カバー部150が閉じている状態で、プラテンローラ240に向かう方向である。したがって、カバー部150が閉じている状態で、ニップローラ160がプラテンローラ240に押し付けられている。
【0051】
プラテンローラ240とニップローラ160との間には、剥離板120の下面側に送られる台紙320が配置される。ニップローラ160は、ピーラー100のカバー部150が開いた状態(図5,6,7)では、プラテンローラ240から離れている。
【0052】
ここで、図6に示すように、プリンタ200のカバー部220を開いた状態で、用紙収容室211に収容されたロールからラベル用紙300が引き出される。そして、その引き出されたラベル用紙300は、図7に示すように、プラテンローラ240の上方U、剥離板120の上方Uを経由し、剥離板120の前端よりも前方Fにおいて下方Dに折り返される。さらに、ラベル用紙300は、ピーラー100の開かれたカバー部150と本体フレーム110との間において露出したニップローラ160と、プラテンローラ240との間の経路に通される。
【0053】
ガイドプレート153は本体フレーム110に支持されている。ガイドプレート153は、ピーラー100のカバー部150が閉じられた状態で、ニップローラ160の下方に設けられている。ガイドプレート153は、前後方向Lのニップローラ160よりも後方Rからニップローラ160よりも前方Fにわたって、前下がりに傾斜して配置された板状体である。そして、図2Aに示すように、カバー部150が閉じられた状態で、ニップローラ160とプラテンローラ240とに挟まれて後方Rに送られた台紙320は、後述する台紙押圧部材10の前板12によってニップローラ160の外周面に押し付けられた状態で下方Dに垂れ下がって、ガイドプレート153の上面に当たり、この上面に案内されて、ガイドプレート153の前方Fに形成された下側出口159(台紙を排出する出口)から、ピーラー100の外部に排出される。
【0054】
(台紙押圧部材)
図8図3に示したプリンタ200からピーラー100とプラテンローラ240を取り外した状態を示す分解斜視図、図9,10は台紙押圧部材10を示す図であり、図9は斜視図、図10図9における前後方向Lを含む鉛直面で切断した断面を示す断面図である。
【0055】
図8に示すように、ピーラー100が取り外された状態で露出するプリンタ200の前側隔壁215には、台紙押圧部材10と導電テープ20とが設けられている。台紙押圧部材10は、例えば、図9に示すように、高さ方向Hに対応した縦方向に比べて幅方向Wに対応した横方向に長い横長矩形で平板状の薄板を、縦方向の略中央部において横方向に沿って折り曲げて、断面がV字状に形成されたものである。台紙押圧部材10の横方向の寸法は、ニップローラ160の全幅の寸法と略同程度に形成されている。
【0056】
台紙押圧部材10は、金属で形成されているが、金属に限らず樹脂で形成されていてもよい。台紙押圧部材10は、折り線となる折り曲げ部13を挟んだ後板11と前板12とを有し、板バネを形成している。つまり、図10に示すように、前板12を後板11に近付ける方向に押した状態(図10の実線で示した状態)では、折り曲げ部13で弾性力が生じ、前板12を後板11から遠ざける二点鎖線で示す位置に移動させる弾性力が前板12に作用する。
【0057】
台紙押圧部材10は、後述するように、前板12が動く台紙320に接して摩擦が生じる。本例の台紙押圧部材10は金属であるため、摩擦によって生じた静電気が帯電及び放電し易い。導電テープ20は、帯電した静電気を、台紙押圧部材10から、プリンタ200に設けられた図示しない接地部(アース)に逃がすために設けられたものであり、導電性を有し、一端が台紙押圧部材10の後板11に接続し、他端がピーラー100の金属で形成された本体フレーム110とプリンタ200との間に挟まれている。金属である本体フレーム110は、プリンタ200の前方Fの底部に設けられた中継基板に、電線によりアース接続され、中継基板は、電線により後方Rの底部に設けられたプリンタ200の制御を行うメイン基板の接地部に接続している。
【0058】
なお、台紙押圧部材10を樹脂で形成した場合、台紙押圧部材10は絶縁体であるため、プリンタ200は導電テープ20を備えなくてよい。金属で形成された台紙押圧部材10であっても、静電気の帯電と放電が実質的に悪影響を与えない場合は、プリンタ200は導電テープ20を備えなくてよい。
【0059】
台紙押圧部材10は、本例のように断面がV字状の板バネで形成されている場合、金属製の方が樹脂製よりも、折り曲げ部13の耐久性が高いので好ましい。一方、金属製の台紙押圧部材10は上述したように、静電気を逃がす部材(本例では導電テープ20)を備えることが好ましいが、樹脂製の台紙押圧部材10は静電気を逃がす部材を設ける必要が無く、コスト面で好ましい。
【0060】
ここで、台紙押圧部材10は、図10に示すように、後板11に設けられた、例えば両面粘着テープ14によって、図8に示すように、前側隔壁215に貼り付けて固定されている。そして、図1~3に示すように、プリンタ200にピーラー100が取り付けられた状態で、台紙押圧部材10の前板12は、図10に示すように、ニップローラ160によって後方Rに押されて、二点鎖線で示した自然状態から実線で示した押された状態になっている。この結果、後方Rに押圧されている。
【0061】
この結果、図2A,2Bに示すように、プラテンローラ240とニップローラ160とに挟まれて後方Rに送られた台紙320は、図10に示すように、台紙押圧部材10の前板12によってニップローラ160の外周面に押し付けられた状態となり、ニップローラ160の外周面から浮き上がる(離れる)のを防止される。
【0062】
<作用、効果>
以上のように構成されたプリンタ200は、以下のように動作する。すなわち、プリンタ200は、図7に示すように、カバー部220が開いた状態で、ロール状に巻かれたラベル用紙300が用紙収容室211に収容される。そして、ピーラー100のカバー部150が開いた状態で、ラベル用紙300の外周側の一端がロールの接線方向に巻き解かれ、その巻き解かれたラベル用紙300が、センサ261(図3参照)の上方U、プラテンローラ240の上方U、剥離板120の上方Uを経由して、下方Dに曲げられる。
【0063】
さらに、ラベル用紙300は、ピーラー100のニップローラ160とプラテンローラ240との間の空間を通され、ニップローラ160と台紙押圧部材10の前板12との間の空間を通され、ガイドプレート153に案内されて下側出口159から外部に通される。
【0064】
なお、プリンタ200及びピーラー100へのラベル用紙300の最初の配索では、プリンタ200のカバー部220が閉じられた状態で、センサ261,262を通る位置から搬送方向の下流側の範囲について、ラベル用紙300からラベル310が全て剥がされた台紙320だけの状態で、ラベル用紙300が配索される。
【0065】
この状態で、プリンタ200のカバー部220が閉じられる。これにより、ラベル用紙300は、センサ261とセンサ262との間を通り、プラテンローラ240と印字ヘッド230とに挟まれ、排出口290から剥離板120の上方Uに配置された状態となる。ここで、用紙収容室211から排出口290までのラベル用紙300の経路上で、ラベル用紙300は、張られた状態に保持される。
【0066】
そして、下側出口159から外部に出ているラベル用紙300を、前方F、下方D又はこれらの間の斜め方向に引っ張った状態で、ピーラー100のカバー部150を閉じられ、図2に示す状態となる。この状態では、剥離板120の上方Uに上ガイドローラ154が配置され、ラベル用紙300は上ガイドローラ154によって剥離板120に押し付けられた状態となる。また、剥離板120の下方Dに下ガイドローラ155が配置され、ラベル用紙300は、剥離板120の前端で下方Dに折り返され、剥離板120の下面と下ガイドローラ155との間の経路に拘束される。
【0067】
さらに、剥離板120よりも先の後方Rにおいて、ラベル用紙300は、プラテンローラ240とニップローラ160との間に挟まれ、その先で、ラベル用紙300は、台紙押圧部材10の前板12によりニップローラ160に押し付けられた状態となる。
【0068】
以上のようにラベル用紙300がセットされたプリンタ200は、図2に示すように動作する。プリンタ200は、図示を略した制御部の制御によって、ラベル用紙300を搬送する搬送ローラとして機能するプラテンローラ240が回転し、ラベル用紙300を順方向に送る。ここで、順方向は、ラベル用紙300に印字を行って、ラベル用紙300を排出する方向である。
【0069】
ラベル用紙300が送られている間、センサ261又はセンサ262が、センサ261,262の設置された位置において、ラベル310の先端の通過を検出する。センサ261,262がラベル310の先端を検出してから、所定の距離だけラベル用紙300を送る。所定の距離は、センサ261,262が設置された位置から印字ヘッド230までの、ラベル用紙300の経路に沿った長さに相当する。
【0070】
これにより、ラベル用紙300が順方向に所定距離送られて、ラベル310の先端が、印字ヘッド230に接する位置に到達すると、プラテンローラ240による送りを行いながら、制御部が印字ヘッド230を制御して、印字ヘッド230による印字動作を開始し、ラベル310に印字が行われる。
【0071】
ラベル用紙300が送られている間、センサ261又はセンサ262が、センサ261,262の設置された位置において、ラベル310の後端の通過を検出する。センサ261,262がラベル310の後端を検出してから、所定の距離だけラベル用紙300を送るまでに、印字ヘッド230による印字動作が終了するように、制御部が印字ヘッド230の印字動作を制御する。
【0072】
また、ラベル310に印字が行われている間、ラベル用紙300は順方向に送られているため、印字ヘッド230を通過したラベル310の部分を含むラベル用紙300は、剥離板120と上ガイドローラ154との間を通って、前方Fに送られる。ラベル用紙300が剥離板120の前端まで送られると、ラベル用紙300は、剥離板120の前端で下方Dに折られ、剥離板120の下面側を後方Rに送られる。
【0073】
ここで、ラベル用紙300の台紙320はラベル用紙300の長さの全長に亘って1枚に繋がっているため、印字されたラベル310の先端が剥離板120の前端を通過するとき、台紙320は、ピーラー100の内部で予め配索された経路に沿って搬送される。したがって、台紙320は、剥離板120の前端で下方Dに折られ、剥離板120の下面側を後方Rに送られる。
【0074】
一方、ラベル310は、ラベル用紙300の長手方向において、所定の長さごとに切断されているため、剥離板120の前端において、台紙320とともに下方Dに折られず、ラベル310の剛性と、粘着剤による台紙320との付着力と、のバランスにより、台紙320から剥離して、剥離板120の延長線の前方Fに方向に送られる。
【0075】
そして、ラベル用紙300の送りが進み、台紙320から剥がれたラベル310の長さが長くなると、ラベル310は自重によって下方Dに垂れ下がり、ラベル310の下面がピーラー100のカバー部150に接した状態となる。
【0076】
なお、ラベル310はラベル用紙300の送りが進むにしたがって、台紙320の剥離が進むが、図2に示すように、ラベル310の後端部分が台紙320から剥離する直前で、制御部の制御により、プラテンローラ240の回転は停止し、ラベル用紙300の送りは停止する。
【0077】
この状態では、カバー152の上面板152aの上方Uに、印字されたラベル310が配置されているため、ラベルセンサ190がラベル310を検出した状態となっている。ラベルセンサ190がラベル310を検出している期間中は、制御部はプラテンローラ240を回転させずに停止した状態を維持する。
【0078】
一方、カバー152の上面板152aの上方Uから、印字されたラベル310が、人の手等によって取り除かれたときは、ラベルセンサ190はラベル310を検出しない。この場合、制御部は、プラテンローラ240を、順方向とは反対方向に回転させて、取り除かれたラベル310に後続する次のラベル310の先端が、印字ヘッド230の位置に到達するまで、ラベル用紙300を巻き戻す。
【0079】
そして、制御部の制御により、印字ヘッド230に、後続する印字内容をラベル310に印字させつつ、プラテンローラ240を順方向に回転させて、ラベル用紙300を前方Fに送る。
【0080】
剥離板120の下面側に送られた台紙320は、剥離板120と下ガイドローラ155との間を通り、ピーラー100のニップローラ160とプラテンローラ240とに挟まれた状態となる。プラテンローラ240は、搬送ローラとして機能するため、印字ヘッド230による印字が行われていないときも、ラベル用紙300を送るために回転する。
【0081】
したがって、ラベル用紙300を送っている間、プラテンローラ240が回転することにより、ニップローラ160とプラテンローラ240とで構成された搬送ローラ対が、搬送ローラ対に挟まれた台紙320を、後方Rに引っ張って搬送する。
【0082】
ニップローラ160とプラテンローラ240との搬送ローラ対を通過して下流側に送られた台紙320は、搬送ローラ対のうち下側出口159に近い側に配置されたニップローラ160と、台紙押圧部材10の前板12と、の間を通って、ガイドプレート153に案内されて下側出口159から外部に排出される。このとき、台紙320は、台紙押圧部材10の前板12によって、全幅範囲でニップローラ160の外周面に押し付けられている。したがって、仮に、下側出口159から外部に排出されている台紙320の部分に、例えば人の手等の障害物が当たって外力が掛かっても、台紙320は、幅方向Wの一部分も、ニップローラ160の外周面から離れることがない。
【0083】
図11は、本発明の適用されないプリンタが用紙詰まり(ジャム)を生じさせる様子を説明する、図2B相当の断面図である。
【0084】
一方、台紙押圧部材10を備えていない、本発明の適用されないプリンタは、下側出口159から外部に排出されている台紙320の部分に外力が掛かると、図11に示すように、ニップローラ160とプラテンローラ240との間を通過した台紙320が撓んで、台紙320の幅方向Wの少なくとも一部分が、ニップローラ160の外周面から離れて浮き上がる。
【0085】
そして、この台紙320の浮き上がりの量が大きいと、浮き上がった部分が、前側隔壁215とプラテンローラ240との間に進入し、回転しているプラテンローラ240に巻き込まれ、前側隔壁215とプラテンローラ240との間の狭い隙間に引き込まれて、台紙320が詰まって動かなく用紙詰まり(ジャム)を生じさせる。
【0086】
また、例えば、ラベル310の切れ目である隙間330に対応して、台紙320に幅方向Wに延びたミシン目のような切断誘導部が形成されているラベル用紙300を用いた場合、台紙320は切断誘導部に沿って折れやすい。この結果、ニップローラ160とプラテンローラ240との間を通過した台紙320の切断誘導部が、ガイドプレート153の面に当たった際に、切断誘導部が折れ曲がって、ガイドプレート153の面に引っ掛かると、切断誘導部に後続する台紙320の部分が突っ張り、ニップローラ160の外周面から離れて浮き上がる。
【0087】
そして、さらに後続する台紙320の部分が、前側隔壁215とプラテンローラ240との間に進入し、上述と同様の用紙詰まり(ジャム)を生じさせる。
【0088】
これに対して、本実施形態のプリンタ200は、ニップローラ160とプラテンローラ240との間を通過した台紙320が、上述したように台紙押圧部材10によってニップローラ160に押し付けられてニップローラ160から浮き上がることがないため、本発明が適用されないプリンタのような用紙詰まりの発生を防止又は抑制することができる。
【0089】
本実施形態のプリンタ200は、台紙押圧部材10が板バネ状に形成され、両面粘着テープ14でプリンタ200の前側隔壁215に貼付することで固定できるため、台紙押圧部材10を備えない既存のプリンタにも、低コストで簡単に追加することができる。本実施形態のプリンタ200において、台紙押圧部材10を前側隔壁215に固定する手段としては、両面粘着テープ14に限定されず、例えば、接着剤で接着することで固定してもよい。
【0090】
本発明に係るプリンタにおける台紙押圧部材は、搬送ローラ(本実施形態においてプラテンローラ240)とニップローラ(本実施形態においてニップローラ160)との間を通過した台紙が、ニップローラから離れないように、台紙をニップローラに押し付ける作用を発揮するものであればよい。
【0091】
したがって、本発明に係るプリンタにおける台紙押圧部材は、台紙押圧部材10のように板バネ状に形成されてなくてもよい。そのような台紙押圧部材の例としては、前板12と同様の横長矩形の平板と、コイルばねとを組み合わせたものでもよい。すなわち、横長平板を横方向の長辺に沿った軸回りに揺動可能にプリンタ200に固定し、この横長平板の背面と前側隔壁との間に縮めた状態のコイルバネを配置し、縮んだコイルバネが伸びる弾性力によって、横長平板を、正面側に向かって軸回りに回転するように構成し、横長平板の正面を、ニップローラに当接させた配置とすればよい。
【0092】
このように横長平板とコイルバネとの組み合わせで構成された台紙押圧部材は、板バネ状に形成された台紙押圧部材10のような折り曲げ部13がないため、折り曲げ部13の耐久性を検討する必要が無いため、横長平板を樹脂で形成するのに適している。
【0093】
また、本実施形態のプリンタ200における台紙押圧部材10は、ニップローラ160の全幅の寸法と略同程度の寸法で一体に形成されているが、台紙押圧部材10は一体ではなく、複数個に分割されて、これら複数個の台紙押圧部材が幅方向Wに分布して並べられもよい。この場合、複数個の台紙押圧部材10は、プリンタ200に使用されるラベル用紙300の幅に対応して、台紙320の幅の少なくとも両端部分又は両端部分の近傍部分を、ニップローラ160に押し付けるように設けられていればよい。
【0094】
なお、本実施形態における台紙押圧部材10は、断面がV字状に形成され、V字の開きが下方Dを向いた姿勢で固定されているが、V字の開きの向きは下方Dでなく、上方Uを向いた姿勢で固定されてもよい。ただし、V字の開きが上方U向きの姿勢であると、ピーラー100の内部にラベル用紙300を最初に配索する際に、ラベル用紙300の先端がV字の開いた部分に誤って挿入され易く、一方、V字の開きが下方D向きの姿勢であると、ラベル用紙300の先端はV字の開いた部分に誤って挿入されることが防止されるため、好ましい。
【0095】
また、本実施形態における台紙押圧部材10は、プリンタ200に固定されているが、例えば、ピーラー100の本体フレーム110に固定されてもよく、このように台紙押圧部材10を備えたピーラー100は、本発明に係る剥離装置の実施形態である。
【0096】
本実施形態のプリンタ200は、ニップローラ160が、軸方向に分布した4か所に大径部161を有していて、大径部161は、プラテンローラ240と互いに相手方を押し潰しながら強い力で台紙320を挟むが、大径部161の間に形成された小径部162は、プラテンローラ240と互いに相手方を押し潰しながら、大径部161とプラテンローラ240との間よりも弱い力で台紙320を挟む。
【0097】
このため、ニップローラ160は、台紙320に対して、幅方向Wにおいて一様に挟む力(ニップ力)を作用させているのではなく、強い力で挟んでいる部分と弱い力で挟んでいる部分とがあり、台紙320に対して、幅方向Wにおいてニップ力の強弱の分布を与えている。
【0098】
そして、剥離板120の前端からニップローラ160とプラテンローラ240とで挟まれた部分までの範囲の台紙320のうち、ニップローラ160の大径部161とプラテンローラ240とによって挟まれている台紙320の部分は、ニップローラ160とプラテンローラ240との回転によって、台紙320の長手方向に引っ張られる力が強く作用し、ニップローラ160の小径部162とプラテンローラ240とによって挟まれている台紙320の部分は、長手方向に引っ張られる力が弱い。
【0099】
この結果、台紙320は、幅方向Wにおいて、長手方向に強いテンションが掛かっている部分とテンションが弱い部分とが分布した状態となり、幅方向Wに沿った断面で、わずかに波打った形状となる。
【0100】
そして、台紙320の幅方向Wにおける強弱のテンションの分布は、剥離板120の前端における台紙320にも波及する。この結果、剥離板120の前端において、台紙320が幅方向Wに沿った断面が波打つように変形することで、ラベル310と台紙320との分離を補助する。すなわち、台紙320の幅方向Wにおける強弱のテンションの分布が形成されていることにより、剥離板120の前端において、ラベル310を台紙320から剥離させ易くする効果がある。
【0101】
なお、本実施形態のプリンタ200、使用するラベル用紙300として、幅が異なる複数種類のものを適用することができる。そして、ラベル用紙300を用紙収容室211に収容する際は、いずれの幅のラベル用紙300であっても、用紙収容室211における幅方向Wの一方の端を基準として収容される。そこで、プリンタ200のニップローラ160は、幅方向Wの寸法が異なるラベル用紙を収容した場合にも、少なくとも2つの大径部161が台紙320に接するように、幅方向Wにおける大径部161の形成された位置が規定されている。
【0102】
なお、プリンタ200は、幅方向Wの寸法が小さい、幅狭のラベル用紙300を使用する場合は、ニップローラ160の1つの大径部161にだけ接してもよい。幅の狭いラベル用紙300は、1つの大径部161に接しているだけでも、台紙320が傾いて送られることが無いからである。
【0103】
本実施形態のプリンタ200は、印字ヘッド230として例えばサーマルヘッドを適用することができるが、印字ヘッドはサーマルヘッドの限定されるものではなく、インクジェット方式のヘッド等、他の印字方式の印字ヘッドを適用することもできる。
【0104】
また、本実施形態のプリンタ200は、ラベル用紙300を送る搬送ローラとして、印字ヘッド230に対向したプラテンローラ240を適用したが、本発明に係るプリンタにおける搬送ローラは、プラテンローラ240に限定されるものではなく、プラテンローラ240とは別に設けられた、ラベル用紙300を搬送する搬送ローラを適用することもできる。
【符号の説明】
【0105】
10 台紙押圧部材
100 ピーラー
120 剥離板
159 下側出口
160 ニップローラ
200 プリンタ
240 プラテンローラ
300 ラベル用紙
310 ラベル
320 台紙
H 高さ方向
L 前後方向
W 幅方向
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11