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  • 特開-サージ防護素子の状態確認装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063344
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】サージ防護素子の状態確認装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/02 20060101AFI20240502BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20240502BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20240502BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H02H3/02 M
H02H5/04 170
H02H7/00 C
H02H9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171204
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】垣内 健介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和裕
(72)【発明者】
【氏名】奥 知大
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
5G142
【Fターム(参考)】
5G013AA01
5G013BA01
5G013BA02
5G013CB16
5G013DA01
5G013DA12
5G053AA01
5G053AA09
5G053BA01
5G053BA04
5G053BA06
5G053CA01
5G053DA01
5G053DA03
5G053EC05
5G053EC06
5G142AB05
5G142AC03
5G142BC01
5G142BD02
5G142DD15
5G142GG09
5G142HH02
(57)【要約】
【課題】各種電源系統に適用可能なSPDを対象として、その正常または故障を確認可能とした状態確認装置を提供する。
【解決手段】SPD10Aが、三相の各相電源線にそれぞれ接続可能な第1~第3の電源端子T1~T3と、これらの電源端子から接地端子Eに至る経路にそれぞれ直列接続された第1~第3の過電流分離器F1~F3と第1~第3の熱分離器TD1~TD3とからなる第1~第3の直列回路と、電圧V1を検出する第1の電圧検出手段11と、電圧V2を検出する第2の電圧検出手段12と、電源端子T2,T3間または電源端子T1,T3間の電圧V3を検出する第3の電圧検出手段13と、を備える。0[V]以外の電圧V3が検出された時には0[V]以外の第2の電圧V2及び第1の電圧V1の有無に基づき、電圧V3が0[V]の時には電圧V1の有無に基づいて、SPD10Aの正常/故障を判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源系統の各相電源線に接続されるサージ防護素子の正常または故障を確認するための状態確認装置であって、
前記サージ防護素子は、
三相の電源系統の各相電源線にそれぞれ接続可能な第1,第2,第3の電源端子と、
第1の電源端子から接地端子に至る経路に直列接続された第1の過電流分離器と第1の熱分離器とからなる第1の直列回路と、
第2の電源端子から前記接地端子に至る経路に直列接続された第2の過電流分離器と第2の熱分離器とからなる第2の直列回路と、
第3の電源端子から前記接地端子に至る経路に直列接続された第3の過電流分離器と第3の熱分離器とからなる第3の直列回路と、
前記第1の直列回路の前記接地端子側の端部と前記第2の直列回路の前記接地端子側の端部との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段と、
前記第2の直列回路の前記接地端子側の端部と前記第3の直列回路の前記接地端子側の端部との間の電圧を検出する第2の電圧検出手段と、
前記第2の電源端子と前記第3の電源端子との間、または、前記第1の電源端子と前記第3の電源端子との間の電圧を検出する第3の電圧検出手段と、
を備え、
前記第3の電圧検出手段により0[V]以外の第3の電圧が検出された時に、
前記第2の電圧検出手段及び前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧及び第1の電圧がそれぞれ検出されたか否かに基づいて前記サージ防護素子の正常または故障を判断することを特徴としたサージ防護素子の状態確認装置。
【請求項2】
請求項1に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第3の電圧検出手段により0[V]以外の第3の電圧が検出された時に、
前記第2の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧が検出され、かつ、前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第1の電圧が検出された時に前記サージ防護素子を正常と判断すると共に、前記第2の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧が検出され、かつ、前記第1の電圧検出手段により第1の電圧として0[V]が検出された時に前記サージ防護素子を故障と判断することを特徴としたサージ防護素子の状態確認装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第3の電圧検出手段により第3の電圧として0[V]が検出され、かつ、
前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第1の電圧が検出された時に前記サージ防護素子を正常と判断すると共に、前記第1の電圧検出手段により第1の電圧として0[V]が検出された時に前記サージ防護素子を故障と判断することを特徴としたサージ防護素子の状態確認装置。
【請求項4】
請求項1に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第1の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第1の金属酸化物バリスタとガス入り放電管とを直列に接続し、
前記第2の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第2の金属酸化物バリスタと前記ガス入り放電管とを直列に接続し、
前記第3の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第3の金属酸化物バリスタと前記ガス入り放電管とを直列に接続したことを特徴とするサージ防護素子の状態確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ防護素子(以下、SPDともいう)が正常であるか故障しているかを確認するための状態確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、SPDは、内蔵された過電流分離器や熱分離器が動作した場合にその状態表示を行い、必要に応じて警報接点出力を行う機能を備えている。
ここで、図2は、SPD10による保護対象機器(図示せず)が、3線式(単相3線100/200[V],三相3線200[V],三相3線415[V]等)及び4線式(三相4線100/200[V],三相4線240/415[V]等)の電源系統に接続されている場合の、SPD10の状態表示・警報接点動作をSPD10の回路構成と共に示した図である。
【0003】
図2において、L1,L2,L3は電源系統の電源線、LNは中性線であり、SPD10は、電源系統が3線式である場合に電源線L1,L2,L3と接地端子Eとの間に接続され、電源系統が4線式である場合に電源線L1,L2,L3及び中性線LNと接地端子Eとの間に接続される。
【0004】
SPD10は、電流ヒューズ等の過電流分離器F1,F2,F3と、熱分離器TD1,TD2,TD3と、金属酸化物バリスタMOV1,MOV2,MOV3と、必要に応じて接続されるガス入り放電管GDTと、を備えている。
各相の電源線L1,L2,L3に対応する過電流分離器F1と熱分離器TD1と金属酸化物バリスタMOV1、過電流分離器F2と熱分離器TD2と金属酸化物バリスタMOV2、及び、過電流分離器F3と熱分離器TD3と金属酸化物バリスタMOV3は、それぞれ一体的に形成されている。
【0005】
熱分離器TD1,TD2,TD3及び過電流分離器F1,F2,F3からなる保護回路は、例えば金属酸化物バリスタMOV1,MOV2,MOV3の経年劣化に伴う漏れ電流の増加や雷サージの繰り返し印加、過電圧等に起因した発熱により、または、金属酸化物バリスタMOV1,MOV2,MOV3が短絡モードで破壊された後の短絡電流により、金属酸化物バリスタMOV1,MOV2,MOV3を回路から遮断するように機能する。
すなわち、上述した発熱に対しては、熱分離器TD1,TD2,TD3内の低融点合金を溶融させて回路を遮断し、短絡電流に対しては、過電流分離器F1,F2,F3が動作して回路を遮断する。
【0006】
一方、SPD10は、保護対象機器を雷サージから保護するという本来の機能を果たす必要があるため、前述した過電流分離器F1,F2,F3や熱分離器TD1,TD2,TD3等の状態を常時監視してその状態表示(正常または故障の表示)を行い、SPD10の故障時には外部回路に向けて警報接点動作による警報出力を行うことが望ましい。
【0007】
そこで、従来では、図2におけるフローチャートに従って状態表示及び警報接点動作を行っている。
すなわち、SPD10を三相3線式または三相4線式の電源系統に接続して使用する場合には、図2に示すように、熱分離器TD1と金属酸化物バリスタMOV1との接続点と、熱分離器TD2と金属酸化物バリスタMOV2との接続点と、の間の電圧V1を電圧検出手段11により検出すると共に、熱分離器TD2と金属酸化物バリスタMOV2との接続点と、熱分離器TD3と金属酸化物バリスタMOV3との接続点と、の間の電圧V2を電圧検出手段12により検出する。ここで、電圧検出手段11,12としては、電圧の有無を電気信号や光信号の有無に変換できるものであればその原理や素子の種類、回路構成は特に限定されず、例えば、LED、リレー、フォトカプラ、フォトMOS、トランジスタ、変圧器等を用いることができる。
なお、電圧V2に代えて、熱分離器TD1と金属酸化物バリスタMOV1との接続点と、熱分離器TD3と金属酸化物バリスタMOV3との接続点と、の間の電圧V3を検出して用いても良いが、その場合の判断動作については以下と同様であるため説明を省略する。
【0008】
上述した電圧V1及び電圧V2に基づき、例えば電圧V2が有る場合(0[V]以外の電圧が検出される場合であり、以下同じ)で電圧V1も有る場合(ステップS1Yes,ステップS2Yes)には、過電流分離器F1,F2,F3、熱分離器TD1,TD2,TD3の何れも開放故障しておらず、SPD10は正常と判断することができる。このため、その旨の状態表示を点灯し(ステップS3)、警報接点機能を有する場合には警報接点を不動作とする(ステップS4)。
【0009】
また、電圧V2が無い場合(ステップS1No)、すなわち(0[V]が検出される場合であり、以下同じ)、または、電圧V2が有りで電圧V1が無しの場合(ステップS1Yes,ステップS2No)には、過電流分離器F1,F2,F3、熱分離器TD1,TD2,TD3の何れかが開放故障していてSPD10は故障(異常)と判断できるため、状態表示を消灯し(ステップS5)、警報接点機能を有する場合にはこれを動作させて外部回路に警報を出力している(ステップS6)。
【0010】
ここで、図2に示したSPD10を単相2線式の電源系統に適用する場合、電源端子T1,T2はそれぞれ電源線L1,L2に接続されるが、電源端子T3及び中性線用端子TNは開放状態となる。
しかしながら、上記のように接続すると、SPD10が正常であっても、電圧V2が無し(ステップS1No)となるため、SPD10は故障と判断されて状態表示の消灯(ステップS5)及び警報接点動作(ステップS6)が行われてしまう。
【0011】
このような誤判断を防止するには、電源端子T1,T3間(または電源端子T2,T3間)を短絡する手間が必要になるため、使用者にとってはその作業が煩雑であると共に、場合によっては短絡作業を失念したまま使用してしまう場合もあった。
【0012】
なお、SPDの状態表示に関する先行技術としては、例えば特許文献1~3に記載されたものが知られている。
しかし、特許文献1,2に記載されたSPDは単相3線式の電源系統への接続を前提とし、また、特許文献3に記載されたSPDは単相2線式の電源系統または通信系統への接続を前提としている。言い換えれば、SPDによる保護対象機器が、単相2線式または3線式,三相3線式または4線式等の各種電源系統に対応している場合に、単一のSPDやその状態または故障検出装置等では対応できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許5014742号公報
【特許文献2】特許5629222号公報
【特許文献3】特許6307381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の解決課題は、単相2線式または3線式、三相3線式または4線式等の各種電源系統に適用可能なサージ防護素子を対象として、その正常または故障を単一の回路構成により容易に確認できるようにした状態確認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、電源系統の各相電源線に接続されるサージ防護素子の正常または故障を確認するための状態確認装置であって、
前記サージ防護素子は、
三相の電源系統の各相電源線にそれぞれ接続可能な第1,第2,第3の電源端子と、
第1の電源端子から接地端子に至る経路に直列接続された第1の過電流分離器と第1の熱分離器とからなる第1の直列回路と、
第2の電源端子から前記接地端子に至る経路に直列接続された第2の過電流分離器と第2の熱分離器とからなる第2の直列回路と、
第3の電源端子から前記接地端子に至る経路に直列接続された第3の過電流分離器と第3の熱分離器とからなる第3の直列回路と、
前記第1の直列回路の前記接地端子側の端部と前記第2の直列回路の前記接地端子側の端部との間の電圧を検出する第1の電圧検出手段と、
前記第2の直列回路の前記接地端子側の端部と前記第3の直列回路の前記接地端子側の端部との間の電圧を検出する第2の電圧検出手段と、
前記第2の電源端子と前記第3の電源端子との間、または、前記第1の電源端子と前記第3の電源端子との間の電圧を検出する第3の電圧検出手段と、
を備え、
前記第3の電圧検出手段により0[V]以外の第3の電圧が検出された時に、
前記第2の電圧検出手段及び前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧及び第1の電圧がそれぞれ検出されたか否かに基づいて前記サージ防護素子の正常または故障を判断するものである。
【0016】
また、本発明は、請求項1に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第3の電圧検出手段により0[V]以外の第3の電圧が検出された時に、
前記第2の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧が検出され、かつ、前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第1の電圧が検出された時に前記サージ防護素子を正常と判断すると共に、前記第2の電圧検出手段により0[V]以外の第2の電圧が検出され、かつ、前記第1の電圧検出手段により第1の電圧として0[V]が検出された時に前記サージ防護素子を故障と判断するものである。
【0017】
また、本発明は、請求項1または2に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第3の電圧検出手段により第3の電圧として0[V]が検出され、かつ、前記第1の電圧検出手段により0[V]以外の第1の電圧が検出された時に前記サージ防護素子を正常と判断すると共に、前記第1の電圧検出手段により第1の電圧として0[V]が検出された時に前記サージ防護素子を故障と判断するものである。
【0018】
更に、本発明は、請求項1に記載したサージ防護素子の状態確認装置において、
前記第1の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第1の金属酸化物バリスタとガス入り放電管とを直列に接続し、
前記第2の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第2の金属酸化物バリスタと前記ガス入り放電管とを直列に接続し、
前記第3の熱分離器の前記接地端子側の端部と前記接地側端子との間に、第3の金属酸化物バリスタと前記ガス入り放電管とを直列に接続して構成することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、単相2線式または3線式、三相3線式または4線式等の各種電源系統に対して、SPDに付加された単一の回路構成からなる状態確認装置によってSPDの正常または故障を確認することができ、例えばSPDを単相2線式の電源系統に適用する場合の電源端子間の短絡等の煩雑な作業を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態によるSPDの状態表示・警報接点動作を回路構成と共に示した図である。
図2】従来技術によるSPDの状態表示・警報接点動作を回路構成と共に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1において、図2と同一の部分については同一の参照符号を付してあり、以下では図2と異なる点を中心に説明する。
【0022】
図1において、SPD10Aは、図2に示した構成要素の他に、過電流分離器F2,F3の電源側で電源端子T2,T3間の電圧V3を検出する電圧検出手段13を備えている。この電圧検出手段13は、例えば、電圧検出手段11,12と同様に、LED、リレー、フォトカプラ、フォトMOS、トランジスタ、変圧器等を用いることができる。
【0023】
なお、電圧検出手段13は、電源端子T1,T3間の電圧を検出するように接続しても良い。
また、過電流分離器F1,F2,F3を除いた部分をSPDとして構成し、過電流分離器F1,F2,F3をSPDの外部において電源線L1,L2,L3と電源端子T1,T2,T3との間にそれぞれ接続しても良い。
更に、ガス入り放電管GDTは必要不可欠ではなく、金属酸化物バリスタMOV1,MOV2,MOV3の共通接続点を接地端子Eに直接接続しても良い。
【0024】
上述した構成において、SPD10Aの状態表示及び警報接点動作は以下の通りである。
例えば、SPD10Aを三相3線式の電源系統に接続して使用する場合には、電源端子T1,T2,T3を図2の電源線L1,L2,L3にそれぞれ接続し、三相4線式の電源系統に接続して使用する場合には、上記に加えて中性線用端子TNを中性線LNに接続する。
【0025】
この実施形態では、電圧検出手段11により検出した電圧V1と電圧検出手段12により検出した電圧V2に加え、電圧検出手段13により検出した電源端子T2,T3間の電圧V3の有無もSPD10Aの状態表示等の判断対象とする。
そして、電圧V3が無い(電圧V3が0[V]である)場合(図1のステップS0No)、電圧V2の有無を判断せずにステップS2に移行して電圧V1の有無を判断する。ステップS2以降の処理は従来の図2と同様であり、電圧V1の有無に応じてSPD10Aの故障の有無(状態表示の点灯・消灯)を判断する。
【0026】
いま、SPD10Aを、例えば三相3線式または三相4線式の電源系統に接続する場合、電圧検出手段13によって0[VV]以外の電圧V3が検出されるので、ステップS0ではYes側に分岐する。このため、以後は電圧V2,V1の有無に応じて図2と同様の処理が行われ、SPD10Aの状態表示、警報接点動作が行われる。
【0027】
これに対し、SPD10Aを単相2線式の電源系統に適用する場合には、例えば電源端子T1,T2を電源線L1,L2にそれぞれ接続し、電源端子T3及び中性線用端子TNをオープンにする。
これにより、電圧V3が無し(0[V])となるので、ステップS0ではNo側に分岐してステップS2の判断に移行する。
【0028】
この状態で0[V]以外の電圧V1が有れば(ステップS2Yes)、過電流分離器F1,F2、熱分離器TD1,TD2の何れも開放故障しておらず、単相2線式の電源系統に適用する限りにおいては、SPD10は正常と判断することができる。従って、その旨の状態表示を点灯し(ステップS3)、警報接点機能を有する場合には警報接点を不動作とする(ステップS4)。
【0029】
また、電圧V1が無し、すなわち0[V]である場合(ステップS2No)には、過電流分離器F1,F2、熱分離器TD1,TD2の何れかが開放故障しており、単相2線式の電源系統に適用する限りにおいては、SPD10は故障(異常)と判断することができる。従って、状態表示を消灯し(ステップS5)、警報接点機能を有する場合には警報接点動作させて外部回路に警報を出力する(ステップS6)。
【0030】
上記のように、本実施形態においてSPD10Aを単相2線式の電源系統に適用する場合でも、従来のように電源端子T2,T3間(または電源端子T1,T3間)を短絡する手間が不要になるため、SPD10Aの状態確認に伴う作業を軽減することができる。
【0031】
なお、図1に示した実施形態では、電源系統の停電時にSPDの状態表示や警報接点動作が誤動作する恐れがあるが、例えば、本発明者による特許第7103727号に開示された停電時の誤検出防止技術を併用すれば、SPDの状態表示の誤動作や警報接点の誤動作を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10,10A:SPD(サージ防護素子)
11,12,13:電圧検出手段
L1,L2,L3:電源線
LN:中性線
T1,T2,T3:電源端子
TN:中性線用端子
E:接地端子
F1,F2,F3:過電流分離器
TD1,TD2,TD3:熱分離器
MOV1,MOV2,MOV3:金属酸化物バリスタ
GDT:ガス入り放電管
図1
図2