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  • 特開-電池システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063347
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/633 20140101AFI20240502BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240502BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171216
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和貴
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】冷却による消費電力を抑制できる電池システムを提供する。
【解決手段】電池システムは、電池パックと、前記電池パックと外気と接続する通気部と、前記電池パック内の温度を取得する電池温度取得部と、前記電池パック内を減圧する減圧部と、取得した前記温度に基づいて、前記減圧部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記減圧部を制御して前記電池パック内を減圧し、前記通気部を介して前記電池パック内に外気を取り込む減圧制御を実行する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックと、
前記電池パックと外気と接続する通気部と、
前記電池パック内の温度を取得する電池温度取得部と、
前記電池パック内を減圧する減圧部と、
取得した前記温度に基づいて、前記減圧部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記減圧部を制御して前記電池パック内を減圧し、前記通気部を介して前記電池パック内に外気を取り込む減圧制御を実行する、
電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度が第1所定温度を超える場合、前記減圧制御を実行する、
請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電池パックに要求される出力である要求出力が所定要求出力以上の場合、前記第1所定温度を、前記第1所定温度より低い第2所定温度に変更する、
請求項2に記載の電池システム。
【請求項4】
前記電池パックを通過するとともに冷媒が流れる冷媒通路と、
外気の湿度を取得する湿度取得部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記冷媒通路に冷媒を流して前記電池パックを冷却する液冷制御を有し、
前記湿度が所定湿度以上の場合、前記液冷制御に優先して前記減圧制御を実行し、
前記湿度が前記所定湿度未満の場合、前記減圧制御に優先して前記液冷制御を実行する、
請求項1に記載の電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記電池の充電率が所定充電率よりも低い場合、前記減圧制御を禁止する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両に搭載される電池のシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の電池システムは、電池セル内に発生するガスのガス抜きをするために、電池セル内を減圧するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-17552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電池システムでは、複数の電池セルを纏めた電池パック内の温度を一定に保つことが好ましい。このため、電池パック内に電池セルを冷却するための冷却装置を設ける必要がある。しかし、このような冷却装置は電力を消費するため、例えば高温多湿地域においては冷却のための消費電力が大きくなるという課題がある。
【0005】
本開示の課題は、冷却による消費電力を抑制できる電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池システムは、電池パックと、前記電池パックと外気とを接続する通気部と、前記電池パック内の温度を取得する電池温度取得部と、前記電池パック内を減圧する減圧部と、取得した前記温度に基づいて、前記減圧部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記減圧部を制御して前記電池パック内を減圧し、前記通気部を介して前記電池パック内に外気を取り込む減圧制御を実行する。
【0007】
この構成によれば、減圧された電池パック内に外気を取り込むことができる。これによって、外気による気化潜熱を利用して電池パック内の温度を低下させることができる。この結果、電力消費を抑制しながら効率的に電池パックを冷却できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷却による消費電力を抑制できる電池システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による電池システムのシステム図。
図2】本開示の一実施形態による電池パックの概略図。
図3】本開示の一実施形態による制御部が実行する制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図1および図2において、車両Cの前後方向をQ、前後方向Qのうち前方をFと図面に記す。また、車両Cの左右方向をP、左右方向Pのうち右側をRと図面に記す。なお、左右方向は車幅方向と明細書に記す場合もある。
【0011】
図1に示すように、電池システム1は、電池パック2と、電池パック2と外気と接続する通気部4と、電池パック2内の温度を取得する電池温度取得部6と、電池パック2内を減圧する減圧部8と、減圧部8を制御する制御部10と、冷却装置12と、外気の湿度を取得する湿度取得部14と、外気の温度を取得する外気温度取得部16と、を備える。
【0012】
本実施形態の電池システム1は、車両Cに搭載される電池システムである。車両Cは、車輪22と接続され力行および回生可能なモータジェネレータ20(図1のMG)を備える電動車両である。電動車両は、例えば外部充電又は外部給電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)であってもよい。電池システム1は、電池パック2からインバータ(図示なし)を介してモータジェネレータ20に電力を供給するためのシステムである。
【0013】
電池パック2は、複数の電池セル2aを纏めて構成された電池モジュール2bを有する。本実施形態の電池セル2aは、リチウムイオン二次電池である。電池パック2は、このような電池モジュール2bを複数保持し格納するための樹脂又は金属でできた筐体である。また、このような電池セル2aは、電池セル2aからの電力の入出力に応じて発熱する。このため、電池パック2には冷却装置12が必要となる。このほか、電池パック2は、電池パック2が低温の場合に電池セル2aを温めるヒータなどを有してもよい。図1および図2に示すように、電池パック2からは各電池モジュール2bからの電力をインバータ(図示せず)に供給するPN線2cが伸びる。
【0014】
通気部4は、空気などの気体が一方向に通過する一方で、水など液体の浸透を抑制可能な膜である。通気部4は、例えば所定のセル径によって形成された発泡樹脂の膜である。このような膜としては、例えばメンブレンフィルターがある。本実施形態では、所定のセル径は、例えば液状の水の浸透を抑制可能である一方、空気中の水蒸気が通過可能なセル径である。本実施形態では、通気部4は、電池パック2の側面に設けられ、電池パック2の外の空気(外気)と電池パック2の内部とを接続する。より具体的には、図2に示すように電池パック2の車幅方向のいずれか一方の側面(本実施形態では左側面)に設けられる。このような位置に通気部4を設けることによって、車両Cが冠水路を走行した場合であっても、通気部4から水が侵入することを抑制できる。また、本実施形態では、通気部4を電池パックの車幅方向のいずれか一方の側面に設けたが、両方の側面に通気部4を設けてもよいし、電池パックの上面、底面、前面、後面のいずれかの面、またはこれらのうち複数の面に設けてもよい。
【0015】
図1に示すように、電池温度取得部6は、電池セル2aの温度を取得し電池の温度状態を監視するための装置である。本実施形態では、電池セル2aの温度を検知する温度センサである。しかし、電池温度取得部6は、例えば電池パック2内の温度を取得することによって電池セル2aの温度を推定するシステムであってもよい。
【0016】
減圧部8は、電池パック2内の圧力を低下させるための装置である。本実施形態では、減圧部8は、バキュームポンプ8a(図1のVP)と、バキュームポンプ8aから電池パック2の内部につながるバキューム配管8bと、を有する。バキュームポンプ8aは、バキューム配管8bを介して電池パック2の内部の空気を吸い込み、電池パック2の内部を減圧する。バキュームポンプ8aは、例えば、ブレーキのマスターバックを減圧するためのポンプとして使用されてもよい。また、車両Cの室内に空調風を供給する空調装置に用いるバキュームポンプ8aであってもよい。さらに、減圧部8は、電池パック2の内部を減圧できればこのようなシステムに限定されるものではない。例えば、減圧部8は、電池パック2の筐体に電池パック2の内部の空気を強制的に排出する排出装置を設け、電池パック2の内部を減圧してもよい。あるいは、減圧部8は、バキュームポンプ8aを稼働させず、マスターバックや空調装置の負圧を利用して、電池パック2を減圧してもよい。
【0017】
制御部10は、少なくとも、電池温度取得部6、減圧部8、湿度取得部14、および冷却装置12と電気的に接続され、これらの機器を制御する装置である。制御部10は、この他、各電池セル2a、各電池モジュール2b、およびアクセル24の開度を検知するアクセルポジションセンサ24aなどと電気的に接続され、モータジェネレータ20の制御と、各電池セル2aおよび電池モジュール2bの充電率SOCの取得と電力の入出力の制御と、を実行してもよい。
【0018】
制御部10は、実際には、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成されるECU(Electrоnic Control Unit)である。制御部10は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、バキュームポンプ8aを制御して電池パック2を減圧する減圧制御を実行する。また、制御部10は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、後述するウォーターポンプ12aを制御して冷媒通路12bに冷媒を流して電池パック2を冷却する液冷制御を実行する。さらに、制御部10は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、モータジェネレータ20の制御と、各電池セル2aおよび電池モジュール2bの電力の入出力の制御とを実行してもよい。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
【0019】
冷却装置12は、電池パック2を冷却するための装置である。本実施形態では、冷却装置12は、ウォーターポンプ12aと、冷媒通路12bと、ラジエタ12cと、を有する液冷タイプの冷却装置12である。図1および図2に示すように、冷媒通路12bは、電池パック2の内部に入り、各電池モジュール2bの近傍を通過することによって各電池モジュール2bを冷却する通路である。ウォーターポンプ12aは、冷媒通路12bに接続され冷媒通路12bの内部に流れる冷媒を吸い上げ、再び冷媒通路12bに送ることで、冷媒通路12bの冷媒を還流させる装置である。ラジエタ12cは、熱交換器およびファンなどを含み、冷媒を外気と熱交換することによって冷媒を冷却する装置である。
【0020】
湿度取得部14は、外気の湿度を取得するための装置である。本実施形態では、湿度取得部14は、空気中の湿度を計測する湿度センサである。しかし、湿度取得部14は、外気の湿度を取得できればよい。すなわち、湿度取得部14は、例えば後述する外気温度センサなどで外気の温度を取得し、取得した外気の温度から湿度を推定するプログラムであってもよい。
【0021】
外気温度取得部16は、外気の温度を取得するための装置である。本実施形態では、外気温度取得部16は、空気中の温度を計測する外気温度センサである。
【0022】
次に、図3のフローチャートを用いて、制御部10が実行する制御手順について説明する。なお、制御部10は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると制御手順を開始する。
【0023】
ステップS1において、制御部10は、電池温度取得部6から電池温度TBを取得する。制御部10は、電池温度TBを取得するとステップS2に処理を進める。
【0024】
ステップS2において、制御部10は、外気温度TOが電池温度TBよりも低いか否か判断する。ここで、外気温度TOは実際の外気温度取得部16で取得した温度に対して所定の温度範囲の値であってもよい。所定温度範囲は、例えばプラスマイナス2度などである。外気温度TOが電池温度よりも著しく高い場合、電池パック2の内部を冷却することができない。このため、制御部10は、電池温度TBが外気温度TO以下と判断した場合(ステップS2 YES)、ステップS3に処理を進める。
【0025】
ステップS3において、制御部10は、各電池モジュール2bに要求される電力である要求電力(要求出力の一例)BQを取得し、要求電力BQが所定電力(所定要求出力の一例)BQt以上か否か判断する。アクセルポジションセンサ24aから取得したアクセル開度Thが大きいほどモータジェネレータ20が必要とする電力が増加する。このため、要求電力BQも増加する。したがって、要求電力BQは、例えばアクセルポジションセンサ24aから取得したアクセル開度Thから制御部10が算出すればよい。各電池モジュール2bは要求電力BQが高いほど、発熱しやすくなる。このため、所定電力BQtは、例えば電池温度TBが所定温度以上上昇すると見込まれる値であればよい。制御部10は、要求電力BQが所定電力BQt未満であると判断した場合(ステップS3 NO)、ステップS4に処理を進める。
【0026】
ステップS3において、制御部10は、要求電力BQが所定電力BQt以上であると判断した場合(ステップS3 YES)、ステップS11に処理を進め、第1所定温度TB1を、第1所定温度TB1よりも低い第2所定温度TB2に変更し、ステップS4に処理を進める。
【0027】
ステップS4において、制御部10は、ステップS1で取得した電池温度TBが第1所定温度TB1または第2所定温度TB2以上か否か判断する。すなわち、制御部10は、電池温度TBが第1所定温度TB1、または第2所定温度TB2以上の高温か否か判断する。このとき、第2所定温度TB2は、第1所定温度TB1よりも低いため、電池モジュール2bがより高温になりやすい要求電力BQが高い状態では、電池温度TBがより低い段階からステップS3以降の制御が実行できる。これによって、要求電力BQが高い状態では、より早く電池モジュール2bの温度を低下させることができる。
【0028】
制御部10は、電池温度TBが第1所定温度TB1または第2所定温度TB2以上であると判断した場合(ステップS4 YES)、ステップS5に処理を進める。
【0029】
ステップS5において、制御部10は、各電池セル2aまたは各電池モジュールの充電率SOCを取得し、充電率SOCが所定充電率SOCtより低いか否か判断する。制御部10は、充電率SOCが所定充電率SOCtよりも低くない(すなわち、充電率SOCが所定充電率SOCt以上)であると判断した場合(ステップS5 NO)、ステップS6に処理を進める。
【0030】
ステップS6において、制御部10は、外気の湿度Hを取得し、外気の湿度Hが所定湿度H1以上か否か判断する。所定湿度H1は、例えば、電池パック2の内部に外気が混入した場合に、気化潜熱が発生する程度の湿度であればよい。すなわち、外気が乾燥している場合、空気中の水分がなく水分が気化する量が少ない。このため、気化潜熱による電池パック2の内部の温度低下も見込めない。一方、湿度Hが所定湿度H1以上であれば、気化潜熱が期待できる。制御部10は、湿度Hが所定湿度H1以上であると判断した場合、ステップS7に処理を進める。
【0031】
ステップS7において、制御部10は、減圧制御を実行し電池パック2の内部の圧力を減圧し、外気を通気部4を介して電池パック2に送り込む。このとき電池パック2の内部の温度が気化潜熱によって低下する。制御部10は、減圧制御を実行するとステップS8に処理を進める。
【0032】
ステップS8において、制御部10は、電池温度TBが低下したか否か判断する。すなわち、気化潜熱によって電池パック2の内部の温度が低下しても、電池温度TBが低下しない場合もある。このため、制御部10は、電池温度TBが低下している場合は(ステップS8 YES)、ステップS9に処理を進める。
【0033】
ステップS9において、制御部10は、電池温度TBが第3所定温度TB3以下か否か判断する。第3所定温度TB3は、各電池セル2aが十分に冷却された際の温度である。制御部10は、電池温度TBが第3所定温度TB3以下であると判断した場合(ステップS9 YES)、冷却が完了したと判断しステップS10に処理を進める。
【0034】
ステップS10において、制御部10は、減圧制御を終了し処理をステップS1に戻す。
【0035】
ステップS2において、制御部10は、電池温度TBが外気温度TOより大きいと判断した場合(ステップS2 NO)、ステップS14に処理を進め、ステップS3以降の制御を実行せず、冷却装置12のみによる通常液冷制御を実行する。通常液冷制御は、電池温度TBに応じて冷却装置12を稼働させ、電池温度TBを低下させる制御である。制御部10は通常液冷制御を実行するとステップS1に処理を戻す。
【0036】
制御部10は、ステップS4において、電池温度TBが第1所定温度TB1または第2所定温度TB2よりも低いと判断した場合(ステップS4 NO)、減圧制御も液冷制御も実行せず、ステップS1に処理を戻す。すなわち、制御部10は、電池セル2aの冷却は必要ないと判断する。
【0037】
制御部10は、ステップS5において、充電率SOCが所定充電率SOCt未満であると判断した場合、ステップS14に処理を進めることによって減圧制御を禁止する。これによって、例えばバキュームポンプ8aが稼働した場合に電力消費が発生することを抑制する。
【0038】
制御部10は、ステップS6において湿度Hが所定湿度H1未満であると判断した場合(ステップS6 NO)、ステップS12に処理を進める。すなわち、制御部10は、外気が乾燥していると判断する。
【0039】
ステップS12において、制御部10は、液冷制御を減圧制御に優先して実行する。制御部10は、液冷制御を実行するとステップS13に処理を進め、電池温度TBが低下したか否か判断する。制御部10は、電池温度TBが低下したと判断した場合(ステップS13 YES)ステップS9に処理を進める。一方、制御部10は、電池温度TBが低下していないと判断した場合(ステップS13 NO)、ステップS7に進め、減圧制御を実行する。
【0040】
すなわち、外気が乾燥した状態では減圧制御による気化潜熱があまり期待できない。このため、制御部10は、まず液冷制御を実行する。しかし、液例制御を実行したものの電池温度TBが低下しない場合、液冷制御をそのまま継続しても電力を消費するだけである。そこで、制御部10は、電池温度TBが液冷制御によっては低下しない場合は、減圧制御を実行する。これによって、電力の消費を抑えながら効率よく電池セル2aを冷却できる。
【0041】
制御部10は、ステップS8において電池温度TBが低下していないと判断した場合、ステップS12に処理を進める。すなわち、制御部10は、減圧制御を優先して実行したものの、電池温度TBが低下しない場合、液冷制御を併用して電池セル2aを冷却する。これによって、液冷制御による電力の消費を抑制しながら効率的に電池セル2aを冷却できる。
【0042】
制御部10は、ステップS9において電池温度TBが第3所定温度TB3よりも高い場合、ステップS5に処理を進め、引き続き減圧制御および液冷制御のいずれか一方を優先しながら電池セル2aが第3所定温度TB3以下となるまで冷却を継続する。
【0043】
以上説明した通り、本開示によれば、冷却による消費電力を抑制できる電池システム1を提供できる。
【0044】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0045】
(a)上記実施形態では、冷却装置12は、液冷タイプを例示したが本開示はこれに限定されない。冷却装置12は、例えば電池パック2に冷却風を送り、各電池モジュール2bを冷却する空冷タイプの冷却装置12であってもよい。
【0046】
(b)上記実施形態では、要求出力の一例として要求電力を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。要求出力は、各電池セル2aおよび各電池モジュール2bに要求される負荷を示す値であれば、どのような値であってもよい。例えば、要求出力は、モータジェネレータ20が発揮する出力を基準として算出した値などであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 :電池システム
2 :電池パック
2a :電池セル
4 :通気部
6 :電池温度取得部
8 :減圧部
10 :制御部
12 :冷却装置
12b :冷媒通路
14 :湿度取得部
H :湿度
H1 :所定湿度
SOC :充電率
SOCt :所定充電率
TB :電池温度
TB1 :第1所定温度
TB2 :第2所定温度
図1
図2
図3