(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063354
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20240502BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20240502BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
G11C13/00 480J
G11C13/00 210
G11C13/00 270B
G11C13/00 480K
H10B63/10
H10N70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171227
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大出 裕之
(72)【発明者】
【氏名】増田 亮二
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA01
5F083GA10
5F083JA31
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083MA06
5F083MA16
(57)【要約】
【課題】高速に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1、第2電極と、第1、第2電極の間に接続され、第1、第2の抵抗値を有する第1、第2の状態に遷移可能なセレクタ層と、セレクタ層及び第1電極の間に接続され、第3、第4の抵抗値を有する第3、第4の状態に遷移可能な相変化層とを備える。セレクタ層は、第1閾値電圧以上で第1の状態に、第1の状態に維持可能なホールド電圧より小さい電圧で第2の状態に遷移する。相変化層は、第1、第2電極の間に、第1閾値電圧より大きい第1電圧から第1電圧より大きい第2電圧の間の電圧で第3の状態に、第2電圧より大きい第3電圧以上で第4の状態に遷移し、第2電圧より大きく第3電圧より小さい電圧ではいずれの状態へも遷移しない。相変化層を第4から第3の状態に遷移させるセット動作では、第1、第2電極の間に、第1電圧以上、第2電圧以下のセット電圧を供給する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に電気的に接続され、第1の抵抗値を有する第1の状態と、前記第1の抵抗値より大きい第2の抵抗値を有する第2の状態と、に遷移可能に構成されたセレクタ層と、
前記セレクタ層及び前記第1電極の間に電気的に接続され、第3の抵抗値を有する第3の状態と、前記第3の抵抗値より大きい第4の抵抗値を有する第4の状態と、に遷移可能に構成された相変化層と
を備え、
前記セレクタ層は、
第1閾値電圧以上の電圧が供給されることにより、前記第1の状態に遷移し、
前記セレクタ層を前記第1の状態に維持可能なホールド電圧より小さい電圧が供給されることにより、前記第2の状態に遷移し、
前記相変化層は、前記第1電極及び前記第2電極の間に、
前記第1閾値電圧より大きい第1電圧から前記第1電圧より大きい第2電圧の間の電圧が供給されることにより前記第3の状態に遷移し、
前記第2電圧より大きい第3電圧以上の電圧が供給されることにより、前記第4の状態に遷移し、
前記第2電圧より大きく前記第3電圧より小さい電圧が供給された場合は、前記第3の状態及び前記第4の状態のいずれの状態へも遷移せず、
前記相変化層を前記第4の状態から前記第3の状態に遷移させるセット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記第1電圧以上、前記第2電圧以下のセット電圧を供給し、
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記第2電圧よりも大きい電圧を供給しない
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記セット電圧よりも大きい電圧を供給しない
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記セット電圧を振幅とする1段の電圧パルスを供給する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記セット動作の第1のタイミングにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電圧を、前記第1電圧より小さい第4電圧から、前記セット電圧まで増大させ、
前記第1電極及び前記第2電極の間の電圧が前記セット電圧まで増大してから、前記セット動作の前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにかけて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電圧を、前記セット電圧に維持し、
前記セット動作の前記第2のタイミングより後の第3のタイミングにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電圧を、前記セット電圧から前記第4電圧まで減少させる
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記相変化層はゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、及び、テルル(Te)の少なくとも1つを含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
第1方向に延伸する第1配線と、
前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2配線と、を備え、
前記相変化層及び前記セレクタ層は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に並び、前記第1配線と前記第2配線との間に設けられている
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1電極は前記第1配線に接続され、
前記第2電極は前記第2配線に接続されている
請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に電気的に接続され、第1の抵抗値を有する第1の状態と、前記第1の抵抗値より大きい第2の抵抗値を有する第2の状態と、に遷移可能に構成されたセレクタ層と、
前記セレクタ層及び前記第1電極の間に電気的に接続され、第3の抵抗値を有する第3の状態と、前記第3の抵抗値より大きい第4の抵抗値を有する第4の状態と、に遷移可能に構成された相変化層と
を備え、
前記セレクタ層は、前記第1電極及び前記第2電極の間に、
第1電流以上の電流が供給されることにより、前記第1の状態に維持され、
前記セレクタ層を前記第1の状態に維持可能なホールド電流より小さい電流が供給されることにより、前記第2の状態に遷移し、
前記相変化層は、前記第1電極及び前記第2電極の間に、
前記第1電流より大きい第2電流から、前記第2電流より大きい第3電流の間の電流が供給されることにより前記第3の状態に遷移し、
前記第3電流より大きい第4電流以上の電流が供給されることにより、前記第4の状態に遷移し、
前記第3電流より大きく前記第4電流より小さい電流が供給された場合は、前記第3の状態及び前記第4の状態のいずれの状態へも遷移せず、
前記相変化層を前記第4の状態から前記第3の状態に遷移させるセット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記第2電流以上、前記第3電流以下のセット電流を供給し、
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記第3電流よりも大きい電流を供給しない
半導体記憶装置。
【請求項9】
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記セット電流よりも大きい電流を供給しない
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記セット動作において、前記第1電極及び前記第2電極の間に、前記セット電流を振幅とする1段の電流パルスを供給する
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記セット動作の第1のタイミングにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電流を、前記第1電流より小さい第5電流から、前記セット電流まで増大させ、
前記第1電極及び前記第2電極の間の電流が前記セット電流まで増大してから、前記セット動作の前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにかけて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電流を、前記セット電流に維持し、
前記セット動作の前記第2のタイミングより後の第3のタイミングにおいて、前記第1電極及び前記第2電極の間の電流を、前記セット電流から前記第5電流まで減少させる
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記相変化層はゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、及び、テルル(Te)の少なくとも1つを含む
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
第1方向に延伸する第1配線と、
前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2配線と、を備え、
前記相変化層及び前記セレクタ層は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に並び、前記第1配線と前記第2配線との間に設けられている
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1電極は前記第1配線に接続され、
前記第2電極は前記第2配線に接続されている
請求項13記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1電極及び第2電極と、第1電極及び第2電極の間に接続された相変化層と、を備える半導体記憶装置が知られている。相変化層は、例えば、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)等を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1電極及び第2電極と、第1電極及び第2電極の間に電気的に接続され、第1の抵抗値を有する第1の状態と、第1の抵抗値より大きい第2の抵抗値を有する第2の状態と、に遷移可能に構成されたセレクタ層と、セレクタ層及び第1電極の間に電気的に接続され、第3の抵抗値を有する第3の状態と、第3の抵抗値より大きい第4の抵抗値を有する第4の状態と、に遷移可能に構成された相変化層とを備える。セレクタ層は、第1閾値電圧以上の電圧が供給されることにより、第1の状態に遷移し、セレクタ層を第1の状態に維持可能なホールド電圧より小さい電圧が供給されることにより、第2の状態に遷移する。相変化層は、第1電極及び第2電極の間に、第1閾値電圧より大きい第1電圧から第1電圧より大きい第2電圧の間の電圧が供給されることにより第3の状態に遷移し、第2電圧より大きい第3電圧以上の電圧が供給されることにより、第4の状態に遷移し、第2電圧より大きく第3電圧より小さい電圧が供給された場合は、第3の状態及び第4の状態のいずれの状態へも遷移しない。相変化層を第4の状態から第3の状態に遷移させるセット動作において、第1電極及び第2電極の間に、第1電圧以上、第2電圧以下のセット電圧を供給し、セット動作において、第1電極及び第2電極の間に、第2電圧よりも大きい電圧を供給しない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図2】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図3】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図4】同半導体記憶装置の動作について説明するための模式的な関係図である。
【
図5】同半導体記憶装置の動作に必要な電圧を説明するための模式図である。
【
図6】同半導体記憶装置の第1セット動作及び第1リセット動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図7】比較例に係る半導体記憶装置の動作に必要な電圧を説明するための模式図である。
【
図8】比較例に係る半導体記憶装置のセット動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図9】第2実施形態に係る半導体記憶装置の動作に必要な電流値を説明するための模式図である。
【
図10】同半導体記憶装置の第2セット動作及び第2リセット動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図11】同半導体記憶装置の電流-電圧特性を示す模式的なグラフである。
【
図12】第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0010】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0011】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0012】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0013】
[第1実施形態]
[半導体記憶装置の構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
図2は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【0014】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAを制御する周辺回路PCと、を備える。
【0015】
メモリセルアレイMCAは、例えば
図2に示す通り、Z方向に並ぶ複数のメモリマットMMを備える。メモリマットMMは、ビット線BLと、ワード線WLと、メモリセルMCと、を備える。ビット線BLは、X方向に複数配列され、Y方向に延伸する。ワード線WLは、Y方向に複数配列され、X方向に延伸する。メモリセルMCは、ビット線BL及びワード線WLに対応して、X方向及びY方向に複数並ぶ。図示の様に、Z方向に並ぶ2つのメモリマットMMについては、ビット線BL又はワード線WLが共通に設けられていても良い。
図1の例において、メモリセルMCの陰極E
Cはビット線BLに接続される。また、メモリセルMCの陽極E
Aはワード線WLに接続される。メモリセルMCには、陰極E
C側を基準とし、陽極E
A側に正の電圧が供給される。メモリセルMCは、抵抗変化素子VR及びセレクタ素子SLを備える。
【0016】
周辺回路PCは、ビット線BL及びワード線WLに接続されている。周辺回路PCは、例えば、降圧回路、選択回路、センスアンプ回路、及びこれらを制御するシーケンサ等を備える。降圧回路は、電源電圧等を降圧して電圧供給線に出力する。選択回路は、選択アドレスに対応するビット線BL及びワード線WLを、対応する電圧供給線と導通させる。センスアンプ回路は、ビット線BLの電圧又は電流に応じてデータを出力する。
【0017】
[メモリセルMCの構成]
図3は、本実施形態に係るメモリセルMCの模式的な断面図である。
図3(a)は、メモリセルMCの下方にビット線BLが設けられ、上方にワード線WLが設けられるものに対応している。
図3(b)は、メモリセルMCの下方にワード線WLが設けられ、上方にビット線BLが設けられるものに対応している。
【0018】
図3(a)に示すメモリセルMCは、ビット線BL上面のバリア導電層101に順に積層された導電層102、セレクタ層103、導電層104、バリア導電層105、相変化層106、バリア導電層107、及び、導電層108を備える。導電層108には、ワード線WL下面のバリア導電層109が設けられている。
【0019】
バリア導電層101は、ビット線BLの一部として機能する。バリア導電層101は、例えば、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)等であっても良いし、炭窒化タングステン(WCN)又は炭窒化タングステンシリサイド(WCNSi)等、その他の導電層であっても良い。
【0020】
導電層102は、メモリセルMCの直下に設けられるビット線BLに接続され、メモリセルMCの陰極ECとして機能する。導電層102は、例えば、炭素(C)、窒化炭素(CN)等であっても良いし、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、バナジウム(V)、窒化バナジウム(VN)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、イットリウム(Y)、窒化イットリウム(YN)、スカンジウム(Sc)、窒化スカンジウム(ScN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)等であっても良い。また、導電層102は、例えば、リン(P)等のN型の不純物が注入された多結晶シリコン等でも良いし、炭化タングステン(WC)、炭窒化タングステン(WCN)又は炭窒化タングステンシリサイド(WCNSi)等、その他の導電層であっても良い。
【0021】
セレクタ層103は、セレクタ素子SLとして機能し、例えば、2端子間スイッチ素子であっても良い。セレクタ素子SLは、スイッチ素子として、2端子間に印加する電圧が閾値電圧VTH_SELより小さい場合は高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態(オフ状態)である。セレクタ素子SLは、スイッチ素子として、2端子間に印加する電圧が閾値電圧VTH_SEL以上である場合は低抵抗状態、例えば電気的に導通状態(オン状態)に変わる。また、セレクタ素子SLは、2端子間に印加する電圧が、スイッチ素子をオン状態に維持可能なホールド電圧VHOLDより小さい場合は高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態(オフ状態)に変わる。セレクタ素子SLは、電圧がどちらの極性でもこの機能を有していてもよい。
【0022】
導電層104は、セレクタ素子SL及び抵抗変化素子VRを接続する電極として機能する。導電層104は、例えば、導電層102と同様の材料を含んでも良い。
【0023】
バリア導電層105は、例えば、バリア導電層101と同様の材料を含んでも良い。
【0024】
相変化層106は、抵抗変化素子VRとして機能する。抵抗変化素子VRは、例えば、低抵抗状態と、高抵抗状態と、を含む2つの抵抗状態に可逆的に変化可能である。相変化層106は、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、及びテルル(Te)のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含んでも良い。相変化層106は、例えば、GeSbTe、GeCuTe、GeTe、SbTe、SiTe等でも良い。また、相変化層106は、窒素(N)、炭素(C)、ホウ素(B)、インジウム(In)等を含んでも良い。
【0025】
バリア導電層107は、例えば、バリア導電層101と同様の材料を含んでも良い。
【0026】
導電層108は、メモリセルMCの直上に設けられるワード線WLに接続され、メモリセルMCの陽極EAとして機能する。導電層108は、例えば、導電層102と同様の材料を含んでも良い。
【0027】
バリア導電層109は、ワード線WLの一部として機能する。バリア導電層109は、例えば、バリア導電層101と同様の材料を含んでも良い。
【0028】
図3(b)に示すメモリセルMCは、基本的には
図3(a)に示すメモリセルMCと同様に構成されている。しかしながら、
図3(b)に示すメモリセルMCにおいては、ビット線BL及びバリア導電層101が上方に、ワード線WL及びバリア導電層109が下方に位置し、それらの間に、導電層102から導電層108までの積層構造が、
図3(a)に示すメモリセルMCと同じ積層順で設けられている。
【0029】
尚、相変化層106の組成等は、例えば、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometry)等の方法によって観察可能である。
【0030】
[抵抗変化素子VRの2つの抵抗状態、並びに、第1セット動作及び第1リセット動作]
次に、
図4~
図6を参照して、抵抗変化素子VRの2つの抵抗状態、並びに、第1セット動作及び第1リセット動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る抵抗変化素子VRの2つの抵抗状態、並びに、第1セット動作及び第1リセット動作について説明するための模式的な関係図である。
図5は、第1セット動作及び第1リセット動作に必要な電圧を説明するための模式図である。
図6は、第1セット動作及び第1リセット動作について説明するための模式的な波形図である。
図5及び
図6には、各第1セット動作及び第1リセット動作においてメモリセルMCに供給する、陽極E
Aの電圧(以下、「セル電圧Vcell」と呼ぶ。)を示している。
【0031】
[抵抗変化素子VRの2つの抵抗状態]
図4には、抵抗変化素子VRとして機能する相変化層106の2つの抵抗状態として、低抵抗状態である第1相106_cと、高抵抗状態である第2相106_aと、を示している。
【0032】
第1相106_cは、例えば、抵抗値の低い結晶相を多く含むことにより、比較的低い抵抗値を示す。第1相106_cを生成するには、例えば、相変化層106に対して溶融温度よりも低く結晶化温度よりも高い温度において一定時間の加熱をする、即ち固相結晶化を行う。
【0033】
第2相106_aは、例えば、抵抗値の高いアモルファス相を多く含むことにより、比較的高い抵抗値を示す。第2相106_aを生成するには、例えば、相変化層106に対して溶融温度以上の加熱と急速な冷却を行い、一度溶融させてから結晶化する時間を与えず固相化させる。
【0034】
[相変化層106の固相結晶化と溶融]
相変化層106に対して固相結晶化を行うには、例えば
図5に示す様に、セレクタ素子SLをオン状態とし、セル電圧Vcellとして、電圧V
SET_MIN以上、電圧V
SET_MAX以下である電圧を供給する。
【0035】
相変化層106を溶融させるには、例えば
図5に示す様に、セレクタ素子SLをオン状態とし、セル電圧Vcellとして、電圧V
RESET_MIN以上の電圧を供給する。電圧V
RESET_MINは、電圧V
SET_MAXよりも大きい。
【0036】
尚、相変化層106は、セル電圧Vcellとして、電圧VSET_MAXより大きく電圧VRESET_MINより小さい電圧が供給された場合、固相結晶化及び溶融は起こらず、低抵抗状態及び高抵抗状態への各遷移は起こらない。
【0037】
[電圧V
TH_CEL]
図5に示す電圧V
TH_CELは、オフ状態のセレクタ素子SLをオン状態にしてメモリセルMCに電流を流すために、セル電圧Vcellとして供給する最小の電圧である。電圧V
TH_CELは、セレクタ素子SLの閾値電圧V
TH_SELより大きい。電圧V
TH_CELと閾値電圧V
TH_SELとの差分の電圧は、抵抗変化素子VR及びその他電流経路に存在する抵抗成分等に、それら抵抗値比に応じて印加される。
図5に示す様に、電圧V
TH_CELは、電圧V
SET_MINより大きく、電圧V
SET_MAXより小さい。
【0038】
[第1セット動作]
図4に示す様に、第1セット動作は、高抵抗状態である第2相106_aを低抵抗状態である第1相106_cへセットする動作である。
【0039】
第1セット動作においては、
図6(a)に示す様に、タイミングt101において、セル電圧Vcellを電圧V
SSからセット電圧V
SETへ増大させる。電圧V
SSは、メモリセルMCに電流が流れず、ジュール熱が発生しない程度の電圧である。電圧V
SSは、例えば接地電圧(0V)であっても良い。セット電圧V
SETは、メモリセルMCに電流を流すための最小の電圧V
TH_CEL以上である。また、セット電圧V
SETは、相変化層106の固相結晶化が可能な電圧の範囲内(
図5)であり、少なくとも電圧V
SET_MINより大きく、電圧V
SET_MAX以下である。
【0040】
タイミングt101からタイミングt102にかけては、セル電圧Vcellをセット電圧VSETに維持する。これにより、相変化層106の固相結晶化が進む。
【0041】
次に、タイミングt102においては、セル電圧Vcellをセット電圧VSETから電圧VSSへ減少させる。これにより、相変化層106へのジュール熱の供給が無くなり、相変化層106の固相結晶化が止まる。相変化層106は、結晶相を多く含む低抵抗状態の第1相106_cへと遷移する。
【0042】
この様に、第1セット動作においては、セル電圧Vcellとしてセット電圧V
SETを振幅とする1段の電圧パルス(
図6(a))を供給する。第1セット動作においては、メモリセルMCに、セット電圧V
SETより大きい電圧を供給しない。
【0043】
尚、第1セット動作において、セット電圧VSETを維持する時間は、例えば100nsecより短い時間であっても良い。また、第1セット動作における電圧の立ち上げ及び立ち下げに要する時間は、例えば10nsec程度であっても良い。
【0044】
[第1リセット動作]
図4に示す様に、第1リセット動作は、低抵抗状態である第1相106_cを高抵抗状態である第2相106_aへリセットする動作である。
【0045】
第1リセット動作においては、
図6(b)に示す様に、タイミングt111において、セル電圧Vcellを、電圧V
SSからリセット電圧V
RESETへ増大させる。リセット電圧V
RESETは、相変化層106の溶融を行うため、電圧V
RESET_MIN以上である(
図5)。
【0046】
タイミングt111からタイミングt112にかけては、セル電圧Vcellを、リセット電圧VRESETに維持する。これにより、相変化層106の溶融が進む。
【0047】
次に、タイミングt112において、セル電圧Vcellを、リセット電圧VRESETから電圧VSSへ減少させる。これにより、相変化層106へのジュール熱の供給が無くなり、相変化層106は急激に冷却される。相変化層106は、アモルファス相を多く含む高抵抗状態の第2相106_aへと遷移する。
【0048】
この様に、第1リセット動作においては、メモリセルMCに、リセット電圧V
RESETを振幅とする1段の電圧パルス(
図6(b))を供給する。
【0049】
[比較例]
次に、
図7及び
図8を参照して、比較例に係るメモリセルMCxのセット動作X1について説明する。
図7は、メモリセルMCxの動作に必要な電圧を説明するための模式図である。
図8は、メモリセルMCxのセット動作X1について説明するための模式的な波形図である。メモリセルMCxは、相変化層106のかわりに相変化層106xを、セレクタ素子SLのかわりにセレクタ素子SLxを備える。
【0050】
[相変化層106xの固相結晶化と溶融]
相変化層106xに対して固相結晶化を行うには、例えば
図7に示す様に、セレクタ素子SLxをオン状態とし、セル電圧Vcellとして、電圧V
SET_MIN_X以上、電圧V
SET_MAX_X以下である電圧を供給する。
【0051】
相変化層106xを溶融させるには、例えば
図7に示す様に、セレクタ素子SLxをオン状態とし、セル電圧Vcellとして、電圧V
RESET_MIN_X以上の電圧を供給する。電圧V
RESET_MIN_Xは、電圧V
SET_MAX_Xよりも大きい。
【0052】
[電圧V
TH_CEL_X]
図7に示す電圧V
TH_CEL_Xは、オフ状態のセレクタ素子SLxをオン状態にしてメモリセルMCxに電流を流すために、セル電圧Vcellとして供給する最小の電圧である。電圧V
TH_CEL_Xは、セレクタ素子SLxの閾値電圧V
TH_SEL_Xより大きい。また、
図8に示す様に、電圧V
TH_CEL_Xは、電圧V
SET_MAX_Xより大きく、電圧V
RESER_MAX_Xより小さい。
【0053】
[セット動作X1]
セット動作X1においては、
図8に示す様に、タイミングt101xにおいて、セル電圧Vcellを電圧V
SSからセット電圧V
SET_X1へ増大させる。セット電圧V
SET_X1は、メモリセルMCxに電流を流すための最小の電圧V
TH_CEL_X以上である。また、この様なセット電圧V
SET_X1は、固相結晶化が可能な電圧の範囲外(
図7)であり、電圧V
SET_MAX_Xより大きい。
【0054】
タイミングt101xからタイミングt102xにかけては、セル電圧Vcellをセット電圧VSET_X1に維持する。これにより、セレクタ素子SLxはオン状態となる。
【0055】
次に、タイミングt102xにおいては、セル電圧Vcellをセット電圧V
SET_X1からセット電圧V
SET_X2へ減少させる。セット電圧V
SET_X2は、相変化層106xの固相結晶化が可能な電圧の範囲内(
図7)であり、電圧V
SET_MIN_X以上であり、電圧V
SET_MAX_X以下である。尚、セレクタ素子SLxがオン状態の場合、セル電圧Vcellを電圧V
TH_CEL_Xより小さいセット電圧V
SET_X2まで減少させても、セレクタ素子SLxはオン状態を維持する。
【0056】
タイミングt102xからタイミングt103xにかけては、セル電圧Vcellをセット電圧VSET_X2に維持する。これにより、相変化層106xの固相結晶化が進む。
【0057】
次に、タイミングt103xにおいては、セル電圧Vcellをセット電圧VSET_X2から電圧VSSへ減少させる。これにより、相変化層106xへのジュール熱の供給が無くなり、相変化層106xの固相結晶化が止まる。相変化層106xは、結晶相を多く含む低抵抗状態の第1相106_cへと遷移する。
【0058】
この様に、セット動作X1においては、セル電圧Vcellとしてセット電圧V
SET_X1及びセット電圧V
SET_X2を振幅とする2段の電圧パルス(
図8)を供給する。
【0059】
この様なセット動作X1においては、セット電圧VSET_X1が電圧VSET_MAX_Xより大きいことにより、相変化層106xは固相結晶化可能な温度範囲を超えた高温になりやすい。その様な場合、相変化層106xを固相結晶化可能な温度範囲まで降温する時間が必要となり、セット電圧VSET_X2を維持する時間(タイミングt102xからタイミングt103x)が比較的長くなってしまう場合があった。従って、セット動作X1は、比較的長い時間が必要な場合があった。
【0060】
[効果]
本実施形態においては、1種類のセット電圧V
SETにより、セレクタ素子SLをオン状態とし、また相変化層106を固相結晶化することができる。よって、本実施形態の第1セット動作は、比較的シンプルな、セット電圧V
SETを振幅とする1段の電圧パルス(
図6(a))によって行うことができる。
【0061】
また、第1セット動作を高速に行うためには、相変化層106の固相結晶化を速やかに進行させることが好ましい。本実施形態のセット電圧VSETは、電圧VSET_MAX以下のため、相変化層106は固相結晶化可能な温度範囲を超えた高温になりにくい。その様な場合、相変化層106を固相結晶化可能な温度範囲まで降温する時間は必要なく、セット電圧VSETを維持する時間(タイミングt101からタイミングt102)は比較的短い。よって、本実施形態の第1セット動作は、比較的高速に行うことができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、
図9~
図11を参照して第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図9は、第2セット動作及び第2リセット動作に必要な電流値を説明するための模式図である。
図10は、第2セット動作及び第2リセット動作について説明するための模式的な波形図である。
図11は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の電流-電圧特性を示す模式的なグラフである。
図9及び
図10には、各第2セット動作及び第2リセット動作においてメモリセルMCに供給する電流値(以下、「セル電流値Icell」と呼ぶ。)を示している。
図11の横軸はセル電圧Vcellを示し、縦軸はセル電流値Icellを対数軸で示している。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成及び動作については、説明を省略することがある。
【0063】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成され、同様の動作が行われる。ただし、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、相変化層106の固相結晶化と溶融の方法が、第1実施形態とは異なり、また、第1セット動作及び第1リセット動作のかわりに第2セット動作及び第2リセット動作が行われる。
【0064】
[相変化層106の固相結晶化と溶融(2)]
本実施形態において、相変化層106に対して固相結晶化を行うには、例えば
図9に示す様に、セレクタ素子SLをオン状態とし、セル電流値Icellとして、電流値I
SET_MIN以上、電流値I
SET_MAX以下である電流を供給する。
【0065】
相変化層106を溶融させるには、例えば
図9に示す様に、セレクタ素子SLをオン状態とし、セル電流値Icellとして、電流値I
RESET_MIN以上の電流を供給する。電流値I
RESET_MINは、電流値I
SET_MAXよりも大きい。
【0066】
尚、相変化層106は、セル電流値Icellとして、電流値ISET_MAXより大きく電流値IRESET_MINより小さい電流が供給された場合、固相結晶化及び溶融は起こらず、低抵抗状態及び高抵抗状態への各遷移は起こらない。
【0067】
[電流閾値I
TH_SEL]
図9に示す電流閾値I
TH_SELは、セレクタ素子SLをオン状態とするのに必要な最小の電流値である。
図9に示す様に、電流閾値I
TH_SELは、電流値I
SET_MINより小さい。ここで、
図11を参照して、電流閾値I
TH_SELについて説明する。
【0068】
図11に示す様に、セル電流値Icellの値が電流閾値I
TH_SELよりも小さい範囲では、セレクタ素子SLはオフ状態であり、セル電流値Icellの増大に応じてセル電圧Vcellが単調に増大する。セル電流値Icellがセレクタ素子SLの電流閾値I
TH_SELに達した時点で、セル電圧Vcellはおよそ閾値電圧V
TH_SELに達し、セレクタ素子SLはオン状態となる。
【0069】
セル電流値Icellが電流閾値ITH_SELより大きい範囲では、セレクタ素子SLは低抵抗状態へと遷移していくため、セル電流値Icellの増大に応じてセル電圧Vcellが一時的に減少する。セル電流値Icellが電流値IHOLD以上の範囲では、セレクタ素子SLはオン状態(低抵抗状態)を維持し、セル電圧Vcellはほぼ一定値となる。
【0070】
[第2セット動作]
第2セット動作においては、
図10(a)に示す様に、タイミングt201において、セル電流値Icellを電流値I
0からセット電流値I
SETへ増大させる。電流値I
0は、メモリセルMCにほぼ電流が流れていない状態(0A)であり、電流値I
0は、例えば測定限界以下の電流値であっても良い。セット電流値I
SETは、セレクタ素子SLをオン状態とし、かつ、オン状態を維持できる電流値I
HOLD以上である。また、セット電流値I
SETは、相変化層106の固相結晶化を行うため、電流値I
SET_MIN以上であり、電流値I
SET_MAX以下である(
図9)。電流値I
SET_MINは、電流値I
HOLDと同一であっても良いし、電流値I
HOLDより大きくても良い。
【0071】
タイミングt201からタイミングt202にかけては、セル電流値Icellを、セット電流値ISETに維持する。これにより、相変化層106の固相結晶化が進む。
【0072】
次に、タイミングt202においては、セル電流値Icellを、セット電流値ISETから電流値I0へ減少させる。これにより、相変化層106へのジュール熱の供給が無くなり、相変化層106の固相結晶化が止まる。相変化層106は、結晶相を多く含む低抵抗状態の第1相106_cへと遷移する。
【0073】
この様に、第2セット動作においては、メモリセルMCに、セット電流値I
SETを振幅とする1段の電流パルス(
図10(a))を供給する。第2セット動作においては、メモリセルMCに、セット電流値I
SETより大きい電流を供給しない。
【0074】
尚、第2セット動作において、セット電流値ISETを維持する時間は、例えば100nsecより短い時間であっても良い。また、第2セット動作における電流の立ち上げ及び立ち下げに要する時間は、例えば10nsec程度であっても良い。
【0075】
[第2リセット動作]
第2リセット動作においては、
図10(b)に示す様に、タイミングt211において、セル電流値Icellを、電流値I
0からリセット電流値I
RESETへ増大させる。リセット電流値I
RESETは、相変化層106の溶融を行うため、電流値I
RESET_MIN以上である(
図10)。
【0076】
タイミングt211からタイミングt212にかけては、セル電流値Icellを、リセット電流値IRESETに維持する。これにより、相変化層106の溶融が進む。
【0077】
次に、タイミングt212において、セル電流値Icellを、リセット電流値IRESETから電流値I0へ減少させる。これにより、相変化層106へのジュール熱の供給が無くなり、相変化層106は急激に冷却される。相変化層106は、アモルファス相を多く含む高抵抗状態の第2相106_aへと遷移する。
【0078】
この様に、第2リセット動作においては、メモリセルMCに、リセット電流値I
RESETを振幅とする1段の電流パルス(
図10(b))を供給する。
【0079】
[効果]
本実施形態においては、1種類のセット電流値I
SETにより、セレクタ素子SLをオン状態とし、また相変化層106を固相結晶化することができる。よって、本実施形態の第2セット動作は、比較的シンプルなセット電流値I
SETを振幅とする1段の電流パルス(
図10(a))によって、第2セット動作を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態のセット電流値ISETは、電流値ISET_MAX以下のため、相変化層106は固相結晶化可能な温度範囲を超えた高温になりにくい。その様な場合、相変化層106を固相結晶化可能な温度範囲まで降温する時間は必要なく、セット電流値ISETを維持する時間(タイミングt201からタイミングt202)は比較的短い。よって、本実施形態の第2セット動作は、比較的高速に行うことができる。
【0081】
[第3実施形態]
次に、
図12を用いて、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図12は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0082】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、例えば、
図12に示す様なメモリセルアレイMCA2と、メモリセルアレイMCA2を制御する周辺回路PC2と、を備える。
【0083】
メモリセルアレイMCA2は、例えば
図12に示す様に、基板Sbと、基板Sbの上方にそれぞれ設けられた、Y方向及びZ方向に並びX方向に延伸する複数のワード線WL2と、X方向及びY方向に並びZ方向に延伸する複数のローカルビット線LBLとを備える。また、メモリセルアレイMCA2には、ワード線WL及びビット線BLの間(
図2)ではなく、ワード線WL2及びローカルビット線LBLの間(
図12)に、それぞれメモリセルMC2が設けられる。メモリセルMC2は、基本的にはメモリセルMCと同様に構成されている。しかしながら、メモリセルMC2においては、導電層102から導電層108までの積層構造がZ方向(
図3)ではなく、Y方向(
図12)に積層されている。
【0084】
ワード線WL2及びローカルビット線LBLは、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層膜を含んでいても良いし、不純物が注入された多結晶シリコン(p-Si)又はシリサイド等を含んでいても良い。これら配線の間には、例えば酸化シリコン(SiO2)等の図示しない絶縁層が設けられても良い。
【0085】
周辺回路PC2は、ローカルビット線LBL及びワード線WL2に接続されている。周辺回路PC2は、例えば、降圧回路、選択回路、センスアンプ回路、及びこれらを制御するシーケンサ等を備える。周辺回路PC2は、選択回路の一部として、例えば
図12に示す様に、X方向に並びY方向に延伸する複数のグローバルビット線GBLと、X方向及びY方向に並ぶ複数の選択トランジスタSTrと、Y方向に並びX方向に延伸する複数の選択ゲート線SGと、を備える。
【0086】
選択トランジスタSTrは、ローカルビット線LBLに対応してX方向及びY方向に並び、ローカルビット線LBLに接続される。選択トランジスタSTrは、半導体部Sと、半導体部S及び選択ゲート線SGの間に設けられたゲート絶縁膜GIと、選択ゲート線SGの一部と、を備える。
【0087】
選択トランジスタSTrのゲート絶縁膜GIは、例えば、酸化シリコン(SiO2)又は酸化ハフニウム(HfOx)等を含む。
【0088】
選択ゲート線SGは、選択トランジスタSTrに対応してY方向に並び、X方向に延伸する。選択ゲート線SGは、選択トランジスタSTrのゲート電極として機能する。
【0089】
尚、選択ゲート線SG及びグローバルビット線GBLは、例えば、ワード線WL2及びローカルビット線LBLに適用可能な材料等を含んでいても良い。また、これら構成の間には、酸化シリコン(SiO2)等の図示しない絶縁層が設けられても良い。
【0090】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
103…セレクタ層、106…相変化層、VTH_SEL…閾値電圧、VTH_CEL…電圧、VSET_MIN…電圧、VSET_MAX…電圧、VRESET_MIN…電圧、VSET…セット電圧。