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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006337
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光デバイス及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20240110BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20240110BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/125 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107132
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137AB08
2H137BA01
2H137BA37
2H137BA52
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H147AB24
2H147BA05
2H147BB02
2H147BB07
2H147BB10
2H147BD01
2H147BE19
2H147CB03
2H147EA12A
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
(57)【要約】
【課題】光ファイバとの間の結合損失を抑制できる光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、基板上に並列に配置された2本の第1の導波路と、第1の導波路と離間して並走した状態で基板上に配置される1本の第2の導波路とを備える。第1の導波路は、第1のテーパ導波路と、第2のテーパ導波路とを有する。第2の導波路は、第1の導波路と並走する第3のテーパ導波路と、第3の導波路とを有する。第1のテーパ導波路は、第2のテーパ導波路に向かって導波路幅が徐々に広く、第2のテーパ導波路は、第1のテーパ導波路から離れながら導波路幅が徐々に狭く、第3のテーパ導波路は、第3の導波路に向かって導波路幅が徐々に広くなる。第1の導波路は、第1のテーパ導波路の始点での2本の第1の導波路同士の第1の間隔が、第1のテーパ導波路と第2のテーパ導波路との接続部位での2本の第1の導波路同士の第2の間隔に比較して広くなる構造にした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に並列に配置された2本の第1の導波路と、前記第1の導波路と離間して並走した状態で前記基板上に配置される1本の第2の導波路とを備え、
前記第1の導波路は、
第1のテーパ導波路と、前記第1のテーパ導波路に接続する第2のテーパ導波路とを有し、
前記第2の導波路は、
前記第1の導波路と並走する第3のテーパ導波路と、前記第3のテーパ導波路の前記第1のテーパ導波路が設けられている側の反対側に接続する第3の導波路とを有し、
前記第1のテーパ導波路は、
前記第2のテーパ導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第2のテーパ導波路は、
前記第1のテーパ導波路から離れるにつれて導波路幅が徐々に狭くなり、
前記第3のテーパ導波路は、
前記第3の導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第1の導波路は、
前記第1のテーパ導波路の始点における2本の第1の導波路同士の第1の間隔が、前記第1のテーパ導波路と前記第2のテーパ導波路との接続部位における2本の第1の導波路同士の第2の間隔に比較して広くなる構造にしたことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第1の導波路は、
前記第2のテーパ導波路の終点での2本の第2のテーパ導波路同士の第3の間隔が、前記第2の間隔に比較して狭くなる構造にしたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1の導波路は、
前記第2のテーパ導波路の終点と光結合すると共に、前記第2の導波路内の前記第3の導波路から徐々に離間する曲がり導波路を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記基板上にクラッドで被覆する前記第1の導波路は、
SiN(Silicon Nitride)を含む材料で形成され、
前記基板上にクラッドで被覆する前記第2の導波路は、
Si(Silicon)を含む材料で形成され、
前記クラッドは、
SiOを含む材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第1の導波路及び前記第2の導波路を前記基板上にクラッドで被覆する際に、前記クラッドの材料の屈折率は前記第1の導波路の材料の屈折率よりも小さく、前記第1の導波路の材料の屈折率は前記第2の導波路の材料の屈折率よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1の導波路及び前記第2の導波路は、
リブ導波路であることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
光源と、
送信信号を用いて前記光源からの光を光変調して送信光を送信する光送信器と、
前記光送信器内で前記光を導波する光デバイスと、を有する光通信装置であって、
前記光デバイスは、
基板上に並列に配置された2本の第1の導波路と、前記第1の導波路と離間して並走した状態で前記基板上に配置される1本の第2の導波路とを備え、
前記第1の導波路は、
第1のテーパ導波路と、前記第1のテーパ導波路に接続する第2のテーパ導波路とを有し、
前記第2の導波路は、
前記第1の導波路と並走する第3のテーパ導波路と、前記第3のテーパ導波路の前記第1のテーパ導波路が設けられている側の反対側に接続する第3の導波路とを有し、
前記第1のテーパ導波路は、
前記第2のテーパ導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第2のテーパ導波路は、
前記第1のテーパ導波路から離れるにつれて導波路幅が徐々に狭くなり、
前記第3のテーパ導波路は、
前記第3の導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第1の導波路は、
前記第1のテーパ導波路の始点における2本の第1の導波路同士の第1の間隔が、前記第1のテーパ導波路と前記第2のテーパ導波路との接続部位における2本の第1の導波路同士の第2の間隔に比較して広くなる構造にしたことを特徴とする光通信装置。
【請求項8】
光源と、
前記光源からの光を用いて受信光から受信信号を受信する光受信器と、
前記光受信器内で前記光を導波路する光デバイスと、を有する光通信装置であって、
前記光デバイスは、
基板上に並列に配置された2本の第1の導波路と、前記第1の導波路と離間して並走した状態で前記基板上に配置される1本の第2の導波路とを備え、
前記第1の導波路は、
第1のテーパ導波路と、前記第1のテーパ導波路に接続する第2のテーパ導波路とを有し、
前記第2の導波路は、
前記第1の導波路と並走する第3のテーパ導波路と、前記第3のテーパ導波路の前記第1のテーパ導波路が設けられている側の反対側に接続する第3の導波路とを有し、
前記第1のテーパ導波路は、
前記第2のテーパ導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第2のテーパ導波路は、
前記第1のテーパ導波路から離れるにつれて導波路幅が徐々に狭くなり、
前記第3のテーパ導波路は、
前記第3の導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなり、
前記第1の導波路は、
前記第1のテーパ導波路の始点における2本の第1の導波路同士の第1の間隔が、前記第1のテーパ導波路と前記第2のテーパ導波路との接続部位における2本の第1の導波路同士の第2の間隔に比較して広くなる構造にしたことを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信容量の増加に伴って、光ファイバ通信の需要が増大しているため、電気信号を光信号に変換する小型の光デバイスが使用されている。そこで、近年、シリコンフォトニクスに代表される超小型の基板型光導波路素子(単に、光デバイスと称する)の開発が盛んに行われている。光デバイスでは、同じチップ上に異なる材料から成る2つ以上の導波路を集積することが可能である。
【0003】
光デバイスを構成する光部品は、例えば、材料屈折率によって得られる特性が異なるため、光部品毎に適切な材料の導波路を使用することで、光デバイスの特性の向上を図ることができる。そこで、異なる材料の導波路を使用する光デバイスでは、異なる導波路間で光を間接遷移する構造がある。
【0004】
図14は、従来の光デバイス200の一例を示す説明図である。図14に示す光デバイス200は、光ファイバのコアFCと光結合する基板型光導波路素子である。光デバイス200は、SiOのクラッド211で被覆された、例えば、Siの導波路(単に、SiN(Silicon Nitride)導波路と称する)201と、クラッド211で被覆された、例えば、Siの導波路(単に、Si導波路と称する)202とを有する。光デバイス200は、Si導波路202とSiN導波路201との間で光が間接遷移する断熱変換部203を有する。
【0005】
SiN導波路201は、始点X201から終点X202まで導波路幅が一定の直線導波路である。SiN導波路201の始点X201は、光ファイバのコアFCと光結合する光デバイス200のチップ端面D1を起点とする。
【0006】
Si導波路202は、テーパ導波路202Aと、直線導波路202Bとを有する。テーパ導波路202Aは、導波路幅が始点Y201から終点Y202まで徐々に広がるテーパ構造を有する導波路である。直線導波路202Bは、始点Y202から終点Y203までの導波路幅が一定の導波路である。Si導波路202は、テーパ導波路202Aの終点Y202と直線導波路202Bの始点Y202とを光結合することで構成する。Si導波路202の直線導波路202Bの終点Y203は、光デバイス200のチップ端面D1と対向するチップ端面D2を終点とする。
【0007】
断熱変換部203は、始点において、SiN導波路201の中間点X203とSi導波路202内のテーパ導波路202Aの始点Y201とが離間した状態である。断熱変換部203は、終点において、SiN導波路201の終点X202とSi導波路202内のテーパ導波路202Aの終点Y202とが離間した状態である。断熱変換部203は、クラッド211を介してSi導波路202上にSiN導波路201が重ねて配置された構造である。
【0008】
図15Aは、図14に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図15Aに示す略断面部分は、SiN導波路201が配置された光デバイス200の断面部位である。光デバイス200は、Si基板212と、Si基板212上に積層されたクラッド211と、クラッド211内に配置されたSiN導波路201とを有する。
【0009】
図15Bは、図14に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図15Bに示す略断面部分は、断熱変換部203が配置された光デバイス200の断面部位である。光デバイス200は、Si基板212と、Si基板212上に積層されたクラッド211と、クラッド211内に配置されたSiN導波路201と、SiN導波路201下において、クラッド211内に配置されたテーパ導波路202Aとを有する。
【0010】
図15Cは、図14に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図15Cに示す略断面部分は、Si導波路202の直線導波路202Bが配置された光デバイス200の断面部位である。光デバイス200は、Si基板212と、クラッド211と、クラッド211内に配置された直線導波路202Bとを有する。
【0011】
そして、断熱変換部203では、Si導波路202内のテーパ導波路202AとSiN導波路201との間で断熱的に光が徐々に遷移することになる。
【0012】
従来の光デバイス200内の断熱変換部203では、Si導波路202の導波路幅がテーパ状に変化し、SiN導波路201がSi導波路202に比べて屈折率が低いので光ファイバのモードフィールドに近づけるように光のモードフィールドを大きくしている。その結果、光ファイバとの結合損失を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2014-191301号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0154919号明細書
【特許文献3】米国特許第10429582号明細書
【特許文献4】特開2011-22464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の光デバイス200では、SiN導波路201のモードフィールドが光ファイバのモードフィールドに比べて小さい。従って、光デバイス200では、SiN導波路201と光ファイバとの間のモードフィールドのミスマッチにより、光ファイバとの間の結合損失が発生する。
【0015】
一つの側面では、光ファイバとの間の結合損失を抑制できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一つの態様の光デバイスは、基板上に並列に配置された2本の第1の導波路と、前記第1の導波路と離間して並走した状態で前記基板上に配置される1本の第2の導波路とを備える。前記第1の導波路は、第1のテーパ導波路と、前記第1のテーパ導波路に接続する第2のテーパ導波路とを有する。前記第2の導波路は、前記第1の導波路と並走する第3のテーパ導波路と、前記第3のテーパ導波路の前記第1のテーパ導波路が設けられている側の反対側に接続する第3の導波路とを有する。前記第1のテーパ導波路は、前記第2のテーパ導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなる構造にした。前記第2のテーパ導波路は、前記第1のテーパ導波路から離れるにつれて導波路幅が徐々に狭くなる構造にした。前記第3のテーパ導波路は、前記第3の導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなる構造にした。前記第1の導波路は、前記第1のテーパ導波路の始点における2本の第1の導波路同士の第1の間隔が、前記第1のテーパ導波路と前記第2のテーパ導波路との接続部位における2本の第1の導波路同士の第2の間隔に比較して広くなる構造にした。
【発明の効果】
【0017】
一つの側面によれば、第1の導波路と光結合する光ファイバとの間の結合損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す説明図である。
図2A図2Aは、図1に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図2B図2Bは、図1に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図2C図2Cは、図1に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施例2の光デバイスの一例を示す説明図である。
図4A図4Aは、図3に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図4B図4Bは、図3に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図4C図4Cは、図3に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施例3の光デバイスの一例を示す説明図である。
図6A図6Aは、図5に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図6B図6Bは、図5に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図6C図6Cは、図5に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図7図7は、光デバイスを内蔵した光通信装置の一例を示す説明図である。
図8図8は、比較例1の光デバイスの一例を示す説明図である。
図9A図9Aは、図8に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図9B図9Bは、図8に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図9C図9Cは、図8に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図10図10は、比較例2の光デバイスの一例を示す説明図である。
図11A図11Aは、図10に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図11B図11Bは、図10に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図11C図11Cは、図10に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図12図12は、比較例3の光デバイスの一例を示す説明図である。
図13A図13Aは、図12に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図13B図13Bは、図12に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図13C図13Cは、図12に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図14図14は、従来の光デバイスの一例を示す説明図である。
図15A図15Aは、図14に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図15B図15Bは、図14に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。
図15C図15Cは、図14に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<比較例1>
図8は、比較例1の光デバイス100の一例を示す説明図である。図8に示す光デバイス100は、光ファイバのコアFCと光結合する基板型光導波路素子である。光デバイス100は、SiN導波路101と、Si導波路102と、Si導波路102及びSiN導波路101を被覆する、クラッド111とを有する。更に、光デバイス100は、Si導波路102とSiN導波路101との間を間接遷移で光結合する断熱変換部103を有する。SiN導波路101は、例えば、Si(以下、単にSiNと称する)で形成し、光波長が1.55μmとした場合のSiNの材料屈折率は1.99である。Si導波路102は、例えば、Siで形成し、光波長が1.55μmとした場合のSiの材料屈折率は3.48である。クラッド111は、例えば、SiOで形成し、光波長が1.55μmとした場合のSiOの材料屈折率は1.44である。
【0020】
SiN導波路101は、2本の第1の直線導波路101Aと、2本の第1の直線導波路101Aと光結合する第1のテーパ導波路101Bとを有する。第1の直線導波路101Aは、始点X101から終点X102までの導波路幅が一定となる導波路である。第1のテーパ導波路101Bは、第1の直線導波路101Aの終点X102から終点X103に向けて導波路幅が徐々に狭くなるテーパ構造を有する導波路である。第1のテーパ導波路101Bの始点X102の導波路幅は、第1のテーパ導波路101Bの終点X103の導波路幅に比較して広い。第1の直線導波路101A及び第1のテーパ導波路101Bのコアの厚みは、同一とする。SiN導波路101の始点X101は、光ファイバのコアFCと光結合する光デバイス100のチップ端面D1を起点とする。
【0021】
Si導波路102は、第2のテーパ導波路102Aと、第2のテーパ導波路102Aと光結合する第2の直線導波路102Bとを有する。第2のテーパ導波路102Aは、始点Y101から終点Y102に向けて導波路幅が徐々に広くなるテーパ構造を有する導波路である。第2の直線導波路102Bは、始点Y102から終点Y103に向けて導波路幅が一定の導波路である。第2の直線導波路102B及び第2のテーパ導波路102Aのコアの厚みは、同一とする。Si導波路102の第2の直線導波路102Bの終点Y103は、光デバイス100のチップ端面D1と対向するチップ端面D2を終点とする。
【0022】
断熱変換部103は、第1のテーパ導波路101Bと第2のテーパ導波路102Aとの間を上下方向に離間した状態で第1のテーパ導波路101Bの下に第2のテーパ導波路102Aを重ねて配置することで構成する。尚、第1のテーパ導波路101Bと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は一定とする。
【0023】
断熱変換部103は、始点X102(Y101)と、終点X103(Y102)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図9Aは、図8に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図9Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路101の2本の第1の直線導波路101Aが配置された光デバイス100の断面部位である。光デバイス100は、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された2本の第1の直線導波路101Aとを有する。
【0024】
図9Bは、図8に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図9Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部103が配置された光デバイス100の断面部位である。光デバイス100は、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された第1のテーパ導波路101Bと、クラッド111内に配置された第2のテーパ導波路102Aと、を有する。断熱変換部103の始点では、第1のテーパ導波路101Bの導波路幅が第2のテーパ導波路102Aの導波路幅に比較して広い構造とする。第1のテーパ導波路101Bと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は同一とする。断熱変換部103の終点では、第1のテーパ導波路101Bの導波路幅が第2のテーパ導波路102Aの導波路幅に比較して狭い構造とする。
【0025】
図9Cは、図8に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図9Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路102内の第2の直線導波路102Bが配置された光デバイス100の断面部位である。光デバイス100は、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置されたSi導波路102内の第2の直線導波路102Bとを有する。
【0026】
断熱変換部103の始点は、第1のテーパ導波路101Bの導波路幅が広く、第2のテーパ導波路102Aの導波路幅が狭く、終点では、第1のテーパ導波路101Bの導波路幅が狭く、第2のテーパ導波路102Aの導波路幅が広くなる構造とする。つまり、第1のテーパ導波路101Bの導波路幅が始点X102から終点X103に向けて徐々に狭く、第2のテーパ導波路102Aの導波路幅が始点Y101から終点Y102に向けて徐々に広くなる構造にした。一般的に、導波路の導波路幅が広いほど、コアへの光閉じ込めが強くなるため、コアの材料屈折率の影響を受けて実効屈折率は大きくなる。
【0027】
比較例1の光デバイス100では、光ファイバのコアFCと光結合するSiN導波路101が2本の第1の直線導波路101Aで分かれて構成する。その結果、従来の光デバイス200に比較して、SiN導波路101のモードフィールドを光ファイバのモードフィールドに近づけることで、光ファイバとの間の結合損失を抑制できる。
【0028】
しかも、光デバイス100の断熱変換部103では、2本の第1の直線導波路101Aを1本の第1のテーパ導波路101Bに光結合し、第1のテーパ導波路101BからSi導波路の第2のテーパ導波路102Aに光を断熱的に遷移することになる。
【0029】
しかしながら、1本の第1のテーパ導波路101Bと2本の第1の直線導波路101Aとが光結合するSiN導波路101内の不連続箇所で、光のモードフィールドが急激に変化するため、光の放射損失や反射損失が発生する。そこで、このような事態に対処する比較例2の光デバイス100Aが考えられる。
【0030】
<比較例2>
図10は、比較例2の光デバイス100Aの一例を示す説明図である。図10に示す光デバイス100Aは、光ファイバのコアFCと光結合する基板型光導波路素子である。光デバイス100Aは、SiN導波路101と、Si導波路102と、Si導波路102及びSiN導波路101を被覆する、クラッド111とを有する。更に、光デバイス100Aは、Si導波路102とSiN導波路101との間を間接遷移で光結合する断熱変換部103Aを有する。
【0031】
SiN導波路101は、始点X101から終点X102Aまでの導波路幅が一定となる2本の直線導波路101Cを有する。SiN導波路101の始点X101は、光ファイバのコアFCと光結合する光デバイス100のチップ端面D1を起点とする。
【0032】
Si導波路102は、第2のテーパ導波路102Aと、第2のテーパ導波路102Aと光結合する第2の直線導波路102Bとを有する。第2のテーパ導波路102Aは、始点Y101から終点Y102に向けて導波路幅が徐々に広くなるテーパ構造を有する導波路である。第2の直線導波路102Bは、始点Y102から終点Y103に向けて導波路幅が一定の導波路である。第2の直線導波路102B及び第2のテーパ導波路102Aのコアの厚みは、同一とする。Si導波路102の第2の直線導波路102Bの終点Y103は、光デバイス100のチップ端面D1と対向するチップ端面D2を終点とする。
【0033】
断熱変換部103Aは、2本の直線導波路101Cの間に第2のテーパ導波路102Aを配置し、直線導波路101Cの一部と第2のテーパ導波路102Aとの間を離間した状態で直線導波路101Cの下に第2のテーパ導波路102Aを配置することで構成する。尚、直線導波路101Cと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は一定の間隔とする。断熱変換部103Aでは、2本の直線導波路101Cを光結合することなく、2本の直線導波路101C間に第2のテーパ導波路102Aを配置した。尚、SiN導波路101は、Si導波路102の真上になくても、モードフィールドは2本の直線導波路101Cを中心に跨っているため、SiN導波路101からSi導波路102に光が断熱的に遷移することになる。
【0034】
断熱変換部103Aは、始点X102(Y101)と、終点X103(Y102)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図11Aは、図10に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図11Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路101内の2本の直線導波路101Cが配置された光デバイス100Aの断面部位である。光デバイス100Aは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内のSiN導波路101内に配置された2本の直線導波路101Cとを有する。
【0035】
図11Bは、図10に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図11Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部103Aが配置された光デバイス100Aの断面部位である。光デバイス100Aは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された2本の直線導波路101Cと、クラッド111内に配置された第2のテーパ導波路102Aと、を有する。断熱変換部103Aは、2本の直線導波路101Cの間で第2のテーパ導波路102Aが並走する構造である。直線導波路101Cと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は一定とする。
【0036】
図11Cは、図10に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図11Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路102内の第2の直線導波路102Bが配置された光デバイス100Aの断面部位である。光デバイス100Aは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された第2の直線導波路102Bとを有する。
【0037】
比較例2の断熱変換部103Aでは、2本の直線導波路101Cを光結合することなく、2本の直線導波路101C間に第2のテーパ導波路102Aを配置したので、直線導波路101Cから第2のテーパ導波路102Aに光を断熱的に遷移する。その結果、SiN導波路101内で不連続箇所がなくなるため、光の放射損失や反射損失の発生を抑制できる。
【0038】
しかしながら、断熱変換部103Aでは、2本の直線導波路101Cの光の閉じ込めが弱く、Si導波路102内の第2のテーパ導波路102Aの始点Y101における放射損失が大きくなる。その結果、Si導波路102とSiN導波路101と離間した状態で並列配置される断熱変換部103Aの長さをある程度確保する必要があるため、部品サイズが大きくなる。そこで、このような事態に対処すべく、比較例3の光デバイス100Bが考えられる。
【0039】
<比較例3>
図12は、比較例3の光デバイス100Bの一例を示す説明図である。図12に示す光デバイス100Bは、光ファイバのコアFCと光結合する基板型光導波路素子である。光デバイス100Bは、SiN導波路101と、Si導波路102と、Si導波路102及びSiN導波路101を被覆する、クラッド111とを有する。更に、光デバイス100Bは、Si導波路102とSiN導波路101との間を間接遷移で光結合する断熱変換部103Bを有する。
【0040】
SiN導波路101は、2本の第3のテーパ導波路101Dと、2本の第4のテーパ導波路101Eとを有する。第3のテーパ導波路101Dは、始点X101から終点X102に向けて徐々に広くなる構造を有する導波路である。第4のテーパ導波路101Eは、始点X102から終点X103に向けて徐々に狭くなる構造を有する導波路である。第3のテーパ導波路101Dの終点X102と第4のテーパ導波路101Eの始点X102とを光結合することで、第3のテーパ導波路101Dと第4のテーパ導波路101Eとの間を光結合する。第3のテーパ導波路101D及び第4のテーパ導波路101Eのコアの厚みは同一とする。SiN導波路101の始点X101は、光ファイバのコアFCと光結合する光デバイス100のチップ端面D1を起点とする。
【0041】
Si導波路102は、第2のテーパ導波路102Aと、第2のテーパ導波路102Aと光結合する第2の直線導波路102Bとを有する。第2のテーパ導波路102Aは、始点Y101から終点Y102に向けて導波路幅が徐々に広くなるテーパ構造を有する導波路である。第2の直線導波路102Bは、始点Y102から終点Y103に向けて導波路幅が一定の導波路である。第2の直線導波路102B及び第2のテーパ導波路102Aのコアの厚みは、同一とする。Si導波路102の第2の直線導波路102Bの終点Y103は、光デバイス100のチップ端面D1と対向するチップ端面D2を終点とする。
【0042】
断熱変換部103Bは、2本の第4のテーパ導波路101Eの間に第2のテーパ導波路102Aを離間した状態で第4のテーパ導波路101Eの下に第2のテーパ導波路102Aを配置することで構成する。尚、第4のテーパ導波路101Eと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は一定とする。断熱変換部103Bでは、2本の第4のテーパ導波路101E間に第2のテーパ導波路102Aを配置した。尚、SiN導波路101は、Si導波路102の真上になくても、モードフィールドは2本の第4のテーパ導波路101Eを中心に跨っているため、SiN導波路101からSi導波路102に光が断熱的に遷移することになる。
【0043】
断熱変換部103Bは、始点X102(Y101)と、終点X103(Y102)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図13Aは、図12に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図13Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路101内の2本の第3のテーパ導波路101Dが配置された光デバイス100Bの断面部位である。光デバイス100Bは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された2本の第3のテーパ導波路101Dとを有する。
【0044】
図13Bは、図12に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図13Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部103Bが配置された光デバイス100Bの断面部位である。光デバイス100Bは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された第4のテーパ導波路101Eと、クラッド111内に配置された第2のテーパ導波路102Aと、を有する。断熱変換部103Bは、2本の第4のテーパ導波路101Eの間で第2のテーパ導波路102Aが並走する構造である。第4のテーパ導波路101Eと第2のテーパ導波路102Aとの間の間隔は一定とする。
【0045】
図13Cは、図12に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図13Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路102内の第2の直線導波路102Bが配置された光デバイス100Bの断面部位である。光デバイス100Bは、Si基板112と、Si基板112上に積層されたクラッド111と、クラッド111内に配置された第2の直線導波路102Bとを有する。
【0046】
比較例3の光デバイス100Bでは、SiN導波路101内の2本の第3のテーパ導波路101Dの導波路幅を徐々に広くしたので、光の閉じ込めを強くできる。その結果、断熱変換部4の始点でのSi導波路3の先端における放射損失が小さくなるため、断熱変換部103Bの長さを小さくできる。しかしながら、SiN導波路101の閉じ込めが強いままだと断熱変換部103Bの変換効率が波長や偏波により異なるので、変換効率に対する波長及び偏波の依存性が高くなる。
【0047】
そこで、光デバイス100Bの断熱変換部103Bでは、SiN導波路101内の2本の第4のテーパ導波路101Eの導波路幅を徐々に狭くしたので、変換効率に対する波長及び偏波の依存性を小さくできる。
【0048】
しかしながら、比較例3の光デバイス100Bでは、SiN導波路101内の2本の第3のテーパ導波路101Dの導波路幅を徐々に狭くするために、光ファイバのコアFCと光結合する2本の第3のテーパ導波路101Dの始点間の間隔が狭くなる構造になる。その結果、チップ端面D1での光デバイス100Bのモードフィールドが小さく、光ファイバのコアFCのモードフィールドが大きく、光デバイス100Bの光ファイバのコアFCとの結合効率が悪くなる。
【0049】
そこで、このような事態を解消する光デバイス1の実施の形態につき、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0050】
図1は、実施例1の光デバイス1の一例を示す説明図である。図1に示す光デバイス1は、光ファイバのコアFCと光結合する基板型光導波路素子を内蔵する光チップである。光デバイス1は、SiN(Silicon Nitride)導波路2と、Si(Silicon)導波路3と、Si導波路3及びSiN導波路2を被覆するクラッド11とを有する。光デバイス1は、Si導波路3とSiN導波路2との間を断熱的な間接遷移で光を遷移する断熱変換部4を有する。
【0051】
SiN導波路2は、例えば、Si(以下、単にSiNと称する)で形成する第1の導波路である。光波長を1.55μmとした場合のSiNの材料屈折率は1.99である。Si導波路3は、例えば、Siで形成する第2の導波路である。光波長を1.55μmとした場合のSiの材料屈折率は3.48である。Siの材料屈折率は第2の材料屈折率である。SiNの材料屈折率は、Siの材料屈折率よりも小さい。クラッド11は、例えば、SiOで形成する層である。光波長を1.55μmとした場合のSiOの材料屈折率は1.44である。
【0052】
SiN導波路2は、2本の第1のテーパ導波路2Aと、2本の第1のテーパ導波路2Aと光結合する2本の第2のテーパ導波路2Bとを有する。第1のテーパ導波路2Aは、始点X1から終点X2に向けて導波路幅が徐々に広くなるテーパ構造を有する導波路である。言い換えれば、第1のテーパ導波路2Aは、第2のテーパ導波路に向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなる構造である。第2のテーパ導波路2Bは、始点X2から終点X3に向けて導波路幅が徐々に狭くなるテーパ構造を有する導波路である。言い換えれば、第2のテーパ導波路2Bは、第1のテーパ導波路2Aから離れるにつれて導波路幅が徐々に狭くなる構造である。第1のテーパ導波路2Aの終点X2と第2のテーパ導波路2Bの始点X2とを光結合することで、第1のテーパ導波路2Aと第2のテーパ導波路2Bとの間を光結合する。第1のテーパ導波路2A及び第2のテーパ導波路2Bのコアの厚みは同一とする。SiN導波路2の始点X1は、光ファイバのコアFCと光結合する光デバイス1のチップ端面D1を起点とする。
【0053】
始点X1における第1のテーパ導波路2Aのコア中心と終点X2における第1のテーパ導波路2Aのコア中心とを結ぶラインを第1の中心線CL1とする。尚、第1のテーパ導波路2Aの終点X2と第2のテーパ導波路2Bの始点X2とは同じである。始点X2における第2のテーパ導波路2Bのコア中心と終点X3における第2のテーパ導波路2Bのコア中心とを結ぶラインを第2の中心線CL2とする。
【0054】
そして、一方の第1のテーパ導波路2Aの始点X1のコア中心と他方の第1のテーパ導波路2Aの始点X1のコア中心との間の距離を第1の間隔L1とする。言い換えれば、第1の間隔L1は、第1のテーパ導波路2Aの始点X1における2本の第1の導波路2同士の間隔である。一方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心と他方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心との間の距離を第2の間隔L2とする。言い換えれば、の第2の間隔L2は、第1のテーパ導波路2Aと第2のテーパ導波路2Bとの接続部位における2本の第1の導波路2同士の間隔である。一方の第2のテーパ導波路2Bの終点X3のコア中心と他方の第2のテーパ導波路2Bの終点X3のコア中心との間の距離を第3の間隔L3とする。そして、第1の間隔L1、第2の間隔L2及び第3の間隔L3の関係は、L1>L2、L1>L3及びL2=L3が成立する。言い換えれば、第1の導波路2は、第1の間隔L1が第2の間隔L2に比較して広くなる構造である。
【0055】
光デバイス1は、光ファイバのコアFCと光結合するチップ端面D1のSiN導波路2の部位を広くし、光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づけるべく、2本の第1のテーパ導波路2A間の距離を第1の間隔L1とした。その結果、チップ端面D1での光デバイス1のモードフィールドが光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づくことで、光デバイス1の光ファイバのコアFCとの結合効率が良好となる。
【0056】
Si導波路3は、第3のテーパ導波路3Aと、第3のテーパ導波路3Aと光結合する直線導波路3Bとを有する。第3のテーパ導波路3Aは、始点Y1から終点Y2に向けて導波路幅が徐々に広くなるテーパ構造を有する導波路である。言い換えれば、第3のテーパ導波路3Aは、第3の導波路である直線導波路3Bに向かうにつれて導波路幅が徐々に広くなる構造である。直線導波路3Bは、始点Y2から終点Y3に向けて導波路幅が一定の導波路である。言い換えれば、直線導波路3Bは、第3のテーパ導波路3Aの第1のテーパ導波路2Aが設けられている側と反対側に接続する導波路である。第3のテーパ導波路3A及び直線導波路3Bのコアの厚みは同一とする。Si導波路3の直線導波路3Bの終点Y3は、光デバイス1のチップ端面D1と対向するチップ端面D2を終点とする。
【0057】
断熱変換部4は、SiN導波路2内の2本の第2のテーパ導波路2Bと、Si導波路3内の第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4は、2本の第2のテーパ導波路2Bの間に第3のテーパ導波路3Aを配置し、第2のテーパ導波路2Bの下に第3のテーパ導波路3Aを離間した状態で並走して配置することで構成する。尚、第2のテーパ導波路2Bと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は一定とする。断熱変換部4では、2本の第2のテーパ導波路2B間に第3のテーパ導波路3Aを配置した。尚、SiN導波路2は、Si導波路3の真上になくても、モードフィールドは2本の第2のテーパ導波路2Bを中心に跨っているため、SiN導波路2からSi導波路3に光が断熱的に遷移することになる。
【0058】
断熱変換部4は、始点X2(Y1)と、終点X3(Y2)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図2Aは、図1に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図2Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路2内の2本の第1のテーパ導波路2Aが配置された光デバイス1の断面部位である。光デバイス1は、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第1のテーパ導波路2Aとを有する。
【0059】
図2Bは、図1に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図2Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部4が配置された光デバイス1の断面部位である。光デバイス1は、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第2のテーパ導波路2Bと、クラッド11内に配置された第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4は、2本の第2のテーパ導波路2Bの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。第2のテーパ導波路2Bと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は一定とする。
【0060】
図2Cは、図1に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図2Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路3内の直線導波路3Bが配置された光デバイス1の断面部位である。光デバイス1は、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された直線導波路3Bとを有する。
【0061】
断熱変換部4の始点は、第2のテーパ導波路2Bの始点X2と第3のテーパ導波路3Aの始点Y1とが配置される箇所である。第2のテーパ導波路2Bの始点X2の導波路幅は、第3のテーパ導波路3Aの始点Y1の導波路幅に比較して広くしている。断熱変換部4は、2本の第2のテーパ導波路2Bの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。
【0062】
断熱変換部4の終点は、第2のテーパ導波路2Bの終点X3と第3のテーパ導波路3Aの終点Y2とが配置される箇所である。第2のテーパ導波路2Bの終点X3の導波路幅は、第3のテーパ導波路3Aの終点Y3の導波路幅に比較して狭くしている。
【0063】
実施例1の光デバイス1の断熱変換部4では、2本の第2のテーパ導波路2B間に第3のテーパ導波路3Aを配置したので、第2のテーパ導波路2Bと第3のテーパ導波路3Aとの間で光を断熱的に遷移する。その結果、SiN導波路2内で不連続箇所がなくなるため、光の放射損失や反射損失の発生を抑制できる。
【0064】
光デバイス1では、SiN導波路2内の2本の第1のテーパ導波路2Aの導波路幅を徐々に広くしたので、光の閉じ込めを強くできる。その結果、断熱変換部4の始点でのSi導波路3の先端における放射損失が小さくなるため、断熱変換部4の長さを短くできる。
【0065】
更に、光デバイス1では、SiN導波路2内の2本の第2のテーパ導波路2Bの導波路幅を徐々に狭くしたので、SiN導波路2の実効屈折率が小さくなることで、変換効率に対する波長及び偏波の依存性を小さくしながら、変換効率の低下を抑制できる。
【0066】
更に、光デバイス1は、2本の第1のテーパ導波路2A間の間隔が始点X1から終点X2にかけて徐々に狭くなるように変化した構造にした。光デバイス1では、光ファイバのコアFCと光結合するチップ端面D1のSiN導波路2の部位を広くし、第1の間隔L1が第2の間隔L2よりも広くした。その結果、チップ端面D1での光デバイス1のモードフィールドが光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づくことで、光デバイス1の光ファイバのコアFCとの結合効率が改善できる。
【0067】
尚、実施例1の光デバイス1では、第2の間隔L2及び第3の間隔L3の関係がL2=L3であるため、断熱変換部4のモードフィールドが広く、断熱変換部4と光結合するSi導波路3内の直線導波路3Bのモードフィールドに近づけることができない。その結果、断熱変換部4でのSi導波路3との間のモードフィールドのミスマッチにより結合損失が発生する。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0068】
図3は、実施例2の光デバイス1Aの一例を示す説明図である。尚、実施例1の光デバイス1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例2の光デバイス1Aと実施例1の光デバイス1とが異なるところは、断熱変換部4Aの始点X2(Y1)にある第2の間隔L2が断熱変換部4Aの終点X3(Y2)にある第3の間隔L3に比較して狭くする点にある。
【0069】
SiN導波路2は、2本の第1のテーパ導波路2Aと、2本の第2のテーパ導波路2Cとを有する。第2のテーパ導波路2Cは、始点X2から終点X3に向けて導波路幅が徐々に狭くなるテーパ構造を有する導波路である。始点X1における第1のテーパ導波路2Aのコア中心と終点X2における第1のテーパ導波路2Aのコア中心とを結ぶラインを第1の中心線CL1とする。始点X2における第2のテーパ導波路2Cのコア中心と終点X3における第2のテーパ導波路2Cのコア中心とを結ぶラインを第3の中心線CL3とする。
【0070】
一方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心と他方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心との間の距離を第2の間隔L2Aとする。一方の第2のテーパ導波路2Cの終点X3のコア中心と他方の第2のテーパ導波路2Cの終点X3のコア中心との間の距離を第3の間隔L3Aとする。そして、第1の間隔L1、第2の間隔L2A及び第3の間隔L3Aの関係は、L1>L2A、L1>L3A、L2A>L3Aが成立する。
【0071】
光デバイス1Aは、光ファイバのコアFCと光結合するチップ端面D1のSiN導波路2の部位を広くし、光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づけるべく、2本の第1のテーパ導波路2A間の距離を第1の間隔L1とした。その結果、チップ端面D1での光デバイス1のモードフィールドが光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づくことで、光デバイス1の光ファイバのコアFCとの結合効率が良好となる。
【0072】
断熱変換部4Aは、第3の間隔L3Aが第2の間隔L2Aに比較して狭くなるように2本の第2のテーパ導波路2Cを構成した。その結果、断熱変換部4AのモードフィールドがSi導波路3内の直線導波路3Bのモードフィールドに近づくため、断熱変換部4AでのSi導波路3との間の結合損失が抑制できる。
【0073】
断熱変換部4Aは、SiN導波路2内の2本の第2のテーパ導波路2Cと、Si導波路3内の第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4Aは、2本の第2のテーパ導波路2Cの間に第3のテーパ導波路3Aを配置し、第2のテーパ導波路2Cの下に第3のテーパ導波路3Aを離間した状態で並走して配置することで構成する。尚、第2のテーパ導波路2Cと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は同一とする。
【0074】
断熱変換部4Aは、始点X2(Y1)と、終点X3(Y2)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図4Aは、図3に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図4Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路2内の2本の第1のテーパ導波路2Aが配置された光デバイス1Aの断面部位である。光デバイス1Aは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第1のテーパ導波路2Aとを有する。
【0075】
図4Bは、図3に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図4Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部4Aが配置された光デバイス1Aの断面部位である。光デバイス1Aは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第2のテーパ導波路2Cと、クラッド11内に配置された第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4Aは、2本の第2のテーパ導波路2Cの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。第2のテーパ導波路2Cと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は一定とする。
【0076】
図4Cは、図3に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図4Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路3内の直線導波路3Bが配置された光デバイス1Aの断面部位である。光デバイス1Aは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された直線導波路3Bとを有する。
【0077】
断熱変換部4Aの始点は、第2のテーパ導波路2Cの始点X2と第3のテーパ導波路3Aの始点Y1とが配置される箇所である。第2のテーパ導波路2Cの始点X2の導波路幅は、第3のテーパ導波路3Aの始点Y1の導波路幅に比較して広くしている。断熱変換部4Aは、2本の第2のテーパ導波路2Cの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。断熱変換部4Aの終点は、第2のテーパ導波路2Cの終点X3と第3のテーパ導波路3Aの終点Y2とが配置される箇所である。
【0078】
実施例2の光デバイス1Aの断熱変換部4Aは、2本の第2のテーパ導波路2C同士の終点の第3の間隔L3Aが第2のテーパ導波路2C同士の始点の第2の間隔L2Aに比較して狭くなるように第2のテーパ導波路2C間の間隔を徐々に狭くする構成にした。その結果、断熱変換部4Aでの変換効率の低下を抑制しながら、断熱変換部4Aのモードフィールドが直線導波路3Bのモードフィールドに近くなるため、Si導波路3との間の結合損失を改善できる。
【0079】
断熱変換部4Aでは、SiN導波路2をテーパ状に変化させて実効屈折率をコントロールすると共に、第2のテーパ導波路2C間の間隔を徐々に狭くしたので、SiN導波路2を伝搬する光のモードフィールドをコントロールする。SiN導波路2を導波する光の実効屈折率及びモードフィールドとSi導波路3を伝搬する光の実効屈折率及びモードフィールドとを近付ける。その結果、SiN導波路2とSi導波路3との間の結合損失を小さくしながら、断熱変換部4Aの長さを短くできる。
【0080】
尚、実施例2の光デバイス1Aの断熱変換部4Aでは、SiN導波路2内の第2のテーパ導波路2Cの終点X3がSi導波路3に近いままの状態で終端するため、断熱変換部4Aの終点でSiN導波路2が途切れて光の屈折率分布が急激に変化する。その結果、断熱変換部4Aの終点での断面形状の変化で光の散乱損失が発生する。そこで、このような事態に対処すべく、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例0081】
図5は、実施例3の光デバイス1Bの一例を示す説明図である。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例3の光デバイス1Bと実施例2の光デバイス1Aとが異なるところは、断熱変換部4Bの終点X3(Y2)におけるSiN導波路2内の第2のテーパ導波路2Dの終端がSi導波路3から徐々に離れるようにした点にある。
【0082】
SiN導波路2は、2本の第1のテーパ導波路2Aと、2本の第2のテーパ導波路2Dと、2本の曲がり導波路2Eとを有する。第2のテーパ導波路2Dは、始点X2から終点X3に向けて導波路幅が徐々に狭くなるテーパ構造を有する導波路である。曲がり導波路2Eは、Si導波路3から徐々に離れるように、始点X3から終点X4に曲がる導波路である。
【0083】
始点X1における第1のテーパ導波路2Aのコア中心と終点X2における第1のテーパ導波路2Aのコア中心とを結ぶラインを第1の中心線CL1とする。始点X2における第2のテーパ導波路2Cのコア中心と終点X3における第2のテーパ導波路2Cのコア中心とを結ぶラインを第3の中心線CL3とする。
【0084】
一方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心と他方の第1のテーパ導波路2Aの終点X2のコア中心との間の距離を第2の間隔L2Aとする。一方の第2のテーパ導波路2Cの終点X3のコア中心と他方の第2のテーパ導波路2Cの終点X3のコア中心との間の距離を第3の間隔L3Aとする。そして、第1の間隔L1、第2の間隔L2A及び第3の間隔L3Aの関係は、L1>L2A、L1>L3A、L2A>L3Aが成立する。
【0085】
光デバイス1Bは、光ファイバのコアFCと光結合するチップ端面D1のSiN導波路2の部位を広くし、光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づけるべく、2本の第1のテーパ導波路2A間の距離を第1の間隔L1とした。その結果、チップ端面D1での光デバイス1のモードフィールドが光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づくことで、光デバイス1の光ファイバのコアFCとの結合効率が良好となる。
【0086】
断熱変換部4Bは、第3の間隔L3Aが第2の間隔L2Aに比較して狭くなるように2本の第2のテーパ導波路2Dを構成した。その結果、断熱変換部4BのモードフィールドがSi導波路3内の直線導波路3Bのモードフィールドに近づくため、断熱変換部4BでのSi導波路3との間の結合損失が抑制できる。
【0087】
断熱変換部4Bは、SiN導波路2内の2本の第2のテーパ導波路2Dと、Si導波路3内の第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4Bは、2本の第2のテーパ導波路2Dの間に第3のテーパ導波路3Aを配置し、第2のテーパ導波路2Dの下に第3のテーパ導波路3Aを離間した状態で並走して配置することで構成する。尚、第2のテーパ導波路2Dと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は同一とする。
【0088】
更に、各第2のテーパ導波路2Dの終点X3と光結合する曲がり導波路2Eは、SiN導波路2の終端をSi導波路3内の直線導波路3Bから徐々に離れるようにしている。
【0089】
断熱変換部4Bは、始点X2(Y1)と、終点X3(Y2)と、始点と終点との間である中間部とを有する。図6Aは、図5に示すA-A線の略断面部分の一例を示す説明図である。図6Aに示すA-A線の略断面部分は、SiN導波路2内の2本の第1のテーパ導波路2Aが配置された光デバイス1Bの断面部位である。光デバイス1Bは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第1のテーパ導波路2Aとを有する。
【0090】
図6Bは、図5に示すB-B線の略断面部分の一例を示す説明図である。図6Bに示すB-B線の略断面部分は、断熱変換部4Bが配置された光デバイス1Bの断面部位である。光デバイス1Bは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された2本の第2のテーパ導波路2Dと、クラッド11内に配置された第3のテーパ導波路3Aとを有する。断熱変換部4Bは、2本の第2のテーパ導波路2Dの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。第2のテーパ導波路2Dと第3のテーパ導波路3Aとの間の間隔は一定とする。
【0091】
図6Cは、図5に示すC-C線の略断面部分の一例を示す説明図である。図6Cに示すC-C線の略断面部分は、Si導波路3内の直線導波路3Bが配置された光デバイス1Bの断面部位である。光デバイス1Bは、Si基板12と、Si基板12上に積層されたクラッド11と、クラッド11内に配置された直線導波路3Bとを有する。
【0092】
断熱変換部4Bの始点は、第2のテーパ導波路2Dの始点X2と第3のテーパ導波路3Aの始点Y1とが配置される箇所である。第2のテーパ導波路2Dの始点X2の導波路幅は、第3のテーパ導波路3Aの始点Y1の導波路幅に比較して広くしている。断熱変換部4Bは、2本の第2のテーパ導波路2Cの間で下方に第3のテーパ導波路3Aが並走する構造である。断熱変換部4Bの終点は、第2のテーパ導波路2Dの終点X3と第3のテーパ導波路3Aの終点Y2とが配置される箇所である。
【0093】
実施例3の光デバイス1Bでは、断熱変換部4B内の第2のテーパ導波路2Dの終点X3にSi導波路3の直線導波路3Bから徐々に離れるように曲がり導波路2Eを光結合する。その結果、断熱変換部4Bの終点でSiN導波路2の終端がSi導波路3から徐々に離れるため、光の屈折率分布が緩やかに変化するため、光の散乱損失を抑制できる。
【0094】
尚、実施例では、断熱変換部4(4A,4B)の第2のテーパ導波路2B及び第3のテーパ導波路3Aとしては、コア、クラッドがともにSiOであるPLC(Planar Lightwave Circuit)や、InP導波路、GaAs導波路でもよい。コアがSiやSi、下部クラッドがSiO、上部クラッドがSiOもしくは空気等であってもよい。尚、遷移先の導波路の材料屈折率が遷移元の導波路の材料屈折率よりも高い場合には適用可能である。例えば、PLCの場合、ガラスの導波路のドーピング量を変えることで遷移元と遷移先の材料屈折率を変えることで適用可能である。
【0095】
尚、第1の導波路としてSiN導波路2、第2の導波路としてSi導波路3、クラッドとしてSiOを例示した。しかしながら、クラッドの材料の屈折率は第1の導波路の材料の屈折率よりも小さく、第1の導波路の材料の屈折率は第2の導波路の材料の屈折率よりも小さくすれば良く、第1の導波路、第2の導波路及びクラッドの材料が適宜変更可能である。
【0096】
PLCの場合、コアへのドーピング量を変えることで、材料屈折率を変えることが可能である。SiN導波路2、Si導波路3の場合、比屈折率差が大きいことから、光の閉じ込めが強く、それによって小さいRでも低損失な曲げ導波路が実現することで、光デバイス1を小型化できる。
【0097】
SiN導波路2及びSi導波路3の構造は、リブ導波路、リッジ導波路、チャネル導波路でも良く、適宜変更可能である。SiN導波路2及びSi導波路3の構造がリブ導波路の場合、スラブ部分にも光が染み出すため、コアの側壁荒れの影響が小さく、光損失を抑制できる。SiN導波路2及びSi導波路3の構造がチャネル導波路の場合、光閉じ込めが強いことから、導波路の急峻な曲げが可能となり、光デバイス1の小型化を図る。クラッド11は、コアより材料屈折率が小さければ、任意の材料でも良く、適宜変更可能である。
【0098】
本実施例の光デバイス1(1A,1B)は、Si導波路3の材料をSi、クラッド11の材料をSiOで形成するシリコン光導波路を例示した。しかしながら、Si導波路3及びクラッド11の材料がSiOであるPLC、InP導波路、GaAs導波路にも適用可能である。
【0099】
図7は、本実施例の光デバイス1(1A,1B)を内蔵した光通信装置50の一例を示す説明図である。図7に示す光通信装置50は、出力側の光ファイバ及び入力側の光ファイバと接続する。光通信装置50は、DSP(Digital Signal Processor)51と、光源52と、光送信器53と、光受信器54とを有する。DSP51は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP51は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号を光送信器53に出力する。また、DSP51は、受信データを含む電気信号を光受信器54から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。
【0100】
光源52は、例えば、レーザダイオード等を備え、所定の波長の光を発生させて光送信器53及び光受信器54へ供給する。光送信器53は、DSP51から出力される電気信号によって、光源52から供給される光を変調し、得られた送信光を光ファイバに出力する。光送信器53は、光源52から供給される光が導波路を伝搬する際に、この光を光変調器へ入力される電気信号によって変調することで、送信光を生成する。
【0101】
光受信器54は、光ファイバから光信号を受信し、光源52から供給される光を用いて受信光を復調する。そして、光受信器54は、復調した受信光を電気信号に変換し、変換後の電気信号をDSP51に出力する。光送信器53及び光受信器54内では、光を導波路する基板型光導波路素子の光デバイス1(1A,1B)を内蔵する。
【0102】
光通信装置50内の光デバイス1(1A,1B)内の断熱変換部4(4A,4B)では、チップ端面D1での光デバイス1のモードフィールドが光ファイバのコアFCのモードフィールドに近づくことで、光デバイス1の光ファイバのコアFCとの結合効率が改善できる。
【0103】
尚、説明の便宜上、光通信装置50は、光送信器53及び光受信器54を内蔵する場合を例示したが、光通信装置50は、光送信器53及び光受信器54の何れか一つを内蔵しても良い。例えば、光送信器53を内蔵した光通信装置50や、光受信器54を内蔵した光通信装置50に光デバイス1を適用しても良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
1、1A,1B 光デバイス
2 SiN導波路
2A 第1のテーパ導波路
2B、2C,2D 第2のテーパ導波路
3 Si導波路
3A 第3のテーパ導波路
4、4A,4B 断熱変換部
11 クラッド
50 光通信装置
51 DSP
52 光源
53 光送信器
54 光受信器
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C