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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063381
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 17/00 20060101AFI20240502BHJP
   B66F 7/06 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B66F17/00 C
B66F7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171276
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 渉
(57)【要約】
【課題】例えば、構成をより簡素化することができたり、万一の誤操作や誤作動等によっても損傷し難かったりすることが可能となるような、改善された新規な昇降装置を得る。
【解決手段】昇降装置は、例えば、被搬送物を載置する載置部を昇降する昇降機構と、移動体の被検出面の上方に位置した状態で当該被検出面との間の距離を示す検出信号を出力する距離センサと、載置部に設けられ、距離センサを支持する支持部材と、支持部材の少なくとも一部を、載置部に対して、距離センサが被検出面の上方に位置する計測位置と、距離センサおよび支持部材が移動体の上方から外れた引込位置と、の間で移動可能とする移動機構と、検出信号に基づいて、載置部が移動体に対して被搬送物を横方向に受渡可能となる位置に並ぶよう、昇降機構を制御する昇降制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を載置する載置部を昇降する昇降機構と、
移動体の被検出面の上方に位置した状態で当該被検出面との間の距離を示す検出信号を出力する距離センサと、
前記載置部に設けられ、前記距離センサを支持する支持部材と、
前記支持部材の少なくとも一部を、前記載置部に対して、前記距離センサが前記被検出面の上方に位置する計測位置と、前記距離センサおよび前記支持部材が前記移動体の上方から外れた引込位置と、の間で移動可能とする移動機構と、
前記検出信号に基づいて、前記載置部が前記移動体に対して前記被搬送物を横方向に受渡可能となる位置に並ぶよう、前記昇降機構を制御する昇降制御部と、
を備えた、昇降装置。
【請求項2】
前記引込位置は、可動式のシャッターの閉位置と干渉しない位置である、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記距離センサまたは前記支持部材と前記移動体とが干渉した場合に、前記距離センサまたは前記支持部材の少なくとも一部を、前記移動体の側方へ逃がす待避機構を備えた、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記移動機構として、前記支持部材の少なくとも一部を前記載置部に対して相対的に直動する直動機構を有した、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記移動機構として、前記支持部材の少なくとも一部を前記載置部に対して相対的に回動する回動機構を有した、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記待避機構として、前記支持部材の少なくとも一部を前記載置部に対して相対的に回動する回動機構を有した、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記支持部材の少なくとも一部を前記載置部に対して相対的に回動する回動機構であって、前記移動機構および前記待避機構として機能する回動機構を備えた、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記支持部材として複数の支持部材を備え、
前記支持部材のそれぞれに距離センサが設けられた、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記支持部材は、形状を変更可能なフレキシブルアームを有した、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の昇降装置。
【請求項10】
前記支持部材は、前記計測位置に位置した状態で上下方向に延びた延部を有した、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックとの間での物品の移載をよりスムーズに行うため、昇降する物品の載置部とトラックとの間で上下方向の位置合わせを行う昇降装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-246465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の昇降装置として、例えば、構成をより簡素化することができたり、万一の誤操作や誤作動等によっても損傷し難かったりするような昇降装置が得られれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、構成をより簡素化することができたり、万一の誤操作や誤作動等によっても損傷し難かったりすることが可能となるような、改善された新規な昇降装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の昇降装置は、例えば、被搬送物を載置する載置部を昇降する昇降機構と、移動体の被検出面の上方に位置した状態で当該被検出面との間の距離を示す検出信号を出力する距離センサと、前記載置部に設けられ、前記距離センサを支持する支持部材と、前記支持部材の少なくとも一部を、前記載置部に対して、前記距離センサが前記被検出面の上方に位置する計測位置と、前記距離センサおよび前記支持部材が前記移動体の上方から外れた引込位置と、の間で移動可能とする移動機構と、前記検出信号に基づいて、前記載置部が前記移動体に対して前記被搬送物を横方向に受渡可能となる位置に並ぶよう、前記昇降機構を制御する昇降制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の昇降装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図2図2は、第1実施形態の昇降装置の例示的なブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、通常の使用状態を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、載置部が下方にオーバーランした状態を示す図である。
図5図5は、第1実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第2実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な側面図である。
図7図7は、第3実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な側面図である。
図8図8は、第4実施形態の昇降装置の一部の例示的かつ模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0009】
以下に例示される複数の実施形態は、同様の構成を含んでおり、各実施形態によれば、それら同様の構成に基づく同様の効果が得られる。なお、以下では、同様の構成要素については、共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0010】
また、本明細書において、序数は、部位や、位置等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではないし、個数を限定するものでもない。
【0011】
また、各図中には、方向を示す矢印が描かれている。X方向およびY方向は、水平方向に略沿うとともに、Z方向は、鉛直上方に略沿っている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。なお、Z方向は、高さ方向とも称される。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の昇降装置100の側面図である。図1に示されるように、昇降装置100は、例えば、トラックのような移動体10と、建物や設備の出入口構造20とで、被搬送物30を載せる部位の高さが異なる場合に、当該移動体10と出入口構造20との間で被搬送物30を昇降することにより、移動体10と出入口構造20との間で被搬送物30の移動を実現するものである。
【0013】
昇降装置100は、被搬送物30を載置する載置部100aを有している。当該載置部100aは、少なくとも、移動体10とX方向に並んだ位置Pa1と、出入口構造20とX方向に並んだ位置Pa2と、の間で昇降する。載置部100aが位置Pa1に位置した状態で、被搬送物30は、例えば、移動体10に設けられた搬送機構11および載置部100aに設けられた搬送機構104によって、移動体10と載置部100aとの間で移動する。また、載置部100aが位置Pa2に位置した状態で、被搬送物30は、例えば、出入口構造20に設けられた搬送機構21および載置部100aに設けられた搬送機構104によって、出入口構造20と載置部100aとの間で移動する。搬送機構11,21,104は、例えば、コンベヤであり、当該コンベヤとしては、種々のコンベヤを採用できる。
【0014】
移動体10は、X方向およびX方向の反対方向に移動可能な構成を有している。移動体10は、例えば、トラックであるが、これには限定されず、例えば、無人搬送車のようなものであってもよい。
【0015】
移動体10の被搬送物30を載置する高さ(Z方向における位置、以下、載置位置と称する)には、仕様違いや個体差ばらつきがある。載置位置は、具体的には、例えば、トラックの荷台地上高である。本実施形態の昇降装置100は、当該載置位置に仕様違いや個体差ばらつきがある場合にあっても、載置部100aと移動体10との間で問題無くかつ円滑に被搬送物30を移載することができるよう、構成される。また、移動体10が例えばトラックのようにサスペンションを有した車両である場合、載置位置は、被搬送物30の積載状態によって変化する。本実施形態の昇降装置100は、移動体10の載置位置の経時変化が生じる場合にあっても、載置部100aと移動体10との間で問題無くかつ円滑に被搬送物30を移載することができるよう、構成される。このような移動体10の載置位置の仕様違いや、個体差ばらつき、経時変化等に対応した昇降装置100の具体的な構成については、後述する。
【0016】
他方、出入口構造20の載置位置は、本実施形態では、基本的には固定され、経時変化も無い。なお、出入口構造20は、例えば、建物や設備と外部との境界に設けられるが、これには限定されず、建物内に設けられてもよい。
【0017】
被搬送物30は、搬送機構11,21,104および昇降装置100によって搬送される。被搬送物30は、例えば、物品31と、当該物品31を載せるパレット32と、を含んでいる。パレット32上には、複数の物品31を積み重ねることができる。被搬送物30は、パレット32単独、あるいはパレット32上に少なくとも一つの物品31が積まれた形態で、搬送される。物品31は、例えば、商品パッケージである。なお、物品31は、例えば、箱形状を有しているが、これには限定されない。
【0018】
昇降装置100は、被搬送物30を載置する載置部100aと、当該載置部100aを昇降する可動部100bと、当該可動部100bを動かす駆動機構101(図2参照)と、上述した搬送機構104と、を有している。本実施形態では、可動部100bと駆動機構101とが、載置部100aを昇降する昇降機構を構成している。可動部100bは、例えば、下端部のZ方向における位置が固定されZ方向に伸縮するリンク機構として構成されており、その上端部に載置部100aが設けられている。ただし、載置部100aおよび昇降機構の構成は、これには限定されない。
【0019】
図2は、第1実施形態の昇降装置100のブロック図である。図2に示されるように、昇降装置100は、コンピュータを含んでおり、演算処理部110と、主記憶部121と、補助記憶部122と、を有している。
【0020】
演算処理部110は、例えば、プロセッサ(回路)である。主記憶部121は、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)であり、補助記憶部122は、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)である。演算処理部110は、主記憶部121のROMや補助記憶部122に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、昇降制御部111、出力制御部112、および距離検出部113として作動する。この場合、プログラムは、これら昇降制御部111、出力制御部112、および距離検出部113のそれぞれに対応するプログラムモジュールを含む。
【0021】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0022】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
【0023】
主記憶部121のROMまたは補助記憶部122には、昇降制御部111、出力制御部112、および距離検出部113による演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0024】
また、演算処理部110には、駆動機構101、出力部102、および距離センサ201が、電気的に接続されている。
【0025】
昇降制御部111は、載置部100aが昇降し、かつ所定の位置で静止するよう、駆動機構101すなわち昇降機構を制御する。駆動機構101は、例えば、モータや、減速機構、回転直動変換機構等を有する。
【0026】
出力制御部112は、所定の表示出力あるいは音声出力を実行するよう、出力部102を制御する。出力部102は、例えば、ディスプレイや、ランプ、スピーカ等である。出力制御部112は、例えば、載置部100aが位置Pa1,Pa2に位置したタイミングのような所定のタイミングで、所定の表示出力あるいは音声出力を行うよう、出力部102を制御することができる。
【0027】
距離検出部113は、距離センサ201の検出信号に基づいて、当該距離センサ201と面10aとの距離を検出する。
【0028】
載置部100aの位置Pa1(図1参照)は、X方向において載置部100aと移動体10とが並び、当該載置部100aと移動体10との間で、搬送機構11,104によって、被搬送物30を、上下方向と交差した横方向、すなわちX方向またはX方向の反対方向に受渡可能となる位置である。
【0029】
移動体10において、距離センサ201による検出の対象となる面10a(図1参照)は、上方を向く平面であって、例えば、搬送機構11を支持するベースの上面のうち、搬送機構11とはY方向またはY方向の反対方向にずれた部位である。面10aは、その上方に距離センサ201による検出に対する障害物の無い面であればよく、移動体10の最上端に位置する必要はない。面10aは、被検出面の一例である。
【0030】
一例として、移動体10の面10aからの搬送機構11の突出高さと、載置部100aの上方を向く面100a1からの搬送機構104の突出高さとが同じである場合、位置Pa1は、面10aと面100a1とがX方向に略並ぶ位置となる。
【0031】
ここで、上述したように、面10aのZ方向の位置は、移動体10の載置位置の仕様違いや、個体差ばらつき、経時変化等に応じて、図1中の位置Pb0,Pb1,Pb2のように、種々に変わりうる。そこで、本実施形態では、距離センサ201が設けられている。
【0032】
距離センサ201は、図1に示されるように、面10aに対して上方に位置した状態で、当該面10aとの距離に応じた検出信号を出力する非接触センサであり、具体的には、例えば、レーザ変位計である。
【0033】
昇降制御部111は、距離センサ201の検出信号から得られた距離に基づいて、Z方向における移動体10の位置に対応した載置部100aの位置Pa1を算出し、載置部100aが当該位置Pa1で停止するよう、駆動機構101すなわち昇降機構を制御する。
【0034】
距離センサ201による検出信号の出力、距離検出部113による距離の算出、当該距離に基づく昇降制御部111による位置Pa1の算出、および載置部100aを位置Pa1で停止する駆動機構101の制御は、所定のタイミング、すなわち、移動体10が入れ替わったタイミングや、載置部100aが位置Pa1に向けて下降する各タイミングで、適宜行われる。よって、本実施形態によれば、移動体10の載置位置の仕様違いや、個体差ばらつき、経時変化等によらず、移動体10に対応した適切な位置Pa1に載置部100aを停止することができる。
【0035】
他方、載置部100aの位置Pa2(図1参照)は、X方向において載置部100aと出入口構造20とが並び、当該載置部100aと出入口構造20との間で、搬送機構21,104によって、被搬送物30を、上下方向と交差した横方向、すなわちX方向またはX方向の反対方向に受渡可能となる位置である。
【0036】
一例として、出入口構造20の上方を向く面20aからの搬送機構21の突出高さと、載置部100aの面100a1からの搬送機構104の突出高さとが同じである場合、位置Pa2は、面20aと面100a1とがX方向に略並ぶ位置である。
【0037】
出入口構造20のZ方向における位置が不変である場合、載置部100aの位置Pa2も不変である。この場合、出入口構造20に対する載置部100aのZ方向での位置合わせに関しては、基本的には、距離センサ201の検出信号に基づく載置部100aのZ方向の位置の制御は不要である。
【0038】
図3は、第1実施形態の昇降装置100の一部の側面図であって、通常の使用状態を示している。距離センサ201は、支持部材202Aに支持されている。距離センサ201は、面10aの上方に位置した状態で、面10aに向けて下方にレーザ光を出射するとともに、当該レーザ光の面10aでの反射光を受光し、面10aとの距離を示す検出信号を出力する。
【0039】
載置部100aには、X方向に延びたレール203が設けられており、支持部材202Aの一部としての基部202aが、当該レール203にX方向およびX方向の反対方向にスライド可能に支持されている。基部202aおよびレール203は、支持部材202Aおよび距離センサ201を載置部100aに対して直動する直動機構204を構成している。
【0040】
直動機構204は、載置部100aに対して、支持部材202Aの全体を、位置Pc1と位置Pc2との間で移動可能とし、かつ当該位置Pc1および位置Pc2のそれぞれで停止可能とする。なお、レール203に沿った基部202aすなわち支持部材202Aの移動および停止は、手動で行われてもよいし、操作ボタンの操作等に応じて電動で行われてもよい。
【0041】
支持部材202Aが位置Pc1に位置した状態では、距離センサ201は面10a上に位置し、面10aとの距離を計測可能となる。位置Pc1は、計測位置の一例である。
【0042】
他方、支持部材202Aが位置Pc2に位置した状態では、距離センサ201は面10aの上方から外れて計測不能になる。また、支持部材202Aおよび距離センサ201は、全体的に移動体10の上方の領域A1から外れた領域A2内に移動する。位置Pc2は、引込位置の一例である。
【0043】
支持部材202Aが位置Pc2に位置した状態では、仮に、載置部100aが誤って過度に下降したような状況にあっても、距離センサ201および支持部材202Aは移動体10とは干渉しない。
【0044】
すなわち、本実施形態によれば、昇降装置100が、支持部材202Aを位置Pc1と位置Pc2との間で移動可能とする直動機構204を備え、距離センサ201および支持部材202Aを位置Pc2に引き込んでおくことにより、昇降機構の誤操作や誤作動等によって載置部100aが昇降した場合にあっても、距離センサ201および支持部材202Aが移動体10と干渉して損傷するのを抑制することができる。
【0045】
また、図1に示されるように、昇降装置100に対して、出入口構造20とは反対側に、上下可動式のシャッター40が設けられる場合、位置Pc2は、閉位置(例えば、下降位置)に位置したシャッター40と干渉しない位置とすることができる。
【0046】
すなわち、本実施形態によれば、昇降装置100が、支持部材202Aを位置Pc1と位置Pc2との間で移動可能とする直動機構204を備え、距離センサ201および支持部材202Aを位置Pc2に引き込んでおくことにより、誤操作や誤作動等によってシャッター40が下降した閉位置に位置した場合にあっても、距離センサ201および支持部材202Aがシャッター40と干渉して損傷するのを抑制することができる。
【0047】
さらに、図3に示されるように、本実施形態では、支持部材202Aは、基部202aと、先端部202bと、を有し、当該基部202aと先端部202bとは、Y方向に沿う回動中心C回りに回動可能に接続されている。言い換えると、基部202aと先端部202bとは、回動機構205を介して接続されている。そして、距離センサ201は、先端部202bに取り付けられている。先端部202bは、可動部とも称されうる。
【0048】
通常の使用状態、すなわち測定状態において、先端部202bは、基部202aとの接続部から移動体10の上方へ向けてX方向の反対方向に延びている。すなわち、基部202aは、先端部202bを、図3に示される状態で支持している。また、先端部202bは、基部202aに、回動中心C回りに、図3の視線で時計回り方向には回動可能な状態で接続されている。先端部202bの、図3の状態から反時計回り方向への回動は、基部202aによって制限されている。
【0049】
図4は、第1実施形態の昇降装置100の一部の側面図であって、支持部材202Aが位置Pc1に位置した状態で載置部100aが位置Pa1(図1参照)を超えて下方へオーバーランした状態を示している。上述したように、本実施形態では、先端部202bは、基部202aに、回動中心C回りに、図3の視線で時計回り方向には回動可能な状態で接続されている。このため、図4に示されるように、距離センサ201または先端部202bは、載置部100aの下方へのオーバーランに伴って移動体10と干渉すると、当該移動体10に相対的に押圧され、回動中心C回りに図4の時計回り方向に回動し、移動体10の側方、図4の例ではX方向に、逃げる。仮に、支持部材が回動機構205を有しない構成であった場合にこのような干渉が生じると、当該支持部材または距離センサ201は損傷してしまう虞がある。この点、本実施形態では、支持部材202Aは、回動機構205を有しており、このような干渉が生じた場合にあっても、距離センサ201および先端部202bは移動体10の側方へ逃げることができ、ひいては距離センサ201および支持部材202Aの損傷を抑制することができる。回動機構205は、待避機構の一例である。
【0050】
図5は、第1実施形態の昇降装置100の一部の平面図である。図5に示されるように、昇降装置100は、複数の支持部材202Aと、当該支持部材202Aのそれぞれに設けられた距離センサ201と、を備えている。一例として、支持部材202Aおよび距離センサ201の組(以下、サブアセンブリと称する)は、載置部100aのY方向およびY方向の反対方向の端部のそれぞれに設けられている。この場合、現場の作業者は、使い勝手や、周囲の状況等に応じて、複数のサブアセンブリのうち、いずれか一つを選択して使用することができる。図5は、Y方向の反対方向(図5の右側)の端部に位置したサブアセンブリのみを使用した場合を例示している。この場合、使用する図5中の右側のサブアセンブリの支持部材202Aについては、位置Pc1とし、使用しない図5中の左側のサブアセンブリの支持部材202Aについては、位置Pc2としてもよい。すなわち、本実施形態によれば、昇降装置100が、サブアセンブリ、すなわち距離センサ201と支持部材202Aとを複数備えることにより、例えば、作業者の使い勝手が向上したり、周囲環境によらず距離センサ201の検出信号に基づく載置部100aの位置制御をより確実に行えたり、といった効果が得られる。
【0051】
また、昇降制御部111は、複数の距離センサ201の検出信号から得られた距離を利用した制御を実行してもよい。具体的には、例えば、昇降制御部111は、複数の距離センサ201の検出信号から得られた距離の平均値等に基づいて、載置部100aの制御を実行してもよい。また、昇降制御部111は、例えば、複数の距離センサ201の検出信号から得られた距離の差から傾きを算出し、当該差あるいは当該傾きが対応する閾値を超えた場合には異常が生じたものとして、昇降を停止するよう駆動機構101を制御してもよいし、さらにその場合、出力制御部112は、所定の警報出力を実行するよう出力部102を制御してもよい。
【0052】
以上の本実施形態によれば、比較的簡素な構成によって、移動体10の載置位置の仕様違いや、個体差ばらつき、経時変化等によらず、移動体10に対応した適切な位置Pa1に載置部100aを停止することができる昇降装置100を実現することができる。また、移動機構としての直動機構204や、待避機構としての回動機構205により、万一の誤操作や誤作動等によっても損傷し難い昇降装置100を実現することができる。
【0053】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の昇降装置100の一部を示す側面図である。図6に示されるように、本実施形態では、支持部材202Bは、一部に、形状を自在に変更して設定することが可能なフレキシブルアーム202cを有している。図6の例では、フレキシブルアーム202cは、基部202aと先端部202bとの間に位置している。フレキシブルアーム202cは、例えば、直列に接続された複数の小片を有するとともに、隣接する小片同士、小片と基部202a、および小片と先端部202bが、それぞれ相対回動可能に接続されるとともに互いの摩擦によって相対回動姿勢を維持可能な構成を、有している。
【0054】
このような構成によれば、作業者がフレキシブルアーム202cの形状を適宜に変更することにより、例えば、距離センサ201を検出信号の強度がより強い位置に配置できたり、移動体10の他の部位との干渉を避ける位置に配置できたり、作業者による使い勝手が向上したりといった効果が得られる。なお、フレキシブルアーム202cの形状や、構造、配置等は、図6の例には限定されない。
【0055】
また、フレキシブルアーム202cは、移動体10と干渉した場合に距離センサ201または支持部材202Bの少なくとも一部を移動体10の側方に逃がす待避機構206として機能するよう、構成してもよい。フレキシブルアーム202cは、緩衝機構とも称されうる。さらに、フレキシブルアーム202cが上方に延びた姿勢で、距離センサ201および支持部材202Bが全体的に移動体10の上方から外れるよう構成してもよい。この場合、当該延びた姿勢における支持部材202Bの位置が、引込位置となる。当該構成によれば、直動機構204が不要となる分、装置構成をより一層簡素化することができるため、例えば、昇降装置100をより軽量化できたり、製造の手間やコストをより低減できたり、といった効果が得られる。
【0056】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の昇降装置100の一部を示す側面図である。本実施形態では、回動機構205が、移動機構および待避機構の双方として機能するよう構成されている。すなわち、基部202aは、載置部100aに対して固定されている。また、回動機構205は、基部202aおよび載置部100aに対して、支持部材202Cの先端部202bを、第1実施形態(図3参照)と同様の姿勢および位置となる位置Pc1と、基部202aに対して上方となる位置Pc2との間で、回動中心C回りに回動可能に支持している。
【0057】
先端部202bが位置Pc1に位置した状態では、距離センサ201は面10a上に位置し、面10aとの距離を計測可能となる。位置Pc1は、計測位置の一例である。
【0058】
他方、先端部202bが位置Pc2に位置した状態では、距離センサ201は面10aの上方から外れて計測不能になる。また、支持部材202Aおよび距離センサ201は、全体的に移動体10の上方の領域A1から外れて領域A2内に移動する。位置Pc2は、引込位置の一例である。
【0059】
この場合、支持部材202Cは、先端部202bを位置Pc2で基部202aにロックするロックピン205aを有してもよい。例えば、作業者は、ロックピン205aを引き抜くことにより先端部202bの基部202aに対するロックを解除して、先端部202bを、位置Pc2から図7の反時計回りに回動して位置Pc1に配置することができる。また、作業者は、先端部202bを位置Pc1から図7の時計回りに回動して位置Pc2に配置し、ロックピン205aを差し込むことにより、先端部202bを基部202aに対して上方に配置した状態でロックすることができる。
【0060】
このように、本実施形態では、回動機構205は、移動機構として機能することができる。
【0061】
また、本実施形態でも、基部202aは、先端部202bを、図7に示される状態で支持するとともに、先端部202bは、基部202aに、回動中心C回りに、図7の視線で時計回り方向には回動可能な状態で接続されている。したがって、先端部202bが位置Pc1に位置した状態で載置部100aが位置Pa1(図1参照)を超えて下方へオーバーランした場合には、回動機構205により、図4と同様に、距離センサ201および先端部202bは移動体10の側方、図7の例ではX方向に、へ逃げることができ、ひいては距離センサ201および支持部材202Cの損傷を抑制することができる。すなわち、本実施形態では、回動機構205は、待避機構としても機能する。
【0062】
以上の本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、回動機構205が、移動機構および待避機構の双方として機能する分、装置構成を簡素化することができるため、例えば、昇降装置100をより軽量化できたり、製造の手間やコストをより低減できたり、といった効果が得られる。
【0063】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態の昇降装置100の一部を示す側面図である。本実施形態では、移動体10が出入口構造20よりも高い位置に位置した場合への適用例を示している。本実施形態では、支持部材202Dは、位置Pc1に位置した状態において、基部202aと、先端部202bとの間に、上下方向に延びた延部202dを有している。当該延部202dを有することにより、移動体10が出入口構造20よりも高い位置に位置した場合にあっても、載置部100aが位置Pa1、位置Pa2、および当該位置Pa1とPa2との間に位置する場合において、支持部材202Dおよび距離センサ201と移動体10との干渉を回避することができる。
【0064】
この場合、支持部材202Dの延部202dは、上下方向に長さを変更可能な伸縮機構207を有してもよい。伸縮機構207は、例えば、入れ子構造を有して直列に接続された複数のパイプを有するとともに、隣接するパイプ同士が、それぞれ伸縮可能に接続されるとともに互いの摩擦によって相対位置(長さ)を維持可能な構成を、有している。
【0065】
このような構成によれば、作業者が伸縮機構207の長さを適宜に変更あるいは調整することにより、例えば、支持部材202Dおよび距離センサ201と移動体10との干渉が生じない範囲において距離センサ201を検出信号の強度がより強い位置に配置できるという効果が得られる。なお、伸縮機構207の形状や、構造、配置等は、図7の例には限定されない。
【0066】
上述したように、本実施形態の昇降装置100は、移動体10が出入口構造20より高い位置に位置した場合にも、適用することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…移動体
10a…面(被検出面)
11…搬送機構
20…出入口構造
20a…面
21…搬送機構
30…被搬送物
31…物品
32…パレット
40…シャッター
100…昇降装置
100a…載置部
100a1…面
100b…可動部(昇降機構)
101…駆動機構(昇降機構)
102…出力部
104…搬送機構
110…演算処理部
111…昇降制御部
112…出力制御部
113…距離検出部
121…主記憶部
122…補助記憶部
201…距離センサ
202A~202D…支持部材
202a…基部
202b…先端部
202c…フレキシブルアーム
202d…延部
203…レール
204…直動機構(移動機構)
205…回動機構(待避機構、移動機構)
205a…ロックピン
206…待避機構
207…伸縮機構
A1…領域
A2…領域
C…回動中心
Pa1,Pa2…位置
Pb0,Pb1,Pb2…位置
Pc1…位置(計測位置)
Pc2…位置(引込位置)
X…方向
Y…方向
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8