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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063382
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】超音波内視鏡用吸引生検針
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/04 20060101AFI20240502BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20240502BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A61B10/04
A61B10/02 110K
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171277
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000153823
【氏名又は名称】株式会社八光
(72)【発明者】
【氏名】西澤 英彦
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE16
4C601FE01
4C601FF06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超音波内視鏡を用いる吸引生検針において、内針が穿刺針先端から初期状態と比較して、必要以上に突出することを防ぐ超音波内視鏡用吸引生検針を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡の鉗子孔に通される所定の長さを有した外筒11と、外筒内に設けられ、先端に穿刺針13を有した内筒12と、内筒及び穿刺針の内部に設けられた内針14と、外筒と前記内筒の後端に設けられ、穿刺針が外筒内に収容される位置と外筒の先端から突出する位置とをとらせるスライド機構部、内筒と内針の後端に設けられ、内針に前記穿刺針内に収容される位置と、穿刺針の先端より突出する位置をとらせると共に、内針を後退させたとき、内筒に負圧を発生させる吸引機構部とを備え、内針は穿刺針の先端から突出する特定の位置をとったさい、穿刺針の近位端側手前に、穿刺針遠位側方向への移動を規制する係止部を備えて形成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の鉗子孔に先端から通される所定の長さを有した外筒と、
前記外筒内に設けられ、前記外筒に対し相対的に移動可能で、先端に穿刺針を有した内筒と、
前記内筒及び前記穿刺針の内部に設けられた内針と、
前記外筒と前記内筒の後端に設けられ、前記穿刺針が外筒内に収容される位置と前記外筒の先端から突出する位置とをとらせるスライド機構部と、
前記内筒と前記内針の後端に設けられ、前記内針に、前記穿刺針内に収容される位置と、前記穿刺針の先端より突出する位置をとらせると共に、前記穿刺針の先端から突出する位置から前記穿刺針に収容される位置に前記内針を移動させたとき、前記内筒内に負圧を発生させる吸引機構部とを備え、
前記内針は、該内針が前記穿刺針の先端から突出する特定の位置をとったさい、前記穿刺針の近位端側手前に、穿刺針遠位側方向への移動を規制する係止部を備えることを特徴とする超音波内視鏡用吸引生検針。
【請求項2】
前記係止部は、前記内針を屈曲させ形成された請求項1の超音波内視鏡用吸引生検針。
【請求項3】
前記係止部の屈曲部分が、「く」の字に形成された請求項2の超音波内視鏡用吸引生検針。
【請求項4】
前記内針が前記穿刺針の先端から突出する特定の位置は、前記内針の刃面の近位端部と前記穿刺針の刃先との距離が、0mm以上、3mm以下である請求項1乃至3のいずれかの超音波内視鏡用吸引生検針。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入して使用される組織採取具、特に、超音波内視鏡とともに用いられる吸引生検針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微量の体組織を採取し顕微鏡で観察する、生検という検査方法が知られている。臓器等の深部の組織を採取する場合は、超音波内視鏡等を用い超音波断層像を観察しながら穿刺する位置を確認し、超音波内視鏡の鉗子孔に通され身体内部の所望の位置まで導かれ、体外から操作されることにより所望の位置に穿刺を行う、超音波内視鏡用吸引生検針が広く用いられている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、外筒と、外筒の内部に挿通され、先端に穿刺針を備えた内筒と、前記内筒及び前記穿刺針の内部に設けられる内針と、穿刺針及び内筒内に負圧を生じさせる吸引手段と、を備え、前記内針を前記穿刺針に対し相対的に後退させることで前記穿刺針内に発生する負圧により組織を吸引する、内視鏡用穿刺針が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9―131399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された内筒及び穿刺針は外筒内において進退可能であり、穿刺前には外筒内に収容され、穿刺時に外筒先端の開口から突出する。穿刺針先端からは、内針が突出しており、組織への穿刺性を向上させている。また、開示された内視鏡用穿刺針は、軟性内視鏡の鉗子孔から挿通され、内視鏡の形状に倣った湾曲形状に変形可能であるよう、可撓性を有している。
【0006】
しかし、前記内視鏡用穿刺針によると以下の理由により、内針が外筒及び内筒に対し初期状態(穿刺針が外筒内に収容され、穿刺針に対し内針を後退させる前の状態)以上に突出してしまい、内視鏡の鉗子孔内部や組織を傷つけてしまう恐れがある。
(1)内視鏡の鉗子孔を通じて穿刺対象となる部分まで案内される挿入体は、案内される過程で内視鏡から外力を受けて弾性変形する。外筒及び内筒は可撓性の大きい材質でできているのに対し、内針はステンレス材等の比較的かたい素材が使用されており、また、内筒の中空の径と内針の径に差があり、内筒中空に対し内針のほうが細径であるため、内筒が湾曲した際、内針は内筒内における最短経路をとる。
(2)内筒は、フッ素系樹脂やエラストマーなどの可撓性が高く伸縮性がある材質のため、経時変化や温度変化により縮む傾向にある。
【0007】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、内針が穿刺針先端から初期状態と比較して、必要以上に突出することを防ぐ超音波内視鏡用吸引生検針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波内視鏡用吸引生検針は、超音波内視鏡の鉗子孔に先端から通される所定の長さを有した外筒と、前記外筒内に設けられ、前記外筒に対し相対的に移動可能で、先端に穿刺針を有した内筒と、前記内筒及び前記穿刺針の内部に設けられた内針と、前記外筒と前記内筒の後端に設けられ、前記穿刺針が外筒内に収容される位置と前記外筒の先端から突出する位置とをとらせるスライド機構部と、前記内筒と前記内針の後端に設けられ、前記内針に、前記穿刺針の先端より突出する位置と、前記穿刺針内に収容される位置をとらせると共に、前記穿刺針の先端から突出する位置から前記穿刺針に収容される位置に前記内針を移動させたとき、前記内筒内に負圧を発生させる吸引機構部と、を備え、前記内針は、該内針が前記穿刺針の先端から突出する特定の位置をとったさい、前記穿刺針の近位端側手前に、該内針の穿刺針遠位側方向への移動を規制する係止部を備えて形成した。
【0009】
前記係止部は、前記内針を屈曲させて形成することが好ましく、「く」の字を描くように形成されていても良い。
【0010】
上記の超音波内視鏡用吸引生検針の内針が前記穿刺針の先端から突出する特定の位置は、前記穿刺針と前記内針のライディスタンス(前記内針の刃面近位端部と前記穿刺針の刃先との距離)が、0mm以上、3mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、発明の課題とした、内筒内での内針の通る経路に関わらず、また、内筒が縮んだとしても、初期状態での穿刺針に対する内針の位置関係が変化することのない、すなわち、穿刺針先端からの内針の突出長が一定に保たれる超音波内視鏡用吸引生検針を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の穿刺針収容状態を示す全体図。
図2】本発明の実施の形態の穿刺針突出状態を示す全体図。
図3】本発明の実施の形態の穿刺針と内筒の接続構造を示す説明図。
図4】本発明の実施の形態の内筒の構造を示す説明図。
図5】本発明の実施の形態における針先の構造を示す拡大図。
図6】本発明の実施の形態の挿入体先端側の構造を示す拡大断面図Aと係止部の構造を示す拡大図B
図7】本発明の実施の形態のスライド機構を示す構成図Aと側面図B
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の超音波内視鏡用吸引生検針について図面を参考にしながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態の外筒内に穿刺針を収容した状態を示す全体構成図で、図2は、本発明の実施の形態の外筒から穿刺針が突出した状態の全体構成図である。
この超音波内視鏡用吸引生検針は、超音波内視鏡の鉗子孔(図示せず)に挿入される挿入体1と、挿入体1を操作するスライド機構2と、組織の採取を行う吸引機構3と、を備えて構成されている。
【0015】
挿入体1は、外筒11と、外筒11によって被覆され、先端に穿刺針13が装着された内筒12と、内筒12及び穿刺針13に挿通された内針14とで構成される。
【0016】
外筒11は、超音波内視鏡の鉗子孔に合わせ外径1~3mm、長さ1000~2000mm程度(本形態においては、外径1.8mm、長さ1600mm)が好ましく、後端はスライド機構2に接続され、穿刺針13が体内の穿刺部以外の部位や、超音波内視鏡の鉗子孔内面を損傷させないために、内筒12及び穿刺針13を被覆している。原材料には、可撓性があり伸縮性の小さい樹脂(本形態ではポリエーテルエーテルケトン)を用いる。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態の穿刺針と内筒の接続構造を示す説明図で、図4は、本発明の実施の形態の内筒の構造を示す説明図である。
【0018】
内筒12は、前記外筒11に挿通され、スライド機構2と穿刺針13を連結させ、スライド機構2に加えた力を穿刺針13に伝達させるもので、その外径及び長さは前記外筒11の寸法に依存する。
図3及び図4に示すように、樹脂からなる内層121と、内層121の外周面に施され、金属細線を網目状に編んだ金属ブレード122と、金属ブレード122の外周に施された樹脂からなる外層123より構成されている。また、穿刺針13との接着部分は接着性を良好にするため化学処理されるとともに、図3に示すように、内層121が剥離され、そこから露出した金属ブレード122が穿刺針13に接着されている。
【0019】
内層121及び外層123には、可撓性があり、かつ、毒性のない樹脂、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等(本形態においてはポリアミド)を用いることが好ましい。また、金属ブレード122には毒性のない金属、例えば、ステンレス合金等(本形態においてはSUS316)を用いることが好ましい。
【0020】
図5は、本形態における穿刺針及び内針の針先の構造を示す拡大図で、図6は、本発明の実施の形態の挿入体先端側の構造を示す拡大断面図Aと、係止部の構造を示す拡大図Bである。
【0021】
穿刺針13には、ステンレス合金のSUS304または316等を用いることが好ましい。また、前記穿刺針13の外径及び長さは目的や生検の対象とする組織により決められるが、外径については内筒12に対し物理的接着可能なサイズ、例えば、0.5~1.5mm程度が好ましく、長さについては超音波内視鏡の鉗子孔の湾曲と、超音波内視鏡先端の穿刺針突出部のアングルを考慮した、75mm以下が好ましい。
【0022】
また、図5に示すように、穿刺針13の針先は斜めカットした先端部131をテーパー状として、更に先端部分を面取りしてホールパンチ状の刃面132として形成した。このような針先とすることで、穿刺針13から突出する内針14との間に段差が生じないため、穿刺をスムースにすると共に穿刺針13と内針14の隙間に組織を挟み込むことがなく生検対象組織への損傷を防止している。また、ホールパンチ状の刃面132を採ることで組織を円筒状に大きく採取することができる。更に、超音波の描出性を向上させ針先の視認性を良好とするため、穿刺針13の刃面132近位端近傍から10mm程度の外周面に連続して平行する溝加工を施し、粗面加工部133とした。
【0023】
内針14は、後端を吸引機構3に接続され、内筒12及び穿刺針13に挿通されており、原材料にはSUS304等のステンレス合金が用いられる。前記内針14の先端は図5に示すように、三角錐形状等、直進性及び穿刺性に優れた形状であることが好ましく、前記穿刺針13の刃先134と内針14の刃面近位端部141との距離であるライディスタンスLは、0mm以上、3mm以下が好ましい。該ライディスタンスLが前記下限以上では、前記穿刺針13の刃先134が前記内針14の刃面に掛からず隙間が埋められているため、穿刺抵抗が小さく、また、生検対象組織の穿刺時に穿刺針13による該組織への侵襲を低減でき、前記上限以下では、必要以上に突出した内針14が前記挿入体1操作時に外筒11や超音波内視鏡の鉗子孔を傷つけることや、生検時に該内針14が生検対象組織に深く刺さり該組織を傷つけることを防ぐことができる。なお前記ライディスタンスLは、小さければ小さいほど組織への必要以上の穿刺が防げるため、該範囲内でも前記下限に近ければ近いほど良い。
【0024】
また前記内針14の、前記穿刺針13の近位端部135側の手前となる位置には、「く」の字に屈曲させた係止部142が形成されており、該係止部142が前記穿刺針13の近位端部135に引っ掛かり前記内針14の穿刺方向への移動を規制している。これにより、前記挿入体1が湾曲形状をとる際や前記内筒12が経時変化等により縮んだ際も、図6のAに示すように、穿刺針13と内針14との位置関係が一定に保たれる、つまり、前記ライディスタンスLが前記上限内に保たれ、内針14が超音波内視鏡の鉗子孔や生検対象組織を傷つけることを防ぐことができる。
【0025】
なお、係止部142については、穿刺針13の近位端部135で前記内針14の穿刺針方向への移動を規制することで前記穿刺針13と内針14とのライディスタンスLを保持でき、内筒12内を摺動可能で、内筒12との空間を確保し穿刺針13内に負圧を生じさせることができる形状であれば、これに限定しない。
【0026】
図7は本形態におけるスライド機構を示しており、Aは構成上面図、Bは側面図を示している。スライド機構2は、操作本体21と、操作本体21の先端側に設けられた長さ調節スライダ22と、操作本体21の基端側に設けられた針スライダ23とで構成される。
【0027】
操作本体21は、ABS樹脂等の硬質な樹脂で形成されており、外筒11が固定され、内筒12及び穿刺針13が挿通可能な管腔を有している。操作本体21の基端側は、管状に形成された針スライダ23内に挿入されている。図7のBに示すように、操作本体21の外周面には1つ以上の凹条または凸条211が形成され、針スライダ23の内周面の図示しない凸条または凹条と互いに係合することにより、軸線周りの相対回転が制御されつつ軸方向には摺動可能である。
【0028】
長さ調節スライダ22は、ABS樹脂等の硬質な樹脂で形成されており、外筒11が挿通可能な筒状部材で、図7に示すように、先端側にはスライド機構2を超音波内視鏡の鉗子孔入口に固定するための取付けアダプタ221が設けられており、基端側には、操作本体21と係合し、長さ調節スライダ22が操作本体21から抜けないよう係合爪223が形成されている。
また、長さ調節スライダ22と操作本体21を摺動させることで位置関係を変化させ、第一の固定ねじ222を前記操作本体21に対して締め込むことで、長さ調節スライダ22が操作本体21に押し当てられ、操作本体21と長さ調節スライダ22とを摺動不可能となるよう固定できる。これにより、前記取付けアダプタ221を超音波内視鏡の鉗子孔入口に固定させた際、鉗子孔出口からの前記外筒11の突出長を調節することができる。
【0029】
針スライダ23は、前記内筒12の基端部を保持する筒状部材で、前記内筒12は前記外筒11の基端部から突出し、針スライダ23の内部を通って延び前記針スライダ23の基端部に固定されている。また針スライダ23は、操作本体21の前記凹条または凸条211に係合するよう凸条または凹条が設けられ、操作本体21に対し移動可能になるよう連結されている。つまり、針スライダ23は、操作本体21に対して針スライダ23を操作本体21の先端側に移動させると、外筒11に対して内筒12が前進するように構成されている。
【0030】
図7に示すように、針スライダ23の先端側においてストッパ231が操作本体21に対し摺動可能に取り付けられており、ストッパ231は第二の固定ねじ232で固定される。この構成によると、針スライダ23は操作本体21に対して、ストッパ231と接触する位置までしか前進できないため、操作本体21に対するストッパ231の固定位置を調節することで、外筒11から突出する内筒12の最大長を調節することができる。
初期状態は、針スライダ23が操作本体21の基端側へ限界まで移動した位置にある状態で、この状態において、穿刺針13及び内針14は外筒11内に収容されている。
【0031】
吸引機構3は、針スライダ23の後端にロックリング31を介して着脱可能に連結されたシリンジ32と、内針14の後端に接続され、シリンジ32内を摺動する把持部34を有したピストン33より構成される。本発明の初期状態においては、シリンジ32の先端側へピストン33が限界まで移動した位置にあり、この状態において、内針14は穿刺針13の刃先134から所定の長さだけ突出した初期状態となっており、前記初期状態から、シリンジ32に対してピストン33をシリンジ32の後端側に移動させると、穿刺針13に対して内針14が後退し、穿刺針13内に負圧が発生するように構成されている。
また、該吸引機構3は前記ピストン33を前記シリンジ32後端に移動させた際、前記内針14の針先は穿刺針13内にとどまるよう設計され(本形態の前記ピストン33のシリンジ32後端側への移動距離は35mm程度)、この構造により、吸引生検した組織が穿刺針13内で留まり、組織の挫滅を防ぐことができる。
【0032】
以下、本発明における実施の形態の動作について、身体の所望の部位、例えば、胃内部より胃粘膜下組織または膵臓等の他臓器の組織を生検する場合について説明する。なお、本実施形態の適応対象はこれに限定されない。
【0033】
まず術者は、スライド機構2において、操作本体21に対し針スライダ23を穿刺針13が外筒11に収容されている状態をとるように位置させ、かつ、吸引機構3において、シリンジ32に対しピストン33を、内針14が穿刺針13から所望の長さだけ突出するように位置させた、初期状態にする。
【0034】
次に挿入体1を、予め患者の身体の内部に挿入し、先端が所望の部位近傍に到達した超音波内視鏡の鉗子孔(図示せず)に挿入し、取付けアダプタ221を用いて超音波内視鏡の鉗子孔入口に連結させる。そして、外筒11の先端を鉗子孔の先端から突出させ、外筒11の先端を体内の所望の部位まで到達させる。
【0035】
続いて、超音波内視鏡による観察結果に基づいて生検対象組織までの距離を考慮し、スライド機構2においてストッパ231を調節し第二の固定ねじ232で摺動不可能に固定し、外筒11からの穿刺針13の最大突出長を調節する。調節後、術者は操作本体21に対し針スライダ23をストッパ231に当接するまで相対的に移動させ、対象組織に穿刺針13を穿刺する。
【0036】
前項のように穿刺針13を穿刺し、吸引機構3の把持部34を引っ張り、ピストン33及び内針14を後退させ穿刺針13内部に収容させる。これによってシリンジ32内に生じた負圧が内筒12を介して穿刺針13に伝達され、穿刺針13の内部に対象組織の組織片が採取される。組織片の採取が済むと、操作本体21に対し針スライダ23を後退させ、外筒11内に穿刺針13を収納させる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照に詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1. 挿入体
11. 外筒
12. 内筒
121.内層
122.金属ブレード
123.外層
13. 穿刺針
131.先端部
132.刃面
133.粗面加工部
134.刃先
135.近位端部
14. 内針
141.刃面近位端部
142.係止部
2. スライド機構
21. 操作本体
211.凹条または凸条
22. 長さ調節スライダ
221.取付けアダプタ
222.第一の固定ねじ
223.係合爪
23. 針スライダ
231.ストッパ
232.第二の固定ねじ
3. 吸引機構
31. ロックリング
32. シリンジ
33. ピストン
34. 把持部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7