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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063386
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240502BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240502BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240502BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240502BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240502BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20240502BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20240502BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 410
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/06
H05B33/04
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171283
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽成 淳
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD89
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107EE66
3K107FF15
5C094AA02
5C094BA14
5C094BA27
5C094DA07
5C094DA13
5C094DB01
5C094DB02
5C094EA01
5C094EA10
5C094EC04
5C094FB06
5C094HA05
5C094HA08
(57)【要約】
【課題】 タッチパネルの機能を備える表示装置の表示品位を向上させる。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の表示素子と、導電性の下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の表示素子の各々を囲う隔壁と、前記複数の表示素子を含む表示領域に接触または近接する物体を検出するタッチパネル電極と、を備えている。前記タッチパネル電極は、前記隔壁の上方に位置し前記隔壁に沿って延びる第1金属線を含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の表示素子と、
導電性の下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の表示素子の各々を囲う隔壁と、
前記複数の表示素子を含む表示領域に接触または近接する物体を検出するタッチパネル電極と、
を備え、
前記タッチパネル電極は、前記隔壁の上方に位置し前記隔壁に沿って延びる第1金属線を含む、
表示装置。
【請求項2】
前記複数の表示素子とそれぞれ重なる複数の画素開口を有するリブをさらに備え、
前記隔壁は、前記リブの上に配置され、
前記第1金属線の幅は、隣り合う2つの前記画素開口の間の前記リブの幅以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1金属線の幅は、前記上部の幅以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の表示素子をそれぞれ覆う複数の第1封止層と、
前記複数の第1封止層を覆う樹脂層と、
前記樹脂層を覆う第2封止層と、
をさらに備え、
前記第1金属線は、前記第2封止層の上に配置されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2封止層に対向するカバー部材と、
前記カバー部材を前記第2封止層に接着する接着層と、
をさらに備え、
前記第1金属線は、前記接着層により覆われている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示領域の周囲の周辺領域に配置された端子部と、
前記周辺領域に配置され、前記端子部に接続されたリード線と、
前記タッチパネル電極と前記リード線とを接続する中継配線と、
をさらに備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記中継配線は、前記隔壁の上方に位置し前記隔壁に沿って延びる第2金属線を含む、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記周辺領域に配置され、前記リード線と平行に延びるダミー配線をさらに備える、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記リード線の下方に位置する有機絶縁層と、
前記有機絶縁層の下方に位置する出力線と、
をさらに備え、
前記端子部は、前記有機絶縁層の下方に位置し前記出力線に接続された導電性のパッドを備え、
前記リード線と前記出力線は、前記有機絶縁層を貫通するコンタクトホールを通じて接続されている、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記有機絶縁層は、前記パッドと前記表示領域の間に位置するスリットを有している、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
平面視において、前記第1金属線は、前記複数の表示素子の少なくとも1つを囲っている、
請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
表示装置は、表示領域に対するユーザの操作を検出するタッチパネルの機能を備えることがある。このような機能を実現するための電極が表示領域に配置される場合には、当該電極による表示品位の低下が抑制されるように表示装置の構造を工夫する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、タッチパネルの機能を備える表示装置の表示品位を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、下電極、前記下電極に対向する上電極、および、前記下電極と前記上電極の間に配置され、前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層をそれぞれ含む複数の表示素子と、導電性の下部および前記下部の側面から突出した上部を含み、前記複数の表示素子の各々を囲う隔壁と、前記複数の表示素子を含む表示領域に接触または近接する物体を検出するタッチパネル電極と、を備えている。前記タッチパネル電極は、前記隔壁の上方に位置し前記隔壁に沿って延びる第1金属線を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図4図4は、隔壁とその近傍を拡大した概略的な断面図である。
図5図5は、リブ、隔壁、表示素子および第1金属線のサイズを説明するための模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る表示装置の概略的な平面図である。
図7図7は、周辺領域に配置される要素を示す概略的な平面図である。
図8図8は、タッチパネルに関する機能を実現するための要素を示す概略的な平面図である。
図9図9は、図6において鎖線枠IXで囲った領域の拡大図である。
図10図10は、図9におけるX-X線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図11図11は、導電層の端部近傍の概略的な断面図である。
図12図12は、図8において鎖線枠XIIで囲った領域の概略的な平面図である。
図13図13は、タッチパネル電極および中継配線に適用し得る構成の他の例を示す概略的な平面図である。
図14図14は、図8において鎖線枠XIVで囲った領域の概略的な平面図である。
図15図15は、リード線、接続部および端子部の概略的な平面図である。
図16図16は、第1パッドを含む周辺領域の概略的な断面図である。
図17図17は、第2パッドを含む周辺領域の概略的な断面図である。
図18図18は、第1変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図19図19は、第2変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図20図20は、第3変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図21図21は、第4変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図22図22は、第5変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図23図23は、第6変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図24図24は、第7変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図25図25は、第8変形例に係る画素および第1金属線の概略的な平面図である。
図26図26は、第2実施形態に係る表示装置の周辺領域の概略的な断面図である。
図27図27は、第2実施形態に係る表示装置の周辺領域の他の概略的な断面図である。
図28図28は、第3実施形態に係る表示装置の周辺領域の概略的な断面図である。
図29図29は、第3実施形態に係る表示装置の周辺領域の他の概略的な断面図である。
図30図30は、第4実施形態に係る表示装置の表示領域の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第1方向Xと第2方向Yを含む平面と平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末、ウェアラブル端末等の各種の電子機器に搭載され得る。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および青色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0017】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。図2の例においては、副画素SP1と副画素SP2が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP1,SP2がそれぞれ副画素SP3と第1方向Xに並んでいる。
【0018】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP1,SP2が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP3が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは図2の例に限られない。
【0019】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。図2の例においては、画素開口AP2が画素開口AP1よりも大きく、画素開口AP3が画素開口AP2よりも大きい。
【0020】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP2,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0021】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0022】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。
【0023】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1のうち画素開口AP1と重なる部分は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2のうち画素開口AP2と重なる部分は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3のうち画素開口AP3と重なる部分は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。リブ5および隔壁6は、これら表示素子DE1,DE2,DE3の各々を囲っている。
【0024】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0025】
図2の例において、コンタクトホールCH1,CH2は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH3は、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0026】
図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0027】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3は有機絶縁層12に設けられている。
【0028】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0029】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0030】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。
【0031】
図3の例においては、上電極UE1の上にキャップ層CP1が配置され、上電極UE2の上にキャップ層CP2が配置され、上電極UE3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0032】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む積層体を薄膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む積層体を薄膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む積層体を薄膜FL3と呼ぶ。
【0033】
薄膜FL1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、薄膜FL1のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)と離間している。同様に、薄膜FL2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は薄膜FL2のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)と離間している。さらに、薄膜FL3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は薄膜FL3のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)と離間している。
【0034】
副画素SP1,SP2,SP3には、第1封止層SE11,SE12,SE13がそれぞれ配置されている。第1封止層SE11は、薄膜FL1や副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第1封止層SE12は、薄膜FL2や副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第1封止層SE13は、薄膜FL3や副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0035】
図3の例においては、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の薄膜FL1および第1封止層SE11が、当該隔壁6上の薄膜FL3および第1封止層SE13と離間している。また、副画素SP2,SP3の間の隔壁6上の薄膜FL2および第1封止層SE12が、当該隔壁6上の薄膜FL3および第1封止層SE13と離間している。
【0036】
第1封止層SE11,SE12,SE13は、樹脂層RSにより覆われている。樹脂層RSは、第2封止層SE2により覆われている。樹脂層RSおよび第2封止層SE2は、少なくとも表示領域DAの全体に連続的に設けられ、その一部が周辺領域SAにも及んでいる。
【0037】
表示装置DSPは、第2封止層SE2に対向するカバー部材20をさらに備えている。カバー部材20と第2封止層SE2は、透明な接着層21により接着されている。接着層21としては、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができる。
【0038】
例えば、カバー部材20は、偏光板などの光学素子、保護フィルムまたはカバーガラスである。カバー部材20は、光学素子、保護フィルムおよびカバーガラスなどの機能が異なる2種類以上の要素を接着層で貼り合わせた積層体であってもよい。
【0039】
図3の例において、第2封止層SE2の上には、タッチパネル電極TPを構成する第1金属線ML1が配置されている。第1金属線ML1は、隔壁6の上方に位置し、隔壁6に沿って延びている。第1金属層ML1は、接着層21により覆われている。
【0040】
有機絶縁層12は、有機絶縁材料で形成されている。リブ5、第1封止層SE11,SE12,SE13および第2封止層SE2は、例えばシリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン酸窒化物(SiON)などの無機絶縁材料で形成されている。リブ5、第1封止層SE11,SE12,SE13および第2封止層SE2は、異なる種類の無機絶縁材料の積層体であってもよい。樹脂層RSは、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料(有機絶縁材料)で形成されている。
【0041】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された反射層と、この反射層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0042】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0043】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、複数の発光層を含むいわゆるタンデム構造を有してもよい。
【0044】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、第1封止層SE11,SE12,SE13の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は省略されてもよい。
【0045】
第1金属線ML1は、金属材料で形成されている。一例では、第1金属線ML1は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、チタンの積層構造を有している。ただし、第1金属線ML1は、他の金属材料の積層構造を有してもよいし、単層構造を有してもよい。
【0046】
隔壁6の下部61は、例えばアルミニウムによって形成されている。下部61は、アルミニウム-ネオジム(AlNd)などのアルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウム層とアルミニウム合金層の積層構造を有してもよい。さらに、下部61は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の下に、アルミニウムやアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成された薄膜を有してもよい。このような薄膜は、例えばモリブデン(Mo)によって形成することができる。
【0047】
隔壁6の上部62は、例えばチタンなどの金属材料で形成された薄膜と、ITOなどの導電性酸化物で形成された薄膜との積層構造を有している。上部62は、チタンなどの金属材料の単層構造を有してもよい。また、上部62は、第1封止層SE11,SE12,SE13とは異なる無機絶縁材料の単層構造を有してもよい。
【0048】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0049】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が赤色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が青色の波長域の光を放つ。
【0050】
他の例として、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が同一色(例えば白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1,SP2,SP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1,SP2,SP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0051】
図4は、副画素SP1,SP3の境界に配置された隔壁6とその近傍を拡大した概略的な断面図である。この図においては、基板10、回路層11、カバー部材20および接着層21を省略している。
【0052】
有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1は、蒸着によって形成され、第1封止層SE11とともにパターニングされている。有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む薄膜FL1の端部FL1aは、上部62の上に位置している。第1封止層SE11の端部SE11aも上部62の上に位置している。端部FL1aは、第1封止層SE11によって覆われていない。
【0053】
同様に、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3は、蒸着によって形成され、第1封止層SE13とともにパターニングされている。有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む薄膜FL3の端部FL3aは、上部62の上に位置している。第1封止層SE13の端部SE13aも上部62の上に位置している。端部FL3aは、第1封止層SE13によって覆われていない。
【0054】
端部FL1aと端部FL3aは、隙間を介して離間している。端部SE11aと端部SE13aは、隙間を介して離間している。樹脂層RSは、表示領域DAの全体に連続的に設けられており、端部FL1a,FL3a,SE11a,SE13aを覆っている。さらに、樹脂層RSは、端部FL1aと端部FL3aの間の隙間、および、端部SE11aと端部SE13aの間の隙間を満たし、上部62に接触している。
【0055】
第1金属線ML1は、第3方向Zにおいて上部62と対向している。例えば、第1金属線ML1の幅方向における中心C1の位置は、隔壁6の幅方向における中心C2の位置と一致している。ただし、中心C1と中心C2がずれていてもよい。なお、幅方向とは、平面視において第1金属線ML1や隔壁6が延在する方向と直交する方向を意味する。例えば、第1隔壁6xの幅方向は第2方向Yであり、第2隔壁6yの幅方向は第1方向Xである。
【0056】
副画素SP1,SP2の間の隔壁6とその近傍の構成や、副画素SP2,SP3の間の隔壁6とその近傍の構成は、図4の例と同様である。
【0057】
図5は、リブ5、隔壁6、表示素子DE1および第1金属線ML1のサイズを説明するための模式図であり、表示素子DE1,DE2とその間のリブ5、隔壁6(第2隔壁6y)および第1金属線ML1の概略的な断面を示している。
【0058】
ここでは、表示素子DE1の幅をWa、画素開口AP1,AP3の間のリブ5の幅をW1、隔壁6の上部62の幅をW2、第1金属線ML1の幅をW3、第3方向Zにおける表示素子DE1と第1金属線ML1の間の距離をD、ユーザが表示素子DE1を見る方向と表示素子DE1の法線方向とが成す角度をθと定義する。
【0059】
幅W3は、第1金属線ML1が表示素子DE1からの光を阻害しないか、あるいは当該光に与える影響が軽微であるように設定する必要がある。例えば、幅W1が10μm、幅W2,W3がいずれも5μm、幅Waが20μm、距離Dが3.5μmである場合、角度θが0°から35°の範囲においては第1金属線ML1の影響はほとんど生じない。一方で、角度θが60°程度であると、ユーザにより視認される光の輝度は、第1金属線ML1がない場合に比べて約10%低下する。
【0060】
なお、仮に第1金属線ML1がない場合、角度θが約45°であると、角度θが0°のときに比べて輝度が半分程度に減少する。第1金属線ML1を設けることで、この輝度がさらに低下することになるが、実用上、問題になるような影響は生じない。
【0061】
幅W3が大きくなると、角度θが小さい範囲でも第1金属線ML1の影響が生じ、輝度低下が増加する。幅W3が幅W1よりも大きいと、正面(角度θが0°)から表示素子DE1を見たときの輝度が、第1金属線ML1がない場合に比べて低下することになり、表示装置DSPの表示品位が大幅に低下する。幅W3が幅W1と同等であると、角度θが30°程度で約10%の輝度低下が生じ、角度θが60°程度で約30%の輝度低下が生じる。
【0062】
以上を考慮すると、幅W3は幅W1以下であることが好ましい(W3≦W1)。さらに、幅W3は、幅W2以下であるとより好ましい(W3≦W2)。一例では、幅W1は、5μm~25μmである。また、樹脂層RSの厚さは2μm以下、第2封止層SE2の厚さは1μm以下である。
【0063】
画素PXのサイズが大きい場合には、第1金属線ML1の影響が及ぶ領域が相対的に小さくなる。例えば、55型3840×2160画素の表示装置の場合、画素PXのサイズは315μm程度である。このときの表示素子DE1の幅Waが80μm、リブ5の幅W1が5μm、角度θが60°、距離Dが5μmの場合、幅W3が幅W1以下であれば、第1金属線ML1による輝度低下は10%以下にとどまる。
【0064】
表示素子DE2とその周囲に配置されるリブ5、隔壁6および第1金属線ML1についても、図4および図5を用いて説明したものと同様の構成を適用できる。
【0065】
続いて、周辺領域SAに適用し得る構造につき説明する。
図6は、表示装置DSPの概略的な平面図である。表示装置DSPは、周辺領域SAに配置される要素として、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2、セレクタ回路STおよび端子部Tを備えている。第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STは、それぞれ画素回路1に信号を供給する駆動回路の一例であり、図3に示した回路層11に含まれる。
【0066】
第1ゲート駆動回路GD1および第2ゲート駆動回路GD2は、図1に示した走査線GLに走査信号を供給する。端子部Tには、例えばフレキシブル回路基板FPC(図8参照)が接続される。セレクタ回路STは、このフレキシブル回路基板FPCから入力される映像信号を図1に示した信号線SLに供給する。
【0067】
基板10は、端部10a,10b,10c,10dを有している。端部10a,10bは、第2方向Yと平行に延びている。端部10c,10dは、第1方向Xと平行に延びている。
【0068】
図6の例においては、第1ゲート駆動回路GD1が表示領域DAと端部10aの間に配置され、第2ゲート駆動回路GD2が表示領域DAと端部10bの間に配置され、セレクタ回路STおよび端子部Tが表示領域DAと端部10cの間に配置されている。
【0069】
さらに、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置された導電層CL(ドット模様を付した部分)を備えている。図6の例においては、導電層CLが表示領域DAを囲っている。
【0070】
導電層CLは、表示領域DAに配置された隔壁6と接続されている。導電層CLは、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STと平面視において重なっている。
【0071】
導電層CLは、必ずしも表示領域DAを囲う形状を有する必要はない。例えば、表示領域DAと端部10cの間や、表示領域DAと端部10dの間に導電層CLが配置されていなくてもよい。
【0072】
周辺領域SAには、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび第1封止層SE1が配置されている。有機層ORsは、有機層OR1,OR2,OR3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。上電極UEsは、上電極UE1,UE2,UE3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。キャップ層CPsは、キャップ層CP1,CP2,CP3のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。第1封止層SE1は、封止層SE11,SE12,SE13のいずれかと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0073】
一例では、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび第1封止層SE1は、それぞれ有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および第1封止層SE13と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0074】
以下の説明においては、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを含む積層体を薄膜FLと呼ぶ。薄膜FLおよび第1封止層SE1は、平面視において導電層CLと重なっている。
【0075】
図7は、周辺領域SAに配置される他の要素を示す概略的な平面図である。周辺領域SAには、給電線PWが配置されている。給電線PWは、第1部分P1(斜線模様を付した部分)と、第2部分P2(ドット模様を付した部分)とを含む。
【0076】
図7の例において、第2部分P2は、表示領域DAを囲っている。第1部分P1は、表示領域DAと端部10a,10b,10dの間に延在しているが、表示領域DAと端部10cの間には配置されていない。他の例として、第1部分P1は、表示領域DAを囲ってもよい。
【0077】
第1部分P1および第2部分P2は、部分的に重なっている。第1部分P1は、端子部Tと電気的に接続されている。第1部分P1には、端子部Tを通じて共通電圧が供給される。さらに、第1部分P1の共通電圧は、第2部分P2に供給される。
【0078】
図8は、タッチパネルに関する機能を実現するための要素を示す概略的な平面図である。表示領域DAには、複数のタッチパネル電極TPが配置されている。図8の例においては、24個(6行×4列)のタッチパネル電極TP1~TP24がマトリクス状に並んでいる。タッチパネル電極TP1~TP12は表示領域DAの左半分に位置し、タッチパネル電極TP13~TP24は表示領域DAの右半分に位置している。なお、タッチパネル電極TPの数や配置態様は、この例に限られない。
【0079】
周辺領域SAには、タッチパネル電極TPと端子部Tを接続するための配線領域LAが設けられている。配線領域LAは、タッチパネル電極TPと同数のリード線LL(LL1~LL24)を含み、表示領域DAを囲っている。
【0080】
タッチパネル電極TP1~TP12にそれぞれ接続されるリード線LL1~LL12は、表示領域DAと端部10aの間の領域を通るように配置されている。タッチパネル電極TP13~TP24にそれぞれ接続されるリード線LL13~LL24は、表示領域DAと端部10bの間の領域を通るように配置されている。
【0081】
配線領域LAとタッチパネル電極TP1~TP24は、中継配線RL(RL1~RL24)によって接続されている。具体的には、タッチパネル電極TP1~TP12がそれぞれ中継配線RL1~RL12を介してリード線LL1~LL12に接続され、タッチパネル電極TP13~TP24がそれぞれ中継配線RL13~RL24を介してリード線LL13~LL24に接続されている。
【0082】
リード線LL1~LL12は、接続部81を介して端子部Tに接続されている。リード線LL13~LL24は、接続部82を介して端子部Tに接続されている。
【0083】
例えば、タッチパネル電極TP1~TP12、リード線LL1~LL12、中継配線RL1~RL12および接続部81と、タッチパネル電極TP13~TP24、リード線LL13~LL24、中継配線RL13~RL24および接続部82とは、表示装置DSPの第1方向Xにおける中心線に関して線対称の形状を有している。
【0084】
端子部Tには、例えば導電性の接着材を介してフレキシブル回路基板FPCの一端が接続されている。フレキシブル回路基板FPCの他端は、表示装置DSPが搭載される電子機器の基板に接続されている。画像表示に必要な映像信号や電源は、フレキシブル回路基板FPCを通じて表示装置DSPに供給される。
【0085】
表示装置DSPは、画像表示に関する制御を実行する表示コントローラCT1と、タッチ検出に関する制御を実行する検出コントローラCT2とをさらに備えている。これらコントローラCT1,CT2は、例えばICによって構成され、フレキシブル回路基板FPCに実装されている。コントローラCT1,CT2が別々のフレキシブル回路基板に実装され、これらフレキシブル回路基板がそれぞれ端子部Tに接続されていてもよい。
【0086】
本実施形態においては、タッチパネル電極TP1~TP24が静電容量方式のタッチパネルを構成する場合を想定する。例えば、検出コントローラCT2は、表示領域DAにユーザの指などの物体が接触または近接した際に生じるタッチパネル電極TP1~TP24の静電容量の変化に基づいて、当該物体が接触または近接した位置を特定する。このような方式は、自己容量方式と呼ばれる。
【0087】
ただし、物体の検出方式としては、相互容量方式を適用することもできる。この場合、表示領域DAには、タッチパネル電極TP1~TP24に加えて駆動電極が配置される。表示領域DAに物体が接触または近接すると、タッチパネル電極TP1~TP24と駆動電極の間の電界が当該物体の影響を受け、タッチパネル電極TP1~TP24と駆動電極の間の容量が変化する。検出コントローラCT2は、この容量の変化に基づき、該物体が接触または近接した位置を特定する。
【0088】
図9は、図6において鎖線枠IXで囲った領域の拡大図である。図10は、図9におけるX-X線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。図9においてドット模様を付した領域が導電層CLおよび隔壁6(第1隔壁6xおよび第2隔壁6y)に相当する。導電層CLおよび隔壁6は、同じ材料で同じ製造プロセスにより一体的に形成されている。
【0089】
図10の例において、回路層11は、無機絶縁層31,32,33と、有機絶縁層34と、金属層41,42,43とを備えている。無機絶縁層31は、基板10を覆っている。金属層41は、無機絶縁層31の上に配置され、無機絶縁層32により覆われている。金属層42は、無機絶縁層32の上に配置され、無機絶縁層33により覆われている。有機絶縁層34は、無機絶縁層33の上に配置されている。金属層43は、有機絶縁層34の上に配置され、有機絶縁層12により覆われている。
【0090】
無機絶縁層31,32,33は、例えばシリコン窒化物およびシリコン酸化物などの無機材料で形成されている。金属層41,42,43は、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン合金(MoW)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)などの金属材料の単層構造または積層構造を有している。
【0091】
第1ゲート駆動回路GD1は、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。図6に示した第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STや、図1に示した画素回路1も同様に、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。また、図1に示した走査線GLは金属層41によって形成され、図1に示した信号線SLは金属層42によって形成されている。
【0092】
回路層11の構成は、図10に例示するものに限られない。例えば、回路層11は、より多くの無機絶縁層と金属層を備えてもよい。また、回路層11は、有機絶縁層34を備えなくてもよい。
【0093】
導電層CLは、周辺領域SAにおいてリブ5を覆っている。導電層CLは、図3および図4に示した隔壁6と同じく下部61および上部62を含む。
【0094】
給電線PWの第2部分P2は、大部分が有機絶縁層12の上に配置され、リブ5によって覆われている。例えば、第2部分P2は、下電極LE1,LE2,LE3と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0095】
第2部分P2は、コンタクト部CN1において第1部分P1に接続され、コンタクト部CN2において導電層CLに接続されている。これにより、導電層CLには、第1部分P1および第2部分P2を介して共通電圧が供給される。さらに、導電層CLの共通電圧は表示領域DAの隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3に供給される。
【0096】
コンタクト部CN1においては、第2部分P2が第1部分P1に接触している。コンタクト部CN1は、例えば図7の平面図において第1部分P1と第2部分P2が重なった領域に相当する。図10の例においては、第1部分P1が金属層43により構成されている。第1部分P1は、金属層41または金属層42により構成されてもよいし、金属層41,42,43のうちの2つ以上により構成されてもよい。
【0097】
図10に示すように、コンタクト部CN2においては、リブ5に開口が形成されている。導電層CLは、当該開口を通じて第2部分P2に接触している。リブ5の開口は、図9に示すコンタクト部CN2の全域に及んでもよい。また、コンタクト部CN2においてリブ5に複数の開口が分散して設けられてもよい。
【0098】
図9に示すように、コンタクト部CN2は、平面視においてコンタクト部CN1と表示領域DAの間に位置している。導電層CLの端部CLaは、平面視においてコンタクト部CN1とコンタクト部CN2の間に位置している。
【0099】
図9においては、薄膜FLおよび第1封止層SE1が配置される領域を鎖線で示している。また、図10においては、薄膜FLを1つの層で表している。実際には、薄膜FLにおいて、上電極UEsが有機層ORsを覆い、キャップ層CPsが上電極UEsを覆っている。第1封止層SE1は、薄膜FLを覆っている。
【0100】
図10に示すように、薄膜FLは、導電層CLを覆っている。図9に示すように、薄膜FLの端部FLaおよび第1封止層SE1の端部SE1aの平面視における位置は、略一致している。端部FLa,SE1aは、導電層CLの端部CLaとコンタクト部CN1の間に位置している。
【0101】
図10に示すように、周辺領域SAにも樹脂層RSおよび第2封止層SE2が形成されている。例えば、樹脂層RSの端部RSaは、薄膜FLの端部FLaおよび第1封止層SE1の端部SE1aよりも表示領域DA側に位置している。図10の例においては、端部RSaが導電層CLの端部CLaの近傍に位置しているが、この例に限られない。
【0102】
図10の例においては、周辺領域SAの全体に第2封止層SE2が設けられている。ただし、例えば基板10の端部10a,10b,10c,10dの近傍に第2封止層SE2が設けられていなくてもよい。第2封止層SE2は、樹脂層RSを全体的に覆っている。さらに、第2封止層SE2は、第1封止層SE1、リブ5および無機絶縁層33などに接触している。樹脂層RSの端部RSaは、第1封止層SE1および第2封止層SE2により覆われている。また、薄膜FLの端部FLaは、リブ5および第2封止層SE2により覆われている。
【0103】
図9の例において、タッチパネル電極TPを構成する第1金属線ML1は、隔壁6に沿って延び、全体として格子状である。具体的には、第1金属線ML1は、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yと重なり、副画素SP1,SP2,SP3(表示素子DE1,DE2,DE3)をそれぞれ囲っている。ただし、第1金属線ML1は、必ずしも副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれを個別に囲う必要はない。
【0104】
配線領域LAは、平面視において導電層CLと重なっている。リード線LL1~LL12は、表示領域DAに向けて順に並んでいる。リード線LL1~LL12の外側には、少なくとも1つの配線Lxが配置されている。これら配線Lxは、例えば基準電位が供給されるグランド配線を含む。配線Lxは、タッチ検出のための信号を供給する配線を含んでもよい。
【0105】
図10に示すように、リード線LL1~LL12および配線Lxは、第2封止層SE2の上に配置されている。リード線LL1~LL12および配線Lxは、接着層21により覆われている。基板10は、カバー部材20と対向しない露出領域EAを端部10aの近傍に有している。露出領域EAは、接着層21により覆われていない。
【0106】
図11は、導電層CLの端部CLa近傍の概略的な断面図である。導電層CLは、図4に示した隔壁6と同様に、下部61および上部62を有している。端部CLaにおいて、上部62は、下部61の側面よりも突出している。すなわち、端部CLaにおける導電層CLの形状は、隔壁6と同じくオーバーハング状である。
【0107】
このような形状の導電層CLの上に薄膜FL(有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPs)を形成すると、図11に示すように、端部CLaにおいて薄膜FLが分断される。第1封止層SE1は、導電層CLの上下にそれぞれ位置する薄膜FLを覆うとともに、下部61の側面も覆っている。
【0108】
なお、図9および図10においては表示領域DAと基板10の端部10aの間の構造に着目したが、表示領域DAと端部10bの間にも同様の構造を適用できる。リード線LL13~LL24は、リード線LL1~LL12と同様に第2封止層SE2の上に配置され、接着層21により覆われている。例えば、リード線LL1~LL24および配線Lxは、第1金属線ML1と同一の材料で同一のプロセスにより形成される。
【0109】
図12は、図8において鎖線枠XIIで囲った領域の概略的な平面図であり、タッチパネル電極TP15~TP18および中継配線RL16~RL18に適用し得る構成の一例を示している。
【0110】
中継配線RL17は、表示領域DAに配置された第2金属線ML2と、周辺領域SAに配置された第3金属線ML3とを含む。第2金属線ML2は、タッチパネル電極TP17を構成する第1金属線ML1と同じく隔壁6の上方に位置し、隔壁6に沿って延びている。第2金属線ML2は、副画素SP1,SP2,SP3をそれぞれ囲っており、全体として格子状である。例えば、第2金属線ML2および第3金属線ML3は、いずれも第1金属線ML1と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。すなわち、第2金属線ML2および第3金属線ML3は、第2封止層SE2の上に位置し、接着層21により覆われている。
【0111】
例えば、第2金属線ML2の幅は、図5を用いて説明した第1金属線ML1の幅W3と同様である。すなわち、第2金属線ML2の幅は、リブ5の幅W1以下であり、好ましくは上部62の幅W2以下である。
【0112】
中継配線RL17のうち第2金属線ML2により構成された部分は、タッチパネル電極TP16,TP18の間を通り、第3金属線ML3に接続されている。第3金属線ML3は、例えば第1方向Xに直線状に延びており、リード線LL17に接続されている。図12の例においては、中継配線RL17が第2方向Yに並ぶ3本の第3金属線ML3を含む。
【0113】
中継配線RL16,RL18は、第3金属線ML3を含み、第2金属線ML2を含んでいない。図12の例においては、中継配線RL16,RL18が第2方向Yに並ぶ2本の第3金属線ML3を含む。すなわち、この例においては、中継配線RL16,RL18に含まれる第3金属線ML3の数が、中継配線RL17に含まれる第3金属線ML3の数よりも少ない。
【0114】
配線領域LAは、電気的にフローティングの複数のダミー配線DMを含む。図12の例において、ダミー配線DMは、リード線LL16,LL17,LL18と表示領域DAの間にそれぞれ配置されている。ダミー配線DMは、リード線LL16,LL17,LL18と同様のピッチで配置され、リード線LL16,LL17,LL18と平行に延びている。
【0115】
図13は、タッチパネル電極TP15~TP18および中継配線RL16~RL18に適用し得る構成の他の例を示す概略的な平面図である。この図の例においては、中継配線RL17が2本の第3金属線ML3を含む。さらに、図12の例に比べて、中継配線RL17のうち第2金属線ML2により構成される部分の第2方向Yにおける幅が小さい。
【0116】
これら図12および図13の例の他にも、中継配線RL16~RL18には種々の構成を適用し得る。例えば、中継配線RL16~RL18は、より多くの第3金属線ML3を含んでもよい。
【0117】
図14は、図8において鎖線枠XIVで囲った領域の概略的な平面図であり、タッチパネル電極TP13,TP14および中継配線RL13,RL14とその近傍に適用し得る構成の一例を示している。
【0118】
中継配線RL13は、中継配線RL17と同じく、第2金属線ML2および第3金属線ML3を含む。中継配線RL13のうち第2金属線ML2により構成された部分は、タッチパネル電極TP14と周辺領域SAの間を通って第1方向Xに延び、リード線LL13に接続されている。
【0119】
図14の例においては、中継配線RL13が第2方向Yに並ぶ3本の第3金属線ML3を含み、中継配線RL14が第2方向Yに並ぶ2本の第3金属線ML3を含む。中継配線RL13が含む第3金属線ML3の数は、図13に示した中継配線RL17と同じく2本であってもよいし、4本以上であってもよい。中継配線RL14が含む第3金属線ML3の数も2本に限られない。
【0120】
図14の例において、リード線LL13~LL24は、角部CR1,CR2の2か所で90°屈曲している。角部CR1よりも図中上方においては、リード線LL13~LL24が第2方向Yと平行に延びている。角部CR1,CR2の間においては、リード線LL13~LL24が第1方向Xと平行に延びている。角部CR2よりも図中下方においては、リード線LL13~LL24が第2方向Yと平行に延びている。ダミー配線DMは、表示領域DAの図中下方の領域(表示領域DAと端部10cの間の領域)にも配置されている。これらダミー配線DMは、第1方向Xと平行に延びている。
【0121】
図12乃至図14においては、タッチパネル電極TP13~TP18および中継配線RL13,RL14,RL16~RL18に適用し得る構成を示したが、他のタッチパネル電極TPおよび中継配線RLにも同様の構成を適用できる。すなわち、第1方向Xにおいて周辺領域SAに隣接するタッチパネル電極TPは、第3金属線ML3で構成される中継配線RLによりリード線LLに接続される。一方、第1方向Xにおいて周辺領域SAとの間に他のタッチパネル電極TPが介在するタッチパネル電極TPは、第2金属線ML2および第3金属線ML3で構成される中継配線RLによりリード線LLに接続される。
【0122】
図15は、リード線LL13~LL24、接続部82および端子部Tの概略的な平面図である。端子部Tは、第1方向Xに並ぶ複数の第1パッドPD1を有している。各第1パッドPD1には、出力線OLが接続されている。
【0123】
リード線LL13~LL24と各出力線OLは、異なる層に配置されている。接続部82において、リード線LL13~LL24と出力線OLは、コンタクトホールCHsを介して互いに接続されている。
【0124】
端子部Tは、セレクタ回路STなどの画像表示に関する要素に信号を供給するための第2パッドPD2も有している。第2パッドPD2は、第1パッドPD1とともに第1方向Xに並んでいる。
【0125】
なお、接続部81を介してリード線LL1~LL12と端子部Tとを接続する構成は、図15の例と同様である。
【0126】
図16は、第1パッドPD1およびリード線LLを含む周辺領域SAの概略的な断面図である。この図に示す構成は、いずれのリード線LL1~LL24と第1パッドPD1との接続構造にも適用できる。第1パッドPD1および出力線OLは、例えば金属層43によって一体的に形成されている。ただし、第1パッドPD1および出力線OLは、異なる金属層により形成されてもよい。
【0127】
端子部Tは、露出領域EAに設けられている。すなわち、第1パッドPD1は、接着層21から露出している。第1パッドPD1の縁は、第2封止層SE2によって覆われている。第1パッドPD1は、第2封止層SE2に設けられた開口APt1を通じて第2封止層SE2から露出している。図16においては省略しているが、第1パッドPD1は上述のフレキシブル回路基板FPCに接続される。
【0128】
コンタクトホールCHsは、第2封止層SE2を貫通している。出力線OLとリード線LLは、コンタクトホールCHsを通じて接続されている。図16の例においては、コンタクトホールCHsに位置するリード線LLが接着層21から露出している。他の例として、リード線LLが全体的に接着層21により覆われていてもよい。
【0129】
図17は、第2パッドPD2を含む周辺領域SAの概略的な断面図である。第2パッドPD2も第1パッドPD1と同様に金属層43によって形成されている。
【0130】
第2パッドPD2は、第2封止層SE2に設けられた開口APt2を通じて第2封止層SE2から露出している。図17においては省略しているが、第2パッドPD2は上述のフレキシブル回路基板FPCに接続される。
【0131】
図17の例においては、第2封止層SE2の上にダミー配線DMが配置されている。ダミー配線DMは、接着層21により覆われている。
【0132】
表示装置DSPの製造にあたっては、先ず基板10の上に画素回路1、ゲート駆動回路GD1,GD2、セレクタ回路ST、給電線PWおよび端子部Tを含む回路層11が形成される。回路層11の形成の後、有機絶縁層12が回路層11の上に形成される。
【0133】
その後、下電極LE1,LE2,LE3が形成され、これらの上にリブ5が形成される。さらに、隔壁6および導電層CLが形成される。
【0134】
次に、副画素SP1に有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む薄膜FL1と第1封止層SE11が形成され、副画素SP2に有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む薄膜FL2と第1封止層SE12が形成され、副画素SP3に有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む薄膜FL3と第1封止層SE13が形成される。薄膜FL1,FL2,FL3の形成順は特に限定されないが、一例では薄膜FL3が最初に形成され、薄膜FL2が次に形成され、薄膜FL1が最後に形成される。
【0135】
薄膜FL1,FL2,FL3を構成する各層(有機層、上電極およびキャップ層)は、例えば蒸着によって形成される。第1封止層SE11,SE12,SE13は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。
【0136】
周辺領域SAの薄膜FL(有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPs)および第1封止層SE1は、例えば薄膜FL3および第1封止層SE13と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成することができる。薄膜FL,FL3および第1封止層SE1,SE13は、同一のフォトリソグラフィ工程によりパターニングされる。そのため、図10に示すように薄膜FLの端部FLaと第1封止層SE1の端部SE1aとが揃う。
【0137】
薄膜FLおよび第1封止層SE1の形成の後、樹脂層RSが形成される。樹脂層RSは、例えば印刷法により形成されるが、インクジェットなどの他の方法で形成されてもよい。周囲への拡がりを抑制する観点からは、硬化前の樹脂層RSの粘度を高めることが好ましい。このような高粘度の樹脂層RSの形成には、印刷法が適している。
【0138】
樹脂層RSの形成の後、第2封止層SE2が形成される。第2封止層SE2は、先ず基板10の全体に形成され、フォトリソグラフィ工程によってパターニングされる。このフォトリソグラフィ工程により、開口APt1,APt2およびコンタクトホールCHsが形成される。
【0139】
その後、第1金属線ML1、第2金属線ML2、第3金属配線ML3、リード線LLおよびダミー配線DMが形成される。これらの配線は、同一のフォトリソグラフィ工程によって金属膜をパターニングすることで得られる。その際、金属膜を残すべき部分に形成されるレジストの配置密度が部分的に大きく変化していると、金属膜のエッチングの進行が不均一となり、所望の形状のリード線LLなどを得られない可能性がある。ダミー配線DMは、このような不均一性の是正に寄与する。すなわち、金属線ML1,ML2,ML3やリード線LLが配置されない領域にダミー配線DMを配置することで、金属線ML1,ML2,ML3やリード線LLに対する過度なエッチングを抑制することができる。
【0140】
金属線ML1,ML2,ML3、リード線LLおよびダミー配線DMの形成の後、接着層21によりカバー部材20が貼り合わされる。さらに、端子部Tにフレキシブル回路基板FPCが接続されて表示装置DSPが完成する。
【0141】
以上の本実施形態においては、表示領域DAに配置された薄膜FL1,FL2,FL3がそれぞれ隔壁6と第1封止層SE11,SE12,SE13によって個別に封止されている。さらに、樹脂層RSが第1封止層SE11,SE12,SE13を覆い、第2封止層SE2が樹脂層RSを覆っている。このような構成であれば、薄膜FL1,FL2,FL3への水分の浸入、さらにはその上の樹脂層RSへの水分の浸入が好適に抑制され、水分への耐性に優れた表示装置DSPを得ることができる。
【0142】
さらに、本実施形態においては、タッチパネル電極TPを構成する第1金属線ML1が隔壁6の上方に位置し、隔壁6に沿って延びている。このような構成であれば、表示素子DE1,DE2,DE3から放たれた光が第1金属線ML1によって阻害されにくい。これにより、表示装置DSPにタッチ検出の機能を与えつつも、表示品位を向上させることができる。
【0143】
図5を用いて説明したように、第1金属線ML1の幅W3がリブ5の幅W1以下、さらには上部62の幅W2以下であれば、表示領域DAを斜めに見た場合でも輝度低下が抑制されるので、表示品位が一層向上する。
【0144】
図12乃至図13に示したように、中継配線RLの一部を第1金属線ML1と同様の第2金属線ML2で構成する場合、中継配線RLによる表示品位の低下を抑制することが可能である。仮に、中継配線RLのうち表示領域DAに位置する部分が第1金属線ML1と異なる幅やパターンの金属線で構成される場合、中継配線RLに起因した輝度むらが生じ得る。これに対し、図12乃至図14の例のように、第2金属線ML2が第1金属線ML1と同様の格子状であり、さらには第1金属線ML1と同等の幅を有していれば、表示領域DAの全体において輝度を均一化することができる。
【0145】
本実施形態においては、周辺領域SAに配置された薄膜FLの端部FLaが第2封止層SE2により覆われている。これにより、薄膜FLを通じた周辺回路への水分浸入を抑制することができる。
【0146】
さらに、本実施形態においては、図11に示したように、薄膜FLが導電層CLの端部CLaによって分断されている。これにより、薄膜FLを通じた水分浸入がより確実に抑制される。
【0147】
本実施形態にて開示した構成は、種々の態様に変形し得る。以下に、いくつかの変形例を開示する。
図18は、第1変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第1変形例に係る画素PXは、図2と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3(表示素子DE1,DE2,DE3)を含む。
【0148】
第1変形例においては、各画素PXに含まれる副画素SP1,SP2の間に第1金属線ML1が配置されていない。異なる画素PXにそれぞれ含まれる副画素SP1,SP2の間には、第1金属線ML1が配置されている。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0149】
図19は、第2変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第2変形例に係る画素PXは、図2と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3を含む。
【0150】
第2変形例においては、隣り合う画素PXの間に第1金属線ML1が配置され、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3の間には第1金属線ML1が配置されていない。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0151】
図20は、第3変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第3変形例に係る画素PXにおいては、副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに並んでいる。例えば、副画素SP1,SP2,SP3の第2方向Yにおける幅は同等である。副画素SP1,SP2,SP3の第1方向Xにおける幅は、同等であってもよいし、異なってもよい。このような画素PXがマトリクス状に配列される場合、表示領域DAには、第2方向Yに連続する複数の副画素SP1を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP2を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP3を含む列とが形成される。
【0152】
第3変形例においては、副画素SP1,SP2,SP3がいずれも第1金属線ML1により囲われている。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0153】
図21は、第4変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第4変形例に係る画素PXは、図20と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3を含む。
【0154】
第4変形例においては、隣り合う画素PXの間に第1金属線ML1が配置され、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3の間には第1金属線ML1が配置されていない。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0155】
図22は、第5変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第5変形例に係る画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3に加えて白色の副画素SP4を含む。副画素SP4は、白色光を放つ表示素子DE4を有している。各画素PXにおいて、副画素SP1と副画素SP4が第1方向Xに並び、副画素SP2と副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。また、副画素SP1と副画素SP2が第2方向Yに並び、副画素SP3と副画素SP4が第2方向Yに並んでいる。
【0156】
第5変形例においては、副画素SP1,SP2,SP3,SP4がいずれも第1金属線ML1により囲われている。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0157】
図23は、第6変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第6変形例に係る画素PXは、図22と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3,SP4を含む。
【0158】
第6変形例においては、隣り合う画素PXの間に第1金属線ML1が配置されている。さらに、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP4の間、および、1つの画素PXに含まれる副画素SP2,SP3の間にも第1金属線ML1が配置されている。一方で、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2の間、および、1つの画素PXに含まれる副画素SP3,SP4の間には第1金属線ML1が配置されてない。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0159】
図24は、第7変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第7変形例に係る画素PXは、図22と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3,SP4を含む。
【0160】
第7変形例においては、隣り合う画素PXの間に第1金属線ML1が配置されている。さらに、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2の間、および、1つの画素PXに含まれる副画素SP3,SP4の間にも第1金属線ML1が配置されている。一方で、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP4の間、および、1つの画素PXに含まれる副画素SP2,SP3の間には第1金属線ML1が配置されてない。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0161】
図25は、第8変形例に係る画素PXおよび第1金属線ML1の概略的な平面図である。第8変形例に係る画素PXは、図22と同様のレイアウトの副画素SP1,SP2,SP3,SP4を含む。
【0162】
第8変形例においては、隣り合う画素PXの間に第1金属線ML1が配置され、1つの画素PXに含まれる副画素SP1,SP2,SP3,SP4の間には第1金属線ML1が配置されていない。第2金属線ML2にも同様の構成を適用できる。
【0163】
以上の第1乃至第8変形例は、後述する各実施形態にも適用することができる。また、画素PX、第1金属線ML1および第2金属線ML2の構成は、第1乃至第8変形例に示したもの以外にも適宜に変形することが可能である。
【0164】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成は第1実施形態と同様である。
図26および図27は、第2実施形態に係る表示装置DSPの周辺領域SAの概略的な断面図である。図26図16と同様に第1パッドPD1を含む周辺領域SAの断面を示し、図27図17と同様に第2パッドPD2を含む周辺領域SAの断面を示す。
【0165】
図16および図17の例においては、端子部Tの近傍に有機絶縁層12が形成されていなかった。一方で、図26および図27の例においては、端子部Tの周囲にも有機絶縁層12が形成されている。
【0166】
図26に示すように、有機絶縁層12は、第1パッドPD1の縁や出力線OLを覆っている。有機絶縁層12は、開口APt1と重なる開口を有している。さらに、コンタクトホールCHsは、第2封止層SE2だけでなく、有機絶縁層12も貫通している。リード線LLは、コンタクトホールCHsを通じて出力線OLに接続されている。
【0167】
また、図27に示すように、有機絶縁層12は、第2パッドPD2の縁を覆っている。有機絶縁層12は、開口APt2と重なる開口を有している。
【0168】
本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態の構成においては、第1パッドPD1および第2パッドPD2の周囲に有機絶縁層12による凸部が形成される。これにより、フレキシブル回路基板FPCとパッドPD1,PD2を接続する導電性の接着剤が堰き止められ、フレキシブル回路基板FPCとパッドPD1,PD2の良好な接続と導通を実現することが可能である。
【0169】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。特に言及しない構成は上述の各実施形態と同様である。
図28および図29は、第3実施形態に係る表示装置DSPの周辺領域SAの概略的な断面図である。図28図26と同様に第1パッドPD1を含む周辺領域SAの断面を示し、図29図27と同様に第2パッドPD2を含む周辺領域SAの断面を示す。
【0170】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に端子部Tの周囲に有機絶縁層12が形成されている。さらに、本実施形態においては、有機絶縁層12がスリットSLTを有している。スリットSLTは、有機絶縁層12を貫通している。
【0171】
例えば、スリットSLTは、表示領域DAを囲っている。すなわち、スリットSLTは、平面視においてパッドPD1,PD2と表示領域DAの間に位置している。より具体的には、スリットSLTは、平面視においてコンタクトホールCHsと表示領域DAの間に位置している。図28の断面においては、スリットSLTがコンタクトホールCHsと導電層CLの間に位置している。
【0172】
図28および図29の例においては、スリットSLTが第2封止層SE2により覆われている。リード線LLは、スリットSLTを横切っている。さらに、スリットSLTの上方にカバー部材20および接着層21が位置している。
【0173】
本実施形態のようにスリットSLTを設けることで、パッドPD1,PD2付近から有機絶縁層12を通じて表示装置DSPの内部へ水分が浸入することを抑制できる。特に、コンタクトホールCHsよりも内側にスリットSLTを設けることで、コンタクトホールCHs付近からの水分浸入を好適に抑制することが可能である。
【0174】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。特に言及しない構成は上述の各実施形態と同様である。
図30は、第4実施形態に係る表示装置DSPの表示領域DAの概略的な断面図である。図3の例と同様に、第2封止層SE2の上に第1金属線ML1が配置されている。本実施形態においては、第1金属線ML1が第3封止層SE3により覆われている。第3封止層SE3は、接着層21により覆われている。
【0175】
第3封止層SE3は、第2封止層SE2と同じくシリコン窒化物、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物などの無機絶縁材料で形成されている。
【0176】
第3封止層SE3は、例えば表示領域DAおよび周辺領域SAの全体に設けられている。第3封止層SE3は、端子部Tにおいて第2封止層SE2の開口APt1,APt2と同形状の開口を有している。第3封止層SE3は、第1金属線ML1だけでなく、第2金属線ML2、リード線LLおよびダミー配線DMも覆っている。
【0177】
本実施形態のように第3封止層SE3を設ければ、第1金属線ML1、第2金属線ML2、リード線LLおよびダミー配線DMなどを水分から保護することができる。その他の効果は上述の各実施形態と同様である。
【0178】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0179】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0180】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0181】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、SE11,SE12,SE13,SE1…第1封止層、SE2…第2封止層、RS…樹脂層、CL…導電層、PW…給電線、T…端子部、PD1,PD2…パッド、TP…タッチパネル電極、ML1…第1金属線、ML2…第2金属線、LL…リード線、RL…中継配線、1…画素回路、5…リブ、6…隔壁、10…基板、20…カバー部材、21…接着層、61…隔壁の下部、62…隔壁の上部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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