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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063388
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240502BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
A61L9/20
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171290
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 シュティン
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿江
(72)【発明者】
【氏名】秋元 正徳
【テーマコード(参考)】
3L051
4C180
【Fターム(参考)】
3L051BC03
4C180AA05
4C180AA10
4C180DD03
4C180HH17
4C180HH19
4C180LL04
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】殺菌対象部位で高い殺菌効果を示す殺菌効果を有する空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】空気調和機の室内機100は、紫外光を放出する発光部72と、発光部72を覆うように配置された集光レンズとを備える発光装置7と、発光装置7を内部に配置した室内機本体101と、を備える。室内機本体101は、室内機本体101の内部での風路を形成する形成部材4を備え、発光装置7は、形成部材4に紫外光を照射する位置に配置される。発光装置7は、室内機本体101の正面視で、形成部材4の左側及び右側に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を放出する発光部と、前記発光部を覆うように配置された集光レンズとを備える発光装置と、
前記発光装置を内部に配置した室内機本体と、を備える
空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記室内機本体は、前記室内機本体の内部で風路を形成する形成部材を備え、
前記発光装置は、前記形成部材に前記紫外光を照射する位置に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記室内機本体は、前記室内機本体の内部で風路を形成する形成部材を備え、
前記発光装置は、前記室内機本体の正面視で、前記形成部材の左側又は右側のうちの少なくとも一方の側に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記室内機本体は、前記室内機本体の内部で風路を形成する形成部材を備え、
前記発光装置は、
前記室内機本体の正面視で前記形成部材の左側に配置された第1発光装置と、
前記室内機本体の正面視で前記形成部材の右側に配置されるとともに、前記室内機本体の正面視で左から右に向かう方向を+方向とする軸における+方向と前記発光部が向く方向との為す第2角度が、前記第1発光装置において前記発光部が向く方向と前記軸における+方向との為す第1角度とは異なる第2発光装置と、
を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記第1角度及び前記第2角度は、前記第1発光装置から放出される紫外光の少なくとも一部と、前記第2発光装置から放出される紫外光の少なくとも一部とが重なるように、それぞれ紫外光を放出する角度である
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記第1発光装置及び前記第2発光装置は、いずれも、前記室内機本体の正面視で、前記形成部材の下端近傍に配置される
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記発光部は、水平方向よりも上方向を向いている
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記室内機本体は、前記室内機本体の内部で風路を形成する形成部材を備え、
前記発光装置は、前記室内機本体の側方視で、前記形成部材よりも正面側に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
前記発光装置は、前記室内機本体に備えられる筐体に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項10】
前記発光装置は、前記室内機本体に備えられるドレンパンの外側下面に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項11】
前記発光装置は、前記室内機本体の正面視で、前記室内機本体に備えられるドレンパンの側方に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項12】
前記室内機本体は、空気調和された空気を吹き出す吹出口と、前記吹出口を閉塞可能に回動する風向板と、を備え、
前記発光装置は、
前記風向板のうち、前記室内機本体の内部に臨む側の面に配置され、
前記発光装置の配置高さよりも高い位置に紫外光を照射するように配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項13】
紫外光を放出する発光部と、前記発光部を覆うように配置された集光レンズとを備える発光装置と、前記発光装置を内部に配置した室内機本体と、を備える室内機を備える
空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機の室内機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機には、長時間の使用により、カビ、細菌等の微生物が増殖する。このため、ファンから吹き出される空気は、居住空間内の人の健康に影響を与え得る。そこで、室内機内部の殺菌のため、室内機内部に紫外線照射装置を設置する技術が知られている。特許文献1の要約書には、「水の共存下における紫外線照射によって分解してヒドロキシルラジカルを生成する物質又はイオンが溶解した水溶液であって且つオゾンを実質的に含まない水溶液からなる殺菌用洗浄液を、塵や埃などの有機汚れが付着した室内ファンの表面に供給して付着させた後、これら表面に紫外線を照射することによってOHラジカルを発生させ、このOHラジカルの強力な酸化力により前記有機汚れを分解除去し、更に殺菌を行う。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-179385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の室内機では、拡散レンズを介して紫外線が出射する(段落0052)。拡散により紫外線が殺菌対象部位に到達し難くなり、殺菌対象部位での殺菌効果が低減し得る。
本開示が解決しようとする課題は、殺菌対象部位で高い殺菌効果を示す空気調和機の室内機及び空気調和機の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の空気調和機の室内機は、紫外光を放出する発光部と、前記発光部を覆うように配置された集光レンズとを備える発光装置と、前記発光装置を内部に配置した室内機本体と、を備える。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、殺菌対象部位で高い殺菌効果を示す空気調和機の室内機及び空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の空気調和機の正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】発光装置の断面図である。
図4】室内機の正面図である。
図5】実施例の室内機において、一対の発光装置により照射される紫外光の照射範囲を示す図である。
図6】比較例の室内機において、一対の発光装置により照射される紫外光の照射範囲を示す図である。
図7図1のB-B線断面図である。
図8】別の実施形態に係る室内機において、図1のA-A線断面図に相当する断面図である。
図9】別の実施形態に係る室内機において、図1のB-B線断面図に相当する断面図である。
図10】更に別の実施形態に係る室内機において、図1のA-A線断面図に相当する断面図である。
図11】更に別の実施形態に係る室内機において、図1のB-B線断面図に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。また、同じ実施形態で、必ずしも全ての構成を備える必要はない。
【0009】
図1は、本開示の空気調和機400の模式図である。空気調和機400は、室内に設置される室内機100と、室外に設置される室外機200と、リモコン300とを備える。リモコン300は、例えば冷房運転、暖房運転、除湿運転等の空気調和機400の運転内容を、室内機100に指示するものである。指示は、室内機100の受信部18(例えば赤外線通信ユニット、WiFi等の無線通信ユニット等)を通じて行われる。
【0010】
図2は、図1のA-A線断面図である。室内機100は、室内機本体101及び発光装置7を備える。室内機本体101は、吸込口1,11と、熱交換器2と、ファン3と、形成部材4と、風向板5,51と、吹出口6と、フィルタ9,91と、ドレンパン10と、筐体102とを備える。筐体102は、室内機100の外郭を形成するものであり、熱交換器2と、ファン3と、発光装置7と、フィルタ9,91と、ドレンパン10とを収容する。詳細は後記するが、発光装置7は、室内機100の正面視で、形成部材4の左側(図2において紙面奥側)に配置されたものが図示される。
【0011】
吸込口1,11は、それぞれ、熱交換器2の上側及び正面側から熱交換器2に向けて空気を吸い込む。筐体102を構成する前面パネル103が、下端を軸中心に正面側に回動することで上方が開口し、当該開口(不図示)を通じて、室内の空気が吸込口1,11に至る。熱交換器2は、室外機200(図1)に備えられる熱交換器(不図示)との間で冷凍サイクルを形成する。熱交換器2は、吸い込まれた空気を空気調和(例えば加熱、冷却、又は冷却)する。ファン3は、駆動により、吸込口1,11から吸い込まれた空気を、吹出口6を通じて室内に吹き出す。従って、吹出口6は、空気調和された空気を吹き出す。ファン3は、正面側、上側、及び背面側を熱交換器2で囲まれるように配置される。
【0012】
形成部材4は、室内機本体101の内部で風路41を形成する。形成部材4は、ファン3の背面側に配置され、吹出口6に向かって滑らかな曲面を有して構成される。形成部材4は、例えば金属、樹脂等によって構成でき、本開示の例では、ステンレス等の光反射可能な金属により構成される。熱交換器2との接触により空気調和された空気は、形成部材4に沿って流れ、吹出口6から吹き出される。吹出口6は、形成部材4の下側端部と連続して配置される。風向板5は、吹出口6を閉塞可能に回動するように配置される。風向板5は、図示の例では、室内に吹き出される空気の上下方向の流れを制御する上下風向板である。フィルタ9,91は、それぞれ、吸込口1,11を覆うように筐体102の上面及び正面側に配置され、吸い込まれる空気中の塵埃等を捕捉する。
【0013】
図3は、発光装置7の断面図である。発光装置7は、室内機本体101(図2)の内部に配置され、室内機本体101の内部に紫外光を照射する。発光装置7により、紫外光が照射された部分(殺菌対象部位)が殺菌される。紫外光の照射は、例えば、空気調和機400(図1)の運転停止中に、風向板5(図2)を閉じた状態で実行される。これにより、使用者が紫外光を視認し難くできる。
【0014】
発光装置7を用いた殺菌の意義について説明する。室内空気中の塵埃は室内機100の内部に侵入し、一部は短時間のうちに気流等の影響で室内機100の外に運び出される。しかし、別の一部は、比較的長時間、室内機100の内部の壁(例えば形成部材4)等に付着したままとなる。そして、夏季の冷房、除湿運転で室内機100の内部が高湿になり、水分及び埃の栄養分により、微生物が増殖し、室内機100の内部が汚染される。更に、増殖した微生物から異臭が発生し、その異臭が室内に流れると、使用者に、喘息、アレルギ反応等を引き起こす。このため、室内の環境が悪化する。そこで、本開示のように、発光装置7から放出される紫外光を殺菌対象部位に到達させて、殺菌対象部位での殺菌を実行することで、微生物の増殖を抑制し、室内環境の悪化を抑制できる。
【0015】
特に、空気調和機400によっては、何れも図2に示すフィルタ9,91、熱交換器2、ドレンパン10等を自動で掃除する掃除機構(不図示)が備えられる機種がある。しかし、形成部材4を自動で掃除することは難しいため、本開示の発光装置7によって殺菌することで、上記のような効果が得られる。
【0016】
ただし、本開示の例では、詳細は後記するが、発光装置7は、形成部材4の表面に加えて、更に好ましくはファン3に対しても紫外光を照射する。しかし、殺菌対象部位は、形成部材4及びファン3に限定されず、室内機本体101の内部の所望の位置に設定できる。特に、発光装置7から照射される紫外光は高い指向性を有する。このため、本開示によれば、殺菌対象部位が例えば奥まった位置に有る等、発光装置7と殺菌対象部位との距離が長い場合でも殺菌対象部位に紫外光を到達でき、室内機本体101の内部における空きスペースを有効利用できる。また、発光装置7の設置場所の自由度を向上できる。
【0017】
発光装置7は、基板71と、発光部72と、集光レンズ73とを備える。基板71には発光部72が実装され、基板71に実装された電源回路(不図示)を通じた発光部72への電源供給により、発光部72が発光する。発光部72は、紫外光(紫外線)を放出する。発光部72は、例えばUV-A、UV-B、及びUV-Cの各波長帯のうち少なくとも1種の波長帯を有する紫外光を発光する。本開示の例では、発光部72は、UV-Cの波長帯(例えば波長254nm~280nm)の紫外光(深紫外光)を発光する。UV-C光は、微生物の細胞内に存在するDNA及びRNAに損傷を与える。具体的には、UV-C光はDNA及びRNAに直接吸収されることで遺伝子に損傷を与えて修復機能を失わせることで、速やかに殺菌できる。発光部72は、例えばLED、紫外線ランプ等である。
【0018】
集光レンズ73は、発光部72を覆うように配置される。集光レンズ73を備えることで、発光部72から放出される紫外光の指向性を高め、目的の殺菌対象部位(領域でもよい)に紫外光を届け易くできる。これにより、殺菌対象部位での殺菌効率を向上できる。集光レンズ73は、例えばシリコーン樹脂等の樹脂により構成される。基板71への集光レンズ73は、例えば任意の接着剤により、基板71又は発光部72の少なくとも一方に固定できる。なお、図3に示す集光レンズ73は、発光部72の位置に焦点位置がくるようなレンズ形状を有する。この図3の構成例では、発光部72からはあらゆる方向に紫外光が放出されるが、放出された紫外光は、集光レンズ73を通過することにより、平行光に変換される。
【0019】
集光レンズ73の形状は、図示の例では半球状であるが、この例に限定されない、例えば、発光装置7から殺菌対象部位までの距離等の設計条件に応じて、半楕円体(曲率は適宜決定できる)、矩形等、任意の形状にできる。例えば、集光レンズ73の一部又は全部をフレネルレンズとして、集光レンズ73の厚みを抑制できる。また、集光レンズ73の先に凸レンズを置いて、平行光を集光するようにしてもよい。
【0020】
図4は、室内機100の正面図である。図4では、室内機100の内部に配置された部材の一部が破線で図示される。発光装置7は、形成部材4に紫外光を照射する位置に配置される。上記のように、室内機本体101の内部で空気は形成部材4に沿って流れるため、形成部材4の表面には、フィルタ9,91で捕捉しきれなかった塵埃等が付着し易い。このため、塵埃等に含まれる微生物(カビ、細菌等)は形成部材4の表面で増殖し易い。そこで、発光装置7をこのように配置することで、形成部材4の表面での微生物の増殖を抑制できる。
【0021】
好ましくは、発光装置7は、更に、ファン3に対しても紫外光を照射する。これにより、微生物が付着した塵埃等を含む空気と接触するファン3も殺菌できる。
【0022】
発光装置7は、例えば図4に示すような室内機本体101の正面視で、形成部材4の左側又は右側のうちの少なくとも一方の側に配置される。これにより、形成部材4に沿って生じる気流を避ける位置に発光装置7を配置でき、通風抵抗の増大を抑制できる。
【0023】
また、発光装置7は、吹出口6の左側又は右側のうちの少なくとも一方の側(図示の例では両側)に配置される。このように、発光装置7を、形成部材4及び吹出口6の左側又は右側のうちの少なくとも一方の側に配置することで、形成部材4に沿って生じ吹出口6から吹き出される空気の流れにおける通風抵抗の増大を抑制できる。
【0024】
発光装置7は、発光装置75(第1発光装置)及び発光装置76(第2発光装置)を含む。発光装置75は、室内機本体101の正面視で形成部材4の左側に配置される。発光装置76は、室内機本体101の正面視で形成部材4の右側に配置される。ここで、軸L1は、室内機本体101の正面視で左から右に向かう方向を+方向とする軸とする。そうすると、発光装置76は、上記の事項とともに、軸L1における+方向と発光部72(図3)が向く方向との為す角度θ2(第2角度)が、発光装置75において発光部72が向く方向と軸L1における+方向との為す角度θ1(第1角度)とは異なる。このようにすることで、発光装置75,76によって異なる方向に紫外光を照射でき、紫外光の照射範囲を拡大できる。
【0025】
発光部72が向く方向は、本開示の例では、発光部72の表面における法線L2の延在方向(光の放出方向)と一致し、法線L2は、例えば、発光部72から放出される紫外光の光軸と一致する。本開示の例では、θ1は鋭角であり、θ2は鈍角であり、θ1=π-θ2の関係が成立する。
【0026】
発光装置75及び発光装置76は、いずれも、例えば図4に示す室内機本体101の正面視で、形成部材4の下端近傍に配置される。この位置に配置することで、発光装置75,76を熱交換器2から遠ざけることができる。熱交換器2ではドレン水が発生するため、この位置に配置することで、発光装置75,76へのドレン水による影響を抑制できる。
【0027】
特に、発光部72(図2)は、水平方向よりも上方向、即ち、筐体102(図2)の天井面を向いている。これにより、形成部材4の下端近傍に配置された発光装置75,76を用いて形成部材4を殺菌できる。なお、発光部72が水平方向よりも上方向を向くことで、上記法線L2も水平方向よりも上方向を向く。
【0028】
発光装置7は、例えば図4に示す室内機本体101の正面視で、ドレンパン10の側方に配置される。熱交換器2で発生したドレン水はドレンパン10に導かれる。このため、ドレンパン10の側方に発光装置7を配置することで、ドレン水が発光装置7に到達することを抑制できる。これにより、ドレン水による発光装置7への影響を抑制できる。
【0029】
本開示の例では、発光装置75,76は、室内機本体101の正面視で形成部材4の中央を基準に点対称の位置に向き合うように配置される。このため、発光装置75,76の上下方向位置は同じであり、かつ、形成部材4からの距離も同じである。発光装置75,76は、上記のように、形成部材4の左右両下端近傍に配置される。従って、発光装置75,76は、それぞれ、室内機100の正面視で右上方向及び左上方向に紫外光を放出する。
【0030】
図5は、実施例の室内機100において、一対の発光装置75,76により照射される紫外光の照射範囲D1,D2,D3を示す図である。図5は、室内機100の正面視における照射範囲D1,D2,D3を示す。
【0031】
発光装置75から放出された紫外光は、上記のように指向性を有して右上方向に向かう。このため、形成部材4には、左下から右上に向かって延びる長軸を有する楕円状の照射範囲D1において紫外光が照射される。この長軸は、概ね、室内機100の正面視において形成部材4の左下端及び右上端を通る直線と一致する。一方で、発光装置76から放出された紫外光は、上記のように指向性を有して左上方向に向かう。このため、形成部材4には、右下から左上に向かって延びる長軸を有する楕円状の照射範囲D2において紫外光が照射される。この長軸は、概ね、室内機100の正面視において形成部材4の右下端及び左上端を通る直線と一致する。
【0032】
照射範囲D1の一部と照射範囲D2の一部とが重なり、重なった部分に照射範囲D3が形成される。従って、何れも上記図4に示した角度θ1及び角度θ2は、発光装置75から放出される紫外光の少なくとも一部と、発光装置76から放出される紫外光の少なくとも一部とが重なるように、それぞれ紫外光を放出する角度である。このようにすることで、重なった部分である照射範囲D3において、単位照射面積当たりの照射エネルギを、照射範囲D1,D2よりも高くでき、殺菌効率を向上できる。
【0033】
本開示の例では、照射範囲D3は、形成部材4の略中央に形成される。形成部材4の略中央には風路41(図2)を通る空気が接触し易く、微生物が増殖し易い。そこで、微生物が増殖し易い形成部材4の略中央での照射エネルギを高めることで、殺菌効率を向上できる。
【0034】
図6は、比較例の室内機500において、一対の発光装置70により照射される紫外光の照射範囲を示す図である。室内機500は、集光レンズ73(図3)を備えないこと以外は、室内機100と同じ構造を有する。図6に示す例では、発光装置70は集光レンズ73を備えない。従って、紫外光の指向性が高くなく、形成部材4の中央付近に迄紫外光が到達しない。このため、照射範囲D3(図5)が存在しない。また、図6では図示を省略するが、正面側から背面側に向かう方向への到達距離も短い。この結果、形成部材4の中央付近での殺菌が不十分になる。この現象は、特許文献1に記載の技術のように、集光レンズ73ではなく拡散レンズを使用した場合にも同様である。このため、集光レンズ73を備えることで、上記のように目的の殺菌対象部位に紫外光を到達し易くでき、殺菌対象部位での殺菌効率を向上できる。
【0035】
図7は、図1のB-B線断面図である。図7では、上記図2に示した部材の一部の図示を省略し、主に筐体102に関する部材のみが図示される。また、図7では、発光装置75(図2)の図示は省略する。更に、参考のために発光装置76が図示されるが、発光装置76は実際の位置よりも室内機本体101の左側に寄せて図示される。この点は、後記の図9図11においても同様である。
【0036】
発光装置7は、室内機本体101の側方視で、形成部材4よりも正面側に配置される。従って、発光装置7から放出された紫外光は、正面側から背面側に向かい、形成部材4に照射される。このように配置することで、発光装置7から、発光装置7の配置側とは反対側の形成部材4の端部に迄、紫外光を照射し易くできる。
【0037】
発光装置7は、筐体102に固定される。これにより、発光装置7の固定強度を向上できる。発光装置7は、例えば固定具(不図示)により固定される。なお、発光装置7は、例えば、発光部72が向く方向を変更可能に、筐体102に固定されてもよい。例えば、発光装置7を、回動機構(不図示のアクチュエータ等)を介して筐体102に固定することで、当該回動機構を用いて発光装置7を回動できる。これにより、発光部72が向く方向を変更できる。発光部72が向く方向を変更することで、紫外光を例えば形成部材4に満遍なく照射でき、照射不足面の発生を抑制できる。
【0038】
図8は、別の実施形態に係る室内機100において、図1のA-A線断面図に相当する断面図である。図8に示す例では、発光装置7は、ドレンパン10の外側下面12に固定される。熱交換器2で生じるドレン水はドレンパン10に溜まるため、この位置に配置することで、ドレンパン10の外側下面12に配置された発光装置7からみれば、ドレンパン10は「屋根」のような役割を果たす。このため、発光装置7へのドレン水による影響を抑制できる。
【0039】
図9は、別の実施形態に係る室内機100において、図1のB-B線断面図に相当する断面図である。図9では、図示の都合上、発光装置7はドレンパン10の側方に配置されているように図示されるが、実際には、上記図8に示したように、ドレンパン10の外側下面に配置される。また、発光装置7は、上記図5図7等に示した例と同様に、正面側から背面側に向けて、かつ、形成部材4の下側端部付近から形成部材4の反対側上側端部付近に向けて、紫外光を放出する。これにより、形成部材4の中央部を含むほぼ全体を殺菌できる。
【0040】
図10は、別の実施形態に係る室内機100において、図1のA-A線断面図に相当する断面図である。図10に示す例では、発光装置7は、風向板5のうち、室内機本体101の内部に臨む側の面52(内面)に配置される。配置は、例えば任意の固定具(不図示)を用いて行われる。発光装置7は、発光装置7の配置高さよりも高い位置に紫外光を照射するように配置される。発光装置7から放出される紫外光は上記のように高い指向性を有するため、このように配置することで、風向板5の隙間から紫外光が室内に漏れることを抑制できる。
【0041】
図11は、別の実施形態に係る室内機100において、図1のB-B線断面図に相当する断面図である。発光装置7は、上記図5図7図9等に示した例と同様に、正面側から背面側に向けて、かつ、形成部材4の下側端部付近から形成部材4の反対側上側端部付近に向けて、紫外光を放出する。これにより、形成部材4の中央部を含むほぼ全体を殺菌できる。
【符号の説明】
【0042】
1 吸込口
10 ドレンパン
100 室内機
101 室内機本体
102 筐体
11 吸込口
12 外側下面
18 受信部
2 熱交換器
200 室外機
3 ファン
4 形成部材
400 空気調和機
41 風路
5 風向板
500 室内機
51 風向板
52 面
6 吹出口
7 発光装置
71 基板
72 発光部
73 集光レンズ
75 発光装置(第1発光装置)
76 発光装置(第2発光装置)
9 フィルタ
91 フィルタ
θ1 角度(第1角度)
θ2 角度(第2角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11